説明

人体内部のインピーダスを測定するための電極装置、およびそれを使用して人体内部のインピーダンスを測定し治療を行う装置

本発明は、人体内部のインピーダンスを測定する電極素子と、それを使用して人体内部のインピーダンスを測定し、測定されたインピーダンスを用いて鍼治療を行う装置に関し、この装置は、人体内部の経線の場所を正確かつ自動的に特定することが可能でるとともに、特定された場所の3次元画像を形成し、鍼治療を正確に実施することを可能にする。人体のインピーダンスを測定するための電極素子は、円筒形ハウジング部材であって、その開口側に装着されたガイドロッドを備える、前記円筒形ハウジング部材;人体の皮膚に押しつけられて、前記ガイドロッドに沿って開口側を通り前後に動くように構成された、円筒形電極部材;および前記円筒形電極部材と前記円筒形ハウジング部材の間に挟まれて、前記円筒形電極部材を前記ガイドロッドに沿って前後に弾力的に動かす、弾性部材を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人を含む被験体のインピーダンスを測定し、その被験体の特定の状態を治療する装置に関する。より具体的には、本発明は、人体のインピーダンスを測定して人体の特定の状態を治療する装置であって、人体の刺鍼点(acupuncture point、経穴)の場所を正確かつ自動的に特定し、3次元画像としてその場所を表示して、場所特定/表示された刺鍼点を用いて鍼治療を容易にする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
刺鍼法は、人体の刺鍼点を物理的(例えば、機械的または電気的)に刺激して、人体の特定の機能を変化させることによって、人体(例えば脳)の特定の状態を治療する。刺鍼法の治療効果は、刺鍼点の場所が正確に特定されているかどうかに応じて変わる。開業医は、過去の経験および個人的な技法によって刺鍼点の場所を特定する。
【0003】
近年、電気インピーダンストモグラフィ(EIT)が提案されて、いくつかの理由から医療用イメージング技法として使用されている。第1に、EITを用いるハードウエアシステムは高価ではない。第2に、EITは非破壊であり、被験体(例えば、人体)に対して安全である。第3に、検索画像の空間解像度は低いものの、EITによって得られる時間解像度は、X線またはMRIによるものよりも大きい。
【0004】
人体の刺鍼点は、解剖学的には2次元的である。異なる人体では、神経組織および軟部組織の分布パターンが異なる。したがって、人体の刺鍼点の場所の特定は、医療専門家の経験に頼りがちである。EITは、工学的な観点から人体の刺鍼点を解析する。
【0005】
EITによれば、10〜100kHzで数ミリボルトの電流が、人体中に流されて、この電流に応じた人体の抵抗が測定される。人体の刺鍼点のインピーダンスは、刺鍼点の周囲の組織のインピーダンスよりも低い。人体の横断面の電気的特性を明らかにするために、複数の電極が人体に取り付けられて、あるレベルの電流が、所定の順序で人体中に流され、その電流に応じた抵抗データが測定され、その抵抗データが画像として表示される。
【0006】
従来技術の電気インピーダンストモグラフィについて、図面を参照して説明する。図1〜4は、その従来技術の電気インピーダンストモグラフィにおける、人体の抵抗データを画像化する原理を示す。
複数の電極が人体に取り付けられる。電流が、順次、人体中に流される。結果として得られる抵抗データが測定されて、画像として表示される。図1に示すように、例えば、2×2の入力電極(S、s)と受信電極(R、r)が人体に取り付けられ、電流が流されて、結果として生じる抵抗が測定される。
【0007】
詳細には、図1に示すように、並列入力電極(S1、S2)、並列受信電極(R1、R2)、垂直入力電極(s1、s2)、および垂直受信電極(r1、r2)が被験体に取り付けられる。次いで、図2に示されるように、並列入力電極(S1、S2)から並列受信電極(R1、R2)へと電流が流されて、水平方向のインピーダンスが測定される。図3に示されるように、垂直入力電極(s1、s2)から垂直受信電極(r1、r2)へと電流が流されて、垂直方向のインピーダンスが測定される。結果として、図4に示されるように、人体のインピーダンスの分布を、逆非線形データ処理によって推定することができる。
【0008】
通常、EIT装置は、例えば、皮膚(例えば、足首、手首、その他)を取り囲むことによって、人体の皮膚に取り付けるように設計された、円筒形電極を備える。電極が皮膚に取り付けられた後に、電流が順次、人体中に流されて、結果として生じる抵抗が測定される。例えば、測定された垂直および水平の抵抗値は、すべての体の抵抗の合計である。体の特定の横断面についての、抵抗データの分布を検出することができる。あるいは、既知の抵抗分布データから、電流の強度に基づいて電圧分布を計算することが可能であり、それによって等ポテンシャル線を表示することができる。
【0009】
しかしながら、従来技術型EIT装置には、次のような問題がある。第1に、人体の骨格が画像化されるので、データ処理を実行するのに長時間を要する。第2に、電極を人体に取り付ける方法によっては、刺鍼点の画像の解像度が、非常に低くなる可能性がある。第3に、刺鍼点は実時間で検出できるが、検出点を用いて鍼治療を実行することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の問題を解決するために、本発明は、人体のインピーダンスを測定するための電極素子、およびこの電極素子を備える装置を提供する。この電極素子および装置は、人体の刺鍼点(経線(meridians))の場所を、自動的かつ正確に特定し、それらの点を3次元画像として表示し、所望の場所で正確な鍼治療を行うことを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一観点において、本発明は、人体のインピーダンスを測定するための電極素子であって、円筒形ハウジング部材であって、その開口側に装着されたガイドロッドを備える、前記円筒形ハウジング部材;人体の皮膚に押しつけられて、前記ガイドロッドに沿って開口側を通り前後に動くように構成された、円筒形電極部材;および前記円筒形電極部材と前記円筒形ハウジング部材の間に挟まれて、前記円筒形電極部材を前記ガイドロッドに沿って前後に弾力的に動かす、弾性部材を備える、前記電極素子を提供する。
【0012】
態様によっては、円筒形電極部材は、導電性材料で製作された電極、または導電性材料で被覆された電極である。導電性材料は、例えば、金とすることができる。
態様によっては、円筒形電極部材と円筒形ハウジング部材との間の係合が容易になるように、突起部が、前記円筒形電極部材の開放端に形成されている。
態様によっては、円筒形ハウジング部材は、導電性材料で製作されているか、または導電性材料で被覆された電極である。
【0013】
態様によっては、第1の突起部が、円筒形ハウジング部材の開口側に形成されており、第2の突起部が、円筒形ハウジング部材の反対側に形成されている。
態様によっては、弾性部材は導電性材料で製作されている。この弾性部材は、例えば、ばねとしてもよい。
【0014】
別の観点では、本発明は人体のインピーダンスを測定する装置であって、格子構造に形成された複数の電極穴と、格子構造に形成された複数の第1の針穴とを有する基板であって、前記電極穴と前記第1の針穴が交互に配列されている、前記基板;前記電極穴に装着された複数の電極;および前記電極に接続されている、第1及び第2の電線路を含む、前記装置を提供する。
態様によっては、2つの隣接する電極穴間の距離と、2つの隣接する第1の針穴間の距離は、5mm〜20mmの範囲に設定される。
【0015】
態様によっては、前記装置は、基板と係合して電極素子と、第1および第2の電線路とを保護するように構成されたカバーをさらに備えてもよい。好ましくは、このカバーは、複数の第2の針穴を含み、前記カバーが基板と係合されるときに、前記第2の針穴のそれぞれを前記基板の前記第1の針穴のそれぞれの上に位置決めすることができるように、前記複数の第2の針穴が配列されている。好ましくは、第2の針穴の外側幅は、その内側幅よりも大きく設計されている。
【0016】
態様によっては、カバーには、少なくとも1つの識別部材が設けられている。好ましくは、カバーはシリコーン製としてもよい。
態様によっては、カバーは、半球または円筒に成形してもよい。好ましくは、このカバーは、それぞれが第1の針穴と第2の針穴とを接続する、複数のガイド穴部材をさらに含んでもよい。
【0017】
態様によっては、第1の電線路が、X軸の方向において、それぞれの電極素子とそれぞれの第1の針穴との間に形成されているとともに、第2の電線路が、Y軸の方向において、それぞれの電極素子とそれぞれの第1の針穴との間に形成されている。
態様によっては、第1の電線路は入力電極に接続されており、第2の電線路は受信電極に接続されている。
【0018】
別の観点において、本発明は、人体のインピーダンスを測定する装置であって、 複数の電極穴と複数の第1の針穴とを含む円形基板であって、前記電極穴と前記第1の針穴とが偏心して交互に形成されている、前記円形基板;前記電極穴に装着された複数の電極;および前記電極に接続された第1および第2の電線路を含む、前記装置を提供する。好ましくは、第1の電線路および第2の電線路は、電極装置に交互に接続されていてもよい。
【0019】
さらに別の観点では、本発明は、人体のインピーダンスを測定する装置であって、複数の部分を有する基板であって、隣接する2つの部分はその間に所定の距離を有して放射状に設けられており、それぞれの部分が複数の電極穴と複数の第1の針穴を有し、前記電極穴と前記第1の針穴が交互に設けられている、前記複数の部分を有する基板;前記電極穴に装着された複数の電極;および前記電極穴に交互に接続された第1および第2の電線路を含む、前記装置を提供する。好ましくは、第1の電線路が入力電極に接続され、第2の電線路が受信電極に接続されてもよい。
【0020】
さらに別の観点においては、本発明は、人体のインピーダンスを測定する装置であって、複数の部分を有する基板であって、隣接する2つの部分はその間に所定の距離を有して放射状に設けられており、それぞれの部分が複数の電極穴と複数の第1の針穴を有し、前記電極穴と前記第1の針穴が前記基板の中心に対して交互に装着されている、前記複数の部分を有する基板;前記電極穴に装着された複数の電極素子、および前記電極穴に交互に接続された第1および第2の電線路を含む、前記装置を提供する。好ましくは、第1の電線路は、入力電極に接続し、第2の電線路を受信電極に接続してもよい。
【0021】
さらに別の観点では、本発明は、人体のインピーダンスを測定する装置であって、2つの隣接する穴の間に所定の距離を有して放射状に設けられた、複数の放射状穴を有する基板であって、2つの隣接する放射状穴の間には複数の電極穴と複数の第1の針穴とを有する、前記基板;前記電極穴に装着された複数の電極素子;および前記電極素子に交互に接続された第1および第2の電線路であって、前記電極穴および前記第1の針穴が基板の中心に対して交互に装着されている、前記第1および第2の電線路を含む、前記装置を提供する。好ましくは、第1の電線路を、入力電極に接続し、第2の電線路を受信電極に接続してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以下のものを含む効果をもたらす。第1に、刺鍼点の場所についてのデータを容易かつ迅速に取得することができる。第2に、人体の皮膚の曲率にかかわらず、刺鍼点の場所を正確に特定することができる。第3に、装置が接触する皮膚にかかわらず、刺鍼点の場所を特定して、解像度の低下なしに表示することができる。第4には、刺鍼点についてのデータを、CT装置またはMRI装置と組み合わせて3次元画像として表示することができる。第5としては、刺鍼点の場所を自動的に特定できるとともに、場所特定された点に従って鍼治療を実行することが可能であり、このことによってユーザは、十分な経験がなくても装置を使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来式電気インピーダンストモグラフィにより、人体の抵抗を画像として表示する原理を示す図である。
【図2】従来式電気インピーダンストモグラフィにより、人体の抵抗を画像として表示する原理を示す図である。
【図3】従来式電気インピーダンストモグラフィにより、人体の抵抗を画像として表示する原理を示す図である。
【図4】従来式電気インピーダンストモグラフィにより、人体の抵抗を画像として表示する原理を示す図である。
【図5】本発明の第1の態様による、人体のインピーダンスを測定するための電極素子の分解状態を示す横断面図である。
【図6】図5の電極素子の組立状態を示す横断面図である。
【図7】図5の電極素子の応用例を示す横断面図である。
【図8】本発明の第1の態様による、人体のインピーダンスを測定する装置の斜視図である。
【図9】図8の装置の底部の斜視図である。
【図10】例示的なカバーを備える、図8の装置を示す斜視図である。
【図11】例示的なカバーを備える、図5の装置の底部を示す斜視図である。
【0024】
【図12】図10および11のカバーの穴を示す、拡大図である。
【図13】別の例示的なカバーを備える、図8の装置を示す斜視図である。
【図14】さらに別の例示的なカバーを備える、図8の装置を示す斜視図である。
【図15】図13および14のカバーのガイド穴部材を示す拡大図である。
【図16】本発明による装置が柔軟性を有することを説明する図である。
【図17】本発明による装置が柔軟性を有することを説明する図である。
【図18】さらに別の例示的なカバーを備える、図8の装置を示す斜視図である。
【図19】さらに別の例示的なカバーを備える、図18の装置の底部を示す斜視図である。
【図20】図18および19のカバーのガイド穴部材を示す拡大図である。
【図21】本発明の第1の態様による装置の電極素子および電線路を示す図である。
【図22】本発明の第2の態様による人体のインピーダンスを測定する装置の斜視図である。
【図23】図22の装置の底部の斜視図である。
【図24】図22の装置の電極素子および電線路を示す図である。
【図25】本発明の第3の態様による装置の平面図である。
【図26】本発明の第4の態様による装置の平面図である。
【0025】
図面に記載する参照番号は、下記においてさらに考察する以下の要素の参照を含む。
10:ハウジング部材
11:ガイドロッド
20:弾性部材
30:円筒形電極部材
100:基板
110:電極穴
120:第1の針穴
130:放射状穴
200:電極素子
300、310:電線路
400、500、600:カバー
410、510、610:第2の針穴
420、520、620:接続穴
430、530、630:識別部材
【0026】
本発明の形態
次に、本明細書に添付されている図面にその例が示されている、本発明の好ましい態様を詳細に参照するが、全体を通して同一参照番号は、同一要素を指している。 図を参照することによって本発明を説明するように、これらの態様について以下に記述する。
【0027】
本文で使用される用語は、本文で断らない限り、当該技術において一般的に使用されるものであり、そのような場合には、そのような用語は明細書に記載され、その記載に応じて解釈されるべきである。また、当業者には知られており、本発明に直接的に関係しない主題の詳細な説明は、簡単にするために省略されている。
図5は、本発明の第1の態様による、人体のインピーダンスを測定するための電極素子の分解状態を示す横断面図であり、図6は、図5の電極素子の組立状態を示す横断面図である
【0028】
第1の態様による電極素子は、図5および6に示すように、円筒形ハウジング部材(10)、円筒形電極部材(30)、および弾性部材(20)を含む。円筒形ハウジング部材(10)は、その開口側に装着された、ガイドロッド(11)を含む。円筒形電極部材(30)は、人体の皮膚に対して押し付けられて、ガイドロッド(11)に沿って開口側を通り前後に動くように構成されている。弾性部材(20)は、円筒形電極部材(30)と円筒形ハウジング部材(10)の間に挟まれており、円筒形電極部材(30)を弾力的に前後に動かす。
【0029】
円筒形電極部材(30)は、導電性材料で製作された電極とすることができる。円筒形電極部材(30)はまた、導電性材料で被覆された電極とすることもできる。導電性を示す任意の材料を、当該導電性材料として使用することができる。好ましくは、当該導電性材料は、人体に対して無毒性である。一例として、金製の電極または金被覆の電極を使用することができる。円筒形電極部材(30)は、開放端を有する。突起部(31)が、円筒形電極部材(30)の開放端に形成されている。突起部(31)は、円筒形電極部材(30)と円筒形ハウジング部材(10)との間の係合を容易化することのできる、任意の形状に形成してもよい。
【0030】
円筒形ハウジング部材(10)は、導電性材料で製作することができる。円筒形ハウジング部材(10)はまた、導電性材料で被覆された電極とすることもできる。導電性を示す任意の材料を、当該導電性材料として使用することができる。一例として、金製の電極または金で被覆された電極を使用することができる。また、銅線または鉄線を使用することができる。第1の突起部(12)が、円筒形ハウジング部材(10)の開放側に形成される。第1の突起部(12)は、円筒形電極部材(30)と円筒形ハウジング部材(10)との係合を容易化することのできる任意の形状に形成される。第2の突起部(13)は、円筒形ハウジング部材(10)の反対側に形成される。
【0031】
弾性部材(20)は、弾性特性を示すことのできる任意の材料で製作することができる。弾性材料はまた、導電性材料とすることもできる。一例として、ばねを使用することができる。
図7は、図5の電極素子の応用例を示す横断面図である。図7に示すように、円筒形電極部材(30)が、人体の皮膚に対して押し付けられると、円筒形電極部材(30)は、皮膚の曲率に応じて、弾性部材(20)によってガイドロッドに沿って動かすことができる。したがって、皮膚に接触させられる円筒形電極部材の深さを、ある値に設定することができる。これによって、皮膚に接触させられた電極素子の深さが一定でないために、インピーダンスを正確に測定できないという、従来技術の問題を回避することができる。参照番号100は、本発明による電極素子が装着されている、基板を指している。
【0032】
図8は、本発明の第1の態様による、人体のインピーダンスを測定する装置の斜視図であり、図9は、図8の装置の底部の斜視図である。図8および9に示すように、第1の態様による装置は、基板(100)および複数の電極素子(200)を含む。基板(100)は、複数の電極穴(110)および複数の第1の針穴(120)を有する。電極穴(100)は、X−Y格子構造に配列されている。第1の針穴(120)は、それらが電極穴(100)と交互に配列されるように、X−Y格子構造に配列されている。電極素子はそれぞれ、それぞれの電極穴(110)に装着される。電極素子は、複数の第1および第2の電線路(300、310)に接続されており、これらの電線路については図21を参照して詳細に説明する。基板(100)は、人体の皮膚の曲率に応じて基板を湾曲させることのできる任意の軟質材量で製作することができる。一例として、基板(100)は、シリコーン製とすることができる。
【0033】
2つの隣接する電極穴の間の距離、および2つの隣接する第1の針穴の間の距離は、特定の値に限定されない。好ましくは、これらの距離は、5mm〜20mmの範囲に設定することができる。
それぞれの第1の針穴の幅は、特定の値に限定されない。それは、針の種類および/または刺鍼の目的に応じて適当に設定することができる。
【0034】
図10は、例示的なカバーを備える、図8の装置を示す斜視図であり、図11は、このカバーを備える装置の底部を示す斜視図である。例示的カバー(400)は、図10および11に示すように、基板(100)と係合して、電極素子(200)と第1および第2の電線路(300、310)とを保護するように構成されている。カバー(400)は、複数の第2の針穴(410)を有する。第2の針穴(410)は、カバー(400)が基板(100)と係合されるときに、それぞれの第2の針穴(410)が基板(100)のそれぞれの第1の針穴(120)の上に位置決めされるように、カバー(400)内で配列されている。第2の針穴は、第1の針穴と同一の幅となるように設計することができる。
【0035】
好ましくは、図12に示すように、第2の針穴(410)は、外側幅が内側幅よりも大きくなるように設計することが可能であり、このことによって、ユーザが第2の針穴(410)に針を挿入するのが容易になる。態様によっては、少なくとも1つの識別部材(430)をカバー(400)の上に設けて、ユーザがカバー(400)を取り扱うのを容易にしてもよい。カバー(400)は、上記の機能を発揮できる任意の材料で製作することができる。一例として、それはシリコーン製とすることができる。カバー(400)には、電線路をそれに通して接続することのできる、接続穴(420)が設けられる。
【0036】
図13は、別の例示的なカバーを備える、図8の装置を示す斜視図である。図13に示すように、カバー(500)は、半球の形態である。カバー(500)は、複数の第2の針穴(510)を有する。第2の針穴(510)は、カバー(500)が基板(100)と係合されるときに、それぞれの第2の針穴(510)が、基板(100)のそれぞれの第1の針穴(120)の上に位置決めできるように、カバー(500)内で配列されている。態様によっては、図16に示すように、通常条件では基板(100)は平坦であるのに対して、基板(100)は、図17に示すように、皮膚の曲率に従って湾曲するように、柔軟性を有するように設計されている。態様によっては、図15に示すように、カバー(500)は、それぞれが第1の針穴(120)と第2の針穴(510)を接続して、ユーザが針を取り扱うのを容易にする、複数のガイド穴部材(540)を含む。
【0037】
上述のように、好ましくは、第2の針穴(510)は、外側幅が内側幅よりも大きくなるように設計することが可能あり、このことによってユーザが第2の針穴(510)に針を挿入するのが容易になる。カバー(500)は、上記の機能を発揮できる任意の材料で製作することができる。一例として、カバーは、シリコーン製とすることができる。カバー(500)には、それを通して電線路を接続することのできる、接続穴(520)が設けられる。態様によっては、ユーザがカバー(500)を取り扱うのを容易にするために、少なくとも1つの識別部材(530)が、カバー(500)の上に設けられる。
【0038】
図14および18は、別の例示的なカバーを備える、図8の装置を示す斜視図であり、図19は、図18に示すカバーを備える装置の底部を示す斜視図である
図面に示すように、カバー(600)は円筒の形態である。カバー(600)は、複数の第2の針穴(610)を有する。第2の針穴(610)は、カバー(600)を基板(100)と係合させたときに、それぞれの第2の針穴(610)を、基板のそれぞれの第1針穴(120)の上に位置決めすることができるように、カバー(600)内で配列されている。態様によっては、図16に示すように、通常条件で基板(100)が平坦であるのに対して、図17に示すように、基板(100)は、皮膚の曲率に従って湾曲するように柔軟性を有して設計されている。
【0039】
態様によっては、図20に示すように、カバー(500)は、第1の針穴(120)と第2の針穴(610)を接続して、ユーザが針を取り扱いやすいようにする、複数のガイド穴部材(640)を含む。上述のように、好ましくは、第2の針穴(610)は、外側幅が内側幅よりも大きくなるように設計することが可能あり、このことによってユーザが第2の針穴(610)に針を挿入するのが容易になる。カバー(600)は、上記の機能を発揮できる任意の材料で製作することができる。一例として、カバーは、シリコーン製とすることができる。カバー(600)には、それを通して電線路を接続することのできる、接続穴(620)が設けられる。態様によっては、ユーザがカバー(600)を取り扱うのを容易にするために、少なくとも1つの識別部材(630)をカバー(600)の上に設けてもよい。
【0040】
図21は、本発明の第1の態様による装置の電極素子および電線路を示す図である。電極素子(200)および第1の針穴(120)は、それらが互いに交互するように、基板(100)上に位置決めされる。第1の電線路(300)は、X軸の方向において、それぞれの電極素子(200)とそれぞれの第1の針穴(120)の間に形成されている。第2の電線路(310)は、Y軸の方向において、それぞれの電極素子(200)とそれぞれの第1の針穴(120)の間に形成されている。
【0041】
それぞれの第1および第2の電線路(300、310)は、それぞれの電極素子(220)に接続されている。電流が、X軸およびY軸を通り、順次、流されてインピーダンスが測定される。例えば、第2の垂直線路S2を入力電極とし、第1の水平線路R1を受信電極として、第1の水平針穴H1のインピーダンスを測定することができる。また、第1の垂直線路S1を入力電極とし、第2の水平線路R2を受信電極として、第1の垂直針穴V1のインピーダンスを測定することができる。したがって、電流が、第1の垂直線路S1から第11の垂直線路S11に、順次、入力電極として作用するように流されるとともに、水平線路R1から第11の水平線路R11に、受信電極として作用するように流されれば、基板(100)の垂直および水平の針穴のすべてについて、順次、インピーダンスを測定することができる。測定されたインピーダンスは、CTまたはMRI装置と組み合わされることによって、3次元画像として表示することができる。
【0042】
図22は、本発明の第2の態様による人体のインピーダンスを測定する装置の斜視図であり、図23は、図22の装置の底部の斜視図である。図22および23に示すように、第2の態様による装置は、円形基板(100)と複数の電極素子(200)を備える。円形基板(100)は、複数の電極穴(110)および複数の第1の針穴(120)を含む。電極穴(110)および第1の針穴(120)は、図22に示されるように、偏心して、かつ交互に形成されている。電極素子(200)は、電極穴(110)に装着されるとともに、第1及び第2の電線路(300、310)に接続される。
【0043】
図24は、図22の装置の電極素子および電線路を示す図である。第1および第2の電線路(300、310)は、電極素子に交互に接続されている。電流が、順次に流されて、インピーダンスを測定する。例えば、第2の入力線路S2を入力電極とし、第12の受信線路R12を受信電極として、第1、第3、第5、および第7の針穴H1、H3、H5、およびH7を測定することができる。また、第1の入力線路S1を入力電極とし、第1の受信線路R1を受信電極として、第2、第4、および第6の針穴H2、H4、およびH6を測定することができる。したがって、電流が、第1の入力線路S1から第12の入力線路S12に入力電極として作用するように、順次、流されるとともに、第1の受信線路R1から第12の受信線路R12に入力電極として作用するように、順次、流されると、基板(100)の垂直および水平の針穴のすべてについて、インピーダンスを順次、測定することができる。
【0044】
図25は、本発明の第3の態様による装置の平面図である。この態様において、基板(100)が、2つの隣接する部分に所定の距離をもたせて、放射状に設けられた複数の部分を有する。この部分のそれぞれは、複数の電極穴および複数の第1の針穴(120)を有する。電極穴および第1の針穴は交互に装着される。電流が、順次、流されてインピーダンスを測定する。例えば、第1の入力線路S1を入力電極として、第1の受信線路R1を受信電極として、第1の針穴H1のインピーダンスを測定することができる。また、第2の入力線路S2を入力電極とし、第1の受信線路R1を受信電極として、第2の針穴H2のインピーダンスを測定することができる。したがって、電流が順次、流されれば、基板(100)のすべての針穴について、順次、インピーダンスを測定することができる。
【0045】
図26は、本発明の第4の態様による装置の平面図である。この態様において、当該装置は、基板、複数の電極素子、ならびに第1および第2の電線路を備える。基板は、2つの隣接する穴部の間に所定の距離をもたせて放射状に設けられた、複数の放射状穴部を有する。基板は、2つの隣接する放射状穴部の間に、複数の電極穴および複数の第1の針穴を有する。電極穴および第1の針穴は交互に装着されている。電極素子は、電極穴に装着されている。第1および第2の電線路は、交互に電極素子に接続されている。インピーダンスを測定する原理は、図25に関して説明した原理と類似しているので、その詳細な説明は省略する。
【0046】
本発明の特定の例示的態様についての前述の説明を、実証と説明のために提示した。それらは、網羅的であること、または本発明を開示した厳密な形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示に照らせば、多数の修正および変更が可能であることは明白である。本発明の特定の原理、およびその実際的な応用を説明して、当業者が本発明の様々な例示的な態様、ならびに本発明の様々な代替形態および修正形態を利用することを可能にするために、例示的な態様を選択し、記載した。本発明の範囲は、この明細書に添付した特許請求の範囲およびその均等物によって定義されることを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体のインピーダンスを測定するための電極素子であって、
円筒形ハウジング部材であって、その開口側に装着されたガイドロッドを備える、前記円筒形ハウジング部材、
人体の皮膚に押しつけられて、前記ガイドロッドに沿って開口側を通り前後に動くように構成された、円筒形電極部材、および
前記円筒形電極部材と前記円筒形ハウジング部材の間に挟まれて、前記円筒形電極部材を前記ガイドロッドに沿って前後に弾力的に動かす、弾性部材
を備える、前記電極素子。
【請求項2】
円筒形電極部材が、導電性材料で製作された電極、または導電性材料で被覆された電極である、請求項1に記載の電極素子。
【請求項3】
導電性材料が金である、請求項2に記載の電極素子。
【請求項4】
円筒形電極部材と円筒形ハウジング部材との間の係合が容易になるように、突起部が、前記円筒形電極部材の開放端に形成されている、請求項1に記載の電極素子。
【請求項5】
円筒形ハウジング部材が導電性材料で製作されているか、または導電性材料で被覆された電極である、請求項1に記載の電極素子。
【請求項6】
第1の突起部が、円筒形ハウジング部材の開口側に形成されており、第2の突起部が、前記円筒形ハウジング部材の反対側に形成されている、請求項1に記載の電極素子。
【請求項7】
弾性部材が導電性材料で製作されている、請求項1に記載の電極素子。
【請求項8】
弾性部材がばねである、請求項7に記載の電極素子。
【請求項9】
人体のインピーダンスを測定する装置であって、
格子構造に形成された複数の電極穴と、格子構造に形成された複数の第1の針穴とを有する基板であって、前記電極穴と前記第1の針穴が交互に配列されている、前記基板、
前記電極穴に装着された複数の電極素子、および
前記電極素子に接続された、第1及び第2の電線路を含む、前記装置。
【請求項10】
2つの隣接する電極穴間の距離と、2つの隣接する第1の針穴間の距離が、5mm〜20mmの範囲に設定される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
基板と係合して、電極素子と、第1および第2の電線路とを保護するように構成されたカバーをさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
カバーが複数の第2の針穴を含み、前記カバーが基板と係合されるときに、前記第2の針穴のそれぞれを前記基板の前記第1の針穴のそれぞれの上に位置決めすることができるように、前記複数の第2の針穴が配列されている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
第2の針穴の外側幅が、その内側幅よりも大きい、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
カバーに少なくとも1つの識別部材が設けられている、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
カバーがシリコーン製である、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
カバーが半球または円筒に成形されている、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
カバーが、それぞれが第1の針穴と第2の針穴とを接続する、複数のガイド穴部材をさらに含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
第1の電線路が、X軸の方向において、それぞれの電極素子とそれぞれの第1の針穴との間に形成されているとともに、第2の電線路が、Y軸の方向において、それぞれの電極素子とそれぞれの第1の針穴との間に形成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項19】
第1の電線路が、入力電極に接続されており、第2の電線路が受信電極に接続されている、請求項9に記載の装置。
【請求項20】
人体のインピーダンスを測定する装置であって、
複数の電極穴と複数の第1の針穴とを含む円形基板であって、前記電極穴と前記第1の針穴とが偏心して交互に形成されている、前記円形基板、
前記電極穴に装着された複数の電極素子、および
前記電極素子に接続された第1および第2の電線路を含む、前記装置。
【請求項21】
第1の電線路および第2の電線路が、電極装置に交互に接続されている、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
人体のインピーダンスを測定する装置であって、
複数の部分を有する基板であって、隣接する2つの部分はその間に所定の距離を有して放射状に設けられており、それぞれの部分が複数の電極穴と複数の第1の針穴を有し、前記電極穴と前記第1の針穴が交互に装着されている、前記複数の部分を有する基板、
前記電極穴に装着された複数の電極素子、および
前記電極穴に交互に接続された第1および第2の電線路を含む、前記装置。
【請求項23】
人体のインピーダンスを測定する装置であって、
複数の部分を有する基板であって、隣接する2つの部分はその間に所定の距離を有して放射状に設けられており、それぞれの部分が複数の電極穴と複数の第1の針穴を有し、前記電極穴と前記第1の針穴が前記基板の中心に対して交互に装着されている、前記複数の部分を有する基板、
前記電極穴に装着された複数の電極素子、および
前記電極穴に交互に接続された第1および第2の電線路を含む、前記装置。
【請求項24】
人体のインピーダンスを測定する装置であって、
2つの隣接する穴の間に所定の距離を有して放射状に設けられた、複数の放射状穴を有する基板であって、2つの隣接する放射状穴の間には複数の電極穴と複数の第1の針穴とを有する、前記基板、
前記電極穴に装着された複数の電極素子、および
前記電極素子に交互に接続された第1および第2の電線路であって、前記電極穴および前記第1の針穴が基板の中心に対して交互に装着されている、前記第1および第2の電線路を含む、前記装置。
【請求項25】
第1の電線路が、入力電極に接続されており、第2の電線路が受信電極に接続されている、請求項22〜24のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2013−511321(P2013−511321A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539792(P2012−539792)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006953
【国際公開番号】WO2011/062315
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(512133306)
【Fターム(参考)】