交流・直流両用スイッチ
【課題】交流配電システム及び直流配電システムのいずれにも使用可能であり、直流配電システムに使用された場合に、アークを発弧させることなく開閉が可能であり、且つ、容易に既存の交流配電システム用スイッチとの置き換えが可能な交流・直流両用スイッチを提供する。
【解決手段】電源2,3に接続される入力側の第1端子21と負荷4に接続される出力側の第1端子41との間に直列接続されたトランジスタ構造の双方向半導体スイッチ素子51と、第1端子21と入力側の第2端子22の間に並列に接続された整流部6と、整流部6からの出力電圧を安定した所定の電圧に変換ための電源部7と、電源部7から供給される電力によってこの交流・直流両用スイッチの全体を制御する制御部8と、制御部8からの制御信号に応じて双方向半導体スイッチ素子51を導通させる駆動部9とを備える。
【解決手段】電源2,3に接続される入力側の第1端子21と負荷4に接続される出力側の第1端子41との間に直列接続されたトランジスタ構造の双方向半導体スイッチ素子51と、第1端子21と入力側の第2端子22の間に並列に接続された整流部6と、整流部6からの出力電圧を安定した所定の電圧に変換ための電源部7と、電源部7から供給される電力によってこの交流・直流両用スイッチの全体を制御する制御部8と、制御部8からの制御信号に応じて双方向半導体スイッチ素子51を導通させる駆動部9とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流又は直流電力を負荷に供給し、その電力供給を停止するために用いられる交流・直流両用スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭において、各種電気機器へ電力を供給するために、商用電源を中心とした交流配電システムが使用されている。近年、一般家庭用の太陽電池(太陽光発電)、燃料電池あるいは蓄電池などを利用した直流分散電源が普及しつつある。また、個々の電気機器における交流電力を直流電力に変換する際の電力損失を低減するために、家庭用直流配電システムの導入も提案されている。それらの場合、従来からの交流配電システムに加えて、直流配電システムを併設させる必要がある。
【0003】
交流配電システムの場合、半周期に一度電流零点(ゼロクロス点)が存在するため、接点を開閉させるタイプのスイッチを用いても、容易に電流を遮断することができる。ところが、直流配電システムの場合、電流零点が存在せず、比較的低圧(例えば40V程度)であっても遮断時にアークが発生するため、接点距離を長くしたり、あるいは電磁石などの消弧機能を備えたりする必要があり、交流配電システム用のスイッチに比べて直流配電システム用のスイッチ自体が大型化する。さらに、太陽光発電や燃料電池などの場合、数百Vの高電圧であるため、電流を有効に遮断するには、単に接点距離を長くするだけでは足りず、高性能の消弧機能が要求される。そのため、既存の交流配電システム用のスイッチを直流配電システム用のスイッチに置き換えたり、あるいは既存の交流配電システム用のスイッチに直流配電システム用のスイッチを併設したりすることは容易ではない。また、大きさの異なるスイッチが混在することは見栄えの低下をもたらし、インテリアデザインの面からも好ましくない。
【0004】
そこで、特許文献1では、図16に示すようなMOSFETを用いて、アークを発弧させない直流スイッチが提案されている。この従来の直流スイッチでは、MOSFETQ1のソースを必ず直流電源の負極に接続しなければならず、電流経路を切り離しできるのは負極側に限定される。ところが、感電などからの人的保護を考慮すると、電流経路を有電位側で切り離しできることが好ましい。また、直流電源の極性を間違えて誤結線されると、MOSFET部に存在するダイオードを経由して電流が流れるため、スイッチとして機能しなくなる。さらに、直流電源が蓄電池であり、且つ、この直流スイッチが充放電される箇所に用いられた場合、電圧は直流であるが、充電時と放電時に電流の流れる方向が反転するため、MOSFETのような開閉機能が片側だけでは、スイッチとして機能が不完全である。さらに、この直流スイッチは、半周期ごとに電流の流れる方向が反転する交流電源システムには使用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−293317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、交流配電システム及び直流配電システムのいずれにも使用可能であり、直流配電システムに使用された場合に、アークを発弧させることなく開閉が可能であり、且つ、容易に既存の交流配電システム用スイッチとの置き換えが可能な交流・直流両用スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、交流電源又は直流電源と負荷の間に接続され、負荷への電力供給を制御する交流・直流両用スイッチであって、電源に接続される入力側の第1端子と負荷に接続される出力側の第1端子との間に直列接続されたトランジスタ構造の双方向半導体スイッチ素子と、前記入力側の第1端子と入力側の第2端子の間に並列に接続された整流部と、前記整流部からの出力電圧を安定した所定の電圧に変換するための電源部と、
前記電源部から供給される電力によってこの交流・直流両用スイッチの全体を制御する制御部と、前記制御部からの制御信号に応じて前記双方向半導体スイッチ素子を導通させる駆動部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記双方向半導体スイッチ素子は、2つの高耐圧縦型トランジスタ構造のスイッチ素子を逆接続した構造を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記双方向半導体スイッチ素子は、電源及び負荷に対してそれぞれ直列に接続され、基板表面上に形成された第1電極及び第2電極と、少なくともその一部分が前記基板表面上に形成され、前記第1電極の電位及び前記第2電極の電位に対して中間電位となる中間電位部と、少なくともその一部分が前記中間電位部上に接続され、前記中間電位部に対して制御を行うための制御電極を備えた横型のトランジスタ構造を有し、前記中間電位部及び前記制御電極が、前記第1電極及び前記第2電極に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記双方向半導体スイッチ素子は、電源及び負荷に対してそれぞれ直列に接続され、基板表面上に形成された第1電極及び第2電極と、少なくともその一部分が前記基板表面上に形成され、それぞれ独立した制御信号が入力される第1制御電極及び第2制御電極を備えた横型のデュアルゲートトランジスタ構造を有し、前記第1制御電極と前記第2制御電極が所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記整流部は半波整流回路であり、前記整流部を構成するダイオードのアノードが前記入力側の第1端子に接続され、前記直流電源の正極が前記入力側の第1端子に接続されたときにのみ動作可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記出力側の第1端子と出力側の第2端子の間に並列に接続された第2整流部と、該第2整流部からの出力電圧を安定した所定の電圧に変換ための第2電源部をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記入力側の第1端子と前記入力側の第2端子に接続された電源の種類が交流か直流かを判別する電源種類判別部をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記電源種類判別部は、交流電圧のゼロクロスを検出したときに、電源の種類が交流であると判断することを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記電源種類判別部により電源の種類が交流であると判断された場合、前記制御部は、前記電源種類判別部によるゼロクロス検出と同期させて前記双方向半導体スイッチ素子を導通させるための制御信号を出力することを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記双方向半導体スイッチ素子に開閉接点を有する補助スイッチ素子が並列接続されていることを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記双方向半導体スイッチ素子に開閉接点を有する補助スイッチ素子が直列接続されていることを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明は、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、外部装置との間で送受信するための通信機能部をさらに備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項13の発明は、請求項12に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記通信機能部は、電力線に接続された外部装置から電力に重畳させて送信された制御信号を検出することを特徴とする。
【0020】
請求項14の発明は、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記入力側の第1端子と出力側の第2端子との間に直列接続された第2双方向半導体スイッチ素子をさらに備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項15の発明は、請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記出力側の第1端子と出力側の第2端子はコンセント形状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、トランジスタ構造の双方向半導体スイッチを用いて負荷への電力供給を制御するので、入力される電流や電圧に対する方向依存性を持たず、交流電源と直流電源のいずれにも接続して使用可能である。また、直流電源の正極と負極を逆接続された場合でも、開閉(導通/遮断)可能であり、スイッチ機能が確保される。さらに、直流配電システムに使用された場合であっても、機械的な開閉スイッチを用いていないので、アークを発弧させることなく開閉が可能である。さらに、アークを消弧させるための機構が不要であり、且つ、半導体素子の小型化により、既存の交流配電システム用スイッチとの置き換えが可能である。
【0023】
請求項2の発明によれば、双方向半導体スイッチを高耐圧型の縦型トランジスタ構造の素子を逆接続して構成したので、一般的な構造のスイッチ素子、例えば、入手が容易で安価なSi−MOSFETなどを使用して双方向半導体スイッチを構成することができる。あるいは、同様の構造で低損失のSiCなどのスイッチ素子を使用すれば、制御可能な負荷の大容量化も可能となる。
【0024】
請求項3の発明によれば、第1電極及び第2電極に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に中間電位部を形成することにより、制御電極に印加する信号の閾値電圧を必要最低限のレベルまで低下させても、双方向半導体スイッチ素子を確実にオン/オフさせることができ、低オン抵抗を実現することができる。その結果、通電時の発熱を低く抑えることができ、小型・大容量の交流・直流両用スイッチを実現することができる。
【0025】
請求項4の発明によれば、整流部として半波整流回路を用いているので、交流・直流両用スイッチが交流電源に接続されている場合、半波整流回路により整流された電力が電源部を介して制御部に正常に電力が供給される。一方、交流・直流両用スイッチが直流電源に接続されている場合、直流電源の正極と負極が逆に誤結線されていると、半波整流回路によって制御部には電力が供給されず、この交流・直流両用スイッチは動作せず、負荷に電力は供給されない。その結果、配線工事の際に誤結線であることがわかる。
【0026】
請求項5の発明によれば、交流・直流両用スイッチの入力側と出力側の双方に整流部と電源部が設けられているので、入力側と出力側が限定されず、いずれの側に負荷または電源を接続してもスイッチとして機能させることができる。さらに、例えば、直流電源として蓄電池を用い、負荷としてモータを制御する場合など、負荷自体が電源となりうるようなシステムに適用させることも可能である。
【0027】
請求項6の発明によれば、電源種類判別部及び電源種類表示部により、個々のスイッチに接続されている電源の種類を識別することができ、ユーザによる認識が容易になると共に、メンテナンス時における対応も容易になる。
【0028】
請求項7の発明によれば、交流電圧のゼロクロスが検出されたときに交流電源に接続されていると判断するので、電源種類判別部の構成が簡単になり、且つ、判断処理も容易になる。
【0029】
請求項8の発明によれば、電源種類判別部によるゼロクロス検出と同期させて双方向半導体スイッチ素子を導通させるので、電圧が低い段階で双方向半導体スイッチ素子を導通させるため、突入電流を低減させることができる。
【0030】
請求項9の発明によれば、双方向半導体スイッチ素子に開閉接点を有する補助スイッチ素子が並列接続されているので、通電能力の高いリレーなどの補助スイッチ素子を併用することにより、負荷電流の容量を大幅に増大させることができる。また、開閉部を遮断させる場合、先に補助スイッチを遮断させた後、双方向半導体スイッチ素子を遮断させる。それによって、補助スイッチ素子の開閉接点は、電流が遮断された後から開かれるので、直流電源に接続された場合に問題となるアークが発弧せず、開閉接点の劣化による寿命短縮は生じない。
【0031】
請求項10の発明によれば、双方向半導体スイッチ素子に開閉接点を有する補助スイッチ素子が直列接続されているので、交流・直流両用スイッチがオフされているとき、開閉部は完全に遮断され、負荷に電流は流れない。
【0032】
請求項11の発明によれば、外部装置との間で送受信するための通信機能部を備えているので、ユーザは、例えば壁面に設けられた操作部(壁面スイッチ)を直接操作することなく、照明装置などの負荷のオン又はオフを遠隔制御又は自動制御することができる。
【0033】
請求項12の発明によれば、電力線に接続された外部装置から制御信号を電力に重畳させて送信し、信号検出部によって制御信号を検出するので、専用の通信線や無線送受信器を不要とすることができる。
【0034】
請求項13の発明によれば、開閉部が電力線の両極側にそれぞれ配置されているので、交流200V系や直流300Vの太陽光発電など、より高い対地電圧を有し、複数箇所での電力線の断路が要求される電源システムに適したスイッチを実現することができる。
【0035】
請求項14の発明によれば、出力側の第1端子と出力側の第2端子はコンセント形状であるので、交流・直流両用スイッチを負荷に直接結線せずに、移動可能な照明装置など、任意の負荷の制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る交流・直流両用スイッチの基本構成を示すブロック図。
【図2】上記交流・直流両用スイッチにおける開閉部の具体例として、高耐圧型の縦型トランジスタ構造の素子を逆接続した構成を示す図。
【図3】上記交流・直流両用スイッチにおける開閉部の具体例として、本出願人が提案している新規な双方向半導体スイッチ素子を用いた構成を示す図。
【図4】図3の双方向半導体スイッチ素子の具体的構成を示す平面図。
【図5】図4におけるA−A断面図。
【図6】上記交流・直流両用スイッチにおいて、整流部として半波整流回路を用いた構成例を示す図。
【図7】上記交流・直流両用スイッチにおいて、電源種類判別部及び電源種類表示部をさらに備えた構成例を示す図。
【図8】(a)は上記電源種類判別部として、入力電圧のゼロクロスを検出するように構成された具体例を示す図、(b)は交流電源に接続された場合の入力電圧とモニタされる端子電圧の波形を示す図、(c)は直流電源に接続された場合の入力電圧とモニタされる端子電圧の波形を示す図、(d)はゼロクロス検出に同期して開閉部の導通させる場合における各電圧の波形を示す図。
【図9】上記交流・直流両用スイッチにおいて、双方向半導体スイッチ素子に機械的な開閉接点を備えた補助スイッチ素子を並列接続した構成例を示す図。
【図10】上記交流・直流両用スイッチにおいて、双方向半導体スイッチ素子に機械的な開閉接点を備えた補助スイッチ素子を直列接続した構成例を示す図。
【図11】上記交流・直流両用スイッチにおいて、外部装置との間で信号の送受信が可能な通信機能部を備えた構成例を示す図。
【図12】上記交流・直流両用スイッチにおいて、外部装置から電力に制御信号を重畳させて送信し、信号検出部によって制御信号を検出するようにした構成例を示す図。
【図13】上記交流・直流両用スイッチにおいて、開閉部を電力線の両極側にそれぞれ配置した構成例を示す図。
【図14】上記交流・直流両用スイッチにおいて、出力側端子をコンセントタイプとした構成例を示す図。
【図15】(a)及び(b)は、それぞれ交流・直流両用スイッチの入力側と出力側のそれぞれに整流部及び電源部を設け、いずれの側に負荷または電源を接続してもスイッチとして機能するようにした構成例を示す図。
【図16】従来の直流スイッチの構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の一実施形態に係る交流・直流両用スイッチについて、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る交流・直流両用スイッチ1の基本構成を示すブロック図である。図1において、交流・直流両用スイッチ1は、交流電源2又は直流電源3のいずれか一方と負荷4の間に接続されて使用される。交流・直流両用スイッチ1は、交流電源2の一方又は直流電源3の正極側が接続される入力側の第1端子21と負荷4が接続される出力側の第1端子41との間に直列接続される双方向半導体スイッチで構成された開閉部5と、この第1端子21と交流電源2の他方又は直流電源3の負極側が接続される入力側の第2端子22との間に接続された整流部6と、整流部6からの出力電圧を安定した所定の電圧に変換ための電源部7と、電源部7から供給される電力によってこの交流・直流両用スイッチ1の全体を制御する制御部8と、制御部7からの制御信号に応じて開閉部5を駆動させる駆動部9と、壁面などに設置され、ユーザによって操作される操作部10などで構成されている。なお、符号42は負荷4が接続される出力側の第2端子を示す。
【0038】
この交流・直流両用スイッチ1の内部電源は、整流部6と電源部7で構成されているので、交流電源2に接続されている場合は整流部6を介して、また直流電源3に接続されている場合は直流電源3から直接電源部7に電力が供給されるので、交流配電システム又は直流配電システムのいずれにも使用することができる。なお、交流・直流両用スイッチ1の内部電源は、これに限定されるものではなく、スイッチング電源などその他の電源構成であってもよい。
【0039】
操作部10としては、開閉接点を有する機械的なスイッチでもよいし、赤外線や電波による小電力無線などを利用したリモコンスイッチなどであってもよい。あるいは、操作部10は、焦電効果を利用した人体感知センサなどのセンサやタイマーなどであってよい。要するに、操作部10から負荷4をオン又はオフさせるための信号が出力されればよい。
【0040】
開閉部5として、入力される電流や電圧に対する方向依存性を持たないトランジスタ構造の双方向半導体スイッチを使用しているため、仮に直流電源3の正極と負極を逆接続された場合でも、電流経路を切り離しできるのは負極側になるものの、開閉(導通/遮断)可能であり、スイッチ機能が確保される。また、上記のように、交流電源2と直流電源3のいずれにも接続して使用可能である。図2は、図1における開閉部5の具体例として、双方向半導体スイッチを高耐圧型の縦型トランジスタ構造の素子を逆接続して構成したものである。このような構造によれば、一般的な構造のスイッチ素子、例えば、入手が容易で安価なSi−MOSFETなどを使用して双方向半導体スイッチを構成することができる。あるいは、同様の構造で低損失のSiCなどのスイッチ素子を使用すれば、制御可能な負荷の大容量化も可能となる。
【0041】
図3は、開閉部5として本出願人が提案している新規な双方向半導体スイッチ素子51を用い、且つ、駆動部9としてトランスなどの絶縁構造を有する構成例を示す。この双方向半導体スイッチ素子51は、双方向制御可能な横型のシングルゲートトランジスタ素子で構成されている。図4は双方向半導体スイッチ素子51の構成を示す平面図であり、図5(a)はそのA−A断面図である。
【0042】
図5(a)に示すように、双方向半導体スイッチ素子51の基板120は、導体層120aと、導体層120aの上に積層されたGaN層120b及びAlGaN層120cで構成されている。この双方向半導体スイッチ素子51では、チャネル層としてAlGaN/GaNヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層を利用している。図4に示すように、基板120の表面120dには、電源2又は3及び負荷4に対してそれぞれ直列に接続された第1電極D1及び第2電極D2と、第1電極D1の電位及び第2電極D2の電位に対して中間電位となる中間電位部Sが形成されている。さらに、中間電位部Sの上には、制御電極(ゲート)Gが積層形成されている。制御電極Gとして、例えばショットキ電極を用いる。第1電極D1及び第2電極D2は、それぞれ互いに平行に配列された複数の電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・を有する櫛歯状であり、櫛歯状に配列された電極部同士が互いに対向するように配置されている。中間電位部S及び制御電極Gは、櫛歯状に配列された電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・の間にそれぞれ配置されており、電極部の間に形成される空間の平面形状に相似した形状(略魚背骨状)を有している。
【0043】
次に、双方向半導体スイッチ素子51を構成する横型のトランジスタ構造について説明する。図4に示すように、第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部112は、それらの幅方向における中心線が同一線上に位置するように配列され、中間電位部Sの対応部分及び制御電極Gの対応部分は、それぞれ第1電極D1の電極部111及び第2電極D2の電極部121の配列に対して平行に設けられている。上記幅方向における第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部112と中間電位部Sの対応部分及び制御電極Gの対応部分の距離は、所定の耐電圧を維持しうる距離に設定されている。上記幅方向に直交する方向、すなわち第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部112の長手方向においても同様である。また、これらの関係は、その他の電極部112及び122,113及び123・・・についても同様である。すなわち、中間電位部S及び制御電極Gは、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている。
【0044】
このように、第1電極D1の電位及び第2電極D2の電位に対して中間電位となる中間電位部S及びこの中間電位部Sに接続され、中間電位部Sに対して制御を行うための制御電極Gが、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されているので、例えば第1電極D1が高電位側、第2電極D2が低電位側である場合に、双方向半導体スイッチ素子51がオフの時、すなわち制御電極Gに0Vの信号が印加されたときには、少なくとも第1電極D1と、制御電極G及び中間電位部Sの間で、電流は確実に遮断される(制御電極(ゲート)Gの直下で電流が阻止される)。一方、双方向半導体スイッチ素子51がオンの時、すなわち制御電極Gに所定の閾値以上の電圧の信号が印加されたときには、図4中矢印で示すように、第1電極D1(電極部111,112,113・・・)、中間電位部S、第2電極D2(電極部121,122,123・・・)の経路で電流が流れる。逆の場合も同様である。
【0045】
このように、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に中間電位部Sを形成することにより、制御電極Gに印加する信号の閾値電圧を必要最低限のレベルまで低下させても、双方向半導体スイッチ素子51を確実にオン/オフさせることができ、低オン抵抗を実現することができる。そして、この新規な双方向半導体スイッチ素子51を用いて開閉部5を構成することにより、制御信号の基準(GND)を中間電位部Sと同電位とすることで、数Vの制御信号で駆動される制御部8によって、高電圧の交流電源2や直流電源3を直接制御することができる。また、チャネル層としてヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層を利用している横型のトランジスタ素子においては、素子を非導通にさせる閾値電圧の高電位化と導通時のオン抵抗は相反関係にあるため、閾値電圧を低くすることができることは、オン抵抗を低く維持することができることにつながり、交流・直流両用スイッチ1の小型高容量化を実現することができる。
【0046】
図6は、図3に示す構成の変形例を示す。図3に示す構成例では、双方向半導体スイッチ素子51として、双方向制御可能な横型のシングルゲートトランジスタ素子を用い、整流部6として全波整流回路を用いているが、図6に示す構成例では、双方向半導体スイッチ素子51として、双方向制御可能な横型のデュアルゲートトランジスタ素子を用い、整流部6として半波整流回路を用いている。図5(b)に示すように、横型のデュアルゲートトランジスタ素子は、電源2又は3及び負荷3に対してそれぞれ直列に接続され、基板表面上に形成された第1電極D1及び第2電極D2と、少なくともその一部分が基板表面上に形成され、それぞれ独立した制御信号が入力される第1制御電極(第1ゲート電極)G1及び第2制御電極(第2ゲート電極)G2を備え、第1制御電極G1と第2制御電極G2が所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている。耐圧を維持する箇所が1箇所であるので、損失の少ない双方向素子を実現することができる。この構成の素子はドレイン電極D1,D2の電圧を基準として制御する必要があり、2つのゲート電極G1,G2にそれぞれ異なった駆動信号を入力する必要がある(そのため、デュアルゲートトランジスタ構造と呼ぶ)。
【0047】
また、直流電源3の正極が接続される端子21には、ダイオード61のアノードが接続されている。交流・直流両用スイッチ1が交流電源2に接続されている場合、整流部6として全波整流回路又は半波整流回路のいずれであっても、整流部6及び電源部7を介して制御部8には正常に電力が供給される。一方、交流・直流両用スイッチ1が直流電源3に接続されている場合、直流電源3の正極と負極が逆に誤結線されていると、半波整流回路の場合制御部8には電力が供給されず、この交流・直流両用スイッチ1は動作せず、負荷4に電力は供給されない。その結果、配線工事の際に誤結線であることがわかる。なお、図6に示す変形例では、直流電源3の負極が接続される端子22にもダイオード62が接続されているが、直流電源3の正極が接続される端子21にのみダイオード61を接続しても、同様に機能する。
【0048】
また、上記のように、駆動部9はトランスなどの絶縁構造を有しており、その1次側が制御部8に、2次側が双方向半導体スイッチ素子51の制御電極G1,G2に接続されている。制御部8は、操作部10からの負荷4をオンさせるための信号を受信すると、駆動部9のトランスの1次側に所定の電力を供給する。そうすると、トランスの2次側に所定の電圧が発生し、双方向半導体スイッチ素子51の制御電極Gに制御電圧が印加され、双方向半導体スイッチ素子51、すなわち開閉部5が導通(閉)される。トランスの1次側と2次側の間が絶縁されているので、制御部8が破壊されることなく、開閉部5に高電圧で、且つ、大電流を流すことができる。なお、絶縁構造は上記トランスに限定されず、フォトカプラなどの発光素子と受光素子などを用いても実現することができる。
【0049】
図7は、電源種類判別部71及び電源種類表示部72を備えた構成例を示す。電源種類判別部71の具体的な構成や判別方法は特に限定されないが、入力電圧を所定の倍率に降圧してアナログ値を制御部8により所定の閾値と比較したり、あるいはコンデンサやコイルなどを用いた直流と交流を分離するフィルタなどを用いたりすることができる。電源種類表示部72の具体的な構成や表示方法も特に限定されないが、例えば発光色の異なる2種類のLEDを用いて、交流か直流かに応じて点灯させるLEDを切り換えたり、あるいは単一のLEDを用いて、交流か直流かに応じて常時点灯又は点滅に切り換えたりすることができる。このように、電源種類判別部71及び電源種類表示部72を設けることにより、交流電源2と直流電源3が併存する配電システムであっても、個々のスイッチに接続されている電源の種類を識別することができ、ユーザによる認識が容易になると共に、メンテナンス時における対応も容易になる。
【0050】
図8は、電源種類判別部71として、入力電圧のゼロクロスを検出するように構成された具体例を示す。すなわち、図8(a)に示すように、整流部6からの入力電圧を抵抗73,74によって分圧し、分圧した電圧をトランジスタ75のエミッタとベースの間に印加する。そして、トランジスタ75のコレクタの端子電圧をモニタする。交流・直流両用スイッチ1が交流電源2に接続されている場合、電源種類判別部71には、整流部6によって整流された脈流が入力され、入力電圧がトランジスタの閾値よりも大きいときにトランジスタ75がオンし、コレクタの端子電圧が判断用閾値よりも低くなり(LOW)、入力電圧がトランジスタの閾値よりも小さいときにトランジスタ75がオフし、コレクタの端子電圧が判断用閾値よりも高くなる(HIGH)(図8(b)参照)。従って、電源種類判別部71が、検出信号(パルス)を出力するのは、入力電圧がゼロクロスする前後の一定の時間だけである。一方、交流・直流両用スイッチ1が直流電源3に接続されている場合、入力電圧は常に一定であるので、トランジスタ75は常にオンし、コレクタの端子電圧は常に判断用閾値よりも低いままである(常時LOW)。従って、コレクタの端子電圧が閾値よりも高い状態(HIGH)を定期的に示すようであれば、交流・直流両用スイッチ1が交流電源2に接続されていると判断することができる。このようにゼロクロスを検出するような構成によれば、回路構成を比較的簡単にすることができると共に、制御部8における判断もディジタル化された信号によって行うことができ、制御部8における処理も容易にすることができる。
【0051】
また、図8(d)に示すように、双方向半導体スイッチ素子51をオンさせるタイミング(駆動部9を駆動させるタイミング)として、操作部10からのオン信号ではなく、電源種類判別部71によるゼロクロス検出と同期させるように構成してもよい。そうすることによって、電圧が低い段階で双方向半導体スイッチ素子51を導通させるため、突入電流を低減させることができる。
【0052】
図9は、開閉部5を構成する双方向半導体スイッチ素子51に機械的な開閉接点を備えた補助スイッチ素子52を並列接続した構成例を示す。補助スイッチ素子52としては、例えばリレーなどを用いることができる。制御部8は、開閉部5を導通させる場合、駆動部9に所定の電力を供給し又は所定の駆動信号を出力し、開閉部5の双方向半導体スイッチ素子51を先に導通させた後、補助スイッチ素子52を導通させる。このように、通電能力の高いリレーなどの補助スイッチ素子52を併用することにより、負荷電流の容量を大幅に増大させることができる。開閉部5を遮断させる場合、先に補助スイッチ素子52を遮断させた後、双方向半導体スイッチ素子51を遮断させる。それによって、補助スイッチ素子52の開閉接点は、電流が遮断された後から開かれるので、直流電源3に接続された場合に問題となるアークが発弧せず、開閉接点の劣化による寿命短縮は生じない。
【0053】
図10は、開閉部5を構成する双方向半導体スイッチ素子51に機械的な開閉接点を備えた補助スイッチ素子53を直列接続した構成例を示す。補助スイッチ素子53としても、例えばリレーなどを用いることができる。制御部8は、開閉部5を導通させる場合、駆動部9に所定の電力を供給し又は所定の駆動信号を出力し、開閉部5の補助スイッチ素子53の開閉接点を先に導通させた後、双方向半導体スイッチ素子51を導通させる。また、開閉部5を遮断させる場合、開閉部5の双方向半導体スイッチ素子51を先に遮断させた後、補助スイッチ素子53を遮断させる。それによって、開閉部5は完全に遮断され、負荷4に電流は流れない。すなわち、この交流・直流両用スイッチ1がオフされているとき、負荷4は絶縁される。
【0054】
図11は、例えばリモコン装置などの外部装置82との間で信号の送受信が可能な通信機能部(又は信号受信部)81を備えた構成例を示す。また、図12は、図11の変形例であり、電力線に接続された外部装置83から、制御信号を電力に重畳させて送信し、信号検出部84によって制御信号を検出するように構成されている。これらの構成によれば、ユーザは、例えば壁面に設けられた操作部10を直接操作することなく、照明装置などの負荷4のオン又はオフを遠隔制御又は自動制御することができる。特に、後者の場合、専用の通信線や無線送受信器が不要とすることができる。
【0055】
図13は、開閉部5を電力線の両極側にそれぞれ配置した構成例を示す。この構成においては、駆動部9として上記絶縁構造を採用することにより、2つの双方向半導体スイッチ素子51に同時に駆動信号を供給することができると共に、2つの双方向半導体スイッチ素子51の設置箇所の自由度を高くすることができる。さらに、開閉部5を2箇所に設けることにより、交流200V系や直流300Vの太陽光発電など、より高い対地電圧を有し、複数箇所での電力線の断路が要求される電源システムに適したスイッチを実現することができる。また、特に図示しないが、例えば単相3線や三相電源の各線に、それぞれ双方向半導体スイッチ素子による開閉部を設け、3つの開閉部を同時に開閉させるように構成することも可能である。
【0056】
図14は、交流・直流両用スイッチ1を負荷4に直接結線せずに、いわゆるコンセントタイプとした構成例を示す。このような構成によれば、移動可能な照明装置など、任意の負荷の制御が可能となる。この交流・直流両用スイッチ1は、既存のコンセントに差し込んで使用されるアダプタタイプであってもよいし、壁面に埋設されるタイプであってもよい。すなわち、出力側の第1端子41と第2端子42は、汎用のコンセント形状を有していればよい。
【0057】
図15は、交流・直流両用スイッチ1の入力側と出力側のそれぞれに整流部6及び電源部7を設けた構成例を示す。このような構成によれば、また、交流・直流両用スイッチ1の入力側と出力側が限定されず、いずれの側に負荷または電源を接続してもスイッチとして機能させることができる。さらに、例えば、直流電源3として蓄電池を用い、負荷4としてモータを制御する場合など、負荷自体が電源となりうるようなシステムに適用させることも可能である。すなわち、通常、モータは蓄電池からの電力で駆動されるが、空転時には発電機として電力を発生させることができる。その時は、モータが電源となり、蓄電池が負荷となって、モータで発電された電力で蓄電池を充電することができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る交流・直流両用スイッチ1によれば、開閉部を構成するスイッチ素子として、入力される電流や電圧に対する方向依存性を持たない双方向半導体スイッチ素子51を用いたので、交流配電システム及び直流配電システムのいずれにも使用可能である。また、直流配電システムに使用された場合であっても、機械的な開閉スイッチを用いていないので、アークを発弧させることなく開閉が可能である。さらに、アークを消弧させるための機構が不要であり、且つ、半導体素子の小型化により、既存の交流配電システム用スイッチとの置き換えが可能である。なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、図示された各構成例を任意に組み合わせうることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1 交流・直流両用スイッチ
2 交流電源
3 直流電源
4 負荷
5 開閉部
6 整流部
7 電源部
8 制御部
9 駆動部
10 操作部
21 入力側の第1端子
22 入力側の第2端子
41 出力側の第1端子
42 出力側の第2端子
51 双方向半導体スイッチ素子
52,53 補助スイッチ素子
61,62 半波整流回路のダイオード
71 電源種類判別部
72 電源種類表示部
82,83 外部装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流又は直流電力を負荷に供給し、その電力供給を停止するために用いられる交流・直流両用スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭において、各種電気機器へ電力を供給するために、商用電源を中心とした交流配電システムが使用されている。近年、一般家庭用の太陽電池(太陽光発電)、燃料電池あるいは蓄電池などを利用した直流分散電源が普及しつつある。また、個々の電気機器における交流電力を直流電力に変換する際の電力損失を低減するために、家庭用直流配電システムの導入も提案されている。それらの場合、従来からの交流配電システムに加えて、直流配電システムを併設させる必要がある。
【0003】
交流配電システムの場合、半周期に一度電流零点(ゼロクロス点)が存在するため、接点を開閉させるタイプのスイッチを用いても、容易に電流を遮断することができる。ところが、直流配電システムの場合、電流零点が存在せず、比較的低圧(例えば40V程度)であっても遮断時にアークが発生するため、接点距離を長くしたり、あるいは電磁石などの消弧機能を備えたりする必要があり、交流配電システム用のスイッチに比べて直流配電システム用のスイッチ自体が大型化する。さらに、太陽光発電や燃料電池などの場合、数百Vの高電圧であるため、電流を有効に遮断するには、単に接点距離を長くするだけでは足りず、高性能の消弧機能が要求される。そのため、既存の交流配電システム用のスイッチを直流配電システム用のスイッチに置き換えたり、あるいは既存の交流配電システム用のスイッチに直流配電システム用のスイッチを併設したりすることは容易ではない。また、大きさの異なるスイッチが混在することは見栄えの低下をもたらし、インテリアデザインの面からも好ましくない。
【0004】
そこで、特許文献1では、図16に示すようなMOSFETを用いて、アークを発弧させない直流スイッチが提案されている。この従来の直流スイッチでは、MOSFETQ1のソースを必ず直流電源の負極に接続しなければならず、電流経路を切り離しできるのは負極側に限定される。ところが、感電などからの人的保護を考慮すると、電流経路を有電位側で切り離しできることが好ましい。また、直流電源の極性を間違えて誤結線されると、MOSFET部に存在するダイオードを経由して電流が流れるため、スイッチとして機能しなくなる。さらに、直流電源が蓄電池であり、且つ、この直流スイッチが充放電される箇所に用いられた場合、電圧は直流であるが、充電時と放電時に電流の流れる方向が反転するため、MOSFETのような開閉機能が片側だけでは、スイッチとして機能が不完全である。さらに、この直流スイッチは、半周期ごとに電流の流れる方向が反転する交流電源システムには使用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−293317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、交流配電システム及び直流配電システムのいずれにも使用可能であり、直流配電システムに使用された場合に、アークを発弧させることなく開閉が可能であり、且つ、容易に既存の交流配電システム用スイッチとの置き換えが可能な交流・直流両用スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、交流電源又は直流電源と負荷の間に接続され、負荷への電力供給を制御する交流・直流両用スイッチであって、電源に接続される入力側の第1端子と負荷に接続される出力側の第1端子との間に直列接続されたトランジスタ構造の双方向半導体スイッチ素子と、前記入力側の第1端子と入力側の第2端子の間に並列に接続された整流部と、前記整流部からの出力電圧を安定した所定の電圧に変換するための電源部と、
前記電源部から供給される電力によってこの交流・直流両用スイッチの全体を制御する制御部と、前記制御部からの制御信号に応じて前記双方向半導体スイッチ素子を導通させる駆動部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記双方向半導体スイッチ素子は、2つの高耐圧縦型トランジスタ構造のスイッチ素子を逆接続した構造を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記双方向半導体スイッチ素子は、電源及び負荷に対してそれぞれ直列に接続され、基板表面上に形成された第1電極及び第2電極と、少なくともその一部分が前記基板表面上に形成され、前記第1電極の電位及び前記第2電極の電位に対して中間電位となる中間電位部と、少なくともその一部分が前記中間電位部上に接続され、前記中間電位部に対して制御を行うための制御電極を備えた横型のトランジスタ構造を有し、前記中間電位部及び前記制御電極が、前記第1電極及び前記第2電極に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記双方向半導体スイッチ素子は、電源及び負荷に対してそれぞれ直列に接続され、基板表面上に形成された第1電極及び第2電極と、少なくともその一部分が前記基板表面上に形成され、それぞれ独立した制御信号が入力される第1制御電極及び第2制御電極を備えた横型のデュアルゲートトランジスタ構造を有し、前記第1制御電極と前記第2制御電極が所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記整流部は半波整流回路であり、前記整流部を構成するダイオードのアノードが前記入力側の第1端子に接続され、前記直流電源の正極が前記入力側の第1端子に接続されたときにのみ動作可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記出力側の第1端子と出力側の第2端子の間に並列に接続された第2整流部と、該第2整流部からの出力電圧を安定した所定の電圧に変換ための第2電源部をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記入力側の第1端子と前記入力側の第2端子に接続された電源の種類が交流か直流かを判別する電源種類判別部をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記電源種類判別部は、交流電圧のゼロクロスを検出したときに、電源の種類が交流であると判断することを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記電源種類判別部により電源の種類が交流であると判断された場合、前記制御部は、前記電源種類判別部によるゼロクロス検出と同期させて前記双方向半導体スイッチ素子を導通させるための制御信号を出力することを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記双方向半導体スイッチ素子に開閉接点を有する補助スイッチ素子が並列接続されていることを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記双方向半導体スイッチ素子に開閉接点を有する補助スイッチ素子が直列接続されていることを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明は、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、外部装置との間で送受信するための通信機能部をさらに備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項13の発明は、請求項12に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記通信機能部は、電力線に接続された外部装置から電力に重畳させて送信された制御信号を検出することを特徴とする。
【0020】
請求項14の発明は、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記入力側の第1端子と出力側の第2端子との間に直列接続された第2双方向半導体スイッチ素子をさらに備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項15の発明は、請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチにおいて、前記出力側の第1端子と出力側の第2端子はコンセント形状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、トランジスタ構造の双方向半導体スイッチを用いて負荷への電力供給を制御するので、入力される電流や電圧に対する方向依存性を持たず、交流電源と直流電源のいずれにも接続して使用可能である。また、直流電源の正極と負極を逆接続された場合でも、開閉(導通/遮断)可能であり、スイッチ機能が確保される。さらに、直流配電システムに使用された場合であっても、機械的な開閉スイッチを用いていないので、アークを発弧させることなく開閉が可能である。さらに、アークを消弧させるための機構が不要であり、且つ、半導体素子の小型化により、既存の交流配電システム用スイッチとの置き換えが可能である。
【0023】
請求項2の発明によれば、双方向半導体スイッチを高耐圧型の縦型トランジスタ構造の素子を逆接続して構成したので、一般的な構造のスイッチ素子、例えば、入手が容易で安価なSi−MOSFETなどを使用して双方向半導体スイッチを構成することができる。あるいは、同様の構造で低損失のSiCなどのスイッチ素子を使用すれば、制御可能な負荷の大容量化も可能となる。
【0024】
請求項3の発明によれば、第1電極及び第2電極に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に中間電位部を形成することにより、制御電極に印加する信号の閾値電圧を必要最低限のレベルまで低下させても、双方向半導体スイッチ素子を確実にオン/オフさせることができ、低オン抵抗を実現することができる。その結果、通電時の発熱を低く抑えることができ、小型・大容量の交流・直流両用スイッチを実現することができる。
【0025】
請求項4の発明によれば、整流部として半波整流回路を用いているので、交流・直流両用スイッチが交流電源に接続されている場合、半波整流回路により整流された電力が電源部を介して制御部に正常に電力が供給される。一方、交流・直流両用スイッチが直流電源に接続されている場合、直流電源の正極と負極が逆に誤結線されていると、半波整流回路によって制御部には電力が供給されず、この交流・直流両用スイッチは動作せず、負荷に電力は供給されない。その結果、配線工事の際に誤結線であることがわかる。
【0026】
請求項5の発明によれば、交流・直流両用スイッチの入力側と出力側の双方に整流部と電源部が設けられているので、入力側と出力側が限定されず、いずれの側に負荷または電源を接続してもスイッチとして機能させることができる。さらに、例えば、直流電源として蓄電池を用い、負荷としてモータを制御する場合など、負荷自体が電源となりうるようなシステムに適用させることも可能である。
【0027】
請求項6の発明によれば、電源種類判別部及び電源種類表示部により、個々のスイッチに接続されている電源の種類を識別することができ、ユーザによる認識が容易になると共に、メンテナンス時における対応も容易になる。
【0028】
請求項7の発明によれば、交流電圧のゼロクロスが検出されたときに交流電源に接続されていると判断するので、電源種類判別部の構成が簡単になり、且つ、判断処理も容易になる。
【0029】
請求項8の発明によれば、電源種類判別部によるゼロクロス検出と同期させて双方向半導体スイッチ素子を導通させるので、電圧が低い段階で双方向半導体スイッチ素子を導通させるため、突入電流を低減させることができる。
【0030】
請求項9の発明によれば、双方向半導体スイッチ素子に開閉接点を有する補助スイッチ素子が並列接続されているので、通電能力の高いリレーなどの補助スイッチ素子を併用することにより、負荷電流の容量を大幅に増大させることができる。また、開閉部を遮断させる場合、先に補助スイッチを遮断させた後、双方向半導体スイッチ素子を遮断させる。それによって、補助スイッチ素子の開閉接点は、電流が遮断された後から開かれるので、直流電源に接続された場合に問題となるアークが発弧せず、開閉接点の劣化による寿命短縮は生じない。
【0031】
請求項10の発明によれば、双方向半導体スイッチ素子に開閉接点を有する補助スイッチ素子が直列接続されているので、交流・直流両用スイッチがオフされているとき、開閉部は完全に遮断され、負荷に電流は流れない。
【0032】
請求項11の発明によれば、外部装置との間で送受信するための通信機能部を備えているので、ユーザは、例えば壁面に設けられた操作部(壁面スイッチ)を直接操作することなく、照明装置などの負荷のオン又はオフを遠隔制御又は自動制御することができる。
【0033】
請求項12の発明によれば、電力線に接続された外部装置から制御信号を電力に重畳させて送信し、信号検出部によって制御信号を検出するので、専用の通信線や無線送受信器を不要とすることができる。
【0034】
請求項13の発明によれば、開閉部が電力線の両極側にそれぞれ配置されているので、交流200V系や直流300Vの太陽光発電など、より高い対地電圧を有し、複数箇所での電力線の断路が要求される電源システムに適したスイッチを実現することができる。
【0035】
請求項14の発明によれば、出力側の第1端子と出力側の第2端子はコンセント形状であるので、交流・直流両用スイッチを負荷に直接結線せずに、移動可能な照明装置など、任意の負荷の制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る交流・直流両用スイッチの基本構成を示すブロック図。
【図2】上記交流・直流両用スイッチにおける開閉部の具体例として、高耐圧型の縦型トランジスタ構造の素子を逆接続した構成を示す図。
【図3】上記交流・直流両用スイッチにおける開閉部の具体例として、本出願人が提案している新規な双方向半導体スイッチ素子を用いた構成を示す図。
【図4】図3の双方向半導体スイッチ素子の具体的構成を示す平面図。
【図5】図4におけるA−A断面図。
【図6】上記交流・直流両用スイッチにおいて、整流部として半波整流回路を用いた構成例を示す図。
【図7】上記交流・直流両用スイッチにおいて、電源種類判別部及び電源種類表示部をさらに備えた構成例を示す図。
【図8】(a)は上記電源種類判別部として、入力電圧のゼロクロスを検出するように構成された具体例を示す図、(b)は交流電源に接続された場合の入力電圧とモニタされる端子電圧の波形を示す図、(c)は直流電源に接続された場合の入力電圧とモニタされる端子電圧の波形を示す図、(d)はゼロクロス検出に同期して開閉部の導通させる場合における各電圧の波形を示す図。
【図9】上記交流・直流両用スイッチにおいて、双方向半導体スイッチ素子に機械的な開閉接点を備えた補助スイッチ素子を並列接続した構成例を示す図。
【図10】上記交流・直流両用スイッチにおいて、双方向半導体スイッチ素子に機械的な開閉接点を備えた補助スイッチ素子を直列接続した構成例を示す図。
【図11】上記交流・直流両用スイッチにおいて、外部装置との間で信号の送受信が可能な通信機能部を備えた構成例を示す図。
【図12】上記交流・直流両用スイッチにおいて、外部装置から電力に制御信号を重畳させて送信し、信号検出部によって制御信号を検出するようにした構成例を示す図。
【図13】上記交流・直流両用スイッチにおいて、開閉部を電力線の両極側にそれぞれ配置した構成例を示す図。
【図14】上記交流・直流両用スイッチにおいて、出力側端子をコンセントタイプとした構成例を示す図。
【図15】(a)及び(b)は、それぞれ交流・直流両用スイッチの入力側と出力側のそれぞれに整流部及び電源部を設け、いずれの側に負荷または電源を接続してもスイッチとして機能するようにした構成例を示す図。
【図16】従来の直流スイッチの構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の一実施形態に係る交流・直流両用スイッチについて、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る交流・直流両用スイッチ1の基本構成を示すブロック図である。図1において、交流・直流両用スイッチ1は、交流電源2又は直流電源3のいずれか一方と負荷4の間に接続されて使用される。交流・直流両用スイッチ1は、交流電源2の一方又は直流電源3の正極側が接続される入力側の第1端子21と負荷4が接続される出力側の第1端子41との間に直列接続される双方向半導体スイッチで構成された開閉部5と、この第1端子21と交流電源2の他方又は直流電源3の負極側が接続される入力側の第2端子22との間に接続された整流部6と、整流部6からの出力電圧を安定した所定の電圧に変換ための電源部7と、電源部7から供給される電力によってこの交流・直流両用スイッチ1の全体を制御する制御部8と、制御部7からの制御信号に応じて開閉部5を駆動させる駆動部9と、壁面などに設置され、ユーザによって操作される操作部10などで構成されている。なお、符号42は負荷4が接続される出力側の第2端子を示す。
【0038】
この交流・直流両用スイッチ1の内部電源は、整流部6と電源部7で構成されているので、交流電源2に接続されている場合は整流部6を介して、また直流電源3に接続されている場合は直流電源3から直接電源部7に電力が供給されるので、交流配電システム又は直流配電システムのいずれにも使用することができる。なお、交流・直流両用スイッチ1の内部電源は、これに限定されるものではなく、スイッチング電源などその他の電源構成であってもよい。
【0039】
操作部10としては、開閉接点を有する機械的なスイッチでもよいし、赤外線や電波による小電力無線などを利用したリモコンスイッチなどであってもよい。あるいは、操作部10は、焦電効果を利用した人体感知センサなどのセンサやタイマーなどであってよい。要するに、操作部10から負荷4をオン又はオフさせるための信号が出力されればよい。
【0040】
開閉部5として、入力される電流や電圧に対する方向依存性を持たないトランジスタ構造の双方向半導体スイッチを使用しているため、仮に直流電源3の正極と負極を逆接続された場合でも、電流経路を切り離しできるのは負極側になるものの、開閉(導通/遮断)可能であり、スイッチ機能が確保される。また、上記のように、交流電源2と直流電源3のいずれにも接続して使用可能である。図2は、図1における開閉部5の具体例として、双方向半導体スイッチを高耐圧型の縦型トランジスタ構造の素子を逆接続して構成したものである。このような構造によれば、一般的な構造のスイッチ素子、例えば、入手が容易で安価なSi−MOSFETなどを使用して双方向半導体スイッチを構成することができる。あるいは、同様の構造で低損失のSiCなどのスイッチ素子を使用すれば、制御可能な負荷の大容量化も可能となる。
【0041】
図3は、開閉部5として本出願人が提案している新規な双方向半導体スイッチ素子51を用い、且つ、駆動部9としてトランスなどの絶縁構造を有する構成例を示す。この双方向半導体スイッチ素子51は、双方向制御可能な横型のシングルゲートトランジスタ素子で構成されている。図4は双方向半導体スイッチ素子51の構成を示す平面図であり、図5(a)はそのA−A断面図である。
【0042】
図5(a)に示すように、双方向半導体スイッチ素子51の基板120は、導体層120aと、導体層120aの上に積層されたGaN層120b及びAlGaN層120cで構成されている。この双方向半導体スイッチ素子51では、チャネル層としてAlGaN/GaNヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層を利用している。図4に示すように、基板120の表面120dには、電源2又は3及び負荷4に対してそれぞれ直列に接続された第1電極D1及び第2電極D2と、第1電極D1の電位及び第2電極D2の電位に対して中間電位となる中間電位部Sが形成されている。さらに、中間電位部Sの上には、制御電極(ゲート)Gが積層形成されている。制御電極Gとして、例えばショットキ電極を用いる。第1電極D1及び第2電極D2は、それぞれ互いに平行に配列された複数の電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・を有する櫛歯状であり、櫛歯状に配列された電極部同士が互いに対向するように配置されている。中間電位部S及び制御電極Gは、櫛歯状に配列された電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・の間にそれぞれ配置されており、電極部の間に形成される空間の平面形状に相似した形状(略魚背骨状)を有している。
【0043】
次に、双方向半導体スイッチ素子51を構成する横型のトランジスタ構造について説明する。図4に示すように、第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部112は、それらの幅方向における中心線が同一線上に位置するように配列され、中間電位部Sの対応部分及び制御電極Gの対応部分は、それぞれ第1電極D1の電極部111及び第2電極D2の電極部121の配列に対して平行に設けられている。上記幅方向における第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部112と中間電位部Sの対応部分及び制御電極Gの対応部分の距離は、所定の耐電圧を維持しうる距離に設定されている。上記幅方向に直交する方向、すなわち第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部112の長手方向においても同様である。また、これらの関係は、その他の電極部112及び122,113及び123・・・についても同様である。すなわち、中間電位部S及び制御電極Gは、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている。
【0044】
このように、第1電極D1の電位及び第2電極D2の電位に対して中間電位となる中間電位部S及びこの中間電位部Sに接続され、中間電位部Sに対して制御を行うための制御電極Gが、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されているので、例えば第1電極D1が高電位側、第2電極D2が低電位側である場合に、双方向半導体スイッチ素子51がオフの時、すなわち制御電極Gに0Vの信号が印加されたときには、少なくとも第1電極D1と、制御電極G及び中間電位部Sの間で、電流は確実に遮断される(制御電極(ゲート)Gの直下で電流が阻止される)。一方、双方向半導体スイッチ素子51がオンの時、すなわち制御電極Gに所定の閾値以上の電圧の信号が印加されたときには、図4中矢印で示すように、第1電極D1(電極部111,112,113・・・)、中間電位部S、第2電極D2(電極部121,122,123・・・)の経路で電流が流れる。逆の場合も同様である。
【0045】
このように、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に中間電位部Sを形成することにより、制御電極Gに印加する信号の閾値電圧を必要最低限のレベルまで低下させても、双方向半導体スイッチ素子51を確実にオン/オフさせることができ、低オン抵抗を実現することができる。そして、この新規な双方向半導体スイッチ素子51を用いて開閉部5を構成することにより、制御信号の基準(GND)を中間電位部Sと同電位とすることで、数Vの制御信号で駆動される制御部8によって、高電圧の交流電源2や直流電源3を直接制御することができる。また、チャネル層としてヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層を利用している横型のトランジスタ素子においては、素子を非導通にさせる閾値電圧の高電位化と導通時のオン抵抗は相反関係にあるため、閾値電圧を低くすることができることは、オン抵抗を低く維持することができることにつながり、交流・直流両用スイッチ1の小型高容量化を実現することができる。
【0046】
図6は、図3に示す構成の変形例を示す。図3に示す構成例では、双方向半導体スイッチ素子51として、双方向制御可能な横型のシングルゲートトランジスタ素子を用い、整流部6として全波整流回路を用いているが、図6に示す構成例では、双方向半導体スイッチ素子51として、双方向制御可能な横型のデュアルゲートトランジスタ素子を用い、整流部6として半波整流回路を用いている。図5(b)に示すように、横型のデュアルゲートトランジスタ素子は、電源2又は3及び負荷3に対してそれぞれ直列に接続され、基板表面上に形成された第1電極D1及び第2電極D2と、少なくともその一部分が基板表面上に形成され、それぞれ独立した制御信号が入力される第1制御電極(第1ゲート電極)G1及び第2制御電極(第2ゲート電極)G2を備え、第1制御電極G1と第2制御電極G2が所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている。耐圧を維持する箇所が1箇所であるので、損失の少ない双方向素子を実現することができる。この構成の素子はドレイン電極D1,D2の電圧を基準として制御する必要があり、2つのゲート電極G1,G2にそれぞれ異なった駆動信号を入力する必要がある(そのため、デュアルゲートトランジスタ構造と呼ぶ)。
【0047】
また、直流電源3の正極が接続される端子21には、ダイオード61のアノードが接続されている。交流・直流両用スイッチ1が交流電源2に接続されている場合、整流部6として全波整流回路又は半波整流回路のいずれであっても、整流部6及び電源部7を介して制御部8には正常に電力が供給される。一方、交流・直流両用スイッチ1が直流電源3に接続されている場合、直流電源3の正極と負極が逆に誤結線されていると、半波整流回路の場合制御部8には電力が供給されず、この交流・直流両用スイッチ1は動作せず、負荷4に電力は供給されない。その結果、配線工事の際に誤結線であることがわかる。なお、図6に示す変形例では、直流電源3の負極が接続される端子22にもダイオード62が接続されているが、直流電源3の正極が接続される端子21にのみダイオード61を接続しても、同様に機能する。
【0048】
また、上記のように、駆動部9はトランスなどの絶縁構造を有しており、その1次側が制御部8に、2次側が双方向半導体スイッチ素子51の制御電極G1,G2に接続されている。制御部8は、操作部10からの負荷4をオンさせるための信号を受信すると、駆動部9のトランスの1次側に所定の電力を供給する。そうすると、トランスの2次側に所定の電圧が発生し、双方向半導体スイッチ素子51の制御電極Gに制御電圧が印加され、双方向半導体スイッチ素子51、すなわち開閉部5が導通(閉)される。トランスの1次側と2次側の間が絶縁されているので、制御部8が破壊されることなく、開閉部5に高電圧で、且つ、大電流を流すことができる。なお、絶縁構造は上記トランスに限定されず、フォトカプラなどの発光素子と受光素子などを用いても実現することができる。
【0049】
図7は、電源種類判別部71及び電源種類表示部72を備えた構成例を示す。電源種類判別部71の具体的な構成や判別方法は特に限定されないが、入力電圧を所定の倍率に降圧してアナログ値を制御部8により所定の閾値と比較したり、あるいはコンデンサやコイルなどを用いた直流と交流を分離するフィルタなどを用いたりすることができる。電源種類表示部72の具体的な構成や表示方法も特に限定されないが、例えば発光色の異なる2種類のLEDを用いて、交流か直流かに応じて点灯させるLEDを切り換えたり、あるいは単一のLEDを用いて、交流か直流かに応じて常時点灯又は点滅に切り換えたりすることができる。このように、電源種類判別部71及び電源種類表示部72を設けることにより、交流電源2と直流電源3が併存する配電システムであっても、個々のスイッチに接続されている電源の種類を識別することができ、ユーザによる認識が容易になると共に、メンテナンス時における対応も容易になる。
【0050】
図8は、電源種類判別部71として、入力電圧のゼロクロスを検出するように構成された具体例を示す。すなわち、図8(a)に示すように、整流部6からの入力電圧を抵抗73,74によって分圧し、分圧した電圧をトランジスタ75のエミッタとベースの間に印加する。そして、トランジスタ75のコレクタの端子電圧をモニタする。交流・直流両用スイッチ1が交流電源2に接続されている場合、電源種類判別部71には、整流部6によって整流された脈流が入力され、入力電圧がトランジスタの閾値よりも大きいときにトランジスタ75がオンし、コレクタの端子電圧が判断用閾値よりも低くなり(LOW)、入力電圧がトランジスタの閾値よりも小さいときにトランジスタ75がオフし、コレクタの端子電圧が判断用閾値よりも高くなる(HIGH)(図8(b)参照)。従って、電源種類判別部71が、検出信号(パルス)を出力するのは、入力電圧がゼロクロスする前後の一定の時間だけである。一方、交流・直流両用スイッチ1が直流電源3に接続されている場合、入力電圧は常に一定であるので、トランジスタ75は常にオンし、コレクタの端子電圧は常に判断用閾値よりも低いままである(常時LOW)。従って、コレクタの端子電圧が閾値よりも高い状態(HIGH)を定期的に示すようであれば、交流・直流両用スイッチ1が交流電源2に接続されていると判断することができる。このようにゼロクロスを検出するような構成によれば、回路構成を比較的簡単にすることができると共に、制御部8における判断もディジタル化された信号によって行うことができ、制御部8における処理も容易にすることができる。
【0051】
また、図8(d)に示すように、双方向半導体スイッチ素子51をオンさせるタイミング(駆動部9を駆動させるタイミング)として、操作部10からのオン信号ではなく、電源種類判別部71によるゼロクロス検出と同期させるように構成してもよい。そうすることによって、電圧が低い段階で双方向半導体スイッチ素子51を導通させるため、突入電流を低減させることができる。
【0052】
図9は、開閉部5を構成する双方向半導体スイッチ素子51に機械的な開閉接点を備えた補助スイッチ素子52を並列接続した構成例を示す。補助スイッチ素子52としては、例えばリレーなどを用いることができる。制御部8は、開閉部5を導通させる場合、駆動部9に所定の電力を供給し又は所定の駆動信号を出力し、開閉部5の双方向半導体スイッチ素子51を先に導通させた後、補助スイッチ素子52を導通させる。このように、通電能力の高いリレーなどの補助スイッチ素子52を併用することにより、負荷電流の容量を大幅に増大させることができる。開閉部5を遮断させる場合、先に補助スイッチ素子52を遮断させた後、双方向半導体スイッチ素子51を遮断させる。それによって、補助スイッチ素子52の開閉接点は、電流が遮断された後から開かれるので、直流電源3に接続された場合に問題となるアークが発弧せず、開閉接点の劣化による寿命短縮は生じない。
【0053】
図10は、開閉部5を構成する双方向半導体スイッチ素子51に機械的な開閉接点を備えた補助スイッチ素子53を直列接続した構成例を示す。補助スイッチ素子53としても、例えばリレーなどを用いることができる。制御部8は、開閉部5を導通させる場合、駆動部9に所定の電力を供給し又は所定の駆動信号を出力し、開閉部5の補助スイッチ素子53の開閉接点を先に導通させた後、双方向半導体スイッチ素子51を導通させる。また、開閉部5を遮断させる場合、開閉部5の双方向半導体スイッチ素子51を先に遮断させた後、補助スイッチ素子53を遮断させる。それによって、開閉部5は完全に遮断され、負荷4に電流は流れない。すなわち、この交流・直流両用スイッチ1がオフされているとき、負荷4は絶縁される。
【0054】
図11は、例えばリモコン装置などの外部装置82との間で信号の送受信が可能な通信機能部(又は信号受信部)81を備えた構成例を示す。また、図12は、図11の変形例であり、電力線に接続された外部装置83から、制御信号を電力に重畳させて送信し、信号検出部84によって制御信号を検出するように構成されている。これらの構成によれば、ユーザは、例えば壁面に設けられた操作部10を直接操作することなく、照明装置などの負荷4のオン又はオフを遠隔制御又は自動制御することができる。特に、後者の場合、専用の通信線や無線送受信器が不要とすることができる。
【0055】
図13は、開閉部5を電力線の両極側にそれぞれ配置した構成例を示す。この構成においては、駆動部9として上記絶縁構造を採用することにより、2つの双方向半導体スイッチ素子51に同時に駆動信号を供給することができると共に、2つの双方向半導体スイッチ素子51の設置箇所の自由度を高くすることができる。さらに、開閉部5を2箇所に設けることにより、交流200V系や直流300Vの太陽光発電など、より高い対地電圧を有し、複数箇所での電力線の断路が要求される電源システムに適したスイッチを実現することができる。また、特に図示しないが、例えば単相3線や三相電源の各線に、それぞれ双方向半導体スイッチ素子による開閉部を設け、3つの開閉部を同時に開閉させるように構成することも可能である。
【0056】
図14は、交流・直流両用スイッチ1を負荷4に直接結線せずに、いわゆるコンセントタイプとした構成例を示す。このような構成によれば、移動可能な照明装置など、任意の負荷の制御が可能となる。この交流・直流両用スイッチ1は、既存のコンセントに差し込んで使用されるアダプタタイプであってもよいし、壁面に埋設されるタイプであってもよい。すなわち、出力側の第1端子41と第2端子42は、汎用のコンセント形状を有していればよい。
【0057】
図15は、交流・直流両用スイッチ1の入力側と出力側のそれぞれに整流部6及び電源部7を設けた構成例を示す。このような構成によれば、また、交流・直流両用スイッチ1の入力側と出力側が限定されず、いずれの側に負荷または電源を接続してもスイッチとして機能させることができる。さらに、例えば、直流電源3として蓄電池を用い、負荷4としてモータを制御する場合など、負荷自体が電源となりうるようなシステムに適用させることも可能である。すなわち、通常、モータは蓄電池からの電力で駆動されるが、空転時には発電機として電力を発生させることができる。その時は、モータが電源となり、蓄電池が負荷となって、モータで発電された電力で蓄電池を充電することができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る交流・直流両用スイッチ1によれば、開閉部を構成するスイッチ素子として、入力される電流や電圧に対する方向依存性を持たない双方向半導体スイッチ素子51を用いたので、交流配電システム及び直流配電システムのいずれにも使用可能である。また、直流配電システムに使用された場合であっても、機械的な開閉スイッチを用いていないので、アークを発弧させることなく開閉が可能である。さらに、アークを消弧させるための機構が不要であり、且つ、半導体素子の小型化により、既存の交流配電システム用スイッチとの置き換えが可能である。なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、図示された各構成例を任意に組み合わせうることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1 交流・直流両用スイッチ
2 交流電源
3 直流電源
4 負荷
5 開閉部
6 整流部
7 電源部
8 制御部
9 駆動部
10 操作部
21 入力側の第1端子
22 入力側の第2端子
41 出力側の第1端子
42 出力側の第2端子
51 双方向半導体スイッチ素子
52,53 補助スイッチ素子
61,62 半波整流回路のダイオード
71 電源種類判別部
72 電源種類表示部
82,83 外部装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源又は直流電源と負荷の間に接続され、負荷への電力供給を制御する交流・直流両用スイッチであって、
電源に接続される入力側の第1端子と負荷に接続される出力側の第1端子との間に直列接続されたトランジスタ構造の双方向半導体スイッチ素子と、
前記入力側の第1端子と入力側の第2端子の間に並列に接続された整流部と、
前記整流部からの出力電圧を安定した所定の電圧に変換ための電源部と、
前記電源部から供給される電力によってこの交流・直流両用スイッチの全体を制御する制御部と、
前記制御部からの制御信号に応じて前記双方向半導体スイッチ素子を導通させる駆動部と
を備えたことを特徴とする交流・直流両用スイッチ。
【請求項2】
前記双方向半導体スイッチ素子は、2つの高耐圧縦型トランジスタ構造のスイッチ素子を逆接続した構造を有することを特徴とする請求項1に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項3】
前記双方向半導体スイッチ素子は、
電源及び負荷に対してそれぞれ直列に接続され、基板表面上に形成された第1電極及び第2電極と、
少なくともその一部分が前記基板表面上に形成され、前記第1電極の電位及び前記第2電極の電位に対して中間電位となる中間電位部と、
少なくともその一部分が前記中間電位部上に接続され、前記中間電位部に対して制御を行うための制御電極を備えた横型のシングルゲートトランジスタ構造を有し、
前記中間電位部及び前記制御電極が、前記第1電極及び前記第2電極に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項4】
前記双方向半導体スイッチ素子は、
電源及び負荷に対してそれぞれ直列に接続され、基板表面上に形成された第1電極及び第2電極と、
少なくともその一部分が前記基板表面上に形成され、それぞれ独立した制御信号が入力される第1制御電極及び第2制御電極を備えた横型のデュアルゲートトランジスタ構造を有し、
前記第1制御電極と前記第2制御電極が所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項5】
前記整流部は、半波整流回路であり、前記整流部を構成するダイオードのアノードが前記入力側の第1端子に接続され、前記直流電源の正極が前記入力側の第1端子に接続されたときにのみ動作可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項6】
前記出力側の第1端子と出力側の第2端子の間に並列に接続された第2整流部と、該第2整流部からの出力電圧を安定した所定の電圧に変換するための第2電源部をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項7】
前記入力側の第1端子と前記入力側の第2端子に接続された電源の種類が交流か直流かを判別する電源種類判別部をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項8】
前記電源種類判別部は、交流電圧のゼロクロスを検出したときに、電源の種類が交流であると判断することを特徴とする請求項7に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項9】
前記電源種類判別部により電源の種類が交流であると判断された場合、前記制御部は、前記電源種類判別部によるゼロクロス検出と同期させて前記双方向半導体スイッチ素子を導通させるための制御信号を出力することを特徴とする請求項8に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項10】
前記双方向半導体スイッチ素子に開閉接点を有する補助スイッチ素子が並列接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項11】
前記双方向半導体スイッチ素子に開閉接点を有する補助スイッチ素子が直列接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項12】
外部装置との間で送受信するための通信機能部をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項13】
前記通信機能部は、電力線に接続された外部装置から電力に重畳させて送信された制御信号を検出することを特徴とする請求項12に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項14】
前記入力側の第1端子と出力側の第2端子との間に直列接続された第2双方向半導体スイッチ素子をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項15】
前記出力側の第1端子と出力側の第2端子はコンセント形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項1】
交流電源又は直流電源と負荷の間に接続され、負荷への電力供給を制御する交流・直流両用スイッチであって、
電源に接続される入力側の第1端子と負荷に接続される出力側の第1端子との間に直列接続されたトランジスタ構造の双方向半導体スイッチ素子と、
前記入力側の第1端子と入力側の第2端子の間に並列に接続された整流部と、
前記整流部からの出力電圧を安定した所定の電圧に変換ための電源部と、
前記電源部から供給される電力によってこの交流・直流両用スイッチの全体を制御する制御部と、
前記制御部からの制御信号に応じて前記双方向半導体スイッチ素子を導通させる駆動部と
を備えたことを特徴とする交流・直流両用スイッチ。
【請求項2】
前記双方向半導体スイッチ素子は、2つの高耐圧縦型トランジスタ構造のスイッチ素子を逆接続した構造を有することを特徴とする請求項1に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項3】
前記双方向半導体スイッチ素子は、
電源及び負荷に対してそれぞれ直列に接続され、基板表面上に形成された第1電極及び第2電極と、
少なくともその一部分が前記基板表面上に形成され、前記第1電極の電位及び前記第2電極の電位に対して中間電位となる中間電位部と、
少なくともその一部分が前記中間電位部上に接続され、前記中間電位部に対して制御を行うための制御電極を備えた横型のシングルゲートトランジスタ構造を有し、
前記中間電位部及び前記制御電極が、前記第1電極及び前記第2電極に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項4】
前記双方向半導体スイッチ素子は、
電源及び負荷に対してそれぞれ直列に接続され、基板表面上に形成された第1電極及び第2電極と、
少なくともその一部分が前記基板表面上に形成され、それぞれ独立した制御信号が入力される第1制御電極及び第2制御電極を備えた横型のデュアルゲートトランジスタ構造を有し、
前記第1制御電極と前記第2制御電極が所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項5】
前記整流部は、半波整流回路であり、前記整流部を構成するダイオードのアノードが前記入力側の第1端子に接続され、前記直流電源の正極が前記入力側の第1端子に接続されたときにのみ動作可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項6】
前記出力側の第1端子と出力側の第2端子の間に並列に接続された第2整流部と、該第2整流部からの出力電圧を安定した所定の電圧に変換するための第2電源部をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項7】
前記入力側の第1端子と前記入力側の第2端子に接続された電源の種類が交流か直流かを判別する電源種類判別部をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項8】
前記電源種類判別部は、交流電圧のゼロクロスを検出したときに、電源の種類が交流であると判断することを特徴とする請求項7に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項9】
前記電源種類判別部により電源の種類が交流であると判断された場合、前記制御部は、前記電源種類判別部によるゼロクロス検出と同期させて前記双方向半導体スイッチ素子を導通させるための制御信号を出力することを特徴とする請求項8に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項10】
前記双方向半導体スイッチ素子に開閉接点を有する補助スイッチ素子が並列接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項11】
前記双方向半導体スイッチ素子に開閉接点を有する補助スイッチ素子が直列接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項12】
外部装置との間で送受信するための通信機能部をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項13】
前記通信機能部は、電力線に接続された外部装置から電力に重畳させて送信された制御信号を検出することを特徴とする請求項12に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項14】
前記入力側の第1端子と出力側の第2端子との間に直列接続された第2双方向半導体スイッチ素子をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【請求項15】
前記出力側の第1端子と出力側の第2端子はコンセント形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の交流・直流両用スイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−4493(P2011−4493A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144382(P2009−144382)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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