説明

人体用エアゾール化粧料

【課題】人体用エアゾール化粧料に於いて、シュワーまたはシャーとの破泡音が最大限に引き出すと共に持続性を持たせ、且つベトツキ感を低減させる。
【解決手段】人体用エアゾール化粧料は、ポリアクリル酸ナトリウム、非イオン界面活性剤およびエタノールを含有する水性原体と、製剤中にノルマルブタン35重量%未満とイソブタン38重量%未満とイソペンタン35重量%未満との中で選択し組み合わせた脂肪族炭化水素を配合し、内容物を吐出したときシュワーまたはシャーと破泡音がする泡状またはゲル状を特徴とする人体用エアゾール化粧料。ポリアクリル酸ナトリウムを水性原体中に0.01重量%乃至0.5重量%含有させ、非イオン界面活性剤を水性原体中に0.1重量%乃至10.0重量%含有させ、エタノールを水性原体中に10.0重量%乃至40.0重量%含有させた水性原体と、製剤中にノルマルブタン35重量%未満とイソブタン38重量%未満とイソペンタン35重量%未満との中で選択し組み合わせた脂肪族炭化水素とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮・頭髪および/または全身用としての人体用エアゾール化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
破泡音を立てる製剤としては、化粧水、消炎鎮痛剤などがあり、目的部位に塗布し擦り込むものが提供されている。
【0003】
人体用の化粧料として、n−ブタンおよび/またはペンタン、水またはアルコール水溶液、界面活性剤、有効成分および粉体からなるエアゾール組成物(例えば特許文献1参照)がある。このエアゾール組成物は、n−ブタンおよび/またはペンタンと水性組成物を配合し、霧状ないし泡状に噴射したときに破泡によってパチパチと音をたてるフォームを形成するものである。
【0004】
また同様の化粧料として、水溶性高分子、界面活性剤および低級アルコールを含有する水性原液と液化ガスからなるエアゾール組成物(例えば特許文献2参照)がある。このエアソール組成物は、水溶性高分子としてセルロース系高分子および/またはガム質を配合し、吐出することによってパチパチと音がするフォーム形状のものである。
【0005】
【特許文献1】特許第2706693号公報
【特許文献2】特開2003−335629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1には、粉体を配合することにより水成分と油成分を簡単な振盪で乳濁液をうることができると記載されているが、粉体を配合することで使用時によく振盪しないとエアゾール系内で粉体の分散が不均一となり、塗布時の粉体のムラが生じることや粉体によるステムなどの詰まりが生じる懸念を払拭し得ない虞がある。
【0007】
また上記特許文献2に係わる技術は、水溶性高分子をセルロース系高分子および/またはガム質としており、配合量にもよるももの、ベタツキ感があるという問題を完全に払拭し得ない虞がある。
【0008】
特に、剤型が霧状、泡状またはゲル状などに係わらず、剪断応力を加えた時に脂肪族炭化水素(液化ガスを含む)が製剤中から気化する際に生じる破泡作用を持たすために水溶性高分子や界面活性剤などを配合するが、その種類によって破泡音の大きさが異なるという問題もある。
【0009】
本発明の目的は、シュワーまたはシャーとの破泡音を最大限に引き出すと共に、持続性を持たせ、且つベトツキ感の少ない人体用エアゾール化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る人体用エアゾール化粧料は、ポリアクリル酸ナトリウム、非イオン界面活性剤およびエタノールを含有する水性原体と、ノルマルブタンとイソブタンとイソペンタンとの中で選択し組み合わせた脂肪族炭化水素と、を含有してなり、内容物を吐出したときシュワーまたはシャーと破泡音がする泡状またはゲル状であることを特徴とするものである。
【0011】
上記人体用エアゾール化粧料に於いて、ポリアクリル酸ナトリウムを水性原体中に0.01重量%乃至0.5重量%含有することが好ましい。
【0012】
また非イオン界面活性剤を、水性原体中に0.1重量%乃至10重量%含有することが好ましい。
【0013】
またエタノールを、水性原体中に10重量%乃至40重量%含有することが好ましい。
【0014】
また脂肪族炭化水素を、製剤中にノルマルブタン35重量%未満とイソブタン38重量%未満とイソペンタン35重量%未満との中で選択し組み合わせ含有することが好ましく、さらにはノルマルブタン35重量%未満とイソブタン38重量%未満を組み合わせることが最も好ましい。
【0015】
製剤中には、水性原体が20重量%乃至40重量%と脂肪族炭化水素が80重量%乃至60重量%配合することが好ましい。
【0016】
上記した本発明に係る人体用エアゾール化粧料では、ポリアクリル酸ナトリウム、非イオン界面活性剤およびエタノールからなる水性原体と、ノルマルブタンとイソブタンとイソペンタンとの中から選択し組み合わせた脂肪族炭化水素を耐圧容器に充填しエアゾールとすることで、ポリアクリル酸ナトリウム、非イオン界面活性剤の相乗作用により、シュワーまたはシャーとの破泡音を最大限に引き出すと共に、持続性を向上させることが出来る。
【0017】
また、ポリアクリル酸ナトリウムと非イオン界面活性剤を組み合わせることによって、ベタツキ感を少なくすることが可能となり、頭皮・頭髪および/または全身用としての人体用エアゾール化粧料としての目的を十分に達成することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る人体用エアゾール化粧料の最良の形態について説明する。
【0019】
本発明は、ポリアクリル酸ナトリウム0.01重量%乃至0.5重量%、非イオン界面活性剤0.1重量%乃至10重量%およびエタノール10重量%乃至40重量%含有する水性原体と、製剤中にノルマルブタン35重量%未満とイソブタン38重量%未満とイソペンタン35重量%未満との中で選択し組み合わせた脂肪族炭化水素を配合し、内容物を吐出したときシュワーまたはシャーと破泡音がする泡状またはゲル状を特徴とする人体用エアゾール化粧料に関するものである。
【0020】
ポリアクリル酸ナトリウムなどの水溶性高分子としては、製剤中の脂肪族炭化水素を封じ込める機能を有することが必要である。このように、製剤中に脂肪族炭化水素を封じ込め、且つ剪断応力を加えた時に被膜が破れて破泡音が生じる機能を有していることが好ましい。
【0021】
人体用エアゾール化粧料はシュワーまたはシャーとの破泡音を最大限に引き出すと共に持続させる必要がある。このようにシュワーまたはシャーとの破泡音を最大限に引き出すと共に持続させるには、水溶性高分子および非イオン界面活性剤の相乗作用が不可欠であり、特に、非イオン界面活性剤は脂肪族炭化水素を封じ込め持続させる機能を有していることが要求される。
【0022】
上記シュワーまたはシャーとの破泡音を引き出すために、水溶性高分子および非イオン界面活性剤を配合する。しかしながら、水溶性高分子および非イオン界面活性剤は物性的にベタツキ感が生じる。特に水溶性高分子によるベトツキ感は抑えきれないが、水溶性高分子および非イオン界面活性剤の種類および組み合わせによりベタツキ感を少なくすることが要求される。
【0023】
水溶性高分子としては、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸系共重合体、セルロース系高分子およびガム質などがあるが、カルボキシビニルポリマーの様に中和する必要がなく、且つ、製剤中に脂肪族炭化水素を封じ込める機能を有していることが好ましい。特にポリアクリル酸ナトリウムであることが好ましい。
【0024】
上記ポリアクリル酸ナトリウムは、水性原体中に0.01重量%乃至0.5重量%含まれることが好ましい。水性原体におけるポリアクリル酸ナトリウムが0.01重量%では脂肪族炭化水素を封じ込める力は弱くなるが、ベタツキ感は少なくなる。また、水性原体におけるポリアクリル酸ナトリウムが0.5重量%では脂肪族炭化水素を封じ込める力は強くなるが、ベタツキ感は大きくなる。
【0025】
ポリアクリル酸ナトリウムを0.5重量%以上配合しても脂肪族炭化水素を封じ込める強さおよびシュワーまたはシャーとの破泡音に差異は生じないが、ベタツキ感は大きくなる。従って、水性原体におけるポリアクリル酸ナトリウムの上限は0.5重量%で十分である。
【0026】
非イオン界面活性剤の種類は豊富であるが、脂肪族炭化水素を封じ込め剪断応力によりシュワーまたはシャーとの破泡音を生じると共に、持続させる機能を有し、且つポリアクリル酸ナトリウムとの組み合わせによりベタツキ感を抑えることが要求される。このような界面活性剤としては非イオン界面活性剤が好ましい。さらには、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどが最も好ましい。
【0027】
上記の非イオン界面活性剤は水性原体中に0.1重量%乃至10重量%含まれることが好ましい。水性原体中における非イオン界面活性剤が0.1重量%では脂肪族炭化水素を封じ込める力は弱くなるが、ベタツキ感は少なくなる。また、水性原体中における非イオン界面活性剤が10重量%では脂肪族炭化水素を封じ込める力は強くなるが、ベタツキ感は大きくなる。
【0028】
非イオン界面活性剤を水性原体中に10重量%以上配合しても脂肪族炭化水素を封じ込める強さおよびシュワーまたはシャーとの破泡音に差異は生じないが、ベタツキ感は大きくなる。従って、水性原体中における非イオン界面活性剤の上限は10重量%で十分である。
【0029】
脂肪族炭化水素は製剤中に、80重量%乃至60重量%含まれることが好ましい。脂肪族炭化水素が80重量%以上では水性原体と脂肪族炭化水素が混合しにくくなる。また脂肪族炭化水素が60重量%以下ではシュワーまたはシャーとの破泡音がでにくくなる。
【0030】
上記脂肪族炭化水素としては、ノルマルブタンとイソブタンとイソペンタンとの中から選択し組み合わせることが好ましい。さらに発泡性およびシュワーまたはシャーとの破泡音が大きく良好にするにはノルマルブタンとイソブタンを組み合わせることが最も好ましい。
【0031】
またエタノールは、水性原体中に10重量%乃至40重量%含まれることが好ましい。エタノールが10重量%以下では氷結傾向があると共に、人体用エアゾール化粧料としての配合成分が溶解しにくくなる。また40重量%以上ではシュワーまたはシャーとの破泡音がでにくくなる。
【0032】
水性原体中には、ポリアクリル酸ナトリウム、非イオン界面活性剤およびエタノールのほかに、用途に応じて多価アルコール、油性物質、ビタミン類、紫外線吸収剤、殺菌剤、消炎剤、L−メントール、抗ヒスタミン剤、無機粉体、抽出物および香料など人体用エアゾール化粧料としての成分を適宜配合することが出来る。
【0033】
以下、本発明に係る実施例1〜8および比較例1−1〜8−4と、前記各実施例および比較例に対する評価を表1〜6に示す。
【0034】
表1〜6に於いて、シュワーまたはシャーとの破泡音(以下、破泡音という)の大きさ、の評価は官能によるものであり、○印は破泡音が大きく良好であると評価したもの、△印は破泡音が大きくないと評価したもの、×印は破泡音が殆どしないもの、を表している。
【0035】
また破泡音の持続性、の評価は官能によるものであり、○印は破泡音の持続性が良好であると評価したもの、△印は破泡音が持続しないと評価したもの、×印は破泡音がすぐに終わってしまうと評価したもの、を表している。
【0036】
またベタツキ感、の評価は官能によるものであり、○印はベタツキ感が殆どしないと評価したもの、△印はベタツキ感はあるが気にしない程度と評価したもの、×印はベタツキ感が有ると評価したもの、を表している。
【実施例1】
【0037】
実施例1は、水性原体を、ポリアクリル酸ナトリウムを0.2重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)ソルビタンを3.0重量%、エタノールを25.0重量%、精製水適量として構成すると共に、この水性原体を30.0重量%および脂肪族炭化水素70.0重量%(ノルマルブタン34.0重量%、イソブタン36.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0038】
比較例1−1〜1−4は実施例1に於けるポリアクリル酸ナトリウムの含有率を変化させたのであり、比較例1−1ではポリアクリル酸ナトリウムを0.005重量%とし、比較例1−2ではポリアクリル酸ナトリウムを0.01重量%とし、比較例1−3ではポリアクリル酸ナトリウムを0.5重量%とし、比較例1−4ではポリアクリル酸ナトリウムを1.0重量%、としたものである。
【0039】
表1に示すように、実施例1では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であり、更にベタツキ感もなく、総合的に良好であった。これに対し、比較例1−1では破泡音は殆どなくすぐに終わってしまったが、ベタツキ感はなく良好であった。また比較例1−2では破泡音は大きくなく持続しないものの、ベタツキ感はなく良好であった。また比較例1−3では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であり、ベタツキ感はあるものの気にしない程度であった。また比較例1−4では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であるものの、ベタツキ感があった。
【0040】
【表1】

【0041】
上記結果から、水性原体に於けるポリアクリル酸ナトリウムの含有率が0.005重量%では破泡音の大きさ、持続性共に難があり実用的でなく、含有率が1.0重量%では破泡音の大きさ、持続性共に良好であるもののベタツキ感が生じて実用的でないが、含有率が0.01重量%、0.5重量%では破泡音の大きさ、持続性、ベタツキ感共に実用の範囲にあるといえる。従って、水性原体に於けるポリアクリル酸ナトリウムの含有率は0.01重量%乃至0.5重量%の範囲で十分である。
【実施例2】
【0042】
実施例2は、水性原体を、ポリアクリル酸ナトリウムを0.2重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルを3.0重量%、エタノールを25.0重量%、精製水適量として構成すると共に、この水性原体を30.0重量%および脂肪族炭化水素70.0重量%(ノルマルブタン34.0重量%、イソブタン36.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0043】
比較例2−1〜2−4は実施例2に於けるポリアクリル酸ナトリウムの含有率を変化させたのであり、比較例2−1ではポリアクリル酸ナトリウムを0.005重量%とし、比較例2−2ではポリアクリル酸ナトリウムを0.01重量%とし、比較例3−3ではポリアクリル酸ナトリウムを0.5重量%とし、比較例2−4ではポリアクリル酸ナトリウムを1.0重量%、としたものである。
【0044】
表2に示すように、実施例2では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であり、更にベタツキ感もなく、総合的に良好であった。これに対し、比較例2−1では破泡音は殆どなくすぐに終わってしまったが、ベタツキ感はなく良好であった。また比較例2−2では破泡音は大きくなく持続しないものの、ベタツキ感はなく良好であった。また比較例2−3では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であり、ベタツキ感はあるものの気にしない程度であった。また比較例2−4では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であるものの、ベタツキ感があった。
【0045】
【表2】

【0046】
上記結果から、水性原体に於けるポリアクリル酸ナトリウムの含有率が0.005重量%では破泡音の大きさ、持続性共に難があり実用的でなく、含有率が1.0重量%では破泡音の大きさ、持続性共に良好であるもののベタツキ感が生じて実用的でないが、含有率が0.01重量%、0.5重量%では破泡音の大きさ、持続性、ベタツキ感共に実用の範囲にあるといえる。従って、水性原体に於けるポリアクリル酸ナトリウムの含有率は0.01重量%乃至0.5重量%の範囲で十分である。
【実施例3】
【0047】
実施例3は、水性原体を、ポリアクリル酸ナトリウムを0.2重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)ソルビタンを3.0重量%、エタノールを25.0重量%、精製水適量として構成すると共に、この水性原体を30.0重量%および脂肪族炭化水素70.0重量%(ノルマルブタン34.0重量%、イソブタン36.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0048】
比較例3−1〜3−4は実施例3に於けるモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)ソルビタンの含有率を変化させたのであり、比較例3−1ではモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)ソルビタンを0.05重量%とし、比較例3−2ではモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)ソルビタンを0.1重量%とし、比較例3−3ではモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)ソルビタンを10.0重量%とし、比較例3−4ではモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)ソルビタンを15.0重量%、としたものである。
【0049】
表3に示すように、実施例3では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であり、更にベタツキ感もなく、総合的に良好であった。これに対し、比較例3−1では破泡音は殆どなくすぐに終わってしまったが、ベタツキ感はなく良好であった。また比較例3−2では破泡音は大きくなく持続しないものの、ベタツキ感はなく良好であった。また比較例3−3では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であり、ベタツキ感はあるものの気にしない程度であった。また比較例3−4では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であるものの、ベタツキ感があった。
【0050】
【表3】

【0051】
上記結果から、水性原体に於けるモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)ソルビタンの含有率が0.05重量%では破泡音の大きさ、持続性共に難があり実用的でなく、含有率が15.0重量%では破泡音の大きさ、持続性共に良好であるもののベタツキ感が生じて実用的でないが、含有率が0.1重量%、10.0重量%では破泡音の大きさ、持続性、ベタツキ感共に実用の範囲にあるといえる。従って、水性原体に於けるモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)ソルビタンの含有率は0.1重量%乃至10.0重量%の範囲で十分である。
【実施例4】
【0052】
実施例4は、水性原体を、ポリアクリル酸ナトリウムを0.2重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルを3.0重量%、エタノールを25.0重量%、精製水適量として構成すると共に、この水性原体を30.0重量%および脂肪族炭化水素70.0重量%(ノルマルブタン34.0重量%、イソブタン36.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0053】
比較例4−1〜4−4は実施例4に於けるモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルの含有率を変化させたのであり、比較例4−1ではモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルを0.05重量%とし、比較例4−2ではモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルを0.1重量%とし、比較例4−3ではモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルを10.0重量%とし、比較例4−4ではモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルを15.0重量%、としたものである。
【0054】
表4に示すように、実施例4では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であり、更にベタツキ感もなく、総合的に良好であった。これに対し、比較例4−1では破泡音は殆どなくすぐに終わってしまったが、ベタツキ感はなく良好であった。また比較例4−2では破泡音は大きくなく持続しないものの、ベタツキ感はなく良好であった。また比較例4−3では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であり、ベタツキ感はあるものの気にしない程度であった。また比較例4−4では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であるものの、ベタツキ感があった。
【0055】
【表4】

【0056】
上記結果から、水性原体に於けるモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルの含有率が0.05重量%では破泡音の大きさ、持続性共に難があり実用的でなく、含有率が15.0重量%では破泡音の大きさ、持続性共に良好であるもののベタツキ感が生じて実用的でないが、含有率が0.1重量%、10.0重量%では破泡音の大きさ、持続性、ベタツキ感共に実用の範囲にあるといえる。従って、水性原体に於けるモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルの含有率は0.1重量%乃至10.0重量%の範囲で十分である。
【0057】
また非イオン界面活性剤のモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)ソルビタン或いはモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルを用いても差が生じることがないといえる。
【実施例5】
【0058】
実施例5は、水性原体を、ポリアクリル酸ナトリウムを0.2重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルを3.0重量%、エタノールを25.0重量%、精製水適量として構成すると共に、この水性原体を30.0重量%および脂肪族炭化水素70.0重量%(ノルマルブタン34.0重量%、イソブタン36.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0059】
比較例5−1は実施例5に於ける水性原体30.0重量%および脂肪族炭化水素を70.0重量%に固定し脂肪族炭化水素の含有率を変化させたものであり、ノルマルブタン40.0重量%、イソブタン30.0重量%、としたものである。
【0060】
表5に示すように、実施例5では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であり、更にベタツキ感もなく、総合的に良好であった。これに対し、比較例5−1では破泡音は大きくなく持続しないものの、ベタツキ感はなく良好であった。
【実施例6】
【0061】
実施例6は、水性原体を、ポリアクリル酸ナトリウムを0.2重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルを3.0重量%、エタノールを25.0重量%、精製水適量として構成すると共に、この水性原体を30.0重量%および脂肪族炭化水素70.0重量%(ノルマルブタン34.0重量%、イソブタン2.0重量%、イソペンタン34.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0062】
比較例6−1は実施例6に於ける水性原体30.0重量%および脂肪族炭化水素を70.0重量%に固定し脂肪族炭化水素の含有率を変化させたものであり、ノルマルブタン30.0重量%、イソペンタン40.0重量%、としたものである。
【0063】
表5に示すように、実施例6では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であり、更にベタツキ感もなく、総合的に良好であった。これに対し、比較例6−1では破泡音は大きくなく持続しないものの、ベタツキ感はなく良好であった。
【実施例7】
【0064】
実施例7は、水性原体を、ポリアクリル酸ナトリウムを0.2重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルを3.0重量%、エタノールを25.0重量%、精製水適量として構成すると共に、この水性原体を30.0重量%および脂肪族炭化水素70.0重量%(イソブタン36.0重量%、イソペンタン34.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0065】
比較例7−1は実施例7に於ける水性原体30.0重量%および脂肪族炭化水素を70.0重量%に固定し脂肪族炭化水素の含有率を変化させたものであり、イソブタン40.0重量%、イソペンタン30.0重量%、としたものである。
【0066】
表5に示すように、実施例7では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であり、更にベタツキ感もなく、総合的に良好であった。これに対し、比較例7−1では破泡音は大きくなく持続しないものの、ベタツキ感はなく良好であった。
【0067】
【表5】

【0068】
上記結果から、実施例5〜7は、製剤に於ける脂肪族炭化水素の含有率がノルマルブタン35.0重量%未満、イソブタン38.0重量%未満、イソペンタン35.0重量%未満の範囲内であり、破泡音の大きさ、持続性、ベタツキ感共に良好である。しかし、比較例5−1〜7−1は、製剤に於ける脂肪族炭化水素の含有率が前記範囲外であり、破泡音の大きさ、持続性共に難があり実用的ではない。
【実施例8】
【0069】
実施例8は、水性原体を、ポリアクリル酸ナトリウムを0.2重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)グリセリルを3.0重量%、エタノールを25.0重量%、精製水適量として構成すると共に、この水性原体を30.0重量%および脂肪族炭化水素70.0重量%(ノルマルブタン30.0重量%、イソブタン30.0重量%、イソペンタン10.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0070】
比較例8−1〜8−4は実施例8に於ける脂肪族炭化水素の含有率を変化させたものであり、比較例8−1は水性原体を15重量%および脂肪族炭化水素85重量%(ノルマルブタン25.0重量%、イソブタン30.0重量%、イソペンタン30.0重量%)配合して製剤を構成したものであり、比較例8−2は水性原体を20重量%および脂肪族炭化水素80重量%(ノルマルブタン34.0重量%、イソブタン36.0重量%、イソペンタン10.0重量%)配合して製剤を構成し、比較例8−3は水性原体40重量%および脂肪族炭化水素60重量%(ノルマルブタン30.0重量%、イソブタン20.0重量%、イソペンタン10.0重量%)配合して製剤を構成し、比較例8−4は水性原体を45重量%および脂肪族炭化水素55重量%(ノルマルブタン15.0重量%、イソブタン20.0重量%、イソペンタン20.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0071】
表6に示すように、実施例8では破泡音は大きく良好であり、破泡音の持続性も良好であり、更にベタツキ感もなく、総合的に良好であった。これに対し、比較例8−1では破泡音は大きくなく持続しないものの、ベタツキ感はなく良好であった。また比較例8−2では破泡音は大きいが持続しないものの、ベタツキ感はなく良好であった。また比較例8−3では破泡音は大きいが持続しないものの、ベタツキ感はなく良好であった。比較例8−4では破泡音は大きくなく持続しないものの、ベタツキ感はなく良好であった。
【0072】
【表6】

【0073】
上記結果から、製剤に於ける脂肪族炭化水素85.0重量%では破泡音の大きさ、持続性共に難があり実用的でなく、含有率が55.0重量%では破泡音の大きさ、持続性共に難があり実用的でないが、含有率が80.0重量%、60.0重量%では破泡音の大きさ、持続性、ベタツキ感共に実用の範囲にあるといえる。従って、製剤に於ける脂肪族炭化水素の含有率は80.0重量%乃至60.0重量%の範囲で十分である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係る人体用のエアゾール化粧料は、ポリアクリル酸ナトリウム、非イオン界面活性剤およびエタノールを含有する水性原体とノルマルブタンとイソブタンとイソペンタンとの中で選択し組み合わせた脂肪族炭化水素を配合することを特徴とし、且つポリアクリル酸ナトリウムおよび非イオン界面活性剤を組み合わせることにより、良好なシュワーまたはシャーとの破泡音の大きさと持続性を発揮すると共にベタツキ感のない良好な人体用のエアゾール化粧料とすることが出来る。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤が水性原体20重量%乃至40重量%および脂肪族炭化水素80重量%乃至60重量%を含有してなり、前記水性原体がポリアクリル酸ナトリウム0.01重量%乃至0.5重量%、非イオン界面活性剤0.1重量%乃至10重量%およびエタノール10重量%乃至40重量%を含有し、且つ前記脂肪族炭化水素がノルマルブタン35重量%未満とイソブタン38重量%未満とイソペンタン35重量%未満の中から選択して組み合わされ、内容物を吐出したときシュワーまたはシャーと破泡音がする泡状またはゲル状の人体用エアゾール化粧料。


【公開番号】特開2006−225274(P2006−225274A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37590(P2005−37590)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000185363)小池化学株式会社 (11)
【Fターム(参考)】