説明

二重容器

【課題】内容器を収納した状態でポンプ部材が容易に取り外されない二重容器を提供すること。
【解決手段】内容器3と、内容器3を着脱自在に収納する筒状の外容器11と、外容器11に着脱自在に固定されて外容器11の開口端を覆うと共に、内側に内容器3の口頚部63が挿入される内筒部33を有する肩カバー12と、少なくとも一部が内筒部33の内側に配置された状態で口頚部63と螺合する下筒部41を有するネジキャップ13を有し、内部に内容器3内の内容物を流通可能な導入路が形成されたポンプ部材14とを備え、内筒部33が、内周面に形成された係合凸部対36を有し、下筒部41が、内周面に形成されて内容器3と螺合する雌ネジ部45と、外周面に形成されて係合凸部対36と係合してネジキャップ13の軸回りの回転を規制する係合凸部43とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の二重容器として、化粧水などの化粧料やシャンプー、リンス、液体石鹸などの内容物を充填した内容器を外装容器に収納し、この内容器の開口に取り付けられたポンプを操作することによって内容物を吐出する構成が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】実用新案登録第2589443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の二重容器には、以下の課題が残されている。すなわち、内容器を外装容器内に収容した状態でポンプが容易に取り外されないことが望まれている。
【0004】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、内容器を収納した状態でポンプが容易に取り外されない二重容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の二重容器は、内容器と、該内容器を着脱自在に収納する筒状の外容器と、該外容器に着脱自在に固定されて該外容器の開口端を覆うと共に、内側に前記内容器の口部が挿入される第1筒状部を有する肩カバーと、少なくとも一部が前記第1筒状部と前記口部との間に配置された状態で前記口部と螺合する第2筒状部を有するネジキャップを有し、内部に前記内容器内の内容物を流通可能な導入路が形成されたポンプ部材とを備え、前記第1筒状部が、内周面に形成された第1係合部を有し、前記第2筒状部が、内周面に形成されて前記内容器と螺合する雌ネジ部と、外周面に形成されて前記第1係合部と係合して前記ネジキャップの軸回りの回転を規制する第2係合部とを有することを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、第1及び第2係合部が互いに係合してネジキャップの軸回りでの回転を規制するため、内容器を外容器内に収納した状態において内容器とネジキャップとの螺合状態が解除されることを防止できる。すなわち、肩カバーの第1筒状部内にネジキャップの一部を収容した状態で内容器とネジキャップとを螺着すると、第2筒状部の外周面に設けられた第2係合部と肩カバーの第1筒状部の内周面に設けられた第1係合部とが係合する。これにより、ネジキャップの軸回りでの回転が規制され、外容器内に内容器を収納した状態でポンプ部材が外れにくくなる。
また、ネジキャップと肩カバーとが係合することにより、内容器の取り替えが容易になる。すなわち、第1及び第2係合部を互いに係合させると、ネジキャップが肩カバーに対して相対的に軸回りで回転しにくくなる。このため、ネジキャップ及び肩カバーを共に内容器に対して同方向で回転させることができる。したがって、肩カバーを保持した状態で、内容器をネジキャップに対して相対的に軸回りで回転させることで内容器とネジキャップとの螺着状態を解除できる。
さらに、第2係合部が第2筒状部の外周面に設けられると共に雌ネジ部が第2筒状部の内周面に設けられており、互いに第2筒状部の異なる面に形成されているため、金型を用いた樹脂成型によりネジキャップを形成するときの金型の離型が容易になる。
【0007】
また、本発明の二重容器は、前記第1係合部が、前記第1筒状部の内周面から突出する一対の第1凸部であり、前記第2係合部が、前記第2筒状部の外周面から突出すると共に、側面が前記一対の第1凸部それぞれにおいて周方向で互いに対向する対向面と当接可能な第2凸部であることとしてもよい。
この発明によれば、第2凸部を一対の第1凸部の間に配置して第2凸部の両側面が一対の第1凸部それぞれと当接することにより、第1及び第2係合部を互いに係合させる。これにより、ネジキャップの肩カバーに対する軸回りでの回転を規制する。
【0008】
また、本発明の二重容器は、前記第2係合部が、前記第2筒状部の周方向に沿って複数形成されていることが好ましい。
この発明によれば、第2係合部を複数箇所に設けることで第1及び第2係合部の位置合わせが容易に行え、ネジキャップと内容器とを螺着した状態において第1及び第2係合部を互いに係合させることが容易になる。
【0009】
また、本発明の二重容器は、前記肩カバーが、前記第1筒状部の内周面から突出して設けられ、前記第2筒状部の下端と当接可能な当接凸部を有することが好ましい。
この発明によれば、ネジキャップと内容器との螺合状態を解除したときに、当接凸部がネジキャップの下端を支持するので、ネジキャップが第1筒状部から抜け落ちることを防止できる。したがって、内容器の取り替えがより容易になる。
【発明の効果】
【0010】
この発明にかかる二重容器によれば、互いに係合した第1及び第2係合部によってネジキャップが軸回りで回転しにくくなるため、内容器を外容器内に収納した状態において内容器とネジキャップとの螺合状態が解除されることを防止し、ポンプ部材が容易に外れにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明による二重容器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0012】
本実施形態における二重容器1は、図1及び図2に示すように、外装容器2と、外装容器2内に収納される内容器3と、内容器3と螺合可能なネジキャップ13を有するポンプ部材14と、オーバーキャップ4とを備えている。
外装容器2は、有底筒状の外容器11と、外容器11に着脱自在に固定される肩カバー12とを備えている。
【0013】
外容器11は、外装容器2の中心軸線Oに沿って形成された有底円筒形状を有しており、例えばアクリロニトリルとスチレンの共重合体であるAS樹脂などの樹脂材料で構成されている。そして、外容器11は、上端が開口端となっており、一体的に形成されたほぼ円板形状の底部21及び円筒部22を有している。
この円筒部22の上端部は、他の部分と比較して薄肉の薄肉部22aとなっている。この薄肉部22aの外周には、径方向外方に向けて突出する第1取付凸部22bが全周にわたって形成されている。
【0014】
肩カバー12は、図1から図3に示すように、ほぼ円筒形状を有しており、例えばアクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンの共重合体であるABS樹脂などの樹脂材料で構成されている。そして、肩カバー12は、一体的に形成された外筒部31、天板部32及び内筒部(第1筒状部)33を有している。
【0015】
外筒部31は、ほぼ円筒形状を有しており、肩カバー12を外容器11に取り付けた状態で円筒部22の上端から上方に延びるように形成されている。ここで、外筒部31の中心軸線は、肩カバー12を外容器11に取り付けた状態で外装容器2の中心軸線Oとほぼ一致している。そして、外筒部31の下端部は、薄肉部22aの外周面を囲んでいる。この外筒部31の下端部の内周面には、第1取付凸部22bと係合する第2取付凸部31aが形成されている。
また、外筒部31の上端部は、その外径が縮径する縮径部31bとなっている。この縮径部31bの外周面には、径方向外方に向けて突出する第3取付凸部31cが全周にわたって形成されている。
【0016】
天板部32は、ほぼ円環形状を有しており、中央に平面視で円形の開口部32aが形成されている。そして、天板部32の外周縁は、外筒部31の上端に接続されている。この開口部32aの径は、ネジキャップ13の外径よりも大きくなっている。この開口部32a内には、外容器11内に収納された内容器3の後述する口頚部(口部)63が挿入される。
【0017】
内筒部33は、ほぼ円筒形状を有しており、肩カバー12を外容器11に取り付けた状態においてその中心軸線が外装容器2の中心軸線Oとほぼ一致している。そして、内筒部33は、その上端が天板部32の下面において開口部32aの周縁部に接続されており、肩カバー12を外容器11に取り付けた状態において外装容器2の中心軸線Oに沿って天板部32から円筒部22の開口端に向けて垂下するように形成されている。
【0018】
また、内筒部33の下端部には、図3(b)に示すように、内周面から内筒部33の径方向内方に向けて突出する2対の当接凸部34、35が形成されている。
一対の当接凸部34は、内筒部33の中心軸線に沿って内筒部33の下端から中央部にわたって延設されている。そして、一対の当接凸部34それぞれにおいて、内筒部33の径方向における内側端面が互いに対向するように形成されている。
一対の当接凸部35は、一対の当接凸部34と同様に、内筒部33の中心軸線に沿って内筒部33の下端から中央部にわたって延設されている。ここで、一対の当接凸部35それぞれの上端面と、一対の当接凸部34それぞれの上端面とは、ほぼ同一の水平面上に位置している。そして、一対の当接凸部35それぞれにおいて、内筒部33の径方向における内側端面は、互いにこの内筒部33の径方向で対向している。
これら一対の当接凸部34及び一対の当接凸部35それぞれの上端面に、ネジキャップ13の下端が当接可能となっている。
【0019】
さらに、内筒部33の中心軸線方向における中央部には、図3(b)及び図3(c)に示すように、内周面から内筒部33の径方向内方に向けて突出する係合凸部対(第1係合部)36が内筒部33の周方向に間隔をあけて複数(図3(b)及び図3(c)では4つ)形成されている。
係合凸部対36は、内筒部33の内周面のうち2対の当接凸部34、35それぞれの上端面から内筒部33の上端に向けて内筒部33の中心軸線に沿って形成されている。また、複数の係合凸部対36は、内筒部33の周方向に等間隔をあけて形成されている。
【0020】
係合凸部対36を構成する2つの係合凸部(第1凸部)36aは、互いに近接して形成されている。ここで、係合凸部36aの突出量は、2対の当接凸部34、35の突出量よりも小さくなるように形成されている。係合凸部36aは、図3(c)に示すように、2つの側面(対向面)37a、37bを有している。ここで、2つの側面37a、37bは、ネジキャップ13を内容器3と螺合させる際のネジキャップ13の回転方向前方側の側面37aと内筒部33の内周面とのなす角度が、他方の側面37bと内筒部33の内周面とのなす角度よりも大きくなるように形成されている。
【0021】
ネジキャップ13は、図1、図2及び図4に示すように、ほぼ円筒形状を有しており、例えばABS樹脂などの樹脂材料で構成されている。そして、ネジキャップ13は、一体的に形成された下筒部(第2筒状部)41及び固定部42を有している。
【0022】
下筒部41は、ほぼ円筒形状を有しており、その外径が内筒部33の内径よりも小さくなっている。そして、下筒部41は、下端側の一部が内筒部33の内側に配置されている。ここで、下筒部41の中心軸線は、内容器3をネジキャップ13に螺着した状態で外容器11内に収納した状態で外装容器2の中心軸線Oとほぼ一致している。
そして、下筒部41の下端部の外周面には、図4(b)及び図4(c)に示すように、外方に向けて突出する係合凸部(第2係合部、第2凸部)43が複数形成されている。
【0023】
複数の係合凸部43は、下筒部41の下端部の外周面において歯車状となるように外周面の周方向で等間隔に形成されている。また、係合凸部43は、図4(c)に示すように、2つの側面44a、44bを有している。ここで、2つの側面44a、44bは、ネジキャップ13を内容器3と螺合させる際のネジキャップ13の回転方向前方側の側面44aと下筒部41の外周面とのなす角度が、他方の側面44bと下筒部41の外周面とのなす角度よりも小さくなるように形成されている。
また、下筒部41の内周面には、図1、図2及び図4(a)に示すように、内容器3の後述する雄ネジ部64と螺合可能な雌ネジ部45が形成されている。
【0024】
固定部42は、図1、図2、図4(a)及び図4(b)に示すように、一体的に形成された上筒部46、底部47及び嵌合部48を有している。
上筒部46は、ほぼ円筒形状を有しており、その下端が下筒部41の上端に接続されている。ここで、上筒部46の中心軸線は、内容器3をネジキャップ13に螺着した状態で外容器11内に収納した状態において外装容器2の中心軸線Oとほぼ一致している。そして、上筒部46は、上端に向かうにしたがってその外径が縮径するように形成されている。
底部47は、ほぼ円環形状を有しており、その外縁が下筒部41の上端及び上筒部46の下端に接続されている。
【0025】
嵌合部48は、ほぼ円筒形状を有しており、その下端が底部47の内縁に接続されている。この嵌合部48は、底部47の内縁からネジキャップ13の軸方向に沿って上側に向けて延在する第1円筒部48Aと、第1円筒部48Aの上端においてネジキャップ13の軸方向に沿って下側に向けて折り返された第2円筒部48Bとを有している。そして、嵌合部48は、図1及び図2に示すように、第1円筒部48Aの外周面と第2円筒部48Bの内周面との間に形成された間隙に後述するシリンダ部材50の上端部51を嵌め合わせることにより、シリンダ部材50をネジキャップ13に固着している。なお、底部47の下面には、リング部材49が設けられている。
【0026】
ポンプ部材14の内部には、内容器3内に充填された内容物を流通可能な導入路(図示略)が形成されている。そして、ポンプ部材14は、内部にピストン部材(図示略)が配置されたシリンダ部材50を備えている。このシリンダ部材50は、その下端部が内容器3内に垂下されており、上端部51が嵌合部48を構成する第1及び第2円筒部48A、48Bの間の間隙に嵌合している。
ここで、ポンプ部材14の上端部には、押下ヘッド15が装着されている。この押下ヘッド15には、上記導入路内に導入した内容物を外部に噴出させるノズル部材52が設けられている。このノズル部材52の開口端側は、押下ヘッド15から突出している。また、押下ヘッド15の外径は、上筒部46の内径よりも小さくなっている。これにより、押下ヘッド15がネジキャップ13の上筒部46の内側において外装容器2の中心軸線Oに沿って上下に移動可能となる。
【0027】
ポンプ部材14は、シリンダ部材50内で上方付勢されたピストン部材が押下ヘッド15の下降と共に摺動下降することによりシリンダ部材50内の内容物を圧縮し、ノズル部材52の開口端から内容物を噴射させる構成となっている。そして、押下ヘッド15及び上記ピストン部材の復帰動作によってシリンダ部材50内を負圧とすることにより、内容器3内に充填されている内容物をシリンダ部材50内に導入する構成となっている。
【0028】
内容器3は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂材料で構成されている。そして、内容器3は、一体的に形成された胴部61、肩部62及び口頚部63を有している。
胴部61は、有底円筒形状を有しており、その外径が外容器11の円筒部22の内径よりも小さくなっている。
口頚部63は、その外周面にネジキャップ13に形成された雌ネジ部45と螺合する雄ネジ部64を有している。
【0029】
オーバーキャップ4は、例えばポリエステル系樹脂などの樹脂材料で構成されている。そして、オーバーキャップ4の下端部の内周面には、第3取付凸部31cと係合する第4取付凸部4aが内周に沿って形成されている。これにより、オーバーキャップ4は、肩カバー12から突出しているポンプ部材14及び押下ヘッド15を被覆する。
【0030】
次に、以上のような構成の外装容器2内に内容器3を収納する方法について説明する。
まず、内部に内容物が充填された内容器3を外容器11内に収納する。そして、肩カバー12を外容器11に装着する。ここでは、肩カバー12の外筒部31の下端部で外容器11の薄肉部22aの外周面を囲んだ状態で、肩カバー12を外装容器2の中心軸線Oに沿って下方向に押し込む。そして、肩カバー12の第2取付凸部31aが外容器11の第1取付凸部22bを乗り越え、第1及び第2取付凸部22b、31aが互いに係合する。これにより、肩カバー12が外容器11に装着される。このとき、内容器3の口頚部63は、肩カバー12から突出している。
【0031】
続いて、ネジキャップ13を内容器3に螺着する。ここでは、ネジキャップ13の下筒部41に形成された雌ネジ部45を肩カバー12から突出している内容器3の雄ネジ部64と螺合させる。このとき、ネジキャップ13を内容器3に螺合していくと、図5に示すように、肩カバー12に形成された4対の係合凸部対36とネジキャップ13に形成された複数の係合凸部43とが噛み合って係合する。そのため、ネジキャップ13を軸回りで回転させるためには、係合凸部43が係合凸部36aの側面37a、37bのいずれか一方を乗り越える必要がある。なお、図5に示す矢印Aは、螺合時におけるネジキャップ13の回転方向を示している。
【0032】
ここで、上述したように、係合凸部43の側面44aと下筒部41の外周面とのなす角度が、他の側面44bと外周面とのなす角度よりも小さくなっている。また、係合凸部36aのうち係合凸部43の側面44aと対向する側面37bと内筒部33の内周面とのなす角度が、他の側面37aと内周面とのなす角度よりも小さくなっている。そのため、係合凸部対36と係合凸部43とが互いに噛み合っていても、ネジキャップ13を内容器3に螺合させる回転方向においては、その回転抵抗が小さい。したがって、ネジキャップ13を内容器3に螺着させる方向(図5に示す矢印A方向)において係合凸部43が係合凸部36aの側面37bを乗り越えやすいため、ネジキャップ13を内容器3に螺着させる方向に回転可能となる。
【0033】
また、上述したように、係合凸部43の側面44bと下筒部41の外周面とのなす角度が他の側面44aと外周面とのなす角度よりも大きく、係合凸部36aのうち係合凸部43の側面44bと対向する側面37aと内筒部33の内周面とのなす角度が他の側面37bと内周面とのなす角度よりも大きくなっている。そのため、ネジキャップ13を内容器3に螺着した状態で、ネジキャップ13を内容器3に対して螺着状態を解除する方向(図5に示す矢印A方向とは逆方向)においては、係合凸部43が係合凸部36aの側面37aを乗り越えにくくなる。したがって、上述と比較してその回転抵抗が大きくなり、ネジキャップ13を内容器3との螺着状態を解除する方向に回転することができなくなる。これにより、ネジキャップ13の回転が係合凸部対36と係合凸部43により規制される。
【0034】
その後、オーバーキャップ4を肩カバー12に装着する。ここでは、オーバーキャップ4の下端部で肩カバー12の縮径部31bの外周を囲んだ状態で、オーバーキャップ4を外装容器2の中心軸線Oに沿って下方向に押し込む。これにより、オーバーキャップ4の第4取付凸部4aが肩カバー12の第3取付凸部31cを乗り越え、第3及び第4取付凸部31c、4aが互いに係合することにより、オーバーキャップ4が肩カバー12に装着される。以上のようにして、外装容器2内に内容器3を収納して二重容器1を形成する。
【0035】
なお、内容器3を取り外す場合には、オーバーキャップ4を肩カバー12から離脱させた後、肩カバー12を外容器11から離脱させる。このとき、肩カバー12と共にネジキャップ13及び内容器3も外容器11から離脱する。
そして、肩カバー12及びネジキャップ13の少なくとも一方を保持した状態で、内容器3を肩カバー12及びネジキャップ13に対して相対的に軸回りで回転させることにより、ネジキャップ13と内容器3との螺着状態を解除する。このとき、係合凸部対36と係合凸部43とが互いに噛合しているため、肩カバー12及びネジキャップ13のいずれか一方を保持した場合であっても、保持していない他方が内容器3と共に回転することが防止される。また、ネジキャップ13の下端が2対の当接凸部34、35の上端と当接するため、ネジキャップ13と内容器3との螺着状態を解除したとき、ネジキャップ13が肩カバー12の内筒部33から抜け落ちることを防止する。
【0036】
このような構成の二重容器1によれば、互いに係合した係合凸部対36と係合凸部43とがネジキャップ13の回転を規制するので、内容器3を外容器11内に収納した状態で内容器3とネジキャップ13との螺合状態が解除されることを防止できる。これにより、内容器3を外容器11内に収納した状態でポンプ部材14が容易に外れなくなる。
また、内容器3を取り外す際、肩カバー12を保持した状態で内容器3をネジキャップ13に対して相対的に軸回りで回転させることで内容器3とネジキャップ13との螺着状態を解除できる。
そして、係合凸部43が下筒部41の外周面に形成されると共に雌ネジ部45が下筒部41の内周面に形成されているため、金型を用いた樹脂成形によるネジキャップ13の形成時の離型が容易になる。
【0037】
また、下筒部41の外周面に沿って複数の係合凸部43を形成することにより、ネジキャップ13と内容器3とを螺着した状態において係合凸部対36と係合凸部43とを容易に係合させることができる。
そして、当接凸部34、35を形成することにより、ネジキャップ13と内容器3との螺着状態を解除したときに、ネジキャップ13が肩カバー12から抜け落ちることを防止できる。これにより、内容器3の取り替えが容易になる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、肩カバーは、内筒部の内周面に設けられた4対の係合凸部を有しているが、ネジキャップに設けられた係合凸部と係合することによりネジキャップの肩カバーに対する回転を防止できればよく、一対の係合凸部や他の複数対の係合凸部を有していてもよいし、少なくとも一つの係合凸部を有していればよい。
同様に、ネジキャップは、下筒部の外周面に設けられた複数の係合凸部を有しているが、肩カバーに設けられた一対の係合凸部と係合することによってネジキャップの肩カバーに対する回転を防止できればよく、少なくとも1つの係合凸部を有していればよい。
【0039】
また、肩カバーとネジキャップとは、内筒部の内周面に設けられた一対の係合凸部の間に下筒部の外周面に設けられた係合凸部を配置することによって互いに係合させているが、第1係合部が内筒部の内周面に設けられると共に第2係合部が下筒部の外周面に設けられていれば、他の方法により互いに係合する構成としてもよい。
そして、肩カバーは、内筒部の下端部に設けられた2対の当接凸部を有しているが、ネジキャップと内容器との螺合状態を解除したときにネジキャップが肩カバーから抜け落ちることを防止できればよく、少なくとも1つの当接凸部が設けられていればよい。ここで、肩カバーには、当接凸部が設けられていなくてもよい。
また、当接凸部の内周面と内容器の外周面を当接させることにより、内容器と肩カバーとの回動を抑制することもできる。
【0040】
また、肩カバーは、外容器に対して互いの取付凸部を係合させることにより装着する構成となっているが、肩カバーが外容器に対して着脱自在に装着可能であれば、外容器に対して螺着することにより装着する構成としてもよい。
そして、外装容器及び二重容器は、その外径が円柱形状を有しているが、他の形状であってもよい。
さらに、シリンダ部材は、内容器内に充填された内容物を噴霧する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明によれば、内容器を収納した状態でポンプ部材が容易に取り外されない二重容器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態における二重容器を示す部分断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図1及び図2の肩カバーを示すもので、(a)が部分断面図、(b)が平面図、(c)が係合凸部の拡大図である。
【図4】図1及び図2のネジキャップを示すもので、(a)が部分断面図、(b)が平面図、(c)が係合凸部の拡大図である。
【図5】肩カバーとネジキャップとの係合状態を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0043】
1 二重容器、3 内容器、11 外容器、12 肩カバー、13 ネジキャップ、14 ポンプ部材、33 内筒部(第1筒状部)、34,35 当接凸部、36 係合凸部対(第1係合部)、36a 係合凸部(第1凸部)、37a,37b 側面(対向面)、41 下筒部(第2筒状部)、43 係合凸部(第2係合部,第2凸部)、45 雌ネジ部、63 口頚部(口部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容器と、
該内容器を着脱自在に収納する筒状の外容器と、
該外容器に着脱自在に固定されて該外容器の開口端を覆うと共に、内側に前記内容器の口部が挿入される第1筒状部を有する肩カバーと、
少なくとも一部が前記第1筒状部と前記口部との間に配置された状態で前記口部と螺合する第2筒状部を有するネジキャップを有し、内部に前記内容器内の内容物を流通可能な導入路が形成されたポンプ部材とを備え、
前記第1筒状部が、内周面に形成された第1係合部を有し、
前記第2筒状部が、内周面に形成されて前記内容器と螺合する雌ネジ部と、外周面に形成されて前記第1係合部と係合して前記ネジキャップの軸回りの回転を規制する第2係合部とを有することを特徴とする二重容器。
【請求項2】
前記第1係合部が、前記第1筒状部の内周面から突出する一対の第1凸部であり、
前記第2係合部が、前記第2筒状部の外周面から突出すると共に、側面が前記一対の第1凸部それぞれにおいて周方向で互いに対向する対向面と当接可能な第2凸部であることを特徴とする請求項1に記載の二重容器。
【請求項3】
前記第2係合部が、前記第2筒状部の周方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の二重容器。
【請求項4】
前記肩カバーが、前記第1筒状部の内周面から突出して設けられ、前記第2筒状部の下端と当接可能な当接凸部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の二重容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−296940(P2008−296940A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143475(P2007−143475)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】