伝送システムおよび伝送システムの制御方法
【課題】伝送装置に接続する通信装置間の経路計算負荷を削減して、拡張性に優れた伝送網を構築することができる伝送システムを提供する。
【解決手段】伝送システムは、伝送網22の構成要素である複数の伝送装置20−1〜20−4と、伝送網22を介して通信を行う複数のルータ11−1〜11−4と、複数の伝送装置間の通信経路を設定する伝送網通信経路管理サーバ4と、設定された通信経路を保存する伝送網通信経路DB5と、仮想ルータ制御サーバ24とを備える。ルータは、伝送装置に接続されると、接続された伝送装置を介して制御データを仮想ルータ制御サーバ24に送信する。仮想ルータ制御サーバ24は、制御データから、新たに接続されたルータと伝送装置との間の接続関係の情報を取得し、取得した情報と、伝送網通信経路DB5に保存されている伝送装置間の通信経路の情報とに基づいて、ルータ間の通信経路を確立する。
【解決手段】伝送システムは、伝送網22の構成要素である複数の伝送装置20−1〜20−4と、伝送網22を介して通信を行う複数のルータ11−1〜11−4と、複数の伝送装置間の通信経路を設定する伝送網通信経路管理サーバ4と、設定された通信経路を保存する伝送網通信経路DB5と、仮想ルータ制御サーバ24とを備える。ルータは、伝送装置に接続されると、接続された伝送装置を介して制御データを仮想ルータ制御サーバ24に送信する。仮想ルータ制御サーバ24は、制御データから、新たに接続されたルータと伝送装置との間の接続関係の情報を取得し、取得した情報と、伝送網通信経路DB5に保存されている伝送装置間の通信経路の情報とに基づいて、ルータ間の通信経路を確立する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置間の通信経路を確立する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクションオリエンテッド型の通信プロトコルで伝送網を構築する通信キャリアが知られている。伝送網を構築する通信プロトコルには、MPLS−TP(Multi Protocol Label Switching - Transport Profile)、PBB(Provider Backbone Bridges)、ATM(Asynchronous Transfer Mode)などがある。これら通信プロトコルは、End−End間の論理的な通信パスを構築することができ、機密性に優れた通信経路を提供することができる。また、これら通信プロトコルには、通信経路の障害有無を監視するOAM(Operation Administration and Maintenance)機能や、通信経路に障害が発生すると、自動で通信経路を切替えるAPS(Automatic Protection Switching)機能があり、高信頼な通信経路を構築することができる。
【0003】
一方、ISPや企業ユーザ(以降、伝送網利用ユーザと呼ぶ)は、IPでデータを送受信する装置であるルータを用いて通信網を構築することが多い。ルータは、ルーティングプロトコルをルータ間で交換することで、IPレイヤにおけるルータ間の接続関係を装置自律で収集して、経路情報を生成する。この経路情報は、同一通信網上に存在する全ルータが同じ経路情報を生成して保持している。各ルータは、生成した通信経路に従って、通信データを送受信する。
【0004】
伝送網利用ユーザは、通信キャリアから伝送網をレンタルし、伝送網利用ユーザの所有するルータを用いて、各拠点間を接続する。図20は、従来の通信キャリアが提供する伝送網と、伝送網利用ユーザ の拠点間を接続した場合の接続関係の一例を示す図である。
【0005】
通信キャリアの伝送網3は、複数の伝送装置1−n(図1に示す例では、n=1〜4)により構成されている。各伝送装置1−nは、ルータを接続するためのインタフェースカード(IF)2−nを有する。伝送装置1−n間の通信経路7は、伝送網通信経路管理サーバ4から、固定的に伝送装置1−nに設定される。伝送装置1−n間の通信経路情報は、伝送網通信経路管理サーバ4が備える伝送網通信経路データベース(DB)5で保存される。すなわち、伝送網通信経路管理サーバ4は、伝送網上のすべての通信経路7の状態を把握することができる。
【0006】
なお、伝送装置1−n間の通信経路7は論理的な接続であり、物理的な接続とは異なる場合がある。
【0007】
伝送網利用ユーザの拠点10−nは、伝送装置1−nと接続するルータ11−nと、通信端末12−mを備える。例えば、伝送網利用ユーザの拠点10−1は、伝送装置1−1と接続するルータ11−1と、通信端末12−1、12−2を備える。通信端末12−mは、例えば、他の通信網と接続するためのルータやパソコンなどの情報機器である。
【0008】
このようにルータ11−nと伝送装置1−nが接続された形態において、伝送装置1−nは、ルータ11−nが送信したIPパケットおよびルーティングパケットをインタフェース2−nで受信すると、インタフェース2−nにおいて、IPの下位レイヤのプロトコルのアドレス(例えば、MAC(Mandatory Access Control)アドレスなど)から、伝送網上のどの通信経路7−nで転送するかを決定する。インタフェース2−nにおいて通信経路が決定したパケットは、同じくインタフェース2−nにおいて、伝送網のデータ転送形態に加工され、目的のルータ1−nと接続されている伝送装置1−nへと転送される。
【0009】
このように、伝送網を介して各ルータを接続する従来技術として、特許文献1、特許文献2、特許文献3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−246138号公報
【特許文献2】特許第3910200号公報
【特許文献3】特開2000−183919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1および特許文献2を参照して、ルータ間を接続する場合のIPレイヤおよび伝送レイヤの従来の接続形態を図21に示す。図21では、従来の伝送レイヤ6とIPレイヤ13のそれぞれの接続形態を示している。なお、本図では、簡単化のため、各ルータ11−nに接続する通信端末12−n、および、伝送網通信経路管理サーバ4、伝送網通信経路DB5、IF2−nは省略している。
【0012】
伝送レイヤ6の通信経路7−nは、伝送網通信経路管理サーバ4によって設定され、伝送網通信経路DB5に全ての通信経路の関係が保存される。
【0013】
IPレイヤ13の接続関係は、ルータ11−n間でルーティングプロトコルを交換することによって、各ルータ11−nが自律的に生成する。ここで、伝送レイヤ6で各ルータ間をフルメッシュで接続される通信経路7−nが設定されることにより、伝送網3に接続する全てのルータが隣接関係になる。このため、各ルータが管理するルータ間の通信経路14−nは、図21の実線で示すように、ルータ11−n間をフルメッシュで接続する構成となる。
【0014】
IPレイヤ13の通信経路14−nの情報は、全てのルータで保持される。このため、伝送網3に接続するルータの数が増加するごとに、各ルータが保持する経路情報は指数関数的に増加していく。また、例えば伝送装置1−2と伝送装置1−3の間の経路障害が発生して、ルータ11−2とルータ11−3を直接接続する経路が失われた場合、ルータ11−2およびルータ11−3は経路の再計算を行い、新規ルートを設定する。この場合、本障害により通信の影響の発生しないルータ、例えばルータ11−1やルータ11−4など全てのルータに対しても、ルータ11−2、ルータ11−3から通信経路の再計算を促すルーティングプロトコルが転送され、各ルータで経路情報の再計算が実行される。
【0015】
このように、各ルータは、隣接関係にある全てのルータの経路情報を共有するので、ルータの接続台数が増加すると、経路情報量が大きくなり、各ルータの経路計算負荷も大きくなる。そのため、一般的には、同一ルーティングエリア内に配備するルータ台数は、50台前後とすることがルータベンダ各社から推奨されている。そのため、従来の方式では、伝送網を用いた大規模なルータ通信網を構築することはできない。
【0016】
また、特許文献3に記載の技術では、伝送装置がルーティング処理機能を具備し、ルータから受信したルーティングプロトコルを終端する。伝送装置は、IFカードがルーティングプロトコルを利用して、伝送網内の接続構成を確認し、ルータが接続されたことを他の伝送装置へ通知する。これにより、伝送装置に接続するルータからは隣接ルータ数が少なく見えるため、ルータ負荷は小さくなる。しかし、伝送装置間でルーティングプロトコルの交換を実施するために、伝送装置の制御負荷が増加してしまい、大規模な伝送網を構築できない。
【0017】
本発明の目的は、伝送装置に接続する通信装置間の経路計算負荷を削減して、拡張性に優れた伝送網を構築することができる伝送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、伝送システムは、伝送網の構成要素である複数の伝送装置と、前記伝送網を介して通信する複数の通信装置と、前記伝送網において、前記複数の伝送装置間の通信経路を設定する伝送網通信経路管理サーバと、前記伝送網通信経路管理サーバによって設定された前記伝送装置間の通信経路を保存する通信経路データベースと、前記伝送網を介した前記通信装置間の通信経路を確立する通信経路制御サーバと、を備え、前記通信装置は、前記伝送装置に接続されると、制御データを前記接続された伝送装置を介して前記通信経路制御サーバに送信し、前記通信経路制御サーバは、前記通信装置から送信された前記制御データから、新たに接続された前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報を取得し、取得した前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報と、前記通信経路データベースに保存されている前記伝送装置間の通信経路の情報とに基づいて、前記通信装置間の通信経路を確立することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の代表的な実施の形態によれば、通信装置の経路計算負荷を軽減させることができるので、拡張性に優れた伝送網を用いた通信網を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、第一の実施形態における伝送システムに、伝送網利用ユーザの所有するルータを接続した場合の一例を示す図である。
【図2】図2は、第一の実施形態における伝送システムにルータを接続した場合の伝送レイヤおよびIPレイヤの接続関係を示す図である。
【図3】図3は、各ルータと仮想ルータおよび他エリアIPネットワークとの接続関係を示す図である。
【図4】図4は、第一の実施形態におけるIP−IFカードを搭載した伝送装置の構成を示す図である。
【図5】図5は、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図6】図6は、伝送網通信経路管理サーバが有する伝送網通信経路DBの内容の一例を示す図である。
【図7】図7は、仮想ルータ制御サーバが有する隣接IPルータデータDBの一例を示す図である。
【図8】図8は、ルータ11−2が伝送装置20−2に接続した場合に発生する設定シーケンスを示す図である。
【図9】図9は、仮想ルータ制御サーバが実行する経路計算処理の内容を示すフローチャートである。
【図10A】図10Aは、ルータ1−2の接続前における伝送網経路データベース、隣接IPルータデータベース、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図10B】図10Bは、ルータ1−2の接続後における伝送網経路データベース、隣接IPルータデータベース、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図11】図11は、伝送網の伝送装置20−1と20−2の間で障害が発生した場合の処理シーケンスと伝送網の接続関係を説明するための図である。
【図12A】図12Aは、伝送網故障が発生する前における伝送網経路データベース、隣接IPルータデータベース、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図12B】図12Bは、伝送網故障が発生した後における伝送網経路データベース、隣接IPルータデータベース、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図13】図13は、伝送装置20−2とルータ11−2間で障害が発生した場合の処理シーケンスと伝送網の接続関係を説明するための図である。
【図14A】図14Aは、伝送装置とルータとの間で故障が発生する前における伝送網経路データベース、隣接IPルータデータベース、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図14B】図14Aは、伝送装置とルータとの間で故障が発生した後における伝送網経路データベース、隣接IPルータデータベース、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図15】図15は、仮想ルータ制御サーバの故障、または伝送装置と仮想ルータ制御サーバ間の伝送路で故障が発生した場合の処理シーケンスについて説明するための図である。
【図16】図16は、第二の実施形態における伝送装置の経路情報テーブルのエントリ内容の一例を示す図である。
【図17】図17は、第二の実施形態における伝送システムにおいて、伝送網の伝送装置20−1と伝送装置20−2の間で障害が発生した場合の処理シーケンスと、伝送網の接続関係を説明するための図である。
【図18】図18は、第三の実施形態における伝送システムの物理的接続を示す図である。
【図19】図19は、第三の実施形態におけるIP−IFカードを搭載したルータの構成を示す図である。
【図20】図20は、従来の通信キャリアが提供する伝送網と、伝送網利用ユーザ の拠点間を接続した場合の接続関係の一例を示す図である。
【図21】図21は、従来の伝送レイヤとIPレイヤのそれぞれの接続形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、各実施形態について説明する。以下の説明では、伝送網の通信プロトコルに、MPLS−TPを用いた場合を一例として記載するが、伝送網の通信プロトコルに依存することなく、同様の効果が得られる。また、ルータが使用するルーティングプロトコルとして、OSPF(Open Shortest Path First)を一例として記載するが、同様の動作をするルーティングプロトコルであれば同様の効果が得られる。
【0022】
−第一の実施形態−
図1は、第一の実施形態における伝送システムに、伝送網利用ユーザの所有するルータを接続した場合の一例を示す図である。
【0023】
図1に示す伝送システムでは、伝送網22を提供する通信事業者と、通信事業者から伝送網22の通信経路7をレンタルする伝送網利用ユーザが存在する。地理的に離れた位置にある伝送網利用ユーザの4つのサイト10−1〜10−4を通信事業者の伝送網22により接続している。
【0024】
伝送網利用ユーザの拠点10−nには、伝送装置20−nと接続するルータ(通信装置)11−nと、通信端末12−mが含まれる。通信端末12−mは、例えば、他の通信網と接続するためのルータやパソコンなどの情報機器である。
【0025】
伝送網利用ユーザの拠点には、ネットワークアドレスが設定されている。ネットワークアドレスは通常、例えばIPv4では、192.168.1.0/24などのようなプレフィックス表記で表されるが、ここでは簡単化のために、各拠点のネットワークアドレスをAA、BB、CC、DDのように表記する。
【0026】
ここで、ルータの動作について、簡単に説明する。ルータは、ルーティングプロトコルを利用して、自拠点、および自拠点と接続する他のルータ網のネットワークアドレス(これらを経路情報と呼ぶ)を各ルータ間で交換することで、自ルータの周辺にどのようなルータ網が存在しているかを自律的に学習する。また、ルーティングパケットの交換により学習した経路情報から、ルーティングテーブルを生成する。
【0027】
ルーティングテーブルは、ネットワークアドレスと、隣接ルータのIPアドレスとなるネクストホップアドレスと、ネクストホップアドレスを持つ隣接ルータを接続するIF番号などを保持する。ルータは、IPパケットを受信すると、ルーティングテーブルのネットワークアドレスと宛先IPアドレスの相互参照検索を実行し、宛先IPと一番近いネットワークアドレスに対応づく隣接ルータに対してIPパケットを転送する。
【0028】
通信事業者の伝送システムは、伝送装置20−n、伝送網通信経路管理サーバ4、および、仮想ルータ制御サーバ(通信経路制御サーバ)24を備える。伝送網22は、複数の伝送装置20−nによって構築される。なお、図1では、伝送網通信経路管理サーバ4と仮想ルータ制御サーバ24が別のサーバで構成されているが、これらサーバが具備する機能を同一のサーバ内に配備しても同様の効果が得られる。
【0029】
伝送網22を構成する各伝送装置20−nは、ルータを接続するためのIP−IFカード21−nと、伝送装置間を接続するための中継IF(図示せず)と、伝送網通信経路管理サーバ4および仮想ルータ制御サーバ24と接続するための制御IF(図示せず)を保持している。
【0030】
なお、伝送網の通信プロトコルには、IETF(Internet Engineering Task Force)で標準化中のMPLS−TPを用いる。MPLS−TPは、受信した伝送網に接続する隣接装置から受信したデータをMPLSラベルでカプセル化したMPLSフレームの形態にし、伝送網内では、カプセル化したMPLSラベルに基づいてMPLSフレームをあて先となる伝送装置まで転送することを特徴とする。
【0031】
伝送網通信経路管理サーバ4は、ポイント・ツー・ポイントでの伝送装置20−n間の通信経路7を各伝送装置20−nに設定する。伝送網22内の全ての伝送装置20−n間の通信経路7の情報は、伝送網通信経路管理サーバ4が備える伝送網通信経路データベース(DB)5に保存される。そのため、伝送網通信経路管理サーバ4は、伝送網上のすべての通信経路7の状態を把握することができる。なお、伝送装置20−n間の通信経路7は論理的な接続であり、物理的な接続とは異なることがある。
【0032】
図1に示す例では、伝送装置20−1から伝送装置20−2へは送信LSP10、受信LSP100、伝送装置20−1から伝送装置20−3へは送信LSP20、受信LSP200、伝送装置20−1から伝送装置20−4へは送信LSP30、受信LSP300が設定されている。
【0033】
仮想ルータ制御サーバ24は、伝送網利用ユーザのルータが伝送網22に向けて送信したルーティングパケットを伝送装置20−n経由で受信し、ルーティングパケットの解析を行う。解析の結果、受信したルーティングパケットが、ルータがネットワークアドレスを広告するために送信したものであった場合、パケットからネットワークアドレスを収集する。また、ルーティングパケットを受信した伝送装置20−nとその他の伝送装置20−nとの接続関係を伝送網通信経路DB5から取得し、収集したネットワークアドレスと通信経路7の関係を各伝送装置20−nが備えるIP−IFカード21−nに対して設定する。この動作の詳細については後述する。
【0034】
図4は、第一の実施形態におけるIP−IFカード21を搭載した伝送装置20の構成を示す図である。伝送装置20は、1つ以上の装置制御部33と、スイッチ(SW)部32と、1枚以上の中継インタフェース(IF)カード34と、1枚以上のIP−IFカード21を備える。装置制御部33、SW部32、中継IFカード34、IP−IFカード21は、互いに接続される。図中の実線矢印は主信号の流れを示しており、破線矢印は制御信号の流れを示している。
【0035】
装置制御部33は、伝送網通信経路管理サーバ4および仮想ルータ制御サーバ24と接続するための制御IF35を備えている。装置制御部33は、伝送網通信経路管理サーバ4および仮想ルータ制御サーバ24から受信した設定情報を、SW部32、中継IFカード34、IP−IFカード21に設定する。さらに、装置制御部33は、IP−IFカード21から転送されたルーティングパケットを、仮想ルータ制御サーバ24へと転送する機能も備える。
【0036】
SW部32は、各IFカードから受信したMPLSフレームを解析して、受信データの転送先を特定し、適切な中継IFカード34およびIP−IFカード21へとデータを引き渡す。中継IFカード34は、伝送網22を構成する他の伝送装置20と接続するインタフェースである。なお、中継IFカードとしては、既知の中継IFカードを用いることができるため、詳細な説明は省略するが、SW部32および伝送網22との間でデータの送受信を行う送受信回路、装置制御部33と通信を行う機能を有するカード制御部などを備える。
【0037】
IP−IFカード21は、カード制御部49、受信回路41、L2受信処理部42、パケット解析振分け部43、MPLS−TPカプセル化部44、経路情報テーブル45、スケジューラ46、SW送信回路47、MPLS−TP OAM処理部48(以下、OAM処理部48と呼ぶ)、SW受信回路51、フレーム解析振分け部52、MPLS−TP終端部53、スケジューラ54、L2送信処理部55、送信回路56、Hello処理部57、ルーティングプロトコル処理部58を含む。
【0038】
カード制御部49は、装置制御部33と接続しており、装置制御部33から通知された設定情報をIP−IFカード21の各構成部に対して設定する機能と、IP−IFカード21の各構成部に設定されている情報を読み出して、装置制御部33へ通知する機能を有する。カード制御部49は、さらに、パケット解析振分け部43から転送されてきたルーティングパケットを装置制御部33へと中継する機能と、装置制御部33から転送されてきたルーティングパケットをルーティングプロトコル処理部58へ転送する機能を有する。
【0039】
受信回路41は、隣接ルータからデータを受信する。
【0040】
L2受信処理部42は、隣接ルータと伝送装置間を接続するOpen Systems Interconnection(OSI)参照モデルのデータリンク層のプロトコルを終端する。データリンク層プロトコルが例えばイーサネット(登録商標、以下同じ)の場合、L2受信処理部42は、イーサネットフレームの終端処理を実行する。L2受信処理部42は、また、受信したイーサフレームの送信元MACアドレスを学習し、L2送信処理部55と情報を共有する。
【0041】
パケット解析振分け部43は、L2受信処理部42から受信したデータを解析し、ルーティングパケットとデータパケットに分類する。受信したデータがデータパケットの場合、パケット解析振分け部43は、受信したデータをMPLS−TPカプセル化部44に転送する。受信したデータがルーティングパケットの場合、パケット解析振分け部43は、ルーティングパケットの種類を判定し、ルーティングパケットが隣接ルータの検出および接続確認のためのHelloパケットである場合には、Hello処理部57へとHelloパケットを転送する。また、ルーティングパケットが隣接ルータに対して経路情報を要求するLink State Request(LSR)パケットである場合、パケット解析振分け部43は、LSRパケットをルーティングプロトコル処理部58およびカード制御部49に転送する。さらに、その他のルーティングパケットを受信した場合、パケット解析振分け部43は、受信したルーティングパケットをカード制御部49に転送する。
【0042】
MPLS−TPカプセル化部44は、データパケットの宛先IPを取得し、経路情報テーブル45のネットワークアドレスとロンゲストマッチングを行い、データパケットを転送すべき通信経路となる送信Label Switching Path(LSP)値62を取得する。また、取得したLSPでMPLSラベルを生成し、データパケットをMPLS−TPフォーマットでカプセリングし、スケジューラ46へとパケットを転送する。
【0043】
経路情報テーブル45について、図5を用いて説明する。図5は、経路情報テーブル45の一例を示す図である。経路情報テーブル45は、ネットワークアドレス61、送信LSP62、受信LSP63、LSP状態64を含む。ネットワークアドレス61には、仮想ルータ制御サーバ24から与えられた値が設定される。送信LSP62および受信LSP63には、伝送網通信経路管理サーバ4から与えられた値が設定される。LSP状態64には、伝送網内の通信経路であるLSPの状態がOAM処理部48から設定される。経路情報テーブル45は、MPLS−TPカプセル化部44、OAM処理部48、ルーティングプロトコル部58およびカード制御部49から参照される。
【0044】
スケジューラ46は、MPLS−TPカプセル化部44およびOAM処理部48のMPLSフレーム出力調停を行う。スケジューラ46は、受信したMPLSフレームをSW送信回路47へ転送する。
【0045】
SW送信回路47は、スケジューラ46から受信したMPLSフレームをSW部32へと転送する。
【0046】
OAM処理部48は、経路情報テーブル45に設定されているLSPの正常性を監視する接続性監視機能、ルータを接続するリンク障害を監視するアクセスリンク監視機能、伝送網の障害を検出する伝送網障害検出機能を有する。
【0047】
OAM処理部48の接続性監視機能は、接続性監視(Continuity Check(CC))フレームの生成終端をすることで実行される。経路情報テーブル45を参照し、登録がある送信LSP62毎に、一定周期でCCフレームを生成送信する。また、登録がある受信LSP63毎に、一定周期でCCフレームを受信しているかどうかを監視する。受信したCCフレームは、パケット解析振分け部52から転送される。ある受信LSP63において、CCフレームが一定期間、未受信の状態になると、CCフレームが未受信となったLSPで何らかの障害が発生したと判定し、経路情報テーブル45の該当する受信LSPのエントリのLSP状態64に、LOC(Loss Of CC)検出状態を登録する。LOC検出状態の回復条件は、当該LSPにおけるCCフレームの一定期間における受信である。
【0048】
OAM処理部48のアクセスリンク監視機能は、受信回路41での対向ルータとの物理的な接続関係の切断状態を検出した場合、またはHello処理部57において、対向ルータからのHelloパケットの一定期間の未受信状態を検出した場合に、経路情報テーブル45に設定されている送信LSP62に対して、クライアント障害発生通知(Client Signal Fail(CSF))フレームを生成/挿入する。これにより、対向伝送装置は、ルータとのアクセスリンク障害が発生していることを検出できる。
【0049】
また、経路情報テーブル45に設定されている受信LSP63に対応する通信経路から受信したCSFフレームの終端機能を有する。OAM処理部43は、経路情報テーブル45のCSFフレームを受信したLSPのLSP状態64に、CSF検出状態を登録する。これにより、対向伝送装置20でアクセスリンク障害が発生していることを検出できる。CSF検出状態の回復条件は、当該LSPにおけるCSFフレームの一定期間の未受信である。CSF検出状態が回復すると、OAM処理部43は、経路情報テーブル45のLSP状態64からCSF検出状態を削除する。
【0050】
OAM処理部48の伝送網障害検出機能は、伝送網を構成するその他の伝送装置において何らかの障害を検出し、当該障害により通信障害が発生するLSPに対して障害を通知する前方障害通知(Alarm Indication Signal (AIS)およびLink Down Indication (LDI))フレームの終端機能を有する。OAM処理部43は、経路情報テーブル45のAISまたはLDIフレームを受信したLSPのLSP状態64に、AISまたはLDI検出状態を登録する。これにより、伝送網22を構成する伝送装置20の障害により、LSPに通信障害が発生していることを検出できる。AISまたはLDI検出状態の回復条件は、当該LSPでのAISまたはLDIフレームの一定期間の未受信である。AISまたはLDI検出状態が回復すると、OAM処理部43は、経路情報テーブル45のLSP状態64からAISまたはLDI検出状態を削除する。
【0051】
SW受信回路51は、SW部32からフレームを受信し、フレーム解析振分け部52へと転送する。
【0052】
フレーム解析振分け部52は、受信したMPLSフレームを解析し、データフレームとMPLS−TP OAMフレームに分類する。データフレームは、MPLS−TP終端部53へと転送し、MPLS−TP OAMフレームは、OAM処理部48へと転送する。
【0053】
MPLS−TP終端部53は、受信したMPLSフレームからMPLS−TPヘッダをデカプセル化して、IPパケットを取り出し、スケジューラ54へと受信パケットを転送する。
【0054】
スケジューラ54は、Hello処理部57、ルーティングプロトコル処理部58、MPLS−TP終端部53のIPパケット出力調停を行う。スケジューラ54は、受信したIPパケットをL2送信処理部55へ転送する。
【0055】
L2送信処理部55は、スケジューラ54からIPパケットを受信すると、L2受信処理部42と情報を共有しているMACアドレスからMACヘッダを生成し、受信したIPパケットに付与して送信回路56へとIPパケットを転送する。
【0056】
送信回路56は、L2送信処理部55から受信したIPパケットをルータ11−nへと送信する。
【0057】
Hello処理部57は、IP−IFカード21と直接接続するルータ11−nとの間でHelloパケットを送受信し、ルータ11−nとの間における通信の正常性を監視する。Hello処理部57は、IP−IFカード21にルータが接続したことを検出すると、Helloパケットを周期的に生成し、スケジューラ54へ送信する。また、周期的にHelloパケットを受信していることを監視し、Helloパケットの未受信を検出すると、IP−IFカード21と直接接続するルータ11−nとの間で何らかの障害が発生したと判断し、OAM処理部48に対してCSF生成指示を出す。ルータ11−nからのHelloパケットを再度受信すると、OAM処理部48へのCSF生成指示を解除する。
【0058】
ルーティングプロトコル処理部58は、仮想ルータ制御サーバ24から転送されてきたルーティングパケットの挿入処理機能、LSRパケットの終端処理、経路情報テーブル45の更新およびLSR終端をトリガとして経路情報を通知するLink State Advertisement(LSA)パケットのType3 Summary−LSAの生成および挿入機能を有する。
【0059】
次に、伝送網通信経路管理サーバ4から、伝送装置20−n間に通信経路であるLSPを設定する手順について、図1と図5と図6を参照しながら説明する。
【0060】
図6は、伝送網通信経路管理サーバ4が有する伝送網通信経路DB5の内容の一例を示す図である。伝送網通信経路DB5は、通信経路の始点となる伝送装置のID71と、通信経路の終点となる伝送装置のID72と、その間に設定する通信経路のLSP73の値から構成される。なお、複数のIFカードを備える伝送装置では、装置IDにはIFカードおよびそのIFカードの物理ポート情報を特定する情報が含まれることがある。この場合、同一装置であっても、IFカードまたは物理ポートが異なれば、異なる装置IDが付与される。
【0061】
MPLS−TPにおいて、通信経路は片方向ずつ設定される。そのため、例えば伝送装置20−1と伝送装置20−2の間で双方向の通信経路を設定する場合には、始点IDが伝送装置20−1、終点IDが伝送装置20−2とする通信経路を指定するLSP設定と、始点IDが伝送装置20−2、終点IDが伝送装置20−1とする通信経路を指定するLSP設定が必要となる。なお、一つの通信経路IDで双方向の通信経路を確立できる通信プロトコルを伝送網に採用する場合、DBのフォーマットは、2台の伝送装置のIDと、その間を接続する通信経路のIDを保持するだけでよい。
【0062】
伝送装置20−n間の通信経路は、伝送装置を保守運用する通信事業者の保守者が伝送網通信経路管理サーバ4から設定する。保守者は、通信経路を確立したい伝送装置20−n間の始点となる伝送装置のID、終点となる伝送装置のID、その間に接続したい通信経路のLSP値をサーバから登録する。なお、実際の伝送網では、始点と終点の伝送装置の間に複数の中継装置が存在しており、保守者は、通信経路の経由する中継装置も管理サーバに設定する。図6では、簡単化のため、中継装置の登録情報は省略している。
【0063】
図6に示す例では、保守者が伝送装置20−1を始点とし、伝送装置20−2、20−3、20−4を終点とする3本の通信経路10、20、30を登録している状態を示している。これらの値が登録されると、伝送装置20−1の経路情報テーブル45(図5参照)の送信LSP62のフィールドには、10、20、30の値が設定される。また、伝送装置20−2の経路情報テーブルの受信LSP63のフィールドに10が、伝送装置20−3の経路情報テーブルの受信LSP63のフィールドに20が、伝送装置20−4の経路情報テーブルの受信LSP63のフィールドに30が設定される。
【0064】
同様の手順で、次に伝送装置20−2、20−3、20−4を始点とし、伝送装置20−1を終点とするパスが保守者から設定されることにより、伝送装置20−1と伝送装置20−2、20−3、20−4間の双方向の通信経路が確立される。
【0065】
これらの設定が完了したときの伝送装置20−1の経路情報テーブル45の内容は、図5に示す送信LSP62と受信LSP63のフィールドが設定された状態となる。なお、ネットワークアドレス61は、まだルータが接続されていない状態においては空欄となっている。
【0066】
さらに、伝送装置20−2、20−3、20−4間を接続する双方向の通信経路を同様の手順で設定することにより、伝送装置20−n間を接続するフルメッシュの通信経路が設定される。
【0067】
これら通信経路情報は、伝送網通信経路DB5で保存されるので、伝送網通信経路DB5を参照することにより、伝送装置間の全ての接続情報を収集することができる。
【0068】
次に、ルータ11−nが伝送装置20−nに接続された時の、仮想ルータ制御サーバ24および伝送装置20−nの動作について、図7、図8、図9、図10A、図10Bを用いて説明する。なお、前提として、ルータ11−nが接続される前に、既に伝送装置20−n間の通信経路7は設定済みとする。
【0069】
ルータ11−nが接続されたときの、ルータ11−n、伝送装置20−nおよび仮想ルータ制御サーバ24間での初期設定の詳細動作については、後述する。
【0070】
図7は、仮想ルータ制御サーバ24が有する隣接IPルータDB25の一例を示す図である。隣接IPルータDB25は、伝送装置ID81、伝送装置ID81を有する伝送装置に接続するルータのルータID82、ルータから広告されたネットワークアドレス83、ルータとの接続状態84を含む。
【0071】
まず初めに、伝送装置20−1にルータ11−1が接続された場合について説明する。このとき、ルータ11−1と伝送装置20−1および仮想ルータ制御サーバ24間でルーティングプロトコルおよび経路情報設定等のコマンドが実行され、隣接IPルータDB25に新規エントリが登録される。さらに、伝送装置20−2、20−3、20−4の経路情報テーブルに、ネットワークアドレスが登録される。
【0072】
ルータ11−1が接続された状態で、隣接IPルータDB25には、伝送装置ID81に伝送装置20−1、ルータIDにルータ11−1、ネットワークアドレス83にAA、接続状態84に正常が登録される。このとき、伝送網通信経路DB5、隣接IPルータDB25、伝送装置20−1の経路情報テーブル45は、それぞれ図10AのS41の状態となっている。
【0073】
次に、ルータ11−2が伝送装置20−2に接続された場合の設定手順について、図8と図9と図10Aと図10Bを参照しながら説明する。
【0074】
図8は、ルータ11−2が伝送装置20−2に接続した場合に発生する設定シーケンスを示す図である。
【0075】
ルータ11−2が伝送装置20−2に接続されると、ルータ11−2は、伝送装置20−2に対して、隣接ルータの探索を目的として、Helloパケットを送信する(S11)。
【0076】
Helloパケットの処理には特殊な計算等が不要のため、IP−IFカード21で終端処理をすることが可能であるが、伝送装置20−2は、ルータが接続されて最初に受信したHelloパケットを、仮想ルータ制御サーバ24へと転送する。これは、仮想ルータ制御サーバ24に対して、これから新規ルータとの間で初期シーケンスが開始されることを通知するために行う。このとき、装置制御部33は、ルーティングパケットをどの伝送装置のどのIP−IFカード21で受信したかがわかるように、伝送装置IDとIP−IFカード情報を付加して転送する。なお、伝送装置20−nから仮想ルータ制御サーバ24へ転送されるルーティングパケットには、伝送装置IDとIP−IFカード情報が付加されるが、以降のシーケンスの説明では、記載を省略する。
【0077】
伝送装置20−2のIP−IFカード21は、Helloパケットを受信すると、それに応答するHelloパケットをルータ11−2に返信する(S12)。
【0078】
ルータ11−2は、Helloパケットを受信することによって、隣接ルータの存在を知り、次にDatabase Description (DD)パケットを伝送装置20−2へと転送する。DDパケットは、IP−IFカード21から装置制御部33経由で仮想ルータ制御サーバ24へと転送される(S13)。
【0079】
DDパケットを受信した仮想ルータ制御サーバ24は、伝送装置20−2にルータが接続されたことを認識し、DDパケットを伝送装置20−2に送信する。仮想ルータ制御サーバ24が送信するDDパケットには、DDパケットを受信する伝送装置のIDおよびIP−IFカード情報が付加されている。仮想ルータ制御サーバ24が送信したDDパケットは、装置制御部33とIP−IFカード21を経由してルータ11−2へ転送される(S14)。なお、仮想ルータ制御サーバ24から伝送装置20−nへ送信されるルーティングパケットには、伝送装置IDとIP−IFカード情報が付加されるが、以降のシーケンスの説明では、記載を省略する。
【0080】
DDパケットを受信したルータ11−2は次に、経路情報を要求するLSRパケットを伝送装置20−2に送信する。LSRパケットは、IP−IFカード21のルーティングプロトコル処理部58と仮想ルータ制御サーバ24に転送される(S15)。
【0081】
ルーティングプロトコル処理部58は、LSRパケットを受信すると、経路情報テーブル45を検索し、設定されているネットワークアドレス61から経路情報を通知するLSAパケットを生成して、ルータ11−2へと送信する(S16)。なお、この時点では、伝送網22に接続されているルータは、ルータ11−1の1台のみであることから、LSAパケットに含まれるネットワークアドレス情報は、ルータ11−1から取得したネットワークアドレス”AA”となる。
【0082】
なお、LSAパケットの生成は、仮想ルータ制御サーバ24でも可能である。仮想ルータ制御サーバ24でLSAパケットを生成する場合、仮想ルータ制御サーバ24は、伝送網通信経路DB5と隣接IPルータDB25から、LSRパケットを受信した伝送装置と接続関係にある伝送装置に接続するルータのネットワークアドレスを収集し、LSAパケットを生成する。なお、この時点では、伝送網22に接続されているルータは、ルータ11−1の1台のみであることから、仮想ルータ制御サーバ24が生成するLSAパケットに含まれるネットワークアドレス情報は、ルータ11−1から取得したネットワークアドレス”AA”となる。
【0083】
ルータ11−2は、LSAパケットを受信すると、ルータが具備する経路情報を更新し、Link-state Acknowledgment(LSAck)パケットを伝送装置20−2に送信する(S17)。LSAckパケットは、IP−IFカード21のルーティングプロトコル処理部58で終端される。
【0084】
LSAckパケットの処理には特殊な計算等が不要のため、IP−IFカード21で終端処理をすることが可能であるが、伝送装置20−2は、ルータが接続して最初に受信したLSAckパケットを仮想ルータ制御サーバ24へと転送する。これは、初期シーケンスにおいては、LSAckパケットの受信後に、LSRパケットをルータに対して送信する必要があり、LSRパケットの生成タイミングを仮想ルータ制御サーバ24に教えるために行う。
【0085】
LSAckパケットを受信した仮想ルータ制御サーバ24は、新規接続したルータが具備している経路情報を収集するために、LSRパケットを伝送装置20−2に送信する。仮想ルータ制御サーバ24が送信したLSRパケットは、新規ルータが接続された伝送装置20−2の装置制御部33経由で、IP−IFカード21からルータ11−2へと送信される(S18)。
【0086】
LSRパケットを受信したルータ11−2は、自装置で管理する経路情報に基づいてLSAパケットを生成して、伝送装置20−2へと送信する。LSAパケットを受信したIP−IFカード21は、装置制御部33経由で仮想ルータ制御サーバ24へと、LSAパケットを転送する(S19)。
【0087】
LSAパケットを受信した仮想ルータ制御サーバ24は、伝送網通信経路DB5から伝送装置間の接続関係を収集し、受信したLSAパケットの内容に基づいて、経路情報テーブル45を更新すべき伝送装置20−nのIP−IFカード21を特定して、それぞれどのように更新するかの経路計算処理を実行する(S20)。
【0088】
仮想ルータ制御サーバ24が実行する経路計算処理について、図9のフローチャートを用いて詳述する。なお、図9のフローチャートは、状態にかかわらず、LSAパケットを受信した時の仮想ルータ制御サーバ24の処理となる。
【0089】
仮想ルータ制御サーバ24がLSAパケットを受信すると、フローチャートの処理が開始される(S30)。
【0090】
仮想ルータ制御サーバ24は、受信したLSAパケットを解析し、ルータIDとアドレスプレフィックスを収集する(S31)。
【0091】
仮想ルータ制御サーバ24は、LSAパケットを転送した伝送装置のID、ルータID、ネットワークアドレスに基づいて、隣接IPルータDB25の新規エントリを生成して登録する(S32)。ここでは、ルータ11−2から、ルータIDとネットワークアドレスBBを取得するので、隣接IPルータDB25には、伝送装置ID81に伝送装置20−2、ルータID82にルータ11−2、ネットワークアドレス83にBBが登録される。また、状態84には正常が登録される。新規エントリを登録した隣接ルータDB25の内容は、図10AのS41の内容から、図10BのS42の内容に更新される。
【0092】
ここで、本例では、ルータ11−2から送信されたLSAパケットに格納されていたネットワークアドレスがBBの1つのみとしているが、ルータ11−2が複数のネットワークアドレスを有していることもある。この場合には、LSAパケットに複数のネットワークアドレスが格納されている。このようなLSAパケットを受信した場合は、同一の伝送装置IDとルータIDで異なるネットワークアドレスのエントリが複数生成されることになる。
【0093】
仮想ルータ制御サーバ24は、取得した伝送装置IDと一致する終点伝送装置IDを持つエントリが伝送網通信経路DB5にあるか否かを調べる(S33)。
【0094】
仮想ルータ制御サーバ24は、取得した伝送装置IDと一致する終点伝送装置IDを持つエントリから、始点伝送装置IDとLSP値を取得する(S34)。
【0095】
仮想ルータ制御サーバ24は、通信経路の始点となる伝送装置の経路情報テーブル45の新規登録エントリを生成する(S35)。経路情報テーブル45の新規登録エントリには、送信LSPと、その送信LSPの宛先にあたる伝送装置20−nに接続するルータが属するネットワークアドレスおよびそのルータの先に繋がるIP網のネットワークアドレスが含まれる。伝送装置20−nに接続するルータが属するネットワークアドレスおよびそのルータの先に繋がるIP網のネットワークアドレスとは、新規接続したルータ11−2が送信してきたLSAパケットに格納されていたネットワークアドレスの情報である。
【0096】
最後に、仮想ルータ制御サーバ24は、新規経路情報エントリを、伝送装置20−2を終点とするLSPが設定されている伝送装置へ通知する(S36)。
【0097】
上記S30からS36までの処理が終了すると、仮想ルータ制御サーバ24のLSAパケット受信時の処理フローが終了する(S37)。
【0098】
仮想ルータ制御サーバ24は、経路計算の一連の処理が完了すると、LSAパケットの送信元ルータ11−2に対して、LSAckパケットを生成して送信する。LSAckパケットは、装置制御部33とIP−IFカード21を経由して、ルータ11−2へ転送される(S23)。
【0099】
仮想ルータ制御サーバ24から新規経路情報エントリを通知された伝送装置20−1は、送信LSP10を持つ経路情報テーブルのエントリのネットワークアドレスフィールドに、仮想ルータ制御サーバ24から取得したネットワークアドレスを登録する。新規エントリを登録した経路情報テーブル45の内容は、図10AのS41の内容から、図10BのS42の内容に更新される。さらには、自伝送装置の経路情報テーブル45に更新があったことを、接続しているルータ11−1に通知するために、LSAパケットを生成して、ルータ11−1へ送信する(S22)。ルータ11−1へ送信するLSAパケットに含まれる情報は、新規に登録されたネットワークアドレス”BB”である。
【0100】
以上の処理により、伝送システムに新規ルータを接続することができる。さらには、既に伝送システムに接続済みのルータに対して、新規経路が増設されたことを通知することができる。これにより、本実施形態における伝送システムでは、伝送網22を一つの巨大な仮想ルータのように制御することが可能となる。
【0101】
図2は、第一の実施形態における伝送システムにルータを接続した場合の伝送レイヤおよびIPレイヤの接続関係を示す図である。
【0102】
伝送レイヤ22の接続関係は、従来の伝送網と同じように、フルメッシュで通信経路7が設定されている。一方、IPレイヤ13の接続関係は、伝送システムが一つの巨大な仮想ルータとして動作することから、各ルータ11−nは、仮想ルータ26とPoint-to-Pointで接続しているように見える。
【0103】
さらに、仮想ルータとそれぞれの伝送網利用ユーザの拠点を別エリアと設定することにより、各ルータ11−nが管理すべき接続関係は、図3に示すように、自ルータ11およびその拠点内部のネットワークと、仮想ルータ26のみとなる。また、ルータ11からは、伝送網22によって接続されている他拠点のルータ11−nは、他エリアIPネットワーク27として見えるため、仮想ルータ26にIPパケットを転送することで、どのネットワークアドレスへ向けてデータを転送することができるかの情報であるネットワークアドレスリスト情報のみを保持するだけで良い。このため、伝送網の先に繋がるルータ11−n間の接続状況を管理する必要がなくなるため、従来技術と比較して経路計算負荷が小さくなる。
【0104】
また、本実施形態における伝送システムでは、ルータ11−nから定期的に送信されるHelloパケットの処理を伝送システム内に分散配備するIP−IFカード21で実行することで、仮想ルータ制御サーバ24の処理負荷を削減することができる。さらに、同じくルータ11−nから定期的に送信されるLSRパケットの処理、およびネットワーク構成が変更するごとに生成する必要があるLSAパケット送信処理を、伝送システム内に分散配備するIP−IFカード21で実行することで、仮想ルータ制御サーバ24の処理負荷を削減することができる。
【0105】
また、従来のルータは、同じエリアに属するルータ間でルーティングプロトコルを交換し、各ルータから収集した経路情報に基づいて、ネットワークの接続関係を導き出していた。このネットワークの接続関係の計算処理がルータ網において拡張性の阻害要因となっていた。一方、本実施形態における伝送システムでは、仮想ルータ制御サーバ24は、伝送装置20−nの接続関係を伝送網通信経路DB5から収集して把握することができるので、従来のルータのような接続関係の計算負荷が発生しない。このことにより、本実施形態における伝送システムは拡張性に優れている。
【0106】
次に、本実施形態における伝送システムで障害が発生した場合の処理について、下記(1)〜(3)のそれぞれの場合における処理動作について説明する。
(1)伝送網の通信経路で障害が発生した場合
(2)伝送装置とルータを接続するリンクで障害が発生した場合
(3)仮想ルータ制御サーバで故障が発生した場合、または伝送装置と仮想ルータ制御サーバ間で故障が発生した場合
説明の前提とする伝送網22の構成は、図1に示すものとする。すなわち、伝送システム内に4台の伝送装置20−nが存在しており、伝送装置間にはフルメッシュの通信経路が予め設定されている。また、各伝送装置には、1台ずつルータが接続されている。以下で述べる障害発生時の処理は、伝送装置20−1、20−2に注目して記述する。
【0107】
(1)伝送網の通信経路で障害が発生した場合
伝送装置20−1と20−2間の通信経路で障害が発生した場合の処理について、図11、図12Aおよび図12Bを用いて説明する。
【0108】
図11は、伝送網22の伝送装置20−1と20−2の間で障害が発生した場合の処理シーケンスと伝送網22の接続関係を説明するための図である。伝送網22には、伝送装置20−1、20−2と、伝送装置間の通信経路を中継する中継装置28−1、28−2が含まれる。伝送装置20−1から20−2へは、通信経路としてLSP10が設定されており、伝送装置20−2から20−1へは、通信経路としてLSP100が設定されている。
【0109】
ここでは、伝送装置20−1と伝送装置20−2の間にある中継装置28−1と28−2の間で障害が発生し、伝送装置20−1と伝送装置20−2間の通信が断絶した場合を一例として、本実施形態における伝送システムの処理シーケンスについて解説する。
【0110】
中継装置28−1と28−2の間で故障が発生する(S51)。
【0111】
故障を検出した中継装置は、故障により通信に影響が発生するLSPに対して、通信経路で故障が発生したことを通知するAlarm Indication Signal(AIS)フレーム、またはLocal Defect Indicator(LDI)フレームを送信する(S52)。AISフレームまたはLDIフレームは、故障回復までの間、周期的に送信される。AISフレームおよびLDIフレームのいずれのフレーム検出時でも、伝送装置20−1の処理は同じであるため、以降の説明では、AISフレーム受信時を一例として説明する。
【0112】
中継装置が送信したAISフレームは、伝送装置20−1のIP−IFカード21のOAM処理部48で終端される。AISフレームを検出したOAM処理部48は、経路情報テーブル45の当該AISフレームを検出したLSPが登録されているエントリ91のLSP状態を「AIS検出」とする。OAM処理部48は、LOCも検出することがある(図12BのS62)。LOCを検出した場合は、LSP状態を「LOC検出」とする。
【0113】
このAISを検出したエントリの通信経路は、正常にデータを送受信することができない。そのため、この経路を使用するルータ11−1に対して、経路が消滅したことを通知する必要がある。
【0114】
ルーティングプロトコル処理部58は、経路情報テーブル45を定期的にポーリングし、LSP状態に何らかの警報状態があるネットワークアドレスを検出すると、経路が消えたことを通知するために、LSAパケットを生成して、ルータ11−1に送信する(S53)。
【0115】
LSAパケットを受信したルータ11−1は、ルータ11−2宛てのパケットを伝送網22の方向に転送しても到達しないことを把握するので、その他のルートを計算する。
【0116】
その後、中継装置28−1と28−2の間の故障が回復する(S54)。故障回復を検出した中継装置は、AISフレームの送信を停止する。
【0117】
伝送装置20−1のOAM処理部48は、一定時間AISフレームを受信しなかった場合、伝送装置20−2との間の通信経路が復旧したと判断し、経路情報テーブル45の当該AISフレーム未検出となったLSPが登録されているエントリ91のLSP状態を「正常」とする(図12AのS61)。
【0118】
通信経路が回復したため、この経路を使用するルータ11−1に対して、経路が生成されたことを通知する必要がある。ルーティングプロトコル処理部58は、経路情報テーブル45を定期的にポーリングし、LSP状態が正常になったネットワークアドレスを検出すると、経路が生成されたことを通知するために、LSAパケットを生成して、ルータ11−1に送信する(S55)。
【0119】
LSAパケットを受信したルータ11−1は、ルータ11−2宛のパケットを伝送網22の方向に転送することができることを把握して、経路再計算を実行する。
【0120】
なお、本処理では、伝送網通信経路データベース5および隣接IPルータDB25のエントリ内容に変更は無い。
【0121】
上記説明では、AISの検出を一例としたが、伝送網障害発生時の警報には、LDIやLOCなどもある。LDIやLOCを検出した際の処理シーケンスもAIS検出時と同じである。
【0122】
なお、本処理は、通信障害の影響がある伝送装置20−1と20−2でのみ実施されるため、従来技術のように、伝送網に接続する全てのルータが経路の再計算を実行しなくてよい。このため、ルータの経路計算負荷は小さい。
【0123】
さらに、本処理による仮想ルータ制御サーバ24の負荷は発生しない。
【0124】
このことから、本実施形態における伝送システムは、システムの一箇所に負荷がかかるような事態が発生しないため、大規模なルータ接続伝送網を提供することができる。また、伝送システム内で故障が発生した場合でも、通信サービスを継続して提供することができる。
【0125】
(2)伝送装置とルータを接続するリンクで障害が発生した場合
伝送装置20−2とルータ11−2間を接続するリンクで障害が発生した場合の処理について、図13、図14Aおよび図14Bを用いて説明する。
【0126】
図13は、伝送装置20−2とルータ11−2間で障害が発生した場合の処理シーケンスと伝送網22の接続関係を説明するための図である。ここでは、伝送装置20−2とルータ11−2間のリンクで障害が発生した場合を一例として、本実施形態における伝送システムの処理シーケンスについて解説する。
【0127】
伝送装置20−2とルータ11−2間でリンク障害が発生する(S70)。リンク障害の発生は、伝送装置のIP−IFカード21の受信回路41において、入力信号の断絶に基づいて検出することができる。または、ルータとの間で周期的に交換しているHelloパケットの一定時間の未受信の検出によっても、リンク障害の発生を検出できる。
【0128】
リンク障害を検出した伝送装置20−2は、IP−IFカード21のOAM処理部48からCSFフレームを送信する。CSFフレームは、経路情報テーブル45に登録されている全ての送信LSP62に対して、故障継続中、周期的に送信される(S71)。
【0129】
本故障により、伝送装置20−2とルータ11−2間の接続が断絶されるため、伝送装置20−2は、仮想ルータ制御サーバ24に対して、ルータ間の通信異常が発生したことを通知する(S73)。仮想ルータ制御サーバ24は、この通知を受けると、隣接IPルータDB25の当該ルータが登録されているエントリの状態84を「故障」とする。
【0130】
CSFフレームは、伝送装置20−1のIP−IFカード21のOAM処理部48にて検出される(S72)。CSFフレームを検出したOAM処理部48は、経路情報テーブル45の当該CSFフレームを検出したLSPが登録されているエントリ92のLSP状態を「CSF検出」とする(図14BのS82)。
【0131】
CSFフレームを検出したエントリの通信経路は正常であるが、その先に接続するルータへはデータを送受信することが出来ない。そのため、この経路を使用するルータ11−1に対して、経路が消滅したことを通知する必要がある。
【0132】
ルーティングプロトコル処理部58は、経路情報テーブル45を定期的にポーリングして、LSP状態に何らかの警報状態があるネットワークアドレスを検出すると、経路が消えたことを通知するために、LSAパケットを生成して、ルータ11−1に送信する(S74)。
【0133】
LSAパケットを受信したルータ11−1は、ルータ11−2宛てのパケットを伝送網22の方向に転送しても到達しないことを把握して、その他のルートを計算する。
【0134】
この後、伝送装置20−2とルータ11−2の間の故障が回復する(S75)。ここで、伝送装置20−2とルータ11−2との間のリンクは復旧したとしても、隣接ルータからHelloパケットを受信するまでは、主信号の送受信は行えないため、伝送装置20−2は、CSFフレームを継続して送信する。
【0135】
リンク障害の回復後、伝送装置20−2からのHelloパケットに反応してルータ11−2からHelloパケットが返ってくると、伝送装置20−2のIP−IFカード21のOAM処理部48は、CSFフレームの送信を停止する(S76)。
【0136】
伝送装置20−1のOAM処理部48は、一定時間CSFフレームを受信しなかった場合、伝送装置20−2とルータ11−2の間の通信経路が復旧したと判断する(S77)。
【0137】
伝送装置20−1のOAM処理部48は、経路情報テーブル45の当該CSFフレームが未検出となったLSPが登録されているエントリ91のLSP状態を「正常」とする(図14AのS81)。
【0138】
通信経路が回復すると、この経路を使用するルータ11−1に対して、経路が回復したことを通知する必要がある。ルーティングプロトコル処理部58は、経路情報テーブル45を定期的にポーリングし、LSP状態が正常になったネットワークアドレスを検出すると、経路が回復したことを通知するために、LSAパケットを生成して、ルータ11−1に送信する(S78)。
【0139】
また、伝送装置20−2は、仮想ルータ制御サーバ24に対して、ルータ間の通信異常が回復したことを通知する(S79)。仮想ルータ制御サーバ24は、通信の回復通知を受けると、隣接IPルータDB25の当該ルータが登録されているエントリの状態84を「正常」とする。
【0140】
LSAパケットを受信したルータ11−1は、ルータ11−2宛のパケットを伝送網22の方向に転送することができることを把握して、経路再計算を実行する。
【0141】
本処理では、伝送網経路データベース5のエントリ内容に変更は無い。
【0142】
なお、本処理は、通信障害の影響がある伝送装置20−2と20−1でのみ実施されるため、従来技術のように、伝送網に接続する全てのルータが経路の再計算を実行しなくてよい。このため、ルータの経路計算負荷は小さくなる。さらに、本処理による仮想ルータ制御サーバ24の負荷は発生しない。
【0143】
このことから、本実施形態における伝送システムでは、システムの一箇所に負荷がかかるような事態が発生しないため、大規模なルータ接続伝送網を提供することができる。また、伝送システム内で故障が発生した場合でも、通信サービスを継続して提供することができる。
【0144】
(3)仮想ルータ制御サーバに故障が発生した場合、または伝送装置と仮想ルータ制御サーバ間に故障が発生した場合
仮想ルータ制御サーバ24に故障が発生した場合、または伝送装置20−nと仮想ルータ制御サーバ24間の伝送路に故障が発生した場合の処理について、図15を用いて説明する。ここでは、Helloパケット、LSRパケットの処理をIP−IFカード21で処理することを想定して説明する。
【0145】
図15は、仮想ルータ制御サーバ24の故障、または伝送装置20−nと仮想ルータ制御サーバ24間の伝送路で故障が発生した場合の処理シーケンスについて説明するための図である。
【0146】
ここでは、仮想ルータ制御サーバ24が故障した場合を一例として、本実施形態における伝送システムの処理シーケンスについて解説する。
【0147】
仮想ルータ制御サーバ24で故障が発生する(S91)。
【0148】
仮想ルータ制御サーバ24が故障した場合でも、隣接ルータ11−nとの間で定期的に交換するHelloパケットの送受信や、経路情報を要求するLSRパケットを受信した場合のLSAパケット送信を、伝送装置20−nのIP−IFカード21で処理することで、主信号に影響は出ない。
【0149】
一方、隣接ルータ11−nからLSAパケットを受信した場合、当該LSAパケットを受信した伝送装置20−nとの間でLSPが設定されている全ての伝送装置20−nのIP−IFカード21が有する経路情報テーブル45を更新する必要がある。しかし、伝送網22の接続関係は、仮想ルータ制御サーバ24が伝送網通信経路DB5から取得する必要がある。そのため、故障発生時にLSAパケットを受信した伝送装置20−2は、仮想ルータ制御サーバの故障24が回復するまでの間、LSAパケットを自装置内で保持する(S92)。
【0150】
その後、仮想ルータ制御サーバ24の故障が回復する(S93)。
【0151】
仮想ルータ制御サーバ24の回復を検出すると、伝送装置20−2は、仮想ルータ制御サーバ24に保持していたLSAパケットを仮想ルータ制御サーバ24に転送する(S94)。
【0152】
仮想ルータ制御サーバ24の回復検出方法は、例えば仮想ルータ制御サーバ24と各伝送装置との間で、定期的にヘルスチェックパケットの送受信を実行することにより可能である。
【0153】
仮想ルータ制御サーバ24がLSAパケットを受信した後の処理(S95、S96、S97)は、図8を用いて説明したS20以降の処理と同じである。
【0154】
以上のように、本実施形態における伝送システムでは、運用中に仮想ルータ制御サーバ24が故障した場合でも、通信サービスを継続して提供することができる。
【0155】
−第二の実施形態−
以下、図面を参照しながら、本発明の第二の実施形態について説明する。第二の実施形態と第一の実施形態の構成上の差分は、伝送装置20−nのIP−IFカード21-nの経路情報テーブル45のエントリ内容である。
【0156】
まずは、図1と図16を用いて、第二の実施形態における伝送網22内の通信経路の設定内容について説明する。
【0157】
伝送装置20−1に着目して、伝送網22内に設定されている通信経路を確認すると、伝送装置20−2へは送信LSP10、受信LSP100、伝送装置20−3へは送信LSP20、受信LSP200、伝送装置20−4へは送信LSP30、受信LSP300が設定されている。
【0158】
図16は、第二の実施形態における伝送装置20−1の経路情報テーブル45のエントリ内容の一例を示す図である。第二の実施形態における経路情報テーブル45は、ネットワークアドレス61、現用送信LSP62、現用受信LSP63、現用LSP状態64、予備送信LSP65、予備受信LSP66、予備LSP状態67を有する。
【0159】
第二の実施形態における伝送網通信経路管理サーバ4は、伝送装置20−1の経路情報テーブル45に、伝送網22が正常な場合に利用する現用通信経路の送信LSP/受信LSPだけでなく、現用通信経路に何らかの障害が発生した場合に利用する予備通信経路の送信LSP/受信LSPを登録する。この現用通信経路と予備通信経路によって、接続先となる伝送装置20−nは、物理的に異なる伝送装置になる。
【0160】
具体例として、伝送装置20−1の経路情報テーブル45の第一番目に登録されているエントリには、現用通信経路として、伝送装置20−2との通信経路である送信LSP10/受信LSP100と、予備通信経路として、伝送装置20−3との通信経路である送信LSP20/受信LSP200が登録されている。
【0161】
次に、図8を用いて、本伝送システムにルータが接続した場合の初期シーケンスについて説明する。
【0162】
初期シーケンスの内容は、第一の実施形態とほぼ同様であるが、仮想ルータ制御サーバ24が生成する通信経路の始点となる伝送装置の経路情報テーブル45の新規登録エントリの内容が異なる。第二の実施形態では、新たに伝送網22に接続されたルータと接続される伝送装置20−nと接続関係にあるLSPを、現用LSPとして持つエントリに対して、当該ルータから取得したネットワークアドレスを登録する。
【0163】
例えば、ルータ11−1の登録後に、伝送装置20−2にルータ11−2が接続された場合には、伝送装置20−1の経路情報テーブル45には、現用送信LSP10を持つエントリにのみ、ネットワークアドレスBBが登録される。図16の経路情報テーブル45には、予備送信LSP10を持つエントリも登録されているが、ここにはネットワークアドレスBBは登録されない。
【0164】
次に、図17を用いて、伝送網22内で通信経路の障害が発生した場合の動作シーケンスを説明する。図17は、伝送網22の伝送装置20−1と伝送装置20−2の間で障害が発生した場合の処理シーケンスと、伝送網22の接続関係を説明するための図である。伝送網22には、伝送装置20−1、20−2と、伝送装置間の通信経路を中継する中継装置28−1、28−2が含まれる。伝送装置20−1から20−2へは、通信経路としてLSP10が設定されており、伝送装置20−2から20−1へは、通信経路としてLSP100が設定されている。
【0165】
ここでは、伝送装置20−1と伝送装置20−2の間にある中継装置28−1と28−2の間で障害が発生し、伝送装置20−1と伝送装置20−2間の通信が断絶した場合を一例として、本実施形態における伝送システムの処理シーケンスについて解説する。
【0166】
中継装置28−1と28−2の間で故障が発生する(S91)。
【0167】
故障を検出した中継装置は、故障によって通信に影響が発生するLSPに対して、通信経路で故障が発生したことを通知するAlarm Indication Signal(AIS)フレーム、またはLocal Defect Indicator(LDI)フレームを送信する(S92)。AISフレームまたはLDIフレームは、故障回復までの間、周期的に送信される。AISフレーム、LDIフレームのいずれのフレーム検出時でも、伝送装置20−1の処理は同じであるため、ここでは、AISフレームを受信した場合を一例として説明する。
【0168】
中継装置が送信したAISフレームは、伝送装置20−1のIP−IFカード21のOAM処理部48で終端される(S93)。
【0169】
AISフレームを検出したOAM処理部48は、経路情報テーブル45の当該AISフレームを検出したLSPが登録されているエントリの現用LSP状態を「AIS検出」とする。OAM処理部48は、このときLOCも検出する場合がある。LOCを検出した場合は、現用LSP状態を「LOC検出」とする。
【0170】
このAISを検出したエントリの現用通信経路は、正常にデータを送受信することが出来ない。そのため、現用通信経路のLSP状態に、伝送網内での障害発生を表す状態(AIS検出/LDI検出/LOC検出)が登録されている場合、受信したIPパケットをMPLSにカプセル化するMPLS−TPカプセル化部44は、データ転送に利用する送信LSPを現用LSPから予備LSPへと変更する。
【0171】
これにより、予備LSPへの変更前に、伝送装置20−1から伝送装置20−2へ転送されていたネットワークアドレスBBのIPパケットは、予備LSPへの変更によって、伝送装置20−3へ転送される。
【0172】
伝送装置20−3には、ネットワークアドレスCCを持つルータ11−3が接続されている。ルータ11−3は、ルータ11−1がルータ11−2宛に送信したIPパケットを受信すると、受信したIPパケットを再度、伝送装置20−3に対して送信する。これは、ルータ11−3には、ネットワークアドレスBBは伝送網22の先にあると登録されているためである。
【0173】
ネットワークアドレスBB宛のIPパケットを受信した伝送装置20−3は、受信パケットをMPLSカプセル化し、伝送装置20−2へと転送する。
【0174】
伝送装置20−2は、受信したIPパケットを、ネットワークアドレスBBに属するルータ11−2へと転送する。
【0175】
このように、第二の実施形態では、伝送網22の通信経路に故障が発生した場合、IPパケットを転送する伝送装置20−nを変更することで、伝送網22に接続するルータ11−nには、伝送網22の障害の影響を与えなくすることが出来る。
【0176】
伝送網22の障害が回復し(S94)、伝送装置20−1が検出していたAISが回復すると、受信したIPパケットをMPLSにカプセル化するMPLS−TPカプセル化部44は、データ転送に利用する送信LSPを予備LSPから現用LSPへと変更する(S95)。
【0177】
以上、第二の実施形態によれば、伝送網内で通信経路障害が発生した場合に、伝送網22に接続するルータ11−nで経路の再計算を行わせることなく、通信を継続して行うことができる。
【0178】
−第三の実施形態−
以下、図面を参照しながら、本発明の第三の実施形態について説明する。第三の実施形態と、第一の実施形態の構成上の差分は、ルータがIP−IFカードを備え、ルータのIP−IFカードまでを伝送網通信経路管理サーバ及び仮想ルータ制御サーバの監視対象とする点である。
【0179】
図18と図19を用いて、第三の実施形態における伝送システムの接続構成と、ルータの構成について説明する。
【0180】
図18は、第三の実施形態における伝送システムの物理的接続を示す図である。第三の実施形態における伝送システムは、伝送網122を提供する通信事業者と、通信事業者から伝送網122の通信経路7をレンタルする伝送網利用ユーザが存在する。地理的に離れた位置にある4つのサイト110−1〜110−4を、通信事業者の伝送網122で接続している。
【0181】
伝送網利用ユーザの拠点110−nには、伝送装置120−1と接続するルータ111−nと、通信端末112−mが含まれる。伝送装置120−nと接続するルータ111−nは、IP−IFカード121−nを有している。通信端末112−mは、例えば、他の通信網と接続するためのルータやパソコンなどの情報機器である。
【0182】
伝送網利用ユーザの拠点には、ネットワークアドレスが設定されている。ネットワークアドレスは通常、例えばIPv4では192.168.1.0/24などとプレフィックス表記で表されるが、ここでは簡単化のために、各拠点のネットワークアドレスを、AA、BB、CC、DDというように表記している。
【0183】
通信事業者の伝送システムは、伝送装置120−n、伝送網通信経路管理サーバ104、仮想ルータ制御サーバ124を含み、複数の伝送装置120−nによって、伝送網122が構築される。なお、図18では、伝送網通信経路管理サーバ104と仮想ルータ制御サーバ124が別のサーバで構成されているが、これらサーバが具備する機能を同一のサーバ内に配備しても、同様の効果が得られる。
【0184】
第一の実施形態では、伝送網122の通信経路の始点及び終点は、伝送装置のIP−IFカードであったが、第三の実施形態では、ルータ111−nがIP−IFカード121−nを有していることから、伝送網122の通信経路の始点及び終点は、ルータ111−nのIP−IFカード121−nである。
【0185】
従って、伝送網通信経路管理サーバ104が管理する伝送網通信経路DB105のパス始点伝送装置IDおよびパス終点伝送装置IDとして、ルータ111−1、ルータ111−2が有するIP−IFカード121−nの識別子が管理される。
【0186】
次に、図19を用いて、ルータ111の構成について説明する。図19は、第三の実施形態におけるIP−IFカード121を搭載したルータ111の構成を示す図である。ルータ111は、1個以上の装置制御部133と、スイッチ(SW)部132と、1枚以上のIFカード134と、1枚以上のIP−IFカード121から構成される。装置制御部133、SW部132、IFカード134、IP−IFカード121は、互いに接続される。図中の実線矢印は主信号の流れを示しており、破線矢印は制御信号の流れを示している。
【0187】
装置制御部133およびSW部132は、第一の実施形態における装置制御部33およびSW部32と同等の機能を有するので、詳しい説明は省略する。
【0188】
IP−IFカード121は、カード制御部149、受信回路151、L2受信処理部152、フレーム解析振分け部153、MPLS−TP終端部154、SW送信回路155、SW受信回路141、MPLS−TPカプセル化143、スケジューラ145、L2送信処理部146、送信回路147、MPLS−TP OAM処理部148(以下、OAM処理部148と呼ぶ)、および、経路情報テーブル144を含む。
【0189】
これら機能ブロックのうち、カード制御部149を除く機能ブロックは、第一の実施形態で説明した図4の受信回路41、L2受信処理部42、MPLS−TPカプセル化部44、経路情報テーブル45、SW送信回路47、OAM処理部48、SW受信回路51、MPLS−TP終端部53、スケジューラ54、L2送信処理部55、送信回路56と同じなので、詳しい説明は省略する。
【0190】
第三の実施形態では、IP−IFカード121―nをルータ111−nに組み込んでいるので、ルーティングプロトコルを送受信するための機能ブロックは備えていない。また、伝送網通信経路管理サーバ104、仮想ルータ制御サーバ124から、経路情報テーブル144に設定される情報は、第一の実施形態と同じである。
【0191】
以下では、第一の実施形態と異なる装置制御部133およびカード制御部148について説明する。
【0192】
装置制御部133は、伝送網通信経路管理サーバ104および仮想ルータ制御サーバ124と接続するための制御IF135を備えている。また、伝送網通信経路管理サーバ104および仮想ルータ制御サーバ124から受信した設定情報を、SW部132、IFカード134、IP−IFカード121に設定する。さらに、ルータがIFカード134から受信するルーティングパケットの処理を実行する。
【0193】
第三の実施形態におけるルータ111−nは、IP−IFカード121以外のIFカード134を介して、拠点内の通信端末112−nと接続される。通信端末112−nとの間では、ルーティングプロトコルに基づいて、経路情報の交換を行う。また、ルータ111−nは、ルーティング処理機能を有しており、自ルータのIFカード134がどのようなルータ網と接続しているかを経路処理計算から把握する。
【0194】
一方、仮想ルータ制御サーバ124からネットワークアドレスを設定されるので、伝送網122と接続するIP−IFカード121に繋がる他ルータの情報は、ルーティングプロトコルを使用することなく収集可能である。
【0195】
以上、第三の実施形態によれば、IP−IFカードをルータ側に配備した場合においても、第一の実施形態と同等の効果が得られる。
【0196】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。
【符号の説明】
【0197】
4 伝送網通信経路管理サーバ
5 伝送網通信経路DB
11 ルータ
20 伝送装置
21 IP−IFカード
24 仮想ルータ制御サーバ
25 隣接IPルータDB
33 装置制御部
34 中継インタフェースカード
35 制御IF
45 経路情報テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置間の通信経路を確立する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクションオリエンテッド型の通信プロトコルで伝送網を構築する通信キャリアが知られている。伝送網を構築する通信プロトコルには、MPLS−TP(Multi Protocol Label Switching - Transport Profile)、PBB(Provider Backbone Bridges)、ATM(Asynchronous Transfer Mode)などがある。これら通信プロトコルは、End−End間の論理的な通信パスを構築することができ、機密性に優れた通信経路を提供することができる。また、これら通信プロトコルには、通信経路の障害有無を監視するOAM(Operation Administration and Maintenance)機能や、通信経路に障害が発生すると、自動で通信経路を切替えるAPS(Automatic Protection Switching)機能があり、高信頼な通信経路を構築することができる。
【0003】
一方、ISPや企業ユーザ(以降、伝送網利用ユーザと呼ぶ)は、IPでデータを送受信する装置であるルータを用いて通信網を構築することが多い。ルータは、ルーティングプロトコルをルータ間で交換することで、IPレイヤにおけるルータ間の接続関係を装置自律で収集して、経路情報を生成する。この経路情報は、同一通信網上に存在する全ルータが同じ経路情報を生成して保持している。各ルータは、生成した通信経路に従って、通信データを送受信する。
【0004】
伝送網利用ユーザは、通信キャリアから伝送網をレンタルし、伝送網利用ユーザの所有するルータを用いて、各拠点間を接続する。図20は、従来の通信キャリアが提供する伝送網と、伝送網利用ユーザ の拠点間を接続した場合の接続関係の一例を示す図である。
【0005】
通信キャリアの伝送網3は、複数の伝送装置1−n(図1に示す例では、n=1〜4)により構成されている。各伝送装置1−nは、ルータを接続するためのインタフェースカード(IF)2−nを有する。伝送装置1−n間の通信経路7は、伝送網通信経路管理サーバ4から、固定的に伝送装置1−nに設定される。伝送装置1−n間の通信経路情報は、伝送網通信経路管理サーバ4が備える伝送網通信経路データベース(DB)5で保存される。すなわち、伝送網通信経路管理サーバ4は、伝送網上のすべての通信経路7の状態を把握することができる。
【0006】
なお、伝送装置1−n間の通信経路7は論理的な接続であり、物理的な接続とは異なる場合がある。
【0007】
伝送網利用ユーザの拠点10−nは、伝送装置1−nと接続するルータ11−nと、通信端末12−mを備える。例えば、伝送網利用ユーザの拠点10−1は、伝送装置1−1と接続するルータ11−1と、通信端末12−1、12−2を備える。通信端末12−mは、例えば、他の通信網と接続するためのルータやパソコンなどの情報機器である。
【0008】
このようにルータ11−nと伝送装置1−nが接続された形態において、伝送装置1−nは、ルータ11−nが送信したIPパケットおよびルーティングパケットをインタフェース2−nで受信すると、インタフェース2−nにおいて、IPの下位レイヤのプロトコルのアドレス(例えば、MAC(Mandatory Access Control)アドレスなど)から、伝送網上のどの通信経路7−nで転送するかを決定する。インタフェース2−nにおいて通信経路が決定したパケットは、同じくインタフェース2−nにおいて、伝送網のデータ転送形態に加工され、目的のルータ1−nと接続されている伝送装置1−nへと転送される。
【0009】
このように、伝送網を介して各ルータを接続する従来技術として、特許文献1、特許文献2、特許文献3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−246138号公報
【特許文献2】特許第3910200号公報
【特許文献3】特開2000−183919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1および特許文献2を参照して、ルータ間を接続する場合のIPレイヤおよび伝送レイヤの従来の接続形態を図21に示す。図21では、従来の伝送レイヤ6とIPレイヤ13のそれぞれの接続形態を示している。なお、本図では、簡単化のため、各ルータ11−nに接続する通信端末12−n、および、伝送網通信経路管理サーバ4、伝送網通信経路DB5、IF2−nは省略している。
【0012】
伝送レイヤ6の通信経路7−nは、伝送網通信経路管理サーバ4によって設定され、伝送網通信経路DB5に全ての通信経路の関係が保存される。
【0013】
IPレイヤ13の接続関係は、ルータ11−n間でルーティングプロトコルを交換することによって、各ルータ11−nが自律的に生成する。ここで、伝送レイヤ6で各ルータ間をフルメッシュで接続される通信経路7−nが設定されることにより、伝送網3に接続する全てのルータが隣接関係になる。このため、各ルータが管理するルータ間の通信経路14−nは、図21の実線で示すように、ルータ11−n間をフルメッシュで接続する構成となる。
【0014】
IPレイヤ13の通信経路14−nの情報は、全てのルータで保持される。このため、伝送網3に接続するルータの数が増加するごとに、各ルータが保持する経路情報は指数関数的に増加していく。また、例えば伝送装置1−2と伝送装置1−3の間の経路障害が発生して、ルータ11−2とルータ11−3を直接接続する経路が失われた場合、ルータ11−2およびルータ11−3は経路の再計算を行い、新規ルートを設定する。この場合、本障害により通信の影響の発生しないルータ、例えばルータ11−1やルータ11−4など全てのルータに対しても、ルータ11−2、ルータ11−3から通信経路の再計算を促すルーティングプロトコルが転送され、各ルータで経路情報の再計算が実行される。
【0015】
このように、各ルータは、隣接関係にある全てのルータの経路情報を共有するので、ルータの接続台数が増加すると、経路情報量が大きくなり、各ルータの経路計算負荷も大きくなる。そのため、一般的には、同一ルーティングエリア内に配備するルータ台数は、50台前後とすることがルータベンダ各社から推奨されている。そのため、従来の方式では、伝送網を用いた大規模なルータ通信網を構築することはできない。
【0016】
また、特許文献3に記載の技術では、伝送装置がルーティング処理機能を具備し、ルータから受信したルーティングプロトコルを終端する。伝送装置は、IFカードがルーティングプロトコルを利用して、伝送網内の接続構成を確認し、ルータが接続されたことを他の伝送装置へ通知する。これにより、伝送装置に接続するルータからは隣接ルータ数が少なく見えるため、ルータ負荷は小さくなる。しかし、伝送装置間でルーティングプロトコルの交換を実施するために、伝送装置の制御負荷が増加してしまい、大規模な伝送網を構築できない。
【0017】
本発明の目的は、伝送装置に接続する通信装置間の経路計算負荷を削減して、拡張性に優れた伝送網を構築することができる伝送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、伝送システムは、伝送網の構成要素である複数の伝送装置と、前記伝送網を介して通信する複数の通信装置と、前記伝送網において、前記複数の伝送装置間の通信経路を設定する伝送網通信経路管理サーバと、前記伝送網通信経路管理サーバによって設定された前記伝送装置間の通信経路を保存する通信経路データベースと、前記伝送網を介した前記通信装置間の通信経路を確立する通信経路制御サーバと、を備え、前記通信装置は、前記伝送装置に接続されると、制御データを前記接続された伝送装置を介して前記通信経路制御サーバに送信し、前記通信経路制御サーバは、前記通信装置から送信された前記制御データから、新たに接続された前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報を取得し、取得した前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報と、前記通信経路データベースに保存されている前記伝送装置間の通信経路の情報とに基づいて、前記通信装置間の通信経路を確立することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の代表的な実施の形態によれば、通信装置の経路計算負荷を軽減させることができるので、拡張性に優れた伝送網を用いた通信網を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、第一の実施形態における伝送システムに、伝送網利用ユーザの所有するルータを接続した場合の一例を示す図である。
【図2】図2は、第一の実施形態における伝送システムにルータを接続した場合の伝送レイヤおよびIPレイヤの接続関係を示す図である。
【図3】図3は、各ルータと仮想ルータおよび他エリアIPネットワークとの接続関係を示す図である。
【図4】図4は、第一の実施形態におけるIP−IFカードを搭載した伝送装置の構成を示す図である。
【図5】図5は、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図6】図6は、伝送網通信経路管理サーバが有する伝送網通信経路DBの内容の一例を示す図である。
【図7】図7は、仮想ルータ制御サーバが有する隣接IPルータデータDBの一例を示す図である。
【図8】図8は、ルータ11−2が伝送装置20−2に接続した場合に発生する設定シーケンスを示す図である。
【図9】図9は、仮想ルータ制御サーバが実行する経路計算処理の内容を示すフローチャートである。
【図10A】図10Aは、ルータ1−2の接続前における伝送網経路データベース、隣接IPルータデータベース、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図10B】図10Bは、ルータ1−2の接続後における伝送網経路データベース、隣接IPルータデータベース、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図11】図11は、伝送網の伝送装置20−1と20−2の間で障害が発生した場合の処理シーケンスと伝送網の接続関係を説明するための図である。
【図12A】図12Aは、伝送網故障が発生する前における伝送網経路データベース、隣接IPルータデータベース、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図12B】図12Bは、伝送網故障が発生した後における伝送網経路データベース、隣接IPルータデータベース、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図13】図13は、伝送装置20−2とルータ11−2間で障害が発生した場合の処理シーケンスと伝送網の接続関係を説明するための図である。
【図14A】図14Aは、伝送装置とルータとの間で故障が発生する前における伝送網経路データベース、隣接IPルータデータベース、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図14B】図14Aは、伝送装置とルータとの間で故障が発生した後における伝送網経路データベース、隣接IPルータデータベース、経路情報テーブルの一例を示す図である。
【図15】図15は、仮想ルータ制御サーバの故障、または伝送装置と仮想ルータ制御サーバ間の伝送路で故障が発生した場合の処理シーケンスについて説明するための図である。
【図16】図16は、第二の実施形態における伝送装置の経路情報テーブルのエントリ内容の一例を示す図である。
【図17】図17は、第二の実施形態における伝送システムにおいて、伝送網の伝送装置20−1と伝送装置20−2の間で障害が発生した場合の処理シーケンスと、伝送網の接続関係を説明するための図である。
【図18】図18は、第三の実施形態における伝送システムの物理的接続を示す図である。
【図19】図19は、第三の実施形態におけるIP−IFカードを搭載したルータの構成を示す図である。
【図20】図20は、従来の通信キャリアが提供する伝送網と、伝送網利用ユーザ の拠点間を接続した場合の接続関係の一例を示す図である。
【図21】図21は、従来の伝送レイヤとIPレイヤのそれぞれの接続形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、各実施形態について説明する。以下の説明では、伝送網の通信プロトコルに、MPLS−TPを用いた場合を一例として記載するが、伝送網の通信プロトコルに依存することなく、同様の効果が得られる。また、ルータが使用するルーティングプロトコルとして、OSPF(Open Shortest Path First)を一例として記載するが、同様の動作をするルーティングプロトコルであれば同様の効果が得られる。
【0022】
−第一の実施形態−
図1は、第一の実施形態における伝送システムに、伝送網利用ユーザの所有するルータを接続した場合の一例を示す図である。
【0023】
図1に示す伝送システムでは、伝送網22を提供する通信事業者と、通信事業者から伝送網22の通信経路7をレンタルする伝送網利用ユーザが存在する。地理的に離れた位置にある伝送網利用ユーザの4つのサイト10−1〜10−4を通信事業者の伝送網22により接続している。
【0024】
伝送網利用ユーザの拠点10−nには、伝送装置20−nと接続するルータ(通信装置)11−nと、通信端末12−mが含まれる。通信端末12−mは、例えば、他の通信網と接続するためのルータやパソコンなどの情報機器である。
【0025】
伝送網利用ユーザの拠点には、ネットワークアドレスが設定されている。ネットワークアドレスは通常、例えばIPv4では、192.168.1.0/24などのようなプレフィックス表記で表されるが、ここでは簡単化のために、各拠点のネットワークアドレスをAA、BB、CC、DDのように表記する。
【0026】
ここで、ルータの動作について、簡単に説明する。ルータは、ルーティングプロトコルを利用して、自拠点、および自拠点と接続する他のルータ網のネットワークアドレス(これらを経路情報と呼ぶ)を各ルータ間で交換することで、自ルータの周辺にどのようなルータ網が存在しているかを自律的に学習する。また、ルーティングパケットの交換により学習した経路情報から、ルーティングテーブルを生成する。
【0027】
ルーティングテーブルは、ネットワークアドレスと、隣接ルータのIPアドレスとなるネクストホップアドレスと、ネクストホップアドレスを持つ隣接ルータを接続するIF番号などを保持する。ルータは、IPパケットを受信すると、ルーティングテーブルのネットワークアドレスと宛先IPアドレスの相互参照検索を実行し、宛先IPと一番近いネットワークアドレスに対応づく隣接ルータに対してIPパケットを転送する。
【0028】
通信事業者の伝送システムは、伝送装置20−n、伝送網通信経路管理サーバ4、および、仮想ルータ制御サーバ(通信経路制御サーバ)24を備える。伝送網22は、複数の伝送装置20−nによって構築される。なお、図1では、伝送網通信経路管理サーバ4と仮想ルータ制御サーバ24が別のサーバで構成されているが、これらサーバが具備する機能を同一のサーバ内に配備しても同様の効果が得られる。
【0029】
伝送網22を構成する各伝送装置20−nは、ルータを接続するためのIP−IFカード21−nと、伝送装置間を接続するための中継IF(図示せず)と、伝送網通信経路管理サーバ4および仮想ルータ制御サーバ24と接続するための制御IF(図示せず)を保持している。
【0030】
なお、伝送網の通信プロトコルには、IETF(Internet Engineering Task Force)で標準化中のMPLS−TPを用いる。MPLS−TPは、受信した伝送網に接続する隣接装置から受信したデータをMPLSラベルでカプセル化したMPLSフレームの形態にし、伝送網内では、カプセル化したMPLSラベルに基づいてMPLSフレームをあて先となる伝送装置まで転送することを特徴とする。
【0031】
伝送網通信経路管理サーバ4は、ポイント・ツー・ポイントでの伝送装置20−n間の通信経路7を各伝送装置20−nに設定する。伝送網22内の全ての伝送装置20−n間の通信経路7の情報は、伝送網通信経路管理サーバ4が備える伝送網通信経路データベース(DB)5に保存される。そのため、伝送網通信経路管理サーバ4は、伝送網上のすべての通信経路7の状態を把握することができる。なお、伝送装置20−n間の通信経路7は論理的な接続であり、物理的な接続とは異なることがある。
【0032】
図1に示す例では、伝送装置20−1から伝送装置20−2へは送信LSP10、受信LSP100、伝送装置20−1から伝送装置20−3へは送信LSP20、受信LSP200、伝送装置20−1から伝送装置20−4へは送信LSP30、受信LSP300が設定されている。
【0033】
仮想ルータ制御サーバ24は、伝送網利用ユーザのルータが伝送網22に向けて送信したルーティングパケットを伝送装置20−n経由で受信し、ルーティングパケットの解析を行う。解析の結果、受信したルーティングパケットが、ルータがネットワークアドレスを広告するために送信したものであった場合、パケットからネットワークアドレスを収集する。また、ルーティングパケットを受信した伝送装置20−nとその他の伝送装置20−nとの接続関係を伝送網通信経路DB5から取得し、収集したネットワークアドレスと通信経路7の関係を各伝送装置20−nが備えるIP−IFカード21−nに対して設定する。この動作の詳細については後述する。
【0034】
図4は、第一の実施形態におけるIP−IFカード21を搭載した伝送装置20の構成を示す図である。伝送装置20は、1つ以上の装置制御部33と、スイッチ(SW)部32と、1枚以上の中継インタフェース(IF)カード34と、1枚以上のIP−IFカード21を備える。装置制御部33、SW部32、中継IFカード34、IP−IFカード21は、互いに接続される。図中の実線矢印は主信号の流れを示しており、破線矢印は制御信号の流れを示している。
【0035】
装置制御部33は、伝送網通信経路管理サーバ4および仮想ルータ制御サーバ24と接続するための制御IF35を備えている。装置制御部33は、伝送網通信経路管理サーバ4および仮想ルータ制御サーバ24から受信した設定情報を、SW部32、中継IFカード34、IP−IFカード21に設定する。さらに、装置制御部33は、IP−IFカード21から転送されたルーティングパケットを、仮想ルータ制御サーバ24へと転送する機能も備える。
【0036】
SW部32は、各IFカードから受信したMPLSフレームを解析して、受信データの転送先を特定し、適切な中継IFカード34およびIP−IFカード21へとデータを引き渡す。中継IFカード34は、伝送網22を構成する他の伝送装置20と接続するインタフェースである。なお、中継IFカードとしては、既知の中継IFカードを用いることができるため、詳細な説明は省略するが、SW部32および伝送網22との間でデータの送受信を行う送受信回路、装置制御部33と通信を行う機能を有するカード制御部などを備える。
【0037】
IP−IFカード21は、カード制御部49、受信回路41、L2受信処理部42、パケット解析振分け部43、MPLS−TPカプセル化部44、経路情報テーブル45、スケジューラ46、SW送信回路47、MPLS−TP OAM処理部48(以下、OAM処理部48と呼ぶ)、SW受信回路51、フレーム解析振分け部52、MPLS−TP終端部53、スケジューラ54、L2送信処理部55、送信回路56、Hello処理部57、ルーティングプロトコル処理部58を含む。
【0038】
カード制御部49は、装置制御部33と接続しており、装置制御部33から通知された設定情報をIP−IFカード21の各構成部に対して設定する機能と、IP−IFカード21の各構成部に設定されている情報を読み出して、装置制御部33へ通知する機能を有する。カード制御部49は、さらに、パケット解析振分け部43から転送されてきたルーティングパケットを装置制御部33へと中継する機能と、装置制御部33から転送されてきたルーティングパケットをルーティングプロトコル処理部58へ転送する機能を有する。
【0039】
受信回路41は、隣接ルータからデータを受信する。
【0040】
L2受信処理部42は、隣接ルータと伝送装置間を接続するOpen Systems Interconnection(OSI)参照モデルのデータリンク層のプロトコルを終端する。データリンク層プロトコルが例えばイーサネット(登録商標、以下同じ)の場合、L2受信処理部42は、イーサネットフレームの終端処理を実行する。L2受信処理部42は、また、受信したイーサフレームの送信元MACアドレスを学習し、L2送信処理部55と情報を共有する。
【0041】
パケット解析振分け部43は、L2受信処理部42から受信したデータを解析し、ルーティングパケットとデータパケットに分類する。受信したデータがデータパケットの場合、パケット解析振分け部43は、受信したデータをMPLS−TPカプセル化部44に転送する。受信したデータがルーティングパケットの場合、パケット解析振分け部43は、ルーティングパケットの種類を判定し、ルーティングパケットが隣接ルータの検出および接続確認のためのHelloパケットである場合には、Hello処理部57へとHelloパケットを転送する。また、ルーティングパケットが隣接ルータに対して経路情報を要求するLink State Request(LSR)パケットである場合、パケット解析振分け部43は、LSRパケットをルーティングプロトコル処理部58およびカード制御部49に転送する。さらに、その他のルーティングパケットを受信した場合、パケット解析振分け部43は、受信したルーティングパケットをカード制御部49に転送する。
【0042】
MPLS−TPカプセル化部44は、データパケットの宛先IPを取得し、経路情報テーブル45のネットワークアドレスとロンゲストマッチングを行い、データパケットを転送すべき通信経路となる送信Label Switching Path(LSP)値62を取得する。また、取得したLSPでMPLSラベルを生成し、データパケットをMPLS−TPフォーマットでカプセリングし、スケジューラ46へとパケットを転送する。
【0043】
経路情報テーブル45について、図5を用いて説明する。図5は、経路情報テーブル45の一例を示す図である。経路情報テーブル45は、ネットワークアドレス61、送信LSP62、受信LSP63、LSP状態64を含む。ネットワークアドレス61には、仮想ルータ制御サーバ24から与えられた値が設定される。送信LSP62および受信LSP63には、伝送網通信経路管理サーバ4から与えられた値が設定される。LSP状態64には、伝送網内の通信経路であるLSPの状態がOAM処理部48から設定される。経路情報テーブル45は、MPLS−TPカプセル化部44、OAM処理部48、ルーティングプロトコル部58およびカード制御部49から参照される。
【0044】
スケジューラ46は、MPLS−TPカプセル化部44およびOAM処理部48のMPLSフレーム出力調停を行う。スケジューラ46は、受信したMPLSフレームをSW送信回路47へ転送する。
【0045】
SW送信回路47は、スケジューラ46から受信したMPLSフレームをSW部32へと転送する。
【0046】
OAM処理部48は、経路情報テーブル45に設定されているLSPの正常性を監視する接続性監視機能、ルータを接続するリンク障害を監視するアクセスリンク監視機能、伝送網の障害を検出する伝送網障害検出機能を有する。
【0047】
OAM処理部48の接続性監視機能は、接続性監視(Continuity Check(CC))フレームの生成終端をすることで実行される。経路情報テーブル45を参照し、登録がある送信LSP62毎に、一定周期でCCフレームを生成送信する。また、登録がある受信LSP63毎に、一定周期でCCフレームを受信しているかどうかを監視する。受信したCCフレームは、パケット解析振分け部52から転送される。ある受信LSP63において、CCフレームが一定期間、未受信の状態になると、CCフレームが未受信となったLSPで何らかの障害が発生したと判定し、経路情報テーブル45の該当する受信LSPのエントリのLSP状態64に、LOC(Loss Of CC)検出状態を登録する。LOC検出状態の回復条件は、当該LSPにおけるCCフレームの一定期間における受信である。
【0048】
OAM処理部48のアクセスリンク監視機能は、受信回路41での対向ルータとの物理的な接続関係の切断状態を検出した場合、またはHello処理部57において、対向ルータからのHelloパケットの一定期間の未受信状態を検出した場合に、経路情報テーブル45に設定されている送信LSP62に対して、クライアント障害発生通知(Client Signal Fail(CSF))フレームを生成/挿入する。これにより、対向伝送装置は、ルータとのアクセスリンク障害が発生していることを検出できる。
【0049】
また、経路情報テーブル45に設定されている受信LSP63に対応する通信経路から受信したCSFフレームの終端機能を有する。OAM処理部43は、経路情報テーブル45のCSFフレームを受信したLSPのLSP状態64に、CSF検出状態を登録する。これにより、対向伝送装置20でアクセスリンク障害が発生していることを検出できる。CSF検出状態の回復条件は、当該LSPにおけるCSFフレームの一定期間の未受信である。CSF検出状態が回復すると、OAM処理部43は、経路情報テーブル45のLSP状態64からCSF検出状態を削除する。
【0050】
OAM処理部48の伝送網障害検出機能は、伝送網を構成するその他の伝送装置において何らかの障害を検出し、当該障害により通信障害が発生するLSPに対して障害を通知する前方障害通知(Alarm Indication Signal (AIS)およびLink Down Indication (LDI))フレームの終端機能を有する。OAM処理部43は、経路情報テーブル45のAISまたはLDIフレームを受信したLSPのLSP状態64に、AISまたはLDI検出状態を登録する。これにより、伝送網22を構成する伝送装置20の障害により、LSPに通信障害が発生していることを検出できる。AISまたはLDI検出状態の回復条件は、当該LSPでのAISまたはLDIフレームの一定期間の未受信である。AISまたはLDI検出状態が回復すると、OAM処理部43は、経路情報テーブル45のLSP状態64からAISまたはLDI検出状態を削除する。
【0051】
SW受信回路51は、SW部32からフレームを受信し、フレーム解析振分け部52へと転送する。
【0052】
フレーム解析振分け部52は、受信したMPLSフレームを解析し、データフレームとMPLS−TP OAMフレームに分類する。データフレームは、MPLS−TP終端部53へと転送し、MPLS−TP OAMフレームは、OAM処理部48へと転送する。
【0053】
MPLS−TP終端部53は、受信したMPLSフレームからMPLS−TPヘッダをデカプセル化して、IPパケットを取り出し、スケジューラ54へと受信パケットを転送する。
【0054】
スケジューラ54は、Hello処理部57、ルーティングプロトコル処理部58、MPLS−TP終端部53のIPパケット出力調停を行う。スケジューラ54は、受信したIPパケットをL2送信処理部55へ転送する。
【0055】
L2送信処理部55は、スケジューラ54からIPパケットを受信すると、L2受信処理部42と情報を共有しているMACアドレスからMACヘッダを生成し、受信したIPパケットに付与して送信回路56へとIPパケットを転送する。
【0056】
送信回路56は、L2送信処理部55から受信したIPパケットをルータ11−nへと送信する。
【0057】
Hello処理部57は、IP−IFカード21と直接接続するルータ11−nとの間でHelloパケットを送受信し、ルータ11−nとの間における通信の正常性を監視する。Hello処理部57は、IP−IFカード21にルータが接続したことを検出すると、Helloパケットを周期的に生成し、スケジューラ54へ送信する。また、周期的にHelloパケットを受信していることを監視し、Helloパケットの未受信を検出すると、IP−IFカード21と直接接続するルータ11−nとの間で何らかの障害が発生したと判断し、OAM処理部48に対してCSF生成指示を出す。ルータ11−nからのHelloパケットを再度受信すると、OAM処理部48へのCSF生成指示を解除する。
【0058】
ルーティングプロトコル処理部58は、仮想ルータ制御サーバ24から転送されてきたルーティングパケットの挿入処理機能、LSRパケットの終端処理、経路情報テーブル45の更新およびLSR終端をトリガとして経路情報を通知するLink State Advertisement(LSA)パケットのType3 Summary−LSAの生成および挿入機能を有する。
【0059】
次に、伝送網通信経路管理サーバ4から、伝送装置20−n間に通信経路であるLSPを設定する手順について、図1と図5と図6を参照しながら説明する。
【0060】
図6は、伝送網通信経路管理サーバ4が有する伝送網通信経路DB5の内容の一例を示す図である。伝送網通信経路DB5は、通信経路の始点となる伝送装置のID71と、通信経路の終点となる伝送装置のID72と、その間に設定する通信経路のLSP73の値から構成される。なお、複数のIFカードを備える伝送装置では、装置IDにはIFカードおよびそのIFカードの物理ポート情報を特定する情報が含まれることがある。この場合、同一装置であっても、IFカードまたは物理ポートが異なれば、異なる装置IDが付与される。
【0061】
MPLS−TPにおいて、通信経路は片方向ずつ設定される。そのため、例えば伝送装置20−1と伝送装置20−2の間で双方向の通信経路を設定する場合には、始点IDが伝送装置20−1、終点IDが伝送装置20−2とする通信経路を指定するLSP設定と、始点IDが伝送装置20−2、終点IDが伝送装置20−1とする通信経路を指定するLSP設定が必要となる。なお、一つの通信経路IDで双方向の通信経路を確立できる通信プロトコルを伝送網に採用する場合、DBのフォーマットは、2台の伝送装置のIDと、その間を接続する通信経路のIDを保持するだけでよい。
【0062】
伝送装置20−n間の通信経路は、伝送装置を保守運用する通信事業者の保守者が伝送網通信経路管理サーバ4から設定する。保守者は、通信経路を確立したい伝送装置20−n間の始点となる伝送装置のID、終点となる伝送装置のID、その間に接続したい通信経路のLSP値をサーバから登録する。なお、実際の伝送網では、始点と終点の伝送装置の間に複数の中継装置が存在しており、保守者は、通信経路の経由する中継装置も管理サーバに設定する。図6では、簡単化のため、中継装置の登録情報は省略している。
【0063】
図6に示す例では、保守者が伝送装置20−1を始点とし、伝送装置20−2、20−3、20−4を終点とする3本の通信経路10、20、30を登録している状態を示している。これらの値が登録されると、伝送装置20−1の経路情報テーブル45(図5参照)の送信LSP62のフィールドには、10、20、30の値が設定される。また、伝送装置20−2の経路情報テーブルの受信LSP63のフィールドに10が、伝送装置20−3の経路情報テーブルの受信LSP63のフィールドに20が、伝送装置20−4の経路情報テーブルの受信LSP63のフィールドに30が設定される。
【0064】
同様の手順で、次に伝送装置20−2、20−3、20−4を始点とし、伝送装置20−1を終点とするパスが保守者から設定されることにより、伝送装置20−1と伝送装置20−2、20−3、20−4間の双方向の通信経路が確立される。
【0065】
これらの設定が完了したときの伝送装置20−1の経路情報テーブル45の内容は、図5に示す送信LSP62と受信LSP63のフィールドが設定された状態となる。なお、ネットワークアドレス61は、まだルータが接続されていない状態においては空欄となっている。
【0066】
さらに、伝送装置20−2、20−3、20−4間を接続する双方向の通信経路を同様の手順で設定することにより、伝送装置20−n間を接続するフルメッシュの通信経路が設定される。
【0067】
これら通信経路情報は、伝送網通信経路DB5で保存されるので、伝送網通信経路DB5を参照することにより、伝送装置間の全ての接続情報を収集することができる。
【0068】
次に、ルータ11−nが伝送装置20−nに接続された時の、仮想ルータ制御サーバ24および伝送装置20−nの動作について、図7、図8、図9、図10A、図10Bを用いて説明する。なお、前提として、ルータ11−nが接続される前に、既に伝送装置20−n間の通信経路7は設定済みとする。
【0069】
ルータ11−nが接続されたときの、ルータ11−n、伝送装置20−nおよび仮想ルータ制御サーバ24間での初期設定の詳細動作については、後述する。
【0070】
図7は、仮想ルータ制御サーバ24が有する隣接IPルータDB25の一例を示す図である。隣接IPルータDB25は、伝送装置ID81、伝送装置ID81を有する伝送装置に接続するルータのルータID82、ルータから広告されたネットワークアドレス83、ルータとの接続状態84を含む。
【0071】
まず初めに、伝送装置20−1にルータ11−1が接続された場合について説明する。このとき、ルータ11−1と伝送装置20−1および仮想ルータ制御サーバ24間でルーティングプロトコルおよび経路情報設定等のコマンドが実行され、隣接IPルータDB25に新規エントリが登録される。さらに、伝送装置20−2、20−3、20−4の経路情報テーブルに、ネットワークアドレスが登録される。
【0072】
ルータ11−1が接続された状態で、隣接IPルータDB25には、伝送装置ID81に伝送装置20−1、ルータIDにルータ11−1、ネットワークアドレス83にAA、接続状態84に正常が登録される。このとき、伝送網通信経路DB5、隣接IPルータDB25、伝送装置20−1の経路情報テーブル45は、それぞれ図10AのS41の状態となっている。
【0073】
次に、ルータ11−2が伝送装置20−2に接続された場合の設定手順について、図8と図9と図10Aと図10Bを参照しながら説明する。
【0074】
図8は、ルータ11−2が伝送装置20−2に接続した場合に発生する設定シーケンスを示す図である。
【0075】
ルータ11−2が伝送装置20−2に接続されると、ルータ11−2は、伝送装置20−2に対して、隣接ルータの探索を目的として、Helloパケットを送信する(S11)。
【0076】
Helloパケットの処理には特殊な計算等が不要のため、IP−IFカード21で終端処理をすることが可能であるが、伝送装置20−2は、ルータが接続されて最初に受信したHelloパケットを、仮想ルータ制御サーバ24へと転送する。これは、仮想ルータ制御サーバ24に対して、これから新規ルータとの間で初期シーケンスが開始されることを通知するために行う。このとき、装置制御部33は、ルーティングパケットをどの伝送装置のどのIP−IFカード21で受信したかがわかるように、伝送装置IDとIP−IFカード情報を付加して転送する。なお、伝送装置20−nから仮想ルータ制御サーバ24へ転送されるルーティングパケットには、伝送装置IDとIP−IFカード情報が付加されるが、以降のシーケンスの説明では、記載を省略する。
【0077】
伝送装置20−2のIP−IFカード21は、Helloパケットを受信すると、それに応答するHelloパケットをルータ11−2に返信する(S12)。
【0078】
ルータ11−2は、Helloパケットを受信することによって、隣接ルータの存在を知り、次にDatabase Description (DD)パケットを伝送装置20−2へと転送する。DDパケットは、IP−IFカード21から装置制御部33経由で仮想ルータ制御サーバ24へと転送される(S13)。
【0079】
DDパケットを受信した仮想ルータ制御サーバ24は、伝送装置20−2にルータが接続されたことを認識し、DDパケットを伝送装置20−2に送信する。仮想ルータ制御サーバ24が送信するDDパケットには、DDパケットを受信する伝送装置のIDおよびIP−IFカード情報が付加されている。仮想ルータ制御サーバ24が送信したDDパケットは、装置制御部33とIP−IFカード21を経由してルータ11−2へ転送される(S14)。なお、仮想ルータ制御サーバ24から伝送装置20−nへ送信されるルーティングパケットには、伝送装置IDとIP−IFカード情報が付加されるが、以降のシーケンスの説明では、記載を省略する。
【0080】
DDパケットを受信したルータ11−2は次に、経路情報を要求するLSRパケットを伝送装置20−2に送信する。LSRパケットは、IP−IFカード21のルーティングプロトコル処理部58と仮想ルータ制御サーバ24に転送される(S15)。
【0081】
ルーティングプロトコル処理部58は、LSRパケットを受信すると、経路情報テーブル45を検索し、設定されているネットワークアドレス61から経路情報を通知するLSAパケットを生成して、ルータ11−2へと送信する(S16)。なお、この時点では、伝送網22に接続されているルータは、ルータ11−1の1台のみであることから、LSAパケットに含まれるネットワークアドレス情報は、ルータ11−1から取得したネットワークアドレス”AA”となる。
【0082】
なお、LSAパケットの生成は、仮想ルータ制御サーバ24でも可能である。仮想ルータ制御サーバ24でLSAパケットを生成する場合、仮想ルータ制御サーバ24は、伝送網通信経路DB5と隣接IPルータDB25から、LSRパケットを受信した伝送装置と接続関係にある伝送装置に接続するルータのネットワークアドレスを収集し、LSAパケットを生成する。なお、この時点では、伝送網22に接続されているルータは、ルータ11−1の1台のみであることから、仮想ルータ制御サーバ24が生成するLSAパケットに含まれるネットワークアドレス情報は、ルータ11−1から取得したネットワークアドレス”AA”となる。
【0083】
ルータ11−2は、LSAパケットを受信すると、ルータが具備する経路情報を更新し、Link-state Acknowledgment(LSAck)パケットを伝送装置20−2に送信する(S17)。LSAckパケットは、IP−IFカード21のルーティングプロトコル処理部58で終端される。
【0084】
LSAckパケットの処理には特殊な計算等が不要のため、IP−IFカード21で終端処理をすることが可能であるが、伝送装置20−2は、ルータが接続して最初に受信したLSAckパケットを仮想ルータ制御サーバ24へと転送する。これは、初期シーケンスにおいては、LSAckパケットの受信後に、LSRパケットをルータに対して送信する必要があり、LSRパケットの生成タイミングを仮想ルータ制御サーバ24に教えるために行う。
【0085】
LSAckパケットを受信した仮想ルータ制御サーバ24は、新規接続したルータが具備している経路情報を収集するために、LSRパケットを伝送装置20−2に送信する。仮想ルータ制御サーバ24が送信したLSRパケットは、新規ルータが接続された伝送装置20−2の装置制御部33経由で、IP−IFカード21からルータ11−2へと送信される(S18)。
【0086】
LSRパケットを受信したルータ11−2は、自装置で管理する経路情報に基づいてLSAパケットを生成して、伝送装置20−2へと送信する。LSAパケットを受信したIP−IFカード21は、装置制御部33経由で仮想ルータ制御サーバ24へと、LSAパケットを転送する(S19)。
【0087】
LSAパケットを受信した仮想ルータ制御サーバ24は、伝送網通信経路DB5から伝送装置間の接続関係を収集し、受信したLSAパケットの内容に基づいて、経路情報テーブル45を更新すべき伝送装置20−nのIP−IFカード21を特定して、それぞれどのように更新するかの経路計算処理を実行する(S20)。
【0088】
仮想ルータ制御サーバ24が実行する経路計算処理について、図9のフローチャートを用いて詳述する。なお、図9のフローチャートは、状態にかかわらず、LSAパケットを受信した時の仮想ルータ制御サーバ24の処理となる。
【0089】
仮想ルータ制御サーバ24がLSAパケットを受信すると、フローチャートの処理が開始される(S30)。
【0090】
仮想ルータ制御サーバ24は、受信したLSAパケットを解析し、ルータIDとアドレスプレフィックスを収集する(S31)。
【0091】
仮想ルータ制御サーバ24は、LSAパケットを転送した伝送装置のID、ルータID、ネットワークアドレスに基づいて、隣接IPルータDB25の新規エントリを生成して登録する(S32)。ここでは、ルータ11−2から、ルータIDとネットワークアドレスBBを取得するので、隣接IPルータDB25には、伝送装置ID81に伝送装置20−2、ルータID82にルータ11−2、ネットワークアドレス83にBBが登録される。また、状態84には正常が登録される。新規エントリを登録した隣接ルータDB25の内容は、図10AのS41の内容から、図10BのS42の内容に更新される。
【0092】
ここで、本例では、ルータ11−2から送信されたLSAパケットに格納されていたネットワークアドレスがBBの1つのみとしているが、ルータ11−2が複数のネットワークアドレスを有していることもある。この場合には、LSAパケットに複数のネットワークアドレスが格納されている。このようなLSAパケットを受信した場合は、同一の伝送装置IDとルータIDで異なるネットワークアドレスのエントリが複数生成されることになる。
【0093】
仮想ルータ制御サーバ24は、取得した伝送装置IDと一致する終点伝送装置IDを持つエントリが伝送網通信経路DB5にあるか否かを調べる(S33)。
【0094】
仮想ルータ制御サーバ24は、取得した伝送装置IDと一致する終点伝送装置IDを持つエントリから、始点伝送装置IDとLSP値を取得する(S34)。
【0095】
仮想ルータ制御サーバ24は、通信経路の始点となる伝送装置の経路情報テーブル45の新規登録エントリを生成する(S35)。経路情報テーブル45の新規登録エントリには、送信LSPと、その送信LSPの宛先にあたる伝送装置20−nに接続するルータが属するネットワークアドレスおよびそのルータの先に繋がるIP網のネットワークアドレスが含まれる。伝送装置20−nに接続するルータが属するネットワークアドレスおよびそのルータの先に繋がるIP網のネットワークアドレスとは、新規接続したルータ11−2が送信してきたLSAパケットに格納されていたネットワークアドレスの情報である。
【0096】
最後に、仮想ルータ制御サーバ24は、新規経路情報エントリを、伝送装置20−2を終点とするLSPが設定されている伝送装置へ通知する(S36)。
【0097】
上記S30からS36までの処理が終了すると、仮想ルータ制御サーバ24のLSAパケット受信時の処理フローが終了する(S37)。
【0098】
仮想ルータ制御サーバ24は、経路計算の一連の処理が完了すると、LSAパケットの送信元ルータ11−2に対して、LSAckパケットを生成して送信する。LSAckパケットは、装置制御部33とIP−IFカード21を経由して、ルータ11−2へ転送される(S23)。
【0099】
仮想ルータ制御サーバ24から新規経路情報エントリを通知された伝送装置20−1は、送信LSP10を持つ経路情報テーブルのエントリのネットワークアドレスフィールドに、仮想ルータ制御サーバ24から取得したネットワークアドレスを登録する。新規エントリを登録した経路情報テーブル45の内容は、図10AのS41の内容から、図10BのS42の内容に更新される。さらには、自伝送装置の経路情報テーブル45に更新があったことを、接続しているルータ11−1に通知するために、LSAパケットを生成して、ルータ11−1へ送信する(S22)。ルータ11−1へ送信するLSAパケットに含まれる情報は、新規に登録されたネットワークアドレス”BB”である。
【0100】
以上の処理により、伝送システムに新規ルータを接続することができる。さらには、既に伝送システムに接続済みのルータに対して、新規経路が増設されたことを通知することができる。これにより、本実施形態における伝送システムでは、伝送網22を一つの巨大な仮想ルータのように制御することが可能となる。
【0101】
図2は、第一の実施形態における伝送システムにルータを接続した場合の伝送レイヤおよびIPレイヤの接続関係を示す図である。
【0102】
伝送レイヤ22の接続関係は、従来の伝送網と同じように、フルメッシュで通信経路7が設定されている。一方、IPレイヤ13の接続関係は、伝送システムが一つの巨大な仮想ルータとして動作することから、各ルータ11−nは、仮想ルータ26とPoint-to-Pointで接続しているように見える。
【0103】
さらに、仮想ルータとそれぞれの伝送網利用ユーザの拠点を別エリアと設定することにより、各ルータ11−nが管理すべき接続関係は、図3に示すように、自ルータ11およびその拠点内部のネットワークと、仮想ルータ26のみとなる。また、ルータ11からは、伝送網22によって接続されている他拠点のルータ11−nは、他エリアIPネットワーク27として見えるため、仮想ルータ26にIPパケットを転送することで、どのネットワークアドレスへ向けてデータを転送することができるかの情報であるネットワークアドレスリスト情報のみを保持するだけで良い。このため、伝送網の先に繋がるルータ11−n間の接続状況を管理する必要がなくなるため、従来技術と比較して経路計算負荷が小さくなる。
【0104】
また、本実施形態における伝送システムでは、ルータ11−nから定期的に送信されるHelloパケットの処理を伝送システム内に分散配備するIP−IFカード21で実行することで、仮想ルータ制御サーバ24の処理負荷を削減することができる。さらに、同じくルータ11−nから定期的に送信されるLSRパケットの処理、およびネットワーク構成が変更するごとに生成する必要があるLSAパケット送信処理を、伝送システム内に分散配備するIP−IFカード21で実行することで、仮想ルータ制御サーバ24の処理負荷を削減することができる。
【0105】
また、従来のルータは、同じエリアに属するルータ間でルーティングプロトコルを交換し、各ルータから収集した経路情報に基づいて、ネットワークの接続関係を導き出していた。このネットワークの接続関係の計算処理がルータ網において拡張性の阻害要因となっていた。一方、本実施形態における伝送システムでは、仮想ルータ制御サーバ24は、伝送装置20−nの接続関係を伝送網通信経路DB5から収集して把握することができるので、従来のルータのような接続関係の計算負荷が発生しない。このことにより、本実施形態における伝送システムは拡張性に優れている。
【0106】
次に、本実施形態における伝送システムで障害が発生した場合の処理について、下記(1)〜(3)のそれぞれの場合における処理動作について説明する。
(1)伝送網の通信経路で障害が発生した場合
(2)伝送装置とルータを接続するリンクで障害が発生した場合
(3)仮想ルータ制御サーバで故障が発生した場合、または伝送装置と仮想ルータ制御サーバ間で故障が発生した場合
説明の前提とする伝送網22の構成は、図1に示すものとする。すなわち、伝送システム内に4台の伝送装置20−nが存在しており、伝送装置間にはフルメッシュの通信経路が予め設定されている。また、各伝送装置には、1台ずつルータが接続されている。以下で述べる障害発生時の処理は、伝送装置20−1、20−2に注目して記述する。
【0107】
(1)伝送網の通信経路で障害が発生した場合
伝送装置20−1と20−2間の通信経路で障害が発生した場合の処理について、図11、図12Aおよび図12Bを用いて説明する。
【0108】
図11は、伝送網22の伝送装置20−1と20−2の間で障害が発生した場合の処理シーケンスと伝送網22の接続関係を説明するための図である。伝送網22には、伝送装置20−1、20−2と、伝送装置間の通信経路を中継する中継装置28−1、28−2が含まれる。伝送装置20−1から20−2へは、通信経路としてLSP10が設定されており、伝送装置20−2から20−1へは、通信経路としてLSP100が設定されている。
【0109】
ここでは、伝送装置20−1と伝送装置20−2の間にある中継装置28−1と28−2の間で障害が発生し、伝送装置20−1と伝送装置20−2間の通信が断絶した場合を一例として、本実施形態における伝送システムの処理シーケンスについて解説する。
【0110】
中継装置28−1と28−2の間で故障が発生する(S51)。
【0111】
故障を検出した中継装置は、故障により通信に影響が発生するLSPに対して、通信経路で故障が発生したことを通知するAlarm Indication Signal(AIS)フレーム、またはLocal Defect Indicator(LDI)フレームを送信する(S52)。AISフレームまたはLDIフレームは、故障回復までの間、周期的に送信される。AISフレームおよびLDIフレームのいずれのフレーム検出時でも、伝送装置20−1の処理は同じであるため、以降の説明では、AISフレーム受信時を一例として説明する。
【0112】
中継装置が送信したAISフレームは、伝送装置20−1のIP−IFカード21のOAM処理部48で終端される。AISフレームを検出したOAM処理部48は、経路情報テーブル45の当該AISフレームを検出したLSPが登録されているエントリ91のLSP状態を「AIS検出」とする。OAM処理部48は、LOCも検出することがある(図12BのS62)。LOCを検出した場合は、LSP状態を「LOC検出」とする。
【0113】
このAISを検出したエントリの通信経路は、正常にデータを送受信することができない。そのため、この経路を使用するルータ11−1に対して、経路が消滅したことを通知する必要がある。
【0114】
ルーティングプロトコル処理部58は、経路情報テーブル45を定期的にポーリングし、LSP状態に何らかの警報状態があるネットワークアドレスを検出すると、経路が消えたことを通知するために、LSAパケットを生成して、ルータ11−1に送信する(S53)。
【0115】
LSAパケットを受信したルータ11−1は、ルータ11−2宛てのパケットを伝送網22の方向に転送しても到達しないことを把握するので、その他のルートを計算する。
【0116】
その後、中継装置28−1と28−2の間の故障が回復する(S54)。故障回復を検出した中継装置は、AISフレームの送信を停止する。
【0117】
伝送装置20−1のOAM処理部48は、一定時間AISフレームを受信しなかった場合、伝送装置20−2との間の通信経路が復旧したと判断し、経路情報テーブル45の当該AISフレーム未検出となったLSPが登録されているエントリ91のLSP状態を「正常」とする(図12AのS61)。
【0118】
通信経路が回復したため、この経路を使用するルータ11−1に対して、経路が生成されたことを通知する必要がある。ルーティングプロトコル処理部58は、経路情報テーブル45を定期的にポーリングし、LSP状態が正常になったネットワークアドレスを検出すると、経路が生成されたことを通知するために、LSAパケットを生成して、ルータ11−1に送信する(S55)。
【0119】
LSAパケットを受信したルータ11−1は、ルータ11−2宛のパケットを伝送網22の方向に転送することができることを把握して、経路再計算を実行する。
【0120】
なお、本処理では、伝送網通信経路データベース5および隣接IPルータDB25のエントリ内容に変更は無い。
【0121】
上記説明では、AISの検出を一例としたが、伝送網障害発生時の警報には、LDIやLOCなどもある。LDIやLOCを検出した際の処理シーケンスもAIS検出時と同じである。
【0122】
なお、本処理は、通信障害の影響がある伝送装置20−1と20−2でのみ実施されるため、従来技術のように、伝送網に接続する全てのルータが経路の再計算を実行しなくてよい。このため、ルータの経路計算負荷は小さい。
【0123】
さらに、本処理による仮想ルータ制御サーバ24の負荷は発生しない。
【0124】
このことから、本実施形態における伝送システムは、システムの一箇所に負荷がかかるような事態が発生しないため、大規模なルータ接続伝送網を提供することができる。また、伝送システム内で故障が発生した場合でも、通信サービスを継続して提供することができる。
【0125】
(2)伝送装置とルータを接続するリンクで障害が発生した場合
伝送装置20−2とルータ11−2間を接続するリンクで障害が発生した場合の処理について、図13、図14Aおよび図14Bを用いて説明する。
【0126】
図13は、伝送装置20−2とルータ11−2間で障害が発生した場合の処理シーケンスと伝送網22の接続関係を説明するための図である。ここでは、伝送装置20−2とルータ11−2間のリンクで障害が発生した場合を一例として、本実施形態における伝送システムの処理シーケンスについて解説する。
【0127】
伝送装置20−2とルータ11−2間でリンク障害が発生する(S70)。リンク障害の発生は、伝送装置のIP−IFカード21の受信回路41において、入力信号の断絶に基づいて検出することができる。または、ルータとの間で周期的に交換しているHelloパケットの一定時間の未受信の検出によっても、リンク障害の発生を検出できる。
【0128】
リンク障害を検出した伝送装置20−2は、IP−IFカード21のOAM処理部48からCSFフレームを送信する。CSFフレームは、経路情報テーブル45に登録されている全ての送信LSP62に対して、故障継続中、周期的に送信される(S71)。
【0129】
本故障により、伝送装置20−2とルータ11−2間の接続が断絶されるため、伝送装置20−2は、仮想ルータ制御サーバ24に対して、ルータ間の通信異常が発生したことを通知する(S73)。仮想ルータ制御サーバ24は、この通知を受けると、隣接IPルータDB25の当該ルータが登録されているエントリの状態84を「故障」とする。
【0130】
CSFフレームは、伝送装置20−1のIP−IFカード21のOAM処理部48にて検出される(S72)。CSFフレームを検出したOAM処理部48は、経路情報テーブル45の当該CSFフレームを検出したLSPが登録されているエントリ92のLSP状態を「CSF検出」とする(図14BのS82)。
【0131】
CSFフレームを検出したエントリの通信経路は正常であるが、その先に接続するルータへはデータを送受信することが出来ない。そのため、この経路を使用するルータ11−1に対して、経路が消滅したことを通知する必要がある。
【0132】
ルーティングプロトコル処理部58は、経路情報テーブル45を定期的にポーリングして、LSP状態に何らかの警報状態があるネットワークアドレスを検出すると、経路が消えたことを通知するために、LSAパケットを生成して、ルータ11−1に送信する(S74)。
【0133】
LSAパケットを受信したルータ11−1は、ルータ11−2宛てのパケットを伝送網22の方向に転送しても到達しないことを把握して、その他のルートを計算する。
【0134】
この後、伝送装置20−2とルータ11−2の間の故障が回復する(S75)。ここで、伝送装置20−2とルータ11−2との間のリンクは復旧したとしても、隣接ルータからHelloパケットを受信するまでは、主信号の送受信は行えないため、伝送装置20−2は、CSFフレームを継続して送信する。
【0135】
リンク障害の回復後、伝送装置20−2からのHelloパケットに反応してルータ11−2からHelloパケットが返ってくると、伝送装置20−2のIP−IFカード21のOAM処理部48は、CSFフレームの送信を停止する(S76)。
【0136】
伝送装置20−1のOAM処理部48は、一定時間CSFフレームを受信しなかった場合、伝送装置20−2とルータ11−2の間の通信経路が復旧したと判断する(S77)。
【0137】
伝送装置20−1のOAM処理部48は、経路情報テーブル45の当該CSFフレームが未検出となったLSPが登録されているエントリ91のLSP状態を「正常」とする(図14AのS81)。
【0138】
通信経路が回復すると、この経路を使用するルータ11−1に対して、経路が回復したことを通知する必要がある。ルーティングプロトコル処理部58は、経路情報テーブル45を定期的にポーリングし、LSP状態が正常になったネットワークアドレスを検出すると、経路が回復したことを通知するために、LSAパケットを生成して、ルータ11−1に送信する(S78)。
【0139】
また、伝送装置20−2は、仮想ルータ制御サーバ24に対して、ルータ間の通信異常が回復したことを通知する(S79)。仮想ルータ制御サーバ24は、通信の回復通知を受けると、隣接IPルータDB25の当該ルータが登録されているエントリの状態84を「正常」とする。
【0140】
LSAパケットを受信したルータ11−1は、ルータ11−2宛のパケットを伝送網22の方向に転送することができることを把握して、経路再計算を実行する。
【0141】
本処理では、伝送網経路データベース5のエントリ内容に変更は無い。
【0142】
なお、本処理は、通信障害の影響がある伝送装置20−2と20−1でのみ実施されるため、従来技術のように、伝送網に接続する全てのルータが経路の再計算を実行しなくてよい。このため、ルータの経路計算負荷は小さくなる。さらに、本処理による仮想ルータ制御サーバ24の負荷は発生しない。
【0143】
このことから、本実施形態における伝送システムでは、システムの一箇所に負荷がかかるような事態が発生しないため、大規模なルータ接続伝送網を提供することができる。また、伝送システム内で故障が発生した場合でも、通信サービスを継続して提供することができる。
【0144】
(3)仮想ルータ制御サーバに故障が発生した場合、または伝送装置と仮想ルータ制御サーバ間に故障が発生した場合
仮想ルータ制御サーバ24に故障が発生した場合、または伝送装置20−nと仮想ルータ制御サーバ24間の伝送路に故障が発生した場合の処理について、図15を用いて説明する。ここでは、Helloパケット、LSRパケットの処理をIP−IFカード21で処理することを想定して説明する。
【0145】
図15は、仮想ルータ制御サーバ24の故障、または伝送装置20−nと仮想ルータ制御サーバ24間の伝送路で故障が発生した場合の処理シーケンスについて説明するための図である。
【0146】
ここでは、仮想ルータ制御サーバ24が故障した場合を一例として、本実施形態における伝送システムの処理シーケンスについて解説する。
【0147】
仮想ルータ制御サーバ24で故障が発生する(S91)。
【0148】
仮想ルータ制御サーバ24が故障した場合でも、隣接ルータ11−nとの間で定期的に交換するHelloパケットの送受信や、経路情報を要求するLSRパケットを受信した場合のLSAパケット送信を、伝送装置20−nのIP−IFカード21で処理することで、主信号に影響は出ない。
【0149】
一方、隣接ルータ11−nからLSAパケットを受信した場合、当該LSAパケットを受信した伝送装置20−nとの間でLSPが設定されている全ての伝送装置20−nのIP−IFカード21が有する経路情報テーブル45を更新する必要がある。しかし、伝送網22の接続関係は、仮想ルータ制御サーバ24が伝送網通信経路DB5から取得する必要がある。そのため、故障発生時にLSAパケットを受信した伝送装置20−2は、仮想ルータ制御サーバの故障24が回復するまでの間、LSAパケットを自装置内で保持する(S92)。
【0150】
その後、仮想ルータ制御サーバ24の故障が回復する(S93)。
【0151】
仮想ルータ制御サーバ24の回復を検出すると、伝送装置20−2は、仮想ルータ制御サーバ24に保持していたLSAパケットを仮想ルータ制御サーバ24に転送する(S94)。
【0152】
仮想ルータ制御サーバ24の回復検出方法は、例えば仮想ルータ制御サーバ24と各伝送装置との間で、定期的にヘルスチェックパケットの送受信を実行することにより可能である。
【0153】
仮想ルータ制御サーバ24がLSAパケットを受信した後の処理(S95、S96、S97)は、図8を用いて説明したS20以降の処理と同じである。
【0154】
以上のように、本実施形態における伝送システムでは、運用中に仮想ルータ制御サーバ24が故障した場合でも、通信サービスを継続して提供することができる。
【0155】
−第二の実施形態−
以下、図面を参照しながら、本発明の第二の実施形態について説明する。第二の実施形態と第一の実施形態の構成上の差分は、伝送装置20−nのIP−IFカード21-nの経路情報テーブル45のエントリ内容である。
【0156】
まずは、図1と図16を用いて、第二の実施形態における伝送網22内の通信経路の設定内容について説明する。
【0157】
伝送装置20−1に着目して、伝送網22内に設定されている通信経路を確認すると、伝送装置20−2へは送信LSP10、受信LSP100、伝送装置20−3へは送信LSP20、受信LSP200、伝送装置20−4へは送信LSP30、受信LSP300が設定されている。
【0158】
図16は、第二の実施形態における伝送装置20−1の経路情報テーブル45のエントリ内容の一例を示す図である。第二の実施形態における経路情報テーブル45は、ネットワークアドレス61、現用送信LSP62、現用受信LSP63、現用LSP状態64、予備送信LSP65、予備受信LSP66、予備LSP状態67を有する。
【0159】
第二の実施形態における伝送網通信経路管理サーバ4は、伝送装置20−1の経路情報テーブル45に、伝送網22が正常な場合に利用する現用通信経路の送信LSP/受信LSPだけでなく、現用通信経路に何らかの障害が発生した場合に利用する予備通信経路の送信LSP/受信LSPを登録する。この現用通信経路と予備通信経路によって、接続先となる伝送装置20−nは、物理的に異なる伝送装置になる。
【0160】
具体例として、伝送装置20−1の経路情報テーブル45の第一番目に登録されているエントリには、現用通信経路として、伝送装置20−2との通信経路である送信LSP10/受信LSP100と、予備通信経路として、伝送装置20−3との通信経路である送信LSP20/受信LSP200が登録されている。
【0161】
次に、図8を用いて、本伝送システムにルータが接続した場合の初期シーケンスについて説明する。
【0162】
初期シーケンスの内容は、第一の実施形態とほぼ同様であるが、仮想ルータ制御サーバ24が生成する通信経路の始点となる伝送装置の経路情報テーブル45の新規登録エントリの内容が異なる。第二の実施形態では、新たに伝送網22に接続されたルータと接続される伝送装置20−nと接続関係にあるLSPを、現用LSPとして持つエントリに対して、当該ルータから取得したネットワークアドレスを登録する。
【0163】
例えば、ルータ11−1の登録後に、伝送装置20−2にルータ11−2が接続された場合には、伝送装置20−1の経路情報テーブル45には、現用送信LSP10を持つエントリにのみ、ネットワークアドレスBBが登録される。図16の経路情報テーブル45には、予備送信LSP10を持つエントリも登録されているが、ここにはネットワークアドレスBBは登録されない。
【0164】
次に、図17を用いて、伝送網22内で通信経路の障害が発生した場合の動作シーケンスを説明する。図17は、伝送網22の伝送装置20−1と伝送装置20−2の間で障害が発生した場合の処理シーケンスと、伝送網22の接続関係を説明するための図である。伝送網22には、伝送装置20−1、20−2と、伝送装置間の通信経路を中継する中継装置28−1、28−2が含まれる。伝送装置20−1から20−2へは、通信経路としてLSP10が設定されており、伝送装置20−2から20−1へは、通信経路としてLSP100が設定されている。
【0165】
ここでは、伝送装置20−1と伝送装置20−2の間にある中継装置28−1と28−2の間で障害が発生し、伝送装置20−1と伝送装置20−2間の通信が断絶した場合を一例として、本実施形態における伝送システムの処理シーケンスについて解説する。
【0166】
中継装置28−1と28−2の間で故障が発生する(S91)。
【0167】
故障を検出した中継装置は、故障によって通信に影響が発生するLSPに対して、通信経路で故障が発生したことを通知するAlarm Indication Signal(AIS)フレーム、またはLocal Defect Indicator(LDI)フレームを送信する(S92)。AISフレームまたはLDIフレームは、故障回復までの間、周期的に送信される。AISフレーム、LDIフレームのいずれのフレーム検出時でも、伝送装置20−1の処理は同じであるため、ここでは、AISフレームを受信した場合を一例として説明する。
【0168】
中継装置が送信したAISフレームは、伝送装置20−1のIP−IFカード21のOAM処理部48で終端される(S93)。
【0169】
AISフレームを検出したOAM処理部48は、経路情報テーブル45の当該AISフレームを検出したLSPが登録されているエントリの現用LSP状態を「AIS検出」とする。OAM処理部48は、このときLOCも検出する場合がある。LOCを検出した場合は、現用LSP状態を「LOC検出」とする。
【0170】
このAISを検出したエントリの現用通信経路は、正常にデータを送受信することが出来ない。そのため、現用通信経路のLSP状態に、伝送網内での障害発生を表す状態(AIS検出/LDI検出/LOC検出)が登録されている場合、受信したIPパケットをMPLSにカプセル化するMPLS−TPカプセル化部44は、データ転送に利用する送信LSPを現用LSPから予備LSPへと変更する。
【0171】
これにより、予備LSPへの変更前に、伝送装置20−1から伝送装置20−2へ転送されていたネットワークアドレスBBのIPパケットは、予備LSPへの変更によって、伝送装置20−3へ転送される。
【0172】
伝送装置20−3には、ネットワークアドレスCCを持つルータ11−3が接続されている。ルータ11−3は、ルータ11−1がルータ11−2宛に送信したIPパケットを受信すると、受信したIPパケットを再度、伝送装置20−3に対して送信する。これは、ルータ11−3には、ネットワークアドレスBBは伝送網22の先にあると登録されているためである。
【0173】
ネットワークアドレスBB宛のIPパケットを受信した伝送装置20−3は、受信パケットをMPLSカプセル化し、伝送装置20−2へと転送する。
【0174】
伝送装置20−2は、受信したIPパケットを、ネットワークアドレスBBに属するルータ11−2へと転送する。
【0175】
このように、第二の実施形態では、伝送網22の通信経路に故障が発生した場合、IPパケットを転送する伝送装置20−nを変更することで、伝送網22に接続するルータ11−nには、伝送網22の障害の影響を与えなくすることが出来る。
【0176】
伝送網22の障害が回復し(S94)、伝送装置20−1が検出していたAISが回復すると、受信したIPパケットをMPLSにカプセル化するMPLS−TPカプセル化部44は、データ転送に利用する送信LSPを予備LSPから現用LSPへと変更する(S95)。
【0177】
以上、第二の実施形態によれば、伝送網内で通信経路障害が発生した場合に、伝送網22に接続するルータ11−nで経路の再計算を行わせることなく、通信を継続して行うことができる。
【0178】
−第三の実施形態−
以下、図面を参照しながら、本発明の第三の実施形態について説明する。第三の実施形態と、第一の実施形態の構成上の差分は、ルータがIP−IFカードを備え、ルータのIP−IFカードまでを伝送網通信経路管理サーバ及び仮想ルータ制御サーバの監視対象とする点である。
【0179】
図18と図19を用いて、第三の実施形態における伝送システムの接続構成と、ルータの構成について説明する。
【0180】
図18は、第三の実施形態における伝送システムの物理的接続を示す図である。第三の実施形態における伝送システムは、伝送網122を提供する通信事業者と、通信事業者から伝送網122の通信経路7をレンタルする伝送網利用ユーザが存在する。地理的に離れた位置にある4つのサイト110−1〜110−4を、通信事業者の伝送網122で接続している。
【0181】
伝送網利用ユーザの拠点110−nには、伝送装置120−1と接続するルータ111−nと、通信端末112−mが含まれる。伝送装置120−nと接続するルータ111−nは、IP−IFカード121−nを有している。通信端末112−mは、例えば、他の通信網と接続するためのルータやパソコンなどの情報機器である。
【0182】
伝送網利用ユーザの拠点には、ネットワークアドレスが設定されている。ネットワークアドレスは通常、例えばIPv4では192.168.1.0/24などとプレフィックス表記で表されるが、ここでは簡単化のために、各拠点のネットワークアドレスを、AA、BB、CC、DDというように表記している。
【0183】
通信事業者の伝送システムは、伝送装置120−n、伝送網通信経路管理サーバ104、仮想ルータ制御サーバ124を含み、複数の伝送装置120−nによって、伝送網122が構築される。なお、図18では、伝送網通信経路管理サーバ104と仮想ルータ制御サーバ124が別のサーバで構成されているが、これらサーバが具備する機能を同一のサーバ内に配備しても、同様の効果が得られる。
【0184】
第一の実施形態では、伝送網122の通信経路の始点及び終点は、伝送装置のIP−IFカードであったが、第三の実施形態では、ルータ111−nがIP−IFカード121−nを有していることから、伝送網122の通信経路の始点及び終点は、ルータ111−nのIP−IFカード121−nである。
【0185】
従って、伝送網通信経路管理サーバ104が管理する伝送網通信経路DB105のパス始点伝送装置IDおよびパス終点伝送装置IDとして、ルータ111−1、ルータ111−2が有するIP−IFカード121−nの識別子が管理される。
【0186】
次に、図19を用いて、ルータ111の構成について説明する。図19は、第三の実施形態におけるIP−IFカード121を搭載したルータ111の構成を示す図である。ルータ111は、1個以上の装置制御部133と、スイッチ(SW)部132と、1枚以上のIFカード134と、1枚以上のIP−IFカード121から構成される。装置制御部133、SW部132、IFカード134、IP−IFカード121は、互いに接続される。図中の実線矢印は主信号の流れを示しており、破線矢印は制御信号の流れを示している。
【0187】
装置制御部133およびSW部132は、第一の実施形態における装置制御部33およびSW部32と同等の機能を有するので、詳しい説明は省略する。
【0188】
IP−IFカード121は、カード制御部149、受信回路151、L2受信処理部152、フレーム解析振分け部153、MPLS−TP終端部154、SW送信回路155、SW受信回路141、MPLS−TPカプセル化143、スケジューラ145、L2送信処理部146、送信回路147、MPLS−TP OAM処理部148(以下、OAM処理部148と呼ぶ)、および、経路情報テーブル144を含む。
【0189】
これら機能ブロックのうち、カード制御部149を除く機能ブロックは、第一の実施形態で説明した図4の受信回路41、L2受信処理部42、MPLS−TPカプセル化部44、経路情報テーブル45、SW送信回路47、OAM処理部48、SW受信回路51、MPLS−TP終端部53、スケジューラ54、L2送信処理部55、送信回路56と同じなので、詳しい説明は省略する。
【0190】
第三の実施形態では、IP−IFカード121―nをルータ111−nに組み込んでいるので、ルーティングプロトコルを送受信するための機能ブロックは備えていない。また、伝送網通信経路管理サーバ104、仮想ルータ制御サーバ124から、経路情報テーブル144に設定される情報は、第一の実施形態と同じである。
【0191】
以下では、第一の実施形態と異なる装置制御部133およびカード制御部148について説明する。
【0192】
装置制御部133は、伝送網通信経路管理サーバ104および仮想ルータ制御サーバ124と接続するための制御IF135を備えている。また、伝送網通信経路管理サーバ104および仮想ルータ制御サーバ124から受信した設定情報を、SW部132、IFカード134、IP−IFカード121に設定する。さらに、ルータがIFカード134から受信するルーティングパケットの処理を実行する。
【0193】
第三の実施形態におけるルータ111−nは、IP−IFカード121以外のIFカード134を介して、拠点内の通信端末112−nと接続される。通信端末112−nとの間では、ルーティングプロトコルに基づいて、経路情報の交換を行う。また、ルータ111−nは、ルーティング処理機能を有しており、自ルータのIFカード134がどのようなルータ網と接続しているかを経路処理計算から把握する。
【0194】
一方、仮想ルータ制御サーバ124からネットワークアドレスを設定されるので、伝送網122と接続するIP−IFカード121に繋がる他ルータの情報は、ルーティングプロトコルを使用することなく収集可能である。
【0195】
以上、第三の実施形態によれば、IP−IFカードをルータ側に配備した場合においても、第一の実施形態と同等の効果が得られる。
【0196】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。
【符号の説明】
【0197】
4 伝送網通信経路管理サーバ
5 伝送網通信経路DB
11 ルータ
20 伝送装置
21 IP−IFカード
24 仮想ルータ制御サーバ
25 隣接IPルータDB
33 装置制御部
34 中継インタフェースカード
35 制御IF
45 経路情報テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送網の構成要素である複数の伝送装置と、
前記伝送網を介して通信する複数の通信装置と、
前記伝送網において、前記複数の伝送装置間の通信経路を設定する伝送網通信経路管理サーバと、
前記伝送網通信経路管理サーバによって設定された前記伝送装置間の通信経路を保存する通信経路データベースと、
前記伝送網を介した前記通信装置間の通信経路を確立する通信経路制御サーバと、
を備え、
前記通信装置は、前記伝送装置に接続されると、制御データを前記接続された伝送装置を介して前記通信経路制御サーバに送信し、
前記通信経路制御サーバは、前記通信装置から送信された前記制御データから、新たに接続された前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報を取得し、取得した前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報と、前記通信経路データベースに保存されている前記伝送装置間の通信経路の情報とに基づいて、前記通信装置間の通信経路を確立する、
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項2】
前記伝送装置は、前記伝送網内の通信経路で通信障害が発生したことを検知すると、通信障害が発生した通信経路を用いて通信を行う通信装置に対して、当該通信経路で通信障害が発生したことを通知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項3】
前記伝送装置は、接続されている前記通信装置との間で監視用データを送受信することによって、前記通信装置との間の通信経路の正常性を確認する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項4】
前記伝送装置は、前記接続されている通信装置との間で通信障害が発生したことを検知すると、前記伝送網を介して接続されている他の伝送装置に対して、前記通信装置との間で通信障害が発生したことを通知し、
前記通信障害の発生を通知された伝送装置は、接続されている前記通信装置に対して、前記伝送装置と前記通信装置との間で通信障害が発生していることを通知する、
ことを特徴とする請求項3に記載の伝送システム。
【請求項5】
前記伝送装置は、前記通信経路制御サーバの障害、または前記通信経路制御サーバと前記伝送装置との間の通信経路の障害を検知すると、前記障害が発生している間は、前記通信装置から送信された制御データを保持し、前記障害の回復を検知すると、前記保持していた制御データを前記通信経路制御サーバに転送する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項6】
前記伝送装置は、前記通信経路データベースに保存されている前記伝送装置間の通信経路の情報と、前記通信経路制御サーバによって取得された前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報とを保持する経路情報テーブルを有し、
前記伝送装置は、接続されている前記通信装置から通信データを受信すると、前記経路情報テーブルに基づいて、通信で用いる前記伝送装置間の通信経路を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項7】
前記伝送装置は、前記接続されている通信装置から通信経路情報を要求するデータを受信すると、前記経路情報テーブルに基づいて経路情報通知データを作成して、前記接続されている通信装置に送信する、
ことを特徴とする請求項6に記載の伝送システム。
【請求項8】
前記伝送網通信経路管理サーバは、前記複数の伝送装置のうちの第1の伝送装置から第2の伝送装置に至る第1の通信経路を現用通信経路と定義し、前記第1の伝送装置から第3の伝送装置に至る第2の通信経路を予備用通信経路として設定し、
前記第1の伝送装置は、前記第1の通信経路に通信障害が発生したことを検知すると、前記第2の伝送装置に送信するデータを前記予備用通信経路を介して前記第3の伝送装置に送信し、
前記第3の伝送装置は、前記第1の伝送装置から、前記第2の伝送装置に送信するデータを受信すると、当該データを前記第2の伝送装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項9】
前記伝送装置は、前記通信装置が送信する制御データのうち、前記新たに接続された通信装置と伝送装置との間の接続関係の情報を含む制御データを前記通信経路制御サーバに転送し、それ以外の制御データを自装置内で処理する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項10】
前記伝送装置は、前記通信装置と接続するためのIPインタフェースを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項11】
前記通信装置は、前記伝送装置と接続するためのIPインタフェースを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項12】
伝送網の構成要素である複数の伝送装置と、
前記伝送網を介して通信を行う複数の通信装置と、
前記伝送網において、前記複数の伝送装置間の通信経路を設定する伝送網通信経路管理サーバと、
前記伝送網通信経路管理サーバによって設定された前記通信経路を保存する通信経路データベースと、
前記伝送網を介した前記通信装置間の通信経路を確立する通信経路制御サーバと、
を備えた伝送システムの制御方法において、
前記通信装置は、前記伝送装置に接続されると、制御データを前記接続された伝送装置に送信し、
前記伝送装置は、前記通信装置から送信された前記制御データを前記通信経路制御サーバに転送し、
前記通信経路制御サーバは、前記伝送装置から転送された前記制御データから、新たに接続された前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報を取得し、取得した前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報と、前記通信経路データベースに保存されている前記伝送装置間の通信経路の情報とに基づいて、前記伝送装置を介した前記通信装置間の通信経路を確立する、
ことを特徴とする伝送システムの制御方法。
【請求項1】
伝送網の構成要素である複数の伝送装置と、
前記伝送網を介して通信する複数の通信装置と、
前記伝送網において、前記複数の伝送装置間の通信経路を設定する伝送網通信経路管理サーバと、
前記伝送網通信経路管理サーバによって設定された前記伝送装置間の通信経路を保存する通信経路データベースと、
前記伝送網を介した前記通信装置間の通信経路を確立する通信経路制御サーバと、
を備え、
前記通信装置は、前記伝送装置に接続されると、制御データを前記接続された伝送装置を介して前記通信経路制御サーバに送信し、
前記通信経路制御サーバは、前記通信装置から送信された前記制御データから、新たに接続された前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報を取得し、取得した前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報と、前記通信経路データベースに保存されている前記伝送装置間の通信経路の情報とに基づいて、前記通信装置間の通信経路を確立する、
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項2】
前記伝送装置は、前記伝送網内の通信経路で通信障害が発生したことを検知すると、通信障害が発生した通信経路を用いて通信を行う通信装置に対して、当該通信経路で通信障害が発生したことを通知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項3】
前記伝送装置は、接続されている前記通信装置との間で監視用データを送受信することによって、前記通信装置との間の通信経路の正常性を確認する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項4】
前記伝送装置は、前記接続されている通信装置との間で通信障害が発生したことを検知すると、前記伝送網を介して接続されている他の伝送装置に対して、前記通信装置との間で通信障害が発生したことを通知し、
前記通信障害の発生を通知された伝送装置は、接続されている前記通信装置に対して、前記伝送装置と前記通信装置との間で通信障害が発生していることを通知する、
ことを特徴とする請求項3に記載の伝送システム。
【請求項5】
前記伝送装置は、前記通信経路制御サーバの障害、または前記通信経路制御サーバと前記伝送装置との間の通信経路の障害を検知すると、前記障害が発生している間は、前記通信装置から送信された制御データを保持し、前記障害の回復を検知すると、前記保持していた制御データを前記通信経路制御サーバに転送する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項6】
前記伝送装置は、前記通信経路データベースに保存されている前記伝送装置間の通信経路の情報と、前記通信経路制御サーバによって取得された前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報とを保持する経路情報テーブルを有し、
前記伝送装置は、接続されている前記通信装置から通信データを受信すると、前記経路情報テーブルに基づいて、通信で用いる前記伝送装置間の通信経路を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項7】
前記伝送装置は、前記接続されている通信装置から通信経路情報を要求するデータを受信すると、前記経路情報テーブルに基づいて経路情報通知データを作成して、前記接続されている通信装置に送信する、
ことを特徴とする請求項6に記載の伝送システム。
【請求項8】
前記伝送網通信経路管理サーバは、前記複数の伝送装置のうちの第1の伝送装置から第2の伝送装置に至る第1の通信経路を現用通信経路と定義し、前記第1の伝送装置から第3の伝送装置に至る第2の通信経路を予備用通信経路として設定し、
前記第1の伝送装置は、前記第1の通信経路に通信障害が発生したことを検知すると、前記第2の伝送装置に送信するデータを前記予備用通信経路を介して前記第3の伝送装置に送信し、
前記第3の伝送装置は、前記第1の伝送装置から、前記第2の伝送装置に送信するデータを受信すると、当該データを前記第2の伝送装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項9】
前記伝送装置は、前記通信装置が送信する制御データのうち、前記新たに接続された通信装置と伝送装置との間の接続関係の情報を含む制御データを前記通信経路制御サーバに転送し、それ以外の制御データを自装置内で処理する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項10】
前記伝送装置は、前記通信装置と接続するためのIPインタフェースを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項11】
前記通信装置は、前記伝送装置と接続するためのIPインタフェースを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項12】
伝送網の構成要素である複数の伝送装置と、
前記伝送網を介して通信を行う複数の通信装置と、
前記伝送網において、前記複数の伝送装置間の通信経路を設定する伝送網通信経路管理サーバと、
前記伝送網通信経路管理サーバによって設定された前記通信経路を保存する通信経路データベースと、
前記伝送網を介した前記通信装置間の通信経路を確立する通信経路制御サーバと、
を備えた伝送システムの制御方法において、
前記通信装置は、前記伝送装置に接続されると、制御データを前記接続された伝送装置に送信し、
前記伝送装置は、前記通信装置から送信された前記制御データを前記通信経路制御サーバに転送し、
前記通信経路制御サーバは、前記伝送装置から転送された前記制御データから、新たに接続された前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報を取得し、取得した前記通信装置と前記伝送装置との間の接続関係の情報と、前記通信経路データベースに保存されている前記伝送装置間の通信経路の情報とに基づいて、前記伝送装置を介した前記通信装置間の通信経路を確立する、
ことを特徴とする伝送システムの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−26829(P2013−26829A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159863(P2011−159863)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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