説明

人孔用安全作業柵体及びそれを使用する人孔工事の施工方法

【課題】
人孔の開口に装着される安全作業柵体につき、人孔の口径の違いに対応できるとともに安定的な設置が実現でき、より確実な定着をなすこと。
【解決手段】
開蓋された径の異なる2種の円形の人孔蓋枠M,M’に着脱可能に装着される人孔用安全作業柵体Sであって、環状の下部底板部3と柱杆4と上部底板部7とから柵本体が構成され、該下部底板部3の外径は大径の人孔蓋枠Mに対応し、該上部底板部7の外径は小径の人孔蓋枠M’に対応する。柵本体と人孔蓋枠Mとは係止具Kにより定着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人孔すなわちマンホール内への作業に際し作業の安全のために使用される人孔用安全作業柵体に関し、更に詳しくは、人孔内への作業に際し開蓋された人孔蓋枠に着脱可能に装着される人孔用安全作業柵体及びそれを使用する人孔工事の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水道管渠施設における人孔すなわちマンホール内への作業に際し、作業者の出入の安全を図る装置は、実開平7−23085号公報により公知である。
当該先行技術(符号は当該公報中のものを示す。)のマンホールの作業安全装置は、マンホールの蓋の外径と同じ外径の下リング1と、この下リング1に対し中心に向って傾斜する複数個の斜棒2で連結したそれより小径の切欠上リング3と、この上リング3の切欠部4において下リング1に設けた握り棒5とよりなり、更には、その下リング1に外れ止め用の爪7を垂設してなる。
当該先行技術の作業安全装置は、その使用において、マンホールの蓋を外し、本装置の下リング1を嵌め込み、作業者はその上リング3の切欠部4より上リング3及び握り棒5を握ってその中に入り、マンホール内の足掛け(ステップ)に足を掛けてマンホール内に降りるものである。
しかしながら、該先行技術にあっては、特定の1種の口径のマンホールに対応するものであって、他の口径に対しては使用することができず、口径が小さいものに対してはマンホールの滑り易い上面に載置されるか、また場合によっては該マンホールの上面から外れ、外れ止め用の爪7も機能せず、定着がなされず、不安定な設置となり、安全性に問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−23085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、人孔の口径の違いに対応できるとともに安定的な設置が実現でき、より確実な定着をなすことのできる人孔用安全作業柵体を得ることを目的とする。
本発明はこのため、人孔蓋枠の開口凹部に着目し、その開口凹部に着底する底板を上下反転により両用とする新規の発想によりこの目的を達成したものである。
本発明は更に、当該人孔用安全作業柵体の特徴を活用して人孔工事の施工方法を得ることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は具体的に以下の構成を採る。
本発明の第1(以下「第1発明」という。)は人孔用安全作業柵体に係り、
請求項1に記載のとおり、
開蓋された径の異なる2種の円形の人孔蓋枠に着脱可能に装着される人孔用安全作業柵体であって、
後部に切欠きが形成され、前記人孔蓋枠の開口凹部における受面に当接載置される環状の下部底板部と、
該下部底板部より内径方向に傾斜して列状に立設される複数の柱杆と、
前部に切欠きが形成され、該柱杆の上部に水平を保って固設される上部底板部と、からなり、
前記切欠きは作業者が出入する幅空間を保持し、
前記下部底板部の外径は大径の人孔蓋枠に対応し、前記上部底板部の外径は小径の人孔蓋枠に対応する、
ことを特徴とする。
上記構成において、
「人孔蓋枠の開口凹部」とは、人孔蓋枠の円環状の上部開口部の内周に形成される蓋体の嵌まり込む部位をいう。
また、人孔蓋枠の「受面」は、以下の第1、第2実施形態で示されるとおり、人孔蓋枠の態様により水平状の受面及び曲面状の受面を含むものである。
本発明において、
1.底板部は人孔蓋枠の受面に直接当接する底板体と該底板体に固設される枠杆とから構成される態様を採ること、
2.人孔蓋枠に当接する底板部を除く柵本体に一端が係合し、人孔蓋枠あるいは人孔の本体部に他端が係合し、これらの両端部間に配される張力部材に牽引力が導入される係止具を備える態様を採ること、
は本発明の一部である。
【0006】
(作用)
本人孔用安全作業柵体の一方の大径の人孔蓋枠への設置につき、当該人孔蓋枠を開蓋し、該安全作業柵体の下部底板部を当該人孔蓋枠の開口凹部に嵌め込んで受面に載置支持させ、また後部の切欠きを人孔蓋枠の蝶番部を跨いで配し、その後、係止具により本人孔用安全作業柵体を人孔蓋枠もしくは人孔に定着する。
定置された人孔用安全作業柵体は、通行の目印となり、通行者、車両の安全を図る。更に、当該設置された安全作業柵体の切欠きを介して作業者が人孔に入出する。
他方の小径の人孔蓋枠への設置は、本人孔用安全作業柵体を反転し、その上部底板部を当該人孔蓋枠の開口凹部に嵌め込み、また、前部の切欠きを人孔蓋枠の蝶番部を跨いで配し、その後、係止具により本人孔用安全作業柵体を人孔蓋枠もしくは人孔に定着する。
【0007】
本発明の第2(以下「第2発明」という。)は同じく人孔用安全作業柵体に係り、請求項5に記載のとおり、
開蓋された径の異なる2種の円形の人孔蓋枠に着脱可能に装着される人孔用安全作業柵体であって、
後部に切欠きが形成され、前記人孔蓋枠の開口凹部における受面に当接載置される環状の下部底板部と、
該下部底板部より内径方向に傾斜して列状に立設される複数の柱杆と、
前部に切欠きが形成され、該柱杆の上部に水平を保って固設される上部底板部と、からなり、
前記切欠きは作業者が出入する幅空間を保持し、
前記下部底板部の外径は大径の人孔蓋枠に対応し、前記上部底板部の外径は小径の人孔蓋枠に対応するとともに、
前記大径の人孔蓋枠及び前記小径の人孔蓋枠は、特定地域において大宗を占める2種の規格から選択される、ことを特徴とする。
上記構成において、「人孔蓋枠の開口凹部」、人孔蓋枠の「受面」は、第1発明に準じる。
本発明において、
1.底板部は人孔蓋枠の受面に直接当接する底板体と該底板体に固設される枠杆とから構成される態様を採ること、
2.人孔蓋枠に当接する底板部を除く柵本体に一端が係合し、人孔蓋枠あるいは人孔の本体部に他端が係合し、これらの両端部間に配される張力部材に牽引力が導入される係止具を備える態様を採ること、
は本発明の一部である。
【0008】
(作用)
本人孔用安全作業柵体の一方の大径の人孔蓋枠への設置につき、当該人孔蓋枠を開蓋し、該安全作業柵体の下部底板部を当該人孔蓋枠の開口凹部に嵌め込んで受面に載置支持させ、また後部の切欠きを人孔蓋枠の蝶番部を跨いで配し、その後、係止具により本人孔用安全作業柵体を人孔蓋枠もしくは人孔に定着する。
定置された人孔用安全作業柵体は、通行の目印となり、通行者、車両の安全を図る。更に、当該設置された安全作業柵体の切欠きを介して作業者が人孔に入出する。
他方の小径の人孔蓋枠への設置は、本人孔用安全作業柵体を反転し、その上部底板部を当該人孔蓋枠の開口凹部に嵌め込み、また、前部の切欠きを人孔蓋枠の蝶番部を跨いで配し、その後、係止具により本人孔用安全作業柵体を人孔蓋枠もしくは人孔に定着する。
【0009】
本発明の第3(以下「第3発明」という。)は人孔工事の施工方法に係り、請求項6に記載のとおり、
開蓋された径の異なる2種の円形の人孔蓋枠に着脱可能に装着される人孔用安全作業柵体であって、
後部に切欠きが形成され、前記人孔蓋枠の開口凹部における受面に当接載置される環状の下部底板部と、
該下部底板部より内径方向に傾斜して列状に立設される複数の柱杆と、
前部に切欠きが形成され、該柱杆の上部に水平を保って固設される上部底板部と、からなり、
前記切欠きは作業者が出入する幅空間を保持し、
前記下部底板部の外径は大径の人孔蓋枠に対応し、
前記上部底板部の外径は小径の人孔蓋枠に対応するとともに、前記大径の人孔蓋枠及び前記小径の人孔蓋枠は、特定地域において大宗を占める2種の規格から選択される人孔用安全作業柵体を使用し、
開蓋された円形の人孔蓋枠に装着して人孔工事を実施する、
ことを特徴とする。
上記構成において、「人孔蓋枠の開口凹部」、人孔蓋枠の「受面」は、第1発明及び第2発明に準じる。
本発明において、
1.底板部は人孔蓋枠の受面に直接当接する底板体と該底板体に固設される枠杆とから構成される態様を採ること、
2.人孔蓋枠に当接する底板部を除く柵本体に一端が係合し、人孔蓋枠あるいは人孔の本体部に他端が係合し、これらの両端部間に配される張力部材に牽引力が導入される係止具を備える態様を採ること、
は本発明の一部である。
【0010】
(作用)
本人孔用安全作業柵体の一方の大径の人孔蓋枠への設置につき、当該人孔蓋枠を開蓋し、該安全作業柵体の下部底板部を当該人孔蓋枠の開口凹部に嵌め込んで受面に載置支持させ、また後部の切欠きを人孔蓋枠の蝶番部を跨いで配し、その後、係止具により本人孔用安全作業柵体を人孔蓋枠もしくは人孔に定着する。
定置された人孔用安全作業柵体は、通行の目印となり、通行者、車両の安全を図る。更に、当該設置された安全作業柵体の切欠きを介して作業者が人孔に入出する。
他方の小径の人孔蓋枠への設置は、本人孔用安全作業柵体を反転し、その上部底板部を当該人孔蓋枠の開口凹部に嵌め込み、また、前部の切欠きを人孔蓋枠の蝶番部を跨いで配し、その後、係止具により本人孔用安全作業柵体を人孔蓋枠もしくは人孔に定着する。
【0011】
本発明の第4(以下「第4発明」という。)は人孔用安全作業柵体の係止具に係り、請求項7に記載のとおり、
開蓋された径の異なる2種の円形の人孔蓋枠に着脱可能に装着される人孔用安全作業柵体に使用され、
後部に切欠きが形成され、前記人孔蓋枠の開口凹部における受面に当接載置される環状の下部底板部と、
該下部底板部より内径方向に傾斜して列状に立設される複数の柱杆と、
前部に切欠きが形成され、該柱杆の上部に水平を保って固設される上部底板部と、からなり、
前記切欠きは作業者が出入する幅空間を保持し、前記下部底板部の外径は大径の人孔蓋枠に対応し、前記上部底板部の外径は小径の人孔蓋枠に対応する人孔用安全作業柵体に使用される係止具であって、
人孔蓋枠に当接する底板部を除く前記安全作業柵体に係合する上部係合部材、 人孔蓋枠あるいは人孔の本体部に係合する下部係合部材、
前記上部係合部材と下部係合部材との間に配される引張部材に緊張力を導入・保持する介装部材、
からなることを特徴とする。
上記構成において、「人孔蓋枠の開口凹部」、人孔蓋枠の「受面」は、第1発明ないし第3発明に準じる。
また、上部係合部材、介装部材、下部係合部材は具体的には以下の実施形態で示され、例えば上部係合部材は取付け金具の態様を採り、介装部材は連結金具・ロープ用固定調整具・ロープの一連の組付け態様を採り、下部係合部材はフック金具ないしは釣針状金具を採る。
本発明において、
1.底板部は人孔蓋枠の受面に直接当接する底板体と該底板体に固設される枠杆とから構成される態様を採ること、
2.引張部材は、ロープ状あるいはベルト状の態様を採ること、
は本発明の一部である。
【0012】
(作用)
本人孔用安全作業柵体の一方の大径の人孔蓋枠への設置につき、当該人孔蓋枠を開蓋し、該安全作業柵体の下部底板部を当該人孔蓋枠の開口凹部に嵌め込んで受面に載置支持させ、また後部の切欠きを人孔蓋枠の蝶番部を跨いで配し、その後、係止具により本人孔用安全作業柵体を人孔蓋枠もしくは人孔に定着する。
定置された人孔用安全作業柵体は、通行の目印となり、通行者、車両の安全を図る。更に、当該設置された安全作業柵体の切欠きを介して作業者が人孔に入出する。
他方の小径の人孔蓋枠への設置は、本人孔用安全作業柵体を反転し、その上部底板部を当該人孔蓋枠の開口凹部に嵌め込み、また、前部の切欠きを人孔蓋枠の蝶番部を跨いで配し、その後、係止具により本人孔用安全作業柵体を人孔蓋枠に定着する。
係止具は、人孔蓋枠あるいは人孔の本体部に係合する下部係合部材に反力を取って、引張部材に導入・保持された緊張力により本人孔用安全作業柵体を人孔蓋枠側に押付け作用をなし、本人孔用安全作業柵体を人孔蓋枠に定着する。
また、引張部材に導入・保持された緊張力を解除して、上部係合部材及び又は下部係合部材の係合を外し、本人孔用安全作業柵体を人孔蓋枠から容易に外すことができる。
【発明の効果】
【0013】
本第1発明の人孔用安全作業柵体によれば、その柵本体自体で人孔蓋枠の開口凹部内に嵌合状に設置されるので、安定性が確保される、更に、その係止具により強固かつ確実に設置される。
そして、この人孔用安全作業柵体の設置により、通行の安全が図られるとともに、該人孔用安全作業柵体を介してなされる作業者の入出の安全性が確保できる。
また、本人孔用安全作業柵体の反転により、小口径の人孔蓋枠に対応でき、設置の手順並びに利用態様は定常状態と変わることはなく、適用される人孔蓋枠の適用範囲の拡大を図ることができる。
本第2発明の人孔用安全作業柵体によれば、第1発明の効果に加え、1種の本安全作業柵体で特定地域におけるすべての人孔に対応でき、その都度人孔の口径を確認する作業も必要でなく、その分だけ工事への対処が迅速化され、また、当該安全作業柵体の製作費用も大きく低減できる。
本第3発明の人孔工事の施工方法によれば、1種の本安全作業柵体で特定地域におけるすべての人孔に対応でき、その都度人孔の口径を確認する作業も必要でなく、その分だけ工事への対処が迅速化され、画期的である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の人孔用安全作業柵体が設置される人孔蓋枠の全体を示す平面構成図。
【図2】本発明の人孔用安全作業柵体の一実施形態の全体を示す正面構成図。
【図3】本安全作業柵体の平面図(図2の3方向矢視図)。
【図4】本安全作業柵体の断面図(図3の4−4線矢視図)。
【図5】本安全作業柵体の定着に使用される係止具の構成図。
【図6】係止具の他の態様を示す図。
【図7】本発明の人孔用安全作業柵体の他の実施形態の要部を示す断面構成図。
【符号の説明】
【0015】
S…人孔用安全作業柵体、M, M’,N…人孔蓋枠、K…係止具、1…下部底板、2…下枠杆、3…上部底板部、4…柱杆、5…上枠杆、6…上部底板、7…上部底板部、10…下部切欠き、12…上部切欠き、108…テーパ面、110…受面
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
本発明の人孔用安全作業柵体の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図5はその一実施形態(第1実施形態)の人孔用安全作業柵体Sを示す。
すなわち、図1は本人孔用安全作業柵体Sの設置される人孔蓋枠Mを示し、図2〜図4は本人孔用安全作業柵体Sの全体の構成を示し、図5、図6はその部分並びに詳細構成を示す。
本人孔用安全作業柵体(以下単に「安全作業柵体」という。)Sは、開蓋された人孔蓋枠Mに装着して使用されるものであり、本安全作業柵体Sの説明において、作業者の出入りする側を前部と定義する。
なお、本安全作業柵体Sは、以下の実施形態で示されるように、口径(受棚の外径)の大小に応じて二種の人孔蓋枠M、M’に対応するものであって、Mを大径のもの、M’を小径のものとする。
【0017】
先ず、本人孔用安全作業柵体Sの設置される人孔蓋枠Mについて説明する。本人孔蓋枠Mには常時は所定の鉄蓋F(図示せず、符合のみ)が嵌合装着され閉蓋状態となっている。なお、該鉄蓋Fは蝶番式を採るが、鉄蓋は本発明の本旨から外れるので、その詳細な説明は省略する。
人孔蓋枠M(図1、図2参照)
本人孔蓋枠Mは、円環状をなす本体100と該本体100の下端の外周に水平状に張設される底板部102とが鉄製をもって一体的に成形されてなる基本的構成を採る。本体100の外側面には底板部102と一体のリブ104が間隔を保って突設される。そして、該本体100の上面106は平滑面をなし、本体100の内周面は上部において下方に至るにつれ縮径するテーパ面108が形成され、該テーパ面108に続いて水平状の受面110を上面に有する棚部112が突設され、該棚部112より下方は鉛直状の下壁面114が形成される。なお、上記の本体100の内周面の凹部、すなわちテーパ面108と棚部112の受面110とにより本人孔蓋枠Mの開口凹部が形成される。
120は該人孔蓋枠Mの一内周部の1箇所(当該箇所を本人孔蓋枠Mの後部とする。)に一体に突設された蝶番保持部である。該蝶番保持部120には挿通孔122が開設される。鉄蓋Fの蝶番はこの挿通孔122に遊挿状に挿嵌される。
【0018】
本人孔用安全作業柵体Sは、上記した人孔蓋枠Mに対応して設置される。
人孔用安全作業柵体S(図2〜図4参照)
本人孔用安全作業柵体Sは、
1)後部に切欠きが形成されるとともに下部底板1と下枠杆2とからなる円環状の下部底板部3、
2)該下部底板部3より一定間隔をもって所定角度を保って内径方向に傾斜して立設される複数の柱杆4、
3)該柱杆4の上端に包絡状に固設され、前部に切欠きをもつ上部底板5と上枠杆6とからなる円環状の上部底板部7、
を主体とし、更には、前記柱杆2間に水平状に架け渡される中間枠杆8を含む。
なお、上記の下部底板部3、柱杆4、上部底板部7更には中間枠杆8により「柵本体」が構成される。
更に、本実施形態の人孔用安全作業柵体Sは、柵本体を人孔に固定する係止具Kが付加されてなる。
【0019】
以下、更に各部の細部構造について説明する。
下部底板部3(下部底板1・下枠杆2)
下部底板部3は下部底板1と下枠杆2との一体の組み合わせ体からなるとともに、円環状をなし、その後部に所定幅を保持する下部切欠き10が形成される。 下部底板1は、金属平板をもって一定厚及び一定幅の環状体をなし、その後部には所定幅を保持する下部切欠き10が形成される。下部底板1の外径は、人孔蓋枠Mの受面110の外径に実質的に一致、もしくはわずかに小径とされる。すなわち、可及的にテーパ面108の壁際に位置する。
下枠杆2は、軽量金属(例えばアルミニウム)の中空円管よりなり、下部切欠き10を含めて下部底板1と同心かつ同位相をなすとともに該下部底板1の上面に溶接等をもって固設される。
該下部底板部3は、本柵体Sの定常状態において、人孔蓋枠Mの開口凹部に嵌まり込み、下部底板1を介して人孔蓋枠Mの水平状の受面110に納まりよく、すなわちがた付きなく載置される。更に、該下部底板部3の下部切欠き10は、該人孔蓋枠Mの蝶番保持部120に臨む位置に配され、鉄蓋Fの揺動域を許容するとともに、本柵体Sが反転されたとき、作業者の出入空間を与える。
【0020】
柱杆4
柱杆4は、中空の直円管をなし、複数本よりなり、下部底板部3より一定間隔をもって所定角度αを保って内径方向に傾斜して立設される。このため、該柱杆4の柱列は上方に至るにつれ縮径する。
詳しくは、柱杆4は、下部底板部3の環状中心を通る前後中心線を対称軸として、下部底板部3に間隔(本実施形態では等間隔を採る。)を保って立設される。該中心線の対象軸の片側について、両端の端部柱杆4aを主体とし、中間において2本の中間柱杆4bが配される。端部柱杆4aは作業者の把手の機能も担う。
また、該柱杆4の内径方向への傾斜は本柵体Sの丈高に応じて適宜の角度αを採るが、本実施形態では丈高が比較的低いものであり、内径方向に傾斜して8°を超えない角度を採る。当該角度によれば、本柵体Sが反転されたとき、通常の人孔蓋枠Mのテーパ面108の角度に干渉しない。
【0021】
上部底板部7(上部底板5・上枠杆6)
上部底板部7は上部底板5と上枠杆6との組み合わせ体からなるとともに、円環状をなし、その前部に所定幅を保持する上部切欠き12が形成される。
上枠杆6は、前部に上部切欠き12の形成された中空円管の環状体をなし、柱杆4の上端に水平を保って包絡状に、かつ同心状に固設される。
上部底板5は、金属平板をもって一定厚及び一定幅の環状体をなし、上枠杆6の上部切欠き12を含めて該上枠杆6と同心かつ同位相をもって該上枠杆6の上面に溶接等により固設される。
上部底板5と上枠杆6とからなる上部底板部7は、下部底板部3より小径であって、かつ該下部底板部3と同心状をなす。
しかして、該上部底板部7は本柵体Sの定常状態において作業者の把手の機能を担い、また、上部切欠き12は作業者の出入空間を与える。
また、上部底板部7は本柵体Sが反転されたとき、他の小径の人孔蓋枠M’の水平状の受面110に載置される。また、その上部切欠き12は該人孔蓋枠M’の蝶番保持部120に望む位置に配され、鉄蓋Fの腕部の揺動域を与える。
【0022】
中間枠杆8
中間枠杆8は中空の円管よりなり、相並ぶ柱杆4間、本実施形態では中間柱杆4b間に曲線状をもって水平状に架け渡される。該中間枠杆8は、作業者の把手の機能を担い、本実施形態で環状の一部をなすが、直線状であってもよい。
【0023】
柵本体の一部を構成する、下枠杆2、柱杆4及び上枠杆6、更には中間枠杆8は上述したアルミ製の中空円管に限らず、中実の部材また多角部材であってもよく、更には素材もアルミ製に限らず、他の金属素材(例えばステンレス鋼)が適宜に選ばれる。要は、これらにより構成される柵体Sの柵本体の一体構造が強固な構造体を構成することを満足するものであればよい。
【0024】
係止具K(図5、図6参照)
係止具Kは、柵本体に一端が係合し、人孔蓋枠Mに他端が係合し、これらの両端部間に介装される引張り部材に緊張力が導入されて、該柵本体を人孔蓋枠Mに碇着する。
図5はその一実施形態の係止具Kを示す。
本係止具Kは、
1)柵本体の上部底板部7に取外し自在に装着される上部係合金具としての取付け金具20、
2)該取付け金具20に着脱自在に連結される連結金具21、
3)該連結金具21に連結されるロープ用固定調整具22、
4)該ロープ用固定調整具22に懸け回されて任意の位置で固定される引張り部材としてのロープ23、
5)該ロープ23の一端に装着され人孔蓋枠Mに係合する下部係合金具としてのフック金具24、
からなる。
上記の部材において、連結金具21、ロープ用固定調整具22及び引張り部材としてのロープ23はいわゆる介装部材を構成する。
なお、連結金具21は適宜省略されうる。
【0025】
(取付け金具20)
取付け金具(いわゆるジョイントクランプ)20は、上部係合金具の一態様であって、ピンを介して両開きをなす二つ割体20a,20bより構成され、下端の鍔状の合わせ部20cに挿通孔が開設されている。そして、該取付け金具20は上部底板部7を抱持するように取り付けられる。
(連結金具21)
連結金具21は、いわゆるカラビナが使用され、その上方の円環部は前記した取付け金具20の合わせ部20cの挿通孔に差し通され、また、下方の円環部はロープ用固定調整具22のピン22aを潜って係合する。
(ロープ用固定調整具22)
ロープ用固定調整具(いわゆるロープラチェット)22は、公知の構成のものであり、ロープの送りをその内部に配されたラチェット機構により一方向にのみ許容し、逆方向の送りは拘束し、その解除レバーの作動によってその拘束が解除され、逆方向送りが許容されるものである。
(ロープ23)
ロープ23は、引張り部材の一態様であって、その中間をロープ用固定調整具22の内部に挿通され、一端をロープ用固定調整具22の外方へ延設され、他端をロープ用固定調整具22の下方へ延設される。
(フック金具24)
フック金具24は、下部係合部材の一態様であって、金属平板を折り曲げて鉤状に成形され、上部はロープ23に連結され、下部は人孔蓋枠Mの棚部112の下面(いわゆる顎部)にその鉤状部24aもって係合する。
【0026】
本係止具Kの使用において、予め連結金具21・ロープ用固定調整具22・ロープ23・フック金具24を一連に連結する。
先ず、取付け金具20を上部底板部7に装着する。次いで、上記した連結金具21・ロープ用固定調整具22・ロープ23・フック24の連結体を、その連結金具21を取付け金具20の挿通孔を介して係合させ、また、フック金具24をその鉤状部24aを介して人孔蓋枠Mの棚部112の下面に係合させ、ロープ23の外方端部を引張り力をもって外方へ引き出す。
これにより、ロープ用固定調整具22とフック金具24間のロープ23に引張り力が導入され、連結金具21・取付け金具20を介して柵本体を下方、すなわち人孔蓋枠Mへ押し付け、柵本体の固定化がなされる。
本係止具Kの取外しについては、ロープ用固定調整具22の開放レバーを作動させ、ラチェットによるロープ23の締込みを開放し、ロープ23を緩めるとともに、フック24を人孔蓋枠Mから取り外す。
【0027】
図6は、別の下部係合部材の釣針状金具25を示す。すなわち、人孔蓋枠Mの棚部112の突出幅が小さい場合、先のフック金具24では係合されない場合があるが、本態様はこの事態に対応するものである。
本下部係合部材の釣針状金具25は、硬質金属製の釣針状あるいは錨状をなし、3方又は4方(本態様では120°等間隔の3方)へ放射状に配される放射腕25aをもち、該放射腕25aの先端の尖り部を人孔蓋枠Mの棚部112の下面に係合させ、その係止作用により人孔蓋枠Mの棚部112の突出幅が小さい場合にも良好に対応するものである。
【0028】
なお、連結金具21は適宜省略されることは先に述べたが、その他の各部材についても省略もしくは変形、更には他の部材の使用は適宜なされる。要は、係止具Kの所期の機能、すなわち柵本体に一端が係合し、人孔蓋枠Mに他端が係合し、これらの両端部間に介装される引張り部材に緊張力が導入されて、該柵本体を人孔蓋枠Mに碇着する機能を果すものであればよい。
1)ロープ23を強度のある帯状部材いわゆるベルト態様を採り、またロープ用固定調整具22をベルト用の締付け具(いわゆるバックル)に替える態様を採ることができる。
2)連結金具21・ロープ用固定調整具22・ロープ23をターンバックルあるいはゴムベルトで代用することも可能である。
【0029】
(本実施形態の作用)
叙上の構成よりなる人孔用安全作業柵体Sは、開蓋された人孔蓋枠Mの開口凹部(108,110)に嵌め込んで設置され、その後、本人孔用安全作業柵体Sは係止具Kにより人孔蓋枠Mもしくは人孔に定着される。
定置された人孔用安全作業柵体Sは、通行の目印となり、通行者、車両の安全を図る。更に、当該設置された安全作業柵体Sの切欠き10を介して作業者が人孔に入出する。
そして、他の人孔蓋枠M’に対しては本人孔用安全作業柵体Sの反転使用がなされる。
以下、具体的に説明する。
【0030】
本人孔用安全作業柵体Sの設置
本人孔用安全作業柵体Sを設置する当り、人孔の鉄蓋F(図示せず)が開放される。本実施形態において、該鉄蓋Fの蝶番は人孔蓋枠Mの蝶番保持部120の挿通孔122に遊嵌挿されており、該鉄蓋Fを持ち上げた後、該鉄蓋Fの蝶番を回動中心にして180°水平回転して開放される。
しかる後、本安全作業柵体Sの下部底板部3を開蓋された人孔蓋枠Mの棚部112の受面110に載置する。このとき、本安全作業柵体Sの後部、すなわち下部底板部3の後部は幅広の切欠き10を有しており、該切欠き10は鉄蓋Fの蝶番、更には鉄蓋Fの一部を跨いで設置される。
次いで、本安全作業柵体Sの柵本体の上部底板部7に係止具Kの取付け金具20を嵌着する。
更に、予め用意された介装金具21・ロープ用固定調整具22・ロープ23・フック24の一連体において、その介装金具21を取付け金具20に係合し、
フック24を人孔蓋枠Mの凹部に係合し、しかる後ロープ23を絞り込んで取付け金具20とフック24間のロープ23に緊張力を付与する。このとき、ロープ用固定調整具22は内蔵されたラチェット機構によりロープ23の緊張力を緩めることなく保持する。
係止具Kの取付けは少なくとも、本安全作業柵体Sの柵本体の2箇所においてなされる。
これにより、本安全作業柵体Sの前部は人孔の足掛け(ステップともいう。)の配された位置に対応するものとなり、本安全作業柵体Sはガタ付きなく設置され、本安全作業柵体Sの定着がなされる。
本安全作業柵体Sの取外しについては、ロープ用固定調整具22の開放レバーを作動させ、ラチェットによるロープ23の締込みを開放し、ロープ23を緩めるとともに、フック24を人孔蓋枠Mから取り外す。
【0031】
設置された本人孔用安全作業柵体Sの利用態様
設置された本人孔用安全作業柵体Sは、通行の目印となり、通行者、車両の安全を図る。
また、作業者は本人孔用安全作業柵体Sの前部の上部切欠き12から人孔との入出をなす。
入孔においては、作業者は本安全作業柵体Sの前部の上部切欠き12から入り込み、適宜に本安全作業柵体Sの上部底板部7、柱杆4、あるいは中間枠杆8を把持しながら人孔内の足掛けを介して人孔内を下降する。
出孔においては、作業者は人孔内の足掛けを介して人孔内を上昇し、人孔の開口部に至ると、適宜に本安全作業柵体Sの中間枠杆8、柱杆4、あるいは上部底板部7を把持しながら本安全作業柵体Sの前部の上部切欠き12から出孔する。
【0032】
反転使用
本実施形態の安全作業柵体Sは、口径すなわち受面110の外径の異なる他の人孔蓋枠M’に対して適用される。
すなわち、その人孔蓋枠M’の口径が先の人孔蓋枠Mの口径よりも小さい場合において、本安全作業柵体Sを反転して使用される。
詳しくは、本安全作業柵体Sの反転により上部底板部7が下方となり、該上部底板部7をもって人孔蓋枠M’の開口凹部内に嵌め込み、該人孔蓋枠M’の棚部112の受面110に載置する。この場合、その上部切欠き12は人孔蓋枠M’の蝶番保持部120を跨ぐように後部に配される。
また、本安全作業柵体Sの下部底板部3が上方となり、その下部切欠き10が前部に配され、その幅は十分に広く作業者の出入の空間を与える。
そして、係止具Kにより、その上部の取付け金具20を柵本体の下部底板部3に装着し、その下部のフック24を人孔蓋枠M’に係合させ、本安全作業柵体Sが定着されることは先に述べたことに準じる。
【0033】
(本実施形態の効果)
本実施形態の人孔用安全作業柵体Sによれば、その柵本体自体で人孔蓋枠Mの開口凹部内に嵌合状に設置されるので、安定性が確保される。更に、その係止具Kにより強固かつ確実に設置される。
この人孔用安全作業柵体Sの設置により、通行の安全が図られるとともに、該人孔用安全作業柵体Sを介してなされる作業者の入出の安全性が確保できる。
また、本人孔用安全作業柵体Sの反転により、小口径の人孔蓋枠M’に対応でき、設置の手順並びに利用態様は定常状態と変わることはなく、適用される人孔蓋枠の適用範囲の拡大を図ることができる。
【0034】
他の態様
本実施形態の人孔用安全作業柵体Sは、丈高の比較的低い態様を採るものであって、通常には管理作業に適用されるが、人孔内での作業の専用の場合には丈高が高い態様を採る。この人孔作業用安全作業柵体Sでは角度αはより急なものとされる。
【0035】
施工方式
本実施形態の安全作業柵体Sの特徴である反転性を活用して、新規な人孔工事の施工方式(方法)が創出される。
すなわち、本実施形態の安全作業柵体Sは、その反転性をもって二種の口径の異なる人孔蓋枠M,M’に対応して使用されるものであり、我が国における人孔蓋枠の規格に対応させて使用するとき、その使用価値は大きい。
すなわち、一地域における人孔蓋枠は、規格品においては二種の人孔蓋枠M,M’で大宗を占め、当該二種の人孔蓋枠M,M’をもってほぼ対応でき、規格外はわずかである。
これを呼び径Φ600mmの人孔蓋枠について見ると以下のとおりである。
地域Aにおいては、開口凹部の棚部112の外径が654mmの人孔蓋枠M、及び同607mmの人孔蓋枠M’の2種が大宗を占める。したがって、これに対して本安全作業柵体Sでは、下部底板部3の外径は652±2mm、上部底板部7の外径は605±2mmとされる。
地域Bにおいては、開口凹部の棚部112の外径が630mmの人孔蓋枠M及び同620mmの人孔蓋枠M’の2種が卓越するものである。
したがって、これに対して本安全作業柵体Sでは、下部底板部3の外径は628±2mm、上部底板部7の外径は618±2mmとされる。
地域Cにおいては、開口凹部の棚部112の外径が640mmの人孔蓋枠M、及び同607mmの人孔蓋枠M’の2種が卓越する。したがって、これに対して本安全作業柵体Sでは、下部底板部3の外径は638±2mm、上部底板部7の外径は605±2mmとされる。
【0036】
今、A地域において人孔工事があるとき、当該A地域用に用意された所定寸法の本安全作業柵体Sを現場に搬送し、人孔口径がどの態様であっても本安全作業柵体Sの正置ないしは反転により装着可能である。このように、1種の本安全作業柵体SでA地域におけるすべての人孔に対応でき、その都度人孔の口径を確認する作業も必要でなく、その分だけ人孔工事への対処が迅速化され、また、当該安全作業柵体Sの製作費用も大きく低減できる。
【0037】
(他の実施形態)(図7参照)
先の実施形態における人孔蓋枠M,M’は、その開口部の凹部の壁面がテーパ状(円錐面)あるいは直壁状(円筒面)の態様を採るものであるが、当該壁面が曲面状を採るものもある。
図7にその一部が示されるように、この人孔蓋枠Nにおいては、本体100’の内周面すなわち開口凹部は、円錐面状をなす上部壁面108’と、該上部壁面108’に連続的に連なる曲面状の受面110とからなる。
鉄蓋F(図示せず、符合のみ)の外側面は人孔蓋枠Nの本体の内周面に合致する曲面に形成されており、該鉄蓋Fは当該人孔蓋枠Nの本体の内周面に密接して嵌まり込む。
【0038】
本実施形態(第2実施形態)の人孔用安全作業柵体S’は、先の実施形態の人孔用安全作業柵体Sと実質的に同一の構成を採るものであるが、その下部底板部3’の下部底板1’は人孔蓋枠N(大径)の開口凹部に合致する曲面に形成され、また、その上部底板部7’(符合のみ)の上部底板6’(符合のみ)は他の人孔蓋枠N’(小径)(符合のみ)の開口凹部に合致する曲面に形成される。下部底板1’の上面に下枠杆2’が固設され、上部底板6’の下面に上枠杆5’(符合のみ)が固設されてなることは先のものと変わりがない。
なお、本人孔用安全作業柵体S’において、上部底板部7’は第1実施形態で示した人孔蓋枠Mに対応するものであってもよい。
【0039】
本発明は叙上の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開蓋された径の異なる2種の円形の人孔蓋枠に着脱可能に装着される人孔用安全作業柵体であって、
後部に切欠きが形成され、前記人孔蓋枠の開口凹部における受面に当接載置される環状の下部底板部と、
該下部底板部より内径方向に傾斜して列状に立設される複数の柱杆と、
前部に切欠きが形成され、該柱杆の上部に水平を保って固設される上部底板部と、からなり、
前記切欠きは作業者が出入する幅空間を保持し、
前記下部底板部の外径は大径の人孔蓋枠に対応し、前記上部底板部の外径は小径の人孔蓋枠に対応する、
ことを特徴とする人孔用安全作業柵体。
【請求項2】
人孔蓋枠の開口凹部における受面は水平面である請求項1に記載の人孔用安全作業柵体。
【請求項3】
底板部は人孔蓋枠の受面に直接当接する底板体と該底板体に固設される枠杆とからなる請求項1又は2のいずれかに記載の人孔用安全作業柵体。
【請求項4】
人孔蓋枠に当接する底板部を除く柵本体に一端が係合し、人孔蓋枠あるいは人孔の本体部に他端が係合し、これらの両端部間に配される張力部材に牽引力が導入される係止具を備えてなる請求項1ないし3のいずれかに記載の人孔用安全作業柵体。
【請求項5】
開蓋された径の異なる2種の円形の人孔蓋枠に着脱可能に装着される人孔用安全作業柵体であって、
後部に切欠きが形成され、前記人孔蓋枠の開口凹部における受面に当接載置される環状の下部底板部と、
該下部底板部より内径方向に傾斜して列状に立設される複数の柱杆と、
前部に切欠きが形成され、該柱杆の上部に水平を保って固設される上部底板部と、からなり、
前記切欠きは作業者が出入する幅空間を保持し、
前記下部底板部の外径は大径の人孔蓋枠に対応し、前記上部底板部の外径は小径の人孔蓋枠に対応するとともに、
前記大径の人孔蓋枠及び前記小径の人孔蓋枠は、特定地域において大宗を占める2種の規格から選択される、
ことを特徴とする人孔用安全作業柵体。
【請求項6】
開蓋された径の異なる2種の円形の人孔蓋枠に着脱可能に装着される人孔用安全作業柵体であって、
後部に切欠きが形成され、前記人孔蓋枠の開口凹部における受面に当接載置される環状の下部底板部と、
該下部底板部より内径方向に傾斜して列状に立設される複数の柱杆と、
前部に切欠きが形成され、該柱杆の上部に水平を保って固設される上部底板部と、からなり、
前記切欠きは作業者が出入する幅空間を保持し、
前記下部底板部の外径は大径の人孔蓋枠に対応し、前記上部底板部の外径は小径の人孔蓋枠に対応するとともに、
前記大径の人孔蓋枠及び前記小径の人孔蓋枠は、特定地域において大宗を占める2種の規格から選択される人孔用安全作業柵体を使用し、
開蓋された円形の人孔蓋枠に装着して人孔工事を実施する、
ことを特徴とする人孔工事の施工方法。
【請求項7】
開蓋された径の異なる2種の円形の人孔蓋枠に着脱可能に装着される人孔用安全作業柵体に使用され、
後部に切欠きが形成され、前記人孔蓋枠の開口凹部における受面に当接載置される環状の下部底板部と、
該下部底板部より内径方向に傾斜して列状に立設される複数の柱杆と、
前部に切欠きが形成され、該柱杆の上部に水平を保って固設される上部底板部と、からなり、
前記切欠きは作業者が出入する幅空間を保持し、前記下部底板部の外径は大径の人孔蓋枠に対応し、前記上部底板部の外径は小径の人孔蓋枠に対応する人孔用安全作業柵体に使用される係止具であって、
人孔蓋枠に当接する底板部を除く前記安全作業柵体に係合する上部係合部材、 人孔蓋枠あるいは人孔の本体部に係合する下部係合部材、
前記上部係合部材と下部係合部材との間に配される引張部材に緊張力を導入・保持する介装部材、
からなることを特徴とする人孔用安全作業柵体の係止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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