説明

五加皮抽出物、それを有効成分として含む不全症状好転用健康食品及び勃起不全治療剤

【課題】五加皮アルコール抽出物、それを有効成分として含む勃起不全症状好転用健康食品及び勃起不全治療剤の提供。
【解決手段】本発明は、五加皮アルコール抽出物、それを有効成分として含む勃起不全症状好転用健康食品及び勃起不全治療剤に関するものである。より詳細には、勃起不全症状好転効果を有する五加皮のアルコール抽出物、それを有効成分として含む勃起不全症状好転用健康食品及び勃起不全治療剤に関するものである。本発明の五加皮アルコール抽出物は、陰茎の勃起力を増加させる効果がすぐれて勃起不全を改善するのに有用に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、五加皮抽出物に関するものである。より詳細には勃起不全症状好転効果を有する五加皮アルコール抽出物、それを有効成分として含む勃起不全症状好転用健康食品及び勃起不全治療剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
陰茎勃起は、血管と内分泌系、神経系等の総合的作用によって起きる複雑な生理反応で、多様な刺激によって海綿体平滑筋が弛緩して小孔が膨脹して小動脈拡張による血流の増加で陰茎内圧が増加することによって比較的硬い白膜と小孔間に存在する白膜下静脈が小孔の膨脹によって押されて静脈血の漏出が塞がれることにより陰茎内圧がさらに増加するようになりながら勃起が誘発される(非特許文献1)。このような陰茎勃起の生理現象が明らかにされて海綿体平滑筋に対する多様な薬剤の薬理作用と機序が研究されるにつれて平滑筋の弛緩作用がある薬剤を勃起不全の治療に使用する研究が進められている。現在、海綿体平滑筋を弛緩させる物質としては、アドレナリン性アルファ受容体封鎖剤、コリン性薬物、NO(Nitric oxide)、ペプチド、プロスタグランジン、ヒスタミン、カルシウム通路遮断剤、カリウム通路開放剤、非特異性血管拡張剤等がある(非特許文献2〜7)。
【0003】
勃起不全症の頻度に関する正確な研究はないが、平均寿命の延長と成人病の増加及び食生活の改善、産業社会化による産業災害と交通事故の増加、複雑な現代生活による肉体的な疲れと精神的なストレスの増加等で勃起不全患者が増加する傾向にある。このような勃起不全の治療には、薬物服用、男性ホルモン投与等の内科的治療法と血管手術、陰茎保形物挿入術等の外科的治療及び陰茎海面体内血管拡張剤注入法等がある。内科的薬物治療療法としては、ひどい気質性勃起不全を除いて男性ホルモン、ヨヒンビン(yohimbin)、アポモルヒネ(apomorphine)、トラゾドン(trazodone)等が一般的に使用されているが、予期しない副作用を示す場合があり、治療効果が少なく確かな再現性が認められる薬剤はないのが実情である(非特許文献8〜10)。現在は、シルデナフィル(Sildenafil)が勃起不全の一次処置に使用されている(非特許文献11)。
【0004】
一方、五加皮は漢方で薬剤として使用され、味が辛くて苦く体を暖める性質を持っていて、肝経、神経に作用して風湿を無くして気を整え精髄もたらすと知られている。また、悪露(五臓が虚弱で生ずる虚労病)と七症(男が虚弱で生ずる七種症状)を補って足をよく使えない症状に使用され、これを長く服用すると身体の気を高めて胃を保護してくれ、精力を高めて精神を清くして意志力を高め、身が軽くなって老けることを防止し、体中の悪い血をきれいにしてくれると知られていて、腰や脊椎が痛む痛症、男性陰萎症、嚢湿、女性陰陽症等のさまざまな症状を治療すると知られている。それで、五加皮は我が国(韓国)で長年の歴史を通じて滋養強壮剤として使用されてきて、一部健康食品として使用されている。刺五加皮(Acanthopanaxsenticosus)抽出物が肝臓保護活性を持っていると報告されているが(非特許文献12)、五加皮の性機能に対する研究は報告されたことがない。
【0005】
以上のことに鑑みて、本発明者等は韓国で自生する白毛五加皮、刺五加皮、民刺五加皮、島五加皮に対するそれぞれの根及び幹部位の70%エチルアルコール抽出物または蒸留水抽出物が陰茎勃起を誘発することを確認し、勃起不全症状を好転することができる健康食品及び治療剤として使用できることを明らかにして本発明を完成した。
【非特許文献1】Lue TF,Tanagho EA.,J Urol,1987年,第137巻,829−36頁
【非特許文献2】Linet OI,Ogrinc FG.,N Eng J Med,1996年,第334巻,873−7頁
【非特許文献3】Tong YC等,Pharmacology,1992年,第45巻,241−9頁
【非特許文献4】Miller MA等,Int J Impot Res,1995年,第7巻,91−100頁
【非特許文献5】Andersson K−E,Wagner G.,Physiol Rev,1995年,第75巻,191−236頁
【非特許文献6】Andersson K−E,Stief CG.,World J Uro,1997年,第l15巻,14−20頁
【非特許文献7】Andersson KE.,Pharmacol Rev,2001年,第53巻,417−50頁
【非特許文献8】Andersson KE,Pharmacol Rev,2001年,第53巻,417−50頁
【非特許文献9】Montorsi F等,BJU International,2003年,第91巻,446−54頁
【非特許文献10】Vitezic D,Pelcic JM,Int J Clin Pharmacol Ther,2002年,第40(9)巻,393−403頁
【非特許文献11】Heaton JP,Dean J,Sleep DJ,Int J Impot Res,2002年,第14巻,61−4頁
【非特許文献12】Chun−Ching Lin and Pei−Chen Huang,Phytotherapy Research,2000年,第14巻,489−494頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、勃起不全症状好転効能を有する五加皮アルコール抽出物を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、上記五加皮抽出物を有効成分として含む勃起不全症状好転用健康食品を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、上記五加皮アルコール抽出物を有効成分として含む勃起不全治療剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を果たすために本発明は、勃起不全症状好転効能を有する五加皮アルコール抽出物を提供する。
【0010】
また、本発明は上記五加皮抽出物を有効成分として含む勃起不全症状好転用健康食品を提供する。
【0011】
また、本発明は上記五加皮アルコール抽出物を有効成分として含む勃起不全治療剤を提供する。
【0012】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、勃起不全症状好転効能を有する五加皮アルコール抽出物を提供する。
【0013】
上記で、五加皮は、白毛五加皮(Acanthopanaxdivaricatus var. albeofructus)、刺五加皮(Acanthopanaxsenticosus)、民刺五加皮(Acanthopanaxsenticosus var. subinermis)及び島五加皮(Acanthopanaxkoreanum)からなる群から選択されることが好ましく、白毛五加皮であることがもっとも好ましい。また、本発明の五加皮抽出物は、五加皮の幹または根の抽出物であることが好ましく、五加皮の幹の抽出物であることがさらに好ましい。本発明で幹は、根を除いた部分(地上部)を意味する。
【0014】
また、アルコールは、メタノール、エチルアルコール、プロパノール及びブタノールからなる群から選択することが好ましく、エチルアルコールであることがさらに好ましい。同時に、アルコールは、0乃至100%濃度であることが好ましく、70%濃度であることがより好ましい。
【0015】
本発明の白毛五加皮、刺五加皮、民刺五加皮または島五加皮の幹または根の抽出物をウサギの陰茎海綿体平滑筋に処理すると、処理した濃度に依存的に陰茎海綿体平滑筋を弛緩する程度が増加する傾向を見せ、白毛五加皮抽出物が陰茎海綿体平滑筋に対して弛緩作用が強力で、根抽出物より幹抽出物の弛緩作用がさらに優秀である(図1−A参照)、また、本発明の五加皮幹抽出物の場合、蒸留水抽出物に比べて70%エチルアルコール抽出物がウサギの陰茎海綿体平滑筋弛緩作用がさらに優秀である(図1−B参照)。また、白毛五加皮幹の70%アルコール抽出物をマウスに濃度別で一定期間経口投与すると、投与濃度及び投与期間に依存的にマウス陰茎勃起力を増加させる(図3参照)。したがって、五加皮抽出物は陰茎海綿体平滑筋に対して弛緩作用をして勃起力を増進する。その中でも白毛五加皮幹の70%エチルアルコール抽出物が一番優秀な作用をすることが分かる。
【0016】
陰茎海綿体平滑筋の弛緩には、NO(nitric oxide)が関与することが知られている(Burnett AL,J Urol,1997年,第157巻,320−4頁;Burnett AL等,Science,1992年,第257巻,401−3頁)。NOを生成する物質は、内皮細胞の細胞膜にある受容体に結合して内皮細胞内遊離カルシウムの濃度を増加させ、この増加したカルシウムがNOの合成と遊離を促進させる。遊離したNOが平滑筋細胞内に入って行って平滑筋のグアニレートサイクラーゼ(guanylate cyclase)を活性化させてcGMPの生成が増加される。このcGMPの増加によって平滑筋弛緩が起きる(Gonzalez−Cadavid NF,Ignarro LJ,Rajfer J,Mol Urol,1999年,第3巻,51−9頁)。陰茎海綿体平滑筋でのこのようなNOと五加皮との関係に対しては明確に報告されたことがない。本発明の好ましい実施例では、活性が一番優秀な白毛五加皮幹の70%エチルアルコール抽出物であるHSの海綿体平滑筋弛緩効果が、内皮細胞を除去した場合や、アセチルコリンの作用を抑制するアトロピン及びODQ、グアニレートサイクラーゼ抑制剤であるメチレンブルー、NO非活性剤であるピロガロール、NO生成抑制剤であるL−NNAの投与に影響を受けることを確認した(図1−C参照)。よって、HSの海綿体平滑筋弛緩効果は内皮細胞が関与しNOと関係があるものと思われる。一方、HSによる陰茎海綿体平滑筋の弛緩時、陰茎海綿体平滑筋内にcGMPが濃度依存的に増加することが観察され、HSはNOに関与して陰茎海綿体平滑筋弛緩を引き起こすことが分かる(図2参照)。
【0017】
HSは、安定状態の海綿体平滑筋に対する収縮や弛緩作用はなかったが、自発運動がある場合自発運動を抑制した。このような平滑筋の自発運動は、直接平滑筋に起因したもので大部分の神経性薬物では抑制されず、カルシウムやカリウム系薬物、プロスタグランジン生成抑制剤等によって消失することが報告されている(Christ GJ等,Br J Pharmacol,1990年,第101巻,375−81頁)。よって、HSが自発運動を抑制することからして、白毛五加皮幹の70%エチルアルコール抽出物が海綿体平滑筋に直接作用することが分かる。
【0018】
カルシウムが排除された高カリウム栄養液に切片を露出させると平滑筋の基底張力がほとんどなくなり、そこにカルシウムを補えばカルシウムの細胞内流入によって基底張力が回復して収縮が起きる。このような作用は主にゆっくり活性化する膜電圧依存性カルシウム通路を通じて起きる作用と知られている(Fovaeus M 等,J Urol,1987年,第138巻,1267−72頁;Karaki H 等,Pharmacol Rev,1997年,第49巻,157−230頁)。本発明の好ましい実施例では、カルシウム排除高カリウム栄養液内の基底張力がほとんどなしに安定状態に到達した海綿体平滑筋切片でHSは、海綿体平滑筋の基底緊張力をさらに下げた(実施例<2−2>参照)。これは、細胞質内カルシウムの移動に起因したもので、細胞質内のカルシウムをさらに流出させたり細胞質内の筋小包体にカルシウムが流入して細胞質内の遊離カルシウムをさらに減少させて平滑筋の基底張力を下げたものと思われる。また、HSはカルシウム排除高カリウム栄養液内でのCaClに対する収縮力を濃度依存的に減少させた。これは、HSの作用がゆっくり活性化される膜電圧依存性カルシウム通路を通じてカルシウムの細胞内への移動をある程度抑制して細胞質内のカルシウムが減少したことにより弛緩を誘発するのである。
【0019】
陰茎海綿体平滑筋の弛緩においてHSは、濃度依存的にcGMP及びcAMPの海面体内濃度を増加させた(図2及び図4参照)。よって、HSの陰茎勃起は、cGMP関与陰茎海綿体弛緩だけではなく、cAMP関与陰茎海綿体弛緩にも直接的に関与することが分かる。
【0020】
また、本発明は、上記五加皮アルコール抽出物を有効成分として含む勃起不全症状好転用健康食品を提供する。
【0021】
本発明の抽出物は、ウサギの陰茎海綿体平滑筋に対して弛緩作用が強力で、マウスに経口投与した場合、投与濃度及び投与期間依存的にマウス陰茎勃起力を増加させる。よって、五加皮抽出物を有効成分として含む本発明の組成物は、勃起不全症状を好転させるのに有用に使用できる。
【0022】
本発明の五加皮抽出物は、食品にそのまま添加したり他の食品または食品成分とともに使用することができ、通常的な方法によって適切に使用することができる。有効成分の混合量は、その使用目的(予防、健康または治療的処置)に相応して決めることができる。一般的に、食品または飲み物の製造時には、本発明の五加皮抽出物を原料に対して0.2乃至20重量%、好ましくは0.24乃至10重量%で添加する。しかし、健康及び衛生を目的にしたりまたは健康管理を目的にする長期間摂取の場合には、上記量は上記範囲以下にすることができるが、安全性の面で何らの問題がないので有効成分は上記範囲以上の量でも使用できることは確かである。
【0023】
上記食品の種類には、特別な制限はない。上記物質を添加することができる食品の例としては、ドリンク剤、肉類、ソーセージ、パン、餅、チョコレート、キャンデー類、スナック類、お菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含んだ酪農製品、各種スープ、飲み物、アルコール飲み物及びビタミン複合剤等があり、通常的な意味での健康食品を全て含む。
【0024】
また、本発明は、上記五加皮アルコール抽出物を有効成分として含む勃起不全治療剤を提供する。
【0025】
本発明の抽出物は、ウサギの陰茎海綿体平滑筋に対して弛緩作用が強力で、マウスに経口投与した場合、投与濃度及び投与期間依存的にマウス陰茎勃起力を増加させるので勃起不全治療に有用に使用することができる。
【0026】
また、本発明の抽出物500mgをカプセルに充填して五加皮抽出物製剤を製造して、これを2ヶ月間勃起不全症状のある48人の患者に1日3回、1回当り2カプセルで経口投与した後、患者面談とアンケート紙(性欲、勃起能向上、満足度等)を通じて勃起不全症状好転効果を調査した。
【0027】
その結果、調査した患者48人中35名の72.9%が勃起能向上を経験し、消化不良がある2人の患者以外には他の副作用はなかった。よって、本発明の抽出物を有効成分として含む治療剤は、勃起不全症状を好転させてこれを治療するのに有用に使用することができる。
【0028】
本発明の五加皮抽出物は、勃起不全治療剤総重量部に対して1乃至100重量部で含むことができ、50乃至100重量部で含むことが好ましく、さらに薬剤学的に許容される1種以上の担体に添加して薬剤として製造することができる。上記担体には、食塩水、緩衝食塩水、水、グリセロール及びエチルアルコール等があるがこれに限定されず、当該技術分野で公知の適合する製剤(Remingtons’s Pharmaceutical Science(最近版),Mack Publishing Company,Easton PA)はすべて使用可能である。
【0029】
本発明の五加皮抽出物は、臨床投与時に経口投与が可能で一般的な医薬品製剤の形態で使用することができ、製剤化する場合には普通に使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤等の希釈剤または賦形剤を使用して調剤される。
【0030】
本発明の製剤は、対象の年齢、性別、状態、体内での活性成分の吸収度、不活性率及び排泄速度、併用される薬物にしたがって異なって適用することができる。例えば1日1乃至1.5gを経口投与することができるが、これに限定されない。本発明はまた、投薬単位の剤形を含む。剤形は、個別投薬形態、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、丸薬、坐薬及びアンプル剤が挙げられ、薬剤中の有効化合物含量は、個別投薬量の分率または倍数に該当する。投薬単位は、例えば個別投与量の1、2、3または4倍、または1/2、1/3または1/4倍を含むことができる。個別投与量は、好ましくは有効化合物が1回に投与される量を含み、これは通常1日投与量の全部、1/2、1/3または1/4倍に該当する。
【0031】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸薬、散剤、顆粒剤、カプセル剤等が含まれ、経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤等が使用されるが、よく使用される単純希釈剤である水、流動パラフィン以外にさまざまな賦形剤、例えば湿潤剤、甘味料、芳香剤、保存剤等を含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。
【0033】
但し、下記実施例は本発明を例示するだけのものであり、本発明の内容が下記実施例に限定されるのではない。
【実施例1】
【0034】
五加皮抽出物の製造
本実験に使用した五加皮の中で白毛五加皮(Acanthopanaxdivaricatus var. albeofructus)、民刺五加皮(Acanthopanaxsenticosus var. subinermis)、島五加皮(Acanthopanaxkoreanum)は、天安スシン物産農場で採取し、刺五加皮(Acanthopanaxsenticosus)は江原道青玉山で採取した。五加皮は根と幹に分けて乾燥した後、細切して70%エチルアルコールや蒸留水を使用して食品医薬規格によって製造した抽出物を使用した。実験に使用した五加皮抽出物は、使用した五加皮の種類にしたがって白毛五加皮はH、刺五加皮はK、民刺五加皮はM、そして島五加皮はSで表記した。使用した部位にしたがって幹(S、根を除いた地上部)と根(R)を組み合わせて4種五加皮の70%エチルアルコール抽出物をそれぞれHR、HS、KR、KS、MR、MS、SR、SSで表示した。蒸留水で抽出した試料は、HSW、KSW、MSW、SSWで表示した。
【実施例2】
【0035】
五加皮抽出物のウサギの陰茎海綿体平滑筋に対する弛緩作用(生体外実験)
<2−1>ウサギの陰茎海綿体平滑筋切片準備
人体の陰茎海綿体と構造及び生理学的勃起機序が類似した生後4〜6ヶ月になったニュージーランドホワイトラビット(New Zealand White rabbit、(株)セムタコ BIO KOREA, 京畿道烏山)雄85匹を対象にした。ペントバルビタールナトリウムを30〜50mg/kgでウサギの耳殻静脈を通じて麻酔して、陰茎を切除して95%酸素と5%二酸化炭素の混合気体が供給される低温のタイロード(Tyrode)溶液(組成:(mEq/L)Na 153.6,K 5.3,Ca2+ 3.0,Mg2+ 1.2,Cl 157.2,HPO 0.6,SO 1.2,HCO 7.1及びグルコース 5.0)内で海綿体平滑筋を分離した。分離した海綿体平滑筋で2×2×6mmの切片を作ってタイロード溶液が入っている10ml組織容器(organ bath)に固定した。等力性収縮記録計(Biopac systems,Santa barbara,CA,米国)に連結して海綿体平滑筋の運動状態を記録した。組職容器内のタイロード溶液は、37℃に維持して、酸素混合気体を継続供給してpH7.4に維持した。内皮細胞除去実験は、海綿体平滑筋をもんで擦って内皮細胞を除去した(Kim N 等,J Clin Invest,1991年,第88巻,238−42頁)。上記のように製造した海綿体平滑筋切片は、フェニレフリン(5×10−6M;以下「PHE」と略称する)で収縮を誘発してアセチルコリン(acetylcholine,Ach)による弛緩の有無で内皮細胞の存在可否を確認した。内皮細胞除去の後、アセチルコリンに対する弛緩がなかったりアセチルコリンに対する弛緩が内皮除去操作前の10%以内の弛緩反応を示す標本のみを選んで内皮細胞が除去された平滑筋切片として使用した。内皮細胞除去と関係ない実験は先に形成した海綿体平滑筋切片を使用した。
【0036】
<2−2>等張力収縮のための理想的張力決定
初期張力を2g程度に維持させて安定状態に到達するように維持した後、PHEを投与して収縮程度を観察した。以後、タイロード溶液で内皮細胞切片を洗浄して安定状態に回復させて、張力を上げ下げして安定状態で同じ濃度のPHEによる収縮程度を観察して収縮程度の差が2回連続に前の収縮の10%以内である時を理想的張力と決め、このような理想的張力安定状態で薬物反応実験を始めた。
【0037】
<2−3>五加皮抽出物が海綿体平滑筋に対する緊張度に及ぼす影響
安定状態に到達した海綿体平滑筋にPHE5×10−6M濃度で処理して収縮を誘導した後、上記実施例1で製造した五加皮抽出物をそれぞれ1mg/ml、2mg/ml、5mg/mlまたは10mg/mlの濃度で投与して上記実施例<2−1>と同じ方法で海綿体平滑筋の運動状態を記録した。
【0038】
その結果、まず五加皮抽出部位による効果を見ると白毛五加皮(H)、刺五加皮(K)、民刺五加皮(M)、島五加皮(S)の幹(S)と根(R)をそれぞれ70%エチルアルコールで抽出した試料 HR、HS、KR、KS、MR、MS、SR及びSSは、それぞれ1mg/ml濃度から濃度依存的にウサギの海綿体平滑筋に対して弛緩作用を示した。そして、弛緩程度は、SとRを比べるとMの場合を除きSがRより効果がさらに強く、H、K、M、Sの順序で効果が強くて五加皮抽出物の中ではHSの弛緩作用が一番強かった(図1−A)。よって、幹部分の活性が一番優秀であることが分かった。
【0039】
次に、活性がすぐれた幹部分を抽出した試料による効果を見ると70%エチルアルコールで抽出した試料4種(HS、KS、MS、SS)と蒸留水で抽出した試料4種(HSW、KSW、MSW、SSW)中で70%エチルアルコール抽出物が蒸留水抽出物より弛緩作用がさらに強かった。そして、抽出物中HSの弛緩作用が一番強かった(図1−B)。
【0040】
<2−4>五加皮抽出物の海綿体平滑筋弛緩機序に対する分析
PHEで陰茎海綿体平滑筋切片を収縮させた後、五加皮の弛緩作用の中でNOとの関係を調べるため、PHEに収縮された海綿体平滑筋切片にグアニレートサイクラーゼ(guanylate cyclase)特異的抑制剤である3 1H−[1,2,4]−オキサジアゾロ[4,3−Ipキノキサリン−1−オン(3 1H−[1,2,4]−oxadiazolo[4,3−Ipquinoxalin−1−one,以下「ODQ」と命名する)を10−4M、グアニレートサイクラーゼ非特異的抑制剤であるメチレンブルー10−4M、酸素遊離基発生剤としてNO非活性化剤であるピロガロール(pyrogallol)10−4MまたはNO生成抑制剤であるN−ニトロ−L−アルギニン(NW−nitro−L−arginine,以下「L−NNA」と略称する)を3×10−4M濃度でそれぞれ処理した後、五加皮抽出物HSを1mg/ml、2mg/ml、5mg/mlまたは10mg/mlの濃度で処理して弛緩程度を測定した。
【0041】
また、コリン性神経伝達因子との関係を調べるためアトロピン(atropine)を5×10−6M濃度で処理した後、五加皮抽出物HSを1mg/ml、2mg/ml、5mg/mlまたは10mg/mlの濃度で処理して弛緩程度を測定した。
【0042】
また、五加皮の弛緩作用において内皮細胞との関係を調べるために内皮細胞を除去した海綿体平滑筋をPHEで収縮させた後、五加皮抽出物HSを1mg/ml、2mg/ml、5mg/mlまたは10mg/mlの濃度で処理して弛緩程度を測定した。
【0043】
その結果、PHEによって収縮された切片でHSは、1mg/mlの濃度から濃度依存的に弛緩作用を示し、弛緩程度は1mg/mlで27.6+,−8.20%、2mg/ml、5mg/ml及び10mg/mlでそれぞれ45.2+,−16.37%、69.3+,−12.57%及び97.8+,−6.93%だった。また、PHEによって収縮された海綿体平滑筋切片でのHSの弛緩効果は、内皮細胞を除去した場合とODQ、メチレンブルー前処理、ピロガロール、アトロピン、L−NNAによって有意性のある影響を受けた(p<0.05)(図1−C)。
【0044】
また、五加皮の弛緩作用がカルシウムと関連性があるのかどうかを確認するため、陰茎海綿体平滑筋切片をカルシウム排除高カリウム脱分極溶液で洗浄して海綿体平滑筋の緊張度が最低値に落ちて平衡を成した時、CaCl10−3Mを補って海綿体平滑筋の収縮を観察して、五加皮抽出物を1mg/ml、2mg/ml、5mg/mlまたは10mg/mlの濃度で前処理した後、CaCl10−3Mを補って収縮を比較観察した。
【0045】
その結果、カルシウム排除高カリウム脱分極溶液にCaCl10−3Mを投与すると緊張度が2.12+,−1.21gであったが、HSを1mg/ml、2mg/ml、5mg/ml及び10mg/mlの濃度でそれぞれ処理すると、CaClによる収縮力をそれぞれ62.85+,−11.58%、43.00+,−7.60%、24.44+,−6.80% 及び12.5+,−5.42%に減少させた(p<0.05)。
【実施例3】
【0046】
五加皮抽出物のウサギの陰茎海綿体平滑筋内cGMP及びcAMP濃度に及ぼす影響(生体外実験)
ウサギの陰茎海綿体平滑筋をPHEで収縮させた状態で五加皮を投与して弛緩を誘導した後、最大弛緩が維持された状態で組職を直ちに凍結させて零下70℃に保管した後、cGMP及びcAMP分析キット(BIOTRA cellular communication assays kit)(Amersham pharmcia biotech,Buckinghamshire UK)を使用して酵素免疫測定法(enzyme immunoassay,EIA)を遂行してcGMP及びcAMPを測定した。
【0047】
その結果、PHEによって収縮された海綿体平滑筋切片で五加皮抽出物HSの処理濃度依存的に海綿体平滑筋内cGMP及びcAMPの濃度が増加した(図2)。
【0048】
上記実施例1乃至実施例3のすべての実験結果は、コンピューターのエクセルプログラムで平均と標準誤差を求めた。各測定群間の意義判定はマンホットニーU検定(Mann−Whitney U test)やスチューデントtテスト(student’s t test)を、薬物濃度別平滑筋張力の変化はシンプルリグレッションテスト(simple regression test)を使用してp<0.05の時、有意性がある結果と判定した。
【実施例4】
【0049】
五加皮抽出物の服用がマウス陰茎勃起に及ぼす影響(生体内実験)
<4−1>五加皮抽出物の製造
本発明では天安スシン物産農場で白毛五加皮(Acanthopanaxdivaricatus var. albeofructus)を採取して、幹を乾燥した後、細切して70%エチルアルコールを使用して食品医薬規格によって製造した抽出物(HS)を使用した。
【0050】
<4−2>マウスでの五加皮抽出物経口投与による陰茎海綿体圧力変化
250〜350gのスプラグダウリー(Sprague Dawley)種マウスの雄を対象にした。マウスは対照群と五加皮投与群に分け、五加皮投与群は五加皮抽出物を50、100または200mg/kgずつ生理食塩水に混ぜて注射器を使用して口腔に直接一日一度投与した。投与期間は、2週または4週間実施した。
【0051】
マウスの腹腔にペントバルビタールナトリウム30〜50mg/kgを注入して麻酔させて、腹部を正中切開して膀胱と前立腺を露出させた後、前立腺後側壁に位置した主骨盤神経節(major pelvic ganglia)を捜してその分枝である骨盤神経及び陰茎海綿体神経を剥離した。白金電極を陰茎海綿体神経に設置して電気刺激機(STM100A,Biopac system,Santa barbara,CA,米国)に連結した。陰茎表皮を切開して陰茎海綿体を露出させた後、海綿体内圧測定のために26G針を陰茎海面体内に置いて実験期間中の電気的刺激や薬物注入による全身血流の状態を把握するために頚動脈に22Gアンジオニードル(angio needle)を置いてトランスデュ−サー(transducer)及びポリグラフシステム(polygraph system)を通じて持続的に血圧を測定した。電信血圧と海綿体内圧はソレンソントランスパック(Sorenson transpac)(Abbott Critical Care System,米国)を通じて差等増幅器(DA100,Biopac system,米国)に連結して、データ収集装置(data acquisition)(MP 100,Biopac system,米国)で測定し、データ分析プログラム(Acqknowledge 3.2 program,Biopac system,米国)を使用して分析記録した。
【0052】
また、海綿体神経刺激による陰茎勃起の反応を評価するために海綿体神経刺激(周波数:2Hz,threshold:2 Volt)による海綿体内圧を測定して最大海綿体内圧を比べた。
【0053】
その結果、HSを経口投与した場合、対照群に比べて陰茎勃起を有意性を持って向上させた(p<0.05)。HSの投与用量と期間によって陰茎勃起力に差がみられ、2週間投与した場合50mg/kg/日の濃度で投与した時に勃起力が一時的に増加したが、100mg/kg/日の濃度で4週間投与した時の勃起力が一番優秀だった。また、投与期間が増加するほど勃起力が増加した(図3)。
【実施例5】
【0054】
五加皮抽出物のマウス陰茎海綿体平滑筋内cGMP及びcAMP濃度に及ぼす影響(生体内実験)
マウス陰茎海綿体平滑筋の神経刺激で最大陰茎勃起を誘導した後、最大陰茎勃起が維持された状態で組職を即時凍結させて除去して零下70℃に保管した後、cGMP及びcAMP分析キット(BIOTRA cellular communication assays kit)(Amersham pharmcia biotech,Buckinghamshire UK)を使用して酵素免疫測定法(enzyme immunoassay,EIA)を遂行してcGMP及びcAMPを測定した。
【0055】
その結果、マウスの陰茎海綿体平滑筋を神経刺激させた対照群の場合、陰茎勃起の時陰茎海綿体のcGMP及びcAMPの濃度が増加することを確認した。そして、HS100mg/kg/日の濃度で2週または4週間経口投与した後、海綿体神経刺激による陰茎勃起時のcGMP及びcAMPの濃度は、対照群に比べて有意的に増加した(p<0.05)(図4)。よって、五加皮抽出物を経口投与する時には長期服用するほど陰茎海綿体平滑筋のcGMP及びcAMPの濃度が増加することが分かった。
【0056】
上記実施例1乃至実施例5のすべての実験結果は、コンピューターのエクセルプログラムで平均と標準誤差を求めた。各測定群間の意義判定は、マンホットニーU検定(Mann−Whitney U test)やスチューデントtテスト(student’s t test)を、薬物濃度別平滑筋張力の変化は、シンプルリグレッションテスト(simple regression test)を使用してp<0.05の時、有意性ある結果と判定した。
【0057】
<製造例1>五加皮抽出物を含む健康食品の製造
上記で詳しく見たように、本発明の五加皮抽出物は勃起不全症状好転効果が優れている。それで、本発明者らは上記五加皮抽出物を有効成分として含む健康食品を下記のように製造した。
【0058】
<1−1>ドリンクの製造
蜂蜜 522mg
チオクト酸アミド(Thioctamide) 5mg
ニコチン酸アミド 10mg
塩酸リボフラビンナトリウム 3mg
塩酸ピリドクシン 2mg
イノシトール 30mg
オロト酸(Orotic Acid) 50mg
五加皮抽出物 1.28mg
水 200ml
上記組成及び含量にして通常的な方法を使用して飲み物を製造した。
【0059】
<1−2>チューインガムの製造
ガムベース 20%
砂糖 76.36〜76.76%
五加皮抽出物 0.24〜0.64%
フルーツ香 1%
水 2%
上記組成及び含量にして通常的な方法を使用してチューインガムを製造した。
【0060】
<1−3>キャンデーの製造
砂糖 50〜60%
水飴 39.26〜49.66%
五加皮抽出物 0.24〜0.64%
オレンジ香 0.1%
上記組成及び含量にして通常的な方法を使用してキャンデーを製造した。
【0061】
<1−4>ビスケットの製造
薄力粉1級 88kg
中力粉1級 76.4kg
精白糖 16.5kg
食塩 2.5kg
葡萄糖 2.7kg
パームショートニング 40.5kg
アンモ(Ammo) 5.3kg
重曹 0.6kg
重亜硫酸ナトリウム 0.55kg
米粉 5.0kg
ビタミンB1 0.003kg
ビタミンB2 0.003kg
ミルク香 0.16kg
水 71.1kg
全脂粉乳 4kg
代用粉乳 1kg
第一リン酸カルシウム 0.1kg
スプレー塩(Spraying salt) 1kg
スプレー乳(Spraying milk) 25kg
五加皮抽出物 0.2〜0.5kg
上記組成及び含量にして通常的な方法を使用してビスケットを製造した。
【0062】
<1−5>アイスクリームの製造
乳脂肪 10.0%
無脂乳固形分(Solid Not Fat,snf) 10.8%
砂糖 12.0%
水飴 3.0%
乳化安定剤(スパン,span) 0.5%
香料(ストロベリー) 0.15%
水 63.31〜62.91%
五加皮抽出物 0.24〜0.64%
上記組成及び含量にして通常的な方法を使用してアイスクリームを製造した。
【0063】
<1−6>チョコレートの製造
砂糖 34.36〜34.76%
ココアバター 34%
ココアマス 15%
ココアパウダー 15%
レシチン 0.5%
バニラ香 0.5%
五加皮抽出物 0.24〜0.64%
上記組成及び含量にして通常的な方法を使用してチョコレートを製造した。
【0064】
<1−7>うどん及びラーメンの製造
下記表1の組成及び含量にして回転が早くて堅固なこね機を使用して混合物2kgとねり液1.2kgを混合して10〜15分間撹拌して組成物を完成する。このように完成された組成物は圧出成形機で麺の形態に圧出成形して、圧出成形機によって麺が成形されると、スチームで蒸熟して1次湯気を抜いた後、冷凍凍結乾燥器を使用して乾燥させることで乾麺を製造する。自然乾燥させると形状が整わず折れたり硬くて煮られなくなったりするが、冷凍凍結乾燥させると形状が生かされよく煮られるだけでなく、麺が柔らかいのに食感が良くて元の成分がそのまま維持される。
【0065】
ラーメンは、乾麺と使用する材料と成形工程が同じで、ただ圧縮成形機の金型が変わるだけである。ラーメンは、成形後食用油で揚げたり、蒸熟後、1次湯気を抜いた後、すぐ冷凍凍結乾燥して包装する。
【0066】
【表1】

【0067】
<1−8>餅の製造
下記表2の組成及び含量にして混合物2kgとねり液1kgを混合して10〜15分間撹拌してスチームで蒸熟することにより組成物を完成する。このように完成された組成物を切片または棒状餅成形機に入れて圧出成形して餅を作る。
【0068】
【表2】

【0069】
<1−9>パンの製造
下記表3の組成及び含量にして混合物2kgと、ねり液900gを混合して20分間撹拌した後、35℃〜40℃で30分醗酵することにより組成物を完成する。これを決まった形状に成形して釜で蒸す。
【0070】
【表3】

【0071】
<製造例2>五加皮抽出物を有効成分として含む勃起不全治療剤の製造
本発明者等は上記実施例の生体外実験及び動物実験で勃起不全症状緩和効果が一番良いことが証明された白毛五加皮幹のエチルアルコール抽出物を凍結乾燥して粉末にした後、カプセル当たり500mgを充填して勃起不全治療剤を製造した。
【実施例6】
【0072】
五加皮抽出物を勃起不全治療剤に使用した臨床実験
製造例2で製造した勃起不全治療剤を使用して勃起不全症状のある患者を対象に臨床実験を遂行した。48人の患者を対象にし、患者の平均年齢は43.4歳で最高齢者は50歳、最年少者は36歳だった。投与方法は、1日3回、1回当り2カプセルで2ヶ月の間経口投与した。糖尿病患者10人、高血圧患者6人、高脂血症患者4人、心因性(精神的)勃起不全患者12人、低テストステロン患者6人、原因不明勃起不全患者10人を対象患者にした。2ヶ月の間2週ごとに患者との面談と性欲、勃起能向上、満足度等の記載項目が含まれたアンケート紙の調査を通じて勃起不全症状変化を判定した。
【0073】
その結果、2ヶ月間の経口投与期間の間に48人の患者中35人の患者、すなわち72.9%の患者が勃起能向上する効果があり、消化不良がある2人以外には他の副作用がなかった。よって、本発明の五加皮抽出物を有効成分として含む勃起不全治療剤は天然物を原料にしていて副作用が少ないだけでなく、勃起不全症状緩和効果も優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
上記で詳しく見たように、本発明の五加皮幹エチルアルコール抽出物は陰茎海綿体平滑筋に対して弛緩作用が強力で、陰茎の勃起力を増加させる能力が優秀なので、勃起不全症状好転用健康食品または勃起不全治療剤に有用に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1−A】白毛五加皮、刺五加皮、民刺五加皮及び島五加皮の幹または根の70%エチルアルコール抽出物を使用して、ウサギの陰茎海綿体平滑筋弛緩の程度を比べたグラフである。
【図1−B】白毛五加皮、刺五加皮、民刺五加皮及び島五加皮の幹を蒸留水または70%アルコールで抽出した抽出物を使用して、ウサギの陰茎海綿体平滑筋弛緩の程度を比べたグラフである。
【図1−C】五加皮幹70%エチルアルコール抽出物(HS)のウサギの陰茎海綿体平滑筋弛緩作用に内皮細胞の除去、ODQ、メチレンブルー、ピロガロール、アトロピンまたはL−NNAが及ぼす影響を示したグラフである。
【図2】五加皮幹70%エチルアルコール抽出物(HS)の処理濃度による、ウサギの陰茎海綿体平滑筋でのcGMP及びcAMPの濃度を示したグラフである。
【図3】マウスに白毛五加皮幹の70%エチルアルコール抽出物(HS)を2週及び4週で経口投与した時の投与濃度別マウス陰茎の勃起程度を比べたグラフである。
【図4】マウスに白毛五加皮幹の70%エチルアルコール抽出物(HS)を100mg/kgの濃度で2週または4週で経口投与した時の投与期間による陰茎海綿体平滑筋のcGMP及びcAMP濃度を示したグラフである。
【符号の説明】
【0076】
KS:刺五加皮幹の70%エチルアルコール抽出物
HS:白毛五加皮幹の70%エチルアルコール抽出物
SS:島五加皮幹の70%エチルアルコール抽出物
MS:民刺五加皮幹の70%エチルアルコール抽出物
KR:刺五加皮根の70%エチルアルコール抽出物
HR:白毛五加皮根の70%エチルアルコール抽出物
SR:島五加皮根の70%エチルアルコール抽出物
MR:民刺五加皮根の70%エチルアルコール抽出物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
勃起不全症状好転効能を有する五加皮アルコール抽出物。
【請求項2】
五加皮が、白毛五加皮、刺五加皮、民刺五加皮及び島五加皮からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の抽出物。
【請求項3】
五加皮が、白毛五加皮であることを特徴とする、請求項2記載の抽出物。
【請求項4】
五加皮抽出物が、五加皮の幹または根の抽出物であることを特徴とする、請求項1記載の抽出物。
【請求項5】
アルコールが、メタノール、エチルアルコール、プロパノール及びブタノールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の抽出物。
【請求項6】
アルコールが、エチルアルコールであることを特徴とする、請求項5記載の抽出物。
【請求項7】
請求項1の五加皮アルコール抽出物を有効成分として含む勃起不全症状好転用健康食品。
【請求項8】
請求項1の五加皮アルコール抽出物を有効成分として含む勃起不全治療剤。

【図1−A】
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【図1−B】
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【図1−C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−505833(P2007−505833A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526030(P2006−526030)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002338
【国際公開番号】WO2005/025588
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(501245997)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (15)
【Fターム(参考)】