説明

二酸化塩素又は他の殺菌剤の加圧水システムへの制御された用量供給

交換可能なフィルタカートリッジ(258)のような、内部で流体の循環のために構成された、支持構造体を有する媒体(210)であって、制御された用量で二酸化塩素又は他の殺菌剤を配送するために化学的に構成される一つ以上の反応体を含む殺菌剤(236)を含み、流体に湿潤時に殺菌し、脱臭し、及び消毒し、内部で循環する流体に露出するように媒体の支持構造体に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2002年3月20日に出願された米国特許仮出願第60/366,144号明細書への優先権の利益を享受する。この明細書の開示事項は、完全な形で参照により本明細書に取り込んでいる。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、水処理のシステムと方法に関し、さらに具体的には、加圧水システム中へ二酸化塩素又は他の殺菌剤の制御された用量を供給するシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の背景
飲料水は、公共施設による処理後でさえ、種々の水準の、例えばHPC、病原性バクテリヤ、及び藻類のようなバックグラウンド汚染物を含む。多くの場合、塩素が使用され、そのようなバックグラウンド汚染物の濃度を減少する。殺菌又は消毒に使用する塩素と塩素化合物は、飲料水システム、給食業務飲料システム、及び氷分配システムに使用する前に水供給槽から除去される場合が多い。除去の理由は、用途、又はシステムによって変化する。例えば、飲料システムを備える水供給における塩素の存在は、味のような飲料製品の特定の品質に悪い影響を与えることがある。
【0004】
又、消毒薬品を使用しない多くの数の下流側飲料水システムが存在する。このことにより、微生物及び生物フィルム集積の水準が高くなる結果になる。この集積は、よどみの期間に脱塩素フィルタ、樹脂ベッド、及び他の細かく区分されたろ材フィルタの内部で増加する。この集積は、高水準で下流側にて剥離されて、重大な味の異常と臭気のみならず健康問題を引起す可能性がある。長期間に渡って、生物フィルムは、分配設備の水配管と湿った部分を被覆して、問題を複合化する。
【0005】
既知の高水準の微生物集積により発生する問題に対して、給食業者と飲料水産業は水配管を殺菌することを強いられ、国の又は地方の規制により許容される限界値に達することが多かった。現在利用される多くの殺菌手順では、コスト的に集約的サービスを管理して高度に有毒な化学薬品を使用することが困難である。この手順に典型的に使用される薬品の一部は、過酸化物、塩素誘導体、ムリカ酸(muric acid)、及びクエン酸を含む。望ましい殺菌効果がこれらの手順により達成されることがあるけれども、これらの手順は前述の問題のために実行されることは稀である。
【0006】
二酸化塩素又は他の殺菌剤は、また、飲料水ラインに使用する殺菌剤として高く有効であることが見出された。先の処理手順では、二酸化塩素又は他の殺菌剤の高濃度水溶液が採用され、高濃度水溶液は、離れた容器に別に調製され、次いでシステム配管中にポンプ輸送された。この水溶液は、水ラインの圧力が止められる間に長期間システム配管に残留する可能性がある。
【0007】
先の処理手順に従って殺菌剤として二酸化塩素又は他の殺菌剤を使用する主要な不利益の一つは、システム・ダウンタイムの結果に伴う経済的費用である。殺菌されるシステムが処理の期間に使用できないためである。また、二酸化塩素又は他の殺菌剤溶液の有毒性により、特別に訓練された保全技能者が、溶液が完全に洗い流されるまで現場に残る必要のある場合が多い。このようにして、これらの先の処理手順に伴う金銭上の負担が追加される。
【0008】
洗い流す方法それ自体が、先の処理手順のシステム・ダウンタイムを著しく長時間に延長する場合が多い。これは、二酸化塩素又は他の殺菌剤溶液への延長された静的露出によりシステム配管に残された残留分のためである。この残留分は、多くの場合除去することが困難であり、そのような低水準の残留が、有毒又は有害でることが認められ、このようにシステムを繰り返し洗い流す必要があることがある。
【0009】
それ故、加圧水中へ二酸化塩素又は他の殺菌剤の制御された用量を供給するシステムと方法を提供することが有効である。これにより先行技術の欠陥が克服される。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
本発明は、加圧飲料水中へ二酸化塩素又は他の殺菌剤の制御された用量を供給する新規で有用なシステムと方法を提供し、先行技術が伴う問題点を克服する。
【0011】
流体を受けるために構成された入口と、流体を供給するために構成された出口と、流体を内部で循環するために構成された本体と共に支持構造体を有する、交換可能なフィルタカートリッジのような媒体であって、媒体は、流体に濡れたときに二酸化塩素のような殺菌性を有する化合物を制御された用量で放出するように化学的に構成された一つ以上の反応体を含むと共に内部で流体循環に露出されるように媒体内に配置された殺菌剤を備える。
【0012】
好適には、殺菌剤は、二酸化塩素又は他の殺菌剤を特定の量で制御された特定の一定速度で放出し、媒体出口に接続された設備配管を殺菌し、脱臭し、消毒する。二酸化塩素又は他の殺菌剤の放出速度は、水配管と設備湿潤部を殺菌し、脱臭し、消毒するような望む作業を実施するに等しい期間の間一定速度で水に希釈するように設定する。
【0013】
本発明に従って使用する好適な媒体は、システム又は使い捨て可能なカートリッジを備える。特に、本発明は、流体に殺菌剤を供給するシステムに向けられる。システムは、実質的に中空の容器と、流体への露出時に殺菌性を有する化合物を放出するように化学的に構成された一つ以上の反応体を有する殺菌剤とを備える。中空容器は、流体流を受けるように構成された流入路と、流体流出のために構成された流出路と、流入路から流体を受けるために、且つ流出路からの流出に先立ち内部に流体を一時的に閉じ込めるために構成された内部チャンンバとを備える。殺菌剤は、チャンバに配置され、内部の水は、独立バルブにより閉じ込められることがある。
【0014】
本発明は、又、内部に画成されるろ材チャンバとろ材チャンバに配置される殺菌剤とを有する中空ハウジングを備えるフィルタカートリッジに向けられる。殺菌剤は、好適には、ろ材チャンバ内の流体への露出時に殺菌性を有する化合物を放出するように化学的に構成される一つ以上の反応体を備える。
チャンバと流体連通するために構成されるハウジング内流入路と、チャンバと流体連通するために構成されるハウジング内流出路とが存在することができる。流体は、流入路に向けられ、ろ材チャンバを通って流れ、ろ材チャンバ内の殺菌剤に露出された一部の流体からの二酸化塩素又は他の殺菌剤と共に流出路から流出する。
【0015】
好適には、流体は水であり、化合物は二酸化塩素又は他の殺菌剤であり、この場合、一つ以上の反応体が亜塩素酸塩を含み、二酸化塩素又は他の殺菌剤の放出が水との接触により開始する。亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される水溶性の亜塩素酸塩であることがある。好ましくは、一つ以上の反応体は、水溶性亜塩素酸塩と水溶性酸を含む。好ましくは、水溶性酸は、リン酸、フマル酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、蓚酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸及びこれらの混合物から構成される群から選択する。
加えて、本発明のフィルタカートリッジのシステムは、又、殺菌剤と共にチャンバに配置されるろ材を備える。ろ材は、用途によって化学的又は機械的ろ過をするために配置される。好適には、ろ材と殺菌剤は、チャンバに配置され、チャンバに入る流体が、殺菌剤に露出され出口から流出する前に始めにろ材に露出されるように構成される。
【0016】
本発明に従って構成される任意の媒体(例えば、カートリッジ、又はシステム)に実施することができる別の実施例では、溶液は、塩素のような殺菌性を有する第2の化合物を備えるチャンバ内に配置されることがある。この溶液は、次に、チャンバ内を流れる流体と混合し、流出路を通って流出する。
【0017】
本発明に従って構成される任意の媒体に実施可能であるさらに別の実施例では、実質的に中空のネック部がチャンバと結合される。ネック部は、チャンバに流体連通するように構成される流入路に流体連通する入口ポートと、またチャンバに流体連通するように構成される流出路に流体連通する出口ポートとを有する。流入路と流出路は、共にネック部に配置され、ネック部内の二つの流体流をネックとチャンバとで個別に流体連通するように構成される。
【0018】
前述の実施例は、さらに、ネック部に軸方向に配置されると共にチャンバ中に延びる多孔性外周部を有する部分を有する、管状部材を備える。管状部材は、管状部材の外周部とネック部の内側面により境界を定められる、内部の内側軸方向通路と半径方向外側の軸方向通路とを画定する。このようにして、外側軸方向通路と内側軸方向通路は、それぞれ、流入路と流出路を提供することができる。ろ材は、ろ材チャンバ中へ延びる管状部材の部分の多孔性外周部に沿って配置されることがあり、殺菌剤は、チャンバ中に延びる管状部材の部分の内側軸方向通路内に配置することができる。好適には、殺菌剤は、不活性な多孔性仕切り板によりろ材から分離される。
【0019】
本発明に従って構成される任意の媒体に実施することができるさらに別の実施例では、第2の出口ポートが、チャンバと流体連通する位置に、且つチャンバ内の殺菌剤の位置に隣接して、ハウジング又は容器に付加されることがある。その結果、殺菌剤に露出する大部分の、又は実質的に全ての流体が、この第2の出口から流出する。
【0020】
本発明のさらなる特徴は、図面と関連させて続く、本発明の詳細な記述からさらに明白になるであろう。
【0021】
発明の詳細な記述
本発明の詳細な以下の記述において、付属の図を参照する。図は本発明の一部を形成し、図には発明が実施される具体的な実施例が図解により示される。これらの実施例は、当業者が発明を実施できるように十分詳細に記述される。別の実施例を利用することができ、又、構造的変更が、本発明の本質と範囲から逸脱せずになされ得ることが理解される。以下の詳細な記述は、それ故、限界の意味で考慮されず、本発明の範囲は付属の特許請求の範囲及びこれに等しいものにより規定される。
【0022】
本発明は、システム内の水を殺菌剤または清浄剤に定期的に露出することにより、二酸化塩素または他の殺菌剤を水システムに種々の制御された要領で供給する、交換可能なフィルタカートリッジのような媒体を提供する。これらの剤は、湿潤時に二酸化塩素または他の殺菌剤を発生することができる、本明細書に組み入れられたPCT国際公開公報WO01/60750A3(PCT/US01/05002) に開示される薬品のような安定な固形の薬品を含み、これらの薬品に限定されない。好適には、単独薬品、又は組み合わせ薬品は、制御された特定の一定速度で特定量の二酸化塩素又は他の殺菌剤を放出する。二酸化塩素又は他の殺菌剤の速度は、水配管と設備の湿潤部を清浄にする(殺菌する)のに相当する期間にて一定流量速度で水に希釈されるように設定される。
【0023】
ここで、同様な参照数字が本発明の類似した構造的特長を区別する図面を参照すると、図1は、本発明の好適な実施例に従って構成されると共に参照数字10により共通して明示される加圧水システム中に制御された用量の殺菌剤/清浄剤を供給する独立型システムの代表的記述である。
【0024】
システム10は、中空の概略円筒形チャンバ18を内部に確定する、第1端部14と第2端部16を有する圧力容器12を備える。第1端部14は、矢印24(以後、「流入路24」と称する。)に従いチャンバ18中へ流体流を向けるために、流入路24と流体連通する入り口ポート22を有するネック部20を有する。ネック部20は、又、チャンバ18中に軸方向に延びる出口管28と流体連通する出口ポート26を備える。この実施例では、ネック部20は、又場合によっては、矢印30(以後、「バイパス通路30」と称する。)に従って流入路24と流出路26の間に流体連通するバイパス通路を備える。チャンバ18は、第1端部14に隣接する充填されない区域32と、反応体の制御された溶解性を有する固形の殺菌剤36を有する第1処理区域34と、第2端部16に隣接し高濃度の殺菌剤液40を含む第2処理区域38とを備える。第1処理区域34と第2処理区域38は、多孔性不活性仕切り板42により互いから分離される。殺菌剤液40は、好ましくは、塩素であり、又、その排気の検知を容易にするために染料指示薬を含む。
【0025】
システム10は、飲料調製装置又は製氷機のような親システム(示されない)に対する水供給ライン(示されない)に、フィルタヘッド44を介して取り付け可能である。フィルタヘッド44は、供給ライン(示されない)から流体を受ける第1ライン46と、親システムに流体を供給する第2ライン48と、処理装置ポート50とを有する。フィルタヘッド44は、親システムにおける供給ライン又は他のラインと共に構成される、又はこれらのライン上に改装されることがある。システム10は、又、流動制御弁を有する永久接続のような他の方法で親システムに接続されることがある。処理装置ポート50は、システム10のネック部20が挿入されることがあるスペースを提供するために第1ライン46と第2ライン48を分離する。フィルタヘッド44は、又、一定流速を有するライン加圧バイパスを備える。流速は、用途によって変化することがあるが、典型的には約0.946リットル/分(0.25ガロン/分)約18.9リットル/分(5.0ガロン/分)の範囲である。
【0026】
好ましくは、ネック20の外側外周部と処理装置ポート50の内面は、それぞれ上部に画定される対応協調構造体により係合されるように構成される。協調構造体は、特許品の相互接続子からなることがある。又、ネック部20と処理装置ポート50が密封して係合され(例えば、弾性材料で製作される耐水性密封リングを使用して)、それぞれに、第1ライン46と入口ポート22の間、及び、出口ポート26及び第2ライン48の間の流体連通の一体性を保持することが好ましい。
【0027】
一度、システム10がフィルタヘッド44に設置されると(即ち、ネック部20が処理装置ポート50に係合される。)、水が第1ライン46に供給され、入口ポート22に入ることが可能になる。入口ポート22に入る水流の一部が流入路24を通ってチャンバ18中へ移動する。一方、水流の残りの部分がバイパス通路30を通って移動する。バイパス通路30は、出口ポート26から流出する処理水でも希釈されるように、内部の水流を処理されずに出口ポート26を通るように向けるために構成される。流入路24を通る水流は、チャンバ18の充填されない区域32中に注ぎ、未処理水のより良い混合と、チャンバ18内の処理区域34と38内の殺菌剤とのより大きな接触とを容易にする、矢印52により示される乱流を作る。
【0028】
流入流の圧力によって水は、出口管28を経由してチャンバ18から流出する前に、第1処理区域34、多孔性仕切り板42、及び第2処理区域を通って充填されない区域32内に留まる。水は処理区域34と38を通過するので、水は、固形の殺菌剤36と高濃度の殺菌液40に露出される。出口管28からの水流は、フィルタヘッド44の第2ライン48を経由して親システムに向けられる前に、バイパス通路30(含まれる場合は)を経由して出口ポート26から流れる処理されない水と混合する。好適には、この実施例では、親システムに流れる水は、システム10を通過した通路で殺菌剤を約百万分の0.1部から百万分の10部含有する。
【0029】
本発明の別の好適な実施例は、加圧水システム中へ制御された用量の殺菌剤/洗浄剤を供給するための分離された殺菌剤流を有するフィルタカートリッジの図2の表示により記述される。それは、本発明に従って構成され、共通して参照番号110により示される。
【0030】
システム110は、内部に中空の概略円筒形のチャンバ118を画定する第1端部114と第2端部116とを有するフィルタカートリッジを備える。第1端部114は、矢印124に従ってチャンバ118中に流体流を向けるために流入路と流体連通している入口ポート122を有するネック部120を備える(以後、「流入路124」と称する。)。ネック部120は、又、チャンバ118中に軸方向に延びる出口管128と流体連通している出口ポート126を備える。この実施例では、フィルタカートリッジ・ハウジング112は、又、フィルタカートリッジ・ハウジング112の第2端部116に隣接するチャンバ118から流体を引き出す、独立した殺菌剤ライン154を備える。
【0031】
チャンバ118は、軸方向に配置され半径方向に多孔性のセンタコア156と、第1端部114に隣接するろ材を含む、半径方向に外側の第1処理区域134とを備える。ろ材は、性質が機械的又は化学的であることがあり(例えば、泥炭ブロック、篩、活性炭ブロック、流砂ブロック、粒状媒体等)、実質的にセンタコア156を取り囲んでいる。センタコア156は、フィルタカートリッジ・ハウジング112の第1端部114に隣接する第1開口軸方向端部160と、フィルタカートリッジ・ハウジング112の第2端部116に隣接する第2開口軸方向端部162とを備える。
【0032】
センタコア156の第2開口端部162は、制御された反応溶解を有する固形の殺菌剤136を含む第2処理区域138に隣接する。第1処理区域134と第2処理区域138は、多孔性不活性仕切り板142により分離される。更に、ろ剤158は、矢印164が示すように、チャンバ118の内側円周面とろ剤158の外側周囲部との間にそれらの間の流体流のため充填されない環状区域132を画定するためにフィルタカートリッジ・ハウジング112内に適合するように構成され、寸法を決められる。
【0033】
フィルタカートリッジ110は、供給ライン(示されない。)に取り付け可能であり、好適には、飲料調製装置又は製氷機のような親システム(示されない。)のハウジング内に位置する。これは、ネック部120を係合するように構成されるポートを有する、既述の実施例又は他の接続におけるように、フィルタヘッド(示されない。)によって遂行される。
【0034】
システム110が使用されるとき、供給ラインを通ってポンプ送りされた水が、入口ポート122に入り、フィルタカートリッジ・ハウジング112のネック部120の流入路124を通ってチャンバ118中へ流れる。矢印164が示すように、水は、充填されない環状区域132を通って流れ、カートリッジハウジング内に生成する流体圧力により半径方向内側に押し出される。水は、ろ材158を通ってセンタコア156中へ導かれる。センタコア156内の水流の一部は、第1端部114へ且つ出口管128中へ向けられ、矢印166が示すように、最後に出口ポート126を通ってフィルタカートリッジ・ハウジング112から流出する。
【0035】
充填されない環状区域132へ入る水の一部は、チャンバ118の第2端部116へ向けて軸方向に流れ、次いで矢印168が示すように、ろ材158を通過せずに多孔性不活性仕切り板142を通って第2処理区域138中へ流入する。ろ材158を通過したセンタコア156内水流の一部は、圧力により又は圧力を受けずに、第2端部116へ向けられる。処理水のこの流れは、第2開口端部162からセンタコア156を出て、矢印170が示すように、多孔性仕切り板142を通って第2処理区域138中へ入る。第2処理区域138内の水流は、固形の殺菌剤136に接触し、次に独立の殺菌剤ライン154を通ってフィルタカートリッジ・ハウジング112を出る。固形の殺菌剤136に露出された水は、殺菌剤ラインの制御弁172により制御されることがある。
【0036】
本発明の他の好適な実施例は、殺菌剤/清浄剤の制御された用量を加圧水システム中に供給するために、カプセル化した殺菌剤を有するフィルタカートリッジの図3の表示により示される。この実施例は、本発明に従って構成され、共通して参照番号210により表示される。
【0037】
システム210は、内部に中空の概略円筒形のチャンバ218を画定する第1端部214と第2端部216を有するフィルタカートリッジ・ハウジング212を備える。第1端部214は、矢印224(以後、「流入路224」と称する。)に従ってチャンバ218中へ流体流を向けるために、流入路と流体連通する入口ポート222を有するネック部220を有する。ネック部220は、又、チャンバ218中へ軸方向に延びる出口管228と流体連通する出口ポート226を備える。
【0038】
チャンバ218は、軸方向に配置され半径方向に多孔性のセンタコア256と、実質的に第1端部214から第2端部216へ軸方向に延びると共にセンタコア256を実質的に取り囲む、ろ材258を含む半径方向外側の第1処理区域234を備える。ろ材258は、矢印264が示すように、チャンバ218の内側円周面とろ材258の外周との間の流体流のためこれらの間に充填されない環状区域232を備えるように構成され、寸法を決められる。ろ材258は、性質上機械的であるか、又は化学的である(例えば、泥炭ブロック、篩、活性炭ブロック、流砂ブロック、粒状媒体等)。
【0039】
センタコア256は、フィルタカートリッジ・ハウジング212の第1端部214に隣接する開口軸方向端部260と、フィルタカートリッジ・ハウジング212の第2端部216に隣接し、制御された反応溶解を伴う固形殺菌剤236を含む、第2処理区域238とを備える。軸方向に配置された多孔性で不活性な仕切り板242は、第2処理区域238をセンタコア256の残部から分離する。
フィルタカートリッジ210は、供給ライン(示されない。)に取り付け可能であり、好適には、飲料調製装置又は製氷機のような親システム(示されない。)のハウジング内に設置する。これは、ネック部220と係合するように構成されるポートを有する、記述の実施例又は他の接続におけるようにフィルタヘッド(示されない。)によって達成されることがある。
【0040】
使用時には、水は、供給ラインを通ってポンプ送りされ、フィルタカートリッジ・ハウジング212のネック部220の入口ポート222から流入路224を通ってチャンバ218へ流れる。矢印264が示すように、水は、充填されない環状区域232を通って流れ、流体圧力により半径方向内側に押される。水は、ろ材258を通ってセンタコア256中へ強制的に流される。ここで、矢印266が示すように、水は、出口管228中へ流れ、出口ポート226を通ってカートリッジハウジング212を出る。
【0041】
ろ材258を通って強制的に流された水流の一部は、又、矢印268が示すように、第2処理区域238に入り、固形の殺菌剤236に接触する。固形の殺菌剤236に露出した水は、矢印270が示すように、多孔性で不活性の仕切り板242を通って流れる。ここでは、この水は、上述のように、フィルタカートリッジ・ハウジング212を出る前に、固形の殺菌剤236により処理されなかった水と混合する。
【0042】
好適には、予め定められた量の固形殺菌剤236が、通過する流体の全体流をどうにか可能にする、カートリッジ110と210のような殺菌カートリッジにカプセル収納される。適正なカプセル収納殺菌カートリッジ構成体は、コネチカット州メリデンのキュノ社により製造され、SQC(登録商標)シリーズ飲料水システムとして販売されている。
【0043】
本発明に従って構成されるシステム10とカートリッジ110とカートリッジ210、又は他の同様な装置は、特許品の相互接続子のみならず、既存のフィルタシステムを定期的挿入と活性化に適合させる種々の端部接続子形態を有することがある。本発明に従って構成されるシステム又はカートリッジは、又、吸収性媒体の親システム下流中に組み入れることが可能であり、フィルタヘッド構成によって除去される、又は、別の処理に置換されるまで適所に残すことができる。更に、本発明のシステム又はカートリッジは、二酸化塩素又は他の殺菌剤の用量供給のための新設備の一部として、改装部品として、又は交換媒体として、いずれも供給される標準構成部材であることができる。
【0044】
二酸化塩素または他の殺菌剤の種々の用量が、本発明のシステムとカートリッジによって管理されることがある。例えば、二酸化塩素または他の殺菌剤の定期的高用量供給が、カートリッジを通る完全流を又可能にする殺菌剤の予め定められた量を使用することにより遂行されることがある。一度設置すると、水は、本発明のシステムまたはカートリッジ中に導入することができ、限定された出口ポートを充満する。一度湿潤すると、殺菌剤は、予め定められた時間の間カートリッジ内に二酸化塩素または他の殺菌剤を発生し、高水準(例えば、百万分の50部乃至百万分の100部)が、システム又はカートリッジチャンバ内の水に溶解する。出口ポートは、用意ができた時、開口することがあり、二酸化塩素または他の殺菌剤を十分に含んだ水が、水圧下流側流によって、水ラインと装置の湿潤部との中へ強制的に流されることによって、水ラインと装置の湿潤部とから生物フィルムを剥離することが可能である。
【0045】
高濃度の溶液が、下流側設備の全ての出口ポートへ到達することが可能になることがある。その後、親システムの出口ラインは、流れを止めることができる。二酸化塩素又は他の殺菌剤を十分に含む溶液は、予め定められた時間長さの間(例えば、20分乃至数時間)保持され、親システムラインにおける生物フィルムの剥離を容易にすると共に水と湿潤設備部を殺菌することがある。親システムは、水ラインとカートリッジのいかなる残存二酸化塩素又は他の殺菌剤をも清浄にするために、予め定められた時間長さの間洗い流すことが可能である。二酸化塩素又は他の殺菌剤を使用する利点の一つは、その強力な酸化能力と残留物がシステムから洗い流される容易さとである。
【0046】
上述のような高用量供給に対しては、二酸化塩素又は他の殺菌剤の発生速度は、急速であるが、カートリッジ又は独立型システムからのその開放は、水ラインと設備湿潤部を充満するに相当する期間の間、一定流速、好ましくは百万分の50部乃至百万分の100部で水中に希釈するように設定することができる。
【0047】
二酸化塩素又は他の殺菌剤の低用量(即ち、百万分の約0.1乃至百万分の約0.5)は、又、本発明に従って構成されるシステム又はカートリッジに含まれる殺菌剤又は清浄剤にシステムの水を定期的に露出することにより、水システム中に配送することが可能である。例えば、低水準の二酸化塩素又他の殺菌剤の用量供給剤は、他の還元、除去、又は吸収の容量を有すると共に本発明に従って組み立てられるカートリッジ210のようなカートリッジ中に組み入れられることがある。設置時に、この用量供給剤は、短期間低く制御された速度で二酸化塩素又は他の殺菌剤を発生することができる。好適には、二酸化塩素又は他の殺菌剤の発生は、同一カートリッジ内の任意の吸収性媒体の下流である位置で起きる。水がフィルタカートリッジに入ると、二酸化塩素又は他の殺菌剤の発生が始まる。吸収媒体と還元媒体は、処方した寿命の間(即ち、3ケ月、6ケ月、又は1年)正常に働く一方、二酸化塩素又は他の殺菌剤の発生は、使用の初めの数分(例えば、約5分乃至約20分)以内に終わる。正味の結果は、標準カートリッジ交換の利便性を伴う水ラインと設備湿潤部の定期的殺菌である。
【0048】
加えて、本発明に従って構成されるシステム又はカートリッジは、二酸化塩素又は他の殺菌剤を生成する薬剤の安全な輸送と取り扱いと、動的流動条件における制御された低水準の用量供給速度と、制御された用量供給期間と、加圧水ライン中に二酸化塩素又は他の殺菌剤を導入することができるシステム又はカートリッジの構成体及びヘッド組み立て体とを備える。
【0049】
本発明は、好適な実施例に関して記述されてきたが、当業者は、種々の変更及び/又は修正が、本発明の本質又は範囲を逸脱せずになされ得ることを容易に理解するであろう。例えば、フィルタカートリッジは、本発明と、本明細書に組み込まれ、出願係属中である2003年7月7日に出願の米国特許出願第10/337,832号明細書に開示されるフィルタカートリッジのような、しかしこれに限定されないバイパス特性とに従って殺菌剤を有して構成されることがある。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本出願が属する技術分野の通常の技術を有する者が、本発明を如何に実施するかさらに容易に理解するように、図面を参照することができる。
【図1】本発明の好適な実施例に従って設備配管又はラインを殺菌し清浄にするための二酸化塩素又は他の殺菌剤の制御された用量を供給するシステムの代表図であり、水で湿潤時に二酸化塩素又は他の殺菌剤を放出する固形の殺菌剤と、液体殺菌剤と、システムを設備と接続するフィルタヘッドとを備えるシステムを表す。
【図2】本発明の好適な実施例に従って構成された設備配管又はラインを殺菌して清浄にする、二酸化塩素又は他の殺菌剤の制御された用量を供給するフィルタカートリッジの代表図であり、水で湿潤時に二酸化塩素又は他の殺菌剤を放出する固形の殺菌剤と、ろ材と、ろ材に露出された水の第1出口と、殺菌剤に水を露出する第2出口とを備える。
【図3】本発明の好適な実施例に従って構成された設備の配管又はラインを殺菌して清浄にする、二酸化塩素又は他の殺菌剤の制御された用量を供給するフィルタカートリッジの代表図であり、水で湿潤時に二酸化塩素又は他の殺菌剤を放出する固形の殺菌剤とろ材とを備え、ここで、フィルタカートリッジからの外部流れが、ろ材に露出された水と殺菌剤に露出された水の配合水を含む。
【0051】
本発明のこれらの及び他の特徴が、好適な実施例の以下の記述から当該技術の通常の技能を有する者にさらに容易に明白になるであろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)流体流を受けるために構成される流入路と、流体流出のために構成される流出路と、前記流入路から流体を受けて前記流出路から流出する前に内部に前記流体を一時的に閉じ込めるために構成される内部チャンバとを有する中空容器と、
b)前記チャンバに配置される殺菌剤と、ここで前記殺菌剤が、前記チャンバ内で前記流体に露出時に殺菌性を有する化合物を放出するように化学的に構成される1つ以上の反応体を含む、流体に殺菌剤を配送するシステム。
【請求項2】
前記化合物が、二酸化塩素である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流体が、水である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上の反応体が、亜塩素酸塩である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記亜塩素酸塩が、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、及びこれらの混合物からなる群より選択される水溶性亜塩素酸塩である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上の反応体が、水溶性亜塩素酸塩と水溶性の酸とを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記水溶性の酸が、リン酸、フマール酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
殺菌性を有する第2化合物を含み前記容器の前記チャンバに配置される溶液を備え、ここで前記溶液が、前記流出路を通って出口へ向かうチャンバ内流体と混合する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2化合物が、塩素である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
a)内部に画定されるろ材チャンバを有する中空ハウジングと、
b)前記ろ材チャンバに流体連通するように構成される流入路に流体連通している入口ポートと前記ろ材チャンバに流体連通するように構成される流出路に流体連通している出口ポートとを有し前記ろ材チャンバに係合する中空ネック部と、ここで前記流入路と前記流出路が、前記ネック部に配置され、且つ前記ネック部内の2つの流体流と前記ろ材チャンバとの別個の流体連通とを備えるように構成され、
c)前記ろ材チャンバに配置される殺菌剤と、ここで前記殺菌剤が、前記ろ材チャンバ内の前記流体への露出時に殺菌性を有する化合物を放出するように化学的に構成される1つ以上の反応体を含む、フィルタカートリッジ。
【請求項11】
前記化合物が、二酸化塩素である、請求項10に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項12】
前記流体が、水である、請求項10に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項13】
前記1つ以上の反応体が、水溶性亜塩素酸塩と水溶性の酸を含む、請求項12に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項14】
前記ろ材チャンバに配置されるろ材を備える、請求項12に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項15】
前記ろ材が、活性炭で製作される、請求項14に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項16】
前記ろ材と前記殺菌剤が、内部に入る流体が前記殺菌剤に先立ち最初に前記ろ材に露出されるように前記ろ材チャンバに配置される、請求項14に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項17】
前記ネック部に軸方向に配置されると共に、前記ろ材チャンバ中に延びる多孔性外周部を有する部分を有する、管状部材を備え、前記管状部材が、前記管状部材の外周部と前記ネック部の内側面とにより境界を定められる、内部内側軸方向通路と半径方向に外側の軸方向通路とを画定し、ここで、前記外側の軸方向通路と前記内側軸方向通路が、それぞれに、前記流入路と前記流出路とを備える、請求項10に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項18】
前記ろ材チャンバ中に延びる前記管状部材の前記部分の前記多孔性外周部に沿って配置されるろ材を備える、請求項17記載のフィルタカートリッジ。
【請求項19】
前記殺菌剤が、前記ろ材チャンバ中に延びる前記管状部材の前記部分の前記内側軸方向通路内に配置される、請求項18記載のフィルタカートリッジ。
【請求項20】
前記殺菌剤が、不活性な多孔性仕切り板により前記ろ材から分離される、請求項18記載のフィルタカートリッジ。
【請求項21】
前記殺菌剤に露出される流体の大部分を受けるために、前記ろ材チャンバと流体連通していると共に前記ろ材チャンバ内の前記殺菌剤の前記位置に相対的に隣接して配置される、前記ハウジング内第2出口ポートを備える、請求項20に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項22】
a)内部に画定されるろ材チャンバを有するハウジングと、
b)前記ろ材チャンバと流体連通するために構成される前記ハウジング内流入路と、
c)前記ろ材チャンバと流体連通するために構成される前記ハウジング内流出路と、
d)前記ろ材チャンバ内に配置される殺菌剤と、ここで前記殺菌剤が、水に湿潤時に二酸化塩素又は他の殺菌剤を発生するために構成される1つ以上の反応体を備え、
ここで、前記流入路に向けられる水が、前記ろ材チャンバを通って流れ、かつ前記ろ材チャンバ内前記殺菌剤に露出された前記殺菌剤を含む水の一部から二酸化塩素を伴って前記流出路を退出し、
を備える、フィルタカートリッジ。
【請求項23】
前記流出路から流れる前記水中の二酸化塩素の前記濃度が、0.1ppm〜10ppmの範囲にある、請求項22に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項24】
前記流出路から流れる前記水中の二酸化塩素の前記濃度が、50ppm〜100ppmの範囲にある、請求項22に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項25】
内部の前記水流を機械的にろ過するために構成される前記ろ材チャンバ内に配置されるろ材を備える、請求項22に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項26】
内部の前記水流を化学的にろ過するために構成される前記ろ材チャンバ内に配置されるろ材を備える、請求項22に記載のフィルタカートリッジ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−502836(P2006−502836A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−577953(P2003−577953)
【出願日】平成15年3月20日(2003.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/008500
【国際公開番号】WO2003/080128
【国際公開日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【出願人】(399044506)キュノ、インコーポレーテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】CUNO INCORPORATED
【Fターム(参考)】