説明

二重シート弁

【課題】小型化と残留液の低減を可能にした二重シート弁を提供する。
【解決手段】第1の弁室3Aを有する第1弁箱3と、第2の弁室4Aを有する第2弁箱4と、弁口6およびドレン通路7を有するバルブシート部材5とを一体に形成してボディ本体2とする。第1の弁室3Aに、第1のアクチュエータ26によって駆動され弁口6を開閉する第1の弁体25を配設する。第2の弁室4Aに、第2のアクチュエータ33によって駆動され弁口6を開閉する第2の弁体32を配設する。ボディ本体2に、第3の弁室を有する第3弁箱10を接続する。第3の弁室内に、第3のアクチュエータ41によって駆動されドレン通路7を開閉する第3の弁体を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの配管を接続する弁口を二重にシールし二種類の流体の混じり合いを防止するようにした二重シート弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品、薬品等の業界においては、細菌等による汚染防止対策として、配管およびバルブの洗浄殺菌が最重要課題とされている。このため、洗浄殺菌方式として設備機器を分解せずに洗浄、殺菌するCIP(Cleaning in Place )が提案、実施されている。その場合、CIPでは、洗浄液と製品液(以下、製品ともいう)や異種の製品どうしが混ざり合わないようにすることが重要な課題とされ、この課題を解決するために二重シールバルブが用いられている二重シールバルブとしては、例えば、特許文献1、2に開示されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載されている二重シールバルブは、第1パイプと第2パイプを連結する連結筒に設けた第1、第2の開口部を第1、第2の弁体によってそれぞれ開閉制御するようにしている。すなわち、第1パイプから第2パイプに流体を流す場合は、第1、第2の開口部を開放して流体を第1パイプから連結筒を経て第2パイプに流し、第1、第2パイプに異なった液体を流す場合は、第1、第2の開口部を第1、第2の弁体によってそれぞれ閉塞(二重シール)する。したがって、第1、第2パイプ内を流れる流体が混じり合うことがない。また、仮に一方の開口部のシールが不十分で一方のパイプを流れる流体が連結筒の内部空間に浸入しても他方の開口部はシールされているので、他方のパイプに流れ込むおそれはなく、排気管を通って外部に排出される。
【0004】
特許文献2に記載されている二重シールバルブは、連結筒に第1および第2開口部を設け、これらの開口部を第1および第2弁体によってそれぞれ開閉制御するようにしている。また、連結筒に形成した第3開口部に外気に連通するドレイン管を接続するとともに、第3弁体によって第3開口部を開閉制御し、さらに連結筒に形成した第4開口部に第1パイプから分岐した分岐パイプを接続し、第4弁体によって第4開口部を開閉制御することにより、連結筒内の空間部を介して、第1および第2パイプ、ドレイン管および分岐パイプを相互に連通または閉鎖するようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−103590号公報
【特許文献2】特開2008−95900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1に記載されている従来の二重シールバルブは、大気に開放している排気管と連結筒内の空間部とを連通させた構成を採っているので、大気中の雑菌が排気管を通って空間部内に侵入すると、第1、第2パイプ内を流れる製品を汚染する可能性があるという問題があった。また、第1、第2の弁体を第1、第2パイプを貫通させて配設しているので、メンテナンスが面倒で時間を要するという問題もあった。
【0007】
特許文献2に記載されている二重シールバルブは、排出管にバルブを設けて連結筒の内部空間が大気と連通しないようにしているので、外気から雑菌が連結筒内に侵入するおそれがなく、上記問題を解決することができる利点がある。しかしながら、この二重シールバルブは、連結筒の第1、第2、第3、第4の開口部をそれぞれ開閉制御する第1、第2、第3、第4の弁体を連結筒の外部にそれぞれ設けているためバルブ自体が必然的に大型化するとともに、連結筒の内容積も大きく、内部空間に滞留する流体の量が多くなるという問題があった。
【0008】
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、小型化と残留量の低減を可能にした二重シート弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、配管接続口を有する第1の弁室を備えた第1弁箱と、配管接続口を有する第2の弁室を有する第2弁箱と、これら両弁箱間を連通する弁口とドレン通路とを有するバルブシート部材とを一体に形成してなるボディ本体と、前記ボディ本体に設けられ前記ドレン通路に接続された第3の弁室とドレン口とを有する第3弁箱と、前記第3弁箱の前記ドレン口に一端を接続したドレン管と、前記第1の弁室内に設けられ前記弁口を開閉する第1の弁体を駆動する第1のアクチュエータと、前記第2の弁室内に設けられ前記弁口を開閉する第2の弁体を駆動する第2のアクチュエータと、前記第3の弁室内に設けられ前記ドレン通路を開閉する第3の弁体を駆動する第3のアクチュエータとを備えたものである。
【0010】
また、本発明は、上記発明の好ましい態様として、ボディ本体は、両端が開放する筒状体に形成されて内部中央がバルブシート部材によって仕切られることにより一半部が第1弁箱を形成し、他半部が第2弁箱を形成し、弁口は、バルブシート部材の中央に形成された貫通孔からなり、ドレン通路は、バルブシート部材の内部に半径方向に開口して一端が前記弁口に連通し、他端が前記第3の弁室に連通しているものである。
【0011】
また、本発明は、上記発明の好ましい態様として、第1、第2弁箱の配管接続口がそれぞれ2つからなるものである。
【0012】
また、本発明は、上記発明の好ましい態様として、第1、第2弁箱の配管接続口は、いずれか一方の弁箱に2つ設けられ、他方の弁箱に1つ設けられているものである。
【0013】
また、本発明は、上記発明の好ましい態様として、第1弁箱の配管接続口と第2弁箱の配管接続口とは、軸線が互いに交叉するとともに高さ方向に離間して水平に設けられているものである。
【0014】
さらに、本発明は、上記発明の好ましい態様として、ドレン通路が、第1弁箱の配管接続口と、第2弁箱の配管接続口の軸線に対して45°交叉して設けられているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る二重シート弁は、第1、第2および第3弁箱の弁室内に第1、第2、第3のアクチュエータによって駆動される弁体をそれぞれ配設しているので、弁自体を小型化することができる。また、ボディ本体内の流体は弁口内に溜まるだけであるため、残留量を少なくすることができる。また、第1、第2弁箱およびバルブシート部材を一体に形成してボディ本体としているので、部品点数および組み立て工数の削減と、製造コストを低減することができる。また、ドレン通路は弁口内の流体を第3の弁室に導く。ドレン管は、第3の弁室内の流体をバルブの外部に排出する。
第1、第2弁箱の配管接続口には、製品、洗浄液、蒸気、温水等を供給するための配管が接続される。
【0016】
また、バルブシート部材はボディ本体内に設けられて第1、第2弁箱を仕切る仕切壁を兼用しているので、ボディ本体の小型化を可能にする。
【0017】
第1、第2弁箱に設けられる配管接続口がそれぞれ2つの場合、一方が入口管、他方が出口管として用いられる。
第1、第2弁箱のうち一方に設けられる配管接続口が1つの場合、入口管または出口管として用いられ、他方に設けられる配管接続口が2つの場合、一方が入口管、他方が出口管として用いられる。
【0018】
第1、第2弁箱に設けられる配管接続口が、それぞれ2つで入口管と出口管とからなり、互いに軸線が交叉するとともに高さ方向に離間して水平に設けた発明においては、洗浄液や製品を供給するための液供給装置を互いに干渉しないように離して配置することが容易で、設置スペースを小さくすることができる。また、マニホールドブロックを容易に形成することができる。
【0019】
さらに、ドレン通路を第1、第2弁箱の配管接続口に対して45°交叉させて設けた発明においては、第3弁箱を配管接続口と干渉しないように取付けることが可能で、第3弁箱、第3の弁体、第3のアクチュエータの取付けを容易にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る二重シート弁の一実施の形態を示す外観斜視図、図2は同二重シート弁の一部を破断して示す正面図、図3は二重シート弁の平面図、図4は図2のIV−IV線断面図、図5〜図8はそれぞれ二重シート弁の動作を説明するための図、図9〜図12は本発明の他の実施の形態の二重シート弁の動作を説明するための図である。
【0021】
図1〜図4において、二重シート弁1は、ボディ本体2を備えている。前記ボディ本体2は、SUS304等によって上下に開放する円筒状に形成され、上半部が第1弁箱3を構成し、下半部が第2弁箱4を構成し、内部中央にバルブシート部材5が前記第1、第2弁箱3、4を仕切るように一体に設けられている。すなわち、ボディ本体2は、一体に形成された第1、第2弁箱3、4およびバルブシート部材5によって構成されるものである。第1弁箱3の内部は、第1の弁室3Aを形成し、第2弁箱4の内部は、第2の弁室4Aを形成している。
【0022】
前記バルブシート部材5は、適宜な板厚を有する円板状に形成され、弁口6およびドレン通路7が形成されている。弁口6は、バルブシート部材5の中央に上下面に開口して形成された貫通孔からなり、前記第1、第2の弁室3A、4Aを連通させている。前記ドレン通路7は、バルブシート部材5の内部に半径方向に開口するように形成されることにより、一端が前記弁口6に連通し、他端が後述する第3弁箱10の第3の弁室10Aに連通している。バルブシート部材5の下面からドレン通路7の下端までの高さm(図2)は、弁口6内に残留する液体の量を極力少なくするために、十分に小さく設定(例えば、数mm以下)されている。すなわち、ドレン通路7の開口径は、バルブシート部材5の厚みより僅かに小さい口径にすることによって、弁口6内に滞留する残留液を少なくすることを意味する。
【0023】
前記第3弁箱10は、ボディ本体2と同様にSUS304等によって図4に示すように前端側が円筒形で後端側が角筒形に形成され、ボディ本体2の外周面の長手方向中央に溶接によって固定されている。
【0024】
前記ボディ本体2の上端側には、前記第1弁箱3の第1の弁室3Aにそれぞれ連通する2つの配管接続口13A、13B(図2)が周方向に180°離間して軸線を一致させて設けられており、これらの配管接続口13A、13Bが第1の配管14の途中に接続されている。配管接続口13A、13Bは、継手付きの管路部からなり、上流側に位置する配管接続口13Aが第1の入口管を構成し、下流側に位置する配管接続口13Bが第1の出口管を構成している。第1の配管14は、製品、洗浄液、蒸気または温水を送液する液供給装置(図示せず)に接続されている。なお、配管接続口13A、13Bを総称して呼ぶときは、第1の配管接続口13と称する。
【0025】
また、ボディ本体2の下端側には、前記第2弁箱4の第2の弁室4Aに連通する2つの配管接続口17A、17B(図1、図2)が周方向に180°離間して軸線を一致させて形成されており、これらの配管接続口17A、17Bが第2の配管18の途中に接続されている。配管接続口17A、17Bは、継手付きの管路部からなり、上流側に位置する配管接続口17Aが第2の入口管を構成し、下流側に位置する配管接続口17Bが第2の出口管を構成している。前記第2の配管18は、前記第1の配管14に送液される製品とは異なる製品、洗浄液、蒸気または温水を送液する液供給装置(図示せず)に接続されている。なお、配管接続口17A、17Bを総称して呼ぶときは、第2の配管接続口17と称する。
【0026】
第1の配管接続口13と第2の配管接続口17とは、互いに軸線が90°の角度で交叉するとともに高さ方向に離間して水平に設けられている。第1、第2の配管接続口13、17を互いに90°の角度で交叉するように設けた理由は、これらの配管接続口を平行に設けた場合、これらの配管接続口に製品や洗浄液を供給する供給用装置が近づきすぎて互いに干渉するのを避けるためである。また、第1の配管接続口13と第2の配管接続口17は、軸線が前記ドレン通路7の軸線と水平面内において45°の角度で交叉するように設けられている。言い換えれば、ドレン通路7は、配管接続口13A、13Bと配管接続口17A、17Bの軸線に対して水平面内において45°の角度で交叉するように設けられている。また、第1の配管接続口13と弁口6とは軸線が直交し、T字形の流路を形成している。同じく、第2の配管接続口17と弁口6とは軸線が直交し、T字形の流路を形成している。なお、本実施の形態においては、第1の配管接続口13と第2の配管接続口17を90°の角度で交叉させた例を示しているが、これに限らず60〜90°程度の角度範囲で交叉するものであってもよい。ただし、あまり交叉角度が小さいと、供給用装置どうしが干渉し易くなるため好ましくない。
【0027】
前記第3弁箱10の下面側には、ドレン用孔20(図4)が形成されており、このドレン用孔20にはドレン管21の上端が溶接によって接続されている。
【0028】
さらに、二重シート弁1は、前記弁口6およびドレン通路7を開閉するダイアフラムバルブからなる第1、第2、第3バルブ22、23、24を備えている。
【0029】
前記第1バルブ22は、第1弁箱3の第1の弁室3A内に配設され弁口6の上端側開口部6a(図2)を開閉する第1の弁体25と、第1弁箱3の上端開口部29に下向きに取付けられた第1のアクチュエータ26とを備え、このアクチュエータ26の作動ロッド30の下端に前記第1の弁体25が取付けられている。第1の弁体25は、フッ素樹脂等によって一体に形成されるもので、円柱状の頭部25Aと、この頭部25Aの基端側に一体に設けられた碗状の弾性変形部25Bと、これらの間に設けられた頸部25Cとで構成され、弁口6の閉塞時に頭部25Aがバルブシート部材5の上面で弁口6の周囲に形成した上側着座部27aに着座することにより、前記上端側開口部6aをシールするように構成されている。弾性変形部25Bの外周縁は、第1弁箱3の内周面に突設した環状突起28に固定されることにより、第1弁箱3の上端開口部29と第1の弁室3Aとを完全に遮断している。したがって、外気中の雑菌等が第1の弁室3A内に侵入したり、第1の弁室3A内の液体が外部に漏洩することはない。
【0030】
前記第2バルブ23は、第2弁箱4の第2の弁室4A内に配設され弁口6の下端側開口部6bを開閉する第2の弁体32と、第2弁箱4の下端開口部35に上向きに取付けられた第2のアクチュエータ33とを備え、このアクチュエータ33の作動ロッド36の上端に前記第2の弁体32が取付けられている。第2の弁体32は、前記第1の弁体25と同様に、フッ素樹脂等よって一体に形成されるもので、円柱状の頭部32Aと、この頭部32Aの基端側に一体に設けられた碗状の弾性変形部32Bと、これらの間に設けられた頸部32Cとで構成され、弁口6の閉塞時に頭部32Aがバルブシート部材5の下面で弁口6の周囲に形成した下側着座部27bに着座することにより、前記下端側開口部6bをシールするように構成されている。弾性変形部32Bの外周縁は、第2弁箱4の内周面に突設した環状突起34に固定されることにより、第2弁箱4の下端開口部35と第2の弁室4Aとを完全に遮断している。したがって、外気中の雑菌等が第2の弁室4A内に侵入したり、第2の弁室4A内の液体が外部に漏洩することはない。
【0031】
図4において、前記第3バルブ24は、第3弁箱10の第3の弁室10A内に水平に配設された第3の弁体40と、第3弁箱10の後端開口部に水平に取付けられた第3のアクチュエータ41とを備え、この第3のアクチュエータ41の作動ロッド46の先端に前記第3の弁体40が取付けられている。第3の弁体40は、前記第1、第2の弁体25、32と同様にフッ素樹脂等によって形成され、頭部40Aと、この頭部40Aの基端側に一体に設けられた弾性変形部40Bと、これらの間に設けられた頸部40Cとで構成され、ドレン通路7の閉塞時に頭部40Aが第3弁箱10に設けた連通孔42を閉塞するように構成されている。連通孔42は、第3弁箱10の前面板に形成され、第3の弁体40の全開時に前記ドレン通路7と第3の弁室10Aを連通させている。弾性変形部40Bの外周縁は、第3弁箱10の内周面に突設した環状突起44に固定されることにより、第3弁箱10の後端開口部44と第3の弁室10Aとを完全に遮断している。したがって、外気中の雑菌等が第3の弁室10A内に侵入したり、第3の弁室10A内の液体が外部に漏洩することはない。なお、このような第1、第2、第3の弁体25、32、40としては、例えば特許第3704657号のダイアフラム弁を用いることができる。
【0032】
前記第1の弁体25は、全開、全閉時のいずれにおいても配管接続口13A、13Bを閉塞することはない。また、前記第2の弁体32は、全開、全閉時のいずれにおいても配管接続口17A、17Bを閉塞することはない。さらに、前記第3の弁体40は、連通孔42の全開、全閉時のいずれにおいてもドレン口20を閉塞することはない。第1、第2の配管14、18の二重シート弁1より上流側と下流側には、それぞれ図示を省略したバルブが設けられている。このような図示を省略したバルブと前記第1、第2、第3バルブ22、23、24は、製品の供給開始時、供給停止時、殺菌時および洗浄時に制御部からの制御信号によって駆動制御されるように構成されている。
【0033】
次に、上記構造からなる二重シート弁1の動作の一例を、図1、図2、図5〜図8に基づいて説明する。
図5は、二重シート弁1の停止時の状態を示す図である。この停止状態において、第1の弁体25が弁口6の上端側開口部6aを閉塞し、第2の弁体32が弁口6の下端側開口部6bを閉塞することにより、弁口6を二重シールしている。また、第3の弁体40がドレン通路7を閉塞している。したがって、弁口6およびドレン通路7は、大気から完全に遮断されているため、雑菌等がドレン管21内を通って第3の弁室10A、ドレン通路7および弁口6、さらには第1、第2の配管接続口13、17や第1、第2の配管14、18に侵入するおそれがなく、雑菌等による汚染や雑菌の繁殖を確実に防止することができる。
【0034】
図6は二重シート弁の殺菌時の状態を示す図で、(a)は第1の配管の殺菌時、(b)は第2の配管の殺菌時の状態を示す図である。図6(a)に示す第1の配管14の殺菌時においては、第1の弁体25を全開にし、第2、第3の弁体32、40を全閉状態に保持する。そして、この状態で第1の配管14より第1の配管接続口13に蒸気(または温水)50を流し、第1の配管14、第1の配管接続口13、第1の弁室3A、弁口6およびドレン通路7を殺菌する。
【0035】
第1の配管14の殺菌が終了すると、図6(b)に示す状態に切り替えて第2の配管18を殺菌する。このときは、第2の弁体32を開き、第1、第3の弁体25、40を閉じた状態に保持する。そして、この状態で第2の配管18に蒸気50を流し、第2の配管18、第2の配管接続口17、第2の弁室4A、弁口6およびドレン通路7を殺菌する。
【0036】
以上により第1、第2の配管14、18、第1、第2の配管接続口13、17、第1、第2の弁室3A、4A、弁口6およびドレン通路7が完全に殺菌処理されたことになる。
【0037】
図7は製品送液時の状態を示す図である。製品送液時においては、第1、第2の弁体25、32を開き、第3の弁体40を閉じた状態に保持する。また、第1の配管14の二重シート弁1より下流側の管体部分は予め不図示のバルブによって閉塞しておき、製品51が下流側に流れないようにしておく。さらに、第2の配管18の二重シート弁1より上流側の管体部分についても予め不図示のバルブによって閉塞しておき、製品51が第2の配管18の上流側に逆流しないようにしておく。この状態において、第1の配管14に例えば牛乳からなる製品51を送液し、二重シート弁1を経て第2の配管18の下流側に流す。このとき、
【0038】
製品51を第2の配管18から第1の配管14の下流側に送液するときは、上記とは反対に第1の配管14の二重シート弁1より上流側の管体部分を予め不図示のバルブによって閉塞し、製品51が第1の配管14の上流側に逆流しないようにするとともに、第2の配管18の二重シート弁1より下流側の管体部分を不図示のバルブによって閉塞しておけばよい。
【0039】
図8はCIP時の状態を示す図で、(a)は第1の配管の洗浄時、(b)は第2の配管の洗浄時の状態を示す図である。図8(a)に示す第1の配管14の洗浄時においては、第1、第3の弁体25、40を早い周期で一定時間繰り返し開閉操作し、第2の弁体32を全閉状態に保持し、第1の配管14より酸性の洗浄液(例えば、硝酸)52を弁口6内に間欠的に送液し、第1の配管14、第1の配管接続口13、第1の弁室3A、弁口6、ドレン通路7および第3の弁室10Aを洗浄する。洗浄液52は、第1の配管14の下流側の管体部分とドレン管21を通って外部に排出され、回収される。
【0040】
ここで、第1、第3の弁体25、弁体40を早い周期で一定時間繰り返し開閉操作し、洗浄液52を弁口6内に間欠的に吹き込むと、弁口6内に残留している製品51は洗浄液52によって吹き飛ばされ、ドレン通路7、第3の弁室10Aおよびドレン管21を通って外部に排出される。
【0041】
酸による洗浄が終了すると、次に第1の配管14にアルカリ性の洗浄液(例えば、苛性ソーダ)を送液し、第1の配管14、第1の配管接続口13、弁口6、ドレン通路7および第3の弁室10Aを同様に洗浄する。そして、この後さらに水を送液し、第1の配管14、第1の配管接続口13、弁口6、ドレン通路7および第1、第3の弁室3A、10Aを同様に洗浄する。
【0042】
第1の配管14を酸、アルカリおよび水によって洗浄した後、図8(b)に示す状態に切り替えて第2の配管18を同様に酸によって洗浄する。すなわち、第2の配管18の洗浄時においては、第1の弁体25を全閉状態に保持する。そして、第2、第3の弁体32、40を一定の周期で繰り返し間欠的に開閉操作し、第2の配管18に酸性の洗浄液52を送液し、第2の配管18、第2の配管接続口17、弁口6、ドレン通路7および第2、第3の弁室4A、10Aを洗浄する。このときの洗浄液52は、第2の配管18の下流側の管体部分とドレン管21を通って外部に排出され、回収される。
【0043】
次に、第2の配管18にアルカリ性の洗浄液を同様に送液し、第2の配管18、第2の配管接続口17、第2の弁室4A、弁口6、ドレン通路7および第3の弁室10Aを同様に洗浄する。そして、この後さらに水によってすすぎを行なう。
【0044】
このようにして第1、第2の配管14、18および二重シート弁1の洗浄が終了すると、第1、第2、第3の弁体25、32、40を全て全閉にし、図5に示した停止時の状態に戻す。
【0045】
このような本発明に係る二重シート弁1によれば、第1、第2バルブ22、23によって弁口6を二重にシールするとともにドレン通路7を第3バルブ24によってシールしているので、外部から雑菌等がボディ本体2内に侵入して製品を汚染したり、増殖したりするのを確実に防止することができ、サニタリー仕様のバルブとして好適である。
【0046】
また、第1、第2弁箱3、4とバルブシート部材5を一体に形成してボディ本体2としているので、部品点数および組み立て工数を削減することができ、製造コストを低減することができる。
【0047】
さらに、本発明においては、第1、第2、第3バルブ22、23、24の弁体25、32、40として、ダイアフラム弁を用いることにより、第1、第2、第3の弁室3A、4A、10Aをそれぞれ外気と完全に遮断しているので、第1、第2、第3の弁室3A、4A、10A内への雑菌の侵入を確実に防止することができ、二重シート弁1の信頼性を一層向上させることができる。
【0048】
図9〜図12は、本発明の他の実施の形態を示す二重シート弁の動作の一例を示す図で、図9は二重シート弁の停止時の状態を示す図、図10(a)は第1の配管の殺菌時の状態を示す図、図10(b)は第2の配管の殺菌時の状態を示す図、図11は製品送液時の状態を示す図、図12(a)は第1の配管のCIP洗浄時の状態を示す図、図12(b)は第2の配管のCIP洗浄時の状態を示す図である。
【0049】
この実施の形態は、第1の弁室3Aに対して1つの配管接続口13Aを設け、第2の弁室4Aに対して2つの配管接続口17A、17Bを設けた例を示す。配管接続口13Aは、第1の配管14の上流側に接続されることにより入口管を構成し、上記した実施の形態における配管接続口13B(第1の出口管)を省略している。その他の構成は全く同一であるため、同一部材、部分については同一符号をもって示し、その説明を省略する。
【0050】
図9に示す停止時の状態において、第1、第2、第3の弁体25、32、40はを全閉状態に保持されている。したがって、弁口6およびドレン通路7は、大気から完全に遮断されているため、雑菌等がドレン管21内を通って第3の弁室10A、ドレン通路7および弁口6、さらには配管接続口13A、第2の配管接続口17や第1、第2の配管14、18に侵入するおそれがなく、雑菌等による汚染、雑菌の繁殖を確実に防止することができる。
【0051】
図10(a)に示す第1の配管14の殺菌時においては、第1、第2の弁体25、32を全開にし、第3の弁体40を全閉状態に保持する。そして、この状態で第1の配管14より第1の配管接続口13Aに蒸気(または温水)50を流し、第1の配管14、配管接続口13A、第1の弁室3A、弁口6、ドレン通路7、第2の弁室4A、配管接続口17Bおよび第2の配管18の下流側を殺菌する。
【0052】
第2の配管18を殺菌する場合は、図10(b)に示す状態に切り替えて同様に殺菌する。このときは、第2の弁体32を開き、第1、第3の弁体25、40を閉じた状態に保持する。そして、この状態で第2の配管18に蒸気50(または温水)を流し、第2の配管18、配管接続口17A、第2の弁室4A、弁口6、ドレン通路7、配管接続口17Bおよび第2の配管18の下流側を殺菌する。
【0053】
図11に示す製品送液時においては、第1、第2の弁体25、32を開き、第3の弁体40を閉じた状態に保持する。この状態において、上記した実施の形態と同様に第1の配管14に例えば牛乳からなる製品51を送液し、第1の弁室3A、弁口6、第2の弁室4Aおよび配管接続口17Bを経て第2の配管18の下流側に流す。
【0054】
図12(a)に示す第1の配管14のCIP洗浄時においては、第3の弁体40を早い周期で一定時間繰り返し開閉操作し、第1、第2の弁体25、32を全開状態に保持し、第1の配管14に酸性の洗浄液(例えば、硝酸)52を送液し、第1の配管14、配管接続口13A、第1の弁室3A、弁口6、ドレン通路7、第2、第3の弁室4A、10A、配管接続口17Bおよび第2の配管18の下流側を洗浄する。
【0055】
次に、第1の配管14にアルカリ性の洗浄液(例えば、苛性ソーダ)を送液し、上記と同様に洗浄する。そして、この後さらに水によって同様に洗浄する。
【0056】
第2の配管18を酸、アルカリおよび水によって洗浄する場合は、図12(b)に示す状態に切り替えて同様に洗浄する。第2の配管18の洗浄時においては、第1の弁体25を全閉状態に保持する。そして、第2、第3の弁体32、40を一定の周期で繰り返し間欠的に開閉操作し、第2の配管18に酸性の洗浄液52を送液し、第2の配管18、配管接続口17A、第2の弁室4A、弁口6、ドレン通路7、第3の弁室10A、配管接続口17Bおよび第2の配管18の下流側を洗浄する。
【0057】
次に、第2の配管18にアルカリ性の洗浄液を同様に送液し、上記と同様に洗浄する。そして、この後さらに水によって同様に洗浄を行なう。
【0058】
なお、上記実施の形態においては、第1弁箱3に1つの配管接続口13Aを設け、第2弁箱4に2つの配管接続口17A、17Bを設けた例を示したが、本発明はこれに何ら特定されるものではなく、第1弁箱3に2つの配管接続口13A、13Bを設け、第2弁箱4に1つの配管接続口17Aまたは17Bを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る二重シート弁の一実施の形態を示す外観斜視図である。
【図2】二重シート弁の一部を破断して示す正面図である。
【図3】二重シート弁の平面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】二重シート弁の停止状態を示す図である。
【図6】(a)、(b)はそれぞれ二重シート弁の殺菌時の状態を示す図である。
【図7】二重シート弁の製品送液時の状態を示す図である。
【図8】(a)、(b)はそれぞれ二重シート弁の洗浄時の状態を示す図である。
【図9】本発明の他の実施の形態を示す二重シート弁の停止状態を示す図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ二重シート弁の殺菌時の状態を示す図である。
【図11】二重シート弁の製品送液時の状態を示す図である。
【図12】(a)、(b)はそれぞれ二重シート弁の洗浄時の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1…二重シート弁、2…ボディ本体、3…第1弁箱、3A…第1の弁室、4…第2弁箱、4A…第2の弁室、5…バルブシート部材、6…弁口、7…ドレン通路、10…第3弁箱、10A…第3の弁室、13…第1の配管接続口、13A…配管接続口(第1の入口管)、13B…配管接続口(第1の出口管)、14…第1の配管、17…第2の配管接続口、17A…配管接続口(第2の入口管)、17B…配管接続口(第2の出口管)、18…第2の配管、20…ドレン口、21…ドレン管、22…第1バルブ、23…第2バルブ、24…第3バルブ、25…第1の弁体、26…第1のアクチュエータ、32…第2の弁体、33…第2のアクチュエータ、40…第3の弁体、41…第3のアクチュエータ、42…連通孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管接続口を有する第1の弁室を備えた第1弁箱と、配管接続口を有する第2の弁室を有する第2弁箱と、これら両弁箱間を連通する弁口とドレン通路とを有するバルブシート部材とを一体に形成してなるボディ本体と、
前記ボディ本体に設けられ前記ドレン通路に接続された第3の弁室とドレン口とを有する第3弁箱と、
前記第3弁箱の前記ドレン口に一端を接続したドレン管と、
前記第1の弁室内に設けられ前記弁口を開閉する第1の弁体を駆動する第1のアクチュエータと、
前記第2の弁室内に設けられ前記弁口を開閉する第2の弁体を駆動する第2のアクチュエータと、
前記第3の弁室内に設けられ前記ドレン通路を開閉する第3の弁体を駆動する第3のアクチュエータとを備えたことを特徴とする二重シート弁。
【請求項2】
請求項1記載の二重シート弁において、
前記ボディ本体は、両端が開放する筒状体に形成されて内部中央が前記バルブシート部材によって仕切られることにより一半部が前記第1弁箱を形成し、他半部が前記第2弁箱を形成し、
前記弁口は、前記バルブシート部材の中央に形成された貫通孔からなり、
前記ドレン通路は、前記バルブシート部材の内部に半径方向に開口して一端が前記弁口に連通し、他端が前記第3の弁室に連通していることを特徴とする二重シート弁。
【請求項3】
請求項1または2記載の二重シート弁において、
前記第1、第2弁箱の配管接続口がそれぞれ2つからなることを特徴とする二重シート弁。
【請求項4】
請求項1または2記載の二重シート弁において、
前記第1、第2弁箱の配管接続口は、いずれか一方の弁箱に2つ設けられ、他方の弁箱に1つ設けられていることを特徴とする二重シート弁。
【請求項5】
請求項3または4記載の二重シート弁において、
前記第1弁箱の配管接続口と第2弁箱の配管接続口とは、軸線が互いに交叉するとともに高さ方向に離間して水平に設けられていることを特徴とする二重シート弁。
【請求項6】
請求項3または4記載の二重シート弁において、
前記ドレン通路は、前記第1弁箱の配管接続口と、第2弁箱の配管接続口の軸線に対して45°交叉して設けられていることを特徴とする二重シート弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−7842(P2010−7842A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171258(P2008−171258)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(304007732)マイクロゼロ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】