説明

二酸化塩素を含有する増粘流体組成物

本発明は、二酸化塩素を含有する安定な組成物および二酸化塩素を含有する増粘流体組成物の製造方法に関する。本発明の安定な組成物は、亜塩素酸塩、酸源および増粘剤成分を含む混合物を含有している。前記亜塩素酸塩,酸源および増粘剤成分のうち少なくとも一つは、粒子の形状である。一実施形態では、前記混合物は、二酸化塩素が、水などの水性媒体との相互作用によって発生する一体の固形体である。この混合物には、場合によって、遊離ハロゲン源を添加してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二酸化塩素の組成物に関する。詳しくは、本発明は増粘二酸化塩素組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低濃度(すなわち1,000ppmまで)の二酸化塩素は、臭気および微生物を処理するのに有用であることは、長年にわたって知られている(米国特許第6,238,643号参照)。二酸化塩素は、塩素元素を同じかまたは類似の目的に使用するとき生成することがあるクロラミン類または塩素化有機化合物などの望ましくない副産物を生成することなく、機能するので、食料品上のまたはその周囲の微生物および/または有機臭気付与物質を制御しようとするとき使用すると特に有用である。例えば、低濃度の二酸化塩素ガスを、新鮮な農産物を農場からある地域の小売業者まで輸送する数日間、その農産物に接触させ続けることができれば、その農産物の腐敗速度は低下させることができる。さらにまた、二酸化塩素ガスは、一般に、脱臭の用途および大部分の抗菌の用途に対して有効な低濃度でヒトに接触しても安全と考えられている。
【0003】
二酸化塩素の別の用途が、その製造方法とともに以下に開示する諸特許に例示されている。米国特許第2,071,091号には、亜塩素酸および亜塩素酸の塩を使用する、改良された殺真菌剤および殺菌剤ならびに改良された滅菌法が開示されている。用語「亜塩素酸および亜塩素酸の塩」には、酸性pHまで酸性化された可溶性亜塩素酸塩の水溶液が含まれている。そのような溶液は、二酸化塩素および亜塩素酸アニオンの混合物を含有し、その二酸化塩素/亜塩素酸塩の比率は、その溶液のpHが低いときに高い。このプロセスは、このアルカリ性亜塩素酸塩と酸を扱って測定するために、使用者に、比較的高度の熟練度が必要である。酸性pHが必要であるので、溶液の好ましいpHがアルカリ性であるこの方法の有用性は限定され、かつ生成する溶液は、塩化ナトリウムおよび酸の溶液副産物で汚染されている。
【0004】
米国特許第2,071,092号には、可溶性亜塩素酸塩、酸性化剤および低溶解性の充填剤の乾燥混合物を含む乾燥ブリケットの形状の脱臭組成物が開示されている。このブリケットは、水に溶解すると二酸化塩素が発生し始める。この方法は、未熟練の使用者には適しているが、やはり、溶液は酸性pHで製造する必要があり、そしてその溶液は、前記薬剤の溶液副産物で汚染されている。さらに、不活性で低溶解度の充填剤は、扱いにくくかつ処理することが困難な不溶性残渣のペーストを残す。
【0005】
米国特許第4,585,482号には、二酸化塩素放出化合物および加水分解性の有機酸生成ポリマーを含有し、長期間作用する殺微生物組成物が開示されている。得られた乾燥材料が二酸化塩素ガスを放出するように、前記組成物および水の入った乾燥ポリマーで被包したマイクロカプセルの製造方法が開示されている。482号特許のポリマーの被包被膜の主目的は、硬質で自由に流動する粒子を提供しかつマイクロカプセルの中から水が失われないように保護することである。これらマイクロカプセルを水に浸漬すると二酸化塩素の溶液が生成する。
【0006】
臭気や微生物を処理するために使用する以外に、二酸化塩素は、口腔介護製剤、乳首消毒剤および創傷ドレッシングにも使用できる。米国特許第5,944,528号および同第6,479,037号には、二酸化塩素の前駆体を含む第一配合物およびこの前駆体と接触すると二酸化塩素を生成できる酸性物質を含む第二配合物を含有する歯白色化組成物が開示されている。一実施形態では、その二つの配合部分は、十分混合したのち、その混合組成物全体を、特注のエチレン酢酸ビニル製の歯科用トレイに入れて歯に塗布することができる。あるいは、第一または第二の配合物の一方を最初に歯に塗布したのち、残りの配合物を塗布することもできる。
【0007】
米国特許第4,330,531号には、二酸化塩素を含む殺病原菌物質、および二酸化塩素を含む殺病原菌組成物を小出しするためのアプリケーターが開示されている。米国特許第5,200,171号には、口腔健康製剤および口腔健康法が開示されている。この171号特許には、安定化された二酸化塩素とリン酸塩類を含有する、安定なうがい用または歯磨き用の組成物が記載されており、そのリン酸塩は、約0.02%〜3.0%の間の範囲内で含有されている。その安定化された二酸化塩素は、前記口腔製剤を口の中で使用するときにpHを下げるため、活性化阻害剤のリン酸塩を使用して生成させる。
【0008】
米国特許第6,312,670号には、過酸化水素含有化合物を含む歯漂白組成物および歯の漂白法が開示されている。この組成物は歯科用トレイで投与できる。
【0009】
米国特許第6,500,408号には、エナメル質にとって安全な歯漂白剤とその使用法が開示されている。この歯漂白剤には、漂白剤と増粘剤が含まれている。その漂白剤は一般に過酸化物でありおよび増粘剤はポリビニルピロリドンである。漂白は歯科用トレイを使って実施できる。漂白剤は可撓性ストリップにつけて、漂白すべき歯につけることができる。
【0010】
米国特許第6,379,685号には、貯蔵寿命、衛生化(sanitizing)能力および組織保護性を提供する改良された皮膚軟化剤を含む酸性の水性亜塩素酸塩の乳首消毒剤が開示されている。この組成物は、二つの部分すなわち単純な亜塩素酸塩溶液と一種の酸を使って混合される。
【0011】
米国特許第5,597,561号には、付着性消毒組成物および皮膚の消毒に使用する方法が開示されている。この消毒組成物は、微生物感染症を防止することを目的として、プロトン酸、亜塩素酸金属塩およびゲル化剤を含有しており、混合すると、微生物感染症の伝送と伝播を防止する消毒バリアーとして働く有効な付着性マトリックスが提供される。
【0012】
上記用途と方法に加えて、本願の譲受人は、二酸化塩素の発生方法を開発して特許を出願してきた。本願の譲受人は、米国特許第6,699,404号および同第6,432,322号に開示されている二酸化塩素発生錠剤Aspetrol(登録商標)を生産している。これらの錠剤は、悪臭を放つ化合物の酸化、領域の脱臭、水の消毒、処理および/または浄化などの広範囲の用途に使用されている。これらの特許は、水中に添加したときに、高度に転化した二酸化塩素の溶液を生成する固形体(solid body)を開示している。この固形体は、亜塩素酸ナトリウムなどの亜塩素酸金属塩、重硫酸ナトリウムなどの酸源および任意にジクロロイソシアヌル酸のナトリウム塩もしくはその水和物などの遊離ハロゲン源を含有している。
【0013】
米国特許第6,238,643号も、本願の譲受人に発行された特許であるが、二酸化塩素発生成分の反応によって、二酸化塩素の水溶液を製造する方法が開示されている。その二酸化塩素発生成分は、水が実質的に存在しないときは反応せず二酸化塩素を生成しない亜塩素酸金属塩と酸生成成分である。その二酸化塩素発生成分は、水および/または水蒸気透過性であるが中に入っている二酸化塩素発生成分は不透過性の膜の中に配置されている。その二酸化塩素発生成分の入っている膜を液体に浸漬すると、二酸化塩素が発生し、その膜を通過してその液体中に放出され、二酸化塩素の水溶液が形成される。
【0014】
上記特許は、二酸化塩素の溶液の使用および製造方法を開示している。多くの異なる用途で有効であるにもかかわらず、これら溶液が、増粘されていない流動性の液体のコンシステンシーであることは、この溶液の可能性のある用途を制限するので、使用者は、この溶液が有効に利用されていることを保証するため、多大の努力を払う必要があることが多い。例えば、歯を白色化する用途では、専門的に監視された家庭用の歯白色化組成物は大部分酸化反応で作用する。これらの組成物は、患者が直接使用する、特注の歯白色化トレイに小出しする。一般に、これらトレイは、患者の口の中に、しばしば約60分を超える時間、ときには、8〜12時間もの長時間、結果を得るために保持しなければならない。
【0015】
さらに、増粘されていない流動性の二酸化塩素溶液は、表面または基板、例えば医療機器の洗浄、衛生化または消毒に使用するとき、使用が制限されることは明らかである。例えば、二酸化塩素溶液を医療機器に塗布する幾つかの方法は、医療機器をその溶液に浸漬する必要がある。この塗布法は、医療機器にたいして効果的であるには、多量の溶液を消費する必要がある。この溶液は、スプレイとして使って、基板または領域を洗浄、衛生化または消毒することもできる。しかし、この塗布法も、その液体溶液が、意図していない領域に飛散したりまたはしたたり落ちて、要求されている領域には有効でないという問題がある。増粘されていない気体または液体の二酸化塩素をスプレイすることも非現実的であり、使用者は、スプレイによる塗布を繰り返す必要がある。
【0016】
前記溶液が流動性コンシステンシーを有するので、使用者がその溶液を基板または表面に塗布するのに大きな努力を払う必要があるなどの当分野の問題点は、増粘した二酸化塩素溶液を使用することによって克服できる。
【0017】
二酸化塩素の増粘混合物は、二酸化塩素の水溶液であることも当分野で周知である。二酸化塩素の増粘混合物は、クレー、ポリマー、ガムなどの増粘剤を、二酸化塩素の水溶液に添加して、増粘された擬似塑性の水性流体混合物を製造することによって製造される。二酸化塩素を含有する増粘混合物の利点は、未増粘二酸化塩素溶液に比べて、垂直表面に対する付着性に優れていることと二酸化塩素の揮発性が低いことである。二酸化塩素の揮発性が低いのは、二酸化塩素の、増粘混合物の内部から表面への物質移動が阻害されるからである。
【0018】
二酸化塩素は、高濃度で発生させる必要がある。高濃度の二酸化塩素を発生させることは従来困難であった。異なる形態の二酸化塩素を製造するため、当分野では、多くの方法が利用されてきた。粘性二酸化塩素混合物を製造する一方法は、亜塩素酸ナトリウムの増粘水溶液および第二の増粘酸性水溶液を製造し、使用時に、これら二つの増粘溶液を、正しい比率で混合する方法であった。別の方法は、使用時に、当分野で知られているいずれかの手段(亜塩素酸ナトリウムの溶液と酸の溶液を混合する、亜塩素酸ナトリウム、酸およびハロゲン源それぞれの溶液を混合するなどの二酸化塩素発生装置)を利用して、二酸化塩素の溶液を製造し、次いでこの二酸化塩素溶液に、一種以上の増粘剤を添加する方法である。しかし、いずれにしろ、利用者は、使用時に現場で、比較的高濃度の亜塩素酸ナトリウムおよび酸の溶液を測定し混合しなければならず、しかもこれには、比較的高度の訓練と熟練度が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
増粘二酸化塩素混合物としては、いかなる期間でも表面または基板上に保持するために必要なコンシステンシーを有し、かつ使用者が大きな努力を払う必要なしで、表面または基板上で有効であるものが望ましい。本発明は、高濃度の二酸化塩素を含有する増粘混合物を製造するための安定な組成物およびその増粘混合物の製造方法を提供するものである。この新しい組成物と方法によって、一種以上の粒子状成分を、水性媒体と混合して高濃度の粘性二酸化塩素混合物を製造する方法が提供される。本発明は、二酸化塩素の増粘混合物を高収率で提供して、従来技術の欠点を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、二酸化塩素を製造するための安定な組成物に関する。この組成物は、亜塩素酸塩、酸源および増粘剤成分ならびに任意に水などの、二酸化塩素を生成する成分を含有する混合物を含んでおり、これら成分は反応しないように混合されている。一実施形態では、前記亜塩素酸塩、酸源および増粘剤成分のうち少なくとも一つは、粒子状形態である。本発明の別の実施形態では、その組成物は、二酸化塩素を、水との相互作用で発生する無水の一体の固形体である。あるいは、この混合物の一種以上の成分は、例えば、反応性成分を安定化成分で処理して水中で直ちに反応するのを防止するなどして、非反応性状態にある限り、水などの水性媒体中に存在していてもよい。
【0021】
本発明は、安定な二酸化塩素生成組成物、および二酸化塩素を含有する増粘流体組成物の製造方法に関する。本発明は、増粘されていない流動性の液体または気体である従来技術の二酸化塩素の形態とは異なっている。従来技術の形態の二酸化塩素は、そのコンシステンシーが原因で用途が限定されている。従来技術の形態の二酸化塩素のコンシステンシーが原因で、使用者は、特殊タイプの二酸化塩素を、目的とする表面上に保持されることを保証するため多大の努力を払わねばならぬことが多い。一方、本発明の増粘二酸化塩素は、未増粘の二酸化塩素溶液より、多くの基板と表面に、より良好に付着する。増粘二酸化塩素は、単独で使用するかまたはある種の二酸化塩素保持器具とともに使用しても、垂直な表面にたいして有効である。増粘二酸化塩素は、未増粘の二酸化塩素溶液と比べて二酸化塩素の揮発性を低下させることができる。
【0022】
用語「安定な」は、本明細書で使用する場合、二酸化塩素を製造するため使用する成分、すなわち二酸化塩素生成成分が、直ちに互いに反応して二酸化塩素を生成するわけではないことを意味するものである。いずれにしろこれら成分は、ClO2を発生させるべき時点まで、混合物が安定である限り、例えば順におよび/または同時に、いずれかの方法で混合できる。用語「非反応性の」は、本明細書で使用する場合、成分が、使用されるとき、存在する他の成分と直ちに反応して二酸化塩素を生成するわけではないことを意味するものである。語句「増粘流体組成物」には、せん断応力を加えると流動することができ、流動しているとき、同じ濃度の対応する二酸化塩素水溶液の粘度より大きい見かけの粘度を有する組成物が含まれている。これは、ニュートン流(せん断速度とせん断応力の比率が一定でかつせん断応力から独立している)を示す流体、チキソトロピー流体(流動する前に最小降伏応力を克服する必要があり、またせん断力を加え続けるとせん断応力が減少する)、擬似塑性流体(流動する前に最小降伏応力を克服する必要がある)、ダイラタント流体の組成物(せん断速度を増大すると見かけの粘度が増大する)および降伏応力をかけると流動できる他の材料を含む増粘流体組成物の全範囲をカバーしていることを意味する。語句「見掛けの粘度」は、流動をもたらすせん断条件の任意のセットにおけるせん断応力/せん断速度の比率と定義する。見掛けの粘度は、ニュートン流体の場合、せん断応力から独立しており、そして非ニュートン流体組成物の場合、せん断速度によって変化する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
二酸化塩素生成組成物は、亜塩素酸金属塩、酸源、増粘剤/増粘成分および任意に遊離ハロゲン源を含む混合物を含んでおり、これらの成分は、反応しないように混合されている。一実施形態では、前記亜塩素酸塩、酸源および増粘剤成分のうち少なくとも一つが固体成分である。その固体成分としては、粒子、一体の固形体またはその組合せがある。したがって、前記混合物は、例えば、粒子固体の亜塩素酸塩、任意に粒子固体の酸源、任意に粒子固体の遊離ハロゲン源および任意に一種以上の粒子固体の増粘剤を含有している。これら成分のうち一種以上は水中に存在していてもよい。別の実施形態では、前記混合物は、亜塩素酸金属塩、酸源および任意に遊離ハロゲン源を、一種以上の粒子固体の増粘剤とともに含有する固形体である。さらに別の実施形態では、前記混合物は、粉末の形状の粒子(例えば粉砕によって得られる)であり、増粘剤成分の層の中に混合されて増粘マトリックスを形成している。その増粘マトリックスは、歯科用ストリップに小出しし、次いでそのストリップを展性ワックスに付着させて歯に使用する。
【0024】
前記混合物は、水性媒体に添加すると、増粘された水性二酸化塩素を生成する。その水性媒体は、水のみを含んでいるか、または水とともに、追加成分、例えば酸源もしくは亜塩素酸塩アニオン源(但し両者ではない)、一種以上の増粘剤、および水性媒体が亜塩素酸アニオンを含有していない場合、遊離ハロゲン源を含有している。
【0025】
用語「粒子」は、すべて固体の材料を意味すると定義する。この粒子は互いに散在しかつ何らかの方式で互いに接触している。これらの固体材料としては、大粒子、小粒子、または大粒子と小粒子両者の混合物を含む粒子がある。
【0026】
本発明で採用される亜塩素酸金属塩は、一般に、任意の亜塩素酸金属塩でもよい。好ましい亜塩素酸金属塩は、亜塩素酸アルカリ金属であり、例えば亜塩素酸ナトリウムおよび亜塩素酸カリウムである。亜塩素酸アルカリ土類金属も採用できる。亜塩素酸アルカリ土類金属の例としては、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸カルシウムおよび亜塩素酸マグネシウムがある。最も好ましい亜塩素酸金属塩は亜塩素酸ナトリウムである。
【0027】
前記酸源としては、無機酸性塩類、強酸のアニオンと弱塩基のカチオンを含有する塩類、水と接触したとき溶液中にプロトンを放出できる酸類、有機酸類およびそれらの混合物がある。本発明の特定の用途における酸源は、好ましくは、乾燥して貯蔵されている間は亜塩素酸金属塩と実質的に反応しないが、水性媒体の存在下では亜塩素酸金属塩と反応して二酸化塩素を生成する粒子固体材料である。用語「酸源」は、本明細書で使用する場合、それ自体酸性であるかまたは液体および亜塩素酸金属塩と接触すると酸性環境を生成する粒子固体材料を意味するものとする。この酸源は、水溶性または水に実質的に不溶性でもよい。好ましい酸源は、約7未満のpHをもたらしより好ましくは約5未満のpHをもたらす酸源である。
【0028】
好ましい実質的に水溶性の酸源を生成する成分の例としては、限定されないが、ホウ酸、クエン酸、酒石酸などの水溶性固体酸;無水マレイン酸などの水溶性の有機酸無水物;および塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸水素ナトリウム(NaHSO4)、リン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)、硫酸水素カリウム(KHSO4)、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)などの水溶性酸性塩;ならびにそれらの混合物がある。最も好ましい酸源生成成分は硫酸水素ナトリウム(重硫酸ナトリウム)である。追加の水溶性酸源生成成分は、当業者に周知であり、本発明の範囲内に含まれる。
【0029】
用語「遊離ハロゲン源」は、本明細書で使用する場合、水と反応してハロゲンを放出する化合物またはその化合物の混合物を意味する。用語「遊離ハロゲン」は、本明細書で使用する場合、遊離ハロゲン源が放出するハロゲンを意味する。一実施形態では、遊離ハロゲン源は遊離塩素源でありそしてその遊離ハロゲンは遊離塩素である。無水組成物に使用される遊離ハロゲン源の適切な例としては、ジクロロイソシアヌル酸およびその塩たとえばジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなどおよび/またはその二水和物(あるいはジクロロイソシアヌル酸のナトリウム塩および/またはその二水和物と呼称され、以後まとめて「NaDCCA」と呼称する);トリクロロシアヌル酸;次亜塩素酸の塩、例えば次亜塩素酸のナトリウム塩、カリウム塩およびカルシウム塩;ブロモクロロジメチルヒダントイン;ジブロモジメチルヒダントインなどがある。好ましい遊離ハロゲン源はNaDCCAである。
【0030】
二酸化塩素生成組成物は、例えば液体水中に添加したときに二酸化塩素の増粘溶液を生成し、そして遊離ハロゲン源が存在していれば、遊離ハロゲンを生成する組成物である。一実施形態では、遊離ハロゲンが存在していれば、溶液中の遊離ハロゲン特に遊離塩素の濃度は、
(a)溶液中の二酸化塩素の重量ベース濃度より低く、および溶液中の、二酸化塩素の濃度/二酸化塩素と亜塩素酸アニオンの濃度の合計の比率が重量ベースで少なくとも0.25:1であるか、または
(b)溶液中の二酸化塩素の重量ベース濃度以上であり、および溶液中の、二酸化塩素の濃度/二酸化塩素と亜塩素酸アニオンの濃度の合計の比率が重量ベースで少なくとも0.50:1である。
【0031】
二酸化塩素の増粘された擬似塑性の水性流体混合物を製造するのに適切な増粘剤としては、クレー類、ポリマー類、ガム類などがある。これら増粘剤は、粒子の形状または水性媒体の形態でもよい。ポリマーの例としては、高吸水性ポリマー類とポリアクリル酸ポリマー類がある。ラポナイトクレー(Laponite clay)類、アタパルジャイトクレー類、ベントナイトクレー類が適切なクレーであり、そして代表的ガム類としてはキサンタンとグアーガム類がある。
【0032】
本発明では、前記混合物は、ある期間安定である。その安定性は、混合物を無水に保持することおよび/または安定化成分を使用することに起因している。
【0033】
混合物が互いに時期尚早に反応するのを阻止するため、本発明で使用できる安定化成分は、本発明の一種以上の粒子成分を被覆するコーティングまたはカプセル材料である。これらの安定化成分は、即時にではなくゆっくり溶解するように設計されている。好ましいコーティングまたはカプセル材料としては、例えば親油性の材料があり、より好ましくは、疎水性(水に不溶性)ポリマー材料がある。安定化成分として機能できるカプセルまたはコーティングの材料の非限定例としては、従来の、食用ガム類、樹脂類、ワックス類および鉱油類がある。そのような安定化コーティング材料は、混合物と水性媒体がすぐに反応するのを防止する。これら安定化成分は、その安定化成分を破壊または除去して、例えば撹拌と加熱によってその成分を水性媒体に暴露するなどの、当業者に知られている方法によって活性化して、すぐに反応を行うことができる。
【0034】
用語「疎水性」または「水に不溶性」は、有機ポリマーについて本明細書で採用する場合、25℃の水100g当たり約1g未満の水溶性を有する有機ポリマーを意味する。
【0035】
単独でまたは一種以上の他の成分と組み合わせて本発明で使用される、適切な水不溶性ポリマーの非限定例としては、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタンなどがある。
【0036】
適切な親油性のコーティングまたはカプセル材料の非限定例としては、パラフィン;鉱油;落花生油、やし油、パーム油もしくはベニバナ油などの食用油;ミリスチン酸イソプロピルシロマンもしくはパルミチン酸イソプロピルなどの親油性有機エステル類;食用ポリシロキサン類などがある。
【0037】
パラフィンとワックスの混合物を含むカプセル材料も適切な安定化成分である。
【0038】
この安定化成分は、前記混合物の一種以上の成分を安定化することができる。例えば、その成分のうち少なくとも一種は水性であり、他の二種は安定化される。
【0039】
本発明の、固形体型の無水組成物を使用して水中で二酸化塩素を生成する場合、粒子の固体成分を、まとめて一体固形体などの固形体中にいれ、次いで水性媒体中に添加する。固形体については、共同出願人による米国特許第6,432,322号および同第6,699,404号で考察されている。なおこれら特許は本明細書に参照により組み込まれる。したがって、増粘ClO2混合物を製造する一方法は、固形体と、粒子の固体増粘剤すなわち一種以上の増粘剤成分/増粘剤を混合し、次いで両者を水中に添加するステップを含んでいる。この場合、ClO2は前記固形体によって産生され、そしてその混合物は、増粘剤で増粘されて、最終のClO2増粘混合物を生成する。別の方法では、増粘剤は、固形体に直接組み込むことができる。
【0040】
固形体は、亜塩素酸ナトリウムなどの亜塩素酸金属塩、重硫酸ナトリウムなどの酸源、任意にジクロロイソシアヌル酸のナトリウム塩もしくはその水和物などの遊離ハロゲン源、および任意に増粘剤を含有している。固形体は、好ましくは、約1重量%未満の自由水分を含有しており、これは100℃で放出させることができる。この固形体は、水中に浸漬して、二酸化塩素の水溶液を製造する場合、および増粘剤を固形体中に直接組み込むかもしくは固形体とは別個の成分として添加して増粘二塩化酸素を製造する場合に適している。しかし、先に列挙した個々の粒子と同様に、固形体のすべての成分が水にすぐに溶解するわけではない。
【0041】
用語「固形体(solid body)」は、本明細書で使用する場合、粒子成分の大きさが固形体の大きさより実質的に小さい顆粒成分の混合物を含有する錠剤固体形状、好ましくは多孔質固体形状または錠剤を意味する。そのような固形体は、当分野で知られている各種の方法、例えば錠剤化法、ブリケッティング法、押出し法、シンタリング法、顆粒化法などによって製造できる。そのような固形体の好ましい製造法は、錠剤化法としても知られている圧縮による方法である。便宜上、以後、錠剤および錠剤化に言及した場合は、いずれかの方法で製造された固形体を示すと解すべきである。
【0042】
固形体を製造する場合、亜塩素酸金属塩は、亜塩素酸アルカリ金属もしくは亜塩素酸アルカリ土類金属、好ましくは亜塩素酸ナトリウムを含み、そして最も好ましくは、公称80重量%の亜塩素酸ナトリウムおよび20重量%の安定化塩、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウムおよび/または硫酸ナトリウムなどを含む工業銘柄の亜塩素酸ナトリウムを含有している。適切な酸源としては、無機の酸性塩類、例えば硫酸水素ナトリウム(重硫酸ナトリウム)、硫酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸二水素カリウム;強酸のアニオンと弱塩基のカチオンを含有する塩類、例えば塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硝酸セリウムおよび硫酸鉄;水と接触すると、溶液中にプロトンを放出できる酸類、例えば分子ふるいETS−10(米国特許第4,853,202号参照)でイオン交換された形態の酸および塩化ナトリウムの混合物;有機酸類、例えばクエン酸および酒石酸;ならびにこれらの混合物がある。酸源は、好ましくは無機の酸源であり、最も好ましくは重硫酸ナトリウムである。
【0043】
亜塩素酸アニオンを二酸化塩素に、所望の程度まで転化しやすくするのに必要な細孔の大きさと容積の範囲は、以下の多数の要因、例えば錠剤中の薬剤の特定の組合せ、錠剤の大きさ、錠剤の形状、水の温度、水中に溶解されている他の化学薬剤、亜塩素酸アニオンの二酸化塩素への所望の転化度、溶液中に送達すべき遊離ハロゲンの所望量などによって決まる。したがって、最適の結果をもたらす細孔の大きさと容積の単一の最適範囲は存在しないと考えられる。
【0044】
二酸化塩素の溶液の特性について所望の結果を達成するため、錠剤の細孔の大きさと容積を変えることは、当業者の能力の範囲内である。例えば、細孔の大きさと容積は、錠剤を製造するのに使用される粉末の粒子の大きさを変えるか、錠剤を成形するのに利用する圧縮力を変えるか、または粒子の大きさと圧縮力の両者を変えることによって、変えることができる。粉末の粒子が大きければ大きいほど、一般に、錠剤中に、より大きい細孔がより多数生成する。圧縮力が増大すると、一般に錠剤中の細孔の大きさと容積はともに小さくなる。
【0045】
本発明の一実施形態の錠剤は、遊離分子の二酸化塩素に高度に転化した溶液を迅速に生成することが観察された。これは、転化率(亜塩素酸アニオンの二酸化塩素への転化率)が0.25以上であること意味する。転化率は、好ましくは少なくとも0.50であり、より好ましくは少なくとも0.60であり、そして最も好ましくは少なくとも0.75である。用語「転化率」は、本明細書で使用する場合、生成溶液中の遊離二酸化塩素の濃度の、生成溶液中の遊離二酸化塩素+亜塩素酸イオンの濃度の合計にたいする比率の計算値を意味する。さらに、この二酸化塩素溶液は、安全でかつ制御された方式で迅速に製造され、このように製造された二酸化塩素の濃度が、典型的な水道水中、典型的な使用レベル(重量ベースで、約0.1〜約1000ppm、好ましくは約0.5〜約200ppm)である場合、その溶液は、実質的に遊離塩素または他の遊離ハロゲンを含有しておらず、ほぼ中性のpHである。
【0046】
用語「迅速に生成する」は、本明細書で使用する場合、全二酸化塩素が、約8時間未満で生成し、好ましくは約2時間未満で生成し、最も好ましくは約1時間未満で生成することを意味する。用語「遊離塩素または他の遊離ハロゲンなし」は、本明細書で使用する場合、溶液中の遊離塩素または他の遊離ハロゲンの濃度が、重量ベースで、前記溶液中の二酸化塩素の濃度より低く、前記溶液中の二酸化塩素の濃度の好ましくは1/2未満、より好ましくは1/4未満、および最も好ましくはせいぜい1/10であることを意味する。
【0047】
用語「ほぼ中性のpH」は、本明細書で使用する場合、そのpHが、実質的な濃度の二酸化塩素を溶液中に生成するのに通常必要なpHより高く(すなわち、約2より高いpH)かつ二酸化塩素が溶液中で不均化することが分かっているpHより低い(すなわち、約12未満)ことを意味する。生成溶液のpHは、この溶液が接触する材料が腐食する可能性を最小限にするため、好ましくは、約4〜9の間のpHである。生成溶液のpHは、より好ましくは、約5〜9の範囲内にすべきであり、最も好ましくは約6〜9の範囲内にすべきであり、7が理想的である。場合によっては、pHがすでに約7より高いかまたは低い溶液中に、二酸化塩素を生成させることが有利なことがある。二酸化塩素の濃度が典型的な使用レベルにある場合、前記固形体を使用して、その溶液のpHを実質的に変えることなく、その溶液中に二酸化塩素を送達できる。例えば、固形体を使って、洗剤の典型的な溶液中に、二酸化塩素を生成させる場合、その洗剤溶液は、その洗剤が最良に機能するアルカリ性pH(すなわち>9)であることが有利である。本発明の固形体は、この目的のために使用できる。しかし、このような場合、生成する洗剤/二酸化塩素溶液のpHは、二酸化塩素が約12より高いpHで分解するので、約12より低いほうが好ましい。
【0048】
遊離ハロゲンは、生成溶液が接触する材料を腐食することがあり、かつ遊離ハロゲンは有機材料と反応して毒性のハロゲン化炭化水素を生成することがあるので、生成溶液中の遊離ハロゲンの濃度を低くすることが有利な場合が多い。本発明の固形体は、遊離ハロゲン源無しで、高度に転化した二酸化塩素溶液を生成する性能を有しているので、固形体錠剤の配合物中の、十分少ない量の遊離ハロゲン源を使用して、過剰量の遊離ハロゲンを生成溶液に加えることなく、二酸化塩素生成反応を促進することができる。
【0049】
他の場合には、溶液中に比較的高い濃度の遊離塩素または他の遊離ハロゲンが存在することを許容できる。そのような場合、本発明の固形体を使って、溶液中の二酸化塩素の濃度の、二酸化塩素と亜塩素酸アニオンの濃度の合計にたいする比率が、重量ベースで0.5より大きい、非常に高度に転化された二酸化塩素水溶液を製造できる。これらの場合、溶液中の遊離塩素または他の遊離ハロゲンの濃度は、重量ベースで、溶液中の二酸化塩素の濃度に等しいかまたはその濃度を超える。
【0050】
錠剤は、必要に応じて、例えば、錠剤化の工程で役に立ち、製造される錠剤の物理的および美的特性を改善し、かつ錠剤の可溶化および/または得られる二酸化塩素の収集に役立つ有用な、随時使用される追加の成分を含有していてもよい。そのような成分としては、限定されないが、アタパルジャイトクレーや塩化ナトリウムなどの充填剤;錠剤化潤滑剤および錠剤ダイの潤滑剤;安定剤;染料;亀裂防止剤;塩化カルシウムや塩化マグネシウムなどの乾燥剤;膨潤性の無機クレー、例えば、Southern Clay Products,Inc.から入手できるラポナイトクレーのような細孔生成剤;および配合物中の一種以上の他の成分と反応して、二酸化塩素生成反応を進行させる溶解性の低い多孔質骨格構造を形成できる骨格形成体がある。
【0051】
重炭酸ナトリウムなどの発泡剤は、少量、例えば、固形体の重量をベースとして約1〜約50重量%含有していてもよいが、この発泡剤は、錠剤の崩壊と溶解を加速することによって、亜塩素酸アニオンの、二酸化塩素への転化を低下させることがある。
【0052】
本発明の錠剤の実施形態には、二タイプの錠剤装置がある。一タイプの装置は水に完全に溶解する錠剤で構成され、そしてそのような錠剤の好ましい製剤は、工業銘柄の亜塩素酸ナトリウムの乾燥粉末、酸源の好ましくは重硫酸ナトリウムの乾燥粉末、および非反応性の増粘剤を含んでいる。上記のように、この増粘剤は、固形体中に直接組み込んでもよく、または固形体とは別個の成分として添加してもよい。
【0053】
二酸化塩素の収量と生成速度をさらに改善するため、塩化マグネシウムなどの、追加の乾燥粉末の成分を任意に添加してもよい。これら乾燥粉末の成分は混合され、次いで生成した粉末混合物は、実質的に無傷の錠剤を製造するのに十分な力、一般に約1000〜10,000lb/in2にて錠剤ダイで圧縮する。
【0054】
生成する錠剤は、水(液体または気体)に暴露されないように保護されている限り、貯蔵中、安定である。この錠剤は、水に浸漬すると、高い転化率で生成した遊離二酸化塩素の溶液を迅速に生成する。
【0055】
第二のタイプの錠剤装置として、高速度で、水に完全には溶解しない錠剤がある。これらの完全には溶解しない錠剤は、多孔質の骨格構造が溶解する前に、二酸化塩素生成反応が実質的に完全に進行できる、低溶解性のまたはゆっくり溶解する多孔質の骨格構造を有する(または生成する)ように設計されている。この第二のタイプの錠剤は、一般に、上記の完全に溶解する錠剤と比べて、より高い比率の亜塩素酸アニオンの前駆体の化学薬剤を二酸化塩素に転化する。
【0056】
第二タイプの錠剤装置の好ましい製剤は、粒子粉末の亜塩素酸ナトリウム、粒子粉末の重硫酸ナトリウム、粒子粉末の塩化カルシウムおよび非反応性増粘剤を含有している。ラポナイトクレーなどの粒子粉末クレーを、任意に添加して、二酸化塩素生成の収量と速度をさらに一層改善できる。この場合、任意に、固形体に直接組み込まれたラポナイトクレーは、二酸化塩素の増粘溶液を製造するための増粘剤としては使用できない。ラポナイトクレーは、錠剤に使用すると、第二錠剤の低溶解性のまたはゆっくり溶解する多孔質骨格の細孔中にトラップされて、そのクレーを凝集させて粘性媒体を形成させるバルクの溶液中には放出されない。なお、ラポナイトクレーは、固形体とともに別個の成分として水中に添加することによって、二酸化塩素の増粘溶液を製造することができる。これら第二タイプの錠剤中のポリマー類またはガム類も、増粘剤として使用して、二酸化塩素の増粘溶液を製造することができる。これらポリマー類とガム類は、ラポナイトクレーとは異なり、第二タイプの錠剤に直接添加することができ、あるいは、これらポリマー類とガム類は、固形体とともに別個の成分として、水中に添加できる。
【0057】
第一タイプの錠剤と同様に、粒子粉末の成分は混合され、次いで生成した粉末混合物は、実質的に無傷の錠剤を製造するのに十分な力、一般的に約1,000〜10,000lb/in2にて、錠剤ダイで圧縮される。生成した錠剤は、水(液体または気体)に暴露されないように保護されている限り、貯蔵中、安定である。この錠剤は、水に浸漬すると、高い転化率で生成した遊離二酸化塩素の溶液を迅速に生成する。
【0058】
この第二タイプの錠剤は、一般に、第一タイプの錠剤と比べて、より効率的に亜塩素酸アニオンを二酸化塩素に転化する。この現象は、低溶解性の多孔質骨格が、反応剤が実質的に消費しつくされるまで、二酸化塩素を生成する反応が進行する好ましい環境を提供するので起こると考えられる。
【0059】
第二タイプの装置の錠剤中の二酸化塩素の生成は、低溶解度の(またはゆっくり溶解する)多孔質骨格構造の細孔空間の好ましい環境内で実質的に起こり、かつ同時に増粘剤で増粘されると考えられる。この骨格の好ましい細孔構造は、この反応時間中実質的に無傷のままのようであるから、実質的にすべての亜塩素酸アニオンは、好ましい条件下、細孔内で反応して二酸化塩素を生成する機会を有している。その結果、亜塩素酸の二酸化塩素への転化率は最大になる。対照的に、第一タイプの装置は、二酸化塩素を産生すると同時に、バルク溶液中に溶解されている。これらの薬剤は、濃縮状態(錠剤の細孔内に存在する状態のような)下でのみ、実際に有用な速度で反応すると考えられるので、二酸化塩素に転化される前にバルク溶液に溶解している亜塩素酸の画分は、実質的に亜塩素酸のままであり、バルク溶液の一般に希薄な状態下では、二酸化塩素に転化されない。
【0060】
第二タイプの錠剤装置の好ましい組成物の低溶解性多孔質骨格は、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、硫酸第二鉄、リン酸第二鉄もしくはリン酸亜鉛などの低溶解性化合物、またはシリカ−アルミナゲル、シリカ−マグネシアゲル、シリカ−ジルコニアゲルもしくはシリカゲルなどの低溶解性無定形物質のような骨格形成体(framework former)を含み、そして追加して、ラポナイトクレーのようなクレーまたは他の実質的に不溶性の骨格もしくは細孔形成体を含んでいてもよい。上記硫酸カルシウムは、好ましくは、例えば塩化カルシウム成分由来のカルシウムカチオンと、重硫酸ナトリウム成分から誘導される硫酸アニオンとの間の反応から製造される。硫酸マグネシウムなどの他の硫酸アニオン源のみならず硝酸カルシウムなどの他のカルシウムカチオン源も使用できる。リン酸アニオンは、好ましくは、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、対応するカリウムリン酸塩類などの可溶性リン酸塩および他の溶解性リン酸塩を使用して提供される。シリカ−アルミナゲルは、好ましくは、ケイ酸ナトリウムと硫酸アルミニウムの間の反応から製造される。シリカ−マグネシアゲルは、好ましくは、ケイ酸ナトリウムと硫酸マグネシウムの間の反応から製造される。シリカ−ジルコニアゲルは、好ましくは、ケイ酸ナトリウムと硫酸ジルコニルの間の反応から製造される。シリカゲルは、好ましくは、ケイ酸ナトリウムと固体酸源由来の酸との反応から製造される。ケイ酸ナトリウム成分のアルカリ性を相殺するため、追加の固体酸の成分が必要なことがある。
【0061】
好ましいクレー、ラポナイトクレーは、提供されるときは不溶性であるので、バルク溶液中には放出されない。このクレーは、前記細孔内にトラップされるようになる膨潤性クレーであり、膨潤する時、割れ目と空洞を形成することによって前記多孔質骨格の細孔構造を増強する。先に述べたように、ラポナイトクレーは、第二タイプの錠剤の、低溶解性またはゆっくり溶解する骨格構造内にトラップされるので、周りの水の中に逃げ出して、粘性媒体を形成することはない。本発明者らは、低溶解性多孔質骨格、例えば硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウムなどの骨格を、化学反応によって、現場で、製造すると、特に有利であり、骨格が現場で製造された錠剤からの二酸化塩素の収率は、骨格の材料が初期の粉末製剤の成分である錠剤より(通常25%)有意に優れていることを見出したのである。骨格の材料に加えてクレーが存在すると、クレー無しの骨格材料を使用する場合を超えて少しだけ改善される。
【0062】
用語「低溶解性のまたはゆっくり溶解する多孔質の骨格」は、本明細書で使用する場合、二酸化塩素産生期間中、生成溶液中に、実質的に溶解しないまま残っている多孔質の固体構造を意味する。その多孔質骨格は、二酸化塩素を生成する反応期間中、全体が無傷のままである必要はない。本発明の一態様として、崩壊して、二酸化塩素を溶液中に放出する実質的に不溶性の(またはゆっくり溶解する)顆粒になる第二タイプの錠剤がある。このことは容認できると信じるものである。なぜならば、その顆粒の大きさは、その顆粒の細孔空間内の細孔の大きさに比べて依然として大きいので、骨格が顆粒に分解しているにもかかわらず、必要な、集中した反応条件が前記細孔空間中の存在しているからである。一般に、骨格形成体は、固形体の重量ベースで約10〜約90重量%の量で存在している。
【0063】
前記両タイプの錠剤装置では、錠剤成分間の早期の化学的相互作用を最小限にするため、混合し錠剤化を行う前に、粉末成分を乾燥することが好ましい。
【0064】
本発明の錠剤を製造し試験する全手順
錠剤の製造:
錠剤製剤の個々の化学成分は使用する前に乾燥する。各成分の所要量を、慎重に、計量してプラスチック製バイアル中に入れる。下記実施例では、製剤は、重量%ベースで提供される。錠剤製剤の全成分が入っているバイアルを振盪して、成分を徹底的に混合する。このバイアルの内容物を、適切な大きさのダイ(例えば、1gの錠剤用の直径13 mmのもの)中にいれる。このダイに、プランジャーをおいて、実験室用液圧プレスを使って内容物を圧縮してペレットにする。プレスゲージで読取る最大力は、特に断らない限り2000ポンドであった。この錠剤パンチにたいする力は、プランジャー面の面積(in2)がわかっている場合(一般に、1gの錠剤用には0.206in2)、ポンド/in2の単位に変換できる。生成した錠剤を、(一般に10分間以内に)ダイから取り出し、使用するまで、密閉されたプラスチック製バイアル中に入れておく。
【0065】
錠剤の性能
錠剤を、既知量の水道水を満たしたメスフラスコまたはメス容器中に入れる。泡の発生と黄色になることから明らかなように、二酸化塩素の放出が直ちに始まる。錠剤は、反応が完了するまで反応させる。反応の完了は、一部、錠剤のタイプと大きさによって決まる。一般に、反応時間は、1gの錠剤が部分的に不溶性の場合、2時間以下であり、および1gの錠剤が完全に溶解する場合、0.5時間である。反応が完了したとき、内容物を混合するため、そのフラスコ/容器を振盪または撹拌する。次いで、その内容物を分析する。一般に、二酸化塩素は、四種の波長を使って、US−Vis分光測定法によって測定する(平均値を報告する)。テキスト:Standard Methods for the Examination of Water and Wastewater,19th Edition(1995) pages4−57 and4−58に見られる方法に等しい方法を利用して、一般に25mlの二酸化塩素溶液を滴定することによって、亜塩素酸と塩素を測定する。このテキストは、the American Public Health Association、the American Water Works Associationおよびthe Water Environment Federationが共同で刊行している。その出版社はAmerican Public Health Association,Washington,D.C. 20005である。酸化体の全量を、塊状白金電極を備えたBrinkmann Autotitration System,716 DMS Titrino(Brinkmann製品番号6.0415.100)を使って滴定によって測定する。この測定法は、ヨウ化物からヨウ素への酸化反応と、これに続く、滴定剤のチオ硫酸ナトリウムとの反応に基づいたヨウ素滴定法である。その一般的な手順は下記の通りである。100mlの二酸化塩素溶液と撹拌棒をビーカー中に入れ、2gのヨウ化カリウム(Reagent Crystals)と10 m1の1 N硫酸溶液(Mallinckrodt)を撹拌しながら添加した。生成した溶液を、0.1 N チオ硫酸塩溶液(Aldrich Chemical Co.)で滴定する。その終点は、Brinkmann Tritio softwareによって自動的に測定される。この終点を利用して、試料中の全酸化体の濃度を計算する。元の二酸化塩素溶液のpHは、「そのまま」の溶液についておよび/または二酸化塩素の濃度を約10ppmにするのに十分な水で希釈して、pH電極によって測定する。
【0066】
高濃度のClO2(>10ppm)を含有する増粘混合物を製造する別の方法は、粒子成分として、粒子固体の亜塩素酸ナトリウムと粒子固体の一種以上の増粘剤を提供し、次いでこれら粒子を、十分に過剰酸性の酸性水溶液と混合するステップを含んでいる。生成した混合物のpHは、粒子成分を添加した後、<4である。さらに別の代替物は、粒子成分としての粒子固体の酸源、および一種以上の増粘剤を含有する、水性媒体としての亜塩素酸ナトリウム溶液を含有している。前記粒子を混合した後、生成した混合物のpHは<4である。その外の変型も本発明の範囲内にある。
【0067】
二酸化塩素を含有する増粘流体組成物は、前記混合物を前記水性媒体と混合することによって、即座に製造できる。あるいは前記混合物と水性媒体を、前記混合物を水性媒体から隔離する供給ユニット中に、使用する直前まで保管し、次いで、これら二成分を、供給するとき混合する。
【0068】
前記供給ユニットとしては、一体のセパレータまたはディバイダを有する単一のハウジングで構成され、前記混合物と水性媒体は、その供給ユニットから供給された後にのみ合流するユニットがある。あるいは、供給ユニットは、もろいセパレータまたはディバイダを有する単一のハウジングで構成され、前記混合物と水性媒体は、最初、隔離されているが、そのもろいディバイダが貫通されると混合されるユニットでもよい。供給ユニットのさらに別の変型としては、少なくとも二つの個々のもろい容器を保有し、一方が前記混合物成分用で、他方が水性媒体用であり、これら個々のもろい容器は圧力を加えると破壊するユニットがある。これらのおよび他の供給ユニットについては、米国特許第4,330,531号に十分説明されており、この特許は本明細書に参照により組み込まれる。
【0069】
二酸化塩素には、布地および製紙用パルプの漂白;表面または空間の脱臭、消毒、衛生化および滅菌という用途が確立されている。本発明は、さらに、創傷ドレッシング、環境の浄化、歯科/口腔の介護物質、殺病原体物質、歯白色化組成物および他の各種用途の個人用潤滑剤に使用できる。
【0070】
その外の用途としては、悪臭化合物の酸化;冷却塔、緊急時用飲料水、車両洗浄用循環水、水の軟化剤および動物監禁設備の処置;ならびに硬質で非多孔質の、食物と接触する表面および用具の消毒がある。本発明は、食料加工工場、醸造所および食料取扱い設備、再循環冷却水システムおよび総合水処理設備などにおける典型的な工業用途にも使用できる。
【0071】
本発明の組成物は、創傷ドレッシングのような治療用膜として使用する場合、さらに、重合性有機化合物と光開始剤を含む流体の重合性組成物を含有していてもよい。米国特許第5,597,561号は、増粘された創傷ドレッシングの例を開示している。この561号特許は、亜塩素酸金属塩と他の成分を含有する接着性消毒組成物を目的としている。この561号特許の組成物は、微生物感染の伝播と増大を防止する消毒バリアーとして働く有効な接着性マトリックスを提供する。
【0072】
本発明の組成物は、歯白色化組成物に使用する場合、歯科トレイに小出しして、そのトレイによって、歯の表面につけることができる。この組成物は、予め定められた期間、歯の表面に接触させたまま保持する。その歯の表面は、歯の獲得薄膜、エナメルおよびぞうげ質の構造中に保持されている発色団にたいする二酸化塩素の酸化作用によって白色化される。必要ではないが、この歯白色化組成物には、選択された香料や甘味剤を組み込んでもよい。あるいは、本発明の組成物は、デンタルストリップ(dental strip)またはモノリシックシース(monolithic sheath)を通じて歯白色化組成物に利用できる。このシースは、高吸水性ポリマーなどの増粘剤中に入れた粒子の二酸化塩素形成成分から構成されるマトリックスである。このマトリックスすなわちシースは、手に取って歯に直接塗布できるようにまたは変形しやすいワックスまたは他のシート材料のストリップに接着して歯に塗布できるように、ストリッップの形に成形できる。増粘された二酸化塩素の混合物が、水または他の水性媒体と接触して、シース上に生成する。
【実施例】
【0073】
本発明を証明するため、幾つかの実施例を以下に記載する。
【0074】
実施例1
米国特許第6,699,404号の実施例5に記載の組成物250mgの錠剤を、0.3gのASAP 2000(米国イリノイ州パラティン所在のChemical Corporationが供給しているアクリル酸ナトリウムの高吸水性ポリマーの粉末)と混合した。上記混合物を、透明ガラスのバイアル中の水道水20mlと混合し、緩やかに振盪し、一夜保管して、二酸化塩素(ClO2)を含有する増粘水性混合物を製造した。その混合物は、増粘された、しかも流体の組成物であった(表1参照)。
【0075】
実施例2
0.4gのアクリル酸塩粉末のASAP 2000 を使って、実施例1の手順を繰り返した。その混合物は、増粘された、しかも流体の組成物であった(表1参照)。
【0076】
実施例3
0.5gのアクリル酸塩粉末のASAP 2000 を使って、実施例1の手順を繰り返した。その混合物は、上下、逆にすると流動する、可塑性の増粘された組成物であった(表1参照)。
【0077】
実施例4
0.6gのアクリル酸塩粉末のASAP 2000 を使って、実施例1の手順を繰り返した。その混合物は、上下、逆にすると流動する、可塑性の増粘された組成物であった(表1参照)。
【0078】
実施例5
0.7gのアクリル酸塩粉末のASAP 2000 を使って、実施例1の手順を繰り返した。その混合物は、逆にしても流動しない、可塑性の増粘された組成物であった(表1参照)。
【0079】
【表1】

【0080】
表1に、各実施例に使用したASAP 2000のグラム数と、実施例1〜5で生成した混合物のコンシステンシーを示す。表1は、ASAPの量が、混合物の増粘コンシステンシーと関連していることを示している。
【0081】
実施例6
米国特許第6,699,404号の実施例5に記載の組成物250mgの錠剤を、透明ガラスバイアル中の水道水20ml中に浸漬して、撹拌することなく溶解するまで反応させた。次いで、その溶液を二等分し、その一方の部分に、ASAP 2000(アクリル酸塩の粉末)3.5gを添加した(撹拌しながら)。各部分を、水道水100mlで希釈した。
【0082】
増粘されていない部分のClO2の濃度を、直接挿入プローブ付きのSpectral Instruments Model 440 UV/Visible分光計を利用してUV/Visible 分光法で分析した。両希釈溶液の遊離酸化体の濃度を、pH 7に緩衝してKI/チオ硫酸塩滴定法で分析した。その試験結果は、前記増粘されていない溶液が、約900ppmのCLO2(UV/Visible 分光法で902ppmのClO2および滴定法で875ppmのClO2)を含有していることを示した。前記増粘された混合物は、滴定法で821ppmのClO2を含有していた。これらの試験結果に基づいて、ClO2は、有機増粘剤を含有する増粘された水性混合物中で安定であると結論した。
【0083】
実施例7
実施例6の試験を繰り返した結果、増粘されていない溶液は、1100ppmのClO2(UV/Visible 分光法で1170ppmのClO2および滴定法で1062ppmのClO2)を含有していることを示した。増粘された混合物は、滴定法で991ppmのClO2を含有していた。これらの試験結果に基づいて、ClO2は、有機増粘剤を含有する増粘された水性混合物中で安定であると結論した。
【0084】
実施例8
米国特許第6,699,404号の実施例5に記載の組成物の錠剤10個を、水道水200mlに溶解して二酸化塩素の溶液を製造した。7本の透明ガラスバイアル各々に、ASAP 2000アクリル酸塩粉末0.7gをいれ、次いで、先に調製したClO2溶液20mlを添加した。各バイアルを、ゲルが形成されるまで、緩やかに振盪した。一バイアルのClO2濃度を、直ちに、滴定法で測定した結果、766ppmであることがわかった。残りの試料は、きつく蓋締めして、周囲の実験室の温度と湿度下の暗所に貯蔵した。選択した時間間隔をおいて、バイアル貯蔵場所から取り出し、分析して残留ClO2の濃度を測定した(下記表2参照)。
【0085】
【表2】

【0086】
この試験結果は、増粘された混合物中のClO2の安定性が予想外に良好であることを証明した。約25%のClO2が、1週間以内に、溶液から失われ、濃度はその後、実質的に変化しなかった。
【0087】
実施例9
増粘二酸化塩素には、二酸化塩素の空気中への放出を制御する方法がある。増粘混合物中の二酸化塩素の化学安定性は、組成物に使用される増粘剤のタイプによって影響される。幾つかの増粘剤は、二酸化塩素の化学安定性を低下させる。増粘混合物中の二酸化塩素の化学安定性を、ラポナイトクレー、キサンタンガム、グアーガムおよびPolyox(商標)ブランドのポリエチレンオキシドを含む異なる増粘剤を使用して測定した。その化学安定性は、0.1重量%と1重量%の増粘剤の濃度で試験した。下記表3は、増粘二酸化塩素溶液の、20分後の二酸化塩素濃度の保持率(%)を示している。
【0088】
【表3】

【0089】
上記データは、二酸化塩素が、幾つかの増粘剤の場合、他の増粘剤より安定であることを示している。この場合、20分後の時点で、二酸化塩素の濃度は、グアーガムの濃度が0.1重量%と1重量%のときに最も低く、およびラポナイトクレーの濃度が0.1重量%と1重量%のときに最も高かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化塩素を含む増粘流体を生成する安定な組成物であって、
非反応性であるように混合された亜塩素酸塩、酸源および増粘剤成分を含み、かつ水中で二酸化塩素を発生させるために使用される混合物を含有する組成物。
【請求項2】
前記組成物が乾燥固体の粒子である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記混合物が、前記亜塩素酸塩、前記酸源および前記増粘剤成分のうち少なくとも2成分を含む一体の固形体を含有している請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記固形体が、亜塩素酸金属塩、酸源、任意に増粘剤成分、および任意に遊離ハロゲン源を含有している請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記固形体が、亜塩素酸金属塩、酸源、非反応性の増粘剤成分、および任意に遊離ハロゲン源を含有している請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記混合物が、粒子状の増粘剤成分、および前記亜塩素酸塩と前記酸源を含む一体の固形体の混合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記亜塩素酸塩または前記酸源の少なくとも一方が水性媒体中に存在し、および前記亜塩素酸塩または前記酸源の少なくとも一方が安定化成分で処理されている請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記亜塩素酸金属塩と前記酸源が、前記増粘剤成分を含む固体マトリックス中に存在している請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
増粘二酸化塩素流体組成物の製造方法であって、
水中で二酸化塩素を生成する少なくとも一種の反応剤を含む固体成分を調製する工程、
増粘剤成分を供給する工程、及び
前記固体成分と前記増粘剤成分を水中で混合し、前記固体成分の少なくとも一部は、水にすぐには溶解されず、かつ前記少なくとも一種の反応剤が第二の反応剤と反応して二酸化塩素を生成する工程、
を含む製造方法。
【請求項10】
前記増粘剤成分が粒子であり、および前記固体成分が、亜塩素酸金属塩、酸源および任意に遊離ハロゲン源の混合物を含有する固形体である請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2009−524572(P2009−524572A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552354(P2008−552354)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/001721
【国際公開番号】WO2007/089473
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(507276151)ビーエーエスエフ、カタリスツ、エルエルシー (47)
【Fターム(参考)】