説明

二重カップ

本発明は、内壁と外壁、およびその上端のカップ開口とその下端の底部を備える二重カップ(1)に関する。外壁は、実質的に、紙、厚紙などで製作される。本発明の目的は、二重カップ(1)をより迅速かつ簡単に製作して組み立てられるように改善するとともに、対応する断熱特性を維持しながら二重カップの構造不安定性を緩和することである。このために、内壁を備えた内カップを、外壁を備えた外カップ(3)に挿入して、外カップの中に、もしくは外カップに特に着脱可能に固定する。内カップ(2)は少なくとも流体密のプラスチック材料で製作される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上端にカップの開口を有し下端に底部を有する内壁と外壁を備えた二重カップに関する。少なくとも外壁は、基本的に紙、厚紙などから作られる。
【背景技術】
【0002】
この種の二重カップはEP1227043で知られている。この設計では、外壁はスリーブによって形成され、スリーブは一般に内壁を形成する内カップに下方から押し付けられる。外壁を形成するスリーブはその上端とその下端において内カップに装着され、スリーブと内カップの間に空隙が形成され、これによって二重カップの断熱が行われる。
この種の二重カップは優れた断熱特性を示すため、温かい飲み物の保管および抽出と、冷たい飲み物などの保管と抽出の両方によく使用され得る。内カップは紙、厚紙などから同様に製作され、少なくとも内カップはその内側にさらに流体密の被膜が施される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、この種の二重カップが適切な断熱特性を維持しながらより迅速かつ簡単に製作して組み立てられ、同時に二重カップの構造がより安定に実現されるようにこれを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本目的は請求項1の特徴によって解決される。
本発明によると、この種の二重カップは、具体的には、内壁を備えた内カップが外壁を備えた外カップに挿入されて、特に着脱自在に外カップに装着され、内カップは少なくとも流体密のプラスチック材料で形成されることを特徴とする。
【0005】
内カップと外カップを使用することによって、底部が開いたスリーブ(下方から内カップに押し当てられる)が省かれるため二重カップの構造は機械的により安定する。内カップに漏れがあっても、これがユーザの衣服を汚す可能性のある二重カップの漏れに至らない。代りに、外カップが内カップでのこの種の漏れに対する集水手段を提供するため、本発明による二重カップはより安定であるだけでなく使用上より安全でもある。
【0006】
内カップは、外カップの中に様々な方法で配置されて、内カップの中に装着されるか、もしくは内カップに装着され得る。2つのカップを使用することによって、例えば、内壁と外壁の領域、両カップの場合により利用可能なエッジの領域および/またはさらに両カップの低部の領域などにおける着脱自在な装着には多くの方法が利用可能である。さらに、内カップはプラスチック材料で形成され、適切なプラスチック成形法に基づく様々な設計とバリエーションで製作可能であり、その後外カップに簡単に挿入可能であるため、内カップの製作が簡素化される。
【0007】
内カップの適切なプラスチック材料は少なくとも流体密であるため、注入可能な内容物、すなわち液体の内容物を使用する場合に内カップは十分に密封される。
特に、内カップの漏れ、または内カップに入れられた食品などの外カップの中への移動に対する外カップの保護機能を改善し、これを同様に少なくとも流体密に設計するために、外カップの内側および/または外側を流体密のプラスチックフィルムで被覆することができる。このプラスチックフィルムは、特に外カップの外側を被覆することによって外カップの印刷機能を改善することができ、外カップに紙、厚紙などを使用することによっていつでも比較的良好な印刷機能が確保される。
【0008】
特に二重カップからの液状食品の取り出しを改善するために、適切な上側外カップ開口を少なくとも部分的に取り囲む外向きに突出したエッジフランジを外カップは有することができる。このようにすると、外カップはその形状が特に外カップ開口の領域において安定するだけでなく、液状食品をカップから簡単に飲めるようになる。好都合な実施形態では、対応するエッジフランジを外側に突条を有するロールドリムとして形成することができる。また、このロールドリムの領域には適切なプラスチックフィルムを適用することができる。
【0009】
内カップからの取り出しをさらに簡単にしたり、外カップに対して内カップの上部シールを場合により設けたりするために、上側内カップ開口を取り囲む内エッジフランジを内カップに少なくとも部分的に有することができる。これは要求に応じて様々な方法で形成され得る。
【0010】
好都合な実施形態では、内エッジフランジを上方から外カップの外エッジフランジに少なくとも所々で接触させることができる。これによって、特に液状食品の二重カップからの取り出しは、互いに接しているエッジフランジの両方から可能である。さらに、外カップに対する非常に簡単で適切な内カップの密封がエッジフランジの領域に設けられている。
【0011】
密封を改善するとともに、例えば、外カップに対する内カップの一定の装着、すなわち少なくとも相対位置への固定をいつでも実現するために、内エッジフランジで外エッジフランジの周囲の少なくとも一部分を把持することができる。周囲の把持は様々な方法で実現され得る。一実施形態では、エッジフランジの相互支持が基本的に内カップを外カップ内に定置する役割のみを果たすように、外エッジフランジを内エッジフランジによって比較的ゆるく周囲に把持する。同様に、一定でさらに場合により適切な外カップ内への内カップの固定をいつでも容易に行えるこの領域での接合を基本的に摩擦係合によって行うように、周囲の把持を比較的緊密にすることもできる。これに関連して固定を改善するために、内エッジフランジと外エッジフランジを特に着脱自在に互いに接合することができる。この種の接合は、適当な接着剤による確立が可能であり、また、エッジフランジの領域で外カップに施用されるプラスチックフィルムの溶融および接合などによる確立も可能である。
【0012】
当然ながら、エッジフランジの領域では、この種の接合以外に、接着剤、プラスチックフィルムの溶融などによる別の接合も内カップと外カップの内壁と外壁の領域、もしくは両カップの対応する底部の領域において追加的または代替的にも行われ得る。
【0013】
特に外カップの外側周囲にフランジ状のロールドリムを使用するときは、逆U字形の内エッジフランジを形成し、挿入された内カップに対応するU字脚を用いて上方からロールドリムを周方向に把持するようにすると好都合であることが判明し得る。
その際、両カップの対応する着脱自在の装着をU字脚とロールドリムを用いて行うこともできる。これに関しては、摩擦係合の接合で十分な場合もある。
また、内エッジフランジを基本的に外向き半径方向に突出した平面エッジフランジとして形成し得る可能性もあり、平面エッジフランジは、例えば、外エッジフランジまたはロールドリムに基本的に上方から接しているだけである。ここで、この種の平面エッジフランジは外エッジフランジに対して半径方向に突出して自由端で例えばドリップエッジを形成するようにすることが可能である。
【0014】
本発明の他の実施形態では、内エッジフランジを、特に平面エッジフランジとして形成するときは外カップの内側から少なくとも所々に突出した肩部に設置することができる。このようにして、上側内カップ開口は上側外カップ開口に対して下方にずらして配置されて、内カップが外カップに完全に収容される。内カップと外カップの間の適切な装着および/または密封は、対応する肩部の内カップフランジの支持によって行われ得るが、この領域では外カップに施用される接着剤、プラスチックフィルムの溶融などによって着脱自在の装着も行われ得る。
【0015】
さらに他の実施形態では、内エッジフランジをこの種の肩部で支持せずに、平面エッジフランジとして特に形成された内エッジフランジの自由端を外カップ内側の周りを通る溝の中に挿入することができる。肩部での支持とさらにこの溝への挿入の両方によって、内カップの対応する相対位置は外カップに関して定められる。溝内の自由端の係合は、特に両カップの確実なロック接合を提供し得るもので、内カップを外カップに挿入すると自由端が溝に係合することによって一定の掛止効果が確立される。またこれに関連して、自由端と溝の領域においてさらに外カップなどでの接着剤、プラスチックフィルムの溶融によって、適切な装着または密封を行うことができる。
【0016】
肩部または溝を用いた内カップの挿入は、溝の深さが平面エッジフランジの長さよりも小さいという点で簡素化された少なくとも溝を使用したものである。しかしながら、これはやはり深さが平面エッジフランジの長さよりも小さいような肩部の領域に同様に適用され得る。このようにして、適切な肩部や溝の製作は簡素化される。これは、ほとんど費用をかけずに外観に著しい影響を及ぼすことなく外カップに形成され得るからである。
このように、特に溝の形成に関しては、平面エッジフランジの自由端の角を随意に落とした場合にこの領域における平面エッジフランジの自由端の挿入と密封を改善することができる。
【0017】
外カップは、外カップ開口と肩部の間の適当な上壁部分の上端で上方に円錐形に広げることができる。これによって、内カップと、特に肩部に係合した平面エッジフランジとの構成が簡素化される。ただし、これに関連して、外カップの中への内カップの固定を改善するために、外カップの対応する壁部分を肩部から上方に、基本的には垂直に対応する外エッジフランジまで延ばすことができる。
【0018】
本発明によるさらに他の実施形態では、内カップの下端または底部を外カップの下端または底部から間隔をもたせ、これらの間に収容空間を形成することもできる。この収容空間はサプライズプレゼントなどの収容に使用することができ、特に内カップを空にして外カップから内カップを取り出した後にアクセス可能となる。だが、内カップの下端または底部は外カップの下端または底部に接している可能性があるため、内カップは対応するエッジフランジとの接触だけでなく外カップの対応する底部との接触によっても支持される。さらにこれに関連して、両カップの装着を底部または下端の領域においても行うことができる。ごく小さい収容空間によって、内カップと外カップの間のこの領域では直接接触が回避されるため断熱が施される可能性もある。
【0019】
内カップと外カップの間の断熱は、少なくとも内カップ壁と外カップ壁の間に特に周方向に通る空気室が形成されるため改善され得る。さらに、この種のいくつもの空気室は周方向に配置され得る可能性もあり、この空気室は両カップの間に特有の支持リブ、支持突出部などによって切断されている。対応する空気室は、これに関して垂直方向に延びて周方向で互いに分離されるか、および/または周方向に延びて垂直方向で互いに分離され得る。
【0020】
カップの断面については、円形、長円形、長方形、および厳密な正方形など様々な幾何学的形状が考えられる。二重カップを保持しやすくするために、内カップ壁と外カップ壁を上方に円錐形に広げることができる。内カップ壁と外カップ壁の妥当な円錐角については、種々の関係が考えられる。内カップ壁と外カップ壁の円錐角が等しいときは、内壁と外壁を例えば直接接触させることが可能である。しかし、円錐角が等しい場合でも、例えば、内カップが外カップ内に肩部や溝を使って配置される場合は、内壁と外壁の間に一定の間隔が存在する可能性もある。同様に、内カップ壁と外カップ壁の円錐角は異なる可能性がある。一実施形態では、外カップ壁の円錐角が内カップ壁の円錐角よりも大きいことによって、内カップ壁と外カップ壁の間隔がカップ開口に向かって大きくなっている。また、これと逆の場合も考えられ、すなわち、内カップ壁の円錐角が外カップ壁の円錐角よりも大きいことによって、両方の間隔がカップの底部に向かって大きくなっている。
【0021】
2つのカップに特有の装着が複数の点で行われ得ることは既に指摘している。この装着が、例えば、カップ壁の領域においても行われるものとすると、内カップ壁が少なくとも所々で外カップ壁内側と接すれば好都合であると考え得る。
【0022】
内カップの適切なプラスチック材料は、その密封特性だけでなくその有効寿命も改善する。その上、この種のプラスチック材料は簡単な方法で気密に形成され得るもので、いずれにしても液体のみならず気体に対しても適切な密封性を備える。したがって、ヨーグルト、ビスケットなど、影響を受けやすい食品は臭気やその他のガスから適切に保護される。同様に、二重カップに、例えば、チーズやその他のにおいの強い食品が入っている場合、二重カップからの臭気やガスの放出が阻止される。
【0023】
二重カップの閉鎖は様々な方法で実現され得る。例えば、外カップまたは内カップの対応するエッジフランジに既知の方法で蓋を被せてもよい。また、内カップを閉じるための密封フォイルを内エッジフランジまたは外エッジフランジに着脱自在に装着することもできる。
【0024】
基本的に、内カップは、互いに接しているエッジフランジの領域から随意に離してある外カップや、内エッジフランジが肩部表面や溝内に配置されている領域の外カップとは異なる幾何学的形状を有する可能性もある。したがって、長円形または長方形の内カップを、例えば、丸い断面を持つ外カップ内に配置することもでき、その逆も同様である。この場合、相対するカップの適切な位置調整またはそれらの装着は、幾何学的に類似したエッジフランジの領域においてのみ、もしくは内エッジフランジを肩部または溝内との接触によってのみ可能である。
【0025】
しかしながら、2つのカップの構成が簡素化されているため、内カップと外カップの断面が二重カップの高さ全体にわたって本質において幾何学的に互いに類似していると好都合なことがある。
【0026】
前述の説明を参照すると、内カップがその下端において外カップの底部の少なくとも所々で接していると好都合なこともある。このような場合、内カップの位置は外カップの中で支持され、さらに両カップを着脱自在に装着するこの支持領域でも支持される。支持が所々で行われるだけであれば、支持されていない他の領域は断熱に寄与し得る。
【0027】
特に、内カップ壁が外カップ壁の内側に接している場合でも、本発明による二重カップの断熱はやはり紙、厚紙などから形成された外カップによって行われるだけであることも指摘される。この場合、外カップは、外カップがその外カップ壁の領域において十分な材料厚を有するか、もしくは両壁の間に空気室を随意に配置した、例えば、二重壁で形成されているものと考えられる。
【0028】
流体密であり気密でもある内カップのプラスチック材料は、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン、これらの材料の組合せなどである。
【0029】
内壁と外壁の接合を様々な方法で行うことができ、特に外カップに施用されるプラスチックフィルムを用いた接合をポリエチレンによって行うことができることは既に指摘されている。
【0030】
サプライズプレゼントを収容する前述の収容空間に関連して、内カップを空にする前に内カップを外カップから外さずにいつでもサプライズプレゼントが取り出すこともできれば好都合であることも分かるかもしれない。これは、例えば、外カップの下側カップ部が上側カップ部から着脱自在であれば実現される可能性がある。
【0031】
カップ部間のこの種の着脱自在機能は、これらのカップ部間に開封帯またはミシン目を形成することによって備えられ得る。
開封タブが突出しているか、せめてこの種の開封タブが開封帯またはミシン目に接合されていて、例えば、外カップの外面から開くことができれば、開封帯またはミシン目の引剥がしを簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の好都合な実施形態が図面の各図に示されている。
図1は、内カップ2と外カップ3を備えた二重カップ1の第1の実施形態による縦断面を示す。内カップ2の下端20は外カップ3の下端21まで間隔を置いて配置され、外カップ3の下端21は底部29によって形成される。端部20、21間には、2つのカップ2、3間の断熱用の空気室25としての役割も果たす収納空間22が形成されている。サプライズプレゼント40は収納空間22内に配置される。収納空間22へのアクセスは、外カップ3の上側カップ部33と下側カップ部32の間に形成された開封帯34を引き剥がして行われる。開封帯34には、引き剥がしのために把持することができる開封タブ35が付いている。
【0033】
内カップと外カップ2、3は、各々上端に適切な上側内カップ開口または上側外カップ開口8、6を有する。これは、図1では密閉性を保つ密封フォイル28で閉じられている。密封フォイル28は、内エッジフランジ9の領域で封がされている。この内エッジフランジ9は内カップ2から外向きに突出し、対応する内カップ開口を取り囲んでいる。内カップ2の内側31には消費食品を配置することができ、密封フォイル28、これに対応する蓋を外した後二重カップ1から食品を取り出すことができる。
【0034】
対応する内エッジフランジ9の下には、外エッジフランジ5が外向きに突条を有するロールドリム7の形で配置されている。この外エッジフランジ5は、外カップ3の上端に配置されて上側外カップ開口6を取り囲んでいる。
【0035】
したがって、図1において、内カップ2で形成された内壁、すなわち内カップ壁23(以下の実施形態も参照されたい)と、外壁、すなわち外カップ3で形成された外カップ壁24(以下の実施形態も参照されたい)とは接触し、これらの間には空気室が形成されず、断熱は外カップ3とその材料の、例えば紙、厚紙などによって実現されている。
【0036】
内カップと外カップ2、3は、それぞれのカップ開口の方向に円錐形に広がり、対応する円錐角(以下の実施形態も参照されたい)はこの場合等しい。
【0037】
以下の図2〜4では、図1による詳細「A」に対する様々な実施形態が拡大されて示されている。これらの図では、他のすべての図の場合と同様に、同じ部品はいずれの場合も同じ参照符号によって識別されるか、あるいは、1つの図に関して言及されているだけの場合もある。
【0038】
図2では、密封フォイル28は上方から内エッジフランジ9の平坦領域に施用され、ここで密封されている。内エッジフランジ9は、下向きの2つのU字脚10と11を有する逆U字形をしている。これらは、ロールドリム7として形成された外エッジフランジ5に上方から重ね合わされている。ここで、外U字脚10は、ロールドリム7の外側に対して間隔を置いて自由空間を形成している。内U字脚11および両U字脚の接合部は、いずれの場合もロールドリム7または外カップ壁24と接触している。
【0039】
図3の実施形態では、それぞれのU字脚10、11は、基本的に摩擦係合された接合が外エッジフランジ5と内エッジフランジ9の接触によって形成されるようにロールドリム7と密着している。
【0040】
これは図4の実施形態にも同様に施用され、ここでは、ほぼ等しい材料強度の2つのU字脚を有するのに対し、図3による実施形態では、外U字脚10は内U字脚11よりも大きい材料厚を有する。図3と図4の両実施形態において、U字脚10と11の接合部はいずれの場合も両U字脚よりも大きい材料厚で形成されている。
【0041】
図5には二重カップの第2の実施形態が示されている。これは、内カップ2の下端20が外カップ3の下端21まで延びている点で図1による実施形態と基本的に異なる。したがって、内カップ2の下端20は、内カップ2の一部分が対応する底部29に接し、空気室25がその間に形成されるように形成されている。
【0042】
内カップ2の対応する円錐角26と外カップ3の対応する円錐角27は各々大きさが等しく、内カップ壁23と外カップ壁24の間には空気室などの自由空間がなく、両カップ壁はこれらの高さ全体にわたって接している。
【0043】
図6による第3の実施形態では、カップ壁23、24はこれら縦方向の範囲の少なくとも大部分にわたって互いに間隔を置いて配置され、基本的に幅の等しい空気室25が垂線36に垂直な方向に等しい円錐角26、27によって形成されている。
第3の実施形態のその他の特徴は、図1と図5による第1と第2の実施形態の特徴と基本的に同等である。
【0044】
図2〜図4に対応したそれぞれの詳細「A」はこれまでに説明したすべての実施形態に対して形成されることに留意されたい。
【0045】
一方で、2つのカップ2、3の装着は対応するエッジフランジ5、9で行われる。例えば、これは摩擦係合された接合がエッジフランジ間に形成されるために(図3と図4参照)実現され得るものである。追加的または代替的に、接着剤をエッジフランジ間だけでなく、内カップ壁23と外カップ24の間、または内カップ2の下端20と外カップ3の下端21の間に配置することもでき、または両カップ2、3の着脱自在接合部の場合は、外カップ3の内側および場合により外側にも施用するプラスチックフィルム4(図1参照)を簡単に溶かしてから適切な点で内カップ2に接合することができる。プラスチックフィルムによる接合は、当然、対応するエッジフランジ5、9の領域において行うこともできる。
【0046】
図1、図5、および図6による実施形態の円錐角26、27は異なる可能性が同様にある(例えば、図7と図9による第5と第6の実施形態も参照されたい)。この場合、内カップの円錐角26は外カップの対応する円錐角27よりも小さいことがあり、その逆のこともある。円錐角が異なることによって、対応する空気室25は内カップ壁23と外カップ壁24の間にも生じる(図7と図9を参照されたい)。
【0047】
図7による第4の実施形態は、内エッジフランジ9の位置と構成が他の実施形態と異なる。これは平面エッジフランジ12として形成される(図7の詳細「A」の拡大図である図8も参照されたい)。この平面エッジフランジ12は、その下側とその自由端15が外カップ3の内側13に形成された肩部14に対接されている。肩部14の上方では、外カップ壁24の壁部分19が高さ39にわたって延びている。この壁部分19は、基本的に、外エッジフランジ5としてのロールドリム7まで垂線36に平行に延びている。肩部14の対応する奥行き17は、内カップ開口8の領域の内カップ2から外向き半径方向に間隔を置いた平面エッジフランジ12の長さ18よりも小さい。これによって、適切な空気室25が内カップ壁23と外カップ壁24の間に形成され、図7では空気室は円錐角26、27の違いによって外カップ3の底部29の方向で幅が小さくなるように形成されている。
【0048】
図7による第4の実施形態では、他の実施形態の場合と同様に、内カップ2を図1に従って、すなわち、外カップ3の底部29に対して間隔を置いて形成することができる。さらに、この実施形態の場合、他の実施形態の場合と同様に、例えば、互いに積み重ねて挿入された二重カップ1相互の取出し手段の役割を果たす適切な肩部を内カップ2の内側に形成し得る可能性があり、この種の肩部はこの種のカップの積み重ね高さが高くなり過ぎてカップを互いに詰め過ぎることを防止する。
【0049】
図5、図6、図7、および図9による実施形態においても、内カップ2が外カップ3の底部29に対して十分な間隔を置いて終っているときは収容空間22に適切なサプライズプレゼント40を配置し得る可能性がある。
【0050】
同様に、例えば、図8による実施形態では、肩部14の奥行き17を平面エッジフランジ12の長さ18に基本的に一致させて、内カップ2の円錐角26が外カップ3の円錐角27よりも大きくなるように空気室25を形成し得る可能性がある。このようにすると、底部29の方向で幅が増加する空気室25が形成される。
【0051】
図7と図9による実施形態では、内カップ2はいずれの場合も外カップ3の内側30に完全に定置されているが、図1、図5、および図6による実施形態では、内カップ2は少なくともその内エッジフランジ9が外カップ3の内側30から突出している。
【0052】
図10による第5の実施形態では、平面エッジフランジ12は内カップ2の内エッジフランジ9として外カップ3に対して異なる場所に、異なる方法で固定されている。ここでは、外カップ3はその内側13でロールドリム7に対して間隔を置いて溝16を有し、この溝の中に平面エッジフランジ12の自由端15が挿入されている。この自由端15を、ここでは、溝16に対する装着と適合を改善するために丸みを付けて形成することができる。
【0053】
第5の実施形態の他の特徴は、図7による第4の実施形態と同じである。これらの実施形態の適切な代案も他に考えられる(例えば、様々な円錐角26、27、もしくは外カップ3の底部29に対して間隔を置いた内カップの端部を参照されたい)。また、円錐角26、27の関係を逆にすることもできる。すなわち、内カップの円錐角26を外カップ3の円錐角27よりも大きくすることができる。
【0054】
図9と図10による実施形態においても、溝16の対応する深さは平面エッジフランジ12の長さ18よりも小さい。しかし、同様に、溝16の領域において対応するカップ壁23と24が接触し、対応する空気室25が底部29の方向で幅が増加するように形成して、この深さを基本的に長さ18に一致させ得る可能性がある。
図7と図9には、二重カップ1の全高37も示され、ここでは外カップ3の高さによって決定される。図1、図5、および図6では、二重カップ1の全高37を得るために、2つのU字脚10、11の接合の概略厚さ(図2〜図4参照)がいずれの場合も外カップ3の全高に加算される。
【0055】
カップ開口に対応する直径38は、図7と図9による実施形態に示され、外カップ3の直径38によって決定され、図1、図5、および図6では、この領域の内カップ2に対応する直径によって決定される。
【0056】
外エッジフランジと内エッジフランジについては他の方法も考えられることに留意されたい。1つの可能性は、例えば、内エッジフランジ9を外向きの突条を有するロールドリムとして形成し、ロールドリムを最高部で開いたU字形外エッジフランジ5に上方から係合させるものである。同様に、図10の平面エッジフランジ12の代りにロールドリムを溝16に相応に係合する内エッジフランジ9として形成し得る可能性がある。
【0057】
例えば、内カップ2の下端20を支持する外カップ3の別の肩部など、本発明による様々な実施形態の他のバリエーションと組合せも考えられる。
内カップは、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン、またはこれら材料の組合せなどの気密および流体密のプラスチック材料から形成され、適切なプラスチック成形法によって簡単かつ迅速に製作され得る。この種の材料を使用することによって、内カップは十分に丈夫でもあり、適度に長い有効寿命を有する。
外カップに紙、厚紙などを使用することによって、その外側に容易に印刷することができ、外側に例えばポリエチレンのプラスチックフィルムを適切に施用することによって、この印刷機能をさらに改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】二重カップの第1の実施形態による縦断面である。
【図2】図1の詳細「A」の拡大図である。
【図3】他の実施形態の図2に類似した図である。
【図4】さらに他の実施形態の図2に類似した図である。
【図5】本発明に従った二重カップの第2の実施形態による縦断面である。
【図6】本発明に従った二重カップの第3の実施形態による縦断面である。
【図7】本発明に従った二重カップの第4の実施形態による縦断面である。
【図8】図7の詳細「A」の拡大図である。
【図9】本発明に従った二重カップの第5の実施形態による縦断面である。
【図10】図9の詳細「A」の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁と外壁、上側カップ開口、および下側カップ底部を有する二重カップ(1)であって、少なくとも外壁は基本的に紙、厚紙などから形成され、
内壁は内カップ(2)によって形成され、前記内カップ(2)は、前記外壁を備えた外カップ(3)の中に挿入されて特に着脱可能に装着され、少なくとも流体密のプラスチック材料から形成されることを特徴とする、二重カップ(1)。
【請求項2】
外カップ(3)は内側およびまたは外側をプラスチックフィルム(4)で被覆されることを特徴とする、請求項1に記載の二重カップ。
【請求項3】
前記外カップ(3)は、外方向に突出して少なくとも部分的に上側外カップ開口(6)を取り囲む外エッジフランジ(5)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の二重カップ。
【請求項4】
前記外エッジフランジ(5)は突条を有するロールドリム(7)として形成されることを特徴とする、請求項3に記載の二重カップ。
【請求項5】
前記内カップ(2)は少なくとも部分的にその上側内カップ開口(8)を取り囲む内エッジフランジ(9)を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項6】
前記内エッジフランジ(9)は前記外エッジフランジ(5)に少なくとも所々で上方から接触することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項7】
前記内エッジフランジ(9)は前記外エッジフランジ(5)を少なくとも部分的に包含することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項8】
前記内エッジフランジ(9)と前記外エッジフランジ(5)は特に互いに着脱可能に接合されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項9】
前記内エッジフランジ(9)は基本的に逆U字形に形成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項10】
前記内エッジフランジ(9)は基本的に外向き半径方向に突出する平面エッジフランジ(12)として形成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項11】
前記平面エッジフランジ(12)は少なくとも所々で前記外カップ(3)の内側(13)から突出する肩部(14)に接触することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項12】
前記平面エッジフランジ(12)はその自由端(15)が前記外カップ(3)の内側(13)の周りを通る溝(16)に挿入されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項13】
前記肩部(14)または溝(16)は前記平面エッジフランジ(12)の長さ(18)よりも小さい奥行き(17)を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項14】
前記平面エッジフランジ(12)はその自由端(15)に丸みがつけられていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項15】
前記外カップ(3)の壁部(19)は肩部(14)から前記外エッジフランジ(5)まで基本的に垂直上方に延びていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項16】
前記内カップ(2)は前記外カップ(3)の下端(21)に対して間隔を置いてその下端(20)で終り、これらの端部(20、21)の間に収納空間22が形成されていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項17】
特に周方向に通る空気室(25)が内カップ壁(23)と外カップ壁(24)の間に形成されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項18】
前記内カップ壁(23)と前記外カップ壁(24)は上方に円錐形に広がっていることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項19】
前記内カップ壁(23)と前記外カップ壁(24)の円錐角(26、27)は等しいことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項20】
前記内カップ壁(23)と前記外カップ壁(24)の円錐角(26、27)は異なることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項21】
前記内カップ壁(23)は内側から前記外カップ壁(24)に少なくとも所々で接触することを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項22】
前記内カップ(2)は気密のプラスチック材料から形成されることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項23】
前記カップの内側を密封する密封フォイルまたは蓋(28)は内エッジフランジ(9)または外エッジフランジ(5)に着脱自在に装着されることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項24】
前記内カップ(2)と前記外カップ(3)の断面は幾何学的に互いに類似していることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項25】
前記内カップ(2)はその下端(20)が前記外カップ(3)の底部(29)の少なくとも所々で接触していることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項26】
前記内カップ(2)はポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン、これらの材料の組合せなどから製作されることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項27】
前記内カップ(2)と前記外カップ(3)の接合部はポリエチレンなどのプラスチックフィルム(4)を用いて形成され、前記プラスチックフィルム(4)は特に前記外カップ(3)の内側(30)に適用されることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項28】
前記外カップ(3)の下側カップ部(32)は前記上側カップ部(33)から取り外すことができることを特徴とする、請求項1〜27のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項29】
開封帯(34)またはミシン目が前記下側カップ部(32)と前記上側カップ部(33)の間に形成されることを特徴とする、請求項1〜28のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項30】
開封タブ(35)が前記開封帯または前記ミシン目に接合されていることを特徴とする、請求項1〜29のいずれか一項に記載の二重カップ。
【請求項31】
前記内カップ(2)と前記外カップ(3)は接着剤およびまたは機械的相互作用によって互いに接合されることを特徴とする、請求項1〜30のいずれか一項に記載の二重カップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−507726(P2009−507726A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529549(P2008−529549)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008753
【国際公開番号】WO2007/028623
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(503168533)
【氏名又は名称原語表記】SEDA S.P.A.
【Fターム(参考)】