代謝疾患の分析のための装置及び方法
【解決手段】
被験者の代謝疾患を検出するための方法が提供される。本方法は、前記被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、前記被験者は代謝疾患を有するものとして検出される。
被験者の代謝疾患を検出するための方法が提供される。本方法は、前記被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、前記被験者は代謝疾患を有するものとして検出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、代謝疾患又は他の異常を分析するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
代謝疾患又は異常は、最も一般的な人間の慢性の病気及び合併症のうちの一つである。代謝疾患として、例えば、代謝病、代謝障害、アテローム性動脈硬化、グルコース過敏症、タイプIIの糖尿病、メタボリックシンドローム、インシュリン抵抗、前糖尿病、脂肪毒性、脂肪肝、脂肪性肝炎、脂肪症、肥満、発作、心臓血管病、高脂肪血症、又は、例えば、糖尿病性網膜症若しくは糖尿病性腎障害若しくは、代謝病又は代謝傷害に属する他の危険な因子等の代謝疾患合併症が挙げられるが、これらに限定されるものではない。代謝疾患の病因は、包括的で環境の効果を含む多数の因子であると考えられる。
【0003】
アテローム性動脈硬化症は、血管内の血液の移動のための通路を狭める、血管壁内に形成された肥満沈殿物によって引き起こされる冠状動脈病である。これは、冠状動脈の究極的な妨害物を生じさせ、心臓発作をもたらし、アメリカ合衆国における早死の指折りの原因となっている。
【0004】
脂肪肝は、肝臓の大滴性肝脂肪沈着により歴史的に特徴付けられた臨床条件の範囲を包含する。脂肪肝疾患の組織病理学的範囲は、単純な脂肪肝(脂肪症)から脂肪性肝炎、変わり易い程度の繊維症を有する肝炎の異型まで及んでいる。脂肪性肝炎は、漸進性であり、肝硬変、肝疾患、及び、肝細胞性癌へと導きかねず、原因不明の肝硬変の主要な原因となり得る。脂肪性肝臓疾患に関する共通の危険因子は、肥満、タイプII糖尿病、及び、高脂肪血症である。
【0005】
タイプII糖尿病は、非常に一般的な人間の慢性疾患のうちの一つであり、アメリカ合衆国における大人人口のほとんど8%及び65歳を超えた人の19%に影響を及ぼしている。
【0006】
メタボリックシンドロームは、例えば、冠状動脈病及び糖尿病等、様々な疾患に関する危険因子の集中的な発生である。例えば、アメリカ合衆国で生活している大人の25%は、メタボリックシンドロームと診断される。メタボリックシンドロームの異常生理学は、インシュリン抵抗に関連していると考えられている。危険因子は、一般に、次の要素の蓄積として定義することができる。即ち、男では102cm以上、女では88cm以上の高いウェスト環境、例えば150mg/dL以上の高いトリグリセリド、男では40mg未満、女では50mg/dL未満等の減少した高密度リポプロテイン、例えば130/85mmHg以上の高い血圧、並びに、例えば100mg/dL以上の高い絶食時グルコースである。メタボリックシンドロームは、他の危険因子を含み得ることが認められる。更には、危険因子は、様々な集団においてばらつき得る。
【0007】
代謝疾患の多くは、トリグリセリドの蓄積及びインシュリン抵抗によって特徴付けられる。
例えば筋肉、肝臓及び膵臓組織等の様々な身体組織におけるトリグリセリドの蓄積は、代謝疾患の増大へと導く、組織特有のインシュリン抵抗の重要な因子であると考えられている。更には、脂質体という用語と同義である脂質液滴の蓄積は、組織において、インシュリン抵抗の形成時に早期に生じ、その過酷さと相関している。多数の科学的な論文は、筋肉組織内の脂質含有量を測定することによってインシュリン抵抗に関連する疾患の診断
のための方法を記載している(ケーリーDE、グッドペスターBH、及び、ストルリーンLによる筋肉トリグリセリド及びインシュリン抵抗、アンヌレビューNutr 22:325-346、2002;グッドペスターB及びケーリーD.スケレータル筋肉トリグリセリド、タイプIIの糖尿病における肥満誘導のインシュリン抵抗のマーカー又は媒介物、現在の糖尿病報告2:216−222,2002)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施例は、代謝疾患の存在及び過酷さを診断し、検出し、予測し及び/又は監視するための方法、並びに、代謝疾患を治療又は防止するためリガンドの効き目及び/又は効能を選別するための方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かくして、本発明の一実施態様に係る方法が提供され、該方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備える。
【0010】
本発明の一実施態様によれば、白血球サンプルの脂質体の定量的特徴を計測するための方法が提供され、該方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システムに導入し、前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備える。
【0011】
かくして、本発明の一実施態様によれば、被験者の代謝疾患を検出するための方法が提供され、該方法は、前記被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、前記被験者は代謝疾患を有するものとして検出される。
【0012】
本発明の一実施態様によれば、代謝疾患を早期に検出するための方法が提供され、該方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、前記被験者は代謝疾患を発展させ易い性質を有するものとして検出される。
【0013】
本発明の一実施態様によれば、代謝疾患を監視するための方法が提供され、該方法は、前記被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の脂質体の定量的特徴の値が閾値と有意に異なっているか否かを評価することによって、前記白血球の脂質体の前記定量的特徴を分析し、これによって代謝疾患を監視する、各工程を備える。
【0014】
本発明の一実施態様によれば、代謝疾患の防止又は治療に関してリガンドの効き目を評価するための方法が提供され、該方法は、前記リガンドを被験者に投与した後に、代謝疾患を有する該被験者から白血球を含む血液サンプルを採取し、前記血液サンプルを検査システム内に導入し、 前記血液サンプルの前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が代謝疾患を有する治療されていない被験者の血液サンプルの白血球の脂質体の定量的特徴の値よりも低い場合、前記リガンドは代謝疾患の治療又は防止に効き目が有るものとして検出される。
【0015】
かくして、本発明の一実施態様によれば、被験者の代謝疾患を分析するためのキットが
提供され、該キットは、白血球を含む血液サンプルを挿入するためのサンプルコンテナと、前記代謝疾患の存在を検出するように前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析するためのデータと、を備える。
【実施例】
【0016】
次の説明では、本発明の様々な態様が記載される。説明の目的のため、特定の構成及び詳細な事項が、本発明の徹底した理解を提供するため記載されている。しかし、本発明は、本明細書で与えられた特定の詳細な事項無しに、実施することができることが当業者には明らかであろう。更には、周知した特徴は、本発明を不明瞭にしないため省略されたり或いは簡単化され得る。
【0017】
本発明の実施例は、人間の被験者又は動物における例えば単核白血球群、好中球細胞群、エオシン好性白血球群、好塩基性球群、リンパ球群、又は、マクロファージ群等内におけるのような、白血球サンプル中の脂質体の検査によって代謝疾患又は異常を診断し検出するための非侵入式方法を提供することができる。
【0018】
本発明の一実施例では、代謝疾患又は異常として、例えば、代謝病、代謝傷害、アテローム性動脈硬化、グルコース過敏症、タイプIIの糖尿病、メタボリックシンドローム、インシュリン抵抗、前糖尿病、脂肪毒性、脂肪肝、脂肪性肝炎、脂肪症、肥満、発作、心臓血管病、高脂肪血症、又は、例えば、糖尿病性網膜症若しくは糖尿病性腎障害若しくは、代謝病又は代謝傷害に属する他の危険な因子等の代謝疾患合併症が挙げられるが、これらの限定されるものではない。他の代謝疾患又は異常を検出及び/又は診断することもできる。
【0019】
代謝疾患は、最も一般的な人間の慢性の病気のうちの一つである。この代謝疾患の病因は、包括的で環境の効果を含む多数の因子であると考えられる。
例えば筋肉、肝臓又は膵臓組織等の身体の様々な組織において脂質体という用語と同義である、トリグリセリド蓄積等の脂肪液滴の蓄積は、代謝疾患の増大へと導く、組織特有のインシュリン抵抗の重要な因子であると考えられている。新たなる証拠は、代謝疾患における病因事象として炎症の役割を示唆している。
【0020】
かくして、炎症を起こした白血球における脂質体蓄積並びに代謝疾患の発展における炎症の役割を考慮すると、周囲の白血球及び単核好中球細胞等のマクロファージ内のトリグリセリド又はエイコサノイド等の蓄積などの脂質蓄積の定量的且つ形態学的特徴は、白血球サンプル中の1又は複数の脂質体の検査及び/又は計測により代謝疾患を分析するための非侵入式方法を提供することができるという仮説が成り立つ。
【0021】
ここで、代謝障害又は異常を検出するための方法の一実施例の簡単化されたフローチャートである図1Aを参照する。図1Aに示されるように、ブロック10では、白血球を含む血液サンプルを、検査システム内に挿入することができる。白血球中の脂質体の定量的特徴の分析を、ブロック12に示されるように、実行することができる。ブロック14に示されるように、定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、ブロック16に示されるように代謝疾患を検出することができる。定量的特徴の値が閾値と大して異なっていない場合には、ブロック18に示されるように、代謝疾患は、検出されないとすることができる。
【0022】
図1Aに記載された方法の実施例は、任意の適切な態様及び任意の適切な順序で実行することができることが認められる。他の作業を使用することもできる。
被験者において代謝疾患又は異常を検出し及び/又は診断するための本発明の一実施例に係る方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入
し、白血球中の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、被験者から採取された血液サンプル中の白血球内の脂質体の定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、被験者は代謝疾患を有するものとして診断及び/又は検出される。
【0023】
本発明の一実施例に係る方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、白血球中の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備えている。
【0024】
本発明の一実施例に係る白血球中の脂質体の定量的特徴の計測のための方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、白血球中の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備えている。
【0025】
本発明の一実施例に係る方法は、任意の適切な方法、典型的には静脈穿刺によって人間又は動物の被験者から全血サンプルを取得する工程を備えている。全血は、任意の適切な方法によって、例えば全血サンプルを保温し、かくして白血球部分を赤血球部分から概略分離させることによって、白血球を得るため分離される。取り出された白血球部分は、その後、遠心分離機にかけられる。白血球は、例えば、尿等の任意の適切な身体部分から採取されてもよいことが理解されよう。
【0026】
例えば、フォルムアルデヒド、グルタラルデヒド等のアルデヒドの添加、メタノールの添加、三酸化オスミウム、又は、それらの組み合わせ等の任意の従来の固定方法を使用した分析のために、画像形成前に白血球を準備することができる。代替例として、事前の固定無しに、白血球のサンプルが分析され、画像形成することができる。
【0027】
例えば、計測システム等の検査システム内のサンプルの検査によるなどの任意の適切な方法によって、分析を実行することができる。計測システムは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡、例えば、典型的にはナイルレッド染色、蛍光活動細胞分類手段(FACS)又は酵素架橋免疫吸着剤分析評価(ELISA)を使用した共焦光顕微鏡、蛍光顕微鏡等の光顕微鏡などの、サンプルを測定するためのシステムであるが、これらの例に限定されるものではない。
【0028】
代替例として、分析は、例えば画像形成システム等の検査システムでサンプルを画像形成し、その後、人間の視覚化の間にサンプルを測定すること等によって任意の適切な方法を用いてサンプルを測定する、各工程を備えることができる。
【0029】
脂質体の分析は、本発明の一実施例では、白血球サンプル中の脂質体の定量的特徴を測定する工程を備えている。
定量的特徴の測定の1つ又は複数の値を生じさせることは、被験者において、代謝疾患の存在又は過酷さを診断、検出又は予測するためのデータとして使用することができる。定量的特徴の値は、閾値と比較して有意に異なっている場合、被験者は、代謝疾患を有するか又は該代謝疾患を発展させることに影響を及ぼすものとして診断され及び/又は検出される。
【0030】
「定量的特徴」という用語は、1つ又は複数の細胞内の脂質体の平均、中間又は総合した、脂質含有量、面積、体積、重量若しくは数等、1つ又は複数の細胞当たりの脂質体の最大若しくは最小である、脂質体含有量、面積、重量若しくは体積、及び/又は、1つ又は複数の細胞当たりの脂質体の最大若しくは最小数、或いは、直径若しくは半径等の任意の脂質体のサイズ、形態的な特徴、又は、それらの組み合わせ等の脂質体の任意の測定可能な特徴を表すことができるが、これらの例に限定されるものではないことが理解されよう。
【0031】
脂質体含有量は、単一の脂質体若しくは複数の脂質体における総合した脂質体面積である。
本発明の一実施例では、測定された脂質体面積は、脂質体を画定する球状形状の大円内に拘束された表面の面積である。大円は、球の直径を備える球の区分として、通例、定義される。更には、測定された脂質体面積は、脂質体の断面積等、任意の適切な測定値であってもよい。
【0032】
「有意に異なる」又は「有意な相違」という用語は、被験者から導出された血液サンプルの脂質体の定量的特徴と、コントロール群から導出された血液サンプルの脂質体の定量的特徴との間の任意の測定可能な差異を表すことができる。一実施例では、この差異は、約30%以下であってもよい。代替例として、当該差異は、30%、40%、50%、70%、100%以上の差異を表すことができる。加えて、当該差異は、コントロール群から導出された血液サンプルの脂質体の定量的特徴と比較した、被験者から導出された血液サンプルの脂質体の定量的特徴のうち約1.5、2、3、4、5又は6以上の因子の増大とすることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
有意な差異は、実質的な差異又はかなりの差異のいずれであってもよい。
例えば、人間又は動物の被験者からの白血球サンプル内の脂質体面積が、コントロール群から導出された白血球サンプル内の脂質体面積よりもかなり高い場合には、当該被験者は、代謝疾患を有するものとして診断及び/又は検出される。
【0034】
なお、「コントロール群」という用語は、当該用途において、健康な被験者か、又は、1人以上の健康な被験者から導出され、計算されたデータへ参照される。被験者は、動物であっても人間であってもよい。
【0035】
分析工程は、本発明の任意の実施例において、被験者から導出された血液サンプルにおける脂質体の定量的特徴を計算し、被験者からの血液サンプルの定量的特徴の結果値をコントロール群からの血液サンプルの定量的特徴の値と比較する、各工程を備える。
【0036】
閾値は一定値であってもよく、例えば、被験者の脂質体面積が一定閾値より高い場合、被験者は、代謝疾患を有するものとして診断され及び/又は検出される。当該閾値は、様々に異なる集団及び/又は様々な異なる環境状況でばらつき得ると認められる。
【0037】
加えて、例えば、コントロール群の被験者の統計的分布とは異なる、脂質体面積当たりの脂質体の数の統計的分布は、被験者が代謝疾患を持っていることを示すことができる。他の示唆的な統計的分布を、被験者における代謝疾患を診断し及び/又は検出するために使用することができる。
【0038】
被験者から導出された白血球を含むサンプルの定量的特徴の分析と、施行処置後に被験者から導出された白血球を含むサンプルとの比較とからデータがもたらされ、施行処置に続いて被験者から導出された白血球を含むサンプルの脂質体の定量的特徴は、処置の施行前における被験者からの白血球サンプルの脂質体の定量的特徴と比較して、施行処置に従って、かなり高くなったり、低くなったりし得ることが更に理解されよう。
【0039】
典型的には、「施行処置」という用語は、絶食、物理的な活動、栄養素補給、医療治療、又は、日から週若しくは月までの時間の差異等の時間の経過、又は、上記したものの組み合わせを指すことができる。
【0040】
医療治療には、代謝疾患のための処置が含まれているが、これに限定されるものではな
い。任意の適切な施行処置を用いることができると認められる。
様々な施行処置は、脂質体の定量的特徴において様々に異なる反応を引き起こすことができると認められる。例えば、医療処置に続く人間又は動物の被験者からの白血球サンプルにおける脂質体の定量的特徴は、医療処置前に被験者から採取された白血球サンプルにおける脂質体の定量的特徴よりもかなり低くなり得ることが認められよう。
【0041】
代替例として、例えば、処置の施行により引き起こされる被験者の脂質体の定量的特徴の値の増加は、処置の施行により引き起こされるコントロール群の脂質体の定量的特徴の値の増加よりもかなり高い場合、当該被験者は、代謝疾患を有するものとして診断及び/又は検出される。
【0042】
一実施例に係る方法は、適切に施行された処置又は介入との被験者の適合性に従って被験者を階層化するため使用することができると認められる。
例えば、製剤の投与又はダイエット等のように施行された処置に続いて被験者群から導出された白血球サンプルの脂質体の定量的特徴を、被験者群のための代謝疾患の防止及び/又は治療における施行処置の適合性及び/又は効果を評価するように分析することができる。例えば、製剤の投与又はダイエットによって治療された人間被験者群から導出された血液サンプルの脂質液滴の数が、製剤の投与又はダイエットの前に人間被験者群から導出された血液サンプルの脂質液滴の数よりも小さい場合には、人間被験者の群は、適合可能であり及び/又は製剤又はダイエットにより治療されたものとして人間被験者群を階層化することができる。
【0043】
更に加えて、1人又は複数人の被験者から導出された白血球サンプルの脂質体の定量的特徴の分析結果を、1人又は複数人の被験者にとって適切な治療のコースを決定するため1人又は複数人の被験者を階層化するように使用することができる。例えば、1人又は複数人の人間被験者から導出された血液サンプルの脂質液滴の数が閾値と有意に異なっている場合、1人又は複数人の被験者を、例えば、製剤又は特定のダイエットによる治療等の特定の治療コースに追従することができる1人又は複数人の被験者として階層化することができる。
【0044】
分析工程は、本発明の任意の実施例において、被験者から導出された血液サンプルにおける脂質体の定量的特徴を計算し、被験者から導出された血液サンプルにおける脂質体の定量的特徴の結果としての値を、施行処置後に被験者から導出された血液サンプルにおける脂質体の定量的特徴の値と比較する、各工程を備えている。
【0045】
白血球の成分を含む任意の脂質で分析を実行することができると認められる。
一実施例に係る方法は、被験体における代謝疾患又は異常の早期の検出及び/又は診断のために使用することができる。当該被験体は、次の例に限定するものではないが、肥満であるか又は代謝疾患の家族履歴を有して代謝疾患を発展させるリスクをかかえた人間被験者、又は代謝疾患を発展させる他の任意のリスクを有する人間被験者であり得る。本発明の一実施例では、被験体は、例えば、代謝疾患を発展させる傾向性を有するように遺伝的に治療された動物、又は、これに限定されるものではないが高肥満ダイエット食事を供給されることによって、代謝疾患を発展させる傾向性を誘導された動物等の動物であってもよい。
【0046】
ここで、代謝疾患又は異常の早期検出のための方法の一実施例の簡単化されたフローチャートである図1Bを参照する。図1Bに示されるように、ブロック20では、白血球を含む血液サンプルを検査システム内に挿入することができる。反応物における脂質体の定量的特徴の分析を、ブロック22に示されるように実行することができる。ブロック24に示されるように、定量的特徴の値が、閾値と有意に異なっている場合には、ブロック2
6に示されるように、代謝疾患を発展させ易い性質を検出することができる。定量的特徴の値が、閾値と大して異なっていない場合には、ブロック28に示されるように、代謝疾患を発展させ易い性質が検出されないこととなる。
【0047】
図1Bに記載された方法の実施例は、任意の適切な態様及び任意の適切な順序で実行することができることが理解されよう。他の作業を使用することができる。
代謝疾患又は異常の早期検出及び/又は診断のための本発明の一実施例に係る方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、白血球内の脂質体の定量的特徴を分析し、被験者から採取された該白血球内の脂質体の定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合には、被験者が代謝疾患を発展させ易い性質を有するものとして検出される。
【0048】
早期の検出及び/又は診断を、例えば、白血球サンプル内の脂質体の任意の定量的特徴を測定することによって実行することができる。
測定結果の1つ以上の値を、代謝疾患の早期検出及び/又は診断のためのデータとして使用することができる。
【0049】
例えば、人間又は動物の被験者からの白血球サンプルにおける脂質体含有量が、コントロール群から導出された白血球サンプル内の脂質体含有量よりも高い場合、当該被験者は、代謝疾患を発展させやすい性質を有するものと検出される。
【0050】
例えば、上述された差異及び閾値等の、有意な差異又は閾値の任意の適切な値を用いることができることが理解されよう。更に加えて、定量的特徴の任意の適切な表現を、上述のように用いることができる。
【0051】
上述したように、被験者から導出された白血球含有サンプルの定量的特徴の値を、施行処置の後の被験者から導出された白血球含有サンプルの定量的特徴の値と比較することによりデータを生じさせることができることが更に理解されよう。
【0052】
ここで、代謝疾患又は異常の防止又は治療のためのリガンドの効き目及び/又は効能を評価するための方法の実施例の簡単なフローチャートである図1Cを参照する。図1Cに示されるように、ブロック30では、リガンドが被験者に投与される。ブロック32では、白血球を含む血液サンプルが被験者から採取される。ブロック34では、血液サンプルを検査システム内に挿入することができる。ブロック36に示されるように、白血球内の脂質体の定量的特徴の分析を実行することができる。ブロック38に示されるように、定量的特徴の値が治療していない被験者から導出された定量的特徴の値よりも低い場合、ブロック40に示されるように、リガンドは、代謝疾患治療に効き目有り即ち有効であるとされる。定量的特徴の値が治療していない被験者から導出された定量的特徴の値よりも大して低くない場合、ブロック42に示されるように、リガンドは、代謝疾患治療に効き目無し即ち無効果であるとされる。
【0053】
図1Cに記載された方法の実施例は、任意の適切な態様及び任意の適切な順序で実行することができることが理解されよう。他の作業も使用することができる。
一実施例に係る方法は、代謝疾患又は異常の防止又は治療のためのリガンドの効果及び/又は効能を評価するために使用することができ、該方法は、被験者へのリガンドの投与の後で代謝疾患を持つ被験者から白血球を含む血液サンプルを採取し、該血液サンプルを検査システム内に導入し、血液サンプルの白血球内の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、当該血液サンプルの白血球内の脂質体の定量的特徴の値が、代謝疾患を持ち、治療していない被験者の血液サンプルの白血球内の脂質体の定量的特徴の値よりも低い場合、当該リガンドは、代謝疾患の防止又は治療のためのリガンドに効能有りと検出され
る。
【0054】
リガンドは、例えば、化学試薬、核酸、薬剤、核酸、リボゾーム、RNA、抗体、ププチド、又は、化合物であってもよい。リガンドは、例えば、代謝疾患を治療するための可能な薬剤候補又は先導成分若しくは分子とすることができる。
【0055】
リガンドの評価は、例えば、白血球サンプル内の脂質体の定量的特徴を測定することによって、実行することができる。白血球サンプルは、人間の被験者又は動物から導出されたサンプルであってもよい。
【0056】
測定結果の1つ以上の値を、代謝疾患の防止又は治療のためのリガンドの効き目及び/又は効能を評価するためのデータとして使用することができる。
例えば、代謝疾患を持つ治療していない被験者又は代謝疾患を持つ動物モデルからの白血球サンプルの脂質体面積が、リガンドを投与された代謝疾患を持つ被験者から導出された白血球サンプルにおける脂質体面積よりも大きい場合、当該リガンドは、代謝疾患の治療又は防止にとって効き目があり及び/又は有効であると検出される。
【0057】
代替例として、代謝疾患が誘発される前にリガンドが投与された被験動物からの白血球サンプルの脂質体面積の値が、代謝疾患の誘発後に被験動物から導出された白血球サンプルにおける脂質体面積の値にほぼ等しい場合、リガンドは、代謝疾患の治療又は防止にとって効き目があり及び/又は有効であると検出される。被験者から導出された白血球含有サンプルの定量的特徴を、被験者にリガンドを投与した後の被験者から導出された白血球含有サンプルの定量的特徴の値とを比較することによりデータをもたらすことができることが更に認められる。
【0058】
上述した差異即ち閾値等のような、有意な差即ち閾値の任意の適切な値を用いることができることが理解されよう。加えて、定量的特徴の任意の適切な表現を、上述されたように用いることができる。
【0059】
一実施例に係る方法は、代謝疾患を監視するため使用することができる。被験者は、代謝疾患を有する人間の被験者又は被験動物のいずれであってもよい。
ここで、被験者の代謝疾患又は異常を監視するための方法の一実施例の簡単なフローチャートである図1Dを参照する。図1Dに示されるように、ブロック50では、被験者から導出された白血球を含む血液サンプルが検査システムに挿入される。ブロック52に示されるように、白血球内の脂質体の定量的特徴の分析を実行することができる。ブロック54に示されるように、定量的特徴の値が閾値よりも有意に高い場合、ブロック56に示されるように、被験者の代謝疾患が劣化した可能性がある。定量的特徴の値が閾値よりも大して高くない場合、ブロック58に示されるように、被験者の代謝疾患は改善されたか又は変化していない可能性がある。
【0060】
図1Dに記載された方法の実施例は、任意の適切な態様及び任意の適切な順序で実行することができることが理解されよう。他の作業も使用することができる。
代謝疾患又は異常を監視するための一実施例に係る方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、被験者から採取された血液サンプルの白血球内の脂質体の定量的特徴の値が閾値と有意に異なっているか否かを評価することによって、血液サンプルの白血球内の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、これによって代謝疾患を監視する。
【0061】
監視工程は、例えば、白血球サンプル内の脂質体の定量的特徴を測定することによって実行することができる。
定量的特徴の測定結果の1つ以上の値を、例えば代謝疾患を監視するためのデータとして使用することができる。定量的特徴の値は、代謝疾患を監視するため所定の閾値と比較することができる。
【0062】
例えば、被験者への施行処置の前に被験者から導出された白血球サンプルにおける脂質体面積の値が、被験者への施行処置の後に被験者から導出された白血球サンプルにおける脂質体面積の値よりも有意に高い場合、代謝疾患を有する被験者における改善が監視される。
【0063】
施行処置は、例えば、数日、数週間又は数ヶ月の経過等の時間の進行を含む、上述されたような任意の適切な処置であってもよい。時間の進行前に、被験者から導出された白血球サンプルにおける脂質体面積の値が、時間の経過の後に被験者から導出された白血球サンプルにおける脂質体面積の値よりも有意に異なり、例えば高い場合、代謝疾患を有する被験者における改善が検出される。
【0064】
上述した差異即ち閾値等のような、有意な差即ち閾値の任意の適切な値を用いることができることが理解されよう。加えて、定量的特徴の任意の適切な表現を、上述されたように用いることができる。
【0065】
なお、他の従来方法を用いて得られたデータは、代謝疾患分析のため上述された実施例における定量的特徴の値を含むデータと連結して使用することができる。例えば、脂質体の数及び絶食時のグルコースのレベルを、代謝疾患の早期検出及び/又は診断のため一緒に使用することができる。
【0066】
後述される例では、脂質体は、サンプルコンテナを使用し、ピペットを使って該サンプルコンテナの膜に白血球サンプルを取り付ける走査型電子顕微鏡(SEM)で画像形成された。
【0067】
サンプルコンテナは、例えば、PCT特許出願PCT/IL2003/001054号に記載され、WO/2004/075209号として公開され、PCT特許出願PCT/IL03/00457号に記載され、WO03/104848号として公開され、PCT特許出願PCT/IL03/00454号に記載され、WO03/104846号として公開された実施例に開示されたSEM互換性サンプルコンテナ等のサンプルコンテナであってもよい。これらの特許文献の全体的な内容は、ここで参照したことにより本願に組み込まれる。膜は、例えば、PCT特許出願PCT/IL2003/001054号に記載され、WO/2004/075209号として公開され、PCT特許出願PCT/IL03/00457号に記載され、WO03/104848号として公開され、PCT特許出願PCT/IL03/00454号に記載され、WO03/104846号として公開された実施例に開示されたSEM互換性サンプルコンテナの膜等の膜であってもよい。これらの特許文献の全体的な内容は、ここで参照したことにより本願に組み込まれる。ピペットは、例えば、PCT特許出願PCT/IL2003/001054号に記載され、WO/2004/075209号として公開され、PCT特許出願PCT/IL03/00457号に記載され、WO03/104848号として公開され、PCT特許出願PCT/IL03/00454号に記載され、WO03/104846号として公開された実施例に開示されたピペット等のピペットであってもよい。これらの特許文献の全体的な内容は、ここで参照したことにより本願に組み込まれる。他の適切な膜、コンテナ及びピペットを使用することもできる。
【0068】
SEMのサンプルコンテナ内の白血球サンプルの検査は、サンプルの異なる領域の間の材料組成における相違を暴露することができる。例えば、電子後方散乱の効率は、構成原
子の原子番号(Z)に依存している。かくして、ほとんど炭素から構成されたサンプルの脂質の豊富な領域は、ほとんど酸素から構成された水性領域から区別することができる。別の実施例では、重原子を含む物質を、従来の方法を使用してサンプルを染色し、サンプルの構成要素の間の追加のコントラストを提供するために使用することができる。
【0069】
かくして、本方法の実施例は、代謝疾患のための分析ツールを提供することができる。該分析ツールは、複数の目的、例えば、代謝疾患又は異常の早期検出及び/又は診断、代謝疾患のための診断生体マーカー、例えば、臨床研究及び患者における前臨床研究での体重損失ダイエットの薬剤治療又は投与などの治療監視、代謝疾患の進行の監視、代謝疾患を持つ被験者の悪化状態の監視、ターゲットの同定、ターゲット認可のため分析ツールを提供することによる薬剤開発の援助、最適化へと導くように見つけられるインヒビタ及びモデュレータ等の薬剤のスクリーニング、並びに、動物研究と患者の階層化及び分類化など、複数の目的のために用いることができる。
【0070】
分析ツールは、例えば、白血球含有血液サンプルを挿入するためのサンプルコンテナと、被験者の代謝疾患を分析するように脂質体の定量的特徴の分析のためのデータと、を備える人間被験者又は被験動物の代謝疾患分析のためのキットの形態で提供されてもよい。当該データは、脂質体の定量的特徴の閾値であってもよく、代謝疾患分析は、閾値を脂質体の定量的特徴の値と比較することによって実行される。
【0071】
定量的特徴は、上述されたように、例えば、脂質体領域、総脂質体面積、平均脂質体面積、中間の脂質体面積、少なくとも1つの白血球における最大脂質体面積、少なくとも1つの白血球における最小脂質体面積、脂質体含有量、平均脂質体含有量、中間の脂質体含有量、少なくとも1つの白血球における最大脂質体含有量、少なくとも1つの白血球における最小脂質体含有量、脂質体の数、脂質体の総数、脂質体の平均数、脂質体の中間数、少なくとも1つの白血球における最大脂質体数、少なくとも1つの白血球における最小脂質体数、脂質体の重量、脂質体の体積、脂質体のサイズ、脂質体の直径、脂質体の半径、又は、前述したものの組み合わせのいずれであってもよい。
【0072】
更に加えて、コントロール群被験者の統計的分布とは異なっている脂質体当たりの脂質体の数の統計的分布は、代謝疾患分析のために用いることができる。更には、施行処置の後に続く、被験者の統計的分布とは異なっている脂質体当たりの脂質体の数の統計的分布は、上述されたように、代謝疾患分析のために用いることができる。他の任意に示される統計的分布も、被験者の代謝疾患を分析するため使用することができる。
【0073】
上述されたように、分析は、例えば、形態システムにおける画像形成により任意の適切な態様で実行することができる。例えば、画像分析ソフトウェア等の画像分析機能を提供することができる。
【0074】
当該キットは、例えば上述されたように、代謝疾患防止又は治療に関するリガンドの効き目を評価するか又は代謝疾患に関する被験者の悪化状態を監視する、代謝疾患の検出及び/又は診断、代謝疾患の早期検出及び/又は診断等の任意の適切な目的のために使用することができる。
【0075】
ここで、一実施例に従って構成され、作動するキット100の簡単な図である図2Aを参照する。図2Aに示されるように、キット100は、白血球を含む血液サンプルを挿入するためのサンプルコンテナ104を備えている。ペーパー110には、代謝疾患の存在を検出するように、脂質体の定量的特徴の分析のためのデータ120を有する使用説明指令が記載されていてもよい。
【0076】
ここで、一実施例に従って構成され、作動するキット200の簡単な図である図2Bを参照する。図2Bに示されるように、キット200は、白血球を含む血液サンプルを挿入するためのサンプルコンテナ204を備えている。サンプルコンテナ204は、図2Aのサンプルコンテナ104と同一であってもよい。指令は、コンピュータ214のディスプレイ212の電子シート210に表示されてもよく、又は、例えばハードディスク若しくは電子メモリ(例えば、RAM、ROM等)等のメモリデバイスに記憶されてもよい。電子シート210は、代謝疾患の存在を検出するように、脂質体の定量的特徴の分析のためのデータ220を表示することができる。
【0077】
データは、例えば電話を介したデータの送信による等、任意の適切な態様で与えられ、提供されてもよいことが理解されよう。図2A及び図2Bのデータ120及び220は、例えば上述されたような、脂質体の定量的特徴の値、閾値、グラフ及び統計的分析などの、脂質体の定量的特徴の分析のための任意の適切なデータを備えていてもよい。
【0078】
データは、例えば定量的特徴の値のリストとして、任意の適切な形態で提供されてもよい。
図2A及び図2Bのキット100及び200は、上述されたような、任意の適切なサンプルコンテナを備えていてもよい。
【0079】
健康な人間の被験者(A)及び代表的なメタボリックシンドローム患者(B)の好中球含有サンプルの各々の顕微鏡写真である、図3(A及びB)で理解することができるように、メタボリックシンドローム患者から採取されたサンプル中の脂質含有量は、健康な被験者から採取されたサンプルの脂質含有量よりも有意に大きい。図3B(メタボリックシンドローム患者)で理解することができるように、おおよそ2つの脂質体(明るいスポット)を見ることができる図3A(健康な人間の被験者)と比較して、明るいスポットとして細胞の周囲から区別された、有意により大きい数の脂質体、約13もの脂質体が存在している。更には、図3B(メタボリックシンドローム患者)における脂質体面積の平均サイズは、平均の脂質体面積が約0.5μm2である図3A(健康な人間の被験者)と比較して、有意に大きい約1.5μm2となっていることを理解することができる。
【0080】
同様に、健康な人間の被験者(A)及び代表的なメタボリックシンドローム患者(B)の単核白血球含有サンプルの各々の顕微鏡写真である、図4(A及びB)において、メタボリックシンドローム患者から採取されたサンプル中の脂質含有量は、健康な被験者から採取されたサンプルの脂質含有量よりも有意に大きいことを理解することができる。図4B(メタボリックシンドローム患者)で理解することができるように、脂質体が見られない図4A(健康な人間の被験者)と比較して、有意により大きい数の脂質体(明るいスポット)、約8もの脂質体が存在している。
(例1)
全血サンプルは、2人の健康な人間の被験者群と2人のメタボリックシンドローム患者群とから採取された。全血サンプルは、12時間絶食した後に、各人間の被験者から採取された。
(実験処置)
全血サンプルは、クエン酸ナトリウムの溶液を含む管内に収集された。各人間の被験者から全血サンプルを引き抜いた後の4時間で、約1ミリリットルの全血が、335マイクロリットルのデキストラン溶液と混合され、約30分間に亘って約37℃の温度で保温された。デキストラン溶液は、6%のデキストランと、3%のグルコースと、0.9%のNaClと、を含み、全血サンプルとの混合前に約−20℃の温度で格納された。
【0081】
保温後に、全血サンプルは、赤血球部分と白血球部分とに分離された。約335マイクロリットルの白血球部分が赤血球部分から取り出され、0.89mMのカルシウムと0.
49mMのマグネシウムを含む約1ミリリットルのリン酸塩緩衝溶液(PBS)が該白血球部分に添加された。その結果生成された白血球サンプルは、約10分間に亘って約1500rpmの速度で遠心分離機にかけられた。その後、その結果として生成された浮遊物が白血球サンプルから除去された。0.89mMのカルシウムと0.49mMのマグネシウムを含む約150マイクロリットルのPBSが該白血球サンプルに添加された。その結果生成された溶液から約50マイクロリットルが取り出され、0.89mMのカルシウムと0.49mMのマグネシウムを含む約750マイクロリットルのPBSで希釈された。
【0082】
15マイクロリットルの白血球サンプルを含む、生成された溶液の一部分が、ピペットを使用してサンプルコンテナの膜に付着され、次に約15分間に亘って室温で保温された。
【0083】
その後、白血球サンプルが、室温で約30分間に亘って、PBS溶液で希釈された、2%のパラフォルムアルデヒドと0.1%のグルタアルデヒドとの溶液と混合された。次に、白血球サンプルは、PBS溶液で4回洗浄され、再蒸留水で4回洗浄された。
【0084】
サンプルコンテナ内の白血球サンプルの画像形成前に、白血球サンプルは、室温で約30分間に亘って0.5%のOsO4を含む溶液で染色された。次に、白血球サンプルは再蒸留水で4回洗浄された。白血球サンプルは、室温で約5分間に亘って0.5%のウラニルアセテートを含む溶液で染色された。次に、白血球サンプルは再蒸留水で4回洗浄された。
(実験結果)
図5で理解することができるように、健康な人間被験者群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数は、0.457の標準偏差で約5.66である。メタボリックシンドロームの患者群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数は、0.96の標準偏差で約8.88である。好中球細胞当たりの脂質体の平均数は、健康な人間被験者群よりもメタボリックシンドロームの患者群の方が有意に高いことを理解することができる。これに対応して、健康な人間被験者群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.84μm2の標準偏差で約0.74μm2であり、メタボリックシンドロームの患者群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.016μm2の標準偏差で約1.973μm2である。好中球細胞当たりの脂質体の平均面積は、健康な人間被験者群よりもメタボリックシンドロームの患者群の方が有意に高いことを理解することができる(図6)。
【0085】
図7で理解することができるように、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.41の標準偏差で約2.09である。メタボリックシンドロームの患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.37の標準偏差で約4.56である。単核細胞当たりの脂質体の平均数は、健康な人間被験者群よりもメタボリックシンドロームの患者群の方が有意に高いことを理解することができる。これに対応して、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.064μm2の標準偏差で約0.161μm2であり、メタボリックシンドロームの患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.071μm2の標準偏差で約0.444μm2である。単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、健康な人間被験者群よりもメタボリックシンドロームの患者群の方が有意に高いことを理解することができる(図8)。
(例2)
全血サンプルは、2人の健康な人間の被験者群と2人のタイプII糖尿病患者群とから、12時間絶食後、該12時間絶食後に75グラムのデキストロースを含む高いグルコースの食事を取った後、1時間、1.5時間、2時間及び2.5時間経過してから採取された。
(実験処置)
全血サンプルは、クエン酸ナトリウムの溶液を含む管内に収集された。各人間の被験者から全血サンプルを引き抜いた後の4時間で、約1ミリリットルの全血が、335マイクロリットルのデキストラン溶液と混合され、約30分間に亘って約37℃の温度で保温された。デキストラン溶液は、6%のデキストランと、3%のグルコースと、0.9%のNaClと、を含み、全血サンプルとの混合前に約−20℃の温度で格納された。
【0086】
保温後に、全血サンプルは、赤血球部分と白血球部分とに分離された。約335マイクロリットルの白血球部分が赤血球部分から取り出され、0.89mMのカルシウムと0.49mMのマグネシウムを含む約1ミリリットルのリン酸塩緩衝溶液(PBS)が該白血球部分に添加された。その結果生成された白血球サンプルは、約10分間に亘って約1500rpmの速度で遠心分離機にかけられた。その後、その結果として生成された浮遊物が白血球サンプルから除去された。0.89mMのカルシウムと0.49mMのマグネシウムを含む約150マイクロリットルのPBSが該白血球サンプルに添加された。その結果生成された溶液から約50マイクロリットルが取り出され、0.89mMのカルシウムと0.49mMのマグネシウムを含む約750マイクロリットルのPBSで希釈された。
【0087】
15マイクロリットルの白血球サンプルを含む、生成された溶液の一部分が、ピペットを使用してサンプルコンテナの膜に付着され、次に約15分間に亘って室温で保温された。
【0088】
その後、白血球サンプルが、室温で約30分間に亘って、PBS溶液で希釈された、2%のパラフォルムアルデヒドと0.1%のグルタアルデヒドとの溶液と混合された。次に、白血球サンプルは、PBS溶液で4回洗浄され、再蒸留水で4回洗浄された。
【0089】
サンプルコンテナ内の白血球サンプルの画像形成前に、白血球サンプルは、室温で約30分間に亘って0.5%のOsO4を含む溶液で染色された。次に、白血球サンプルは再蒸留水で4回洗浄された。白血球サンプルは、室温で約5分間に亘って0.5%のウラニルアセテートを含む溶液で染色された。次に、白血球サンプルは再蒸留水で4回洗浄された。
(実験結果)
図9で理解することができるように、12時間絶食した後の健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.0165の標準偏差で約2.6202である。12時間絶食した後の糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.1507の標準偏差で約5.44である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後1時間において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.1698の標準偏差で約2.04である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.1698の標準偏差で約2.04である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.1341の標準偏差で約4.53である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1.5時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.1084の標準偏差で約1.54である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1.5時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.6414の標準偏差で約2.36である。
【0090】
12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.11
49の標準偏差で約1.63である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.389の標準偏差で約3.39である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2.5時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.1788の標準偏差で約1.17である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2.5時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.14の標準偏差で約3.81である。単核細胞当たりの脂質体の平均数は、健康な人間被験者群よりも糖尿病の患者群の方が有意に高いことを理解することができる。脂質体の数の揺らぎは、高いグルコースの食事を取った後の様々な時間で示されており、糖尿病患者群における脂質体数の範囲に関わらず、糖尿病患者群における脂質体数は、健康な被験者群の脂質体数よりも有意に高くなっている。
【0091】
上記に対応して、12時間絶食した後の健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.04μm2の標準偏差で約0.23μm2である。12時間絶食した後の糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0227μm2の標準偏差で約0.52μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0615μm2の標準偏差で約0.2μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0121μm2の標準偏差で約0.48μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1.5時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0204μm2の標準偏差で約0.13μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1.5時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0805μm2の標準偏差で約0.2μm2である。
【0092】
12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0228μm2の標準偏差で約0.13μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.118μm2の標準偏差で約0.33μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2.5時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0114μm2の標準偏差で約0.11μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2.5時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0697μm2の標準偏差で約0.37μm2である。単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、健康な人間被験者群よりも糖尿病の患者群の方が有意に高いことを理解することができる。脂質体の面積の揺らぎは、高いグルコースの食事を取った後の様々な時間で示されており、糖尿病患者群における脂質体面積の値の範囲に関わらず、糖尿病患者群における脂質体面積は、健康な被験者群の脂質体面積よりも有意に高くなっている(図10)。
【0093】
脂質体数及び脂質体面積の値は、2人の健康な人間の被験者群及び2人の糖尿病患者群の絶食グルコーステストの結果に対応している。2人の健康な人間の被験者群及び2人の糖尿病患者群の絶食グルコースの各々の値は、90mg/L、91mg/L、147mg/L及び182mg/Lであり、人間被験者を糖尿病として診断するための閾値は、約100mg/dLである。
(例3)
全血サンプルは、3匹のコントロールマウス群と3匹のアテローム性動脈硬化症のApoE欠損マウス群とから採取された。
(実験処置)
全血サンプルは、エチレンジアミン四酢酸の溶液を含む管内に収集された。全血を引き抜いた後の1時間で、約300ミリリットルの全血が、900マイクロリットルの赤血球分解溶液と時折攪拌して混合された。
【0094】
赤血球分解溶液は、USA、MN55441、ミネソタポリス、シュート120、アベニューN、10番地13355で、ジェントラ入ステムから商品名PURGENEで市販されている。
【0095】
保温後に、全血サンプルは、約5分間に亘って約1200rpmの速度で遠心分離機にかけられた。その後、その結果として生成された浮遊物がサンプルから除去され、よって白血球を含む部分が残り、白血球サンプルを形成した。0.89mMのカルシウムと0.49mMのマグネシウムを含む約100マイクロリットルのPBSが該白血球サンプルに添加された。
【0096】
15マイクロリットルの白血球サンプルを含む、溶液の一部分が、ピペットを使用してサンプルコンテナの膜に付着され、次に約60分間に亘って室温で保温された。
その後、白血球サンプルが、室温で約30分間に亘って、PBS溶液で希釈された、2%のパラフォルムアルデヒドと0.1%のグルタアルデヒドとの溶液と混合された。次に、白血球サンプルは、PBS溶液で4回洗浄され、再蒸留水で4回洗浄された。
【0097】
サンプルコンテナ内の白血球サンプルの画像形成前に、白血球サンプルは、室温で約30分間に亘って0.5%のOsO4を含む溶液で染色された。次に、白血球サンプルは再蒸留水で4回洗浄された。白血球サンプルは、室温で約5分間に亘って0.5%のウラニルアセテートを含む溶液で染色された。次に、白血球サンプルは再蒸留水で4回洗浄された。
(実験結果)
図11で理解することができるように、コントロールマウス群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数は、0.0314の標準偏差で約0.83であり、ApoE欠損マウス群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数は、1.701の標準偏差で約6.68である。好中球細胞当たりの脂質体の平均数は、コントロールマウス群よりもApoE欠損マウス群の方が有意に高いことを理解することができる。これに対応して、コントロールマウス群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0043μm2の標準偏差で約0.06μm2であり、ApoE欠損マウス群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.255μm2の標準偏差で約0.671μm2である。好中球細胞当たりの脂質体の平均面積は、コントロールマウス群よりもApoE欠損マウス群の方が有意に高いことを理解することができる(図12)。
【0098】
コントロールマウス群とアテローム性動脈硬化症のApoE欠損マウス群とから採取された白血球サンプルの、好中球細胞当たりの脂質体の平均数対好中球細胞当たりの脂質体の平均面積の統計的分布である図13を参照すると、ApoE欠損マウス群の統計的分布はコントロールマウス群統計的分布とは異なっていることを理解することができる。
【0099】
上述された例1乃至3において、測定された脂質体面積は、脂質体を画定する球状形状の大円内に拘束された表面の面積である。
本発明は、特別に図示され、上述されたように説明されたものによって限定されるもの
ではないことが当業者には認められよう。本発明の範囲は、上述された様々な特徴並びに本明細書を読むとき当業者に想到される従来技術内にはない変形及び変更の組み合わせ及び副次的な組み合わせの両方を網羅する。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1A】図1Aは、本発明の一実施例に係る方法の簡単化されたフローチャートを示す。
【図1B】図1Bは、本発明の一実施例に係る方法の簡単化されたフローチャートを示す。
【図1C】図1Cは、本発明の一実施例に係る方法の簡単化されたフローチャートを示す。
【図1D】図1Dは、本発明の一実施例に係る方法の簡単化されたフローチャートを示す。
【図2A】図2Aは、本発明の一実施例に従って構成され、動作するキットの簡単な図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施例に従って構成され、動作するキットの簡単な図である。
【図3】図3(A及びB)は、代表的な健康な人の被験者(A)及び代表的なメタボリックシンドロームの患者(B)の好中性球含有サンプルの顕微鏡写真である。
【図4】図4(A及びB)は、代表的な健康な人間の被験者(A)及び代表的なメタボリックシンドロームの患者(B)の単核白血球含有サンプルの顕微鏡写真である。
【図5】図5は、12時間絶食した後の、2人の健康な人間の被験者及び2人のメタボリックシンドロームの患者から採取された白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数のグラフである。
【図6】図6は、12時間絶食した後の、2人の健康的な人間の被験者及び2人のメタボリックシンドロームの患者から採取された白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均面線のグラフである。
【図7】図7は、12時間絶食した後の、2人の健康的な人間の被験者及び2人のメタボリックシンドロームの患者から採取された単核白血球細胞当たりの脂質体の平均数のグラフである。
【図8】図8は、12時間絶食した後の、2人の健康的な人間の被験者及び2人のメタボリックシンドロームの患者から採取された単核白血球細胞当たりの脂質体の平均面積のグラフである。
【図9】図9は、12時間絶食したとき、並びに、12時間絶食した後に高いグルコースの食事に続いて1、1.5時間、2時間及び2.5時間経過した後における、2人の健康的な人間の被験者及び2人のメタボリックシンドロームの患者から採取された単核白血球細胞当たりの脂質体の平均数のグラフである。
【図10】図10は、12時間絶食したとき、並びに、12時間絶食した後に高いグルコースの食事に続いて1、1.5時間、2時間及び2.5時間経過した後における、2人の健康的な人間の被験者及び2人のメタボリックシンドロームの患者から採取された単核白血球細胞当たりの脂質体の平均面積のグラフである。
【図11】図11は、3匹のコントロールマウス群及び3匹のアテローム性動脈硬化症のApoE欠損マウスから採取された白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数のグラフである。
【図12】図12は、3匹のコントロールマウス群及び3匹のアテローム性動脈硬化症のApoE欠損マウスから採取された白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均面積のグラフである。
【図13】図13は、3匹のコントロールマウス群及び3匹のアテローム性動脈硬化症のApoE欠損マウスから採取された白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数対好中球細胞当たりの脂質体の平均面積の統計的な分布のグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、代謝疾患又は他の異常を分析するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
代謝疾患又は異常は、最も一般的な人間の慢性の病気及び合併症のうちの一つである。代謝疾患として、例えば、代謝病、代謝障害、アテローム性動脈硬化、グルコース過敏症、タイプIIの糖尿病、メタボリックシンドローム、インシュリン抵抗、前糖尿病、脂肪毒性、脂肪肝、脂肪性肝炎、脂肪症、肥満、発作、心臓血管病、高脂肪血症、又は、例えば、糖尿病性網膜症若しくは糖尿病性腎障害若しくは、代謝病又は代謝傷害に属する他の危険な因子等の代謝疾患合併症が挙げられるが、これらに限定されるものではない。代謝疾患の病因は、包括的で環境の効果を含む多数の因子であると考えられる。
【0003】
アテローム性動脈硬化症は、血管内の血液の移動のための通路を狭める、血管壁内に形成された肥満沈殿物によって引き起こされる冠状動脈病である。これは、冠状動脈の究極的な妨害物を生じさせ、心臓発作をもたらし、アメリカ合衆国における早死の指折りの原因となっている。
【0004】
脂肪肝は、肝臓の大滴性肝脂肪沈着により歴史的に特徴付けられた臨床条件の範囲を包含する。脂肪肝疾患の組織病理学的範囲は、単純な脂肪肝(脂肪症)から脂肪性肝炎、変わり易い程度の繊維症を有する肝炎の異型まで及んでいる。脂肪性肝炎は、漸進性であり、肝硬変、肝疾患、及び、肝細胞性癌へと導きかねず、原因不明の肝硬変の主要な原因となり得る。脂肪性肝臓疾患に関する共通の危険因子は、肥満、タイプII糖尿病、及び、高脂肪血症である。
【0005】
タイプII糖尿病は、非常に一般的な人間の慢性疾患のうちの一つであり、アメリカ合衆国における大人人口のほとんど8%及び65歳を超えた人の19%に影響を及ぼしている。
【0006】
メタボリックシンドロームは、例えば、冠状動脈病及び糖尿病等、様々な疾患に関する危険因子の集中的な発生である。例えば、アメリカ合衆国で生活している大人の25%は、メタボリックシンドロームと診断される。メタボリックシンドロームの異常生理学は、インシュリン抵抗に関連していると考えられている。危険因子は、一般に、次の要素の蓄積として定義することができる。即ち、男では102cm以上、女では88cm以上の高いウェスト環境、例えば150mg/dL以上の高いトリグリセリド、男では40mg未満、女では50mg/dL未満等の減少した高密度リポプロテイン、例えば130/85mmHg以上の高い血圧、並びに、例えば100mg/dL以上の高い絶食時グルコースである。メタボリックシンドロームは、他の危険因子を含み得ることが認められる。更には、危険因子は、様々な集団においてばらつき得る。
【0007】
代謝疾患の多くは、トリグリセリドの蓄積及びインシュリン抵抗によって特徴付けられる。
例えば筋肉、肝臓及び膵臓組織等の様々な身体組織におけるトリグリセリドの蓄積は、代謝疾患の増大へと導く、組織特有のインシュリン抵抗の重要な因子であると考えられている。更には、脂質体という用語と同義である脂質液滴の蓄積は、組織において、インシュリン抵抗の形成時に早期に生じ、その過酷さと相関している。多数の科学的な論文は、筋肉組織内の脂質含有量を測定することによってインシュリン抵抗に関連する疾患の診断
のための方法を記載している(ケーリーDE、グッドペスターBH、及び、ストルリーンLによる筋肉トリグリセリド及びインシュリン抵抗、アンヌレビューNutr 22:325-346、2002;グッドペスターB及びケーリーD.スケレータル筋肉トリグリセリド、タイプIIの糖尿病における肥満誘導のインシュリン抵抗のマーカー又は媒介物、現在の糖尿病報告2:216−222,2002)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施例は、代謝疾患の存在及び過酷さを診断し、検出し、予測し及び/又は監視するための方法、並びに、代謝疾患を治療又は防止するためリガンドの効き目及び/又は効能を選別するための方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かくして、本発明の一実施態様に係る方法が提供され、該方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備える。
【0010】
本発明の一実施態様によれば、白血球サンプルの脂質体の定量的特徴を計測するための方法が提供され、該方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システムに導入し、前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備える。
【0011】
かくして、本発明の一実施態様によれば、被験者の代謝疾患を検出するための方法が提供され、該方法は、前記被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、前記被験者は代謝疾患を有するものとして検出される。
【0012】
本発明の一実施態様によれば、代謝疾患を早期に検出するための方法が提供され、該方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、前記被験者は代謝疾患を発展させ易い性質を有するものとして検出される。
【0013】
本発明の一実施態様によれば、代謝疾患を監視するための方法が提供され、該方法は、前記被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の脂質体の定量的特徴の値が閾値と有意に異なっているか否かを評価することによって、前記白血球の脂質体の前記定量的特徴を分析し、これによって代謝疾患を監視する、各工程を備える。
【0014】
本発明の一実施態様によれば、代謝疾患の防止又は治療に関してリガンドの効き目を評価するための方法が提供され、該方法は、前記リガンドを被験者に投与した後に、代謝疾患を有する該被験者から白血球を含む血液サンプルを採取し、前記血液サンプルを検査システム内に導入し、 前記血液サンプルの前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が代謝疾患を有する治療されていない被験者の血液サンプルの白血球の脂質体の定量的特徴の値よりも低い場合、前記リガンドは代謝疾患の治療又は防止に効き目が有るものとして検出される。
【0015】
かくして、本発明の一実施態様によれば、被験者の代謝疾患を分析するためのキットが
提供され、該キットは、白血球を含む血液サンプルを挿入するためのサンプルコンテナと、前記代謝疾患の存在を検出するように前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析するためのデータと、を備える。
【実施例】
【0016】
次の説明では、本発明の様々な態様が記載される。説明の目的のため、特定の構成及び詳細な事項が、本発明の徹底した理解を提供するため記載されている。しかし、本発明は、本明細書で与えられた特定の詳細な事項無しに、実施することができることが当業者には明らかであろう。更には、周知した特徴は、本発明を不明瞭にしないため省略されたり或いは簡単化され得る。
【0017】
本発明の実施例は、人間の被験者又は動物における例えば単核白血球群、好中球細胞群、エオシン好性白血球群、好塩基性球群、リンパ球群、又は、マクロファージ群等内におけるのような、白血球サンプル中の脂質体の検査によって代謝疾患又は異常を診断し検出するための非侵入式方法を提供することができる。
【0018】
本発明の一実施例では、代謝疾患又は異常として、例えば、代謝病、代謝傷害、アテローム性動脈硬化、グルコース過敏症、タイプIIの糖尿病、メタボリックシンドローム、インシュリン抵抗、前糖尿病、脂肪毒性、脂肪肝、脂肪性肝炎、脂肪症、肥満、発作、心臓血管病、高脂肪血症、又は、例えば、糖尿病性網膜症若しくは糖尿病性腎障害若しくは、代謝病又は代謝傷害に属する他の危険な因子等の代謝疾患合併症が挙げられるが、これらの限定されるものではない。他の代謝疾患又は異常を検出及び/又は診断することもできる。
【0019】
代謝疾患は、最も一般的な人間の慢性の病気のうちの一つである。この代謝疾患の病因は、包括的で環境の効果を含む多数の因子であると考えられる。
例えば筋肉、肝臓又は膵臓組織等の身体の様々な組織において脂質体という用語と同義である、トリグリセリド蓄積等の脂肪液滴の蓄積は、代謝疾患の増大へと導く、組織特有のインシュリン抵抗の重要な因子であると考えられている。新たなる証拠は、代謝疾患における病因事象として炎症の役割を示唆している。
【0020】
かくして、炎症を起こした白血球における脂質体蓄積並びに代謝疾患の発展における炎症の役割を考慮すると、周囲の白血球及び単核好中球細胞等のマクロファージ内のトリグリセリド又はエイコサノイド等の蓄積などの脂質蓄積の定量的且つ形態学的特徴は、白血球サンプル中の1又は複数の脂質体の検査及び/又は計測により代謝疾患を分析するための非侵入式方法を提供することができるという仮説が成り立つ。
【0021】
ここで、代謝障害又は異常を検出するための方法の一実施例の簡単化されたフローチャートである図1Aを参照する。図1Aに示されるように、ブロック10では、白血球を含む血液サンプルを、検査システム内に挿入することができる。白血球中の脂質体の定量的特徴の分析を、ブロック12に示されるように、実行することができる。ブロック14に示されるように、定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、ブロック16に示されるように代謝疾患を検出することができる。定量的特徴の値が閾値と大して異なっていない場合には、ブロック18に示されるように、代謝疾患は、検出されないとすることができる。
【0022】
図1Aに記載された方法の実施例は、任意の適切な態様及び任意の適切な順序で実行することができることが認められる。他の作業を使用することもできる。
被験者において代謝疾患又は異常を検出し及び/又は診断するための本発明の一実施例に係る方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入
し、白血球中の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、被験者から採取された血液サンプル中の白血球内の脂質体の定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、被験者は代謝疾患を有するものとして診断及び/又は検出される。
【0023】
本発明の一実施例に係る方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、白血球中の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備えている。
【0024】
本発明の一実施例に係る白血球中の脂質体の定量的特徴の計測のための方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、白血球中の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備えている。
【0025】
本発明の一実施例に係る方法は、任意の適切な方法、典型的には静脈穿刺によって人間又は動物の被験者から全血サンプルを取得する工程を備えている。全血は、任意の適切な方法によって、例えば全血サンプルを保温し、かくして白血球部分を赤血球部分から概略分離させることによって、白血球を得るため分離される。取り出された白血球部分は、その後、遠心分離機にかけられる。白血球は、例えば、尿等の任意の適切な身体部分から採取されてもよいことが理解されよう。
【0026】
例えば、フォルムアルデヒド、グルタラルデヒド等のアルデヒドの添加、メタノールの添加、三酸化オスミウム、又は、それらの組み合わせ等の任意の従来の固定方法を使用した分析のために、画像形成前に白血球を準備することができる。代替例として、事前の固定無しに、白血球のサンプルが分析され、画像形成することができる。
【0027】
例えば、計測システム等の検査システム内のサンプルの検査によるなどの任意の適切な方法によって、分析を実行することができる。計測システムは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡、例えば、典型的にはナイルレッド染色、蛍光活動細胞分類手段(FACS)又は酵素架橋免疫吸着剤分析評価(ELISA)を使用した共焦光顕微鏡、蛍光顕微鏡等の光顕微鏡などの、サンプルを測定するためのシステムであるが、これらの例に限定されるものではない。
【0028】
代替例として、分析は、例えば画像形成システム等の検査システムでサンプルを画像形成し、その後、人間の視覚化の間にサンプルを測定すること等によって任意の適切な方法を用いてサンプルを測定する、各工程を備えることができる。
【0029】
脂質体の分析は、本発明の一実施例では、白血球サンプル中の脂質体の定量的特徴を測定する工程を備えている。
定量的特徴の測定の1つ又は複数の値を生じさせることは、被験者において、代謝疾患の存在又は過酷さを診断、検出又は予測するためのデータとして使用することができる。定量的特徴の値は、閾値と比較して有意に異なっている場合、被験者は、代謝疾患を有するか又は該代謝疾患を発展させることに影響を及ぼすものとして診断され及び/又は検出される。
【0030】
「定量的特徴」という用語は、1つ又は複数の細胞内の脂質体の平均、中間又は総合した、脂質含有量、面積、体積、重量若しくは数等、1つ又は複数の細胞当たりの脂質体の最大若しくは最小である、脂質体含有量、面積、重量若しくは体積、及び/又は、1つ又は複数の細胞当たりの脂質体の最大若しくは最小数、或いは、直径若しくは半径等の任意の脂質体のサイズ、形態的な特徴、又は、それらの組み合わせ等の脂質体の任意の測定可能な特徴を表すことができるが、これらの例に限定されるものではないことが理解されよう。
【0031】
脂質体含有量は、単一の脂質体若しくは複数の脂質体における総合した脂質体面積である。
本発明の一実施例では、測定された脂質体面積は、脂質体を画定する球状形状の大円内に拘束された表面の面積である。大円は、球の直径を備える球の区分として、通例、定義される。更には、測定された脂質体面積は、脂質体の断面積等、任意の適切な測定値であってもよい。
【0032】
「有意に異なる」又は「有意な相違」という用語は、被験者から導出された血液サンプルの脂質体の定量的特徴と、コントロール群から導出された血液サンプルの脂質体の定量的特徴との間の任意の測定可能な差異を表すことができる。一実施例では、この差異は、約30%以下であってもよい。代替例として、当該差異は、30%、40%、50%、70%、100%以上の差異を表すことができる。加えて、当該差異は、コントロール群から導出された血液サンプルの脂質体の定量的特徴と比較した、被験者から導出された血液サンプルの脂質体の定量的特徴のうち約1.5、2、3、4、5又は6以上の因子の増大とすることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
有意な差異は、実質的な差異又はかなりの差異のいずれであってもよい。
例えば、人間又は動物の被験者からの白血球サンプル内の脂質体面積が、コントロール群から導出された白血球サンプル内の脂質体面積よりもかなり高い場合には、当該被験者は、代謝疾患を有するものとして診断及び/又は検出される。
【0034】
なお、「コントロール群」という用語は、当該用途において、健康な被験者か、又は、1人以上の健康な被験者から導出され、計算されたデータへ参照される。被験者は、動物であっても人間であってもよい。
【0035】
分析工程は、本発明の任意の実施例において、被験者から導出された血液サンプルにおける脂質体の定量的特徴を計算し、被験者からの血液サンプルの定量的特徴の結果値をコントロール群からの血液サンプルの定量的特徴の値と比較する、各工程を備える。
【0036】
閾値は一定値であってもよく、例えば、被験者の脂質体面積が一定閾値より高い場合、被験者は、代謝疾患を有するものとして診断され及び/又は検出される。当該閾値は、様々に異なる集団及び/又は様々な異なる環境状況でばらつき得ると認められる。
【0037】
加えて、例えば、コントロール群の被験者の統計的分布とは異なる、脂質体面積当たりの脂質体の数の統計的分布は、被験者が代謝疾患を持っていることを示すことができる。他の示唆的な統計的分布を、被験者における代謝疾患を診断し及び/又は検出するために使用することができる。
【0038】
被験者から導出された白血球を含むサンプルの定量的特徴の分析と、施行処置後に被験者から導出された白血球を含むサンプルとの比較とからデータがもたらされ、施行処置に続いて被験者から導出された白血球を含むサンプルの脂質体の定量的特徴は、処置の施行前における被験者からの白血球サンプルの脂質体の定量的特徴と比較して、施行処置に従って、かなり高くなったり、低くなったりし得ることが更に理解されよう。
【0039】
典型的には、「施行処置」という用語は、絶食、物理的な活動、栄養素補給、医療治療、又は、日から週若しくは月までの時間の差異等の時間の経過、又は、上記したものの組み合わせを指すことができる。
【0040】
医療治療には、代謝疾患のための処置が含まれているが、これに限定されるものではな
い。任意の適切な施行処置を用いることができると認められる。
様々な施行処置は、脂質体の定量的特徴において様々に異なる反応を引き起こすことができると認められる。例えば、医療処置に続く人間又は動物の被験者からの白血球サンプルにおける脂質体の定量的特徴は、医療処置前に被験者から採取された白血球サンプルにおける脂質体の定量的特徴よりもかなり低くなり得ることが認められよう。
【0041】
代替例として、例えば、処置の施行により引き起こされる被験者の脂質体の定量的特徴の値の増加は、処置の施行により引き起こされるコントロール群の脂質体の定量的特徴の値の増加よりもかなり高い場合、当該被験者は、代謝疾患を有するものとして診断及び/又は検出される。
【0042】
一実施例に係る方法は、適切に施行された処置又は介入との被験者の適合性に従って被験者を階層化するため使用することができると認められる。
例えば、製剤の投与又はダイエット等のように施行された処置に続いて被験者群から導出された白血球サンプルの脂質体の定量的特徴を、被験者群のための代謝疾患の防止及び/又は治療における施行処置の適合性及び/又は効果を評価するように分析することができる。例えば、製剤の投与又はダイエットによって治療された人間被験者群から導出された血液サンプルの脂質液滴の数が、製剤の投与又はダイエットの前に人間被験者群から導出された血液サンプルの脂質液滴の数よりも小さい場合には、人間被験者の群は、適合可能であり及び/又は製剤又はダイエットにより治療されたものとして人間被験者群を階層化することができる。
【0043】
更に加えて、1人又は複数人の被験者から導出された白血球サンプルの脂質体の定量的特徴の分析結果を、1人又は複数人の被験者にとって適切な治療のコースを決定するため1人又は複数人の被験者を階層化するように使用することができる。例えば、1人又は複数人の人間被験者から導出された血液サンプルの脂質液滴の数が閾値と有意に異なっている場合、1人又は複数人の被験者を、例えば、製剤又は特定のダイエットによる治療等の特定の治療コースに追従することができる1人又は複数人の被験者として階層化することができる。
【0044】
分析工程は、本発明の任意の実施例において、被験者から導出された血液サンプルにおける脂質体の定量的特徴を計算し、被験者から導出された血液サンプルにおける脂質体の定量的特徴の結果としての値を、施行処置後に被験者から導出された血液サンプルにおける脂質体の定量的特徴の値と比較する、各工程を備えている。
【0045】
白血球の成分を含む任意の脂質で分析を実行することができると認められる。
一実施例に係る方法は、被験体における代謝疾患又は異常の早期の検出及び/又は診断のために使用することができる。当該被験体は、次の例に限定するものではないが、肥満であるか又は代謝疾患の家族履歴を有して代謝疾患を発展させるリスクをかかえた人間被験者、又は代謝疾患を発展させる他の任意のリスクを有する人間被験者であり得る。本発明の一実施例では、被験体は、例えば、代謝疾患を発展させる傾向性を有するように遺伝的に治療された動物、又は、これに限定されるものではないが高肥満ダイエット食事を供給されることによって、代謝疾患を発展させる傾向性を誘導された動物等の動物であってもよい。
【0046】
ここで、代謝疾患又は異常の早期検出のための方法の一実施例の簡単化されたフローチャートである図1Bを参照する。図1Bに示されるように、ブロック20では、白血球を含む血液サンプルを検査システム内に挿入することができる。反応物における脂質体の定量的特徴の分析を、ブロック22に示されるように実行することができる。ブロック24に示されるように、定量的特徴の値が、閾値と有意に異なっている場合には、ブロック2
6に示されるように、代謝疾患を発展させ易い性質を検出することができる。定量的特徴の値が、閾値と大して異なっていない場合には、ブロック28に示されるように、代謝疾患を発展させ易い性質が検出されないこととなる。
【0047】
図1Bに記載された方法の実施例は、任意の適切な態様及び任意の適切な順序で実行することができることが理解されよう。他の作業を使用することができる。
代謝疾患又は異常の早期検出及び/又は診断のための本発明の一実施例に係る方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、白血球内の脂質体の定量的特徴を分析し、被験者から採取された該白血球内の脂質体の定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合には、被験者が代謝疾患を発展させ易い性質を有するものとして検出される。
【0048】
早期の検出及び/又は診断を、例えば、白血球サンプル内の脂質体の任意の定量的特徴を測定することによって実行することができる。
測定結果の1つ以上の値を、代謝疾患の早期検出及び/又は診断のためのデータとして使用することができる。
【0049】
例えば、人間又は動物の被験者からの白血球サンプルにおける脂質体含有量が、コントロール群から導出された白血球サンプル内の脂質体含有量よりも高い場合、当該被験者は、代謝疾患を発展させやすい性質を有するものと検出される。
【0050】
例えば、上述された差異及び閾値等の、有意な差異又は閾値の任意の適切な値を用いることができることが理解されよう。更に加えて、定量的特徴の任意の適切な表現を、上述のように用いることができる。
【0051】
上述したように、被験者から導出された白血球含有サンプルの定量的特徴の値を、施行処置の後の被験者から導出された白血球含有サンプルの定量的特徴の値と比較することによりデータを生じさせることができることが更に理解されよう。
【0052】
ここで、代謝疾患又は異常の防止又は治療のためのリガンドの効き目及び/又は効能を評価するための方法の実施例の簡単なフローチャートである図1Cを参照する。図1Cに示されるように、ブロック30では、リガンドが被験者に投与される。ブロック32では、白血球を含む血液サンプルが被験者から採取される。ブロック34では、血液サンプルを検査システム内に挿入することができる。ブロック36に示されるように、白血球内の脂質体の定量的特徴の分析を実行することができる。ブロック38に示されるように、定量的特徴の値が治療していない被験者から導出された定量的特徴の値よりも低い場合、ブロック40に示されるように、リガンドは、代謝疾患治療に効き目有り即ち有効であるとされる。定量的特徴の値が治療していない被験者から導出された定量的特徴の値よりも大して低くない場合、ブロック42に示されるように、リガンドは、代謝疾患治療に効き目無し即ち無効果であるとされる。
【0053】
図1Cに記載された方法の実施例は、任意の適切な態様及び任意の適切な順序で実行することができることが理解されよう。他の作業も使用することができる。
一実施例に係る方法は、代謝疾患又は異常の防止又は治療のためのリガンドの効果及び/又は効能を評価するために使用することができ、該方法は、被験者へのリガンドの投与の後で代謝疾患を持つ被験者から白血球を含む血液サンプルを採取し、該血液サンプルを検査システム内に導入し、血液サンプルの白血球内の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、当該血液サンプルの白血球内の脂質体の定量的特徴の値が、代謝疾患を持ち、治療していない被験者の血液サンプルの白血球内の脂質体の定量的特徴の値よりも低い場合、当該リガンドは、代謝疾患の防止又は治療のためのリガンドに効能有りと検出され
る。
【0054】
リガンドは、例えば、化学試薬、核酸、薬剤、核酸、リボゾーム、RNA、抗体、ププチド、又は、化合物であってもよい。リガンドは、例えば、代謝疾患を治療するための可能な薬剤候補又は先導成分若しくは分子とすることができる。
【0055】
リガンドの評価は、例えば、白血球サンプル内の脂質体の定量的特徴を測定することによって、実行することができる。白血球サンプルは、人間の被験者又は動物から導出されたサンプルであってもよい。
【0056】
測定結果の1つ以上の値を、代謝疾患の防止又は治療のためのリガンドの効き目及び/又は効能を評価するためのデータとして使用することができる。
例えば、代謝疾患を持つ治療していない被験者又は代謝疾患を持つ動物モデルからの白血球サンプルの脂質体面積が、リガンドを投与された代謝疾患を持つ被験者から導出された白血球サンプルにおける脂質体面積よりも大きい場合、当該リガンドは、代謝疾患の治療又は防止にとって効き目があり及び/又は有効であると検出される。
【0057】
代替例として、代謝疾患が誘発される前にリガンドが投与された被験動物からの白血球サンプルの脂質体面積の値が、代謝疾患の誘発後に被験動物から導出された白血球サンプルにおける脂質体面積の値にほぼ等しい場合、リガンドは、代謝疾患の治療又は防止にとって効き目があり及び/又は有効であると検出される。被験者から導出された白血球含有サンプルの定量的特徴を、被験者にリガンドを投与した後の被験者から導出された白血球含有サンプルの定量的特徴の値とを比較することによりデータをもたらすことができることが更に認められる。
【0058】
上述した差異即ち閾値等のような、有意な差即ち閾値の任意の適切な値を用いることができることが理解されよう。加えて、定量的特徴の任意の適切な表現を、上述されたように用いることができる。
【0059】
一実施例に係る方法は、代謝疾患を監視するため使用することができる。被験者は、代謝疾患を有する人間の被験者又は被験動物のいずれであってもよい。
ここで、被験者の代謝疾患又は異常を監視するための方法の一実施例の簡単なフローチャートである図1Dを参照する。図1Dに示されるように、ブロック50では、被験者から導出された白血球を含む血液サンプルが検査システムに挿入される。ブロック52に示されるように、白血球内の脂質体の定量的特徴の分析を実行することができる。ブロック54に示されるように、定量的特徴の値が閾値よりも有意に高い場合、ブロック56に示されるように、被験者の代謝疾患が劣化した可能性がある。定量的特徴の値が閾値よりも大して高くない場合、ブロック58に示されるように、被験者の代謝疾患は改善されたか又は変化していない可能性がある。
【0060】
図1Dに記載された方法の実施例は、任意の適切な態様及び任意の適切な順序で実行することができることが理解されよう。他の作業も使用することができる。
代謝疾患又は異常を監視するための一実施例に係る方法は、被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、被験者から採取された血液サンプルの白血球内の脂質体の定量的特徴の値が閾値と有意に異なっているか否かを評価することによって、血液サンプルの白血球内の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、これによって代謝疾患を監視する。
【0061】
監視工程は、例えば、白血球サンプル内の脂質体の定量的特徴を測定することによって実行することができる。
定量的特徴の測定結果の1つ以上の値を、例えば代謝疾患を監視するためのデータとして使用することができる。定量的特徴の値は、代謝疾患を監視するため所定の閾値と比較することができる。
【0062】
例えば、被験者への施行処置の前に被験者から導出された白血球サンプルにおける脂質体面積の値が、被験者への施行処置の後に被験者から導出された白血球サンプルにおける脂質体面積の値よりも有意に高い場合、代謝疾患を有する被験者における改善が監視される。
【0063】
施行処置は、例えば、数日、数週間又は数ヶ月の経過等の時間の進行を含む、上述されたような任意の適切な処置であってもよい。時間の進行前に、被験者から導出された白血球サンプルにおける脂質体面積の値が、時間の経過の後に被験者から導出された白血球サンプルにおける脂質体面積の値よりも有意に異なり、例えば高い場合、代謝疾患を有する被験者における改善が検出される。
【0064】
上述した差異即ち閾値等のような、有意な差即ち閾値の任意の適切な値を用いることができることが理解されよう。加えて、定量的特徴の任意の適切な表現を、上述されたように用いることができる。
【0065】
なお、他の従来方法を用いて得られたデータは、代謝疾患分析のため上述された実施例における定量的特徴の値を含むデータと連結して使用することができる。例えば、脂質体の数及び絶食時のグルコースのレベルを、代謝疾患の早期検出及び/又は診断のため一緒に使用することができる。
【0066】
後述される例では、脂質体は、サンプルコンテナを使用し、ピペットを使って該サンプルコンテナの膜に白血球サンプルを取り付ける走査型電子顕微鏡(SEM)で画像形成された。
【0067】
サンプルコンテナは、例えば、PCT特許出願PCT/IL2003/001054号に記載され、WO/2004/075209号として公開され、PCT特許出願PCT/IL03/00457号に記載され、WO03/104848号として公開され、PCT特許出願PCT/IL03/00454号に記載され、WO03/104846号として公開された実施例に開示されたSEM互換性サンプルコンテナ等のサンプルコンテナであってもよい。これらの特許文献の全体的な内容は、ここで参照したことにより本願に組み込まれる。膜は、例えば、PCT特許出願PCT/IL2003/001054号に記載され、WO/2004/075209号として公開され、PCT特許出願PCT/IL03/00457号に記載され、WO03/104848号として公開され、PCT特許出願PCT/IL03/00454号に記載され、WO03/104846号として公開された実施例に開示されたSEM互換性サンプルコンテナの膜等の膜であってもよい。これらの特許文献の全体的な内容は、ここで参照したことにより本願に組み込まれる。ピペットは、例えば、PCT特許出願PCT/IL2003/001054号に記載され、WO/2004/075209号として公開され、PCT特許出願PCT/IL03/00457号に記載され、WO03/104848号として公開され、PCT特許出願PCT/IL03/00454号に記載され、WO03/104846号として公開された実施例に開示されたピペット等のピペットであってもよい。これらの特許文献の全体的な内容は、ここで参照したことにより本願に組み込まれる。他の適切な膜、コンテナ及びピペットを使用することもできる。
【0068】
SEMのサンプルコンテナ内の白血球サンプルの検査は、サンプルの異なる領域の間の材料組成における相違を暴露することができる。例えば、電子後方散乱の効率は、構成原
子の原子番号(Z)に依存している。かくして、ほとんど炭素から構成されたサンプルの脂質の豊富な領域は、ほとんど酸素から構成された水性領域から区別することができる。別の実施例では、重原子を含む物質を、従来の方法を使用してサンプルを染色し、サンプルの構成要素の間の追加のコントラストを提供するために使用することができる。
【0069】
かくして、本方法の実施例は、代謝疾患のための分析ツールを提供することができる。該分析ツールは、複数の目的、例えば、代謝疾患又は異常の早期検出及び/又は診断、代謝疾患のための診断生体マーカー、例えば、臨床研究及び患者における前臨床研究での体重損失ダイエットの薬剤治療又は投与などの治療監視、代謝疾患の進行の監視、代謝疾患を持つ被験者の悪化状態の監視、ターゲットの同定、ターゲット認可のため分析ツールを提供することによる薬剤開発の援助、最適化へと導くように見つけられるインヒビタ及びモデュレータ等の薬剤のスクリーニング、並びに、動物研究と患者の階層化及び分類化など、複数の目的のために用いることができる。
【0070】
分析ツールは、例えば、白血球含有血液サンプルを挿入するためのサンプルコンテナと、被験者の代謝疾患を分析するように脂質体の定量的特徴の分析のためのデータと、を備える人間被験者又は被験動物の代謝疾患分析のためのキットの形態で提供されてもよい。当該データは、脂質体の定量的特徴の閾値であってもよく、代謝疾患分析は、閾値を脂質体の定量的特徴の値と比較することによって実行される。
【0071】
定量的特徴は、上述されたように、例えば、脂質体領域、総脂質体面積、平均脂質体面積、中間の脂質体面積、少なくとも1つの白血球における最大脂質体面積、少なくとも1つの白血球における最小脂質体面積、脂質体含有量、平均脂質体含有量、中間の脂質体含有量、少なくとも1つの白血球における最大脂質体含有量、少なくとも1つの白血球における最小脂質体含有量、脂質体の数、脂質体の総数、脂質体の平均数、脂質体の中間数、少なくとも1つの白血球における最大脂質体数、少なくとも1つの白血球における最小脂質体数、脂質体の重量、脂質体の体積、脂質体のサイズ、脂質体の直径、脂質体の半径、又は、前述したものの組み合わせのいずれであってもよい。
【0072】
更に加えて、コントロール群被験者の統計的分布とは異なっている脂質体当たりの脂質体の数の統計的分布は、代謝疾患分析のために用いることができる。更には、施行処置の後に続く、被験者の統計的分布とは異なっている脂質体当たりの脂質体の数の統計的分布は、上述されたように、代謝疾患分析のために用いることができる。他の任意に示される統計的分布も、被験者の代謝疾患を分析するため使用することができる。
【0073】
上述されたように、分析は、例えば、形態システムにおける画像形成により任意の適切な態様で実行することができる。例えば、画像分析ソフトウェア等の画像分析機能を提供することができる。
【0074】
当該キットは、例えば上述されたように、代謝疾患防止又は治療に関するリガンドの効き目を評価するか又は代謝疾患に関する被験者の悪化状態を監視する、代謝疾患の検出及び/又は診断、代謝疾患の早期検出及び/又は診断等の任意の適切な目的のために使用することができる。
【0075】
ここで、一実施例に従って構成され、作動するキット100の簡単な図である図2Aを参照する。図2Aに示されるように、キット100は、白血球を含む血液サンプルを挿入するためのサンプルコンテナ104を備えている。ペーパー110には、代謝疾患の存在を検出するように、脂質体の定量的特徴の分析のためのデータ120を有する使用説明指令が記載されていてもよい。
【0076】
ここで、一実施例に従って構成され、作動するキット200の簡単な図である図2Bを参照する。図2Bに示されるように、キット200は、白血球を含む血液サンプルを挿入するためのサンプルコンテナ204を備えている。サンプルコンテナ204は、図2Aのサンプルコンテナ104と同一であってもよい。指令は、コンピュータ214のディスプレイ212の電子シート210に表示されてもよく、又は、例えばハードディスク若しくは電子メモリ(例えば、RAM、ROM等)等のメモリデバイスに記憶されてもよい。電子シート210は、代謝疾患の存在を検出するように、脂質体の定量的特徴の分析のためのデータ220を表示することができる。
【0077】
データは、例えば電話を介したデータの送信による等、任意の適切な態様で与えられ、提供されてもよいことが理解されよう。図2A及び図2Bのデータ120及び220は、例えば上述されたような、脂質体の定量的特徴の値、閾値、グラフ及び統計的分析などの、脂質体の定量的特徴の分析のための任意の適切なデータを備えていてもよい。
【0078】
データは、例えば定量的特徴の値のリストとして、任意の適切な形態で提供されてもよい。
図2A及び図2Bのキット100及び200は、上述されたような、任意の適切なサンプルコンテナを備えていてもよい。
【0079】
健康な人間の被験者(A)及び代表的なメタボリックシンドローム患者(B)の好中球含有サンプルの各々の顕微鏡写真である、図3(A及びB)で理解することができるように、メタボリックシンドローム患者から採取されたサンプル中の脂質含有量は、健康な被験者から採取されたサンプルの脂質含有量よりも有意に大きい。図3B(メタボリックシンドローム患者)で理解することができるように、おおよそ2つの脂質体(明るいスポット)を見ることができる図3A(健康な人間の被験者)と比較して、明るいスポットとして細胞の周囲から区別された、有意により大きい数の脂質体、約13もの脂質体が存在している。更には、図3B(メタボリックシンドローム患者)における脂質体面積の平均サイズは、平均の脂質体面積が約0.5μm2である図3A(健康な人間の被験者)と比較して、有意に大きい約1.5μm2となっていることを理解することができる。
【0080】
同様に、健康な人間の被験者(A)及び代表的なメタボリックシンドローム患者(B)の単核白血球含有サンプルの各々の顕微鏡写真である、図4(A及びB)において、メタボリックシンドローム患者から採取されたサンプル中の脂質含有量は、健康な被験者から採取されたサンプルの脂質含有量よりも有意に大きいことを理解することができる。図4B(メタボリックシンドローム患者)で理解することができるように、脂質体が見られない図4A(健康な人間の被験者)と比較して、有意により大きい数の脂質体(明るいスポット)、約8もの脂質体が存在している。
(例1)
全血サンプルは、2人の健康な人間の被験者群と2人のメタボリックシンドローム患者群とから採取された。全血サンプルは、12時間絶食した後に、各人間の被験者から採取された。
(実験処置)
全血サンプルは、クエン酸ナトリウムの溶液を含む管内に収集された。各人間の被験者から全血サンプルを引き抜いた後の4時間で、約1ミリリットルの全血が、335マイクロリットルのデキストラン溶液と混合され、約30分間に亘って約37℃の温度で保温された。デキストラン溶液は、6%のデキストランと、3%のグルコースと、0.9%のNaClと、を含み、全血サンプルとの混合前に約−20℃の温度で格納された。
【0081】
保温後に、全血サンプルは、赤血球部分と白血球部分とに分離された。約335マイクロリットルの白血球部分が赤血球部分から取り出され、0.89mMのカルシウムと0.
49mMのマグネシウムを含む約1ミリリットルのリン酸塩緩衝溶液(PBS)が該白血球部分に添加された。その結果生成された白血球サンプルは、約10分間に亘って約1500rpmの速度で遠心分離機にかけられた。その後、その結果として生成された浮遊物が白血球サンプルから除去された。0.89mMのカルシウムと0.49mMのマグネシウムを含む約150マイクロリットルのPBSが該白血球サンプルに添加された。その結果生成された溶液から約50マイクロリットルが取り出され、0.89mMのカルシウムと0.49mMのマグネシウムを含む約750マイクロリットルのPBSで希釈された。
【0082】
15マイクロリットルの白血球サンプルを含む、生成された溶液の一部分が、ピペットを使用してサンプルコンテナの膜に付着され、次に約15分間に亘って室温で保温された。
【0083】
その後、白血球サンプルが、室温で約30分間に亘って、PBS溶液で希釈された、2%のパラフォルムアルデヒドと0.1%のグルタアルデヒドとの溶液と混合された。次に、白血球サンプルは、PBS溶液で4回洗浄され、再蒸留水で4回洗浄された。
【0084】
サンプルコンテナ内の白血球サンプルの画像形成前に、白血球サンプルは、室温で約30分間に亘って0.5%のOsO4を含む溶液で染色された。次に、白血球サンプルは再蒸留水で4回洗浄された。白血球サンプルは、室温で約5分間に亘って0.5%のウラニルアセテートを含む溶液で染色された。次に、白血球サンプルは再蒸留水で4回洗浄された。
(実験結果)
図5で理解することができるように、健康な人間被験者群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数は、0.457の標準偏差で約5.66である。メタボリックシンドロームの患者群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数は、0.96の標準偏差で約8.88である。好中球細胞当たりの脂質体の平均数は、健康な人間被験者群よりもメタボリックシンドロームの患者群の方が有意に高いことを理解することができる。これに対応して、健康な人間被験者群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.84μm2の標準偏差で約0.74μm2であり、メタボリックシンドロームの患者群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.016μm2の標準偏差で約1.973μm2である。好中球細胞当たりの脂質体の平均面積は、健康な人間被験者群よりもメタボリックシンドロームの患者群の方が有意に高いことを理解することができる(図6)。
【0085】
図7で理解することができるように、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.41の標準偏差で約2.09である。メタボリックシンドロームの患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.37の標準偏差で約4.56である。単核細胞当たりの脂質体の平均数は、健康な人間被験者群よりもメタボリックシンドロームの患者群の方が有意に高いことを理解することができる。これに対応して、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.064μm2の標準偏差で約0.161μm2であり、メタボリックシンドロームの患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.071μm2の標準偏差で約0.444μm2である。単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、健康な人間被験者群よりもメタボリックシンドロームの患者群の方が有意に高いことを理解することができる(図8)。
(例2)
全血サンプルは、2人の健康な人間の被験者群と2人のタイプII糖尿病患者群とから、12時間絶食後、該12時間絶食後に75グラムのデキストロースを含む高いグルコースの食事を取った後、1時間、1.5時間、2時間及び2.5時間経過してから採取された。
(実験処置)
全血サンプルは、クエン酸ナトリウムの溶液を含む管内に収集された。各人間の被験者から全血サンプルを引き抜いた後の4時間で、約1ミリリットルの全血が、335マイクロリットルのデキストラン溶液と混合され、約30分間に亘って約37℃の温度で保温された。デキストラン溶液は、6%のデキストランと、3%のグルコースと、0.9%のNaClと、を含み、全血サンプルとの混合前に約−20℃の温度で格納された。
【0086】
保温後に、全血サンプルは、赤血球部分と白血球部分とに分離された。約335マイクロリットルの白血球部分が赤血球部分から取り出され、0.89mMのカルシウムと0.49mMのマグネシウムを含む約1ミリリットルのリン酸塩緩衝溶液(PBS)が該白血球部分に添加された。その結果生成された白血球サンプルは、約10分間に亘って約1500rpmの速度で遠心分離機にかけられた。その後、その結果として生成された浮遊物が白血球サンプルから除去された。0.89mMのカルシウムと0.49mMのマグネシウムを含む約150マイクロリットルのPBSが該白血球サンプルに添加された。その結果生成された溶液から約50マイクロリットルが取り出され、0.89mMのカルシウムと0.49mMのマグネシウムを含む約750マイクロリットルのPBSで希釈された。
【0087】
15マイクロリットルの白血球サンプルを含む、生成された溶液の一部分が、ピペットを使用してサンプルコンテナの膜に付着され、次に約15分間に亘って室温で保温された。
【0088】
その後、白血球サンプルが、室温で約30分間に亘って、PBS溶液で希釈された、2%のパラフォルムアルデヒドと0.1%のグルタアルデヒドとの溶液と混合された。次に、白血球サンプルは、PBS溶液で4回洗浄され、再蒸留水で4回洗浄された。
【0089】
サンプルコンテナ内の白血球サンプルの画像形成前に、白血球サンプルは、室温で約30分間に亘って0.5%のOsO4を含む溶液で染色された。次に、白血球サンプルは再蒸留水で4回洗浄された。白血球サンプルは、室温で約5分間に亘って0.5%のウラニルアセテートを含む溶液で染色された。次に、白血球サンプルは再蒸留水で4回洗浄された。
(実験結果)
図9で理解することができるように、12時間絶食した後の健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.0165の標準偏差で約2.6202である。12時間絶食した後の糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.1507の標準偏差で約5.44である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後1時間において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.1698の標準偏差で約2.04である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.1698の標準偏差で約2.04である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.1341の標準偏差で約4.53である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1.5時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.1084の標準偏差で約1.54である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1.5時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.6414の標準偏差で約2.36である。
【0090】
12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.11
49の標準偏差で約1.63である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.389の標準偏差で約3.39である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2.5時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.1788の標準偏差で約1.17である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2.5時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均数は、0.14の標準偏差で約3.81である。単核細胞当たりの脂質体の平均数は、健康な人間被験者群よりも糖尿病の患者群の方が有意に高いことを理解することができる。脂質体の数の揺らぎは、高いグルコースの食事を取った後の様々な時間で示されており、糖尿病患者群における脂質体数の範囲に関わらず、糖尿病患者群における脂質体数は、健康な被験者群の脂質体数よりも有意に高くなっている。
【0091】
上記に対応して、12時間絶食した後の健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.04μm2の標準偏差で約0.23μm2である。12時間絶食した後の糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0227μm2の標準偏差で約0.52μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0615μm2の標準偏差で約0.2μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0121μm2の標準偏差で約0.48μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1.5時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0204μm2の標準偏差で約0.13μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の1.5時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0805μm2の標準偏差で約0.2μm2である。
【0092】
12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0228μm2の標準偏差で約0.13μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.118μm2の標準偏差で約0.33μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2.5時間経過後において、健康な人間被験者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0114μm2の標準偏差で約0.11μm2である。12時間絶食した後に高いグルコースの食事を取った後の2.5時間経過後において、糖尿病患者群における白血球サンプルの単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0697μm2の標準偏差で約0.37μm2である。単核細胞当たりの脂質体の平均面積は、健康な人間被験者群よりも糖尿病の患者群の方が有意に高いことを理解することができる。脂質体の面積の揺らぎは、高いグルコースの食事を取った後の様々な時間で示されており、糖尿病患者群における脂質体面積の値の範囲に関わらず、糖尿病患者群における脂質体面積は、健康な被験者群の脂質体面積よりも有意に高くなっている(図10)。
【0093】
脂質体数及び脂質体面積の値は、2人の健康な人間の被験者群及び2人の糖尿病患者群の絶食グルコーステストの結果に対応している。2人の健康な人間の被験者群及び2人の糖尿病患者群の絶食グルコースの各々の値は、90mg/L、91mg/L、147mg/L及び182mg/Lであり、人間被験者を糖尿病として診断するための閾値は、約100mg/dLである。
(例3)
全血サンプルは、3匹のコントロールマウス群と3匹のアテローム性動脈硬化症のApoE欠損マウス群とから採取された。
(実験処置)
全血サンプルは、エチレンジアミン四酢酸の溶液を含む管内に収集された。全血を引き抜いた後の1時間で、約300ミリリットルの全血が、900マイクロリットルの赤血球分解溶液と時折攪拌して混合された。
【0094】
赤血球分解溶液は、USA、MN55441、ミネソタポリス、シュート120、アベニューN、10番地13355で、ジェントラ入ステムから商品名PURGENEで市販されている。
【0095】
保温後に、全血サンプルは、約5分間に亘って約1200rpmの速度で遠心分離機にかけられた。その後、その結果として生成された浮遊物がサンプルから除去され、よって白血球を含む部分が残り、白血球サンプルを形成した。0.89mMのカルシウムと0.49mMのマグネシウムを含む約100マイクロリットルのPBSが該白血球サンプルに添加された。
【0096】
15マイクロリットルの白血球サンプルを含む、溶液の一部分が、ピペットを使用してサンプルコンテナの膜に付着され、次に約60分間に亘って室温で保温された。
その後、白血球サンプルが、室温で約30分間に亘って、PBS溶液で希釈された、2%のパラフォルムアルデヒドと0.1%のグルタアルデヒドとの溶液と混合された。次に、白血球サンプルは、PBS溶液で4回洗浄され、再蒸留水で4回洗浄された。
【0097】
サンプルコンテナ内の白血球サンプルの画像形成前に、白血球サンプルは、室温で約30分間に亘って0.5%のOsO4を含む溶液で染色された。次に、白血球サンプルは再蒸留水で4回洗浄された。白血球サンプルは、室温で約5分間に亘って0.5%のウラニルアセテートを含む溶液で染色された。次に、白血球サンプルは再蒸留水で4回洗浄された。
(実験結果)
図11で理解することができるように、コントロールマウス群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数は、0.0314の標準偏差で約0.83であり、ApoE欠損マウス群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数は、1.701の標準偏差で約6.68である。好中球細胞当たりの脂質体の平均数は、コントロールマウス群よりもApoE欠損マウス群の方が有意に高いことを理解することができる。これに対応して、コントロールマウス群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.0043μm2の標準偏差で約0.06μm2であり、ApoE欠損マウス群における白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均面積は、0.255μm2の標準偏差で約0.671μm2である。好中球細胞当たりの脂質体の平均面積は、コントロールマウス群よりもApoE欠損マウス群の方が有意に高いことを理解することができる(図12)。
【0098】
コントロールマウス群とアテローム性動脈硬化症のApoE欠損マウス群とから採取された白血球サンプルの、好中球細胞当たりの脂質体の平均数対好中球細胞当たりの脂質体の平均面積の統計的分布である図13を参照すると、ApoE欠損マウス群の統計的分布はコントロールマウス群統計的分布とは異なっていることを理解することができる。
【0099】
上述された例1乃至3において、測定された脂質体面積は、脂質体を画定する球状形状の大円内に拘束された表面の面積である。
本発明は、特別に図示され、上述されたように説明されたものによって限定されるもの
ではないことが当業者には認められよう。本発明の範囲は、上述された様々な特徴並びに本明細書を読むとき当業者に想到される従来技術内にはない変形及び変更の組み合わせ及び副次的な組み合わせの両方を網羅する。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1A】図1Aは、本発明の一実施例に係る方法の簡単化されたフローチャートを示す。
【図1B】図1Bは、本発明の一実施例に係る方法の簡単化されたフローチャートを示す。
【図1C】図1Cは、本発明の一実施例に係る方法の簡単化されたフローチャートを示す。
【図1D】図1Dは、本発明の一実施例に係る方法の簡単化されたフローチャートを示す。
【図2A】図2Aは、本発明の一実施例に従って構成され、動作するキットの簡単な図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施例に従って構成され、動作するキットの簡単な図である。
【図3】図3(A及びB)は、代表的な健康な人の被験者(A)及び代表的なメタボリックシンドロームの患者(B)の好中性球含有サンプルの顕微鏡写真である。
【図4】図4(A及びB)は、代表的な健康な人間の被験者(A)及び代表的なメタボリックシンドロームの患者(B)の単核白血球含有サンプルの顕微鏡写真である。
【図5】図5は、12時間絶食した後の、2人の健康な人間の被験者及び2人のメタボリックシンドロームの患者から採取された白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数のグラフである。
【図6】図6は、12時間絶食した後の、2人の健康的な人間の被験者及び2人のメタボリックシンドロームの患者から採取された白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均面線のグラフである。
【図7】図7は、12時間絶食した後の、2人の健康的な人間の被験者及び2人のメタボリックシンドロームの患者から採取された単核白血球細胞当たりの脂質体の平均数のグラフである。
【図8】図8は、12時間絶食した後の、2人の健康的な人間の被験者及び2人のメタボリックシンドロームの患者から採取された単核白血球細胞当たりの脂質体の平均面積のグラフである。
【図9】図9は、12時間絶食したとき、並びに、12時間絶食した後に高いグルコースの食事に続いて1、1.5時間、2時間及び2.5時間経過した後における、2人の健康的な人間の被験者及び2人のメタボリックシンドロームの患者から採取された単核白血球細胞当たりの脂質体の平均数のグラフである。
【図10】図10は、12時間絶食したとき、並びに、12時間絶食した後に高いグルコースの食事に続いて1、1.5時間、2時間及び2.5時間経過した後における、2人の健康的な人間の被験者及び2人のメタボリックシンドロームの患者から採取された単核白血球細胞当たりの脂質体の平均面積のグラフである。
【図11】図11は、3匹のコントロールマウス群及び3匹のアテローム性動脈硬化症のApoE欠損マウスから採取された白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数のグラフである。
【図12】図12は、3匹のコントロールマウス群及び3匹のアテローム性動脈硬化症のApoE欠損マウスから採取された白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均面積のグラフである。
【図13】図13は、3匹のコントロールマウス群及び3匹のアテローム性動脈硬化症のApoE欠損マウスから採取された白血球サンプルの好中球細胞当たりの脂質体の平均数対好中球細胞当たりの脂質体の平均面積の統計的な分布のグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の代謝疾患を検出するための方法であって、
前記被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、
前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、
前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、前記被験者は代謝疾患を有するものとして検出される、方法。
【請求項2】
代謝疾患を早期に検出するための方法であって、
被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、
前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、
前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、前記被験者は代謝疾患を発展させ易い性質を有するものとして検出される、方法。
【請求項3】
代謝疾患を監視するための方法であって、
前記被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、
前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の脂質体の定量的特徴の値が閾値と有意に異なっているか否かを評価することによって、前記白血球の脂質体の前記定量的特徴を分析し、これによって代謝疾患を監視する、各工程を備える、方法。
【請求項4】
前記閾値は、コントロール群から採取された血液サンプルの白血球の脂質体の定量的特徴の閾値である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記閾値は、施行処置の後に前記被験者から採取された血液サンプルの白血球の脂質体の定量的特徴の閾値である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記施行処置は、物理的活動、栄養補給、時間の経過、医科治療、ダイエット又は絶食である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記定量的特徴は、脂質体面積、総脂質体面積、平均脂質体面積、中間脂質体面積、少なくとも1つの白血球内の最大脂質体面積、少なくとも1つの白血球内の最小脂質体面積、脂質体含有量、平均脂質体含有量、中間脂質体含有量、少なくとも1つの白血球内の最大脂質体含有量、少なくとも1つの白血球内の最小脂質体含有量、脂質体の数、脂質体の総数、脂質体の平均数、脂質体の中間数、少なくとも1つの白血球内の脂質体の最大数、少なくとも1つの白血球内の脂質体の最小数、脂質体の重量、脂質体の体積、脂質体のサイズ、脂質体の直径、脂質体の半径、又は、上記したものの組み合わせである、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記分析工程は、前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の脂質体の前記定量的特徴の値を計算し、該値を前記閾値と比較する、各工程を備える、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記有意に異なっているとは、少なくとも約30%の差異を示す、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記有意に異なっているとは、少なくとも4の因子の差異を示す、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
代謝疾患の防止又は治療に関してリガンドの効き目を評価するための方法であって、
前記リガンドを被験者に投与した後に、代謝疾患を有する該被験者から白血球を含む血液サンプルを採取し、
前記血液サンプルを検査システム内に導入し、
前記血液サンプルの前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、
前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が代謝疾患を有する治療されていない被験者の血液サンプルの白血球の脂質体の定量的特徴の値よりも低い場合、前記リガンドは代謝疾患の治療又は防止に効き目が有るものとして検出される、方法。
【請求項12】
前記血液サンプルを検査システム内に導入する工程は、前記サンプルをサンプルコンテナ内に挿入する工程を備える、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記脂質体は、前記血液サンプルの、好中球細胞、エオシン好性白血球、好塩基性球、リンパ球、単核白血球又はマクロファージの各集団内にある、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記被験者は人間の被験者である、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記被験者は動物である、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記代謝疾患は、代謝病、代謝障害、アテローム性動脈硬化、グルコース過敏症、タイプIIの糖尿病、メタボリックシンドローム、インシュリン抵抗、前糖尿病、脂肪毒性、脂肪肝、脂肪性肝炎、脂肪症、肥満、発作、心臓血管病、高脂肪血症、代謝疾患合併症、糖尿病合併症、糖尿病性網膜症、又は、糖尿病性腎障害である、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記検査システムはSEMである、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記検査システムは顕微鏡、FACS又はELISAである、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
被験者の代謝疾患を分析するためのキットであって、
白血球を含む血液サンプルを挿入するためのサンプルコンテナと、
前記代謝疾患の存在を検出するように前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析するためのデータと、
を備える、キット。
【請求項20】
前記データは、ペーパー又は電子シートに構築されている、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
前記データは、前記脂質体の前記定量的特徴の閾値を含み、前記代謝疾患の分析は、前記閾値を脂質体の定量的特徴の値と比較することにより実行される、請求項19又は20に記載のキット。
【請求項22】
前記定量的特徴は、脂質体面積、総脂質体面積、平均脂質体面積、中間脂質体面積、少なくとも1つの白血球内の最大脂質体面積、少なくとも1つの白血球内の最小脂質体面積、脂質体含有量、平均脂質体含有量、中間脂質体含有量、少なくとも1つの白血球内の最大脂質体含有量、少なくとも1つの白血球内の最小脂質体含有量、脂質体の数、脂質体の総数、脂質体の平均数、脂質体の中間数、少なくとも1つの白血球内の脂質体の最大数、
少なくとも1つの白血球内の脂質体の最小数、脂質体の重量、脂質体の体積、脂質体のサイズ、脂質体の直径、脂質体の半径、又は、上記したものの組み合わせである、請求項19乃至21のいずれか1項に記載のキット。
【請求項23】
前記脂質体は、前記血液サンプルの、好中球細胞、エオシン好性白血球、好塩基性球、リンパ球、単核白血球又はマクロファージの各群内にある、請求項19乃至22のいずれか1項に記載のキット。
【請求項24】
前記代謝疾患は、代謝病、代謝障害、アテローム性動脈硬化、グルコース過敏症、タイプIIの糖尿病、メタボリックシンドローム、インシュリン抵抗、前糖尿病、脂肪毒性、脂肪肝、脂肪性肝炎、脂肪症、肥満、発作、心臓血管病、高脂肪血症、代謝疾患合併症、糖尿病合併症、糖尿病性網膜症、又は、糖尿病性腎障害である、請求項19乃至23のいずれか1項に記載のキット。
【請求項25】
検査システムを備える、請求項19乃至24のいずれか1項に記載のキット。
【請求項26】
前記検査システムはSEMである、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記被験者の前記代謝疾患の分析は、代謝疾患の検出、代謝疾患の診断、代謝疾患の早期検出、代謝疾患の防止若しくは治療のためのリガンドの効き目の評価、被験者の代謝疾患の悪化の監視、又は、被験者の代謝疾患の改善の監視のために実行される、請求項19乃至26のいずれか1項に記載のキット。
【請求項28】
被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システムに導入し、
前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備える方法。
【請求項29】
白血球サンプルの脂質体の定量的特徴を計測するための方法であって、
被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システムに導入し、
前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備える方法。
【請求項1】
被験者の代謝疾患を検出するための方法であって、
前記被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、
前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、
前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、前記被験者は代謝疾患を有するものとして検出される、方法。
【請求項2】
代謝疾患を早期に検出するための方法であって、
被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、
前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、
前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が閾値と有意に異なっている場合、前記被験者は代謝疾患を発展させ易い性質を有するものとして検出される、方法。
【請求項3】
代謝疾患を監視するための方法であって、
前記被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システム内に導入し、
前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の脂質体の定量的特徴の値が閾値と有意に異なっているか否かを評価することによって、前記白血球の脂質体の前記定量的特徴を分析し、これによって代謝疾患を監視する、各工程を備える、方法。
【請求項4】
前記閾値は、コントロール群から採取された血液サンプルの白血球の脂質体の定量的特徴の閾値である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記閾値は、施行処置の後に前記被験者から採取された血液サンプルの白血球の脂質体の定量的特徴の閾値である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記施行処置は、物理的活動、栄養補給、時間の経過、医科治療、ダイエット又は絶食である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記定量的特徴は、脂質体面積、総脂質体面積、平均脂質体面積、中間脂質体面積、少なくとも1つの白血球内の最大脂質体面積、少なくとも1つの白血球内の最小脂質体面積、脂質体含有量、平均脂質体含有量、中間脂質体含有量、少なくとも1つの白血球内の最大脂質体含有量、少なくとも1つの白血球内の最小脂質体含有量、脂質体の数、脂質体の総数、脂質体の平均数、脂質体の中間数、少なくとも1つの白血球内の脂質体の最大数、少なくとも1つの白血球内の脂質体の最小数、脂質体の重量、脂質体の体積、脂質体のサイズ、脂質体の直径、脂質体の半径、又は、上記したものの組み合わせである、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記分析工程は、前記被験者から採取された前記血液サンプルの前記白血球内の脂質体の前記定量的特徴の値を計算し、該値を前記閾値と比較する、各工程を備える、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記有意に異なっているとは、少なくとも約30%の差異を示す、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記有意に異なっているとは、少なくとも4の因子の差異を示す、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
代謝疾患の防止又は治療に関してリガンドの効き目を評価するための方法であって、
前記リガンドを被験者に投与した後に、代謝疾患を有する該被験者から白血球を含む血液サンプルを採取し、
前記血液サンプルを検査システム内に導入し、
前記血液サンプルの前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備え、
前記血液サンプルの前記白血球内の前記脂質体の前記定量的特徴の値が代謝疾患を有する治療されていない被験者の血液サンプルの白血球の脂質体の定量的特徴の値よりも低い場合、前記リガンドは代謝疾患の治療又は防止に効き目が有るものとして検出される、方法。
【請求項12】
前記血液サンプルを検査システム内に導入する工程は、前記サンプルをサンプルコンテナ内に挿入する工程を備える、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記脂質体は、前記血液サンプルの、好中球細胞、エオシン好性白血球、好塩基性球、リンパ球、単核白血球又はマクロファージの各集団内にある、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記被験者は人間の被験者である、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記被験者は動物である、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記代謝疾患は、代謝病、代謝障害、アテローム性動脈硬化、グルコース過敏症、タイプIIの糖尿病、メタボリックシンドローム、インシュリン抵抗、前糖尿病、脂肪毒性、脂肪肝、脂肪性肝炎、脂肪症、肥満、発作、心臓血管病、高脂肪血症、代謝疾患合併症、糖尿病合併症、糖尿病性網膜症、又は、糖尿病性腎障害である、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記検査システムはSEMである、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記検査システムは顕微鏡、FACS又はELISAである、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
被験者の代謝疾患を分析するためのキットであって、
白血球を含む血液サンプルを挿入するためのサンプルコンテナと、
前記代謝疾患の存在を検出するように前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析するためのデータと、
を備える、キット。
【請求項20】
前記データは、ペーパー又は電子シートに構築されている、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
前記データは、前記脂質体の前記定量的特徴の閾値を含み、前記代謝疾患の分析は、前記閾値を脂質体の定量的特徴の値と比較することにより実行される、請求項19又は20に記載のキット。
【請求項22】
前記定量的特徴は、脂質体面積、総脂質体面積、平均脂質体面積、中間脂質体面積、少なくとも1つの白血球内の最大脂質体面積、少なくとも1つの白血球内の最小脂質体面積、脂質体含有量、平均脂質体含有量、中間脂質体含有量、少なくとも1つの白血球内の最大脂質体含有量、少なくとも1つの白血球内の最小脂質体含有量、脂質体の数、脂質体の総数、脂質体の平均数、脂質体の中間数、少なくとも1つの白血球内の脂質体の最大数、
少なくとも1つの白血球内の脂質体の最小数、脂質体の重量、脂質体の体積、脂質体のサイズ、脂質体の直径、脂質体の半径、又は、上記したものの組み合わせである、請求項19乃至21のいずれか1項に記載のキット。
【請求項23】
前記脂質体は、前記血液サンプルの、好中球細胞、エオシン好性白血球、好塩基性球、リンパ球、単核白血球又はマクロファージの各群内にある、請求項19乃至22のいずれか1項に記載のキット。
【請求項24】
前記代謝疾患は、代謝病、代謝障害、アテローム性動脈硬化、グルコース過敏症、タイプIIの糖尿病、メタボリックシンドローム、インシュリン抵抗、前糖尿病、脂肪毒性、脂肪肝、脂肪性肝炎、脂肪症、肥満、発作、心臓血管病、高脂肪血症、代謝疾患合併症、糖尿病合併症、糖尿病性網膜症、又は、糖尿病性腎障害である、請求項19乃至23のいずれか1項に記載のキット。
【請求項25】
検査システムを備える、請求項19乃至24のいずれか1項に記載のキット。
【請求項26】
前記検査システムはSEMである、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記被験者の前記代謝疾患の分析は、代謝疾患の検出、代謝疾患の診断、代謝疾患の早期検出、代謝疾患の防止若しくは治療のためのリガンドの効き目の評価、被験者の代謝疾患の悪化の監視、又は、被験者の代謝疾患の改善の監視のために実行される、請求項19乃至26のいずれか1項に記載のキット。
【請求項28】
被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システムに導入し、
前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備える方法。
【請求項29】
白血球サンプルの脂質体の定量的特徴を計測するための方法であって、
被験者から採取された白血球を含む血液サンプルを検査システムに導入し、
前記白血球の脂質体の定量的特徴を分析する、各工程を備える方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−520969(P2008−520969A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540837(P2007−540837)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【国際出願番号】PCT/IL2005/001206
【国際公開番号】WO2006/051551
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(504448357)クアントミックス・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【国際出願番号】PCT/IL2005/001206
【国際公開番号】WO2006/051551
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(504448357)クアントミックス・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
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