説明

代用乳溶解装置

【課題】簡易な構造で湯気の排気と添加剤の投入が良好に行えて、攪拌タンクに代用乳を湿気させることなく供給し得ると共に添加剤を確実に投入したり、攪拌タンクの代用乳供給部の清掃性を向上させ得る代用乳溶解装置を提供する。
【解決手段】所定量の水を貯留してヒータにより湯沸かしする湯沸かしタンクと、粉状の代用乳を貯留する代用乳ホッパーと、該代用乳ホッパーに接続された代用乳供給部を有し、該代用乳供給部から供給される代用乳と湯沸かしタンクから供給される湯とを攪拌溶解させる攪拌タンクと、を備えた代用乳溶解装置であって、代用乳供給部に攪拌タンク方向に送風するファンを配置すると共に、攪拌タンクの上面部に湯気の排気口と添加剤の投入口を兼用する開口部を設け、該開口部に多孔板の蓋を配置する。また、前記代用乳供給部は、その出口が着脱可能な外筒と内筒の二重構造で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子牛等を人工哺育する際に各子牛等に与えるミルクを作製するための代用乳溶解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、子牛哺育用のミルクを作製する装置としては、例えば特許文献1に開示されている。この装置(自動哺乳機)は、粉乳(代用乳)を貯留する粉乳槽と、攪拌羽根を有して代用乳と水を攪拌してミルクを作製する乳槽(攪拌タンク)と、該攪拌タンクに給乳導管で接続されると共に先端に哺乳口が設けられた哺乳管が接続された哺乳槽等を備え、子牛乗台に子牛が乗った際にこれを検知して、哺乳口から哺乳槽内の所定量のミルクを子牛に与えるようにしたものである。
【特許文献1】実公昭48−10788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような装置にあっては、攪拌タンクの例えば蓋に、湯気を外部に排気する排気口や薬剤及び栄養剤等の添加剤を投入する投入口を設けているものの、投入口や排気口の大きさが小さくなり易いため、攪拌タンク内の湯気の排気が十分に行われず代用乳が蓋に設けられる供給口部分で固着したり、攪拌タンク内への添加剤の投入がし難い等、湯気の排気と添加剤の投入を良好に行うことが難しいという問題点を有している。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易な構造で湯気の排気と添加剤の投入が良好に行えて、攪拌タンクに代用乳を湿気させることなく供給し得ると共に添加剤を確実に投入し得る代用乳溶解装置を提供することにある。また、他の目的は、前記目的に加え、攪拌タンクの代用乳供給部の清掃性を向上させ得る代用乳溶解装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、所定量の水を貯留してヒータにより湯沸かしする湯沸かしタンクと、粉状の代用乳を貯留する代用乳ホッパーと、該代用乳ホッパーに接続された代用乳供給部を有し、該代用乳供給部から供給される代用乳と前記湯沸かしタンクから供給される湯とを攪拌溶解させる攪拌タンクと、を備えた代用乳溶解装置であって、前記代用乳供給部に攪拌タンク方向に送風するファンを配置すると共に、攪拌タンクの上面部に湯気の排気口と添加剤の投入口を兼用する開口部を設け、該開口部に多孔板の蓋を配置したことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、前記蓋の開閉状態を検知する検知手段を設け、該検知手段で蓋の開状態が検知された場合に、前記ファンの風量を低下させることを特徴とし、請求項3に記載の発明は、前記蓋が開状態のままで運転スイッチがオンした場合は、ファンの作動が禁止されると共にエラー表示がなされることを特徴とする。さらに、請求項4に記載の発明は、前記代用乳供給部の出口が着脱可能な外筒と内筒の二重構造で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、代用乳供給部に攪拌タンク方向に送風するファンを配置すると共に、攪拌タンクの上面部に湯気の排気口と添加剤の投入口を兼用する開口部を設け、該開口部に多孔板の蓋が配置されているため、一つの開口部を設けて多孔板の蓋を配置するという簡易な構造で、湯気の排気と添加剤の投入を良好かつ簡単に行うことができて、代用乳供給部から攪拌タンク内に代用乳を湿気させることなく供給し得ると共に、添加剤を攪拌タンク内に確実に投入することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、検知手段で蓋の開状態が検知された場合にファンの風量を低下させるため、添加剤の投入時の飛散等を抑制できて、添加剤を攪拌タンク内に一層確実に投入することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、蓋が開状態のままで運転スイッチがオンした場合に、ファンの作動が禁止されると共にエラー表示がなされるため、蓋が閉状態の場合にのみミルクの作製が可能となり、装置を確実に作動させることができる。
【0010】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、代用乳供給部の出口が着脱可能な外筒と内筒の二重構造で形成されているため、例えば内筒を外筒から取り外すことにより、代用乳供給部の清掃を簡単に行うことができて、その清掃性を向上させて代用乳供給部を常に清潔に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図8は、本発明に係わる代用乳溶解装置の一実施形態を示し、図1及び図2がその概要を示す正面図及び平面図、図3が攪拌タンクの要部を拡大した側面図、図4がその斜視図、図5が代用乳供給部と代用乳ホッパーの断面図、図6がその分解斜視図、図7及び図8が動作を説明するためのフローチャート及びタイミングチャートである。
【0012】
図1及び図2において、代用乳溶解装置1(以下、溶解装置1という)は、縦長に枠組み構成された架台2を有し、この架台2の上部には湯沸かしタンク3と代用乳ホッパー4が配置され、このタンク3とホッパー4の下方で、正面視左側には攪拌タンク5が配置されると共に正面視右側には制御装置6が配置されている。また、架台2の下部で攪拌タンク5の下方には、哺乳瓶載せ台7が設けられている。
【0013】
前記湯沸かしタンク3は、例えばステンレス板により直方体形状に形成されてその上面開口部に蓋体が配置されると共に、その内部には、電熱ヒータ10と図示しない水位センサと温度センサ等が配置されている。この時、電熱ヒータ10は、ヒータ部10aが絶縁性の円形パイプ内に嵌挿された状態で、湯沸かしタンク3の底壁内面に若干の隙間を有して取り付けられ、この電熱ヒータ10を覆うように伝熱板11が湯沸かしタンク3の底壁に固定されている。また、前記代用乳ホッパー4は、例えば樹脂成形により横断面が円形のホッパー形状に形成され、その内部には掻き出し羽根4aが回転可能に設けられると共に、底壁の直径方向の一端側には排出口4bが設けられ、この排出口4bの下方にスクリュウモータ19aにより回転するスクリュウ装置19が配置されている。
【0014】
前記攪拌タンク5は、例えばステンレス板により底壁に円錐部を有しかつ外周壁に把手5aを有する略円筒形状に形成され、その内部には、上部に配置された攪拌モータ16により回転する攪拌羽根17が回転可能に配置されると共に、該タンク5の円錐部の底壁には排出口が設けられ、この排出口には手動(もしくは自動)により開閉可能な排出コック18が接続されている。また、攪拌タンク5は、図3に示すように、その上面開口部に配設される上面板5bに代用乳供給部13が配置されると共に、この代用乳供給13が配置される部分の外側で溶解装置1の正面側となる位置には湯気の排気口を兼ねる添加剤投入部14が設けられている。
【0015】
この時、前記代用乳供給部13は、図5及び図6に示すように、上部側に位置する長さの長い角筒形状の外筒13aと、この外筒13aの下端に嵌挿される長さの短い角筒形状の内筒13bとで形成され、外筒13aの上部には下方(攪拌タンク5方向)に向けて送風するファン20が配置され、外筒13aの下部には前記スクリュウ装置19の排出口が接続されている。また、外筒13aと内筒13bは、内筒13bの対向する側壁に切り起こしにより形成された係止突起21の先端部を、外筒13aの下端に設けた係止孔22(もしくは係止凹部)に係止させることにより、互いに着脱可能となっている。そして、この代用乳供給部13は、下部側に位置する内筒13bが図6の矢印ニの如く下方に所定の力で引っ張られることにより外筒13aから取り外されて、内筒13bや外筒13a内部の清掃が可能となっている。
【0016】
また、前記添加剤投入部14は、図3及び図4に示すように、攪拌タンク5の上面板5bに設けた開口部14aと、この開口部14aに蝶番23により矢印イの如く開閉可能に配置された多孔板としての蓋24と、この蓋24の開閉を検知する検知手段としてのマグネットスイッチ25等を有している。前記蓋24は、例えばステンレス板等で形成されて開口部14aに対応した位置に多数のスリット状の孔24aが形成されると共に、反蝶番23側の切り起こし部24bにマグネット26が固定され、このマグネット26に対応した攪拌タンク5の上面板5b上に前記マグネットスイッチ25が適宜の取付板28等により配置されている。
【0017】
このマグネットスイッチ25は、添加剤投入時に蓋24が図3の位置Aに示すように開くことにより、マグネット26が離れて例えばOFF(開状態)となり、蓋24が図3の位置B及び図4に示すように閉じることによりマグネット26が接近してON(閉状態)となるように設定されている。なお、蓋24に設けられる孔24aの大きさや数は、後述するように蓋24が「閉状態」の際に攪拌タンク5内の湯気が外部に良好に排気できるように設定され、また、マグネットスイッチ25は前記制御装置6に接続されて、後述するようにその検知信号により前記ファン20の作動を制御するように設定されている。
【0018】
そして、この攪拌タンク5は、攪拌羽根17が回転することにより、代用乳供給部13から内部に投入された代用乳と湯沸かしタンク3から内部に供給された湯とが攪拌溶解されてミルクが作製され、このミルクが排出口及び排出コック18から下方に排出されるようになっている。また、攪拌タンク5は、その外周部に設けた把手5aを持って所定角度回転させることにより架台2に対して下方に着脱できて、攪拌タンク5内の水洗い等の清掃が可能となっている。なお、添加剤投入部14は、図4に示すように、必要に応じてカバー27で覆われるようになっている。
【0019】
このように構成された湯沸かしタンク3、代用乳ホッパー4及び攪拌タンク5は、前記制御装置6に接続されて、該制御装置6の図示しない操作パネルの各スイッチ等の操作によって、その動作が例えば次のように制御される。すなわち、制御装置6のメインスイッチがオンすると溶解装置1が作動可能な状態となり、先ず、制御装置により前記マグネットスイッチ25の検知信号が図7に示すように判断される。
【0020】
すなわち、運転スイッチがオンしてプログラムが開始(S100)されると、マグネットスイッチ25(SW)がONか否かが判断(101)され、この判断S101で「NO」の場合、すなわち添加剤投入部14の蓋24が前回のミルク作製の後に閉め忘れる等して開いている場合は、操作パネルの表示盤にエラー表示(S103)をして、溶解装置1の作動を禁止させる。一方、判断S101で「YES」の場合、すなわち添加剤投入部14の蓋24が閉じている場合は、次のミルク作製工程(S102)を実行する。
【0021】
このミルク作製工程は、先ず、湯沸かしタンク3に所定量の水が給水される給水工程が実行され、この給水工程で湯沸かしタンク3内に水が供給されると、電熱ヒータ10が通電されて湯沸かしタンク3内の水が所定温度まで加熱される湯沸かし工程が実行される。この湯沸かし工程時に電熱ヒータ10が通電されると、該ヒータ10の熱でパイプ10bの周囲に配置されている伝熱板11が加熱、すなわち電熱ヒータ10の熱を伝熱板11が奪う形となって、湯沸かしタンク3内の水が効率的に加熱され、湯沸かしタンク3内に供給される水の量、すなわち作製するミルクの本数が少ない場合であっても、タンク3内の上下における湯温のバラツキを抑えることが可能となる。
【0022】
そして、前記湯沸かし工程で湯沸かしタンク3内の水が所定温度まで加熱されると、この湯沸かしタンク3から選択された哺乳瓶本数に対応する量の湯が攪拌タンク5内に供給されて給湯工程が実行される。また、給湯工程が開始されると略同時もしくは所定時間後に、代用乳供給工程が実行され、この代用乳供給工程はスクリュウ装置19の作動時間によって制御されて、所定量の代用乳が代用乳供給部13から攪拌タンク5内に供給される。この代用乳供給工程においてスクリュウ装置19が作動すると、これと同時もしくは所定時間後に、攪拌モータ16も作動して攪拌羽根17が所定時間回転して、攪拌タンク5内に供給される湯と代用乳とが攪拌される攪拌溶解工程が実行され、この攪拌溶解工程が所定時間実行されることにより、ミルクが作製される。
【0023】
このミルクの作製時において、攪拌タンク5内で発生する湯気は、添加剤投入部14の蓋24に設けた孔24aから図4の矢印ロに示す如く外部に排気され、この排気時に前記ファン20の回転数が図8(a)に示すように「通常」に設定され、このファン20の回転で代用乳供給部13から攪拌タンク5内に送風(圧送)されることになり、攪拌タンク5内の湯気が蓋24の孔24aを通過して外部に排出(排気)される。
【0024】
一方、ミルク作製時に、添加剤を投入する場合は、添加剤投入部14の蓋24を開放して開口部14aから添加剤を図4の矢印ハの如く投入する。この時、添加剤投入部14の蓋24が開放されるとマグネットスイッチ25がOFFとなり、このOFF信号が制御装置6に入力されて、該制御装置6の制御信号により、図8(a)に示すようにファン20の回転数が低回転数に変更される。このファン20の回転数の低下により、代用乳供給部13から攪拌タンク5及び開口部14aを介した送風力が弱くなり、開口部14aから投入される添加剤が粉状であったとしても飛散することなく攪拌タンク5内に良好に投入される。
【0025】
なお、ファン20の低回転数への変更は、ファン20に供給される電圧を例えば24Vから8V程度に低下させることにより行われ、また、ファン20の作動開始は、少なくとも攪拌溶解工程前となるように設定されている。さらに、溶解装置1の電源スイッチ及び前記マグネットスイッチ25(蓋スイッチ)と、前記ファン20の回転数及び前述したエラー表示との関係は、蓋24が「閉」でスタート(電源スイッチがON)した場合と蓋24が「開」でスタートした場合において、図8(a)(b)となるように設定されている。
【0026】
また、この添加剤の投入時に、ファン20が停止することなく低回転数で回転していることから、代用乳供給部13内に攪拌タンク5方向に向けた空気の流れが生成されており、代用乳供給部13に湯気が侵入して代用乳や代用乳供給部13内が湿気を帯びることもなくなり、攪拌タンク5内に代用乳がスムーズに供給される。つまり、添加剤の投入時にフアン20の回転数を所定の低回転数に設定することにより、攪拌タンク5内に供給される代用乳への湯気による湿気を抑制しつつ、かつ開口部14aから湯気を外部に排気しながら添加剤を同じ開口部14aから攪拌タンク5内に投入できることになる。
【0027】
このようにして攪拌タンク5内で添加剤入りのミルクが作製されると、このミルクが作業者によって攪拌タンク5の排出コック18を開くことにより、排出コック18の下方の哺乳瓶載せ台7上にセットされている哺乳瓶に充填され、このミルクが充填された所定本数の哺乳瓶により子牛にミルクが与えられることになる。そして、ミルク作製が終了した後は、必要に応じ、攪拌タンク5を架台2から取り外し、代用乳供給部13の内筒13bを下方に引っ張って外筒13aから取り外すことにより、攪拌タンク5や代用乳供給部13の清掃が行われる。
【0028】
このように、上記実施形態の溶解装置1にあっては、代用乳供給部13に攪拌タンク5方向に送風するファン20が配置されると共に、攪拌タンク5の上面板5bに湯気の排気口と添加剤の投入口を兼用する開口部14aを設け、この開口部14aに多孔板状の蓋24が開閉可能に配置されているため、一つの開口部14aを設けて蓋24を配置するという簡易な構造で、湯気の排気と添加剤の投入を溶解装置1の前面側の開口部14aから良好かつ簡単に行うことができる。その結果、代用乳供給部13から攪拌タンク5内に代用乳を湿気させることなく供給することができると共に、ミルク作製時であっても添加剤を飛散等させることなく攪拌タンク5内に確実に投入することができる。
【0029】
また、添加剤投入部14に設けたマグネットスイッチ25により蓋24の開閉状態が検知されて、ミルク作製時に蓋24の開状態が検知された場合にファン20の回転数が低回転数に設定されて風量が低下するため、粉状の添加剤であってもその投入時の飛散を抑制しつつ、添加剤を攪拌タンク5内に確実に投入することができると共に、代用乳供給部13内において攪拌タンク5方向に向けた送風を維持することができて、代用乳供給部13から攪拌タンク5内に供給される代用乳を湿気させることがなく良好に供給することが可能となる。
【0030】
また、マグネットスイッチ25を設けて蓋24が開状態のままで溶解装置1の運転スイッチがオンした場合に、ファン20の作動が禁止されると共にエラー表示がなされるため、蓋24が閉状態の場合にのみミルクの作製が可能となり、蓋24の閉め忘れ状態での溶解装置1の運転を禁止して、溶解装置1の確実な運転を行うことができる。さらに、代用乳供給部13が着脱可能な外筒13aと内筒13bの二重構造で形成されて、内筒13bが下方に取り外しできると共に、攪拌タンク5が回転操作により架台2から取り外しできるため、攪拌タンク5と内筒13bをワンタッチ式に取り外すことにより、内筒13aや外筒13a内部に付着した代用乳を簡単に除去できる等、代用乳供給部13の清掃を容易に行うことができて常に清潔に維持することができたり、攪拌タンク5を水洗いできて、溶解装置1のメンテナンス性(清掃性)をより向上させることが可能となる。
【0031】
また、上記実施形態の溶解装置1にあっては、次のような作用効果を得ることもできる。すなわち、湯沸かしタンク3の底壁内面側に電熱ヒータ10が配置されると共に、この電熱ヒータ10の周囲を覆うように伝熱板11が配置されているため、電熱ヒータ10で加熱された伝熱板11の熱により湯沸かしタンク3内の水の加熱効率を高めることができて、ミルクの作製量に係わらず均一した温度のミルクを安定して作製することができると共に、加熱効率の向上により電熱ヒータ10自体の容量を低く設定できる等、電熱ヒータ10の使用電力の無駄を省いて省エネの面でも優れた溶解装置1を得ることができる。
【0032】
また、攪拌タンク5によって所定頭数分のミルクが繰り返し作製されると共に、繰り返し作製されたミルクが哺乳瓶載せ台7上の哺乳瓶にそれぞれ充填されるため、ミルクが充填された哺乳瓶により飼育者が子牛の体調等を管理しながら哺乳することができ、子牛の体調を良好に維持して販売時の価値を高めたり哺育期間の延長を防止することができると共に無駄な添加剤の投与等を防止できて、子牛の哺育コストを低減化させること等が可能となる。
【0033】
さらに、一回の溶解作業で作製されるミルクの本数等が制御装置6の操作パネルで入力設定できるため、哺育農家の規模に応じた最適本数の哺乳瓶を作製できて、汎用性に優れた溶解装置1の提供が可能になると共に、ミルクの温度が冷めない状態の各哺乳瓶によりスピーディに哺乳でき、哺乳作業の能率向上等を図って、一層コスト的に有利な溶解装置1を提供することが可能となる。またさらに、攪拌タンク5への湯の供給量が給湯電磁弁の開時間で行われると共に、代用乳の供給量が代用乳供給用のスクリュウ装置19の作動時間で行われるため、電磁弁やスクリュウモータ19a等の制御により均一な品質のミルクを簡単に作製することができる。
【0034】
また、代用乳ホッパー4のスクリュウ装置19の排出口側に、代用乳供給部13内に送風するファン20が配置されているため、攪拌タンク5に供給される代用乳の吸湿による外筒13a、内筒13bやスクリュウ装置19への固着等を防止することができると共に、代用乳ホッパー4の排出口4bが底部の直径方向の一端側に設けられているため、掻き出し羽根4aで送られる粉状の代用乳の排出口4bにおける詰まりを防止して、代用乳のスクリュウ装置19への排出をスムーズに行うことができる。これらにより、代用乳の攪拌タンク5への搬送供給をスムーズに行うことができて、所定量の代用乳を攪拌タンク内に安定して供給することが可能となる。
【0035】
なお、上記実施形態においては、蓋24の開閉状態を検知する検知手段としてマグネットスイッチ25を使用したが、本発明はこれに限定されず、例えばマイクロスイッチ等の他の適宜にスイッチを使用することもできるし、蓋24の孔24aもスリット状に限らず例えば円形に形成することもできる。また、上記実施形態における、溶解装置1の全体形状、各タンクやホッパーの大きさ、配置位置、代用乳供給部13の各筒13a、13bの係止構造等は一例であって、例えば外筒13aと内筒13bの係止突起21と係止孔22を逆構成とする等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、子牛への哺乳に限らず、子豚等の各種哺乳家畜の哺乳にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係わる代用乳溶解装置の一実施形態を示す概略正面図
【図2】同その平面図
【図3】同その攪拌タンクの側面図
【図4】同その斜視図
【図5】同代用乳供給部と代用乳ホッパーの断面図
【図6】同その分解斜視図
【図7】同動作の一例を示すフローチャート
【図8】同動作の一例を示すタイミングチャート
【符号の説明】
【0038】
1・・・代用乳溶解装置、2・・・架台、3・・・湯沸かしタンク、4・・・代用乳ホッパー、5・・・攪拌タンク、6・・・制御装置、7・・・哺乳瓶載せ台、10・・・電熱ヒータ、11・・・伝熱板、13・・・代用乳供給部、13a・・・外筒、13b・・・内筒、14・・・添加剤投入部、14a・・・開口部、16・・・攪拌モータ、17・・・攪拌羽根、18・・・排出コック、19・・・スクリュウ装置、20・・・ファン、21・・・係止突起、22・・・係止孔、24・・・蓋、24a・・・孔、25・・・マグネットスイッチ、26・・・マグネット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の水を貯留してヒータにより湯沸かしする湯沸かしタンクと、粉状の代用乳を貯留する代用乳ホッパーと、該代用乳ホッパーに接続された代用乳供給部を有し、該代用乳供給部から供給される代用乳と前記湯沸かしタンクから供給される湯とを攪拌溶解させる攪拌タンクと、を備えた代用乳溶解装置であって、
前記代用乳供給部に攪拌タンク方向に送風するファンを配置すると共に、攪拌タンクの上面部に湯気の排気口と添加剤の投入口を兼用する開口部を設け、該開口部に多孔板の蓋を配置したことを特徴とする代用乳溶解装置。
【請求項2】
前記蓋の開閉状態を検知する検知手段を設け、該検知手段で蓋の開状態が検知された場合に、前記ファンの風量を低下させることを特徴とする請求項1に記載の代用乳溶解装置。
【請求項3】
前記蓋が開状態のままで運転スイッチがオンした場合に、ファンの作動が禁止されると共にエラー表示がなされることを特徴とする請求項1または2に記載の代用乳溶解装置。
【請求項4】
前記代用乳供給部は、その出口が着脱可能な外筒と内筒の二重構造で形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の代用乳溶解装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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