説明

二酸化炭素深海投入方法及び装置

【課題】 二酸化炭素スラリーを安定的に海水中へ放出できる二酸化炭素深海投入方法及び装置を提供する。
【解決手段】 二酸化炭素深海投入装置1は、ドライアイスと液体二酸化炭素とを混合して二酸化炭素スラリーを形成する混合装置50を備える。二酸化炭素スラリーは、混合装置50から延びる二酸化炭素スラリー投入管51を通って海水中に投入される。同管51の下端にはノズル60が設けられている。さらに、装置1は、液体二酸化炭素を0℃以上に加温する熱交換器20と、加温された液体二酸化炭素を所定の深さまで送る高温液体二酸化炭素投入管21とを備える。ノズル60は、二酸化炭素スラリー投入管51の下端外周を囲むとともに、同管よりも長い外管を有する。二酸化炭素スラリー投入管51と外管との間に、高温液体二酸化炭素投入管21の下端が接続しており、二酸化炭素スラリー投入管51の先端の周囲から、0℃以上の液体二酸化炭素が放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電所の排ガスなどから回収された二酸化炭素を液化して海底に沈めて処理する二酸化炭素深海投入方法及びそのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素を液化して深海の海底に貯留する二酸化炭素の処理方法は、地球温暖化を防止する有効な対策として注目されている(例えば特許文献1参照)。この方法においては、液体二酸化炭素を密度的に安定な深度3500m以深の海底に送り込むことが必要とされている。二酸化炭素は深度500m相当の圧力で液化し、その密度は圧力とともに増大し、深度2700m相当では熱的平衡状態で海水と同密度になり、それ以深では海水よりも密度が大きくなる。したがって、二酸化炭素を、深度2700mまで送り込むことができれば、それより下へは二酸化炭素は自重により自然に沈降する。
【0003】
二酸化炭素を深度2700mまで送り込む方法としては、液体二酸化炭素とドライアイスとを混合したスラリーを、深度500m程度の浅海に放出し、二酸化炭素スラリー塊として沈降する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。液体二酸化炭素の密度は1.2g/cm、ドライアイスの密度は1.5g/cmであるので、スラリー塊の密度は周囲の海水よりも大きく、自重により自然に沈降する。なお、二酸化炭素スラリーの温度は液体二酸化炭素とドライアイスとの共存温度である−56℃程度と低温であるため、氷によって被覆され、周囲の海水からの伝熱が抑制される。このため、密度的に安定な深度2700mに到達するまで、スラリー塊の温度は低温に維持されると推定されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−228122
【特許文献2】特開2004−113924
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の液体二酸化炭素とドライアイスとを混合したスラリーを放出する方法では、スラリーを深度500m程度の浅海に放出する際に、同深度まで延びる投入管を使用し、同管の先端から海水中に放出している。この際、前述のように二酸化炭素スラリーは非常に低温であるため、投入管の先端が冷却され、海水が冷却された先端部と接触して氷結し、管の先端が閉塞されるおそれがある。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、液体二酸化炭素とドライアイスとを混合した二酸化炭素スラリーを安定的に海水中へ放出できる二酸化炭素深海投入方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の二酸化炭素深海投入方法は、 低温高密度状態とした液体二酸化炭素を、二酸化炭素投入管中を通して海中の所定の深さまで送り、 該投入管の下端から前記液体二酸化炭素を海中に放出し、 放出した液体二酸化炭素を、液体二酸化炭素が熱的平衡状態で海水と等密度となる深さまで熱的非平衡状態を保持させつつ沈降させ、 その後、自然沈降させて海底に二酸化炭素を投入する方法であって、 前記液体二酸化炭素投入管の下端に、該管外周を囲む、二重管型ノズルを設けるとともに、該ノズル外管部から0℃以上の高温液体二酸化炭素を放出することにより、前記液体二酸化炭素投入管(内管)先端の氷結を防止することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、低温の液体二酸化炭素が投入される投入管の先端の周囲から、0℃以上の液体二酸化炭素が放出されるので、低温液体二酸化炭素で冷却された同管の先端付近が海水と触れることを防ぐことができる。このため、海水が氷結して投入管を閉塞するような事態を避けることができ、低温の液体二酸化炭素を安定して放出できる。
【0009】
本発明の第2の二酸化炭素深海投入方法は、 低温高密度状態とした液体二酸化炭素とドライアイスとを混合した二酸化炭素スラリーを、二酸化炭素スラリー投入管中を通して海中の所定の深さまで送り、 該投入管の下端から前記二酸化炭素スラリーを海中に放出し、 放出した二酸化炭素スラリーを、液体二酸化炭素が熱的平衡状態で海水と等密度となる深さまで熱的非平衡状態を保持させつつ沈降させ、 その後、自然沈降させて海底に二酸化炭素を投入する方法であって、 前記二酸化炭素スラリー投入管の下端に、該管外周を囲む、二重管型ノズルを設けるとともに、該ノズル外管部から0℃以上の高温液体二酸化炭素を放出することにより、前記液体二酸化炭素投入管(内管)先端の氷結を防止することを特徴とする。
【0010】
液体二酸化炭素とドライアイスとを混合した二酸化炭素スラリーを投入管で送れば、ドライアイスの潜熱により二酸化炭素の温度が上がりにくくなる。例えば、−50℃程度を長時間維持することができるので、スラリーを密度的に安定な深度まで安定して沈降させることができる。
【0011】
本発明の第1の二酸化炭素深海投入装置は、 液体二酸化炭素受入れ貯蔵容器と、 該貯蔵容器から液体二酸化炭素を所定の深さまで送る液体二酸化炭素投入管と、 該液体二酸化炭素投入管の下端に設けられたノズルと、 前記容器内の液体二酸化炭素を0℃以上に加温する二酸化炭素加温装置と、 加温された液体二酸化炭素(高温液体二酸化炭素)を所定の深さまで送る高温液体二酸化炭素投入管と、を備え、 前記ノズルが、前記液体二酸化炭素投入管の下端外周を囲むとともに、該管よりも長い外管を有し、前記液体二酸化炭素投入管と外管との間に、前記高温液体二酸化炭素投入管の下端が接続していることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の二酸化炭素深海投入装置は、 液体二酸化炭素受入れ貯蔵容器と、 該貯蔵容器内の液体二酸化炭素を用いてドライアイスを製造する装置と、 前記容器内の液体二酸化炭素とドライアイスとを混合して二酸化炭素スラリーとする装置と、 該装置から二酸化炭素スラリーを所定の深さまで送る二酸化炭素スラリー投入管と、 前記二酸化炭素スラリー投入管の下端に設けられたノズルと、 前記容器内の液体二酸化炭素を0℃以上に加温する二酸化炭素加温装置と、 加温された液体二酸化炭素(高温液体二酸化炭素)を所定の深さまで送る高温液体二酸化炭素投入管と、を備え、 前記ノズルが、前記二酸化炭素スラリー投入管の下端外周を囲むとともに、該管よりも長い外管を有し、前記二酸化炭素スラリー投入管と外管との間に、前記高温液体二酸化炭素投入管の下端が接続していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、二酸化炭素(スラリーを含む)投入管の先端付近に高温液体二酸化炭素が放出されているので、冷却された同投入管の先端付近が海水と接触し、海水が氷結して管を閉塞する事態を避けることができる。したがって、液体二酸化炭素を安定的に海中に放出できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る二酸化炭素深海投入装置の構成を説明する配管図である。
図2は、図1の二酸化炭素深海投入装置の二酸化炭素スラリー投入管の先端付近の構造を示す側面断面図である。
二酸化炭素深海投入装置1は、図1に示すように、液体二酸化炭素受入れ貯蔵容器10と、液体二酸化炭素を0℃以上に加温する二酸化炭素加温装置(熱交換器)20と、加温された液体二酸化炭素(高温液体二酸化炭素)を所定の深さまで送る高温液体二酸化炭素投入管21と、貯蔵容器10内の液体二酸化炭素を用いてドライアイスを製造する装置40と、液体二酸化炭素とドライアイスとを混合して二酸化炭素スラリーとする装置50と、同装置から二酸化炭素スラリーを所定の深さまで送る二酸化炭素スラリー投入管51と、を主に備える。これらの装置は、海上に設置される海洋構造物又は船舶に搭載される。そして、この海洋構造物から、長さが500mの高温液体二酸化炭素投入管21と、二酸化炭素スラリー投入管51が水中に懸垂されている。二酸化炭素スラリー投入管51の先端には、ノズル60が設けられている。
【0015】
貯蔵容器10には、火力発電所等の大規模な二酸化炭素発生源において排気ガスから分離・回収された二酸化炭素が、専用の輸送船2によって輸送され、−56℃、0.5MPaの温度・圧力条件下で貯蔵されている。
【0016】
貯蔵容器10から延びる配管11の途中には、液体二酸化炭素ポンプ12が設けられている。配管11は、同ポンプ12の先で、3方向に分岐しており、各々の分岐配管13、14、15は、各々熱交換器20、ドライアイス製造装置40、ドライアイス混合装置50に延びている。
【0017】
第1の分岐配管13は、途中にバルブ16を介して凝縮器30を経て熱交換器20に延びている。熱交換器20は冷媒循環配管26を有し、同配管26には、冷媒容器27、冷媒ポンプ28、蒸発器29が順に設けられている。この熱交換器20においては、冷媒ポンプ28を稼動させて冷媒容器27中の冷媒を蒸発器29に送り、海水を熱源として溶媒を蒸発させ、発生した溶媒ガスを熱交換器20に送って、同熱交換器20に送られた液体二酸化炭素を加温する。熱交換器20で冷却された溶媒は、冷媒ポンプ28により循環される。
【0018】
熱交換器20には高温二酸化炭素投入管21が接続している。高温二酸化炭素投入管21は、長さが500m程度であり、海水中に垂下されている。同投入管21は、複数本(例えば4本)とすることができ、二酸化炭素スラリー投入管51の周囲に、同管51と平行に配設されている(図1には1本のみ図示)。なお、高温二酸化炭素投入管21と二酸化炭素スラリー投入管51とを二重管とすることもできる。各投入管21の途中にはバルブ22が設けられている。熱交換器20からは、さらに別の配管23がドライアイス混合装置50に延びている。同配管23の途中にはバルブ24が設けられている。
凝縮器30は、後述するドライアイス製造装置40と配管42で接続している。また、凝縮器30には、上流の分岐配管13に接続する循環配管31が設けられている。同配管31の途中にはバルブ32が設けられている。
【0019】
第2の分岐配管14は、途中にバルブ17を介してドライアイス製造装置40に延びている。同装置40で製造されたドライアイスは、スクリューコンベア等の搬送装置41でドライアイス混合装置50に送られる。また、同装置40で発生した二酸化炭素ガスは、配管42を通って圧縮器43に送られた後、前述の凝縮器30に送られる。
【0020】
第3の分岐配管15は、途中に2個のバルブ18、19を介してドライアイス混合装置50に接続している。同装置50内でドライアイスと液体二酸化炭素が混合される。
【0021】
ドライアイス混合装置50からは、スラリー投入管51が、前述の高温液体二酸化炭素投入管21と平行に海水中に延びている。スラリー投入管51は長さが500m程度であり、外面は断熱層51a(図2参照)で覆われている。図2に示すように、スラリー投入管51の先端は露出しており、同先端にはノズル60が取り付けられている。ノズル60は二重管型で、スラリー投入管51(内管ともいう)の先端を取り囲む大径の外管61を備える。この外管61は内管51よりも長く形成されている。内管51と外管61との間の環状空間Sは、高温液体二酸化炭素投入管21と連通している。
【0022】
この液体二酸化炭素深海投入装置1の運転方法を説明する。
運転開始前は、全てのバルブ16、17、18、19、22、24、32は閉鎖されている。まず、バルブ16を開放し、液体二酸化炭素ポンプ12を稼動させて、貯蔵容器10から液体二酸化炭素をくみ出す。続いて、冷媒循環配管26において、冷媒ポンプ28を稼動して冷媒容器27中の冷媒を蒸発器29に送り、海水を熱源として冷媒を蒸発させる。発生した溶媒ガスは熱交換器20に送られて、同熱交換器20に送られた液体二酸化炭素を加温する。熱交換器20で冷却された溶媒は冷媒ポンプ28により配管26内を循環し、再使用される。
【0023】
液体二酸化炭素の温度が0℃以上となると、まず、バルブ24を開放して、この高温液体二酸化炭素を配管23を通してドライアイス混合装置50を経て二酸化炭素スラリー投入管51に注入する。これにより、同投入管51内の海水が押出され、管内に高温液体二酸化炭素の液柱を形成する。これは、−56℃の液体二酸化炭素を直接管内に注入することによる管内の海水の凍結を防ぐためである。
【0024】
次に、バルブ24を閉鎖してバルブ22を開放し、高温液体二酸化炭素投入管21に高温液体二酸化炭素を注入し、同投入管21及びノズル60内部を高温液体二酸化炭素で充満させる。
【0025】
その後、バルブ17を開放して、一部の液体二酸化炭素を分岐配管14からドライアイス製造装置40に導入し、ドライアイスを製造する。製造されたドライアイスは、搬送手段41でドライアイス混合装置50に搬送され、同装置50から二酸化炭素スラリー投入管51に投入される。同投入管51には既に高温液体二酸化炭素が導入されており、ドライアイスと液体二酸化炭素が混合して二酸化炭素スラリーを生じる。また、これにより管51内の温度が低下し始める。
【0026】
なお、ドライアイス製造装置40で生じた二酸化炭素ガスは、配管42を通って圧縮機43で昇圧された後、凝縮器30に投入されて液化される。液化後、バルブ32を開放して分岐配管13に合流させる。
【0027】
ドライアイスの投入により二酸化炭素スラリー投入管51内の温度が−56℃まで低下したら、バルブ18及び19を開放し、貯蔵容器10内の液体二酸化炭素を、配管11、15を通してドライアイス混合装置50に送る。同時に、ドライアイス製造装置40からドライアイスをドライアイス混合装置50に送り、同装置50内で液体二酸化炭素と混合して二酸化炭素スラリーを形成させる。この二酸化炭素スラリーは、投入管51を通ってノズル60から海中に放出される。
【0028】
この際、図2に示すように、高温液体二酸化炭素投入管21から、ノズル60の外管61と二酸化炭素スラリー投入管51の先端との間の空間Sを通って0℃以上の液体二酸化炭素が放出されている。外管61は内管51よりも長く形成されているので、放出された液体二酸化炭素は、外管61の内側に沿って下降した後、外管61の外側に回りこんで上昇する。このような構成により、内部の二酸化炭素スラリーで冷却されている投入管51の先端は、周囲や下端付近に0℃以上の液体二酸化炭素が存在するため、ほとんど海水と触れない。したがって、低温のスラリーを放出しても投入管51の先端で氷結が発生せず、投入管51が閉塞することを防ぐことができる。
【0029】
運転を停止する際は、まず、ドライアイス製造装置40の稼動を停止し、ドライアイス及び液体二酸化炭素の投入を停止する。そして、バルブ24を少しずつ開放して徐々に二酸化炭素スラリー投入管51に高温液体二酸化炭素を注入し、管内の温度を0℃以上とした後、全てのバルブを閉じて、その他の機器の運転を停止する。
【0030】
図3は、本発明の第2実施の形態に係る二酸化炭素深海投入装置の構成を説明する配管図である。
図1の二酸化炭素深海投入装置1は、液体二酸化炭素とドライアイスとを混合して生成した二酸化炭素スラリーを深海に送り込むものであるが、この例では液体二酸化炭素をそのままで深海に送り込む装置1´について説明する。図3において、図1と同じ作用・構成を有する部品・部材は、図1と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0031】
つまり、図1の装置における、二酸化炭素スラリーを生成するためのドライアイス製造装置40や同装置40に伴う配管など(配管14、バルブ17、配管42、圧縮機43、凝縮器30、配管31、バルブ32)が不要になる。また、ドライアイスと液体二酸化炭素とを混合するドライアイス混合装置50が不要となる。
【0032】
そして、貯蔵容器10から延びる配管11から分岐した配管の一つ15(第3の分岐配管)が、液体二酸化炭素投入管71に接続している。液体二酸化炭素投入管71は、海水中に延びて、ノズル60に接続している。また、この液体二酸化炭素投入管71には、熱交換器20から延びて分岐した配管23が接続している。
【0033】
この液体二酸化炭素深海投入装置1´の運転方法を説明する。
運転開始前は、全てのバルブ16、18、19、22、24は閉鎖されている。まず、バルブ16を開放し、液体二酸化炭素ポンプ12を稼動させて、貯蔵容器10から液体二酸化炭素をくみ出す。続いて、冷媒循環配管26において、冷媒ポンプ28を稼動して冷媒容器27中の冷媒を蒸発器29に送り、海水を熱源として冷媒を蒸発させる。発生した溶媒ガスは熱交換器20に送られて、同熱交換器20に送られた液体二酸化炭素を加温する。熱交換器20で冷却された溶媒は冷媒ポンプ28により配管26内を循環し、再使用される。
【0034】
液体二酸化炭素の温度が0℃以上となると、まず、バルブ24を開放して、この高温液体二酸化炭素を配管23を通して液体二酸化炭素投入管71に注入する。これにより、同投入管71内の海水が押出され、管内に高温液体二酸化炭素の液柱を形成する。これは、−56℃の液体二酸化炭素を直接管内に注入することによる管内の海水の凍結を防ぐためである。
【0035】
次に、バルブ24を閉鎖してバルブ22を開放し、高温液体二酸化炭素投入管21に高温液体二酸化炭素を注入し、同投入管21及びノズル60内部を高温液体二酸化炭素で充満させる。
【0036】
その後、バルブ18及び19を開放し、貯蔵容器10内の液体二酸化炭素を、配管11、15を通して液体二酸化炭素投入管71に送る。この液体二酸化炭素は同投入管71を通ってノズル60から海中に放出される。この際、前述の例と同様に、内部の液体二酸化炭素で冷却されている投入管71の先端は、周囲や下端付近に0℃以上の液体二酸化炭素が存在するため、ほとんど海水と触れない。したがって、低温の液体二酸化炭素を放出しても投入管71の先端で氷結が発生せず、投入管71が閉塞することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二酸化炭素深海投入装置の構成を説明する配管図である。
【図2】図1の二酸化炭素深海投入装置の二酸化炭素スラリー投入管の先端付近の構造を示す側面断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る二酸化炭素深海投入装置の構成を説明する配管図である。
【符号の説明】
【0038】
1、1´ 二酸化炭素深海投入装置 2 輸送船
10 貯蔵容器
11、13、14、15、23、31、42 配管
16、17、18、19、22、24、32 バルブ
12 液体二酸化炭素ポンプ 21 高温液体二酸化炭素投入管
26 冷媒循環配管 27 冷媒容器
28 冷媒ポンプ 29 蒸発器
30 凝縮器 40 ドライアイス製造装置
43 圧縮器 50 ドライアイス混合装置
51 二酸化炭素スラリー投入管
60 ノズル 61 外管
71 液体二酸化炭素投入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温高密度状態とした液体二酸化炭素を、二酸化炭素投入管中を通して海中の所定の深さまで送り、
該投入管の下端から前記液体二酸化炭素を海中に放出し、
放出した液体二酸化炭素を、液体二酸化炭素が熱的平衡状態で海水と等密度となる深さまで熱的非平衡状態を保持させつつ沈降させ、
その後、自然沈降させて海底に二酸化炭素を投入する方法であって、
前記液体二酸化炭素投入管の下端に、該管外周を囲む、二重管型ノズルを設けるとともに、該ノズル外管部から0℃以上の高温液体二酸化炭素を放出することにより、前記液体二酸化炭素投入管(内管)先端の氷結を防止することを特徴とする二酸化炭素深海投入方法。
【請求項2】
低温高密度状態とした液体二酸化炭素とドライアイスとを混合した二酸化炭素スラリーを、二酸化炭素スラリー投入管中を通して海中の所定の深さまで送り、
該投入管の下端から前記二酸化炭素スラリーを海中に放出し、
放出した二酸化炭素スラリーを、液体二酸化炭素が熱的平衡状態で海水と等密度となる深さまで熱的非平衡状態を保持させつつ沈降させ、
その後、自然沈降させて海底に二酸化炭素を投入する方法であって、
前記二酸化炭素スラリー投入管の下端に、該管外周を囲む、二重管型ノズルを設けるとともに、該ノズル外管部から0℃以上の高温液体二酸化炭素を放出することにより、前記液体二酸化炭素投入管(内管)先端の氷結を防止することを特徴とする二酸化炭素深海投入方法。
【請求項3】
液体二酸化炭素受入れ貯蔵容器と、
該貯蔵容器から液体二酸化炭素を所定の深さまで送る液体二酸化炭素投入管と、
該液体二酸化炭素投入管の下端に設けられたノズルと、
前記貯蔵容器内の液体二酸化炭素を0℃以上に加温する二酸化炭素加温装置と、
加温された液体二酸化炭素(高温液体二酸化炭素)を所定の深さまで送る高温液体二酸化炭素投入管と、を備え、
前記ノズルが、前記液体二酸化炭素投入管の下端外周を囲むとともに、該管よりも長い外管を有し、前記液体二酸化炭素投入管と外管との間に、前記高温液体二酸化炭素投入管の下端が接続していることを特徴とする二酸化炭素深海投入装置。
【請求項4】
液体二酸化炭素受入れ貯蔵容器と、
該貯蔵容器内の液体二酸化炭素を用いてドライアイスを製造する装置と、
前記貯蔵容器内の液体二酸化炭素とドライアイスとを混合して二酸化炭素スラリーとする装置と、
該装置から二酸化炭素スラリーを所定の深さまで送る二酸化炭素スラリー投入管と、
前記二酸化炭素スラリー投入管の下端に設けられたノズルと、
前記貯蔵容器内の液体二酸化炭素を0℃以上に加温する二酸化炭素加温装置と、
加温された液体二酸化炭素(高温液体二酸化炭素)を所定の深さまで送る高温液体二酸化炭素投入管と、を備え、
前記ノズルが、前記二酸化炭素スラリー投入管の下端外周を囲むとともに、該管よりも長い外管を有し、前記二酸化炭素スラリー投入管と外管との間に、前記高温液体二酸化炭素投入管の下端が接続していることを特徴とする二酸化炭素深海投入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−78228(P2009−78228A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249666(P2007−249666)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(501204525)独立行政法人海上技術安全研究所 (185)
【Fターム(参考)】