説明

人体の姿勢保持装置とその製造方法

【課題】 体位支持に有効なクッション性と通気性の両特性を両立させ、体位支持機能を向上せしめた装置の開示を課題とする。
【解決手段】 体位支持装置の機能部を分割的に積層構造とし、中間積層部を反撥・弾力・復元性を有する軟質材により、クッション性を有する空気供給通気機能部として位置付けし、中層の空気供給通気部上層または上・下層面を、別の通気性を有する任意な緩衝材料(例えば発泡ウレタン材)で囲包して体位支持部を構成する事とし、分割的に構成した各層の複合的クッション作用と、空気供給通気層分よりの通気作用による体位支持部の熱交換作用促進効果により、体位支持部の体温蓄熱条件を緩和改善し、支持体部の沈み度の調整をも可能とした体位の支持装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は枕や布団類等体位支持に必要なクッション機能と通気機能を両立する技術手段と、その装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日常の生活に必要な体位支持用具の内、枕、マット類は休息・安眠を得るために適度なクッション性と体温調整機能(保温性・通気性)が必要とされている。そしてこの目的を達成しうる技術として発泡ウレタン技術が開発され、低反撥、高反撥等の各種ウレタンクッション製品が生活用具に多用され今日に至っているが、発泡ウレタン組織は断熱保温とクッション性で卓抜な効力を有するも、組織中の通気空間が微細なため、体位支持部の熱交換作用(体温調整、発汗防止等に必要な空気の流動性)が不充分であり、クッション部の厚さを増すほど更に通気が低下するので、体位支持部温度が高まり、頭寒足温の安眠健康の基本睡眠状態が得られない問題を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
即ち、その一例として現在の発泡ウレタン製の枕を使用した場合、頭部の深い沈み現象に加え、支持部の通気性も周囲ウレタン組織の圧迫によって更に低下するので、頭部支持域(面)温度が人体温度と同温化し、結果的に温度とムレによる寝苦しさを感ずるため安眠は阻害され、更に発汗因が生じ、頭部や全身の衛生面にも問題となる。
これの改善対策として近時は発泡ウレタンクッション部に通気用空気穴を設ける等の製品が視られるが、ウレタンクッション組織に直接空気穴を設ける事は、クッション性を変化させ支持部の沈み込み量が更に大きくなる事や、ウレタン組織を分裂弱化させる事になり、かつ穴部のみの空気導入では、通気による熱交換作用が限定され充分に効果の得られない問題を有する事から、更なる改善技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明者は体位支持装置に関し必要不可欠な緩衝性と通気性との両特性を最大に活用する手段として、従来使用されている枕や布団類の基本構造を抜本的に改善し、従来両立し難いとされていたクッション性と通気性との両立を軟質弾性中空通気構造と積層構造によって改善する事とした。
【0005】
従ってこの課題を解決するための第1の発明は、上・中・下の積層構成とした支持装置の中層部を側面に多孔を有する楕円・偏角・変形等の円筒状内層部とし、この内層部を軟質・弾力・復元性を有する(例えばエラストマ、ゴムパイプ等)材料で形成して緩衝性通気用回路部とし、この回路部を通気クッション性を有する発泡ウレタンシートや別の緩衝材で包囲する事により、体位支持用枕の中層域より周域に対して空気流通を均等的に促進した事を特徴とする通気性姿勢支持装置の基本構造である。
【0006】
また、異径複数の通気用円筒部を中層部に並列に配備する事により、軟質で復元性を有するこの空気路と、これを囲み上下部に位置付けされる緩衝マット部との多重の複合的クッション作用とが適度な体部の沈み度の制御を可能とし、抜群に通気性を向上せしめることにより、支持部の熱交換作用を促進する事にある。
【0007】
2番目の発明は多層構造とした体位支持部の上部層を小球の固体集合流動体のセル部を配備した体圧分散作用部とし、これを支持する中層部に通気性を有するクッション部を構成し、更にその下層部に上部方面に空気を供給するための回路部を構成した体位支持装置の構造である。
【0008】
3番目の発明は軟質筒状空気流部を小径の円筒配列で構成するか、または波形多孔板か、あるいはプラスチック材によって通気多孔回路状に形成し、これを座布団等の座位支持ウレタンクッション部の底部に配備する事で、座位面全体に裏面より均等に通気作用を行なわしめる通気促進方法とその構造にある。座位面の通気性を促進向上せしめる事によれば、座位姿勢において体位支持部のムレや発汗問題が大きく改善され、快適な体位支持条件が保持される事になる。
【0009】
4番目の発明は前記特許請求項1・2・3記載の構成において中空の通気容積部と、これを囲成するクッション材部や外装覆布のそれぞれを分離できる構造とし、各部の洗浄・乾燥等が行なえる衛生・清潔重要視の構造としたことにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下実施例を参照し、本発明の詳細を説明する。
【0011】
図1のイ・ロ・ハは本発明になる枕や体位支持装置の構成説明例図であり、図2は本発明の別の実施例である。
【0012】
図3は座席マット類の別の構成例を示す。
【0013】
図1のイ・ロ・ハに示すごとく体位支持装置(1)の断面構成は、上(a)・中(b)・下(c)の各層により積層的に形成され、軟質で弾力性・復元性を有する円筒状通気容積部(2)が(A)(B)(C)(D)(E)と並列に配備されている。このエラストマ等で軟状で形成されている各円筒壁には多数の通気孔(3)が設けられ、並列に配備された(A)(B)(C)(D)(E)の通気円筒部は、更にその周囲をクッション用発泡通気性緩衝材(4)によって囲成され、通気性体支持装置の本体部を形成している。
【0014】
この体支持本体部は更に通気性を有するカバー等で製品化されるので、両端の円筒開放端等は覆布され、緩衝性・通気条件が整合両立された実用製品として市場に提供することが出来る。
【0015】
図2に示す座席装置(5)は断面(6)で示すごとく床面(7)に接する下層部分が、本発明に基づき底面部(8)よりの空気供給(回路)として可撓性パイプを並列に間隙を有して配備する事や、波形多孔プレートもしくはプラスチック成型による空気導入回路部として底面部(9)に設けられ、座席クッション面に対する均等な通気性を確保している。そしてクッション上部層には小球体の集合セル部(10)による固体流動通気部が配備され、座位面の体圧分散作用が通気流動雰囲気によって行なわれる仕組みである。
【0016】
本発明によれば上・中・下のクッション材間に空気供給層を設けた技術手段により、クッション性や体位支持条件を拡め、かつ空気による体位支持部の熱交換作用をも向上させるので、体位支持部温度の抑制が可能となった。また中層の空気供給部を軟性の弾力・復元材で構成することにより、この中層部もクッション作用を有することから、これを囲成する部分を発泡ウレタン以外の緩衝性を有する他の材料で囲包し、体位支持に適した装置を構成することが可能となった。
【0017】
本発明は体位支持装置の中層域を空気流通部とし、その上下部各面に任意な通気性緩衝材を配備して、その多層複合のクッション作用と通気促進による熱交換作用の冷却効果を特徴とした技術であり、各部を分離し洗浄等を可能とした衛生重視の体位支持装置である。
【0018】
人間の生活サイクルにおいて就寝時の安眠条件に関わり、枕等の体位支持機能は重要である。本発明を応用する事によって体位支持部の機能が改善され、温度・湿度の制御が可能となったことにより座位や車椅子を長時間利用する人々のムレによる不快感が解決し、褥瘡等の予防と、その治療回復にも役立つ理想的体位支持装置が具現化する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例を示す体位支持装置の側断面図である。(イ)は中層回路構成例であり、(ロ)は(イ)とは別の回路構成であり、(ハ)は(イ)(ロ)と別の構成例である。
【図2】別の実施例を示す側断面図である。
【図3】別の実施例を示す側断面図である。
【図4】別の実施例を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1…体位支持用枕
2…偏平通気容積部
3…通気孔
4…通気性ウレタン材
5…座席装置
6…断面図
7…床面
8…底面部
9…底面支持部
10…小球体の集合による流動セル部
a…多層構成の上部域
b…多層構成の中層域
c…多層構成の下層域
A…軟性反撥復元性を有する空気通気筒
B…軟性反撥復元性を有する空気通気筒
C…軟性反撥復元性を有する空気通気筒
D…軟性反撥復元性を有する空気通気筒
E…軟性反撥復元性を有する空気通気筒」

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体位支持装置を上・中・下等の積層構造とし、その中層部を軟質・弾力・復元性を有する材料により筒状の空気供給通気回路を筒面に複数の通気孔を設けて構成し位置付けするか、あるいは中層部の両端開放域から空気の流通が行なわれるよう角型や円型の断面を有する空気流通回路構造とし、この通気構造の中層部を通気性を有する素材で囲包し、上・中・下各部のクッション性・緩衝反撥性の整合作用と、中層部よりの空気供給通気作用を促進したことにより、受体部の熱交換作用を向上せしめた積層間空気供給式体位支持装置。
【請求項2】
体位支持装置を上・中・下の各部で層的に構成する事とし、上部層を小球集合体による固体の通気流動雰囲気場として体圧の分散を行なう場とし、中層部を通気反撥性を有する材料のマット状クッション部とし、その下部層に上面に対し空気を供給すべく軟質可撓性・復元性を有する材料で空気供給用空間回路を形成する事とし、上部クッション受体部に対し下部の空気供給回路部より、任意な温度の空気を必要に応じて供給し得る機能を有する積層構造の体圧分散機能付き体位支持装置。
【請求項3】
多層構造とした体位支持部の中層域を多孔状で軟質・弾力・復元性を有する複数の円筒状通気部を並べ、その外域を通気性・クッション性を有する発泡ウレタン材で囲成するか、または中層部を他の層よりも通気性の大なる構造とし位置付けするかにより、加圧による体位支持部沈下度を制御するとことと、通気性を向上せしめた事を特徴によって、受体部の沈み防止とムレの防止機能を有する多層構造による体位支持方法。
【請求項4】
体位支持部内に空間域を有する前記特許請求項1・2・3記載の体位支持装置において、中子容積部内に安眠作用やストレス解消に有効な香剤の収納や、各部を清掃・洗浄し得るよう組み合わせ構造とした体位支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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