二次元コード評価のためのプログラム、二次元コード評価のためのデータ処理方法及び二次元コード評価のための装置
【課題】
かすれとはみ出し双方の誤印刷が共存する二次元コードを正確に評価する。
【解決手段】
本発明の一実施形態において、各セルはみ出し部の面積を加算することによってはみ出し面積和Ambを算出する。理想白面積Aibを算出する。はみ出し面積和Ambを理想白面積Aibで除算し、はみ出しレシオ(Seize_Ratio)を算出する。次に、各セルのかすれ部の面積を加算することによってかすれ面積和Ammを算出する。続いて、理想黒面積Aimを算出する。さらに、かすれ面積和Ammを理想黒面積Aimで除算し、かすれレシオ(Shrink_Ratio)を算出する。はみ出しレシオ(Seize_Ratio)とかすれレシオ(Shrink_Ratio)とを使用して、塗布レシオ(Apply_Ratio)を算出する。これが、マトリクス・コードにおける、かすれ部とはみ出し部の共存の度合を示す。
かすれとはみ出し双方の誤印刷が共存する二次元コードを正確に評価する。
【解決手段】
本発明の一実施形態において、各セルはみ出し部の面積を加算することによってはみ出し面積和Ambを算出する。理想白面積Aibを算出する。はみ出し面積和Ambを理想白面積Aibで除算し、はみ出しレシオ(Seize_Ratio)を算出する。次に、各セルのかすれ部の面積を加算することによってかすれ面積和Ammを算出する。続いて、理想黒面積Aimを算出する。さらに、かすれ面積和Ammを理想黒面積Aimで除算し、かすれレシオ(Shrink_Ratio)を算出する。はみ出しレシオ(Seize_Ratio)とかすれレシオ(Shrink_Ratio)とを使用して、塗布レシオ(Apply_Ratio)を算出する。これが、マトリクス・コードにおける、かすれ部とはみ出し部の共存の度合を示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元コードを評価するためのプログラム、その装置及びその装置におけるデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報を表すパターンとして、従来のバーコードに代わり、二次元コードが広く使用されている。二次元コードは、情報を二次元の図形パターンとして表す。このため、一次元のバーコードと比較して、飛躍的に多くの情報を記録することが可能である。二次元コードの一つとして、マトリックス状に配置された複数の構成単位によってパターンを形成するマトリックス・コードが広く利用されている。
【0003】
マトリックス・コードは、紙や樹脂シートなどのラベルの他に、部品表面などの立体物にも印字される。典型的には、マトリックス・コードはラベルに対して熱転写によって印字され、立体物に対してはレーザマーカを使用して印字される。マトリックス・コードは、スキャナによって読み込まれてデコードされるため、印刷状態が悪い場合には正確に記録データをデコードすることができない。そのため、マトリックス・コードの印刷段階において、マトリックス・コードが正確に印刷されているかを評価し、正確に印刷されていない場合には印刷プロセスにフィードバックを行うことが必要とされる。
【0004】
従来のマトリックス・コードの評価手法としては、特許文献1に開示されている方法の他、AIM規格である「International Symbology Specification-Data Matrix」に4つの評価パラメータが規定されている。この4つの評価パラメータは、それぞれ、「Symbol Contrast」、「Print Growth」、「Axial Nonuniformity」、「Unused Error Correction」である。端的に説明すれば、「Symbol Contrast」は画像コントラストを表し、「Print Growth」はマトリックス・コード全体の印刷太さを表し、「Axial Nonuniformity」はX−Y軸の非対称性(歪曲性)を表し、「Unused Error Correction」はエラーコレクションの数を表す。
【特許文献1】特開平9−128469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
AIM基準として規定された4つの評価パラメータを使用して、一定レベルでの印刷状態評価を行うことができる。しかし、これら評価パラメータでは正確に評価することができない誤印刷状態があることを発明者らは見出した。実際に印刷されたマトリックス・コードにおいては、印刷すべきところが印刷されていないかすれ部分と、印刷すべきではないところが印刷されたはみ出し部分の双方が共存することがある。このような印刷エラーは、特に、レーザマーカによってマトリックス・コード印刷する場合に頻繁に現れる。
【0006】
AIM基準におけるPrint Growthは、印刷のデューティ・サイクルについて太めに印刷されている、あるいは、細めに印刷されているなどの判定を行うことができる。しかし、一つのデータ・エリア(マトリックス・コード)内に太めの印刷部分と細めの印刷部分が共存する場合、各部の値が平均化されるために、誤印刷として結果に現れない。本発明はこのような事情を背景としてなされたものであって、本発明の目的は、かすれ部分とはみ出し部分が共存する二次元コードの評価を正確に行う手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、構成単位としてのセルを複数含む二次元コードの評価のための処理を、コンピュータに実行させるプログラムであって、前記処理は、二次元コードを撮像して得られた実画像データと、その二次元コードの理想画像データとを取得し、前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ算出し、それらを使用して得られた評価結果データをメモリに記憶するものである。はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ使用することによって、これらのエラーが共存する二次元コード評価を正確に行うことができる。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、前記評価結果データは、前記はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とを使用して算出された、前記複数セルにおけるはみ出しとかすれの共存度合を表す値を含むものである。共存度合を表す値を含むことによって、容易かつ的確にエラーが共存する二次元コード評価を行うことができる。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様において、前記実画像データにおける二次元コードに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、各分割エリア内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ使用して、その分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出し、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを使用して得られた評価結果データを前記メモリに記憶するものである。各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを使用することで、誤印刷の場所依存性を評価することができる。
【0010】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様において、さらに、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を使用して、前記実画像データにおける二次元コード内のはみ出し/かすれ度合の場所依存度を表す値を算出し、前記評価結果データは、前記場所依存度を含むものである。これによって、容易かつ的確に誤印刷の場所依存性評価を行うことができる。
【0011】
本発明の第5の態様は、上記第2の態様において、さらに、前記実画像データに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出して得られた評価結果データを前記メモリに記憶するものである。共存度合を表す値と、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値とを合わせて使用することで、共存の原因特定をより容易化することができる。
【0012】
本発明の第6の態様は、上記第5の態様において、さらに、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を使用して、前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し/かすれ度合の場所依存度を表す値を算出し、前記評価結果データは前記場所依存度を含むものである。これによって、容易かつ的確に誤印刷の場所依存性評価及び共存の原因特定を行うことができる。
【0013】
本発明の第7の態様は、上記第1の態様において、前記実画像データに含まれる複数セル内の各セルについて、その周囲セルの理想画像データにおける印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、前記複数セルのはみ出し面積の割合を表す値を、各セルの前記重み付けはみ出し面積を使用して算出し、前記複数セルのかすれ面積の割合を表す値を、各セルの前記重み付けかすれ面積を使用して算出するものである。周囲セルを使用して重み付けすることによって、誤印刷のパターン依存性を評価することができる。
【0014】
本発明の第8の態様は、上記第7の態様において、前記各セルを複数エリアに分割して、そのセル分割エリアのそれぞれについて、その周囲セルの印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、それらの値からそのセルの重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出するものである。各セルを複数エリアに分割して重み付けすることで、より正確に誤印刷のパターン依存性を評価することができる。
【0015】
本発明の第9の態様は、上記第2の態様において、さらに、前記実画像データに含まれる複数セル内の各セルについて、その周囲セルの理想画像データにおける印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、各セルの前記重み付けはみ出し面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたはみ出し面積割合を算出し、各セルの前記重み付けかすれ面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたかすれ面積割合を算出し、前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合とを使用して得られた評価データをメモリに記憶するものである。共存度合を表す値と、前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合とを合わせて使用することで、共存の原因特定をより容易化することができる。
【0016】
本発明の第10の態様は、上記第9の態様において、前記各セルを複数エリアに分割して、そのセル分割エリアのそれぞれについて、その周囲セルの印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、それらの値からそのセルの重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出するものである。各セルを複数エリアに分割して重み付けすることで、より正確に誤印刷のパターン依存性を評価することができる。
【0017】
本発明の第11の態様は、上記第9の態様において、さらに、前記実画像データに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する、ものである。共存度合を表す値、前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合、そして各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を合わせて使用することによって、共存の原因特定をより正確に行うことができる。
【0018】
本発明の第12の態様は、構成単位としてのセルを複数含む二次元コードの評価のための、データ処理装置におけるデータ処理方法であって、二次元コードを撮像して得られた実画像データと、その二次元コードの理想画像データとを取得し、取得した前記実画像データに含まれる複数セルの各セルと、前記理想画像データの各セルとを比較して、前記実画像データの各セルにおけるはみ出し面積/かすれ面積を算出し、前記各セルにおけるはみ出し面積/かすれ面積を使用して、前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ算出し、それらを使用して得られた評価結果データをメモリに記憶するものである。はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ使用することによって、これらのエラーが共存する二次元コード評価を正確に行うことができる。
【0019】
本発明の第13の態様は、上記第12の態様において、前記評価結果データは、前記はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とを使用して算出された、前記複数セルにおけるはみ出しとかすれの共存度合を表す値を含むものである。共存度合を表す値を含むことによって、容易かつ的確にエラーが共存する二次元コード評価を行うことができる。
【0020】
本発明の第14の態様は、上記第13の態様において、さらに、前記実画像データに含まれる複数セル内の各セルについて、その周囲セルの理想画像データにおける印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、各セルの前記重み付けはみ出し面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたはみ出し面積割合を算出し、各セルの前記重み付けかすれ面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたかすれ面積割合を算出し、前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合とを使用して得られた評価データをメモリに記憶するものである。共存度合と、重み付けされたかすれ面積割合を算出し、前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合とを合わせて使用することによって、共存の原因特定をより正確に行うことができる。
【0021】
本発明の第15の態様は、上記第14の態様において、さらに、前記実画像データに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出して得られた評価結果データを前記メモリに記憶するものである。共存度合を表す値、前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合、そして各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を合わせて使用することによって、共存の原因特定をより正確に行うことができる。
【0022】
本発明の第16の態様は、構成単位としてのセルを複数含む二次元コードの評価のための処理を行う装置であって、二次元コードを撮像して得られた実画像データと、その二次元コードの理想画像データとを記憶するメモリと、前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ算出し、それらを使用して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する演算処理部を備えるものである。はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ使用することによって、これらのエラーが共存する二次元コード評価を正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、二次元コードの評価をより正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
本形態においては、二次元マトリックス・コード(以下マトリックス・コード)の評価手法について説明する。特に、印刷すべきところが印刷されていないかすれ部分と、印刷すべきではないところが印刷されたはみ出し部分の双方の誤印刷を含むマトリックス・コードを、より正確に評価する手法を開示する。
【0026】
本形態において、実際に印刷された二次元マトリックス・コードを撮像し、その画像データを理想マトリックス・コードの画像データと比較することによって、マトリックス・コードの印刷評価を行う。なお、本形態においては、レーザマーカによってマトリックス・コードを印刷した例を説明する。図1(a)は画像(画像データ)としての理想マトリックス・コード11を示し、図1(b)は、実際に印刷されたマトリックス・コードを撮像して得られた画像(画像データ)としての実マトリックス・コード12を示している。なお、本形態においては、白地に黒色で印刷することで、実際のマトリックス・コードを形成するケースを例として説明する。
【0027】
図1に示すように、理想マトリックス・コード11と実マトリックス・コード12には、本来マーキングすべき箇所にマーキングがされていない部分、あるいは、本来マーキングすべきではないがマーキングが施されている部分が存在する。ここで、本形態の説明において使用される、マトリックス・コードの画像データにおける用語を、図2を参照して以下のように定義する。図2は、図1(b)に示された実マトリックス・コードの画像である。
【0028】
図2を参照して、本形態において、マトリックス・コード全体をシンボルと呼び、シンボルの中の一つ一つの四角のコード構成単位をセルと呼ぶ。つまり、セルとして、黒色であるべき黒セル121aと白色であるべき白セル121bとがある。また、黒色で印刷されている部分を黒画像と呼び、下地の白色が露出している部分を白画像と呼ぶ。さらに、本来下地の白色である部分に黒マークがはみ出している部分122a、122bを「はみ出し」、反対に、本来黒色に印字されるべきところに印字されていない部分123a−123cを「かすれ」と呼ぶ。具体的には、マトリックス・コード12は6×6の36セルを備え、16の黒セルと20の白セルとから構成されている。さらに、かすれ123a−123cをそれぞれ備える3つのかすれセルと、はみ出し122a、122bをそれぞれ備える2つのはみ出しセルを備えている。
【0029】
本形態のマトリックス・コード評価方法は、理想マトリックスと実マトリックスを比較し、白画像であるべき各セル内の黒画像面積(はみ出し)の和と、黒画像であるべき各セル内の白画像面積(かすれ)の和のそれぞれを決定し、それらの比を使用して印字塗布レシオを新規品質パラメータとして算出する。この塗布レシオを使用することによって、従来の評価パラメータでは正確に検出することができなかったマトリックス・コードの不良印刷を検出することができる。また、印字塗布レシオのシンボル内における場所依存度を算出する。さらに、印字塗布レシオの印字パターン依存度を算出する。これらは、マトリックス・コード印刷における印刷欠陥の原因特定に使用することができる。
【0030】
本形態のマトリックス・コード評価手法について詳細に説明する前に、まず、本形態のマトリックス・コード評価システムの構成及びその動作について説明する。図3は、本形態のマトリックス・コード評価システムの構成を模式的に示すブロック図である。マトリックス・コード評価システムは、ステージ上に載置された実際の印刷マトリックス・コード1を撮像するCCDカメラ2と、そのCCDカメラ2で撮像された画像データを解析処理し、実マトリックス・コード1の評価結果を生成するコンピュータ3とを備えている。
【0031】
コンピュータ3は、通常のパーソナルコンピュータ(PC)もしくはワークステーションなどを使用することができる。CCDカメラ2からのマトリックス・コード画像データ(実画像データ321)は、I/Oインターフェース34を介してメインメモリ32に格納される。さらに、この実画像データ321は、後の使用のために不揮発性記憶装置33にも記録される。CCDカメラ2から画像データを取り込むためのインターフェースとしては、典型的にはキャプチャボードが使用される。メインメモリ32としてはDRAMを、不揮発性記憶装置33としてはハードディスク・ドライブ(HDD)を典型的に使用することができる。
【0032】
コンピュータ3内にはCPU31が実装されている。CPU31は、不揮発性記憶装置33に記憶されているオペレーティングシステム及びマトリックス・コード評価プログラムのコマンドに従って動作することによって、マトリックス・コード評価のための各処理を実行する。プログラムは、不揮発性記憶装置33からメインメモリ32にロードされて、CPU31によって実行される。図には示していないが、コンピュータ3には、CPU32やメインメモリ32とバスを介して接続されたコントローラが実装され、これらにデータ入力をするためのマウスやキーボード、あるいは画像出力のためのディスプレイやプリンタを接続する。さらに他のコンピュータと通信を行うために、コンピュータ3を、通信アダプタを介してネットワークに接続することも可能である。
【0033】
実際の印刷マトリックス・コード1の撮像画像がコンピュータ3内に取り込まれると、図4のフローチャートに示すように、マトリックス・コード1の評価データ生成のための前処理が実行される(S11〜S16)。前処理において、撮像されたマトリックス・コードの実画像が複数セルへ分割され、各セルの誤印刷タイプ(はみ出し、かすれ)及びその誤印刷の面積が算出される。
【0034】
具体的に説明する。前処理において、プログラムに従って動作するCPU31が、読み取った実画像の読み取り画像データ規格化部311及び画像データ比較部312として機能する。まず、S11において、画像データ規格化部311は、取得したマトリックス・コードの実画像データ321をメインメモリ32から取得し、その規格化処理を実行、規格化実画像データ322を生成する。具体的には、画像データ規格化部311は、実画像データ321にマトリックス・コードの外形を特定し、さらに、マトリックス・コードを複数のセルに分割する。規格化実画像データ322は、セルにおける白画像及び黒画像についてのデータの他に、関連付けられたセルを特定するアドレス・データを含んでいる。
【0035】
次に、S12において画像データ比較部312は、比較セル・アドレスを初期設定し、さらに、S13においてそのアドレスで特定される実セル画像データを規格化実画像データ322から取得する。続いてS14において、画像データ比較部312は、メインメモリ32に記憶されている理想画像データ323から対応する理想セル画像を取得する。理想画像データ323は、予め不揮発性記憶装置33からメインメモリ32にロードされている。
【0036】
S15において、画像データ比較部312は、取得した実セル画像データと理想セル画像データを比較し、そのセルの誤印刷タイプ(はみ出し、かすれ)の判定及びその誤印刷面積の算出を実行する。その処理結果は、比較結果データ324としてメインメモリ32に記憶される。比較結果データ324は、必要に応じて不揮発性記憶装置33に記憶される。S16において全てのセルについて処理が終了したかを判定し、終了していない場合は比較セル・アドレスをインクリメントして上述の処理を繰り返し、終了している場合は、S17のマトリックス・コード評価データ生成処理に移行する。以上の処理によって、撮像したマトリックス・コード1の実画像データにおいて、各セルの誤印刷及びその面積についてのデータが取得されたことになる。
【0037】
以下において、マトリックス・コード1の具体的な評価方法について詳細に説明する。評価データ325の生成は、評価データ算出部313が実行する。プログラムに従って動作するCPU31が評価データ算出部313として機能する。まず、図5のフローチャートを参照しつつ、塗布レシオ(Apply_Ratio)の算出処理を説明する。塗布レシオ(Apply_Ratio)は、はみ出し率(はみ出しレシオSeize_Ratio)とかすれ率(かすれレシオShrink_Ratio)の積として定義される。上述のように、シンボル全体において、かすれとはみ出しが共存する。塗布レシオ(Apply_Ratio)は、既存パラメータPrint Growthでは検出することができない、かすれとはみ出しの共存を表し、それによってより正確はマトリックス・コード評価を実現する。
【0038】
塗布レシオ(Apply_Ratio)の算出処理を具体的に説明する。図5のS21において、評価データ算出部313は、はみ出し面積和Ambを算出する。評価データ算出部313は、比較結果データ324から各セルのデータを取得し、はみ出し部の面積を加算することによってはみ出し面積和Amb(Σamb(x,y))を算出する。続いて、S22において、評価データ算出部313は、理想白面積Aibを理想画像データ323のデータを使用して算出する。さらに、S23において、はみ出し面積和Ambを理想白面積Aib(印刷すべきでない面積)で割ることによって無次元化し、はみ出しレシオ(Seize_Ratio)を算出する。つまり、Seize_Ratio=Amb/Aibと表される。
【0039】
次に、S24において、評価データ算出部313は比較結果データ324から各セルのデータを取得し、各セルのかすれ部の面積を加算することによってかすれ面積和Amm(Σamm(x,y))を算出する。続いて、S25において、評価データ算出部313は、理想黒面積Aimを理想画像データ323のデータを使用して算出する。さらに、S26において、かすれ面積和Ammを理想黒面積Aim(印刷すべき面積)で割ることによって無次元化し、かすれレシオ(Shrink_Ratio)を算出する。つまり、Shrink_Ratio=Amm/Aimと表される。
【0040】
S27において、評価データ算出部313は、はみ出しレシオ(Seize_Ratio)とかすれレシオ(Shrink_Ratio)とを使用して、塗布レシオ(Apply_Ratio)を算出する。具体的には、以下の数式のように上記2つのレシオの積を計算して算出する。
Apply_Ratio=Seize_Ratio×Shrink_Ratio (1)
【0041】
図6の表は、マトリックス・コードの印刷状態と、各パラメータの間との関係をしている。「はみ出し印刷」は黒面積がシンボル全体において膨張している印刷状態であり、その結果黒面積が大きくなる。一方、「かすれ印刷」はシンボル全体において黒面積が縮小している印刷状態であって、白面積が大きくなる。「はみ出し印刷・かすれ印刷」は、その双方が一つのシンボル内に共存する印刷状態を示している。
【0042】
理想印刷状態において、4つ全てのパラメータは0を示す。はみ出し印刷もしくはかすれ印刷において、従来パラメータのPrint Growthは+方向に大きい値もしくは−方向に大きい値を示すため、これらの誤印刷をPrint Growthを使用して判定することができる。しかし、誤印刷の片方の特徴が現れている場合と異なり、シンボル内に太った印刷部分とかすれ印刷部分とが共存している状態(表の最下行)において、Print Growthの絶対値は小さい値を示し、それを使用した誤印刷の正確な判定はできない。
【0043】
これに対して、本形態において新たに採用した塗布レシオ(Apply_Ratio)は、2つの誤印刷が共存するシンボルにおいて大きな値を示す。一方のみが大きい場合、もしくは双方が小さい場合は、塗布レシオ(Apply_Ratio)は小さい値を示す。このように、塗布レシオ(Apply_Ratio)は、はみ出しとかすれが共存する誤印刷の正確な検出に使用することができる他、その共存度合を示すパラメータとなる。実際のマトリックス・コード評価においては、これら3つの誤印刷を正確に検出するため、塗布レシオ(Apply_Ratio)に加えて、はみ出しレシオ(Seize_Ratio)とかすれレシオ(Shrink_Ratio)とを使用する、あるいはPrint Growthを使用する。塗布レシオ(Apply_Ratio)が設計で決定された基準値以上である場合、そのシンボル内において2つの誤印刷が共存していると判定する。なお、誤印刷の検出目的であれば、はみ出しレシオ(Seize_Ratio)とかすれレシオ(Shrink_Ratio)とを使用して判定することもできる。
【0044】
このように、塗布レシオ(Apply_Ratio)を使用することによって2つの誤印刷の共存を判定することができるが、このパラメータのみではこの誤印刷状態を引き起こす原因を特定することができない。誤印刷を防止の対応を効果的に行うため、マトリックス・コードの評価において、その原因をおよそ特定することが好ましい。以下においては、はみ出しとかすれが共存する誤印刷の原因を特定するためのパラメータについて説明する。本形態においては、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)とパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の2つの新規評価パラメータを導入する。
【0045】
一つのシンボルにはみ出しとかすれが共存している場合、2つの理由があると考えられる。その一つは、誤印刷がシンボル内場所に依存して発生している「場所依存」であり、他の一つはシンボル内のパターン形状に依存して発生する「パターン依存」である。従って、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)とパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)という、これらの依存度を示すパラメータを使用することによって、誤印刷原因の特定を行うことができる。
【0046】
マトリックス・コードの評価プロセスにおいては、例えば、Print Growthがある程度よく(例えばグレードB以上)で、塗布レシオ(Apply_Ratio)が予め設定された基準値より大きければ"はみ出し"及び"かすれ"の双方が共存すると判定する。次に塗布レシオ(Apply_Ratio)が悪くなった理由が、場所依存によるものか、パターン依存によるものかを判定する。この判定のために、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)とパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)から、どちらの依存性が高いかを決定する。これによって、誤印刷の原因特定を行う。なお、より正確な原因特定の点からは、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)とパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の双方を使用することが好ましいが、この一方のみでも誤印刷の原因特定に寄与する。また、これらのパラメータを、塗布レシオ(Apply_Ratio)とは別に使用することを妨げるものではない。
【0047】
最初に、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)について具体的に説明する。シンボル内のある部分がはみ出し傾向にあり、他のある部分がかすれ傾向を持っている場合、シンボル全体としては、はみ出しとかすれが共存する。このように、かすれとはみ出しが場所依存性を示す、つまり、それらに場所によるばらつきがある場合、レーザマーカを使用した印刷における誤印刷原因としては、以下のようなものが考えられる。
【0048】
一つは、非印刷物とインク・リボンの平行度が悪いとうことである。このような場合、印刷装置の冶具を調整することで印刷状態を修正することができる。あるいは、非印刷物の前処理である熱処理で、場所によって温度が違うことが考えられる。このような場合は、バーナーの位置、温度等の調整を行う。他に、非印刷物の後処理の熱処理やUV照射において、場所によって温度や強さが違なっていることが考えられる。これに対しては、UV照射、バーナーの位置、強さ、温度などを調節することで印刷状態を修正することができる。また、非印刷物の表面粗さが場所によって違っている場合があり、部材へのフィードバックを行うことで印刷状態を修正することができる。
【0049】
場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)が悪化する(大きい値を示す)場合、上述のような項目が2つの誤印刷が共存する印刷状態の原因と考えられる。以下において、この場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)の算出方法について説明する。図7に示すように、シンボルを複数のエリアに分割する。図7は、一つのシンボルを、エリアC1、エリアC2、エリアC3及びエリアC4の、4つのエリアに分割する例を示している。各エリアは、それぞれ9つのセルから構成されている。なお、エリア分割数は設計によって適切な値が設定され、また、各エリアの面積、形状が必ずしも同一でなくともよい。
【0050】
続いて、各分割エリアについて、はみ出し傾向か、かすれ傾向かを算出し、各分割エリア間でのばらつきを決定する。場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)は、このばらつきを表すパラメータである。ここで、印刷の太り(はみ出し)や細り(かすれ)は、セル単位ではなく、ある程度の領域にわたって起こる傾向がある。このため、分割エリアを設定し、各エリアにおける、はみ出し/かすれ度合いを算出することで、印刷状態の場所依存ばらつきをより正確に特定することができる。
【0051】
次に、図8を参照して、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)の算出の具体的方法を説明する。この演算処理は、図3に示した評価データ算出部313が実行する。まず、S31において、評価データ算出部313は演算処理する分割エリア[i]を選択し、比較結果データ324からその分割エリア[i]のデータを取得する。続いて、S32において、選択した分割エリア[i]について、各セルのはみ出し面積の和Amb[i]と各セルのかすれ面積の和Amm[i]を算出する。これらの値は常に正となる。さらに、評価データ算出部313は、分割エリア[i]のエリア面積Aiw[i]を算出する。図7の例においては、エリア面積Aiw[i]は9セルの合計面積となる。
【0052】
次に、S33において、評価データ算出部313は、上記算出した各値を使用して、選択した分割エリア[i]のエリア評価レシオPG[i]を算出する。エリア評価レシオPG[i]は、そのエリアのはみ出し/かすれ度合を示すパラータである。具体的には、PG[i]は次の数式に従って算出される。
PG[i] = (Amb[i]-Amm[i]) / Aiw[i] (2)
【0053】
例えば、分割エリア[i]内の全てのセルを印刷すべきでなかった(白セル)が、全て印刷されている場合、PG[i]は最大値の1.0となる。一方、分割エリア[i]内の全てのセルを印刷すべきであった(黒セル)が、全て印刷されてない場合、PG[i]は最小値の−1.0を示す。PG[i]が0の場合、はみ出し傾向もかすれ傾向も示していない。
【0054】
一つの分割エリアについて処理が終了すると、S34において全ての分割エリアについて処理が終了したかを判定し、終了していない場合は、新たな分割エリアを選択して上述と同様の処理を繰り返す。全ての分割エリアについて処理が終了している場合、S35において、評価データ算出部313は、各分割エリアのエリア評価レシオPGから、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)を算出する。具体的には、次の式のようにエリア評価レシオの最大値(max[PG])から最小値(min[PG])を減算することによって、場所依存レシオを算出する。
Areal_dependency_Ratio=max[PG]-min[PG] (3)
【0055】
例えば、シンボル全体で印刷が薄い(かすれ)場合、全ての分割エリアのエリア評価レシオ(PG)が小さい値となり、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)も0に近い小さい値となる。同様に、シンボル全体で印刷が濃い(はみ出し)場合、全ての分割エリアのエリア評価レシオ(PG)が大きい値となり、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)も0に近い小さい値となる。一方、印字の濃さ(はみ出し/かすれ度合)にエリア毎のばらつきがあるときのみ、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)は大きな値を示す。このように印刷ばらつきの場所依存性の度合いを表す場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)を使用することによって、誤印刷の原因をより正確に特定することが可能となる。
【0056】
次に、パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)について説明する。シンボル内において、パターン形状によって、その一部においてはみ出しがおこり、あるいは、かすれが発生することがある。具体的には、単独セルにおいて、かすれが発生し、連続パターン部分においてはみ出しがが起こる傾向がある。このような場合においても、一つのシンボル内に、はみ出しとかすれの両方が共存する。例えば、図9(a)のように黒印刷セルが並んでいたり、(b)のように「く」の字に黒セルが印刷されていたり、あるいは(c)のように黒セルが「凹」状に印刷にされている場合、各図の円で示された部分において、パターン(黒セル)が連続しているためにはみ出しが発生しやすい。一方、図9(d)のように単独で黒セルが存在する場合、あるいは、図9(e)のように黒セルの一辺だけに他の黒セルが隣接する場合、各図の円で示された部分において、かすれが発生しやすい。
【0057】
このように、かすれとはみ出しがパターン依存性を示す、つまり、それらにパターン位置によるばらつきがあり、パターン形状が原因となってかすれやはみ出しが発生している場合、レーザマーカを使用した印刷における誤印刷原因としては、インクの"ぬれせい"が悪いことが考えられる。これに対しては、インクの変更、前処理の温度変更、レーザーのパターンによる強さ変更を行うことによって対応することが考えられる。以下において、このパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の算出方法について説明する。パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の算出においては、各セルの周囲の印刷/非印刷のセル・タイプ(黒セル/白セル)を考慮する。
【0058】
以下の説明においては、図10(a)に示すように、はみ出しセルの面積をamb(x、y)であらわし、そのセルの8つの周囲修正セル・タイプD(k、l)で表す。ここで黒セルのDは1であり、白セルのDは0である。kは(x−1)〜(x+1)、lは(y−1)〜(y+1)の値をとる。また、かすれセルの面積をamm(x、y)であらわし、その8つの周囲修正セルをD'(k、l)で表す。黒セルのD'は0であり、白セルのD'は1である。k及びlは、はみ出しセルと同様である。
【0059】
パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の算出処理を、図11のフローチャートを参照しながら具体的に説明する。まず、S41において、評価データ算出部313は、比較結果データ324と理想画像データ323を使用して、各はみ出しセルについて重み付け面積Wamb(x、y)を算出する。重み付け面積Wamb(x、y)は、次の式で表される。
Wamb(x,y) = (1+(ΣD(k,l))-1)/8)×amb(x,y) (4)
ここで、「Σ」はamb(x,y)の周囲8つのセルの各セル・タイプ値の和である。ここで、一つの隣接黒セルはパターン依存性に影響与えないことから、Σからの1の減算を行っている。
【0060】
図12を参照して、パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の具体的算出例を説明する。図12は、はみ出しの例を示している。このはみ出しセルの重み付け面積Wamb(x、y)は、
Wamb(x,y) = (1+(5-1)/8)×amb(x,y) (5)
【0061】
となる。
【0062】
続いて、S42において、評価データ算出部313は、各はみ出しセルの重み付け面積の和を計算し、その重み付け面積和Wambを算出する。つまり、次の数式が成立する。
WAmb =ΣWamb(x,y)
さらに、S43において重み付けはみ出しレシオ(Weighted_Seize_Ratio)を算出する。重み付けはみ出しレシオ(Weighted_Seize_Ratio)は、次の式で算出される。
WAmb /Amb (6)
【0063】
ここで、Ambはシンボル全体における各セルのはみ出し面積の和であって、重み付けをしていない各はみ出しセルのはみ出し面積の和である。このように、重み付け面積和WAmbを重み付けされていない単なるはみ出し総面積Ambで除算することによって、はみ出しのパターン依存性を求められる。
【0064】
次に、S44において、評価データ算出部313は、各かすれセルについて重み付け面積Wamm(x、y)を算出する。重み付け面積Wamm(x、y)は、次の式で表される。
Wamm(x,y) = (1+(ΣD(k,l))-1)/8)×amm(x,y) (7)
Σ及び1の減算の意味は、はみ出しセルと同様である。
【0065】
続いて、S45において、評価データ算出部313は、各かすれセルの重み付け面積の和を計算し、その重み付けかすれ面積和WAmmを算出する。つまり、次の数式が成立する。
WAmm = ΣWamm(x,y) (8)
さらに、S46において重み付けかすれレシオ(Weighted_Shrink_Ratio)を算出する。重み付けかすれレシオ(Weighted_Shrink_Ratio)は、次の式で算出される。
WAmm / Amm (9)
【0066】
ここで、Ammはシンボル全体における各セルのかすれ面積の総和であって、重み付けをしていない各かすれセルのかすれ面積の和である。このように、重み付けかすれ面積和WAmmを重み付けされていない単なるかすれ総面積Ammで除算することによって、かすれのパターン依存性を求められる。
【0067】
最後に、S47において、評価データ算出部313は、重み付けはみ出しレシオ(Weighted_Seize_Ratio)と重み付けかすれレシオ(Weighted_Shrink_Ratio)とから、パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)を算出する。次の数式が定義される。
Pattern_dependency_Ratio = Weighted_Seize_Ratio + Weighted_Shrink_Ratio (10)
【0068】
このように、パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)を、重み付けはみ出しレシオ(Weighted_Seize_Ratio)と重み付けかすれレシオ(Weighted_Shrink_Ratio)の和として規定することによって、少なくとも一方が大きい場合にパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)が大きくなり、誤印刷のパターン依存性を容易かつ正確に判定することができる。なお、2つのレシオを別々に判定することによって、誤印刷のパターン依存性を判定することも可能である。
【0069】
上述の例において、はみ出しセル/かすれセル内の誤印刷状態に係わりなく、周囲のセル・タイプに従った重み付け面積Wamb(x、y)/Wamm(x、y)を算出している。より正確なパターン依存性を求めるためには、各はみ出しセル/かすれセル内の誤印刷位置と周囲セル・タイプとの位置関係を考慮することが好ましい。そこで、図13に示すように各欠陥セル(図は、はみ出しセルの例)を2つの対角線で4つのエリアに分割し、各エリア毎にはみ出し/かすれの面積を使用した重み付け面積を算出する。具体的には、各分割エリアの重み付け面積を以下のように計算する。
a1: W_ a1 = (1+(D(x-1,y-1)+2×D(x,y-1)+D(x+1,y-1))/4)×a1
a2: W_ a2 = (1+(D(x+1,y-1)+2×D(x+1,y)+D(x+1,y+1))/4)×a2
a3: W_ a3 = (1+(D(x+1,y+1)+2×D(x,y+1)+D(x-1,y-1))/4)×a3 (11)
a4: W_ a4 = (1+(D(x-1,y+1)+2×D(x-1,y)+D(x-1,y-1))/4)×a4
ここで、aiは、セル内の分割エリアのはみ出し/かすれ面積である。図13に例においては、a2、a3はゼロとなる。欠陥セル全体の重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積は、ΣW_aiで算出される。各欠陥セルの誤印刷面積の算出後の処理は、上述の例と同様である。このように、各欠陥セルを分割し、セル内分割エリア毎にパターン依存性を顧慮して重み付け面積を算出することで、より正確なパターン依存性を判定することができる。
【0070】
以上、本発明について最良の実施形態を使用して説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。例えば、本発明の評価手法は、マトリックス・コードと異なる二次元コードに適用することができる。あるいは、本発明の評価手法は、レーザマーカ以外の方法によって印字された二次元コードに適用することができる。上述の各処理において無次元化処理を行っているが、これを行うことなく、はみ出し面積/かすれ面積の和、もしくは重み付け面積和などの割合をそのまま使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施形態において、理想マトリックス・コードと実マトリックス・コードの例を模式的に示す図である。
【図2】本実施形態において、図1(b)に示された実マトリックス・コードの画像である。
【図3】本実施形態に係るマトリックス・コード評価システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【図4】本実施形態において、マトリックス・コードの評価データ生成のための前処理を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態において、塗布レシオ(Apply_Ratio)の算出処理を説明するフローチャートである。
【図6】本実施形態において、マトリックス・コードの印刷状態と各パラメータの間の関係示す表である。
【図7】本実施形態において、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)算出のため、一つのシンボルを、エリアC1、エリアC2、エリアC3及びエリアC4の、4つのエリアに分割する例を示す図である。
【図8】本実施形態において、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)の算出の具体的方法を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態において、パターンと誤印刷との関係を模式的に示す図である。
【図10】本実施形態のパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の算出における、はみ出しセル/かすれセル及びその周囲セルの関係を示す図である。
【図11】パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の算出処理を具体的に示すフローチャートである。
【図12】パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の具体的算出例を説明する図であって、はみ出しの例を示している。
【図13】欠陥セルを2つの対角線で4つのエリアに分割し、各エリア毎にはみ出し面積を使用した重み付け面積を算出する例を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 実マトリックス・コード、2 CCDカメラ、3 コンピュータ、31 CPU
32 メインメモリ、33 不揮発性記憶装置、34 I/Oインターフェース
121a 黒セル 121b 白セル、122a、122b はみ出し
123a−123c かすれ、311 画像データ規格化部、312 画像データ比較部
313 評価データ算出部、321 実画像データ、322 規格化実画像データ
323 理想画像データ、324 比較結果データ、325 評価データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元コードを評価するためのプログラム、その装置及びその装置におけるデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報を表すパターンとして、従来のバーコードに代わり、二次元コードが広く使用されている。二次元コードは、情報を二次元の図形パターンとして表す。このため、一次元のバーコードと比較して、飛躍的に多くの情報を記録することが可能である。二次元コードの一つとして、マトリックス状に配置された複数の構成単位によってパターンを形成するマトリックス・コードが広く利用されている。
【0003】
マトリックス・コードは、紙や樹脂シートなどのラベルの他に、部品表面などの立体物にも印字される。典型的には、マトリックス・コードはラベルに対して熱転写によって印字され、立体物に対してはレーザマーカを使用して印字される。マトリックス・コードは、スキャナによって読み込まれてデコードされるため、印刷状態が悪い場合には正確に記録データをデコードすることができない。そのため、マトリックス・コードの印刷段階において、マトリックス・コードが正確に印刷されているかを評価し、正確に印刷されていない場合には印刷プロセスにフィードバックを行うことが必要とされる。
【0004】
従来のマトリックス・コードの評価手法としては、特許文献1に開示されている方法の他、AIM規格である「International Symbology Specification-Data Matrix」に4つの評価パラメータが規定されている。この4つの評価パラメータは、それぞれ、「Symbol Contrast」、「Print Growth」、「Axial Nonuniformity」、「Unused Error Correction」である。端的に説明すれば、「Symbol Contrast」は画像コントラストを表し、「Print Growth」はマトリックス・コード全体の印刷太さを表し、「Axial Nonuniformity」はX−Y軸の非対称性(歪曲性)を表し、「Unused Error Correction」はエラーコレクションの数を表す。
【特許文献1】特開平9−128469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
AIM基準として規定された4つの評価パラメータを使用して、一定レベルでの印刷状態評価を行うことができる。しかし、これら評価パラメータでは正確に評価することができない誤印刷状態があることを発明者らは見出した。実際に印刷されたマトリックス・コードにおいては、印刷すべきところが印刷されていないかすれ部分と、印刷すべきではないところが印刷されたはみ出し部分の双方が共存することがある。このような印刷エラーは、特に、レーザマーカによってマトリックス・コード印刷する場合に頻繁に現れる。
【0006】
AIM基準におけるPrint Growthは、印刷のデューティ・サイクルについて太めに印刷されている、あるいは、細めに印刷されているなどの判定を行うことができる。しかし、一つのデータ・エリア(マトリックス・コード)内に太めの印刷部分と細めの印刷部分が共存する場合、各部の値が平均化されるために、誤印刷として結果に現れない。本発明はこのような事情を背景としてなされたものであって、本発明の目的は、かすれ部分とはみ出し部分が共存する二次元コードの評価を正確に行う手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、構成単位としてのセルを複数含む二次元コードの評価のための処理を、コンピュータに実行させるプログラムであって、前記処理は、二次元コードを撮像して得られた実画像データと、その二次元コードの理想画像データとを取得し、前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ算出し、それらを使用して得られた評価結果データをメモリに記憶するものである。はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ使用することによって、これらのエラーが共存する二次元コード評価を正確に行うことができる。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、前記評価結果データは、前記はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とを使用して算出された、前記複数セルにおけるはみ出しとかすれの共存度合を表す値を含むものである。共存度合を表す値を含むことによって、容易かつ的確にエラーが共存する二次元コード評価を行うことができる。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様において、前記実画像データにおける二次元コードに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、各分割エリア内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ使用して、その分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出し、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを使用して得られた評価結果データを前記メモリに記憶するものである。各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを使用することで、誤印刷の場所依存性を評価することができる。
【0010】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様において、さらに、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を使用して、前記実画像データにおける二次元コード内のはみ出し/かすれ度合の場所依存度を表す値を算出し、前記評価結果データは、前記場所依存度を含むものである。これによって、容易かつ的確に誤印刷の場所依存性評価を行うことができる。
【0011】
本発明の第5の態様は、上記第2の態様において、さらに、前記実画像データに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出して得られた評価結果データを前記メモリに記憶するものである。共存度合を表す値と、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値とを合わせて使用することで、共存の原因特定をより容易化することができる。
【0012】
本発明の第6の態様は、上記第5の態様において、さらに、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を使用して、前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し/かすれ度合の場所依存度を表す値を算出し、前記評価結果データは前記場所依存度を含むものである。これによって、容易かつ的確に誤印刷の場所依存性評価及び共存の原因特定を行うことができる。
【0013】
本発明の第7の態様は、上記第1の態様において、前記実画像データに含まれる複数セル内の各セルについて、その周囲セルの理想画像データにおける印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、前記複数セルのはみ出し面積の割合を表す値を、各セルの前記重み付けはみ出し面積を使用して算出し、前記複数セルのかすれ面積の割合を表す値を、各セルの前記重み付けかすれ面積を使用して算出するものである。周囲セルを使用して重み付けすることによって、誤印刷のパターン依存性を評価することができる。
【0014】
本発明の第8の態様は、上記第7の態様において、前記各セルを複数エリアに分割して、そのセル分割エリアのそれぞれについて、その周囲セルの印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、それらの値からそのセルの重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出するものである。各セルを複数エリアに分割して重み付けすることで、より正確に誤印刷のパターン依存性を評価することができる。
【0015】
本発明の第9の態様は、上記第2の態様において、さらに、前記実画像データに含まれる複数セル内の各セルについて、その周囲セルの理想画像データにおける印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、各セルの前記重み付けはみ出し面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたはみ出し面積割合を算出し、各セルの前記重み付けかすれ面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたかすれ面積割合を算出し、前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合とを使用して得られた評価データをメモリに記憶するものである。共存度合を表す値と、前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合とを合わせて使用することで、共存の原因特定をより容易化することができる。
【0016】
本発明の第10の態様は、上記第9の態様において、前記各セルを複数エリアに分割して、そのセル分割エリアのそれぞれについて、その周囲セルの印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、それらの値からそのセルの重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出するものである。各セルを複数エリアに分割して重み付けすることで、より正確に誤印刷のパターン依存性を評価することができる。
【0017】
本発明の第11の態様は、上記第9の態様において、さらに、前記実画像データに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する、ものである。共存度合を表す値、前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合、そして各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を合わせて使用することによって、共存の原因特定をより正確に行うことができる。
【0018】
本発明の第12の態様は、構成単位としてのセルを複数含む二次元コードの評価のための、データ処理装置におけるデータ処理方法であって、二次元コードを撮像して得られた実画像データと、その二次元コードの理想画像データとを取得し、取得した前記実画像データに含まれる複数セルの各セルと、前記理想画像データの各セルとを比較して、前記実画像データの各セルにおけるはみ出し面積/かすれ面積を算出し、前記各セルにおけるはみ出し面積/かすれ面積を使用して、前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ算出し、それらを使用して得られた評価結果データをメモリに記憶するものである。はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ使用することによって、これらのエラーが共存する二次元コード評価を正確に行うことができる。
【0019】
本発明の第13の態様は、上記第12の態様において、前記評価結果データは、前記はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とを使用して算出された、前記複数セルにおけるはみ出しとかすれの共存度合を表す値を含むものである。共存度合を表す値を含むことによって、容易かつ的確にエラーが共存する二次元コード評価を行うことができる。
【0020】
本発明の第14の態様は、上記第13の態様において、さらに、前記実画像データに含まれる複数セル内の各セルについて、その周囲セルの理想画像データにおける印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、各セルの前記重み付けはみ出し面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたはみ出し面積割合を算出し、各セルの前記重み付けかすれ面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたかすれ面積割合を算出し、前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合とを使用して得られた評価データをメモリに記憶するものである。共存度合と、重み付けされたかすれ面積割合を算出し、前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合とを合わせて使用することによって、共存の原因特定をより正確に行うことができる。
【0021】
本発明の第15の態様は、上記第14の態様において、さらに、前記実画像データに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出して得られた評価結果データを前記メモリに記憶するものである。共存度合を表す値、前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合、そして各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を合わせて使用することによって、共存の原因特定をより正確に行うことができる。
【0022】
本発明の第16の態様は、構成単位としてのセルを複数含む二次元コードの評価のための処理を行う装置であって、二次元コードを撮像して得られた実画像データと、その二次元コードの理想画像データとを記憶するメモリと、前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ算出し、それらを使用して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する演算処理部を備えるものである。はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ使用することによって、これらのエラーが共存する二次元コード評価を正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、二次元コードの評価をより正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
本形態においては、二次元マトリックス・コード(以下マトリックス・コード)の評価手法について説明する。特に、印刷すべきところが印刷されていないかすれ部分と、印刷すべきではないところが印刷されたはみ出し部分の双方の誤印刷を含むマトリックス・コードを、より正確に評価する手法を開示する。
【0026】
本形態において、実際に印刷された二次元マトリックス・コードを撮像し、その画像データを理想マトリックス・コードの画像データと比較することによって、マトリックス・コードの印刷評価を行う。なお、本形態においては、レーザマーカによってマトリックス・コードを印刷した例を説明する。図1(a)は画像(画像データ)としての理想マトリックス・コード11を示し、図1(b)は、実際に印刷されたマトリックス・コードを撮像して得られた画像(画像データ)としての実マトリックス・コード12を示している。なお、本形態においては、白地に黒色で印刷することで、実際のマトリックス・コードを形成するケースを例として説明する。
【0027】
図1に示すように、理想マトリックス・コード11と実マトリックス・コード12には、本来マーキングすべき箇所にマーキングがされていない部分、あるいは、本来マーキングすべきではないがマーキングが施されている部分が存在する。ここで、本形態の説明において使用される、マトリックス・コードの画像データにおける用語を、図2を参照して以下のように定義する。図2は、図1(b)に示された実マトリックス・コードの画像である。
【0028】
図2を参照して、本形態において、マトリックス・コード全体をシンボルと呼び、シンボルの中の一つ一つの四角のコード構成単位をセルと呼ぶ。つまり、セルとして、黒色であるべき黒セル121aと白色であるべき白セル121bとがある。また、黒色で印刷されている部分を黒画像と呼び、下地の白色が露出している部分を白画像と呼ぶ。さらに、本来下地の白色である部分に黒マークがはみ出している部分122a、122bを「はみ出し」、反対に、本来黒色に印字されるべきところに印字されていない部分123a−123cを「かすれ」と呼ぶ。具体的には、マトリックス・コード12は6×6の36セルを備え、16の黒セルと20の白セルとから構成されている。さらに、かすれ123a−123cをそれぞれ備える3つのかすれセルと、はみ出し122a、122bをそれぞれ備える2つのはみ出しセルを備えている。
【0029】
本形態のマトリックス・コード評価方法は、理想マトリックスと実マトリックスを比較し、白画像であるべき各セル内の黒画像面積(はみ出し)の和と、黒画像であるべき各セル内の白画像面積(かすれ)の和のそれぞれを決定し、それらの比を使用して印字塗布レシオを新規品質パラメータとして算出する。この塗布レシオを使用することによって、従来の評価パラメータでは正確に検出することができなかったマトリックス・コードの不良印刷を検出することができる。また、印字塗布レシオのシンボル内における場所依存度を算出する。さらに、印字塗布レシオの印字パターン依存度を算出する。これらは、マトリックス・コード印刷における印刷欠陥の原因特定に使用することができる。
【0030】
本形態のマトリックス・コード評価手法について詳細に説明する前に、まず、本形態のマトリックス・コード評価システムの構成及びその動作について説明する。図3は、本形態のマトリックス・コード評価システムの構成を模式的に示すブロック図である。マトリックス・コード評価システムは、ステージ上に載置された実際の印刷マトリックス・コード1を撮像するCCDカメラ2と、そのCCDカメラ2で撮像された画像データを解析処理し、実マトリックス・コード1の評価結果を生成するコンピュータ3とを備えている。
【0031】
コンピュータ3は、通常のパーソナルコンピュータ(PC)もしくはワークステーションなどを使用することができる。CCDカメラ2からのマトリックス・コード画像データ(実画像データ321)は、I/Oインターフェース34を介してメインメモリ32に格納される。さらに、この実画像データ321は、後の使用のために不揮発性記憶装置33にも記録される。CCDカメラ2から画像データを取り込むためのインターフェースとしては、典型的にはキャプチャボードが使用される。メインメモリ32としてはDRAMを、不揮発性記憶装置33としてはハードディスク・ドライブ(HDD)を典型的に使用することができる。
【0032】
コンピュータ3内にはCPU31が実装されている。CPU31は、不揮発性記憶装置33に記憶されているオペレーティングシステム及びマトリックス・コード評価プログラムのコマンドに従って動作することによって、マトリックス・コード評価のための各処理を実行する。プログラムは、不揮発性記憶装置33からメインメモリ32にロードされて、CPU31によって実行される。図には示していないが、コンピュータ3には、CPU32やメインメモリ32とバスを介して接続されたコントローラが実装され、これらにデータ入力をするためのマウスやキーボード、あるいは画像出力のためのディスプレイやプリンタを接続する。さらに他のコンピュータと通信を行うために、コンピュータ3を、通信アダプタを介してネットワークに接続することも可能である。
【0033】
実際の印刷マトリックス・コード1の撮像画像がコンピュータ3内に取り込まれると、図4のフローチャートに示すように、マトリックス・コード1の評価データ生成のための前処理が実行される(S11〜S16)。前処理において、撮像されたマトリックス・コードの実画像が複数セルへ分割され、各セルの誤印刷タイプ(はみ出し、かすれ)及びその誤印刷の面積が算出される。
【0034】
具体的に説明する。前処理において、プログラムに従って動作するCPU31が、読み取った実画像の読み取り画像データ規格化部311及び画像データ比較部312として機能する。まず、S11において、画像データ規格化部311は、取得したマトリックス・コードの実画像データ321をメインメモリ32から取得し、その規格化処理を実行、規格化実画像データ322を生成する。具体的には、画像データ規格化部311は、実画像データ321にマトリックス・コードの外形を特定し、さらに、マトリックス・コードを複数のセルに分割する。規格化実画像データ322は、セルにおける白画像及び黒画像についてのデータの他に、関連付けられたセルを特定するアドレス・データを含んでいる。
【0035】
次に、S12において画像データ比較部312は、比較セル・アドレスを初期設定し、さらに、S13においてそのアドレスで特定される実セル画像データを規格化実画像データ322から取得する。続いてS14において、画像データ比較部312は、メインメモリ32に記憶されている理想画像データ323から対応する理想セル画像を取得する。理想画像データ323は、予め不揮発性記憶装置33からメインメモリ32にロードされている。
【0036】
S15において、画像データ比較部312は、取得した実セル画像データと理想セル画像データを比較し、そのセルの誤印刷タイプ(はみ出し、かすれ)の判定及びその誤印刷面積の算出を実行する。その処理結果は、比較結果データ324としてメインメモリ32に記憶される。比較結果データ324は、必要に応じて不揮発性記憶装置33に記憶される。S16において全てのセルについて処理が終了したかを判定し、終了していない場合は比較セル・アドレスをインクリメントして上述の処理を繰り返し、終了している場合は、S17のマトリックス・コード評価データ生成処理に移行する。以上の処理によって、撮像したマトリックス・コード1の実画像データにおいて、各セルの誤印刷及びその面積についてのデータが取得されたことになる。
【0037】
以下において、マトリックス・コード1の具体的な評価方法について詳細に説明する。評価データ325の生成は、評価データ算出部313が実行する。プログラムに従って動作するCPU31が評価データ算出部313として機能する。まず、図5のフローチャートを参照しつつ、塗布レシオ(Apply_Ratio)の算出処理を説明する。塗布レシオ(Apply_Ratio)は、はみ出し率(はみ出しレシオSeize_Ratio)とかすれ率(かすれレシオShrink_Ratio)の積として定義される。上述のように、シンボル全体において、かすれとはみ出しが共存する。塗布レシオ(Apply_Ratio)は、既存パラメータPrint Growthでは検出することができない、かすれとはみ出しの共存を表し、それによってより正確はマトリックス・コード評価を実現する。
【0038】
塗布レシオ(Apply_Ratio)の算出処理を具体的に説明する。図5のS21において、評価データ算出部313は、はみ出し面積和Ambを算出する。評価データ算出部313は、比較結果データ324から各セルのデータを取得し、はみ出し部の面積を加算することによってはみ出し面積和Amb(Σamb(x,y))を算出する。続いて、S22において、評価データ算出部313は、理想白面積Aibを理想画像データ323のデータを使用して算出する。さらに、S23において、はみ出し面積和Ambを理想白面積Aib(印刷すべきでない面積)で割ることによって無次元化し、はみ出しレシオ(Seize_Ratio)を算出する。つまり、Seize_Ratio=Amb/Aibと表される。
【0039】
次に、S24において、評価データ算出部313は比較結果データ324から各セルのデータを取得し、各セルのかすれ部の面積を加算することによってかすれ面積和Amm(Σamm(x,y))を算出する。続いて、S25において、評価データ算出部313は、理想黒面積Aimを理想画像データ323のデータを使用して算出する。さらに、S26において、かすれ面積和Ammを理想黒面積Aim(印刷すべき面積)で割ることによって無次元化し、かすれレシオ(Shrink_Ratio)を算出する。つまり、Shrink_Ratio=Amm/Aimと表される。
【0040】
S27において、評価データ算出部313は、はみ出しレシオ(Seize_Ratio)とかすれレシオ(Shrink_Ratio)とを使用して、塗布レシオ(Apply_Ratio)を算出する。具体的には、以下の数式のように上記2つのレシオの積を計算して算出する。
Apply_Ratio=Seize_Ratio×Shrink_Ratio (1)
【0041】
図6の表は、マトリックス・コードの印刷状態と、各パラメータの間との関係をしている。「はみ出し印刷」は黒面積がシンボル全体において膨張している印刷状態であり、その結果黒面積が大きくなる。一方、「かすれ印刷」はシンボル全体において黒面積が縮小している印刷状態であって、白面積が大きくなる。「はみ出し印刷・かすれ印刷」は、その双方が一つのシンボル内に共存する印刷状態を示している。
【0042】
理想印刷状態において、4つ全てのパラメータは0を示す。はみ出し印刷もしくはかすれ印刷において、従来パラメータのPrint Growthは+方向に大きい値もしくは−方向に大きい値を示すため、これらの誤印刷をPrint Growthを使用して判定することができる。しかし、誤印刷の片方の特徴が現れている場合と異なり、シンボル内に太った印刷部分とかすれ印刷部分とが共存している状態(表の最下行)において、Print Growthの絶対値は小さい値を示し、それを使用した誤印刷の正確な判定はできない。
【0043】
これに対して、本形態において新たに採用した塗布レシオ(Apply_Ratio)は、2つの誤印刷が共存するシンボルにおいて大きな値を示す。一方のみが大きい場合、もしくは双方が小さい場合は、塗布レシオ(Apply_Ratio)は小さい値を示す。このように、塗布レシオ(Apply_Ratio)は、はみ出しとかすれが共存する誤印刷の正確な検出に使用することができる他、その共存度合を示すパラメータとなる。実際のマトリックス・コード評価においては、これら3つの誤印刷を正確に検出するため、塗布レシオ(Apply_Ratio)に加えて、はみ出しレシオ(Seize_Ratio)とかすれレシオ(Shrink_Ratio)とを使用する、あるいはPrint Growthを使用する。塗布レシオ(Apply_Ratio)が設計で決定された基準値以上である場合、そのシンボル内において2つの誤印刷が共存していると判定する。なお、誤印刷の検出目的であれば、はみ出しレシオ(Seize_Ratio)とかすれレシオ(Shrink_Ratio)とを使用して判定することもできる。
【0044】
このように、塗布レシオ(Apply_Ratio)を使用することによって2つの誤印刷の共存を判定することができるが、このパラメータのみではこの誤印刷状態を引き起こす原因を特定することができない。誤印刷を防止の対応を効果的に行うため、マトリックス・コードの評価において、その原因をおよそ特定することが好ましい。以下においては、はみ出しとかすれが共存する誤印刷の原因を特定するためのパラメータについて説明する。本形態においては、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)とパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の2つの新規評価パラメータを導入する。
【0045】
一つのシンボルにはみ出しとかすれが共存している場合、2つの理由があると考えられる。その一つは、誤印刷がシンボル内場所に依存して発生している「場所依存」であり、他の一つはシンボル内のパターン形状に依存して発生する「パターン依存」である。従って、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)とパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)という、これらの依存度を示すパラメータを使用することによって、誤印刷原因の特定を行うことができる。
【0046】
マトリックス・コードの評価プロセスにおいては、例えば、Print Growthがある程度よく(例えばグレードB以上)で、塗布レシオ(Apply_Ratio)が予め設定された基準値より大きければ"はみ出し"及び"かすれ"の双方が共存すると判定する。次に塗布レシオ(Apply_Ratio)が悪くなった理由が、場所依存によるものか、パターン依存によるものかを判定する。この判定のために、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)とパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)から、どちらの依存性が高いかを決定する。これによって、誤印刷の原因特定を行う。なお、より正確な原因特定の点からは、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)とパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の双方を使用することが好ましいが、この一方のみでも誤印刷の原因特定に寄与する。また、これらのパラメータを、塗布レシオ(Apply_Ratio)とは別に使用することを妨げるものではない。
【0047】
最初に、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)について具体的に説明する。シンボル内のある部分がはみ出し傾向にあり、他のある部分がかすれ傾向を持っている場合、シンボル全体としては、はみ出しとかすれが共存する。このように、かすれとはみ出しが場所依存性を示す、つまり、それらに場所によるばらつきがある場合、レーザマーカを使用した印刷における誤印刷原因としては、以下のようなものが考えられる。
【0048】
一つは、非印刷物とインク・リボンの平行度が悪いとうことである。このような場合、印刷装置の冶具を調整することで印刷状態を修正することができる。あるいは、非印刷物の前処理である熱処理で、場所によって温度が違うことが考えられる。このような場合は、バーナーの位置、温度等の調整を行う。他に、非印刷物の後処理の熱処理やUV照射において、場所によって温度や強さが違なっていることが考えられる。これに対しては、UV照射、バーナーの位置、強さ、温度などを調節することで印刷状態を修正することができる。また、非印刷物の表面粗さが場所によって違っている場合があり、部材へのフィードバックを行うことで印刷状態を修正することができる。
【0049】
場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)が悪化する(大きい値を示す)場合、上述のような項目が2つの誤印刷が共存する印刷状態の原因と考えられる。以下において、この場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)の算出方法について説明する。図7に示すように、シンボルを複数のエリアに分割する。図7は、一つのシンボルを、エリアC1、エリアC2、エリアC3及びエリアC4の、4つのエリアに分割する例を示している。各エリアは、それぞれ9つのセルから構成されている。なお、エリア分割数は設計によって適切な値が設定され、また、各エリアの面積、形状が必ずしも同一でなくともよい。
【0050】
続いて、各分割エリアについて、はみ出し傾向か、かすれ傾向かを算出し、各分割エリア間でのばらつきを決定する。場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)は、このばらつきを表すパラメータである。ここで、印刷の太り(はみ出し)や細り(かすれ)は、セル単位ではなく、ある程度の領域にわたって起こる傾向がある。このため、分割エリアを設定し、各エリアにおける、はみ出し/かすれ度合いを算出することで、印刷状態の場所依存ばらつきをより正確に特定することができる。
【0051】
次に、図8を参照して、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)の算出の具体的方法を説明する。この演算処理は、図3に示した評価データ算出部313が実行する。まず、S31において、評価データ算出部313は演算処理する分割エリア[i]を選択し、比較結果データ324からその分割エリア[i]のデータを取得する。続いて、S32において、選択した分割エリア[i]について、各セルのはみ出し面積の和Amb[i]と各セルのかすれ面積の和Amm[i]を算出する。これらの値は常に正となる。さらに、評価データ算出部313は、分割エリア[i]のエリア面積Aiw[i]を算出する。図7の例においては、エリア面積Aiw[i]は9セルの合計面積となる。
【0052】
次に、S33において、評価データ算出部313は、上記算出した各値を使用して、選択した分割エリア[i]のエリア評価レシオPG[i]を算出する。エリア評価レシオPG[i]は、そのエリアのはみ出し/かすれ度合を示すパラータである。具体的には、PG[i]は次の数式に従って算出される。
PG[i] = (Amb[i]-Amm[i]) / Aiw[i] (2)
【0053】
例えば、分割エリア[i]内の全てのセルを印刷すべきでなかった(白セル)が、全て印刷されている場合、PG[i]は最大値の1.0となる。一方、分割エリア[i]内の全てのセルを印刷すべきであった(黒セル)が、全て印刷されてない場合、PG[i]は最小値の−1.0を示す。PG[i]が0の場合、はみ出し傾向もかすれ傾向も示していない。
【0054】
一つの分割エリアについて処理が終了すると、S34において全ての分割エリアについて処理が終了したかを判定し、終了していない場合は、新たな分割エリアを選択して上述と同様の処理を繰り返す。全ての分割エリアについて処理が終了している場合、S35において、評価データ算出部313は、各分割エリアのエリア評価レシオPGから、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)を算出する。具体的には、次の式のようにエリア評価レシオの最大値(max[PG])から最小値(min[PG])を減算することによって、場所依存レシオを算出する。
Areal_dependency_Ratio=max[PG]-min[PG] (3)
【0055】
例えば、シンボル全体で印刷が薄い(かすれ)場合、全ての分割エリアのエリア評価レシオ(PG)が小さい値となり、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)も0に近い小さい値となる。同様に、シンボル全体で印刷が濃い(はみ出し)場合、全ての分割エリアのエリア評価レシオ(PG)が大きい値となり、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)も0に近い小さい値となる。一方、印字の濃さ(はみ出し/かすれ度合)にエリア毎のばらつきがあるときのみ、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)は大きな値を示す。このように印刷ばらつきの場所依存性の度合いを表す場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)を使用することによって、誤印刷の原因をより正確に特定することが可能となる。
【0056】
次に、パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)について説明する。シンボル内において、パターン形状によって、その一部においてはみ出しがおこり、あるいは、かすれが発生することがある。具体的には、単独セルにおいて、かすれが発生し、連続パターン部分においてはみ出しがが起こる傾向がある。このような場合においても、一つのシンボル内に、はみ出しとかすれの両方が共存する。例えば、図9(a)のように黒印刷セルが並んでいたり、(b)のように「く」の字に黒セルが印刷されていたり、あるいは(c)のように黒セルが「凹」状に印刷にされている場合、各図の円で示された部分において、パターン(黒セル)が連続しているためにはみ出しが発生しやすい。一方、図9(d)のように単独で黒セルが存在する場合、あるいは、図9(e)のように黒セルの一辺だけに他の黒セルが隣接する場合、各図の円で示された部分において、かすれが発生しやすい。
【0057】
このように、かすれとはみ出しがパターン依存性を示す、つまり、それらにパターン位置によるばらつきがあり、パターン形状が原因となってかすれやはみ出しが発生している場合、レーザマーカを使用した印刷における誤印刷原因としては、インクの"ぬれせい"が悪いことが考えられる。これに対しては、インクの変更、前処理の温度変更、レーザーのパターンによる強さ変更を行うことによって対応することが考えられる。以下において、このパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の算出方法について説明する。パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の算出においては、各セルの周囲の印刷/非印刷のセル・タイプ(黒セル/白セル)を考慮する。
【0058】
以下の説明においては、図10(a)に示すように、はみ出しセルの面積をamb(x、y)であらわし、そのセルの8つの周囲修正セル・タイプD(k、l)で表す。ここで黒セルのDは1であり、白セルのDは0である。kは(x−1)〜(x+1)、lは(y−1)〜(y+1)の値をとる。また、かすれセルの面積をamm(x、y)であらわし、その8つの周囲修正セルをD'(k、l)で表す。黒セルのD'は0であり、白セルのD'は1である。k及びlは、はみ出しセルと同様である。
【0059】
パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の算出処理を、図11のフローチャートを参照しながら具体的に説明する。まず、S41において、評価データ算出部313は、比較結果データ324と理想画像データ323を使用して、各はみ出しセルについて重み付け面積Wamb(x、y)を算出する。重み付け面積Wamb(x、y)は、次の式で表される。
Wamb(x,y) = (1+(ΣD(k,l))-1)/8)×amb(x,y) (4)
ここで、「Σ」はamb(x,y)の周囲8つのセルの各セル・タイプ値の和である。ここで、一つの隣接黒セルはパターン依存性に影響与えないことから、Σからの1の減算を行っている。
【0060】
図12を参照して、パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の具体的算出例を説明する。図12は、はみ出しの例を示している。このはみ出しセルの重み付け面積Wamb(x、y)は、
Wamb(x,y) = (1+(5-1)/8)×amb(x,y) (5)
【0061】
となる。
【0062】
続いて、S42において、評価データ算出部313は、各はみ出しセルの重み付け面積の和を計算し、その重み付け面積和Wambを算出する。つまり、次の数式が成立する。
WAmb =ΣWamb(x,y)
さらに、S43において重み付けはみ出しレシオ(Weighted_Seize_Ratio)を算出する。重み付けはみ出しレシオ(Weighted_Seize_Ratio)は、次の式で算出される。
WAmb /Amb (6)
【0063】
ここで、Ambはシンボル全体における各セルのはみ出し面積の和であって、重み付けをしていない各はみ出しセルのはみ出し面積の和である。このように、重み付け面積和WAmbを重み付けされていない単なるはみ出し総面積Ambで除算することによって、はみ出しのパターン依存性を求められる。
【0064】
次に、S44において、評価データ算出部313は、各かすれセルについて重み付け面積Wamm(x、y)を算出する。重み付け面積Wamm(x、y)は、次の式で表される。
Wamm(x,y) = (1+(ΣD(k,l))-1)/8)×amm(x,y) (7)
Σ及び1の減算の意味は、はみ出しセルと同様である。
【0065】
続いて、S45において、評価データ算出部313は、各かすれセルの重み付け面積の和を計算し、その重み付けかすれ面積和WAmmを算出する。つまり、次の数式が成立する。
WAmm = ΣWamm(x,y) (8)
さらに、S46において重み付けかすれレシオ(Weighted_Shrink_Ratio)を算出する。重み付けかすれレシオ(Weighted_Shrink_Ratio)は、次の式で算出される。
WAmm / Amm (9)
【0066】
ここで、Ammはシンボル全体における各セルのかすれ面積の総和であって、重み付けをしていない各かすれセルのかすれ面積の和である。このように、重み付けかすれ面積和WAmmを重み付けされていない単なるかすれ総面積Ammで除算することによって、かすれのパターン依存性を求められる。
【0067】
最後に、S47において、評価データ算出部313は、重み付けはみ出しレシオ(Weighted_Seize_Ratio)と重み付けかすれレシオ(Weighted_Shrink_Ratio)とから、パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)を算出する。次の数式が定義される。
Pattern_dependency_Ratio = Weighted_Seize_Ratio + Weighted_Shrink_Ratio (10)
【0068】
このように、パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)を、重み付けはみ出しレシオ(Weighted_Seize_Ratio)と重み付けかすれレシオ(Weighted_Shrink_Ratio)の和として規定することによって、少なくとも一方が大きい場合にパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)が大きくなり、誤印刷のパターン依存性を容易かつ正確に判定することができる。なお、2つのレシオを別々に判定することによって、誤印刷のパターン依存性を判定することも可能である。
【0069】
上述の例において、はみ出しセル/かすれセル内の誤印刷状態に係わりなく、周囲のセル・タイプに従った重み付け面積Wamb(x、y)/Wamm(x、y)を算出している。より正確なパターン依存性を求めるためには、各はみ出しセル/かすれセル内の誤印刷位置と周囲セル・タイプとの位置関係を考慮することが好ましい。そこで、図13に示すように各欠陥セル(図は、はみ出しセルの例)を2つの対角線で4つのエリアに分割し、各エリア毎にはみ出し/かすれの面積を使用した重み付け面積を算出する。具体的には、各分割エリアの重み付け面積を以下のように計算する。
a1: W_ a1 = (1+(D(x-1,y-1)+2×D(x,y-1)+D(x+1,y-1))/4)×a1
a2: W_ a2 = (1+(D(x+1,y-1)+2×D(x+1,y)+D(x+1,y+1))/4)×a2
a3: W_ a3 = (1+(D(x+1,y+1)+2×D(x,y+1)+D(x-1,y-1))/4)×a3 (11)
a4: W_ a4 = (1+(D(x-1,y+1)+2×D(x-1,y)+D(x-1,y-1))/4)×a4
ここで、aiは、セル内の分割エリアのはみ出し/かすれ面積である。図13に例においては、a2、a3はゼロとなる。欠陥セル全体の重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積は、ΣW_aiで算出される。各欠陥セルの誤印刷面積の算出後の処理は、上述の例と同様である。このように、各欠陥セルを分割し、セル内分割エリア毎にパターン依存性を顧慮して重み付け面積を算出することで、より正確なパターン依存性を判定することができる。
【0070】
以上、本発明について最良の実施形態を使用して説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。例えば、本発明の評価手法は、マトリックス・コードと異なる二次元コードに適用することができる。あるいは、本発明の評価手法は、レーザマーカ以外の方法によって印字された二次元コードに適用することができる。上述の各処理において無次元化処理を行っているが、これを行うことなく、はみ出し面積/かすれ面積の和、もしくは重み付け面積和などの割合をそのまま使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施形態において、理想マトリックス・コードと実マトリックス・コードの例を模式的に示す図である。
【図2】本実施形態において、図1(b)に示された実マトリックス・コードの画像である。
【図3】本実施形態に係るマトリックス・コード評価システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【図4】本実施形態において、マトリックス・コードの評価データ生成のための前処理を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態において、塗布レシオ(Apply_Ratio)の算出処理を説明するフローチャートである。
【図6】本実施形態において、マトリックス・コードの印刷状態と各パラメータの間の関係示す表である。
【図7】本実施形態において、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)算出のため、一つのシンボルを、エリアC1、エリアC2、エリアC3及びエリアC4の、4つのエリアに分割する例を示す図である。
【図8】本実施形態において、場所依存レシオ(Areal_dependency_Ratio)の算出の具体的方法を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態において、パターンと誤印刷との関係を模式的に示す図である。
【図10】本実施形態のパターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の算出における、はみ出しセル/かすれセル及びその周囲セルの関係を示す図である。
【図11】パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の算出処理を具体的に示すフローチャートである。
【図12】パターン依存レシオ(Pattern_dependency_Ratio)の具体的算出例を説明する図であって、はみ出しの例を示している。
【図13】欠陥セルを2つの対角線で4つのエリアに分割し、各エリア毎にはみ出し面積を使用した重み付け面積を算出する例を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 実マトリックス・コード、2 CCDカメラ、3 コンピュータ、31 CPU
32 メインメモリ、33 不揮発性記憶装置、34 I/Oインターフェース
121a 黒セル 121b 白セル、122a、122b はみ出し
123a−123c かすれ、311 画像データ規格化部、312 画像データ比較部
313 評価データ算出部、321 実画像データ、322 規格化実画像データ
323 理想画像データ、324 比較結果データ、325 評価データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成単位としてのセルを複数含む二次元コードの評価のための処理を、コンピュータに実行させるプログラムであって、前記処理は、
二次元コードを撮像して得られた実画像データと、その二次元コードの理想画像データとを取得し、
前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ算出し、それらを使用して得られた評価結果データをメモリに記憶する、プログラム。
【請求項2】
前記評価結果データは、前記はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とを使用して算出された、前記複数セルにおけるはみ出しとかすれの共存度合を表す値を含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記実画像データにおける二次元コードに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、
各分割エリア内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ使用して、その分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出し、
各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを使用して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
さらに、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を使用して、前記実画像データにおける二次元コード内のはみ出し/かすれ度合の場所依存度を表す値を算出し、
前記評価結果データは、前記場所依存度を含む、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
さらに、前記実画像データに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、
各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項6】
さらに、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を使用して、前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し/かすれ度合の場所依存度を表す値を算出し、
前記評価結果データは前記場所依存度を含む、請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記実画像データに含まれる複数セル内の各セルについて、その周囲セルの理想画像データにおける印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、
前記複数セルのはみ出し面積の割合を表す値を、各セルの前記重み付けはみ出し面積を使用して算出し、
前記複数セルのかすれ面積の割合を表す値を、各セルの前記重み付けかすれ面積を使用して算出する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記各セルを複数エリアに分割して、そのセル分割エリアのそれぞれについて、その周囲セルの印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、それらの値からそのセルの重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出する、請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
さらに、前記実画像データに含まれる複数セル内の各セルについて、その周囲セルの理想画像データにおける印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、
各セルの前記重み付けはみ出し面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたはみ出し面積割合を算出し、
各セルの前記重み付けかすれ面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたかすれ面積割合を算出し、
前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合とを使用して得られた評価データをメモリに記憶する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項10】
前記各セルを複数エリアに分割して、そのセル分割エリアのそれぞれについて、その周囲セルの印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、それらの値からそのセルの重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出する、請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
さらに、前記実画像データに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、
各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する、請求項9に記載のプログラム。
【請求項12】
構成単位としてのセルを複数含む二次元コードの評価のための、データ処理装置におけるデータ処理方法であって、
二次元コードを撮像して得られた実画像データと、その二次元コードの理想画像データとを取得し、
取得した前記実画像データに含まれる複数セルの各セルと、前記理想画像データの各セルとを比較して、前記実画像データの各セルにおけるはみ出し面積/かすれ面積を算出し、
前記各セルにおけるはみ出し面積/かすれ面積を使用して、前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ算出し、それらを使用して得られた評価結果データをメモリに記憶する、方法。
【請求項13】
前記評価結果データは、前記はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とを使用して算出された、前記複数セルにおけるはみ出しとかすれの共存度合を表す値を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記実画像データに含まれる複数セル内の各セルについて、その周囲セルの理想画像データにおける印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、
各セルの前記重み付けはみ出し面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたはみ出し面積割合を算出し、
各セルの前記重み付けかすれ面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたかすれ面積割合を算出し、
前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合とを使用して得られた評価データをメモリに記憶する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記実画像データに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、
各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
構成単位としてのセルを複数含む二次元コードの評価のための処理を行う装置であって、
二次元コードを撮像して得られた実画像データと、その二次元コードの理想画像データとを記憶するメモリと、
前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ算出し、それらを使用して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する演算処理部と、
を備える装置。
【請求項1】
構成単位としてのセルを複数含む二次元コードの評価のための処理を、コンピュータに実行させるプログラムであって、前記処理は、
二次元コードを撮像して得られた実画像データと、その二次元コードの理想画像データとを取得し、
前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ算出し、それらを使用して得られた評価結果データをメモリに記憶する、プログラム。
【請求項2】
前記評価結果データは、前記はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とを使用して算出された、前記複数セルにおけるはみ出しとかすれの共存度合を表す値を含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記実画像データにおける二次元コードに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、
各分割エリア内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ使用して、その分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出し、
各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを使用して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
さらに、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を使用して、前記実画像データにおける二次元コード内のはみ出し/かすれ度合の場所依存度を表す値を算出し、
前記評価結果データは、前記場所依存度を含む、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
さらに、前記実画像データに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、
各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項6】
さらに、各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を使用して、前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し/かすれ度合の場所依存度を表す値を算出し、
前記評価結果データは前記場所依存度を含む、請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記実画像データに含まれる複数セル内の各セルについて、その周囲セルの理想画像データにおける印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、
前記複数セルのはみ出し面積の割合を表す値を、各セルの前記重み付けはみ出し面積を使用して算出し、
前記複数セルのかすれ面積の割合を表す値を、各セルの前記重み付けかすれ面積を使用して算出する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記各セルを複数エリアに分割して、そのセル分割エリアのそれぞれについて、その周囲セルの印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、それらの値からそのセルの重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出する、請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
さらに、前記実画像データに含まれる複数セル内の各セルについて、その周囲セルの理想画像データにおける印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、
各セルの前記重み付けはみ出し面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたはみ出し面積割合を算出し、
各セルの前記重み付けかすれ面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたかすれ面積割合を算出し、
前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合とを使用して得られた評価データをメモリに記憶する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項10】
前記各セルを複数エリアに分割して、そのセル分割エリアのそれぞれについて、その周囲セルの印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、それらの値からそのセルの重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出する、請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
さらに、前記実画像データに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、
各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する、請求項9に記載のプログラム。
【請求項12】
構成単位としてのセルを複数含む二次元コードの評価のための、データ処理装置におけるデータ処理方法であって、
二次元コードを撮像して得られた実画像データと、その二次元コードの理想画像データとを取得し、
取得した前記実画像データに含まれる複数セルの各セルと、前記理想画像データの各セルとを比較して、前記実画像データの各セルにおけるはみ出し面積/かすれ面積を算出し、
前記各セルにおけるはみ出し面積/かすれ面積を使用して、前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ算出し、それらを使用して得られた評価結果データをメモリに記憶する、方法。
【請求項13】
前記評価結果データは、前記はみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とを使用して算出された、前記複数セルにおけるはみ出しとかすれの共存度合を表す値を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記実画像データに含まれる複数セル内の各セルについて、その周囲セルの理想画像データにおける印刷/非印刷に基づいて重み付けされた、重み付けはみ出し面積/重み付けかすれ面積を算出し、
各セルの前記重み付けはみ出し面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたはみ出し面積割合を算出し、
各セルの前記重み付けかすれ面積を使用して、前記複数セル内における、重み付けされたかすれ面積割合を算出し、
前記重み付けされたはみ出し面積割合と重み付けされたかすれ面積割合とを使用して得られた評価データをメモリに記憶する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記実画像データに含まれる複数セルを、それぞれが複数セルを含む複数エリアに分割し、
各分割エリアのはみ出し/かすれ度合いを表す値を算出して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
構成単位としてのセルを複数含む二次元コードの評価のための処理を行う装置であって、
二次元コードを撮像して得られた実画像データと、その二次元コードの理想画像データとを記憶するメモリと、
前記実画像データに含まれる複数セル内のはみ出し面積の割合を表す値とかすれ面積の割合を表す値とをそれぞれ算出し、それらを使用して得られた評価結果データを前記メモリに記憶する演算処理部と、
を備える装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−338193(P2006−338193A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−160485(P2005−160485)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】
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