説明

仕分装置

【課題】各支持部材による各搬送物の支持状況を容易に把握することが可能な仕分装置を提供する。
【解決手段】仕分装置14は、搬送装置によって搬送される複数のカット用紙CPを順次受け容れるとともに仕分けして支持するように構成され、一定の周回移動経路を形成するように配置された無端状のチェーン65と、該チェーン65に対して該チェーン65の周回移動方向に沿って並ぶように取着されるとともに各カット用紙CPをそれぞれ支持可能な複数のトレイ66とを備える。そして、チェーン65の周回移動経路のうち各トレイ66によって各カット用紙CPがそれぞれ支持される支持領域Sにおいて、チェーン65の周回移動方向の下流側に向かうほどトレイ66の最高位置が低くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば印刷物などの搬送物を仕分ける仕分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、記録媒体に記録処理を施す記録装置としてインクジェット式プリンターが広く知られている(例えば、特許文献1)。この特許文献1に記載のプリンターは、オーダー毎にプリントペーパー(搬送物)に対してプリント処理(記録処理)を行うプリンター本体部と、該プリンター本体部でプリント処理がなされたプリントペーパーを下流側へ搬送する搬送ユニットと、該搬送ユニットによって搬送されるプリントペーパーをオーダー毎に振り分けて集積する集積ユニット(仕分装置)とを備えている。
【0003】
集積ユニットは、一定の周回移動経路を形成するように各ローラーに巻き掛けられた無端状の集積ベルト(移動体)と、該集積ベルトの外周面に略等間隔に設けられた保持部を介してそれぞれ着脱自在に保持された集積プレート(支持部材)とを備えている。そして、集積ベルトを1オーダー毎に1つ分の集積プレートが下流側に移動するように順次周回移動させることで、搬送ユニットによって搬送される各プリントペーパーをオーダー毎に仕分けながら各集積プレートにそれぞれ集積するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−92804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のプリンターの集積ユニットでは、各プリントペーパーを仕分けして集積している各集積プレートが互いに同じ高さで並んで配置される。このため、各集積プレートを装置後側(下流側)から見た場合には、各集積プレートが重なって見えるため、各集積プレートにそれぞれ集積された各プリントペーパーの集積状況が把握し難くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、各支持部材による各搬送物の支持状況を容易に把握することが可能な仕分装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の仕分装置は、搬送される複数の搬送物を順次受け容れるとともに仕分けして支持する仕分装置であって、一定の周回移動経路を形成するように配置された無端状の移動体と、該移動体に対して該移動体の周回移動方向に沿って並ぶように取着されるとともに前記各搬送物をそれぞれ支持可能な複数の支持部材とを備え、前記移動体の周回移動経路のうち前記各支持部材によって前記各搬送物がそれぞれ支持される支持領域において、前記移動体の周回移動方向の下流側に向かうほど前記支持部材の最高位置が低くなっている。
【0008】
この発明によれば、支持領域を移動体の周回移動方向の下流側から見たときに、各支持部材による各搬送物の支持状況を容易に把握することが可能となる。
本発明の仕分装置において、前記支持領域において、前記移動体は、該移動体の周回移動方向の上流側よりも下流側の方が低くなるように傾斜した周回移動経路を形成している。
【0009】
この発明によれば、各支持部材を互いに同一形状のものとすることで、支持領域を移動体の周回移動方向の下流側から見たときに、各支持部材による各搬送物の支持状況を容易に把握することが可能となる。
【0010】
本発明の仕分装置において、前記各支持部材は、透明または半透明である。
この発明によれば、各支持部材に支持された各搬送物が透けて見えるようになるので、支持領域を移動体の周回移動方向の下流側から見たときに、各支持部材による各搬送物の支持状況をより一層容易に把握することが可能となる。
【0011】
本発明の仕分装置において、前記各支持部材は、前記支持領域において、前記各搬送物を寝かせた状態で受け容れる受容姿勢から前記移動体の周回移動に伴って前記受け容れた各搬送物を立てた状態で仕分けて支持する仕分姿勢へと姿勢が変更される板状部材によってそれぞれ構成されている。
【0012】
この発明によれば、各板状部材により、各搬送物を安定して受け容れることができるとともに、各搬送物を受け容れた後には該各搬送物を省スペースで仕分けて支持することができる。
【0013】
本発明の仕分装置において、前記支持領域において、前記仕分姿勢へと姿勢が変更された状態の前記各板状部材は、互いに平行になっている。
この発明によれば、各搬送物を各板状部材によってきれいに仕分けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態の印刷システムの平面図。
【図2】図1のA−A線矢視断面図。
【図3】同印刷システムの仕分装置の断面図。
【図4】同仕分装置の右側面図。
【図5】同仕分装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、印刷システムに備えられるとともに印刷済みのカット用紙の仕分けを行う仕分装置に具体化した一実施形態について、図面に従って説明する。また、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は図1に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
【0016】
図1に示すように、印刷システム11は、記録装置の一種であるインクジェット式プリンター12と、該インクジェット式プリンター12によって印刷されて排紙された搬送物としてのカット用紙CPを搬送する搬送装置13と、該搬送装置13によって搬送されるカット用紙CPを順次受け容れるとともに仕分けして支持する仕分装置14とを備えている。
【0017】
図2に示すように、インクジェット式プリンター12は、後壁の上部に排紙口15aを有する略直方体状の本体ケース15を備えている。本体ケース15内における前側下部には、左右方向に延びる回転軸16によって該回転軸16とともに一体回転するように支持されたロール紙RPが配置されている。回転軸16は、回転モーター(図示略)によって回転駆動されるようになっている。そして、回転モーター(図示略)によって回転軸16が図2における反時計方向に回転されると、ロール紙RPが巻き解かれながら上方に向かって繰り出されるようになっている。
【0018】
本体ケース15内における上部には、回転軸16から繰り出されるロール紙RPを排紙口15aに向かって導く搬送機構17が備えられている。搬送機構17は、巻き解かれた状態のロール紙RPを搬送経路に沿って上流側から下流側(本実施形態では前側から後側)に搬送する複数の搬送ローラー20〜24と、各搬送ローラー20,21,22,24との間で巻き解かれた状態のロール紙RPを挟持する複数の従動ローラー30,31,32,34とを備えている。
【0019】
すなわち、各搬送ローラー20,21,22,24と各従動ローラー30,31,32,34とは、巻き解かれた状態のロール紙RPの搬送経路を挟んで互いに対向する位置に配置されている。なお、搬送ローラー20〜24は、搬送モーター(図示略)によって回転駆動されるようになっている。
【0020】
また、ロール紙RPの搬送経路における両搬送ローラー21,22間には、巻き解かれた状態のロール紙RPを下側から支持する支持台40が配置されている。支持台40の上面には、複数の吸引孔(図示略)が開口している。一方、支持台40の内部には、該吸引孔越しにロール紙RPを吸引する吸引機構41が設けられている。したがって、支持台40に支持されたロール紙RPは、吸引機構41の吸引力により、該支持台40の上面に吸着されるようになっている。
【0021】
また、ロール紙RPの搬送経路を挟んで支持台40と対向する位置には、記録部42が設けられている。記録部42は、本体ケース15内に左右方向に延びるように架設されたガイド軸43と、該ガイド軸43に往復移動可能に支持されたキャリッジ44と、該キャリッジ44の下面に支持された記録ヘッド45とを備えている。
【0022】
記録ヘッド45の下面には、液体としてのインクを噴射するための複数のノズル46が開口している。そして、キャリッジ44をガイド軸43に沿って往復移動させながら、支持台40の上面に支持されたロール紙RPに対して記録ヘッド45の各ノズル46からインクを噴射することで、ロール紙RPの印刷が行われる(記録処理が施される)ようになっている。
【0023】
また、本体ケース15内における搬送ローラー22及び従動ローラー32と対応する位置には、ロール紙RPの搬送経路の一部を形成する平板状の搬送経路形成部材47が配置されている。ロール紙RPの搬送経路における搬送経路形成部材47と支持台40との間には、ロール紙RPにおける印刷が行われた部分を切断することで、印刷済みのカット用紙CPとするための切断機構48が設けられている。
【0024】
また、本体ケース15内における搬送経路形成部材47と排紙口15aとの間には、カット用紙CPのカール(巻きぐせ)を矯正するためのカール矯正機構49が設けられている。カール矯正機構49は、両搬送ローラー23,24及び従動ローラー34を有している。従動ローラー34は、搬送ローラー24とでカット用紙CPを挟持したときに、該カット用紙CPの搬送に伴って従動回転するとともに、搬送ローラー23とで該カット用紙CPを屈曲させることで、該カット用紙CPのカールを矯正するようになっている。
【0025】
この場合、搬送ローラー23は、カット用紙CPの搬送経路における搬送ローラー24の上流側に配置されて搬送ローラー24に向けてカット用紙CPを搬送するとともに、カット用紙CPが屈曲されるときに、該カット用紙CPの屈曲部分の上流側を支持するようになっている。そして、カール矯正機構49でカールが矯正されたカット用紙CPは、排紙口15aから搬送装置13へと順次排紙される。
【0026】
図1及び図2に示すように、搬送装置13は、インクジェット式プリンター12の排紙口15aから排紙されたカット用紙CPをその搬送方向の上流側から下流側(本実施形態では左側から右側)に向けて搬送するものである。すなわち、搬送装置13は、基台50と、該基台50上における左右両端部に対をなすように回転可能に設けられた回転ローラー51,52と、該両回転ローラー51,52間に掛装された無端状の搬送ベルト53とを備えている。
【0027】
両回転ローラー51,52のうち右側(下流側)に配置された回転ローラー52は、回転モーター(図示略)によって回転駆動されるようになっている。そして、回転ローラー52の回転駆動により、搬送ベルト53が両回転ローラー51,52の外側を周回移動することで、インクジェット式プリンター12の排紙口15aから該搬送ベルト53上に排紙されたカット用紙CPが左側から右側に向かって搬送されるようになっている。なお、インクジェット式プリンター12の排紙口15aは、搬送ベルト53よりも上側であって該搬送ベルト53の左端部(上流側部分)と対応する位置に位置している。
【0028】
図1に示すように、仕分装置14は、搬送装置13によって搬送されたカット用紙CPを順次受け容れるとともに、該受け容れたカット用紙CPを予め設定された所定枚数ずつ仕分けながら上流側から下流側(本実施形態では後側から前側)に向けて順次間欠的に搬送するものである。仕分装置14は、前後方向に長い有底矩形箱状をなすケース60を備えている。
【0029】
図3に示すように、ケース60内の中央上部における前寄りの位置には、駆動歯車61が左右方向に延びる軸線を中心に回転可能に設けられている。駆動歯車61は、ケース60内に設けられた駆動モーター(図示略)により、図3における反時計方向に回転駆動されるようになっている。ケース60内の中央上部における後寄りの位置であって駆動歯車61よりも若干上側の位置には、第1従動歯車62が左右方向に延びる軸線を中心に回転可能に設けられている。
【0030】
また、ケース60内における第1従動歯車62の前斜め上側の位置には、第2従動歯車63が左右方向に延びる軸線を中心に回転可能に設けられている。さらに、ケース60内における駆動歯車61と第1従動歯車62との間の位置であってやや駆動歯車61寄りの位置には、テンション歯車64が左右方向に延びる軸線を中心に回転可能に設けられている。
【0031】
各歯車61〜64には、無端状の移動体としてのチェーン65が該各歯車61〜64を囲むように巻き回されている。すなわち、各歯車61〜64は、チェーン65に対して内側からそれぞれ噛合している。また、テンション歯車64は、ばね(図示略)によって下側に付勢されるようになっている。したがって、テンション歯車64は、ばね(図示略)によって下側に付勢されることで、チェーン65の弛みを解消するようになっている。
【0032】
また、チェーン65のうち第2従動歯車63から駆動歯車61にかけて延びる部分は、前方側に向かって下降するように傾斜した傾斜部分65aとされている。本実施形態では、この傾斜部分65aの水平面に対する傾斜角度が20〜30度程度になるように設定されている。そして、駆動歯車61を回転駆動することで、チェーン65が各歯車61〜64の外側を一定の周回移動経路を形成するように図3において反時計方向に周回移動するようになっている。この場合、傾斜部分65aは、チェーン65の周回移動方向の上流側(後側)よりも下流側(前側)の方が低くなるように傾斜した周回移動経路を形成する。
【0033】
チェーン65の外周部には、該チェーン65の周回移動方向に沿って互いに等間隔となるように、支持部材を構成する板状部材としての断面視L字板状をなす複数のトレイ66が外側に向かって延びるように取着されている。各トレイ66は、半透明の合成樹脂によってそれぞれ構成されるとともに、それらの受容部66aにおける右側には切欠部66dがそれぞれ形成されている。
【0034】
仕分装置14における駆動歯車61よりも上側の領域は、各トレイ66によって各カット用紙CPがそれぞれ支持される支持領域Sとされている。また、この支持領域Sのうちほぼ第2従動歯車63よりも後側の領域は、搬送装置13から搬送されるカット用紙CPが各トレイ66によって順次受け容れられる受容領域DAとされている。
【0035】
トレイ66は、受容領域DAに位置する場合において、ほぼ水平方向に延びる平板状の受容部66aと、該受容部66aにおけるチェーン65側の端縁部から該受容部66aと直交するように上側に向かって延びる平板状の位置決め部66bとを備えている。トレイ66が受容領域DAに位置する場合において、受容部66aは搬送装置13から搬送されるカット用紙CPを寝かせた状態で受容する一方、位置決め部66bは該受容部66aで受容したカット用紙CPをチェーン65側で位置決めするようになっている。
【0036】
位置決め部66bの先端における左右方向の中央部には、間隔を置いて配置された矩形板状をなす左右一対の規制部66cが左右方向に延びる軸線を中心に回動可能に設けられている。各規制部66cは、ねじりコイルばね(図示略)により、位置決め部66bと平行に延びる位置である基本位置にあるように常に付勢されるとともに、該基本位置よりも受容部66aとは反対側へは回動しないようになっている。
【0037】
そして、各規制部66cの先端部は、それぞれ対応する受容部66a側へ直角よりも大きい角度(本実施形態では約135度)で屈曲されている。なお、受容領域DAにあるときのトレイ66の姿勢は、受容姿勢とされている。
【0038】
また、チェーン65における受容領域DAにあるトレイ66が取着されている部分が該チェーン65の周回移動に伴って該チェーン65の傾斜部分65aを構成する位置まで移動したときの該トレイ66の姿勢は、仕分姿勢とされている。そして、トレイ66が仕分姿勢にある場合には、位置決め部66bが下側にくるため、受容領域DAで受容したカット用紙CPが受容部66aに凭れかかった状態で位置決め部66bに支持される。すなわち、トレイ66は、仕分姿勢にある場合、カット用紙CPを立てた状態で支持する。
【0039】
また、本実施形態では、チェーン65の傾斜部分65a上には、トレイ66が9枚並ぶようになっている。すなわち、仕分装置14は、チェーン65が周回移動しても、仕分姿勢にあるトレイ66が常に9枚となるように設定されている。
【0040】
そして、上述したように傾斜部分65aはチェーン65の周回移動方向の上流側(後側)よりも下流側(前側)の方が低くなるように傾斜しているため、支持領域S内で仕分姿勢にある各トレイ66は、チェーン65の周回移動方向の下流側(前側)に位置するものほど該各トレイ66の受容部66aの上端の位置(最高位置)が低くなっている。したがって、仕分装置14をユーザーが前側から見た場合には、図4及び図5に示すように、仕分姿勢にある状態の各トレイ66の全ての上端部を見ることができるようになっている。
【0041】
図3に示すように、仕分姿勢にある状態の各トレイ66は、それらの受容部66a同士が互いに平行になっている。この場合、各トレイ66の各規制部66cは、チェーン65の周回移動方向の下流側に隣り合う各トレイ66の受容部66aにそれぞれ当接することで、該各規制部66cがねじりコイルばね(図示略)の付勢力に抗してそれぞれ当接した受容部66aとほぼ平行になる位置まで回動している。
【0042】
なお、仕分姿勢にある各トレイ66のうち最もチェーン65の周回移動方向の下流側(前側)に位置するトレイ66の各規制部66cは、チェーン65の周回移動方向の下流側に隣り合うトレイ66に当接しないため、ねじりコイルばね(図示略)の付勢力により基本位置で維持されている。
【0043】
また、ケース60の左側壁の上端部において仕分姿勢にある各トレイ66のうち最も前側(チェーン65の周回移動方向の下流側)に位置するトレイ66よりも前側の近傍位置には、該トレイ66に支持されたカット用紙CPの有無を検出する光センサー67が設けられている。そして、光センサー67は印刷システム11全体の稼動状態を制御する制御部(図示略)と電気的に接続されるとともに、該制御部は該光センサー67からの出力信号に基づいて該印刷システム11の稼働状態を制御するようになっている。
【0044】
次に、仕分装置14の作用について説明する。
さて、印刷システム11を稼動させると、インクジェット式プリンター12の排紙口15aから順次排紙される印刷済みのカット用紙CPは、搬送装置13によって仕分装置14の受容領域DAに向かって順次搬送される。この搬送装置13から順次搬送されるカット用紙CPは、仕分装置14の受容領域DAにおいて受容姿勢にあるトレイ66の受容部66aによって順次受け容れられる。
【0045】
このとき、この受容姿勢にあるトレイ66はその受容部66aが水平面に対して若干前側が下がるように傾斜した位置態様にあるため、該受容部66aに順次受け容れられたカット用紙CPは順次前側に滑り落ちて位置決め部66bに当接する。これにより、受容部66aに受け容れられた各カット用紙CPは、それらの前側で揃えられた状態で位置決めされる。このとき、各規制部66cは基本位置にあるため、カット用紙CPが位置決め部66bを乗り越えてトレイ66外へ飛び出すことが、該各規制部66cによって規制される。
【0046】
そして、受容姿勢にあるトレイ66に予め設定された所定枚数(例えば、50枚)分だけカット用紙CPが受け容れられると、チェーン65がトレイ66一つ分だけ周回移動して停止する。これにより、受容領域DAにおいて所定枚数のカット用紙CPを受容したトレイ66の姿勢が受容姿勢から仕分姿勢へと変更される。
【0047】
このとき、この仕分姿勢へと変更されたトレイ66の各規制部66cは、前隣(下流側の隣)にあるトレイ66の受容部66aに当接することで、ねじりコイルばね(図示略)の付勢力に抗して該受容部66aとほぼ平行になる位置まで回動する。これにより、仕分姿勢へと変更されたトレイ66とその前隣にあるトレイ66と間の隙間が各規制部66cによって埋められるので、トレイ66に受容されたカット用紙CPが該隙間から落ちることが抑制される。
【0048】
加えて、仕分姿勢へと変更されたトレイ66の各規制部66cが当接した受容部66aとほぼ平行になる位置まで回動することで、仕分姿勢にあるトレイ66間に各規制部66cの長さ分の無駄なスペースが形成されることが抑制される。
【0049】
引き続き、搬送装置13から順次搬送されるカット用紙CPは、仕分装置14の受容領域DAにおいて受容姿勢にある次のトレイ66の受容部66aによって順次受け容れられる。そして、このトレイ66で所定枚数のカット用紙CPが受容されると、チェーン65がトレイ66一つ分だけ周回移動して停止する。これにより、受容領域DAにおいて所定枚数のカット用紙CPを受容したトレイ66の姿勢が受容姿勢から仕分姿勢へと変更される。
【0050】
同様にして、各トレイ66は、受容領域DAにおいて所定枚数のカット用紙CPを受容すると、チェーン65の周回移動に伴ってその姿勢が受容姿勢から仕分姿勢へと順次変更される。そして、チェーン65の傾斜部分65a上に所定枚数のカット用紙CPを支持した仕分姿勢にある9枚のトレイ66が移動することで、該各トレイ66によりカット用紙CPが所定枚数ずつ9つに仕分けされた状態で保持(支持)される。
【0051】
このとき、仕分姿勢にある9枚のトレイ66のうちの最も前側(チェーン65の周回移動方向の下流側)に位置するトレイ66に支持されたカット用紙CPが光センサー67によって検出される。そして、制御部(図示略)は、受容領域DAにある受容姿勢の10枚目のトレイ66に受容されるべき所定枚数のカット用紙CPの印刷が完了した段階で、光センサー67によるカット用紙CPの検出状態が継続されていると判断した場合には、インクジェット式プリンター12によるカット用紙CPの印刷動作を停止する。
【0052】
その後、仕分姿勢にある9枚のトレイ66のうちの少なくとも最も前側に位置するトレイ66に支持されたカット用紙CPがユーザーによって抜き取られると、光センサー67によってカット用紙CPが検出されなくなる。これにより、制御部(図示略)は、インクジェット式プリンター12によるカット用紙CPの印刷動作を再開させる。
【0053】
このように、印刷システム11において、搬送装置13から順次搬送される印刷済みのカット用紙CPは、仕分装置14によって所定枚数ずつに仕分けされた後、ユーザーによって抜き取られる。このとき、チェーン65の傾斜部分65aは該チェーン65の周回移動方向の上流側(後側)よりも下流側(前側)の方が低くなるように傾斜しているため、仕分装置14をユーザーが前側から見ても、仕分姿勢でカット用紙CPを所定枚数ずつ仕分けした状態で保持している各トレイ66の全ての上端部が見える。
【0054】
このため、仕分装置14によるカット用紙CPの仕分け状況をユーザーが該仕分装置14の前側から容易に把握することができるので、該仕分装置14によって仕分けられたカット用紙CPの抜き取り作業を該ユーザーが効率よく行うことができる。
【0055】
以上、詳述した実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)仕分装置14において、支持領域S内で仕分姿勢にある各トレイ66は、チェーン65の周回移動方向の下流側(前側)に位置するものほど該各トレイ66の受容部66aの上端の位置(最高位置)が低くなっている。このため、ユーザーは、仕分装置14の前側から仕分姿勢にある状態の各トレイ66の全ての上端部を見ることができる。したがって、仕分装置14によるカット用紙CPの仕分け状況をユーザーが該仕分装置14の前側から容易に把握することができるので、該仕分装置14によって仕分けられたカット用紙CPの抜き取り作業を該ユーザーが効率よく行うことができる。
【0056】
(2)仕分装置14において、支持領域S内で仕分姿勢にある各トレイ66を支持するチェーン65の傾斜部分65aは、該チェーン65の周回移動方向の上流側よりも下流側の方が低くなるように傾斜した周回移動経路を形成している。このため、各トレイ66を互いに同一形状にすることで、ユーザーは仕分装置14の前側から仕分姿勢にある状態の各トレイ66の全ての上端部を見ることができる。したがって、仕分装置14によるカット用紙CPの仕分け状況をユーザーが該仕分装置14の前側から容易に把握することができる。
【0057】
(3)仕分装置14において、各トレイ66は半透明の合成樹脂によって構成されているため、支持領域S内で仕分姿勢にある各トレイ66に仕分けられた状態で支持された各カット用紙CPがユーザーによって仕分装置14の前側から透けて見える。したがって、仕分装置14によるカット用紙CPの仕分け状況をユーザーが該仕分装置14の前側からより一層容易に把握することができる。
【0058】
(4)仕分装置14において、各トレイ66は、支持領域S内で各カット用紙CPを寝かせた状態で受け容れる受容姿勢からチェーン65の周回移動に伴って該受け容れた各カット用紙CPを立てた状態で仕分けて支持する仕分姿勢へと姿勢が変更される。このため、各トレイ66により、各カット用紙CPを安定して受け容れることができるとともに、各カット用紙CPを受け容れた後には該各カット用紙CPを省スペースで仕分けて支持することができる。
【0059】
(5)仕分装置14において、支持領域S内で受容姿勢から仕分姿勢へと姿勢が変更された状態の各トレイ66は互いに平行になっているため、各カット用紙CPを各トレイ66によってきれいに仕分けることができる。
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
【0060】
・仕分装置14において、仕分姿勢の各トレイ66は、必ずしも互いに平行にする必要はない。
・仕分装置14において、仕分姿勢となるトレイ66の数は、2つ以上であれば任意の数に変更してもよい。
【0061】
・仕分装置14において、各トレイ66を有底箱状に形成してもよい。
・仕分装置14において、各トレイ66を不透明の材料で構成してもよい。
・仕分装置14において、各トレイ66を合成樹脂以外の材料である木材、金属、ゴム、ガラス、石などによって構成してもよい。
【0062】
・仕分装置14において、チェーン65の傾斜部分65aを水平にするとともに、仕分姿勢の各トレイ66を、チェーン65の周回移動方向の下流側(前側)に位置するものほどそれらの受容部66aの上端の位置(最高位置)が低くなるように、それぞれ水平面に対する傾斜角度を調整してもよい。すなわち、チェーン65の傾斜部分65aを水平にするとともに、仕分姿勢の各トレイ66の水平面に対する傾斜角度を、チェーン65の周回移動方向の下流側(前側)に位置するものほど小さくするようにしてもよい。
【0063】
・仕分装置14は、カット用紙CP以外の搬送物の仕分けに用いてもよい。すなわち、仕分装置14は、カット用紙CPに比べて厚さが格段に大きい搬送物(例えば、本など)を仕分けるために用いてもよい。この場合、こうした厚さが大きい搬送物を仕分けて支持することができるように、各トレイ66の強度や形状などを適宜変更する必要がある。
【0064】
・印刷システム11において、カット用紙CPの代わりに、プラスチックフィルムや布、あるいは金属箔などを搬送物として用いてもよい。
・上記実施形態では、記録装置をインクジェット式プリンター12に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
14…仕分装置、65…移動体としてのチェーン、66…支持部材を構成する板状部材としてのトレイ、S…支持領域、CP…搬送物としてのカット用紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される複数の搬送物を順次受け容れるとともに仕分けして支持する仕分装置であって、
一定の周回移動経路を形成するように配置された無端状の移動体と、
該移動体に対して該移動体の周回移動方向に沿って並ぶように取着されるとともに前記各搬送物をそれぞれ支持可能な複数の支持部材と
を備え、
前記移動体の周回移動経路のうち前記各支持部材によって前記各搬送物がそれぞれ支持される支持領域において、前記移動体の周回移動方向の下流側に向かうほど前記支持部材の最高位置が低くなっていることを特徴とする仕分装置。
【請求項2】
前記支持領域において、前記移動体は、該移動体の周回移動方向の上流側よりも下流側の方が低くなるように傾斜した周回移動経路を形成していることを特徴とする請求項1に記載の仕分装置。
【請求項3】
前記各支持部材は、透明または半透明であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の仕分装置。
【請求項4】
前記各支持部材は、前記支持領域において、前記各搬送物を寝かせた状態で受け容れる受容姿勢から前記移動体の周回移動に伴って前記受け容れた各搬送物を立てた状態で仕分けて支持する仕分姿勢へと姿勢が変更される板状部材によってそれぞれ構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の仕分装置。
【請求項5】
前記支持領域において、前記仕分姿勢へと姿勢が変更された状態の前記各板状部材は、互いに平行になっていることを特徴とする請求項4に記載の仕分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−48095(P2012−48095A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191841(P2010−191841)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】