説明

人体器官の隣接組職連結施術用ステント

【課題】 胆嚢、膵膓などのような人体器官の隣接組職を貫通連結して内視鏡手術などのための通路、胆汁などの排水またはシャントなどを行う連結施術用ステントを提供する。
【解決手段】 胆嚢、膵膓などのような人体器官の隣接組職に孔を開けて挿入して両側端が人体組職を支持するように相互に連結施術するステントであって、超弾性形状記憶合金ワイヤを交差状に編んで多数の菱形空間部を持つように形成される中空型円筒状本体10の両側を外側に広げ、折曲部11を中心に覆して折り曲げてなる羽部15、15を本体の長手方向にテンション作用するように対向形成して、前記羽部が人体器官の隣接組職の距離または壁厚によって内外側に弾性的に移動して自動で間隔を調節しながら人体器官の隣接組職に密着するようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は胆嚢、膵膓などのような人体器官の隣接組職を貫通連結して、内視鏡手術などのための通路、胆汁などの排水またはシャント(Shunt)などを行う連結施術用ステントに係り、より詳しくは超弾性形状記憶合金ワイヤを交差状に編んで形成した中空型円筒状本体の両側を外側に拡開し、折曲部を中心として覆して折り曲げてなる羽部を本体の長手方向にテンション作用するように対向形成することで、前記羽部が人体器官の隣接組職の距離または壁厚によって内外側に対向するように弾性的に移動して自動で間隔を調節しながら密着するので、隣接組職の間隔または厚さに関係なく適用して設置することができるのはもちろんのこと、隣接組職に密着した状態を維持して固定設置または漏出防止などの効率性に優れた人体器官の隣接組職連結施術用ステントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ステントは食道、胃、十二指腸、小腸などの人体内部器官に挿入施術して一定の通路を確保するように使用するものである。
【0003】
このようなステントは、超弾性形状記憶合金のような合金ワイヤを交差状に編んで多数の菱形の空間部を持つ中空型円筒状本体から形成し、人体の内部器官に挿入施術することで、前記中空型円筒状本体が内外側に伸縮作動して一定の通路を確保するように使用するものである。
【0004】
さらに、近年には、胆嚢、膵臓などの人体の内部器官に直接内視鏡手術を行うかその他に胆汁などの排水またはシャント(Shunt)などを行うことが困難な地点の接近のために連結施術用ステントを使用することもある。
【0005】
すなわち、胆嚢、膵膓などのような人体器官の隣接組職を相互に貫通させ、ステントを挿入させて貫通連結するようにするものである。
【0006】
このような従来の連結施術用ステントは、図1に示す特許文献1のように、超弾性形状記憶合金のような合金ワイヤを交差状に編んで形成した中空型円筒状本体2の両側に、亜鈴状に拡管部3を形成し、前記人体器官の隣接組職5に孔を開けて挿入し、前記拡管部3が隣接組職5にかかることにより離脱が防止されるように相互に連結して施術するものである。
【0007】
しかし、このような連結施術用ステントは、前記中空型円筒状本体2の両側に形成された拡管部3によって隣接組職の孔に挿入して施術することがとても難しいという問題点があった。
【0008】
また、前記拡管部間の間隔が一定であるため、隣接組職の間隔または壁厚を考慮して製作しなければならないという問題点と、このために隣接組職に弾性的に密着した状態となるように固定して設置することが難しく、これによる隙間の発生で、胆汁などの排水またはシャント(Shunt)などを行うことが難しいという問題点があった。
【0009】
さらに、前記拡管部の各角が直角状に形成されて人体器官の組職への傷を誘発することになる問題点もあった。
【0010】
また、図2に示す特許文献2は、図1の問題点を多少改善した技術であり、超弾性形状記憶合金のような合金ワイヤを交差状に編んで形成した中空型円筒状本体2の両側を人体器官の孔に挿入した後、両側に一定部分を内側に押し付けて拡管部4を形成することで、隣接組職5にかかって離脱が防止されるように相互に連結して施術するものである。
【0011】
このような連結施術用ステントは挿入施術の問題は改善されたが、これもやはり前記拡管部間の間隔が一定であるため、隣接組職の間隔または壁厚を考慮して拡管部を形成しなければならない問題点と、このために隣接組職に弾性的に密着した状態で固定して設置することが難しく、これによる隙間の発生によって、胆汁などの排水またはシャント(Shunt)などを行うことが難しいという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,620,122号明細書
【特許文献2】米国公開特許第2009−281557明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前記のような従来技術が持つ諸般問題点を解決するためになされたもので、超弾性形状記憶合金ワイヤを交差状に編んで形成した中空型円筒状本体の両側を外側に広げ、折曲部を中心に覆して折り曲げてなる羽部によって胆嚢、膵膓などのような人体器官の隣接組職を支持するように貫通連結し、前記羽部が人体器官の隣接組職の距離または壁厚によって内外側に対向するように弾性的に移動して自動で間隔を調節しながら密着するようにすることで、隣接組職の間隔または厚さに関係なく一つのステントで適用して設置することができる高効率性のステントを提供することにその目的がある。
【0014】
また、前記羽部が人体器官の隣接組職の距離または壁厚によって内外側に対向するように弾性的に移動して間隔を調節しながら隣接組職に密着した状態を維持するので、隣接組職の連結状態で固定設置するか漏出のおそれを防止する高効率性のステントを提供することに他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するために、本発明は、胆嚢、膵膓などのような人体器官の隣接組職に孔を開けて挿入して両側端が人体組職を支持するように相互に連結施術するステントであって、超弾性形状記憶合金ワイヤを交差状に編んで多数の菱形空間部を持つように形成される中空型円筒状本体の両側を外側に広げ、折曲部を中心に覆して折り曲げてなる羽部を本体の長手方向にテンション作用するように対向形成して、前記羽部が人体器官の隣接組職の距離または壁厚によって内外側に弾性的に移動して自動で間隔を調節しながら人体器官の隣接組職に密着するようになる、人体器官の隣接組職連結施術用ステントを提供する。
【0016】
前記羽部の折曲部は屈曲面形状に折り曲げられてなることができる。
【0017】
前記羽部は折曲部が降伏点以内の範囲で本体の長手方向に弾性的に移動するように構成されることができる。
【0018】
前記羽部の周縁は、人体器官の外傷を防止するために、外側に折り曲げられてなる屈曲面部が人体器官の組職に密着するようになることができる。
【0019】
前記円筒状本体には、内外側間の遮断のために、外表面に人造皮膜が形成されてなることができる。
【0020】
前記円筒状本体及び羽部には、内外側間の遮断のために、外表面に人造皮膜が形成されてなることができる。
【発明の効果】
【0021】
このような本発明は、胆嚢、膵膓などの人体器官の隣接組職を貫通連結して内視鏡手術などのための通路、胆汁などの排水またはシャント(Shunt)などを行うために、超弾性形状記憶合金ワイヤを交差状に編んで形成した中空型円筒状本体の両側を外側に広げ、折曲部を中心に覆して折り曲げてなる羽部によって人体器官の隣接組職を支持するように貫通連結し、前記羽部が人体器官の隣接組職の距離または壁厚によって内外側に対向するように弾性的に移動して自動で間隔を調節しながら密着するので、従来とは異なり、隣接組職の間隔または厚さに関係なく一つのステントで適用して設置することができるのはもちろんのこと、隣接組職に密着した状態をずっと維持するので、隣接組職の連結状態で固定設置するか漏出のリスクを防止して高効率性を提供する効果を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の連結施術用ステントを示す側面図である。
【図2】従来の連結施術用ステントの他の例を示す側面図である。
【図3】本発明ステントの一実施例を示す斜視図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】図3の側面図である。
【図6】図5の正面図である。
【図7】図5の側断面図である。
【図8】図5の他の実施例を示す側断面図である。
【図9】図5のさらに他の実施例を示す側断面図である。
【図10】本発明の設置使用状態を示す側断面図である。
【図11】本発明の設置使用状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、前記のような本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0024】
本発明の連結施術用ステントは、胆嚢、膵膓などの人体器官の隣接組職に孔を開けて挿入して人体組職を貫通連結するので、人体器官の内視鏡手術などのための連結通路を形成するとか、胆汁などの排水またはシャント(Shunt)などのために使用するものである。
【0025】
すなわち、本発明の連結施術用ステントは、図3〜図7に示すように、超弾性形状記憶合金ワイヤを交差状に編んで多数の菱形空間部を持つように形成される中空型円筒状本体10の両側を外側に広げ、折曲部11を中心に覆して折り曲げてなる羽部15、15を本体の長手方向にテンション作用するように対向して形成することで、前記羽部が人体器官の隣接組職の距離または壁厚によって内外側に弾性的に移動して自動で間隔を調節しながら人体器官の隣接組職に密着するように構成される。
【0026】
この際、前記羽部15、15の折曲部11は屈曲面に形成することで、前記屈曲面形態の折曲部が降伏点以内の範囲で本体の長手方向に弾性的に移動するように構成される。
【0027】
また、前記羽部15、15の周縁は、人体器官の外傷を防止するために、外側に緩やかに曲げて形成される屈曲面部16が人体器官の組職に密着するように構成される。
【0028】
そして、前記円筒状本体10、あるいは前記円筒状本体10及び羽部15、15には、内外側間の遮断のために、外表面に人体適合性を持つPTFEまたはシリコン材の人造皮膜30を形成してなる。
【0029】
未説明符号として、50は人体器官に形成された孔、100、200は人体器官を示すものである。
【0030】
つぎに、前記のように構成される本発明の作動及び作用について説明する。
【0031】
本発明は、胆嚢、膵膓などの人体器官100、200の隣接組職に孔50を開け、連結施術用ステントを挿入して人体器官を貫通連結しようとするものである。
【0032】
すなわち、図10及び図11に示すように、人体器官100、200の貫通連結部位に孔50を開け、付加の挿入器具で本発明のステントを挿入する。
【0033】
この際、本発明のステントは、中空型円筒状本体10の両側羽部15、15を外側に弾性的に伸ばした状態で隣接組職の孔に挿入した後、両側羽部15、15を元の位置に戻すことで、前記羽部15、15が折曲部11を中心に弾性的に回転しながら人体器官の隣接部位の壁面に弾性的に密着するものである。
【0034】
特に、前記両側羽部15、15は屈曲面の形状に折り曲げられた折曲部11を中心に前記折曲部が降伏点以内の範囲で本体の長手方向に弾性的に移動することができるので、前記人体器官の隣接組職の距離または壁厚によって自動で間隔を調節しながら人体器官の隣接組職に弾性的に密着するものである。
【0035】
また、前記円筒状本体10の両側羽部15、15は前記人体器官の隣接組職の距離または壁厚によって本体の長手方向に弾性的に移動しながら弾性的に密着するので、人体器官の固定はもちろんのこと漏出防止のための気密を優秀に確保するものである。
【0036】
また、前記両側羽部15、15が人体器官の隣接組職に弾性的に密着する過程で、前記両側羽部の周縁に外側に緩やかに折り曲げられてなる屈曲面部16が人体器官の組職に密着するので、組職の外傷の誘発を防止するようになるものである。
【0037】
このように、前記人体器官の隣接組職を貫通連結して通路を形成するので、胆嚢、膵膓などの人体器官の内部の病変部位に直接内視鏡手術またはその他の施術作業の接近が困難な場合に、隣接器官の通路を通じて接近して施術作業を行うことができるようになるものである。
【0038】
また、前記人体器官の隣接組職を貫通して連結して胆汁の排水またはシャント(Shunt)などを行うこともできる。この場合、図8及び図9に示すように、前記円筒状本体10または前記円筒状本体10及び羽部15、15の内外側間の遮断のために外表面に人体適合性を持つPTFEまたはシリコン材の人造皮膜30を形成して使うものである。
【0039】
したがって、本発明は、超弾性形状記憶合金ワイヤを交差状に編んで形成した中空型円筒状本体の両側を外側に広げ、折曲部を中心に覆して折り曲げてなる羽部が本体の長手方向にテンション作用するように対向形成して、前記羽部が人体器官の隣接組職の距離または壁厚によって内外側に対向するように弾性的に移動して自動で間隔を調節しながら密着するので、従来とは異なり、隣接組職の間隔または厚さに関係なく適用して設置することができるのはもちろんのこと、隣接組職に密着した状態を維持して固定設置することができ、漏出防止などのすぐれた効率性を提供するものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、胆嚢、膵膓などのような人体器官の隣接組職を貫通連結して内視鏡手術などのための通路、胆汁などの排水またはシャント(Shunt)などを行う連結施術用ステントに適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 円筒状本体
11 折曲部
15 羽部
16 屈曲面部
20 人造皮膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胆嚢、膵膓などのような人体器官の隣接組職に孔を開けて挿入して両側端が人体組職を支持するように相互に連結施術するステントにおいて、
超弾性形状記憶合金ワイヤを交差状に編んで多数の菱形空間部を持つように形成される中空型円筒状本体10の両側を外側に広げ、折曲部11を中心に覆して折り曲げてなる羽部15、15を本体の長手方向にテンション作用するように対向形成して、前記羽部が人体器官の隣接組職の距離または壁厚によって内外側に弾性的に移動して自動で間隔を調節しながら人体器官の隣接組職に密着するようになることを特徴とする、人体器官の隣接組職連結施術用ステント。
【請求項2】
前記羽部15、15の折曲部11は屈曲面形状に折り曲げられてなることを特徴とする、請求項1に記載の人体器官の隣接組職連結施術用ステント。
【請求項3】
前記羽部15、15は折曲部が降伏点以内の範囲で本体の長手方向に弾性的に移動するように構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の人体器官の隣接組職連結施術用ステント。
【請求項4】
前記羽部15、15の周縁は、人体器官の外傷を防止するために、外側に折り曲げられてなる屈曲面部16が人体器官の組職に密着するようになることを特徴とする、請求項1に記載の人体器官の隣接組職連結施術用ステント。
【請求項5】
前記円筒状本体10には、内外側間の遮断のために、外表面に人造皮膜30が形成されてなることを特徴とする、請求項1に記載の人体器官の隣接組職連結施術用ステント。
【請求項6】
前記円筒状本体10及び羽部15、15には、内外側間の遮断のために、外表面に人造皮膜30が形成されてなることを特徴とする、請求項1に記載の人体器官の隣接組職連結施術用ステント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−13715(P2013−13715A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134973(P2012−134973)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【出願人】(510045092)テウーン メディカル カンパニー リミティッド (14)
【出願人】(510229005)
【Fターム(参考)】