説明

二酸化炭素除去装置

【課題】 車両、動力機械等の内燃機関から排出される排気ガス中の二酸化炭素除去装置にあっては、燃費に直接関わることから、装置自体の軽量化が望まれている。また、車両の排気ガスの排気筒の径が車種により様々であり、多くの径の排気筒に対応可能な二酸化炭素除去装置が望まれている。さらに、ハニカム構造に成形した酸化カルシウムからなる二酸化炭素吸着剤を簡単に車両、動力機械等の内燃機関の排気ガスの排気筒に配設することを可能とすること等が望まれている。
【構成】 本発明は、車両、動力機械等の内燃機関の排気ガスの排気筒に設けられる二酸化炭素除去装置であって、二酸化炭素吸着剤を含浸し、表面に複数の凸部を形成した耐熱紙からなり、耐熱紙を巻回して多重層の筒体としたときに、凸部で前記筒体の長手方向に迂回状の流路が形成される構成とした二酸化炭素除去装置であり、多くの内燃機関の径の排気筒に対応可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、動力機械等の内燃機関の排気ガス中の二酸化炭素除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大気中の二酸化炭素の濃度が高くなることで、地球温暖化現象が叫ばれており、殊に、車両中でも、ガソリンやディーゼルを燃料とする内燃機関を搭載する機種では、その二酸化炭素の量は膨大である。
【0003】
従って、これまでには、この種、車両の排気ガス中の二酸化炭素を除去する装置がある。例えば、車両に二酸化炭素の吸着装置と回収タンクを設けた装置・方法が開発されている(特許文献1,2)。しかし、この場合には、装置が大掛かりとなり、装置自体の重量が燃費を悪くし、二酸化炭素の排出量が増加する矛盾を抱えている。
【0004】
一方、先行文献は、発見できなかったが、排気ガスの排出部に、天然鉱石を含有させた空気浄化材を装着して、燃焼後の排気ガスを浄化する装置・方法が開発されている。しかし、この場合においても、空気浄化材の構造が複雑であり、かつ装置が高価と成り易く、また、装置の着脱も容易ではないと考えられる。
【0005】
【特許文献1】特表平10−509379公報
【特許文献2】特開2007−177684公報
【特許文献3】特開2003−41928公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
二酸化炭素除去装置、特に車両、動力機械等の内燃機関から排出される排気ガス中の二酸化炭素除去装置にあっては、燃費に直接関わることから、装置自体の軽量化が望まれている。
また、二酸化炭素吸着剤に二酸化炭素が吸着された後は、吸着性能が失われ、その吸着された分だけ重量も増すことから、速やかに、かつ簡易に交換できるものであることが望まれている。
また、化学プラント等で二酸化炭素を除去する場合とは異なり、車両にあっては、内燃機関の排気ガスの排気筒の径が車種により様々であり、多くの径の排気筒に対応可能な二酸化炭素除去装置が望まれている。
【0007】
しかし、このような二酸化炭素除去装置は今までなかった。
【0008】
そこで、本発明は、装置自体の重量が軽く、簡単な工具で、ワンタッチで、かつ原則として、冶具を必要とすることなく、多くの径の排気ガス用の排気筒(車両のマフラー、また、動力機械等の筒体、排管等)に対応することができる二酸化炭素除去装置を提供し、その取付け及び/又は交換が、極めて簡易、かつ簡略であること、又は内装、かつ着脱(交換)することができこと、等の如く、汎用性に優れた二酸化炭素除去装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、ハニカム構造に成形した酸化カルシウムからなる二酸化炭素吸着剤を、冶具を介して、簡単に車両、動力機械等の内燃機関の排気ガスの排気筒に、簡単、かつ容易に取付け及び/又は取外しができる二酸化炭素除去装置を提供することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明によると、〔1〕二酸化炭素吸着剤を含浸し、表面に複数の凸部を形成した耐熱紙からなり、この耐熱紙を巻回して多重層の筒体としたときに、前記凸部で前記筒体の長手方向に迂回状の流路の形成される構成とした二酸化炭素除去装置は、排気ガスと耐熱紙に含浸された二酸化炭素吸着剤との接触面を増加させることができ、〔2〕略粒形状の凸部を微細にし、数を増やすことで、排気ガスと耐熱紙に含浸された二酸化炭素吸着剤との接触面を増加させることができ、〔3〕略粒形状の凸部の側面に衝突して反射した排気ガスが拡散するので、排気ガスが、耐熱紙に含浸された二酸化炭素吸着剤と万遍なく反応し、好適な二酸化炭素吸着効果を得ることができ、〔4〕耐熱紙の巻回の増減、又は耐熱紙を切断して紙幅を変えることで、内燃機関の排気ガスの排気筒の径の大小に対応することができ、〔5〕耐熱紙を巻回の際の長手方向に切断することで、内燃機関の排気ガスの排気筒の長さが短くても対応することができ、〔6〕装置自体の重量が非常に軽いため、装置の重量が燃費を悪くするということがなく、〔7〕本装置の装着は、巻回した本装置を内燃機関の排気ガスの排気筒に設ける構成であり、本装置の着脱は、本装置を内燃機関の排気ガスの排気筒への挿入か、又は引抜くのみでよく、速やかに、かつ簡易に行うことができるという実益がある。
【0011】
請求項1は、車両、動力機械等の内燃機関の排気ガスの排気筒に設けられる二酸化炭素除去装置であって、二酸化炭素吸着剤を含浸し、表面に複数の凸部を形成した耐熱紙からなり、この耐熱紙を巻回して多重層の筒体としたときに、前記凸部で前記筒体の長手方向に迂回状の流路が形成される構成とした二酸化炭素除去装置である。
【0012】
請求項2の発明によると、〔1〕二酸化炭素吸着剤を含浸した耐熱布と、前記耐熱布に止着され、前記耐熱布に張りを与える構成とした骨材と、前記耐熱布の一方表面から鉛直方向に突出した、前記骨材の突起部とからなる二酸化炭素除去装置は、耐熱布同士が重なる部分において、両耐熱布間に隙間が生じるので、排気ガスと耐熱布に含浸された二酸化炭素吸着剤との接触面を増加させることができ、〔2〕骨材の突起部を微細にすることで、排気ガスと耐熱布に含浸された二酸化炭素吸着剤との接触面を増加させることができ、〔3〕骨材の突起部の側面又は耐熱布の凸部の側面に衝突して反射した排気ガスが拡散するので、排気ガスが、耐熱紙に含浸された二酸化炭素吸着剤と万遍なく反応し、好適な二酸化炭素吸着効果を得ることができ、〔4〕本装置の装着は、巻回した本装置を内燃機関の排気ガスの排気筒に設ける構成であり、本装置の着脱は、本装置を内燃機関の排気ガスの排気筒への挿入か、又は引抜くのみでよく、速やかに、かつ簡易に行うことができるという実益がある。
【0013】
請求項2は、車両、動力機械等の内燃機関の排気ガスの排気筒に設けられる二酸化炭素除去装置であって、二酸化炭素吸着剤を含浸し、表面に複数の凸部を形成した耐熱布と、前記耐熱布に止着され、前記耐熱布に張りを与える構成とした骨材と、前記耐熱布の一方表面から鉛直方向に突出した、前記骨材の突起部とからなり、前記耐熱布を巻回して多重層の筒体としたときに、前記突起部で前記筒体の長手方向に迂回状の流路が形成される構成とした二酸化炭素除去装置である。
【0014】
請求項3の発明によると、酸化カルシウムとセラミックとバインダーとからなる混合物を焼結しハニカム構造体とした二酸化炭素吸着剤は、二酸化炭素吸着効果が高く、安価に製造できるという実益がある。
【0015】
請求項3は、車両、動力機械等の内燃機関の排気ガスの排気筒の先端部に配設する二酸化炭素除去装置であって、略円筒形状のケーシングと、前記ケーシングの内部に配設された二酸化炭素吸着剤とを備え、前記二酸化炭素吸着剤は、酸化カルシウムとセラミックとバインダーとからなる混合物を焼結しハニカム構造体とし、前記ケーシングは、ボルトで緊締し前記排気筒に着設することを特徴とする二酸化炭素除去装置である。
【0016】
請求項4の発明によると、排気ガスには、HOとCOが含まれているので、CaO+HO→Ca(OH)、Ca(OH)+CO→CaCO+HO の反応が生じ、好適に二酸化炭素が吸着されるという実益がある。
【0017】
請求項4は、請求項1又は請求項2に記載の二酸化炭素除去装置であって、前記二酸化炭素吸着剤が酸化カルシウムである二酸化炭素除去装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明は、車両、動力機械等の内燃機関の排気ガスの排気筒に設けられる二酸化炭素除去装置であって、二酸化炭素吸着剤を含浸し、表面に複数の凸部を形成した耐熱紙からなり、この耐熱紙を巻回して多重層の筒体としたときに、前記凸部で前記筒体の長手方向に迂回状の流路が形成される構成とした二酸化炭素除去装置である。
【0019】
従って、請求項1の発明によると、〔1〕二酸化炭素吸着剤を含浸し、表面に複数の凸部を形成した耐熱紙からなり、この耐熱紙を巻回して多重層の筒体としたときに、前記凸部で前記筒体の長手方向に迂回状の流路の形成される構成とした二酸化炭素除去装置は、排気ガスと耐熱紙に含浸された二酸化炭素吸着剤との接触面を増加させることができ、〔2〕略粒形状の凸部を微細にし、数を増やすことで、排気ガスと耐熱紙に含浸された二酸化炭素吸着剤との接触面を増加させることができ、〔3〕略粒形状の凸部の側面に衝突して反射した排気ガスが拡散するので、排気ガスが、耐熱紙に含浸された二酸化炭素吸着剤と万遍なく反応し、好適な二酸化炭素吸着効果を得ることができ、〔4〕耐熱紙の巻回の増減、又は耐熱紙を切断して紙幅を変えることで、内燃機関の排気ガスの排気筒の径の大小に対応することができ、〔5〕耐熱紙を巻回の際の長手方向に切断することで、内燃機関の排気ガスの排気筒の長さが短くても対応することができ、〔6〕装置自体の重量が非常に軽いため、装置の重量が燃費を悪くするということがなく、〔7〕本装置の装着は、巻回した本装置を内燃機関の排気ガスの排気筒に設ける構成であり、本装置の着脱は、本装置を内燃機関の排気ガスの排気筒への挿入か、又は引抜くのみでよく、速やかに、かつ簡易に行うことができるという実益がある。
【0020】
請求項2の発明は、車両、動力機械等の内燃機関の排気ガスの排気筒に設けられる二酸化炭素除去装置であって、二酸化炭素吸着剤を含浸し、表面に複数の凸部を形成した耐熱布と、前記耐熱布に止着され、前記耐熱布に張りを与える構成とした骨材と、前記耐熱布の一方表面から鉛直方向に突出した、前記骨材の突起部とからなり、前記耐熱布を巻回して多重層の筒体としたときに、前記突起部で前記筒体の長手方向に迂回状の流路が形成される構成とした二酸化炭素除去装置である。
【0021】
従って、請求項2の発明によると、〔1〕二酸化炭素吸着剤を含浸した耐熱布と、前記耐熱布に止着され、前記耐熱布に張りを与える構成とした骨材と、前記耐熱布の一方表面から鉛直方向に突出した、前記骨材の突起部とからなる二酸化炭素除去装置は、耐熱布同士が重なる部分において、両耐熱布間に隙間が生じるので、排気ガスと耐熱布に含浸された二酸化炭素吸着剤との接触面を増加させることができ、〔2〕骨材の突起部を微細にすることで、排気ガスと耐熱布に含浸された二酸化炭素吸着剤との接触面を増加させることができ、〔3〕骨材の突起部の側面又は耐熱布の凸部の側面に衝突して反射した排気ガスが拡散するので、排気ガスが、耐熱紙に含浸された二酸化炭素吸着剤と万遍なく反応し、好適な二酸化炭素吸着効果を得ることができ、〔4〕本装置の装着は、巻回した本装置を内燃機関の排気ガスの排気筒に設ける構成であり、本装置の着脱は、本装置を内燃機関の排気ガスの排気筒への挿入か、又は引抜くのみでよく、速やかに、かつ簡易に行うことができるという実益がある。
【0022】
請求項3の発明は、車両、動力機械等の内燃機関の排気ガスの排気筒の先端部に配設する二酸化炭素除去装置であって、略円筒形状のケーシングと、前記ケーシングの内部に配設された二酸化炭素吸着剤とを備え、前記二酸化炭素吸着剤は、酸化カルシウムとセラミックとバインダーとからなる混合物を焼結しハニカム構造体とし、前記ケーシングは、ボルトで緊締し前記排気筒に着設することを特徴とする二酸化炭素除去装置である。
【0023】
従って、請求項3の発明によると、酸化カルシウムとセラミックとバインダーとからなる混合物を焼結しハニカム構造体とした二酸化炭素吸着剤は、二酸化炭素吸着効果が高く、安価に製造できるという実益がある。
【0024】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の二酸化炭素除去装置であって、前記二酸化炭素吸着剤が酸化カルシウムである二酸化炭素除去装置である。
【0025】
従って、排気ガスには、HOとCOが含まれているので、CaO+HO→Ca(OH)、Ca(OH)+CO→CaCO+HO の反応が生じ、好適に二酸化炭素が吸着されるという実益がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態に係る二酸化炭素除去装置を図面に基づき説明する。
本発明の二酸化炭素除去装置は、車両、動力機械等の内燃機関の排気ガスの排気筒の中に設けられ、該排気ガス中に含まれる二酸化炭素を除去するために使用されるものであり、該二酸化炭素除去装置の着脱が容易であることに特徴を有するものである。
【0027】
なお、車両、動力機械等の内燃機関、つまり、本発明の二酸化炭素除去装置が設けられる車両、動力機械等の内燃機関はガソリンエンジンに限られず、ディーゼルエンジンでもよい。以下では、単に内燃機関という。
【0028】
[実施例1]
図1−1は、本発明の第1の実施例に係る二酸化炭素除去装置を挿設する際の斜視図であり、図1−2は、図1−1の使用状態の正面図である。図1−1及び図1−2に示すように、二酸化炭素除去装置1の外径が、排気筒Pの内径よりも小さくなるように二酸化炭素除去装置1を巻回し、排気筒Pの内部に挿設する。このとき、二酸化炭素除去装置1の表面には凸部が設けられているので、巻回して多重層の筒体としたときに、この凸部で筒体の長手方向に迂回状の流路が形成され、排気ガスの通路が確保される。なお、使用中の抜脱を防止するために、二酸化炭素除去装置1の端部と排気筒Pの端部とをクリップ等(図示しない。)で固止する。
【0029】
一般に、排気口付近の排気ガスの温度は、300℃程度であり、これに耐え得る素材として耐熱紙が用いられる。この耐熱紙の種類は特に問わないが、好適にはセラミックペーパーが用いられる。セラミックペーパーとは、アルミナ・シリカを主成分とした人造無機繊維であり、少量の有機結合材を加えた耐熱紙である。そして、この耐熱紙の寸法が長すぎる場合には、ハサミで簡単に切ることができる点で好ましい。また、化学薬品に優れた抵抗力を有する点でも好ましい。また、耐熱紙の例では、再利用と、廃棄の簡便性が確保できるので、有益である。
【0030】
図2−1は、本発明の第1の他の実施例に係る二酸化炭素除去装置の斜視図であり、図2−2は、図2−1の二酸化炭素除去装置の巻回状態を示した斜視図である。図2−1に示すように、二酸化炭素除去装置1の一方の表面に凸部2が多数設けられている。この凸部2の大きさや形には特に限定はなく、半球形状、三角錐形状、円柱形状、板形状、異形形状等が好適である。そして、この二酸化炭素除去装置1の他方の表面は平面状であり、耐熱紙を巻回したときに、耐熱紙同士が重なる部分において、一方耐熱紙の平面部と他方耐熱紙の凸部とが接することにより、この巻回した耐熱紙同士の間に隙間及び/又は迂回通路ができる。これにより、排気ガス用の滞留空間を確保できるので、その除去率の向上が期待できる。さらに、排気ガスは、凸部2の側面に衝突して反射し、拡散することで、前述と同じ効果が期待できる。
【0031】
尚、この耐熱紙に、酸化カルシウムを含浸する方法としては、例えば、含浸法(浸漬法)、塗布法、噴霧法等を適宜使用できる。この際に、石灰石を水に100g/リットル〜900g/リットル程度の割合で混合し、その混合液を耐熱紙の表面に塗布してCa(OH)の水和物層を形成し、自然乾燥するか、又は200℃程度以下で加熱乾燥すればよい。
【0032】
図2−2に示すように、二酸化炭素除去装置1を巻回して、内燃機関の排気ガスの排気筒に設けられると、排気ガスは、凸部2の側面に衝突して反射し、拡散する。これにより、排気ガスが、耐熱紙に含浸された二酸化炭素吸着剤8と万遍なく反応し、好適な二酸化炭素吸着効果を得ることができる。
【0033】
そして、この二酸化炭素吸着後の本装置の取り外しは、排気筒に挿設された本装置の中心部付近を掴み、抜去すればよく、速やかに、かつ簡易に行うことができる。
【0034】
尚、耐熱紙に代わり、金属、耐熱樹脂、セラミック等の耐熱素材を採用することも可能である(他の例も同じ)。
【0035】
[実施例2]
図3−1は、本発明の第2の実施例に係る二酸化炭素除去装置の平面図であり、図3−2は、図3−1の二酸化炭素除去装置の側面図である。図3−1に示すように、耐熱布3に突起部5を有する骨材4が格子状に戴置されており、骨材4は耐熱布3に止着されている。ここで止着とは、動かないように止められていることをいい、接着剤で接着することが好ましい。接着剤は、好適にはシリカ・アルミナを主成分とした無機系の耐熱接着剤が使用される。また、骨材4自体が耐熱布の内部に縫い付けられたような状態で止められた場合も、この止着に含まれる。骨材4は塑性変形する金属製のワイヤーからなり、巻回することができる。そして、この耐熱布に酸化カルシウムを含浸する方法としては、前述の例と同様に、含浸法(浸漬法)、塗布法、噴霧法等を適宜使用できる。また、この耐熱布3の種類は特に問わず、シリカ、アルミナ、セラミック複合繊維等を素材とするものが適宜使用できる。
【0036】
そして、この骨材4が止着された耐熱布3を巻回すると、突起部5の頂部と耐熱布3と骨材4とが当接することとなり、したがって、耐熱布3同士の間に隙間ができる。また、耐熱布3には複数の凸部6が形成されている。よって、排気ガスは、突起部5又は凸部6の側面に衝突して反射し、拡散する。これにより、排気ガスが、耐熱布に含浸された二酸化炭素吸着剤8と万遍なく反応し、好適な二酸化炭素吸着効果を得ることができる。さらに、凸部6を増加させ、排気ガスと耐熱布3に含浸された二酸化炭素吸着剤8との接触面を増加させることができる。
【0037】
[実施例3]
図4は、本発明の第3の実施例に係る二酸化炭素除去装置の側面図である。図4に示すように、二酸化炭素吸着剤8を内部に配設するケーシング7を排気筒Pの先端部に配設することにより使用する。
【0038】
図5−1は、本発明の第3の他の実施例に係る二酸化炭素除去装置の取付け方法を説明した断面図であり、図5−2は、図5−1の取付け方法を説明した側面図である。図5−1及び図5−2に示すように、バンドU1の両端にボルトBを通す孔が設けられており、ボルトBを緊締することにより、バンドU1でケーシング7を固定し、ケーシング7を排気筒Pの先端部に設ける。この方法を介して、排気筒Pの径の大きさに対応することができる。
【0039】
そして、このケーシング7は、金属を主体とするが、耐熱紙、又は耐熱樹脂、セラミック等の耐熱素材を採用することも可能である(他の例も同じ)。
【0040】
図6−1は、本発明の第3のさらに他の実施例に係る二酸化炭素除去装置の取付け方法を説明した断面図であり、図6−2は、図6−1の取付け方法を説明した側面図である。図6−1及び図6−2に示すように、バンドU2の両端にボルトBを通す孔が設けられており、前記の例と同じ様に、ボルトBを緊締することにより、バンドU2でケーシング7を固定し、ケーシング7を排気筒Pの先端部に設ける。そして、この効果は、前述の例と同様とする。
【0041】
図7−1は、本発明の第3のさらに別の実施例に係る二酸化炭素除去装置の取付け方法を説明した断面図であり、図7−2は、図7−1の取付け方法を説明した側面図である。図7−1及び図7−2に示すように、ケーシング7の下部にボルトBを通す孔が設けられており、この孔はねじが切ってある。そして、ボルトBを緊締することにより、ボルトBの上端が排気筒Pの下部を押し上げ、圧接する。これにより、排気筒Pは、ケーシング7の内壁の天面とボルトBの上端とで挟持され、ケーシング7を緊締し、ケーシング7を排気筒Pの先端部に固定する。そして、この効果は、前述の例と同様とする。
【0042】
この二酸化炭素吸着剤8の製造方法は、例えば、酸化カルシウムの粉末とセラミックの粉末とバインダーとを混合し、加熱混練してペレットを作り、これを射出成形機や押し出し成形機に投入する。次に、射出成形機等のシリンダ内において、ペレットを混練加熱すると、熱可塑性バインダーが溶融して、流動性を有する混合流体となる。そして、射出成形機を使用した場合は、混合流体を金型のキャビティ内に吹き込み冷却すれば、キャビティの形状に成形された成形体が完成する。押し出し成形機を使用した場合には、混合流体をダイスから押し出せば、所望の断面形状に成形された成形体が完成する。
【0043】
そして、次に、非酸化物セラミックは真空中または水素等還元雰囲気中において、酸化物セラミックは大気中において加熱する。すると、成形体に含まれていた熱可塑性バインダーは再び分解気化して成形体から除去される(脱バインダー工程)。これにより、成形体は、粉末の集合体となるが、これに熱エネルギーを加えると原子が拡散して、所定の製品形状まで縮み焼結品となる(焼結工程)。
【0044】
以上の工程により、酸化カルシウムを担持したセラミック製のハニカム構造体が完成し、内燃機関の排気ガス中に含まれる二酸化炭素を好適に吸着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1−1】図1−1は、本発明の第1の実施例に係る二酸化炭素除去装置を挿設する際の斜視図。
【図1−2】図1−2は、図1−1の使用状態の正面図
【図2−1】図2−1は、本発明の第1の他の実施例に係る二酸化炭素除去装置の斜視図
【図2−2】図2−2は、図2−1の二酸化炭素除去装置の巻回状態を示した斜視図
【図3−1】図3−1は、本発明の第2の実施例に係る二酸化炭素除去装置の平面図
【図3−2】図3−2は、図3−1の二酸化炭素除去装置の側面図
【図4】図4は、本発明の第3の実施例に係る二酸化炭素除去装置の側面図
【図5−1】図5−1は、本発明の第3の他の実施例に係る二酸化炭素除去装置の取付け方法を説明した断面図
【図5−2】図5−2は、図5−1の取付け方法を説明した側面図
【図6−1】図6−1は、本発明の第3のさらに他の実施例に係る二酸化炭素除去装置の取付け方法を説明した断面図
【図6−2】図6−2は、図6−1の取付け方法を説明した側面図
【図7−1】図7−1は、本発明の第3のさらに別の実施例に係る二酸化炭素除去装置の取付け方法を説明した断面図
【図7−2】図7−2は、図7−1の取付け方法を説明した側面図
【符号の説明】
【0046】
1 二酸化炭素除去装置
2 凸部
3 耐熱布
4 骨材
5 突起部
6 凸部
7 ケーシング
8 二酸化炭素吸着剤
B ボルト
P 排気筒
U1 バンド
U2 バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、動力機械等の内燃機関の排気ガスの排気筒に設けられる二酸化炭素除去装置であって、
二酸化炭素吸着剤を含浸し、表面に複数の凸部を形成した耐熱紙からなり、
この耐熱紙を巻回して多重層の筒体としたときに、前記凸部で前記筒体の長手方向に迂回状の流路が形成される構成とした二酸化炭素除去装置。
【請求項2】
車両、動力機械等の内燃機関の排気ガスの排気筒に設けられる二酸化炭素除去装置であって、
二酸化炭素吸着剤を含浸し、表面に複数の凸部を形成した耐熱布と、
前記耐熱布に止着され、前記耐熱布に張りを与える構成とした骨材と、
前記耐熱布の一方表面から鉛直方向に突出した、前記骨材の突起部とからなり、
前記耐熱布を巻回して多重層の筒体としたときに、前記突起部で前記筒体の長手方向に迂回状の流路が形成される構成とした二酸化炭素除去装置。
【請求項3】
車両、動力機械等の内燃機関の排気ガスの排気筒の先端部に配設する二酸化炭素除去装置であって、
略円筒形状のケーシングと、
前記ケーシングの内部に配設された二酸化炭素吸着剤を備え、
前記二酸化炭素吸着剤は、酸化カルシウムとセラミックとバインダーとからなる混合物を焼結しハニカム構造体とし、
前記ケーシングは、ボルトで緊締し前記排気筒に着設することを特徴とする二酸化炭素除去装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の二酸化炭素除去装置であって、
前記二酸化炭素吸着剤が酸化カルシウムである二酸化炭素除去装置。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【公開番号】特開2009−275585(P2009−275585A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127306(P2008−127306)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(506141144)
【Fターム(参考)】