説明

二価(−)−メプタジノール化合物と/或いはその塩及び製造方法と用途

【解決課題】本発明は、二価(-)-メプタジノール誘導体と/その塩、及び製造方法及びアルツハイマー病を含む神経萎縮性疾患と痴呆症の治療の用途に関する。
【解決手段】二価(-)-メプタジノールは、N-ノル反応し(-)-N-ノル-メプタジノール得、アルキルジアシルジクロライド或いはアルキルジアシルジハライドと反応して二価(-)-メプタジノール誘導体を得た。コリンエステラーゼの阻害活性とAchEがAb凝集阻害を誘導する阻害実験より、二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩はAchEとAb凝集を二重阻害できる新型双分子阻害剤である。そして、活性の最高の誘導体はAchEとBchEを阻害する活性は(-)-メプタジノール塩酸塩よりそれぞれ一万倍と1500倍に高められた。AchEの誘導したAb凝集の阻害強度は対照物沃化プロピヂウムより2倍高められた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製薬の分野に属する、二価(-)-メプタジノール化合物と/或いはその塩及び製造方法と用途に関連する。本発明はアルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)ような神経システーム退化性病気及びアルツハイマー病(AD)、Lewy痴呆(DLB)と血管性痴呆(VaD)等色々な痴呆を治療できる二価(-)-メプタジノール化合物と/或いはその塩及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メプタジノール(Meptazinol)、分子式C15H23NO、名前は(±)3-(3-エチル-1-メチル-ヘキサヒドロ-1H-アゼピン-3-イル)フェニルで、1986年に発売された鎮痛薬である。その鎮痛活性はペンタゾシン、ドランチン及びデクストロメトルファンと大体同様で、モルフィンよりやや弱い。他の鎮痛薬に比べると、その呼吸抑制と習慣性など副作用は極めて低い。それ故、メプタジノールは麻酔薬の範囲に属していない。メプタジノールは急性及び慢性疼痛に使用することが出来る。例えば、創傷、手術、産科及び癌痛等で、特に分娩鎮痛は安全で有効であり、新生児の健康に影響を与えない。発売されてから、1998年にイギリスの薬局方に収載された。
【0003】
臨床使用したのは塩酸メプタジノールのラセミ体である。光学的に純粋な酒石酸或はその誘導体を分割剤として、メプタジノールのラセミ体を分割して、光学的に純粋なメプタジノール或いはその塩を得た。毛細管電気泳動法でe.e.値>99%、単結晶X線回折でその左旋体の絶対立体配置は3Sであると確定したという研究がある。マウスの脳のアセチルコリンエステラーゼ(Acetylcholinesterase, AChE)の阻害活性の測定で、(-)-塩酸メプタジノールはAchEを阻害する薬理活性がある。その結果は、塩酸メプタジノールの左旋体或いはその塩類はAchE阻害剤として開発研究の必要がある。
【0004】
学習と記憶の能力の喪失は前脳バサルとヒポカンプスでコリン神経系機能の欠損と複雑に関係している。脳内のアセチルコリンのレベル(Acetylcholine, Ach)を高め、及びコリン神経伝達を回復するという治療方法は痴呆症状を軽減し、学習記憶能力と認知レベルを高めることが出来る。AchE阻害剤はAchの加水分解を阻害することにより シナプシスのAchレベルを高め、学習記憶機能を改善する。
【0005】
現在FDAがアルツハイマー病(Alzheimer's disease,AD)に対する主な臨床薬物としてAchE阻害剤を認めている。パーキンソン病(PD)ような神経萎縮性疾患及びLewy痴呆(DLB)と血管性痴呆(VaD)等の他の痴呆症を治療することも出来る。
【0006】
通常のAchE阻害剤は痴呆症の症状を改善することができるが、萎縮性病理変化の進展を完全に阻止することはできない。最近、AchEの二つの活性部位が見出された。すなわち、底部において触媒する三価元素と入口で末端の陰イオン部位とが、阻害活性の重要な役割をしている。多くの高度で強力な二価と二官能性AchE阻害剤が設計され、合成された。例えば、ビスタクリン、ビスフペルジンB等。最近の研究は、AChEカタリシス点と周辺インイオン点に作用する双点阻害剤はAchEとb澱粉様な蛋白の沈殿する二重阻害作用があるということが明らかになってきた。それは痴呆症状を改善することができる上に、萎縮性病理変化を阻止することもできる。そして、メプタジノールの二価誘導体の研究報告はまだないのである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は二価(-)-メプタジノール誘導体(A=CH2, n=2〜12)がマウス脳のAchEとBchEに対しての阻害活性と接続した原子数の構造と効果の関係である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0047】
(-)-N-ノル-メプタジノールの合成
(-)-メプタジノール20.9 g (89.70 mmol)、KHCO3 157 g (1.57 mol)、クロロフォルム2000 mlを混ぜて、40℃でフェニルクロロフォルメイト97 ml (0.77 mol)を加えて、3時間還流した。冷却してから、水1000 mlを加え、分液し、クロロフォルム層を濃縮して黄色オイルを得た。それを1400 mlのメタノール中に溶解し、K2CO3138 g (1 mol)の水溶液1000 mlを加え、窒素の雰囲気下、室温で18時間反応した。6N HCl (270 ml)を滴下して、pH5に調節し、減圧濃縮してメタノールを除き、エーテル1200 ml、800 mlで抽出し、無水Na2SO4で乾燥した。濾過後、濃縮して溶媒を除いて、黄色オイル34 gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィで分離し、エーテル-クロロフォルムを含んだ溶液で洗浄して、29 gの浅い黄色オイルの(-)-N-ノル-N-カボエソクシ-メプタジノールを得た。収率は95%である。
【0048】
(-)-N-カボアルコクシ-N-ノル-メプタジノール22 g (64.9 mmol)と85%ヒドラジンハイドレイト170 ml (2.98 mol)を混ぜて、窒素の雰囲気下で4時間還流した。冷却してから、200 mlの水を加え、エーテル600 ml、200 mlで抽出した。有機層は無水Na2SO4で乾燥した。次いで濾過し、濃縮して茶色オイル21 gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して(エタノール-クロロフォルム)、浅黄オイル6.07 gを得た。収率は43%である。
1HNMR (DMSO-d6) 9.42 (H, s, OH), 7.16 (H, t), 6.74〜6.65 (3H, m), 3.49 (H, d), 3.21 (H, d), 3.08〜3.00 (2H, m), 2.14 (H, m), 1.77〜1.55 (7H, m), 0.49 (3H, t)
LC-MS (ESI) 220.1 [M+1]+
【実施例2】
【0049】
同様の方法で化合物(A=CH2, n=2〜3と6〜12)及びその塩酸塩を製造することができる。
N,N’-(1,9-ノニレン)-ビス-(-)-N-ノル-メプタジノールの合成
N-ノル-メプタジノール0.89 g (4.06 mmol)は11 mlアセトニトリールの中に加熱して溶けし、トリエチルアミン1.13 ml (8.12 mmol)と1,9-ニ臭化ノニレン423 mL (2.03 mmol)を加え、2時間還流した。冷却してから、濃縮し、炭酸ナトリウム溶液10 mlを加え、クロロフォルム20 ml、10 mlx3抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。次いで濾過し、濃縮して茶色オイル1.6 gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して(エチル酢酸:石油エーテル=1:2)、浅黄オイル0.71 gを得た。収率は62.3%である。
【0050】
その浅い黄色オイル0.67 gは20 ml無水エーテルに溶解し(pH9)、濾過した。得られた溶液中にHCl-エーテル溶液10.6 mlを滴下して、pH4に調節し、白い固体を生成した。次いで濾過して、無水エーテルで洗滌し、P2O5で真空乾燥し、白い粉末0.62 gを得た。収率は81.9%である。mp.118〜124 ℃,[α]D=-39.13 ° (c=0.32, MeOH)。
1HNMR (DMSO-d6) 10.10 (brs, 1/2H, NH+, 重水交換してから消した), 9.95 (brs, 1/2H, NH+, 重水交換してから消した), 9.56〜9.44 (m, 2H, Ar-OH, 重水交換してから消した), 8.41 (brs, 1/2H, NH+,重水交換してから消した), 8.34 (brs, 1/2H, NH+,重水交換してから消した), 7.19〜7.11 (m, 2H, Ar-H), 6.84〜6.64 (m, 6H, Ar-H), 3.82 (d, H, J=14.09 Hz, N-CH2), 3.53 (d, H, J=13.7 Hz, N-CH2), 3.38〜3.27 (m, 3H, N-CH2), 3.15〜3.04 (m, 7H, N-CH2), 2.38〜2.32 (m, H, CH2), 2.10〜2.01 (m, 3H, CH2), 1.79〜1.70 (m, 12H, CH2), 1.54〜1.27 (m, 14H, CH2), 0.47 (t, 6H, CH3)
LC-MS (ESI) [M+1]+563.5; [M+2]2+ 282.3
【実施例3】
【0051】
同様の方法で化合物(A=CO,n=4〜5)を製造することができる。
N,N’-(1,4-スクシニル)-ビス-(-)-N-ノル-メプタジノールの合成
N-ノル-メプタジノール1.45 g (6.63 mmol)は25 ml無水ジクロロメタンに溶解して、トリエチルアミン1.84 ml (12.23 mmol)を加えた。冷却下、塩化スクシニル382mL(3.30 mmol)を含んだ10 ml無水ジクロロフォルム溶液を滴下し、温度は約0℃に抑えた。滴下してから、0℃で15分間撹拌した。反応溶液は水5 ml、2N HCl 5 mlと水5 mlで洗滌した。水層はジクロロメタン10 mlx3で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。次いで濾過して、濃縮し、浅い黄色結晶0.73 gを得た。収率は41.4%である。mp 117〜120 ℃。
1HNMR (DMSO-d6) 8.79 (s, 2H, Ar-OH, 重水交換してから消した), 7.19 (t, 2H, Ar-H), 6.78〜6.70 (m, 6H, Ar-H), 4.88 (d, 2H, J=14.66 Hz, N-CH2), 3.59 (m, 2H, J1=11.73 Hz, J2=6.23 Hz, N-CH2), 3.08 (d, 2H, J=15.03 Hz, N-CH2), 2.91 (t, 2H, J=11.73 Hz, N-CH2), 2.83 (d, 2H, J=13.56 Hz, N-CH2), 2.39 (dm, 2H, J=7.7 Hz, CH2), 2.33 (d, 2H, J=13.2 Hz, N-CH2), 1.82〜1.48 (m, 14H, CH2), 0.68 (t, 6H, J=7.33 Hz, CH3)
LC-MS (ESI) [M+1]+ 521.3
【実施例4】
【0052】
同様の方法で化合物(A=CH2,n=4〜5)及びその塩酸塩を製造することができる。
N,N’-(1,4-ブチリデン)-ビス-(-)-N-ノル-メプタジノール塩酸塩の合成
無水THF15 mlにLiAlH42.0 g (5.26 mmol)を加え、冷却下、N,N’-(1,4-スクシニル)-ビス-(-)-N-ノル-メプタジノール0.56 g (1.08 mmol)を含んだ15 mlTHF溶液を滴下し、1時間還流した。次いで冷却し、濃縮して、水15 mlとクロロフォルム30 mlを加えて、10%NH4Cl水溶液1.5 mlを滴下し、pH9に調節した。水層はクロロフォルム10 mlx4で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。次いで濾過後、濃縮し、柚色オイル0.55 gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して(メタノール:クロロフォルム)、柚色オイル0.19 gを得た。収率は35.8%である。
【0053】
N,N’-(1,4-ブチリデン)-ビス-(-)-(N-ノル-メプタジノール) 0.19 gは無水エーテル20 mlに溶解し、無水HCl-エーテル溶液2.2 mlを滴下して、白い粉末が析出した。次いで濾過して、無水エーテルで洗滌し、P2O5で真空乾燥し、塩酸塩0.12 gを得た。収率は55%である。mp.110〜115 ℃ , [α]D=-51.96°(c=0.092, MeOH)。
1HNMR (DMSO-d6) 9.98 (brs, 1/2 H, NH+,重水交換した), 9.77 (brs, 1/2 H, NH+,重水交換した), 9.56-9.43 (m, 2H, Ar-OH, 重水交換した), 8.46 (brs, 1H, NH+,重水交換した), 7.21-7.13 (m, 2H, Ar-H), 6.85-6.65 (m, 6H, Ar-H), 3.83 (t, H, J=13.3Hz, N-CH2), 3.52 (t, H, J=13.7, N-CH2), 3.36-3.15 (m, 10H, N-CH2), 2.38 (m, H, CH2), 2.10-1.46 (m, 19H, CH2), 0.49 (t, 6H, CH3)
LC-MS (ESI) [M+1]+ 493.3 [M+2]2+ 247.2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩の分子構造は下記に示す。



その中に:AはC=O或いはCH2;nは 2〜12である。
【請求項2】
請求項1に記載の二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩の特徴は、AはC=Oである。
【請求項3】
請求項1に記載の二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩の特徴は、AはCH2である。
【請求項4】
請求項3に記載の二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩の特徴はAはCH2で、nは9である。
【請求項5】
請求項2に記載の二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩の製造方法の特徴はN-ノル-メプタジノールとa,w-アルキルジアシルジハライド反応してから生成した。
【請求項6】
請求項3に記載の二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩の製造方法の特徴はN-ノル-メプタジノールとジハライド反応してから生成した。
【請求項7】
請求項3に記載の二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩の特徴は、AのC=Oである二価(-)-メプタジノール誘導体はLiAlH4で還元してから生成した。
【請求項8】
請求項1、3、4に記載の二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩の特徴は、二価(-)-メプタジノール誘導体と薬学的に許容される無機酸或いは有機酸との付加反応してから塩を生成した。
【請求項9】
請求項1から4に記載の二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩の特徴は、二価(-)-メプタジノール誘導体と薬学的に許容されるアルカリとの付加反応してから塩を生成した。
【請求項10】
請求項8に記載の二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩の特徴は、無機酸は塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸、リンサン或いはその混合物であり、述べた有機酸は酒石酸、酢酸、マレイン酸、フマール酸、安息香酸、オキシコハク酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸或いはその混合物である。
【請求項11】
請求項9に記載の二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩の特徴は、薬学的に許容されるアルカリはカリウム、ナトリウム、リチウム、マグネシウムとカルシウムイオンのアルカリ或いはその混合物である。
【請求項12】
請求項1に記載の二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩は神経萎縮性疾患と痴呆症の治療に用いられる。
【請求項13】
請求項12に記載の二価(-)-メプタジノール誘導体と/或いはその塩は神経萎縮性疾患と痴呆症の治療に用いられる。神経萎縮性疾患はアルツハイマー病、パーキンソン病を含み、さらに痴呆症はアルツハイマー病、Lewy痴呆症と血管性痴呆症を含む。

【公表番号】特表2009−544633(P2009−544633A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521094(P2009−521094)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【国際出願番号】PCT/CN2007/002243
【国際公開番号】WO2008/019572
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(509025670)フダン ユニバーシティー (5)
【Fターム(参考)】