説明

介護用寝具及びその製造方法

【課題】使用用途、使用目的等に応じて、低反発性ポリウレタンフォームの好適な点加圧戻り時間、即ち点加圧戻り時間5〜75秒の間の任意の点加圧戻り時間に調節可能な低反発性ポリウレタンフォームおよび任意の点加圧戻り時間を容易に調節可能とする、低反発性ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【解決手段】平均官能基数が2〜4で、水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオール10〜90重量%、及び平均官能基数が2〜4で、水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオール90〜10重量%が、合計配合量100重量%となるように混合されるポリオール成分、イソシアネート成分、及び炭素粉とから形成されてなることを特徴とする低反発性ポリウレタンフォームおよびその製造方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低反発性ポリウレタンフォーム及びその製造方法に関し、その目的は、点加圧戻り時間が5〜75秒の間の任意の点加圧戻り時間に調節可能であるとともに、吸湿及び脱臭作用を有する低反発性ポリウレタンフォーム及び点加圧戻り時間を容易に調節可能とする低反発性ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
低反発性ポリウレタンフォームは、靴底や靴の中敷、マットレスや枕等の寝具、家庭用椅子、自動車用シート、精密機器梱包用衝撃吸収シート等に用いられるクッション材、床材、壁材などの幅広い分野において使用されている。
これら低反発性ポリウレタンフォームは、荷重がかかるとこれの形状に追従して変形し、圧力を分散させる。これにより、局所的に圧力が集中することが防止され、非常に快適な使用感を得ることができるという優れた特長を有する。
【0003】
体圧の分散性に優れ、局部的な圧迫感がないという物理的性質、即ち低反発力を測る尺度として、本発明者は、「点加圧戻り時間」という概念を導入し既に明らかにしている(特許文献3参照)。
「点加圧戻り時間」とは、ある一定の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。
【0004】
好適に用いられる低反発性ポリウレタンフォームは、通常5〜75秒の点加圧戻り時間を有している。例えば、低反発性ポリウレタンフォームが、ベンチシート、ベンチ背もたれ、家庭用椅子ベビー用シート、自動車用シート等のクッション材として用いられる場合、前記「点加圧戻り時間」はおよそ5〜25秒が望ましい。枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具に用いられる場合、「点加圧戻り時間」はおよそ20〜75秒が望ましい。さらに、精密機器又はパソコン等の梱包用ボックス内部に使用可能な衝撃吸収材や靴底・靴の中敷等に用いられる場合、「点加圧戻り時間」はおよそ45〜75秒の低反発性ポリウレタンフォームが好適に利用される。したがって、使用用途・使用目的或いは使用対象物に応じて、低反発性ポリウレタンフォームの「点加圧戻り時間」が最適化されることが好ましい。
【0005】
従来のポリウレタンフォームの製造において着目されてきたのは、ポリウレタンフォームに吸湿、脱臭及び通気性の機能を付与することであり、使用者との接触が生ずる場面や高温多湿の環境に好適に使用可能なポリウレタンフォームを製造することであった。(特許文献1及び2参照)
特許文献3及び特許文献4に記載の発明においては、「点加圧戻り時間」という概念を導入しているが、該発明によっては、使用用途・使用目的或いは使用対象物に応じて「点加圧戻り時間」を調節する技術は開示されていない。
【0006】
一方で、褥瘡や皮膚潰瘍は、寝たきりの老齢者のみならず、自力で体位変換(寝返り)ができない要介護者、障害者、栄養状態の悪い人、或いは回復力の弱い状態の人などに生じ易く、突骨出部とくに肩甲骨、仙骨、踵などに、その症状が現れやすい。その多くは長期化するため、深刻な問題となっている。褥瘡は、皮膚が圧迫されることにより局所の血流が阻害され、その結果、皮膚組織が循環不全により損傷する病態をいい、軽症のものでは皮膚表面が爛れるだけに止まるが、重症のものでは皮下組織から骨、靭帯にいたる皮膚漬瘍を形成する。とりわけ、重症の場合は極めて難治性で、場合によっては細菌感染から死にいたることもある。
【0007】
詳細には、褥瘡は、毛細血管は32mmhg以上の圧力が加わると代謝障害がおこり、圧迫が2時間以上持続すると毛細血管の虚血により細胞の壊死が始まることにより引き起こされる。即ち、褥瘡を予防・改善するためには、皮膚組織に対して、32mmhg以上を超える圧力を与えないことが望ましい。(非特許文献1参照)
従って、このような褥瘡や皮膚潰瘍を予防・改善するための寝具が望まれているが、未だそのような寝具が創出されていないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】特開2002−306284号公報
【特許文献2】特開2004−002591号公報
【特許文献3】特許第3353249号公報
【特許文献4】特開2004−256794号公報
【非特許文献1】最新・褥瘡ケア・マニュアル改訂版2004年/株式会社医学芸術社P22
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、使用用途・使用目的或いは使用対象物に応じて、最適な点加圧戻り時間を有する低反発性ポリウレタンフォームを提供することにある。本発明によれば、点加圧戻り時間5〜75秒の間で調整された低反発性ポリウレタンフォームが提供可能となる。(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
本発明の他の目的は、使用用途・目的に応じて任意の点加圧戻り時間を容易に調節可能とする製造方法を提供することにある。これにより、幅広い使用分野に対して適切な点加圧戻り時間を有する低反発性ポリウレタンフォームが提供可能となる。
例えば、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールの配合量が増えるに従い(平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールの配合量が減るに従い)、低反発性ポリウレタンフォームは柔らかくなり、点加圧戻り時間は短くなる。
また、ポリオール成分に対して、イソシアネート成分のインデックスが高くなると、低反発性ポリウレタンフォームの反発弾性は高くなり、点加圧戻り時間は短くなる。さらに、炭素粉の配合量が増えるに従い、低反発性ポリウレタンフォームは硬くなり、点加圧戻り時間は長くなる。本発明者は、これらを組み合わせることにより、前記点加圧戻り時間を調節できることを見出し、本発明に至った。
詳細には、低反発性ポリウレタンフォームが、ベンチシート、ベンチ背もたれ、家庭用椅子ベビー用シート、自動車用シート等のクッション材として用いられる場合、前記点加圧戻り時間はおよそ5〜25秒に調整される。枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具に用いられる場合、点加圧戻り時間はおよそ20〜75秒に調整される。さらに、精密機器又はパソコン等の梱包用ボックス内部に使用可能な衝撃吸収材や靴底・靴の中敷等に用いられる場合、点加圧戻り時間はおよそ45〜75秒に調整される。
さらに詳細には、点加圧戻り時間が36〜75秒で調整された枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具は、特に褥瘡を防止・改善するための寝具として好適に使用される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールを混合してポリオール成分とする工程と、該ポリオール成分に炭素粉を混合した後イソシアネート成分を加える工程からなり、前記ポリオール成分が、前記平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオール10〜90重量%の範囲内の任意の配合量と、前記平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオール90〜10重量%の範囲内の任意の配合量で、且つ前記2種のポリオールの合計配合量が100重量%となるように混合されることにより点加圧戻り時間を調整することを特徴とする低反発性ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
請求項2に係る発明は、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールを混合してポリオール成分とする工程と、該ポリオール成分に炭素粉を混合した後イソシアネート成分を加える工程からなり、前記イソシアネート成分が、前記ポリオール成分に対するイソシアネートインデックスが72〜100の範囲内の任意のインデックスで加えられることにより点加圧戻り時間を調整することを特徴とする低反発性ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
請求項3に係る発明は、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールを混合してポリオール成分とする工程と、該ポリオール成分に炭素粉を混合した後イソシアネート成分を加える工程からなり、前記炭素粉の配合量が、前記ポリオール成分に対して0.1重量%〜3.8重量%の範囲内の任意の配合量で混合されることにより点加圧戻り時間を調整することを特徴とする低反発性ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
請求項4に係る発明は、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオール10〜90重量%及び、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオール90〜10重量%が、合計配合量100重量%となるように混合されるポリオール成分、該ポリオール成分に対してイソシアネートインデックス72〜100であるイソシアネート成分、及び炭素粉とから形成されてなる低反発性ポリウレタンフォームであって、点加圧戻り時間が36〜75秒の範囲内に調整されていることを特徴とする低反発性ポリウレタンフォームに関する。
(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
請求項5に係る発明は、前記ポリオール成分に対して前記炭素粉が0.1重量%〜3.8重量%配合されてなることを特徴とする請求項4に記載の低反発性ポリウレタンフォームに関する。
請求項6に係る発明は、前記炭素粉が粒径0.1μm〜1000μmであることを特徴とする請求項4又は5に記載の低反発性ポリウレタンフォームに関する。
請求項7に係る発明は、前記請求項4乃至6いずれかに記載の低反発性ポリウレタンフォームからなる寝具に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、点加圧戻り時間が5〜75秒の間の任意の点加圧戻り時間を有する。その結果、使用用途・使用目的或いは使用対象物に応じて最適なポリウレタンフォームとなる。(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、含有する炭素粉により、吸湿及び脱臭作用を有する。
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームの製造方法は、低反発性ポリウレタンフォームの点加圧戻り時間を容易に調節可能であるため、使用用途・使用目的或いは使用対象物に最適な低反発性ポリウレタンフォームを提供することができる。
【0012】
低反発性ポリウレタンフォームが、ベンチシート、ベンチ背もたれ、家庭用椅子ベビー用シート、自動車用シート等のクッション材として用いられる場合、前記点加圧戻り時間はおよそ5〜25秒に調整される。枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具に用いられる場合、点加圧戻り時間はおよそ20〜75秒に調整される。さらに、精密機器又はパソコン等の梱包用ボックス内部に使用可能な衝撃吸収材や靴底・靴の中敷等に用いられる場合、点加圧戻り時間はおよそ45〜75秒に調整される。
【0013】
詳細には、点加圧戻り時間が36〜75秒で調整された枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具は、特に褥瘡を予防する寝具として好適に使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず、本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームの製造方法について説明する。
本発明の低反発性ポリウレタンフォームの製造方法は、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールを配合する工程、炭素粉を配合する工程、及びイソシアネート成分を配合する工程、さらに、ポリオール成分に炭素粉が含まれた後、8時間以内でイソシアネート成分と混合される工程を除いては、従来のポリウレタンフォーム製造方法を用いることができる。
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォーム製造方法の他の特徴は、所望の点加圧戻り時間を調節すべく、2種のポリオールの混合比率、イソシアネート成分及び炭素粉の配合量が調節される。(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
【0015】
本発明の低反発性ポリウレタンフォームの製造方法とは、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールを混合しポリオール成分を生成する。前記ポリオール成分に炭素粉を混合して分散させる。その後、ポリオール成分とイソシアネート成分を混合して加熱・発泡して成型する。
前記の炭素粉をポリオール成分中に予め混合した後にイソシアネート成分と混合して加熱・発泡させるという工程によって、炭素粉がポリウレタンフォーム中に偏って保持されずに、ポリウレタンフォーム中に分散されて保持される。
【0016】
本発明に係るポリウレタンフォーム製造方法の一例を示すと、まず、ポリオール成分、イソシアネート成分とも、固体状の場合は加熱されて溶融される。この際の加熱温度は、50〜80℃とされる。また、必要に応じて減圧状態におかれ、脱水、脱泡が行われる。
次に、ポリオール成分に触媒・発泡剤、或いはその他の添加剤が混合される。さらに、本発明においては、予め炭素粉もポリオール成分に配合され、略均一となるように分散される。この際の温度は、15〜60℃とされる。
最後に、様々な添加剤が混合されたポリオール成分と、イソシアネート成分を混合して、加熱・発泡された後に成型することにより本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームを製造することができる。
【0017】
本発明の製造方法において、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールとの配合量の調整、イソシアネートの配合量の調整、炭素粉の配合量の調整により、本発明の低反発性ポリウレタンフォームの点加圧戻り時間を任意に調節することができる。点加圧戻り時間の調節のための各配合量の調整を以下に示す。
【0018】
平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールの配合量が増えるに従い(平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールの配合量が減るに従い)、低反発性ポリウレタンフォームは柔らかくなり、点加圧戻り時間は短くなる。
ポリオール成分に対して、イソシアネート成分のインデックスが高くなると、低反発性ポリウレタンフォームの反発弾性は高くなり、点加圧戻り時間は短くなる。
炭素粉の配合量が増えるに従い、低反発性ポリウレタンフォームは硬くなり、点加圧戻り時間は長くなる。
さらに、上記の各配合比率(平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオール、ポリオール成分とイソシアネート成分、及びポリオール成分と炭素粉)を、それぞれ組み合わせることによって、さらに詳細に点加圧戻り時間を調節することができる。
【0019】
以下、本発明の低反発性ポリウレタンフォームを形成する成分、その含量について詳細に説明する。
本発明の低反発性ポリウレタンフォームは、ポリオール成分と、イソシアネート成分と、炭素粉と、発泡剤と、触媒とから形成される。
【0020】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームに用いられるポリオール成分は、通常の軟質ポリウレタンフォームの製造に使用されるものであれば、いずれのポリオール成分も用いることができる。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトールエチレンジアミン、トリレジンアミン、ジフェニルメタンジアミン、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシルメチル)シクロヘキサノール、ジエチレントリアミン、ポリ尿素分散ポリオール、アミン変性ポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、多価アルコールと二塩基酸の縮重合により得られるポリエステルポリオール等を例示することができる。
【0021】
本発明に係るポリオール成分としては、前述のポリオールの平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールとの混合物を用いる。
前者のポリオールと後者のポリオールの配合量は、その2種のポリオールの合計配合量が100重量%となるように、前者のポリオールが10〜90重量%、後者のポリオールが90〜10重量%となるように配合することが望ましく、より好ましくは前者のポリオールが10〜50重量%、後者のポリオールが90〜50重量%となるように配合する。前記配合量による低反発性ポリウレタンフォームは、広い範囲の使用用途で用いられ、より好適な圧力分散性を発揮する低反発性ポリオールとなる。この理由は、前者のポリオールの配合量が10重量%未満の場合(後者のポリオールの配合量が90重量%を超える場合)、ポリウレタンフォームが硬質となり、表面を押してもつぶれにくくなり、点加圧戻り時間は好適な時間より長くなる。前者のポリオールの配合量が90重量%を超える場合(後者のポリオールの配合量が10重量%未満の場合)、低反発性が減少し、柔らかくなりすぎるため、点加圧戻り時間が短くなる。従って、いずれの場合も低反発性としての使用が困難となるため好ましくない。
平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールは特に限定されないが、例えば三井武田ケミカル社製の商品名アクトコールLR−00を使用することができる。
平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールは特に限定されないが、例えば三井武田ケミカル社製の商品名アクトコールLR−03を使用することができる。
【0022】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームに用いられるイソシアネート成分は、ポリウレタンフォームの製造に用いられるものであれば、いずれのイソシアネート成分も使用することができる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジメチルジフェニルジイソシアネート、ジアニジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、又はこれらの変成物を例示することができる。本発明においては、前記したようなイソシアネート成分のうちの一種のみを用いてもよく、また二種以上を混合して用いても構わない。
【0023】
本発明に係るイソシアネート成分の配合量は、ポリオール成分100重量部に対して、インデックスが、望ましくは72〜100、より好ましくは75〜100となるように調整されることが望ましい。前記範囲のインデックスに調整されることにより、広い範囲の使用用途に用いられる低反発性ポリウレタンフォームとなり、且つ好適な圧力分散性を与えることとなる。
インデックスが70未満の場合、ポリウレタンフォームが柔らかくなりすぎるため望ましくない。即ち、ポリウレタンフォームの表面を押さえた時、該ポリウレタンフォームの形状は窪んだ状態から戻らなくなることがあるからである。また100を超える場合は、ポリウレタンフォームの反発弾性が高くなりすぎるため、低反発性ポリウレタンフォームとして使用されることが困難であるため望ましくない。
【0024】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームの製造に使用されるイソシアネート成分としては特に限定されないが、三井武田ケミカル株式会社製のタケネート80(商品名)、或はトルエンジイソシアネート(TDI−80,TDI−65)、粗‐ジフェニルメタンジイソシアネート(Crude−MDI)等を例示することができる。
【0025】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームには、さらに炭素粉が含有される。炭素粉の粒径は0.1μm〜1000μm、好ましくは10μm〜400μmであるものを用いることができる。炭素粉の粒径が0.1μm以下の場合は凝集を起こし、炭素粉の効果が発揮されにくく、炭素粉の粒径が1000μm以上の場合は製造工程に適さないためにいずれの場合も好ましくない。
【0026】
炭素粉としては、原木を750〜1200℃で焼き、350〜520℃で炭化させることにより得られる白炭、原木を400〜750℃で焼き、250〜450℃で炭化させることにより得られる黒炭のいずれも好ましく用いることができる。
例えば、白炭としては、ウバメガシ(Quercus phillyraeoides)を原木とし、1200℃前後で焼かれた備長炭などを挙げることができる。黒炭としては、クヌギ(Quercus acutissima)、コナラ(Quercus serrta Thunb)などを原木とした木炭を挙げることができる。更には、イネ科(Gramineae)に属する竹類を用いた竹炭、或いはカーボンブラックや活性炭も好適に用いることができる。特に本発明では、木炭又は竹炭等の多孔性の炭素粉を用いることが好ましく、備長炭を用いることがより好ましい。
【0027】
本発明においては、木炭及び/又は竹炭とカーボンブラックの混合物を使用することもできる。カーボンブラックを混合することで、木炭及び竹炭がより均一に分散することとなる。さらに、カーボンブラックを配合することにより、ポリウレタンフォーム全体を黒く着色することができる。カーボンブラックを配合する場合、その粒径は特に限定されないが、0.01〜1μmとされる。
【0028】
木炭及び竹炭とカーボンブラックの配合比は特に限定されないが、重量比で木炭及び/又は竹炭:カーボンブラック=1:0.5〜5、好ましくは1:1〜3、より好ましくは1:1.5〜2.5とされる。カーボンブラックの配合量が木炭及び/又は竹炭の配合量の0.5重量倍未満であると、カーボンブラックの配合による効果が得られず、またカーボンブラックの配合量が木炭及び/又は竹炭の配合量の5重量倍を超えて配合すると、木炭及び/又は竹炭の配合量が相対的に低下して吸湿性や脱臭性が低下するために、いずれの場合も好ましくない。
【0029】
炭素粉の配合量は、ポリオール成分に対して0.1重量%〜3.8重量%配合される事が望ましく、より好ましくは1.0重量%〜3.0重量%含まれる。これは、炭素粉の配合量が0.1重量%未満の場合、炭素粉を配合することによる効果が得られず、また3.8重量%を超えて配合すると触媒や水を吸着し、発泡が良好に行われないことがあるためにいずれの場合も好ましくない。本発明において、炭素粉の配合量が増すにつれ、低反発性ポリウレタンフォームは比較的硬くなり、点加圧戻り時間は長くなる。
【0030】
発泡剤は、ポリウレタンフォームの製造に用いられるものであれば、いずれの発泡剤も使用することができる。具体的には、トリクロロフルオロメタン、メチレンクロライド、ジクロロジフルオロメタン等のフロン系化合物の他、水、酸アミド、ニトロアルカン、或いは重炭素粉酸ナトリウム、炭素粉酸アンモニウム等を例示することができ、水または水とメチレンクロライドなどの低沸点有機化合物の混合物を使用することが好ましい。本発明においては、前記したような発泡剤のうちの一種のみを用いてもよく、また二種以上を混合して用いても構わない。
発泡剤の配合量は、通常のポリウレタンフォームの製造における配合量であればよく、具体的には、ポリオール成分100重量部に対して、1.0〜6.0重量部、好ましくは1.8〜5.0重量部となるように調整するとよい。この理由は、発泡剤の配合量が1.0重量部未満の場合、および6.0重量部を超える場合のいずれも良好に発泡させることができず、いずれの場合も好ましくない。
【0031】
触媒はポリウレタンフォームの製造に用いられるものであれば、いずれの触媒も使用することができる。具体的には、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、スタナスオレエート等の錫系触媒、トリプロピルアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の三級アミン系触媒の他、公知のウレタン化触媒、例えば有機金属、有機酸等を例示することができる。本発明においては、前記したような触媒のうちの一種のみを用いてもよく、また二種以上を混合して用いても構わない。
触媒の配合量は、通常のポリウレタンフォームの製造における配合量であればよく、具体的には、ポリオール成分100重量部に対して、0.01〜5.0重量部、好ましくは0.5〜3.0重量部となるように調整するとよい。この理由は、触媒の配合量が0.01重量部未満の場合、および5.0重量部を超える場合のいずれも良好なウレタンフォームを得ることができない。
【0032】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、以上説明した成分が前記の配合量で含まれているため、点加圧戻り時間が5〜75秒を有しおり、且つ配合組成によって任意に調整できるから、本発明の低反発性ポリウレタンフォームは、例えば、ベンチシート、ベンチ背もたれ、家庭用椅子ベビー用シート、自動車用シート等、枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具、或は、精密機器又はパソコン等の梱包用ボックス内部に使用可能な衝撃吸収材や靴底・靴の中敷等、広範囲の使用用途、使用目的、使用対象物に用いられることが可能となる。
また、炭素粉はポリウレタンフォーム中の悪臭や湿気を吸着することができる。
さらに、炭素粉は遠赤外線効果を有するために、例えば、本発明の低反発性ポリウレタンフォームを寝具として使用した場合は、保温性を高めることができる。
【0033】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、25℃の温度条件下における点加圧戻り時間が5〜75秒の範囲内で調整されてなる。この範囲の点加圧戻り時間は、様々な用途において、期待されるべき機能を発揮する。
【0034】
詳細には、低反発性ポリウレタンフォームが、ベンチシート、ベンチ背もたれ、家庭用椅子ベビー用シート、自動車用シート等のクッション材として用いられる場合、前記点加圧戻り時間はおよそ5〜25秒に調整される。枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具に用いられる場合、点加圧戻り時間はおよそ20〜75秒に調整される。さらに、精密機器又はパソコン等の梱包用ボックス内部に使用可能な衝撃吸収材や靴底・靴の中敷等に用いられる場合、点加圧戻り時間はおよそ45〜75秒に調整される。
【0035】
前記枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具に用いられる場合、点加圧戻り時間は20〜75秒に調整される。さらに詳細には、点加圧戻り時間が36〜75秒で調整された枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具(以下、これらを総称して寝具類という)は、特に褥瘡を予防・改善する寝具類として好適に使用される。
【0036】
前記点加圧戻り時間36秒〜75秒を有する低反発性ポリウレタンフォームが、褥瘡を予防する寝具類として好適である理由は以下の通りである。
【0037】
まず、本発明に係る点加圧戻り時間は、「低弾性」を測定する尺度となる。詳細には、点加圧戻り時間が極端に長い(76秒以上)である(即ち、圧縮された低反発性ポリウレタンフォームが元の形状に戻らない)場合、その低反発性ポリウレタンフォームは低弾性がないということになる。(即ち、弾力がない。)
点加圧戻り時間が長い(即ち、圧縮された低反発性ポリウレタンフォームが元の形状に戻るまでの時間が長い)場合、低弾性が高いということになる。(即ち、弾力が低い。)
点加圧戻り時間が短い(即ち、圧縮された低反発性ポリウレタンフォームが元の形状に戻るまでの時間が短い)場合、低弾性が低いということになる。(即ち、弾力が高い。)
【0038】
低反発性ポリウレタンフォームがある物体によって押圧された際、該フォームの「低弾性」が高い程、該物体表面の凹凸に沿うようにして変形するため、両者の接触面積はより大きくなる。反対に、低反発性ポリウレタンフォームがある物体によって押圧された際、該フォームの「低弾性」が低い程、両者の接触面積はより小さくなる。
つまり、本発明の低反発性ポリウレタンフォームが点加圧戻り時間が長い程、「低弾性」が高くなるため、物体と接触した際の接触面積が大きくなるから、接触面で生じる圧力が分散されることとなる。
【0039】
一般的に、毛細血管に32mmhg以上の圧力が加わると代謝障害がおこり、圧迫が2時間以上持続すると、毛細血管の虚血による細胞の壊死が始まる。これにより、褥瘡が引き起こされる。従って、点加圧戻り時間を調整又は調節することにより接触面で生じる加圧を調整・調節して、褥瘡の予防・改善が可能な寝具類を製造することができる。
褥瘡は、体の各部位のうち、特に、突骨出部、特に肩甲骨、仙骨、踵、外踝部又は大転子部等の凹凸部分に、その症状が見られる。ことからも、体の各部位の凹凸に追従して低反発性ポリウレタンフォームを変形することによって、褥瘡が発生する部位への加圧力を軽減することが必要である。
【0040】
以上の理由から、本発明の低反発性ポリウレタンフォームは、点加圧戻り時間を好ましくは36〜75秒の範囲に調整する。このように調整された低反発性ポリウレタンフォームは、寝具類として好適に用いられるとともに、特に褥瘡を予防・改善することができる、優れた低反発性ポリウレタンフォームとなる。
【0041】
また、本発明の点加圧戻り時間の測定において先端が直径25mmの円形の平面である試験棒を使用した理由は、身体とマットの接触部を測定する体圧測定器のセンサー部が20〜30mmの範囲である、また、褥瘡が発生しやすい部位(仙骨、踵)の範囲が直径100mm以内であるからである。(非特許文献1参照)従って、前記先端が直径25mmの円形の平面である試験棒を使用すると、両者の極めて高い相関性を見出すことができる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明について実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(試料の調製1)
表1〜3に示される組成により、実施例1〜14及び比較例1〜3の各試料を調製した。調製方法は、まず、ポリオール成分と、触媒・発泡剤及び水等の添加剤、及び備長炭を混合した。このポリオール成分とイソシアネート成分を混合して反応させた。鋳型温度20〜80℃で混合し反応させ成型する。
前記ポリオール成分は、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールとして、三井武田ケミカル社製の商品名アクトコールLR−00[ポリオール1]を使用し、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールとして、三井武田ケミカル社製の商品名アクトコールLR−03[ポリオール2]を使用し、これらを表1〜3の配合比率により混合した。
架橋剤としては、ジプロピレングリコールを用い、触媒としては、三共エアプロダクツ株式会社製の商品名ダブコ33LV(DABCO 33LV)[触媒1]、商品名ナイアックス(Niax A−1)[触媒2]、及び商品名エヌ・シー・アイ・エム(NC−IM)[触媒3]を使用した。イソシアネートは、VT-80(住化バイエルウレタン株式会社製)を、シリコーン整泡剤としては、SF−2908を使用した。
【0043】
上記調製した実施例1〜14及び比較例1〜3の各試料に対して、25℃の温度条件下において一定の負荷を加えた後に、この負荷を取り除き、負荷により形成された窪みが負荷を全く加えていない状態にまで戻るまでの時間(点加圧戻り時間)を測定した。尚、試験中の反発弾性率は、JIS K 6400−3に基づき行った。結果を表1〜3に示す。



【0044】
(試験例1;実施例1〜5/平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールの配合量による点加圧戻り時間の調整に関する試験)
【0045】
【表1】

【0046】
(試験例2;実施例6〜8、比較例1/ポリオール成分に対して、イソシアネート成分のインデックスを変動させることによる点加圧戻り時間の調整に関する試験)
【0047】
【表2】

【0048】
(試験例3);実施例9〜14、比較例2,3/炭素粉の配合量を変動させることによる点加圧戻り時間の調整に関する試験)
【0049】
【表3】

【0050】
表1〜3の結果の通り、本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、任意に調節可能な点加圧戻り時間を有していることがわかる。
詳細には、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールの配合量が増えるに従い(平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールの配合量が減るに従い)、低反発性ポリウレタンフォームは柔らかくなり、点加圧戻り時間は短くなる。一方、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールの配合量が減るに従い(平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールの配合量が増えるに従い)、低反発性ポリウレタンフォームは硬くなり、点加圧戻り時間は長くなる。
【0051】
ポリオール成分に対して、イソシアネート成分のインデックスが高くなると、低反発性ポリウレタンフォームの反発弾性は高くなり、点加圧戻り時間は短くなる。一方、ポリオール成分に対して、イソシアネート成分のインデックスが低くなると、低反発性ポリウレタンフォームの反発弾性は低くなり、点加圧戻り時間は長くなる。
【0052】
炭素粉の配合量が増えるに従い、低反発性ポリウレタンフォームは硬くなり、点加圧戻り時間は長くなる。一方、炭素粉の配合量が減ると、低反発性ポリウレタンフォームは柔らかくなり、点加圧戻り時間は短くなる。
【0053】
(試験例4);低反発性ポリウレタンフォームの圧力分布散測定
以下表4中実施例001〜004からなるマットを用いて、被験者(身長:157.5cm、体重:48.5キログラム、性別:女性)がマット上で仰向け姿勢となり、測定器(圧力分布測定システム(FSA、VERG社製))により圧力分布測定を行った。
尚、実施例001〜004は、ポリオール成分100重量部、架橋剤3重量部、水1.2重量部、触媒1.46重量部、シリコーン整泡剤1重量部、イソシアネート(インデックス90)、備長炭1重量部を含み、縦195cm、横87cm、厚み50cmの型内で発泡させたものを用いた。また、マットを使用しない状態の圧力分布を比較例001とした。結果を表5及び図1〜5に示す。
【0054】
【表4】

【0055】
【表5】

【0056】
表5が示すように、点加圧戻り時間が36秒の実施例002では、肩甲骨部で29mmhgが確認された。また、点加圧戻り時間が75秒の実施例003においては、後頭部で31mmhgが確認された。従って、点加圧戻り時間が36〜75秒の低反発性ポリウレタンフォームは、特に褥瘡を予防・改善することができる寝具類として好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】試験例4における、実施例001の圧力分布測定結果である。
【図2】試験例4における、実施例002の圧力分布測定結果である。
【図3】試験例4における、実施例003の圧力分布測定結果である。
【図4】試験例4における、実施例004の圧力分布測定結果である。
【図5】試験例4における、比較例001の圧力分布測定結果である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低反発性ポリウレタンフォームからなる介護用寝具及びその製造方法に関し、その目的は、点加圧戻り時間が36〜75秒で調整された枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具は、特に褥瘡を予防する寝具及びその製造方法を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
低反発性ポリウレタンフォームは、靴底や靴の中敷、マットレスや枕等の寝具、家庭用椅子、自動車用シート、精密機器梱包用衝撃吸収シート等に用いられるクッション材、床材、壁材などの幅広い分野において使用されている。
これら低反発性ポリウレタンフォームは、荷重がかかるとこれの形状に追従して変形し、圧力を分散させる。これにより、局所的に圧力が集中することが防止され、非常に快適な使用感を得ることができるという優れた特長を有する。
【0003】
体圧の分散性に優れ、局部的な圧迫感がないという物理的性質、即ち低反発力を測る尺度として、本発明者は、「点加圧戻り時間」という概念を導入し既に明らかにしている(特許文献3参照)。
「点加圧戻り時間」とは、ある一定の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。
【0004】
好適に用いられる低反発性ポリウレタンフォームは、通常5〜75秒の点加圧戻り時間を有している。例えば、低反発性ポリウレタンフォームが、ベンチシート、ベンチ背もたれ、家庭用椅子ベビー用シート、自動車用シート等のクッション材として用いられる場合、前記「点加圧戻り時間」はおよそ5〜25秒が望ましい。枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具に用いられる場合、「点加圧戻り時間」はおよそ20〜75秒が望ましい。さらに、精密機器又はパソコン等の梱包用ボックス内部に使用可能な衝撃吸収材や靴底・靴の中敷等に用いられる場合、「点加圧戻り時間」はおよそ45〜75秒の低反発性ポリウレタンフォームが好適に利用される。したがって、使用用途・使用目的或いは使用対象物に応じて、低反発性ポリウレタンフォームの「点加圧戻り時間」が最適化されることが好ましい。
【0005】
従来のポリウレタンフォームの製造において着目されてきたのは、ポリウレタンフォームに吸湿、脱臭及び通気性の機能を付与することであり、使用者との接触が生ずる場面や高温多湿の環境に好適に使用可能なポリウレタンフォームを製造することであった。(特許文献1及び2参照)
特許文献3及び特許文献4に記載の発明においては、「点加圧戻り時間」という概念を導入しているが、該発明によっては、使用用途・使用目的或いは使用対象物に応じて「点加圧戻り時間」を調節する技術は開示されていない。
【0006】
一方で、褥瘡や皮膚潰瘍は、寝たきりの老齢者のみならず、自力で体位変換(寝返り)ができない要介護者、障害者、栄養状態の悪い人、或いは回復力の弱い状態の人などに生じ易く、突骨出部とくに肩甲骨、仙骨、踵などに、その症状が現れやすい。その多くは長期化するため、深刻な問題となっている。褥瘡は、皮膚が圧迫されることにより局所の血流が阻害され、その結果、皮膚組織が循環不全により損傷する病態をいい、軽症のものでは皮膚表面が爛れるだけに止まるが、重症のものでは皮下組織から骨、靭帯にいたる皮膚漬瘍を形成する。とりわけ、重症の場合は極めて難治性で、場合によっては細菌感染から死にいたることもある。
【0007】
詳細には、褥瘡は、毛細血管は32mmhg以上の圧力が加わると代謝障害がおこり、圧迫が2時間以上持続すると毛細血管の虚血により細胞の壊死が始まることにより引き起こされる。即ち、褥瘡を予防・改善するためには、皮膚組織に対して、32mmhg以上を超える圧力を与えないことが望ましい。(非特許文献1参照)
従って、このような褥瘡や皮膚潰瘍を予防・改善するための寝具が望まれているが、未だそのような寝具が創出されていないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】特開2002−306284号公報
【特許文献2】特開2004−002591号公報
【特許文献3】特許第3353249号公報
【特許文献4】特開2004−256794号公報
【非特許文献1】最新・褥瘡ケア・マニュアル改訂版2004年/株式会社医学芸術社P22
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、使用用途・使用目的或いは使用対象物に応じて、最適な点加圧戻り時間を有する低反発性ポリウレタンフォームを提供することにある。本発明によれば、点加圧戻り時間36〜75秒の間で調整された低反発性ポリウレタンフォームが提供可能となる。(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
本発明の他の目的は、使用用途・目的に応じて任意の点加圧戻り時間を容易に調節可能とする製造方法を提供することにある。これにより、幅広い使用分野に対して適切な点加圧戻り時間を有する低反発性ポリウレタンフォームが提供可能となる。
例えば、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールの配合量が増えるに従い(平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールの配合量が減るに従い)、低反発性ポリウレタンフォームは柔らかくなり、点加圧戻り時間は短くなる。
また、ポリオール成分に対して、イソシアネート成分のインデックスが高くなると、低反発性ポリウレタンフォームの反発弾性は高くなり、点加圧戻り時間は短くなる。さらに、炭素粉の配合量が増えるに従い、低反発性ポリウレタンフォームは硬くなり、点加圧戻り時間は長くなる。本発明者は、これらを組み合わせることにより、前記点加圧戻り時間を調節できることを見出し、本発明に至った。
詳細には、枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具に用いられる場合、点加圧戻り時間はおよそ20〜75秒に調整される。さらに詳細には、点加圧戻り時間が36〜75秒で調整された枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具は、特に褥瘡を防止・改善するための寝具として好適に使用される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオール30〜90重量%及び、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオール70〜10重量%が、合計配合量100重量%となるように混合してポリオール成分とする工程と、該ポリオール成分に対してイソシアネートインデックス80〜100であるイソシアネート成分を加える工程及び前記ポリオール成分に対して炭素粉を0.1重量%〜1.0重量%配合する工程を含む、点加圧戻り時間が36〜75秒の範囲内である低反発性ポリウレタンフォーム(但し、イソシアネートインデックス100であるイソシアネート成分を含む低反発性ポリウレタンフォームを除く。)からなる介護用寝具の製造方法に関する。
(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
請求項2に係る発明は、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオール30〜90重量%及び、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオール70〜10重量%が、合計配合量100重量%となるように混合されるポリオール成分、該ポリオール成分に対してイソシアネートインデックス80〜100であるイソシアネート成分及び前記ポリオール成分に対して炭素粉が0.1重量%〜1.0重量%配合されてなり、点加圧戻り時間が36〜75秒の範囲内であることを特徴とする低反発性ポリウレタンフォーム(但し、イソシアネートインデックス100であるイソシアネート成分を含む低反発性ポリウレタンフォームを除く。)からなる介護用寝具に関する。
(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
請求項3に係る発明は、前記炭素粉が粒径0.1μm〜1000μmであることを特徴とする請求項2に記載の低反発性ポリウレタンフォーム(但し、イソシアネートインデックス100であるイソシアネート成分を含む低反発性ポリウレタンフォームを除く。)からなる介護用寝具に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、点加圧戻り時間が36〜75秒の間の任意の点加圧戻り時間を有する。その結果、使用用途・使用目的或いは使用対象物に応じて最適なポリウレタンフォームとなる。(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、含有する炭素粉により、吸湿及び脱臭作用を有する。
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームの製造方法は、低反発性ポリウレタンフォームの点加圧戻り時間を容易に調節可能であるため、使用用途・使用目的或いは使用対象
物に最適な低反発性ポリウレタンフォームを提供することができる。
【0012】
詳細には、点加圧戻り時間が36〜75秒で調整された枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具は、特に褥瘡を予防する寝具として好適に使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず、本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームの製造方法について説明する。
本発明の低反発性ポリウレタンフォームの製造方法は、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールを配合する工程、炭素粉を配合する工程、及びイソシアネート成分を配合する工程、さらに、ポリオール成分に炭素粉が含まれた後、8時間以内でイソシアネート成分と混合される工程を除いては、従来のポリウレタンフォーム製造方法を用いることができる。
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォーム製造方法の他の特徴は、所望の点加圧戻り時間を調節すべく、2種のポリオールの混合比率、イソシアネート成分及び炭素粉の配合量が調節される。(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
【0014】
本発明の低反発性ポリウレタンフォームの製造方法とは、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールを混合しポリオール成分を生成する。前記ポリオール成分に炭素粉を混合して分散させる。その後、ポリオール成分とイソシアネート成分を混合して加熱・発泡して成型する。
前記の炭素粉をポリオール成分中に予め混合した後にイソシアネート成分と混合して加熱・発泡させるという工程によって、炭素粉がポリウレタンフォーム中に偏って保持されずに、ポリウレタンフォーム中に分散されて保持される。
【0015】
本発明に係るポリウレタンフォーム製造方法の一例を示すと、まず、ポリオール成分、イソシアネート成分とも、固体状の場合は加熱されて溶融される。この際の加熱温度は、50〜80℃とされる。また、必要に応じて減圧状態におかれ、脱水、脱泡が行われる。
次に、ポリオール成分に触媒・発泡剤、或いはその他の添加剤が混合される。さらに、本発明においては、予め炭素粉もポリオール成分に配合され、略均一となるように分散される。この際の温度は、15〜60℃とされる。
最後に、様々な添加剤が混合されたポリオール成分と、イソシアネート成分を混合して、加熱・発泡された後に成型することにより本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームを製造することができる。
【0016】
本発明の製造方法において、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールとの配合量の調整、イソシアネートの配合量の調整、炭素粉の配合量の調整により、本発明の低反発性ポリウレタンフォームの点加圧戻り時間を任意に調節することができる。点加圧戻り時間の調節のための各配合量の調整を以下に示す。
【0017】
平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールの配合量が増えるに従い(平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールの配合量が減るに従い)、低反発性ポリウレタンフォームは柔らかくなり、点加圧戻り時間は短くなる。
ポリオール成分に対して、イソシアネート成分のインデックスが高くなると、低反発性ポリウレタンフォームの反発弾性は高くなり、点加圧戻り時間は短くなる。
炭素粉の配合量が増えるに従い、低反発性ポリウレタンフォームは硬くなり、点加圧戻り時間は長くなる。
さらに、上記の各配合比率(平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオール、ポリオール成分とイソシアネート成分、及びポリオール成分と炭素粉)を、それぞれ組み合わせることによって、さらに詳細に点加圧戻り時間を調節することができる。
【0018】
以下、本発明の低反発性ポリウレタンフォームを形成する成分、その含量について詳細に説明する。
本発明の低反発性ポリウレタンフォームは、ポリオール成分と、イソシアネート成分と、炭素粉と、発泡剤と、触媒とから形成される。
【0019】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームに用いられるポリオール成分は、通常の軟質ポリウレタンフォームの製造に使用されるものであれば、いずれのポリオール成分も用いることができる。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトールエチレンジアミン、トリレジンアミン、ジフェニルメタンジアミン、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシルメチル)シクロヘキサノール、ジエチレントリアミン、ポリ尿素分散ポリオール、アミン変性ポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、多価アルコールと二塩基酸の縮重合により得られるポリエステルポリオール等を例示することができる。
【0020】
本発明に係るポリオール成分としては、前述のポリオールの平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールとの混合物を用いる。
前者のポリオールと後者のポリオールの配合量は、その2種のポリオールの合計配合量が100重量%となるように、前者のポリオールが10〜90重量%、後者のポリオールが90〜10重量%となるように配合することが望ましく、より好ましくは前者のポリオールが10〜50重量%、後者のポリオールが90〜50重量%となるように配合する。前記配合量による低反発性ポリウレタンフォームは、広い範囲の使用用途で用いられ、より好適な圧力分散性を発揮する低反発性ポリオールとなる。この理由は、前者のポリオールの配合量が10重量%未満の場合(後者のポリオールの配合量が90重量%を超える場合)、ポリウレタンフォームが硬質となり、表面を押してもつぶれにくくなり、点加圧戻り時間は好適な時間より長くなる。前者のポリオールの配合量が90重量%を超える場合(後者のポリオールの配合量が10重量%未満の場合)、低反発性が減少し、柔らかくなりすぎるため、点加圧戻り時間が短くなる。従って、いずれの場合も低反発性としての使用が困難となるため好ましくない。
平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールは特に限定されないが、例えば三井武田ケミカル社製の商品名アクトコールLR−00を使用することができる。
平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールは特に限定されないが、例えば三井武田ケミカル社製の商品名アクトコールLR−03を使用することができる。
【0021】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームに用いられるイソシアネート成分は、ポリウレタンフォームの製造に用いられるものであれば、いずれのイソシアネート成分も使用することができる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジメチルジフェニルジイソシアネート、ジアニジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、又はこれらの変成物を例示することができる。本発明においては、前記したようなイソシアネート成分のうちの一種のみを用いてもよく、また二種以上を混合して用いても構わない。
【0022】
本発明に係るイソシアネート成分の配合量は、ポリオール成分100重量部に対して、インデックスが、望ましくは72〜100、より好ましくは75〜100となるように調整されることが望ましい。前記範囲のインデックスに調整されることにより、広い範囲の使用用途に用いられる低反発性ポリウレタンフォームとなり、且つ好適な圧力分散性を与えることとなる。
インデックスが70未満の場合、ポリウレタンフォームが柔らかくなりすぎるため望ましくない。即ち、ポリウレタンフォームの表面を押さえた時、該ポリウレタンフォームの形状は窪んだ状態から戻らなくなることがあるからである。また100を超える場合は、ポリウレタンフォームの反発弾性が高くなりすぎるため、低反発性ポリウレタンフォームとして使用されることが困難であるため望ましくない。
【0023】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームの製造に使用されるイソシアネート成分としては特に限定されないが、三井武田ケミカル株式会社製のタケネート80(商品名)、或はトルエンジイソシアネート(TDI−80,TDI−65)、粗‐ジフェニルメタンジイソシアネート(Crude−MDI)等を例示することができる。
【0024】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームには、さらに炭素粉が含有される。炭素粉の粒径は0.1μm〜1000μm、好ましくは10μm〜400μmであるものを用いることができる。炭素粉の粒径が0.1μm以下の場合は凝集を起こし、炭素粉の効果が発揮されにくく、炭素粉の粒径が1000μm以上の場合は製造工程に適さないためにいずれの場合も好ましくない。
【0025】
炭素粉としては、原木を750〜1200℃で焼き、350〜520℃で炭化させることにより得られる白炭、原木を400〜750℃で焼き、250〜450℃で炭化させることにより得られる黒炭のいずれも好ましく用いることができる。
例えば、白炭としては、ウバメガシ(Quercus phillyraeoides)を原木とし、1200℃前後で焼かれた備長炭などを挙げることができる。黒炭としては、クヌギ(Quercus acutissima)、コナラ(Quercus serrta Thunb)などを原木とした木炭を挙げることができる。更には、イネ科(Gramineae)に属する竹類を用いた竹炭、或いはカーボンブラックや活性炭も好適に用いることができる。特に本発明では、木炭又は竹炭等の多孔性の炭素粉を用いることが好ましく、備長炭を用いることがより好ましい。
【0026】
本発明においては、木炭及び/又は竹炭とカーボンブラックの混合物を使用することもできる。カーボンブラックを混合することで、木炭及び竹炭がより均一に分散することとなる。さらに、カーボンブラックを配合することにより、ポリウレタンフォーム全体を黒く着色することができる。カーボンブラックを配合する場合、その粒径は特に限定されないが、0.01〜1μmとされる。
【0027】
木炭及び竹炭とカーボンブラックの配合比は特に限定されないが、重量比で木炭及び/又は竹炭:カーボンブラック=1:0.5〜5、好ましくは1:1〜3、より好ましくは1:1.5〜2.5とされる。カーボンブラックの配合量が木炭及び/又は竹炭の配合量の0.5重量倍未満であると、カーボンブラックの配合による効果が得られず、またカーボンブラックの配合量が木炭及び/又は竹炭の配合量の5重量倍を超えて配合すると、木炭及び/又は竹炭の配合量が相対的に低下して吸湿性や脱臭性が低下するために、いずれの場合も好ましくない。
【0028】
炭素粉の配合量は、ポリオール成分に対して0.1重量%〜3.8重量%配合される事が望ましく、より好ましくは1.0重量%〜3.0重量%含まれる。これは、炭素粉の配合量が0.1重量%未満の場合、炭素粉を配合することによる効果が得られず、また3.8重量%を超えて配合すると触媒や水を吸着し、発泡が良好に行われないことがあるためにいずれの場合も好ましくない。本発明において、炭素粉の配合量が増すにつれ、低反発性ポリウレタンフォームは比較的硬くなり、点加圧戻り時間は長くなる。
【0029】
発泡剤は、ポリウレタンフォームの製造に用いられるものであれば、いずれの発泡剤も使用することができる。具体的には、トリクロロフルオロメタン、メチレンクロライド、ジクロロジフルオロメタン等のフロン系化合物の他、水、酸アミド、ニトロアルカン、或いは重炭素粉酸ナトリウム、炭素粉酸アンモニウム等を例示することができ、水または水とメチレンクロライドなどの低沸点有機化合物の混合物を使用することが好ましい。本発明においては、前記したような発泡剤のうちの一種のみを用いてもよく、また二種以上を混合して用いても構わない。
発泡剤の配合量は、通常のポリウレタンフォームの製造における配合量であればよく、具体的には、ポリオール成分100重量部に対して、1.0〜6.0重量部、好ましくは1.8〜5.0重量部となるように調整するとよい。この理由は、発泡剤の配合量が1.0重量部未満の場合、および6.0重量部を超える場合のいずれも良好に発泡させることができず、いずれの場合も好ましくない。
【0030】
触媒はポリウレタンフォームの製造に用いられるものであれば、いずれの触媒も使用することができる。具体的には、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、スタナスオレエート等の錫系触媒、トリプロピルアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の三級アミン系触媒の他、公知のウレタン化触媒、例えば有機金属、有機酸等を例示することができる。本発明においては、前記したような触媒のうちの一種のみを用いてもよく、また二種以上を混合して用いても構わない。
触媒の配合量は、通常のポリウレタンフォームの製造における配合量であればよく、具体的には、ポリオール成分100重量部に対して、0.01〜5.0重量部、好ましくは0.5〜3.0重量部となるように調整するとよい。この理由は、触媒の配合量が0.01重量部未満の場合、および5.0重量部を超える場合のいずれも良好なウレタンフォームを得ることができない。
【0031】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、以上説明した成分が前記の配合量で含まれているため、点加圧戻り時間が36〜75秒を有しおり、且つ配合組成によって任意に調整できるから、本発明の低反発性ポリウレタンフォームは、例えば、ベンチシート、ベンチ背もたれ、家庭用椅子ベビー用シート、自動車用シート等、枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具、或は、精密機器又はパソコン等の梱包用ボックス内部に使用可能な衝撃吸収材や靴底・靴の中敷等、広範囲の使用用途、使用目的、使用対象物に用いられることが可能となる。
また、炭素粉はポリウレタンフォーム中の悪臭や湿気を吸着することができる。
さらに、炭素粉は遠赤外線効果を有するために、例えば、本発明の低反発性ポリウレタンフォームを寝具として使用した場合は、保温性を高めることができる。
【0032】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、25℃の温度条件下における点加圧戻り時間が36〜75秒の範囲内で調整されてなる。この範囲の点加圧戻り時間は、様々な用途において、期待されるべき機能を発揮する。
【0033】
枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具に用いられる場合、点加圧戻り時間はおよそ20〜75秒に調整される。
【0034】
さらに詳細には、点加圧戻り時間が36〜75秒で調整された枕、マットレス、布団、寝装品等の寝具(以下、これらを総称して寝具類という)は、特に褥瘡を予防・改善する寝具類として好適に使用される。
【0035】
前記点加圧戻り時間36秒〜75秒を有する低反発性ポリウレタンフォームが、褥瘡を予防する寝具類として好適である理由は以下の通りである。
【0036】
まず、本発明に係る点加圧戻り時間は、「低弾性」を測定する尺度となる。詳細には、点加圧戻り時間が極端に長い(76秒以上)である(即ち、圧縮された低反発性ポリウレタンフォームが元の形状に戻らない)場合、その低反発性ポリウレタンフォームは低弾性がないということになる。(即ち、弾力がない。)
点加圧戻り時間が長い(即ち、圧縮された低反発性ポリウレタンフォームが元の形状に戻るまでの時間が長い)場合、低弾性が高いということになる。(即ち、弾力が低い。)
点加圧戻り時間が短い(即ち、圧縮された低反発性ポリウレタンフォームが元の形状に戻るまでの時間が短い)場合、低弾性が低いということになる。(即ち、弾力が高い。)
【0037】
低反発性ポリウレタンフォームがある物体によって押圧された際、該フォームの「低弾性」が高い程、該物体表面の凹凸に沿うようにして変形するため、両者の接触面積はより大きくなる。反対に、低反発性ポリウレタンフォームがある物体によって押圧された際、該フォームの「低弾性」が低い程、両者の接触面積はより小さくなる。
つまり、本発明の低反発性ポリウレタンフォームが点加圧戻り時間が長い程、「低弾性」が高くなるため、物体と接触した際の接触面積が大きくなるから、接触面で生じる圧力が分散されることとなる。
【0038】
一般的に、毛細血管に32mmhg以上の圧力が加わると代謝障害がおこり、圧迫が2時間以上持続すると、毛細血管の虚血による細胞の壊死が始まる。これにより、褥瘡が引き起こされる。従って、点加圧戻り時間を調整又は調節することにより接触面で生じる加圧を調整・調節して、褥瘡の予防・改善が可能な寝具類を製造することができる。
褥瘡は、体の各部位のうち、特に、突骨出部、特に肩甲骨、仙骨、踵、外踝部又は大転子部等の凹凸部分に、その症状が見られる。ことからも、体の各部位の凹凸に追従して低反発性ポリウレタンフォームを変形することによって、褥瘡が発生する部位への加圧力を軽減することが必要である。
【0039】
以上の理由から、本発明の低反発性ポリウレタンフォームは、点加圧戻り時間を好ましくは36〜75秒の範囲に調整する。このように調整された低反発性ポリウレタンフォームは、寝具類として好適に用いられるとともに、特に褥瘡を予防・改善することができる、優れた低反発性ポリウレタンフォームとなる。
【0040】
また、本発明の点加圧戻り時間の測定において先端が直径25mmの円形の平面である試験棒を使用した理由は、身体とマットの接触部を測定する体圧測定器のセンサー部が20〜30mmの範囲である、また、褥瘡が発生しやすい部位(仙骨、踵)の範囲が直径100mm以内であるからである。(非特許文献1参照)従って、前記先端が直径25mmの円形の平面である試験棒を使用すると、両者の極めて高い相関性を見出すことができる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明について実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(試料の調製1)
表1及び2に示される組成により、実施例1〜及び比較例1〜3の各試料を調製した。調製方法は、まず、ポリオール成分と、触媒・発泡剤及び水等の添加剤、及び備長炭を混合した。このポリオール成分とイソシアネート成分を混合して反応させた。鋳型温度20〜80℃で混合し反応させ成型する。
前記ポリオール成分は、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールとして、三井武田ケミカル社製の商品名アクトコールLR−00[ポリオール1]を使用し、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールとして、三井武田ケミカル社製の商品名アクトコールLR−03[ポリオール2]を使用し、これらを表1〜3の配合比率により混合した。
架橋剤としては、ジプロピレングリコールを用い、触媒としては、三共エアプロダクツ株式会社製の商品名ダブコ33LV(DABCO 33LV)[触媒1]、商品名ナイアックス(Niax A−1)[触媒2]、及び商品名エヌ・シー・アイ・エム(NC−IM)[触媒3]を使用した。イソシアネートは、VT-80(住化バイエルウレタン株式会社製)を、シリコーン整泡剤としては、SF−2908を使用した。
【0042】
上記調製した実施例1〜及び比較例1〜3の各試料に対して、25℃の温度条件下において一定の負荷を加えた後に、この負荷を取り除き、負荷により形成された窪みが負荷を全く加えていない状態にまで戻るまでの時間(点加圧戻り時間)を測定した。尚、試験中の反発弾性率は、JIS K 6400−3に基づき行った。結果を表1に示す。
【0043】
(試験例;実施例1及び比較例1/ポリオール成分に対して、イソシアネート成分のインデックスを変動させることによる点加圧戻り時間の調整に関する試験)
【0044】
【表1】

【0045】
(試験例);実施例2〜3、比較例2,3/炭素粉の配合量を変動させることによる点加圧戻り時間の調整に関する試験)
【0046】
【表2】

【0047】
表1及び2の結果の通り、本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、任意に調節可能な点加圧戻り時間を有していることがわかる。
詳細には、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールの配合量が増えるに従い(平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールの配合量が減るに従い)、低反発性ポリウレタンフォームは柔らかくなり、点加圧戻り時間は短くなる。一方、平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールの配合量が減るに従い(平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールの配合量が増えるに従い)、低反発性ポリウレタンフォームは硬くなり、点加圧戻り時間は長くなる。
【0048】
ポリオール成分に対して、イソシアネート成分のインデックスが高くなると、低反発性ポリウレタンフォームの反発弾性は高くなり、点加圧戻り時間は短くなる。一方、ポリオール成分に対して、イソシアネート成分のインデックスが低くなると、低反発性ポリウレタンフォームの反発弾性は低くなり、点加圧戻り時間は長くなる。
【0049】
炭素粉の配合量が増えるに従い、低反発性ポリウレタンフォームは硬くなり、点加圧戻り時間は長くなる。一方、炭素粉の配合量が減ると、低反発性ポリウレタンフォームは柔らかくなり、点加圧戻り時間は短くなる。
【0050】
(試験例);低反発性ポリウレタンフォームの圧力分布測定
以下表中実施例001〜004からなるマットを用いて、被験者(身長:157.5cm、体重:48.5キログラム、性別:女性)がマット上で仰向け姿勢となり、測定器(圧力分布測定システム(FSA、VERG社製))により圧力分布測定を行った。
尚、実施例001〜004は、ポリオール成分100重量部、架橋剤3重量部、水1.2重量部、触媒1.46重量部、シリコーン整泡剤1重量部、イソシアネート(インデックス90)、備長炭1重量部を含み、縦195cm、横87cm、厚み50cmの型内で発泡させたものを用いた。また、マットを使用しない状態の圧力分布を比較例001とした。結果を表4及び図1〜5に示す。
【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
が示すように、点加圧戻り時間が36秒の実施例002では、肩甲骨部で29mmhgが確認された。また、点加圧戻り時間が75秒の実施例003においては、後頭部で31mmhgが確認された。従って、点加圧戻り時間が36〜75秒の低反発性ポリウレタンフォームは、特に褥瘡を予防・改善することができる寝具類として好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】試験例における、実施例001の圧力分布測定結果である。
【図2】試験例における、実施例002の圧力分布測定結果である。
【図3】試験例における、実施例003の圧力分布測定結果である。
【図4】試験例における、実施例004の圧力分布測定結果である。
【図5】試験例における、比較例001の圧力分布測定結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールを混合してポリオール成分とする工程と、
該ポリオール成分に炭素粉を混合した後イソシアネート成分を加える工程からなり、
前記ポリオール成分が、前記平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオール10〜90重量%の範囲内の任意の配合量と、前記平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオール90〜10重量%の範囲内の任意の配合量で、且つ前記2種のポリオールの合計配合量が100重量%となるように混合されることにより点加圧戻り時間を調整することを特徴とする低反発性ポリウレタンフォームの製造方法。
(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
【請求項2】
平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールを混合してポリオール成分とする工程と、
該ポリオール成分に炭素粉を混合した後イソシアネート成分を加える工程からなり、
前記イソシアネート成分が、前記ポリオール成分に対するイソシアネートインデックス
が72〜100の範囲内の任意のインデックスで加えられることにより点加圧戻り時間を調整することを特徴とする低反発性ポリウレタンフォームの製造方法。
(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
【請求項3】
平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオールと、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオールを混合してポリオール成分とする工程と、
該ポリオール成分に炭素粉を混合した後イソシアネート成分を加える工程からなり、
前記炭素粉の配合量が、前記ポリオール成分に対して0.1重量%〜3.8重量%の範囲内の任意の配合量で混合されることにより点加圧戻り時間を調整することを特徴とする低反発性ポリウレタンフォームの製造方法。
(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
【請求項4】
平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオール10〜90重量%及び、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオール90〜10重量%が、合計配合量100重量%となるように混合されるポリオール成分、
該ポリオール成分に対してイソシアネートインデックス72〜100であるイソシアネート成分、
及び炭素粉とから形成されてなる低反発性ポリウレタンフォームであって、
点加圧戻り時間が36〜75秒の範囲内に調整されていることを特徴とする低反発性ポリウレタンフォーム。
(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
【請求項5】
前記ポリオール成分に対して前記炭素粉が0.1重量%〜3.8重量%配合されてなることを特徴とする請求項4に記載の低反発性ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
前記炭素粉が粒径0.1μm〜1000μmであることを特徴とする請求項4又は5に記載の低反発性ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
前記請求項4乃至6いずれかに記載の低反発性ポリウレタンフォームからなる寝具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオール30〜90重量%及び、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオール70〜10重量%が、合計配合量100重量%となるように混合してポリオール成分とする工程と、
該ポリオール成分に対してイソシアネートインデックス80〜100であるイソシアネート成分を加える工程及び
前記ポリオール成分に対して炭素粉を0.1重量%〜1.0重量%配合する工程を含む、
点加圧戻り時間が36〜75秒の範囲内である低反発性ポリウレタンフォーム(但し、イソシアネートインデックス100であるイソシアネート成分を含む低反発性ポリウレタンフォームを除く。)からなる介護用寝具の製造方法。
(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
【請求項2】
平均官能基数が2〜4で水酸基価が80〜120mgKOH/gのポリオール30〜90重量%及び、平均官能基数が2〜4で水酸基価が150〜210mgKOH/gのポリオール70〜10重量%が、合計配合量100重量%となるように混合されるポリオール成分、
該ポリオール成分に対してイソシアネートインデックス80〜100であるイソシアネート成分及び
前記ポリオール成分に対して炭素粉が0.1重量%〜1.0重量%配合されてなり、点加圧戻り時間が36〜75秒の範囲内であることを特徴とする低反発性ポリウレタンフォーム(但し、イソシアネートインデックス100であるイソシアネート成分を含む低反発性ポリウレタンフォームを除く。)からなる介護用寝具
(「点加圧戻り時間」とは、25℃の温度条件下において、試験棒(長さ10cm、直径25mm)によって50×380×380(mm)の試験片を最大圧縮した後に、負荷を取り除いてから元の厚さに復元するまで時間のことをいう。)
【請求項3】
前記炭素粉が粒径0.1μm〜1000μmであることを特徴とする請求項2に記載の低反発性ポリウレタンフォーム(但し、イソシアネートインデックス100であるイソシアネート成分を含む低反発性ポリウレタンフォームを除く。)からなる介護用寝具

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−316255(P2006−316255A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107000(P2006−107000)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(594114363)株式会社高嶌 (1)
【出願人】(000004374)日清紡績株式会社 (370)
【Fターム(参考)】