説明

二分法の原理を用いた多点接触タッチ検出センサの取得および分析方法ならびに二分法の原理を用いた多点接触タッチ検出センサの取得および分析方法を実現する電子回路および多点接触タッチ検出センサ

【課題】所定の個数の接触ポイントに関してアクティブな接触ポイントのそれぞれを決定するのに必要な取得量を低減する、二分法の原理を用いた多点接触タッチ検出センサの取得および分析方法ならびにこの方法を実現する電子回路および多点接触タッチ検出センサを実現する。
【解決手段】本発明は、取得ポイントのマトリックスと、このマトリックスの取得および分析を制御する取得および分析電子回路と、を有する多点接触タッチ検出センサのための取得および分析方法に関する。この方法は、順次ステップ、すなわち、センサの検出エリアの接触ポイントのそれぞれの状態を決定する、検出エリアの取得を有するステップ(24、25)と、接触ポイントのアクティブ状態に関する情報を配送する、検出エリアの分析を有するステップ(26)と、を有する。取得ステップ(24、25)および分析ステップ(26)は、繰り返し反復される。取得ステップ(24、25)は、前の分析ステップ(26)において決定されたアクティブな接触ポイントを含む検出エリアで実行される。検出エリアのサイズは、前の取得ステップ(24、25)において取得された検出エリアのサイズより小さい。繰り返しは、予め定められた空間分解能が得られるまで実行される(27)。また、本発明は、この方法を実現する取得および分析電子回路並びに多点接触タッチ検出センサに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二分法の原理を用いた多点接触タッチ検出センサの取得および分析方法ならびにこの方法を実現する電子回路および多点接触タッチ検出センサに関する。
【0002】
本発明は、多点接触タッチ検出センサの分野に関する。このタイプのセンサは、センサ表面上の複数の指の位置、圧力、サイズ、形状および動きを同時に取得することによって、好ましくはグラフィックインタフェースを介して、装置を制御することができる手段と共に提供される。これらのセンサは、ポータブルまたは他のパーソナルコンピュータ、携帯電話、(銀行、店頭、切符売場の)自動窓口、ゲーム機のコンソール、ポータブルマルチメディアプレイヤ(ディジタルウォークマン(登録商標))、オーディオビジュアル装置または家電製品の制御、工業生産装置またはGPSナビゲータシステムなどの制御のためのインタフェースとして利用可能であるが、本発明はこれらに限定されない。
【0003】
特に、本発明は、取得ポイントのマトリックスと、このマトリックスの取得および分析を制御する取得および分析電子回路と、を有する多点接触タッチ検出センサのための取得および分析方法であって、この方法は、順次、センサの検出エリアの接触ポイントのそれぞれの状態を決定する、検出エリアの取得ステップと、接触ポイントのアクティブ状態に関する情報を配送する、検出エリアの分析ステップと、を有する。
【背景技術】
【0004】
従来技術において、複数の接触ポイントの存在および状態を同時に検出することができる多点接触タッチ検出センサは、既に知られている。このセンサは、マトリックス型であることがある。マトリックスのそれぞれのノードの端子における電圧を順次迅速に測定することによって、毎秒数回、センサ画像を作成する。
【0005】
これらのセンサを、(タイピング、テレビゲーム、ミュージカルまたはマルチメディアアプリケーションの制御などの)応答時間が非常に短くなければならないアプリケーションで使用するには、最大20ミリ秒の待ち時間で指の動作を測定できることが必須である。
【0006】
従来技術では、仏国特許発明第2,866,726号明細書に1つの解決方法が記載されており、多点接触タッチ検出画面上の仮想グラフィックオブジェクトの操作による制御デバイスを対象としている。このデバイスは、センサからサンプリング周波数100Hzでデータを取得および分析する取得および分析電子回路をさらに有する。このセンサは、複数のエリアに分割することによって、これらのエリアに対して並列処理を実行することができる。
【0007】
この解決方法の欠点は、高い走査周波数でセンサのすべてのポイントを測定することによって生じる情報量である。制御部は、接触の有無に関係なくセンサ全体を走査する。したがって、接触がない場合でもセンサ全体を走査する。同様に、接触エリアが1つだけ検出された場合でも、残りのセンサ全体が走査される。一般に、解像度を高く、すなわち、センサのそれぞれのセルのサイズを小さくすることが好ましい。所定の走査周波数に対して、解像度を高くすると情報量は増加する。それぞれの接触エリアにおける解像度は、一方ではセンサの空間分解能(走査されるセルの個数)と、他方では時間分解能(それぞれのセルを測定する時間)と、の間の妥協の結果である。このタイプのセンサを通常使用する場合、アクティブになった接触ポイントの平均的な個数は、センサのアクティブになりうる接触ポイントの総個数より非常に少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、所定の個数の接触ポイントに関してアクティブな接触ポイントのそれぞれを決定するのに必要な取得量を低減することによって、これらの技術的課題を解決することである。
【0009】
この目的のため、本発明は、二分法の原理に従って取得および分析を順次実行することによって、取得ステップの数をアクティブな接触ポイントの個数に関して必要最小限まで低減することを提案する。
【0010】
この解決方法への取り組みとして、センサの多様な検出エリアにおいて多様な空間分解能で走査することによって、空間分解能と時間分解能との間の妥協が不要になるようにする。空間分解能は、最初に、接触エリアを決定するため低周波数でセンサ全体を走査するように変化させなければならない。この後、検出された接触エリアを含む検出エリアだけを、より高い空間分解能で再度走査する。この方法は、検出された接触エリアに関して走査された検出エリアが十分に狭くなるまで繰り返し実行することができる。全体の走査周波数がセンサ全体の通常走査の走査周波数と等しくなるように、全体の走査周波数より高い周波数でより高い空間分解能の走査が実行される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のため、本発明によって、取得ポイントのマトリックスと、このマトリックスの取得および分析を制御する取得および分析電子回路と、を有する多点接触タッチ検出センサのための取得および分析方法を提案する。この方法は、順次、センサの検出エリアの接触ポイントのそれぞれの状態を決定する、検出エリアの取得ステップと、接触ポイントのアクティブ状態に関する情報を配送する、検出エリアの分析ステップと、を有する。本発明によれば、取得ステップおよび分析ステップは、繰り返しによって反復される。取得ステップは、前の分析ステップにおいて決定されたアクティブな接触ポイントを含む検出エリアで実行される。検出エリアのサイズは、前の取得ステップにおいて取得された検出エリアのサイズより小さい。繰り返しは、予め定められた空間分解能が得られるまで実行される。
【0012】
この方法は、測定量を低減する。それぞれの新しい繰り返しにおいて、取得は、アクティブな接触ポイントの検出に関して前に取得された検出エリアの1つのみに対して行われる。この方法によって、いかなる接触もアクティブでない検出エリアで測定を実行しないようにすることができる。
【0013】
最初の繰り返しにおいて、取得ステップは、センサ全体で実行されることが好ましい。したがって、センサ全体の状態に関する情報を取得してから、後続の繰り返しで接触ポイントの位置をより詳細に特定することができる。
【0014】
1つの繰り返しにおいて、処理する検出エリアをより小さい検出サブエリアに分割し、それぞれの検出サブエリアについて別個に接触情報を取得する。次の繰り返しをそれぞれの検出サブエリアにおいて実行することによって、接触情報を作る。これによって、アクティブな接触ポイントのない検出エリアで繰り返しを実行しないようにすることができる。
【0015】
1つの繰り返しにおいていずれの接触ポイントもアクティブであると検出されない場合、次の繰り返しは、センサ全体で実行されることが有利である。
【0016】
繰り返しのそれぞれにおいて、取得ステップおよび分析ステップで取得される検出エリアの形状は、長方形であることが有利である。
【0017】
1つの特定の実施形態において、繰り返しのそれぞれにおいて、取得するエリアのサイズは、それぞれの軸上で2つの数でそれぞれ分割される。
【0018】
繰り返しのそれぞれにおいて、取得するエリアのサイズは、前の繰り返しにおいて取得されたエリアを4で割ったサイズであることが好ましい。これによって、真の二分法による取得および分析方法は実行することができる。それぞれの繰り返しにおいて、前に取得された検出エリアは、4つの等しいサイズの検出サブエリアに分割され、接触エリアの位置が特定される。こうして、それぞれの繰り返しにおいて、接触エリアを有する検出サブエリアのみ再度走査する。
【0019】
一実施形態では、複数の接触エリアが検出された場合を対象とし、1つの繰り返しにおいて複数の個別の接触エリアが検出された場合、次の繰り返しの取得ステップおよび分析ステップは、複数の個別の接触エリアのそれぞれにおいて並行に実行される。
【0020】
本発明は、上述した取得および分析方法を用いた、接触ポイントのマトリックスを有する多点接触タッチ検出センサのための取得および分析電子回路に関する。
【0021】
本発明の第1の実施形態において、検出エリアは、この検出エリアのすべての列に同時に電力を供給し、この検出エリアのすべての行を共通に測定することによって、測定される。
【0022】
本発明の第2の実施形態において、検出エリアは、この検出エリアのすべての列に同時に電力を供給し、この検出エリアのすべての行を個別に測定することによって、測定される。
【0023】
多点接触タッチ検出センサがトランジスタを有する接触ポイントのアクティブマトリックスを有する場合、検出エリアは、この検出エリアのすべての列およびすべての行に同時に電力を供給し、センサの共通の電極を測定することによって、測定されることが好ましい。
【0024】
最後に、本発明は、取得ポイントのマトリックスと、上述した取得および分析電子回路と、を有し、上述した取得および分析方法を用いてマトリックスの取得および分析を制御する、多点接触タッチ検出センサに関する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】パッシブマトリックス型多点接触タッチ検出電子デバイスを示す図である。
【図2】電子回路に用いられるセンサの1つのエリアにおける取得方法を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による取得および分析方法を示す図である。
【図4A】本発明による取得および分析方法が用いられる多様な状況を示す図である。
【図4B】本発明による取得および分析方法が用いられる多様な状況を示す図である。
【図4C】本発明による取得および分析方法が用いられる多様な状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、非限定的な実施形態について図面が添付された詳細な説明を読むことによって、より良く理解されるであろう。
【0027】
本発明の取得および分析電子素子回路は、マトリックス型多点接触タッチ検出センサに統合されるものとする。これは、マトリックス状に配置され絶縁層で分離された透明導電性材料の2つの層を有するパッシブマトリックス、または、それぞれのノードがトランジスタまたはダイオードなどの能動素子を有するアクティブマトリックスでもよい。パッシブまたはアクティブマトリックスの軸は、指示部に関する列および測定部に関する行と呼ぶ。行および列が投影された交点は、ノードを形成する。
【0028】
図1は、タッチ検出電子センサの図であり、
−マトリックス型タッチ検出センサ1と、
−ディスプレイ画面2と、
−取得インタフェース3と、
−メインプロセッサ4と、
−グラフィックプロセッサ5と、を有する。
【0029】
このタッチ検出デバイスの第1の基本構成要素は、取得インタフェース3を介した取得(多点接触操作)に必要なタッチ検出センサ1である。取得インタフェース3は、取得および分析回路を有する。このタッチ検出センサ1は、マトリックス型である。このセンサは、データ取得の高速化のため、場合によっては複数の部分に分割してそれぞれの部分を同時に走査することができる。
【0030】
取得インタフェース3からのデータは、フィルタリングされた後、メインプロセッサ4に送られる。メインプロセッサ4は、ローカルプログラムを実行してパッドからのデータをディスプレイ画面2に表示された操作用グラフィックオブジェクトに関連付けることができる。また、メインプロセッサ4は、ディスプレイ画面2に表示するデータをグラフィックインタフェース5に送る。さらに、このグラフィックインタフェースは、グラフィックプロセッサで制御することができる。
【0031】
マトリックスセンサ1は、例えば、抵抗式センサまたは投影型静電容量式センサである。このセンサは、2つの透明な層を有し、これらの層上には、導線に対応する行または列が配置される。したがって、これらの層は、マトリックス配列の導線を形成する。
【0032】
接触がアクティブか否かを知るためには、マトリックスのそれぞれのノードの端子における電気特性(電圧、容量またはインダクタンス)を測定する。100Hzのオーダのサンプリング周波数を用いて、デバイスは、センサ1とメインプロセッサ4に統合された制御回路とによって、センサ1全体からデータを取得する。
【0033】
パッシブマトリクス型タッチ検出センサの場合、取得は、以下のように実行される。列には電力が供給され、センサのそれぞれの行における応答を検出する。これらの応答に関して、状態が休止状態に比べて変化したノードに対応する接触エリアを決定する。状態が変化した1つまたは複数のセットの隣接するノードを決定する。この1セットの隣接するノードによって、1つの接触エリアが規定される。このノードセットから、本発明でカーソルを意味する位置情報を計算する。非アクティブエリアによって分離されたノードセットが複数ある場合には、同じ走査フェーズで互いに独立な複数のカーソルを決定する。
【0034】
この情報は、新しい走査ステップにおいて周期的にリフレッシュされる。カーソルは、順次行われる走査において得られる情報に基づいて作成され、追跡され、消滅する。例えば、カーソルは、接触エリアの重心を求める関数によって計算される。一般的な原理として、タッチ検出センサ上で検出された接触エリアと同数のカーソルを作成し、その時間的変化を追跡する。利用者が自分の指をセンサから離すと、関連付けられていたカーソルは消滅する。こうして、タッチ検出センサ上にある複数の指の位置および変化を同時に取得することができる。
【0035】
メインプロセッサ4は、センサからのデータをディスプレイ画面2に表示された操作用グラフィックオブジェクトに関連付けるプログラムを実行する。
【0036】
図2は、電子回路によるセンサのエリア[P1、P2、Q1、Q2]上の取得方法を示す図である。
【0037】
マトリックス型センサ1は、N行およびM列を有する。方法10の機能は、マトリックス型センサ1の検出エリアの状態、すなわち、このエリアが少なくとも1つの接触ポイントを有するか否かを決定することである。このセンサの検出エリア[P1、P2、Q1、Q2]は、P=P2−P1行とQ=Q2−Q1列とを有する。この検出エリアの輪郭は、整数パラメータP1、P2、Q1、Q2によって規定される。したがって、方法10は、行P1〜P2および列Q1〜Q2によって境界が定められる検出エリアを測定する。
【0038】
この方法は、検出エリア[P1、P2、Q1、Q2]を1つのブロックとする測定に対応する。測定される検出エリアの電気特性は、例えば、電圧である。この方法によって、所定の時間におけるマトリックス型センサ1の検出エリア[P1、P2、Q1、Q2]の状態が与えられる。
【0039】
この取得方法10は、前の取得ステップにおいて取得されたデータの初期化ステップ11から始まる。ここで、列の軸は、電力供給軸を構成し、行の軸は、検出軸を構成する。そして、この方法によって、列Q1〜Q2に電力が供給され(12)、すべての行P1〜P2が同時に測定される(13)。
【0040】
したがって、列Q1およびQ2ならびに行P1およびP2によって境界を定められたブロック全体が測定される。ゼロでない電圧が検出された場合、検出エリア[P1、P2、Q1、Q2]に少なくとも1つの接触ポイントがあることを意味し、ゼロの電圧が検出された場合、検出エリア[P1、P2、Q1、Q2]に接触ポイントがないことを意味する。
【0041】
この取得プロセスを、本明細書の以下に記載した本発明の取得および分析方法に用いることによって、エリアのそれぞれのノードではなくエリア全体の接触情報を取得する検出エリアにおける取得を実行する。
【0042】
図3は、本発明の一実施形態で用いられる取得および分析方法を表す図である。
【0043】
この方法20は、以下の一連の繰り返しステップを有する。
−検出エリアにおける繰り返しを開始する。
−検出エリアをN個の検出サブエリアに分割する。
−それぞれの検出サブエリアについて以下を実行する。
・サブエリアに関連する列共通の命令。
・サブエリアに関連する行の測定。
・サブエリアに関する接触情報の決定
・接触が検出された場合、サブエリアにおける後続の繰り返し。
【0044】
方法20において最初に考慮されるエリアは、センサ全体に対応するエリアZ1である。ステップ22において、このエリアは、4つのサブエリアSZ11、SZ12、SZ13およびSZ14に分割される。次に、第1サブエリアSZ11の列への電力供給24とこのサブエリアSZ11の行における測定25とが同時に行われる。電力供給ステップ24および測定ステップ25の前に、考慮する検出サブエリアを初期化するステップ(図示省略)が実行される。
【0045】
サブエリアSZ11において接触が全く検出されない場合、次に、サブエリアSZ12の列への電力供給24およびその行における測定25などを、4つのサブエリアSZ11、SZ12、SZ13およびSZ14すべてについて実行し終わるまで行う。
【0046】
サブエリアSZ11に接触があった場合、最初に、最高空間分解能レベルに達したか否かを検証する。最高空間分解能レベルに達した場合、考慮するサブエリアSZ11を4つの新しいサブエリア分割することは不可能である。最高空間分解能レベルに達していない場合、サブエリアSZ11は、エリアZ2となり、次に、4つのサブエリアSZ21、SZ22、SZ23およびSZ24への分割22が行われる。そして、これらの4つのサブエリアでは、サブエリアSZ11で行われたのと正しく同じ方法で、電力供給24、測定25および接触の検出26が順次繰り返し行われる。これらの多様なステップが実行されるエリアは、「Zi」と指定する。ここで、iは、処理するエリアを特定するためのインクリメント値である。
【0047】
この方法は、最高分解能レベルに達するか、または、4つのサブエリアすべてが処理済みになるまで、このように進行する。したがって、次に、未処理の他のサブエリアの有無の検証32が行われる。サブエリア「SZkl」(ここで、順次処理されるエリアを特定するインクリメント値iについて、k≦iかつl≦4)が処理済みでない場合、すなわち、このサブエリアにおいて列の電力供給、行の測定および接触の有無の決定が行われていない場合、同じ処理がサブエリアSZklに適用される。このため、整数iは一単位増加され、サブエリアSZklはエリアZiになる。
【0048】
これ以上処理するサブエリアがない場合、取得および分析方法は、終了する35。したがって、この方法によって、接触があった検出エリアは、予め定められた空間分解能レベルで決定される。この予め定められた空間分解能レベルは、ユーザが手動で設定してもよいし、または、センサのノード数によって単純に設定してもよい。したがって、最高分解能レベルでアクティブな接触エリアのみにおいて情報を取得することができる。この方法では、最高空間分解能レベルに達するまで、接触が全く検出されていないサブエリアは、処理されず、したがって、観測する必要がない。このため、センサが取得および分析において取得する情報量は、かなり制限される。
【0049】
この方法は、以下のステップを繰り返し実行する。
−(図3に示されていない取得するエリアの初期化ステップの後の)電力供給ステップ24および測定ステップ25に対応する取得ステップ。
−取得が行われる検出エリアにおいて接触の存在に関する判断ステップ26に対応する分析ステップ。
【0050】
取得および分析方法20が一旦終了すると、ソフトウェアは、アクティブな接触エリアに対応するカーソルを決定し、タッチ検出画面上の仮想グラフィックオブジェクトに特定の処理を適用することによってタッチ検出画面をリアルタイムで更新することができる。
【0051】
図4Aおよび図4Cは、本発明の分析および取得方法が使用されるそれぞれの多様な状況を示す。
【0052】
繰り返しごとに、それぞれの検出エリアは、4つの検出サブエリアに分割される。したがって、順次4回繰り返すことによって、それぞれの軸における空間分解能が1/16に等しい空間分解能が生成される。
【0053】
図4Aにおいて、センサの接触エリアの1つがアクティブである。最初の繰り返し41において、センサ全体を構成する検出エリアは、サイズが等しい4つの検出サブエリアに分割され、接触エリアの位置は、検出サブエリアの1つで特定される。第2の繰り返し42において、検出された接触ゾーンを含む検出エリアは、サイズが等しい4つの検出サブエリアに分割され、接触エリアの位置は、これらの新しい検出サブエリアで特定される。続いて行われる繰り返し43および44は、所要の空間分解能を得るまで同じ処理を反復する。
【0054】
より一般には、測定される検出エリアの個数は、アクティブな接触エリアの個数および繰り返しの最大回数に依存する。
【0055】
したがって、図4Aの実施例では、この二分法による方法によって4回の繰り返し(16回の測定)を行い、それぞれの軸上の1/16の精度で接触ポイントの位置を取得する。一般的な走査の場合、同等の精度を得るために256回の測定が必要になるであろう。
【0056】
図4Bを参照すると、接触エリアは、複数の検出エリアでアクティブである。最初の繰り返し51において、センサ全体を構成する検出エリアは、サイズが等しい4つの検出サブエリアに分割され、接触エリアの位置は、検出サブエリアの1つのみで特定される。第2の繰り返し52において、この新しいエリアは、サイズが等しい4つのサブエリアに分割され、接触エリアは2つの新しいサブエリアで検出される。この場合、繰り返し53および54において、少なくとも1つの接触エリアを部分的に有するこれらの新しい検出エリアは、それぞれ4つの新しい検出サブエリアに分割され、これらの分割された新しい検出サブエリアにおける接触エリアの位置が特定される。
【0057】
図4Cを参照すると、2つの個別の接触エリアが、最初の繰り返し61で検出される。続いて行われる繰り返し62、63、および64において、接触エリアを少なくとも部分的に有すると特定された検出エリアは、それぞれサイズが等しい4つの検出サブエリアに分割され、接触エリアの位置は、接触エリアにおいて所要の解像度を取得するまで特定される。
【0058】
図4Bおよび図4Cが示すこれらの2つの状況では、この方法によって4回の繰り返し(それぞれ32回および44回の測定)を行い、それぞれの軸上の1/16の精度で接触ポイントの位置を取得する。一般的な走査の場合、同等の精度を得るために256回の測定が必要になるであろう。
【0059】
本発明の他の実施形態において、二分法による方法は、2つの二分法を組み合わせる。第1のステップでは、水平方向の二分法を必要とし、第2のステップでは、垂直方向の二分法を必要とする。これらの2つのステップは、それぞれ前に得たエリアをサイズが等しい2つの新しいエリアへ分離することに対応する。これらの2つの二分法を順次行うと、上で述べた図3、図4A、図4Bおよび4図Cで図示された方法と同等の二分法による方法が生成される。
【0060】
本発明の他の実施形態において、この二分法による方法は、前に取得されたエリアを4つの新しいエリアではなく、多様な個数の新しいエリア、例えば9つ、12または16のエリアに分割することによって、実現される。
【0061】
いくつかの実施形態において、以下の実施例のように繰り返し法を実現してもよい。
−サブエリアでアクティブな接触ポイントが検出された直後に、このサブエリア上の繰り返しを実行する。この場合、再帰呼出し機能が必要であり、したがって、サブエリアを囲むエリアの場所およびサイズを保存する必要がある。
−前の繰り返しで検出された、少なくとも1つのアクティブな接触ポイントを含むすべての検出エリアに対応するすべてのサブエリアの測定で構成される繰り返しであって、再帰呼出しを必要としないが、より大きいデータ量を保存することになる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上、本発明の実施態様は、実施例として記載したものであり、決して本発明を限定するものではない。当業者であれば、特許の範囲から逸脱することなく、本発明のさまざまな変形例を生成することができることに留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得ポイントのマトリックスと、該マトリックスの取得および分析を制御する取得および分析電子回路と、を有する多点接触タッチ検出センサのための取得および分析方法であって、該方法は、順次、
前記センサの検出エリアの接触ポイントのそれぞれの状態を決定する、該検出エリアの取得ステップと、
前記接触ポイントのアクティブ状態に関する情報を配送する、前記検出エリアの分析ステップと、を有し、
前記取得ステップおよび前記分析ステップは、繰り返しによって反復され、
前記取得ステップは、前の分析ステップにおいて決定されたアクティブな接触ポイントを含む検出エリアで実行され、
前記検出エリアのサイズは、前の取得ステップにおいて取得された検出エリアのサイズより小さく、
前記繰り返しは、予め定められた空間分解能が得られるまで実行される、取得および分析方法。
【請求項2】
最初の繰り返しにおいて、前記取得ステップは、センサ全体で実行される、請求項1に記載の取得および分析方法。
【請求項3】
1つの繰り返しにおいていずれの接触ポイントもアクティブであると検出されない場合、次の繰り返しは、前記センサ全体で実行される、請求項1または2に記載の取得および分析方法。
【請求項4】
前記繰り返しのそれぞれにおいて、前記取得ステップおよび前記分析ステップで取得される検出エリアの形状は、長方形である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の取得および分析方法。
【請求項5】
前記繰り返しのそれぞれにおいて、取得する前記エリアのサイズは、それぞれの軸上で2つの数でそれぞれ分割される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の取得および分析方法。
【請求項6】
前記繰り返しのそれぞれにおいて、前記取得するエリアのサイズは、前の繰り返しにおいて取得されたエリアを4で割ったサイズである、請求項5に記載の取得および分析方法。
【請求項7】
1つの繰り返しにおいて複数の個別の接触エリアが検出された場合、次の繰り返しの前記取得ステップおよび前記分析ステップは、前記複数の個別の接触エリアのそれぞれにおいて並行に実行される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の取得および分析方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の取得および分析方法を用いた、接触ポイントのマトリックスを有する多点接触タッチ検出センサのための取得および分析電子回路。
【請求項9】
前記検出エリアは、該検出エリアのすべての列に同時に電力を供給し、該検出エリアのすべての行を共通に測定することによって、測定される、請求項8に記載の取得および分析電子回路。
【請求項10】
前記検出エリアは、該検出エリアのすべての列に同時に電力を供給し、該検出エリアのすべての行を個別に測定することによって、測定される、請求項8に記載の取得および分析電子回路。
【請求項11】
前記検出エリアは、該検出エリアのすべての列およびすべての行に同時に電力を供給し、前記センサの共通の電極を測定することによって、測定される、トランジスタを有する接触ポイントのアクティブマトリックスを有する多点接触タッチ検出センサのための請求項8に記載の取得および分析電子回路。
【請求項12】
取得ポイントのマトリックスと、請求項8〜11のいずれか1項に記載の取得および分析電子回路と、を有し、請求項1〜7のいずれか1項に記載の取得および分析方法を用いて前記マトリックスの取得および分析を制御する、多点接触タッチ検出センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2011−530078(P2011−530078A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521613(P2011−521613)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000979
【国際公開番号】WO2010/015750
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(509270546)
【氏名又は名称原語表記】STANTUM
【Fターム(参考)】