介護用ベッド
【課題】要介護者を介護人が楽な姿勢で介護でき、要介護者が介護人による補助なしに自力で立ち上がる姿勢をとり得る簡便な介護用ベッドの提供。
【解決手段】下部フレーム1の上部に、昇降可能な台枠2を介して床板フレーム3を設ける。床板フレーム3は、使用者の臀部を支持する中央レスト部31と、使用者の上半身を支持すると共に台枠2の降下動作に連動して倒伏姿勢から起立姿勢に変換する上体レスト部32と、使用者の下腿部を支持する屈曲自在な下腿レスト部33とを備える。台枠2には、この降下動作に連動して下腿レスト部33の下方位置から中央レスト部31側に移動するスライドフレーム6を付設する。下部フレーム1には、台枠2の降下動作に連動してスライドフレーム6が中央レスト部31側に移動するとき、下腿レスト部33を屈曲させながらその先端部を中央レスト部31の下側に移動案内するガイドレール12を設ける。
【解決手段】下部フレーム1の上部に、昇降可能な台枠2を介して床板フレーム3を設ける。床板フレーム3は、使用者の臀部を支持する中央レスト部31と、使用者の上半身を支持すると共に台枠2の降下動作に連動して倒伏姿勢から起立姿勢に変換する上体レスト部32と、使用者の下腿部を支持する屈曲自在な下腿レスト部33とを備える。台枠2には、この降下動作に連動して下腿レスト部33の下方位置から中央レスト部31側に移動するスライドフレーム6を付設する。下部フレーム1には、台枠2の降下動作に連動してスライドフレーム6が中央レスト部31側に移動するとき、下腿レスト部33を屈曲させながらその先端部を中央レスト部31の下側に移動案内するガイドレール12を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として身障者や病弱な高齢者などの要介護者を対象とする介護用ベッドに係わり、特に要介護者(使用者)が身体機能を回復するために自立歩行することを支援する介護用ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、身障者や病弱な高齢者をはじめ、術後の入院患者などは床内での生活を余儀なくされるが、寝たきりの時間が長くなると身体機能の低下が進行するので、筋力の衰えを回復させたり、大脳に刺激を与えたりするためには歩行訓練が極めて有効であるとされている。
【0003】
しかし、身体に大きな機能障害を抱えた者では、自ら起き上がることはできないし、食事、排泄、入浴などの際にも身内や専門の介護士による介護を必要とする。
【0004】
従来、そのような要介護者を対象として、要介護者をベッド脇に配した湯船や車椅子の位置に移動させるための介護用リフト、あるいはリクライニング機能を有した介護用ベッドなどの種々の介護用装置が実用化されている。
【0005】
特に、要介護者が立ち上がる際の負担を軽減する介護用ベッドとして、背部フレームと座部フレームと下腿部フレームとを含む折り曲げ可能な床フレーム体を備え、その床フレーム体がフラットな状態から折れ曲がった状態に変化し、折れ曲がった状態で要介護者の足が着地するようにしたものが知られる(例えば、特許文献1)。
【0006】
又、ベースフレーム上に昇降可能なサイドフレームを設けると共に、サイドフレームのヘッド側とフット側にそれぞれスライドフレームを挿入し、それらスライドフレームとサイドフレームとにより形成されるベッド床面上に、ヒンジ接続される背上げフレーム、第1膝上げフレーム、及び第2膝上げフレームを設け、ソファーとして使用可能にした可搬型介護用ベッドが知られる(例えば、特許文献2)。
【0007】
更に、ベッドの本体上部にすべり手段を具備し、そのすべり手段を介して要介護者の仰臥するマットレス等の臥寝用具がベッドの長手方向に移動可能とされる介護用ベッドが知られる(例えば、特許文献3)。
【0008】
【特許文献1】実開平6−64635号公報
【0009】
【特許文献2】特開2001−198165号公報
【特許文献3】特開2003−655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、介護用ベッドは介護人による介護負担を軽減させるために床面の高さが通常のベッドよりも高く設定されるのが通例であるのに対し、特許文献1のように床フレーム体を折り曲げただけで足が着地するものではフラット状態における床フレーム体の高さが低くなり、このため要介護者を抱え上げたり、オムツを交換したりするなどに際して介護人は無理な姿勢を余儀なくされるという問題がある。
【0011】
又、特許文献1によれば、要介護者の臀部を支持する水平状の座部フレームに対し、下腿部フレームが下方に直角に折れ曲がるので、要介護者が立ち上がる際には身体の重心が座部フレーム上にあって足の踏ん張りが利かず、介護人の補助なしには立ち上がることはできない。
【0012】
一方、特許文献2の介護用ベッドによれば、ベッド床面が昇降可能とされる構造にしてソファーとしての使用が可能とされるが、ベッドからソファーへの転換は自動的に行われるものでなく、サイドフレームからフット側のスライドフレームを抜き取り、その状態で背上げフレームを起こしながらフット側へスライドさせることにより、フット側の第2膝上げフレームがサイドフレームから直角に垂れ下がり、以って要介護者が足を垂らして座ることのできるソファー形態となることから、要介護者の足は着地せず、着地できたとしても、その着地位置は第2膝上げフレームより前方となるため、第1膝上げフレーム上に着座する要介護者は特許文献1と同じく自力で立ち上がることはできない。
【0013】
又、特許文献3の介護用ベッドは、昇降機能を有するものでなく要介護者の仰臥する高さが一定とされるものであるから、その高さを低く設定した場合には横臥状態の要介護者を介護するにあたり介護人が無理な姿勢を強いられ、高さを高く設定した場合には要介護者がベッド上に着座しても足を着地させることができないという欠点を有する。
【0014】
尚、特許文献3では、要介護者の上半身を起き上がらせた状態で足がベッド下に着地するようになっているが、これには臥寝用具の片側半分を手動により立ち上げることから介護人の肉体的負担が大きく、しかも要介護者の足を着地させるべく臥寝用具をすべり手段に沿って要介護者の足側に大きくスライドさせる必要があることから、狭い室内では要介護者の足が着地前に室内の壁面などに突き当たってしまう虞がある。
【0015】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その主たる目的は横臥状態の要介護者を介護人が楽な姿勢で介護することができ、しかも狭い室内に配置しながら要介護者が介護人による補助なしに自力で立ち上がる姿勢をとり得る簡便な介護用ベッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記目的を達成するため、下部フレームの上部に、駆動源からの伝達動力により水平状を保ったまま昇降される台枠を介して床板フレームを設けた介護用ベッドであり、前記床板フレームは、台枠の一端部上にあって使用者の臀部を支持する中央レスト部と、該中央レスト部の一端側に連なって使用者の上半身を支持すると共に前記台枠の降下動作に連動して倒伏姿勢から起立姿勢に変換する上体レスト部と、前記中央レスト部の他端側に連なって使用者の下腿部を支持する屈曲自在な下腿レスト部とを備え、前記台枠には、下腿レスト部が下部フレーム側に屈曲することを許容するべく該台枠の降下動作に連動して下腿レスト部の下方位置から中央レスト部側に移動するスライドフレームが付設され、前記下部フレームには、台枠の降下動作に連動してスライドフレームが下腿レスト部の下方位置から中央レスト部側に移動するとき、下腿レスト部を屈曲させながらその先端部を中央レスト部の下側に移動案内するガイドレールが設けられることを特徴とする。
【0017】
又、以上のような介護用ベッドにおいて、ガイドレールが下部フレームの両側内壁面に相対向して固設されると共に、下腿レスト部の幅方向両側には前記ガイドレールに転がり接触する転動ローラが設けられることを特徴とする。
【0018】
加えて、台枠の降下動作中、使用者の上腿部が迫り上げられるように中央レスト部とスライドフレームとの部位を繋ぐスイングアームを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、台枠が昇降可能とされることから、その上昇によりベッドの使用者たる要介護者を高い位置に横臥させたまま、衣類の着替えや体の汗拭きといった世話を、介護人が腰を屈めず楽な姿勢で行うことができる。このため介護人の肉体的負担を軽減することができる。
【0020】
又、台枠の降下動作に連動して、上体レスト部が起立されるほか、スライドフレームが下腿レスト部の下方位置から退いて当該下腿レスト部の屈曲が許容されるようにしていることから、使用者(要介護者)の横臥位置を高く設定しながら、使用者が起き上がる際には使用者の足をベッド上から大きく張り出す状態にすることなく下部フレームの設置領域内に着地させることができる。
【0021】
特に、ガイドレールに沿って下腿レスト部が下部フレーム側に屈曲されながらその先端部が中央レスト部の下側に移動案内されることにより、下腿レスト部が使用者の足の踏み場を覆ってしまうことが防止されるため、使用者は下肢を鋭角状に折り曲げて中央レスト部の下方位置で足を着地させることができる。従って、介護人の助けを借りずに使用者が自ら立ち上がり、歩行訓練を積極的に行って身体機能の低下を早期に回復させることができる。
【0022】
更に、上体レスト部の起立動作やスライドフレームの移動が台枠の降下動作に連動することから、多数のモータを用いず低コスト化を図ることができる。
【0023】
加えて、ガイドレールが下部フレームの両側内壁面に相対向して固設され、下腿レスト部の両側面にはガイドレールに転がり接触する転動ローラが設けられることから、下腿レスト部をガイドレールに沿って円滑に屈曲させることができる。
【0024】
更に、中央レスト部とスライドフレームとの部位を繋ぐスイングアームを備え、台枠の降下動作中に使用者の上腿部が迫り上げられるようにしていることから、台枠の降下中に使用者の臀部が下腿レスト部側に滑り動いてしまうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づき本発明を詳しく説明する。先ず、図1により本発明に係る介護用ベッドの基本的構成を説明すれば、1は左右一対の側板11を含んで構成される下部フレームであり、その上部には水平状態に支持される昇降可能な台枠2を介して横臥状態の使用者Mを支持するための床板フレーム3が設けられる。尚、床板フレーム3上にはマットレスなどの柔軟性を有する布団4が敷かれ、これが床板フレーム3に対してベルトなどで固定されるようにしてある。
【0026】
ここで、下部フレーム1と台枠2は、互いの両側面がリンク5A,5B,5Cにより繋がれるが、それらリンク5A〜5Cは、下部フレーム1および台枠2との結節点P1,P2の距離が全て等しく、しかも結節点P1,P2の区間が何れも平行とされるものであり、これにより台枠2が水平状態を保ったまま上下に平行移動(昇降)することのできる平行クランク機構が構成される。
【0027】
尚、リンク5B,5Cには、結節点P1,P2の中間部分から後方に延びる腕部5D,5Eが一体に形成され、それら腕部5D,5Eの先端が互いに平行するリンク5F,5Gを介してスライドフレーム6に連結される構成としてある。
【0028】
そのスライドフレーム6は、台枠2の内側に付設される部材であり、これは両側面に移動用の案内ローラ61を有して台枠2の長手方向に沿って移動可能とされ、その先端には床板フレーム3の後部側を支持する圧接ローラ62が設けられる。
【0029】
一方、床板フレーム3は、台枠2の一端部上にあって使用者Mの臀部を支持する中央レスト部31と、中央レスト部の一端側に連なって使用者Mの上半身(頭部及び背中)を支持する上体レスト部32と、中央レスト部の他端側に連なって使用者Mの下腿部を支持する下腿レスト部33とから構成され、上体レスト部32にはL字形を成す上記リンク5Cの長辺部分が固着されている。尚、上体レスト部32の一端底面には、リンク5Cに作用する負荷を軽減するために支持脚34が突設され、その支持脚34が台枠2の一端上面部に密着するようにしてある。
【0030】
又、中央レスト部31と上体レスト部32および中央レスト部31と下腿レスト部33は、それぞれヒンジを介して屈曲自在に連結されており、中央レスト部31と下腿レスト部33とを連ねるヒンジの軸部には、台枠2の一端部上に形成される台形状の受座21Aにより支持されるローラ35が取り付けられる。
【0031】
特に、中央レスト部31は、下腿レスト部33との連結部分がスイングアーム7によりスライドフレーム6の部位に繋がれており、そのスイングアーム7により、台枠2の降下動作中に中央レスト部31が上体レスト部32との連結部分を中心に上下に揺動されて、使用者Mの上腿部が一時的に迫り上げられるようになっている。尚、スライドフレーム6にはスイングアーム7を接続する軸部63が取り付けられ、スイングアーム7には軸部63を通す長孔71が穿設される。ここに、長孔71は図示せぬピースを嵌め込むなどして長さ調整が可能とされており、これにより台枠2の降下動作中におけるスイングアーム7の揺動動作量、ひいては使用者Mの上腿部の迫り上げ量を適宜変更できる構成とされている。
【0032】
又、下腿レスト部33は、複数枚(図示例において2枚)の板材33A,33Bをヒンジ結合することにより屈曲自在とされており、その左右両側には下部フレーム1に設けられる円弧状のガイドレール12に対応して転動ローラ36が取り付けられる。更に、下腿レスト部33の底面には、中央レスト部31の底面一端部まで延びる凸条37が形成され、その凸条37が上記圧接ローラ62により支持されるようにしてある。
【0033】
ここに、8は下部フレーム1の長手方向一端部に固設される駆動源(減速機付モータ)、81は駆動源8により正逆に回転駆動されるネジ軸であり、このネジ軸81は下部フレーム1の長手方向に沿ってその内側中央部分に回転自在に設けられ、これに螺合するスライドナット82がリンク5Hを介して床板フレームを構成する上体レスト部32に連結されるようになっている。
【0034】
しかして、ネジ軸81の回転駆動によってスライドナット82が図1の左方に移動すると、リンク5Hを通じて床板フレーム3が図1の左方に押され、更にリンク5Cを通じて該リンクと台枠2との結節点P2が図1の左方に押圧されるために、各リンク5A〜5Cが下部フレーム1との結節点P1を中心に図1の反時計回りに旋回されつつ台枠2の降下動作が行われる。又、このときリンク5Cの旋回動作によりこれに結合する上体レスト部32が倒伏姿勢から起立姿勢に変換されるほか、リンク5B,5Cの腕部5D,5Eに連接するリンク5F,5Gを通じてスライドフレーム6が図1の右方に引き込まれる。
【0035】
この結果、スライドフレーム6は、圧接ローラ62を介して下腿レスト部33を支持しながら下腿レスト部33の下方位置から中央レスト部31側に移動し、圧接ローラ62が板材33A,33Bの連結部分を通過したときには下腿レスト部33の先端側(板材33A)が自重により下部フレーム1側に屈曲して垂下するようになる。
【0036】
この段階で、台枠2は降下途上にあって降下動作が続行されるのであり、このため屈曲した下腿レスト部33の先端部における転動ローラ36がガイドレール12に転がり接触し、そのガイドレール12により下腿レスト部33が屈曲されつつ該下腿レスト部の先端部が中央レスト部31の下側に移動案内されるようになる。
【0037】
尚、台枠2の降下動作中には、これに連動するスライドフレーム6の移動により、そのスライドフレーム6にスイングアーム7で繋がれる中央レスト部31が、上記の如く上体レスト部32との連結部分を中心として上下に揺動される。これによれば、使用者Mの上腿部が図2のように迫り上げられるために、上体レスト部32の起立動作によって使用者Mの臀部が下腿レスト部33側に滑り動くのを防止することができる。
【0038】
次に、図3は以上のような台枠の降下動作が終了した状態を示す。この図で明らかなように、本発明に係る介護用ベッドによれば、台枠2の降下により床板フレーム3が折れ曲がって中央レスト部31を座面とする椅子形になり、この状態では使用者Mが下肢(脚部)を鋭角状に折り曲げて中央レスト部31の下方位置で足を着地させることを許容されるのであり、このため使用者Mは身体の重心を前方に移して介護人の助けを借りずに自力で立ち上がることが可能となる。
【0039】
尚、図3に示す椅子形の状態では食事をすることもでき、中央レスト部31に便器を装着すれば排便を行うことも可能になる。一方、図3の状態で駆動源8を上記の逆方向に駆動すれば、台枠2が上昇動作に移行して床板フレーム3が図1のようにフラット状となり、以ってベッドの形態に復帰することになるが、図1に示されるベッドの形態では、床板フレーム3の高さが60〜70cmになるよう設定されるのであり、これによれば横臥した使用者Mの着替えやマッサージなどを介護人が楽な姿勢で行うことができる。
【0040】
次に、以上のような介護用ベッドを構成する各部材の具体的構造について説明する。先ず、図4〜図5により下部フレーム1の構造を説明すれば、係る下部フレーム1は左右一対の側板11,11の間に複数の連結軸13を架設することにより構成される。そして、所定の連結軸13の中央にはブラケット14が固設され、そのブラケット14に上記ネジ軸81の先端部分を回転自在に支持する軸受15が固設される構成としてある。又、ガイドレール12は、下部フレーム1の一端側(使用者の足元側後部)で両側板11,11の内壁面に相対向して固設される。尚、側板11の上部には図1に示したリンク5A〜5Cとの結節点P1と成す孔が穿設される。
【0041】
次に、台枠2の構造を図6〜図7に示して説明すれば、係る台枠2は左右一対のビーム21を桁材22で連結することにより構成される。本例において、ビーム21はコ字形の断面を有する溝型鋼で成り、その一端部上に上記の受座21Aが固設されている。尚、ビーム21には図1に示したリンク5A〜5Cとの結節点P2と成す孔が穿設され、ビーム21内では上記スライドフレーム6の側面に設けた案内ローラ61が転動自在に支持されるようになっている。
【0042】
図8〜図9に示すように、スライドフレーム6は左右一対の内壁板64とその外側に設けられる外壁板65とを有する枠組みで、その外壁板65に上記案内ローラ61が設けられると共に、内壁板64の一端に上記圧接ローラ62が設けられる構成とされる。又、内壁板64と外壁板65との間には、図1に示したスイングアームの長孔71内に通すための軸部63が架設され、外壁板65の内側には図1に示したリンク5F,5Gの一端を接続するためのピン66が突設される。尚、図8〜図9において、67は左右一対の内壁板64,64の間に架設される補強板である。
【0043】
次に、図10〜図12により床板フレーム3の構造について説明すると、中央レスト部31、上体レスト部32、及び下腿レスト部33は、それぞれ扁平な鋼板で成り、このうち上体レスト部32は、中央レスト部31や下腿レスト部33よりも稍幅広とされ、その底面中央部分には図1に示したリンク5Hの一端を接続するためのブラケット38が形成される。又、凸条37は、スライドフレーム6の圧接ローラ62に対応して2つ並列に形成される。尚、図10、図11において、H1は中央レスト部31と上体レスト部32とを連結するヒンジ、H2は中央レスト部31と下腿レスト部33とを連結するヒンジ、H3は下腿レスト部を構成する板材33A,33Bを連結するヒンジであり、ヒンジH2の中心軸には上記ローラ35が取り付けられ、ヒンジH3の中心軸および板材33Aの端面に固設した軸には上記ガイドレール12に転がり接触する転動ローラ36が取り付けられる。
【0044】
以上、本発明について説明したが、係る介護用ベッドは上記のような構成に限定されるものでなく、例えば下腿レスト部33を複数の帯状乃至は棒状の部材を並列に連ねた簀状の形態とするなどしてもよい。又、台枠2を昇降させる手段としてパンタグラフ状の昇降機を用いてもよく、この場合でもリンク機構を利用するなどして台枠2の昇降動作にスライドフレーム6や上体レスト部32を連動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る介護用ベッドの基本構造を示す側面図(台枠の上昇時の状態)
【図2】台枠の降下動作中の状態を示す説明図
【図3】台枠が降下した状態を示す説明図
【図4】下部フレームの一端部を示す側面図
【図5】下部フレームの正面図
【図6】台枠の側面図
【図7】台枠の正面図
【図8】スライドフレームの平面図
【図9】スライドフレームを部分的に破断して示した正面図
【図10】床板フレームの側面図
【図11】床板フレームの平面図
【図12】床板フレームの正面図
【符号の説明】
【0046】
1 下部フレーム
11 側板
12 ガイドレール
2 台枠
3 床板フレーム
31 中央レスト部
32 上体レスト部
33 下腿レスト部
36 転動ローラ
37 凸条
4 布団
5A〜5C リンク
6 スライドフレーム
61 案内ローラ
62 圧接ローラ
7 スイングアーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として身障者や病弱な高齢者などの要介護者を対象とする介護用ベッドに係わり、特に要介護者(使用者)が身体機能を回復するために自立歩行することを支援する介護用ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、身障者や病弱な高齢者をはじめ、術後の入院患者などは床内での生活を余儀なくされるが、寝たきりの時間が長くなると身体機能の低下が進行するので、筋力の衰えを回復させたり、大脳に刺激を与えたりするためには歩行訓練が極めて有効であるとされている。
【0003】
しかし、身体に大きな機能障害を抱えた者では、自ら起き上がることはできないし、食事、排泄、入浴などの際にも身内や専門の介護士による介護を必要とする。
【0004】
従来、そのような要介護者を対象として、要介護者をベッド脇に配した湯船や車椅子の位置に移動させるための介護用リフト、あるいはリクライニング機能を有した介護用ベッドなどの種々の介護用装置が実用化されている。
【0005】
特に、要介護者が立ち上がる際の負担を軽減する介護用ベッドとして、背部フレームと座部フレームと下腿部フレームとを含む折り曲げ可能な床フレーム体を備え、その床フレーム体がフラットな状態から折れ曲がった状態に変化し、折れ曲がった状態で要介護者の足が着地するようにしたものが知られる(例えば、特許文献1)。
【0006】
又、ベースフレーム上に昇降可能なサイドフレームを設けると共に、サイドフレームのヘッド側とフット側にそれぞれスライドフレームを挿入し、それらスライドフレームとサイドフレームとにより形成されるベッド床面上に、ヒンジ接続される背上げフレーム、第1膝上げフレーム、及び第2膝上げフレームを設け、ソファーとして使用可能にした可搬型介護用ベッドが知られる(例えば、特許文献2)。
【0007】
更に、ベッドの本体上部にすべり手段を具備し、そのすべり手段を介して要介護者の仰臥するマットレス等の臥寝用具がベッドの長手方向に移動可能とされる介護用ベッドが知られる(例えば、特許文献3)。
【0008】
【特許文献1】実開平6−64635号公報
【0009】
【特許文献2】特開2001−198165号公報
【特許文献3】特開2003−655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、介護用ベッドは介護人による介護負担を軽減させるために床面の高さが通常のベッドよりも高く設定されるのが通例であるのに対し、特許文献1のように床フレーム体を折り曲げただけで足が着地するものではフラット状態における床フレーム体の高さが低くなり、このため要介護者を抱え上げたり、オムツを交換したりするなどに際して介護人は無理な姿勢を余儀なくされるという問題がある。
【0011】
又、特許文献1によれば、要介護者の臀部を支持する水平状の座部フレームに対し、下腿部フレームが下方に直角に折れ曲がるので、要介護者が立ち上がる際には身体の重心が座部フレーム上にあって足の踏ん張りが利かず、介護人の補助なしには立ち上がることはできない。
【0012】
一方、特許文献2の介護用ベッドによれば、ベッド床面が昇降可能とされる構造にしてソファーとしての使用が可能とされるが、ベッドからソファーへの転換は自動的に行われるものでなく、サイドフレームからフット側のスライドフレームを抜き取り、その状態で背上げフレームを起こしながらフット側へスライドさせることにより、フット側の第2膝上げフレームがサイドフレームから直角に垂れ下がり、以って要介護者が足を垂らして座ることのできるソファー形態となることから、要介護者の足は着地せず、着地できたとしても、その着地位置は第2膝上げフレームより前方となるため、第1膝上げフレーム上に着座する要介護者は特許文献1と同じく自力で立ち上がることはできない。
【0013】
又、特許文献3の介護用ベッドは、昇降機能を有するものでなく要介護者の仰臥する高さが一定とされるものであるから、その高さを低く設定した場合には横臥状態の要介護者を介護するにあたり介護人が無理な姿勢を強いられ、高さを高く設定した場合には要介護者がベッド上に着座しても足を着地させることができないという欠点を有する。
【0014】
尚、特許文献3では、要介護者の上半身を起き上がらせた状態で足がベッド下に着地するようになっているが、これには臥寝用具の片側半分を手動により立ち上げることから介護人の肉体的負担が大きく、しかも要介護者の足を着地させるべく臥寝用具をすべり手段に沿って要介護者の足側に大きくスライドさせる必要があることから、狭い室内では要介護者の足が着地前に室内の壁面などに突き当たってしまう虞がある。
【0015】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その主たる目的は横臥状態の要介護者を介護人が楽な姿勢で介護することができ、しかも狭い室内に配置しながら要介護者が介護人による補助なしに自力で立ち上がる姿勢をとり得る簡便な介護用ベッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記目的を達成するため、下部フレームの上部に、駆動源からの伝達動力により水平状を保ったまま昇降される台枠を介して床板フレームを設けた介護用ベッドであり、前記床板フレームは、台枠の一端部上にあって使用者の臀部を支持する中央レスト部と、該中央レスト部の一端側に連なって使用者の上半身を支持すると共に前記台枠の降下動作に連動して倒伏姿勢から起立姿勢に変換する上体レスト部と、前記中央レスト部の他端側に連なって使用者の下腿部を支持する屈曲自在な下腿レスト部とを備え、前記台枠には、下腿レスト部が下部フレーム側に屈曲することを許容するべく該台枠の降下動作に連動して下腿レスト部の下方位置から中央レスト部側に移動するスライドフレームが付設され、前記下部フレームには、台枠の降下動作に連動してスライドフレームが下腿レスト部の下方位置から中央レスト部側に移動するとき、下腿レスト部を屈曲させながらその先端部を中央レスト部の下側に移動案内するガイドレールが設けられることを特徴とする。
【0017】
又、以上のような介護用ベッドにおいて、ガイドレールが下部フレームの両側内壁面に相対向して固設されると共に、下腿レスト部の幅方向両側には前記ガイドレールに転がり接触する転動ローラが設けられることを特徴とする。
【0018】
加えて、台枠の降下動作中、使用者の上腿部が迫り上げられるように中央レスト部とスライドフレームとの部位を繋ぐスイングアームを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、台枠が昇降可能とされることから、その上昇によりベッドの使用者たる要介護者を高い位置に横臥させたまま、衣類の着替えや体の汗拭きといった世話を、介護人が腰を屈めず楽な姿勢で行うことができる。このため介護人の肉体的負担を軽減することができる。
【0020】
又、台枠の降下動作に連動して、上体レスト部が起立されるほか、スライドフレームが下腿レスト部の下方位置から退いて当該下腿レスト部の屈曲が許容されるようにしていることから、使用者(要介護者)の横臥位置を高く設定しながら、使用者が起き上がる際には使用者の足をベッド上から大きく張り出す状態にすることなく下部フレームの設置領域内に着地させることができる。
【0021】
特に、ガイドレールに沿って下腿レスト部が下部フレーム側に屈曲されながらその先端部が中央レスト部の下側に移動案内されることにより、下腿レスト部が使用者の足の踏み場を覆ってしまうことが防止されるため、使用者は下肢を鋭角状に折り曲げて中央レスト部の下方位置で足を着地させることができる。従って、介護人の助けを借りずに使用者が自ら立ち上がり、歩行訓練を積極的に行って身体機能の低下を早期に回復させることができる。
【0022】
更に、上体レスト部の起立動作やスライドフレームの移動が台枠の降下動作に連動することから、多数のモータを用いず低コスト化を図ることができる。
【0023】
加えて、ガイドレールが下部フレームの両側内壁面に相対向して固設され、下腿レスト部の両側面にはガイドレールに転がり接触する転動ローラが設けられることから、下腿レスト部をガイドレールに沿って円滑に屈曲させることができる。
【0024】
更に、中央レスト部とスライドフレームとの部位を繋ぐスイングアームを備え、台枠の降下動作中に使用者の上腿部が迫り上げられるようにしていることから、台枠の降下中に使用者の臀部が下腿レスト部側に滑り動いてしまうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づき本発明を詳しく説明する。先ず、図1により本発明に係る介護用ベッドの基本的構成を説明すれば、1は左右一対の側板11を含んで構成される下部フレームであり、その上部には水平状態に支持される昇降可能な台枠2を介して横臥状態の使用者Mを支持するための床板フレーム3が設けられる。尚、床板フレーム3上にはマットレスなどの柔軟性を有する布団4が敷かれ、これが床板フレーム3に対してベルトなどで固定されるようにしてある。
【0026】
ここで、下部フレーム1と台枠2は、互いの両側面がリンク5A,5B,5Cにより繋がれるが、それらリンク5A〜5Cは、下部フレーム1および台枠2との結節点P1,P2の距離が全て等しく、しかも結節点P1,P2の区間が何れも平行とされるものであり、これにより台枠2が水平状態を保ったまま上下に平行移動(昇降)することのできる平行クランク機構が構成される。
【0027】
尚、リンク5B,5Cには、結節点P1,P2の中間部分から後方に延びる腕部5D,5Eが一体に形成され、それら腕部5D,5Eの先端が互いに平行するリンク5F,5Gを介してスライドフレーム6に連結される構成としてある。
【0028】
そのスライドフレーム6は、台枠2の内側に付設される部材であり、これは両側面に移動用の案内ローラ61を有して台枠2の長手方向に沿って移動可能とされ、その先端には床板フレーム3の後部側を支持する圧接ローラ62が設けられる。
【0029】
一方、床板フレーム3は、台枠2の一端部上にあって使用者Mの臀部を支持する中央レスト部31と、中央レスト部の一端側に連なって使用者Mの上半身(頭部及び背中)を支持する上体レスト部32と、中央レスト部の他端側に連なって使用者Mの下腿部を支持する下腿レスト部33とから構成され、上体レスト部32にはL字形を成す上記リンク5Cの長辺部分が固着されている。尚、上体レスト部32の一端底面には、リンク5Cに作用する負荷を軽減するために支持脚34が突設され、その支持脚34が台枠2の一端上面部に密着するようにしてある。
【0030】
又、中央レスト部31と上体レスト部32および中央レスト部31と下腿レスト部33は、それぞれヒンジを介して屈曲自在に連結されており、中央レスト部31と下腿レスト部33とを連ねるヒンジの軸部には、台枠2の一端部上に形成される台形状の受座21Aにより支持されるローラ35が取り付けられる。
【0031】
特に、中央レスト部31は、下腿レスト部33との連結部分がスイングアーム7によりスライドフレーム6の部位に繋がれており、そのスイングアーム7により、台枠2の降下動作中に中央レスト部31が上体レスト部32との連結部分を中心に上下に揺動されて、使用者Mの上腿部が一時的に迫り上げられるようになっている。尚、スライドフレーム6にはスイングアーム7を接続する軸部63が取り付けられ、スイングアーム7には軸部63を通す長孔71が穿設される。ここに、長孔71は図示せぬピースを嵌め込むなどして長さ調整が可能とされており、これにより台枠2の降下動作中におけるスイングアーム7の揺動動作量、ひいては使用者Mの上腿部の迫り上げ量を適宜変更できる構成とされている。
【0032】
又、下腿レスト部33は、複数枚(図示例において2枚)の板材33A,33Bをヒンジ結合することにより屈曲自在とされており、その左右両側には下部フレーム1に設けられる円弧状のガイドレール12に対応して転動ローラ36が取り付けられる。更に、下腿レスト部33の底面には、中央レスト部31の底面一端部まで延びる凸条37が形成され、その凸条37が上記圧接ローラ62により支持されるようにしてある。
【0033】
ここに、8は下部フレーム1の長手方向一端部に固設される駆動源(減速機付モータ)、81は駆動源8により正逆に回転駆動されるネジ軸であり、このネジ軸81は下部フレーム1の長手方向に沿ってその内側中央部分に回転自在に設けられ、これに螺合するスライドナット82がリンク5Hを介して床板フレームを構成する上体レスト部32に連結されるようになっている。
【0034】
しかして、ネジ軸81の回転駆動によってスライドナット82が図1の左方に移動すると、リンク5Hを通じて床板フレーム3が図1の左方に押され、更にリンク5Cを通じて該リンクと台枠2との結節点P2が図1の左方に押圧されるために、各リンク5A〜5Cが下部フレーム1との結節点P1を中心に図1の反時計回りに旋回されつつ台枠2の降下動作が行われる。又、このときリンク5Cの旋回動作によりこれに結合する上体レスト部32が倒伏姿勢から起立姿勢に変換されるほか、リンク5B,5Cの腕部5D,5Eに連接するリンク5F,5Gを通じてスライドフレーム6が図1の右方に引き込まれる。
【0035】
この結果、スライドフレーム6は、圧接ローラ62を介して下腿レスト部33を支持しながら下腿レスト部33の下方位置から中央レスト部31側に移動し、圧接ローラ62が板材33A,33Bの連結部分を通過したときには下腿レスト部33の先端側(板材33A)が自重により下部フレーム1側に屈曲して垂下するようになる。
【0036】
この段階で、台枠2は降下途上にあって降下動作が続行されるのであり、このため屈曲した下腿レスト部33の先端部における転動ローラ36がガイドレール12に転がり接触し、そのガイドレール12により下腿レスト部33が屈曲されつつ該下腿レスト部の先端部が中央レスト部31の下側に移動案内されるようになる。
【0037】
尚、台枠2の降下動作中には、これに連動するスライドフレーム6の移動により、そのスライドフレーム6にスイングアーム7で繋がれる中央レスト部31が、上記の如く上体レスト部32との連結部分を中心として上下に揺動される。これによれば、使用者Mの上腿部が図2のように迫り上げられるために、上体レスト部32の起立動作によって使用者Mの臀部が下腿レスト部33側に滑り動くのを防止することができる。
【0038】
次に、図3は以上のような台枠の降下動作が終了した状態を示す。この図で明らかなように、本発明に係る介護用ベッドによれば、台枠2の降下により床板フレーム3が折れ曲がって中央レスト部31を座面とする椅子形になり、この状態では使用者Mが下肢(脚部)を鋭角状に折り曲げて中央レスト部31の下方位置で足を着地させることを許容されるのであり、このため使用者Mは身体の重心を前方に移して介護人の助けを借りずに自力で立ち上がることが可能となる。
【0039】
尚、図3に示す椅子形の状態では食事をすることもでき、中央レスト部31に便器を装着すれば排便を行うことも可能になる。一方、図3の状態で駆動源8を上記の逆方向に駆動すれば、台枠2が上昇動作に移行して床板フレーム3が図1のようにフラット状となり、以ってベッドの形態に復帰することになるが、図1に示されるベッドの形態では、床板フレーム3の高さが60〜70cmになるよう設定されるのであり、これによれば横臥した使用者Mの着替えやマッサージなどを介護人が楽な姿勢で行うことができる。
【0040】
次に、以上のような介護用ベッドを構成する各部材の具体的構造について説明する。先ず、図4〜図5により下部フレーム1の構造を説明すれば、係る下部フレーム1は左右一対の側板11,11の間に複数の連結軸13を架設することにより構成される。そして、所定の連結軸13の中央にはブラケット14が固設され、そのブラケット14に上記ネジ軸81の先端部分を回転自在に支持する軸受15が固設される構成としてある。又、ガイドレール12は、下部フレーム1の一端側(使用者の足元側後部)で両側板11,11の内壁面に相対向して固設される。尚、側板11の上部には図1に示したリンク5A〜5Cとの結節点P1と成す孔が穿設される。
【0041】
次に、台枠2の構造を図6〜図7に示して説明すれば、係る台枠2は左右一対のビーム21を桁材22で連結することにより構成される。本例において、ビーム21はコ字形の断面を有する溝型鋼で成り、その一端部上に上記の受座21Aが固設されている。尚、ビーム21には図1に示したリンク5A〜5Cとの結節点P2と成す孔が穿設され、ビーム21内では上記スライドフレーム6の側面に設けた案内ローラ61が転動自在に支持されるようになっている。
【0042】
図8〜図9に示すように、スライドフレーム6は左右一対の内壁板64とその外側に設けられる外壁板65とを有する枠組みで、その外壁板65に上記案内ローラ61が設けられると共に、内壁板64の一端に上記圧接ローラ62が設けられる構成とされる。又、内壁板64と外壁板65との間には、図1に示したスイングアームの長孔71内に通すための軸部63が架設され、外壁板65の内側には図1に示したリンク5F,5Gの一端を接続するためのピン66が突設される。尚、図8〜図9において、67は左右一対の内壁板64,64の間に架設される補強板である。
【0043】
次に、図10〜図12により床板フレーム3の構造について説明すると、中央レスト部31、上体レスト部32、及び下腿レスト部33は、それぞれ扁平な鋼板で成り、このうち上体レスト部32は、中央レスト部31や下腿レスト部33よりも稍幅広とされ、その底面中央部分には図1に示したリンク5Hの一端を接続するためのブラケット38が形成される。又、凸条37は、スライドフレーム6の圧接ローラ62に対応して2つ並列に形成される。尚、図10、図11において、H1は中央レスト部31と上体レスト部32とを連結するヒンジ、H2は中央レスト部31と下腿レスト部33とを連結するヒンジ、H3は下腿レスト部を構成する板材33A,33Bを連結するヒンジであり、ヒンジH2の中心軸には上記ローラ35が取り付けられ、ヒンジH3の中心軸および板材33Aの端面に固設した軸には上記ガイドレール12に転がり接触する転動ローラ36が取り付けられる。
【0044】
以上、本発明について説明したが、係る介護用ベッドは上記のような構成に限定されるものでなく、例えば下腿レスト部33を複数の帯状乃至は棒状の部材を並列に連ねた簀状の形態とするなどしてもよい。又、台枠2を昇降させる手段としてパンタグラフ状の昇降機を用いてもよく、この場合でもリンク機構を利用するなどして台枠2の昇降動作にスライドフレーム6や上体レスト部32を連動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る介護用ベッドの基本構造を示す側面図(台枠の上昇時の状態)
【図2】台枠の降下動作中の状態を示す説明図
【図3】台枠が降下した状態を示す説明図
【図4】下部フレームの一端部を示す側面図
【図5】下部フレームの正面図
【図6】台枠の側面図
【図7】台枠の正面図
【図8】スライドフレームの平面図
【図9】スライドフレームを部分的に破断して示した正面図
【図10】床板フレームの側面図
【図11】床板フレームの平面図
【図12】床板フレームの正面図
【符号の説明】
【0046】
1 下部フレーム
11 側板
12 ガイドレール
2 台枠
3 床板フレーム
31 中央レスト部
32 上体レスト部
33 下腿レスト部
36 転動ローラ
37 凸条
4 布団
5A〜5C リンク
6 スライドフレーム
61 案内ローラ
62 圧接ローラ
7 スイングアーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部フレームの上部に、駆動源からの伝達動力により水平状を保ったまま昇降される台枠を介して床板フレームを設けた介護用ベッドであり、
前記床板フレームは、台枠の一端部上にあって使用者の臀部を支持する中央レスト部と、該中央レスト部の一端側に連なって使用者の上半身を支持すると共に前記台枠の降下動作に連動して倒伏姿勢から起立姿勢に変換する上体レスト部と、前記中央レスト部の他端側に連なって使用者の下腿部を支持する屈曲自在な下腿レスト部とを備え、
前記台枠には、下腿レスト部が下部フレーム側に屈曲することを許容するべく該台枠の降下動作に連動して下腿レスト部の下方位置から中央レスト部側に移動するスライドフレームが付設され、
前記下部フレームには、台枠の降下動作に連動してスライドフレームが下腿レスト部の下方位置から中央レスト部側に移動するとき、下腿レスト部を屈曲させながらその先端部を中央レスト部の下側に移動案内するガイドレールが設けられることを特徴とする介護用ベッド。
【請求項2】
ガイドレールが下部フレームの両側内壁面に相対向して固設されると共に、下腿レスト部の幅方向両側には前記ガイドレールに転がり接触する転動ローラが設けられることを特徴とする請求項1記載の介護用ベッド。
【請求項3】
台枠の降下動作中、使用者の上腿部が迫り上げられるように中央レスト部とスライドフレームとの部位を繋ぐスイングアームを備えることを特徴とする請求項1、又は2記載の介護用ベッド。
【請求項1】
下部フレームの上部に、駆動源からの伝達動力により水平状を保ったまま昇降される台枠を介して床板フレームを設けた介護用ベッドであり、
前記床板フレームは、台枠の一端部上にあって使用者の臀部を支持する中央レスト部と、該中央レスト部の一端側に連なって使用者の上半身を支持すると共に前記台枠の降下動作に連動して倒伏姿勢から起立姿勢に変換する上体レスト部と、前記中央レスト部の他端側に連なって使用者の下腿部を支持する屈曲自在な下腿レスト部とを備え、
前記台枠には、下腿レスト部が下部フレーム側に屈曲することを許容するべく該台枠の降下動作に連動して下腿レスト部の下方位置から中央レスト部側に移動するスライドフレームが付設され、
前記下部フレームには、台枠の降下動作に連動してスライドフレームが下腿レスト部の下方位置から中央レスト部側に移動するとき、下腿レスト部を屈曲させながらその先端部を中央レスト部の下側に移動案内するガイドレールが設けられることを特徴とする介護用ベッド。
【請求項2】
ガイドレールが下部フレームの両側内壁面に相対向して固設されると共に、下腿レスト部の幅方向両側には前記ガイドレールに転がり接触する転動ローラが設けられることを特徴とする請求項1記載の介護用ベッド。
【請求項3】
台枠の降下動作中、使用者の上腿部が迫り上げられるように中央レスト部とスライドフレームとの部位を繋ぐスイングアームを備えることを特徴とする請求項1、又は2記載の介護用ベッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−130055(P2007−130055A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323440(P2005−323440)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(506322732)Road Wide株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(506322732)Road Wide株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]