説明

伸縮門扉用の錠

【課題】容易に施錠が可能な伸縮門扉用の錠を提供することである。
【解決手段】距離を離して設置された二つの固定部と、水平に伸縮する伸縮部を有し、伸縮部の一端が一方の固定部に固定され、伸縮部を伸縮させて固定部間を開閉する伸縮門扉に使用する伸縮門扉用の錠1であって、伸縮部の他端側又は他方の固定部に取り付けられる本体部2と、他方の固定部または伸縮部の他端側に取り付けられるストライク部3を有する伸縮門扉用の錠1において、ストライク部3は、略水平に配置された棒状部12を有し、本体部2は、ストライク部3に当接する当接部と、ストライク部3を巻き込むフック部を有し、当接部とフック部は連動し、常時フック部は開放方向に付勢されており、当接部が一定量押し込まれるとフック部がストライク部3を巻き込む方向に付勢される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は伸縮門扉用の錠に関し、さらに詳細には、伸縮部を伸縮させて固定部間を開閉する伸縮門扉に使用する伸縮門扉用の錠に関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮門扉は、不審者の侵入を防止する等の防犯用途で広く利用されている。伸縮門扉は、門柱間を伸縮する門扉で開閉可能であり、伸縮門扉と門柱に設けられた各施錠装置で施錠を行う。特許文献1には、施錠装置を備えた伸縮門扉が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−270224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された伸縮門扉は、操作部を水平方向に移動させることで伸縮門扉が伸縮し、操作部を上下方向に移動させることで施錠を行う。このため、伸縮門扉の伸縮と施錠を片手で行うことができる。
ところが、特許文献1に開示された伸縮門扉は、施錠を行うのに、操作部の水平方向と垂直方向の移動という動作が必要であり、面倒である。
【0005】
上記した現状に鑑み、本発明は容易に施錠が可能な伸縮門扉用の錠の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、距離を離して設置された二つの固定部と、水平に伸縮する伸縮部を有し、伸縮部の一端が一方の固定部に固定され、伸縮部を伸縮させて固定部間を開閉する伸縮門扉に使用する伸縮門扉用の錠であって、伸縮部の他端側又は他方の固定部に取り付けられる本体部と、他方の固定部または伸縮部の他端側に取り付けられるストライク部を有する伸縮門扉用の錠において、ストライク部は、略水平に配置された棒状部を有し、本体部は、前記ストライク部に当接する当接部と、ストライク部を巻き込むフック部を有し、前記当接部とフック部は連動し、常時フック部は開放方向に付勢されており、当接部が一定量押し込まれるとフック部がストライク部を巻き込む方向に付勢されることを特徴とする伸縮門扉用の錠である。
【0007】
本発明の伸縮門扉用の錠は、距離を離して設置された二つの固定部と、水平に伸縮する伸縮部を有し、伸縮部の一端が一方の固定部に固定され、伸縮部を伸縮させて固定部間を開閉する伸縮門扉に使用される。本発明の伸縮門扉用の錠は、伸縮部の他端側又は他方の固定部に取り付けられる本体部と、他方の固定部または伸縮部の他端側に取り付けられるストライク部を有している。そして、本発明の伸縮門扉用の錠では、ストライク部は、略水平に配置された棒状部を有し、本体部は、前記ストライク部に当接する当接部と、ストライク部を巻き込むフック部を有し、前記当接部とフック部は連動し、常時フック部は開放方向に付勢されている。そして、本発明の伸縮門扉用の錠では、当接部が一定量押し込まれるとフック部がストライク部を巻き込む方向に付勢される。すなわち、当接部がストライク部に押し込まれると、当接部に連動したフック部がストライク部を巻き込む。さらに、フック部はストライク部を巻き込む方向に付勢されることによりストライク部がフック部で強固にロックされる。本発明の伸縮門扉用の錠によれば、本体部とストライク部とを合致させるだけで、両者を容易に施錠することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、ストライク部を巻き込む方向に付勢されたフック部の姿勢を保持することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の伸縮門扉用の錠である。
【0009】
本発明の伸縮門扉用の錠では、ストライク部を巻き込む方向に付勢されたフック部の姿勢を保持することが可能である。そのため、本発明の伸縮門扉用の錠は、本体部とストライク部の施錠をさらに強固にすることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、棒状部は、上下方向に自由度を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の伸縮門扉用の錠である。
【0011】
本発明の伸縮門扉用の錠では、棒状部は、上下方向に自由度を有する。すなわち、棒状部は、グラグラする状態である。そのため、本発明の伸縮門扉用の錠は、例えば地面がデコボコしていて本体部とストライク部の上下方向の位置がずれた場合にでも、容易に施錠することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、ストライク部はガイド部を有し、ガイド部によって棒状部の自由度が制限されていることを特徴とする請求項3に記載の伸縮門扉用の錠である。
【0013】
本発明の伸縮門扉用の錠では、ストライク部はガイド部を有し、ガイド部によって棒状部の自由度が制限されている。つまり、棒状部はガイド部で制限された範囲内でのみ自由に位置することができる。このことにより、例えば、棒状部が本体部と合致できないような位置に至ることがない。本発明の伸縮門扉用の錠によれば、より確実に施錠を行うことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、本体部は、略水平方向に突出した突出部を有し、前記突出部は前記ストライク部を誘導可能であることを特徴とする請求項3又は4に記載の伸縮門扉用の錠である。
【0015】
本発明の伸縮門扉用の錠では、本体部は、略水平方向に突出した突出部を有し、前記突出部は、前記ストライク部を誘導可能である。例えば、ストライク部と本体部の位置がずれている場合にでも、突出部でストライク部を誘導することにより、ストライク部と本体部の位置を合わせることができる。本発明の伸縮門扉用の錠によれば、本体部とストライク部とを容易に合致させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記突出部は、上下に対向配置されていることを特徴とする請求項5に記載の伸縮門扉用の錠である。
【0017】
本発明の伸縮門扉用の錠では、前記突出部は、上下に対向配置されている。例えば、ストライク部と本体部の上下方向の位置がずれている場合にでも、上下に対向配置された突出部でストライク部を誘導することにより、ストライク部と本体部の位置を容易に合わせることができる。本発明の伸縮門扉用の錠によれば、本体部とストライク部とを合致させることは、さらに容易となる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、前記突出部は、先端側に向かって細い形状を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の伸縮門扉用の錠である。
【0019】
本発明の伸縮門扉用の錠では、前記突出部は、先端側に向かって細い形状を有する。例えば、上下に対向配置された突出部においては、両者の先端側同士は十分距離を空けながら、両者の根元側同士を近接させることができる。このため、突出部の先端側同士の間に入ったストライク部は、突出部の根元側同士が近接し狭まっているため、近接した位置に嵌る。つまり、本体部内でのストライク部の位置精度を高くすることができる。本発明の伸縮門扉用の錠によれば、本体部とストライク部とを確実に合致させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の伸縮門扉用の錠によれば、本体部とストライク部とを合致させるだけで、両者を容易に施錠することができる。
また、本発明の伸縮門扉用の錠によれば、例えば地面がデコボコしていて本体部とストライク部の上下方向の位置がずれた場合にでも、容易に施錠することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る伸縮門扉用の錠を備えた伸縮門扉を示す斜視図である。
【図2】図1の伸縮門扉に本体部が取り付けられた部分を拡大した斜視図である。
【図3】図1の伸縮門扉にストライク部が取り付けられた部分を拡大した斜視図である。
【図4】本体部とストライク部の斜視図である。
【図5】ストライク部を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図6】ストライク部の分解斜視図である。
【図7】ストライク部のベースを示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は(a)のA−A断面図である。
【図8】ストライク部の棒状部の位置を示す図であり、(a)は上限、(b)は略水平、(c)は下限である。
【図9】本体部を示す正面図である。
【図10】本体部の分解斜視図である。
【図11】本体部の錠部を示す分解斜視図である。
【図12】錠部の鎌部を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)の鎌板部の一部を省略した正面図である。
【図13】錠部のホルダ部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図14】錠部のレバー用ハブを示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)のレバー板部の一部を省略した正面図である。
【図15】錠部のロック部を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図16】本体部の動作状態を示す図であり、開状態を示す。
【図17】本体部が開状態から閉状態に切り替わる動作を示す図であり、(a)は当接部に棒状部が当接した状態、(b)は摺動ピンが先端部まで達した状態、(c)はフック部が棒状部を巻き込んだ状態である。
【図18】本体部の動作状態を示す図であり、閉状態を示す。
【図19】本体部の動作状態を示す図であり、解錠状態を示す。
【図20】本体部の動作状態を示す図であり、閉状態の保持を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下は、本発明の伸縮門扉用の錠の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0023】
まず、本発明の実施形態に係る伸縮門扉用の錠1の伸縮門扉90への取付状態から説明する。なお、図16における伸縮門扉用の錠1の本体部2の長手方向を「上下方向」とし、長手方向に直交する方向を「水平方向」、「左右方向」とする。
【0024】
図1に示すように、伸縮門扉用の錠1は、伸縮門扉90等を施錠するためのものであり、伸縮門扉90等に取り付けて使用されるものである。伸縮門扉用の錠1は、図2に示すように、本体部2を有している。本体部2は、伸縮門扉90(伸縮部)の端部に位置する桟91に取り付けられている。伸縮門扉用の錠1は、図3に示すように、ストライク部3を有している。ストライク部3は、門柱92(固定部)に取り付けられている。
【0025】
つぎに、本発明の実施形態に係る伸縮門扉用の錠1の構成について説明する。
伸縮門扉用の錠1は、図4(伸縮門扉90等の図示を省略)に示すように、本体部2とストライク部3が互いに向き合うようにして使用する。本体部2とストライク部3が合致することで伸縮門扉90等を施錠する。
【0026】
ストライク部3は、本体部2を挿入し、本体部2と嵌合するための部材であり、伸縮門扉用の錠1の受け部をなすものである。ストライク部3は、図5(a),(b)に示すように、その外形が箱状である。ストライク部3は、その略中央部に貫通孔11aを有しており、貫通孔11aの中には棒状部12を有している。棒状部12は、略水平に配置されている。
ストライク部3は、図6に示すように、前面板10と、ベース11と、棒状部12と、裏板13と、ねじ14を有している。
【0027】
ベース11は、ストライク部3の主要構成をなすものである。図7(a),(b)に示すように、ベース11は正面視で略長方形であり、その略中央に貫通孔11aを有している。貫通孔11aは十字状の貫通した孔であり、本体部2が上下方向にずれた場合にでも本体部2を挿入可能な高さを有している。貫通孔11a内には、ガイド部11bが設けられている。ガイド部11bは、棒状部12の可動範囲を制限するためのものである。ガイド部11bは、上下左右に対向配置されている。図7(c)に示すように、上下に対向配置されたガイド部11bは、前面側から裏面側へ向かって、両者は近接するように傾斜している。
図7(b),(c)に示すように、ベース11の裏面側には、凹部11cが設けられている。凹部11cは、棒状部12を回動可能に支持するための窪みであり、後述する棒状部12の端部12aが嵌まる大きさを有している。ベース11には、さらに2個のねじ孔11dが設けられており、ねじ孔11dには、ねじ14が挿通される。
ベース11は、複雑な形状であり、樹脂で成形することが好ましい。
【0028】
棒状部12は、本体部2と嵌合するための部材である。図6に示すように、棒状部12は平面視で略ひ字状になるように、棒状の部材を折り曲げたような形状を有している。棒状部12は、直線状の嵌合部12aと、端部12bを有している。嵌合部12aは、左右に配置されたガイド部11bと接触する程度の長さを有している。端部12bは、ベース11の凹部11cに嵌る径を有している。
前面板10は、平板状であり、その略中央に開口10aを有している。開口10aの形状は十字状であり、ベース11の貫通孔11aと略同一の大きさを有する。前面板10には、さらに2個のねじ孔10bが設けられており、ねじ孔10bには、ねじ14が挿通される。
裏板13は、棒状部12がベース11から抜けることを防止するための部材である。裏板13は、ひ字状を縦にしたような形状である。裏板13は、2個のねじ孔13aを有しており、ねじ孔13aには、ねじ14が挿通される。
棒状部12、前面板10および裏板13は、ステンレス鋼等の剛性材料からなることが好ましい。
【0029】
つぎに、ストライク部3がとり得る姿勢について説明する。ストライク部3は、棒状部12の端部12bがベース11の凹部11cで回動可能に支持されている。このため、棒状部12は、棒状部12の端部12bを軸として回動する。図8(a)〜(c)に示すように、棒状部12はガイド部11bで制限された範囲の中でのみ回動可能である。棒状部12の回動範囲は、図8(a)に示す「上限」から図8(c)に示す「下限」までであり、他のものから受けた作用によって回動する。つまり、棒状部12は、上下方向に自由度を有している。すなわち、棒状部12は、グラグラする状態である。ストライク部3は、「上限」から「下限」まで、棒状部12を自由に回動させることができる。棒状部12の自由度は、図8(b)に示すように、棒状部12が略水平の状態を0度の角度とすると、少なくとも±5度以上の角度を有するものである。より望ましくは±15度〜±25度の角度を有するものである。
【0030】
つづいて、本体部2の構成について説明する。本体部2は、ストライク部3と嵌合するための部材であり、伸縮門扉用の錠1の錠部をなすものである。本体部2は、図9に示すように、F字状を逆にしたような形状を有している。
【0031】
本体部2は、図10に示すように、突出部20と、前面板21と、錠部22を有している。
突出部20は、ストライク部3の棒状部12を誘導するための部材であり、さらに錠部22を保護するための樹脂製の部材である。突出部20は、図9,10に示すようにコ字状であり、水平方向に突出する誘導部20a,20bを有している。このことにより、例えば、ストライク部3と本体部2の位置がずれている場合にでも、突出部20でストライク部3を誘導することにより、ストライク部3と本体部2の位置を合わせることができる。
【0032】
また、誘導部20a,20bは、図9に示すように、上下に対向配置されている。このことにより、例えば地面がデコボコしていて、ストライク部3と本体部2の上下方向の位置がずれた場合にでも、上下に対向配置された誘導部20a,20bでストライク部3を誘導することにより、ストライク部3と本体部2の位置を容易に合わせることができ、施錠することができる。
さらに、誘導部20a,20bは、先端側に向かって細い形状を有している。このことにより、例えば、誘導部20a,20bの先端側同士の間に入ったストライク部3は、誘導部20a,20bの根元側同士が近接し狭まっているため、近接した位置に嵌る。つまり、本体部2内でのストライク部3の位置精度を高くすることができる。
【0033】
前面板21は、図10に示すように、枠状の板部材である。前面板21は、前述のストライク部3の前面板10に、誘導部20の一部を挟んで当接する。
【0034】
錠部22は、本体部2の主要構成をなすものである。錠部22は、図10に示すように、水平方向に突出する突出部22a,22bを有している。突出部22a,22bは、上下に対向配置されており、各々突出部20の誘導部20a,20bに挿通される。錠部22は、図11に示すように、筺体30と、蓋31と、鎌部32と、ホルダ部33と、レバー用ハブ34と、ロック部35と、摺動ピン36a,36bと、レバーハブ用バネ37と、ロック部用バネ38と、ホルダ用バネ39と、皿ねじ40を有している。
【0035】
筺体30は、図11に示すように、斜め孔30aと、横孔30bと、縦孔30cと、レバー用孔30dと、ロック部用孔30eと、ネジ筒30f〜30kを有している。
蓋31は、筺体30と同様に、斜め孔31aと、横孔31bと、縦孔31cと、レバー用孔31dと、ロック部用孔31eと、ネジ筒用孔31f〜31kを有している。
筺体30と蓋31とは組み合わされるため、前述の各部位は対になっており、正面視で略重なる。なお、筺体30と蓋31とは、皿ねじ40がネジ筒用孔31f〜31kに挿通されてネジ筒30f〜30kに締結されることによって組み合わされる。
【0036】
鎌部32は、ストライク部3に当接し、ストライク部3を巻き込むための部材である。図12(a)に示すように、鎌部32は略L字状である。鎌部32は、図12(b)に示すように、鎌板部32a,32bと、土台部32cを有している。鎌板部32a,32bは対向配置され、土台部32cを挟み込んでいる。鎌板部32a,32bは、当接部32dと、フック部32eと、ピン32f,32gと、鎌部用孔32hと、先端部32jと、傾斜部32kを有している。鎌部32は、先端部32jから傾斜部32k側に向かって傾斜しており、円弧状をなしている。傾斜部32kの望ましい形状は、インボリュートである。また、鎌部32は、先端部32jから当接部32d側に向かって略垂直な形状をなしている。
図12(b),(c)に示すように、鎌板部32a,32bの間には、鎌部用バネ32iが配置されている。鎌部用バネ32iの端部はピン32fに係合しており、鎌部用バネ32iのもう一方の端部は、鎌部32を筺体30に組み込んだ際に摺動ピン36aに係合する。なお、鎌部用孔32hがネジ筒30jに挿通されることにより、鎌部32は筺体30に接合される。このことにより、鎌部32は、ネジ筒30j(鎌部用孔32h)を支点として回動可能に支持される。すなわち、鎌部32は、ネジ筒30j(鎌部用孔32h)を支点としてピン32fが鎌部用バネ32iで引っ張られる。このため、鎌部32は、図12(c)において反時計回りに回動するように付勢される。この反時計回りの方向は、ストライク部3を開放する「開放方向」であり、鎌部32のフック部32eは開放方向に付勢される。
【0037】
ホルダ部33は、鎌部32の当接部32dが一定量押し込まれた際に、ストライク部3を巻き込んだ鎌部32の姿勢を保持するための部材である。図13(a),(b)に示すように、ホルダ部33は平面視でコ字状であり、正面視で平板状である。ホルダ部33は、斜め孔33aと、解除孔33bと、ホルダ部用孔33cを有している。斜め孔33aと、解除孔33bには、各々摺動ピン36a,36bが挿通される。ホルダ部用孔33cがネジ筒30hに挿通されることにより、ホルダ部33は筺体30に接合される。このことにより、ホルダ部33はネジ筒30h(ホルダ部用孔33c)を支点として回動可能に支持される。また、図11に示すホルダ用バネ39もネジ筒30hに係合させる。ホルダ用バネ39の両端部は、ホルダ部33を筺体30に組み込んだ際に、各々摺動ピン36bと筺体30に当接する。すなわち、ホルダ部33は、ネジ筒30h(ホルダ部用孔33c)を支点として、解除孔33bに挿通された摺動ピン36bがホルダ用バネ39で押される。このため、ホルダ部33は、図13(b)において反時計回りに回動するように付勢される。
【0038】
レバー用ハブ34は、ホルダ部33を操作するための部材である。図14(a)に示すように、レバー用ハブ34は複雑な形状を有している。レバー用ハブ34は、図14(b)に示すように、レバー土台部34bと、レバー板部34c,34dを有している。レバー板部34c,34dは対向配置され、レバー土台部34bを挟み込んでいる。
レバー用ハブ34は、図14(a)に示すように、レバー軸34aと、ピン34eと、レバー頭部34gと、レバー足部34hを有している。レバー軸34aの略中央には、レバー用孔34fを有している。レバー用孔34fには、伸縮門扉90等に取り付けられたプッシュプルハンドル等に連動する軸が挿入される。
また、レバー軸34aは、図14(b)に示すように、水平方向に突出しており、筺体30のレバー用孔30dに挿通される。このことにより、レバー用ハブ34はレバー軸34aを支点として回動可能に支持される。また、図14(b),(c)に示すように、レバー板部34c,34dの間には、レバーハブ用バネ37が配置されており、ピン34eに係合している。レバーハブ用バネ37の両端は、レバー用ハブ34を筺体30に組み込んだ際に、各々ネジ筒30gとレバー土台部34bに当接する。すなわち、レバー用ハブ34は、レバー軸34aを支点として、レバー土台部34bがレバーハブ用バネ37で押される。このためレバー用ハブ34は、図14(c)において時計回りに回動するように付勢される。
【0039】
ロック部35は、レバー用ハブ34の回動を防止するための部材である。図15(a),(b)に示すように、ロック部35は回動部35aと上下部35bからなる。回動部35aと上下部35bは互いに回動可能にピン35cで係合している。回動部35aは略J字状であり、上下部35bはI字状である。回動部35aは、図15(a),(b)に示すように、ロック軸35eと、軸35hを有している。軸35hには、ロック部用バネ38の端部が係合している。ロック部用バネ38のもう一方の端部は、ロック部35を筺体30に組み込んだ際にネジ筒30fに係合する。ロック軸35eの略中央には、ロック用孔35fを有している。ロック用孔35fには、伸縮門扉90等に取り付けられたシリンダー錠等に連動する軸が挿入される。
ロック軸35eは、筺体30のロック部用孔30eに挿通される。このことにより、回動部35aはロック軸35eを支点として回動可能に支持される。
上下部35bは、図15(a),(b)に示すように、先端部35dに軸35gを有している。軸35gは、筺体30の縦孔30cに挿通される。このことにより、上下部35bは縦孔30cに沿って上下可能に支持される。なお、先端部35dは、レバー用ハブ34のレバー頭部34gと当接する部位である。
【0040】
つぎに、本体部2の組立構造について説明する。図16に示すように、本体部2の内部には、前述の鎌部32と、ホルダ部33と、レバー用ハブ34と、ロック部35と、摺動ピン36a,36bと、レバーハブ用バネ37と、ロック部用バネ38と、ホルダ用バネ39が配置されている。各々の部材の詳細な係合箇所については前述しているため省略するが、大まかな位置について説明する。本体部2の上部にロック部用バネ38が位置し、その下にロック部35が位置している。ロック部用バネ38はロック部35に係合している。ロック部35の下にレバー用ハブ34が位置し、その下にはホルダ部33が位置している。レバー用ハブ34は、ホルダ部33に嵌め合わされており、レバー用ハブ34のレバー足部34hが、ホルダ部33の解除孔33bに挿通された摺動ピン36bに当接している。そして、ホルダ部33に隣接して、鎌部32が位置している。鎌部32は、ホルダ部33に嵌め合わされており、鎌部32の傾斜部32kが、ホルダ部33に挿通された摺動ピン36aに当接している。
なお、鎌部32の当接部32dは、錠部22の突出部22a,22bを跨るように位置している。
【0041】
また、前述の通り、ロック部用バネ38の端部は、ロック部35の軸35hに係合し、ロック部用バネ38のもう一方の端部は、筺体30のネジ筒30fに係合している。このため、ロック部35は図16に示すように、回動部35aが筺体30に当接した姿勢で保持され、上下部35bが縦孔30cの上部で係止した姿勢で保持されている。
レバーハブ用バネ37の両端は、各々ネジ筒30gとレバー土台部34bに当接している。このため、レバー用ハブ34は図16に示すように、レバー頭部34gがネジ筒30gに当接した姿勢で保持されている。すなわち、レバー用ハブ34は、レバー軸34aを支点として時計回りに回動するように付勢されている。
ホルダ用バネ39の両端部は、各々摺動ピン36bと筺体30に当接している。このため、ホルダ部33は図16に示すように、摺動ピン36bが横孔30bの左部で係止した姿勢で保持され、摺動ピン36aが斜め孔30aの下部で係止した姿勢で保持されている。すなわち、ホルダ部33は、ネジ筒30h(ホルダ部用孔33c)を支点として反時計回りに回動するように付勢されている。
鎌部用バネ32iの端部はピン32fに係合しており、鎌部用バネ32iのもう一方の端部は、摺動ピン36aに係合している。このため、鎌部32は図16に示すように、鎌部32の当接部32dがネジ筒30kに当接した姿勢で保持されている。すなわち、鎌部32は、ネジ筒30j(鎌部用孔32h)を支点として反時計回りに回動するように付勢されている。換言すれば、鎌部32のフック部32eは開放方向に付勢されている。
【0042】
つぎに、本発明の実施形態に係る伸縮門扉用の錠1の動作について説明する。本体部2は、ストライク部3と合致していない状態では、図16に示す姿勢をとる。前述の通り、鎌部32のフック部32eは開放方向に付勢されている。すなわち、本体部2は「開状態」にある。
「開状態」にある本体部2がストライク部3に当接すると、図17(a)〜(c)に示す動きとなる。詳しく説明すると、図17(a)に示すように、ストライク部3の棒状部12が、本体部2の鎌部32の当接部32dに当接する。その状態のまま、当接部32dが押し込まれると、当接部32dに連動するフック部32eは、ネジ筒30j(鎌部用孔32h)を支点として時計回りに回動する。この時、ホルダ部33に挿通された摺動ピン36aは、鎌部32の傾斜部32kを昇っていく。そして、当接部32dが棒状部12で押し込まれると、図17(b)に示すように、摺動ピン36aは鎌部32の先端部32jに達する。さらに、当接部32dが棒状部12で押し込まれると、図17(c)に示すように、摺動ピン36aは先端部32jから垂直に下り、当接部32dに至る。摺動ピン36aは、鎌部用バネ32iでピン32fに係合しているため、摺動ピン36aが下方向に引っ張られる。このことにより、鎌部32のフック部32eは、ストライク部3の棒状部12を巻き込む方向に付勢される。鎌部用バネ32iの付勢力により棒状部12は強固にロックされる。このため、本体部2とストライク部3とを合致させるだけで、両者を容易に施錠することができる。なお、図18に示すように、本体部2は「閉状態」となる。
【0043】
つづいて、本体部2を「閉状態」から「開状態」に解錠する方法について説明する。図18に示すように、「閉状態」にある本体部2において、レバー用ハブ34のレバー軸34aを反時計回りに回動させると、レバー軸34aを支点として、レバー用ハブ34が反時計回りに回動する。すると、レバー用ハブ34のレバー足部34hが、ホルダ部33の解除孔33bに挿通された摺動ピン36bを、右方向に押圧する。押圧された摺動ピン36bが、筺体30の横孔30bの右端部まで移動することにより、ホルダ部33がネジ筒30h(ホルダ部用孔33c)を支点として時計回りに回動する。ホルダ部33の回動に伴って、摺動ピン36aが筺体30の斜め孔30aの上部まで移動する。摺動ピン36aは、斜め孔30aの上部まで移動する際に、鎌部32の先端部32jを乗り越える。このことにより、棒状部12を巻き込む方向に付勢されていた鎌部32のフック部32eは、図19に示すように、開放方向に付勢される。よって、本体部2を「閉状態」から「開状態」に解錠することができる。
【0044】
つぎに、本体部2の「閉状態」を保持する方法について説明する。図18に示すように、「閉状態」にある本体部2において、ロック部35のロック軸35eを反時計回りに回動させると、ロック軸35eを支点として、回動部35aが反時計回りに回動する。すると、回動部35aに連結された上下部35bが、筺体30の縦孔30cに沿って下方向へ移動する。上下部35bが下方向へ移動することにより、図20に示すように、上下部35bの先端部35dが、レバー用ハブ34のレバー頭部34gと当接する位置にまで移動する。先端部35dがレバー頭部34gと当接することにより、レバー用ハブ34の回動を防止する。その結果、本体部2の「閉状態」を保持することができる。すなわち、本体部2とストライク部3の施錠をさらに強固にすることができる。
【0045】
以上のように、本実施形態によれば、本体部2とストライク部3とを合致させるだけで、両者を容易に施錠することができる。
また本実施形態によれば、例えば地面がデコボコしていて本体部2とストライク部3の上下方向の位置がずれた場合にでも、容易に施錠することができる。
【0046】
上記した実施形態では、本体部2は伸縮門扉90(伸縮部)の端部に取り付けられ、ストライク部3は門柱92(固定部)に取り付けられた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本体部2を門柱92(固定部)に取り付け、ストライク部3を伸縮門扉90(伸縮部)に取り付けても構わない。もしくは、伸縮部を2つ有する伸縮門扉において、本体部2とストライク部3を各伸縮部に取り付けて使用しても構わない。
【符号の説明】
【0047】
1 伸縮門扉用の錠
2 本体部
3 ストライク部
11b ガイド部
12 棒状部
20 突出部
22a,22b 突出部
32d 当接部
32e フック部
90 伸縮門扉(伸縮部)
92 門柱(固定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離を離して設置された二つの固定部と、水平に伸縮する伸縮部を有し、伸縮部の一端が一方の固定部に固定され、伸縮部を伸縮させて固定部間を開閉する伸縮門扉に使用する伸縮門扉用の錠であって、伸縮部の他端側又は他方の固定部に取り付けられる本体部と、他方の固定部または伸縮部の他端側に取り付けられるストライク部を有する伸縮門扉用の錠において、
ストライク部は、略水平に配置された棒状部を有し、
本体部は、前記ストライク部に当接する当接部と、ストライク部を巻き込むフック部を有し、
前記当接部とフック部は連動し、常時フック部は開放方向に付勢されており、
当接部が一定量押し込まれるとフック部がストライク部を巻き込む方向に付勢されることを特徴とする伸縮門扉用の錠。
【請求項2】
ストライク部を巻き込む方向に付勢されたフック部の姿勢を保持することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の伸縮門扉用の錠。
【請求項3】
棒状部は、上下方向に自由度を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の伸縮門扉用の錠。
【請求項4】
ストライク部はガイド部を有し、ガイド部によって棒状部の自由度が制限されていることを特徴とする請求項3に記載の伸縮門扉用の錠。
【請求項5】
本体部は、略水平方向に突出した突出部を有し、前記突出部は前記ストライク部を誘導可能であることを特徴とする請求項3又は4に記載の伸縮門扉用の錠。
【請求項6】
前記突出部は、上下に対向配置されていることを特徴とする請求項5に記載の伸縮門扉用の錠。
【請求項7】
前記突出部は、先端側に向かって細い形状を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の伸縮門扉用の錠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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