説明

二重床構造

【課題】床板の室内に面する側が石材から成る床板が配置され二重床構造において、補強板の厚さを厚くすることなく、石割れの発生をなくすとともに、遮音性能を確保する。
【解決手段】床材20と壁面32との間と床材20と幅木33との間とに隙間32s,33sが設けられている二重床構造10において、床スラブ31上に配置された複数の床支持具11,12上に設けられる床材20を、床支持具上に配置される下地板21と、室内側に配置される仕上げ板23と、仕上げ板23と下地板21との間に配置される補強板22とから構成するとともに、仕上げ板23を、室内側に配置される大理石から成る上部板23aと補強板22側に配置される磁器質タイルから成る下部板23bとを接着して積層した石合板とすることで軽量化するとともに、下部板23bの磁器質タイルを上部板23aの大理石の補強材として作用させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎床上に配置された複数の床支持具上に複数の床板を積層して成る床材を配置した二重床構造に関するもので、特に、最上部の床板の室内に面する側が石材から成る床板である二重床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集合住宅等の各種建造物においては、基礎床上に床支持具を複数個配置し、これらの床支持具上に複数の床板を積層して成る二重床構造が多く採用されている。
このような二重床構造においては、床材に衝撃が加わった際に発生する振動を低減するため、図8に示すように、基礎床である床スラブ31上にクッション性を有する防振材11a,12aを備えた複数の床支持具11,12を配置し、これら床支持具11,12の上に、台座11b,12bを介して、パーティクルボードなどから成る下地板51と構造用合板から成る補強板52と仕上げ板53とを順に積層して成る床材50を配置するとともに、床材50と壁32との間に2mm程度の空気連通路(隙間)32sを設けている。また、部屋の隅に当たる壁32の表面の床材50の直上には、壁32の表面に沿って幅木33が取付けられるが、この幅木33を取付ける際にも、床材50と幅木33との間に2mm程度の隙間33sを設けるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
最上部の床板である仕上げ板53には、フローリング材が多く用いられているが、近年、大理石などの石材を用いた石貼り床の需要が増加しつつある。
しかしながら、仕上げ板53として石材を用いた場合には床材50の剛性が低下するため、下地板51と仕上げ板53との間に介挿される補強板52を単に厚くしただけでは、衝撃音によっては、石割れが生じてしまうなどの問題点があった。
そこで、図9に示すように、補強板52を目違い張りした2枚の合板52a,52bから構成して前記床材50の衝撃音に対する剛性を向上させることで、仕上げ板53に大理石などの石材を用いた場合の石割れをなくす方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−104393号公報
【特許文献2】特開2004−232314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、補強板52を目違い張りした2枚の合板52a,52bとする構成としても、仕上げ板53が全て大理石などの石材で構成されている場合には、石割れは低減されるものの、仕上げ板53にフローリング材を用いた場合に比較して補強板52の厚さが厚くなってしまうといった問題点があった。
また、補強板52を厚くしたことにより床材50の重量が増加するため、図10に示すように、下地板51の中央部にも床支持具11,12を配置する必要があった。
更に、仕上げ板53が石材であるため、仕上げ板53と補強板52とを接着した場合に仕上げ板53が剥離する恐れがあった。
【0006】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、床板の室内に面する側が石材から成る床板が配置された二重床構造において、補強板の厚さを厚くすることなく、石割れの発生をなくすとともに、遮音性能を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、基礎床上に配置された複数の床支持具と、前記床支持具上に設けられた複数の床板から成る床材とを備え、前記床材と壁面との間、もしくは、前記床材と壁面との間と前記床材と幅木との間とに隙間が設けられている二重床構造であって、前記床材は、前記床支持具上に配置される下地板と、室内側に配置される仕上げ板と、前記仕上げ板と前記下地板との間に配置されて前記仕上げ板を補強する補強板とから成り、前記仕上げ板が、石材から構成されて室内側に配置される上部板とセラミックスから構成されて前記補強板側に配置される下部板とを接着して成る石合板であることを特徴とする。
このように、仕上げ板として、石材から成る上部板とセラミックスから成る下部板とを積層した仕上げ板を用いれば、下部板のセラミックスが石材の補強材として作用するので、補強板の厚さを厚くすることなく床材全体の剛性を高めることができる。したがって、遮音性能を十分に確保することができるとともに、床衝撃音に起因する石割れを効果的に低減することができる。
また、補強板の厚さを厚くする必要がないので、床支持具の数を少なくできる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の二重床構造であって、前記上部板の厚さが前記仕上げ板の厚さの1/12〜1/2の範囲にあることを特徴とする。
これにより、セラミックスに石材の補強材としての作用を確実に発揮させることができるので、遮音性能を確保しつつ石割れを確実に低減することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の二重床構造であって、前記石材が大理石で、前記セラミックスが磁器質タイルであることを特徴とする。
これにより、仕上げ板と補強板との剥離の発生を確実に低減できるだけでなく、裏面側からの水の吸い上げを防ぐことができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の二重床構造であって、前記磁器質タイルの前記補強板側の面には複数の溝部もしくは複数の凹部のいずれか一方または両方が形成されていることを特徴とする。
このように、磁器質タイルの裏面に、複数の溝部や複数の凹部を設ければ、仕上げ板と補強板との接着を更に確実に行うことができる。
【0009】
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る二重床構造の要部断面図である。
【図2】本実施の形態に係る二重床構造の平面図である。
【図3】本発明による仕上げ板の構成と床板の積層方法を示す図である。
【図4】床衝撃音レベルの測定方法を示す図である。
【図5】軽量床衝撃音レベルの測定結果を示すグラフである。
【図6】バングマシーンによる衝撃音レベルの測定結果を示すグラフである。
【図7】ゴムボールによる衝撃音レベルの測定結果を示すグラフである。
【図8】従来の二重床構造(フローリング)を示す断面図である。
【図9】従来の二重床構造(大理石)を示す断面図である。
【図10】仕上げ板に大理石を用いた場合の床支持具の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、実施の形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、本発明による二重床構造10の要部断面図で、同図において、11,12は床支持具、20は下地板21と補強板22と仕上げ板23とを積層して成る床材、31は基礎床である床スラブである。床支持具11,12は床スラブ31上に配置され、床材20は床支持具11,12上に配置される。
床支持具11は壁面32の近く、すなわち、壁側に設けられた壁側床支持具で、12は壁側以外の部分に設けられた内側床支持具で、壁側床支持具11と内側床支持具12は、それぞれ、床スラブ31上に設置される防振ゴム11a,12aと、上部(室内側)に床材20を取付けるための矩形状の台座11b,12bが取付けられた支柱11c,12cとを備える。
壁側床支持具11の防振ゴム11aは床スラブ31上に接着剤もしくは両面テープで固定される。内側床支持具12の防振ゴム12aは床スラブ31側に複数の半球状の突起12qを有し、これら突起12qが床スラブ31の表面に当接している。
台座11b,12bは、例えば、パーティクルボードなどで形成される。
支柱11b,12bは、外周面に雄ネジが形成された金属製のボルトなどのネジ部材から成り、一端が防振ゴム11a,12aに埋設・固定され、他端が台座11b,12bに設けられた図示しない貫通孔に挿入されている。台座11b,12bの床スラブ31側の面である下面側には、支柱11c,12cにネジ嵌合されたナット11d,12dが設けられており、このナット11d,12dの嵌合位置を調整することで、床支持具11,12の高さを調整することができる。
【0013】
床材20の下地板21は、例えば、パーティクルボードなどで構成された厚さが約20mmの板材で、図2に示すように、床支持具11,12の台座11b,12b上に跨るように配置される。本例では、下地板21の周縁部のみ床支持具11,12で支持し、下地板21の中央部には床支持具11,12を配置していない。
補強板22は、例えば、構造用合板などで構成された厚さが約12mmの板材で、下地板21の上に配置される。
仕上げ板23は、図3(a)〜(d)に示すように、上部板23aと下部板23bとを接着して一体に構成した石合板で、上部板23aが室内側になるように、補強板22の上に配置される。本例では、上部板23aを大理石とし下部板23bを磁器質タイルとするとともに、上部板23aと下部板23bとを、例えば、エポキシボンドなどの接着剤で接着して一体化した。仕上げ板23の寸法としては、例えば、一辺の長さが400mmの正方形で厚さが12mmのものが用いられるが、一辺の長さが300mmの正方形のものや600mm×400mmの長方形のものなどを用いてもよい。
本例の仕上げ板23は大理石と磁器質タイルとの積層板であるので、下部板23bの磁器質タイルが上部板23aの大理石の補強材として作用するだけでなく、単位体積当たりの重さも大理石よりも軽いので、補強板22が一枚の構造用合板であっても床材20全体の剛性を高めることができるとともに、床衝撃音に起因する大理石の石割れを効果的に低減することができる。また、仕上げ板23を積層板とすることで、全体が大理石である場合に比較して仕上げ板23の均一性が高くなる。これによっても、石割れの発生は低減される。
また、床材20全体の剛性が高く、かつ、床材20の重さが、従来の仕上げ板53が全て大理石で補強板52が2枚の合板52a,52bから構成された床材50よりも軽量なので、図2に示すように、床支持具11,12を下地板21の周縁部のみに配置するだけでも十分な強度と遮音性能を得ることができる。
更に、吸水率の低い磁器質タイルを下部板23bとして用いることにより、仕上げ板23の裏面側からの水の吸い上げを防ぐことができるという利点もある。
【0014】
上部板23aの厚さtとしては、仕上げ板23の厚さTの1/12〜1/2とすることが好ましい。これは、上部板23aの厚さtがT/2を超えると、下部板23bの補強材としての効果が低減するだけでなく、重量も増加するので、石割れの低減効果が低下するからである。また、厚さtがT/12に満たないと、上部板23aが薄すぎて却って石割れを起こし易くなるからである。したがって、上部板23aの厚さtを仕上げ板23の厚さTの1/12〜1/2とすることが好ましく、tをT/4程度にすると特に好ましい。
また、仕上げ板23の下部板23bを磁器質タイルで構成することで、下部板23bの裏面(補強板22側の面)23nに、例えば、図3(a),(b)に示すような、一般のタイルの裏足と同様の複数の凹部23kを容易に形成することができる。仕上げ板23と補強板22とは、図3(b),(c)に示すように、例えば、エポキシボンドなどの接着剤24を用いて接着されるが、下部板23bの裏面23nに凹部23kが形成されていれば、仕上げ板23を補強板22上に配置する際に接着剤24が凹部23kに入り込むことで、接着面積が増加するので、仕上げ板23と補強板22とを強固に接着することができるだけでなく、接着作業は従来のタイル貼り作業と同じなので、接着作業が容易である。
また、仕上げ板を全て大理石などの石材とした場合、石材の裏面は荒削りではあるが平らなので、剥離の危険を伴うという問題があるが、本例の仕上げ板23は補強板22に強固に接着されるので、剥離の発生を確実に低減できる。
また、本例では、図3(c)に示すように、互いに隣り合う仕上げ板23,23を所定の間隔(例えば、3mm)で補強板22に貼り付けるとともに、互いに隣り合う仕上げ板23,23に形成された隙間(目地23p)内に、例えば、シリコン系シーリング剤などの弾性目地剤を充填するようにしている。これにより、床衝撃音が緩和されるので、遮音性能を更に向上させることができる。
【0015】
次に、本発明による二重床構造10の施工方法について説明する。
まず、床スラブ31上に、複数の床支持具11,12を所定の間隔で配置し、その上に下地板21を配置する。床支持具11,12は下地板21の周縁部を支持するように配置される。下地板21は床支持具11,12の台座11b,12bに、例えば、ビスなどで固定される。このとき、床支持具11,12のナット11d,12dの位置を調整することで、各下地板21を水平に配置する。
下地板21の上に補強板22を配置した後には、補強板22の上に最表層の床部材である仕上げ板23を配置する。このとき、仕上げ板23の壁面32側の端部に図示しないスペーサ部材を設置した状態で、仕上げ板23を補強板22の上に貼り付けることにより、床材20と壁面32との間に空気連通路となる隙間32sを確保する。また、仕上げ板23の端部に図示しないスペーサ部材を設置した状態で幅木33を取付けることで、床材20と幅木33との間に空気連通路となる隙間33sを確保する。隙間32s,33sの大きさとしては2mm程度とすることが好ましい。
本例の仕上げ板23は、下部板23bの裏面23nに凹部23kが形成されているので、エポキシボンドなどの接着剤24を用いて、仕上げ板23と補強板22とを強固に接着することができる。
仕上げ板23を下部板23bに貼り付けた後には、目地23p内に、例えば、シリコン系シーリング剤などの弾性目地剤を充填して床材20の施工を終了する。
【0016】
このように本実施の形態では、床材20と壁面32との間と床材20と幅木33との間とに隙間32s,33sが設けられている二重床構造10において、床スラブ31上に配置された複数の床支持具11,12上に設けられる床材20を、床支持具11,12上に配置される下地板21と、室内側に配置される仕上げ板23と、仕上げ板23と下地板21との間に配置される補強板22とから構成するとともに、仕上げ板23を、室内側に配置される大理石から成る上部板23aと補強板22側に配置される磁器質タイルから成る下部板23bとを接着して積層した石合板とすることで軽量化するとともに、磁器質タイルから成る下部板23bを上部板23aの大理石の補強材として作用させるようにしたので、補強板22が一枚の構造用合板であっても床材20全体の剛性を高めることができるだけでなく、床衝撃音に起因する大理石の石割れを効果的に低減することができる。
また、下部板23bの裏面23nに一般のタイルの裏足と同様の凹部23kを形成したので、仕上げ板23と補強板22とを容易にかつ強固に接着することができるとともに、剥離の発生を確実に低減することができる。
また、床材20全体の剛性を保持しつつ軽量化できるので、床支持具11,12を下地板21の周縁部のみに配置しても十分な強度と遮音性能を得ることができる。
【0017】
なお、前記実施の形態では上部板23aを大理石としたが、これに限るものではなく、御影石(花崗岩)などの他の石材を用いてもよい。また、下部板23bについては、陶器質タイルなどの他のセラミックスを用いてもよいが、本例のように磁器質タイルを用いた方が強度や吸水性の点で有利である。
また、前記例では、補強板22を厚さが12mmの一枚の板から構成したが、厚さが6mmの目違い張りした2枚の合板とする構成としてもよい。要は、補強板22の厚さが従来の仕上げ板にフローリング材を用いたときの補強板22の厚さと同じ程度であればよい。なお、下地板21、補強板22、及び、仕上げ板23の厚さは前記実施の形態に示した厚さに限るものではなく、部屋の大きさ等により、適宜設定すればよい。
また、仕上げ板23の下部板23bの裏面23nに複数の溝部もしくは複数の凹部のいずれか一方または両方を形成しても、本例の凹部23kと同様に、接着面積が増加するので、仕上げ板23と補強板22とを強固に接着することができるとともに、剥離の発生を確実に低減できる。
また、床支持具11,12は、必ずしも下地板21の周縁部のみに配置する必要はなく、使用される下地板21の面積が大きい場合などには、下地板21の中央にも配置することが好ましい。
[実験例]
【0018】
以下、本願の効果を実証した実験結果を述べる。
図4は、本実験に使用した床衝撃音レベル測定システムの概要を示す図で、音源室41には、重量床衝撃音レベル測定のための衝撃音発生源としてのバングマシーン(タイヤによる打撃装置)Hと、軽量床衝撃音レベル測定のための衝撃音発生源としてのタッピングマシーンTとが設置され、音源室41の階下の部屋である受音室42には、床衝撃音レベルを測定する測定器Dと、データを処理するコンピュータPと、レコーダRとが設置されている。なお、測定は、JIS−A−1440,1−2による方法で行った。なお、重量床衝撃音レベル測定としては、タイヤによる打撃の他に、ゴムボールを自由落下させる試験も行った。
本測定においては、被検体となる床材して、図1に示すような、厚さ20mmのパーティクルボードから成る下地板21と、厚さ12mmの構造用合板から成る補強板22と、厚さ3mmの大理石から成る上部板23aと厚さ9mmの磁器質タイルから成る下部板23bとを積層した仕上げ板23、とから成る床材20を用い、これを床スラブ31上に配置された床支持具11,12上により支持した構成とした。なお、実験においては、上記床スラブの厚さを150mmとした。
また、比較のため、図9に示すような、補強板を、目違い張りした厚さ12mmの2枚の合板52a,52bから成る補強板52とし、仕上げ板を、厚さ12mmの大理石から成る仕上げ板53とした床材50(比較例)についても同様の実験を行った。
なお、床支持具11,12の配置は、それぞれ、図2及び図10に示した通りである。
【0019】
図5は軽量床衝撃音レベルの測定結果を示すグラフ、図6,7はそれぞれバングマシーンとゴムボールによる重量床衝撃音レベルの測定結果を示すグラフである。各グラフの横軸は衝撃音のオクターブバンド中心周波数(Hz)で、縦軸は床衝撃音レベルの低減量(dB)を示す。図5〜図7において、実線が本発明の床材20の測定結果で、破線が比較例の床材50の測定結果である。なお、一点鎖線で記載したのは低減量の等級を示す等級ラインで、添付された数値は等級を示す。測定結果のラインが全て等級ライン(k)より上にあるとき、低減等級はレベル(k)と判定される。レベルの値が高いほど遮音性能が優れている。
図5に示す軽量床衝撃音レベルと図7に示すゴムボールによる重量床衝撃音レベル測定においては、本発明による床材20も比較例の床材50も、ともに低減等級はレベル(3)であった。しかしながら、図6に示すバングマシーンによる重量床衝撃音レベル測定においては、本発明による床材20の低減等級はレベル(3)であるのに対し、比較例の床材50低減等級はレベル(2)であった。
これにより、本発明による床材20を用いることにより、遮音性能を更に向上させることができることが確認された。
また、本願発明の二重床構造では、従来の二重床構造に比べて床支持具11,12の数が少なくても、従来と同等以上の遮音性能を得ることができることも確認された。
【0020】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、二重床構造において室内側に石材が配置した場合でも、補強板の厚さを厚くすることなく、石割れの発生をなくすとともに、遮音性能を確保することができる。
【符号の説明】
【0022】
10 二重床構造、11,12 床支持具、11a,12a 防振ゴム、
11b,12b 台座、11c,12c 支柱、11d,12d ナット、
12q 突起、
20 床材、21 下地板、22 補強板、23 仕上げ板、23a 上部板、
23b 下部板、23n 下部板の裏面、23k 凹部、24 接着剤、
31 床スラブ、32 壁面、33 幅木。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎床上に配置された複数の床支持具と、前記床支持具上に設けられた複数の床板から成る床材とを備え、前記床材と壁面との間、もしくは、前記床材と壁面との間と前記床材と幅木との間とに隙間が設けられている二重床構造であって、
前記床材は、前記床支持具上に配置される下地板と、室内側に配置される仕上げ板と、前記仕上げ板と前記下地板との間に配置されて前記仕上げ板を補強する補強板とから成り、前記仕上げ板が、石材から構成されて室内側に配置される上部板とセラミックスから構成されて前記補強板側に配置される下部板とを接着して成る石合板であることを特徴とする二重床構造。
【請求項2】
前記上部板の厚さが前記仕上げ板の厚さの1/12〜1/2の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の二重床構造。
【請求項3】
前記石材が大理石で、前記セラミックスが磁器質タイルであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二重床構造。
【請求項4】
前記磁器質タイルの前記補強板側の面には複数の溝部もしくは複数の凹部のいずれか一方または両方が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の二重床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−122281(P2012−122281A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274978(P2010−274978)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(595015258)野原産業株式会社 (18)
【出願人】(510164588)株式会社ESGJAPAN (2)
【Fターム(参考)】