説明

互いの中へ係合している延伸ロールの表面の、汚染物を除去するための方法および装置

【課題】 本発明は、互いの中へ係合している延伸ロールの表面の、汚染物を除去するための方法および装置に関する。これら延伸ロールの表面は、これら延伸ロール7の間のロール間隙を案内される、弾性的なラミネート5の延伸のために、立ち上がり部13および窪み部14を有している。このラミネート5は、このロール間隙内において、帯状体方向に対して横方向に延伸される。本発明の課題は、互いの中へ係合している延伸ロールの表面の、洗浄のための方法および装置を提供することであり、この場合、製造設備が停止される必要がなく、且つ、汚染物が、高い信頼性で、作動中の延伸プロセスの間じゅう、除去される。
【解決手段】 延伸ロールを清掃するために、作動中の延伸プロセスの間じゅう、ドライアイス微粒子9が、少なくとも1つの延伸ロール7の表面の上に吹き付けられる。余剰のドライアイス、およびロール表面から剥離された汚染物は吸引される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いの中へ係合している延伸ロール(Streckwalzen)の表面の、汚染物を除去するための方法および装置に関し、
その際、これら表面が、これら延伸ロールの間のロール間隙を案内される、弾性的なラミネートの延伸(Dehnung)のために、立ち上がり部および窪み部を有しており、およびその際、このラミネートが、このロール間隙内において、帯状体方向(Bahnrichtung)に対して横方向に延伸(verstreckt)される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1内において、弾性的なラミネートを製造するための方法が記載されており、この方法の場合、2つの、互いの中へ係合している延伸ロールを用いて、帯状材料が、横方向に延伸される。
この延伸によって、同様に不織布との呼ばれる、織成されていないフリースの積層体、およびエラストマーの積層体からラミネートが製造され、このラミネートは、延伸によって規定された延伸領域内において、横方向に弾性的に延伸可能である。
【0003】
本発明に従う方法は、延伸ロールの表面の洗浄に関し、これら延伸ロールがラミネートの延伸のために、立ち上がり部および窪み部を有している。これらは、例えば、成形円板および細溝である。
これら延伸ロールは、互いの中へ係合している。その際、一方の延伸ロールの立ち上がり部が、他方の延伸ロールの窪み部内へと係合している。
【0004】
延伸プロセスの際、延伸ロールの表面の上で、汚染物の堆積の状態になる。これら汚染物は、特に、繊維−または粘着剤堆積物(Faser- oder Kleberablagerungen)であり、これらが、この延伸プロセスを妨害し、且つ同様に帯状材料を損傷し、または少なくとも汚染する可能性がある。この堆積物を除去するために、設備を停止すること、および機械的に洗浄することが必要である。
この設備の停止によって、貴重な製造時間が失われる。それに加えて、洗浄工程のための人的コストが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第1 321 288 B1号明細書
【特許文献2】国際出願公開第2007/105746 A1号パンフレット
【特許文献3】特開平7−186048号公報
【特許文献4】国際出願公開第2010/107543 A2号パンフレット
【特許文献5】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10 2009 043 033A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、互いの中へ係合している延伸ロール(Streckwalzen)の表面の、洗浄のための方法および装置を提供することであり、この場合、製造設備が停止される必要がなく、且つ、汚染物が、高い信頼性で、作動中の延伸プロセスの間じゅう、除去される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主題およびこの課題の解決策は、請求項1に従う方法、並びに請求項6に従う装置である。この方法および装置の有利な実施形態は、従属請求項内において記載されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従い、作動中の延伸プロセスの間じゅう、ドライアイス微粒子が、少なくとも1つの延伸ロールの表面の上に吹き付けられ、および、
この延伸ロールの成形面から剥離された汚染物、並びに余剰のドライアイスが吸引される。
【0009】
ドライアイスは、固体の二酸化炭素であり、この二酸化炭素が、標準の条件(Normalbedingungen)のもとで、−78.48℃において昇華し、従って、前もって溶融すること無しに、直接的に気相に移行する。延伸ロールの表面の上に打ち当たるドライアイス微粒子は、汚染物の急激な過冷却を誘起する。
堆積物が、ロール表面と異なる熱膨張係数を有しているので、熱的な応力が発生し、これら応力が、汚染物層内における微細な亀裂の形成を誘起する。粉砕されたドライアイス微粒子は、微細な亀裂内へと侵入し、且つ昇華する。
この昇華の際の急激な容積拡大によって、これら汚染物は、表面から剥離される。これら剥離された汚染物および余剰のドライアイスは、吸引される。
【0010】
一般的に、ドライアイス微粒子を用いての洗浄プロセスは、何十年も前から公知である。従って、例えば、ドライアイス噴射流のために使用される特別な可動性の機器は入手可能である。このことは、圧縮空気噴射方法(Druckluftstrahlverfahren)に関わる問題であり、この方法の場合、噴射媒体として、ドライアイスが使用される。
【0011】
更に、特許文献2内において、平滑な表面を有するキャスティングロールが記載されており、このキャスティングロールに、液状のポリマー物質が塗布される。
このポリマーフィルムは、引き続いて、ロールから剥離される。このキャスティングロールの平滑な表面の洗浄は、ドライアイス微粒子の吹き付け(Aufblasen)によって行われる。
【0012】
特許文献3内において、ドライアイス噴射流が、糸フィラメント移送ロールの洗浄のために使用され、および、特許文献4が、研磨性の微粒子によるリリースライナー(Releaseliner)の上側の粘着剤残分の除去を記載しており、その際、ドライアイス噴射流が使用される。
【0013】
特許文献5から、金属ストリップのための、鋳造設備、圧延機、またはストリッププロセスライン内における、ローラーおよびロールを、ドライアイスを用いて洗浄することが公知である。この洗浄は、作動中の転動作業または圧延作業の際に実施可能である。
この目的で使用される装置は、洗浄されるべきロールまたはローラーの円筒形の表面に対して、最小の間隔でもって位置決めされ、且つ、ロール本体またはローラー本体に沿って位置移動される。成形された延伸ロールのために、この装置は適していない。
【0014】
本発明に従う方法の場合、ドライアイス噴射流の技術は、弾性的なラミネートの応動性(Aktivierung)のための、作動中のインクリメンタルな延伸プロセス内に統合され、且つ、その際、互いの中へ係合している、回転する延伸ロールの洗浄のために使用される。
このことは、著しい技術的な進歩性を、従来技術に従う延伸方法に比して具現する。何故ならば、製造設備がもはや、洗浄段階のために停止される必要がないからである。生産性は、この製造設備内への洗浄ユニットの統合によって、著しく向上される。
延伸プロセスの使用により製造される生産物が、大量生産物、例えば、赤ん坊のおむつのための弾性的なテープであるので、このことは、作動コストにおける著しい削減を誘起する。
【0015】
延伸ロールの表面が強度に成形されているにもかかわらず、予想外に、ドライアイス微粒子の吹き付けは、延伸ロールの極めて良好な洗浄効果を誘起する。このことは、驚くべきことである。何故ならば、優勢的に形成された立ち上がり部および窪み部が、この表面の上でのドライアイス微粒子の均等な分布を困難にするからである。
作動中の延伸プロセスの間じゅうの、強度に成形された表面におけるドライアイス噴射流の使用は、従来、考慮に入れられなかった。
【0016】
ドライアイス微粒子は、ノズルを用いて、上記表面の上に吹き付けられる。有利には、それぞれの延伸ロールに、少なくとも1つのノズルが設けられている。
立ち上がり部および窪み部にもかかわらず、ドライアイス微粒子の可能な限り均等な分布を、これら延伸ロールの表面の上で達成するために、ドライアイス微粒子は、有利には、1つのノズルを用いて、上記表面の上に吹き付けられ、このノズルが、延伸ロールの回転軸に対して平行に横に移動する位置調節運動でもって、上記立ち上がり部および窪み部の傍らを通って移動される。
ノズルは、移動装置に連結されていることは可能であり、この移動装置が制御装置と結合状態にあり、この制御装置が、周期的な間隔内において、ノズルを、予め与えられた速度でもって、表面に沿って位置移動すること、および、その際、ドライアイス微粒子を吹き付けること目的で設備されている。
【0017】
本発明の、他の実施形態において、多数のノズルがドライアイス微粒子の均等な分配のために配慮されており、これらノズルが、互いに並列して、それぞれの延伸ロールの回転軸に対して平行に設けられている。
【0018】
移動装置によって、同様に、その角度のもとでドライアイス微粒子を表面に打ち当てる、該角度が、変化され得る場合、特に有利であることは明らかである。制御装置は、ノズルが延伸ロールの回転軸に対して平行に移動される間じゅう、同時に、このノズルの吹き付け角度が変化されるように、この工程を制御可能である。
【0019】
それに加えて、ノズルと表面との間の間隔が、1つの移動装置を用いて変化可能である場合、有利であることは明らかである。
【0020】
延伸ロールの成形表面から剥離された汚染物を吸引するために、吸引装置が使用され得、この吸引装置が、負圧を形成し、且つ有利には、延伸ロールの回転方向に関してノズルの後ろに設けられている。
除去された汚染物、および、ガス状の二酸化炭素、もしくは、残りの、未だに昇華されていないドライアイス微粒子の吸引によって、延伸プロセス、および従って、同様に製造プロセスの阻害は、応動的で弾性的な帯状材料の製造の際に回避される。
【0021】
ドライアイス微粒子は、キャリアーガス流を用いて、上記表面の上に吹き付けられる。
その際、特に、空気がキャリアーガス流として適している。
所定の使用の際に、同様に、例えば窒素または二酸化炭素のような不活性ガスも、キャリアーガスとして使用され得る。
【0022】
キャリアーガス流は、送出装置、例えば送風機を用いて形成される。
ドライアイス微粒子は、このキャリアーガス流に、種々の方法で混ぜ合わされ得る。
【0023】
1つの変形の実施形態において、ドライアイス微粒子は、既に、ペレット形状において存在し、且つ、キャリアーガス流を用いて、容器から送出される。選択的または補足的に、同様に、液状の二酸化炭素も、キャリアーガス流内へと配量され得る。
この変形の実施形態の場合、ドライアイス微粒子は、キャリアーガス流内において形成される。有利には、ドライアイス微粒子の形成は、ノズル内において行われる。
【0024】
本発明の更なる利点および詳細は、実施例の以下の説明から、図に基づいて与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】統合されたドライアイス洗浄装置を有する、インクリメンタルな延伸プロセスの使用のもとでの、薄片ラミネートの製造のための概要図である。
【図2】統合されたドライアイス洗浄装置を有する、2つの、互いの中へ係合している延伸ロールの透視図的に図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、弾性的なラミネートの製造のための概要図を示しており、この場合、エラストマーのポリマーから成る、少なくとも1つのフィルム条片1が、2つの不織布の積層体2と共に、粘着剤3の塗布の後、貼り合わせ装置4内においてつなぎ合わされる。引き続いて、帯状材料5の延伸が、延伸ユニット6によって行われる。
この延伸ユニット6は、2つの、互いの中へ係合している延伸ロール7を備えている。
【0027】
2つのノズル8を用いて、ドライアイス微粒子9が、キャリアーガス流10によって、延伸ロール7の表面の上に吹き付けられる。剥離された汚染物は、吸引装置11を用いて引き出される。それぞれの延伸ロール7に、1つのノズル8、および1つの吸引装置11が設けられている。
【0028】
図2内において、2つの延伸ロール7が、透視図的に図示されている。
これら延伸ロール7は、立ち上がり部13および窪み部14を備えており、これら立ち上がり部および窪み部が、ロールの全周を囲んで延在している。この実施例において、立ち上がり部13は、成形円板として形成されており、これら成形円板に間に、細溝形状の窪み部14が残っている。
一方の延伸ロール7の立ち上がり部13は、他方の延伸ロールの窪み部14と噛み合っている。その際、それぞれに、一方の延伸ロール7の立ち上がり部13が、他方の延伸ロールの窪み部14内へと食い込み、且つ反対に、他方の延伸ロール7の立ち上がり部13が、一方の延伸ロールの窪み部14内へと食い込んでいる。
【0029】
図2内において、簡略化された図示の理由から、単に、上側の延伸ロール7のノズル8および吸引装置11だけが図示されている。
ラミネートの延伸は、帯状体方向に対して横方向に行われる。このような延伸ユニット6は、従って、同様に、CD−延伸ユニット(CD: cross direction, Querrichtung)とも称される。
【0030】
ノズル8を通って、ドライアイス微粒子9は、延伸ロール7の表面の上に吹き付けられる。それぞれのノズル8は、移動装置15を用いて、それぞれの延伸ロール7の回転軸12に対して平行に位置移動可能である。
この移動装置15は、制御装置(図示されていない)と結合状態にあり、この制御装置が、ノズルを、所定の時間間隔内において、この制御装置内において保管された(hinterlegten)移動速度でもって、回転軸12に対して平行に移動する。除去された汚染物は、吸引装置11によって引き出され、且つ従って、製造作業を妨害しない。
【符号の説明】
【0031】
1 フィルム条片
2 不織布の積層体
3 粘着剤
4 貼り合わせ装置
5 帯状材料
6 延伸ユニット
7 延伸ロール
8 ノズル
9 ドライアイス微粒子
10 キャリアーガス流
11 吸引装置
12 回転軸
13 立ち上がり部
14 窪み部
15 移動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの中へ係合している延伸ロール(7)の表面の、汚染物を除去するための方法であって、
その際、これら表面が、これら延伸ロール(7)の間のロール間隙を案内される、弾性的なラミネート(5)の延伸のために、立ち上がり部(13)および窪み部(14)を有しており、およびその際、
このラミネート(5)が、このロール間隙内において、帯状体方向に対して横方向に延伸される様式の上記方法において、
作動中の延伸プロセスの間じゅう、ドライアイス微粒子(9)が、少なくとも1つの延伸ロール(7)の表面の上に吹き付けられること、および、
この延伸ロール(7)の成形面から剥離された汚染物、並びに余剰のドライアイスが吸引されることを特徴とする方法。
【請求項2】
ドライアイス微粒子(9)は、少なくとも1つのノズル(8)によって、上記表面の上に吹き付けられ、このノズルが、
延伸ロール(7)の回転軸(12)に対して平行に横に移動する位置調節運動でもって、延伸ロール(7)の立ち上がり部(13)および窪み部(14)の傍らを通って移動されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ドライアイス微粒子(9)は、キャリアーガス流(10)を用いて、上記表面の上に吹き付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
キャリアーガス流(10)の少なくとも1つの部分流は、ドライアイス微粒子(9)を、容器から搬送することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
液状の二酸化炭素が、キャリアーガス流(10)内へと配量され、且つ、ドライアイス微粒子(9)が、このキャリアーガス流(10)内において形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
互いの中へ係合している延伸ロール(7)の表面の、汚染物を除去するための装置であって、この装置が、弾性的な帯状材料(5)の延伸のために、帯状体方向に対して横方向に、立ち上がり部(13)および窪み部(14)を有している様式の上記装置において、
a)ノズル(8)が備えられており、このノズルによって、ドライアイス微粒子(9)が、作動中の延伸プロセスの間じゅう、少なくとも1つの延伸ロール(7)の表面の上に吹き付けられること、および、
b)剥離された汚染物、並びに余剰のドライアイスの搬出のための吸引装置(11)が備えられていることを特徴とする装置。
【請求項7】
それぞれの延伸ロール(7)に、1つのノズル(8)が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
ノズル(8)は、移動装置(15)に連結されており、その際、
この移動装置(15)が制御装置と結合状態にあり、この制御装置が、ノズル(8)の位置を延伸ロール(7)の回転軸(12)に対して平行に変化させること目的で設備されていることを特徴とする請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
ドライアイス微粒子(9)を移送するキャリアーガス流(10)を生成するための、送出装置が設けられていることを特徴とする請求項6から8のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
配量装置が設けられており、この配量装置が、液状の二酸化炭素を、キャリアーガス流内へと配量し、その際、ドライアイス微粒子(9)が、このキャリアーガス流(10)内において形成されることを特徴とする請求項9に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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