説明

仕切反射板の製造方法及び放射線検出器

【課題】放射線検出における検出精度を高めることができる仕切反射板の製造方法及び放射線検出器を提供する。
【解決手段】弾性及び光反射性を有する光学フィルムからなる反射板本体と、反射板本体に間隔をあけて形成された複数のスリットとを有する仕切反射板の製造方法であって、仕切反射板は、複数をスリット同士が噛み合うように組み合わせてシンチレータが収容される収容部を複数形成可能であり、光学フィルムを切断刃で切断することによりスリットを形成する切断ステップを備え、切断刃は、尖鋭な切先部13と、切先部13から側面に沿って延びる刃先部12とを備え、切断ステップは、光学フィルムの穿孔位置に切先部13を刺入することにより光学フィルムに穿孔を形成する刺入ステップと、刃先部12により光学フィルムを切断するように切断刃を移動させる移動ステップとを備える仕切反射板の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出において用いられる仕切反射板の製造方法及び放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線の入射により発光するシンチレータを備える放射線検出において、シンチレータで発生した光を反射する仕切反射板として、例えば特許文献1に従来技術として開示されているような仕切反射板が知られている。
【0003】
図21に示すように、この仕切反射板100は、光反射性を有する光学フィルムからなる反射板本体101と、反射板本体101に間隔をあけて形成された複数のスリット102とを備えている。このような構成の仕切反射板100を複数用いて、交差する仕切反射板100のスリット102同士を噛み合わせることによりシンチレータを収容する複数の収容部を形成する。スリットは、光学フィルムをレーザー加工することにより形成されている。
【特許文献1】特開2003−248059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような仕切反射板100では、交差する仕切反射板100のスリット102同士を噛み合わせたとき、一方の仕切反射板100のスリット102と、他方の仕切反射板の反射板本体101との間に隙間ができることがあった。その結果、シンチレータで発生した光がこの隙間から漏れることがあり、放射線検出器の検出精度を低下させるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、放射線検出における検出精度を高めることができる仕切反射板の製造方法及び放射線検出器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、弾性及び光反射性を有する光学フィルムからなる反射板本体と、前記反射板本体に間隔をあけて形成された複数のスリットとを有する仕切反射板の製造方法であって、前記仕切反射板は、複数を前記スリット同士が噛み合うように組み合わせてシンチレータが収容される収容部を複数形成可能であり、前記光学フィルムを切断刃で切断することにより前記スリットを形成する切断ステップを備え、前記切断刃は、尖鋭な切先部と、前記切先部から側面に沿って延びる刃先部とを備え、前記切断ステップは、前記光学フィルムの穿孔位置に前記切先部を刺入することにより前記光学フィルムに穿孔を形成する刺入ステップと、前記刃先部により前記光学フィルムを切断するように前記切断刃を移動させる移動ステップとを備える仕切反射板の製造方法により達成される。
【0007】
また、本発明の前記目的は、弾性及び光反射性を有する光学フィルムからなる反射板本体と、前記反射板本体に間隔をあけて形成された複数のスリットとを備える仕切反射板と、複数の前記仕切反射板の前記スリット同士を噛み合わせて形成された複数の収容部と、前記複数の収容部に収容され、放射線の入射により発光する複数のシンチレータと、前記シンチレータで発生した光を検出する光センサとを備える放射線検出器であって、前記スリットは、尖鋭な切先部と、前記切先部から側面に沿って延びる刃先部とを有する切断刃を用いて、前記光学フィルムの穿孔位置に前記切先部を刺入することにより前記光学フィルムに穿孔を形成し、前記刃先部により前記光学フィルムを切断するように前記切断刃を移動させることにより形成されており、前記シンチレータは、外面に設けられた光透過性を有する被覆用接着層と、該被覆用接着層に接着された光反射性を有する被覆板とを備える放射線検出器により達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の仕切反射板の製造方法及び放射線検出器によれば、放射線検出における検出精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の一実施形態に係る放射線検出器について説明する。図1は、放射線検出器20の概略構成図であり、図2は、図1における(a)A−A断面図、(b)B−B断面図である。
【0010】
放射線検出器20は、図1及び図2に示すように、検出ブロック21と、検出ブロック21に接合ゲル24を介して接合された光センサ22とを備えている。
【0011】
検出ブロック21は、アレイ状に配置された複数のシンチレータ5と、シンチレータ5の周囲に配置された入射面側反射板8、周縁反射板7及び仕切反射板1とを備えている。
【0012】
各シンチレータ5は、X線やガンマ線などの放射線の入射により発光する公知の発光素子であり、放射線が入射する入射面30と、内部で発生した光が放出される光放出面31とを備えている。
【0013】
入射面側反射板8は、各シンチレータ5の入射面30を被覆しており、周縁反射板7は、検出ブロック21の外縁部に配置されたシンチレータ5の側面を被覆している。また、仕切反射板1は、各シンチレータ5の間に介装されている。
【0014】
周縁反射板7、入射面側反射板8及び仕切反射板1は、各シンチレータ5で発生した光を反射させるフィルムであり、弾性及び光反射性を有する光学フィルムから形成されている。
【0015】
光学フィルムは、弾性及び光反射性を有するフィルムであれば特に限定されないが、ポリエステル系樹脂を用いた多層膜構造により可視光範囲において高い反射率を有するフィルムであることが好ましく、反射時の光損失が小さい観点から、<ビキュイティ>(登録商標)ESR(Enhanced Specular Reflector)反射フィルム(住友スリーエム株式会社製)であることが特に好ましい。
【0016】
図3は、仕切反射板1の概略構成図である。図3に示すように、仕切反射板1は、光学フィルムを長方形状に切り取ることにより形成された反射板本体6を備えている。反射板本体6は、互いに対向する長辺6a、6bと、一端側の長辺6aから他端側の長辺6bに向かって延びるように形成された複数のスリット3とを備えている。複数のスリット3は、シンチレータ5の配置間隔に応じた間隔をあけて形成されている。各スリット3は、それぞれ平行に延びるように形成されており、スリット深さが反射板本体6の短辺長さの半分になるように形成されている。
【0017】
複数の仕切反射板1は、格子状に配置されており、互いに交差する仕切反射板1同士は、スリット3を噛み合せることにより組み立てられている。複数の仕切反射板1は、格子状に組み立てられることにより、シンチレータ5を収容する収容部25を形成している。各仕切反射板1のスリット3には、交差する仕切反射板1の反射板本体6が挿入される。
【0018】
光センサ22は、シンチレータ5で発生した光を検出し、電気信号に変換するものであり、例えば、光電子増倍管や半導体光検出器を使用することができる。また、光センサ22は、光センサ22から送られる電気信号をデジタル信号に変換する電気回路23に接続されている。
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係る仕切反射板1の製造方法を実施するための切断装置50について説明する。図4は、切断装置50の概略構成図であり、図5は切断装置50の要部拡大図である。図4に示すように、切断装置50は、上述した光学フィルム2が載置される水平な載置台51と、載置台51の上面に沿って、水平移動するX移動体52及びY移動体53とを備えている。
【0020】
載置台51は、上面に取り付けられたカッタマット56と、カッタマット56の表面側の空気を裏面側へ吸引するための真空ポンプ59とを備えている。カッタマット56は、弾性を有する復元力の高い材質からなり、表面側から裏面側に空気を通過させるための通気孔58を複数備えている。真空ポンプ59は、カッタマット56の表面側の空気を通気孔58を介して裏面側に吸引することにより、光学フィルム2をカッタマット56に密着させる。
【0021】
X移動体52及びY移動体53は、モーター駆動により互いに直交する2方向(図4中の矢示X方向及びY方向)に往復動可能である。Y移動体53は、アクチュエータの駆動により載置台51の上面に直交する方向(図4中の矢示Z方向)に往復動可能なZ移動体54を備えている。Z移動体54は、Z移動体54に対して回転可能な回転ヘッド55を先端に備えている。
【0022】
図6は、回転ヘッド55の要部拡大図である。回転ヘッド55は、図6に示すように、光学フィルム2を切断する切断刃10と、切断刃10による切断時に光学フィルム2を押圧する押圧ローラー57とを備えている。切断刃10は、回転ヘッド55の先端で保持されており、押圧ローラー57は、切断刃10の両脇に設けられている。
【0023】
切断刃10は、公知のカッターナイフの刃を用いることができる。切断刃10は、切刃部11、刃先部12及び切先部13を備えている。切刃部11は、切断刃10の刃の部分であり、刃先部12は、切刃部11の先端部分であり、切先部13は、切断刃10の先端に位置する尖鋭な部分である。刃先部12は、切先部13から切断刃10の側面に沿って斜め上方に延びている。図7は、図6の(a)A−A断面図及び(b)B−B断面図である。図7に示すように、切刃部11は、切先部13に向けて徐々に先細になる三角錐形状を有している。また、切断刃10は、回転ヘッド55が回転することにより、刃先部12が向く方向(刃先方向)を変更可能に構成されている。押圧ローラー57は、光学フィルム2に当接し、光学フィルム2の微動を防止した状態で回転しながら移動可能である。
【0024】
X移動体52、Y移動体53、Z移動体54及び回転ヘッド55の作動は、図示しない制御手段により制御されており、制御手段の制御により切断刃10を予め設定された位置に移動させることができる。
【0025】
次に、以上のように構成された切断装置50を用いて仕切反射板1を製造する方法を説明する。
【0026】
まず、光学フィルム2をカッタマット56の上面に載置した状態で、真空ポンプ59を作動させることにより、真空ポンプ59の吸引力で光学フィルム2をカッタマット56に密着固定させる。光学フィルム2をカッタマット56に強固に固定するために、光学フィルム2の周縁部に粘着テープを貼り付けてもよい。
【0027】
次に、光学フィルム2を切断刃10で切断することによりスリット3を形成する。図8及び図9は、光学フィルム2の切断時における要部拡大図である。
【0028】
スリット3を形成するには、まず、切断刃10の刃先方向とスリット3を形成する方向とを一致させた状態で、光学フィルム2の穿孔位置19に切断刃10の切先部13を刺入する。穿孔位置19は、スリット3の最深部となる。また、切断刃10の刺入深さを調整することにより、スリット3の幅を調整することができる。スリット3の幅は、光学フィルム2の厚みより狭くすることが好ましい。切先部13が光学フィルム2に刺入されると、穿孔位置19には、切先部13によって光学フィルム2に垂直方向(Z方向)に作用するせん断力により、切先部13の形状をした穿孔が形成される。
【0029】
次に、光学フィルム2に切断刃10を刺入した状態で、図8の矢印で示すように、刃先部12で光学フィルム2を切断するように、切断刃10を移動させる。切断刃10が切先部13に向かって先細になる三角錐状を有しているので、図9に示すように、光学フィルム2の被切断部18は、切断刃10により切断される過程で、切刃部11により下方に押圧される。これにより、被切断部18近傍の光学フィルム2が下方へ撓み、湾曲した曲形部16と、曲形部16の表面からなる当接部17が形成される。曲形部16は、光学フィルム2が弾性を有するので、弾性変形可能である。
【0030】
その後、スリット3の開口部となる位置まで刃先部12を移動させることにより光学フィルム2を切断し、スリット3を形成する。
【0031】
最後に、切断刃10により、図5に点線で示すように、反射板本体6の周縁部に沿って光学フィルム2を切断する。こうして、仕切反射板1が製造される。
【0032】
以上のような方法により製造された仕切反射板1では、図10に示すように、反射板本体6が、湾曲した曲形部16と、曲形部16の表面に形成された当接部17とを備えている。曲形部16が弾性変形可能なので、スリット3に反射板本体6が挿入されている状態において、当接部17は反射板本体6に弾性的に当接する。これにより、互いに交差する仕切反射板1がスリット3同士を噛み合わせることにより組み上げられた状態で、一方の反射板本体6に他方の反射板本体6の当接部17が密着し、反射板本体6とスリット3との隙間が密閉される。
【0033】
本実施形態に係る仕切反射板1の製造方法によれば、光学フィルム2を切断刃10で切断することによりスリット3を形成する切断ステップを備え、切断刃10は、尖鋭な切先部13と、切先部13から側面に沿って延びる刃先部12とを備え、切断ステップは、光学フィルム2の穿孔位置19に切先部13を刺入することにより光学フィルム2に穿孔を形成する刺入ステップと、刃先部12により光学フィルム2を切断するように切断刃10を移動させる移動ステップとを備えるので、スリット3を形成する過程で、弾性変形可能な曲形部16と、曲形部16の表面からなる当接部17とを形成することができる。この方法により製造された仕切反射板1を複数使用し、スリット3同士を噛み合わせることにより格子状に組み立てると、反射板本体6とスリット3との隙間が密閉されるので、シンチレータ5で生じた光がスリット3から漏れることを防止することができる。この結果、放射線検出における検出精度を高めることができる。
【0034】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は、上記実施形態に限定されるものではない。以下、上述した構成と同様の構成部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
例えば、本実施形態では、スリット3の幅を仕切反射板1の厚さより狭くしていたが、仕切反射板1の厚さより広くしてもよい。この場合、スリット3からの光漏れを防止する観点から、図11に示すように、シンチレータ5で仕切反射板1の曲形部16を押圧することにより、当接部17を反射板本体6に当接させることが好ましい。
【0036】
また、切断装置50は、制御手段の制御により切断刃10の位置を予め設定された位置に移動させることができるものであれば特に限定されず、例えば、産業用カッティングマシン:CFS−1313(登録商標)(株式会社ミマキエンジニアリング製)
また、本実施形態では、スリット3を形成した後に反射板本体6の周縁部を切断したが、切断する順序は特に限定されず、反射板本体6の周縁部を切断した後にスリット3を形成してもよい。
【0037】
また、シンチレータ5は、外面を被覆する被覆板61を備えていてもよい。この場合、図12に示すように、シンチレータ5は、外面に設けられた光透過性を有する被覆用接着層62と、被覆用接着層62に接着された光反射性を有する被覆板61とを備えている。被覆板61は、シンチレータ5の光放出面31以外の面を被覆している。被覆板61は、光反射性を有するものであれば特に限定されないが、上述した光学フィルム2から形成されていることが好ましい。被覆用接着層62は、光透過性及び接着性を有するものであれば特に限定されないが、厚さを均一にする観点から両面接着フィルムであることが好ましく、光透過性を高める観点から、高透明接着剤転写テープ:製品番号8141や製品番号8142(住友スリーエム株式会社製)であることが特に好ましい。また、被覆用接着層62として接着剤を用いる場合は、シンチレータ5に均一な厚さで塗布することが好ましい。
【0038】
このような構成によれば、シンチレータ5が予め被覆板61により被覆されているので、スリット3から光が漏れるのを更に確実に防止することができる。また、シンチレータ5及び被覆板61が予めユニットとして構成されているので、取扱性を向上させることができる。また、このようなシンチレータ5によれば、例えば図13に示すように自由な形状に組み立てることができる。
【0039】
また、本実施形態では、シンチレータ5と入射面側反射板8とは接合されていなかったが、両者を接合する構成であってもよい。図14は、シンチレータ5と入射面側反射板8とを接合した状態における検出ブロック21の縦断面図であり、図15は、検出ブロック21の要部拡大図である。この場合、図14及び図15に示すように、シンチレータ5と入射面側反射板8との間には両者を接合する入射面側接着層65が介装されている。入射面側接着層65は、光透過性及び接着性を有するものであれば特に限定されないが、上述した高透明接着剤転写テープ:製品番号8141や製品番号8142(住友スリーエム株式会社製)であることが好ましい。
【0040】
このような構成によれば、シンチレータ5と入射面側反射板8とを入射面側接着層65により密着させるので、シンチレータ5の移動を規制することができる。これにより、放射線検出器20の検出精度を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、検出ブロック21と光センサ22とを接続するにあたり、検出ブロック21が接合ゲル24に接着される構成であったが、検出ブロック21と接合ゲル24との間に介装ゲル66を介装させてもよい。図16は、検出ブロック21と接合ゲル24との間に介装ゲル66を介装させた状態における検出ブロック21の縦断面図であり、図17は、検出ブロック21の要部拡大図である。図16及び図17に示すように、介装ゲル66は、検出ブロック21と接合ゲル24との間に配置されることにより、シンチレータ5と仕切反射板1との隙間を密封する。介装ゲル66は、接着性、光透過性、防水性を有するゲルであることが好ましく、光透過性に優れる観点から、BC−600(登録商標)(サンゴバン株式会社製)であることが特に好ましい。この介装ゲル66には防水性があるので、潮解性のあるシンチレータ5を環境水分から保護できる効果が大きい。
【0042】
次に、検出ブロック21と接合ゲル24との間に介装ゲル66を介装させる介装方法を説明する。図18は、介装ゲル66の介装方法を説明する図である。まず、水平面に載置された保護板68上に介装ゲル66が載置された状態で、検出ブロック21を介装ゲル66上に載置する。検出ブロック21は、シンチレータ5の光放出面を下方に向けた状態で載置される。また、検出ブロック21の載置は、介装ゲル66の粘度がある程度高くなった段階で行うことが好ましい。具体的には、介装ゲル66の粘度が10000cPになった段階で検出ブロック21の載置を行うことが好ましい。保護板68は、ポリエステル系の多層板であることが好ましく、上述した光学フィルム2であることが特に好ましい。
【0043】
次に、介装ゲル66上に検出ブロック21を載置した状態で、放置することにより介装ゲル66を固化させる。介装ゲル66を固化させる過程で、検出ブロック21を下方に押圧することにより、介装ゲル66を下方に押圧してもよい。この際、押圧力を調整することにより、介装ゲル66の厚さを調整することができる。その後、保護板68を介装ゲル66から剥離した後、介装ゲル66に接合ゲル24を塗布する。
【0044】
このような構成によれば、シンチレータ5と仕切反射板1との隙間が介装ゲル66により密封されるので、この隙間に接合ゲル24が浸透するのを防止することができる。また、シンチレータ5と仕切反射板1との隙間に介装ゲル66の一部が入り込み、この隙間を埋めることもできる。これにより、シンチレータ5で発生した光の光量が低下するのを防止でき、放射線検出器20の精度を向上させることができる。また、接合ゲル24が仕切反射板1に浸透するのを防止することができ、仕切反射板1の光反射率が低下するのを防止することができる。また、介装ゲル66が固化する過程でこれを加圧することにより、介装ゲル66の厚さを薄くすることができる。これにより、光センサ22が、隣接するシンチレータ5で発生した光を誤って検出するのを防止することができる。また、水分が検出ブロック21内に浸入することを防止できる。特に潮解性のあるシンチレータ5を環境水分から保護する手段として有効である。また、各シンチレータ5の外面に介装ゲル66を塗布したものを検出ブロック21に収容することもできる。これにより、個々のシンチレータ5を環境水分から保護することができる。
【0045】
また、本実施形態では、検出ブロック21における複数のシンチレータ5を全て等しい大きさとしていたが、シンチレータ5の配置位置に応じてその大きさを変えてもよい。図19は、検出ブロック21の横断面図である。図19に示すように、検出ブロック21の周縁部に配置されるシンチレータ5を内部に配置されるシンチレータ5より大きくしてもよい。このような構成によれば、検出ブロック21の周縁部において検出される光を正確に波形分離することができる。この結果、光の検出可能有効面積を向上させることができ、放射線検出器20の検出精度を向上させることができる。
【0046】
検出ブロックの他の構成について説明する。検出ブロックは格子状のセラミックス容器と、セラミックス容器に収容された複数のシンチレータとを備えている。セラミックスは、反射率の優れたものであれば特に限定されない。
【0047】
図20は、押出し型80の(a)縦断面図及び(b)横断面図である。セラミックス容器は、図20に示すような、雌型82及び雄型81を備える押出し型80を用いて製造することができる。雌型82は、四角形の筒状の枠と、この枠内に配置された四角柱とを備えている。雄型81は、基台と、基台から下方に延びる突出部を備えている。
【0048】
セラミックス容器を製造する場合は、雌型82に雄型81を挿入した状態で、図20(a)に矢印Pで示すように、セラミックスの混合組成物を雌型82内に圧入してゆく。
【0049】
また、スリット3の他の形成方法について説明する。光学フィルム2を切断してスリット3を形成する際に、トムソン型を用いて切断してもよい。トムソン型は、予め定められた位置に配置された複数の刃を備えており、軟質プラスチックやゴムのフィルムなどを打ち抜くための型である。トムソン型を使用することにより仕切反射板1を量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係る放射線検出器の概略構成図である。
【図2】図1における(a)A−A断面図、(b)B−B断面図である。
【図3】仕切反射板の概略構成図である。
【図4】切断装置の概略構成図である。
【図5】切断装置の要部拡大図である。
【図6】回転ヘッドの要部拡大図である。
【図7】図6の(a)A−A断面図及び(b)B−B断面図である。
【図8】光学フィルムの要部拡大図である。
【図9】光学フィルムの要部拡大図である。
【図10】検出ブロックの要部拡大図である。
【図11】検出ブロックの要部拡大図である。
【図12】シンチレータの縦断面図である。
【図13】シンチレータを組み立てた状態の横断面図である。
【図14】検出ブロックの縦断面図である。
【図15】検出ブロックの要部拡大図である。
【図16】検出ブロックの縦断面図である。
【図17】検出ブロックの要部拡大図である。
【図18】介装ゲルの介装方法を説明する図である。
【図19】検出ブロックの横断面図である。
【図20】押出し型の(a)縦断面図及び(b)横断面図である。
【図21】従来の仕切反射板の概略構成図である。
【符号の説明】
【0051】
1 仕切反射板
2 光学フィルム
3 スリット
5 シンチレータ
6 反射板本体
10 切断刃
11 切刃部
12 刃先部
13 切先部
16 曲折部
17 当接部
20 放射線検出器
21 検出ブロック
22 光センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性及び光反射性を有する光学フィルムからなる反射板本体と、前記反射板本体に間隔をあけて形成された複数のスリットとを有する仕切反射板の製造方法であって、
前記仕切反射板は、複数を前記スリット同士が噛み合うように組み合わせてシンチレータが収容される収容部を複数形成可能であり、
前記光学フィルムを切断刃で切断することにより前記スリットを形成する切断ステップを備え、
前記切断刃は、尖鋭な切先部と、前記切先部から側面に沿って延びる刃先部とを備え、
前記切断ステップは、前記光学フィルムの穿孔位置に前記切先部を刺入することにより前記光学フィルムに穿孔を形成する刺入ステップと、前記刃先部により前記光学フィルムを切断するように前記切断刃を移動させる移動ステップとを備える仕切反射板の製造方法。
【請求項2】
弾性及び光反射性を有する光学フィルムからなる反射板本体と、前記反射板本体に間隔をあけて形成された複数のスリットとを備える複数の仕切反射板と、
複数の前記仕切反射板の前記スリット同士を噛み合わせて形成された複数の収容部と、
前記複数の収容部に収容され、放射線の入射により発光する複数のシンチレータと、
前記シンチレータで発生した光を検出する光センサとを備える放射線検出器であって、
前記スリットは、尖鋭な切先部と、前記切先部から側面に沿って延びる刃先部とを有する切断刃を用いて、前記光学フィルムの穿孔位置に前記切先部を刺入することにより前記光学フィルムに穿孔を形成し、前記刃先部により前記光学フィルムを切断するように前記切断刃を移動させることにより形成されており、
前記シンチレータは、外面に設けられた光透過性を有する被覆用接着層と、該被覆用接着層に接着された光反射性を有する被覆板とを備える放射線検出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2008−256479(P2008−256479A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97851(P2007−97851)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(505345864)有限会社ワールドエンジニアリングシステム (2)
【Fターム(参考)】