説明

仙腸関節固定システム

仙腸関節固定システムが開示されており、その仙腸関節固定システムにより、仙腸関節を固定する方法と、仙腸関節用インプラントとが提供され、その仙腸関節用インプラントは、仙腸関節の関節領域内に設置されると、仙腸関節の安定化および固定を促進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
このPCT国際出願は、2010年1月13日に出願された米国仮特許出願第61/335,947号の優先権の利益を主張しており、その仮特許出願は、引用により全体的に本明細書に合体させられる。
【0002】
概略的には、本発明は、仙腸関節固定(fixation fusion)システムに関し、その仙腸関節固定システムによれば、仙腸関節を固定する方法と、仙腸関節用インプラントとが提供され、その仙腸関節用インプラントは、仙腸関節の関節腔(articular space)内に設置されると、仙腸関節の安定化と固定とを促進する。
【背景技術】
【0003】
仙腸関節は、骨盤における仙骨と腸骨との間の関節であり、それら仙骨および腸骨は、靭帯によって接合される。人体においては、仙骨が背骨を支持する一方で、仙骨は、今度は、それぞれの側部において腸骨によって支持される。仙腸関節は、滑液で満たされた関節(synovial joint)であり、その関節は、関節軟骨(articular cartilage)と、非平坦な凹凸部とを有し、その凹凸部は、それら2つの骨(仙骨および腸骨)の連結(連動、かみ合い, interlocking)を実現する。
【0004】
仙腸関節に関連する痛みは、骨盤の外傷性骨折・脱臼、変形性関節炎(degenerative arthritis)、仙腸関節の炎症もしくは変形性疾患(degenerative condition)、硬化性腸骨炎(osteitis condensans ilii)、または仙腸関節の他の変形性疾患に起因する可能性がある。現在、仙腸関節の固定(fusion)が、それらの疾患について行われる手術的治療として最も一般的に奨励されている。仙腸関節の固定は、種々の従来の方法によって達成することが可能であり、それら従来の方法としては、経皮的スクリューまたは他の形式のインプラント固定具を用いるか否かを問わず、前方進入法(anterior approach)、後方進入法(posterior approach)および側方進入法(lateral approach)がある。しかし、それらの方法は、過去数10年にわたり、仙腸関節の固定に用いられてきたが、仙腸関節の固定に関する重大な問題は、未解決のままである。
【0005】
仙腸関節の固定のために行われる従来のある方法は、上述の前方進入法、後方進入法または側方進入法を有し、それら方法に関する重大な問題は、関係する仙腸関節に直接にアクセスするために、人体の皮膚および組織内に大きな切開部を形成しなければならないということである。このような侵襲法によれば、担当外科医が仙腸関節を直接的に観察してそれに接触することが可能である。それら手術法は一般に、「切開手術」と称されるが、それら手術法には、全身麻酔を必要とするという欠点が付随し、また、手術時間、入院期間、苦痛および回復期間の増加を伴い、それらは、前記切開手術によって軟組織が広範囲にわたって損傷することに起因する。前記前方進入法を用いる切開手術に対する危険性は、L5神経根に対する損傷か、または主要な血管に対する損傷であり、そのL5神経根は、約2cmの長さで、仙腸関節に関して体中心寄りの位置に横たわっている。さらに、それら手術法は、一般的に、仙腸関節の固定(仙腸関節の複数の関節面を互いに固定すること)を伴い、その固定は、少なくとも1つのスクリューを設置したり、仙骨と腸骨を横切る少なくとも1つの経仙腸(仙腸横断, trans-sacroiliac)インプラント(図1に、本発明の範囲を限定しない例として示されているように)を設置したり、または、インプラント(S1椎弓根−腸骨インプラント)を、S1椎弓根および腸骨内に挿入して設置したりすることによって行われる。経仙腸インプラントおよびS1椎弓根−腸骨インプラント(S1 pedicle-iliac bone implant)の使用は、さらに、腰仙骨神経血管要素(lumbosacral neurovascular elements)に対する損傷の危険性も伴う。腰仙骨神経血管要素に対する損傷は、上述の手術法の使用によって発生する仙腸関節の癒合遅延(delayed union)または癒合不全(偽関節、nonunion)と同様に、使用した複数のインプラントの全部または一部を除去するかまたは合併症に関する手術を再施行することを目的として人工関節再置換術(修正手術、再手術, revision surgery)を行うことが必要になるかもしれない。
【0006】
従来の手術法であって、低侵襲(minimally invasive)のために小さな切開穴を通して行う手術法を用いるものに関しては、さらなる重大な問題も存在し、その問題は、それら手術法は、仙腸関節の複数の関節面について2方向透視法(biplanar fluoroscopy)を行うことと、手術に関する広範囲な訓練および経験とを要求することが技術的に困難であるということであるかもしれない。手術に関する訓練および経験のレベルが高くても、腰仙骨神経血管要素に対する損傷の発生率が高い。さらに、仙骨奇形が最終的にはインプラントの装着不良(mal-placement)を生じさせ、その装着不良は、周囲の構造体の損傷を生じさせる。さらに、それら手術法は、一般に、仙腸関節の固定(fusion)を伴うことなく施行され、よって、変形性関節面が残存し、それにより、仙腸関節の変形性疾患を取り扱うことがなく、これは、仙腸関節の痛みの継続または再発を生じさせる可能性がある。
【0007】
従来の手術法に関するさらなる重大な問題は、仙骨と腸骨とを横切る複数の長手状の経仙腸インプラントを使用することであり、それらインプラントは、ねじ切り面(スレッド面、threaded surface)を有しない。この方法は、仙骨と腸骨とを横切る経仙腸ボア(仙腸横断ボア、trans-sacroiliac bores)を、骨盤(pelvis)内と、前仙骨孔(sacral foramen)近傍とに形成することを必要とし、その経仙腸ボアは、比較的大きい寸法を有する可能性があるとともに、その後、道具によってブローチ加工(穴内面加工、穴繰り)され、その結果、骨が、骨盤および前仙骨孔に衝突してしまう可能性がある。
【0008】
前記経仙腸ボアを形成するとともにその経仙腸ボアをブローチ加工するために、ガイド・ピンが必要であり、そのガイド・ピンは、不注意で骨盤内または前仙骨孔内に進入し、その結果、他の構造体を損傷してしまう可能性がある。さらに、前記経仙腸ボアを形成するかもしくはブローチ加工し、または前記長手状経仙腸インプラントを設置すると、前述のように、腰仙骨神経血管要素を損傷してしまう可能性がある。さらに、仙腸関節の関節部が実際に固定される(癒合する, fusion)ことがなく、その結果、痛みの継続または再発が発生して再手術が必要となってしまう可能性がある。
【0009】
従来の手術法に関するさらなる重大な問題は、人体後方から固定を行う関節外分散固定(posterior extra-articular distracting fusion)インプラントおよび骨移植体であって、例えばStark氏の米国特許出願第10/797,481号において記載されているものの設置が、関節面の切除と、皮質骨の準備・調製と、仙腸関節用インプラント構造体および仙腸関節の固定とに関して十分に適切でないということである可能性がある。この方法では、仙腸関節の関節面または皮質面の切除を十分な量で行うことができず、そのため、仙腸関節の苦痛を軽減できない可能性がある。その記載されているインプラント構造体は、仙腸関節の関節面または皮質面との係合であって適切な固定に必要であるものが不十分であるかまたはその係合自体を阻止する可能性がある。仙腸関節を、上述のStark氏の特許出願に記載されているインプラント構造体および方法を用いて十分に安定化して固定することができないと、治療対象である仙腸関節の症状を軽減することができない可能性がある。さらに、上述のStark氏の特許出願に記載されているようにして仙骨と腸骨とを互いに分離する方法では、仙腸関節の不整列(mal-alignment)が発生して苦痛が増すようになる可能性がある。
【0010】
本明細書に記載されている仙腸固定システムに関する発明は、仙腸関節を固定するために従来用いられた方法および装置に付随する問題を取り扱う。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明の概略的な目的は、仙腸関節を固定するために用いられる仙腸関節用インプラントに関する発明を提供することであり得る。その仙腸関節用インプラントについてのいくつかの実施態様は、長手状本体部を提供し、その長手状本体部は、少なくとも1つの半径方向部材、または、前記長手状本体部の長軸から半径方向外向きに所定距離延びる一対の部材を含み、それら半径方向部材または一対の部材は、当該長手状本体部が前記仙腸関節の複数の関節面の間にそれら関節面を横切らないように設置されることが達成されるように構成されており、また、特定のいくつかの実施態様は、第3半径方向部材および第4半径方向部材を提供し、それぞれの半径方向部材は、前記長手状本体部の長軸から半径方向外向きに所定距離延びて、仙骨または腸骨内に進入することが達成されるように構成されている。
【0012】
本発明のさらなる概略的な目的は、仙腸関節を固定する方法に関する発明であって、仙腸インプラントに関する発明を用いるものを提供することであり得る。本発明に係る方法は、人体後方から低侵襲手術(minimally invasive posterior surgery)を施行する工程を含み、その低侵襲後方手術は、仙腸関節の複数の関節面の間に位置する関節軟骨(articular cartilage)または組織のうちの十分な量を切除するために、仙腸関節の後部へのアクセスを可能とし、その切除された部分は、上述の仙腸インプラントについてのいくつかの実施態様によって置換することが可能である。仙腸関節の軟骨下骨(subchondral bone)の一部を除去し、それにより、仙腸関節の面上にインプラント収容空間を(仙骨および腸骨を横切らない非経仙腸状態で, non-trans-scaroiliac)提供することが可能であり、そのインプラント収容空間は、前記長手状本体部としまり嵌合(interference fitting)することが可能であるように構成されるか、または、そのインプラント収容空間の、互いに対向する表面の間に挟まれる少なくとも1つの半径方向部材を前記長手状本体部が有するように構成することが可能である。本発明に係る方法は、さらに、半径方向部材を収容する少なくとも1つのチャネルが、前記骨(軟骨下骨と、皮質骨と、海綿骨とのうちの少なくとも1つを含む)内に切り込まれた状態で、前記インプラント収容空間を提供し、それにより、少なくとも1つの半径方向部材を仙骨または腸骨内に位置決めする工程を含むことが可能である。本発明に係る方法によれば、仙骨および腸骨を横切るように固定具を設置することも、複数のS1椎弓根−腸骨内スクリュー(S1 pedicle and intrailiac screws)がロッドによって連結されたものを設置することもなく、仙腸関節を迅速に固定することが可能となる。
【0013】
本発明のさらなる概略的な目的は、少なくとも1つの骨成長促進用開口部を提供することであり得、その骨成長促進用開口部は、少なくとも1つの半径方向部材の、互いに対向する両側表面を互いに連通させるか、または、概して直線状を成す長手状本体部を通過する(横断する)とともに、ある形状を有し、その形状によれば、仙骨および腸骨が成長して当該インプラント内に進入するかまたは当該インプラントを通過することが可能となり、それにより、仙骨が腸骨に固定されることと仙腸関節が固定されることとが促進されることが可能となる。
【0014】
本発明のさらなる概略的な目的は、関節固定用インプラント(fixation fusion implant)に関する発明のいくつかの具体的な実施態様を提供することであり得、その関節固定用インプラントは、当該関節固定用インプラントの長さ方向に沿ったある大きさの曲がり(curvature)を有し、その曲がりによれば、当該関節固定用インプラントのうち、仙腸関節の関節領域内に完全にまたは実質的に留置される部分の表面積が増加することが可能となる。
【0015】
当然のことながら、本発明の他の目的が、この明細書中の他の箇所、図面、写真および特許請求の範囲の欄の全体を通じて開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、人体の骨盤領域を人体前方から見て示す前面図(anterior view)であるとともに、仙腸関節を安定化させる従来の方法およびデバイスを示す図である。
【0017】
【図2】図2は、本発明の具体的な一実施形態に従う仙腸関節用インプラントを示す斜視図である。
【0018】
【図3】図3は、本発明の具体的な一実施形態に従う仙腸関節用インプラントを示す第1の側面図である。
【0019】
【図4】図4は、本発明の具体的な一実施形態に従う仙腸関節用インプラントにおける第1インプラント端部を示す端面図である。
【0020】
【図5】図5は、本発明の具体的な一実施形態に従う仙腸関節用インプラントにおける第2インプラント端部を示す端面図である。
【0021】
【図6】図6は、本発明の具体的な一実施形態に従う仙腸関節用インプラントであって図3に示すものを、それの長軸回りに約90度回転した状態で示す第2の側面図である。
【0022】
【図7】図7は、本発明の具体的な別の実施形態に従う仙腸関節用インプラントを示す斜視図である。
【0023】
【図8】図8は、本発明の具体的な別の実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)を示す第1の側面図であり、その関節固定用インプラントは、当該関節固定用インプラントが前記骨に対して骨結合(オッセオインテグレーション)を行うことを促進する被覆材(coat material)を有する。
【0024】
【図9】図9は、本発明の具体的な実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)であって図8に示すものの、その図8における8−8断面線に沿った断面図である。
【0025】
【図10】図10は、本発明の具体的な一実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)であって、それの長軸に沿ったある大きさの曲がりを有するものを示す斜視図である。
【0026】
【図11】図11は、本発明の具体的な実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)であって図10に示すものを示す第1の側面図である。
【0027】
【図12】図12は、本発明の具体的な実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)であって図11に示すものにおける第1インプラント端部を示す端面図である。
【0028】
【図13】図13は、本発明の具体的な実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)であって図11に示すものにおける第2インプラント端部を示す端面図である。
【0029】
【図14】図14は、本発明の具体的な実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)であって図11に示すものを、それの長軸回りに約90度回転した状態で示す第2の側面図である。
【0030】
【図15】図15は、本発明の具体的な実施形態に従う仙腸関節用インプラントであって図10に示すものであって、複数の移植可能部品によって製作されたものを示す側面図である。
【0031】
【図16】図16は、仙腸関節を通過する平面での断面図であり、その断面図は、本発明の一実施形態に従う仙腸関節用インプラントを移植する方法を示しており、その方法は、仙腸関節の関節面内にニードルを挿入し、それにより、X線透視(fluoroscopic)下において仙腸関節を可視化するためにX線写真用染料を注入する工程を含んでいる。
【0032】
【図17】図17は、仙腸関節を通過する平面での断面図であり、その断面図は、本発明の一実施形態に従う仙腸関節用インプラントを移植する方法を示しており、その方法は、仙腸関節内において中空のニードルをガイド・ワイヤとして固定する工程を含んでいる。
【0033】
【図18】図18は、仙腸関節を通過する平面での断面図であり、その断面図は、本発明の一実施形態に従う仙腸関節用インプラントを移植する方法を示しており、その方法は、中空プローブの本体部を、仙腸関節内に固定された前記ニードルに沿って、仙腸関節の前部(anterior portion)上の固定位置まで前進させる工程を含んでいる。
【0034】
【図19】図19は、仙腸関節を通過する平面での断面図であり、その断面図は、本発明の一実施形態に従う仙腸関節用インプラントを移植する方法を示しており、その方法は、組織拡張器を、仙腸関節内に固定された前記中空プローブの前記本体部に沿って前進させ、それにより、仙骨および腸骨の表面に対してカニューレを設置し、それにより、仙腸関節を露出させる工程を含んでいる。
【0035】
【図20A】図20Aは、人体の骨盤領域を人体後方から見て示す後面図(posterior view)であり、この図は、前記カニューレが仙腸関節に対して相対運動しないように設置されることを示しており、前記カニューレ内に、カニューレ位置合わせジグが挿入されている。
【0036】
【図20B】図20Bは、図20Aに挿入状態で示されているカニューレ位置合わせジグを示す斜視図であり、そのカニューレ位置合わせジグは、十字線を有する。
【0037】
【図20C】図20Cは、図20Bに示されているカニューレを示す斜視図であり、そのカニューレ内に、位置合わせ用の十字線を有するカニューレ位置合わせジグが挿入される。
【0038】
【図21A】図21Aは、人体の骨盤領域を人体後方から見て示す後面図であり、この図は、前記カニューレが仙腸関節に対して相対運動しないように設置されることを示しており、前記カニューレ内に第1ドリル・ジグが存在する。
【0039】
【図21B】図21Bは、図21Aに示すカニューレを示す斜視図であり、そのカニューレ内に前記第1ドリル・ジグが存在する。
【0040】
【図22】図22は、仙腸関節を通過する平面での断面図であり、その断面図は、本発明の一実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)を移植する方法を示しており、その方法は、前記組織拡張器を第1ドリル・ジグに交換する工程を含み、その第1ドリル・ジグは、仙腸関節の関節面に実質的に沿って延びる第1ボア・ホールを形成するために中空ドリルを収容する。
【0041】
【図23】図23は、仙腸関節を通過する平面での断面図であり、その断面図は、本発明の一実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)を移植する方法を示しており、その方法は、前記第1ドリル・ジグを第2ドリル・ジグに交換する工程を含み、その第2ドリル・ジグは、仙腸関節の関節面に実質的に沿って延びる別のボア・ホールが、前記第1ボア・ホールに対して所定の相対位置関係を有するように形成されることを可能にする。
【0042】
【図24】図24は、仙腸関節を通過する平面での断面図であり、その断面図は、本発明の一実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)を移植する方法を示しており、その方法は、前記第2ドリル・ジグ(または、当該方法の内容によっては、前記第1ドリル・ジグが該当する)をブローチ・ジグに交換する工程を含み、そのブローチ・ジグは、インプラント収容空間を形成するために、前進して仙腸関節内に進入可能な中空のブローチを収容する。
【0043】
【図25】図25は、人体の骨盤領域を人体側方から見て示す側面図(lateral view)であり、この図は、本発明の一実施形態に従う仙腸関節用インプラントを示しており、この仙腸関節用インプラントは、仙腸関節の複数の尾部(caudal)関節表面(articular surfaces)(同図において破線で示す)の間に位置する。
【0044】
【図26A】図26Aは、仙腸関節を示す破断図であり、この図は、本発明の具体的な一実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)が、図16−図24に示す方法によって形成されたインプラント収容空間内に設置されることを示している。
【0045】
【図26B】図26Bは、図26Aのうちの一部を拡大して示す図であり、この図は、本発明の具体的な一実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)が、図16−図24に示す方法によって形成されたインプラント収容空間内に設置されることを示している。
【0046】
【図26C】図26Cは、図26Bにおける26C−26C断面線に沿った断面図であり、この断面図は、図16−図24に示す方法によって形成されたインプラント収容空間の形状と、そのインプラント収容空間内に移植される、本発明の具体的な一実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)とを示している。
【0047】
【図27】図27は、人体の骨盤領域を人体側方から見て示す図であり、この図は、本発明の一実施形態に従う仙腸関節用インプラントを示しており、この仙腸関節用インプラントは、仙腸関節の複数の頭部(cranial)関節表面(articular surfaces)(同図において破線で示す)の間に、仙腸関節の関節面(articular plane)から逸脱しないように位置している。
【0048】
【図28A】図28Aは、仙腸関節を示す破断図(cutaway view)であり、この図は、本発明の具体的な一実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)が、図16−図24に示す方法によって形成されたインプラント収容空間内に設置されることを示している。
【0049】
【図28B】図28Bは、図28Aのうちの一部を拡大して示す図であり、この図は、本発明の具体的な一実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)が、図16−図24に示す方法によって形成されたインプラント収容空間内に設置されることを示している。
【0050】
【図28C】図28Cは、図28Bにおける28C−28C断面線に沿った断面図であり、この断面図は、図16−図24に示す方法によって形成されたインプラント収容空間の形状と、そのインプラント収容空間内に移植される、本発明の具体的な一実施形態に従う関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)とを示している。
【0051】
【図29】図29は、人体の骨盤領域を人体側方から見て示す図であり、この図においては、本発明の一実施形態に従う仙腸関節用インプラントが、仙腸関節の頭部(cranial)関節表面(articular surfaces)と尾部(caudal)関節表面(articular surfaces)(同図において破線で示す)との間のうちの実質的な部分に、仙腸関節の関節外の所定限度まで延びるように位置している。
【0052】
【図30】図30は、人体の骨盤領域を人体側方から見て示す図であり、この図においては、本発明の一実施形態に従う仙腸関節用インプラントが、仙腸関節の複数の頭部(cranial)関節表面(articular surfaces)および尾部(caudal)関節表面(articular surfaces)(同図において破線で示す)の間に、仙腸関節の関節面(articular plane)から逸脱しないように位置している。
【0053】
【図31】図31は、仙腸関節を通過する平面での断面図であり、この断面図は、移植された仙腸関節用インプラントに装着可能な位置合わせツールを示しており、その位置合わせツールは、長手状部材を仙腸関節用インプラントを通過するように位置合わせする。
【0054】
【図32】図32は、仙腸関節を通過する平面での断面図であり、この断面図は、移植された仙腸関節用インプラントの第1インプラント端部に連結される連結要素を示している。
【0055】
【図33】図33は、人体の骨盤領域を人体後方から見て示す図であり、この図は、一対の連結要素に連結される架橋部材を示しており、それら一対の連結要素は、移植された一対の仙腸関節用インプラントの第1インプラント端部に連結されている。
【0056】
【図34】図34は、人体の骨盤領域を人体後方から見て示す図であり、この図は、一対の連結要素に連結される架橋部材を示しており、それら一対の連結要素は、移植された仙腸関節用インプラントに連結されるとともに、仙骨に直接的に係合させられている。
【発明を実施するための形態】
【0057】
概略的には、本発明は、仙腸関節固定(fixation fusion)システムに関し、その仙腸関節固定システムによれば、仙腸関節を固定する方法と、仙腸関節用インプラント(人工仙腸関節)とが提供され、その仙腸関節用インプラントは、仙腸関節の関節腔(articular space)内に設置されると、仙腸関節の安定化と固定とを促進する。
【0058】
まず、主に図1を参照するに、この図は、仙腸関節1を固定するために一般的に使用される1つの従来の方法およびデバイスを示している。図示されている従来のデバイスは、少なくとも1つの準直線的長手状部材2を有しており、その準直線的長手状部材2は、腸骨5を横切る複数の経腸骨ボア3であって準直線的長手状部材2に適合する寸法を有するものの内部に挿入され、それら経腸骨ボア3は、仙骨4内にまで延びる第1部分と、腸骨5内にまで延びる第2部分とを有しており、それにより、仙腸関節1を横切るように延びている。腸骨5を横切る姿勢で配置されている少なくとも1つの準直線的長手状部材2(複数本の円筒状ロッドとして構成され、その円筒状ロッドは、経腸骨ボア3の形成を不要とするために、ある大きさのテーパをさらに有するか、または、前記円筒状ロッドの外面に形成されたらせん状ねじをさらに有する)は、腸骨5を、仙骨4に対して相対変位しない関係を有するように位置決めする。しかしながら、このような準直線的長手状部材2を腸骨5を横切るように配置することは、前述の問題点を有する可能性がある。さらに、経腸骨ボア3および準直線的長手状部材2を配置する従来の手法は、後に詳述するが、仙腸関節1の、対を成す複数の関節面16(一般に、「複数の関節面」と称される)の境界によって画定される領域の外側において行われる。
【0059】
次に、主に 図2−図6を参照するに、本発明の一実施形態に従う仙腸関節用インプラント6が示されており、この仙腸関節用インプラント6は、それの一部として、長軸8を有する長手状本体部7を有している。その長手状本体部7は、仙骨4に対して腸骨5を外科的に配置および固定するときの通常の力が作用しても変形しないようにするために十分な寸法を有する形状を有する。したがって、図2−図6に示す実施形態に従う仙腸関節用インプラント6は、概して円筒状または円形状を成す断面を有するが、本発明はそのような態様に限定されず、長手状本体部7は、多様な形状の断面を有することが可能であり、それら断面形状は、本明細書において後述される方法と矛盾せず、また、長円、三角形、長方形、正方形、菱形または他の同様な形状である。本発明の範囲を限定しない例として、概して円筒状を成す長手状本体部7であって図2に示すものは、その用途に応じ、約0.5cmから約1cmまでの範囲内の直径と、約3cmから約6cmまでの範囲内の長さであって第1インプラント端部11と第2インプラント端部12との間にあるものを有することが可能である。
【0060】
本発明の特定のいくつかの実施形態に関し、長手状本体部7は、軸方向ボア9をさらに有することが可能であり、その軸方向ボア9は、長手状本体部7の第1インプラント端部11および第2インプラント端部12とを互いに連通させる軸方向通路10を定義する。軸方向ボア9により、後に詳述するように、軸方向通路10内にガイド・ピン13(図17参照)(または、他のガイド部材)を配置することが可能となり、そのガイド・ピン13を中心にして、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6を、仙腸関節1への挿入および配置を行うためにガイドすることが可能である。
【0061】
再び、主に図2−図6を参照するに、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6は、さらに、第1半径方向部材14を有することが可能であり、その第1半径方向部材14は、長手状本体部7の外面上に形成されるとともに、概して長軸8に沿って延びつつ、半径方向外向きに延びている。図示されているいくつかの特定の実施形態に従う仙腸関節用インプラント6に関し、第1半径方向部材14は、長手状本体部7の、実質的な全長にわたり、長軸8に沿って延びることが可能であるが、本発明はその態様に限定されず、本発明のいくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6は、第1半径方向部材14であって、仙腸関節用インプラント6の一部において、または、仙腸関節用インプラント6を構成する不連続な複数の部品において、長軸8すなわち長手状本体部7に沿って延びるものを有することが可能である。
【0062】
再び、図2−図6を参照するに、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6は、第2半径方向部材15をさらに有することが可能である。第1半径方向部材14および第2半径方向部材15のそれぞれは、長手状本体部7から半径方向外向きに延びるとともに、概して互いに対向する関係にあるが(長手状本体部7の長軸8の回りに約180度離れている)が、本発明はその態様に限定されず、第1半径方向部材14および第2半径方向部材15は、長手状本体部7の回りに、大小を問わず、ある角度で互いに離れることが可能である。第1半径方向部材14もしくは第2半径方向部材15(または双方)が有する形状は、仙腸関節1の複数の関節面16の間に、それら関節面16を横切らないように位置決めされるように構成することが可能であり、それにより、仙骨4および腸骨5が、実質的に相対変位しないか、完全に相対変位しないか、または固定された関係を有するように配置される。本明細書において使用されているように、「横切らないように(non-transversely)」という用語は、仙骨4および腸骨5の間にある関節(仙腸関節1)を横切るように置かれることも延びることも意味せず、特に、前述するとともに図1に示すように、仙腸関節用インプラント6を腸骨5を横切るように配置する動作を排除する。「複数の関節面(articular surfaces)」という用語は、仙骨4の表面と、腸骨5の表面との間に形成された、各々L字状を成して対を成す2つの表面を含み、それら関節面16は、図25、図27および図29において(破線で)例示のために示すように、頭部87と、尾部86とを有し、また、「複数の関節面(articular surfaces)」という用語は、本明細書において使用されているように、仙骨4または腸骨5のうち、複数の関節面16の外側に位置する構造も領域(例えば、対を成す腸骨粗面(iliac tuberosity)および仙骨か(sacral fossa))も排除する。
【0063】
第1半径方向部材14および第2半径方向部材15のそれぞれは、互いに対向する一対の側面(faces)17,18を有することが可能であり、それら側面17,18は、厚さ19aを隔てて配置されるとともに、上端縁20と、一対の側端縁21,22と、下端縁23とによって定義される領域を有する。一対の側端縁21,22のうちの一方である第1側端縁21は、上述のように、長手状本体部7に連結されるとともに、一対の側端縁21,22のうちの他方である第2側端縁22を、長手状本体部7の長軸8から外向きにある距離離れた位置に位置決めする。本発明の範囲を限定しない例として、第1半径方向部材14および第2半径方向部材15のそれぞれは、実質的に長方形の形状を有し、その形状は、第1側端縁21と第2側端縁22との間に高さ28aを、約0.2cmから約1cmまでの範囲内で有することが可能である。理解されるように、より小さい直径を有する長手状本体部7は、より高い高さ28aを有する第1半径方向部材14および第2半径方向部材15(または、他の半径方向部材)を有する一方、より大きい直径を有する長手状本体部7は、より低い高さ28aを有する第1半径方向部材14および第2半径方向部材15(または、他の半径方向部材)を有することが必要であるかもしれない。
【0064】
第1半径方向部材14および第2半径方向部材15のそれぞれの上端縁20は、それが終わる位置において、長手状本体部7の第1インプラント端部11に実質的に位置合わせされることが可能である。第1半径方向部材14および第2半径方向部材15のそれぞれの下端縁23は、それが終わる位置において、長手状本体部7の第2インプラント端部12に実質的に位置合わせされることが可能である。いくつかの実施形態に関し、下端縁23は、アングル要素24をさらに有し、そのアングル要素24は、長手状本体部7に対して外向きに傾斜し(angle)、そのアングル要素24は、第2インプラント端部12から第1インプラント端部11に向かってある距離だけ進んだ後に、第2側端縁22に合流している。そのアングル要素24は、図2に示すように、長軸8に対して直角である平面に対して、約15度から約30度までの範囲内にある、ラジアン表示ではなく度数表示の角度(degree angle)25を有することが可能であるが、本発明はその態様に限定されず、アングル要素24は、円弧状要素(radius element)、テーパ要素または他の要素とし、それにより、仙腸関節1への挿入作業を容易にすることが可能である。
【0065】
再び、主に図2−図6を参照するに、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6は、第3半径方向部材26をさらに有することが可能であり、その第3半径方向部材26は、長手状本体部7の長軸8に沿って延びるとともに、腸骨5の皮質骨の内部まで延びるように構成されている。特定のいくつかの実施形態は、第4半径方向部材27をさらに有することが可能であり、その第4半径方向部材27は、長手状本体部7の長軸8に沿って延びるとともに、仙骨4の皮質骨の内部まで延びるように構成されている。いくつかの実施形態に従う第3半径方向部材26および第4半径方向部材27は、仙骨4および腸骨5の内部までそれぞれ延びるように構成することが可能である。
【0066】
本発明の範囲を限定しない実施形態に従う仙腸関節用インプラント6であって図3に示すものに関し、第3半径方向部材26および第4半径方向部材27は、長手状本体部7の長軸8と概して一列に並ぶように(in line with)、互いに連結されている。第3半径方向部材26および第4半径方向部材27のそれぞれは、長手状本体部7から半径方向外向きに延びるとともに、概して互いに対向する関係にあり(約180度離れている)、さらに、第1半径方向部材14および第2半径方向部材15に対してほぼ直角である関係(約90度で)にあるが、本発明はその態様に限定されず、第3半径方向部材26および第4半径方向部材27(ただし、本実施形態が第4半径方向部材27を有する場合)は、長手状本体部7の回りに、互いに離れて位置するとともに、第1半径方向部材14および第2半径方向部材15から、大小を問わず、ある角度で互いに離れることが可能であり、その角度は、その用途と、仙骨4または腸骨5に係合する量の目標値とに応じて決まる。
【0067】
第3半径方向部材26または第4半径方向部材27のそれぞれの形状は、仙骨4および腸骨5に係合可能(接触可能、engagable)な表面積であって達成することが必要な大きさに応じて変更することが可能であり、その表面積は、仙腸関節用インプラント6が移植されると、仙骨4が腸骨5に対して相対変位が実質的に阻止されるか、完全に阻止されるか、または固定されるために十分な大きさを有し、または、第3半径方向部材26または第4半径方向部材27のそれぞれの形状は、仙腸関節1の複数の関節面16によって定義される領域(関節領域)内におけるインプラント設置位置において仙腸関節用インプラント6が回転等、予定外の他の動きをすることに対して付与することが必要である抵抗に応じて変更することが可能である。したがって、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6であって、第3半径方向部材26および第4半径方向部材27を有するものは、第1半径方向部材14および第2半径方向部材15について前述したのと同様な形状で、互いに対向する一対の側面(faces)17,18を提供することが可能であり、それら側面17,18は、厚さ19bを隔てて配置されるとともに、上端縁20と、一対の側端縁21,22と、下端縁23とによって定義される領域を有する。一対の側端縁21,22のうちの一方である第1側端縁21は、上述のように、長手状本体部7に連結されるとともに、一対の側端縁21,22のうちの他方である第2側端縁22を、長手状本体部7の長軸8から外向きにある距離離れた位置に位置決めする。本発明の範囲を限定しない例として、第3半径方向部材26および第4半径方向部材27のそれぞれは、実質的に長方形の形状を有し、その形状は、第1側端縁21と第2側端縁22との間に高さ28bを、約0.1cmから約0.4cmまでの範囲内で有することが可能である。第3半径方向部材26および第4半径方向部材27のそれぞれの上端縁20は、それが終わる位置において、長手状本体部7の第1インプラント端部11に実質的に位置合わせされることが可能である。第3半径方向部材26および第4半径方向部材27のそれぞれの下端縁23は、それが終わる位置において、長手状本体部7の第2インプラント端部12に実質的に位置合わせされることが可能である。いくつかの実施形態に関し、第3半径方向部材26および第4半径方向部材27の下端縁23は、アングル要素24をさらに有し、そのアングル要素24は、第2側端縁22を、長手状本体部7の第1インプラント端部11に向かって傾斜させる(angle)。そのアングル要素24は、長軸8に対して直角である平面に対して、約15度から約30度までの範囲内にある、ラジアン表示ではなく度数表示の角度(degree angle)25を有することが可能であるが、本発明はその態様に限定されず、本発明のいくつかの実施形態に関し、角度要素24を採用しないか、または、アングル要素24を約15度から約30度までの前記範囲より大きいかまたは小さい角度を有することが可能である。さらに、角度要素24は、図示されているものと同じものとしたり、その用途に応じ、仙腸関節用インプラント6の半径方向部材間に、図示されているものとは異なるものとすることが可能である。
【0068】
上記の説明に制限を加えることなく、再び、主に図2−図6を参照するに、第3半径方向部材26および第4半径方向部材27は、第1半径方向部材14および第2半径方向部材15より低い高さ28bを有することが可能である。第3半径方向部材26および第4半径方向部材27の構造は、第1半径方向部材14および第2半径方向部材15に似ているように見えるが、それぞれが果たすべき機能は実質的に異なる。第1半径方向部材14および第2半径方向部材15は、形状(前述のように、高さ、長さ、厚さ、表面積、および、長手状本体部7の外面に対する相対的な位置)を有し、その形状は、複数の関節面16の間にそれら関節面16を横切らないように(および、関節面16を横切ることなく)設置するか、または、後に詳述するように、複数の関節面16によって定義される領域内において、仙腸関節1の一部が切除されることにより、外科的に形成されたインプラント収容空間29内に設置する能力を有するとともに、それら関節面16間に設置されるか、または、インプラント収容空間29内に設定されると、仙腸関節1を実質的にもしくは完全に動かないようにする能力を有する。
【0069】
これに対して、第3半径方向部材26は、(および、第4半径方向部材27を有する前述のいくつかの実施形態に関し、)形状(前述のように、高さ、長さ、厚さ、表面積、および、長手状本体部7の外面上の位置)を有し、その形状は、仙腸関節用インプラント6が仙腸関節1の複数の関節面16間にそれら関節面16を横切らないように設置されると、仙骨4または腸骨5の皮質骨もしくは海綿骨の内部に強制的に深く入り込む能力、または、インプラント収容空間29の半径方向部材収容チャネル74内に設置される能力を有する。第3半径方向部材26および第4半径方向部材27の高さは、海綿骨を仙腸関節用インプラント6に骨結合することを可能にすることを目的として、移植された仙腸関節用インプラント6の回転に対して抵抗を付与するのに十分であるようにするか、または、第1半径方向部材14および第2半径方向部材15の場合と同様に、第3半径方向部材26もくしは第4半径方向部材27または双方に形成された開口部によって前記目的を達成するのに十分であるようにすることが可能である。ここで、主に図2を参照するに、各半径方向部材14,15,26,27であって、長手状本体部7から外向きに延びるものは、それの先端部において、半径方向部材クロス・ピース(cross piece)98を有することが可能であり、その半径方向部材クロス・ピース98は、対応する半径方向部材14,15,26,27の表面に対して実質的に直角である姿勢で配置される。
【0070】
再び、主に図2−図6を参照するに、特定のいくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6は、少なくとも1つの開口要素31をさらに有することが可能であり、その開口要素31は、第1半径方向部材14もしくは第2半径方向部材15または双方の、互いに対向する側面17,18を互いに連通させる。開口要素31の開口部の大きさは、開口周囲部32によって定義することが可能であり、その開口周囲32は、多様な形状を有することが可能であり、その形状は、ある寸法を有し、その寸法は、腸骨5もしくは仙骨4(または双方)の表面の部分であって、仙腸関節用インプラント6の、第1半径方向部材14もしくは第2半径方向部材15(または双方)に隣接するものが、ある長さで成長して開口要素31内に入るかもしくは開口要素31を通過し、または、開口要素31内において溶解しもしくは開口要素31内に配置された材料に溶け込むことを可能にするのに十分な寸法であり、その材料は、骨結合性(osseointegratable)、骨誘導性(osteoinductive)、骨伝導性(osteoconductive)もしくは骨形成性(osteogenic)を有する材料もしくは生理活性剤またはそれらの組合せもしくは順列を含むことが可能である。本発明の範囲を限定しない例として、開口周囲32は、概して長円を成す形状を有することが可能であり、その場合には、第1半径方向部材14もしくは第2半径方向部材15(または双方)に位置する(または、そのときの実施形態に応じ、さらなる半径方向部材に位置する)長円状開口要素31が得られ、ここに、その長円状開口要素31の長さ方向が、第1半径方向部材14もしくは第2半径方向部材15の長さ方向に一致させられ、その長円状開口要素31の長さが、該当する半径方向部材の全長の約4分の1から約3分の2までの範囲内にあり、その長円状開口要素31の幅が、第1半径方向部材14もしくは第2半径方向部材15の側端縁21,22の間に位置し、その長円状開口要素31の幅寸法が、高さ28aの約4分の1から約3分の2までの範囲内にある。さらに、長手状本体部7は、半径方向部材14,15,26,27の外面同士を互いに連通させる開口要素31をさらに有することが可能である。
【0071】
再び、主に図2−図7を参照するに、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6は、長手状本体部7の第1インプラント端部11に連結された移動阻止要素(離脱阻止要素)33をさらに有することが可能である。その移動阻止要素33は、長手状本体部7の第1インプラント端部11がそれの末端において拡大された拡大末端部という形態(図2−図6に示すように)や、長手状本体部7の第1インプラント端部11に近接する少なくとも1つの半径方向部材(例えば、図7に示すように、外向きのフレア状部)という形態をとることが可能である。本発明の範囲を限定しない例として、移動阻止要素33は、端部キャップ34という形態をとることが可能であり、その端部キャップ34は、概して円形を成す形状を有するとともに、それの中心が、長手状本体部7の長軸8と実質的に一致するとともに、仙腸関節用インプラント6がインプラント収容空間29内に設置された後、仙腸関節用インプラント6の第2インプラント端部12がさらに深く仙腸関節1内に前進してしまうことを防止するのに十分な程度で半径方向外向きに延び出ている。図示されている端部キャップ34は、概して円形を成す形状を有するが、その端部キャップ34は、端部キャップ周囲35を有することが可能であり、その端部キャップ周囲35は、長円、正方形、長方形または他の形状を定義し、それら形状は、仙腸関節用インプラント6の、仙腸関節1に対する相対的な位置を固定する際に有用である。さらに、移動阻止要素33は、少なくとも1つのボア36をさらに有するための寸法を有することが可能であり、そのボア36は、移動阻止要素33の、互いに対向する表面37,38同士を互いに連通させるとともに、機械的な締結具39(例えば、ねじ切りされた部材、突起を有する部材、ロック部材またはその他同様なもの)を収容するための寸法を有し、その締結具39は、動かされる(driven)かまたは回転させられる(rotated)と、機械的な締結具39の一部を仙骨4または腸骨5に係合させる。ここで、主に図2を参照するに、移動阻止要素33は、外面(対応する半径方向部材の表面)の一部または全体の上に位置する複数のテーパ要素(先細要素, tapered elements)という形態をとることも可能であり、それらテーパ要素は、前記表面から外向きにテーパ化し(先細りとなり)、それにより、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6の挿入は許可するが、後退は阻止する。ここで、主に図7を参照するに、移動阻止要素33は、仙腸関節用インプラント6のテーパ端末部(tapered terminal end)33/99という形態をとることが可能であり、そのテーパ端末部33/99は、仙腸関節用インプラント6の前進・後退(forward or backward travel)に対して抵抗を付与する。
【0072】
長手状本体部7は、前述の仙腸関節用インプラント6における他の要素と共に、本発明に適合する形状を実現するために、複数の部品から製造(fabricated)または成形(formed)したり、単一の部品として製造または成形することが可能であり、それら部品の材料は、生体適合性材料または生体適合性材料と生分解性材料との混合物であって、適切な寸法を有する複数の粒子、シートもしくは他の構成上の形態(剤型, form)を有するものとしたり、形成可能または成型可能な材料であって、適切な方法で結合される(bound)か、形成される(formed)かもしくは成型される(molded)ものとすることが可能である。
【0073】
次に、主に図8および図9を参照するに、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6は、さらに、被膜(coat)40を有し、その被膜40は、仙腸関節用インプラント6の外面の全部または一部に結合されるか、生成されるかまたは一体化されている。被膜40は、仙腸関節用インプラント6に結合可能であるいかなる種類の組成物によっても構成することが可能であり、そのような組成物は、腸骨5および仙骨4に対して生体適合性(biocompatible)を有し、かつ、骨結合(オッセオインテグレーション, osseointegration)を行うことが可能であり、そのような組成物は、例えば、高純度アルミナ、酸化チタン、ハイドロキシアパタイト、リン酸カルシウムまたはその他同様なものである。本発明の範囲を限定しない一実施形態として、被膜40は、プラズマ・トーチ、プラズマトロンまたはプラズマ・ガンを用いてプラズマ溶射によって塗布することが可能である。これに代えて、被膜40は、サンド・ブラスト法、ビード・ブラスト法、成型法またはその他同様な方法により、仙腸関節用インプラント6の表面粗さ(surface roughness)、表面有孔性(porosity)または表面凹凸度(irregularity)を生成することにより、達成することが可能である。被膜40は、約40μmから約100μmまでの範囲内の厚さを有することが可能である。反復して説明するに、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6は、全域にわたって複数の空孔が互いに連続している材料、例えば、Zimmer, P.O. Box 708, 1800 West Center Street, Warsaw, Indiana 46581-0708から入手可能なTRABECULAR METAL、または発砲金属であって、例えば、National Research Council Canada, 1200 Montreal Road, Bldg. M-58, Otawa, Ontario, Canada、または完全に処理された(fully-engineered)多孔質チタン構造体であって、例えば、Tecomet, 115 Eames Street, Washington, MA 01887から入手可能なTRABECULITEとして構成することが可能である。
【0074】
再度、主に図2および図3−図6を参照するに、本発明のいくつかの実施形態は、さらに、少なくとも1つの生理活性剤(biologically active agent)41を含み、その生理活性剤41は、仙腸関節用インプラント6の外面に直接的に塗布したり、生体適合性を有する材料、生体適合性および生分解性(biodegradable)を有する材料、または生体適合性および骨結合性を有する材料(それら材料は、符号100で総称されるが、仙腸関節用インプラント6の外面に塗布可能であるか、そうでなければ、仙腸関節用インプラント6の一部品を構成することが可能である)と混合することが可能である。関節固定用インプラント(仙腸関節用インプラント)6についての具体的ないくつかの実施形態に関し、生理活性剤41は、生体適合性および生分解性(biodegradable)を有する材料、または生体適合性および骨結合性を有する材料100の所定量と混合して、複数の開口要素31のうちの少なくとも1つの内部に配置することが可能である。
【0075】
生体適合性(biocompatible)という用語は、本発明の解釈上、種類の如何を問わず、材料が、被移植者(recipient)の一部または全身に及ぶ悪影響を引き起こすことなく、本発明の実施形態についての意図された機能を果たす能力を意味し、この種の材料は、生分解性を有しない材料または生分解性を有する材料(本明細書において説明されている)を含み、生分解性を有しない材料は、例えば、セラミック、金属もしくはスチール(例えば、チタン合金、剛質ポリマ材料、剛質積層材料、または金属またはスチールの、適度な大きさを有する複数の粒子が剛質積層材料内に分散されたものを有する組成物、もしくは、生体適合性を有する材料の複数の粒子であって、適切な大きさを有し、かつ、いくつかの形状を実現するために適切に結合されるかもしくは成形されたものを有する組成物)、ポリウレタン(polyurethanes)、ポリイソブチレン(polyisobutylene)、エチレン−アルファ−オレフィン・コポリマ(ethylene-alpha-olefin copolymers)、アクリル・ポリマおよびアクリル・コポリマ(acrylic polymers and copolymers)、ハロゲン化ビニル・ポリマおよびハロゲン化ビニル・コポリマ(vinyl halide polymers and copolymers)、ポリビニル・エステル(polyvinyl esters)ポリ塩化ビニル(polyvinylidene chloride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルケトン(polyvinyl ketones)、ポリスチレン(polystyrene)のようなポリビニル芳香族(polyvinyl aromatics)、エチレンメチルメタクリレート・コポリマ(ethylene-methyl methacrylate copolymers)のようなビニル・モノマおよびオレフィンのコポリマ(copolymers of vinyl monomers and olefins)、アクリロニトリルスチレン・コポリマ(acrylonitrile-styrene copolymers)、ABS樹脂(ABS resins)、エチレンビニルアセテート・コポリマ(ethylene-vinyl acetate copolymers), ナイロン66(Nylon 66)およびポリカプロラクトン(polycaprolactone)のようなポリアミド(polyamides)、アルキド樹脂(alkyd resins)、ポリカーボネイト(polycarbonates)、ポリオキシエチレン(polyoxyethylenes)、ポリイミド(polyimides)、ポリエステル(polyesters)、エポキシ樹脂(epoxy resins)、レーヨントリアセテート(rayon-triacetate)、セロハン(cellophane)、ポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone (PEEK))、ポリエーテルケトンケトン(polyetherketoneketone (PEKK))、the Istituto di Scienza e Tecnologia dei Mareriali Ceramici, Faenza, Italyから入手可能な木製人工骨(bone-from-wood)またはその他同様のものを含んでいる。
【0076】
生分解性(biodegradable)という用語は、本発明の解釈上、種類の如何を問わず、生体適合性を有する材料が、仙腸関節の生理的環境内において、少なくとも一つの物理的、化学的もしくは細胞的プロセスにより、ある速度で分解する能力を意味しており、その速度は、仙腸関節の症状の治療を、1種類のポリマもしくはポリマ混合物(ポリマ材料ともいう)の選択次第で調整可能な治癒効果レベル(therapeutic level)で行うことと両立する速度であり、前記ポリマ材料は、次のものを、非排他的に含み、それらは、ポリ乳酸ポリマ (polylactide polymers (PLA))と、乳酸とグリコール酸のコポリマ(copolymers of lactic and glycolic acids (PLGA))と、ポリ乳酸とポリエチレンオキシドのコポリマ(polylactic acid-polyethylene oxide copolymers)と、poly(e-caprolactone-co-L-lactic acid) (PCL-LA)というポリマと、glycine/PLA copolymersというコポリマと、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxides (PEO))を含有するPLA copolymersというコポリマと、アセチル化ポリビニルアルコール(acetylated polyvinyl alcohol (PVA))/ポリカプロラクトン(polycaprolactone)copolymersというコポリマと、ヒドロキシブチレート(hydroxybutyrate)-ヒドロキシバレラート(hydroxyvalerate)copolymersというコポリマと、ポリエステル(polyesters)(例えば、非排他的に、アスパラギン酸(aspartic acid)および数種類の脂肪族ジオール(different aliphatic diols)を含む)と、ポリ(アルキレン酒石酸エステル)(poly(alkylene tartrates))およびそれらの、ポリウレタン(polyurethanes)とのコポリマと、種々のエステルを内容物として含有するとともに、化学的にもしくは酵素的に分解可能な結合を含むポリグルタミン酸エステル(polyglutamates with various ester contents and with chemically or enzymatically degradable bonds)と、他の生分解性を有する非ププチド系ポリアミド(other biodegradable nonpeptidic polyamides)と、アミノ酸ポリマ(amino acid polymers)と、ポリ酸無水物製薬物担体(polyanhydride drug carriers)(例えば、非排他的に、ポリ(セバシン酸)(poly(sebacic acid) (PSA))、脂肪族−芳香族ホモポリマ(aliphatic-aromatic homopolymers)およびポリ(無水物−co−イミド)(poly(anhydride-co-imides))を含む)と、ポリ(ホスホエステル)(poly(phosphoesters) )であってマトリクスもしくはペンダント薬物送達システムによるもの(by matrix or pendant delivery systems)と、ポリ(ホスファゼン)(poly(phosphazenes))と、ポリ(イミノカーボネート)(poly(iminocarbonate))と、ポリオルトエステル架橋体(crosslinked poly(ortho ester))と、ヒドロキシル化ポリエステル−ウレタン(hydroxylated polyester-urethanes)と、その他同様なものとを含んでいる。
【0077】
生理活性剤(biologically active agents)という用語は、本発明の解釈上、種類の如何を問わず、この種の活性剤または複数の活性剤の混合物を意味し、それら活性剤が、本発明に従う関節固定用インプラント6を仙腸関節1内に設置した後に、骨、軟骨もしくは腱の形成もしくは治癒を助けるか、もしくは、仙腸関節1の疾患の症状を軽減し、抑制しもしくは阻止するのに効果的である治癒効果レベルを実現するように、それら活性剤の種類または量を変更することが可能であり、また、生理活性剤は、非排他的に、骨の成長に影響を及ぼす活性剤(agents that influence the growth of bone)と、脱灰骨基質(demineralized bone matrix)と、幹細胞(stem cells)と、同種移植片(alleografts)と、自家移植片(autografts)と、異種移植片(xenografts)と、天然物であるか合成物であるか遺伝子組換体であるかを問わず、骨成長を助ける骨成長蛋白質(bone forming protein whether naturally occurring, synthetic, or recombinate)と、成長因子(growth factors)と、サイトカイン(cytokines)と、骨成長蛋白質2(bone morphogenetic protein 2)と、骨成長蛋白質7(bone morphogenetic protein 7)と、鎮痛剤(analgesics)と、麻酔薬(anesthetics)と、消炎剤(antiinflammatory agents)と、抗菌剤(antibacterials)と、抗ウイルス薬(antivirals)と、 抗真菌薬(antifungals)と、抗原虫薬(antiprotozoals)と、抗感染薬(anti-infectives)と、抗生物質(antibiotics)とを含み、その抗生物質(antibiotics)は、例えば、ゲンタマイシン(gentamicin)、カナマイシン(kanamycin)、ネオマイシン(neomycin)およびバンコマイシン(vancomycin)のようなミノグリコシド(aminoglycosides)と、クロラムフェニコール(chloramphenicol)のようなアンフェニコール(amphenicols)と、セファゾリンHC1(cefazolin HC1)のようなセファロスポリン(cephalosporins)と、アンピシリン(ampicillin)、ペニシリン(penicillin)、カルベニシリン(carbenicillin)、オキシリン(oxycillin)およびメチシリン(methicillin)のようなペニシリン類(penicillins)と、リンコマイシン(lincomycin)のようなリンコサミド(lincosamides)と、ポリミキシン(polymixin)およびバシトラシン(bacitracin)のようなポリペプチド抗生物質(polypeptide antibiotics)と、テトラサイクリン(tetracycline)、ミノサイクリン(minocycline)およびドキシサイクリン(doxycycline)のようなテトラサイクリン類(tetracyclines)と、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、モキシフロキサシン(moxifloxacin)、ガチフロキサシン(gatifloxacin)およびレボフロキサシン(levofloxacin)のようなキノロン(quinolones)とを含み、前記生理活性剤は、非排他的に、アシクロビル(acyclovir)、ガンシクロビル(gancyclovir)、ビダラビン(vidarabine)、アジドチミジン(azidothymidine)、ジデオキシイノシン (dideoxyinosine)およびジデオキシシチジン(dideoxycytosine)のよう抗ウイルス薬(anti-viral drugs)と、コデイン(codeine)、ホルヒネ(morphine)、ケトロラック(ketorolac)およびナプロキセン(naproxen)のよう鎮痛剤(analgesics)と、リドカイン(lidocaine)およびカンナビノイドcannabinoidsのような麻酔薬(anesthetic)と、アムホテリシン(amphotericin)のよう抗真菌剤(antifungal agents)と、アネコルタブ酢酸エステル(anecortave acetate)のような血管新生阻害剤化合物(anti-angiogenesis compounds)と、タザロテン(tazarotene)のようなレチノイド(retinoids)と、ステロイド性消炎剤(steroidal anti-inflammatory agents)(例えば、21‐アセトキシプレグネノロン(21-acetoxypregnenolone)、アルクロメタゾンalclometasone)、アルゲストン(algestone)、アムシノニド(amcinonide)、ベクロメタゾン(beclomethasone)、ベタメタゾン(betamethasone)、ブデソニド(budesonide)、クロロプレドニゾン(chloroprednisone)、クロベタゾール(clobetasol)、クロベタゾン(clobetasone)、クロコルトロン(clocortolone)、クロプレドノール(cloprednol)、コルチコステロン(corticosterone)、コルチゾン(cortisone)、コルチバゾール(cortivazol)、デフラザコート(deflazacort)、デソニド(desonide)、デスオキシメタゾン(desoximetasone)、デキサメタゾン(dexamethasone)、ジフロラゾン(diflorasone)ジフルコルトロン(diflucortolone)、ジフルプレドナート(difluprednate)、エノキソロン(enoxolone)、フルアザコルト(fluazacort)、フククロロニド(flucloronide)、フルメタゾン(flumethasone)、フルニソリド(flunisolide)、フルオシノロンアセトニド(fluocinolone acetonide)、フルオシノニド(fluocinonide)、フルオコルチンブチル(fluocortin butyl)、フルオコルトロン(fluocortolone)、フルオロメトロン(fluorometholone)、フルペロロンアセタート(fluperolone acetate)、フルプレドニデンアセテート(fluprednidene acetate)、フルプレドニゾロン(fluprednisolone)、フルランドレノリド(flurandrenolide)、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)、ホルモコルタールハルシノニド(formocortal, halcinonide)、プロピオン酸ハロベタゾール(halobetasol propionate)、ハロメタゾン(halometasone)、酢酸ハロプレドン(halopredone acetate)、ハイドロコルタメート(hydrocortamate)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、エタボン酸ロテプレドノール(loteprednol etabonate)、マジプレドン(mazipredone)、メドリゾン(medrysone)、メプレドニゾン(meprednisone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、モメタゾンフランカルボン酸エステル(mometasone furoate)、パラメタゾン(paramethasone)、プレドニカルベート(prednicarbate)、プレドニゾロン(prednisolone)、プレドニゾロン25−ジエチルアミノアセタート(prednisolone 25-diethylamino-acetate)、リン酸プレドニゾロンナトリウム(prednisolone sodium phosphate)、プレドニゾン(prednisone)、プレドニバル(prednival)、プレドニリデン(prednylidene)、リメキソロン(rimexolone)、チキソコルトール(tixocortol)、トリアムシノロン(triamcinolone)、トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide)、トリアムシノロンベネトニド(triamcinolone benetonide)およびトリアムシノロンヘキシアセトニド(triamcinolone hexacetonide))と、例えはNuVasive, Inc., 7475 Lusk Blvd., San Diego, CA 92121 USAから入手可能なOSTEOCEL PLUS のような生きている間葉系幹細(viable mesenchymal stem cells)を含有する他家移植細胞マトリクス(allograft celluar matrix)と、上述の物質の誘導体とを含み、以上述べた複数の物質は、それぞれ個別に使用しても、混合して使用してもよい。
【0078】
本発明の具体的ないくつかの実施形態に従う関節固定用インプラント6については、生理活性剤41を、生物適合性材料または生体適合性・生分解性材料(または、複数の生物適合性材料の混合物もしくは複数の生体適合性・生分解性材料の混合物)の全体にわたって分散することが可能であり、その分散は、生理活性剤41を、溶融状態にある生体適合性ポリマまたは生分解性ポリマ内に混入し、ついで、その結果物を冷却によって固化することによって行われ、そのとき、その生理活性剤41は、全体的に実質的に一様に分散している。生分解性材料もしくは生体適合性材料またはそれらの混合物は、生理活性剤41の反応または分解が開始するときの温度より低い融点を有するように選択することが可能である。これに代えて、生理活性剤41を、生体適合性材料または生分解性材料の全体にわたり、溶媒流延法(solvent casting)によって分散させることが可能であり、その溶媒流延法においては、生体適合性材料または生分解性材料が溶媒内に溶解させられ、そして、生理活性剤41が、その溶媒中に溶解させられるかもしくは分散させられる。その溶媒は、その後、蒸発させられ、その結果、生理活性剤41が生体適合性材料または生分解性材料のマトリクス内に残留する。溶媒流延法は、生体適合性材料または生分解性材料が有機溶媒中に溶解可能であることを必要とする。これに代えて、関節固定用インプラント6を、ある濃度の生理活性剤41が溶解状態で存在する溶媒内に設置し、その溶媒内においては、関節固定用インプラント6、または生体適合性材料もしくは生分解性材料であって開口要素31内に配置されるかもしくは関節固定用インプラント6の外面に塗布されたものが膨張する(swell)。関節固定用インプラント6の全体的なまたは部分的な膨張により、ある量の生理活性剤41が吸収される(draw in)。前記溶媒は、その後、蒸発させられ、その結果、生理活性剤41が生物適合性材料または生体適合性・生分解性材料内に残留する。生理活性剤41を、生物適合性材料または生体適合性・生分解性材料であって関節固定用インプラント6の一部として存在するかまたは関節固定用インプラント6に結合されたものの全体にわたって分散させるそれぞれの方法に関しては、上述の方法のそれぞれに関し、治癒効果レベルを有する生理活性剤41を生体適合性・生分解性材料内に含有し、それにより、有効に治療を行い得るレベルの生理活性剤41を仙腸関節1に提供し、それにより、仙腸関節1の特定の疾患を治療することが可能である。
【0079】
種々の用途のために、活性剤ではない別の作用剤(agent)42を生体適合性・生分解性材料内に含有することが可能である。例えば、緩衝剤および保存剤を使用することが可能である。使用可能な保存剤は、非排他的に、亜硫酸水素ナトリウム(sodium bisulfite)、硫酸水素ナトリウム(sodium bisulfate)、チオ硫酸ナトリウム(sodium thiosulfate)、塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)、クロロブタノール(chlorobutanol)、チメロサール(thimerosal)、酢酸フェニル水銀(phenylmercuric acetate)、硝酸フェニル水銀(phenylmercuric nitrate)、メチルパラベン(methylparaben)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)およびフェニルエチルアルコール(phenylethyl alcohol)を含む。使用可能な緩衝剤の例は、非排他的に、炭酸ナトリウム(sodium carbonate)、ホウ砂(sodium borate)、リン酸ナトリウム(sodium phosphate)、酢酸ナトリウム(sodium acetate)、炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)および同様な他のものを含み、それらは、米国または外国における食品医薬品当局(FDA)または他の適切な当局により、意図される投与経路(route of administration)につき、承認される。塩化ナトリウム(sodium chloride)および塩化カリウム(potassium chloride)のような電解質(electrolytes)を、使用する組成物内に含有することも可能である。
【0080】
本発明の範囲を限定しない例示的ないくつかの実施形態に従う関節固定用インプラント6であって、仙腸関節1を治療するために、生体適合性および生分解性を有する部分を、生理活性剤41と一緒に有するものは、上述のようにして、生理活性剤41を、生体適合性・生分解性材料内において分散させることによって製作することが可能であり、そのおうにすれば、生理活性剤41の放出特性(溶解放出特性)が治癒効果レベルにおいて実現される。後述のようにして関節固定用インプラント6が仙腸関節1内に移植されると、その関節固定用インプラント6のうち生体適合性および生分解性を有する部分は、生理活性剤41を実質的に連続的に放出し、それにより、局在化するある量の骨成長蛋白質2(bone morphogenetic protein 2)であって、治癒効果レベルを有し、かつ、約1mgから4mgの範囲内にあるものが提供され、それにより、骨の再成長が促進される。理解すべきことは、関節固定用インプラント6についてのこの具体的な例であって、ある量の骨成長蛋白質2(bone morphogenetic protein 2)を放出し、それにより、骨の再成長を促進するものは、本発明の範囲を限定することを意図しておらず、また、関節固定用インプラント6についてのいくつかの実施形態は、種類が異なる複数の生理活性剤41を別々にまたは組み合せて放出するために利用することが可能であり、このようにすれば、いくつかの実施形態に従う関節固定用インプラント6が移植されると、仙腸関節1の広範囲な疾患を治癒することが可能となる。
【0081】
次に、主に図10−図15および図30を参照するに、本発明のいくつかの実施形態は、さらに、ある大きさの曲がり43を、関節固定用インプラント6の第1インプラント端部11と第2インプラント端部12との間に有している。その曲がり43の大きさは、関節固定用インプラント6の実施形態ごとに、用途に応じて、前述の、実質的に直線状を成す長手状本体部7から、ある大きさの曲がり43までの範囲内で変更することが可能であり、その曲がり43は、ある半径(曲率半径)を表し、その半径(曲率半径)は、関節固定用インプラント6を、仙腸関節1の複数の関節面16間に位置する頭部(cranial)内と尾部(caudal)内とに設置するか、またはインプラント収容空間29内に設置することを容易とする。本発明の範囲を限定しない一実施形態として、前記半径は、約2cmと約6cmとの範囲内にあるようにすることが可能である。
【0082】
次に、主に図15を参照するに、本発明のいくつかの実施形態であって、ある大きさの曲り(曲率半径)を有するものは、複数の部分インプラント101,102,103という形態で実現されており、それら部分インプラント101,102,103は、図25,図27または図29に示すように、後述の方法により、関節領域44内に互いに独立して移植することが可能である。
【0083】
さらに、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6は、骨成長スティミュレータ(骨成長刺激デバイス、bone growth stimulator)105を収容するように構成することが可能である。有用な骨成長スティミュレータ105は、バッテリのアノード電極と、仙腸関節用インプラント6の内部またはそれに近接した位置に移植された1本もしくは2本のチタン製のカソード・ワイヤとに直接的に係合させることが可能である。そのカソード・ワイヤは、ホスト骨(host bone)、骨移植片または当該デバイス(仙腸関節用インプラント6)のうちのいくつかの部分にある距離だけ挿入された状態で配置することが可能であり、その配置に際し、望ましくは、生きている骨に前記カソード(カソード・ワイヤ)の端部が接触および/または係留させられる。本発明のいくつかの実施形態は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)のような絶縁材料(insulation material)を有する金属製インプラントを含み、それにより、前記カソードと金属との接触を防止する一方で、前記カソードと骨との接触を許容するようにすることが可能である。前記バッテリは、着脱可能な設置を可能にするため、筋膜外皮下ポケット(extrafascial, subcutaneous pocket)内に設置することが可能である。適切な骨成長スティミュレータ(bone growth stimulator)105は、Biomet Trauma 100 Interpace Pkwy # 1, Parsippany, NJ 07054-1149 USAから入手可能である。
【0084】
理解されるように、本発明に係る複数の仙腸関節用インプラント6は、それぞれ単独で使用されるか組み合せて使用されるかを問わず、それら仙腸関節用インプラント6が同じ実施形態に従うものであるか互いに異なる複数の実施形態にそれぞれ従うものであるかを問わず、従来の移植方法または本発明に係る移植方法であって本明細書に記載されているとともに仙腸関節1の固定を行うものと共に利用することが可能である。一例として、複数の長手状本体部7を、それらの間での相対運動が完全に阻止されるか、実質的に阻止されるかまたは許容される相対位置関係を有するように連結し、それにより、一実施形態に従う1つの仙腸関節用インプラント6を実現することが可能である。
【0085】
次に、主に図16−図24を参照するに、本発明の範囲を限定しない方法が記載されており、その方法は、仙腸関節1の複数の関節面16間にある関節領域44にアクセスする工程と、仙腸関節用インプラント6を仙腸関節1の関節領域44内に存在する複数の関節面16の間に、複数の関節面16を横切らないように配置し、それにより、仙腸関節1の複数の関節面6に仙腸関節用インプラント6を係合させることにより、仙骨4および腸骨5を、両者間の相対運動が実質的に阻止された関係を有するように配置する工程とを有する。ここに記載されている方法の具体的な例は、当業者がいくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6を利用することを可能にするほどに十分であるとともに、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6を仙腸関節1内に移植することを目的として、複数の工程の実行順序に関して本発明の範囲を限定せず、また、それら工程のすべてもしくは一部、もしくは少なくとも1つの工程を一つの工程ずつの工程に合体させることに関して本発明の範囲を限定せず、また、いずれかの工程を複数の部分工程として実行するか、他の同様な、等価な、もしくは慣用される工程として実行することに関して本発明の範囲を限定しない。
【0086】
次に、主に図16を参照するに、一実施形態に従う方法は、患者を、鎮静状態で、半透明な手術テーブル(または他の適切な表面)上にうつぶせ姿勢で位置決めする工程を含むことが可能である。仙腸関節1は、局部的に麻酔され、それにより、放射線診断造影剤46(本発明の範囲を限定しない例として、Isoview 300 radiopraphic contrast)を、透視ガイド下に、仙腸関節1の下部(inferior aspect)内に注射し、それにより、仙腸関節1の関節面16の輪郭を描くことが可能である。放射線診断造影剤46を仙腸関節1内に注射することは、筒状部材47(例えば、シリンジ(注射器)のニードル)を用いることによって達成可能であり、その筒状部材47は、仙腸関節1の複数の関節面16の間を移動させ得る第1筒状部材端部48を有し、さらに、ハブ50に着脱可能に連結される第2筒状部材端部49を有する。そのハブ50は、シリンジ円筒部51(または、放射線診断造影剤46を収容して投与するための他のデバイス)に着脱可能に連結されるように構成することが可能である。シリンジ円筒部51を用いる例においては、シリンジ円筒部51が、内部空間(internal volume)を有することが可能であり、その内部空間は、放射線診断造影剤46であって仙腸関節1の横側の関節面16の輪郭を描くために十分な量を有するものを収容することが可能である。プランジャ52が、シリンジ円筒部51内にスライド可能に収容され、それにより、放射線診断造影剤46を筒状部材47を通過して仙腸関節1に投与することが可能である。筒状部材47は、約16ゲージと約20ゲージとの範囲内にあるゲージ(内径寸法、gauge)を有することが可能であり、また、筒状部材47は、さらに、それの外面上に印(目盛り)が一定増分ごとに形成されており(incrementally marked)、それにより、第1ニードル端部(第1筒状部材端部)48が仙腸関節1内に進入した深さを検出することが可能となる。第1ニードル端部48が仙腸関節1内に進入するにつれて、放射線診断染料(放射線診断造影剤)46を、シリンジ円筒部51の内部から仙腸関節1まで投与し、それにより、仙腸関節1の可視化と、筒状部材47の、仙腸関節1内における位置決めとが可能となる。
【0087】
次に、主に図17を参照するに、第1筒状部材端部48が仙腸関節1内に十分に深く進入するとともに、仙腸関節1の関節面16が十分に明瞭に可視化されると、ハブ50が、筒状部材47から抜去され、その際、筒状部材47は、仙腸関節1内に、固定状態で、後続して使用されるツール(仙腸関節用インプラント6を、仙腸関節1の複数の関節面16間に、それら関節面16を横切らないように位置決めしたり配置するために使用される)のために初期段階において作用するガイドとして留置するか、または、仙腸関節1のうち、複数の関節面16によって仕切られる関節領域44内に位置する部分を切除して、インプラント収容空間29を形成するために留置することが可能である。これに代えて、少なくとも1つのガイド・ピン13を、筒状部材47内の同じ通路に実質的に沿って挿入し、それにより、仙腸関節1内において固定状態で係合させ、その後、後続する工程においてガイドとして使用することが可能である。
【0088】
次に、主に図18を参照するに、小さな切開部が、患者の皮膚のうち、仙腸関節1の後部(または、特定の実施形態については、下部)に形成され、その切開部は、筒状部材47に対して近位方向と遠位方向に、仙腸関節1の線(line)に沿って延びており、それにより、仙腸関節1の複数の関節面16間に位置する関節空間(44)にアクセスするための通路が提供される。中空プローブ53が筒状部材47(またはガイド・ピン13)にスライド可能に係合し、この中空プローブ53は、仙腸関節1(仙腸関節1は、該当する図面に、例示を目的として、実質的に直線状であるものとして示されているが、理解すべきことは、仙腸関節1の、通常であれば凹凸を有する特徴部が省略されているということである。)から外向きに延びている。中空プローブ53は、プローブ本体部54を有し、そのプローブ本体部54は、概して円筒状を成すとともに、仙腸関節1内に進入している端部においてへら状先端部(spatulate tip)55を有している。着脱可能な中空プローブ用ハンドル56が、プローブ本体部54のうち、へら状先端部55とは反対側の端部に連結している。へら状先端部55は、筒状部材47(またはガイド・ワイヤ13)に沿って、仙腸関節1の後部内までガイドされるとともに、仙腸関節1の前部まで、側方からの透視によって可視化される状態で、前進させられることが可能である。中空プローブ用ハンドル56は、その後、抜去され、それにより、概して円筒状を成すプローブ本体部54が、仙腸関節1から外向きに、患者の皮膚に形成された切開部を通過して延びるものとなる。
【0089】
次に、主に図19を参照するに、前記切開部から仙腸関節1まで延びる通路を、カニューレ57を前記切開部内に挿入することによって形成することが可能である。軟組織拡張器(soft tissue dilator)58であって鈍端(非鋭利端部、blunt end)59を有するもの(または、複数の軟組織拡張器であってサイズが増加するもの)は、プローブ本体部54の外周に沿って、軟組織拡張器58の鈍端59およびそれに対応するカニューレ端部45が仙腸関節1の後部に接触するまで、前進させることが可能である。軟組織拡張器58は、カニューレ57の内部から抜去することが可能である。カニューレ57の外面は、周囲の組織に十分に係合(密着)し、それにより、前記周囲の組織がカニューレ57の中空内部空間内に位置することが阻止される。本発明の範囲を限定しない一実施形態に従うカニューレ57が、筒状本体部を提供し、その筒状本体部は、実質的に互いに平行に対向する複数の側壁を有し、それら側壁は、それの両端部において円弧状部(丸み、radius)(ひし形形状, lozenge shape)を有し、それら側壁の両端部内に、互いに異なる複数のジグを挿入することが可能である。
【0090】
次に、主に図20A−図20Cを参照するに、カニューレ位置合わせジグ60が、プローブ本体部54(またはガイド・ピン13)の外周に沿って前進させられるとともに、カニューレ57内に収容されることが可能である。実質的には、形状が互いに同一である複数の十字線63,64が、上側ジグ表面65および下側ジグ表面66に設置されることが可能である。それら十字線63,64を、X線透視下、仙腸関節1に位置合わせすることにより、カニューレ57の、仙腸関節1の複数の関節面16であって互いに対を成すものに対する相対的な向き(orientation)が適切であることを確認することが可能である。前記対を成す関節面16に対する向きが適切であるカニューレ57は、その後、締結具(固定具、fastener)をカニューレ57を通過して仙骨4または腸骨5内に挿入して設置することにより、仙腸関節1に対する相対運動が阻止された状態で配置されることが可能である。
【0091】
次に、主に図21Aおよび図21Bを参照するに、第1ドリル・ジグ67が、プローブ本体部54(またはガイド・ピン13)の外周に沿って前進させられるとともに、カニューレ57内に収容されることが可能である。プローブ本体部54(またはガイド・ピン13)であって仙腸関節1から外向きに延びているものは、第1ドリル・ジグ67のドリル・ガイド穴68を通過することが可能である(または、複数本のガイド・ピン13が、それらに対応する複数のガイド・ピン穴69を通過する)。ドリル・ガイド穴68は、該当する図面に示されている円形穴、スロット(長穴)または他の形態を採用し、それにより、ドリル・ジグ(カニューレ位置合わせジグ)60内におけるドリル・ビット(ドリル刃, drill bit)62(図22参照)の動きを規制するとともに、ドリル・ビット62を仙腸関節1に対して相対的にガイドするためのガイドを提供することが可能である。
【0092】
次に、主に図22を参照するに、中空ドリル・ビット(ドリル刃)70(62)が、プローブ本体部54の外周に沿って、かつ、第1ドリル・ジグ67の前記ドリル・ガイド穴68内において前進させられることが可能である。透視ガイド下に、中空ドリル・ビット70は、仙腸関節1の複数の関節面16間にある関節領域44内に前進させられ、それにより、第1ボア71(図22において破線で示す)を、所定の深さまで形成することが可能である。特定のいくつかの実施形態に従う方法については、仙腸関節1の複数の関節面16の間から、ある量の関節軟骨または他の組織を、その切除された関節軟骨または組織をいくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6に置換することにより、その仙腸関節用インプラント6を仙腸関節1内に移植することを可能にするのに十分な量で、切除することが可能である。本方法によれば、変形性の関節軟骨または組織であって仙腸関節1の複数の関節面16間に存在するものが切除されるため、仙腸関節1の複数の関節面16が、完全にもしくは実質的に損傷しない状態で存置され、それにより、仙腸関節用インプラント6が、仙腸関節1の複数の関節面16間に、それら関節面16を横切らない姿勢で配置されることが可能となる。理解されるように、複数の関節面16の間における関節軟骨または組織を除去するために、他の器具(instruments)を、単独でまたは中空ドリル・ビット62(70)と一緒に用いることが可能であり、そのような他の器具としては、例えば、チゼル(のみ、chisel)、バー(機械穴ぐり器、bur)、ホールソー(冠鋸、hole saw)、キュレット(さじ状の外科器具、curette)、レーザ(例えば、CO2レーザ、ネオジムYAGレーザ(Neodymium/YAG(yttrium-aluminum-garnet)、アルゴン・レーザ、およびルビー・レーザ)、電磁エネルギーを用いる電気外科用器具(切断電極(cutting electrode)は、微細なマイクロ・ニードル(micro-needle)、ランセット(lancet)、ナイフ、ワイヤもしくはバンド・ループ(band loop)、スネア(異物除去用カテーテル、snare)、電気メス(通電させられるスカルペル、energized scalpel)またはその他同様のものとすることができる)を含み、その電気外科用器具にあっては、その伝送エネルギーを、モノポーラとするかバイポーラとすることが可能であり、また、その伝送エネルギーは、高周波電流のもとに作動することが可能であり、その高周波電流は、例えば、約300kHzから約1000kHzまでの範囲内に存在する周波数を有し、その高周波電流は、完全正弦波電流波形としたり、振幅が変調された電流波形とすることが可能であり、完全正弦波電流波形にあっては、それの「波高率(クレスト・ファクタ、crest factor)」が、いずれの正弦波についても約1.4で一定であり、最大電圧が約300Vであって、「完全な」切断効果を、できる限り少ない凝固効果と共に得ることが可能であり、振幅が変調された電流波形にあっては、それの波高率が、1.5と8との間で変動し、その波高率が低いほど、凝固効果が少なくなる。電気手術用電流を、組織に対する2種類の効果、すなわち、凝固(細胞内温度が上昇すると、細胞が脱水して収縮する)と、切断(細胞水が急速に加熱されると、細胞が破裂する)を促進するように設定することが可能である。凝固する細胞数の、切断される細胞数に対する比率を変化させることが可能であり、その結果、凝固効果と切断効果とが「混合した(複合した、blended or mixed)」効果が得られる。さらに、全波整流された電流、部分的に整流された電流、または高周波治療用の電流であって、より多い量のラテラル・ヒート(lateral heat)が生成されるものを採用し、それにより、仙腸関節1の複数の関節面16を見つけ、プローブまたはガイド・ワイヤを複数の関節面16の間に挿入する作業を補助することが可能である。それら電流は、関節軟骨を破壊し(劣化させ、強度を低下させ、分解し、degrade)、関節軟骨の位置をはるかに超えて貫通してしまうことなく、(プローブまたはガイド・ワイヤを)仙腸関節1の内部に前進させることを可能にする。
【0093】
次に、主に図23を参照するに、本発明のいくつかの特定の実施形態に関し、第1ドリル・ジグ67が、カニューレ57内から抜去され、また、第2ドリル・ジグ72が、プローブ本体部54の外周に沿って前進させられるとともに、カニューレ57内に収容されることが可能である。しかし、本発明は、ドリル・ジグの数に関して限定されるものではなく、いくつかの特定の実施形態に従う方法に関し、第1ドリル・ジグ67は、必要なドリル・ガイド穴68(またはスロットもしくは他の形状を有するドリル・ガイド)のすべてを有し、また、別の実施形態に従う方法に関し、複数のドリル・ジグを直列に配列して用い、それにより、すべてのドリル・ガイド穴68を提供することが可能である。本発明の前記いくつかの特定の実施形態であって、該当する図面に示されているものに関し、第1ドリル・ジグ67が、さらなる少なくとも1つのドリル・ガイド穴68を提供し、そのドリル・ガイド穴68は、第1ボア71に対して相対的に、別の少なくとも1つの中空ドリル62をガイドし、その中空ドリル62は、互いに同じ形状または互いに異なる形状を有して、仙腸関節1内において挿入されるとともに、仙腸関節1内に進入させられ、それにより、第2ボア73(全体的に破線で、かつ、符号71/73として図示されている)または仙腸関節1内の複数のボアであって予め定められたパターンで互いに離れているものを提供し、それにより、十分な量の関節軟骨または他の組織を、仙腸関節1の関節領域44から切除し、それにより、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6を仙腸関節1の、互いに対を成す複数の関節面16により、それら関節面16の間において定義される関節領域44内に設置される。本発明の特定のいくつかの実施形態に関し、第1ドリル・ジグ67もしくは第2ドリル・ジグ72または複数のドリル・ジグを直列に配列して用い、それにより、仙腸関節1の一部を切除し、それにより、インプラント収容空間29を形成することが可能である。それら実施形態に従う方法のように、関節軟骨または他の組織および十分な量の軟骨下骨を、仙腸関節1の複数の関節面16の間から、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラン6を設置することが可能であるほどに大きな量で切除するとともに、少なくとも1つの、半径方向部材を収容する半径方向部材収容チャネル74を仙腸関節1のうちの少なくとも1つの関節面16内に、他のいくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6を収容可能であるほどに大きな量で切り込むことが可能である。その少なくも1つの半径方向部材収容チャネル74は、仙骨4または腸骨5の、軟骨下骨、皮質骨もしくは海綿骨内にある深さで切り込むことが可能である。
【0094】
次に、主に図24を参照するに、後続する工程において、直列配列を示す複数のドリル・ジグ67,72のうちの最後のものが、カニューレ57内から抜去され、また、ブローチ・ドリル75が、プローブ本体部54の外周に沿って前進させられてカニューレ57内に位置することが可能である。ブローチ・ジグ75が、ブローチ・ガイド穴76を有することが可能であり、そのブローチ・ガイド穴76は、プローブ・本体部54の外周に沿って前進させられる中空ブローチ78の第1ブローチ端部77を収容する。その第1ブローチ端部77は、仙腸関節1内に前進させられることが可能な形状を有することが可能である。いくつかの実施形態に従う方法に関し、第1ブローチ端部77は、仙腸関節1の関節領域44内にある複数の関節面16の間からある量の関節軟骨または他の組織を切除することが可能であり、その切除によれば、仙腸関節用インプラント6を仙腸関節1の複数の関節面16の間にそれら関節面16を横切らない姿勢で設置することが可能であり、その仙腸関節用インプラント6は、長手状本体部7を有するか、長手状本体部7と第1半径方向部材14を有するか、または、第1および第2半径方向部材14,15を備えた長手状本体部7を有する。本方法の他の実施形態に関し、中空ブローチ78は、仙腸関節1のうちの大きな部分を切除し、それにより、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6を収容するインプラント収容空間29を形成することが可能であり、その仙腸関節用インプラント6は、長手状本体部7を有するか、長手状本体部7と少なくとも1つの半径方向部材14であって複数の関節面16間にそれら関節面16を横切らないように設置可能であるように構成されたもの、もしくは、少なくとも1つの半径方向部材26であって仙骨4または腸骨5内に延びるように構成されたものとを有する。本発明の範囲を限定しない例として、図24は、ブローチ78を示しており、そのブローチ78は、仙腸関節1の一部を切除し、それにより、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6を収容するインプラント収容空間29を形成することが可能であり、その仙腸関節用インプラント6は、長手状本体部7を有し、その長手状本体部7の位置まで、第1半径方向部材14および第2半径方向部材15が、長手状本体部7の長軸8に沿って、かつ、実質的に互いに対向する相対位置関係を有して延びており、それら第1および第2半径方向部材14,15は、仙腸関節1の複数の関節面16間に位置するように構成されており、前記仙腸関節用インプラント6は、さらに、第3半径方向部材26および第4半径方向部材27を有し、それら第3半径方向部材26および第4半径方向部材27は、長手状本体部7の長軸に沿って、かつ、実質的に互いに対向する相対位置関係を有して延びており、それら第3および第4半径方向部材26,27は、それぞれ、仙骨4および腸骨5の内部まで延びるように構成されている。
【0095】
次に、主に図25,図26A,図26Bおよび図26Cを参照するに、インプラント収容空間29および仙腸関節用インプラント6は、寸法に関する相対関係(相対位置)を有するように構成することが可能であり、その相対関係(相対位置)は、仙腸関節用インプラント6をインプラント収容空間29内に設置すると、仙骨4および腸骨5を、両者間の相対運動(相対変位)が実質的に阻止された相対位置を有するように位置決めするとともに、仙骨4および腸骨5の相対位置が正常時の相対位置から変化することを実質的に阻止するか、または、仙骨4および腸骨5を一緒に移動させるか、もしくは、仙骨4を腸骨5から正常の相対位置の完全なもしくは実質的な外側に向かって離間させることを阻止するように、設定される。仙腸関節用インプラント6およびインプラント収容空間29の形状・構成を選択する際の意図は、仙骨4を腸骨5に対して相対的に固定し、その一方で、仙腸関節1を完全にまたは実質的に正常な相対位置に維持するか、または、仙腸関節1を実質的に正常な相対位置に復元し、それにより、仙腸関節1の変形性疾患を治癒することにある。
【0096】
本発明の範囲を限定しない例として、インプラント収容空間29の形状・構成により、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6が、仙腸関節1の複数の関節面16の尾部の間に、それら関節面16を横切らないように位置決めされることが可能である。特定のいくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6は、長手状本体部7を提供するのみである可能性があり、その長手状本体部7は、それに適合するように構成されたインプラント収容空間29内に位置し、それにより、腸骨5の少なくとも一部に係合し(本発明の範囲がそのように限定されるわけではないが)、また、長手状本体部7は、さらに、少なくとも、第1半径方向部材14、または第1および第2半径方向部材14,15を有することが可能であり、ここに、第1半径方向部材14の少なくとも一部は、仙骨4および腸骨5の骨部73に係合する。それら実施形態に従う仙腸関節用インプラント6であって、第3半径方向部材26および第4半径方向部材27を有するものに関し、インプラント収容空間29は、さらに、少なくとも1つの半径方向部材収容チャネル74を有し、その半径方向部材収容チャネル74は、第3および第4半径方向部材26,27が、仙骨4または腸骨5の骨部(軟骨下骨であるか、皮質骨であるか、海綿骨であるか、その他同様なものであるかを問わない)内部まで延びることを可能にするか、または、仙腸関節用インプラント6の、半径方向部材収容チャネル74を有しないインプラント収容空間29内への衝撃により、第3および第4半径方向部材26,27が仙骨4および腸骨5内に強制的に進入させられることが可能である。機械的な締結具39(例えば、ねじ山が切られている部材)を、前記移動阻止要素33内の前記いくつかのボア36を貫通して、仙骨4および腸骨5内に挿入し、それにより、関節固定用インプラント6をインプラント収容空間29内に固定的に位置決めすることが可能となる。
【0097】
次に、主に図27、図28A,図28Bおよび図28Cを参照するに、本発明の範囲を限定しない別の例として、インプラント収容空間29のいくつかの形状により、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント6が、仙腸関節1の複数の関節面16の頭部(cranial portion)87の間に、それら関節面16を横切らないように設置されることが可能であり、その設置は、前記切開部と、仙腸関節1の上関節部(superior articular portion)に至る通路の形成とに関して前述したのと同様な手順または工程により、行われる。
【0098】
次に、主に図29および図30を参照するに、インプラント収容空間29のいくつかの形状により、いくつかの実施形態に従う仙腸関節用インプラント9が、仙腸関節1の複数の関節面16の頭部(cranial portion)87と尾部(caudal portion)86との間に、それら関節面16を横切らないように設置されることが可能であり、その設置は、前記切開部と、仙腸関節1の下関節部(inferior articular portion)に至る通路の形成とに関して前述したのと同様な手順または工程により、行われる。
【0099】
次に、主に図31を参照するに、図31は、一実施形態に従う仙腸関節用インプラント6を示しており、その仙腸関節用インプラント6は、前記軸方向ボア9の一部を有し、その部分は、位置合わせツール79の一部に固定的に嵌り合うように構成されている。位置合わせツール79は、固定的であるかまたは調整可能に固定的である形状を有しており、その形状は、中空の位置合わせガイド80を、仙腸関節用インプラント6を通過する複数本のボア36のうちのいずれかに対して位置合わせする。挿入ツール81を、中空の位置合わせガイド80に、スライド可能に係合させることが可能である。長手状部材85を、第1挿入ツール端部(挿入ツール81の先端部)82に着脱可能かつ固定的に装着することが可能であり、その第1挿入ツール端部82は、仙腸関節用インプラント6内のボア36に最も接近している。第2挿入ツール端部(挿入ツール81の後端部)83が、中空の位置合わせツール80内を強制的に前進させられ、それにより、長手状部材85がボア36を通過する(横切る、横断する、through)ことが可能であり、それにより、長手状部材85が複数の関節面16を横切るように配置され、それに対応して、長手状部材85が仙腸関節用インプラント6に係合させられる。本発明の範囲を限定しない例として、長手状部材85は、それの外面に形成されたらせん状のねじ部84を有することが可能であり、そのねじ部84は、仙腸関節用インプラント6の外面に連結され、また、挿入ツール81の第2挿入ツール端部83を回転操作することにより、長手状部材85を、前記複数の関節面16を横切る姿勢で、仙腸関節用インプラント6のボア36を横切るように、引っ張ることが可能であり、それに対応して、長手状部材85が仙腸関節用インプラント6に係合させられる。長手状部材85をさらに操作することにより、仙腸関節1の複数の関節面16を仙腸関節用インプラント6の外面に向かって引っ張る(引き寄せる、draw against)ことが可能である。
【0100】
次に、主に図32を参照するに、本発明のいくつかの実施形態は、さらに、仙腸関節用インプラント6の第1インプラント端部11に連結された1つの連結要素(coupling element)87を有する。本発明の範囲を限定しない例として、連結要素87は、締結部(連結部、固定部、fastener portion)88の、(仙腸関節用インプラント6の第1インプラント端部11との)ねじ結合により、仙腸関節用インプラント6の第1インプラント端部11に対して相対変位しないように配置することが可能である。しかし、本発明はそのような態様に限定されず、締結部(連結部)88を、溶接、スピン溶接、接着またはその他同様なもののようないかなる方法によっても、仙腸関節用インプラント6の第1インプラント端部11に連結することが可能である。連結要素87は、さらに、連結部(coupling portion)89を有することが可能であり、その連結部89は、架橋部材90(図33参照)の断面幾何学(断面形状)であって多様なものに適合するように構成されている。本発明の範囲を限定しない例として、連結部89は、締結部88にピボット可能に連結された筒状カップ91として構成することが可能である。らせん状のねじを筒状カップ91の内面に形成し、それにより、らせん状のねじを有するらせん状ねじ付き本体部92を回転可能に収容する。筒状カップ91の側壁93は、1つの貫通要素(pass through element)94を有することが可能であり、その貫通要素94内に、架橋部材90の一部が収容される。架橋部材90のうち、貫通要素94内に収容される部分は、らせん状ねじ付き本体部92が回転させられて係合することにより、筒状カップ91に対して相対変位しないように配置することが可能である。
【0101】
次に、主に図33を参照するに、本発明の範囲を限定しない別の例として、対を成す仙腸関節1の各々は、一実施形態に従う複数の仙腸関節用インプラント6を収容することが可能であり、各仙腸関節用インプラント6は、上述のように、第1インプラント端部11に連結された連結要素87を有する。各連結要素87は、架橋部材90の両端部95の各々を収容することが可能である。さらに、複数の仙腸関節用インプラント6に対して相対変位しない1つの架橋部材90は、別の複数の架橋部材96に連結することが可能であり、それら別の架橋部材96は、本発明の範囲を限定しない例として、脊柱97に対して一定の相対位置関係を有するように配置し、それにより、複数の脊椎(vertebrae)間に係留させられる別の複数のインプラントを支持することが可能である。
【0102】
次に、主に図34を参照するに、本発明の範囲を限定しない別の例として、第1の連結要素(2つの連結要素の一方)87を、上述のように、一実施形態に従う1つの仙腸関節用インプラント6の第1インプラント端部11に連結し、一方、第2の連結要素(他方の連結要素)87の締結部88を、仙骨4もしくは腸骨5または両方の内部に直接挿入される状態で配置することが可能である。平板として構成された1つの架橋部材90の両端部94が開口部96を有し、その開口部96を連結要素(第2の連結要素)87の締結部88が貫通する。(それぞれの連結要素87の)連結部89の外面と、架橋部材90とのそれぞれのうち、互いに対応する部分同士を、架橋部材90の位置を固定するために互いに係合させ、それにより、腰椎(lumbar spine)を、複数の固定具によって安定化させられた骨盤(pelvis)に連結して、安定性をさらに増すことが可能である。
【0103】
本方法は、さらに、術中神経生理モニタリング法を採用し、それにより、神経系、特に抹消神経に及ぼす患者の遺伝子内損傷のリスクを軽減するか、または、機能に関するガイダンスを外科医に提供することが可能である。
【0104】
実施例 1.
【0105】
本発明の一実施形態に従う仙腸関節用インプラントであって、図3−図6に実質的に示されているとともに上述の文章によって実質的に説明されている形状を有するものが、側方からのX線透視によって補助されつつ直視される状況で、患者に挿入された。今回の手術は、実際の整復術において評価を行うことを目的として、本発明に係る仙腸関節用インプラントが、図25に実質的に示すように、仙腸関節の複数の関節面の下部の間または尾部の間に安全に移植される能力を試験し、それにより、前記仙腸関節用インプラントを、実質的に上述されているように構成されているインプラント収容空間内に移植すると、仙腸関節が固定されることを確認した。仙腸関節の下部(または尾部)内に上述のようにして移植された仙腸関節用インプラントにより、仙腸関節が迅速に固定されることが証明された。
【0106】
前述の説明から容易に理解されるように、本発明の基本的な概念は、種々の態様、方式によって具体化することが可能である。本発明は、仙腸関節固定システムに関する多様な実施形態を有しており、その仙腸関節固定システムは、仙腸関節用インプラントと、その仙腸関節用インプラントを移植する方法とを有し、それらは、仙腸関節を固定する方法を実施する最良の形態を有する。
【0107】
したがって、本発明の特定のいくつかの実施形態またはいくつかの要素であって本明細書に文章によって記載されているかまたは本明細書に添付されている図面もしくは表に示されているものは、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ、多様な実施形態であって本発明に概念的に包含されるもの、または、それら実施形態の任意の特定の要素に関して包含されるいくつかの均等物の例示である。一方、本発明の唯一の実施形態または唯一の要素についての具体的な説明が、可能なすべての実施形態またはすべての要素についての明示的な説明であってはならず、多くの代替手段が、本明細書の文章および図面によって暗示的に開示されている。
【0108】
理解すべきことは、ある装置の各要素(部品)またはある方法の各工程が、装置を表現するための用語または方法を表現するための用語によって説明されているかもしれないということである。そのような用語は、本発明の、暗示的に広い権利範囲を明示的なものにすることが必要である場合に、別のものに置き換えることが可能である。あくまでも一例であるが、理解すべきことは、ある方法のすべての工程が、動作(行為, action)、その動作を行うための手段として、または、その動作を生じさせる要素(部品)として開示されている可能性があるということである。同様に、ある装置の各要素(部品)が、物理的な要素またはその物理的な要素が促進する動作として開示されている可能性がある。あくまでも一例であるが、明示的に説明されているか否かを問わず、「移植体(an implant)」についての開示は、「移植する(implanting)」という動作についての開示を包含すると理解すべきであり、また、逆に、「移植する」という動作についての開示が有効に存在する場合に、そのような開示は、「移植体」についての開示を包含し、さらに、「ある部材を移植する手段」についての開示すら包含すると理解すべきである。各要素または工程についての、そのような置換可能な用語は、本明細書中に明示的に包含されていると理解すべきである。
【0109】
さらに、使用されている各用語に関し、理解すべきことは、本明細書におけるそのような用語の使用がこの種の解釈と矛盾しない限り、一般的な辞書での定義が、各用語につき、Ramdom House Webster's Unagridged Dictionary, second editionに掲載されているように、本明細書に含まれていると理解すべきであり、各定義は、引用により、本明細書に合体させられる。
【0110】
本発明の解釈上、数値範囲は、本明細書中、「約」を先行詞として用いる特定の数値から、「約」を先行詞として用いる別の特定の数値までの範囲として表現される可能性がある。この種の数値範囲が表現される場合、前記特定の数値から前記別の特定の数値までの範囲は、別の実施形態を構成する。同様に、特定の数値が、「約」を先行詞として用いることにより、近似値として表現される場合、その特定の数値は、別の実施形態を構成することが理解される。さらに理解することは、各数値範囲の上限値および下限値のそれぞれは、他方との関係において重要であるとともに、他方から独立して見ても重要であるということである。さらに、「約」という用語は、任意の数値に関し、10%を超えない範囲で前記数値から逸脱することを意味する。
【0111】
さらに、本発明の解釈上、「数詞」を有しない対象物は、その対象物が1つであることまたは複数であることを意味し、例えば、「部材」または「長手状部材」という用語は、1つもしくは複数の部材または少なくとも1つの部材を意味する。したがって、数詞を有しないこと、「1つまたは複数」という数詞、および、「少なくとも1つ」という数詞は、本明細書においては、相互に置換可能に使用されている。
【0112】
したがって、読者が理解すべきことは、本願出願人は、特許請求の範囲の欄に、少なくとも、i)本明細書に開示および記載されている仙腸関節用インプラントと、ii)それに関連する方法であって本明細書に開示および記載されているものと、iii)それら装置および方法のそれぞれについての複数の変形例であって、同様な複数の変形例、および均等な複数の変形例を含み、暗示的な複数の変形例すら含むもの、iv)それらにとっての別のいくつかの実施形態であって、図示されているかまたは本明細書に開示もしくは説明されている各機能を実現するもの、v)それらにとっての別の設計構造または方法であって、図示されているが、本明細書に開示および説明されているものを達成するためには暗示的である各機能を実現するもの、vi)別の発明として図示されている各特徴、部品および工程、vii)本明細書に開示されている種々のシステムまたは部品によって強化されるいくつかの用途(用法)、viii)それらシステムまたは部品によって生成される結果物、ix)実質的にこれまでに文章によって説明され、かつ、それに付随するいくつかの例を参照する方法および装置、ならびにx)本明細書に開示されている上述のいくつかの要素の各々についての種々の組合せおよび順列を記載したということである。
【0113】
本明細書中、背景技術の欄は、本発明の技術分野を記述している。この欄は、特定の米国特許、米国特許出願、刊行物、または、本発明の主題であって、本発明が関連する技術の水準についての情報、問題点または懸念事項を説明する際に有用であるものを組み込んでいるかまたはパラフレーズを含んでいる。意図していないことは、本明細書において引用されたかまたは組み込まれた米国特許、米国特許出願、刊行物、説明書または他の情報は、本発明に関する先行技術であると自認していると解釈することである。
【0114】
本明細書にいくつかの請求項が記載されている場合には、それら請求項の記載は、発明の詳細な説明の欄の一部として、引用によって本明細書に合体させられ、また、本願出願人は、そのような請求項についてそのようにして組み込まれた内容のすべてまたは一部を、それら請求項の一部もしくは全体、任意の要素またはその要素についての任意の部分を裏付けるための別の、発明の詳細な説明として使用する権利を明示的に留保し、また、本願出願人は、さらに、そのような請求項についてそのようにして組み込まれた内容の一部もしくは全体を、任意の要素またはその要素についての任意の部分を、発明の詳細な説明の欄から特許請求の範囲の欄に移動させるとともに、その逆向きに移動させる権利をも明示的に留保し、その移動の目的は、本出願が特許権による保護を求めるか、またはそれに後続する任意の出願もしくはそれら出願についての継続出願、分割出願もしくは一部継続出願が特許権による保護を求める主題を定義したり、任意の国の特許に関する法令または条約に準拠する手数料の減額の利益を享受することにあり、また、引用によって組み込まれたそのような内容は、本願出願(それに後続する任意の継続出願、分割出願もしくは一部継続出願、再発行出願またはそれらに関する延長登録出願)の係属期間の全体にわたり、有効である。
【0115】
本明細書にいくつかの請求項が記載されている場合には、それら請求項の記載は、本発明についての、限られた数の望ましいいくつかの実施形態の思想的範囲を記載していることを意図しており、また、それら請求項は、本発明のうち、最も広い実施形態として解釈すべきでも、本発明のいくつかの実施形態であって、特許請求の範囲に記載されるかもしれないものの完全なリストであると解釈すべきでもない。本願出願人は、上述の発明の詳細な説明を根拠に、別の請求項を、任意の継続出願、分割出願、一部継続出願または同様な出願の一部として展開する権利を一切放棄しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の仙骨と腸骨との間に位置する仙腸関節のために前記人体に移植される仙腸関節用インプラントであって、
長手状本体部を含み、
その長手状本体部は、その長手状本体部の第1端部と第2端部との間に位置する長さを有し、
その長手状本体部は、前記仙腸関節の複数の関節面の間に、それら関節面を横切らないように位置するように構成され、それにより、前記仙骨および前記腸骨を、両者間の相対運動が実質的に阻止された関係を有するように配置する仙腸関節用インプラント。
【請求項2】
さらに、第1半径方向部材を含み、その第1半径方向部材は、前記長手状本体部の長軸に沿って延びるとともに、前記仙腸関節の前記複数の関節面の間に、それら関節面を横切らないように位置するように構成されている請求項1に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項3】
さらに、第2半径方向部材を含み、その第2半径方向部材は、前記長手状本体部の長軸に沿って延びるとともに、前記第1半径方向部材とは概して反対側に配置され、かつ、前記仙腸関節の前記複数の関節面の間に、それら関節面を横切らないように位置するように構成されている請求項2に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項4】
当該仙腸関節用インプラントは、形状を有し、その形状のうちの実質的な全部は、前記仙腸関節の前記複数の関節面に、それら関節面を横切らないように係合し、それにより、前記仙骨および前記腸骨を、両者間の相対運動が実質的に阻止された関係を有するように配置する請求項1に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項5】
当該仙腸関節用インプラントは、形状を有し、その形状は、前記仙腸関節のうち、切除された被切除部分を置換し、その被切除部分は、前記複数の関節面によって仕切られる領域内に位置する請求項1に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項6】
当該仙腸関節用インプラントは、形状を有し、その形状は、インプラント収容空間内に収容可能であり、そのインプラント収容空間は、前記仙腸関節に切り込まれるとともに、当該仙腸関節用インプラントを、前記仙腸関節の前記複数の関節面の間であって、それら関節面によって仕切られる領域内に位置決めする請求項1に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項7】
前記インプラント収容空間内に位置する当該仙腸関節用インプラントは、形状を有し、その形状は、前記仙腸と前記腸骨との相対位置関係が実質的に変化することを実質的に阻止する請求項6に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項8】
前記インプラント収容空間内に位置する当該仙腸関節用インプラントは、形状を有し、その形状は、前記仙腸および前記腸骨同士の離間を実質的に阻止する請求項6に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項9】
前記インプラント収容空間内に位置する当該仙腸関節用インプラントは、形状を有し、その形状は、前記仙腸と前記腸骨との相対位置関係を正常な相対位置関係に復元し、それにより、前記仙腸関節の変形性疾患を是正する請求項6に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項10】
さらに、第2半径方向部材を含み、その第2半径方向部材は、前記長手状本体部の長軸に沿って延びるとともに、前記第1半径方向部材とは概して反対側に配置され、かつ、前記仙腸関節の前記複数の関節面の間に、それら関節面を横切らないように位置するように構成されている請求項2に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項11】
さらに、第3半径方向部材を含み、その第3半径方向部材は、前記長手状本体部の長軸に沿って延びるとともに、前記腸骨の内部まで延びるように構成されている請求項2に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項12】
さらに、第4半径方向部材を含み、その第4半径方向部材は、前記長手状本体部の長軸に沿って延びるとともに、前記仙骨の内部まで延びるように構成されている請求項2に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項13】
前記長手状本体部は、形状を有し、その形状は、前記仙骨および前記腸骨を、両者が実質的に相対運動しない関係を有するように配置する際の自身の変形を防止するのに十分な寸法を有する請求項1に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項14】
前記長手状本体部は、形状を有し、その形状は、前記第1端部と前記第2端部との間に位置し、
前記長手状本体部は、前記仙骨および前記腸骨を、それら仙骨および腸骨の前記複数の関節面によって仕切られる領域内においてのみ、互いに係合させるように構成されている請求項1に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項15】
前記長手状本体部は、断面形状を有し、その断面形状は、円形、長円形、三角形、正方形および長方形から成るグループから選択される請求項14に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項16】
前記長手状本体部は、概して円筒状を成す外面を有する請求項15に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項17】
前記第1半径方向部材および前記第2半径方向部材の各々は、互いに対向する両側面を有し、それら両側面は、実質的に互いに平行に、厚さ分だけ互いに離れており、
前記第1半径方向部材および前記第2半径方向部材の各々は、前記仙骨および前記腸骨を、前記複数の関節面によって仕切られる領域内においてのみ、互いに係合させるように構成されており、それにより、前記仙骨および前記腸骨を、両者間の相対運動が実質的に阻止された関係を有するように配置する請求項10に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項18】
さらに、軸方向ボアを含み、その軸方向ボアは、前記長手状本体部の前記第1端部と前記第2端部とを互いに連通させる請求項1に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項19】
さらに、少なくとも1つの開口要素を含み、その開口要素は、前記第1端部または前記第2端部の、互いに対向する両側面を互いに連通させるか、または、前記長手状本体部を横切るように貫通する請求項17に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項20】
さらに、被膜を含み、その被膜は、当該仙腸関節用インプラントの外面のうちの少なくとも一部に結合されるとともに、前記仙骨または前記腸骨に対して、生体適合性を有する骨結合(オッセオインテグレーション)を行うことが可能である請求項1に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項21】
さらに、少なくとも1つの生理活性剤を含み、その生理活性剤は、生体適合性と、生分解性または骨結合性とを有する材料と混合され、その混合物は、少なくとも1つの開口要素内に位置するとともに、骨成長を促進する請求項20に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項22】
さらに、少なくとも1つの通路を含み、その通路は、前記長手状本体部を通過するとともに、その通路内を長手状部材が前記複数の関節面を横切るように通過することを可能にする寸法を有する請求項1に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項23】
当該仙腸関節用インプラントの前記第2端部は、インプラント挿入具に適合する形状を有する請求項22に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項24】
人体の仙骨と腸骨との間に位置する仙腸関節を固定する(内固定する、fixate)ために仙腸関節用インプラントを前記人体に移植する方法でって、
a)前記仙腸関節の複数の関節面間にある関節面間空間にアクセスする工程と、
b)前記仙腸関節用インプラントを前記仙腸関節の前記複数の関節面の間に配置する工程と、
c)前記仙腸関節の前記複数の関節面に前記仙腸関節用インプラントを係合させることにより、前記仙骨および前記腸骨を、両者間の相対運動が実質的に阻止された関係を有するように配置する工程と
を含む仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項25】
さらに、インプラント収容空間を前記仙腸関節の前記複数の関節面の間に形成するインプラント収容空間形成工程を含む請求項24に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項26】
前記インプラント収容空間形成工程は、さらに、前記仙腸関節のうち、前記複数の関節面によって仕切られる領域内に位置する部分を切除する部分的切除工程を含む請求項25に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項27】
さらに、前記仙腸関節のうちの前記部分であって、前記複数の関節面によって仕切られる領域内に位置するものを、前記仙腸関節用インプラントによって置換する工程を含む請求項26に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項28】
前記部分的切除工程は、前記仙腸関節の一部であって、ある量の関節軟骨と、前記仙骨または前記腸骨のうちのある量の皮質骨と、前記仙骨または前記腸骨のうちのある量の海綿骨と、それらのうちの組合せとから成るグループから選択されるものを切除する工程を含む請求項27に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項29】
さらに、半径方向部材を収容する半径方向部材収容チャネルを、前記仙腸関節の前記複数の関節面のうちの少なくとも1つに切り込む切込み工程を含む請求項28に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項30】
さらに、半径方向部材を収容する半径方向部材収容チャネルを、前記仙腸関節の前記複数の関節面のそれぞれに切り込む切込み工程を含む請求項28に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項31】
さらに、前記仙腸関節用インプラントのうちの実質的な全部を前記インプラント収容空間内に挿入する工程を含む請求項25に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項32】
さらに、前記仙腸関節用インプラントを前記仙腸関節の前記複数の関節面の間にそれら関節面を横切らないように設置することにより、前記仙腸と前記腸骨との相対位置関係が変化することを実質的に阻止する工程を含む請求項31に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項33】
さらに、相対運動が実質的に阻止された関係を有するように配置された前記仙骨および前記腸骨間の相対位置を、前記仙腸関節用インプラントを前記仙腸関節の前記複数の関節面の間にそれら関節面を横切らないように設置する前と同じ相対位置に実質的に維持する工程を含む請求項31に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項34】
さらに、前記仙腸関節の前記複数の関節面同士を離間させることなく、前記仙腸関節用インプラントを前記仙腸関節の前記複数の関節面の間にそれら関節面を横切らないように位置決めする工程を含む請求項31に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項35】
さらに、前記複数の関節面を前記仙腸関節用インプラントに押し付ける工程を含む請求項31に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項36】
さらに、長手状部材を、前記仙腸関節用インプラントと係合する状態で、前記複数の関節面を横切るように配置する工程を含む請求項35に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項37】
さらに、前記長手状部材の作用により、前記複数の関節面を前記仙腸関節用インプラントに向かって引っ張る工程を含む請求項36に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項38】
さらに、
前記仙腸関節用インプラントを通過するボアを提供する工程と、
長手状部材を、前記仙腸関節用インプラントに係合する状態で、前記複数の関節面を横切るように配置するために、前記長手状部材を前記ボア内の通路を通過させる工程と
を含む請求項24に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項39】
さらに、前記仙腸関節用インプラントを、前記仙腸関節の前記複数の関節面の間に、それら関節面を横切らないように配置することにより、前記仙骨および前記腸骨を、両者間の相対運動が阻止された関係を即座に有するように配置する工程を含む請求項24に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項40】
さらに、前記仙腸関節の前記複数の関節面の間に位置する前記関節面間空間にアクセスする通路を形成する工程を含む請求項24に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項41】
さらに、前記仙腸関節用インプラントを前記通路内を通過させ、それにより、前記仙腸関節用インプラントを、前記仙腸関節の前記複数の関節面の間に、それら関節面を横切らないように配置する工程を含む請求項40に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項42】
さらに、少なくとも1つのガイド・ピンを前記通路内を前進させ、それにより、前記仙腸関節用インプラントを、前記仙腸関節の前記複数の関節面の間に位置決めする工程を含む請求項41に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項43】
さらに、中空ドリルを、前記少なくとも1つのガイド・ピンの周りをスライド状態で作動させ、それにより、前記仙腸関節の前記複数の関節面の間から所定量の組織を切除する工程を含む請求項42に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項44】
さらに、ブローチを、前記少なくとも1つのガイド・ピンの周りをスライド状態で作動させ、それにより、前記仙腸関節の前記複数の関節面の間から所定量の組織を切除する工程を含む請求項43に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項45】
さらに、前記ブローチの外面の形状を、インプラント収容空間の所定形状を形成するように設定する工程を含む請求項44に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項46】
さらに、カニューレを前記通路内に挿入し、それにより、そのカニューレの一端部を前記仙腸関節の後部に隣接する位置に位置決めする工程を含み、前記少なくとも1つのガイド・ピンは、前記カニューレ内を通過している請求項45に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項47】
さらに、前記カニューレを、前記仙腸関節に対する相対位置関係が変化しないように配置する工程を含む請求項46に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項48】
さらに、前記カニューレの内面の形状を、複数のジグの外面にスライド可能に係合するように設定する工程を含む請求項47に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項49】
さらに、
少なくとも1つのジグ・ガイドを有するドリル・ジグを前記カニューレ内に挿入する工程と、
前記ドリルを、前記ジグ・ガイド内において作動させ、それにより、前記仙腸関節の前記複数の関節面の間から所定量の組織を切除する工程と
を含む請求項48に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項50】
さらに、前記ドリル・ガイドの形状を、請求項1,2,11または12に記載の仙腸関節用インプラントを収容するようにインプラント収容空間を形成するように設定する工程を含む請求項49に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項51】
さらに、
ブローチ・ガイドを有するブローチ・ジグを前記カニューレ内に挿入する工程と、
前記ブローチを、前記ブローチ・ガイド内において作動させ、それにより、前記仙腸関節の前記複数の関節面の間から所定量の組織を切除する工程と
を含む請求項49に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項52】
さらに、前記ブローチ・ガイドの形状を、請求項1,2,11または12に記載の仙腸関節用インプラントを収容するようにインプラント収容空間を形成するように設定する工程を含む請求項22に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。
【請求項53】
当該仙腸関節用インプラントについてのいずれかの実施形態および/または添付図面を参照して本明細書に記載されているものと実質的に同じ請求項1に記載の仙腸関節用インプラント。
【請求項54】
当該仙腸関節用インプラント移植方法についてのいずれかの実施形態および/または添付図面を参照して本明細書に記載されているものと実質的に同じ請求項22に記載の仙腸関節用インプラント移植方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公表番号】特表2013−517052(P2013−517052A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548960(P2012−548960)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2011/000070
【国際公開番号】WO2011/087912
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(512180713)ジェーシービーディー,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】