説明

二酸化炭素(CO2)を再利用するためのプロセス

本発明は、CO分子から実質的になる初期ガス流CO(106)を再利用する方法であって、前記方法は、以下の工程:ガス状のCO流を、炭素を含有する材料(104)の熱分解温度に加熱する工程と、炭素元素を含有する炭素含有材料(14)の負荷物を、ガス流により熱分解する工程であって、炭素元素によりCO分子を還元し、一酸化炭素分子(CO)を実質的に含有する第1の高温ガス流(110)を生成する、工程と、一酸化炭素分子(CO)を、酸素原子(O)で酸化する工程であって、CO分子を実質的に含有する第2のガス流(114)を生成する、工程と、第2のガス流(114)中のCO分子を還元し、一酸化炭素分子(CO)を実質的に含有する第3のガス流(120)を提供する、工程とを含む、方法に関する。この方法を実施するためのシステムも開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二酸化炭素を再利用するためのプロセスに関する。本発明はまた、前記プロセスを実施するシステムにも関する。
【0002】
本発明の分野は二酸化炭素(CO)を再利用する分野、より具体的には炭素元素(C)による二酸化物還元の分野である。
【背景技術】
【0003】
COは「ガス状炭素」の基本形態であり、炭素を含有する全構造の基本的な化学物質である。COはまた、高い熱エネルギーを有する燃料ガスであり、現在使用されているように全ての「慣用の」エネルギーに変換可能である。
【0004】
2つのCOへの炭素分子(C)によるCO還元は完全に知られており、Boudouard反応により定義されている。したがって、2COへのエネルギー移動の関心点において、その吸熱反応のエンタルピーは、作用が経済的に採算性が合うことが非常に重要である。実際に、COのCOへの還元は吸熱性であり、以下の説明で見られるように、高温を必要とする。したがって、反応の発生を可能にするようにエネルギーを供給する必要がある。
【0005】
数十年前、これらの反応の収率を改善する技術を決定する研究が行われ、環境に対する悪影響のみにより、特定の「気化」プロセスが関心の原因となることが説明されている。
【0006】
CO還元反応の高エンタルピーを考慮して、COを濃縮/回収し、保存する技術に特権が与えられ、CO再利用プロセスより良いが、それはまた非常に高価であり、かなりの技術手段の使用を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的はこれらの不都合な点を回避することである。
【0008】
本発明の別の目的は、二酸化炭素を再利用する経済的に採算の合うプロセスおよびシステムを提案することである。
【0009】
したがって、本発明の目的は、現在の最先端の技術のシステムより良い収率で二酸化炭素を再利用するプロセスおよびシステムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のいわゆるCO分子を実質的に含有するCOの初期ガス流を再利用するプロセス手段であって、前記プロセスは、以下の工程:
前記COのガス流を、炭素を含有する材料の熱分解温度にて加熱する工程と、
前記ガス流によって炭素元素を含有する炭素を含有する材料の負荷物を熱分解する工程であって、前記熱分解が、前記炭素元素によってCOの分子を還元して、高温にて一酸化炭素分子を実質的に含有する第1のガス流を生成する工程と、
酸素元素によって前記一酸化炭素分子を酸化する工程であって、前記酸化が、CO分子を実質的に含有する第2のガス流を生成する工程と、
前記第2のガス流の前記CO分子を還元する工程であって、前記還元が、一酸化炭素分子(CO)を実質的に含有する第3のガス流を供給する工程と、
を含む、プロセスにより、これらの目的が達成できる。
【0011】
本発明は、COを得るためにCO脱酸、COを得るためにCO酸化および再度COを得るためにCOの第2の脱酸を実施する。
【0012】
これら3つの反応は、再利用の開始から再利用の終了までにおいて炭素を含有する材料の完全な潜在的エネルギーを感度良く移動させることができるので、異なる工程の間にそれらを使用でき、外部電源を必要としない。したがって、第1の反応は炭素を含有する材料の熱分解作用であり、前記炭素を含有する材料を800/1000℃にすることを目的とする。これは、炭素(C)によるCOの「オキシリダクター(oxyreductor)」反応の温度であり、CO由来の酸素原子(O)の交換によってCO(一酸化炭素)に酸化される。その反応は吸熱性であり、COのガス流を、炭素を含有する材料の熱分解温度まで加熱する公知の手段によって有用なエネルギーが本発明のプロセスの開始に供給される。続いて、このエネルギーは、以下の反応により生成されるエネルギーを再利用し、システムの損失を補償するために加熱を補足することにより供給される。その第1の反応の順序において、炭素を含有する初期の材料由来の炭素はCO(一酸化炭素)に「ガス化」され、COはCOに還元される。次いで得られたガス状排出物は、1000℃の温度のCO(高い熱エネルギーを有する燃料ガス)から実質的になり、その温度の維持が、初期COに供給されるような最終的な熱補足により制御される。
【0013】
酸素保有元素による第2のCO酸化反応は、熱容量およびガス流の温度を均一化する目的を有し、酸素保有元素をそれらの反応温度(800〜1000℃)にもたらし、維持するのに十分なエネルギーを供給することを可能にし、COの第2の脱酸を実施し、初期ガス流の温度を熱分解温度まで増加させる。これにより、外部エネルギーの過剰な供給が回避され、第2の脱酸を実施し、初期ガス流の温度を増加させる。
【0014】
第3の反応は、1000℃の温度でCOを実質的に含む最後のガス流を得るために、酸化可能元素(これは第2の反応において還元されている)に対してCOを脱酸素(還元)することからなり、有機材料の導入ゾーンまでのその移動に対して有用な安定性を保証し、そこで、反応の反転の危険性を有さず、前記材料によりその熱容量が変化し(1000℃〜500℃のその温度の還元過程において2COは1CO+1Cになり、この反応は、「オキシリダクター(oxyreductor)」になるように炭素元素の存在下で抑制される)、これは熱交換の別の方法によりその温度を下げることにより起こりやすくなる。
【0015】
本発明は、1モルのCOから2モルの一酸化炭素CO(これは高エネルギーを有する燃料ガスであり、炭素を含有する多くの分子配列に有用な分子である)を得ることを可能にする。
【0016】
本発明によるCOのCOへの再利用は、以下の可能性:
固形燃料よりガス燃焼の十分な収率および管理、
使用されるエネルギーの十分な全体の収率、
加熱装置のかなり減少したメンテナンス、
消費される1kgの固体炭素あたり3.66kgのCOの再利用
を有する、ほぼ純粋な燃料ガスへの固形燃料の変換から放出される、ガスへの固形燃料の熱転移を実施し、それは一酸化炭素分子(CO)においてであり、炭素の初期のガス形態は、工業で一般に使用される分子を得るために他の元素へのその結合を可能にし、それらを任意の熱システムについての燃焼ガスにする。使用される一酸化炭素のガス流の燃焼後、COは何度も再利用され得る。
【0017】
本発明のプロセスは経済的に採算の合うプロセスである。
【0018】
さらに、本発明のプロセスの収率は現在の技術水準のプロセスと比較して高い。
【0019】
本発明のプロセスの有益なバージョンにおいて、第1のガス流の一酸化炭素分子を酸化する酸素元素が酸素保有酸化物により供給されてもよく、前記酸化後に前記酸素保有物質は還元される。
【0020】
同様に、第2のガス流のCO分子の還元は、一酸化炭素分子の酸化後に得られる還元した酸素保有物質により行われてもよい。
【0021】
したがって、酸素の同じ保有物質は、本発明のプロセスの各々の反復において閉じた回路で使用され、酸素保有物質の各々の使用サイクルは最初に一酸化炭素分子の酸化についての反応および続いて二酸化炭素分子の還元についての反応を含む。したがって酸素保有物質は最初に還元され、次いで酸化される。
【0022】
酸素保有物質の例はNiOなどのニッケルに基づいた酸素保有物質であってもよい。一酸化炭素分子の酸化の間、酸素保有物質は以下の反応によりNiに還元される:
NiO+CO→Ni+CO
【0023】
一酸化炭素分子の還元の間、還元した酸素の酸素保有物質、すなわちNiは以下の反応により酸化される:
Ni+CO→NiO+CO
【0024】
酸化した酸素の保有物質、すなわちNiOはその後、一酸化炭素などの分子の新規の酸化のために使用される。
【0025】
本発明のプロセスは開始段階を含み、その開始段階の間、COの初期ガス流が、炭素を含有する材料の負荷物の燃焼により加熱される。したがって、酸化および還元反応を開始するために最初に必要とされる熱エネルギーはこの燃焼により与えられる。この燃焼は、有益には、酸素下で実施されてもよく、前記燃焼の熱収率を最適化し、実質的にCOにより構成される燃焼ガスを生成する。前記COは即座に初期ガス流に導入されるので、エネルギーを損失せずに熱転移を実施する。
【0026】
反応の開始後、本発明のプロセスは、有益には、第2のガス流の前記熱エネルギーの少なくとも一部の回収を含んでもよく、前記熱エネルギーの少なくとも一部は初期のガス流を加熱するために使用される。
【0027】
他方で、有益なバージョンによれば、本発明のプロセスは、有益には、第3のガス流の熱エネルギーの少なくとも一部の回収を含んでもよく、前記熱エネルギーの少なくとも一部は、初期のガス流を加熱し、炭素を含有する材料を予熱するために使用される。
【0028】
熱分解温度は800〜1100℃からなり、好ましくは1000℃である。
【0029】
さらに、本発明のプロセスは、外気の侵入を回避するように構成される機械化注入口チャンバによって炭素を含有する乾燥材料の連続供給を含む。得られる第3のガス流は、その熱エネルギーの少なくとも一部を、炭素を含有する材料と交換するようにこの注入口チャンバを通して移動でき、それらを対向流で移動する。このように、熱交換は以下でなされる:
−上流、炭素を含有する材料の有益性において、本発明のプロセスにおける熱/化学反応の固有のエネルギーを再利用することにより予熱される;
−下流、第3の最後のガス流を損失しない。実際に、Boudouardは以下のことを示している:1000℃における場合、反応は2COで満たされ、他方で、1000℃における2COはそれらの熱容量(熱)を、それらの媒体と交換し、その反応は、炭素平衡の安定なレベルにおける温度(約450℃)に減少するまで1CO+1Cに反転され、その移動はその温度でほぼ平衡化(50/50%)される。
【0030】
このように、本発明のプロセスは、CO熱(約1000℃)を、導入される炭素を含有する材料と交換することによってこの反応の反転を抑制し(これはプロセスにおける「還元」炭素の保存であり、熱交換の過程までそれ自体反応する)、これはその手段により即座に反応し、一酸化炭素の安定なレベルで温度を平衡化(450℃未満)することによってその反転を抑制する。
【0031】
さらに、本発明のプロセスは熱分解する工程の前に炭素を含有する負荷物を粉砕する工程を含んでもよい。炭素を含有する材料の粉砕は有益な熱分解を可能にし、その結果として前記熱分解の間にCO分子の還元反応が起こる。
【0032】
一酸化炭素分子を実質的に含む、得られた第3のガス流は重要なエネルギー源を示す。本発明のプロセスは、この第3のガス流の少なくとも一部の燃焼によって電気エネルギーまたは熱エネルギーを生成する工程を含んでもよい。
【0033】
実施形態の一例によれば、炭素を含有する乾燥材料の負荷物は、
−植物または動物バイオマス、
−石炭、
−泥炭、
−褐炭、
−有機または無機残渣、
−すり減ったタイヤあるいは
−これらの炭素を含有する材料の任意の混合物
を含んでもよい。
【0034】
本発明の別の態様は、COを実質的に含む、いわゆる初期ガス流のための再利用システムであって、前記システムは、
−炭素を含有する材料の熱分解温度における前記ガス流による加熱手段と、
−前記熱分解温度における前記ガス流によって炭素を含有する材料の負荷物の熱分解を実施する、いわゆる第1の熱分解ゾーンであって、前記熱分解はCO分子を還元させて、一酸化炭素分子(CO)を実質的に含む第1のガス流を生成する、第1の熱分解ゾーンと、
−前記一酸化炭素分子の酸化を実施する、いわゆる第2の酸化ゾーンであって、前記酸化は、CO分子を実質的に含む第2のガス流を生成する、第2の酸化ゾーンと、
−前記第2のガス流の前記CO分子の還元を実施する、いわゆる第3の還元ゾーンであって、前記還元は、一酸化炭素分子(CO)を実質的に含む第3のガス流を供給する、第3の還元ゾーンと、
を含む、システムを提案する。
【0035】
有益なバージョンにおいて、第2のゾーンは、第1のガス流の一酸化炭素分子を酸化するために酸素元素の供給を提供する酸素保有酸化物を含有してもよく、前記酸化後に前記酸素保有物質は還元される。
【0036】
有益なバージョンによれば常に、第3のゾーンは、第2のガス流からCO分子の還元を実施する、還元状態の酸素保有酸化物を含有してもよい。
【0037】
好ましいバージョンによれば、本発明のシステムは、
−第1のガス流の一酸化炭素分子の酸化後に得られる還元状態の酸素保有酸化物の第2のゾーンから第3のゾーンへの移動、および
−第2のガス流のCO分子の還元後に得られる酸化状態の酸素保有酸化物の第3のゾーンから第2のゾーンへの移動、
を実施する輸送手段を備えてもよい。
【0038】
これらの輸送手段により、第1のガス流の一酸化炭素分子の酸化反応および第2のガス流のCO分子の還元の間の酸素保有物質の使用および再利用が可能となり、本発明のプロセスの各々の反復において閉じたサイクルで実施される。
【0039】
初期ガス流の加熱手段は
−第2のガス流から初期ガス流までの熱エネルギーの移動および/または
−第3のガス流から初期ガス流までの熱エネルギーの移動、
を実施する少なくとも1つの熱交換器を備えてもよい。
【0040】
そのような熱交換器は第2および第3のガス流の熱エネルギーを回収し、評価できる。
【0041】
本発明のシステムはまた、炭素を含有する負荷物の炭素元素によるCO分子の脱酸反応を増加させるために、炭素を含有する負荷物を初期のガス流により熱分解する前にその炭素を含有する物質のための粉砕手段を有してもよい。
【0042】
一方で、本発明のシステムは、前記システムを減圧下に置く手段を備えてもよく、それにより、第3のゾーンまでの熱分解ゾーンの異なるガス流の循環が好都合になる。
【0043】
本発明は、以下の反応:1CO+1C=2CO(これはCO還元反応である)のCOを得るために炭素を含有する塩基に対してCOを再利用する。この還元は400/500℃の熱レベルで部分的に実施されて、1000℃で完了されてもよい。この温度において、全てのCOは、1/2OをCと交換する。この還元は吸熱(283kJ/モル)であるので、それに反応手段を供給する必要がある。
【0044】
2COへの1Cによる1COの還元は、以下の2つの結合反応を生じさせることによりなされる:
−1つのCに対する1/2O(O)との交換による還元は吸熱性である(283kJ/モル)。
−CO中の1つのCに対するCOの1/2O(O)との交換は発熱酸化である(111kJ/モル)。
【0045】
2COへの1Cによる1COの還元の吸熱は283kJ/モル−111kJ/モル=172kJ/1モルのCOである。
【0046】
1kgのCOは22.73モル(44g/モル)により構成されて、それらをCOに還元し、それにより、炭素の等価が必要とされる:22.73モルのC(12g/モル)または272.76gの炭素(C)を考慮する。この反応により、45.46モルのCO(28g/モル)、すなわち1.273kgの一酸化炭素(CO)が得られる。
【0047】
これらの条件下で、本発明の2つのCO中のCに対して再利用するCOのエネルギー平衡は以下の通りである:約1,644kJが、還元反応の基礎温度(400/500℃)にて1kgのCO+等価炭素(272.76gまたは50%炭素にて6/700gの炭素を含有する材料)を上昇させるために必要とされ、約2,220kJがその完全な温度(約1000℃)に到達する。他方で、1kgのCOの還元の吸熱は172kJ×22.73モル=3,909.56kJである。再利用の全エンタルピーは6,130kJ/kgのCOにて5,554kJである。
【0048】
1,273kgのCOの熱エネルギーは283kJ/モル×45.46モル=12,865kJである。すなわち、7,311kJから6,735kJ/kgのCOの限定した増加である。
【0049】
CO還元に有用な272.76gの炭素の熱エネルギーは22.73モル×394kJ/モル=8,956kJである。
【0050】
要約すると、
−COに再利用するCOのエネルギー平衡は、使用される材料を調整するのに有用なエネルギーを消費する(反応エンタルピー1644/2220kJ)。一連のプロセスで説明しているように、そのエネルギーは、炭素酸化(燃焼)により開始時に供給され、続いて反応流出物にわたる潜在的および検知できる熱が再利用/回収される。
−COに再利用するCOの熱平衡は、還元剤として使用するエネルギー等価炭素(固形燃料)の燃焼に関して約4,000kJ/kgのCOより多い「完全な」ガス状燃焼の形成下で即座のエネルギーポテンシャルを生じさせる。この状態により、燃焼、収率および燃焼温度ならびに全体のエネルギー収率を最適化できる。
【0051】
COに再利用するCOの全体の結果は有意である。
−以下の可能性:
−固形燃料よりも十分なガス燃焼の収率および管理、
−使用されるエネルギーの十分な全体の収率、
−熱装置のかなり減少されるメンテナンス、
を有する、(ほぼ純粋な)燃料ガスへの固形燃料の変換から得られる、ガスへの固形燃料の熱転移の最適化、
−3.66kgのCO/消費される固体炭素(kg)の再利用、およびガス溶液の燃焼後、COは何度も再利用されてもよい。
【0052】
本発明は、分子の組合せのために炭素を含有する鎖の構築のためのCOの生成、および種々の工業的用途に使用されてもよい。
【0053】
水素(H)生成システムに関連して、本発明は、COを生成することにより、メタン(CH)などのハイドロカーバイド(hydrocarbide)の全ての分子の組合せが可能となる。次いでより複雑な合成を有するハイドロカーバイドの組成が現在の精製設備において生成され得る。
【0054】
本発明は、複数の使用:加熱、冷却、電気、原動力により新エネルギーに変換するための可燃性ガスエネルギー(CO)の供給源に変換されるエネルギー/供給源(固形燃料についての「熱」エネルギーポテンシャル)の変換に同様に使用されてもよい。
【0055】
酸素保有物質はNiO、Fe、MgO、CaOなどを含有してもよい。
【0056】
本発明の他の利点および特徴は、本発明の炭素を含有する塩基についての第1のバージョンのCO再利用システムの原理の概略が示されている非限定的な実施形態の詳細な説明および添付の図面を参照した後に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は本発明のシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1により表されるシステム100は第1のゾーン102を備える。第1のゾーン102は、炭素を含有する材料104の熱分解が、高温(1000℃より高い)にてCOの初期ガス流106により行われるゾーンである。炭素を含有する材料は好ましくは、COへの均一反応のために乾燥しているが、異なるガス状化合物の合成を得ることを目的とする場合、湿っていてもよい。この第1のゾーン102は多くのレベル108を有し、以下:
−炭素を含有する材料の温度の漸進的増加および最適な熱分解温度におけるCOの維持、
−炭素を含有する材料、より具体的には炭素元素によるCOの脱酸素反応
を可能にするように構成される。
【0059】
COの初期ガス流106および炭素を含有する材料104は、対向流でこの第1のゾーン102に連続的に導入される。CO106は約1000℃に規定される反応温度にて導入される。実際に、COの初期ガス流106は、開始段階で専門家により知られているような手段101により反応温度にて事前に加熱される。反応が開始すると、以下に説明するようにシステム100により使用されるエネルギーの再利用に起因して、ガス流COの加熱は自発的になる。
【0060】
(Boudouardにより定義され、以前に説明した炭素の平衡により)COの還元反応を実施し、その反応を最適化するために、COを1000℃以上の温度に予熱し、その後、炭素を含有する材料の温度を増加させ、あらゆる反応の反転を抑制する手段を用いて即座に反応させるために導入される炭素を含有する原材料104に含有される炭素の割合に関して制御した割合でCOを導入する。開始段階がプロセスにおける自発的加熱レベルに到達するならば、前記の外部の予熱は停止または減少される。導入されるCOの割合は、炭素を含有する材料中の炭素(C)の割合と等しくなるべきである。すなわち、1モルの炭素(C)に対して1モルのCO
【0061】
炭素を含有する材料104は、独立して、植物および/または動物バイオマス、二酸化炭素、泥炭、褐炭、残渣、すり減ったタイヤなどであってもよい。それらはCOと十分に相互作用するように粉砕していることが好ましい。それらは好ましくは、本発明の反応を得るために「乾燥」されている。炭素を含有する材料は、その保存温度にてチャンバ103(当業者に公知の装置により機械化されている)により熱分解の第1のゾーン102に導入される。そのチャンバ103において、炭素を含有する材料は最後のガス流120により対向流で交差される。前記の相互作用により、炭素を含有する材料104との流れ120の残留熱容量の変化が可能となり、流れ120の予熱および冷却が可能となる。次いで炭素を含有する材料は、COの脱酸(還元)反応により必要とされるレベルに設定される高い温度の約1000℃の熱分解温度にてCOの初期ガス流106に対する対向流に従うゾーン108に導入される。熱分解は、システムについて規定された構成に応じてレベル間(level after level)で持続する。次いでCOは、炭素を含有する材料104の過熱した炭素とOをやり取りする。得られたガス状混合物は、中間ゾーンを移動することにより1つのレベル108から別のレベルまで通過し、続いて本発明のシステムにおいて全てのゾーンに到達し、そのレベル内で、プロセスの異なるガス流も別の交換器により移動される。したがって、ガス状混合物は、効果的かつ効率的である反応に十分な温度および熱容量を保つ。CO分子が形成して、高温(900℃以下)にてCOを実質的に含む第1のガス流110に集まり、最終的にゾーン109において規定される経路を通る。ここで、初期の炭素を含有する残留材料および残留COはCOに完全に変換される。システム100は公知の抽出手段(図示せず)により減圧下であるので、この第1のガス流110は、第1のゾーン102から第2のゾーン112まで引かれる。
【0062】
第2のゾーン112は、図1においてMeOとして示した金属酸化物などの酸素保有材料を使用する。酸素保有材料MeOと接触することにより、高温にてCOを実質的に含む第1のガス流110は酸素保有材料から酸素を分離し、失った酸素原子はその完全燃焼用になる。前記発熱反応は非燃焼下で生じ、ゾーン102のチャンバ103に導入される場合、炭素を含有する材料104の1kg当たりに生成される1.273kgのCO(すなわち45.46モルのCO)により12,865kJを生成する。
【0063】
第2のゾーン112は、蒸気生産ボイラーまたは任意の他の公知の熱発生器であってもよい。与えた例において、前記第2のゾーン112は、COの初期ガス流106が移動し、第1のゾーン102に導入する前に、その熱容量の一部を獲得する熱交換器である。
【0064】
酸素保有材料MeOの脱酸は、通常、吸熱反応であり、この吸熱を補償するために、COの第1のガス流110は、プロセスにおける再利用および熱交換の間、非常に高温である。他方で、酸素保有材料MeOはプロセスにおける熱再利用の間均等に予熱される。
【0065】
与えた例において、酸素保有材料MeOは、酸化物「NiO」の状態である、ニッケル「Ni」に基づいた調製物を含んでもよい。この場合、全反応:NiOの還元およびCOの酸化は発熱である:
NiO+CO=Ni+CO−38.7kJ/COのモル。
【0066】
この反応はCOを実質的に含む第2のガス流114を生成する。
【0067】
しかしながら、その第2のゾーン112における温度は、酸素保有材料の耐久性を保つために1000℃以下に維持されるべきである。第2のゾーン112を交差する初期ガス流106に対する発熱反応の熱転移により、1000℃以下における第2のゾーンの温度の維持が可能となる。熱転移は、ゾーン112および116の両方に共通の熱交換器118または任意の他の熱回収手段により実施されるので、反応から初期ガス流106までのエネルギー転移は、「酸素保有」材料およびガス流が考慮されるゾーンの最適温度を維持することにより徐々に実施される。
【0068】
第2のゾーン112におけるCOのCOへの完全な酸化の時点で、初期CO還元の吸熱(炭素含有材料の熱分解の間、172kJ/1モルのCO)が以下のように再利用される:
−「酸素保有」材料MeOはMeに非活性化(または還元)され、800〜1000℃からなる温度で第2のゾーンから重力(および/または機械的)により抽出される。これらの材料Meはシステム100の第3のゾーン116への輸送により移動される。
−COを実質的に含む第2のガス流114は900℃以下の温度で第2のゾーン112から出て行く。この第2のガス流は第3のゾーン116において900℃未満の温度で導入され、そこで、第2のゾーン112から第3のゾーン116に導かれる脱酸または還元された酸素保有材料Meと接触して再度COに還元される。
【0069】
第3のゾーン116において、第2のゾーン112からの第2のガス流114は、不活性化または還元された酸素保有材料Meと交差し、そのMeとCOの化合物は以下の反応により酸素原子をやり取りする:
CO+Me=CO+MeO。
【0070】
他方で、この反応は以下を生成する:
−800℃以下の温度でCOを実質的に含む第3のガス流120、および
−第2のゾーン112において再利用され得る活性化または酸化された酸素保有材料MeO。
【0071】
本発明の実施例において、この反応は以下のように記載される:
CO+Ni=CO+NiO+38.7kJ/1モルのCO
【0072】
その反応の吸熱は第1のゾーンにおける反応の有効な発熱を0にする。初期ガス流106を輸送するための第3の熱交換器118はまた、この第3のゾーン116にある。COの初期ガス流106は、第3のゾーンから第1のゾーンまでこの熱交換器118内を対向流で循環し、開示されている反応のセットに有用な最大熱容量および約1000℃の温度に到達する。
【0073】
第3のガス流120は、炭素を含有材料が連続して導入されるチャンバ103を通してシステム100から抽出される。対向流での第3のガス流120および炭素を含有する材料104の接触および相互作用により、炭素を含有する材料が事前に加熱され、1CO+1CにおいてCO分子の全ての反転を抑制することにより第3のガス流120を冷却する。
【0074】
前記反応の熱平衡は欠失している。それは、システムにおける様々な損失(開示した例について約10%)および流れ120の残留熱容量に対応する熱供給を必要とする(「そのまま(as such)」を使用しない場合、本発明のシステムからそれを抽出している)。前記熱補足は、厳密に制御された熱供給により上流で供給されてもよく、予熱している初期CO106のために装置101において(酸素燃焼において)COを消費し、次いでCOに変換される前記CO分子がシステムにおいて再利用される。
【0075】
第3のゾーン116から抽出されるCOの第3のガス流120は、任意の熱装置において「それ自体」使用されてもよく、ならびに/あるいはモーターおよび/またはガスタービンにおいて電気に変換されてもよい燃焼ガスである。この第3のガス流120を構成するCO分子は、合成の炭酸を含む分子複合体の組合せのための主要な分子として使用されてもよく、炭化水素分子における水素(H)の供給および/または生成に関する。
【0076】
要約すると:
−システム100の注入口において、1モルのCOおよび1モルの炭素(炭であってもよい、種々の炭素を含有する材料の形態において)が導入される。
−COは第1のゾーン120における熱分解に有用な熱保有物質(「感熱」エネルギー担体)として機能する。
−394kJ/モルにおけるエネルギーポテンシャルの炭素。
−排出口において、このシステムは、283kJ/モル×2=566kJのエネルギーポテンシャル、すなわち初期COの還元による2COにおけるCのエネルギーの転移に有用な172kJのエネルギーを増加させる、2モルのCOを生成する。このエネルギーは、外部電源の供給により反応の開始時に供給され、開始段階後のシステムの反応サイクルにおいて回収される。主な反応の最小消費のみが残り、熱損失の補償は使用される装置に特有である。
【0077】
したがって、本発明のプロセスの全体の収率は90%より多い。CおよびCO変換からのエネルギー転移の合計、約510kJを考慮すると、そこから、116kJ/1モルの初期COのエネルギーポテンシャルが増加し(生成したCOおよびプロセスは前記COの熱使用について定義される)、生成したエネルギーの再利用に起因して回収した補足的エネルギーの116/394kJ/1モルのCO=29.44%の節約、すなわち大気にCOの29.44%未満が排出されずに済む(GES)。2モルの工業的COを生成するために使用される炭素1モル当たり再利用される1モルの二酸化炭素(CO、GES)を考慮すると、大気にガスが放出されない。
【0078】
本発明は上記に開示した例に限定されないことは十分に理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO分子を実質的に含むいわゆるCOのガス流(106)を再利用するプロセスであって、前記プロセスは以下の工程:
炭素を含有する材料(104)の熱分解温度にて前記COのガス流を加熱する工程と、
前記ガス流によって炭素元素を含有する炭素を含有する材料(104)の負荷物を熱分解する工程であって、前記熱分解は、前記炭素元素によりCO分子を還元して、高温にて一酸化炭素分子(CO)を実質的に含有する第1のガス流(110)を生成する、工程と、
前記一酸化炭素分子(CO)を酸素元素(O)により酸化する工程であって、前記酸化が、CO分子を実質的に含有する第2のガス流(114)を生成する、工程と、
前記第2のガス流(114)の前記CO分子を還元する工程であって、前記還元が、一酸化炭素分子(CO)を実質的に含有する第3のガス流(120)を供給する、工程と、
を含むことを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
前記第1のガス流(110)の一酸化炭素分子を酸化する酸素元素が、酸素保有酸化物(MeO)により供給され、前記酸素保有物質(MeO)が前記酸化後に還元されることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記第2のガス流(114)のCO分子の還元が、一酸化炭素分子(CO)の酸化後に得られた還元した酸素保有物質(Me)により実施されることを特徴とする、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
開始段階を含み、前記開始段階の間のCOの初期ガス流の加熱が、炭素を含有する材料の負荷物の燃焼により実施されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記第2のガス流(114)の熱エネルギーの少なくとも一部を回収することを含み、前記熱エネルギーの少なくとも一部が初期ガス流(106)を加熱するために使用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第3のガス流(120)の熱エネルギーの少なくとも一部を回収することを含み、前記熱エネルギーの少なくとも一部が、前記初期ガス流(106)を加熱するため、および/または前記炭素を含有する材料(104)を予熱するために使用されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記熱分解温度が800〜1100℃からなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
1モルの二酸化炭素(CO)に対して1モルの炭素(C)の割合に関して、熱分解ゾーン(102)において炭素を含有する材料(104)および初期ガス流(106)の連続かつ対向流での導入を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記熱分解する工程の前に、炭素を含有する負荷物を粉砕する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記第3のガス流(120)の少なくとも一部の燃焼により電気エネルギーまたは熱エネルギーを生成することを含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
炭素を含有する乾燥負荷物が、
植物または動物バイオマス、
石炭、
泥炭、
褐炭、
残渣、
すり減ったタイヤ、あるいは
これらの炭素含有材料の任意の組合せ
を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
COを実質的に含有するいわゆるガス流(106)を再利用するシステム(100)であって、前記システム(100)は、
炭素を含有する材料(104)の熱分解温度にて前記初期ガス流(106)を加熱する手段(118/101)と、
前記熱分解温度にて前記ガス流(106)によって炭素を含有する材料(104)の負荷物の熱分解を実施する、いわゆる第1の熱分解ゾーン(102)であって、前記熱分解は、CO分子を還元し、一酸化炭素分子(CO)を実質的に含有する第1のガス流(110)を生成する、第1の熱分解ゾーン(102)と、
前記一酸化炭素分子(CO)の酸化を実施する、いわゆる第2の酸化ゾーン(112)であって、前記酸化が、CO分子を実質的に含有する第2のガス流(114)を生成する、第2の酸化ゾーン(112)と、
前記第2のガス流(114)の前記CO分子の還元を実施する、いわゆる第3の還元ゾーン(116)であって、前記還元が、一酸化炭素分子(CO)を実質的に含有する第3のガス流(120)を供給する、第3の還元ゾーン(116)と、
を含むことを特徴とする、システム。
【請求項13】
酸素保有酸化物(MeO)を含有する前記第2のゾーン(112)が、酸素元素の供給を提供して前記第1のガス流(110)の一酸化炭素分子を酸化し、前記酸化後に前記酸素保有物質が還元されることを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
還元状態の酸素保有酸化物(Me)を含有する前記第3のゾーン(116)が、前記第2のガス流(114)のCO分子の還元を実施することを特徴とする、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のガス流(110)由来の一酸化炭素分子(CO)の酸化後に得られた還元状態の酸素保有酸化物(Me)の前記第2のゾーン(112)から前記第3のゾーン(116)までの移動、および
前記第2のガス流(114)由来のCO分子の還元後に得られた酸化状態の酸素保有酸化物(MeO)の前記第3のゾーン(116)から前記第2のゾーン(112)までの移動、
を実施する輸送手段を備えることを特徴とする、請求項13および14に記載のシステム。
【請求項16】
前記酸素保有物質がニッケルに基づくことを特徴とする、請求項13〜15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
少なくとも1つの熱交換器(118)を含む、前記初期ガス流を加熱する手段が、
前記第2のガス流(114)から前記初期ガス流(106)までの熱エネルギーの移動、および/または
前記第3のガス流(120)から前記初期ガス流(106)までの熱エネルギーの移動、
を実施することを特徴とする、請求項12〜16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
炭素を含有する負荷物を粉砕する手段を備えることを特徴とする、請求項12〜17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムを減圧下に置く手段を備えることを特徴とする、請求項12〜18のいずれか一項に記載のシステム。

【図1】
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【公表番号】特表2013−518019(P2013−518019A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550272(P2012−550272)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【国際出願番号】PCT/BR2011/000019
【国際公開番号】WO2011/091495
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(512200284)シー ― ソルコエス エネルギア イ メイオアンビエンテ リミターダ (4)
【Fターム(参考)】