説明

二次電池充電装置、充電制御方法、及び該二次電池充電装置が設けられた電子機器

【課題】
電子機器が小型の携帯機器であっても、二次電池の充電中における同電子機器の発熱が抑制される二次電池充電装置を提供する。
【解決手段】温度センサ74により、携帯電話機60の内部の温度が検出されて温度検出電圧bが生成され、制御回路87により、温度検出電圧bに基づいて携帯電話機60の内部の温度が基準値に達しているか否かが判定され、達している場合に直流電源eの電圧が低下するように制御される。このため、抵抗64、充電制御用トランジスタ66及び二次電池73を流れる電流が低減され、また、同充電制御用トランジスタ66のソース・ドレーン間の電圧が小さくなるため、発熱量も低減され、充電が完了するまで携帯電話機60の内部の温度が基準値のままで、上昇することはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二次電池充電装置、充電制御方法、及び該二次電池充電装置が設けられた電子機器に係り、特に、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants )、携帯用音楽再生機器などのような小型の携帯用電子機器に用いて好適な二次電池充電装置、充電制御方法、及び該二次電池充電装置が設けられた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などのような携帯用の電子機器では、装着された二次電池を電源として所定の動作が行われ、電源を入れたとき、同二次電池の残存容量が表示部に自動的に表示されるようになっている。そして、ユーザは、この残存容量がない、あるいは少ないことを認識したとき、電子機器に充電用電源回路を装着することにより、二次電池を充電する。
【0003】
この種の電子機器は、たとえば図5に示すように、携帯電話機1であり、上側ユニット10と、下側ユニット20とから構成され、同下側ユニット20は同上側ユニット10に対してヒンジ部11を介して結合されている。そして、上側ユニット10には、アンテナ12が設けられ、又、下側ユニット20に接するように折り畳んだときに同下側ユニット20に接する前面側に表示部13及び受話部14が設けられている。下側ユニット20は、上側ユニット10に接するように折り畳んだときに同上側ユニット10に接する前面に、複数のボタンスイッチなどで構成された操作部21、及び送話部(マイクロホン)22が設けられ、電源用の二次電池が放電したときには専用の充電装置の置台30に装着載置されて充電される。充電装置の置台30は、ACアダプタ31から供給される直流電源を下側ユニット20の図示しない充電用電源入力端子へ供給する。
【0004】
図6は、図5中のACアダプタ31及び携帯電話機1の要部の電気的構成を示すブロック図である。
ACアダプタ31は、AC入力端子32と、トランス及び整流平滑回路33と、出力端子34と、グラウンド端子35とから構成されている。このACアダプタ31では、AC入力端子32から商用電源が入力され、トランス及び整流平滑回路33で所定の電圧に変換されて整流及び平滑化され、出力端子34とグラウンド端子35との間に直流電源が出力される。
【0005】
携帯電話機1は、電源入力端子41と、グラウンド端子42と、ダイオード43と、抵抗44と、電流検出回路45と、充電制御用トランジスタ46と、充電制御回路47と、抵抗48と、定電圧制御回路49と、出力端子50と、グラウンド端子51と、電池有無検出端子52とを有し、同出力端子50とグラウンド端子51との間に二次電池53が接続されている。これらのACアダプタ31及び携帯電話機1の要部で、二次電池充電装置が構成されている。この携帯電話機1では、ACアダプタ31から出力された直流電源が、外部I/Oコネクタの電源入力端子41とグラウンド端子42との間に入力され、同直流電源が、逆流防止用のダイオード43、電流制限用及び電流検出用の抵抗44を経て充電制御用トランジスタ46に入力され、電池有無検出端子52から二次電池53が装着されていることを示す検出信号が入力されているとき、同充電制御用トランジスタ46により所定の定電圧が出力されるように制御され、出力端子50を経て二次電池53に印加され、同二次電池53が充電される。
【0006】
この場合、出力端子50の端子電圧がフィードバック用の抵抗48を経て定電圧制御回路49に入力され、同定電圧制御回路49により、同端子電圧が定電圧になるように充電制御用トランジスタ46のゲート電極のレベルが制御される。また、抵抗44の両端の電圧が電流検出回路45により検出されることにより、同抵抗44を流れる電流が検出され、同電流が所定値よりも多いとき、充電制御回路47の制御により充電制御用トランジスタ46がオフ状態となる。また、電池有無検出端子52から入力される検出信号が、二次電池53が装着されていないことを示すとき、充電制御回路47の制御により充電制御用トランジスタ46がオフ状態となる。
【0007】
また、二次電池53の充電開始時、図7に示すように、電源入力端子41の電圧(V)が所定値となり、このとき、充電制御用トランジスタ46及び二次電池53が発熱するため、図8に示すように、携帯電話機1の内部の温度(℃)が充電開始時から漸次上昇する。
【0008】
上記の携帯電話機の他、従来、この種の技術としては、たとえば、次のような文献に記載されるものがあった。
特許文献1に記載されたACアダプタ装置では、電力を供給すべき電子装置が動作状態に応じて異なる電圧を必要とする場合、出力電流検出部により検出された電流値の大きさに応じて、電圧選択部により複数種類のうちの1つのレベルが選択されて同電子装置に印加される。このため、同電子装置の内部に電圧変換部を設ける必要がなく、電子装置の小形化と温度上昇防止が可能となる。
【0009】
特許文献2に記載された充電装置では、充電中に電池の温度が上昇すると、充電設定電圧を低くして、電池を強制放電して開放電圧を低くすることにより、高温、高電圧による電池性能の低下が防止される。また、充電中に電池の温度が低下すると、充電電流が低下して充電時間が長くなるのを防止するために、充電設定電圧を高くすることにより、短時間で満充電される。
【特許文献1】特開平01−218348号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】特開平06−197466号公報(第4頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の二次電池充電装置では、次のような問題点があった。
すなわち、図6の二次電池充電装置では、充電制御用トランジスタ46及び二次電池53が発熱するため、携帯電話機1の内部の温度が二次電池53の充電開始時から漸次上昇し、同携帯電話機1自体の発熱を抑えることができない。このため、使用者に火傷の被害が発生したり、携帯電話機1の内部の部品の劣化の進行が速くなるという問題点がある。この場合、電子機器が、たとえばノートパソコンなど、比較的大型のものである場合では、ヒートシンクや冷却ファンなどにより、熱を拡散又は本体外部に排出するなどの対策を行うことができるが、上記携帯電話機1の他、PDA、携帯音楽再生機器などの小型の携帯機器では、筐体が小さいため、上記のような積極的な対策は製品の性質上不可能である。
【0011】
また、特許文献1に記載されたACアダプタ装置は、電子装置の内部の温度の検出結果に基づいて出力電圧が選択されるものではなく、この発明とは構成や主旨が異なる。
【0012】
また、特許文献2に記載された充電装置も、特許文献1と同様に、電子装置の内部の温度の検出結果に基づいて出力電圧が選択されるものではなく、この発明とは構成や主旨が異なる。
【0013】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、電子機器が小型の携帯機器であっても、二次電池の充電中における電子機器の発熱が抑制される二次電池充電装置、充電制御方法、及び該二次電池充電装置が設けられた電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、装着された二次電池を電源として所定の動作を行う電子機器に内蔵され、外部から供給される直流電源を元に前記二次電池に印加するための充電電圧を該二次電池に対応した定電圧に制御する定電圧制御手段と、前記電子機器の外部に設けられ、前記定電圧制御手段に対して前記充電電圧よりも高い第1の電圧の前記直流電源を供給する充電用電源回路とを備えてなる二次電池充電装置に係り、前記定電圧制御手段は、前記電子機器の内部の温度を検出して温度情報を生成する温度検出手段が設けられ、前記充電用電源回路は、前記温度検出手段で生成される前記温度情報に基づいて当該電子機器の内部の温度が基準値に達しているか否かを判定し、達している場合に前記直流電源の電圧を前記第1の電圧よりも低くかつ前記充電電圧よりも高い第2の電圧まで低下させる電圧制御手段が設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の二次電池充電装置に係り、前記電圧制御手段は、前記温度検出手段で生成される前記温度情報に基づいて当該電子機器の内部の温度が基準値に達しているか否かを判定して判定信号を生成し、該判定信号が当該電子機器の内部の温度が基準値に達していることを示すとき、前記第2の電圧に対応した電圧制御信号を生成する電源回路制御部と、該電源回路制御部で生成された前記電圧制御信号に対応した電圧を前記直流電源として前記定電圧制御手段に供給する電圧出力回路とを備えてなることを特徴としている。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の二次電池充電装置に係り、前記第2の電圧は、前記定電圧制御手段が該第2の電圧を元に前記二次電池に対応した定電圧に制御可能な値に設定されていることを特徴としている。
【0017】
請求項4記載の発明は、装着された二次電池を電源として所定の動作を行う電子機器に内蔵され、外部から供給される直流電源を元に前記二次電池に印加するための充電電圧を該二次電池に対応した定電圧に制御する定電圧制御手段と、前記電子機器の外部に設けられ、前記定電圧制御手段に対して前記充電電圧よりも高い第1の電圧の前記直流電源を供給する充電用電源回路とを備えてなる二次電池充電装置に用いられ、前記二次電池を充電するための充電制御方法に係り、前記定電圧制御手段に温度検出手段、及び前記充電用電源回路に電圧制御手段を設けておき、前記温度検出手段が、前記電子機器の内部の温度を検出して温度情報を生成し、前記電圧制御手段が、前記温度検出手段で生成される前記温度情報に基づいて当該電子機器の内部の温度が基準値に達しているか否かを判定し、達している場合に前記直流電源の電圧を前記第1の電圧よりも低くかつ前記充電電圧よりも高い第2の電圧まで低下させることを特徴としている。
【0018】
請求項5記載の発明は、外部から供給される直流電源を元に二次電池に印加するための充電電圧を該二次電池に対応した定電圧に制御する定電圧制御手段を有し、装着された前記二次電池を電源として所定の動作を行い、かつ、前記定電圧制御手段に対して前記充電電圧よりも高い第1の電圧の前記直流電源を供給する充電用電源回路が外部に設けられてなる電子機器に係り、前記定電圧制御手段は、当該電子機器の内部の温度を検出して温度情報を生成する温度検出手段が設けられ、前記充電用電源回路は、前記温度検出手段で生成される前記温度情報に基づいて当該電子機器の内部の温度が基準値に達しているか否かを判定し、達している場合に前記直流電源の電圧を前記第1の電圧よりも低くかつ前記充電電圧よりも高い第2の電圧まで低下させる電圧制御手段が設けられていることを特徴としている。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の電子機器に係り、前記電圧制御手段は、前記温度検出手段で生成される前記温度情報に基づいて当該電子機器の内部の温度が基準値に達しているか否かを判定して判定信号を生成し、該判定信号が当該電子機器の内部の温度が基準値に達していることを示すとき、前記第2の電圧に対応した電圧制御信号を生成する電源回路制御部と、該電源回路制御部で生成された前記電圧制御信号に対応した電圧を前記直流電源として前記定電圧制御手段に供給する電圧出力回路とを備えてなることを特徴としている。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載の電子機器に係り、前記第2の電圧は、前記定電圧制御手段が該第2の電圧を元に前記二次電池に対応した定電圧に制御可能な値に設定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
この発明の構成によれば、温度検出手段により、電子機器の内部の温度が検出されて温度情報が生成され、電圧制御手段により、温度情報に基づいて電子機器の内部の温度が基準値に達しているか否かが判定され、達している場合に充電用電源回路からの直流電源の電圧が第1の電圧よりも低くかつ充電電圧よりも高い第2の電圧まで低下するように制御される。
このため、充電開始時から電子機器の内部の温度が基準値となるまでは、直流電源の電圧が第1の電圧となるが、同温度が基準値となった後では、同直流電源の電圧が第2の電圧となり、同電子機器の内部の温度が基準値となって上昇しないため、同電子機器自体の発熱を抑えることかできる。これにより、使用者に火傷の被害などが発生することがなく、安全性を向上でき、また、電子機器の内部の部品の劣化を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
温度センサにより、携帯電話機などの電子機器の内部の温度が検出されて温度検出電圧が生成され、制御回路により、同温度検出電圧に基づいて同電子機器の内部の温度が基準値に達しているか否かが判定され、達している場合に充電用電源回路からの直流電源の電圧が低下するように制御される二次電池充電装置、充電制御方法、及び該二次電池充電装置が設けられた電子機器を提供する。
【実施例1】
【0023】
図1は、この発明の第1の実施例である二次電池充電装置が設けられた電子機器の要部の電気的構成を示すブロック図である。
この例の電子機器は、同図に示すように、携帯電話機60であり、ACアダプタ80が外部に接続されている。これらのACアダプタ80及び携帯電話機60の要部で、二次電池充電装置が構成されている。携帯電話機60は、電源入力端子61と、グラウンド端子62と、ダイオード63と、抵抗64と、電流検出回路65と、充電制御用トランジスタ66と、充電制御回路67と、抵抗68と、定電圧制御回路69と、出力端子70と、グラウンド端子71と、電池有無検出端子72とを有し、同出力端子70とグラウンド端子71との間に二次電池73が接続されている。さらに、温度センサ74と、温度情報出力端子75とが設けられている。
【0024】
外部I/Oコネクタの電源入力端子61とグラウンド端子62との間には、ACアダプタ80から出力された直流電源が入力される。ダイオード63は、逆流防止用である。抵抗64は、電流制限用及び電流検出用である。電流検出回路65は、抵抗64の両端の電圧を検出することにより、同抵抗64を流れる電流を検出する。充電制御用トランジスタ66は、たとえばpMOS(pチャネル型MOSトランジスタ)で構成され、定電圧制御回路69によりゲート電極のレベルが制御されることにより、ソース・ドレーン間のインピーダンスが制御され、二次電池73に印加するための充電電圧を同二次電池73に対応した定電圧に制御する。
【0025】
充電制御回路67は、電流検出回路65で検出された抵抗64の電流値に基づいて充電制御用トランジスタ66をオン/オフ制御し、同電流値が所定値よりも多いとき、充電制御用トランジスタ66をオフ状態とする。抵抗68は、出力端子70の端子電圧の定電圧制御回路69に対するフィードバック用である。出力端子70とグラウンド端子71との間に二次電池73が接続されている。電池有無検出端子72は、二次電池73の装着の有無を示す検出信号を図示しない検出部から入力する。温度センサ74は、ACアダプタ80の直流電源により動作し、携帯電話機60の内部(たとえば、充電制御用トランジスタ66の近傍の位置)の温度を検出して同温度に対応した温度検出電圧b(温度情報)を生成して温度情報出力端子75へ出力する。
【0026】
ACアダプタ80は、AC入力端子81と、トランス及び整流平滑回路82と、電圧出力回路83と、出力端子84と、グラウンド端子85と、温度情報入力端子86と、制御回路87とから構成されている。AC入力端子81には、商用電源が入力される。トランス及び整流平滑回路82は、AC入力端子81から入力された商用電源を所定の電圧に変換し、整流及び平滑化して二次電池73に対する充電電圧よりも高い第1の電圧の直流電源dを出力する。温度情報入力端子86は、携帯電話機60の温度情報出力端子75に接続され、温度検出電圧bを入力する。
【0027】
制御回路87は、温度検出電圧bに基づいて携帯電話機60の内部の温度が基準値に達しているか否かを判定して判定信号を生成し、同判定信号が同携帯電話機60の内部の温度が同基準値に達していることを示すとき、上記第1の電圧よりも低くかつ上記充電電圧よりも高い第2の電圧に対応した電圧制御信号cを生成する。この第2の電圧は、充電制御用トランジスタ66が同第2の電圧を元に二次電池76に対応した定電圧に制御可能な値に設定されている。この場合、第2の電圧は、たとえば、充電制御用トランジスタ66のオン状態におけるソース・ドレーン間の電圧に二次電池76の充電電圧を加算した値である。電圧出力回路83は、たとえばバイポーラトランジスタによるエミッタホロワなどで構成され、電圧制御信号cに対応した電圧を直流電源eとして出力端子84とグラウンド端子85との間に出力する。
【0028】
図2は、電源入力端子61の電圧の過渡特性を示す図であり、縦軸に電源入力端子電圧(直流電源e)、及び横軸に時間tがとられている。また、図3は、携帯電話機60の内部の温度の過渡特性を示す図であり、縦軸に温度、及び横軸に時間tがとられている。
これらの図を参照して、この例の二次電池充電装置に用いられる充電制御方法の処理内容について説明する。
この二次電池充電装置では、温度センサ74により、携帯電話機60の内部の温度が検出されて温度検出電圧bが生成され、制御回路87により、温度検出電圧bに基づいて携帯電話機60の内部の温度が基準値に達しているか否かが判定され、達している場合に直流電源eの電圧が第1の電圧よりも低くかつ充電電圧よりも高い第2の電圧まで低下するように制御される。
【0029】
すなわち、ACアダプタ80では、充電開始時の時刻taにおいて、AC入力端子81から商用電源が入力され、トランス及び整流平滑回路82で所定の電圧に変換されて整流及び平滑化され、電圧出力回路83から電圧制御信号cに対応した電圧m(第1の電圧)が直流電源eとして出力端子84とグラウンド端子85との間に出力される。
【0030】
携帯電話機60では、ACアダプタ80から出力された電圧mの直流電源eが外部I/Oコネクタの電源入力端子61とグラウンド端子62との間に入力され、図2に示すように、電源入力端子電圧がmとなる。そして、直流電源eが、逆流防止用のダイオード63、電流制限用及び電流検出用の抵抗64を経て充電制御用トランジスタ66に入力され、電池有無検出端子72から二次電池73が装着されていることを示す検出信号が入力されているとき、同充電制御用トランジスタ66により所定の定電圧が出力されるように制御され、出力端子70を経て二次電池73に印加され、同二次電池73が充電される。
【0031】
この場合、出力端子70の端子電圧がフィードバック用の抵抗68を経て定電圧制御回路69に入力され、同定電圧制御回路69により、同端子電圧が定電圧になるように充電制御用トランジスタ66のゲート電極のレベルが制御される。また、抵抗64の両端の電圧が電流検出回路65により検出されることにより、同抵抗64を流れる電流が検出され、同電流が所定値よりも多いとき、充電制御回路67の制御により充電制御用トランジスタ66がオフ状態となる。また、電池有無検出端子72から入力される検出信号が、二次電池73が装着されていないことを示すとき、充電制御回路67の制御により充電制御用トランジスタ66がオフ状態となる。
【0032】
また、時刻ta以降、充電制御用トランジスタ66及び二次電池73が発熱するため、図3に示すように、携帯電話機60の内部の温度(℃)が充電開始時から漸次上昇する。この後、時刻tbにおいて、携帯電話機60の内部の温度が基準値fに達したとき、制御回路87から第2の電圧に対応した電圧制御信号cが生成され、電圧出力回路83から電圧制御信号cに対応した電圧nが直流電源eとして出力され、電源入力端子電圧がnとなる。この時刻tb以降、抵抗64、充電制御用トランジスタ66及び二次電池73を流れる電流が低減され、また、同充電制御用トランジスタ66のソース・ドレーン間の電圧が小さくなるため、発熱量も低減され、充電が完了するまで携帯電話機60の内部の温度が基準値fのままで、上昇することはない。
【0033】
以上のように、この第1の実施例では、温度センサ74により、携帯電話機60の内部の温度が検出されて温度検出電圧bが生成され、制御回路87により、温度検出電圧bに基づいて携帯電話機60の内部の温度が基準値fに達しているか否かが判定され、達している場合に直流電源eの電圧が第1の電圧(電圧m)よりも低くかつ充電電圧よりも高い第2の電圧(電圧n)まで低下するように制御される。このため、充電開始時の時刻taから携帯電話機60の内部の温度が基準値fとなる時刻tbまでは、電源入力端子電圧がmとなるが、同時刻tb以降では、電源入力端子電圧がnとなり、携帯電話機60の内部の温度が基準値fとなって上昇しないため、同携帯電話機60自体の発熱が抑えられる。これにより、使用者に火傷の被害などが発生することがなく、安全性が向上し、また、携帯電話機60の内部の部品の劣化が抑制される。
【実施例2】
【0034】
図4は、この発明の第2の実施例である二次電池充電装置が設けられた携帯電話機60Aの要部の電気的構成を示すブロック図であり、第1の実施例を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この例の携帯電話機60Aでは、同図4に示すように、図1中の温度センサ74に代えて、サーミスタ76が設けられ、また、図1中のACアダプタ80に代えて、異なる構成のACアダプタ80Aが外部に接続されている。サーミスタ76は、携帯電話機60の内部(たとえば、充電制御用トランジスタ66の近傍の位置)の温度に対応した抵抗値uとなるものであり、この抵抗値uが温度情報となる。ACアダプタ80Aでは、図1中の制御回路87に代えて、異なる機能を有する制御回路87Aが設けられている。制御回路87Aは、サーミスタ76の抵抗値uに基づいて、制御回路87と同様の電圧制御信号cを生成する。これらのACアダプタ80A及び携帯電話機60Aの要部で、二次電池充電装置が構成されている。他は、図1と同様の構成である。
【0035】
この例の二次電池充電装置に用いられる充電制御方法では、サーミスタ76により、携帯電話機60Aの内部の温度が検出されて抵抗値uが生成され、制御回路87Aにより、抵抗値uに基づいて携帯電話機60Aの内部の温度が基準値に達しているか否かが判定され、達している場合に直流電源eの電圧が第1の電圧よりも低くかつ充電電圧よりも高い第2の電圧まで低下するように制御される。このため、第1の実施例の利点に加え、サーミスタ76が電源を必要としないため、電源のグラウンドとの短絡などによる誤動作の危惧がない。
【0036】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、上記各実施例では、充電用電源回路としてACアダプタ80,80Aが設けられているが、たとえば車載用シガーライタアダプタを設けても良い。また、充電制御用トランジスタ66は、pMOSに限らず、nMOS(nチャネル型MOSトランジスタ)やバイポーラ・トランジスタでも良い。ただし、この場合、充電制御回路67や定電圧制御回路69を、nMOSやバイポーラ・トランジスタを駆動する構成とする必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明は、携帯電話機の他、PDA、携帯用音楽再生機器(たとえば、MDプレーヤ、ハードディスクプレーヤなど)のように、装着された二次電池を電源として所定の動作を行う小型の携帯用の電子機器全般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の第1の実施例である二次電池充電装置が設けられた電子機器の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】電源入力端子61の電圧の過渡特性を示す図である。
【図3】携帯電話機60の内部の温度の過渡特性を示す図である。
【図4】この発明の第2の実施例である二次電池充電装置が設けられた携帯電話機60Aの要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】従来の二次電池充電装置が設けられた電子機器の二次電池が充電される状態を示す図である。
【図6】従来の二次電池充電装置が設けられた電子機器の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】電源入力端子41の電圧の過渡特性を示す図である。
【図8】携帯電話機1の内部の温度の過渡特性を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
60,60A 携帯電話機(電子機器)
61 電源入力端子(電子機器の一部)
62 グラウンド端子(電子機器の一部)
63 ダイオード(電子機器の一部)
64 抵抗(電子機器の一部)
65 電流検出回路(電子機器の一部)
66 充電制御用トランジスタ(定電圧制御手段の一部)
67 充電制御回路(電子機器の一部)
68 抵抗(定電圧制御手段の一部)
69 定電圧制御回路(定電圧制御手段の一部)
70 出力端子(電子機器の一部)
71 グラウンド端子(電子機器の一部)
72 電池有無検出端子(電子機器の一部)
73 二次電池
74 温度センサ(温度検出手段)
75 温度情報出力端子(電子機器の一部)
76 サーミスタ(温度検出手段)
80,80A ACアダプタ(充電用電源回路)
81 AC入力端子(充電用電源回路の一部)
82 トランス及び整流平滑回路(充電用電源回路の一部)
83 電圧出力回路(電圧制御手段の一部)
84 出力端子(充電用電源回路の一部)
85 グラウンド端子(充電用電源回路の一部)
86 温度情報入力端子(充電用電源回路の一部)
87 制御回路(電圧制御手段の一部、電源回路制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着された二次電池を電源として所定の動作を行う電子機器に内蔵され、外部から供給される直流電源を元に前記二次電池に印加するための充電電圧を該二次電池に対応した定電圧に制御する定電圧制御手段と、
前記電子機器の外部に設けられ、前記定電圧制御手段に対して前記充電電圧よりも高い第1の電圧の前記直流電源を供給する充電用電源回路とを備えてなる二次電池充電装置であって、
前記定電圧制御手段は、
前記電子機器の内部の温度を検出して温度情報を生成する温度検出手段が設けられ、
前記充電用電源回路は、
前記温度検出手段で生成される前記温度情報に基づいて当該電子機器の内部の温度が基準値に達しているか否かを判定し、達している場合に前記直流電源の電圧を前記第1の電圧よりも低くかつ前記充電電圧よりも高い第2の電圧まで低下させる電圧制御手段が設けられていることを特徴とする二次電池充電装置。
【請求項2】
前記電圧制御手段は、
前記温度検出手段で生成される前記温度情報に基づいて当該電子機器の内部の温度が基準値に達しているか否かを判定して判定信号を生成し、該判定信号が当該電子機器の内部の温度が基準値に達していることを示すとき、前記第2の電圧に対応した電圧制御信号を生成する電源回路制御部と、
該電源回路制御部で生成された前記電圧制御信号に対応した電圧を前記直流電源として前記定電圧制御手段に供給する電圧出力回路とを備えてなることを特徴とする請求項1記載の二次電池充電装置。
【請求項3】
前記第2の電圧は、
前記定電圧制御手段が該第2の電圧を元に前記二次電池に対応した定電圧に制御可能な値に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の二次電池充電装置。
【請求項4】
装着された二次電池を電源として所定の動作を行う電子機器に内蔵され、外部から供給される直流電源を元に前記二次電池に印加するための充電電圧を該二次電池に対応した定電圧に制御する定電圧制御手段と、
前記電子機器の外部に設けられ、前記定電圧制御手段に対して前記充電電圧よりも高い第1の電圧の前記直流電源を供給する充電用電源回路とを備えてなる二次電池充電装置に用いられ、前記二次電池を充電するための充電制御方法であって、
前記定電圧制御手段に温度検出手段、及び前記充電用電源回路に電圧制御手段を設けておき、
前記温度検出手段が、前記電子機器の内部の温度を検出して温度情報を生成し、
前記電圧制御手段が、前記温度検出手段で生成される前記温度情報に基づいて当該電子機器の内部の温度が基準値に達しているか否かを判定し、達している場合に前記直流電源の電圧を前記第1の電圧よりも低くかつ前記充電電圧よりも高い第2の電圧まで低下させることを特徴とする充電制御方法。
【請求項5】
外部から供給される直流電源を元に二次電池に印加するための充電電圧を該二次電池に対応した定電圧に制御する定電圧制御手段を有し、装着された前記二次電池を電源として所定の動作を行い、かつ、前記定電圧制御手段に対して前記充電電圧よりも高い第1の電圧の前記直流電源を供給する充電用電源回路が外部に設けられてなる電子機器であって、
前記定電圧制御手段は、
当該電子機器の内部の温度を検出して温度情報を生成する温度検出手段が設けられ、
前記充電用電源回路は、
前記温度検出手段で生成される前記温度情報に基づいて当該電子機器の内部の温度が基準値に達しているか否かを判定し、達している場合に前記直流電源の電圧を前記第1の電圧よりも低くかつ前記充電電圧よりも高い第2の電圧まで低下させる電圧制御手段が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
前記電圧制御手段は、
前記温度検出手段で生成される前記温度情報に基づいて当該電子機器の内部の温度が基準値に達しているか否かを判定して判定信号を生成し、該判定信号が当該電子機器の内部の温度が基準値に達していることを示すとき、前記第2の電圧に対応した電圧制御信号を生成する電源回路制御部と、
該電源回路制御部で生成された前記電圧制御信号に対応した電圧を前記直流電源として前記定電圧制御手段に供給する電圧出力回路とを備えてなることを特徴とする請求項5記載の電子機器。
【請求項7】
前記第2の電圧は、
前記定電圧制御手段が該第2の電圧を元に前記二次電池に対応した定電圧に制御可能な値に設定されていることを特徴とする請求項5又は6記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−230080(P2006−230080A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39637(P2005−39637)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】