説明

伸縮門扉

【課題】 ガイドレールが人や車の通行の障害にならず、且つ伸縮扉の収縮時に伸縮扉を回転収納できる伸縮門扉の提供。
【解決手段】 吊元側門柱1bと、吊元側門柱1bに水平回動自在に連結した伸縮扉2と、地面Gに埋設したガイドレール3とを備え、伸縮扉2は、上下動することでガイドレール3に係脱自在なガイド部材4を有すると共に、吊元側に戸先側に向けて突出するアーム24を有し、伸縮扉2を収縮させたときに、吊元側に移動してきたガイド部材4がアーム24と係合して上方に移動し、ガイド部材4がガイドレール3から離脱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の伸縮門扉として、非特許文献1に示すように、地面にガイドレールを埋設し、伸縮扉の下部に設けたガイドピンをガイドレールに係合して、伸縮扉の直進性を良くしたものがある。このような伸縮門扉は、ガイドレールが人や車の通行の障害にならない利点があるが、ガイドピンが地面より低い位置まで突出する状態で伸縮扉に固定してあるため、収縮させた伸縮扉を門柱に対して水平回動させるいわゆる回転収納が行えず、全開時でも伸縮扉の収縮時の幅分だけ門柱間の間口が狭くなる不都合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】三協立山アルミ株式会社発行のカタログ「エクステリア 総合カタログ」(カタログNo.STX0580A S.11.02−1500)、第1版、20011年2月、p.956−958(フラットレールタイプ)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、ガイドレールが人や車の通行の障害にならず、且つ収縮させた伸縮扉を回転収納できる伸縮門扉の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による伸縮門扉は、吊元側門柱と、吊元側門柱に水平回動自在に連結した伸縮扉と、地面に埋設したガイドレールとを備え、伸縮扉は、上下動することでガイドレールに係脱自在なガイド部材を有すると共に、吊元側に戸先側に向けて突出するアームを有し、伸縮扉を収縮させたときに、吊元側に移動してきたガイド部材がアームと係合して上方に移動し、ガイド部材がガイドレールから離脱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による伸縮門扉は、ガイドレールが地面に埋設してあるため、ガイドレールが人や車の通行の障害になるのを防ぐことができ、伸縮扉は吊元側に戸先側に向けて突出するアームを有しており、伸縮扉を収縮させると吊元側に移動してきたガイド部材がアームと係合して上方に移動し、ガイド部材がガイドレールから離脱するため、収縮させた伸縮扉を水平回動させて邪魔にならない位置に移動できる。ガイド部材を吊元側に設けたアームと係合させることで、伸縮扉を収縮したときにガイド部材をガイドレールから離脱した状態で安定して保持でき、また、伸縮扉の伸縮に伴って吊元側の所定の位置でガイド部材を安定してガイドレールに係脱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(a)は本発明の伸縮門扉の一実施形態を示す平面図であり、(b)は同伸縮門扉の正面図である。
【図2】(a)は同伸縮門扉の伸縮扉を収縮した状態の平面図であり、(b)は同正面図である。
【図3】同伸縮門扉の吊元側の下部を拡大して示す正面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】(a)はガイド部材が取付けられた格子体の下部を拡大して示す正面図であり、(b)はその側面図である。
【図6】伸縮扉を収縮させたときに、吊元側に移動してきたガイド部材がアームと係合してガイドレールから離脱する様子を示す縦断面図である。
【図7】ガイド部材がアームと係合してガイドレールから離脱した状態を示す側面図である。
【図8】(a)はガイドレールの平面図であり、(b)はガイドレールの正面図である。
【図9】(a)は図8のB−B断面図、(b)は図8のC−C断面図、(c)は図8のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜5は、本発明の伸縮門扉の一実施形態を示している。本伸縮門扉は、住宅の敷地と道路の境界に設けられるものであって、図1に示すように、地面Gに立設した戸先側門柱1a及び吊元側門柱1bと、門柱1a,1b間の間口を開閉する伸縮扉2と、門柱1a,1b間の全長に亘って地面Gに埋設したガイドレール3とを備える。
【0009】
伸縮扉2は、図1に示すように、戸先側框8a及び吊元側框8bと、両框8a,8b間に配置した複数の格子体9,9,…とをパンタグラフ状のリンク10により連結し、伸縮自在に構成してある。戸先側框8aの下部と中間の格子体9の下部には、ガイドレール3に係合するガイド部材4と、自在キャスター11が設けてある。戸先側框8aには伸縮扉2を開閉操作するための引き手12と、戸先側門柱1aに係脱する錠(図示省略)を設けてある。吊元側框8bは、ヒンジ13により吊元側門柱1bに水平回動自在に連結してある。
【0010】
ガイド部材4が取付く格子体9は、図5に示すように、前後の格子7a,7bの下端部に連結してガイドピン受け18とアーム受け19とが設けてあり、ガイドピン受け18とアーム受け19の中心に挿通してガイドピン軸20が昇降可能に設けてあり、ガイドピン軸20の下端部にガイドレール3と係合するガイドピン5が垂直軸回りに回転自在に設けてある。ガイドピン軸20の中間部には、前後方向にのびるガイドバー21が取付けてある。伸縮扉2が伸長した状態では、ガイドピン軸20は自重で下に下がり、ガイドバー21を取付けているナットがストッパー22に当接して、ガイドピン5がガイドレール3の溝16内に挿入された一定の高さに保持されている。戸先側框8aの下端部にも、同じようにガイド部材4が設けてある。
【0011】
図3,4に示すように、吊元側框8bの下端部にはアーム取付板23が設けてあり、アーム取付板23に戸先側に向けて2本のアーム24,24が前後方向に間隔をおいて水平に取付けてある。アーム24の先端部には、先端が尖った形に上下面及び側面が斜めに面取りされた樹脂製のキャップ25が取付けてある。吊元側框8bの隣の格子体9の下端部には、アーム補助枠26が設けてあり、アーム補助枠26にアーム24を挿通することで、アーム24の傾きやたわみを規制している。アーム24は、図2に示すように、伸縮扉2を最も収縮させたときに先端のキャップ25が戸先側框8aから突出する長さで設けてある。
【0012】
ガイドレール3は、図8,9に示すように、伸長した伸縮扉2と略同じ長さを有し、上面が地面Gと同一高さとなるように地面Gに埋設され、両端部が連結具14を介して戸先側門柱1aと吊元側門柱1bに固定してある。ガイドレール3は、メインレール3aと吊元側端部レール3bとを連結金具15により連結してあり、吊元側端部レール3bの長さは、図2に示すように、アーム24の先端よりも数センチ程度戸先側までのびた長さとなっている。メインレール3aは、図5(b)と図9(a)に示すように、ガイド部材4に設けてあるガイドピン5が走行する溝16の上部に内側に突出した抜け止め部6を有し、吊元側端部レール3bは、図9(c)に示すように、抜け止め部6を切除して無くしてある。メインレール3aと吊元側端部レール3bとの繋ぎ部分には、図8に示すように、抜け止め部6がハの字形に形成されたガイド部品17を設けてある。
【0013】
本伸縮門扉は、人や車の出入りのため、引き手12を持って伸縮扉2を収縮させてゆくと、図6(a)に示すように、ガイド部材4がアーム24の先端まで吊元側に移動したところで、ガイドバー21がアーム24先端部のキャップ25の傾斜面25aに当接しながら押上げられ、それに伴ってガイドピン軸20及びガイドピン5が上昇する。ガイドレール3の吊元側端部レール3bは抜け止め部6を無くしてあるので、この範囲ではガイドピン5の上昇が制限されず、図6(b)に示すように、ガイド部材4がさらに吊元側に移動してガイドバー21がアーム24本体に乗り上げると、ガイドピン5がガイドレール3の上方に離脱する。このとき、図7に示すように、2本のアーム24,24がアーム受け19内に挿通され、アーム24,24上にガイドバー21の前後両側が支持されている。図2に示すように、伸縮扉2を完全に収縮させると、戸先側框8a下部のガイドピン5もガイドレール3から抜けるので、図2(a)に二点鎖線で示すように伸縮扉2をヒンジ13を介して水平回動させることができ、これにより門柱1a,1b間の間口をすっきり開けることができる。
伸縮扉2を伸長させたときには、ガイド部材4が戸先側に移動してガイドバー21がアーム24から離れるのに伴い、ガイドピン5が自重で下降してガイドレール3と係合する。
【0014】
以上に述べたように本伸縮門扉は、伸縮扉2を収縮させたときに、吊元側に移動したガイド部材4のガイドバー21が吊元側框8bに設けたアーム24と係合することで、ガイド部材4のガイドピン5がガイドレール3から自動的に抜けるので、収縮させた伸縮扉2をそのまま回転収納でき、使い勝手が非常に良い。ガイド部材4を吊元側框8bに設けたアーム24と係合させることで、伸縮扉2を収縮したときにガイドピン5をガイドレール3から離脱した状態で安定して保持でき、また、伸縮扉2の伸縮に伴って吊元側の所定の位置でガイドピン5を安定してガイドレール3に係脱させることができる。さらに、伸縮扉2の収縮時にアーム24がガイド部材4のアーム受け19に挿通されていることで、伸縮扉2を水平回動する際に伸縮扉2が湾曲したりばたついたりするのを防止できる。さらに本伸縮門扉は、ガイドレール3が地面Gから突出しないように地面Gに埋設してあるため、ガイドレール3が人や車の通行の障害にならず、ガイドレール3は伸長した伸縮扉2と略同じ長さを有し、門柱1a,1b間の間口の全長に亘って設けてあり、メインレール3aにガイドピン5の離脱を制限する抜け止め部6を有しているので、伸縮扉2をガイドレール3に沿ってまっすぐにスムーズに伸縮させられるばかりか、伸縮扉2を伸張して門扉を閉じたときや伸縮扉2を伸縮させて門扉を開閉する際に、伸縮扉2の浮き上がりや転倒を防止できる。ガイドピン5は、伸縮扉2の見込方向中央部に設けてあるので、伸縮扉2の走行安定性が良い。ガイドレール3は、戸先側及び吊元側門柱1a,1bの根元に連結して設けたので、ガイドレール3を門柱1a,1b間にまっすぐ設置するのが容易であり、ガイドレール3の設置がしやすい。
【0015】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。ガイド部材4に、ガイドピン5を下向きに付勢するバネを組み込んでもよい。ガイドレール3は、伸縮扉2を伸長した状態で戸先側のガイドピン5よりも戸先側の部分(図1のAの部分)が無いものであってもよいし、吊元側端部が無いものであってもよい。またガイドレール3は、ガイドピン5がガイドレール3と係脱するアーム24の先端部付近(図2のBの部分)だけ抜け止め部6を無くしたものでもよいし、全長に亘って抜け止め部6を有しないものであってもよい。アーム24は、吊元側框8bではなく、中間のガイド部材4よりも吊元側の格子体9の下部に取付けてあってもよい。アーム24の先端部に傾斜面25aを設ける代わりに、ガイド部材4側に吊元側に向かって上り勾配の傾斜面を設けてあってもよい。またガイドレール3は、地面Gより若干飛び出た状態で地面Gに埋設したものでもよい。伸縮扉2自体の構成は任意である。本発明は、実施形態のような片開きの伸縮門扉以外に、両方の門柱1a,1bにそれぞれ伸縮扉2を水平回動自在に連結した両開きの伸縮門扉や、角地用の伸縮門扉のように、戸先側門柱を有しないものにも適用できる。
【符号の説明】
【0016】
1a 戸先側門柱
1b 吊元側門柱
2 伸縮扉
3 ガイドレール
4 ガイド部材
5 ガイドピン
24 アーム
G 地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊元側門柱と、吊元側門柱に水平回動自在に連結した伸縮扉と、地面に埋設したガイドレールとを備え、伸縮扉は、上下動することでガイドレールに係脱自在なガイド部材を有すると共に、吊元側に戸先側に向けて突出するアームを有し、伸縮扉を収縮させたときに、吊元側に移動してきたガイド部材がアームと係合して上方に移動し、ガイド部材がガイドレールから離脱することを特徴とする伸縮門扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−11086(P2013−11086A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143758(P2011−143758)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【出願人】(000220929)東工シャッター株式会社 (26)
【Fターム(参考)】