説明

付着物除去方法

【課題】作業空間における作業員の安全を確実に確保することができる付着物除去方法を提供する。
【解決手段】地下に凹部を有する建物内の作業空間において、粒状のドライアイスを吹き付けて被洗浄面に付着している付着物を当該被洗浄面から脱落させ、前記作業空間内の空気を、前記ドライアイスが昇華した結果発生した二酸化炭素と共に、前記凹部から当該作業空間外へ排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着物除去方法及び付着物除去装置に関し、特に、粒状のドライアイスを吹き付けて被洗浄面に付着している付着物を当該被洗浄面から脱落させる付着物除去方法に関する
【背景技術】
【0002】
建物の天井や壁体などの物体の表面に付着した付着物を除去する付着物除去方法としては、ドライアイスブラスト法が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。ドライアイスブラスト法は、粒状のドライアイスの吹き付け(blast)を行って、物体の表面に付着している埃などの付着物を、ドライアイスの衝突エネルギーによって当該物体の表面から脱落させるものである。これにより、物体(被洗浄体)は洗浄される。
【0003】
上記ドライアイスブラスト法は、既存の建物の物体表面(天井面や壁面など)に付着しているアスベスト(石綿)を物体表面から剥離・脱落させる除去作業の際にも実施される。ここで、アスベストは、人体に重度の健康障害(例えば、石綿肺、肺がん、中皮腫)を生ずる可能性のある有害物である。そのため、アスベストの除去作業は、まず、アスベスト除去対象となる天井面や壁面などを含む空間(作業空間)を密閉・隔離するための養生(covering)が行われる。これにより、ドライアイスブラスト法を用いて物体表面から脱落させたアスベストを含む粉塵が外部へと飛散しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−300030号公報
【特許文献2】特開2004−305904号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、作業空間は、養生が行われているため、密閉空間となる。このような作業空間において、ドライアイスブラスト法を実施すると、使用したドライアイスが昇華(気化)した結果、大量の二酸化炭素ガスが発生する。発生した二酸化炭素ガスは、作業空間に充満することになる。
【0006】
そして、作業空間に二酸化炭素ガスが充満すると、作業空間内で作業を行っている作業員に、酸素欠乏を招くことになりかねない。そのため、作業員は、ドライアイスの使用中、酸素欠乏という危険に曝されていることになる。したがって、ドライアイス使用の際には、作業空間における作業員の安全を確保することが求められる。なお、このような課題は、作業空間が密閉空間である場合だけでなく、狭い空間である場合や、空気が滞留しやすい空間である場合にも同様に発生する。
【0007】
本発明の目的は、ドライアイス使用に際して、作業空間における作業員の安全を確実に確保することができる付着物除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の付着物除去方法は、地下に凹部を有する建物内の作業空間において、粒状のドライアイスを吹き付けて被洗浄面に付着している付着物を当該被洗浄面から脱落させ、前記作業空間内の空気を、前記ドライアイスが昇華した結果発生した二酸化炭素と共に、前記凹部から当該作業空間外へ排出することを特徴とする
【0009】
また、前記凹部に吸気口を有し、前記作業空間外に排気口を有するダクトを設置し、当該ダクトを用いて、前記作業空間内の空気を排出することとしてもよい
【0010】
また、前記吸気口は、前記凹部に入って作業をする作業員の顔の高さより下方に設けられることとしてもよい
【0011】
また、前記建物は、ケージと、当該ケージをガイドするエレベータシャフトを備えており、前記建物には、前記ケージを地上面よりも低い位置に収容するための、前記凹部としてのピットが設けられていることとしてもよい
【0012】
また、前記エレベータシャフト内の空間を、前記ピット側の下方空間と、上方空間とに区画する水平区画部材を設置することとしてもよい
【0013】
また、前記建物の1階部分に、作業員が出入りするセキュリティゾーンを設置し、前記建物内のエレベータホールに垂直区画部材を設置し、前記垂直区画部材は、前記1階部分を、前記エレベータシャフト側の空間と、前記セキュリティゾーン側の空間とに区画することとしてもよい
【0014】
また、前記垂直区画部材には、前記セキュリティゾーンを出た作業員が前記作業空間に直接入ることを可能とする開閉可能な扉を設けることとしてもよい
【0015】
また、前記建物の1階部分に集塵機を設置し、前記建物の1階部分に、作業員が出入りするセキュリティゾーンを設置し、前記集塵機は、前記作業空間内の空気を排気するための送風機と、排気される空気を除塵するためのフィルタを備えるとともに、前記セキュリティゾーンの除塵も行うこととしてもよい
【0016】
また、前記ピット内に吸気口を有し、前記建物の1階部分に排気口を有するダクトを設置し、当該ダクトを用いて、前記作業空間内の空気を排出し、前記ダクトは、前記1階部分の床面に沿った部分と、前記ピットの鉛直方向の壁面に沿った部分とを備えていることとしてもよい
【0017】
また、前記建物の2階部分に送風機を設置し、当該送風機に接続された配管を介して、前記作業空間内に空気を供給することとしてもよい
【発明の効果】
【0018】
本発明の付着物除去方法によれば、ドライアイス使用に際して、作業空間における作業員の安全を確実に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る付着物除去方法としてのドライアイスブラスト法が実施される建物の概略的な構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る付着物除去方法としてのドライアイスブラスト法が実施される建物の概略的な構成を示す縦断面図である。
【図3】図2に示したダクトの変形例に係るダクトが設置された建物の水平断面図である。
【図4】図2に示したダクトの他の設置方法を例示する、別の建物の縦断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る付着物除去方法としてのドライアイスブラスト法が実施される建物の概略的な構成を示す水平断面図である。
【図6】図5に示すダクトの部分拡大側面図である。
【図7】ドライアイスブラスト法を用いたアスベスト除去作業の工程を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る付着物除去装置としてのアスベスト除去装置が設置された建物の概略的な構成を例示する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施の形態では、建物の空間内において、ドライアイスを吹き付けるドライアイスブラスト法を実施する場合について説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る付着物除去方法としてのドライアイスブラスト法が実施される建物の概略的な構成を示す縦断面図である。
【0022】
図1に示すように、建物10は、地上面1に設置された天井や壁などの区画体11を有し、区画体11は、地上面1と共に屋内空間20を画成している。なお、地上面1は、建物10の床面であってもよい。区画体11の区画内面11a(屋内空間20に面する天井面及び壁面など)には、埃などの付着物(図示せず)が付着している。本実施の形態では、屋内空間20において、ドライアイスブラスト法を実施することにより、埃などの付着物を区画内面11aから脱落させて(除去して)、区画内面11aの洗浄(清掃)を行う。なお、区画内面11aから脱落した付着物(以下、「脱落付着物」という)は、地上面1に落下したり、屋内空間20に浮遊したりする。
【0023】
ドライアイスブラスト法では、粒状のドライアイスの吹き付け(blast)を行うためのブラストマシン(図示せず)が使用される。このため、屋内空間20においてブラストマシンが吹き付け可能な範囲が、清掃作業を行う作業空間(以下、「作業空間S」という)となる。図1に示す例では、屋内空間20の一部の空間が作業空間Sとなっている。作業空間Sは、ブラストマシンを移動させることで屋内空間20における位置が変わる。
【0024】
上記ドライアイスブラスト法を実施する前(つまり、清掃作業開始前)に、本実施の形態では、まず、送風機30が屋内空間20に設置される(図1参照)。送風機30は、その前方にある空気を、さらに前方に向かって移動させることで、送風を行うためのものである。送風機30の設置場所は、屋内空間20においても、作業空間Sの下部又はその近傍(図1では、作業空間Sの下部近傍)であることが好ましい。
【0025】
ここで、送風機30の設置は、送風機30の送風方向が、図1の矢印Aに示すように、屋内空間20から、建物10の外(屋外)へ向かう方向となるように行われる。送風機30の前方(送風方向下流側)には、区画体11に設けられている開口11bが位置している。これにより、送風機30は、駆動されると、その前方にある屋内空間20内の空気を開口11bを介して屋外へと移動させることになる。つまり、送風機30は、屋内空間20内の空気を屋外へ排出させる排気装置として機能するものである。なお、区画体11の開口11bは、清掃作業を行う作業員が出入り可能な出入口の一部(下部)であってもよい。
【0026】
次に、送風機30を稼働して排気を開始する。このとき、送風機30は、後方にある屋内空間20の空気、つまり作業空間Sの下部にある空気を取り込んで(矢印B参照)、前方に供給している。これにより、作業空間Sの下部にあった空気も屋外へ排出されることになる。
【0027】
そして、送風機30の稼働中に、ドライアイスブラスト法を実施することで、区画内面11aの清掃を行う。この際に使用したドライアイス(固体)は、昇華(気化)する。この昇華の結果発生した二酸化炭素ガスの体積は、固体であるときの約750倍である。したがって、作業空間Sでは、大量の二酸化炭素ガスが発生することになる。ここで、二酸化炭素ガスは、空気よりも比重が大きい。そのため、作業空間Sにおいて発生した二酸化炭素ガスは、区画体11及び地上面1に囲まれた屋内空間20の下部から充満しやすいという性質がある。したがって、屋内空間20の下部にある空気、特に作業空間Sの下部にある空気は、他の空間にある通常の空気よりも二酸化炭素ガスを多く含むことになる。
【0028】
本実施の形態によれば、ドライアイスブラスト法を用いた清掃作業の際に、送風機30が稼働しているため、排気が行われている。排気の際、送風機30は、作業空間Sにおいて発生した二酸化炭素ガスを作業空間Sから取り込んでいる。この結果、発生した二酸化炭素ガスも排気されることになる。
【0029】
ここで、本実施の形態では、送風機30が二酸化炭素ガスの発生源となる作業空間Sの下部又はその近傍に設置されている。このため、送風機30は、二酸化炭素ガスが屋内空間20の下部に充満しやすいという性質を利用して、作業空間Sの下部に充満しようとする二酸化炭素ガスを速やかに取り込むことができる。これにより、作業空間Sにおいて発生した二酸化炭素ガスの排気を効率的に行うことができる。
【0030】
上述したように、本実施の形態では、二酸化炭素ガスの効率的な排気を実現することができるので、発生した二酸化炭素ガスが屋内空間20の下部に充満することがない。そのため、屋内空間20の下部から充満した二酸化炭素ガスが作業員の顔(屋内空間20の上部)にまで到達することはない。つまり、作業員は、酸素欠乏という危険に曝されることがない。したがって、本実施の形態によれば、作業空間Sにおける作業員の安全を確実に確保することができる。
【0031】
なお、上記実施の形態では、送風機30が作業空間Sの下部又はその近傍に設置されているが、図1の矢印A,Bに対応する排気経路が確保できる場合には、送風機30を開口11bや屋外に設置してもよい。図1の矢印A,Bに示す排気経路が確保できる場合とは、例えば、作業空間Sが開口11bの近傍にある場合や、送風機30の排気能力が高い場合(排気量が大きい場合)が該当する。
【0032】
上述した実施の形態において、さらに、送風機30の排気経路上にフィルタ31(図1参照)を設置し、そのフィルタ31を用いて、排気によって移動する空気の除塵(清浄化)を行うことが好ましい。図1に示す例では、フィルタ31が送風機30と開口11bの間に設置されている。フィルタ31は、例えば、通気可能な程度にメッシュの細かい薄膜フィルタで構成されている。これにより、送風機30による排気によって移動する空気の除塵を行うことができる。
【0033】
上記除塵により、具体的には、上記脱落付着物のうち、排気によって移動する空気と共に移動した脱落付着物がフィルタ31上に残存する。したがって、フィルタ31は、空気清浄化機能だけでなく、排気の際に脱落付着物を捕集する捕集部材としての機能も有する。これにより、脱落付着物が、再度、区画内面11aに付着するのを防止することができると共に、作業員は、脱落付着物の回収を短時間で容易に行うことができる。特に、脱落付着物が有害物(例えば、アスベストやダイオキシン類)を含む場合又はその可能性がある場合には、脱落付着物回収作業の作業時間が短縮化するので、作業員の安全を確保することができる。
【0034】
なお、捕集部材としては、フィルタ31を用いたが、フィルタ31に代えて粘着剤や吸着剤を用いてもよいし、これらのうちの2種以上を併用してもよい。
【0035】
また、上述した実施の形態において、さらに、送風機30とは別の送風機40を設置して(図1参照)、作業空間Sの上部から酸素を含む気体(例えば、空気)を供給することが好ましい。図1に示す例では、送風機40は、区画体11の上部に設置されている。なお、送風機40の設置場所は、作業空間Sの上部に空気を供給可能な場所であればよい。送風機40を駆動することによって、作業空間Sを含む室内空間20の換気を行うことができ、作業員は、二酸化炭素ガスが発生するような環境においても容易に酸素を確保することができる。このため、送風機40は、空気に代えて、爆発の危険が少ない程度に希釈した酸素を供給するものであってもよい。これらにより、作業員の安全をさらに確保することができる。
【0036】
送風機40による気体(空気又は酸素)の供給は、少なくとも、送風機30による排気の間、継続される。ここで、送風機40による気体供給により、作業空間Sを含む室内空間20に生じた気流(図1の矢印C参照)は、室内空間20の上部から下部へと向かう方向であるため、送風機30の排気によって生じる気流(図1の矢印B,A参照)を助長することになる。これにより、二酸化炭素ガスの排気効率をさらに向上させることができる。
【0037】
ここで、室内空間20に生じさせた気流を確実に維持するために、送風機40が供給する気体の単位時間当たりの供給量(供給体積)が、送風機30が排気する空気の単位時間当たりの排気量(供給体積)よりも小さくなるように制御することが好ましい。これを実現するためには、送風機30として、送風機40よりも大型の送風機を選んで使用すればよい。このようにすることで、室内空間20が確実に負圧となり、脱落付着物が屋外へ漏出するのを防止することができる。
【0038】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態における送風機30による排気経路(矢印A,B)を確定させるために、ダクトを設置したものであり、他の構成及び構成要素は、同一であるので同一又は類似の符号を付し、それらの説明を省略する。
【0039】
図2は、第2の実施の形態に係る付着物除去方法としてのドライアイスブラスト法が実施される建物の概略的な構成を示す縦断面図である。
【0040】
図2に示すように、建物10には、送風機30による排気の排気経路を確定させるために、2つの開口(吸気口32a,排気口32b)を有する中空部材であるダクト32が設置されている。具体的には、ダクト32の吸気口32aが作業空間Sの下部に設置され、排気口32bが屋外に設置されている。これにより、ダクトは、作業空間Sの下部と屋外とを連通する連通部材として機能することになる。送風機30やフィルタ31は、ダクト32内に設置される。
【0041】
ダクト32としては、例えば、フレキシブルダクト又はテレスコープ式ダクトを用いることができる。フレキシブルダクトは、可撓性及び気密性のある可撓性部材で囲んだ中空部材であり、可撓性があるので、室内空間20のコーナー部等において任意に曲げることができ、また、伸縮可能でもある。テレスコープ式ダクトは、長さ方向に段階的に伸縮可能に形成されている。このようなフレキシブルダクトやテレスコープ式ダクトを用いることにより、ダクト32を任意の大きさ、任意の形状の室内空間20に設置することが容易となる。さらには、フレキシブルダクトやテレスコープ式ダクトを収縮状態にすることで、ダクト32の外形が占める体積が小さくなるため、持ち運びが容易となる。
【0042】
本実施の形態によれば、ダクト32により排気経路が確定するため、作業員は、ダクト32の吸気口32aの近傍において作業を行うことで、作業空間Sにおける作業員の安全が確実に確保される。また、ダクト32の吸気口32aの近傍において作業を行うことで、作業員は、安全が確保されているという安心感を得ることができる。
【0043】
なお、ダクト32は、必要な長さを有する1つのものであってもよいし、所定長さ(例えば5m)のダクトを複数連結することにより一体的に構成したものであってもよい。
【0044】
さらには、ダクト32が確定する排気経路は、1本である必要はなく、2本以上であってもよい。その一例を変形例として図3を用いて説明する。
【0045】
図3は、図2に示したダクトの変形例に係るダクトが設置された建物10の水平断面図である。
【0046】
図3に示すダクト32’は、2つの吸気口32aと、1つの排気口32bとを有している。したがって、ダクト32’は、2つの吸気口32aから室内空間20の下部にある空気を取り込み、1つの排出口32bから取り込んだ空気を排出するように構成されており、これにより、2本の排気経路が確定することになる。なお、図3には、送風機30が示されていないが、2本の排気経路を用いた排気を実現するために、大型の送風機を用いるか、送風機を複数台用いることが好ましい。
【0047】
図3に示す例では、ダクト32’の2つの吸気口32aが、屋内空間20の下部であって隅部(作業空間Sの周縁部)に設置される。ここでいう隅部とは、地上面1及び1つの区画内面11aが交差してできた入隅をいう。隅部では、空気などの気体の流れ(気流)が生じにくいため、気体が滞留しやすい。そこで、図3に示すように、吸気口32aを屋内空間20の下部であって隅部に設置することにより、矢印Bに示すような方向の気流が生じて、屋内空間20の下部に滞留しやすい気体、ここではドライアイスブラスト法の実施により発生した二酸化炭素ガスを多く含む空気を効率的に排出することができることになる。
【0048】
図4は、図2に示したダクト32の他の設置方法を例示する、別の建物の縦断面図である。
【0049】
図4に示すように、建物10’には、下部(図では地下)に凹部12が形成されている。この凹部12に作業員が入り込んでドライアイスブラスト法を実施する場合、凹部12(及びその近傍)が作業空間Sとなる。しかし、凹部12では、空気よりも比重の大きい二酸化炭素ガスが非常に滞留しやすく、凹部12にあった空気は、容易に二酸化炭素ガスに置換されることになる。したがって、凹部12が作業空間Sとなると、作業員が酸素欠乏になり易く、作業員が危険となる。
【0050】
そこで、図2に示したようなダクト32の吸気口32aを凹部12に設置する。具体的には、ダクト32の吸気口32aを、凹部12に入り込んで作業する作業員の顔の高さの位置よりも下方の位置に設置する。好ましくは、吸気口32を、凹部12の底面12aに接するように又は底面12aに近い高さに設置する。より好ましくは、図3に示したようなダクト32’を用いて、2本(又はそれ以上)の排気経路を確保する。これらにより、凹部12の下部から充満する二酸化炭素ガスを速やかに且つ効率的に排気することができる。その結果、凹部12にあった空気が二酸化炭素ガスで置換されることがなくなり、作業員が危険に曝されることが防止される。
【0051】
図4では、凹部12が作業空間Sとなる場合について説明したが、凹部12が作業空間Sに該当しない場合であっても、図4に示すダクト32の設置方法及びそのダクト32を用いた排気を実施してもよい。その理由は、清掃作業は、一般的に、室内空間20の高所から行われ、最後に、室内空間20の低所の清掃作業が行われるためである。つまり、凹部12が作業空間Sではないときには、室内空間20における凹部12よりも高い、別の場所において清掃作業が行われている。そして、別の場所の清掃作業で発生した二酸化炭素ガスが凹部12に流入する。このため、凹部12は、二酸化炭素ガスが滞留した状態となっている可能性が高い。そこで、別の場所の清掃作業中にも、凹部12の排気を予め実施しておくことにより、凹部12に二酸化炭素ガスが流入したとしてもその滞留を確実に防止することができる。
【0052】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、第2の実施の形態で示したダクト32又はその変形例に係るダクト32’を改良したものを用いて、効率的な排気を実現する。他の構成及び構成要素は、第2の実施の形態で示した構成及び構成要素と同一又は類似であるので同一又は類似の符号を付し、それらの説明を省略する。
【0053】
図5は、第3の実施の形態に係る付着物除去方法としてのドライアイスブラスト法が実施される建物の概略的な構成を示す水平断面図である。
【0054】
図5に示す建物10”は、図1や図4に示した建物10,10’よりも小型である。このように建物10”が小型の場合、室内空間20も狭い。このため、室内空間20の全域が作業空間Sとなる。作業空間Sが狭い場合には、ドライアイスブラスト法の実施により発生した二酸化炭素ガスが短時間で作業空間Sの全域に充満しやすくなる。
【0055】
そこで、本実施の形態では、上述したダクト32又はダクト32’を改良したダクト32”を用いる。図5に示すように、ダクト32”は、その側面に少なくとも4つの吸気口32aと、1つの排気口32bとを有し、これにより、4本の排気経路が確保される。なお、図5に示す例では、送風機30が示されていないが、4本の排気経路を用いた排気を実現するために、大型の送風機を用いるか、送風機を複数台用いることが好ましい。
【0056】
本実施の形態によれば、ダクト32”を用いることにより4本の排気経路が確保されているので、室内空間20が狭い場合であっても、速やかな排気を行うことができる。これにより、二酸化炭素ガスが作業空間Sの全域に充満するのを防止することができる。
【0057】
図6は、図5に示すダクト32”の部分拡大側面図である。
図6に示すように、改良したダクト32”は、その側面に、複数(例えば4つ以上)の吸気口32aを有しており、各吸気口32aには、当該吸気口32aを遮蔽可能な扉ユニット33が複数設けられている。なお、ダクト32”において、扉ユニット33を設ける部分は、上記フレキシブルダクトや上記テレスコープ式ダクトとは別の部材で構成することが好ましく、その部材として剛性のある筐体を用いることで扉ユニット33を容易に設けることができる。また、扉ユニット33を設ける筐体の形状を矩形にすることで、扉ユニット33が地上面1に向かないように設置することが容易となる。
【0058】
扉ユニット33の各々は、吸気口32aを遮蔽する遮蔽部材としての扉33aと、扉33aの開閉を制御するロック機構(図示せず)とを有する。図6に示す例では、2つの扉ユニット33のうち、一方の(左側の)扉ユニット33は、扉33aのロックが解放された状態(扉オープン状態)にある。これにより、吸気口32aが開放される。他方の(図6の右側の)扉ユニット33は、扉33aがロックされた状態(扉クローズ状態)にあり、これにより、吸気口32aが遮蔽されている。すなわち、ダクト32”において、扉ユニット33が扉オープン状態にされると、ダクト32”への空気の流入が許容される。その結果、ダクト32”は排気経路を確保することができるようになっている。
【0059】
ここで、図5に示したような4本の排気経路を確保するためには、ダクト32”が有する複数の吸気口32aのうち、屋内空間20の下部にある隅角部近傍にある扉ユニット33を扉オープン状態して、対応する吸気口32aを開放し、他の扉ユニット33を扉クローズ状態にする。なお、ここでいう隅角部とは、地上面1と区画内面11aの2つの面とが交差してできた室内空間20側の角部分をいう。隅角部では、上述した隅部よりも気流が生じにくいため、気体が滞留しやすい。図5に示したようにして、室内空間20の隅角部近傍に吸気口32aを有する排気経路を確保することで、隅角部に気流が生じて、隅角部に滞留しやすい二酸化炭素ガスを含む空気を効率的に排気することができる。
【0060】
また、ダクト32”によれば、扉ユニット33の扉オープン状態と扉クローズ状態の一方を選択することができるので、複雑な形状の建物に設置する場合にも好適である。複雑な形状の建物の場合にも、ダクト32”を設置した後に、気体(二酸化炭素ガス)が滞留しやすい場所の扉ユニット33を扉オープン状態にすることで、排気経路を確保することができる。
【0061】
さらに、図6に示す例では、ダクト32”の吸気口32aの部分にフィルタ34が設置されている。フィルタ34は、フィルタ31(図6では不図示)よりもメッシュが粗いフィルタであり、フィルタ31の目詰まりを起こしにくくするプレフィルタとして機能する。これにより、フィルタ31の交換頻度を抑えることができる。
【0062】
なお、図6に示す扉ユニット33を有するダクト32”を、図1に示すダクト32や図3に示すダクト32’に代えて用いてもよい。つまり、ダクト32”は、第2の実施の形態においても用いることができる。
【0063】
なお、上述した第1乃至第3の実施の形態において、ドライアイスブラスト法に用いる付着物除去装置は、ブラストマシンと、排気装置としての送風機30とを含んで構成される。付着物除去装置が排気装置を含む理由は、ブラストマシン使用により発生した二酸化炭素ガスを効率的に排気するために必要であるからである。
【0064】
次に、上述した第1乃至第3の実施の形態の実施例(具体例)として、アスベスト除去作業について説明する。
【0065】
アスベスト除去作業では、上述したドライアイスブラスト法を用いて建物の区画内面(天井面や壁面など)に付着しているアスベストの剥離・脱落(区画内面の洗浄)を行うだけでなく、脱落させたアスベストを回収して建物から除去する必要がある。アスベストが有害物であるためである。
【0066】
図7は、ドライアイスブラスト法を用いたアスベスト除去作業の工程を示すフローチャートである。
【0067】
図7において、まず、第1工程(ステップS1:作業場養生工程)では、アスベスト除去作業を行う作業場の養生(covering)を行う。ここで、養生とは、隔離密閉養生とも称され、作業場の周囲を、気密性の高いシート(例えば、PET(polyethylene terephthalate)製のシート)等で囲み覆うことで、作業場内部の空間を密封空間にして他の空間(作業場外部)から隔離することをいう。なお、作業場内部の空間が上述した室内空間20に相当する。
【0068】
作業場を養生させることにより、作業場内のアスベストが作業場の外部へ漏出することが防止される。なお、本実施の形態では、アスベスト除去作業に用いるアスベスト除去装置(の一部)を、アスベスト除去作業を行う対象となる建物に設置することで作業場の養生を実現する。アスベスト除去装置の構成例については、図8を用いて後述する。
【0069】
続いて、第2工程(ステップS2:付帯設備設置工程)では、アスベスト除去装置の付帯設備を設置する。付帯設備としては、セキュリティゾーンや足場などがある。セキュリティゾーンは、作業場と作業場外部との間に設置され、足場は、作業場内に設置される(図8参照)。足場を設置する理由は、アスベスト除去作業が、通常、作業場内部の空間において、高所から低所へと順次行われるからである。なお、足場などの設置は、上記第1工程で行ってもよい。
【0070】
その後、第3工程(ステップS3:負圧設定工程)では、作業場内の排気を行って、作業場の気圧を大気圧よりも低い負圧に設定する。作業場内の排気は、アスベスト除去装置が備える集塵機を稼働させることにより行う。なお、集塵機は、作業場を負圧に設定できる程度に排気能力(単位時間当たりの換気回数)が高い排気装置(送風機)であるとも云える。これにより、作業場の換気が行われることになる。
【0071】
そして、第4工程(ステップS4:アスベスト除去工程)では、作業場内の空間において、ドライアイスブラスト法を実施したり、手作業(へら・皮スキなどを用いた剥離作業,ブラシを用いたブラッシング)を行ったりすることによって、アスベストを剥離・脱落させる。そして、脱落させたアスベストを手作業で回収する。また、集塵機は、排気機能だけでなく、捕集機能(具体的には上述したフィルタ31又はそれ以上に除塵性能の高いフィルタ)も有しており、アスベストを含む粉塵を集塵機で捕集(回収)することができる。これらにより、作業場からアスベストを除去する。なお、第4工程では、必要に応じて、有害なアスベストを薬剤を用いて無害化させる作業なども実施される。また、ドライアイスブラスト法の実施により作業場内に発生した二酸化炭素ガスは、集塵機が作業場を負圧にする際に作業場内に生じさせた気流により、作業場外へ排出される。
【0072】
第4工程が完了した後は、設置したアスベスト除去装置やその付帯設備を撤去したり、回収したアスベストを最終処分場へ運搬したりして、本工程を完了する。
【0073】
図7の処理によれば、作業場を負圧に設定できる程度に排気能力の高い集塵機を用いているので、アスベストの捕集と共に、二酸化炭素ガスの排気を行うことが可能となる。
【0074】
図8は、本発明の実施の形態に係る付着物除去装置としてのアスベスト除去装置が設置された建物の概略的な構成を例示する縦断面図である。なお、上述した第1乃至第3の実施の形態において説明した構成及び構成要素と同様の構成及び構成要素には、同一又は同様の符号を付し、それらの説明を省略する。
【0075】
図8に示す建物10は、1階部分、2階部分、及び3階部分を含む多層構造の建物であり、さらにエレベータ50が設置されている。また、建物10には、アスベスト除去作業を行うために用いるアスベスト除去装置100とその付帯設備が設置されている。
【0076】
エレベータ50は、人や物を運搬するためのケージ(cage:乗りかご)51と、ケージ51が鉛直方向に昇降移動するためのガイドを行うエレベータシャフト52とを備える。エレベータシャフト52は、鉛直方向に長い長手空間を画成するものであり、長手空間の底部にピット(pit)53が形成されている。ピット53は、ケージ51を地上面1よりも低い位置に収納するためのものであり、図4に示した凹部12に相当する。建物10の各階は、ケージ51が停止する停止階となっており、エレベータホールとして機能する。
【0077】
アスベスト除去装置100は、エレベータシャフト52のケージ51側の壁面52aなどに付着しているアスベストを除去するために、図8に示す例では、エレベータシャフト52のピット53並びに建物10の1階部分及びその近傍に設置される。これにより、鉛直方向に長いエレベータシャフト52のアスベスト除去作業を部分的に行うことができる。
【0078】
アスベスト除去装置100の構成例について説明する。
アスベスト除去装置100は、アスベスト除去作業を行う作業場を区画するための水平区画部材110及び垂直区画部材120と、排気装置としての集塵機130と、集塵機130に排気口132bが接続されたダクト132と、作業場内部に空気を供給するための送風装置140と、ドライアイスブラスト法に用いるブラストマシン150とを備える。また、アスベスト除去装置100の付帯設備としては、図8に示すように、アスベストを作業場外部に漏出させないために1階部分に設置されたセキュリティゾーン210や、アスベスト除去作業を高所から行うために作業場内に設置された足場220がある。
【0079】
水平区画部材110は、気密性の高いシート状部材で構成され、エレベータシャフト52の1階部分と2階部分の境界において水平に設置されている。これにより、エレベータシャフト52内の空間は、水平区画部材110下方の空間(ピット53側の空間)と、上方の空間との2つに区画される。
【0080】
垂直区画部材120は、気密性の高いシート状部材で構成され、1階部分のエレベータホールにおいて垂直に設置されている。これにより、建物10の1階部分の空間は、エレベータシャフト52側の空間と、セキュリティゾーン210側の空間との2つの空間に区画される。なお、垂直区画部材120には、セキュリティゾーン210を出た作業員が作業場内に直接入ることができるように、開閉可能な扉(図示せず)が設けられている。
【0081】
集塵機130は、例えば、建物10の1階部分に設置される。集塵機130は、ダクト132内部に流入した作業場内部の空気を、図8の矢印A方向に排気する送風機と、排気される空気の除塵を行うためのHEPAフィルタ(high efficiency particle air filter)とを備える。したがって、集塵機130は、図1に示した送風機30の排気機能と、フィルタ31の空気清浄化機能とを有するものである。また、集塵機130は、セキュリティゾーン210の除塵も行う。
【0082】
ダクト132は、図5に示したダクト32”と同様に、4本の排気経路が確保できるように、4つの吸気口132aを有する(なお、図8の縦断面図には2つの吸気口132aが示されている。)。ダクト132の吸気口132aは、図4に示したダクト32と同様に、1階部分(地上階)から見て凹部をなすピット53の底面53aに接するように又は底面53aに近い高さに設置されている。これらにより、発生した二酸化炭素ガスがピット53に滞留する前に、ダクト132は、集塵機130の排気機能を利用して、吸気口132から矢印B方向に二酸化炭素ガスを取り込んで、排気口132bから、二酸化炭素ガスを効率的に排気することができる。
【0083】
送風装置140は、送風機141と、それに接続された配管142とから構成されている。送風機141は、例えば、建物10の2階部分に設置され、配管141を介して作業場内に、酸素を含む空気を矢印C方向に供給する。したがって、送風装置140は、図1に示した送風機40の気体供給機能を有するものである。
【0084】
ブラストマシン150は、粒状のドライアイスの吹き付け(blast)を行うための吹き付け装置であり、足場220に設置され、作業員によって操作される。なお、足場220は、アスベスト除去作業の進行にともなって撤去されるので、最終的には、ブラストマシン150は、ピット53の底面53aに設置される。
【0085】
図8に示すアスベスト除去装置100によれば、区画部材110,120を備えるので、エレベータシャフト52内及び建物10の1階部分の空間から、アスベスト除去作業を行うための作業場が密閉空間として確保される。これにより、作業場の養生(図7のステップS1)が実現される。
【0086】
また、ダクト132の4つの吸気口132aがエレベータシャフト52の底部にあるピット53に設置されているので、集塵機130は、作業場内の空間の下部(ピット53)に滞留しやすい二酸化炭素ガスを効率的に排気することができる。このため、壁面52aのアスベスト除去作業が十分に進行した結果、作業員がピット53に入り込んで作業を行う段階になっても、ピット53に二酸化炭素ガスが充満していることがない。したがって、アスベスト除去装置100を用いることにより、作業場内における作業員の安全を確実に確保することができる。
【0087】
さらに、送風装置140を用いて作業場内の空間に空気が供給されるので、作業場の換気が達成される。これにより、作業員は容易に酸素を確保することができる。このため、作業員の安全をさらに高めることができる。
【0088】
なお、上記実施例では、除去対象は、アスベストであるとしたが、アスベスト以外の有害物(例えば、ダイオキシン類や、放射性物質)であってもよい。また、除去対象は、有害物に限られることはなく、第1乃至第3の実施の形態において説明したように、埃などの付着物であってもよい。したがって、主な作業場は、上記実施例で説明したエレベータシャフト52に限られることはなく、任意の建物(構造物)とすることができる。主な作業場としては、ゴミ焼却施設の焼却炉、使用済み核燃料の保存施設、タワー式の立体駐車場などが挙げられる。
【0089】
なお、以下の事項も開示されている。
1.所定の空間内において、
粒状のドライアイスを吹き付けて被洗浄面に付着している付着物を当該被洗浄面から脱落させ、
前記空間内の空気を前記ドライアイスが昇華した結果発生した二酸化炭素と共に、前記空間の下部から当該空間外へ排出することを特徴とする付着物除去方法。
2.前記空間内の空気を前記空間外へ排出する際に、フィルタを用いることにより脱落した前記付着物を捕集することを特徴とする前記1に記載の付着物除去方法。
3.前記空間の下部と前記空間外とを連通する連通部材を設置し、当該連通部材を用いて前記空間内の空気を排出することを特徴とする前記1又は2に記載の付着物除去方法。
4.前記連通部材は、前記空間内において開口を有し、
前記開口は、前記空間の下部に形成された凹部又は前記空間の下部における隅部に設置されることを特徴とする前記3に記載の付着物除去方法。
5.前記連通部材は、前記空間内において複数の開口を有し、
各開口は、開口を遮蔽可能な遮蔽部材を備え、
複数の前記開口のうち、一部の前記遮蔽部材は、当該開口を開放し、残りの前記遮蔽部材は、当該開口を遮蔽することを特徴とする前記3又は4に記載の付着物除去方法。
6.前記空間内の空気を排出する際に、前記空間の上部から気体を供給することを特徴とする前記1乃至5のいずれかに記載の付着物除去方法。
7.前記空間内の空気を排出する際の単位時間当たりの排出量は、前記上部から供給される気体の単位時間当たりの供給量よりも大きいことを特徴とする前記6に記載の付着物除去方法。
8.前記1乃至7のいずれかに記載の付着物除去方法に用いられる付着物除去装置であって、
前記所定の空間を区画するための区画部材と、
前記空間内の空気を、前記ドライアイスが昇華した結果発生した二酸化炭素と共に、前記空間の下部から当該空間外へ排出するための、前記空間の下部と前記空間外とを連通する連通部材と、
を備えることを特徴とする付着物除去装置。
【符号の説明】
【0090】
1 地上面
10,10’,10” 建物
11 区画体
11a 区画内面
11b 開口
12 凹部
12a 底面
20 室内空間
30 送風機
31,34 フィルタ
32,32’,32”,132 ダクト
32a,132a 吸気口
32b,132b 排気口
33 扉ユニット
52 エレベータシャフト
100 アスベスト除去装置
130 集塵機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に凹部を有する建物内の作業空間において、
粒状のドライアイスを吹き付けて被洗浄面に付着している付着物を当該被洗浄面から脱落させ、
前記作業空間内の空気を、前記ドライアイスが昇華した結果発生した二酸化炭素と共に、前記凹部から当該作業空間外へ排出することを特徴とする付着物除去方法。
【請求項2】
請求項1に記載の付着物除去方法であって、
前記凹部に吸気口を有し、前記作業空間外に排気口を有するダクトを設置し、当該ダクトを用いて、前記作業空間内の空気を排出することを特徴とする付着物除去方法。
【請求項3】
請求項2に記載の付着物除去方法であって、
前記吸気口は、前記凹部に入って作業をする作業員の顔の高さより下方に設けられることを特徴とする付着物除去方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の付着物除去方法であって、
前記ダクトは、地上面に沿った部分と、前記凹部の鉛直方向の壁面に沿った部分とを備えていることを特徴とする付着物除去方法。
【請求項5】
請求項1に記載の付着物除去方法であって、
前記建物は、ケージと、当該ケージをガイドするエレベータシャフトを備えており、
前記建物には、前記ケージを地上面よりも低い位置に収容するための、前記凹部としてのピットが設けられていることを特徴とする付着物除去方法。
【請求項6】
請求項5に記載の付着物除去方法であって、
前記エレベータシャフト内の空間を、前記ピット側の下方空間と、上方空間とに区画する水平区画部材を設置することを特徴とする付着物除去方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の付着物除去方法であって、
前記建物の1階部分に、作業員が出入りするセキュリティゾーンを設置し、
前記建物内のエレベータホールに垂直区画部材を設置し、
前記垂直区画部材は、前記1階部分を、前記エレベータシャフト側の空間と、前記セキュリティゾーン側の空間とに区画することを特徴とする付着物除去方法。
【請求項8】
請求項7に記載の付着物除去方法であって、
前記垂直区画部材には、前記セキュリティゾーンを出た作業員が前記作業空間に直接入ることを可能とする開閉可能な扉を設けることを特徴とする付着物除去方法。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか1項に記載の付着物除去方法であって、
前記建物の1階部分に集塵機を設置し、
前記建物の1階部分に、作業員が出入りするセキュリティゾーンを設置し、
前記集塵機は、前記作業空間内の空気を排気するための送風機と、排気される空気を除塵するためのフィルタを備えるとともに、前記セキュリティゾーンの除塵も行うことを特徴とする付着物除去方法。
【請求項10】
請求項5乃至9のいずれか1項に記載の付着物除去方法であって、
前記ピット内に吸気口を有し、前記建物の1階部分に排気口を有するダクトを設置し、当該ダクトを用いて、前記作業空間内の空気を排出し、
前記ダクトは、前記1階部分の床面に沿った部分と、前記ピットの鉛直方向の壁面に沿った部分とを備えていることを特徴とする付着物除去方法。
【請求項11】
請求項5乃至10のいずれか1項に記載の付着物除去方法であって、
前記建物の2階部分に送風機を設置し、
当該送風機に接続された配管を介して、前記作業空間内に空気を供給することを特徴とする付着物除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−135766(P2012−135766A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98585(P2012−98585)
【出願日】平成24年4月24日(2012.4.24)
【分割の表示】特願2007−261970(P2007−261970)の分割
【原出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】