説明

会議録システム及びプログラム

【課題】資料の特定の説明部分を会議録データから検索するための仕組みが用意されていない。
【解決手段】会議録システムとして、(1)会議録データの保存タイミングにおける時間情報を取得して記憶領域に保存する機能と、(2)会議録データの保存タイミングに表示画面上に表示されていた資料を特定する資料番号を取得し、時間情報と関連付けて記憶領域に保存する機能と、(3)表示画面上に表示されたカーソル位置を取得し、時間情報と関連付けて記憶領域に保存する機能を有するものを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議録データから資料上の任意の説明箇所に関する時間位置を容易に検索可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、会議やプレゼンテーションでは、資料の提示に電子ボードシステムを用いることがある。電子ボードシステムは、コンピュータ画面の表示装置(例えばプロジェクタ、フラットディスプレイ)と、表示面に対する電子ペンや指等の接触位置を検出する位置検出装置で構成されるシステムである。電子ボードシステムを用いる場合、予め用意したスライドの表示だけでなく、文字、図形その他のオブジェクトの入力、コンピュータやプレゼンテーションソフトの操作入力も、表示面に対する操作入力を通じて実現することができる。
【0003】
最近では、遠隔地にある電子ボードシステム同士をネットワーク経由で接続し、一方の電子ボードシステムで行った操作内容を、他方の電子ボードシステムにリアルタイムで反映させる仕組みも提案されている。この仕組みを、遠距離間での音声通信が可能な音声入出力装置に組み合わせれば、遠距離間の会議に用いることもできる。
【0004】
一方で、会議内容の記録には、ビデオカメラ及びマイクが使用される。すなわち、会議内容は、映像データと音声データにより記録される。この種の従来技術は、説明者と説明されている資料の両方を同時に記録できる。すなわち、会議の内容を見たままの状態で記録できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−117285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この方法には、資料上の任意の説明箇所に関する時間位置を会議録データから検索するための仕組みが用意されていない。このため、後日確認が必要になっても、映像データを先頭から再生しなければ目的箇所を検索することができなかった。
【0007】
本発明は、以上の課題を考慮してなされたもので、資料上の任意の説明箇所に関する時間位置を会議録データから容易に検索することができる機能の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、本発明者は、以下に示す機能を有する会議録システムを提案する。
(1)会議録データの保存タイミングにおける時間情報を取得して記憶領域に保存する機能
(2)会議録データの保存タイミングに表示画面上に表示されていた資料を特定する資料番号を取得し、時間情報と関連付けて記憶領域に保存する機能
(3)表示画面上に表示されたカーソル位置を取得し、時間情報と関連付けて記憶領域に保存する機能
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、時間情報に資料番号と、表示画面上に表示されたカーソル位置とを関連付けて保存した会議録データを作成することができる。この会議録データを用いれば、資料と資料上の範囲の組み合わせで特定された検索条件を満たす会議録データの時間位置の検索が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態に係る会議録システムの全体構成例を示す図。
【図2】会議録データの保存手順例を説明するフローチャート。
【図3】電子ボード解像度情報を示すデータの構造例を説明する図。
【図4】資料の管理データの構造例を説明する図。
【図5】会議録データとして保存されるデータの構造例を説明する図。
【図6】資料のサイズと電子ボードのサイズの配置関係を説明する図。
【図7】資料のサイズと電子ボードのサイズの配置関係を説明する図。
【図8】資料上の任意の説明箇所の検索に使用するカーソル位置データの変換手順を示すフローチャート。
【図9】電子ボード上のカーソル位置を資料上のカーソル位置に変換するための計算式を説明する図。
【図10】資料上のカーソル位置を示すデータの構造例を説明する図。
【図11】撮像された映像データから説明者の像だけを抽出した画像データを保存するまでの手順例を説明するフローチャート。
【図12】検索条件に基づいて会議録データを検索する際の処理手順例を説明するフローチャート。
【図13】資料の選択に使用する画面例を示す図。
【図14】検索範囲の選択に使用する画面例を示す図。
【図15】検索結果画面の一例を示す図。
【図16】会議録データの再生手順例を説明するフローチャート。
【図17】再生画面の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本発明に係る会議録システムの形態例を説明する。なお、後述する形態例はいずれも一例であり、本発明には、本明細書に記載する任意の機能を組み合わせることで実現されるシステム、本明細書に記載する一部の構成や機能だけで実現されるシステムの他、一部の構成や機能だけを周知の技術で置換したシステムも含まれる。また、後述する形態例で実行される機能は、計算機(コンピュータ)上で実行されるプログラムとして実現されるものとして説明する。もっとも、プログラムの一部又は全部は、ハードウェアを通じて実現されても良い。
【0012】
(全体システム)
図1に、会議録システムの構成例を示す。図1に示す会議録システムは、電子ボード101、カメラ102、マイク103、コンピュータ104、外部記憶装置105、データ変換装置106、カーソル位置変換部107、映像データ変換部108、表示装置109、データ検索装置110により構成されている。
【0013】
電子ボード101は、会議資料の表示装置として用いられる他、コンピュータ104に対する入力装置としても用いられる。例えばコンピュータ104のカーソル位置入力操作や表示に対する操作入力に用いられる。例えばカーソルの表示位置の移動や説明箇所の強調に用いられる。
【0014】
図1の場合、電子ボード101は、フラットディスプレイを表示装置に用いる例を表している。この他、表示装置をプロジェクタとする構成も可能である。なお、プロジェクタを用いる場合、電子ボード101には投影スクリーンを使用する。
【0015】
この実施例の場合、表示面(検出面)には、特定の偏光成分だけを通過する偏光フィルムを配置する。偏光フィルムは、後述するように、表示面を撮像した画像から説明者だけを切り出すために用いられる。
【0016】
表示面(検出面)に対する説明者の操作位置の検出には、既知の位置検出技術を使用する。例えば感圧方式、電磁気方式、レーザ方式、超音波方式、赤外線方式、抵抗膜方式、静電容量方式などを使用する。位置検出方式の違いにより、電子ボードの装置構成や構造が異なるものになる。この形態例の場合、指や電子ペン等の操作位置を表示面上の座標データとして算出する演算ユニット1011が電子ボード101に搭載されているものとする。この形態例の場合、電子ボード101の座標原点は表示面の左上隅とする。また、X軸は電子ボード101の水平方向、Y軸は電子ボード101の垂直方向とする。
【0017】
コンピュータ104は、電子ボード101と接続されており、電子ボード101に対する資料(画像データ)の出力、座標データ列の解析に基づいて生成された描画オブジェクト(オブジェクトデータ)の電子ボード101への出力、座標データ列のデータ解析に基づく処理動作の実行と処理結果の電子ボード101への出力を制御する。また、コンピュータ104は、外部記憶装置105に接続されており、会議時に電子ボード101に表示する資料データ、会議中に電子ボード101に表示された資料データ、電子ボード101の解像度情報等の外部記憶装置105への記録を制御する。なお、コンピュータ104と電子ボード101との接続は有線形式でも無線形式でも構わない。
【0018】
外部記憶装置105は、ネットワーク経由で接続されたファイルサーバを想定する。もっとも、小規模なシステム構成で良い場合には、コンピュータ104に内蔵されたハードディスク装置又は直接外付けされたハードディスク装置でも良い。
【0019】
カメラ102は、説明者の画像の取得及び説明者の位置の取得に用いられる。この形態例の場合、カメラ102は、資料を表示する電子ボード101の表示面の全体のみを撮像できる位置に設置される。すなわち、カメラ102は、電子ボード101の表示面の外側を撮像対象に含まない位置に設置される。カメラ102で撮像された映像データは外部記憶装置105にファイルデータとして保存される。
【0020】
撮影画像から説明者のみを抜き出すため、カメラ102には、電子ボード101側に装着された偏光フィルムとは異なる方向の偏光成分だけを通過する偏光フィルムが装着される。偏光フィルムの装着により、電子ボード101上の表示画は黒く撮像される。一方、電子ボード101の表示面の範囲に入り込んだ説明者はカラー画像として撮影される。このため、黒画像領域を切り離すことにより、説明者像のみを撮像画像から抜き出すことができる。なお、説明者像の抜き出しのため、説明者は黒色以外の衣類を着用することが望ましい。
【0021】
マイク103は、説明者の音声と会議出席者の音声の取得に用いられる。このため、マイク103は、説明者の音声と会議出席者の音声の両方を取得し易い位置に設置される。マイク103で取得された会議中(会議の開始から終了まで)の音声データは外部記憶装置105にファイルデータとして保存される。
【0022】
データ変換装置106は、外部記憶装置105に接続され、データ検索に必要なデータ変換処理及び会議録データの再生に必要なデータ変換処理を実行する。図1の場合、データ変換装置106をコンピュータ104の別装置として表しているが、データ変換装置106はコンピュータ104で実行されるアプリケーションソフトの一つであっても良い。データ変換装置106は、カーソル位置変換部107及び映像データ変換部108で構成される。この形態例の場合、データ変換装置106は、コンピュータ104とは別のコンピュータで実行されるアプリケーションソフトウエアとして実現されるものとする。
【0023】
カーソル位置変換部107は、データ検索装置110による資料内の説明箇所の検索を可能とするために、電子ボード101の表示面座標系の座標を資料座標系の座標に変換する処理を実行する。資料座標系は資料の左上隅を座標原点とし、画面内水平方向をx軸、垂直方向をy軸とする。なお、変換処理後の座標データは外部記憶装置105に保存される。
【0024】
映像データ変換部108は、表示装置109に会議録データの内容を表示する際に、電子ボード101に表示されていた資料と説明者を重複した状態で表示するために、カメラ102から取得された説明者の映像データの変換処理を実行する。
【0025】
表示装置109は、データ変換装置106で変換されたデータを外部記憶装置105から取得し、会議内容を再生する。表示装置109は、画像表示装置であれば良く、必ずしも電子ボード101と同じ表示サイズである必要は無い。この表示装置109は、コンピュータ104の表示部であっても良いし、電子ボード101でも良い。
【0026】
データ検索装置110は、1つ又は複数の会議録データを対象とした検索の実行と、検索結果に基づく該当箇所の再生処理を実行する。ここで、データ検索装置110は、外部記憶装置105に保存されている資料データとカーソル位置データを検索対象とする。データ検索装置110は、検索条件の入力用GUIを表示装置109に表示する。また、データ検索装置110は、検索条件として入力された資料の特定範囲にカーソル位置が一致する又は含まれる会議録データの時間軸上の位置情報(タイムスタンプ)を検索結果として表示装置109に表示する。また、データ検索装置110は、検索結果画面から選択された時間軸上の位置から会議録データ(資料データ、カメラ102で撮像された映像データ、マイク103で取得された音声データ)を再生する。再生画像は表示装置109に表示される。
【0027】
(会議録データの保存動作)
図2に、会議録データの保存手順を示す。この処理動作はコンピュータ104で実行されるアプリケーションプログラムを通じて実現される。図2には、会議開始前の前処理も含まれている。
【0028】
会議の開始に先立って、コンピュータ104は、電子ボード101の解像度情報を保存する(ステップ201)。図3に、解像度情報のデータ構造例を示す。解像度情報は、X軸方向の解像度301とY軸方向の解像度302で構成される。また、コンピュータ104は、会議で使用する資料データを保存する(ステップ202)。コンピュータ104は、資料データの保存の際、各資料のサイズ情報を取得する。会議で使用される資料には、読み込み順に連番で資料番号が付与される(ステップ203)。この実施例の場合、資料はページ単位で管理され、各ページに資料番号が付される。資料のサイズ情報や資料番号は、資料の管理データとして外部記憶装置105に保存される(ステップ204)。図4に、外部記憶装置105に保存される管理データの構造例を示す。管理データは、資料番号401と、資料名402と、資料のサイズ情報(x軸方向のサイズ情報403、y軸方向のサイズ情報404)とで構成される。この管理データにより、資料名と資料番号と資料サイズの対応関係が分かる。なお、ステップ201とステップ202の実行順序は入れ替わっていても良い。
【0029】
次に、会議の開始後に、コンピュータ104が実行する処理動作を説明する。会議の開始を検出すると、コンピュータ104は、会議が終了したか否かを判定する(ステップ205)。コンピュータ104は、音声入力の発生、説明者や操作者による開始操作の入力を通じて会議の開始を検出する。また、コンピュータ104は、無音時間の一定時間以上の継続や操作者による終了操作の入力を通じて会議の終了を検出する。
【0030】
会議中と判定されている間(ステップ205で否定結果が得られている間)、コンピュータ104は、会議開始からの時間、電子ボード101に表示されている資料の資料番号401と、電子ボード101上に表示されている資料の位置(表示資料位置)(資料原点座標に対する電子ボード座標上の位置)と、電子ボード101上のカーソル位置等を一組とし、会議録データとして外部記憶装置105に保存する(ステップ206)。なお、会議の開始と同時に、カメラ102及びマイク103も動作し、カメラ102から取得される映像データとマイク103から取得される音声データも外部記憶装置105に保存される。
【0031】
会議中、説明者は電子ボード101の表示面(検出面)に対する操作入力を通じ、資料上の説明箇所にカーソルを移動させたり、表示内容を強調させたりする。また、説明者は、同様の操作を通じ、資料の一部の拡大、縮小等の操作入力も行う。
【0032】
データの保存は、一定時間毎、カーソル位置の変化時(移動時)、又は表示資料の変更時等のタイミングで実行される。表示資料の変更には、異なる資料への切り換えだけでなく、同一資料内における表示内容の拡大、縮小、表示箇所の移動等も含まれる。なお、会議開始からの経過時間は、コンピュータ104の内蔵タイマーの出力値が使用される。一定時間は固定でも良いし、操作者の操作により可変可能であっても良い。また、コンピュータ104は、電子ボード101の表示面に表示されるカーソル位置を監視しており、カーソル位置が判定期間内に閾値以上変化したか否かによりカーソル位置の変化(移動)の有無を判定する。
【0033】
図5に、ステップ206において保存される会議録データの構造例を示す。この形態例の場合、会議録データは、会議開始からの時間501、表示資料番号502、表示資料位置(左上X座標)503、表示資料位置(左上Y座標)504、資料拡大率505、表示カーソル位置(x座標)506、表示カーソル位置(y座標)507で構成される。ここで、表示資料位置503、504及び表示カーソル位置506、507は、電子ボード101の座標系により与えられる。
【0034】
図6及び図7に、本形態例において想定する資料のサイズと電子ボードのサイズとの関係を示す。図6は、電子ボードのサイズ601よりも資料のサイズ602の方が大きい場合である。この場合は、例えば資料の拡大倍率が1より大きい場合に生じる。この例に示すように、図6の場合、表示資料位置503及び504は、いずれも負の値を採る。図7は、電子ボードのサイズ701よりも資料のサイズ702の方が小さい場合である。この場合は、例えば資料の拡大倍率が1より小さい場合に生じる。ただし、ここでは資料の表示サイズが電子ボード101の表示サイズと一致する場合を拡大倍率が1であるものとする。図7の場合、表示カーソル位置506、507はいずれも正の値を採る。
【0035】
会議が終了すると(ステップ205で肯定結果が得られた場合)、コンピュータ104は、保存に関する処理プロセスを終了する。
【0036】
(カーソル位置データの変換動作)
次に、会議録データの検索及び再生のために、データ変換装置106のカーソル位置変換部107において実行されるデータ変換動作を説明する。この変換動作は、会議録データの検索が開始される前に終了していれば良い。従って、会議録データの保存と並行して実行されても良い。
【0037】
この変換動作は、説明者が説明していた資料の特定箇所を指定した検索を可能とするための前処理として実行される。具体的には、電子ボード101の座標系で与えられたカーソル位置の座標値を資料の座標系の座標値に変換する動作を実行する。カーソル位置を資料の座標系で表すことができれば、説明者が会議中に説明していた箇所を特定することが可能になり、後の検索時に資料とその説明箇所を指定した検索が可能になるためである。
【0038】
図8に、カーソル位置変換部107によるカーソル位置データの変換動作を示す。もっとも、資料のサイズと電子ボードのサイズが一致し、資料上の座標値と電子ボード上の座標値が一致する場合、この変換処理は不要である。
【0039】
まず、カーソル位置変換部107は、外部記憶装置105から電子ボードの解像度情報(図3)を取得する(ステップ801)。
【0040】
次に、カーソル位置変換部107は、資料サイズデータ(図4)と会議録データ(図5)を外部記憶装置105から取得する(ステップ802)。
【0041】
この後、カーソル位置変換部107は、データ変換の処理対象になっていない会議録データの有無を判定する(ステップ803)。未処理の会議録データが存在する場合、データ変換装置106は1行分の会議録データを読み込む(ステップ804)。
【0042】
次に、カーソル位置変換部107は、読み込んだ会議録データから表示資料位置と拡大率を取得する(ステップ805)。また、カーソル位置変換部107は、読み込んだ会議録データから電子ボード101上のカーソル位置を取得する(ステップ806)。
【0043】
これらのデータが取得されると、カーソル位置変換部107は、図9に示す計算式に基づいて、電子ボード上のカーソル位置を資料上のカーソル位置に変換する(ステップ807)。因みに、901はX座標の換算式であり、902はY座標の換算式である。
【0044】
次に、カーソル位置変換部107は、計算された資料上のカーソル位置が資料の外か否かを判定する(ステップ808)。資料の中にあれば(ステップ808で否定結果の場合)、カーソル位置変換部107はステップ803に戻る。一方、資料の外にあれば(ステップ808で肯定結果の場合)、カーソル位置変換部107は当該会議録データを破棄した後ステップ803に戻る(ステップ809)。ここで、算出されたカーソル位置が資料上にあるか否かは、会議前に取得された資料サイズデータ(図4)との比較により実行される。
【0045】
この変換動作が会議の開始から終了までの間に記録された全ての会議録データについて実行されることにより、カーソル位置変換部107は、各時間における資料上のカーソル位置を求めることができる。
【0046】
全ての会議録データについて変換処理が終了すると、カーソル位置変換部107は、破棄されなかったカーソル位置の情報に対し、会議開始からの時間と、表示されている資料の資料番号とを付与し、外部記憶装置105に格納する(ステップ810)。図10に、資料上のカーソル位置として外部記憶装置105に格納されるデータの構造を示す。資料上のカーソル位置データは、会議開始からの時間1001、表示資料番号1002、資料上カーソル位置(X座標)1003、資料上カーソル位置(Y座標)で構成される。
【0047】
(映像データの変換動作)
次に、データ変換装置106の映像データ変換部108において実行されるデータ変換動作を説明する。すなわち、カメラ102で撮像された映像データの変換動作を説明する。この変換動作も、会議録データの検索が開始される前に終了していれば良い。従って、カメラ102の撮像と並行して実行されても良い。この変換動作は、カメラ102により撮影された説明者の映像を資料に重複して表示する場合のために、映像データから説明者像だけを抽出する目的で実行される。
【0048】
前述したように、カメラ102と電子ボード101の表示面には、それぞれ通過する偏光成分が異なる偏光フィルムが装着されている。このため、カメラ102の撮像画像のうち電子ボード101の表示面の領域部分は黒画面となる。また、カメラ102の撮影範囲は、電子ボード101の表示面サイズに合致している。このため、説明者が電子ボード101の前に立つと、説明者像は黒色背景を有する画像として表示される。
【0049】
図11に、映像データ変換部108による映像データの変換動作を示す。
【0050】
まず、映像データ変換部108は、外部記憶装置105からカメラ102で撮影された映像データを取得する(ステップ1101)。
【0051】
次に、映像データ変換部108は、取得された映像データを時間単位の画像データに変換する(ステップ1102)。
【0052】
次に、映像データ変換部108は、未処理の画像データの有無を判定する(ステップ1103)。未処理の画像データが存在する場合(ステップ1103で肯定結果が得られた場合)、映像データ変換部108は、先に処理した画像データに対して次の時間情報が付された画像データを読み込む(ステップ1104)。
【0053】
続いて、映像データ変換部108は、読み込んだ画像データの背景色である黒色を透過色に設定する(ステップ1105)。ただし、この時点の画像データをそのまま資料に重複すると、説明者と重複する部分の資料を見ることができなくなる。
【0054】
そこで、映像データ変換部108は、背景色以外の色を半透過色(例えば50%程度)に設定する(ステップ1106)。この設定により、会議録データを再生する際に、説明者が透けて見え、説明者に隠れていた資料も同時に見ることができる。
【0055】
これらの処理が全ての画像について実行されると(ステップ1103で否定結果が得られると)、映像データ変換部108は、データ変換後の画像データを外部記憶装置105に格納する(ステップ1107)。
【0056】
(会議録データの検索動作)
ここでは、会議録データの検索時に実行される処理動作の内容を説明する。この処理動作の内容は、データ検索装置110により実行される。
【0057】
この形態例の場合、説明箇所の検索は、説明に用いた資料と、資料上のカーソル位置又は範囲の特定により実行する。
【0058】
図12に、データ検索装置110が実行する処理動作の内容を説明する。
【0059】
まず、データ検索装置110は、資料番号401と資料名402との対応関係と、資料のサイズ情報403、404と、会議で使用した資料のデータを、外部記憶装置105から取得する(ステップ1201)。
【0060】
次に、データ検索装置110は、表示装置109の画面上に検索対象とする資料の選択画面を表示する(ステップ1202)。図13に、選択画面の一例を示す。図13の場合、1つの画面内に4つの資料の情報が選択可能に表示される例を示している。図13では、各資料が、サムネイル画像1032と、資料名1303とで表示される場合について表している。ユーザは、選択画面1301に表示されたサムネイル画像1302のうち検索対象とする1つの上にカーソル1304を合わせ、クリック操作により選択をデータ検索装置110に入力する。図では、選択が確定した状態にある資料1を、網掛け表示で示している。
【0061】
続いて、データ検索装置110は、選択した資料のうち検索対象とする説明範囲の選択を受付ける(ステップ1203)。図14に、説明範囲の選択受付け時に表示する画面例を示す。図14に示す選択画面1401は、ステップ1202で選択された「資料1」のページ内容である。ユーザは、カーソル1403を画面上で移動させるドラッグ操作により検索対象とする説明範囲1402を入力する。図では、ページの下段に位置する説明文とオブジェクトが選択された様子を示している。図14に示すように、説明範囲の指定は、文字以外のオブジェクトを含むことができる。この説明範囲は、資料上のカーソル位置情報として保存される。
【0062】
次に、データ検索装置110は、外部記憶装置105に格納されているカーソル位置データを読み込む(ステップ1204)。このカーソル位置データの読み込みは、図10に示すデータ形式について行われる。
【0063】
次に、データ検索装置110は、検索対象に選択された資料と同じ資料であり、かつ、選択された説明範囲内にカーソルが位置する会議録データの時間位置を抽出する(ステップ1205)。なお、説明範囲にカーソルが位置する会議録データが複数の時間値について連続して出現する場合、データ検索装置110は、これら複数時点の会議録データを1つの検索結果として扱う。これにより、説明箇所の候補が検索される。図15に、検索結果として表示装置109に表示される検索結果の表示例を示す。図15に示す検索結果画面1501には4の時間帯が候補として表示されている。
【0064】
この後、データ検索装置110は、選択結果画面1501の中からカーソル1502により時間帯の選択を受付ける(ステップ1206)。
【0065】
この後、データ検索装置110は、選択部分から会議の内容を再生する(ステップ1207)。
【0066】
(会議録データの再生動作)
ここでは、会議録データの再生動作を説明する。この処理動作も、データ検索装置110が実行する。
【0067】
図16に、データ検索装置110が実行する処理動作の内容を説明する。
【0068】
まず、データ検索装置110は、資料データと、資料番号と資料名の対応関係と、資料のサイズ情報を、外部記憶装置105から読み込む(ステップ1601)。
【0069】
次に、データ検索装置110は、会議内容の再生のため、会議時に取得されたデータ(例えばカーソル位置情報や描画オブジェクト情報)を、外部記憶装置105から読み込む(ステップ1602)。
【0070】
さらに、データ検索装置110は、映像データ変換部108による変換後の画像データを、外部記憶装置105から読み込む(ステップ1603)。
【0071】
さらに、データ検索装置110は、会議中にマイク103から取得された音声データを外部記憶装置105から読み込む(ステップ1604)。
【0072】
この後、データ検索装置110は、会議録データが終了したか否かを判定する(ステップ1605)。会議録データが終了していない場合(ステップ1605で否定結果の場合)、データ検索装置105は、選択結果画面1501で選択された時間に取得された会議録データから資料番号を取得し、当該資料番号に対応する資料データを表示装置109に表示する(ステップ1606)。同時に、同じ時間に保存された音声データを再生する(ステップ1608)。
【0073】
次に、データ検索装置110は、当該時間に対応する説明者の画像データを資料に所定位置に重複的に表示する(ステップ1607)。この処理動作が会議録データの時間が終了するまで繰り返される。図17に、再生画面の一例を示す。再生画面1701は、資料画面1702と、カーソル1703と、説明者像1704で構成されている。図17に示すように、説明者像1704を資料に重ねて表示することで、単にカーソル1703だけを表示する場合に比して臨場感に優れた会議録の再生を実現できる。もっとも、説明者像1704は合成像であるので、資料の視認性を優先したい場合には、説明者像1704の透過度を高めたり、不表示とする(透過度100%)こともできる。
【0074】
また、この形態例の場合、資料画面1702に表示される内容は撮像画像とは異なり、資料データそのものから生成された画像である。従って、説明中に資料のズーム画像が用いられた場合でも鮮明な文字を表示できる。
【0075】
(他の形態例)
前述の形態例では、資料表示面上のカーソル位置を説明者の指や電子ペン等の操作入力を通じて検出する場合について説明した。しかしながら、カーソル位置は、例えばコンピュータ104に接続されたマウスその他の入力装置による入力を使用しても良い。
【0076】
前述の形態例では、電子ボード101上のカーソル位置を外部記憶装置105から読み出した後、資料上のカーソル位置に変換する場合について説明した。しかしながら、コンピュータ104から入力される電子ボード101上のカーソル位置を実時間で資料上のカーソル位置に変換したものを外部記憶装置105に保存しても良い。
【0077】
前述の形態例の場合には、カメラ102で撮像された映像データを会議録データの保存タイミングの画像データに変換し、当該変換後の画像データをデータ変換する場合について説明した。しかしながら、映像データそのものをデータ変換し、動画像として会議録データに重畳させても良い。
【0078】
前述の形態例の場合には、検索とその再生の観点から説明した。しかしながら、当該形態例に係る会議録システムで保存された会議録データを先頭から単純に再生すれば、オフラインによる会議内容の確認に用いることもできる。
【符号の説明】
【0079】
101:電子ボード
102:カメラ
103:マイク
104:コンピュータ
105:外部記憶装置
106:データ変換装置
107:カーソル位置変換部
108:映像データ変換部
109:表示装置
110:データ検索装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会議録システムにおいて、
会議録データの保存タイミングにおける時間情報を取得して記憶領域に保存する手段と、
会議録データの保存タイミングに表示画面上に表示されていた資料を特定する資料番号を取得し、前記時間情報と関連付けて前記記憶領域に保存する手段と、
表示画面上に表示されたカーソル位置を取得し、前記時間情報と関連付けて前記記憶領域に保存する手段と
を有することを特徴とする会議録システム。
【請求項2】
請求項1に記載の会議録システムにおいて、
前記カーソル位置は、前記表示画面を検出領域とする位置検出装置から与えられる
ことを特徴とする会議録システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の会議録システムにおいて、
前記表示画面の表面に配置された偏光フィルムの偏光方向とは異なる偏光方向を有する偏光フィルムが撮像面に配置され、前記表示画面を撮像対象とする撮像手段と、
前記撮像手段で撮像された映像データに対し、前記時間情報を付与する手段と
を有することを特徴とする会議録システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の会議録システムにおいて、
会議録データの保存タイミングに表示画面上に表示されていた資料の表示領域を特定する位置情報を取得し、前記時間情報と関連付けて前記記憶領域に保存する手段
を更に有することを特徴とする会議録システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の会議録システムにおいて、
前記記憶領域に保存する前の前記カーソル位置を資料上のカーソル位置情報に変換し、前記時間情報と関連付けて記憶領域に保存する手段
を有することを特徴とする会議録システム。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の会議録システムにおいて、
前記時間情報と関連付けて保存された前記カーソル位置を前記記憶領域から読み出し、当該カーソル位置を資料上のカーソル位置情報に変換する手段
を有することを特徴とする会議録システム。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の会議録システムにおいて、
資料と資料上の検索範囲を、会議録データの検索条件として受付ける手段と、
前記資料上の検索範囲について前記記憶領域を検索する手段と、
前記資料上の検索範囲と合致したカーソル位置を有する会議録データの検索結果を出力する手段と、
検索結果から選択された時間位置から会議録データを再生する手段と
を更に有することを特徴とする会議録システム。
【請求項8】
請求項7に記載の会議録システムにおいて、
前記表示画面の表面に配置された偏光フィルムの偏光方向とは異なる偏光方向を有する偏光フィルムを撮像面に配置した撮像手段により撮像された前記表示画面の映像データを、前記会議録データの再生画像に重ねて表示する手段
を有することを特徴とする会議録システム。
【請求項9】
請求項8に記載の会議録システムにおいて、
前記映像データは、重複領域について前記再生画像の内容を確認できるように透過処理されて重畳される
ことを特徴とする会議録システム。
【請求項10】
会議録システムにおいて、
会議録データの保存タイミングにおける時間情報を取得して記憶領域に保存する手段と、
会議録データの保存タイミングに表示画面上に表示されていた資料を特定する資料番号を取得し、前記時間情報と関連付けて前記記憶領域に保存する手段と、
表示画面上に表示されたカーソル位置を取得し、前記時間情報と関連付けて前記記憶領域に保存する手段と、
会議録データの保存タイミングにおける説明者の画像データを取得し、前記時間情報と関連付けて前記記憶領域に保存する手段と、
前記時間情報に基づいて前記資料番号、前記カーソル位置及び前記説明者の画像データを記憶領域から同期再生する手段と
を有することを特徴とする会議録システム。
【請求項11】
会議録システムを構成するコンピュータに、
会議録データの保存タイミングにおける時間情報を取得して記憶領域に保存する処理と、
会議録データの保存タイミングに表示画面上に表示されていた資料を特定する資料番号を取得し、前記時間情報と関連付けて前記記憶領域に保存する処理と、
表示画面上に表示されたカーソル位置を取得し、前記時間情報と関連付けて前記記憶領域に保存する処理と
を実行させるプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記カーソル位置は、前記表示画面を検出領域とする位置検出装置から与えられる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のプログラムにおいて、
前記表示画面の表面に配置された偏光フィルムの偏光方向とは異なる偏光方向を有する偏光フィルムが撮像面に配置され、前記表示画面を撮像対象とする撮像手段で撮像された映像データに対し、前記時間情報を付与する処理
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項11又は12に記載のプログラムにおいて、
会議録データの保存タイミングに表示画面上に表示されていた資料の表示領域を特定する位置情報を取得し、前記時間情報と関連付けて前記記憶領域に保存する処理
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項11又は12に記載のプログラムにおいて、
前記記憶領域に保存する前の前記カーソル位置を資料上のカーソル位置情報に変換し、前記時間情報と関連付けて記憶領域に保存する処理
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項16】
請求項11又は12に記載のプログラムにおいて、
前記時間情報と関連付けて保存された前記カーソル位置を前記記憶領域から読み出し、当該カーソル位置を資料上のカーソル位置情報に変換する処理
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
請求項11又は12に記載のプログラムにおいて、
資料と資料上の検索範囲を、会議録の検索条件として受付ける処理と、
前記資料上の検索範囲について前記記憶領域を検索する処理と、
前記資料上の検索範囲と合致したカーソル位置を有する会議録データの検索結果を出力する処理と、
検索結果から選択された時間位置から会議録データを再生する処理と
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムにおいて、
前記表示画面の表面に配置された偏光フィルムの偏光方向とは異なる偏光方向を有する偏光フィルムを撮像面に配置した撮像手段により撮像された前記表示画面の映像データを、前記会議録データの再生画像に重ねて表示する処理
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のプログラムにおいて、
前記映像データを、重複領域について前記再生画像の内容を確認できるように透過処理した後、対応資料に重畳する処理
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項20】
会議録システムを構成するコンピュータに、
会議録データの保存タイミングにおける時間情報を取得して記憶領域に保存する処理と、
会議録データの保存タイミングに表示画面上に表示されていた資料を特定する資料番号を取得し、前記時間情報と関連付けて前記記憶領域に保存する処理と、
表示画面上に表示されたカーソル位置を取得し、前記時間情報と関連付けて前記記憶領域に保存する処理と、
会議録データの保存タイミングにおける説明者の画像データを取得し、前記時間情報と関連付けて前記記憶領域に保存する処理と、
前記時間情報に基づいて前記資料番号、前記カーソル位置及び前記説明者の画像データを記憶領域から同期再生する処理と
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−118859(P2012−118859A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269309(P2010−269309)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】