二重窓
【課題】窓取付用の開口部の下内面が内窓の下枠に負荷する障子重量で変形することがない二重窓とする。
【解決手段】窓取付用の開口部1の室外側に外窓2を取り付け、室内側に内窓3を取り付けた二重窓において、前記開口部1の下内面1bに下枠アタッチメント8を取り付け、前記内窓3の窓枠3aの下端部を下枠アタッチメント8に接して取り付け、その下枠40の負荷する障子重量が下枠アタッチメント8の全体で支持し、開口部1の下内面1bの一部分に応力が集中しないようにして、その下内面1bの変形を防止する。
【解決手段】窓取付用の開口部1の室外側に外窓2を取り付け、室内側に内窓3を取り付けた二重窓において、前記開口部1の下内面1bに下枠アタッチメント8を取り付け、前記内窓3の窓枠3aの下端部を下枠アタッチメント8に接して取り付け、その下枠40の負荷する障子重量が下枠アタッチメント8の全体で支持し、開口部1の下内面1bの一部分に応力が集中しないようにして、その下内面1bの変形を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の窓取付用の開口部の室外側に取り付けた外窓と、その開口部の室内側に取り付けた内窓を備えた二重窓に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の窓取付用の開口部に外窓と内窓を取り付けた二重窓は、断熱性能と防音性能に優れているので、近年、既設の窓に内窓を取り付けて二重窓とすることが行われている。
例えば、特許文献1に開示したように内窓の窓枠を、上枠本体と取付体を連結体した上枠と、下枠本体と取付体を連結した下枠と、縦枠本体と取付体を連結した左右の縦枠を備えたものとし、その各取付体を、建物の窓取付用の開口部の室内側にそれぞれ取り付け、前記開口部の室外側に取り付けた外窓とで二重窓としたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭62−22623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の二重窓は、内窓の窓枠を構成する上枠、下枠と左右の縦枠が、障子を装着するための本体と、開口部に取り付けるための取付体を備えているので、窓枠を構成する部材の数が多く、高価な内窓となってしまう。
このことを解消するには、内窓の窓枠を構成する上枠、下枠、左右の縦枠を、障子を装着するための本体に相当する形状とすることが考えられるが、このようにすると内窓が樹脂性の場合に、その下枠の剛性がアルミ製の下枠より弱いので、その下枠の障子装着部分、例えば下レール部分が障子重量で下向きに凹むことがあるので、建物の窓取付用の開口部の下内面における前述の下枠の障子装着部分が接する部分に応力が集中し、その下内面が変形する恐れがある。
特に、開口部の上下、縦内面に樹脂額縁を取り付けて耐水性を向上した浴室の開口部に、前述のように樹脂性の内窓を取り付けると、樹脂額縁における下枠の障子装着部分が接する部分に応力が集中し、その樹脂額縁が大きく変形することがある。
【0005】
本発明の目的は、窓枠を構成する部材が少なく安価な内窓にできると共に、建物の窓取付用の開口部の下内面が応力集中によって変形することがない二重窓とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物の窓取付用の開口部の室外側に取り付けた外窓と、その開口部の室内側に取り付けた内窓を備えた二重窓であって、
前記内窓の窓枠は、障子装着部を有した下枠と上枠と左右の縦枠を備えた樹脂製とし、
前記開口部の下内面に、アルミ製の下枠アタッチメントを取り付け
前記窓枠は、その下端部を下枠アタッチメントに接し、上端部を開口部の上内面、左右の縦部を開口部の左右の縦内面に接して取り付けたことを特徴とする二重窓である。
【0007】
本発明は、前記下枠アタッチメントは、室内側の窓枠取付部と室外側の取付部を備え、その取付部を開口部の下内面に固着具で固着して取り付け、前記窓枠取付部に窓枠の下端部を接して取り付けるようにした二重窓とすることができる。
このようにすれば、外窓と内窓を面外方向に離隔して両者の間に空間を構成できるから、断熱性能、遮音性能がより優れたものとなる。
しかも、下枠アタッチメントの窓枠取付部には固着具が存在しないと共に、その窓枠取付部に内窓の窓枠の下端部を接して取り付けてあるから、内窓を取り付けた状態で、その窓枠取付部から開口部の下内面に結露水等が流れることがなく、内窓を取り付けた後でも開口部の下内面の耐水性を損なうことがない。
【0008】
本発明は、前記下枠アタッチメントの窓枠取付部の室内側部に上向き突条を有し、
前記下枠アタッチメントの取付部の室外側端が、外窓の下枠の室内側面に設けた取付片の上に接している二重窓とすることができる。
このようにすれば、窓枠の下部の室内側面が上向き突条に接することで、室内側にずれ落ちることがないし、窓枠を位置決めできる。
しかも、下枠アタッチメントに負荷する荷重の一部分を外窓の下枠で支持できる。
【0009】
本発明は、前記下枠アタッチメントの窓枠取付部を、左右方向に連続した上向き凹陥形状とし、
前記内窓の窓枠を構成する左右の縦枠は、室内側内向片と室外側内向片を有し、かつその下端部が前記下枠アタッチメントの窓枠取付部に嵌まり合うものとし、
前記上枠、下枠は、その長手方向両端部が左右の縦枠の室内側内向片と室外側内向片との間に嵌まり合うようにした二重窓とすることができる。
このようにすれば、縦枠の下端部が窓枠取付部に嵌まり合うことで室内外側方向に位置決めされ、上枠、下枠の長手方向両端部が左右の縦枠の室内側内向片と室外側内向片との間に嵌まり合うことで室内外側方向に位置決めされる。
したがって、左右の縦枠を取り付けた後に、上枠、下枠を取り付けて窓枠を構成でき、その窓枠の取り付けが容易である。
【0010】
本発明は、前記左右の縦枠を開口部の左右の縦内面に接着剤で接着して取り付け、
前記上枠を開口部の上内面に接着剤で接着すると共に、固着具で固着して取り付け、
前記上枠、下枠の長手方向両端面を左右の縦枠の内面に接するようにした二重窓とすることができる。
このようにすれば、左右の縦枠、上枠を接着して取り付けできるから、窓枠の取り付けが簡単である。
しかも、上枠は固着具で固着してあるから、接着が剥がれても上枠が脱落しないと共に、上枠、下枠によって縦枠を開口部の縦内面に押しつけて保持できるから接着が剥がれても縦枠が倒れることなない。
したがって、窓枠をしっかりと取り付けできる。
【0011】
本発明は、前記下枠アタッチメントの室内側の窓枠取付部に取り付けた下枠の上面が、その下枠アタッチメントの室外側の取付部の上面と同一面、又は少し高くなるようにできる。
このようにすれば、結露水等が内窓の下枠の上面に溜まることがなく、下枠アタッチメントの取付部を経て外窓に向けて排水することが可能である。
【0012】
本発明は、前記外窓は既設で、前記下枠アタッチメントと内窓は新設で、改装の二重窓とすることができる。
このようにすれば、外窓のみの既設の窓を、断熱性能と防音性能に優れた二重窓に簡単に改装できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内窓の窓枠を構成する上枠、下枠、左右の縦枠を構成する部材が少なく安価な内窓である。
しかも、下枠の障子装着部に負荷する荷重は下枠アタッチメントの全面で支持するので、開口部の下内面に応力が集中することがなく、その下内面が変形することがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態を示す二重窓の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す二重窓の横断面図である。
【図3】下枠取付部分の拡大図である。
【図4】下枠アタッチメントと下枠、上枠、縦枠の斜視図である。
【図5】プラグの斜視図である。
【図6】上枠取付部分の拡大図である。
【図7】縦枠取付部分の拡大図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示す横断面図である。
【図10】プラグの斜視図である。
【図11】図8のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1と図2に示すように、建物の窓取付用の開口部1の室外側に取り付けた外窓2と、その開口部1の室内側に取り付けた内窓3を備えている。これによって、二重窓としてある。前記外窓2は半外付けタイプとしている。
この実施の形態の二重窓は、既設の外窓2を備えた既設の窓に、新設の内窓3を後付けした改装の二重窓としてある。
前記外窓2は、窓枠2aに障子2bを引き違いに装着した引き違い窓で、その窓枠2aを構成する上枠20、下枠21、左右の縦枠22は、その室内側面20a,21a,22aに、その室内側面20a,21a,22aよりも面外方向(室内外方向)の室内側に向かう取付片23をそれぞれ備えている。
前記各取付片23と建物の内装材4とに亘って樹脂額縁5をそれぞれ設け、各取付片23から固着具6を建物躯体に固着することで、各樹脂額縁5の室外側部を固定し、各樹脂額縁5の室内側部を固着具7で内装材4に固定してある。
この固着具7は化粧キャップ7aで覆われて室内から見えないようにしてある。
【0016】
前記各樹脂額縁5によって開口部1の上内面1a、下内面1b、縦内面1cを構成し、開口部1の外窓2と内装材4との間の部分、つまり室内側部分の耐水性を向上している。
これによって、浴室用の窓としてある。
【0017】
前記内窓3は窓枠3aに障子3bを引き違いに装着した引き違い窓で、その窓枠3a、障子3bの框は樹脂製で、内窓3は樹脂製である。
前記窓枠3aは、上枠30と下枠40と左右の縦枠50を備え、その上枠30、下枠40の室外側寄りと室内側寄りに障子装着部、例えば上レール31、下レール41を有し、この上レール31、下レール41に沿って障子3bが面内方向(左右方向)に移動可能に装着されている。
【0018】
前記開口部1の下内面1b(下の樹脂額縁5の上面)に、アルミ製の下枠アタッチメント8が取り付けてある。
この下枠アタッチメント8は開口部1の左右の縦内面1c(左右の樹脂額縁5の内面)間に連続して取り付けてある。
前記窓枠3aは、その窓枠3aの下端部、例えば下枠40と左右の縦枠50の下端面が前記下枠アタッチメント8に接し、窓枠3aの上端部、例えば上枠30と左右の縦枠50の上端面が開口部1の上内面1a(上の樹脂額縁5の内面)に接すると共に、窓枠3aの左右の縦部、例えば左右の縦枠50が開口部1の左右の縦内面1c(左右の樹脂額縁5の内面)に接して取り付けてある。
【0019】
このようであるから、内窓3の窓枠3aの下枠40の障子装着部(下レール41)に負荷する障子重量は下枠アタッチメント8の窓枠3aの下端部が接した部分の全面で受け、下枠アタッチメント8の下枠40の障子装着部(下レール41)と対向した部分に応力が集中することがなく、この下枠アタッチメント8を取り付けた開口部1の下内面1bの一部分に応力が集中することがないので、その下内面1bが変形することがない。
特に、前述のように下内面1bが樹脂額縁5の場合に、その樹脂額縁5が大きく変形することがない。
【0020】
前記下枠アタッチメント8は図3に示すように、室内側の窓枠取付部8aと室外側の取付部8bを備え、その取付部8bの室外側端を外窓2の下枠21の取付片23に載置し、その取付部8bから固着具9を取付片23、樹脂額縁5を挿通して建物躯体、例えば窓台に固着して下枠アタッチメント8を取り付けている。
このようであるから、外窓2と内窓3を面外方向に離隔して両者の間に空間を構成できるから、断熱性能、遮音性能がより優れたものとなる。
【0021】
しかも、下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aには固着具が存在しないと共に、その窓枠取付部8aに内窓3の窓枠3aの下端部を接して取り付けてあるから、内窓3を取り付けた状態で、その窓枠取付部8aから開口部1の下内面1bに結露水や、浴室用の二重窓の場合にはシャワーの湯水、浴室使用時の湯水などが流れることがなく、内窓3を取り付けた後でも開口部1の下内面1bの耐水性を損なうことがない。
【0022】
さらに、下枠アタッチメント8に負荷する内窓3の荷重の一部を、外窓2の下枠21の取付片23で支持するので、その内窓3の重量を分散して支持することができる。
【0023】
前記下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aの室内側端に上向き突条8cを有し、窓枠3aの下部の室内側面がこの上向き突条8cに接することで、窓枠3aの下部が室内側にずれ落ちることを防止できるし、窓枠3aを位置決めできる。
しかも、前記下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aの室外側端には立上り面8dを有し、この立上り面8dに窓枠3aの下部の室外側面が接して窓枠3aの下部が室外側にずれることを防止できる。
要するに、下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aは、窓枠3aの下部が嵌まり合う上向き凹陥形状で、窓枠3の下部を室内外側方向に動かないように位置決めして保持できるようにしてあり、かつ立上り面8d部で水だまり対策をしている。
【0024】
前記下枠アタッチメント8の好ましい具体形状を図3と図4に基づいて説明する。
前記下枠アタッチメント8は、室内側横板80と、この室内側横板80の室内側端に設けた上向き片81と、前記室内側横板80の室外側端に設けた立上り片82と、この立上り片82の上端と連続し室外側に向う室外側横板83と、この室外側横板83の下面に設けた下向き片84を備えたアルミ押出形材の長尺材である。
そして、前記室内側横板80と上向き片81と立上り片82で窓枠取付部8aを形成し、室外側横板82が取付部8bを形成し、上向き片81が上向き突条8cで、立上り片82が立上り面8dである。
【0025】
前記下枠アタッチメント8の取り付け手順を説明する。
前述の内窓3を取り付ける以前に下枠アタッチメント8を開口部1の下内面1bに接して仮置きし、下枠アタッチメント8の長手方向端面と開口部1の左右の縦内面1cとの間に所定の隙間(チリ)が生じるように長さを決定する。このとき、図2に示すように、結露受け24がある場合には下枠アタッチメント8の室外側寄り左右コーナー部を切欠きして結露受け24と干渉しないようにする。
【0026】
前記下枠アタッチメント8を位置決めし、外窓2の下枠21の取付片23を固定している固着具6の出入方向を目安として下枠アタッチメント8の取付部8bの取付用穴に合わせて取付片23に下穴の位置をけがく。
この後に、下枠アタッチメント8を取り外して取付片23とともに下の樹脂額縁5に下穴あける。
下枠アタッチメント8の下面に貼着した両面テープ85の剥離紙85aを剥がして、再度下枠アタッチメント8を仮置きし両面テープ85で接着固定する。そして前述の取付用の下穴からシーリング材を注入し、その後で固着具9を建物躯体に固着して下枠アタッチメント8を取り付ける。
前述の固着具9を固着できない場合には、図5に示すプラグ86を打ち込み、そのプラグ86に固着具9を固着する。
【0027】
前記内窓3の上枠30は図4と図6に示すように、面外方向に向かう板状の本体32と、この本体32の室内側端に設けた下向き片33と、前記本体32に設けた前述の上レール31と、前記本体32の面外方向の両端部に上向きに一体に設けた室内側シール片34、室外側シール片35を備え、その本体32の面外方向中間部の上面に接着剤、例えば両面テープ36が接着してある。
【0028】
前記内窓3の下枠40は、図3、図4に示すように、面外方向に向かう板状の本体42と、この本体42に設けた前述の下レール41と、前記本体42の面外方向の両端部に下向きに一体に設けた室内側シール材43、室外側シール片44を備え、その本体42の面外方向中間部の下面に接着剤、例えば両面テープ45が接着してある。
【0029】
前記内窓3の左右の縦枠50は図4と図7に示すように、面外方向に向かう板状の本体51と、この本体41の面外方向両端部に一体に設けた室内側内向片52、室外側外向片53と、本体41の面外方向中間部に設けた中間内向片54と、この中間内向片54の先端部に一体に設けたシール片55と、本体51の面外方向両端部に外向きに一体に設けた室内側シール片56、室外側シール片57を備え、この室内側内向片52と室外側内向片53の外側面間の面外方向の寸法が前記下枠アタッチメント8の上向き突条8cと立上り面8d間の面外方向の寸法と同一で、内側面間の面外方向の寸法が前記上枠30、下枠40の面外方向の寸法と同一である。なお、同一とは全く同じ場合のみではなく、若干異なる場合も含むものとする。
前記左側の縦枠50は、そのシール片55は室外側に向かい、室外側の障子3bと接し、右側の縦枠50は、そのシール片55が室内側に向かい、室内側の障子3bと接するようにしてある。
前記本体51の面外方向両側寄りに接着剤、例えば両面テープ58がそれぞれ接着してある。
【0030】
次に内窓3の窓枠3aを取り付ける手順を説明する。
左右の縦枠50の下端部を、下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aに嵌め込み、面外方向に位置決めし、その縦枠50を開口部1の縦内面1cに接して、その縦枠50の上端部を面外方向に位置決めし、その縦枠50に沿って縦内面1cに線を引き、縦枠50の位置を示すけがき線とする。
この後、縦枠50を取り外し、両面テープ58の剥離紙58aを剥がし、縦枠50を前述のけがき線に合わせて取り付け、両面テープ58で接着して取り付ける。
前記室内側シール片56、室外側シール片57が開口部1の左右縦内面1cに接し、縦枠50と縦内面1cとの間をシールしている。
【0031】
前記上枠30を、その長手方向両端部を左右の縦枠50の室内側内向片52と室外側内向片53間の上部寄りに嵌め合わせて仮取り付けする。
このとき、左右の縦枠50の中間内向き片54の上部寄り部分が上枠30と干渉するので、その中間内向片54の上部寄り部分を切除し、上枠30の長手方向両端面が左右の縦枠50の本体51の内側面に接するようにする。
具体的には、上枠30は樹脂製で弾性変形し易いので、上枠30を長手方向中間部が両端部よりも下方に位置するように下向き円弧形状(弓形状)に弾性変形して左右の縦枠50間に配設し、その状態で上枠30を真直ぐに弾性変形復元して長手方向両端面を左右の縦枠50の本体51の内面に強く押しつけて仮取り付けする。
【0032】
前述の状態で上枠30の長手方向両端部は左右の縦枠50の室内側内向片52と室外側内向片53で室内外方向に位置決めされるので、長手方向中間部を両端部に合わせて室内外方向に位置決めする。
前述の状態で上枠30の取付用穴に合わせて開口部1の上内面1a(上の樹脂額縁5)に下穴の位置をけがく。
この後に上枠30を取り外し、開口部1の上内面1aに下穴をあけ、その下穴に図6に示すように前述した2プラグ37を圧入して取り付け、そのプラグ37部分をシール材でシールする。
【0033】
前記上枠30の両面テープ36の剥離紙36aを剥がし、上枠30を前述のようにして左右の縦枠50間に取り付けると共に、両面テープ36を開口部1の上内面1aに接着して取り付け、前述の取付用の下穴にシール材を注入し、固着具38をプラグ37に固着して上枠30を取り付ける。
前記室内側シール片34、室外側シール片35が開口部1の上内面1aに圧接して上枠30と上内面1aとの間をシールする。
【0034】
次に、下枠40を左右の縦枠50の室内側内向片52と室外側内向片53との間に、前述の上枠30と同様にして取り付ける。
つまり、縦枠50の中間内向片54の下端部を切欠きして下枠40と干渉しないようにしてある。
前記室内側シール片43と室外側シール片44が下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aに圧接し、下枠40と下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aとの間をシールする。
【0035】
前述のように、下枠40を取り付けた状態では、図3に示すように、本体42の上面、つまり下枠40の上面が下枠アタッチメント8の取付部8bの上面と面一に連続するので、図2に示すように下枠40の室外側の下レール41の長手方向一端部を切欠きすることにより、その切欠き部分41aを通して下枠40上の結露水等を下枠アタッチメント8を経て外窓2側に排水することができる。なお、下枠40の上面が取付部8bの上面よりも少し高くしても良い。
また、下枠40の室内側の下レール41の長手方向他端部を切欠きし、その切欠き部分41bを通して下枠40上の結露水、浴室用の二重窓の場合にはシャワーの湯水、浴室使用時の湯水等を室内側に排水することが可能である。
【0036】
前述のように、左右の縦枠50の下部を下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aに嵌め合わせるようにして取り付けることで、左右の縦枠50の下部を室内外方向に位置決めでき、この左右の縦枠50の室内側内向片52と室外側内向片53間に上枠30、下枠40を嵌め合わせるようにして取り付けることで室内外方向に位置決めできるので、窓枠3aを簡単に取り付けできる。
【0037】
しかも、縦枠50、上枠30、下枠40は接着して取り付けてあるから、窓枠3aを一層簡単に取り付けできる。
【0038】
さらに、上枠30は固着具38で固着して取り付けてあるので、接着が剥がれても上枠30が脱落することがない。
前記左右の縦枠50の内面に、上枠30、下枠40の長手方向両端面が接しているので、縦枠50の接着が剥がれても縦枠50が倒れることなく、窓枠3aをしっかりと取り付けできる。
前記下枠40、縦枠50は固着具で固着していないので、その固着部から結露水等が建物躯体に浸入しない。
【0039】
前記下枠アタッチメント8の室外側端と外窓2の下枠21の取付片23との間、下枠アタッチメント8の左右端と開口部1の左右縦内面1cとの間、下枠アタッチメント8の室内側端と開口部1の下内面1bとの間、下枠アタッチメント8の上向き突条8cと下枠40の室内側端面、立上り面8dと下枠40の室外側端面との間、縦枠50と開口部1の上内面1a、下内面1bとの間が、それぞれシール材10によってシールしてある(図1、図2に斜線部分参照)。なお、図3、図6、図7にはシール材10の図示が省略してある。
【0040】
図3において、開口部1よりも下方の内装材4には補強材60が取り付けてある。
この補強材60は、前述のようにプラグ61にねじ62を螺合して取り付け、額縁の下部を補強している。
この補強材60はカバー63で見えないようにしてある。
【0041】
前述の実施の形態では、開口部1の内面が樹脂額縁5である場合を示したが、その内面は樹脂額縁5に限ることはない。
例えば、図8と図9に示すようにタイル70で上内面1a、下内面1b、縦内面1cとしても良い。
この場合には、下枠アタッチメント8の取付部8bの室外側端を外窓2の下枠21の室内側面21aに接する。
前述と同様にして下枠アタッチメント8の取付用穴に合わせてタイル70に下穴71をあける。
この下穴71に図10に示す筒状のプラグ72を圧入して取り付け、下枠アタッチメント8の取付用の下穴から固着具9をプラグ72内に固着して下枠アタッチメント8を取り付ける。
【0042】
上枠30も前述と同様に、タイル70にあけた下穴73にプラグ74を圧入して取り付け、このプラグ74に固着具38を固着して取り付ける。
【0043】
また、開口部1の下内面1bが水平であれば、下枠アタッチメント8を水平に取り付け、この下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aに窓枠3aの下端部を接して取り付けることで、窓枠3aを垂直に取り付けできる。
しかし、開口部1の下内面1bが水平ではなく、室内側部が室外側部よりも低くなるように傾斜している場合、例えば、浴室用の窓であって、下内面1bに水勾配がある場合には下枠アタッチメント8を水平に取り付けできない。
そこで、例えば図11に示すように開口部1の下内面1bの室内側寄りと下枠アタッチメント8の下面との間に調整材90(薄い板材)を介在させることで、下枠アタッチメント8を水平に取り付けできるようにする。
【0044】
前述の実施の形態は階層の二重窓で、外窓2のみの既設の窓を断熱性能、遮音性能に優れた二重窓に簡単に改装することできるが、開口部1に外窓2と内窓3を同時期に取り付けた二重窓としても良い。
【符号の説明】
【0045】
1…窓取付用の開口部、1a…上内面、1b…下内面、1c…縦内面、2…外窓、3…内窓、3a…窓枠、3b…障子、8…下枠アタッチメント、8a…窓枠取付部、8b…取付部、8c…上向き突条、9…固着具、30…上枠、36…両面テープ(接着剤)、38…固着具、40…下枠、50…縦枠、51…本体、52…室内側内向片、53…室外側内向片。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の窓取付用の開口部の室外側に取り付けた外窓と、その開口部の室内側に取り付けた内窓を備えた二重窓に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の窓取付用の開口部に外窓と内窓を取り付けた二重窓は、断熱性能と防音性能に優れているので、近年、既設の窓に内窓を取り付けて二重窓とすることが行われている。
例えば、特許文献1に開示したように内窓の窓枠を、上枠本体と取付体を連結体した上枠と、下枠本体と取付体を連結した下枠と、縦枠本体と取付体を連結した左右の縦枠を備えたものとし、その各取付体を、建物の窓取付用の開口部の室内側にそれぞれ取り付け、前記開口部の室外側に取り付けた外窓とで二重窓としたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭62−22623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の二重窓は、内窓の窓枠を構成する上枠、下枠と左右の縦枠が、障子を装着するための本体と、開口部に取り付けるための取付体を備えているので、窓枠を構成する部材の数が多く、高価な内窓となってしまう。
このことを解消するには、内窓の窓枠を構成する上枠、下枠、左右の縦枠を、障子を装着するための本体に相当する形状とすることが考えられるが、このようにすると内窓が樹脂性の場合に、その下枠の剛性がアルミ製の下枠より弱いので、その下枠の障子装着部分、例えば下レール部分が障子重量で下向きに凹むことがあるので、建物の窓取付用の開口部の下内面における前述の下枠の障子装着部分が接する部分に応力が集中し、その下内面が変形する恐れがある。
特に、開口部の上下、縦内面に樹脂額縁を取り付けて耐水性を向上した浴室の開口部に、前述のように樹脂性の内窓を取り付けると、樹脂額縁における下枠の障子装着部分が接する部分に応力が集中し、その樹脂額縁が大きく変形することがある。
【0005】
本発明の目的は、窓枠を構成する部材が少なく安価な内窓にできると共に、建物の窓取付用の開口部の下内面が応力集中によって変形することがない二重窓とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物の窓取付用の開口部の室外側に取り付けた外窓と、その開口部の室内側に取り付けた内窓を備えた二重窓であって、
前記内窓の窓枠は、障子装着部を有した下枠と上枠と左右の縦枠を備えた樹脂製とし、
前記開口部の下内面に、アルミ製の下枠アタッチメントを取り付け
前記窓枠は、その下端部を下枠アタッチメントに接し、上端部を開口部の上内面、左右の縦部を開口部の左右の縦内面に接して取り付けたことを特徴とする二重窓である。
【0007】
本発明は、前記下枠アタッチメントは、室内側の窓枠取付部と室外側の取付部を備え、その取付部を開口部の下内面に固着具で固着して取り付け、前記窓枠取付部に窓枠の下端部を接して取り付けるようにした二重窓とすることができる。
このようにすれば、外窓と内窓を面外方向に離隔して両者の間に空間を構成できるから、断熱性能、遮音性能がより優れたものとなる。
しかも、下枠アタッチメントの窓枠取付部には固着具が存在しないと共に、その窓枠取付部に内窓の窓枠の下端部を接して取り付けてあるから、内窓を取り付けた状態で、その窓枠取付部から開口部の下内面に結露水等が流れることがなく、内窓を取り付けた後でも開口部の下内面の耐水性を損なうことがない。
【0008】
本発明は、前記下枠アタッチメントの窓枠取付部の室内側部に上向き突条を有し、
前記下枠アタッチメントの取付部の室外側端が、外窓の下枠の室内側面に設けた取付片の上に接している二重窓とすることができる。
このようにすれば、窓枠の下部の室内側面が上向き突条に接することで、室内側にずれ落ちることがないし、窓枠を位置決めできる。
しかも、下枠アタッチメントに負荷する荷重の一部分を外窓の下枠で支持できる。
【0009】
本発明は、前記下枠アタッチメントの窓枠取付部を、左右方向に連続した上向き凹陥形状とし、
前記内窓の窓枠を構成する左右の縦枠は、室内側内向片と室外側内向片を有し、かつその下端部が前記下枠アタッチメントの窓枠取付部に嵌まり合うものとし、
前記上枠、下枠は、その長手方向両端部が左右の縦枠の室内側内向片と室外側内向片との間に嵌まり合うようにした二重窓とすることができる。
このようにすれば、縦枠の下端部が窓枠取付部に嵌まり合うことで室内外側方向に位置決めされ、上枠、下枠の長手方向両端部が左右の縦枠の室内側内向片と室外側内向片との間に嵌まり合うことで室内外側方向に位置決めされる。
したがって、左右の縦枠を取り付けた後に、上枠、下枠を取り付けて窓枠を構成でき、その窓枠の取り付けが容易である。
【0010】
本発明は、前記左右の縦枠を開口部の左右の縦内面に接着剤で接着して取り付け、
前記上枠を開口部の上内面に接着剤で接着すると共に、固着具で固着して取り付け、
前記上枠、下枠の長手方向両端面を左右の縦枠の内面に接するようにした二重窓とすることができる。
このようにすれば、左右の縦枠、上枠を接着して取り付けできるから、窓枠の取り付けが簡単である。
しかも、上枠は固着具で固着してあるから、接着が剥がれても上枠が脱落しないと共に、上枠、下枠によって縦枠を開口部の縦内面に押しつけて保持できるから接着が剥がれても縦枠が倒れることなない。
したがって、窓枠をしっかりと取り付けできる。
【0011】
本発明は、前記下枠アタッチメントの室内側の窓枠取付部に取り付けた下枠の上面が、その下枠アタッチメントの室外側の取付部の上面と同一面、又は少し高くなるようにできる。
このようにすれば、結露水等が内窓の下枠の上面に溜まることがなく、下枠アタッチメントの取付部を経て外窓に向けて排水することが可能である。
【0012】
本発明は、前記外窓は既設で、前記下枠アタッチメントと内窓は新設で、改装の二重窓とすることができる。
このようにすれば、外窓のみの既設の窓を、断熱性能と防音性能に優れた二重窓に簡単に改装できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内窓の窓枠を構成する上枠、下枠、左右の縦枠を構成する部材が少なく安価な内窓である。
しかも、下枠の障子装着部に負荷する荷重は下枠アタッチメントの全面で支持するので、開口部の下内面に応力が集中することがなく、その下内面が変形することがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態を示す二重窓の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す二重窓の横断面図である。
【図3】下枠取付部分の拡大図である。
【図4】下枠アタッチメントと下枠、上枠、縦枠の斜視図である。
【図5】プラグの斜視図である。
【図6】上枠取付部分の拡大図である。
【図7】縦枠取付部分の拡大図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示す横断面図である。
【図10】プラグの斜視図である。
【図11】図8のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1と図2に示すように、建物の窓取付用の開口部1の室外側に取り付けた外窓2と、その開口部1の室内側に取り付けた内窓3を備えている。これによって、二重窓としてある。前記外窓2は半外付けタイプとしている。
この実施の形態の二重窓は、既設の外窓2を備えた既設の窓に、新設の内窓3を後付けした改装の二重窓としてある。
前記外窓2は、窓枠2aに障子2bを引き違いに装着した引き違い窓で、その窓枠2aを構成する上枠20、下枠21、左右の縦枠22は、その室内側面20a,21a,22aに、その室内側面20a,21a,22aよりも面外方向(室内外方向)の室内側に向かう取付片23をそれぞれ備えている。
前記各取付片23と建物の内装材4とに亘って樹脂額縁5をそれぞれ設け、各取付片23から固着具6を建物躯体に固着することで、各樹脂額縁5の室外側部を固定し、各樹脂額縁5の室内側部を固着具7で内装材4に固定してある。
この固着具7は化粧キャップ7aで覆われて室内から見えないようにしてある。
【0016】
前記各樹脂額縁5によって開口部1の上内面1a、下内面1b、縦内面1cを構成し、開口部1の外窓2と内装材4との間の部分、つまり室内側部分の耐水性を向上している。
これによって、浴室用の窓としてある。
【0017】
前記内窓3は窓枠3aに障子3bを引き違いに装着した引き違い窓で、その窓枠3a、障子3bの框は樹脂製で、内窓3は樹脂製である。
前記窓枠3aは、上枠30と下枠40と左右の縦枠50を備え、その上枠30、下枠40の室外側寄りと室内側寄りに障子装着部、例えば上レール31、下レール41を有し、この上レール31、下レール41に沿って障子3bが面内方向(左右方向)に移動可能に装着されている。
【0018】
前記開口部1の下内面1b(下の樹脂額縁5の上面)に、アルミ製の下枠アタッチメント8が取り付けてある。
この下枠アタッチメント8は開口部1の左右の縦内面1c(左右の樹脂額縁5の内面)間に連続して取り付けてある。
前記窓枠3aは、その窓枠3aの下端部、例えば下枠40と左右の縦枠50の下端面が前記下枠アタッチメント8に接し、窓枠3aの上端部、例えば上枠30と左右の縦枠50の上端面が開口部1の上内面1a(上の樹脂額縁5の内面)に接すると共に、窓枠3aの左右の縦部、例えば左右の縦枠50が開口部1の左右の縦内面1c(左右の樹脂額縁5の内面)に接して取り付けてある。
【0019】
このようであるから、内窓3の窓枠3aの下枠40の障子装着部(下レール41)に負荷する障子重量は下枠アタッチメント8の窓枠3aの下端部が接した部分の全面で受け、下枠アタッチメント8の下枠40の障子装着部(下レール41)と対向した部分に応力が集中することがなく、この下枠アタッチメント8を取り付けた開口部1の下内面1bの一部分に応力が集中することがないので、その下内面1bが変形することがない。
特に、前述のように下内面1bが樹脂額縁5の場合に、その樹脂額縁5が大きく変形することがない。
【0020】
前記下枠アタッチメント8は図3に示すように、室内側の窓枠取付部8aと室外側の取付部8bを備え、その取付部8bの室外側端を外窓2の下枠21の取付片23に載置し、その取付部8bから固着具9を取付片23、樹脂額縁5を挿通して建物躯体、例えば窓台に固着して下枠アタッチメント8を取り付けている。
このようであるから、外窓2と内窓3を面外方向に離隔して両者の間に空間を構成できるから、断熱性能、遮音性能がより優れたものとなる。
【0021】
しかも、下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aには固着具が存在しないと共に、その窓枠取付部8aに内窓3の窓枠3aの下端部を接して取り付けてあるから、内窓3を取り付けた状態で、その窓枠取付部8aから開口部1の下内面1bに結露水や、浴室用の二重窓の場合にはシャワーの湯水、浴室使用時の湯水などが流れることがなく、内窓3を取り付けた後でも開口部1の下内面1bの耐水性を損なうことがない。
【0022】
さらに、下枠アタッチメント8に負荷する内窓3の荷重の一部を、外窓2の下枠21の取付片23で支持するので、その内窓3の重量を分散して支持することができる。
【0023】
前記下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aの室内側端に上向き突条8cを有し、窓枠3aの下部の室内側面がこの上向き突条8cに接することで、窓枠3aの下部が室内側にずれ落ちることを防止できるし、窓枠3aを位置決めできる。
しかも、前記下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aの室外側端には立上り面8dを有し、この立上り面8dに窓枠3aの下部の室外側面が接して窓枠3aの下部が室外側にずれることを防止できる。
要するに、下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aは、窓枠3aの下部が嵌まり合う上向き凹陥形状で、窓枠3の下部を室内外側方向に動かないように位置決めして保持できるようにしてあり、かつ立上り面8d部で水だまり対策をしている。
【0024】
前記下枠アタッチメント8の好ましい具体形状を図3と図4に基づいて説明する。
前記下枠アタッチメント8は、室内側横板80と、この室内側横板80の室内側端に設けた上向き片81と、前記室内側横板80の室外側端に設けた立上り片82と、この立上り片82の上端と連続し室外側に向う室外側横板83と、この室外側横板83の下面に設けた下向き片84を備えたアルミ押出形材の長尺材である。
そして、前記室内側横板80と上向き片81と立上り片82で窓枠取付部8aを形成し、室外側横板82が取付部8bを形成し、上向き片81が上向き突条8cで、立上り片82が立上り面8dである。
【0025】
前記下枠アタッチメント8の取り付け手順を説明する。
前述の内窓3を取り付ける以前に下枠アタッチメント8を開口部1の下内面1bに接して仮置きし、下枠アタッチメント8の長手方向端面と開口部1の左右の縦内面1cとの間に所定の隙間(チリ)が生じるように長さを決定する。このとき、図2に示すように、結露受け24がある場合には下枠アタッチメント8の室外側寄り左右コーナー部を切欠きして結露受け24と干渉しないようにする。
【0026】
前記下枠アタッチメント8を位置決めし、外窓2の下枠21の取付片23を固定している固着具6の出入方向を目安として下枠アタッチメント8の取付部8bの取付用穴に合わせて取付片23に下穴の位置をけがく。
この後に、下枠アタッチメント8を取り外して取付片23とともに下の樹脂額縁5に下穴あける。
下枠アタッチメント8の下面に貼着した両面テープ85の剥離紙85aを剥がして、再度下枠アタッチメント8を仮置きし両面テープ85で接着固定する。そして前述の取付用の下穴からシーリング材を注入し、その後で固着具9を建物躯体に固着して下枠アタッチメント8を取り付ける。
前述の固着具9を固着できない場合には、図5に示すプラグ86を打ち込み、そのプラグ86に固着具9を固着する。
【0027】
前記内窓3の上枠30は図4と図6に示すように、面外方向に向かう板状の本体32と、この本体32の室内側端に設けた下向き片33と、前記本体32に設けた前述の上レール31と、前記本体32の面外方向の両端部に上向きに一体に設けた室内側シール片34、室外側シール片35を備え、その本体32の面外方向中間部の上面に接着剤、例えば両面テープ36が接着してある。
【0028】
前記内窓3の下枠40は、図3、図4に示すように、面外方向に向かう板状の本体42と、この本体42に設けた前述の下レール41と、前記本体42の面外方向の両端部に下向きに一体に設けた室内側シール材43、室外側シール片44を備え、その本体42の面外方向中間部の下面に接着剤、例えば両面テープ45が接着してある。
【0029】
前記内窓3の左右の縦枠50は図4と図7に示すように、面外方向に向かう板状の本体51と、この本体41の面外方向両端部に一体に設けた室内側内向片52、室外側外向片53と、本体41の面外方向中間部に設けた中間内向片54と、この中間内向片54の先端部に一体に設けたシール片55と、本体51の面外方向両端部に外向きに一体に設けた室内側シール片56、室外側シール片57を備え、この室内側内向片52と室外側内向片53の外側面間の面外方向の寸法が前記下枠アタッチメント8の上向き突条8cと立上り面8d間の面外方向の寸法と同一で、内側面間の面外方向の寸法が前記上枠30、下枠40の面外方向の寸法と同一である。なお、同一とは全く同じ場合のみではなく、若干異なる場合も含むものとする。
前記左側の縦枠50は、そのシール片55は室外側に向かい、室外側の障子3bと接し、右側の縦枠50は、そのシール片55が室内側に向かい、室内側の障子3bと接するようにしてある。
前記本体51の面外方向両側寄りに接着剤、例えば両面テープ58がそれぞれ接着してある。
【0030】
次に内窓3の窓枠3aを取り付ける手順を説明する。
左右の縦枠50の下端部を、下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aに嵌め込み、面外方向に位置決めし、その縦枠50を開口部1の縦内面1cに接して、その縦枠50の上端部を面外方向に位置決めし、その縦枠50に沿って縦内面1cに線を引き、縦枠50の位置を示すけがき線とする。
この後、縦枠50を取り外し、両面テープ58の剥離紙58aを剥がし、縦枠50を前述のけがき線に合わせて取り付け、両面テープ58で接着して取り付ける。
前記室内側シール片56、室外側シール片57が開口部1の左右縦内面1cに接し、縦枠50と縦内面1cとの間をシールしている。
【0031】
前記上枠30を、その長手方向両端部を左右の縦枠50の室内側内向片52と室外側内向片53間の上部寄りに嵌め合わせて仮取り付けする。
このとき、左右の縦枠50の中間内向き片54の上部寄り部分が上枠30と干渉するので、その中間内向片54の上部寄り部分を切除し、上枠30の長手方向両端面が左右の縦枠50の本体51の内側面に接するようにする。
具体的には、上枠30は樹脂製で弾性変形し易いので、上枠30を長手方向中間部が両端部よりも下方に位置するように下向き円弧形状(弓形状)に弾性変形して左右の縦枠50間に配設し、その状態で上枠30を真直ぐに弾性変形復元して長手方向両端面を左右の縦枠50の本体51の内面に強く押しつけて仮取り付けする。
【0032】
前述の状態で上枠30の長手方向両端部は左右の縦枠50の室内側内向片52と室外側内向片53で室内外方向に位置決めされるので、長手方向中間部を両端部に合わせて室内外方向に位置決めする。
前述の状態で上枠30の取付用穴に合わせて開口部1の上内面1a(上の樹脂額縁5)に下穴の位置をけがく。
この後に上枠30を取り外し、開口部1の上内面1aに下穴をあけ、その下穴に図6に示すように前述した2プラグ37を圧入して取り付け、そのプラグ37部分をシール材でシールする。
【0033】
前記上枠30の両面テープ36の剥離紙36aを剥がし、上枠30を前述のようにして左右の縦枠50間に取り付けると共に、両面テープ36を開口部1の上内面1aに接着して取り付け、前述の取付用の下穴にシール材を注入し、固着具38をプラグ37に固着して上枠30を取り付ける。
前記室内側シール片34、室外側シール片35が開口部1の上内面1aに圧接して上枠30と上内面1aとの間をシールする。
【0034】
次に、下枠40を左右の縦枠50の室内側内向片52と室外側内向片53との間に、前述の上枠30と同様にして取り付ける。
つまり、縦枠50の中間内向片54の下端部を切欠きして下枠40と干渉しないようにしてある。
前記室内側シール片43と室外側シール片44が下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aに圧接し、下枠40と下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aとの間をシールする。
【0035】
前述のように、下枠40を取り付けた状態では、図3に示すように、本体42の上面、つまり下枠40の上面が下枠アタッチメント8の取付部8bの上面と面一に連続するので、図2に示すように下枠40の室外側の下レール41の長手方向一端部を切欠きすることにより、その切欠き部分41aを通して下枠40上の結露水等を下枠アタッチメント8を経て外窓2側に排水することができる。なお、下枠40の上面が取付部8bの上面よりも少し高くしても良い。
また、下枠40の室内側の下レール41の長手方向他端部を切欠きし、その切欠き部分41bを通して下枠40上の結露水、浴室用の二重窓の場合にはシャワーの湯水、浴室使用時の湯水等を室内側に排水することが可能である。
【0036】
前述のように、左右の縦枠50の下部を下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aに嵌め合わせるようにして取り付けることで、左右の縦枠50の下部を室内外方向に位置決めでき、この左右の縦枠50の室内側内向片52と室外側内向片53間に上枠30、下枠40を嵌め合わせるようにして取り付けることで室内外方向に位置決めできるので、窓枠3aを簡単に取り付けできる。
【0037】
しかも、縦枠50、上枠30、下枠40は接着して取り付けてあるから、窓枠3aを一層簡単に取り付けできる。
【0038】
さらに、上枠30は固着具38で固着して取り付けてあるので、接着が剥がれても上枠30が脱落することがない。
前記左右の縦枠50の内面に、上枠30、下枠40の長手方向両端面が接しているので、縦枠50の接着が剥がれても縦枠50が倒れることなく、窓枠3aをしっかりと取り付けできる。
前記下枠40、縦枠50は固着具で固着していないので、その固着部から結露水等が建物躯体に浸入しない。
【0039】
前記下枠アタッチメント8の室外側端と外窓2の下枠21の取付片23との間、下枠アタッチメント8の左右端と開口部1の左右縦内面1cとの間、下枠アタッチメント8の室内側端と開口部1の下内面1bとの間、下枠アタッチメント8の上向き突条8cと下枠40の室内側端面、立上り面8dと下枠40の室外側端面との間、縦枠50と開口部1の上内面1a、下内面1bとの間が、それぞれシール材10によってシールしてある(図1、図2に斜線部分参照)。なお、図3、図6、図7にはシール材10の図示が省略してある。
【0040】
図3において、開口部1よりも下方の内装材4には補強材60が取り付けてある。
この補強材60は、前述のようにプラグ61にねじ62を螺合して取り付け、額縁の下部を補強している。
この補強材60はカバー63で見えないようにしてある。
【0041】
前述の実施の形態では、開口部1の内面が樹脂額縁5である場合を示したが、その内面は樹脂額縁5に限ることはない。
例えば、図8と図9に示すようにタイル70で上内面1a、下内面1b、縦内面1cとしても良い。
この場合には、下枠アタッチメント8の取付部8bの室外側端を外窓2の下枠21の室内側面21aに接する。
前述と同様にして下枠アタッチメント8の取付用穴に合わせてタイル70に下穴71をあける。
この下穴71に図10に示す筒状のプラグ72を圧入して取り付け、下枠アタッチメント8の取付用の下穴から固着具9をプラグ72内に固着して下枠アタッチメント8を取り付ける。
【0042】
上枠30も前述と同様に、タイル70にあけた下穴73にプラグ74を圧入して取り付け、このプラグ74に固着具38を固着して取り付ける。
【0043】
また、開口部1の下内面1bが水平であれば、下枠アタッチメント8を水平に取り付け、この下枠アタッチメント8の窓枠取付部8aに窓枠3aの下端部を接して取り付けることで、窓枠3aを垂直に取り付けできる。
しかし、開口部1の下内面1bが水平ではなく、室内側部が室外側部よりも低くなるように傾斜している場合、例えば、浴室用の窓であって、下内面1bに水勾配がある場合には下枠アタッチメント8を水平に取り付けできない。
そこで、例えば図11に示すように開口部1の下内面1bの室内側寄りと下枠アタッチメント8の下面との間に調整材90(薄い板材)を介在させることで、下枠アタッチメント8を水平に取り付けできるようにする。
【0044】
前述の実施の形態は階層の二重窓で、外窓2のみの既設の窓を断熱性能、遮音性能に優れた二重窓に簡単に改装することできるが、開口部1に外窓2と内窓3を同時期に取り付けた二重窓としても良い。
【符号の説明】
【0045】
1…窓取付用の開口部、1a…上内面、1b…下内面、1c…縦内面、2…外窓、3…内窓、3a…窓枠、3b…障子、8…下枠アタッチメント、8a…窓枠取付部、8b…取付部、8c…上向き突条、9…固着具、30…上枠、36…両面テープ(接着剤)、38…固着具、40…下枠、50…縦枠、51…本体、52…室内側内向片、53…室外側内向片。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の窓取付用の開口部の室外側に取り付けた外窓と、その開口部の室内側に取り付けた内窓を備えた二重窓であって、
前記内窓の窓枠は、障子装着部を有した下枠と上枠と左右の縦枠を備えた樹脂製とし、
前記開口部の下内面に、アルミ製の下枠アタッチメントを取り付け
前記窓枠は、その下端部を下枠アタッチメントに接し、上端部を開口部の上内面、左右の縦部を開口部の左右の縦内面に接して取り付けたことを特徴とする二重窓。
【請求項2】
前記下枠アタッチメントは、室内側の窓枠取付部と室外側の取付部を備え、その取付部を開口部の下内面に固着具で固着して取り付け、前記窓枠取付部に窓枠の下端部を接して取り付けるようにした請求項1記載の二重窓。
【請求項3】
前記下枠アタッチメントの窓枠取付部の室内側部に上向き突条を有し、
前記下枠アタッチメントの取付部の室外側端が、外窓の下枠の室内側面に設けた取付片の上に接している請求項2記載の二重窓。
【請求項4】
前記下枠アタッチメントの窓枠取付部を、左右方向に連続した上向き凹陥形状とし、
前記内窓の窓枠を構成する左右の縦枠は、室内側内向片と室外側内向片を有し、かつその下端部が前記下枠アタッチメントの窓枠取付部に嵌まり合うものとし、
前記上枠、下枠は、その長手方向両端部が左右の縦枠の室内側内向片と室外側内向片との間に嵌まり合うようにした請求項2又は3記載の二重窓。
【請求項5】
前記左右の縦枠を開口部の左右の縦内面に接着剤で接着して取り付け、
前記上枠を開口部の上内面に接着剤で接着すると共に、固着具で固着して取り付け、
前記上枠、下枠の長手方向両端面を左右の縦枠の内面に接するようにした請求項4記載の二重窓。
【請求項6】
前記下枠アタッチメントの室内側の窓枠取付部に取り付けた下枠の上面が、その下枠アタッチメントの室外側の取付部の上面と同一面、又は少し高くなるようにした請求項2〜5いずれか1項に記載の二重窓。
【請求項7】
前記外窓は既設で、前記下枠アタッチメントと内窓は新設で、改装の二重窓とした請求項1〜6いずれか1項に記載の二重窓。
【請求項1】
建物の窓取付用の開口部の室外側に取り付けた外窓と、その開口部の室内側に取り付けた内窓を備えた二重窓であって、
前記内窓の窓枠は、障子装着部を有した下枠と上枠と左右の縦枠を備えた樹脂製とし、
前記開口部の下内面に、アルミ製の下枠アタッチメントを取り付け
前記窓枠は、その下端部を下枠アタッチメントに接し、上端部を開口部の上内面、左右の縦部を開口部の左右の縦内面に接して取り付けたことを特徴とする二重窓。
【請求項2】
前記下枠アタッチメントは、室内側の窓枠取付部と室外側の取付部を備え、その取付部を開口部の下内面に固着具で固着して取り付け、前記窓枠取付部に窓枠の下端部を接して取り付けるようにした請求項1記載の二重窓。
【請求項3】
前記下枠アタッチメントの窓枠取付部の室内側部に上向き突条を有し、
前記下枠アタッチメントの取付部の室外側端が、外窓の下枠の室内側面に設けた取付片の上に接している請求項2記載の二重窓。
【請求項4】
前記下枠アタッチメントの窓枠取付部を、左右方向に連続した上向き凹陥形状とし、
前記内窓の窓枠を構成する左右の縦枠は、室内側内向片と室外側内向片を有し、かつその下端部が前記下枠アタッチメントの窓枠取付部に嵌まり合うものとし、
前記上枠、下枠は、その長手方向両端部が左右の縦枠の室内側内向片と室外側内向片との間に嵌まり合うようにした請求項2又は3記載の二重窓。
【請求項5】
前記左右の縦枠を開口部の左右の縦内面に接着剤で接着して取り付け、
前記上枠を開口部の上内面に接着剤で接着すると共に、固着具で固着して取り付け、
前記上枠、下枠の長手方向両端面を左右の縦枠の内面に接するようにした請求項4記載の二重窓。
【請求項6】
前記下枠アタッチメントの室内側の窓枠取付部に取り付けた下枠の上面が、その下枠アタッチメントの室外側の取付部の上面と同一面、又は少し高くなるようにした請求項2〜5いずれか1項に記載の二重窓。
【請求項7】
前記外窓は既設で、前記下枠アタッチメントと内窓は新設で、改装の二重窓とした請求項1〜6いずれか1項に記載の二重窓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−231506(P2011−231506A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101818(P2010−101818)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
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