説明

二輪車用ストラット

【課題】前後に幼児2人を乗せた母親や身体能力の低下した高齢者等の運転者側の要件と、直線平滑路、段差・凹凸路等の道路側の要件のいずれに対しても、二輪車の軽快性と三輪車の安定性を高いレベルで兼ね備え、手動操作可能な駐輪スタンドを提供する。
【解決手段】後輪部RRにトレーリングアーム141とストラット150を備えたトレーリングアーム式懸架装置に補助輪RRを設けた二輪車100において、ストラット150のストローク−荷重特性が補助輪RRの上向き小移動時の緩傾斜部から中・大移動時の急傾斜部および垂直立上り部に亘る非一直線形であり、かつ急傾斜部および垂直立上り部を緩傾斜部方向にシフトして補助輪RRの支持力を強化し、また後輪の側面部よりレバーを手動操作してストラット150のストロークをロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後輪にトレーリングアームとバネ特性を有するストラットを備えるトレーリングアーム式の懸架装置に補助輪を設けた二輪車において、幼児を運転者の前後に2人乗せる3人乗り自転車(以下「3人乗り」または「3人乗り自転車」という。)や身体能力の低下した高齢者等の運転者側の要件と、直線平滑路、段差・凹凸路等の走行路側の要件のいずれに対しても、二輪車の軽快性と三輪車の安定性を高いレベルで兼ね備えるバネ特性の切換えが可能であり、かつ駐輪操作が容易なストラットに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車は、軽量安価で機動性が高く、若者だけでなく、幼稚園児の送迎等を行う母親や身体能力の低下した高齢者にも広く使用されている。
しかし、二輪車は二輪であるがゆえに幼児2人を運転者の前後に乗せた場合や、身体能力の低下した高齢者が運転する場合には安定性に欠けるため、後輪の左右平行に補助輪を設け、かつ駐輪作業を容易にするため非接地のスタンドを組み込んだものが公表または販売されている。
【0003】
下記特許文献1は 出願人が、既に特許取得した補助輪付き二輪車に係るものであり、後輪にトレーリングアームとストラットを備えたトレーリングアーム式の懸架装置に補助輪を設け、ストラットのストローク−荷重特性を非線形または非一直線形にして、補助輪の上向き移動量の小さいときは、補助輪の支持力を小さくして傾斜走行を妨げないで二輪車の軽快性を有し、補助輪の上向き移動量の大きいとき、即ち二輪車が転倒に近づいたときは、補助輪の支持力を高めて、二輪車の安定性を確保して転倒を防止するようにしている。
また、スタンドアームから前方に延びるロックプレートと、トレーリングアームから左右方向内向きに延びる支持ロッドとを当接させる非接地のスタンドにより、駐輪時の足動力を低減しキャリアー部の持上げ動作を不要として駐輪作業を容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4268215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図19は、上記特許文献1に記載されている二輪車のストラット部の説明図であり、(A)は圧縮状態、(B)は伸長状態を示している。 図19において、補助輪RRが上方に移動して短縮側のストロークが増大すると、コイルスプリングSPが圧縮変形され、ストラットのストローク−荷重の緩傾斜部特性により、二輪車の軽快性が損なわれず、補助輪がさらに一定量上方移動するとコイルスプリングSPの密着領域に入り、続いてバンパーラバーBRが圧縮変形されてストローク−荷重特性が非線形に立ち上がって急傾斜部に入り、補助輪の支持力が増大して二輪車の転倒防止が図られる。
【0006】
しかしながら、二輪車の軽快性を高めるためには補助輪の支持力を小さくして傾斜走行を妨げないようにする必要があり、安定性を高めるためには補助輪の支持力を大きくする必要があるため、安定性と軽快性は補助輪の支持力において相反するものである。さらに3人乗り自転車における幼児の乗車の有無、高齢者の身体能力の低下の度合い、積載物の軽重の差等の運転者側の要件や、直線平滑路、段差・凹凸路、狭幅路小R旋回時等の走行路側の要件によって軽快性と安定性に対する要求度が異なる。そのためストラットのストローク−荷重の非線形特性または非一直線形特性を固定し、一種類のまま軽快性と安定性の両性能を高度なレベルで満足させることには限界があった。
また、非接地のスタンドであるため、駐輪時のスタンドの足動力は小さいが、補助輪の後方まで足を延ばさなければならず、時には補助車輪で衣服を汚すという問題があった。
【0007】
本発明は、係る問題点に鑑みて、鋭意研究・検討の結果なされたものであり、3人乗り自転車の幼児の乗車の有無、高齢者の身体能力の低下の度合い、積載物の軽重の差等の運転者側の要件や、直線平滑路、段差・凹凸路、狭幅路小R旋回時等の走行路側の要件のいずれに対しても高いレベルで適合させ、さらに駐輪作業の容易なストラットの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための第1の発明は、後輪部にトレーリングアームとバネ特性を有するストラットを備えたトレーリングアーム式懸架装置に補助輪を設けた二輪車において、小ストローク時の緩傾斜部から中・大ストローク時の急傾斜部および垂直立上り部に亘る非一直線形であり、かつ前記急傾斜部および/または垂直立上り部が前記緩傾斜部方向にシフトして前記補助輪の転倒防止機能が強化できる可変式であることを特徴とするストラットである。
ストラットのストローク−荷重特性の切換えは2段でも3段以上の多段でもよいし無段調整式にしてもよい。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記中・大ストローク時の急傾斜部および垂直立上り部が前記緩傾斜方向にシフトすることにより、前記補助輪によるストラットの荷重が増加することを特徴とするストラットである。
【0010】
第3の発明は、第1の発明において、前記ストラットは、上部が第1閉鎖により、下部が第2閉鎖によって閉鎖された外筒と、前記第1閉鎖の中央部を貫通摺動して前記外筒の軸方向に伸縮するピストンロッドと、該ピストンロッドの上端に設けられ前記二輪車の車体側に揺動自在に取付けられた第1マウントと、前記第2閉鎖の下部に設けられ前記トレーリングアーム側に揺動自在に取付けられた第2マウントと、前記第1閉鎖と前記第1マウント間に介挿され、内径内を前記ピストンロッドが挿通した第1スプリングを有し、前記外筒内には順次上側から、前記ピストンロッドの下端に固定されるピストン、第2スプリング、該第2スプリングの下端を支持するバネ座、該バネ座と一体的に構成され、前記ストラットの最大ストロークを規定するストッパーロッドが格納され、さらに前記バネ座の下方で前記外筒または第2閉鎖内に、該外筒または第2閉鎖の軸と直交する回動軸を有するカムが設けられ、該カムの回動による前記バネ座およびストッパーロッドの上方移動により、前記急傾斜部および垂直立上り部が前記緩傾斜部方向にシフトすることを特徴とするストラットである。
【0011】
第4の発明は、第3の発明において、前記バネ座と前記ストッパーロッドとが前記外筒の軸方向に相互摺動可能であり、前記カムの回動によりストッパーロッドのみが上方移動し、前記垂直立上り部が前記緩傾斜部方向にシフトすることを特徴とするストラットである。
【0012】
第5の発明は、第3または4の発明において、前記カムの回動が前記二輪車のハンドル部に設けられたバネ特性切換えボックスまたはバネ特性調整ボックスの操作レバーと前記ストラットの外部に設けられたカムレバーに接続された索線を介して、前記操作レバーの操作で行われることを特徴とするストラットである。
【0013】
第6の発明は第1または2の発明において、前記後車輪の側面かつ後輪タイヤの輪郭線の外側から手動でレバーを第1の方向に操作することにより、前記二輪車の直立状態における前記ストラットの短縮側のストロークをロックし、前記レバーを前記第1の方向と反対の第2の方向に操作すると上記ロックが解除されて、駐輪時における二輪車の転倒を防止できることを特徴とするストラットである。レバーの手動操作は二輪車の左側からでもよいし、右側からでもよい。
【0014】
第7の発明は、第3乃至5のいずれか1の発明において、前記ストラットの第1マウントの近傍において前記車体から水平かつ左右方向に設けられた支持軸回りに回動可能で、前記ストラットの略軸方向下向きに延びるロック部材と、一端が該ロック部材に接続され前記後車輪の側面かつ後輪タイヤの輪郭線の外側に配置された左右2本のレバーと、該2本のレバーの他端を相互に連結する連結部とグリップ部を有する手動式スタンドを備え、また前記手動式スタンドのグリップ部を前記第1の方向に操作したときに前記ロック部材の下端部と当接する当接部を前記第1閉鎖の上面または前記外筒の上端部に有し、前記手動式スタンドのグリップ部を前記第1の方向に操作したとき前記ストラットの短縮側のストロークをロックし、前記手動式スタンドのグリップ部を前記第2の方向に操作したときには、前記ロック部材が前記当接部から離接して、前記ストラットの短縮側のストロークのロックが解除されて、駐輪時における二輪車の転倒を防止できることを特徴とするストラットである。
【0015】
第8の発明は、第7の発明において、前記ロック部材の形状を変更して下端部に略前後方向の切込み溝が設けられ、前記第1閉鎖または前記外筒の上端部に左右方向に延びるピン状の突起が設けられ、前記手動式スタンドのグリップ部を前記第1の方向に操作したときに前記ロック部材の切込み溝とピン状の突起とが噛合って、前記ストラットの伸縮両方向のストロークがロックされ、前記手動式スタンドのグリップ部を前記第2の方向に操作したときには、前記ロック部材の切込み溝とピン状の突起との噛合いが解除されて、駐輪時における二輪車の転倒を防止できることを特徴とするストラットである。
【0016】
第9の発明は後輪部にトレーリングアームとバネ特性を有するストラットを備えたトレーリングアーム式懸架装置に補助輪を設けた二輪車において、前記二輪車の後車輪の側面かつ後輪タイヤの輪郭線の外側から手動でレバーを第1の方向に操作することにより、前記二輪車の直立状態における前記ストラットの短縮側または伸縮両方向のストロークをロックし、前記レバーを前記第1の方向と反対の第2の方向に操作すると上記ロックが解除されて、駐輪時における二輪車の転倒を防止できることを特徴とするストラットである。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明は、後輪部にトレーリングアームとバネ特性を有するストラットを備えたトレーリングアーム式懸架装置に補助輪を設けた二輪車において、該ストラットのストローク−荷重特性が小ストローク時の緩傾斜部から中・大ストローク時の急傾斜部および垂直立上り部に亘る非一直線形であり、かつ前記急傾斜部および/または垂直立上り部が前記緩傾斜部方向にシフトして前記補助輪の転倒防止機能が強化できる可変式であることを特徴とするストラットであるから、補助輪の支持力において相反し、また2人乗り時の幼児の乗車の有無、高齢者の身体能力の低下の度合い、積載物の軽重の差等の運転者側の要件や、直線平滑路、段差・凹凸路、狭幅路小R旋回時等の走行路側の要件によって要求度が異なる軽快性と安定性の両性能を高いレベルで満足させることができる。
【0018】
第2の発明は、第1の発明において、前記中・大ストローク時の急傾斜部および垂直立上り部が前記緩傾斜方向にシフトすることにより、前記二輪車の直立時における補助輪の支持力が増加することを特徴とするストラットであから、駐輪時の自立性をさらに高いレベルで確保することができる。
【0019】
第3の発明は、第1の発明において、前記ストラットは、上部が第1閉鎖により、下部が第2閉鎖によって閉鎖された外筒と、前記第1閉鎖の中央部を貫通摺動して前記外筒の軸方向に伸縮するピストンロッドと、該ピストンロッドの上端に設けられ前記二輪車の車体側に揺動自在に取付けられた第1マウントと、前記第2閉鎖の下部に設けられ前記トレーリングアーム側に揺動自在に取付けられた第2マウントと、前記第1閉鎖と前記第1マウント間に介挿され、内径内を前記ピストンロッドが挿通した第1スプリングを有し、 前記外筒内には順次上側から、前記ピストンロッドの下端に固定されるピストン、第2スプリング、該第2スプリングの下端を支持するバネ座、該バネ座と一体的に構成され、前記ストラットの最大ストロークを規定するストッパーロッドが格納され、さらに前記バネ座の下方で前記外筒または第2閉鎖内に、該外筒または第2閉鎖の軸と直交する回動軸を有するカムが設けられ、該カムの回動による前記バネ座およびストッパーロッドの上方移動により、前記急傾斜部および垂直立上り部が前記緩傾斜部方向にシフトすることを特徴とするストラットであるであり、第4の発明は、第3の発明において前記バネ座と前記ストッパーロッドとが前記外筒の軸方向に、相互に摺動可能であり、前記カムの回動によりストッパーロッドのみが上方移動し、前記ストラットの最大ストロークが減少して、前記垂直立上り部が前記緩傾斜部方向にシフトすることを特徴とするストラットであるから、簡単な構造にして、補助輪の支持力において相反し、3人乗り自転車の幼児の乗車の有無、高齢者の身体能力の低下の度合い、積載物の軽重の差等の運転者側の要件や、直線平滑路、段差・凹凸路、狭幅路小R旋回時等の走行路側の要件によって要求度が異なる軽快性と安定性の両性能を高いレベルで満足させることができる。さらにスタンドを使用しない駐輪時の自立性を高めることができる。
【0020】
また、ストラットのストローク−荷重特性を2段切換え式にしたときは、高齢者にとっても操作が容易であり、3段以上の多段または無段調整式したときは、運転者側と道路側の異なる要件を肌理細かに満足させることができる。
さらにまた、二輪車の運転練習をする人が本発明に係る二輪車を使用すると上達が早く極めて短期間に運転できるようになるという効果がある。
【0021】
第5の発明は、第3または4の発明において、前記カムの回動が前記二輪車のハンドル部に設けられたバネ特性切換えボックスまたはバネ特性調整ボックスの操作レバーと前記ストラットの外部に設けられたカムレバーに接続された索線を介して、前記操作レバーの操作で行われることを特徴とするストラットであるから、運転前のみならず、着座後発進前でも、運転しながらでも、運転者側や走行路側の要件にあわせて簡単に上記ストラットのストローク−荷重特性を切り替え乃至調整することができる。
【0022】
第6の発明は、第1または2の発明において、前記後車輪の側面かつ後輪タイヤの輪郭線の外側から手動でレバーを第1の方向に操作することにより、前記二輪車の直立状態における前記ストラットの短縮側のストロークをロックし、前記第1の方向と反対の第2の方向に操作すると上記ロックが解除されて、駐輪時における二輪車の転倒を防止できることを特徴とするストラットであるから、補助輪を超えて、後方に足を延ばしてスタンドを踏付ける必要がなくなり、衣服を汚すことなく手動で容易に駐輪作業を行うことができる。また脚部に軽度の障害がある人でもスタンド作業に支障がない。
【0023】
第7の発明は、第3乃至5のいずれか1の発明において、前記ストラットの第1マウントの近傍において前記車体から水平かつ左右方向に設けられた支持軸回りに回動可能で、前記ストラットの略軸方向下向きに延びるロック部材と、一端が該ロック部材に接続され前記後車輪の側面かつ後輪タイヤの輪郭線の外側に配置された左右2本のレバーと、該2本のレバーの他端を相互に連結する連結部とグリップ部を有する手動式スタンドを備え、また前記手動式スタンドのグリップ部を前記第1の方向に操作したときに前記ロック部材の下端部と当接する当接部を前記第1閉鎖の上面または前記外筒の上端部に有し、前記手動式スタンドのグリップ部を前記第1の方向に操作したとき前記ストラットの短縮側のストロークをロックし、前記手動式スタンドのグリップ部を前記第2の方向に操作したときには、前記ロック部材が前記当接部から離接して、前記ストラットの短縮側のストロークのロックが解除されて、駐輪時における二輪車の転倒を防止できることを特徴とするストラットであるから、簡単な構造で、補助輪を超えて後方に足を延ばしてスタンドを踏付ける必要がなくなり衣服を汚すこともなく、また脚部に軽度の障害がある人でも手動で容易に駐輪作業を行うことができる。
【0024】
第8の発明は、第7の発明におけるロック部材の下端部と前記第1閉鎖の上面または前記外筒の上端部に設けた当接部との当接によるストラットの短縮方向のストロークのロックを、ロック部材の下端部の前後方向の切込み溝と、ピン状の突起との噛合にしたものであるから、転倒側と反対側の補助輪部の重量が、転倒防止に寄与するので、一層転倒し難くなり、また後輪部をリフトして取り回しする場合、僅かのリフトで補助輪が非接地となるので、取り回し作業が容易である。
【0025】
第9の発明は第6の発明を、後輪部にトレーリングアームとバネ特性を有するストラットを備えたトレーリングアーム式懸架装置に補助輪を設けた二輪車であって、前記急傾斜部および/または垂直立上り部が前記緩傾斜部方向にシフトすることのないストラットに適用したものであり、補助輪を超えて、後方に足を延ばしてスタンドを踏付ける必要がなくなり衣服を汚すこともなく、また脚部に軽度の障害がある人でも容易に駐輪作業を行うことができる。
【0026】
なお、第6乃至9の発明により、補助輪の上方移動が直立状態のままロックし二輪車の傾斜を拘束できるので、いわゆる三輪車として機能させることもできるという効果がある。
【0027】
上述の各発明は、いわゆる自転車に限定されるものではなく、電動アシスト付き自転車、原動機付き自転車等の二輪車に広く適用でき同様の効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図に基いて、本発明の実施形態について説明する。なお、図面は、公知部分、発明の要旨に直接関係のない部分、記載することにより反って煩雑となって不明瞭となる部分については、省略乃至簡略化している。
【0029】
図1は、本発明の第1実施形態に係るストラットを装着した二輪車の側面図、図2は、図1に係る二輪車の後輪および補助輪部を説明するための拡大側面図であり、図3は、図2に対応する平面図である。
【0030】
図1乃至3において、110はチエンステイ、112はチエン、120は後フォーク、113はペダル、130はサドル、101はメインフレーム、102はリヤチューブ、103はハンドルであり本発明を適用しない従来の自転車と同様である。
【0031】
141は断面円形または長円形の鋼管製の左右一対からなるトレーリングアーム、RRは補助輪、150はチエンステイ110および後フォーク120と、トレーリングアーム141との間に配置され、補助輪RRの上向き荷重を支持するストラットである。
【0032】
トレーリングアーム141は、側面視で前部と中央よりやや後部の2箇所で折曲げられ、その前端部がチエンステイ110から下方に延びるブラケット111に回動自在に取付けられている。
【0033】
ストラット150の下部には円筒体が取付けられ、その円筒体がトレーリングアーム141の後部に設けられた支軸143に揺動可能に取付けられ第2マウント1547が構成されている。
【0034】
ストラット150の上部にも下部と同様の円筒体が取付けられている。そしてチエンステイ110と後フォーク120間にポスト121が取付けられ、そのポスト121の上部に設けられた支軸1211に円筒体が揺動可能に取付けられ第1マウント1521が構成されている。
【0035】
159はストラット150の内部に格納された後述するカムを操作するカムレバーであり、索線167を介して、メインフレーム101の前端部に設けられたバネ特性切換えボックス160の操作レバー163によって回動される。
【0036】
144は索線167の後部の係止145をトレーリングアーム141に固定するためのバンドであり、168は索線167のリターンスプリングである。
【0037】
図4は本発明の第1実施形態に係るストラットの断面図であり、図5は図4に係るA−A断面図である。図4、5において、151はストラット150の本体をなす鋼管製の外筒であり、156はストラット150の支持力の緩傾斜バネ特性を定める第1スプリングである。157は第1スプリング156と共にストラット150の支持力の急傾斜バネ特性を定める第2スプリングである。
152は丸棒鋼製のピストンロッドであり、外筒151の内部にはその外筒151と同軸に、ピストン155が格納されピストンロッド152の下端部にネジ止めされ、ピストン155の下方に第2スプリング157が格納され、第2スプリング157の下側に第2スプリング157の下面を支持するバネ座158が格納されている。1551、1552はオリフィスであり、ピストン155の上下動に伴い第1空気室1511と第2空気室1512間を空気が流通する。
【0038】
第2スプリング157の上面にはセンタリングワッシャー1571が離脱不能に取付けられ第2スプリング157の横振れを防止している。
【0039】
1581は中央部に6角部1584が形成され、下端部に雄ねじが設けられたロッドであり、バネ座158の中央に設けられた孔にロッド1581が嵌入され袋状ナット1582で締め付け固定されている。
【0040】
153は外筒151の上部に側面からビスで固定された第1エンドキャップである。1531は、ダストシールを含む軸受けであり、第1エンドキャップ153と外筒151の間に挿入されたワッシャー1532により位置決めされている。ピストンロッド152は第1エンドキャップ153を貫通して上端に第1マウントを形成する鋼管製の円筒体1521が取付けられている。
【0041】
154は外筒151の下部に側面からビスで固定された鋼板製の第2エンドキャップであり、段付きの支持軸1542が外筒151の中心軸と直角方向に貫通し、その中央部にカム1541が嵌入され、間座1546と座金とナットで固定されている。1543は突条であり、カム1541の支持軸1542に対する滑りを防止している。1545は含油メタルからなる軸受けであり、1544は支持軸1542に設けられたナット締付け作業時の回り止め防止用の六角部である。支持軸1542のカムレバー159の嵌合部にも突条1549が設けられカムレバー159の支持軸1542に対する滑り防止が図られている。寸法L0は外筒151の中心軸とカム1541の支持軸1542とのオフセット量であり、このオフセット量L0によって、第2エンドキャップ内に納められた小さなカムで大きなリフト量が得られている。なおオフセット量L0を0にしたときは、操作レバー163の操作力を軽減することができる。
【0042】
1212は円筒体1521を支持ポスト121に設けられた支軸1221に弾性支持するためのゴムブッシュであり、1548は円筒体1547をトレーリングアーム141に設けられた支軸143に弾性支持するためのゴムブッシュである。1561、1662は第1スプリング156の上下部をそれぞれ支持するスプリングポストである。また本実施の形態において、第1マウント、第2マウントは目玉状としたがいわゆる角状としてもよいし、第1スプリング、第2スプリングにコイルスプリングを使用したが、ヘルパーラバー、バンパーラバー等広く各種の弾性体を使用することができる。
【0043】
次に、ストラット150の動作について説明する。二輪車が直立したストラットの伸長状態から補助輪RRが、上方に移動すると、ピストン155が降下し、第1スプリング156が縮み、ストラットのストローク−荷重の緩傾斜特性で作動する。さらに、補助輪RRが上方移動すると、ピストン155の下面とセンタリングワッシャー1571が当接して、第2スプリング157が作動開始し、第1スプリング156と第2スプリング157の両スプリングによりストラットのストローク−荷重の急傾斜特性で作動する。
【0044】
カム1541が回動すると、バネ座158とロッド1581が寸法Hだけ上方移動しストラットのストローク−荷重特性が切換えられる。
【0045】
図6は本発明の第1実施形態に係るストラットのストローク−荷重特性の説明図であり、(A)はカムの作動前、(B)はカムの作動後のストローク−荷重特性の説明図である。(A)において、線Rは第1スプリング156によって定まる緩傾斜の特性線、線Sは、第1スプリング156と第2スプリング157により定まる急傾斜の特性線である。
【0046】
点aは、線Rと横軸(ストローク軸)との交点であり、第1スプリング156のたわみが0の点である。点bは二輪車が補助輪RRによって直立しているときの横軸上の点を示し、線Vは点bを通る縦軸であり、ストラットの荷重軸を示している。
【0047】
点cは、ワッシャー1571とピストン155の下面が当接して第2スプリングが作動開始する点である。点dはロッド1581の上端面とピストンロッド152の下端面1523とが当接した点を示し、線Tはストラットの短縮側のストロークが最大、即ちストラット長が最小となる限界線であり、この位置で補助輪の上方移動はロックされる。点eはストラット長が実用上最大となる点であり、線Uは、ピストン155とワッシャー1532の強干渉を防止する緩和線であり、スプリング1522の特性によって定まる。
【0048】
L1は第1スプリング156の総たわみ量、L2は第2スプリング157の総たわみ量である。Wrは二輪車が補助輪で直立しているときのストラットの支持荷重である。θ1は線Rの勾配、θ2は線Sの勾配であり、それぞれのバネ定数を示している。荷重Wrは補助輪RRによる駐輪時の自立性に関係し、大きくすると自立性は高まるが、後輪の分担荷重が減少し過少にすると、登坂時にスリップの恐れが生じる。L3は二輪車の直立時から第2スプリングの作動開始時までのストラットのストロークである。
【0049】
二輪車の軽快性を高めるためには勾配θ1を小さくすることが好ましいが、小さ過ぎると荷重Wrの確保が難しくなり、自立性が低下する。線Sの勾配θ2は、大きくすると安定性が向上するが、旋回性が低下し旋回Rが大きくなる。
【0050】
(B)において、線S’、線T’がカムを回動して寸法Hシフトしたときの急傾斜特性線とストラット長の最小限界線である。線Sは(A)の線Sと同一傾斜の急傾斜特性線であり、線T’は線Tに対して寸法Hだけ左側(ストロークの短縮側)にシフトしており、いずれも対比のために記載したものである。カム1541を回動してバネ座158とロッド1583に寸法Hのリフトを与えることは、線Sと線Tを同時に左側に寸法Hシフトするものであるから、少ないシフト量で安定性向上に大きな効果が得られる。
【0051】
また、二輪車の直立時から第2スプリングの作動開始時までのストラットのストローク量L3をカムのシフト量Hの1/2程度にすると補助輪RRの支持
力が増加して自立性を高めることができる。
【0052】
前後輪を26型車輪とした自転車に下記の諸元
補助輪のトレッド ・・・480mm
第1スプリングの最大たわみ ・・・85mm
バネ定数 ・・・0.13kg/mm
第2スプリングの最大たわみ ・・・50mm
バネ定数 ・・・0.41kg/mm
直立時の補助輪荷重(片輪) Wr ・・・約3.4kg
カムのリフト量 H ・・・10mm

直立時から第2スプリング作動開始時までのストローク L3
・・・5mm
を適用した第1実施形態に係る実施例では、
カムの回動の前においては軽快性が損なわれることなく良好な安定性が得られ、カム作動後は旋回半径がやや大きくなったが安定性は一段と向上した。また補助輪による直立時から第2スプリング作動開始時までのストローク量L3をカムのリフト量Hの1/2としたので、自立性も高められた。
なお、上記直立時の補助輪荷重Wrは、トレーリングアームのストラットの支軸143と補助輪の車軸142との位置の前後差によるアームレシオを加味した値である。
【0053】
図7は本発明の第2実施形態に係るストラットの断面図であり、図5に対応するストラットのカム部の説明図である。図5では、バネ座158とロッド1581の両者をカム1541の回動により、上方移動させているのに対して、図7においては、バネ座158’を外筒151に側面からビス止めして固定する一方、バネ座158’とロッド1583とを相互に摺動可能として、ロッド1583のみをカム1541により寸法H上方へ移動可能としている。
【0054】
図8は、本発明の第2実施形態に係るストラットのストローク−荷重特性の説明図であり、図6に対してストラットの最大ストロークを寸法Hだけ大きくし、カム回動後のストラットの最大ストロークを図6に示した最大ストロークと略同一にしたものである。線R”、線S”は図6に示した線R、線Sと同一傾斜の緩傾斜特性線および急傾斜特性線である。
【0055】
本発明の第2の実施形態においては、カムの回動前はストラットの最大ストロークが大きくて段差・凹凸路走行に優れ、カムの回動後も急傾斜特性線の移動による補助輪の支持力の増加がないので段差・凹凸路走行に優れ、カムを回動すればストラットの最大ストロークが減少して安定性を向上させることができる。
【0056】
図9は本発明の第1の実施形態に係るバネ特性切替えボックスの正面図であり、図10は側面図、図11は上面図である。図9乃至11において、161は鋼板製のべースプレートであり、正面略視扇形をなし下部中央に段付きの軸164がワッシャー1644、ナット1643により固定されている。162はカバーでありベースプレート161に対応した正面視略扇形で端末が奥行き側に折曲げられている。ベースプレート161はUバンド166によって、メインフレーム101にボルト止めされている。
【0057】
165は左右のストラット150に接続される索線167のアウターケース1672の端末部を固定するための係止であり、ベースプレートの右上端部にビス1651で固定されている。163は操作レバーであり上端に、グリップ1632が設けられ、中央部に索線167の端末を回動自在に固定するアンカー1631が2個ビス止めされ、下端部には軸164を嵌入するための孔が設けられている。
【0058】
アンカー1631に索線167のエンドピース1671がセットされた操作レバー163は下部の孔にベースプレート161に固定された軸164が嵌合され、スプリング1641が介挿入され、その外側からカバー162が被せられて平座金1647、バネ座金1645、ナット1646で固定され、ベースプレート161はさらに4本の皿ビス1621で固定されている。1622、1623はレバー163のストロークを規制するストッパーであり、1624は操作レバー163の戻止めである。
【0059】
本実施の形態においては、運転前のみならず着座後発進前でも、運転しながらでも、運転者側や走行路側の要件にあわせて簡単に上記ストラットのストローク−荷重特性を切り替え乃至調整することができる。
【0060】
なお、本実施形態においては、戻止めは1個としてストラット150のストローク−荷重特性線の切換えを1種類としたが、戻止めを複数にして、多段に切換えるようにしてもよいし、無段調整式にしてもよい。またカムレバー159をバネ特性切換えボックス160の操作レバー163で操作するようにしたが、例えばカムレバー159を、複数の異なる回動位置でストラット150の外筒部に固定できるようにしてバネ特性切換えボックス160を廃止すれば構造の簡素化を図ることができる。なおこのカムレバーの調整を販売店で行うようにすれば多数のユーザの異なる性能要求に応えることが可能となる。
【0061】
図12は、本発明の第3実施形態に係るストラットと手動式スタンドを装着した二輪車の後輪および補助輪部の側面図である。図13は図12に対応する平面図、図14は図13に対応するレバー連結およびグリップ部の断面図である。
【0062】
170は手動式スタンドであり、171は左右のレバー、173はレバー連結材およびグリップであり、左右のレバー171は前端部において左右のレバー171の間に間座1733を介挿し、グリップ部を形成する円筒1731、平座金1732、バネ座金1736を組込み、ボルト1734、ナット1735により締付け固定されている。
【0063】
図15は本発明の第3実施形態に係るストラットの短縮側のストロークをロックするロック部を説明するための説明図、図16は図15に対応する支持片の説明図である。
【0064】
図12乃至16において、172は二輪車の直立時におけるストラット150’の短縮側ストロークをロックするためのロック部材であり、上端部にキー溝付きの孔1729が設けられた矩形の支持片1721と、下端部の当接片1722が重ね合せられ、レバー材171の後端部に溶接固定されている。そしてロック部材172はバネ座金1726、ナット1725により回り止め防止用六角部を使用して支軸1724に固定され、その ロック部材172は支持軸部が平座金1727、バネ座金1726、ナット1725により、支持ポスト121に溶接固定された円筒1723に回動自在に組み付けられ、グリップ1731によりレバー171を下方に操作すると、当接片1722と第1エンドキャップ153’の肩部に設けられた平面部とが当接してストラット150’の短縮側のストロークがロックされ補助輪により転倒が防止される。なお支持片1721は沈みキーにより支持軸1724に回転不能に固定されている。
【0065】
174は後フォークに設けられたレバー172の保持クリップであり、手動式スタンド170のロックOFF時に、175は後輪用フェンダー104に設けられたレバー172の保持クリップであり手動式スタンド170のロックON時の不用意な動きを防止している。
【0066】
本実施の形態に係る手動式スタンドを使用することによって、補助輪を超えて、後方に足を延ばしてスタンドを踏付ける必要がなくなり、衣服を汚すことなく脚部に障害のある人でも手動で容易に駐輪作業を行うことができ、またスタンド機構の重量軽減を図ることができる。
なお、本実施の形態においては、手動式スタンドのグリップ部を図12において、後フォーク120、リヤチューブ102、チエンステイ110、後フェンダー104で形成されるスペースに設けたが、キャリアー105、後フォーク120、後フェンダー104で形成されるスペースに設けてもよい。
【0067】
図17は、本発明の第4実施形態に係るストラットの伸縮両方向のストロークをロックするロック部の説明図であり、図18は図17に対応する支持片を説明するための説明図である。
【0068】
1721’はストラット150”の伸縮ストロークをロックするための支持片であり、下端部に切込み溝1728が設けられている。そしてストラット150”の第1エンドキャップ153”の側面には水平方向内向きに延びる丸ピン1533が設けられ、グリップ1731によりレバー171を下方に操作すると、丸ピン1533と支持片721’の切込み溝1728とが噛合い、ストラット150”の伸縮両方向のストロークがロックされ、さらに転倒側と異なる補助輪の荷重が駐輪時の転倒防止に機能し駐輪時の安全性が強化され、また二輪車の後部の僅かのリフトで補助輪が路面より離れるので、二輪車の駐輪作業時等の取回しが容易となる。
【0069】
なお、上述の各実施形態は、いわゆる自転車に限定されるものではなく、電動アシスト付き自転車、原動機付き自転車等の二輪車に広く適用できる。トレーリングアームは、左右独立式でもよいし左右連動式でもよい。手動式スタンドは、ストラットのストローク−荷重特性が切換えできるものに限らず、切換えできないものにも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態に係るストラットを装着した二輪車の側面図である。
【図2】図1に係る二輪車の後輪および補助輪部を説明するための拡大側面図である。
【図3】図2に対応する平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るストラットの断面図である。
【図5】図4に係るA−A断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るストラットのストローク−荷重特性の説明図であり、(A)はカムの作動前、(B)はカムの作動後のストローク−荷重特性の説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るストラットの断面図であり、図5に対応するストラットの説明図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るストラットのストローク−荷重特性の説明図である。
【図9】本発明の第1実施の形態に係るバネ特性切換えボックスの正面図である。
【図10】図9に係るバネ特性切換えボックスの側面図である。
【図11】図9に係るバネ特性切換えボックスの上面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るストラットを装着した二輪車の後輪および補助輪部の側面図である。
【図13】図12に対応する平面図である。
【図14】図13に対応するレバー連結およびグリップ部の断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係るストラットの短縮側ストロークのロック部の説明図である。
【図16】図15に対応する支持片の説明図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係るストラットの伸縮両ストロークのロック部の説明図である。
【図18】図17に対応する支持片の説明図である。
【図19】従来例に係るストラットの断面図である。
【0071】
100・・・二輪車
101・・・メインフレーム
102・・・リヤチューブ
103・・・ハンドルバー
104・・・後輪用フェンダー
105・・・キャリアー
110・・・チエンステイ
111・・・ブラケット
112・・・チエン
113・・・ペダル
120・・・後フォーク
121・・・支持ポスト
1211・・・支軸
1212・・・ゴムブッシュ
130・・サドル
140・・・補助輪取付け装置
141・・・トレーリングアーム
142・・・車軸
143・・・支軸
144・・・バンド
145・・・係止(後部)
150、150’、150”・・・ストラット
151・・・外筒
1511・・・第1空気室
1512・・・第2空気室
152・・・ピストンロッド
1521・・・第1円筒体(第1マウント)
1522・・・スプリング(ストッパー)
1523・・・当接面
153、153’、153”・・・第1エンドキャップ(第1閉鎖)
1531・・・軸受け
1532・・・ワッシャー
1533・・・丸ピン
154・・・第2エンドキャップ(第2閉鎖)
1541・・・カム
1542・・・支持軸
1543・・・突条
1544・・・六角部
1545・・・軸受け
1546・・・間座
1547・・・第2円筒体(第2マウント)
1548・・・ゴムブッシュ
1549・・・突条
155・・・ピストン
1551・・・オリフィス
1552・・・オリフィス
156・・・第1スプリング
1561・・・スプリングポスト
1562・・・スプリングポスト
157・・・第2プリング
1571・・・センタリングワッシャー
158、158’・・・バネ座
1581・・・ロッド(ストッパー)
1582・・・袋状ナット
1583・・・ロッド(ストッパー)
1584・・・六角部
159・・・カムレバー
160・・・バネ特性切換えボックス(調整ボックス)
161・・・ベースプレート
162・・・カバー
1621・・・皿ビス
1622・・・ストッパー
1623・・・ストッパー
1624・・・戻止め
163・・・操作レバー
1631・・・アンカー
1632・・・グリップ
164・・・軸
1641・・・スプリング
1642・・・ワッシャー
1643・・・ナット
1644・・・ワッシャー
1645・・・バネ座金
1646・・・ナット
1647・・・平座金
165・・・係止
1651・・・ビス
166・・・Uバンド
167・・・索線
1671・・・エンドピース
1672・・・アウターケース
168・・・リターンスプリング
170・・・手動式スタンド
171、171’・・・レバー
172、172’・・・ロック部材
1721、1721’・・・支持片
1722・・・当接片
1723・・・円筒
1724・・・支持軸(六角部付き)
1725・・・ナット
1726・・・バネ座金
1727・・・平座金
1728・・・切込み溝
1729・・・孔(キー溝付き)
173・・・レバー連結材およびグリップ
1731・・・円筒(グリップ)
1732・・・平座金
1733・・・円筒
1734・・・ボルト
1735・・・ナット
1736・・・バネ座金
174・・・クリップ(ロックOFF側)
175・・・クリップ(ロックON側)
L1・・・第1スプリングの総たわみ量
L2・・・第2スプリングの総たわみ量
L3・・・直立時から第2スプリング作動開始までのストローク
Wr・・・直立時の補助輪荷重(片輪)
FW・・・前輪
RW・・・後輪
RR・・・補助輪



【特許請求の範囲】
【請求項1】
後輪部にトレーリングアームとバネ特性を有するストラットを備えたトレーリングアーム式懸架装置に補助輪を設けた二輪車において、
該ストラットのストローク−荷重特性が小ストローク時の緩傾斜部から中・大ストローク時の急傾斜部および垂直立上り部に亘る非一直線形であり、かつ前記急傾斜部および/または垂直立上り部が前記緩傾斜部方向にシフトして前記補助輪の転倒防止機能が強化できる可変式であることを特徴とするストラット。
【請求項2】
前記中・大ストローク時の急傾斜部および垂直立上り部が前記緩傾斜方向にシフトすることにより、前記二輪車の直立時における補助輪の支持力が増加することを特徴とする請求項1に記載のストラット。
【請求項3】
前記ストラットは、上部が第1閉鎖により、下部が第2閉鎖によって閉鎖さ れた外筒と、
前記第1閉鎖の中央部を貫通摺動して前記外筒の軸方向に伸縮するピストンロッドと、
該ピストンロッドの上端に設けられ前記二輪車の車体側に揺動自在に取付けられた第1マウントと、
前記第2閉鎖の下部に設けられ前記トレーリングアーム側に揺動自在に取付けられた第2マウントと、
前記第1閉鎖と前記第1マウント間に介挿され、内径内を前記ピストンロッドが挿通した第1スプリングを有し、
前記外筒内には順次上側から、
前記ピストンロッドの下端に固定されるピストン、
第2スプリング、
該第2スプリングの下端を支持するバネ座、
該バネ座と一体的に構成され、前記ストラットの最大ストロークを規定する
ストッパーロッドが格納され、
さらに、前記バネ座の下方で前記外筒または第2閉鎖内に、該外筒または第2閉鎖の軸と直交する回動軸を有するカムが設けられ、
該カムの回動による前記バネ座およびストッパーロッドの上方移動により、前記急傾斜部および垂直立上り部が前記緩傾斜部方向にシフトすることを特徴とする請求項1に記載のストラット。
【請求項4】
前記ストラットは、上部が第1閉鎖により、下部が第2閉鎖によって閉鎖さ れた外筒と、
前記第1閉鎖の中央部を貫通摺動して前記外筒の軸方向に伸縮するピストンロッドと、
該ピストンロッドの上端に設けられ前記二輪車の車体側に揺動自在に取付けられた第1マウントと、
前記第2閉鎖の下部に設けられ前記トレーリングアーム側に揺動自在に取付けられた第2マウントと、
前記第1閉鎖と前記第1マウント間に介挿され、内径内を前記ピストンロッドが挿通した第1スプリングを有し、
前記外筒内には順次上側から、
前記ピストンロッドの下端に固定されるピストン、
第2スプリング、
該第2スプリングの下端を支持するバネ座、
該バネ座と前記外筒の軸方向に、相互に摺動可能に構成されたストッパーロッドが格納され、
さらに、前記バネ座の下方で前記外筒または第2閉鎖内に、該外筒または第2閉鎖の軸と直交する回動軸を有するカムが設けられ、
前記カムの回動によりストッパーロッドのみが上方移動し、前記垂直立上り部が前記緩傾斜部方向にシフトすることを特徴とする請求項1に記載のストラット。
【請求項5】
前記カムの回動が、前記二輪車のハンドル部に設けられたバネ特性切換えボックスまたはバネ特性調整ボックスの操作レバーと前記ストラットの外部に設けられたカムレバーに接続された索線を介して、前記操作レバーの操作で行われることを特徴とする請求項3または4に記載のストラット。
【請求項6】
前記後車輪の側面かつ後輪タイヤの輪郭線の外側から手動でレバーを第1の方向に操作することにより、前記二輪車の直立状態における前記ストラットの短縮側のストロークをロックし、前記レバーを前記第1の方向と反対の第2の方向に操作すると上記ロックが解除されて、駐輪時における二輪車の転倒を防止できることを特徴とする請求項1または2に記載のストラット。
【請求項7】
前記ストラットの第1マウントの近傍において前記車体から水平かつ左右方向に設けられた支持軸回りに回動可能で、前記ストラットの略軸方向下向きに延びるロック部材と、一端が該ロック部材に接続され前記後車輪の側面かつ後輪タイヤの輪郭線の外側に配置された左右2本のレバーと、該2本のレバーの他端を相互に連結する連結部とグリップ部を有する手動式スタンドを備え、
また、前記手動式スタンドのグリップ部を前記第1の方向に操作したときに前記ロック部材の下端部と当接する当接部を前記第1閉鎖の上面または前記外筒の上端部に有し、
前記手動式スタンドのグリップ部を前記第1の方向に操作したとき前記ストラットの短縮側のストロークをロックし、
前記手動式スタンドのグリップ部を前記第2の方向に操作したときには、前記ロック部材が前記当接部から離接して、前記ストラットの短縮側のストロークのロックが解除されて、駐輪時における二輪車の転倒を防止できることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1に記載のストラット。
【請求項8】
前記ストラットの第1マウントの近傍において前記車体から水平かつ左右方向に設けられた支持軸回りに回動可能で、前記ストラットの略軸方向下向きに延び、その下端部に略前後方向の切込み溝が設けられたロック部材と、一端が前記ロック部材に接続され前記後車輪の側面かつ後輪タイヤの輪郭線の外側に配置された左右2本のレバーと、該2本のレバーの他端を相互に連結する連結部とグリップ部を有する手動式スタンドを備え、
また、前記第1閉鎖または前記外筒には上端部に左右方向に延びるピン状の突起が設けられ、
前記手動式スタンドのグリップ部を前記第1の方向に操作したときに前記ロック部材の切込み溝とピン状の突起とが噛合って、前記ストラットの伸縮両方向のストロークがロックされ、
前記手動式スタンドを前記第2の方向に操作したときには、前記ロック部材の切込み溝とピン状の突起との噛合いが解除されて、駐輪時における二輪車の転倒を防止できることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1に記載のストラット。
【請求項9】
後輪部にトレーリングアームとバネ特性を有するストラットを備えたトレーリングアーム式懸架装置に補助輪を設けた二輪車において、
前記二輪車の後車輪の側面かつ後輪タイヤの輪郭線の外側から手動でレバーを第1の方向に操作することにより、前記二輪車の直立状態における前記ストラットの短縮側または伸縮両方向のストロークをロックし、前記レバーを前記第1の方向と反対の第2の方向に操作すると上記ロックが解除されて、駐輪時における二輪車の転倒を防止できることを特徴とするストラット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−126513(P2011−126513A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134982(P2010−134982)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(308018039)
【Fターム(参考)】