説明

人形の首部連結構造

【課題】着脱操作が極めて容易な人形の頭部に対する首部の連結構造を提供する。
【解決手段】頭部1は、少なくとも一箇所の開口2を設けるとともに、首部連結孔4を備えた中空状に形成され、少なくとも、前記頭部1の首部連結孔4に挿入可能な係止部17と、該係止部17を上下方向に伸縮可能な弾性部材19と、前記係止部17を上下移動かつ左右回転可能に上端に備える首部本体6とで構成された首部5と、前記頭部1内に配され、該頭部1の首部連結孔4の内周縁に当接可能な当接面21と、頭部1内にて、前記首部連結孔4を介して挿入された前記係止部17を挿通可能な挿通孔部22と、前記弾性部材19の弾性に抗して上方に引き上げるとともに、所定方向に回転させた前記係止部17を、前記挿通孔部22からずらした位置で係止する受け部23とで構成された被係止部材20からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形の首部連結構造に関する。
なお、本明細書において、人形とは、胴体と脚部と腕部と頭部を備えた人形全般に限らず、脚部や腕部を備えていない、例えば人魚のような人形も含む概念とする。
また、いわゆる人形用素体といわれるものであって頭部が接続可能なものをも含む。
また、手足、腰などの所要箇所が可動可能に構成されている、いわゆる可動人形や、手足、腰等が動かない人形の全ても対象とされる。
前記可動人形には、所要可動箇所に別途関節部を設けているものや、関節部を設けず一体に成形されているものなど公知のもの全てが対象とされる。
また、人形を構成する材質にあっては、硬質であっても軟質であっても良く、本発明の範囲内で設計変更可能である。
【背景技術】
【0002】
昨今の人形業界において、特にフィギュアと称される人間の身体(裸体)形態を忠実に模写した構成を有する人形が需要者に人気を得ている。
このフィギュアなる人形は、一般に女児等が手に持って遊んだり、単に着せ替えをして遊んだりすることもあるが、昨今フィギュア需要者層も変化し、特に男性女性を問わず成人の需要者も多くなってきている。このような成人の需要者層では、夫々の需要者の趣味に応じて人形を改造するものが多い。特に、人形の頭部は、顔表情や髪型も多種多様で、その顔表情や髪型を変えたいと欲する需要者も多い。
【0003】
そこで本発明者は、このような需要者ニーズに応えるべく、特許文献1に開示の如く、頭部が着脱できる首部の連結構造を先に提供している。
特許文献1に開示の首部の連結構造は、人形の胴体を構成する胴部外皮に一体に形成されている首部外皮に嵌め込んで装着される円筒状の首部外皮装着部(首部本体)と、該首部本体の上端にて、弾性部材を介して上下方向に揺動(伸縮)自在に備えられ、人形の頭部外皮に設けられている円形状の連結孔と比して大径の下端円形面を有する略円すい状の頭部外皮嵌着部(係止部)とで構成されている。そして、前記弾性部材は、係止部を常時首部本体の上端方向に引張り作用するコイルスプリングを一例として挙げている。
すなわち、前記頭部外皮の連結孔を押し広げて前記係止部を嵌め入れると、下端円形面が連結孔の内周縁に当接するとともに、弾性部材によって係止部が首部本体の上端方向に頭部を引き寄せ、前記下端円形面と首部本体の上端面とで前記連結孔内外周縁を挟持して首部を頭部(頭部外皮)に連結している。また、この連結孔への係止部の係止状態を解除して頭部と首部の連結を解くものとしている。
従って、需要者は、顔表情の異なる頭部を好みに応じてその都度付け替えることで、需要者の好みに応じた人形に改造していた。
【0004】
しかし、特許文献1に開示の連結構造の場合、頭部外皮の円形状の連結孔よりも大径の下端円形面を有する略円すい状の係止部を、前記下端円形面で連結孔を押し広げて嵌着または抜き外すものであったため、その連結・解除作業に労力を要していた。
また、近年本発明者は、特許文献2に開示のように、頭部の一部に開口を設けるとともに、前記開口に着脱可能に嵌着される蓋部を設ける頭部構造を提供している。
そこで、本発明者は、この頭部に設けられている開口を利用して着脱操作の容易な首部の連結構造を提供し得ないかと研究・開発を重ね、本発明完成に至った。
【特許文献1】特開2004−222935号公報(特に図9参照)
【特許文献2】特願2004−327507
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的とするところは、着脱操作が極めて容易な人形の頭部に対する首部の連結構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために第1の発明がなした技術的手段は、頭部に対して首部を解除可能に連結する連結構造であって、頭部は、少なくとも一箇所の開口を設けるとともに、首部連結孔を備えた中空状に形成され、少なくとも、前記頭部の首部連結孔に挿入可能な係止部と、該係止部を上下方向に伸縮可能な弾性部材と、前記係止部を上下移動かつ左右回転可能に上端に備える首部本体とで構成された首部と、前記頭部内に配され、該頭部の首部連結孔内周縁に当接可能な当接面と、頭部内にて、前記首部連結孔を介して挿入された前記係止部を挿通可能な挿通孔部と、前記弾性部材の弾性に抗して上方に引き上げるとともに、所定方向に回転させた前記係止部を、前記挿通孔部からずらした位置で係止する受け部とで構成された被係止部材からなることを特徴とする人形の首部連結構造としたことである。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、首部は、内部に連通孔を備えて中空筒状に形成した首部本体と、該本体内の連通孔に挿入可能な軸部と、該軸部の先端で、左右に係止面を備えて一体に突設される正面視略台形状の係止部と、前記首部本体の連通孔内にて軸部外周に巻回され、該首部本体の連通孔内で該連通孔の孔方向と直交する方向に設けた面部と、前記軸部の所定位置にて、該軸部の軸方向と直交する方向に設けた軸面部との間に挟持されて伸縮可能に備えられるコイルスプリングとで構成されていることを特徴とする人形の首部連結構造としたことである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、頭部の開口を利用して、着脱操作が極めて容易な人形の頭部に対する首部の連結構造が提供し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の一実施形態について説明する。なお、本実施形態は、本発明の一実施形態にすぎず、本発明の範囲内で設計変更可能である。
なお、図示する本実施形態では、フィギュアと称される人間を模写した人形用の頭部を一実施形態として挙げるが、本発明は何等これに限定解釈されるものではなく、熊や鳥などの動物を模写した人形の頭部、漫画キャラクタなどを立体化した人形の頭部など、一般に人形と称されるものの頭部の全てを対象とする。また、いわゆるソフトビニル樹脂製の人形の首部骨格を本実施形態では首部として説明するが、人形全体が硬質材からなるものにあっては、該人形の首部そのものが首部として称される。
【実施例1】
【0010】
図1及び図2にて符号1は、本実施例における人形用の頭部の概略断面を示し、例えば首部5よりも下方の図示しない胴体部,腕部,脚部に骨格を備えたソフトビニル製人形の軟質製の頭部として用いられる。
【0011】
頭部1は、本実施例では、例えば軟質合成樹脂材(ソフトビニル樹脂)をもって、例えば回転成形,スラッシュ成形などで人間の頭部を模写した外観形態を有するとともに内部中空に形成されている。
また、頭部1の少なくとも一箇所に所定領域にわたる開口2を設けるとともに、該開口2に着脱可能に嵌め込まれ、頭部1の全体外観を構成する蓋部3を備えている。なお、この蓋部3の外面には所定の植毛を施すこともある。さらに、蓋部3以外の頭部所定領域にも植毛を施すこともある。
また、図中符号4は、当該頭部1と首部5を連結する際の首部連結孔である。
【0012】
首部連結孔4は、頭部1の首部連結部位の所定領域に、頭部1の内外面に貫通して設けられている矩形状の長孔で、後述する係止部17が容易に挿通可能な形状に開けられている。この首部連結孔4は、後述する係止部17が容易に挿通可能な孔形状に形成されているものであればよく、特に図示形状に限定解釈されない。
なお、頭部1に形成される顔表情や図示しない耳形状、眼球部分等にあっては任意であって限定はされない。
【0013】
首部5は、図1乃至図4に示すように、首部本体6と、該首部本体6内の連通孔に挿入可能な軸部14と、該軸部14の先端14bに備えられて首部本体6の上端に備えられる係止部17と、該係止部17を常時首部本体6方向に引き寄せ作用する弾性部材19とで構成されている。
【0014】
首部本体6は、例えば本実施例では硬質合成樹脂材で、上下端6a,6bを開口7,8するとともに、該夫々の開口7,8と連通する連通孔9を内部に備えた所定長さの中空円筒状に形成されている。本実施例では、首部本体6の上端部を次のように構成している。すなわち、上端6a外周にて、水平方向に突出するとともに円周方向に連続する鍔面10を設けるとともに、該鍔面10から上端6aの開口7に向けて湾曲する昇り傾斜状のテーパ11をもって構成している。前記鍔面10は、図示しないソフトビニル樹脂製の胴体部から一体に延設される円筒状の首部外皮内に当該首部本体6を嵌め込んだ際、その鍔面10に首部外皮の端縁が当接する。
【0015】
前記連通孔9は、本実施例では、該首部本体6内の所定位置で軸方向(孔方向)と直交する方向に設けた面部12を架け渡し、該面部12を境にして下端6bとの間の連通孔を第一連通孔9a、上端6aとの間の連通孔を第二連通孔9bとしている。
また、面部12には、第一連通孔9aと第二連通孔9bを連通させる孔部12aが設けられている。従って、本実施例では、第一連通孔9aと第二連通孔9bとで一連の連通孔9が構成されている。
また、本実施例では、第一連通孔9aの径をD1、第二連通孔9bの径をD2としたときに、D1>D2の関係としている。また、孔部12aの径をD3としたときにD2>D3の関係にあるものとしている。なお、このD1〜D3の孔径及び孔径の大小関係は特に限定されないが、少なくとも夫々の孔径は軸部14の径よりも大径とする。
【0016】
また、図中13は、首部本体6の外周所定領域に複数本設けられている脱落防止部で、本実施例では、円周方向に連続した突条を、本体6の軸方向に所定間隔をあけて複数突設されている。この脱落防止部13は、図示しないソフトビニル樹脂製の胴体部から一体に延設される円筒状の首部外皮内に、首部本体6を嵌め込んだ際の脱落防止を図るための構造である。よって、本実施例の構造になんら限定されるものではなく、首部5の脱落を防止し得る構造であれば本発明の範囲内である。なお、この脱落防止部13を備えない形態も本発明の範囲内である。
【0017】
なお、本実施例では、首部本体6を円筒状に形成しているが、特に限定されず、角筒状など本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0018】
軸部14は、前記首部本体6内の第一連通孔9a、面部12の孔部12a及び第二連通孔9bに挿通可能な軸径を有する所定長さの円柱状に形成されており、その首部本体6の上端から突出させた先端に、後述する係止部17を一体に備えている。
【0019】
また、本実施例では、前記軸部14の後端14aの外周所定位置にて、該軸部14の軸方向と直交する方向に設けた軸面部15を備えている。
軸面部15は、本実施例では、前記連通孔(第一連通孔9a)内を摺動可能な外径を有し、かつ円中心に貫通孔15aを設けた円環状に形成されており、前記貫通孔15aに軸部14を挿通して配設することにより、軸部14外周を軸方向かつ周方向に摺動可能に備えるものとしている。
そして、本実施例では、軸部14外周に後述する弾性部材19を配設するとともに、該弾性部材19の下端側に前記軸面部15を配し、そしてフランジ付きのネジ16で下方から軸部14の後端14aにネジ止めしている。
【0020】
このフランジ付きのネジ16は、該フランジ16aの径が軸面部15の貫通孔15aの径よりも大径に形成し、該フランジ16aによって軸面部15を脱落しないように支持している。なお、フランジ16aはネジ部分と別体であってもよい。また、軸面部15の貫通孔15a内周に雌ネジを設け、軸部の後端外周に雄ネジを設けることで、両者を螺合させて軸部の後端外周に軸面部を一体に固定する構成を採用することも本発明の範囲内である。
【0021】
また、軸部14の全体長さは特に限定されないが、本実施例では、後述する弾性部材19をまったく負荷の掛かっていない状態で面部12と軸面部15との間に配設したときに、先端14bが首部本体6の上端6aから外方に突出する程度の長さを有するものとしている。また軸部14の径は、本実施例では先端14bから後端14aにかけて同一径としている。これら軸部14の長さ及び軸径は、特に限定されず本発明の範囲内で設計変更可能である。また軸部14の形状も本実施例に限定されず任意に設計変更可能である。
【0022】
係止部17は、前記軸部14の先端14bに一体に備えられ、該軸部14の先端14bから水平方向に突出する左右の係止面18,18を備えた正面視略台形状に形成されている。
本実施例では、前記係止面18,18からなる係止部下面17aの長さが係止部上面17bの長さに比して長く形成されている台形状に選択されている。
なお、係止部17の全体形状は特に限定されるものではなく、少なくとも後述する被係止部材20の受け部23に係止可能な係止面18,18を備えていれば他の形状に設計変更可能である。たとえば、正面視形状が、係止部上面17bの長さが係止部下面17aの長さに比して長く形成されている台形状や、前記両面17a,17bの長さを同一とする矩形状などであってもよく、また、円柱状,角柱状などの形状も選択可能である。好ましくは、需要者が指や治具を介して摘んで引き上げやすい形状を選択すると良い。
【0023】
また、係止部17は、少なくとも、前記頭部1の首部連結孔4及び被係止部材20の挿通孔部22に挿入可能な大きさとし、具体的には、図1乃至図4に示すように、左右の係止面18,18の突出方向長さL1,L2を足した係止部下面17aの全体長さLは、前記頭部1の首部連結孔4及び被係止部材20の挿通孔部22の長手方向長さL3,L4よりも僅かに短く形成するとともに、係止部下面17aの短手方向長さL5は、前記頭部1の首部連結孔4及び被係止部材20の挿通孔部22の端手方向長さL6よりも僅かに短く形成されている。従って、本実施例では、首部本体6に対して上下移動かつ回転可能に備えた軸部14の上方に係止部17が一体に備えられているため、係止部17は首部本体6の上端にて上下移動かつ左右回転可能に備えられていることとなる。
【0024】
弾性部材19は、例えば、前記首部本体6の連通孔9(第一連通孔9a)内にて軸部14の外周に巻回され、前記面部12と軸面部15との間に挟持されて伸縮可能に備えられるコイルスプリングが一例として挙げられる。なお、弾性部材19は、係止部17を常時首部本体6方向に引き寄せ作用可能なものであれば本実施例のようにコイルスプリングでなくともよい。例えばゴム紐などが一例として挙げられる。
【0025】
被係止部材20は、本実施例では、全体円盤状に形成されており、前記頭部1内に配された際に、該頭部1の首部連結孔4の内周縁に当接可能な当接面21を裏面に設けている。そして、略中央位置には、前記頭部1の首部連結孔4を介して挿入された前記係止部17を挿通可能な挿通孔部22が設けられている。
この挿通孔部22は、前記頭部1の首部連結孔4と略同一形状の矩形状長孔に形成されている。
そして、表面には、前記挿通孔部22に対して直交するように受け部23が設けられている。
【0026】
受け部23は、少なくとも係止部17の係止面18を受けることが可能な幅を有し、本実施例では、立上げ壁23a間で凹溝状の所定領域の受け部を形成するものとしている。
すなわち、受け部23の受け面23bに係止部17の係止面18を当接すると、係止部17を挟み込むように立ち上がっている立上げ壁23aによって係止部17の回転作動が抑止される。従って、この立上げ壁23a構造と、弾性部材19による係止部17の下方への引き寄せ作動により、係止部17の不意な解除がなされてしまうこともない。
【0027】
また、本実施例によれば、前記立上げ壁23aは、受け面23b側の立上げ面23cを受け面23bに対して垂直に設け、該立上げ面23cの上端から緩やかな曲面をもってガイド面23dが設けられている。このガイド面23dは、弾性部材19の弾性に抗して上方へと引き上げた係止部17を回転させたときに、係止部17の係止面18をガイド面23dの曲面にそってスライドさせて受け部23の受け面23bへと案内させる。
なお、本実施例では、挿通孔部22に対して直交するように受け部23を設けているが、これに限定されるものではなく、挿通孔部22からずれた位置で係止部17の係止面18を受けることができる構成を採用すれば本発明の範囲内である。また、本実施例では、挿通孔部22よりも上方、すなわち、被係止部材20の表面に受け部23を設ける実施の一例について説明するが、該被係止部材20の表面に凹設して設ける構成であってもよい。
【0028】
ここで、本実施例の首部連結構造による頭部1への首部5の連結作動と連結解除作動について図1及び図2に基づいて説明する。
【0029】
まず、頭部1と首部5とを連結する作動について説明する。
頭部1の蓋部3を外して、被係止部材20を頭部1内の首部連結孔4上に配して、挿通孔部22を前記首部連結孔4と連通させる(本実施例では単に置くだけである)。
次に、係止部17を、頭部1の下方から、該頭部1の首部連結孔4に挿入させるとともに、前記被係止部材20の挿通孔部22に挿通させる。
そして次に、需要者の指で直接若しくは治具を介して係止部17を摘むとともに、弾性部材19の弾性に抗して係止部17を上方に引き上げる。
その後、係止部17を引き上げ状態から左右いずれかの方向に90度回転させて挿通孔部22と直交させ、そして係止部17をその直下に位置する被係止部材20の受け部23に当接させる。
これにより、係止部17は、受け部23にある立上げ壁23a構造と、弾性部材19による係止部17の下方への引き寄せ作動により係止される。よって、首部5は頭部1に対して一体に連結される。
なお、上述の作動一例では、最初に頭部1内に被係止部材20を配するものとしているが、係止部17を頭部1の首部連結孔4に挿入した後に、該首部連結孔4から頭部1内に突出する係止部17に、被係止部材20の挿通孔部22を合わせて挿入する工程を採用することも可能である。
【0030】
次に、頭部1と首部5の連結を解除させる作動について説明する。
まず、頭部1の蓋部3を外し、頭部1内に突出している係止部17を需要者の指若しくは治具にて摘み上げ、弾性部材19の弾性に抗して上方に持ち上げる。
そして、受け部23から係止部17が外れた後に、該係止部17を受け部23位置から左右いずれかの方向に90度回転させ、該係止部17を挿通孔部22に合わせる。
そして、係止部17の引き上げ作用を解くことにより、係止部17は弾性部材19により首部本体6上端方向へと引き寄せられて、頭部1内から抜き外される。
「変形例」
【0031】
頭部1の開口2は、上述した本実施例では図示せる箇所に所定領域をもって設けているが、開口2は、さらに後頭部方向に広がった領域に設けたり、また後頭部の所定領域にのみ設けたりする構成も採用可能である。
すなわち、少なくとも、植毛によって開口2と蓋部3との境界が隠蔽可能な領域に設けられるものであれば特に限定されず設計変更可能である。
また、本実施例では、特に図示して説明しないが、頭部1の首部連結孔4の内周縁に、被係止部材20を安定して配設し得るように平坦面を設けるものとしてもよく、また被係止部材20を保持可能に凹部を設ける構成とすることも可能である。
さらに、被係止部材を頭部内に一体に固定してある構成であってもよい。
または、被係止部材を別体として配さずに、頭部1の首部連結孔4と直交する方向の内面位置に直接受け部を設ける構成も採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明首部の連結構造の一使用形態を示す概略断面図で、首部を頭部に連結した状態を示す。
【図2】図1の状態から首部を抜き外した状態を示す概略断面図。
【図3】(a)は、首部連結構造の概略断面図で、首部の係止部が被係止部材の受け部に係止されている状態を示し、(b)はその平面図を示す。
【図4】(a)は、弾性部材の弾性に抗して、図3の状態から首部の係止部を上方に引き上げて係止部の受け部に対する係止状態を解除している状態を示し、(b)はその平面図を示す。
【符号の説明】
【0033】
1 頭部
2 開口
4 首部連結孔
5 首部
6 首部本体
17 係止部
19 弾性部材
20 被係止部材
21 当接面
22 挿通孔部
23 受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に対して首部を解除可能に連結する連結構造であって、
頭部は、少なくとも一箇所の開口を設けるとともに、首部連結孔を備えた中空状に形成され、
少なくとも、前記頭部の首部連結孔に挿入可能な係止部と、
該係止部を上下方向に伸縮可能な弾性部材と、
前記係止部を上下移動かつ左右回転可能に上端に備える首部本体とで構成された首部と、
前記頭部内に配され、該頭部の首部連結孔の内周縁に当接可能な当接面と、
頭部内にて、前記首部連結孔を介して挿入された前記係止部を挿通可能な挿通孔部と、
前記弾性部材の弾性に抗して上方に引き上げるとともに、所定方向に回転させた前記係止部を、前記挿通孔部からずらした位置で係止する受け部とで構成された被係止部材からなることを特徴とする人形の首部連結構造。
【請求項2】
首部は、内部に連通孔を備えて中空筒状に形成した首部本体と、
該本体内の連通孔に挿入可能な軸部と、
該軸部の先端で、左右に係止面を備えて一体に突設される正面視略台形状の係止部と、
前記首部本体の連通孔内にて軸部外周に巻回され、該首部本体の連通孔内で該連通孔の孔方向と直交する方向に設けた面部と、前記軸部の所定位置にて、該軸部の軸方向と直交する方向に設けた軸面部との間に挟持されて伸縮可能に備えられるコイルスプリングとで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の人形の首部連結構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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