説明

互い違いに配置された複数のロータパドルを有する動物飼料の工業用混合機並びにその製造方法及び使用方法

【課題】混合作用の向上、混合物の完全な混合、混合時間の短縮を図ることができる混合機、及び使用方法を提供する。
【解決手段】動物飼料混合機(10)は、第1のチャンバ(24)及び第2のチャンバ(26)を有するハウジング(12)を備える。上側オーガ(42)及び下側オーガ(44)は、一方のチャンバ(24)内に装着され、ロータ(46)が他方のチャンバ(26)に装着されている。ロータ(46)は、互い違いに配列されており、軸方向長さが互いに一部重なり合い、半径方向に延出するアーム(74)の外端に固定されたパドル(80)を有する複数のアームアセンブリ(70)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互い違いに配置された複数のロータパドルを有する動物飼料の工業用混合機並びにその製造方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第4,597,672号(特許文献1)の図9には、アーム128の端部に可動式に装着されたパドル146を備えるロータを有する飼料混合機が示されている。この飼料混合気は、製造コストを増加させ、混合にも好ましくない。
【0003】
また、米国特許第4,597,672号の図9に示されたロータには、アームアセンブリ128と130との間に延在して適切な混合を妨害するバー132が設けられている。そして更に、パドル146がアームアセンブリ128と130との間に延在している。これらアーム132及びパドル146は、図9に示されるロータによって達成される混合作用を妨害することが分かっている。
【0004】
米国特許第6,007,008号(特許文献2)及び第4,756,626号(特許文献3)にも同様な混合機が示されている。これらの混合機では、大きい方のロータ24のロータシャフトから外側に延在するアームが、ロータシャフトの外側円筒面からその接線方向に装着されている。この特許でも、個々のアームアセンブリの間に延在してロータ24の回転中に生じる混合作用を妨害するバー30が示されている。
【0005】
米国特許第3,638,920号(特許文献4)では攪拌器10が示されている。攪拌器10にはいくつかの欠陥がある。攪拌器10は、上側オーガ及び下側オーガが攪拌器10の片側に配置されているのではなく、攪拌器10の両側にオーガ24、26が配置されている。この構造ではかなり不完全な混合が行われることになり、混合時間も長くなる。
【0006】
米国特許第3,638,920号では、混合される材料に軸方向運動を起こさせるためにシャフト11の軸に対して傾いているパドル18が示されている。更に、シャフト又はアーム20は、半径方向外側へ延出するブレードを有しており、そのブレードによって混合する材料に軸方向運動を起こさせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,597,672号公報
【特許文献2】米国特許第6,007,008号公報
【特許文献3】米国特許第4,756,626号公報
【特許文献4】米国特許第3,638,920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第1の目的は、互い違いに配列された複数のロータパドルを有する動物飼料の工業用混合機並びにその製造方法及び使用方法に関する。
【0009】
本発明の別の目的は、ロータシャフトに装着された個々のアームアセンブリに対して円周方向に互い違いに配列されているパドルを、その外端部に有する複数のアームアセンブリを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、シャフトに取り付けられ、そこから半径方向外側に延出する複数のアームアセンブリであって、パドルが、各アセンブリのアームの外端に固定されて動かないように保持されている複数のアームアセンブリを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、各パドルが該パドルにそれぞれ取り付けられた可撓部材を有し、可撓部材の端縁がパドルよりも半径方向に延出する動物飼料混合機を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、ロータのシャフトに平行に所定の長さだけ延在するパドルエッジを有するパドルを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、湿潤蒸留穀類などのエタノール副産物を含む動物飼料混合物の混合において著しく効率的である混合機を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、所定の長さのパドルエッジを有するパドルを備えた複数のアームアセンブリであって、各パドルが、隣接するアームアセンブリのパドルの一部と重なり合って効果的な清浄作用を行う複数のアームアセンブリを提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、パドルが外端に固定された複数のアームアセンブリであって、個々のアームアセンブリ間を連結するバー又は部材を有していない複数のアームアセンブリを提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、複数のアームアセンブリがそれらの端部で装着され、複数のパドルがアームの外端に固定されたロータであって、パドルを回転させるロータの回転によって、持ち上げてひっくり返す作用のみが加えられ、ロータの回転に関して軸方向又は端から端への運動が引き起こされることはないロータを提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、従来の混合機に必要とされる時間の、場合によっては1/2までにも混合時間を短縮することである。
【0018】
本発明の別の目的は、混合物に互いに反対方向の軸方向運動を起こさせる上側オーガ及び下側オーガを提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、外観上改善され、混合作用が向上し、その運用に際して耐久性のある動物飼料の工業用混合機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的は、動物飼料混合物及び他の産業用混合物を混合する動物飼料の工業用混合機によって達成される。
【0021】
例えば、本発明の混合機は、コンポスト混合物、爆薬混合物、又は他の産業用混合物のような産業用途に使用することができる。本発明の混合機は、第1及び第2の対向する端壁と、第1及び第2の対向する側壁とを有するハウジングであって、ハウジング内部に第1のチャンバと第2のチャンバを互いに横並びの関係に区画して形成するハウジングを有する。
【0022】
そして、第1のチャンバと第2のチャンバは互いに部分的に連通している。上側オーガは第1のチャンバ内に設けられており、ハウジングの第1の端壁と第2の端壁との間に回転可能に装着された上側オーガシャフトを有している。上側オーガシャフトは、上側オーガシャフトから延出する一つ又は複数の上側ラジアル部材を有している。
【0023】
下側オーガは、第1のチャンバ内で上側オーガの下に設けられており、ハウジングの第1の端壁と第2の端壁との間に回転可能に装着された下側オーガシャフトを有している。下側オーガシャフトは、下側オーガシャフトから延在する一つ又は複数の下側ラジアル部材を有している。
【0024】
ロータは、第2のチャンバ内で上側オーガ及び下側オーガの横に配置されており、ハウジングの第1の端壁と第2の端壁との間に回転可能に装着された細長いロータシャフトを有している。複数のアームアセンブリは、ロータシャフトの長さ方向に沿って互いに離間されて装着されている。
【0025】
各アームアセンブリは、ロータシャフトに取り付けられた第1の端部と、ロータシャフトから半径方向外側に位置する第2の端部とをそれぞれ有する2本以上のアームを備えている。複数のパドルは、アームアセンブリが備える各アームの第2の端部にそれぞれ装着されている。
【0026】
アームアセンブリの各パドルは、隣接する他のアームアセンブリの各パドルに対して円周方向に互い違いに配列されている。各パドルは、ロータシャフトの回転中に飼料混合物に軸方向運動を生じさせる面を有しておらず、ひっくり返す作用の強化に寄与するように配置されている。
【0027】
ロータシャフトから半径方向外側に延出するアームアセンブリと複数のパドルは、上側オーガシャフトから半径方向に延出する上側ラジアル部材及び下側オーガシャフトから半径方向に延出する下側ラジアル部材のいずれよりも大きい距離で半径方向に延出している。そして、上側オーガ、下側オーガ、及びロータをそれぞれ回転させる機構を有している。
【0028】
本発明の別の特徴によれば、各アームアセンブリのアームの第1の端部のみがロータシャフトに取り付けられ、アームの残りの部分及び各アームアセンブリ内のパドルは、他のアームアセンブリとは連結されていない。
【0029】
本発明の別の特徴によれば、パドルは、ロータシャフトの長手方向軸に平行な直線として延在するパドルエッジを有する。直線は所定の長さ寸法を有する。パドルの長さ寸法は、アームアセンブリに隣接する他のアームアセンブリのパドルと一部が重なり合う。
【0030】
本発明の別の特徴によれば、複数のパドルは、面の長手方向軸がロータシャフトに平行な方向に延在する細長い対向面を有しており、ロータシャフト及びアーム端部のパドルの回転によって、飼料混合物が軸方向に動かされることはないが、持ち上げてひっくり返す作用を混合物に加える。
【0031】
本発明の材料混合方法は、第1の端壁、第2の端壁、第1の側壁、第2の側壁、及び底壁を有し、その内部に第1のチャンバ及び第2のチャンバを区画形成する混合機ハウジングを利用するステップを含む。
【0032】
第1のチャンバと第2のチャンバとは、互いに少なくとも部分的に連通している。飼料材料は、第1及び第2のチャンバ内に入れられる。上側オーガは、第1のチャンバ内で回転させられる。上側オーガは、その回転中に飼料材料を第1の軸方向に動かす少なくとも一つのラジアル部材を有する。
【0033】
下側オーガは、第1のチャンバ内で上側オーガの下に配置されており、回転させられる。下側オーガは、その回転中に第1の軸方向とは逆の第2の軸方向に飼料材料を軸方向運動させる少なくとも一つのラジアル部材を有する。
【0034】
ロータは、上側オーガ及び下側オーガの隣に位置する第2のチャンバ内にロータシャフトとロータ軸を有する。アームは、第1の端部がロータシャフトに固定されている。パドルは、アームに対して動かないように、各アームの第2の端部に固定されている。
【0035】
次いで、材料が、ロータの回転中にパドルによって持ち上げてひっくり返される。パドルは、第2のチャンバ内でロータシャフトの軸に平行な方向に配向されており、それにより、第2のチャンバ内で飼料材料が軸方向に動くのが防止され、他方、第1のチャンバと第2のチャンバとの間で混合物を持ち上げてひっくり返す作用を与えることができる。
【0036】
本発明の別の特徴によれば、複数のアームが、ロータシャフトの長さに沿って互いに離間されて配置された複数の位置でロータシャフトに取り付けられている。本発明の方法では、アームの第2の端部に設けられたパドルを、ロータシャフトの長さに沿って離間されて配置された隣接アームの第2の端部に設けられたパドルに対して、円周方向に互い違いに配列するステップを更に含む。
【0037】
本発明の別の特徴によれば、パドルはそれぞれ、ロータ軸に平行な方向に延在するパドルエッジを有する。パドルエッジは所定の長さで延在する。本発明の方法では、アームアセンブリの各パドルの所定の長さを、隣接するアームアセンブリの各パドルの所定の長さに対して、一部重ね合わせるステップを含む。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、ブレード又は他の部材を持たないアームを有している。本発明は、ロータシャフトの軸に平行なパドルを有している。本発明のパドルは、混合する材料を持ち上げてひっくり返すが、混合する材料に軸方向運動は与えない。更に、本発明は、混合する材料に反対方向の軸方向運動を生じさせる上側オーガ及び下側のオーガをロータの片側に有している。そして、本発明は、アームの外端部を連結するバーを有していない。その結果、上記で言及した従来技術に勝る、混合作用の向上、より完全な混合、混合時間の短縮を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の飼料混合機の斜視図。
【図2】本発明の飼料混合機から前方壁を取り外した斜視図。
【図3】図2と同様であるが、僅かに異なる角度から飼料混合機を示す斜視図。
【図4】上側オーガ、下側オーガ、及びロータの配置を示す飼料混合機の断面図。
【図5】本発明の飼料混合機の上面図。
【図6】図5の線6−6に沿った断面図。
【図7】本発明の大きい方のロータの斜視図である。
【図8】図7に示されたパドルの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下は、好ましい実施形態の説明である。但し、特許請求の範囲は、好ましい実施形態に記載されるものより広く、以下の好ましい実施形態の説明は、本発明の構造を単に例示するものである。
【0041】
図1を参照すると、動物飼料混合機10は、前方壁(第2の端壁)16、後方壁(第1の端壁)14、第1の側壁18、第2の側壁20、及び底壁22(図4)を備えるハウジング12から構成される。これらの各壁は、第1のチャンバ24及び第2のチャンバ26を区画形成し、飼料混合物28(図1)が第1のチャンバ24内と第2のチャンバ26内に挿入される。
【0042】
底壁22は、大きな湾曲部分30と、小さな湾曲部分32とを有しており、互いに一体に接合されて頂端34を形成している。頂端34は、第1のチャンバ24と第2のチャンバ26との境界を形成している。
【0043】
再び図1を参照すると、ゲート36は、その下に枢動的に装着された樋38を備えている。ゲート36は、ハウジング12のゲート開口上を垂直に摺動するように装着されている。リンク37は、ゲート36に連結され、また、側壁18に枢動的に連結されている。リンク37は、油圧シリンダ39によって駆動される。
【0044】
図1に示される飼料混合機10は、トレーラでもよく、飼料混合機10を運搬するように設計されたトラックの一部分でもよく、また、定置式でもよい。
【0045】
図2〜4を参照すると、第1のチャンバ24内には上側オーガ42と下側オーガ44が配置されている。ロータ46は、第2のチャンバ26内に配置されており、二つのオーガ42及び44より直径が大きい。
【0046】
駆動ボックス48(図1及び図5)は、図6に示されるように、上側オーガ42、下側オーガ44、及びロータ46を駆動する機構を収容している。
【0047】
上側オーガ42は、前方壁16と後方壁14との間に延在して回転可能に設けられた上側オーガシャフト50を備える。上側オーガ42は、上側フライティング54又は上側パドル56を備える一つ又は複数のラジアル部材52を有する。尚、上側オーガは、他のタイプのロッド、パドル、又は他のフライティングを使用することもできる。但し、上側オーガは、混合する材料を第1の軸方向に押し動かすように回転することが重要である。
【0048】
下側オーガ44は、前方壁16と後方壁14との間に延在して回転可能に設けられた下側オーガシャフト58を有する。下側のラジアル部材60は、62で示されるようなフライティングの形状とすることができ、また、ロッド、パドル、又は半径方向に延出する装置を備えることもできる。下側フライティング62には、その外縁に下側フライティング歯64が設けられている。
【0049】
ロータシャフト66は、図7に斜視図で示され、図4に断面図で示されている。ロータシャフト66は、ロータシャフト66の外側円筒面を構成する追加ロータシャフト円筒面68を有している。
【0050】
複数のアームアセンブリ70(図5及び7)は、ロータシャフト66の長さ方向に間隔をおいてロータシャフト66に取り付けられている。各アームアセンブリは、溶接又はボルト締め、或いは他の手段によってロータシャフト66に固定されたプレート72を備えている。
【0051】
そして、図7に示されるように、3本のアーム74がプレート72に取り付けられている。但し、各アームアセンブリ70のアーム74の数は2本以上であればよい。各アーム74は、第1の端部76と、第2の端部78とを有している。
【0052】
各アーム74の長さは、第1の端部76と第2の端部74との間で同じであることが好ましいが、各アーム74によって長さが異なっていてもよい。アーム74の長手方向軸は、それぞれ外側円筒面68の接線に平行となっている。これは図4に見ることができる。また、各アームの外縁はプレート72の外縁と一致している。
【0053】
アーム74の配置は、片持ち梁と呼称され、アームの第2の端部78の持ち上げてひっくり返す作用が改善される結果になる。各アーム74は、断面が正方形又は円形であることが好ましく、混合物28に軸方向の作用を及ぼすブレードや他の装置は有していない。アーム74(図7)は、可撓性をもたせるべく、ばね金属や他の材料から製作することもできる。例えば、アーム74を車両用板ばねと同様に製作してもよい。
【0054】
パドル80は、各アーム74の第2の端部78にボルト締め又は他の方法で取り付けられている。パドル80は、三角形の板として示されているが、パドル80の形状は、本発明を損なわずに変化させることができる。
【0055】
各パドル80は、一方の縁に沿う一つ又は複数の補強リブ84と、他方の縁に沿う止めリブ86とを有する平板82(図8)を含む。可撓部材88は、各パドル80の外面に接着、固着、又はボルト締めされている。
【0056】
図4で分かるように、各可撓部材88の外縁は、パドル80の平板82から張り出しているフラップ90を有している。フラップ90は、ロータシャフト66の回転中は、底壁22の弧状の湾曲部分30に係合してそれに沿って摺動するように構成されている。ロータシャフト66の両端は、ロータ46を回転させることができるように前方壁16及び後方壁14に支承された回転軸67を備えている。
【0057】
図4で分かるように、各パドル80は、各アーム74に対して角度が付けられており、それにより、フラップ90は、ロータが矢印112によって示される方向に回転するに際し、アーム74の後を追うようになる。但し、パドル80は、ロータシャフト66に平行な長手方向軸を有し、それにより、混合する材料に持ち上げてひっくり返す作用を及ぼすが、軸方向作用は及ぼさないことが好ましい。或いは、パドル80は、混合する材料に単に一方だけの軸方向作用を及ぼし、両方向の作用は及ぼさない。
【0058】
オーガ42、44の回転方向は、それぞれ矢印114、116によって示されている。パドル80は、アーム74の第2の端部78に固定的に装着されている。これにより、単純な構造が実現でき、ロータ46を作動させるのに必要な可動部品も最小限に抑えられる。
【0059】
但し、パドル80は、アーム74の端部78に可動的に装着することもできる。フラップ90は、図4に示すように可撓部材88の端部の屈曲を実現し、それにより、混合された材料を一掃することができ、ロータ46と湾曲壁30との配置の許容誤差に対応することができる。
【0060】
可撓部材88は、ロータ46が動物飼料の混合中に、弧状壁30に対するロータ46の摩擦運動を最小限に抑える滑り易い物質から製作される。これは、ロータ46に回転を起こさせるのに必要な力を最小限に抑えるのに、重要である。
【0061】
多くの混合飼料は、摩擦を発生させる干し草及び他の粒状材料を含んでおり、低摩擦または滑り易い可撓部材88を使用することによって、動物飼料の混合によって生じるこの摩擦が最低限に抑えられる。可撓部材88用の好ましい化合物としては、46809インディアナ州フォートウェイン市アメリカンウェイ2710(2710 American Way, Fort Wayne, Indiana 46809)にあるポリハイソリジュール(Poly−Hi Solidur)社によって製造されている超高分子量ポリウレタンが、製造業者によって確認されている。
【0062】
図6を参照すると、オーガシャフト50、58及びロータシャフト60を回転させるために、複数枚のスプロケットを備える機構が使用されている。駆動スプロケット94は、動力伝導機構(図示せず)によって駆動される。駆動スプロケット94は、駆動チェーン96に係合し、駆動チェーン96は上側オーガスプロケット98に巻き掛けられている。
【0063】
上側オーガスプロケット98は、上側オーガスプロケット98と同期して回転する第2の上側オーガスプロケット100を有している。第2の駆動チェーン102は、第2の上側オーガスプロケット100及び下側オーガスプロケット104に巻き掛けられている。
【0064】
第2の下側オーガスプロケット106は、下側オーガスプロケット104と協調して一体に回転するように構成されており、第3の駆動チェーン108が、第2の下側オーガスプロケット106に巻き掛けられている。第3の駆動チェーン108は、ロータシャフト66に取り付けられたロータスプロケット110にも巻き掛けられている。従って、駆動スプロケット94を駆動することによって、上側スプロケット98、下側スプロケット104、及びロータスプロケット110に、それぞれ矢印112、114、及び116によって示される方向の回転を生じさせることができる。
【0065】
上側オーガ42は、下側オーガ44と同じ回転方向に駆動されるが、フライティングの向きは反対向きになり、上側オーガのフライティング54は、飼料混合物28を第1の軸方向に押し移動させる。
【0066】
下側のオーガ44は、下側フライティング62を有しており、上側フライティング54の第1の軸方向とは反対方向の第2の軸方向に飼料混合物28を押し移動させる。シャフトの回転方向は、オーガを回転させるのに使用する特定のチェーン駆動機構によって変えることができる。但し、上側のオーガが飼料混合物28を第1の軸方向に押し移動させ、下側のオーガが飼料混合物を反対の方向に押し移動させることが重要である。
【0067】
作動中、ロータ46は、飼料混合物28を持ち上げてひっくり返し、軸方向の作用を及ぼすことなく回転させ、上側オーガ42と下側オーガ44は、飼料混合物28を反対方向の軸方向に押し移動させる。パドル80は、飼料混合物28に軸方向作用を生じさせず、持ち上げてひっくり返す作用のみを及ぼす。
【0068】
本発明は、個々のアームアセンブリ70のアーム74の外端間に延在するバーを有していない。アームアセンブリ70間に延在するバーは、ロータ46の回転中、飼料混合物を協調させて回転させることが分かっている。
【0069】
本構造では、溶接又は他の方法でシャフト66に取り付けられている第1の端部76を除いては、個々のアームアセンブリ70間には、全く何も取り付けられていない。従って、パドルは、ロータシャフト66の回転中、飼料混合物に、持ち上げてひっくり返す作用を及ぼすが、軸方向作用は及ぼさない。また、アームアセンブリ70間に延在するバーが省略されているので、混合する材料がロータ46と協調して回転するのを低減できる。
【0070】
本発明の別の特徴が図5に示されている。パドル80の外縁の長さ128が、他のものと一部重なり合っており、ロータ46の回転中に完全な持ち上げ作用及び清掃作用が得られる。
【0071】
上側オーガ及び下側オーガに適用されるオーガロータは、使用される上側ラジアル部材52及び下側ラジアル部材60に応じて変わり得る。上側オーガフライティング54及び下側オーガフライティング62のようなフライティングを使用することができるが、飼料混合物に軸方向運動を生じさせる他の手段を使用することもできる。例えば、パドル、半径方向ロッド、又は他の装置を使用することができる。但し、上側のオーガが飼料混合物を第1の軸方向に押しやり、下側のオーガが飼料混合物を第2の軸方向に押し移動させることが重要である。
【0072】
又、ゲート36に隣接して、番号118によって示される反対方向フライティングを使用し、それによって、フライティングの対向端で飼料混合物をゲート36に向かって押し移動させることが望ましい。
【0073】
ロータ46は、上側オーガ42と下側オーガ44とを合わせた直径よりも、かなり大きい。これらのロータの寸法は変えることができるが、ロータ46は、上側オーガ42と下側オーガ44の直径を合わせたものよりも大きな直径を有することが好ましい。
【0074】
本発明は、米国特許第4,597,672号、第6,007,008号、及び第4,756,626号に示されるような従来の混合機と比較して、混合時間を大幅に改善し、混合時間が1/2までになることもある。そして、混合の品質も改善することができる。
【0075】
本発明は、上記に好ましい実施形態を示して説明したが、本発明の意図する主旨及び範囲内で多くの変更、代替、追加を行うことができる。上記した内容から、本発明が、少なくとも言及した目的の全てを達成したことが分かる。
【符号の説明】
【0076】
10 動物飼料混合機
12 ハウジング
14 後方壁(第1の端壁)
16 前方壁(第2の端壁)
18 第1の側壁
20 第2の側壁
22 底壁
24 第1のチャンバ
26 第2のチャンバ
28 飼料混合物
42 上側オーガ
44 下側オーガ
46 ロータ
50 上側オーガシャフト
52 ラジアル部材(上側ラジアル部材)
54 上側フライティング
56 上側パドル
58 下側オーガシャフト
60 ラジアル部材(下側ラジアル部材)
62 下側フライティング
66 ロータシャフト
70 アームアセンブリ
72 プレート
74 アーム
76 第1の端部
78 第2の端部
80 パドル
88 可撓部材
90 フラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の対向する端壁と、第1及び第2の対向する側壁とを有するハウジングであって、互いに横並びの関係で互いに部分的に連通する第1のチャンバと第2のチャンバを内部に区画形成するハウジングと、
前記第1のチャンバ内で前記ハウジングの前記第1の端壁と第2の端壁との間に回転可能に装着された上側オーガシャフトを有する上側オーガであって、前記上側オーガシャフトが該上側オーガシャフトから延在する一つ又は複数の上側ラジアル部材を有する上側オーガと、
前記第1のチャンバ内で前記上側オーガの下に配置され、前記ハウジングの前記第1の端壁と第2の端壁との間に回転可能に装着された下側オーガシャフトを有する下側オーガであって、前記下側オーガシャフトが該下側オーガシャフトから延在する一つ又は複数の下側ラジアル部材を有する下側オーガと、
前記第2のチャンバ内で前記上側オーガ及び下側オーガの横に配置され、前記ハウジングの前記第1の端壁と前記第2の端壁との間に回転可能に装着された細長いロータシャフトを有するロータと、
前記ロータシャフトの長さ方向に沿って互いに離間されて装着された複数のアームアセンブリであって、該各アームアセンブリがそれぞれ2本以上のアームを備え、前記各アームが、前記ロータシャフトに取り付けられた第1の端部と、前記ロータシャフトから半径方向外側に位置する第2の端部とを有する複数のアームアセンブリと、
前記アームアセンブリの前記アームの前記第2の端部にそれぞれ装着された複数のパドルと、
前記上側オーガ、下側オーガ、及びロータのそれぞれに取り付けられて各々を回転させる機構と、を備える混合物を混合する混合機であって、
前記アームアセンブリに設けられた各パドルが、前記アームアセンブリに隣接する他のアームアセンブリに設けられた各パドルに対して円周方向に互い違いに配列されており、
前記パドルは、前記ロータシャフトの回転中に前記飼料混合物に対して両方向の軸方向運動を生じさせる面を有しておらず、
前記アームアセンブリ及び前記複数のパドルは、前記上側ラジアル部材及び前記下側ラジアル部材が、前記上側オーガシャフト及び下側オーガシャフトからそれぞれ半径方向に延出するいずれの距離よりも大きい距離を有して前記ロータシャフトから半径方向外側に延在することを特徴とする混合機。
【請求項2】
前記各アームアセンブリが有する前記アームの前記第1の端部のみが前記ロータシャフトに取り付けられており、前記アームの残りの部分及び各アームアセンブリ内のパドルは、他のアームアセンブリとは連結されていないことを特徴とする請求項1に記載の混合機。
【請求項3】
前記各パドルは、前記ロータシャフトの長手方向軸に平行な直線として延在するパドルエッジを有し、前記直線が所定の距離長さを有し、前記アームアセンブリに隣接する他のアームアセンブリのパドルと距離長さが一部重なり合うことを特徴とする請求項2に記載の混合機。
【請求項4】
前記複数のパドルは、面の長手方向軸が前記ロータシャフトに平行な方向に延在する細長い対向面を有しており、その結果、前記ロータシャフト及び前記アーム端部の前記パドルの回転によって前記飼料混合物が軸方向に動かされることのないことを特徴とする請求項1に記載の混合機。
【請求項5】
前記機構によって前記上側オーガ及び前記下側オーガを回転させた場合に、前記上側ラジアル部材が前記混合物を第1の軸方向に動かし、前記下側ラジアル部材が前記混合物を前記第1の軸方向とは逆方向の第2の軸方向に動かすことを特徴とする請求項1に記載の混合機。
【請求項6】
前記ロータシャフトが外側円筒面を有し、前記各アームの前記第1の端部が、前記ロータシャフトに前記外側円筒面で接線方向に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の混合機。
【請求項7】
複数の連結部が前記ロータシャフトの長手方向軸に沿って互いに離間して取り付けられており、該各連結部に前記アームの前記第1の端部が取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の混合機。
【請求項8】
前記各アームはアーム軸を有し、該アーム軸が前記ロータシャフトの前記外側円筒面の接線に沿った状態、または、その接線に平行な状態で前記各アームの前記第1の端部が前記連結部の一つに取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載の混合機。
【請求項9】
第1及び第2の対向する端壁と、第1及び第2の対向する側壁と、底壁とを有するハウジングであって、互いに横並びの関係で互いに部分的に連通する第1のチャンバと第2のチャンバとをハウジング内部に区画して形成するハウジングと、
前記第1のチャンバ内の二つのオーガであって、それぞれが、オーガシャフトに取り付けられた少なくとも一つのラジアル部材を有し、それぞれが、前記第1と第2の対向する端壁の間に回転可能に取り付けられた二つのオーガと、
前記第2のチャンバ内のロータであって、前記ハウジングの前記第1の端壁と前記第2の端壁との間で、ロータ軸周りに回転可能に装着された細長いロータシャフトを有するロータと、
前記ロータシャフトの長さ方向に沿って互いに離間されて装着された複数のアームアセンブリであって、該複数のアームアセンブリがそれぞれ2本以上のアームを備え、該各アームが、前記ロータシャフトに作動可能に取り付けられた第1の端部と、前記ロータシャフトから半径方向外側に位置する第2の端部とを有し、全ての前記アームが同じ長さを有する複数のアームアセンブリと、
前記アームアセンブリが有する前記各アームの前記第2の端部にそれぞれ固定された複数のパドルであって、該各パドルが、固定されたアームアセンブリの一つのアームに対して動くことがないように保持されている複数のパドルと、
前記上側オーガ、下側オーガ、及びロータのそれぞれに取り付けられて各々を回転させる機構と、
を備えることを特徴とする混合物を混合する混合機。
【請求項10】
前記各パドルは、該各パドルにそれぞれ取り付けられた可撓部材を有し、
前記可撓部材は、その一部分が前記パドルよりも半径方向に延出して、前記ハウジングの前記第1及び第2の側壁の一つ並びに前記底壁と可撓的に係合することを特徴とする請求項9に記載の混合機。
【請求項11】
前記第1のチャンバ内の前記二つのオーガは、上側オーガと下側オーガとを備え、前記上側オーガが、前記第1のチャンバ内で前記下側オーガの上に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の混合機。
【請求項12】
前記上側オーガ及び前記下側オーガが、前記ロータの横に配置されて、該ロータと連通していることを特徴とする請求項11に記載の混合機。
【請求項13】
前記機構によって前記上側オーガ及び下側オーガを回転させた場合に、前記上側オーガの少なくとも一つの上側ラジアル部材が前記上側オーガに対して第1の軸方向に前記混合物を動かし、前記下側オーガの少なくとも一つの下側ラジアル部材が前記第1の軸方向とは反対方向の第2の軸方向に前記混合物を動かすことを特徴とする請求項12に記載の混合機。
【請求項14】
前記各パドルは、前記ロータ軸に平行な方向に延在するパドルエッジを有し、該パドルエッジが、隣接する他のアームアセンブリのパドルエッジの端部と一部が重なり合う長さを有することを特徴とする請求項9に記載の混合機。
【請求項15】
第1の端壁、第2の端壁、第1の側壁、第2の側壁、及び底壁を有し、第1のチャンバ及び第2のチャンバをハウジング内部に区画形成し、前記第1のチャンバと第2のチャンバとが互いに少なくとも部分的に連通した状態にある混合機ハウジングを利用するステップと、
前記第1及び第2のチャンバ内に材料を入れるステップと、
回転中に前記材料を第1の軸方向に動かす少なくとも一つのラジアル部材を有する上側オーガを前記第1のチャンバ内で回転させるステップと、
回転中に前記材料を前記第1の軸方向とは反対方向の第2の軸方向に動かす少なくとも一つのラジアル部材を有する下側オーガを前記第1のチャンバ内でかつ前記上側オーガの下で回転させるステップと、
前記上側オーガ及び下側オーガの横の前記第2のチャンバ内で、ロータシャフト及びロータ軸を有するロータを回転させるステップと、
複数のアームのそれぞれの第1の端部を前記ロータシャフトに固定するステップと、
パドルが前記アームに対して動かないように、前記複数のアームのそれぞれの第2の端部に前記パドルを固定するステップであって、前記各パドルが長手方向パドル軸を有するステップと、
前記ロータの回転中、前記パドルによって前記材料を持ち上げるステップと、
前記パドルの前記長手方向パドル軸を前記ロータシャフトの前記ロータ軸に平行に配向するステップと、
を含む材料混合方法。
【請求項16】
前記ロータシャフトが外側円筒面を備え、前記方法が前記アームの前記第2の端部に隣接する前記アームのアーム軸を、前記ロータシャフトの前記外側円筒面に対して接線方向、又は接線と平行に配列させるステップを更に含むことを特徴とする請求項15に記載の材料混合方法。
【請求項17】
前記複数のアームが、前記ロータシャフトの長さに沿って互いに離間されて配置された位置で前記ロータシャフトにそれぞれ取り付けられ、前記方法が、前記アームの前記第2の端部に設けられた前記パドルを、前記ロータシャフトの長さ方向に沿って離間されて配置された隣接する他のアームの前記第2の端部に設けられた前記パドルに対して円周方向に互い違いに配列させるステップを更に含むことを特徴とする請求項15に記載の材料混合方法。
【請求項18】
前記各パドルが、前記追加ロータ軸に平行な方向に所定距離だけ延在するパドルエッジを有し、前記方法が、前記アームアセンブリの前記各パドルの前記所定距離を、前記アームアセンブリに隣接する他のアームアセンブリの各パドルの前記所定距離と一部重ね合わせるステップを含むことを特徴とする請求項15に記載の材料混合方法。
【請求項19】
前記ロータの回転中に前記パドルによって前記材料を持ち上げてひっくり返すステップであって、同時に前記上側オーガ及び前記下側オーガを回転させて総混合時間を短縮させるステップを更に含むことを特徴とする請求項15に記載の材料混合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−541052(P2009−541052A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518169(P2009−518169)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/014512
【国際公開番号】WO2008/002458
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(508377462)ロト−ミックス,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】