説明

予測装置、予測システム、画像形成装置、媒体搬送装置及びプログラム

【課題】媒体の搬送系に係る障害に関する予測を精度よく行えるようにする。
【解決手段】 予測式データ記憶部23には、搬送ロールの稼働時間と用紙搬送時間との関係式である予測式Aと、搬送ロールの非稼働時間と用紙搬送時間との関係式である予測式Bのデータが記憶されており、限界到達時期算出部27は、ロール稼働/非稼働時間算出部22により算出された搬送ロールの稼働時間及び非稼働時間と、予測式データ記憶部23に記憶されている予測式A,Bのデータと、平均稼働率設定部24から与えられる搬送ロールの今後の平均稼働率を用いて、搬送ロールがライフエンドに達すると予測される限界到達時期を算出し、算出結果に関する通知の指示を通知部28に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測装置、予測システム、画像形成装置、媒体搬送装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において用紙等の媒体を搬送する搬送系で紙詰まり(JAM)等の障害が発生することの防止などを実現するために、搬送系に係る障害に関する予測が行われている。
【0003】
また、画像形成装置に設けられた搬送系に係る障害に関する予測について、以下のような発明が提案されている。
例えば、シートを搬送するローラの消耗による搬送性能の低下を検出する検知部と、前記ローラの稼働時間を計測する計測部と、前記ローラが消耗により搬送不能となる直前の限界消耗度を記憶する記憶部とを有し、前記検知部により検出した前記ローラの消耗度と、前記計測部により計測した前記ローラの稼働期間と、前記記憶部が記憶している限界消耗度とを利用して、前記ローラが消耗により搬送不能となる寿命時期を算出する発明が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
例えば、管理装置と情報を通信する通信制御装置と、画像形成装置内部の給紙ローラの消耗度(遅延率)を検知する検知部と、当該検知部の検知結果に基づき給紙ローラの寿命を予測する予測部を画像形成装置が有し、予測された寿命が予め定められた範囲内にある場合には、予測された寿命情報を管理装置に送信しないようにする発明が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−261237号公報
【特許文献2】特開2008−158051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、媒体の搬送系に係る障害に関する予測を精度よく行えるようにする技術を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、媒体を搬送する搬送手段の稼働量及び非稼働量を取得する取得手段と、前記搬送手段の劣化により変化する搬送能力値が閾値に到達する時期について、前記搬送手段の稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式及び前記搬送手段の非稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式に基づき、前記取得手段により取得された前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を用いて予測する予測手段と、を備えたことを特徴とする予測装置である。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の予測装置において、前記予測手段は、予め設定された前記搬送手段の稼働量及び非稼動量の比率を、前記搬送手段の今後の稼働量及び非稼動量の比率と見做して、前記搬送手段の搬送能力値が閾値に到達する時期について予測する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の予測装置において、前記予測手段は、前記取得手段により取得された前記搬送手段の現時点までの稼働量及び非稼働量の比率を、前記搬送手段の今後の稼働量及び非稼働量の比率と見做して、前記搬送手段の搬送能力値が閾値に到達する時期について予測する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の予測装置において、前記予測手段により予測された時期までの時間長が予め設定された時間長以下となった場合に、前記予測手段による予測結果について出力する出力手段を備えた、ことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、監視対象装置と、前記監視対象装置とネットワークで接続された予測装置と、を有し、前記監視対象装置は、媒体を搬送する搬送手段を備え、前記予測装置は、前記監視対象装置から前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を前記ネットワークを介して取得する取得手段と、前記搬送手段の劣化により変化する搬送能力値が予め設定された閾値に到達する時期について、前記搬送手段の稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式及び前記搬送手段の非稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式に基づき、前記取得手段により取得された前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を用いて予測する予測手段と、を備えた、ことを特徴とする予測システムである。
【0012】
請求項6に記載の本発明は、媒体に画像を形成する画像形成手段と、当該画像形成の対象となる媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を取得する取得手段と、前記搬送手段の劣化により変化する搬送能力値が閾値に到達する時期について、前記搬送手段の稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式及び前記搬送手段の非稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式に基づき、前記取得手段により取得された前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を用いて予測する予測手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0013】
請求項7に記載の本発明は、画像形成の対象となる媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を取得する取得手段と、前記搬送手段の劣化により変化する搬送能力値が閾値に到達する時期について、前記搬送手段の稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式及び前記搬送手段の非稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式に基づき、前記取得手段により取得された前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を用いて予測する予測手段と、を備えたことを特徴とする媒体搬送装置である。
【0014】
請求項8に記載の本発明は、コンピュータに、媒体を搬送する搬送手段の稼働量及び非稼働量を取得する取得機能と、前記搬送手段の劣化により変化する搬送能力値が閾値に到達する時期について、前記搬送手段の稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式及び前記搬送手段の非稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式に基づき、前記取得機能により取得された前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を用いて予測する予測機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、5〜8に記載の本発明によると、媒体の搬送系に係る障害に関する予測を、非稼動量を考慮しない場合に比べて精度よく行えるようになる。
【0016】
請求項2に記載の本発明によると、媒体の搬送系に係る障害に関する予測を、搬送系について予め設定された稼働量及び非稼働量の比率を考慮して行うことができる。
【0017】
請求項3に記載の本発明によると、媒体の搬送系に係る障害に関する予測を、搬送系の現時点までの稼働量及び非稼働量の比率を踏まえて行うことができる。
【0018】
請求項4に記載の本発明によると、媒体の搬送系の限界まで時間的な余裕がある場合には、予測の結果についての出力を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る予測システムにおける予測式作成処理に係る機能ブロックの一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る予測システムにおける用紙搬送時間の計測例を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る予測システムにおける時間経過に伴うロール稼働状態の変化を例示する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る予測システムにおいて収集されたデータを例示する図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る予測システムにおける予測式作成処理のフローを例示する図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る予測システムにおける予測処理に係る機能ブロックの一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る予測システムにおける予測式A(磨耗系用紙搬送時間予測式)による予測カーブを例示する図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る予測システムにおける予測式B(経時系用紙搬送時間予測式)による予測カーブを例示する図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る予測システムにおいて予測式A,Bに基づいて予測される用紙搬送時間と経過時間との関係を例示する図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る予測システムにおける予測処理のフローの一例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る予測システムにおける予測処理に係る機能ブロックの他の例を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る予測システムにおける予測処理のフローの他の例を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る予測システムを予測装置と複数の画像形成装置を用いて構成する例を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る予測システムにおいて予測装置として動作するコンピュータの主要なハードウェア構成を例示する図である。
【図15】搬送ロールの稼働時間の増加に伴う用紙搬送時間の変化を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
以下では、印刷装置(プリンタ)、複写装置(コピー機)、ファクシミリ装置、印刷・複写・ファクシミリ等の機能を複合的に備えた複合機などの画像形成装置を例にして、画像形成の対象となる用紙等の媒体の搬送系を構成する搬送ロールに係る障害に関する予測について説明する。
【0021】
まず、本発明の説明に先立って、従来方式による予測の例として、搬送ロールの稼働時間に基づいて当該搬送ロールに係る障害に関する予測を行う方式を説明する。
図15には、搬送ロールの稼働時間の増加に伴う用紙搬送時間の変化を例示してある。横軸は、搬送ロールの稼働時間を表すロール稼働時間であり、縦軸は、当該搬送ロールによる搬送中の用紙が予め設定された区間を通過するのに要した時間を表す用紙搬送時間である。
【0022】
図15では、搬送ロールを実験環境において試験的に利用した際の測定結果に基づいて導き出された用紙搬送時間の予測カーブを点線で例示しており、ロール稼働時間の増加に伴って、用紙搬送時間が標準の時間(初期値)から次第に増加していることが分かる。また、紙詰まり等の障害が発生し始める(或いは発生が顕著になる)と推定される用紙搬送時間を故障限界用紙搬送時間(=Tth)として示してあり、用紙搬送時間が故障限界用紙搬送時間に達した時点がライフエンド(寿命)として求められる。ライフエンドとは、搬送ロールとしての機能を発揮する限界に達しており、搬送ロールの交換を要することを意味する。
【0023】
このような従来方式によれば、運用時における画像形成装置の利用の仕方が試験時に近いほど、ライフエンドの時期を予測する精度が高まる。しかしながら、運用時における測定結果に基づく実測カーブを図中に実線で例示するように、当初は用紙搬送時間が予測カーブと同様な増加傾向を示すものの、或る時期から予測カーブとは異なる増加傾向を示すことがある。その結果、図15の例では、予測カーブから求められるライフエンドの時期は約160時間であるのに対し、実測カーブから求められるライフエンドの時期は約140時間であり、約20時間もの誤差が生じている。
【0024】
従来方式において予測結果に上記のような無視できない誤差が生じる原因について説明する。
搬送ロールによる用紙搬送時間が変化する主な要因としては、用紙の搬送による搬送ロールの磨耗に起因する搬送速度の低下や表面性の変化(摩擦係数の低下)によるスリップなどが挙げられる。また、他の要因として、搬送ロールが周囲の環境(空気など)に晒されることによる摩擦係数の経時的な低下がある。本明細書では、前者の要因による劣化を磨耗系劣化といい、後者の要因による劣化を経時系劣化という。
【0025】
上記のように、用紙搬送時間には搬送ロールの磨耗系劣化による影響だけでなく経時系劣化による影響も現れるが、従来方式で説明したロール稼働時間に基づく予測は磨耗系劣化を考慮したモデル化であり、経時系劣化については殆ど考慮されていない。
従来方式において経時系劣化が殆ど考慮されなかった理由としては、期間によるバラツキが少ない安定的な利用頻度を想定(磨耗系劣化と経時系劣化が同程度の割合で進行すると仮定)して、その想定のもとで測定された用紙搬送時間から予測式(予測カーブを表す式)を作成しても、その予測式には想定された利用頻度における経時系劣化が反映されているので、経時系劣化に起因する誤差は少ないと考えられていたことが挙げられる。
【0026】
しかしながら、実際に画像形成装置を利用する頻度は、画像形成装置の利用形態や利用者数などの利用環境の違いに応じて異なるため、搬送ロールが稼働する時間間隔や用紙搬送枚数は利用環境毎に相違する。このため、用紙搬送による摩耗系劣化の進行具合と時間経過による経時系劣化の進行具合は利用環境毎に異なる。具体的には、例えば、毎日稼働する搬送ロールと、1週間毎に稼働する搬送ロールと、途中で1ヶ月以上長期に亘って稼働しない搬送ロールでは、用紙の搬送枚数が同じ(摩耗系劣化の進行具合が同じ)であっても経時系劣化の進行具合は異なる。したがって、画像形成装置の利用頻度が想定とは異なる利用環境ほど、その利用環境で測定される用紙搬送時間は予測式から乖離していき、ライフエンドの時期の予測において無視できない誤差が生じる原因となる。
【0027】
そこで、本発明では、磨耗系劣化に起因する用紙搬送時間の変化を算出する予測式A(磨耗系用紙搬送時間予測式)と、経時系劣化に起因する用紙搬送時間の変化を算出する予測式B(経時系用紙搬送時間予測式)とを別々に用意し、これら2つの予測式A,Bに基づいて予測を行う構成とすることで、搬送系に係る障害に関する予測の精度を高めるようにしている。
【0028】
まず、本発明の一実施形態に係る予測システムにおける予測式作成処理について説明する。
図1には、予測式作成処理に係る機能ブロックの一例を示してある。本例の予測システムでは、データ取得部11、ロール稼働/非稼働時間算出部12、予測式作成部13、予測式データ記憶部14等の機能部を用いて予測式作成処理を行う。
【0029】
データ取得部11は、実験用に設置された画像形成装置から予測式A,Bを作成する基礎となるデータを取得する。本例では、基準となる日時からの経過時間、搬送ロールによる搬送中の用紙が予め設定された区間を通過するのに要した用紙搬送時間、搬送ロールの稼働状態(稼働又は非稼働)を示す稼働状態データなどを取得する。
【0030】
経過時間としては、例えば、搬送ロールが画像形成装置に取り付けられた日時を基準として記憶部に記憶しておき、計測時点の日時から基準の日時を差し引いて求められる時間が用いられる。なお、基準となる日時として、画像形成装置が利用環境に設置された日時、搬送ロールが製造された日時、搬送ロールが交換された日時などを用いてもよい。
用紙搬送時間としては、例えば、図2に例示するように複数の検知部を用いて測定される時間が用いられる。図2の例では、搬送系を構成する2つの搬送ロール41、42により搬送される用紙Pの搬送経路の途中に距離Lを設けて2つの検知部43、44が配置されており、用紙Pの先端(又は後端)の通過を検知部43が検知した時間と検知部44が検知した時間との時間差を求め、これを搬送ロール41、42による用紙搬送時間としている。
稼働状態データとしては、例えば、搬送ロールの駆動部(モーター)に対して画像形成装置の制御部から発せられる制御信号(例えば、駆動開始又は駆動停止を指示する信号)が用いられる。
【0031】
ロール稼働/非稼働時間算出部12は、データ取得部11により取得されたデータに基づいて、搬送ロールの稼働時間(ロール稼働時間)と搬送ロールの非稼働時間(ロール非稼働時間)を算出する。
本例のロール稼働/非稼働時間算出部12によるロール稼働時間及びロール非稼働時間の算出について、図3を参照して説明する。図3には、時間経過に伴うロール稼働状態の変化を例示してある。横軸は、基準となる日時からの経過時間であり、縦軸は、搬送ロールの稼働状態(稼働又は非稼働)である。本例では、基準となる日時をR0とし、或る程度の時間が経過する毎の各時点をR1、R2、…、Rk-1、Rkとして、i=1〜kとした場合のRi-1からRiまでの各期間についてロール稼働時間Oiをそれぞれ算出し、その後、各期間の時間長(=Ri−Ri -1)からロール稼働時間Oiを差し引いてロール非稼働時間NOiを算出している。
【0032】
各期間におけるロール稼働時間Oiは、例えば、その期間において搬送ロールの駆動部に対して駆動開始を指示する信号が発せられた時点から駆動停止を指示する信号が発せられた時点までの時間(搬送ロールが動作していた時間)を積算することにより算出される。
なお、各区間におけるロール非稼働時間NOiを、各期間の時間長(=Ri−Ri-1)からロール稼働時間Oiを差し引いて算出するのではなく、例えば、その期間において搬送ロールの駆動部に対して駆動停止を指示する信号が発せられた時点から駆動開始を指示する信号が発せられた時点までの時間(搬送ロールが停止していた時間)を積算することにより算出してもよい。この場合には、上記とは逆に、その期間の時間長(=Ri−Ri-1)からロール非稼働時間NOiを差し引いてロール稼働時間Oiを算出してもよい。
【0033】
図4には、データ取得部11及びロール稼働/非稼働時間算出部12により収集されたデータを例示してある。図4の例では、R0からRkまでの各期間のそれぞれについて、ロール稼働時間Oi、ロール非稼働時間NOi(=Ri−Ri-1−Oi)、用紙搬送時間Tiが収集されている(但し、i=1〜k)。なお、本例では、用紙搬送時間Tiとして、Ri-1からRiまでの期間において計測された用紙搬送時間の平均値を用いている。
【0034】
予測式作成部13は、データ取得部11及びロール稼働/非稼働時間算出部12により収集されたデータに基づいて、磨耗系劣化に起因する用紙搬送時間の変化を算出する予測式Aと、経時系劣化に起因する用紙搬送時間の変化を算出する予測式Bをそれぞれ作成し、これらの予測式A,Bのデータを予測式データ記憶部14に記憶させる。
【0035】
本例では、期間によるバラツキが少ない安定的な利用頻度を想定し、その想定に従って画像形成装置を利用しながらデータの収集を行い、当該収集されたデータに基づいてロール稼働時間と用紙搬送時間との関係式を導出し、これを予測式Aとしている。また、別途、磨耗系劣化の発生が非常に小さくなるような低頻度(例えば、各期間における用紙の搬送枚数を1枚とする)で画像形成装置を利用しながらデータの収集を行い、当該収集されたデータに基づいてロール非稼働時間と用紙搬送時間との関係式を導出し、これを予測式Bとしている。
なお、各期間の長さ(時間長)は均一でも不均一でもよく、また、予測式Aの導出に用いる期間の長さと予測式Bの導出に用いる期間の長さは異なってもよく、それぞれの予測式A,Bを導出するために十分な程度の数のサンプルが得られればよい。
【0036】
予測式A,Bはいずれも単調増加カーブを描くと推定されるので、例えば、多項式回帰モデルを用いた手法などにより導出される。予測式A,Bは、一例として、(式1)のように表現される。
【数1】

【0037】
上記の(式1)において、次数を表すMは、AIC(Akaike’s Information Criterion)などを用いて決定される。目的変数yは、用紙搬送時間である。独立変数xは、予測式Aではロール稼働時間とし、予測式Bではロール非稼働時間とする。係数wは、図4に例示したようなデータに基づいて、回帰係数を求めるアルゴリズムなどを用いて求められる。
【0038】
図5には、図1に例示した機能ブロックの構成により実施される予測式作成処理のフローを例示してある。
本例では、データ取得部11が、予測式A,Bを作成する基礎となるデータとして、経過時間、用紙搬送時間、稼働状態データなどを収集し(ステップS11)、ロール稼働/非稼働時間算出部12が、稼働状態データに基づいてロール稼働時間を算出すると共に、経過時間からロール稼働時間を差し引いてロール非稼働時間を算出する(ステップS12)。その後、予測式作成部13が、用紙搬送時間を目的変数、ロール稼働時間を独立変数として予測式A(磨耗系用紙搬送時間予測式)を作成し(ステップS13)、また、用紙搬送時間を目的変数、ロール非稼働時間を独立変数として予測式B(経時系用紙搬送時間予測式)を作成する(ステップS14)。
上記のようにして作成された予測式A,Bは予測式データ記憶部14に記憶され、その後の予測処理に用いられる。
【0039】
次に、本発明の一実施形態に係る予測システムにおける予測処理について説明する。
図6には、予測処理に係る機能ブロックの一例を示してある。本例の予測システムでは、データ取得部21、ロール稼働/非稼働時間算出部22、予測式データ記憶部23、平均稼働率設定部24、用紙搬送時間算出部25、閾値比較部26、限界到達時期算出部27、通知部28等の機能部を用いて予測処理を行う。
【0040】
データ取得部21は、実際の利用環境に設置された画像形成装置から予測式A,Bに基づく予測の基礎となるデータを取得する。本例では、データ取得部11と同様にして、基準となる日時からの経過時間、搬送ロールの稼働状態(稼働又は非稼働)を示す稼働状態データなどを取得する。
ロール稼働/非稼働時間算出部22は、データ取得部21により取得されたデータに基づいて、ロール稼働/非稼働時間算出部12と同様にして、搬送ロールの稼働時間(ロール稼働時間)と搬送ロールの非稼働時間(ロール非稼働時間)を算出する。なお、本例では、各期間のそれぞれにおけるロール稼働時間とロール非稼働時間ではなく、基準となる日時から現時点(予測処理を行う時点)までのロール稼働時間の累積値とロール非稼働時間の累積値を算出する。
【0041】
予測式データ記憶部23は、予測式作成処理により作成された予測式A(磨耗系用紙搬送時間予測式)及び予測式B(経時系用紙搬送時間予測式)のデータを記憶している。
平均稼働率設定部24は、予め設定された搬送ロールの平均稼働率(単位時間(例えば1日)に占めるロール稼働時間の割合)に関するデータを記憶しており、この平均稼働率を今後の平均稼働率と見做して限界到達時期算出部27に与える。本例では、平均稼働率に関するデータの一例として画像形成装置の運用予定(例えば、1日あたり5時間の使用予定)のデータが記憶されており、この運用予定に基づいて搬送ロールの平均稼働率を算出するようにしているが、搬送ロールの平均稼働率そのものを記憶させておいてもよい。
例えば、1日あたり5時間稼動させると想定した場合、平均稼働率は以下のように算出され、平均稼働率設定部24に記憶される。
平均稼働率=5時間/24時間=0.208
【0042】
用紙搬送時間算出部25は、ロール稼働/非稼働時間算出部22により算出されたロール稼働時間及びロール非稼働時間と、予測式データ記憶部23に記憶されている予測式A,Bのデータを用いて、現時点における用紙搬送時間を算出する。
本例では、現時点までのロール稼働時間(累積値)について予測式Aから算出される用紙搬送時間と、現時点までのロール非稼働時間(累積値)について予測式Bから算出される用紙搬送時間とを加算して、現時点における用紙搬送時間を算出する。
【0043】
図7には、予測式A(磨耗系用紙搬送時間予測式)による予測カーブを例示してある。横軸は、搬送ロールの稼働時間を表すロール稼働時間であり、縦軸は、当該ロール稼働時間から予測式Aに基づいて予測される用紙搬送時間である。また、予測式Aとして(式2)が用いられている。
【数2】

【0044】
図8には、予測式B(経時系用紙搬送時間予測式)による予測カーブを例示してある。横軸は、搬送ロールの非稼働時間を表すロール非稼働時間であり、縦軸は、当該ロール非稼働時間から予測式Bに基づいて予測される用紙搬送時間である。また、予測式Bとして(式3)が用いられている。
【数3】

【0045】
図9には、予測式A,Bに基づいて予測される用紙搬送時間と経過時間との関係を例示してある。横軸は、基準となる日時からの経過時間であり、縦軸は、当該経過時間から予測式A,Bに基づいて予測される用紙搬送時間である。
図7〜9に示されるように、本例では、基準となる日時から現時点までのロール稼働時間(=To)に基づいて磨耗系劣化に応じた用紙搬送時間y1を算出し、基準となる日時から現時点までのロール非稼働時間(=Tno)に基づいて経時系劣化に応じた用紙搬送時間y2を算出し、これらを加算することで、現時点(=To+Tno)における用紙搬送時間(=y1+y2)を算出している。
【0046】
閾値比較部26は、用紙搬送時間算出部25により算出された現時点までの用紙搬送時間をライフエンド判定用の閾値と比較し、現時点までの用紙搬送時間が閾値に到達している場合(閾値以上又は閾値より大きい場合)に、搬送ロールがライフエンドに達したと判定して、その旨の通知の指示を通知部28に出力する。図9の例では、ライフエンド判定用の閾値として故障限界用紙搬送時間(=Tth)を用いている。
【0047】
限界到達時期算出部27は、閾値比較部26において搬送ロールがライフエンドに達したと判定されなかった場合(現時点までの用紙搬送時間が閾値に到達していない場合)に、ロール稼働/非稼働時間算出部22により算出された現時点までのロール稼働時間及びロール非稼働時間と、予測式データ記憶部23に記憶されている予測式A,Bのデータと、平均稼働率設定部24から与えられる搬送ロールの今後の平均稼働率とを用いて、搬送ロールがライフエンドに達すると予測される限界到達時期を算出し、算出結果に関する通知の指示を通知部28に出力する。
【0048】
本例では、現時点(=To+Tno)から限界到達時期(=Tend)までの時間長をTpeとして、限界到達時期を以下のようにして算出する。
なお、与えられている情報は、現時点までのロール稼働時間To、現時点までのロール非稼働時間Tno、磨耗系用紙搬送時間予測式である予測式A、経時系用紙搬送時間予測式である予測式B、現時点から限界到達時期までのロール稼働率(今後の平均稼働率)εである。また、予測式Aをy=f(x)(但し、xはロール稼働時間)、予測式Bをy’=f’(x)(但し、xはロール非稼働時間)とし、ライフエンドとなる用紙搬送時間(ライフエンド判定用の閾値)を故障限界用紙搬送時間Tthとする。
【0049】
予測式Aから算出される用紙搬送時間と予測式Bから算出される用紙搬送時間を加算した結果が故障限界用紙搬送時間Tthとなる時期が限界到達時期であるので、f(To+Tpe*ε)+f’(Tno+Tpe*(1−ε))=Tthの等式が成り立つ。
また、現時点から限界到達時期までの時間長Tpe=Tend−(To+Tno)であるので、現時点から限界到達時期までのロール稼働時間Tpe*ε=(Tend−(To+Tno))*ε、現時点から限界到達時期までのロール非稼働時間Tpe*(1−ε)=(Tend−(To+Tno))*(1−ε)の各算出式が導き出される。
そこで、これらの算出式(ロール稼働時間及び非稼働時間の各算出式)を上記の等式に代入してTendについて解くことで、限界到達時期が求められる。
【0050】
通知部28は、閾値比較部26又は限界到達時期算出部27から与えられた指示に応じた通知を出力する。通知の出力手法は種々であり、例えば、画像形成装置に設けられた表示部への表示、画像形成装置の機能による用紙等の媒体への印刷、予め指定された宛先へのメール送信などの出力手法が挙げられる。
【0051】
ここで、本例では、用紙搬送時間算出部25により現時点における用紙搬送時間を算出し、当該用紙搬送時間について閾値比較部26により判定し、搬送ロールがライフエンドに達したと判定されなかった場合に、限界到達時期算出部27により限界到達時期を算出するようにしているが、現時点における用紙搬送時間の算出や判定を行わずに限界到達時期の算出を行うようにしてもよい。この場合には、算出結果の限界到達時期を現時点までの経過時間と比較して、経過時間が限界到達時期を越えている場合に、搬送ロールがライフエンドに達していると判定してもよい。
【0052】
また、本例では、限界到達時期算出部27による算出結果に関する通知の指示を通知部28へ無条件に出力しているが、例えば、現時点から限界到達時期までの時間長が予め設定された時間長以下となった場合に、限界到達時期算出部27から通知部28へ算出結果に関する通知の指示を出力させるようにしてもよく、これにより、限界到達時期まで時間的な余裕がある場合の通知が抑制される。
【0053】
図10には、図6に例示した機能ブロックの構成により実施される予測処理のフローの一例を示してある。なお、本フローは、現時点における用紙搬送時間の算出や判定を行わずに限界到達時期の算出を行う場合の例である。
データ取得部21が、予測式A,Bに基づく予測の基礎となるデータとして、経過時間、稼働状態データなどを収集し、ロール稼働/非稼働時間算出部22が、稼働状態データなどに基づいて現時点までのロール稼働時間を算出すると共に、現時点までの経過時間から当該ロール稼働時間を差し引いて現時点までのロール非稼働時間を算出する(ステップS21)。また、平均稼働率設定部24が、予め設定された搬送ロールの平均稼働率に関するデータに基づいて、現時点からライフエンドまでに想定されるロール稼働率εを限界到達時期算出部27に設定する(ステップS22)。その後、限界到達時期算出部27が、現時点から限界到達時期までのロール稼働時間Tpe*εと、現時点から限界到達時期までのロール非稼働時間Tpe*(1−ε)を求める算出式を導き出し(ステップS23)、基準となる日時からライフエンドまでのロール稼働時間To+Tpe*εとロール非稼働時間Tno+Tpe*(1−ε)の算出式をそれぞれ予測式A(y=f(x))と予測式B(y’=f’(x))に代入して、その和が故障限界用紙搬送時間Tthに等しいとして限界到達時期Tendを求める(ステップS24)。
【0054】
図11には、予測処理に係る機能ブロックの他の例を示してある。本例の予測システムでは、データ取得部21、ロール稼働/非稼働時間算出部22、予測式データ記憶部23、平均稼働率算出部29、用紙搬送時間算出部25、閾値比較部26、限界到達時期算出部27、通知部28等の機能部を用いて予測処理を行う。
図11の例は、図6における平均稼働率設定部24を平均稼働率算出部29に置き換えたものであり、他の機能部は図6の対応する機能部と同じ動作を行うものであるため、当該他の機能部についての説明を省略する。
【0055】
平均稼働率算出部29は、ロール稼働/非稼働時間算出部22により算出されたロール稼働時間及びロール非稼働時間に基づいて、搬送ロールの過去の平均稼働率(単位時間(例えば1日)に占めるロール稼働時間の割合)を算出する。この平均稼働率は、限界到達時期算出部27において、現時点からライフエンドまでの平均ロール稼働率として用いられる。すなわち、本例は、これまでの画像形成装置の利用頻度と同様な利用頻度で今後も画像形成装置が利用されると想定し、現時点までの平均稼働率を今後の平均稼働率と見做して限界到達時期算出部27に与えて、限界到達時期を算出させるものである。
例えば、搬送ロールの設置(製造)から現時点までの日数が90日で、搬送ロールが稼動した時間の合計が450時間だった場合、平均稼働率は以下のように算出される。
平均稼働率=ロール稼働時間/(ロール稼働時間+ロール非稼働時間)=ロール稼働時間/(搬送ロールの設置(製造)から現在までの時間の合計)=450時間/(90日×24時間)=0.208
【0056】
図12には、図11に例示した機能ブロックの構成により実施される予測処理のフローの一例を示してある。なお、本フローは、現時点における用紙搬送時間の算出や判定を行わずに限界到達時期の算出を行う場合の例である。
データ取得部21が、予測式A,Bに基づく予測の基礎となるデータとして、経過時間、稼働状態データなどを収集し、ロール稼働/非稼働時間算出部22が、稼働状態データなどに基づいて現時点までのロール稼働時間を算出すると共に、現時点までの経過時間から当該ロール稼働時間を差し引いて現時点までのロール非稼働時間を算出する(ステップS31)。また、平均稼働率算出部29が、現時点までのロール稼働時間及びロール非稼働時間に基づいて搬送ロールの過去の平均稼働率を算出し、現時点からライフエンドまでに想定されるロール稼働率εとして限界到達時期算出部27に設定する(ステップS32)。その後、限界到達時期算出部27が、現時点から限界到達時期までのロール稼働時間Tpe*εと、現時点から限界到達時期までのロール非稼働時間Tpe*(1−ε)を求める算出式を導き出し(ステップS33)、基準となる日時からライフエンドまでのロール稼働時間To+Tpe*εとロール非稼働時間Tno+Tpe*(1−ε)の算出式をそれぞれ予測式A(y=f(x))と予測式B(y’=f’(x))に代入して、その和が故障限界用紙搬送時間Tthに等しいとして限界到達時期Tendを求める(ステップS34)。
【0057】
以上のように、本例では、ロール稼働時間と磨耗系劣化に応じた用紙搬送時間との関係式を予測式A(磨耗系用紙搬送時間予測式)とし、ロール非稼働時間と経時系劣化に応じた用紙搬送時間との関係式を予測式B(経時系用紙搬送時間予測式)として、これらの予測式A,Bを用いて、搬送ロールがライフエンドに達すると予測される限界到達時期を算出している。
なお、上記の例で用いた予測式A,Bは一例に過ぎず、他の形式で表される予測式を用いて予測を行うようにしてもよい。
【0058】
また、上記の例では、搬送ロールの稼働量を表す指標としてロール稼働時間を用いているが、これに代えて、搬送ロールによる用紙の搬送量などの他の指標を用いてもよい。なお、用紙の搬送量としては、用紙の搬送枚数や、用紙上の走行距離(搬送ロールが用紙に接触していた距離)などが挙げられる。また、走行距離は、種々の手法により求められ、例えば、測定により求めてもよく、搬送対象の用紙の種別と用紙の種別毎に予め設定された距離(搬送方向の長さ)とに基づいて求めてもよい。
ここで、搬送ロールの稼働量を表す指標としてロール稼働時間以外を用いる場合には、搬送ロールの非稼働量についても同様な指標を用いてもよく、この場合には、例えば、予め定められた換算式を用いてロール非稼働時間を換算することにより該当する指標を求めればよい。
また、上記の例では、搬送ロールの搬送能力値(劣化度)を表す指標として用紙搬送時間を用いているが、これに代えて、単位時間あたりの用紙搬送距離(用紙搬送速度)などの他の指標を用いてもよい。
また、上記の例では、搬送ロールの稼働量及び非稼動量の比率を表す指標として搬送ロールの平均稼働率(単位時間に占めるロール稼働時間の割合)を用いているが、これに代えて、単位時間あたりのロール稼働時間(又はロール非稼働時間)などの他の指標を用いてもよい。
【0059】
また、予測処理に係る各機能部21〜29は、画像形成装置の内部又は外部に一体に設けられた予測装置として構成されてもよく、或いは、画像形成装置とは隔離して設けられた別体の予測装置(例えば、画像形成装置と無線又は有線により通信可能なサーバ装置)に構成され、遠隔で予測処理を行うようにしてもよい。また、画像形成装置とは別体の予測装置として構成する場合には、複数の画像形成装置から個別にデータを収集して、各画像形成装置のそれぞれについて予測処理を行うようにしてもよい。
当該予測装置を、画像形成装置の稼働状況を管理する保守センター等に配置してもよい。また、遠隔にある予測装置による予測を元に、画像形成装置の保守の時期を決定するようにしてもよい。例えば、図13に構成例を示すように、予測装置Sと複数の画像形成装置MとをネットワークNで接続し、予測装置Sが複数の画像形成装置Mのそれぞれについての予測処理を行うべく、各々の画像形成装置Mで収集したデータ(ロール稼働時間及びロール非稼働時間に関するデータなど)を予測装置SへネットワークNを介して送信するよう構成すればよい。
【0060】
保守の一例として、画像形成装置の搬送ベルトの交換においては、交換時期が早すぎると交換回数が増加し、顧客の費用負担や環境問題の観点から好ましくない。一方、交換が遅すぎると紙詰まり等が発生して顧客に迷惑がかかる可能性が高くなり、また、突発的な交換依頼が入ることにより、保守を行う人員を配置変更するなどの必要性が生じる。本発明により非稼動量を考慮して予測を行い、その精度を向上させることで、上記のような問題の発生頻度が減少する。
【0061】
また、画像形成装置以外の装置を監視対象の装置として、その装置に設けられた搬送ロールについての予測を行うようにしてもよく、例えば、券売機において発券される乗車券、入場券、食券等の媒体を搬送する搬送ロールついての予測を行うようにしてもよい。
また、媒体の搬送系を構成する他の部材についての予測を行うようにしてもよく、例えば、搬送ベルトを用いて構成された搬送系において当該搬送ベルトに経時系劣化及び磨耗系劣化が生じる場合には、当該搬送ベルトについての予測を行うようにしてもよい。
【0062】
図14には、本例の予測システムにおいて予測装置として動作するコンピュータの主要なハードウェア構成を例示してある。
本例では、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)61、CPU61の作業領域となるRAM(Random Access Memory)62や基本的な制御プログラムを記録したROM(Read Only Memory)63等の主記憶装置、本発明の一実施形態に係るプログラムや各種データを記憶する補助記憶装置(例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気ディスクや、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリなど)64、各種情報を表示出力するための表示装置及び操作者により入力操作に用いられる操作ボタンやタッチパネル等の入力機器とのインタフェースである入出力I/F65、他の装置との間で有線又は無線により通信を行うインタフェースである通信I/F66、等のハードウェア資源を有するコンピュータにより構成されている。
そして、本発明の一実施形態に係るプログラムを補助記憶装置64等から読み出してRAM62に展開し、これをCPU61により実行させることで、本発明の一実施形態に係る予測装置の各機能をコンピュータ上に実現している。
【0063】
なお、本例では、予測装置の各機能部を1台のコンピュータに設ける構成としてあるが、各機能部を複数台のコンピュータに分散して設ける構成としてもよい。
また、本発明の一実施形態に係るプログラムは、例えば、当該プログラムを記憶したCD−ROM等の外部記憶媒体から読み込む形式や、通信回線等を介して受信する形式などにより、本例に係るコンピュータに設定される。
また、本例のようなソフトウェア構成により各機能部を実現する態様に限られず、それぞれの機能部を専用のハードウェアモジュールで実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
11:データ取得部、 12:ロール稼働/非稼働時間算出部、 13:予測式作成部、 14:予測式データ記憶部、
21:データ取得部、 22:ロール稼働/非稼働時間算出部、 23:予測式データ記憶部、 24:平均稼働率設定部、 25:用紙搬送時間算出部、 26:閾値比較部、 27:限界到達時期算出部、 28:通知部、 29:平均稼働率算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送手段の稼働量及び非稼働量を取得する取得手段と、
前記搬送手段の劣化により変化する搬送能力値が閾値に到達する時期について、前記搬送手段の稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式及び前記搬送手段の非稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式に基づき、前記取得手段により取得された前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を用いて予測する予測手段と、
を備えたことを特徴とする予測装置。
【請求項2】
前記予測手段は、予め設定された前記搬送手段の稼働量及び非稼動量の比率を、前記搬送手段の今後の稼働量及び非稼動量の比率と見做して、前記搬送手段の搬送能力値が閾値に到達する時期について予測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測装置。
【請求項3】
前記予測手段は、前記取得手段により取得された前記搬送手段の現時点までの稼働量及び非稼働量の比率を、前記搬送手段の今後の稼働量及び非稼働量の比率と見做して、前記搬送手段の搬送能力値が閾値に到達する時期について予測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測装置。
【請求項4】
前記予測手段により予測された時期までの時間長が予め設定された時間長以下となった場合に、前記予測手段による予測結果について出力する出力手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の予測装置。
【請求項5】
監視対象装置と、前記監視対象装置とネットワークで接続された予測装置と、を有し、
前記監視対象装置は、媒体を搬送する搬送手段を備え、
前記予測装置は、前記監視対象装置から前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を前記ネットワークを介して取得する取得手段と、前記搬送手段の劣化により変化する搬送能力値が予め設定された閾値に到達する時期について、前記搬送手段の稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式及び前記搬送手段の非稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式に基づき、前記取得手段により取得された前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を用いて予測する予測手段と、を備えた、
ことを特徴とする予測システム。
【請求項6】
媒体に画像を形成する画像形成手段と、
当該画像形成の対象となる媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を取得する取得手段と、
前記搬送手段の劣化により変化する搬送能力値が閾値に到達する時期について、前記搬送手段の稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式及び前記搬送手段の非稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式に基づき、前記取得手段により取得された前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を用いて予測する予測手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像形成の対象となる媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を取得する取得手段と、
前記搬送手段の劣化により変化する搬送能力値が閾値に到達する時期について、前記搬送手段の稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式及び前記搬送手段の非稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式に基づき、前記取得手段により取得された前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を用いて予測する予測手段と、
を備えたことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項8】
コンピュータに、
媒体を搬送する搬送手段の稼働量及び非稼働量を取得する取得機能と、
前記搬送手段の劣化により変化する搬送能力値が閾値に到達する時期について、前記搬送手段の稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式及び前記搬送手段の非稼働量と前記搬送手段の搬送能力値との関係式に基づき、前記取得機能により取得された前記搬送手段の稼働量及び非稼働量を用いて予測する予測機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−46271(P2012−46271A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187885(P2010−187885)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】