説明

位相マイクロ型分析器

濃縮器523、623および2つの分離器524、525、624、625、651、654を有するマイクロ型流体分析器500、600、610、620。分析器は1つまたは2つのポンプ521、522、640、621、622を有することができる。分析器500はいくつかのチャネル527を有する上流前濃縮器526を有することができる。分析器の流路に沿って定置された多数の検出器531、532、533、534、631、632、633、634がある。同様に、1つまたは複数の細孔541、542、644、645、647、648、653、656およびマイクロ型弁641、541、661は流路内に設置することができる。濃縮器523、623は、流体中の熱の上昇する濃度を提供するために流路に沿って移動する熱パルスを供給する加熱器要素20、22、24、26のアレイを有することができる。分析器は多流体または多ガスのクロマトグラフとして構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体の検出に関する。特に、本発明は位相加熱器アレイ構造に関し、より詳細には、流体成分の同定および定量化のためのセンサとしてのこの構造の応用に関する。用語「流体」は主として気体および液体を含む一般的な用語として使用される。例えば、空気、ガス、水、および、油は流体である。
【背景技術】
【0002】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている2003年1月15日に出願の「PHASED−III SENSOR」と題された同時係属の米国仮特許出願第60/440108号の米国特許法第119条(e)(1)に基づく優先権を主張する。また、本出願は、参照により本明細書に組み込まれている2002年9月27日に出願の「PHASED SENSOR」と題された同時係属の米国仮特許出願第60/414211号の米国特許法第119条(e)(1)に基づく優先権も主張する。
【0003】
流体分析器に関連した構造および工程の態様は、参照により本明細書に組み込まれているUlrich Bonne他に対して2002年5月28日に発行の「Gas Sensor with Phased Heaters for Increased Sensitivity」と題された米国特許第6393894B1号、参照により本明細書に組み込まれているUlrich Bonne他に対して2001年10月30日に発行の「Self−Normalizing Flow Sensor and Method for the Same」と題された米国特許第6308553B1号、および、参照により本明細書に組み込まれているRoger L.Aagard他に対して1990年7月24日に発行の「Measurement of Thermal Conductivity and Specific Heat」と題された米国特許第4944035号に開示されているものとすることができる。
【0004】
現在利用可能な気体組成分析器は選択的かつ高感度にすることができるが、未知の成分を持つサンプル・ガス混合物の成分を同定する能力を欠いており、その上、全般に大きく、かつ、高価である。先端技術の組み合わせ分析器であるGC−GCおよびGC−MS(ガス・クロマトグラフ−質量分析器)は、選択性、感度、および、高性能の望ましい組み合わせに近づいているが、大きく、高価で、動作が遅く、かつ、電池駆動の実用例には不適切である。GC−AED(ガス・クロマトグラフ−原子発光検出器)において、AEDは単独では100ワット以上を使用し、水冷を使用し、10MHzのマイクロ波を超える放電を有し、かつ、高価である。
【0005】
当初、位相加熱器アレイ・センサは濃縮器、分離器、ならびに、チップ外流量センサのための個別の各チップから構成されていた。これらは1つのチップ上に集積することができ、構造上の完全性および温度制御における改善を提供している一方、電力消費量を低減している。次に現れた位相加熱器アレイ・センサは分析対象物質の検出、同定、および、定量化のための集積可能なマイクロ型放電デバイスの追加を含んでいた。しかし、FETスイッチおよびシフト・レジスタのチップ上への完全な集積が不足していたため、ドーター・ボードからマザー・ボードへと約110本のワイヤをマザー・ボードのマイクロ・プロセッサ制御のFETスイッチにワイヤ・ボンディング、経路決定、接続、および、経路決定する必要性が未だにあり、このことは大きな体積および人件費の原因となっていた。加えて、位相加熱器アレイ・センサ分析器および従来のGCは、オンラインで前濃縮および分離の能力を変化させるための柔軟性を欠いているようである。
【0006】
より安価、効率的、かつ、安価な形での非常に小さな量の流体の検出、同定および分析が所望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、流体成分の存在、同定、および、定量化を達成するためのコンパクト、高速、低消費電力、大気圧、最小型のポンプ使用スペクトル分析デバイスのアレイと共働する選択的、高感度、高速、かつ、低消費電力の位相加熱器要素のアレイからなるセンサ・システム/マイクロ型分析器の設計および動作である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このマイクロ型流体分析器は濃縮器および2つ以上の分離器を有することができる。分析器は1台、2台、または、それを超えるポンプを有することができる。分析器はいくつかのチャネルを有する上流前濃縮器を有することができる。分析器の流路に沿って数多くの検出器が定置されている。同様に、流路内には1つまたは複数の開口部およびマイクロ型弁を定置することができる。濃縮器は、増大しつつある密度の熱を供給するために流路に沿って移動する熱パルスを供給する位相加熱器要素のアレイを有することができる。分析器は多重流体またはガス・クロマトグラフとして構成することができる。
【0009】
加えて、柔軟性、低費用、および、コンパクトさの各特徴が、ドーターPCB(僅か約10本のリード線を介してマザーPCBに接続された印刷回路板)上のワイヤ・ボンディングまたはハンダ・バンプを介して位相加熱器アレイ・センサ・チップに接続された同じ、または、別個のチップ上に、FETスイッチ、シフト・レジスタ、および、制御論理回路を介して組み込まれており、前濃縮および分離、ならびに、分析論理の選択のための加熱可能な全要素の一部を選択することができる柔軟性をユーザに提供している。
【0010】
多重流体の検出および分析は、経済的に可能な、その場での、超高感度、低消費電力、低維持負荷、かつ、コンパクトなマイクロ型検出器および分析器を介して自動化することができ、この検出器および分析器は、無線で、または、他の媒体(例えば、有線もしくは光ファイバ)により、自身の検出および/または分析の結果を中央または人間のいる他の基地に送信することができる。マイクロ型流体分析器は位相加熱器アレイ、濃縮器、分離器、および、多様な手法を組み込むことができる。マイクロ型流体分析器は、50十億分率(ppb)の最大発光の目標物を使用してオゾンを感知するための低費用の手法となることができる。分析器は、ホストもしくはベース・サンプル・ガス中の微量化合物の、または、ホスト液体中の微量化合物の混合物を検出することが可能とすることができる。
【0011】
流体分析器は、連動するマイクロ型制御装置またはプロセッサに対する接続用の構成を含むことができる。センサの実用例は、従来のCO、HO、および、COに加えて、アルデヒド、酪酸、トルエン、ヘキサンなどの航空機飛行空間における大気汚染物質の検出および分析を含むことができる。他の感知は、CO、HO、アルデヒド、炭化水素、および、アルコールなどの気体のレベルに対する状態調整された屋内空間、ならびに、化学薬品、精製、製品純度、食品、紙類、金属、ガラス、および、医薬品の各産業におけるものなどの屋外空間および工程ラインを感知することを含むことができる。同様に、感知は環境の保証および保護においても重要な位置を有することができる。感知は、化学物質の濃度が上昇し、かつ、有害になる前に、化学物質の早期検出により施設の内外において防衛的安全性を提供することができる。
【0012】
センサの大部分は、従来の半導体プロセスまたはマイクロ型電子機械システム(MEMS)の各技術を使用してチップ上に集積することができる。この種の製造はマイクロ型分析器の小型、低電力消費、かつ、その場への配置をもたらす。モニタを介した空気または気体サンプルの流速も非常に小さくすることができる。さらに、サンプルに対するキャリヤ・ガスは必ずしも必要ではなく、そのため、キャリヤ・ガスのこの不在は試験されているサンプルの希釈を低減することができ、その上、付随するメンテナンス、および、加圧ガス・タンクの取り扱いの大部分を排除する。この手法は、センサが素早い分析および迅速な結果を提供することを可能にし、いくつかの従来技術のデバイスより少なくとも1桁速くすることができる。このことは、労働集約型の実験室分析の遅延および費用を回避する。センサは、センサが、検出された気体の分析および決定のための集積マイクロ型制御装置を有することができる点、ならびに、精度を維持することができ、問題なく動作し、かつ、人間のいない離れた位置へ、および、そこから情報を通信することができるという点で知的である。センサは、「接続するだけで動作する」適合度および簡略さを備えたかなりの距離を介したホスト・システムへの完全な双方向通信の能力を使用して、ユーティリティ回線、または、光もしくは無線媒体を介して、検出器情報、分析、および、結果を通信することができる。センサはネットワーク上で作業可能とすることができる。センサは、他の気体状態調整デバイス(例えば、粒子フィルタ、弁、流量センサ、および、圧力センサ)、局所メンテナンス制御点と相互接続可能とすることができ、インターネットを介したモニタリングを提供することができる。センサは堅牢である。センサは、非常に強い電場および磁場を有する高度の電磁干渉(EMI)環境においても精度を維持することができる。センサは高感度を有する。センサは、1から10ppm(百万分率)の範囲における感度を提供することができる従来のガス・クロマトグラフなどの従来の技術よりも100から1万倍も優れているサブppmレベルの検出を提供する。センサは、ガス・クロマトグラフの、中でもより低消費電力、より高速、かつ、よりコンパクト、より高感度、ならびに、経済的なバージョンである。センサは構造的な完全性を有することができ、かつ、非常に大きな差分圧力範囲にわたり加圧流体サンプルを検出および分析する実用例における漏出のリスクを非常に低くするか、または、全くなくすことができる。
【0013】
センサにおいて、Honeywell MesoPump(商標)などの小型ポンプはサンプルをシステム内に吸引することができる一方、そのサンプルの一部のみが(Honeywell MesoValve(商標)またはHoerbiger PiezoValve(商標)とすることができる)弁により制御された速度で位相加熱器センサを介して流れることができる。この手法は、長いサンプル採取回線にもかかわらず高速のサンプル獲得を可能とすることができ、かつ、調節済みの約0.1から3cm/分の流量を検出器に対してさらに供給することができる。センサのポンプは、高速のサンプル獲得および位相加熱器センサを介した調節済みの流れの双方を提供する形で、フィルタを介してサンプル・ガスを吸引するように構成することができる。
【0014】
ポンプがセンサを介してサンプル・ガスを吸引すると、ガスは膨張することができ、したがって、その体積を増加させ、かつ、線形速度を上昇させることができる。制御回路は、加熱器の「波」をセンサ内の変化するガス速度に同期したままに保つために、この速度変化を補償するように設計することができる。加熱器チャネルを介することを強いられる間のサンプル・ガスの体積の変化を補償するために、ポンプの電子回路は、内部のガス流量を加熱器の「波」と同期したままに保つために、流量制御および/または加熱器の「波」の速度のいずれかを調整する必要があるとすることができる。
【0015】
ガス調査の動作中、(他のいずれかのより動作の遅いガス・クロマトグラフのように)センサの能力は、約330から700ppmのCO、約1から2ppmのCH、および、約0.5から2.5%のHOなどの空気の複数の微量構成要素を感知することができる。このことは、出力溶出時間のオンライン較正、ならびに、天然ガス、プロパン、または、他のガス・パイプラインの漏れを可能に示唆するエタンなどのさらに多くのピークの存在のチェックを可能とすることができる。したがって、サンプル・ガスの構成要素のピークの高さの比は、自動車の排気ガスまたはガソリンの蒸気を含むことができる微量ガスの発生源についての手掛かりを明らかにすることができる。
【0016】
センサは、輸送または分配用パイプライン・システムに沿った天然ガスまたはプロパン・ガス、および、化学プラントにおける他のガスの安全性が託された定期的漏出調査に対して、センサを特に十分に適したものにする感度、速度、携帯性、および、低消費電力を有することができる。
【0017】
センサは、漏出感知用実用例において、較正マーカ(溶出時間は気体構成要素の性質を同定する)および/または漏出源の識別子として、いくつか、または、全てのサンプル・ガス構成要素(および、それらのピーク比)を使用することができる。もし(約1から2ppmで山の空気に存在する)メタンなどの特定のピークの存在のみが知られるのであれば、その構成要素の発生源が沼地ガス、天然もしくはパイプラインのガス、または、他の流体からであることを示唆するための十分な情報となることができない。
【0018】
センサは携帯用デバイスとして、または、固定位置に据え付けて使用することができる。相当する従来技術のセンサとは対照的に、センサは、水素タンクの大きな体積を必要としない、携帯用火炎電離検出器よりコンパクトなものにすることができ、熱フィラメントまたは金属酸化物可燃ガス・センサよりも高速かつ高感度とすることができ、さらに、従来および/または携帯用のガス・クロマトグラフよりもはるかに高速、コンパクト、かつ、省電力とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1のセンサ15による検出および分析は、流体構成要素の検出、同定、および、定量化を含むことができる。このことは、検出された流体の濃度または百万分率の決定を含む。センサ15は環境中の流体を検出するために使用することができる。同様に、センサ15は状態調整されたか、または、試験されている空間の雰囲気環境における汚染物質の非常に小さな量を検出することができる。センサ15は、雰囲気空気または吸入された空気における無害性および人間に対する有害物質のレベルを示すことができる。
【0020】
図1は低電力センサ・システム11の例示的な図を示す。工程の流れ、雰囲気空間、または、体積61からのサンプル流体25は、センサまたはマイクロ型ガス装置15の入力34に接続された導管またはチューブ19に進入することができる。流体25はセンサ15により処理することができる。処理された流体37はセンサ15の出力36を外出することができ、導管またはチューブ39を介して体積61または指定されたどこでも他の体積に排気することができる。
【0021】
センサ15の結果は分析、ならびに、即座のまとめおよび結果のためにマイクロ型制御装置/プロセッサ29に送ることができる。この情報は、見出された結果についての検討、ならびに、さらなる分析、評価、および、決定のために観測者基地31に送ることができる。データおよび制御情報は基地31からマイクロ型制御装置/プロセッサ29に送ることができる。データおよび情報はセンサ11および基地31における送信機/受信機33により無線媒体を介して送信および受信することができる。または、データおよび情報はモニタ11および基地31におけるモデム35により通信の有線または光回線を介して送信および受信することができる。データおよび情報はSCADA(監視制御およびデータ収集)システムに送信することができる。これらのシステムは、特定のガスを検出し、かつ、検出に関連した情報を離れた受領者に提供するために、産業界(加工、製造、サービス、保健)において使用することができる。
【0022】
マイクロ型制御装置またはプロセッサ29は制御、調整、較正、または、他の目的のために様々な信号を分析器15に送ることができる。同様に、マイクロ型制御装置/プロセッサ29は、検出結果に基づき環境の予測を提供するようにプログラムすることができる。分析の算出、結果、または、他の情報は、回線、ファイバ、または、他の同様の媒体を介して基地31に送信されるための信号への変換のためにモデム35に送ることができる。同様に、モデム35へのそのような出力は、特にもし携帯用デバイスとして使用されていれば、例えばGPSを介して、得られた検出の実際の位置に関する情報を添えて、基地31への無線送信のために送信機33に、代わりに、または、同時に送ることができる。同様に、基地31は、制御、調整、較正、または、他の目的のためにマイクロ型制御装置またはプロセッサ29に転送されることが可能な様々な信号を、モデム35および受信機33に送ることができる。
【0023】
図1において、空間61は開放または閉鎖とすることができる。センサ・システム11は、航空機の客室、機械室、工場、または、他の環境内の何らかの場所などの閉鎖空間61において使用可能である接続部を有することができる。または、センサ・システム11は地球の環境の開放空間61においても使用可能とすることができる。入力用チューブまたはパイプ19の末端は開放空間61内とすることができ、出口チューブ37の排気は閉鎖空間61から幾分離れた距離に定置することができる。空間61に対するシステム11は、空間61が処理の流れである場合に特に下流で、チューブ39が空間61に外出することができることを除き、システム11自体が空間61内とすることができる。
【0024】
図2はマイクロ型ガス装置15の特定の詳細を示す。同装置15のさらなる詳細および変形は、その後の図面と共に以下に説明されている。サンプルの流れ25はパイプまたはチューブ19から入力ポート34に進入することができる。装置15に進入する流体25の流れから汚れおよび他の粒子を除去するための粒子フィルタ43があってもよい。この除去は装置の保護のためであり、濾過は流体25の組成を正確に分析するための装置の能力を低減させてはならない。(懸濁物質または液体不揮発性粒子で)汚れた流体は適切なセンサ機能を阻害する可能性がある。流体25の部分45は、差分熱伝導性検出器(TCD、または、化学センサ(CRD)、または、光電離センサ/検出器(PID)、または、他のデバイス)127の第1の脚枝部を介して流れることができ、流体25の部分47はチューブ49を介してポンプ51に流れる。取入口45にすぐ隣接して「T型」チューブを設置することにより、最小の時間的遅延でのサンプル採取を、フィルタのパージ時間を短縮することを促進するための比較的大きな流量47により達成することができる。ポンプ51は、流体47を粒子フィルタ43の出力からチューブ49を介して流し、かつ、ポンプ51から外出させることができる。ポンプ53は流体45の流れをチューブ57を介してセンサを通過させることができる。今、ポンプ51は1psiの圧力降下(Δp)未満で10から300cm/分の吸込み能力を提供することができ、低流量能力ポンプ53は、最大10psiのΔpで0.1から3cm/分を提供することができる。図2におけるシステム15に対しては、さらに多くの、または、より少ないポンプ、および、様々なチューブもしくは配管の配置もしくは較正があってもよい。検出器127および128からのデータは、制御装置130に送ることができ、制御装置130は今度はデータを、処理のためにマイクロ型制御装置および/またはプロセッサ29に中継することができる。結果として得られた情報は基地31に送ることができる。
【0025】
ポンプ51および53は、どこかからの可能なガスの検出のためにチェックされている流体のサンプルを吸引するために実施されている非常に経済的かつ効率的な構成とすることができる。使用していない時のスリープ・モードを有する低電力電子回路を利用することができる。分析器システム11の濃縮器および/または測定サイクルの開始の前に約1から10秒以下のみ運転できるこの特に経済的ながら適切に機能的なポンプ51および53の使用、ならびに、制御装置130および/または(使用していない時のスリープ・モードを使用できる)マイクロ型制御装置/プロセッサ29のための低電力電子回路の使用は、そのような電力の使用において約2倍の削減をもたらすことができる。
【0026】
図3は、図2における濃縮器124または分離器126の一部を示すセンサ装置10、15の一部の概略図である。センサ装置は基板12および制御装置130を含むことができる。制御装置130は基板12に組み込まれていてもいなくてもよい。基板12は、自身の上に定置された、いくつかの薄膜加熱器要素20、22、24、および、26を有することができる。4つの加熱器要素のみが示されている一方、例えば2と1000の間であるが、典型的には20から100の範囲にあるいかなる数の加熱器要素も設けることができる。加熱器要素20、22、24、および、26は、80%のニッケルおよび20%の鉄を有するパーマロイと呼ばれることもあるニッケル−鉄合金、白金、白金珪素化合物、および、ポリシリコンなどのいかなる適した電気伝導体、安定した金属、または、合金フィルムで製造することができる。加熱器要素20、22、24、および、26は図4および5に示す薄い、低熱質量、低平面熱導電性の支持部材30上に設けることができる。支持部材または膜30はSiまたは他の適切もしくは同様の材料から作成することができる。加熱器要素はPtまたは他の適切もしくは同様の材料から作成することができる。
【0027】
基板12は、図4に示す、サンプル流体の流れ45を受領するためのチャネル32を有する形のはっきりした単一チャネルの加熱器機構41を有することができる。図5はチャネル31および32を有する二重チャネル位相加熱器の設計41を示す。基板12および部分またはウェハ65は流れているサンプル流体45を受領するための形のはっきりしたチャネル31および32を有することができる。チャネルは、支持部材30の下のシリコン・チャネル・ウェハ基板12および支持部材の上方のウェハまたは部分65を選択的にエッチングすることにより作成することができる。チャネルは進入ポート34および排気ポート36を含むことができる。
【0028】
センサ装置は、流れているサンプル流体45に露出されるように、チャネル31および32の内部にいくつかの相互作用可能な要素も含むことができる。相互作用可能な要素の各々は、対応する加熱器要素に隣接して、すなわち、最も近い可能な接触のために定置することができる。例えば、図4において、相互作用可能な要素40、42、44、および、46は、チャネル32における支持部材30の下部表面上に、かつ、それぞれ加熱器要素20、22、24、および、26に隣接して設けることができる。図5において、追加の相互作用可能な要素140、142、144、および、146は、第2のチャネル31における支持部材30の上部表面上に、かつ、同じくそれぞれ加熱器要素20、22、24、および、26に隣接して設けることができる。本例示的実施例には示されていない追加の相互作用可能なフィルム要素を備えた他のチャネルがあってもよい。相互作用可能な要素はシリカ・ゲル、ポリメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコール、多孔シリカ、Nanoglass(商標)、活性炭素、および、他のポリマー物質などの液体またはガスのクロマトグラフにおいて一般に使用されているいかなる数のフィルムからも形成することができる。さらに、上記の相互作用可能な物質は、目標とされた分析対象物質の最適な吸着および/または分離を達成するために、極性および/または疎水性の変化する程度を達成するために、適するドーパントにより修正することができる。
【0029】
図6aは2チャネル位相加熱器機構41の断面端面図を示す。図6a、6b、および、6cにおける各部分の上面および底面透視図は、必ずしも同じに見えなくてよい。図6bおよび6cにおいて、単一チャネル位相加熱器機構41の端面図は支持部材30および基板12、ならびに、それらの間の品目を含むことができる。図6bは露出された1ミクロンの膜を有する位相加熱器機構41のバージョンを示す。図6bに示すものは開放空間392である。図6cは小さな閉鎖空間394を有する耐衝撃性を持たせた低電力バージョンを示す。支持部材30は頂部構造65に装着することができる。アンカー67はチャネル31を基準として適切な位置に支持部材30を保持することができる。より少ないアンカー67のポイントは支持部材30から構造41の他の部分への熱伝道損失を最小に抑える。加熱器要素からのほとんどない熱伝道に対する少ない数のアンカー・ポイントを有する加熱器膜があってもよい。通常のアンカー設置方式とは対照的に、本実施例は残っている加熱器要素の入力電力の約1.5倍の節約をもたらすために、アンカー・ポイントの低減を有することができる。
【0030】
位相加熱器アレイの加熱器要素には、入来する検出されたガスのより少ない電力の放散およびより効率的な加熱のために双方の表面、すなわち、頂部側および底部側上に、吸着材料を使用してコーティングすることができる。加熱器要素は低減された電力放散に対する小さな幅を有することができる。
【0031】
相互作用可能なフィルム要素は、単一チャネル加熱機構41のチャネル32を介して所望の吸着剤材料を搬送する材料の流れを通過させることにより形成することができる。このことは、チャネル全体を通じて相互作用可能な層を設けることができる。もし別個になった相互作用可能な要素40、42、44、46が所望されるなら、コーティングは、図6aにおける頂部ウェハ65を装着する前に、底部ウェハ12に装着された基板30上にスピン・コーティングし、続いて、標準的なフォトレジスト・マスキングおよびパターニングの方法を使用するか、または、加熱要素20、22、24、および、26を介してコーティングに温度変化を設けるかのいずれかにより、選択的に「現像」することができる。
【0032】
吸着剤材料を使用してコーティングされた設計により意図的にそれらの表面を除いた加熱器アレイの内部チャネルの表面は、非吸着性断熱層を使用してコーティングすることができる。吸着剤のコーティングまたはフィルムの厚さは低減され、それにより、吸着および脱離のために必要な時間を短縮する。図6aにおけるように、非吸着性断熱材料のコーティング69は、設計により相互作用可能要素などの吸着材料がコーティングされている表面のある部分を除いて、単一チャネル加熱器41のチャネル31の内部壁および二連チャネル加熱器機構41のチャネル31および32の壁に塗布することができる。コーティング69は必要な加熱器要素電力を約1.5倍低減することができる。材料はチャネルの壁に使用されている材料よりも実質的に小さな熱伝導を有さなければならない。後者はシリコンとすることができる。コーティング69の代替材料はSiOまたは他の金属酸化物を含むことができる。コーティング69は支持部材30における加熱器要素のために使用される電力を低減することができる。移動相/固定相体積の合理的な比を保持する一方での加熱器要素膜ならびに吸着剤フィルムのサイズ(幅、長さ、および、厚さ)の最小化または低減は、約4倍の電力低減をもたらす。最小化または低減された吸着剤フィルムの厚さは吸着−脱離のために必要な時間を短縮することができ、流体の分析当たりに必要なエネルギーを約1.5倍節約することができる。
【0033】
加熱器要素20、22、24、および、26は頂部側および底部側の双方をGCフィルム・コーティングすることができ、それによって、加熱器要素表面の幅および電力放散を約2倍にすることができる。これらの加熱器要素は2つのコーティング工程を含み、第2の工程は、第2のウェハの内側の第1のコーティングを保護して第1のウェハを溶解した後に、ウェハ対ウェハのボンディングおよびコーティングを必要とする。
【0034】
所望の堅牢性(すなわち、薄い膜20、22、24、...を外部環境に露出させない)であるが、これら頂部および底部の双方をコーティングする必要のないものを達成する他の手法は、頂部のみをコーティングし、かつ、底部チャネル32を小さな高さに低減することであり、図6aを参照されたいが、そのため、体積比(空気/フィルム)は500未満の値となる。
【0035】
マイクロ型ガス分析器は、濃縮器および分離機要素の所定のパターンが(GCの文献では固定相として知られている)異なった吸着剤材料A、B、C、...、でコーティングされるように;濃縮工程に寄与するため、および、分離器に電子的に注入されるために、濃縮器要素/分離器要素の比が選択されるだけでなく、A、B、Cなどでコーティングされたそれらの比(および、何度の堆積温度で)も選択できるようにし、ここでは、再び要素温度の急激な変化の速度が、B、C、...の要素に対して異なるようにAの速度に対して選択することができ、さらに、「A」要素のグループからガスを分離した後で他の組のガスを「B」要素のグループから分離することができる形でこのシステムに多様性を追加するような、繰り返される連続してスピン・コーティングされる(または、他の堆積手段の)工程を介して作成された加熱器要素40、42、...、44、46、および、140、142、...、144、146を有することができる。分離器加熱器要素に対する濃縮器の比は、制御装置130に接続された比率制御機構490により設定または変更することができる。
【0036】
制御装置130は、図3に示すように、加熱器要素20、22、24、26、および、検出器50の各々に電気的に接続することができる。制御装置130は、対応する相互作用可能要素40、42、44、および、46の各々が加熱状態となり、かつ、1つまたは複数の上流相互作用可能要素により生成された上流濃度パルスがその相互作用可能要素に到達する時点の付近で選択された成分を上流サンプル流体45中に脱離するように、(図7の最下段を参照されたい)時間位相シーケンスにおいて加熱器要素20、22、24、および、26に電力を供給することができる。いかなる数の相互作用可能要素も、濃度パルスにおける成分ガスの所望の濃度を達成するために使用することができる。結果として得られた濃度パルスは検出および分析のために検出器50、128に供給することができる。検出器50、127、または、128(図2および図3)は、熱伝道検出器、放電電離検出器、CRD、PID、MDD、または、ガスもしくは流体クロマトグラフィにおいて使用されるものなどのいかなる他のタイプの検出器とすることもできる。
【0037】
図7は、例示的相対加熱器温度を各加熱器要素において生成される対応する濃度パルスと共に示すグラフである。上記に示したように、制御装置130は電圧信号71を使用して時間位相シーケンスにおいて加熱器要素20、22、24、および、26に電力を供給することができる。加熱器要素20、22、24、および、26に対する例示的時間位相加熱器相対温度は、それぞれ温度プロファイルまたは線60、62、64、および、66により示されている。
【0038】
示す実施例において、制御装置130(図3)は、第1の加熱器要素20を、図7の線60において示す同要素20の温度を上昇させるために電力を供給することができる。第1の加熱器要素20が第1の相互作用可能要素40と熱的に結合されているため(図4および5)、もしいずれの他の加熱器要素もパルスを送られなければ、第1の相互作用可能要素は、検出器128または50において第1の濃度パルス70(図7)を生成するために、流れているサンプル流体45中に選択された成分を脱離する。流れているサンプル流体45は、矢印72により示すように、第1の濃度パルス70を第2の加熱器要素22に向けて下流に搬送する。
【0039】
次に、制御装置130は、要素20に対するエネルギー・パルスが停止された時点またはその後に開始して、線62において示すように第2の加熱器要素の温度を上昇させるために同要素22に電力を供給することができる。第2の加熱器要素22が第2の相互作用可能要素42に熱的に結合されているため、第2の相互作用可能要素も、第2の濃度パルスを生成するために、選択された成分を流れているサンプル流体45中に脱離する。制御装置130は、図7に示すように、より高い濃度パルス74を生成するために第2の濃度パルスが第1の濃度パルス70と実質的に重なるように、第2の加熱器要素22に電力を供給することができる。流れているサンプル流体45は、矢印76により示すように、第3の加熱器要素24に向けてより大きな濃度パルス74を下流に搬送する。
【0040】
続いて、制御装置130は、図7の線64において示すように、第3の加熱器要素24に、同要素24の温度を上昇させるために電力を供給することができる。第3の加熱器要素24が第3の相互作用可能要素44に熱的に結合されているため、第3の相互作用可能要素44は、第3の濃度パルスを生成するために、選択された成分を流れているサンプル流体中に脱離することができる。制御装置130は、さらにより高い濃度パルス78を生成するために第3の濃度パルスが第1および第2の加熱器要素20および22により供給されたより大きい濃度パルス74と実質的に重なるように、第3の加熱器要素24に電力を供給することができる。流れているサンプル流体45は、矢印80により示すように、「第N」の加熱器要素26に向けてこのより大きな濃度パルス78を下流に搬送する。
【0041】
続いて、制御装置130は、線66において示すように、「第N」の加熱器要素26に、同要素26の温度を上昇させるために電力を供給することができる。「第N」の加熱器要素26が「第N」の相互作用可能要素46に熱的に結合されているため、「第N」の相互作用可能要素46は、「第N」の濃度パルスを生成するために、選択された成分を流れているサンプル流体45中に脱離することができる。制御装置130は、「第N」の濃度パルスが、その前のN−1個の相互作用可能要素により生成されたより大きな濃度パルス78と実質的に重なるように、「第N」の加熱器要素26に電力を供給することができる。流れているサンプル流体は、以下に説明するように、分離器126または検出器50もしくは128のいずれかに、「第N」の濃度パルス82を搬送する。
【0042】
上記に示したように、加熱器要素20、22、24、および、26は共通の長さを有することができる。そのため、制御装置130は各加熱器要素に等しい電圧、電流、または、電力のパルスを供給することにより各加熱器要素の等しい温度を達成することができる。電圧、電流、または、電力のパルスは、三角形、四角形、鐘形、または、他のいかなる形状も含むいかなる所望の形状も有することができる。1つのほぼ四角形の電圧、電流、または、電力のパルスは図7に示す温度プロファイル60、62、64、および、66を達成するために使用される。各温度プロファイルはそのように見えるが、電圧パルスを基準とした小さな時間遅延を伴って、脱離した実体が発生されることに注意されたい。
【0043】
図8は、第一に、濃度が、後に続く各要素の状態が流れているサンプル流体の速度と適切に同期するような段階的な形で、どのように上昇するのかを、および、第二に、個々の要素の長さが、濃度のレベルおよび購買が上昇するように、質量拡散束の予想上昇速度にどのように適合されているかを、示すためにいくつかの加熱器要素を示すグラフである。ここで、図8に示す要素に先立って、要素100(H1)として示す要素よりF倍長い長さを持つ最初の要素にパルスを印加することにより、または、代わりに、要素1、2、...、Fに同時にパルスを印加し、要素100(H1)にパルスを印加する前にまだ冷えている要素100を使用して全ての脱離した分析対象物質を収集することにより、分析対象物質の濃度が係数Fで既に増倍しておくことができることを指摘すべきであろう。濃度パルスの各々は、チャネル32を走行すると、拡散により、振幅が減少し、かつ、長さが増大する可能性のあることが理解されよう。この増大した長さを収容するために、並んでいる各加熱器要素の長さを流れているサンプル流体に沿って増大することができることが考えられる。例えば、第2の加熱器要素102は第1の加熱器要素100の長さWより長い長さWを有することができる。同様に、第3の加熱器要素104は第2の加熱器要素102の長さWより長い長さWを有することができる。したがって、各加熱器要素100、102、および、104の長さは、隣接する上流側の加熱器要素と比較して、拡散による上流側の加熱器要素の濃度パルスの予想された増大した長さに対応する分だけ、増大させることができると考えられる。しかし、目標の分析対象物質の濃度が非常に低いか、または、吸着フィルムの容量が非常に大きいいくつかの場合において、特定の時間の間に濃縮器を介してポンプ吸引された(図2のポンプ51)特定の体積のサンプル・ガスから特定の量の分析対象物質を吸着させることができ、従って、(最後の加熱器要素の)サンプル体積/フィルム体積の同じ比により分析対象物質の濃度を上昇させることができるフィルム体積を最小に抑えることに基づく、濃縮器の機能の最大の対象絞込み性能を達成するために、後に続くか、または、最後の加熱器要素の長さを大幅に減少させることは可能かつ有利とすることができる。
【0044】
加熱器要素の制御を簡略化するために、並んでいる各加熱器要素の長さは、加熱器要素間に同じ全体的加熱器抵抗を生成するために、一定に保つことができ、これにより、等しい電圧、電流、または、電力のパルスが、同じ温度プロファイルを生成するために使用されることを可能にする。別法として、各加熱器要素は異なった長さを有することができ、制御装置は、同じ温度プロファイルを生成するために各加熱器要素に異なった電圧、電流、または、電力のパルス振幅を供給することができる。
【0045】
図9は、100%の濃度レベルを達成する濃度パルス110を示すグラフである。例え、濃度パルス110が100%などの最大濃度レベルに到達したとしても、対応する成分の濃度は、それでも決定できることが理解されよう。これを行なうために、検出器50、128、164は濃度パルス110を検出することができ、制御装置130は、流れ45の本来のサンプルにおける対応成分の濃度を決定するために、時間にわたって検出器の出力信号を積分することができる。
【0046】
「GCピーク同定」においては、ガス・クロマトグラフ(GC)から外出する各ガスのピークを1つの化学化合物に明確に関連付けることが所望されており、GCは個々の成分の互いからのこのような分離を達成するための手段となっている。ガスの構成要素を同定するためには、いくつかの手法がある。GC−MSの組み合わせにおいて、各GC−ピークはその質量に対して分析される一方、MSの取入口における必要なイオン化処理の結果として得られる分子の破片を処理する。GC−GCの組み合わせにおいて、化合物の同定に役立つ可能性のある分析記録に情報を追加するために、第1および第2のGCにおいては異なった分離カラム材料が使用されている。GC−AEDの組み合わせにおいて、マイクロ波給電のガス放電は、ガス放電プラズマにおけるGC−ピークのガスの同定に役立てるための内容を提示する光学スペクトル発光線(原子)および発光バンド(分子)を発生することができる。GC−MDDまたはGC−GC−MDDの構成においては、GCまたはGC−GCから分析対象物質のピークが溶出する間に、マイクロ型放電デバイス(MDD)がそれらのピークのスペクトルを発光させることができ、かつ、分子および原子の構造、および、従って分析対象物質の各ピークの身元を明らかにすることができる。
【0047】
AEDの選択的波長チャネルがGCにより分離された化合物の原子的な組成をどのようにして同定することができるかの例を図11に示す。同図は、C、H、N、O、S、Cl、Br、P、D、Si、および、Fの原子発光に対する個別のチャネルを、図10の表にあるチャネルの対応するリストと共に示す。図11は、元素およびその元素の概ねの量を示すことができる様々なピークを持つ多元素試験混合物のクロマトグラムを示す。ピーク301は2.5ナノグラムの4−フルオロアニソールを示し、ピーク302は2.6ナノグラムの1−ブロモヘキサンを示し、ピーク303は2.1ナノグラムのテトラエチルオルト珪酸塩を示し、ピーク304は1.9ナノグラムのn−過重水素デカンを示し、ピーク305は2.7ナノグラムのニトロベンゼンを示し、ピーク306は2.4ナノグラムのトリエチル燐酸塩を示し、ピーク307は2.1ナノグラムのt−ブチル二硫化物を示し、ピーク308は3.3ナノグラムの1,2,4−トリクロロベンゼンを示し、ピーク309は170ナノグラムのn−ドデカンを示し、ピーク310は17ナノグラムのn−トリデカンを示し、かつ、ピーク311は5.1ナノグラムのn−テトラデカンを示す。このようなクロマトグラムに対して、GCの条件は、3.3mL/分のカラム流量、36:1の分割比、および、30℃/分での60℃から180℃までのオーブンのプログラムを含むことができる。
【0048】
低電力マイクロ型放電を使用して発生されたNeの中性かつイオン化された発光体のUVスペクトルの一部を図12に示す。この図に同じく示すことは、スペクトルの核種が、「Ne」の圧力が変化するに従い強度を変化させることである。光学的出力は、放電空洞の幾何学的形状、印加される電圧および圧力などのいくつかのパラメータに依存することができる。分子発光バンドは、発光され、かつ、ジェット・エンジンの高温排気中にあるガスの「NO」の測定に対して使用することさえできる。
【0049】
マイクロ型放電デバイスに環境ガスのサンプルを送り込むことにより、有用なガス組成情報を得ることができる。第1の手法において、1つのマイクロ型ガス放電デバイスを使用することができ、同デバイスの動作パラメータ(電圧、圧力、流量、...、および、可能に幾何学的形状)は、そのような発光データの評価および処理の後でガス・サンプルの成分のタイプおよび濃度に関する情報が作成できるように、出力発光スペクトルにおける変化を作り出すために、変更することができる。第2の手法において、いくつかのマイクロ型ガス放電デバイスを使用することができ、それにより、第1の手法にあるような発行出力の評価のために各デバイスの動作パラメータを変更することができ、かつ、統計的解析を介してより優れた結果を得ることができる。第3の手法は、各マイクロ型放電は1つの状態のみだが、他のマイクロ型放電の設定点の状態とは異なるように設定されて動作することができることを除き、第1の手法と同様とすることができる。
【0050】
図13は第3の手法を示し、同手法により、ガス・サンプルは1つのタイプの放電から次の放電へと順に通過することができ、仮定できることは、ガス・サンプルの性質がこの処理の間に変化しないということである。図13は、様々な圧力および電圧におけるガス45の流れにおけるガス組成の感知のための光源−検出器の組のアレイ350を示す。異なった電圧+V1、+V2、...、ならびに、圧力P1およびP2は、このように記号が付けられている。光源ブロック351からのマイクロ型放電352のプラズマは、(+)と(−)の電極間の楕円により示す。光源ブロック351と向き合っているのは、光源放電352からの光の検出器354として動作するマイクロ型ガス放電デバイスを有する検出器ブロック353である。検出器354上に固定されたフィルタがあってもよい。各フィルタは異なってもよく、かつ、ガスの特定のグループの検出および分析のために選択することができる。マイクロ型放電からのガスの発光の様々な線は検出することができ、かつ、検出されたガスの成分を決定するために同定することができる。アレイ350は制御装置130に接続することができる。プロセッサはマイクロ型放電の制御、および、アレイ350を介したガス45の流れにおける放電の影響の検出に利用することができる。
【0051】
光源ブロック351はシリコンで作ることができる。ブロック351に固定されているのは、デバイス350を介してガス45の流れを含むためのチャネルを形成するSiまたはPyrex(商標)の壁状構造体355とすることができる。構造体355の頂部上には、PtまたはCu材料356の伝導層があってもよい。Pt材料上には、流れチャネルを覆って延長することができるSiの層357がある。層357の頂部上には、検出器354のためのチャネルを形成するためのPtの層358およびSiの層359があってもよい。第4の手法は、順を追う形よりも、むしろ並行して各放電にガス・サンプルを供給することを除き、第3の手法と同様とすることができる。
【0052】
第5の手法は、ガス・サンプルが、例えば従来のGCにより供給される間に、分離処理を受けさせておくことができることを除き、第4または第3の手法と同様とすることができる。第6の手法は、分離処理に先立ち、問題のサンプル分析対象物質が従来の前濃縮工程により最初に濃縮することができることを除き、第5の手法と同様とすることができる。
【0053】
第7の手法は、分離処理に先立ち、問題のサンプル分析対象物質が多段前濃縮処理により予め濃縮しておくことができ、続いて、位相加熱器アレイ・センサにより供給される間に分離器内に電子的に注入することができることを除き、第6の手法と同様とすることができる。
【0054】
図2を参照すると、第6および第7の手法において、着想はGCカラムから溶出する個々のガス分析対象物質ピークまたは位相加熱器アレイ・センサ分離器チャネルを、放電の示すアレイにおける各放電デバイスに送り込むことである。
【0055】
ガスの流れは図13に示すように順番に行なうことができる。または、最適なピーク同定のために必要とすることができる並列とすることもでき、それにより、(分析に総時間を最小に抑えるために)各放電区画は(アレイの出口において、例えばMesopump(商標)により、真空ポンプまたは吸込みポンプにより決定された)印加電圧、ガス圧力の固定された条件で動作することができる。図13において、第4と第5の放電要素の間にある流量の制約により容易に達成されるような2つの圧力のみを例の形により示すことができる。流速、(局所マイクロ型加熱器を介した)温度、または、幾何学的形状(区画の識別における単純な変化に加えて、空洞カソードまたは平板放電)などの放電パラメータにおけるいくつかの変更は示さないが、そのように実施することはできる。
【0056】
これらのセンサの典型的に小さなサイズ(10から100マイクロメータ)のために、これらのセンサは大きな専有面積を使用しているようには見えないようにすることができ、かつ、図2のブロック128に含めることができる。
【0057】
センサ15は濃縮器124と分離器126の間に固定された流量センサ125、および、濃縮器124の入力において伝導性検出器を有することができる。センサ15は濃縮器124と分離器126の間に熱伝導率検出器を有することができる。放電機構350の出力に熱導電率検出器があってもよい。センサ15は、所望の実用例によっては、図2のセンサ128における様々な位置に、述べた構成部分のいくつかによる様々な組み合わせを含むことができる。図2のセンサ15の図はセンサの例示的な例である。センサ15は同図には示さない他の構成を有することができる。
【0058】
ガスマイクロ型放電区画は魅力的な機能を提供することができ、それらの機能は位相加熱器アレイ・センサの有用性、多目的性、および、価値を大幅に高めることができる。機能の例は、1)低電力性能(各放電は、マイクロ型TDCによってさえ達成されない最小電力であるように見える1.2ミリワットに等しくなり得る10マイクロメータにおける直流120ボルトほどに小さい電圧を使用して700から900トル(0.92から1.18バール)において動作する)2)図12の挿入図に示すコンパクトさ(50×50マイクロメータ)を備えた組立の容易さ、3)(水冷が必要である)100ワットのマイクロ波駆動のAEDなどの他の光源では行なうことが知られていない、図14における100マイクロメータマイクロ型放電とSiのAPDの間のスペクトル応答性の比較により示すことができる光検出器としてのマイクロ型放電の動作可能性、4)モノリシックSiフォトダイオードの製造のためにSiドーピングに依存しなければならないことのない、位相加熱器アレイ構造体との放電光源およびフォトダイオードの集積可能性およびウェハのレベルでの組立、および、5)上記に述べられている如くの放電パラメータを変化させることによる追加の寸法(すなわち、選択性)を含む。
【0059】
本発明は、1)マイクロ型ガス放電デバイスとの位相加熱器アレイ・センサの組み合わせ、2)1)の組み合わせであって、それにより、ガス放電デバイスの1セットまたはアレイがスペクトル発光を提供することができ、(狭帯域・帯域通過フィルタまたはマイクロ型分光計を備えていてもいなくても)別の相補的なセットは光検出機能を提供することができるもの、3)第1から第7の手法に基づく上記に説明されている設計の適切な並べ換えを伴う2)の組み合わせ、および、4)最適な前濃縮または分離の性能を達成するために、特定の分析のために必要とされる如くの位相加熱器アレイ構造体の追加の前濃縮器または追加の分離器要素として加熱可能な要素をプログラムするための柔軟性を有するマイクロ型放電を介したガス組成感知能力を有することができる。
【0060】
既に提案されたマイクロ型ガス分析器に対する位相加熱器アレイ・センサ−マイクロ型放電検出器のこの組み合わせは、いずれの他のマイクロ型分析器も達成したとは知られていない、マイクロ型ガス放電デバイスの寄与による選択性、「ピーク同定」能力、低電力、光源および検出能力、集積可能性、単純さ、および、コンパクトさと組み合わされた、位相加熱器アレイ・センサの感度、速度、携帯性、および、低電力を提供することができる。
【0061】
図15は、他のチップにも同様に接続している回路板上に搭載および接続される単一のチップ401上のマイクロ型ガス装置15(すなわち、位相加熱器アレイ構造体)のセンサ、前濃縮器および/または濃縮器124、ならびに、分離器126の集積を示す。1つのそのような他のチップはFETスイッチ、シフト・レジスタ、および、論理回路を保持することができる。401チップはドーター・ボード上に存在することができる。401チップおよび主回路板は本来約110本のワイヤにより接続されていた。しかし、ドーター・ボード上の個別のチップ上へのスイッチの全ての集積の後、リード線およびコネクタ・ピンを張り回している印刷回路板の数は約10(すなわち、差分温度補償、流量センサ、スイッチ・クロック、論理回路、電力、および、接地のため)に削減された。個別のIC上に位置するFETスイッチ、シフト・レジスタ、および、制御論理回路は、ワイヤ・ボンドまたはハンダ・バンプを介して位相加熱器アレイ構造体チップに接続することができる。FETの新しい論理を使用すれば、センサ・システム15のユーザは、分離器に対する前濃縮器として動作させるために全加熱可能要素の一部を選択することができる。
【0062】
図16はセンサ・システム11のための制御論理回路の例示的な例402の概略図である。回路410はアレイ内の論理セルの例とすることができる。回路410はDフリップ・フロップ403、R−Sフリップ・フロップ404、ANDゲート405および415、ORゲート406、FET407、ならびに、インバータ408に加えて、必要に応じた追加の回路を含むことができる。クロック・ライン411はDフリップ・フロップ403のクロック入力に接続することができる。分離器可能化ライン413はANDゲート405の第1の入力に接続することができる。データイン・ライン412はフリップ・フロップ403のD入力に接続することができる。リセット・ライン414はフリップ・フロップ404のS入力およびフリップ・フロップ403のリセット入力に接続することができる。フリップ・フロップ404のQ出力はANDゲート405の第2の入力に接続することができる。フリップ・フロップ403のQ出力はフリップ・フロップ404のR入力およびANDゲート415の第1の入力に接続することができる。分離器可能化ライン413はインバータ408の入力に接続することができる。インバータ408の出力はANDゲート415の第2の入力に接続することができる。ANDゲート415および405の出力はORゲート406のそれぞれ第1および第2の入力に接続することができる。ORゲート406の出力はFET407のゲートに接続することができる。FET407の他の端末はそれぞれFET共通ライン416およびFET出力端末417に接続することができる。最も右の論理セルはデータ・アウト・ライン418に接続されたフリップ・フロップ403のQ出力を有することができる。
【0063】
この論理は、ユーザが、後に区分された分離器の一部として機能することができる残りの加熱器要素の全てに対して、温度を一旦休止してから急上昇させる前に、回路がパルスを印加し、加熱する前濃縮器要素の数を事前選択することを可能にする。適切なマスク法を介したチップ401チップの位相加熱器アレイ・センサ要素のいずかの上への異なった材料の堆積を考慮することができる機能の追加の重要性があり、それにより、優先的な前濃縮、干渉の濾過、および、カスケード式分離を可能とすることができる。
【0064】
図16は、各々が0.5オーム以下のオン抵抗を有し、かつ、約12ボルトの電位をスイッチングすることができる最大50個のFETスイッチがどのようにしてオンチップ・論理回路により制御することができるかをさらに示す。オンチップ論理回路は、個々のモードが制御ライン・ビットにより決定される2つのモード、すなわち、濃縮器または第1のモードおよび分離器または第2のモードで動作することができる。第1のモードは、リセット後に各低抵抗FETを連続的にオンにし、その同じFETと連動するフリップ・フロップを不能にするシフト・レジスタを含むことができる。次のクロック・サイクルにおいて、第1のFETはオフとなり、次のFETはオンとなり、かつ、それの連動フリップ・フロップは不能となる。このシーケンスは、いくつかの外部駆動電子回路がクロックをオフにし、かつ、第2の動作モードを可能にするまで繰り返すことができる。一旦第2のモードが可能になれば、フリップ・フロップが不能になっていないFETの全ては、同時にオンとなることができる。この第2のモードは、リセットが起動され、かつ、フリップ・フロップがリセットされるまで存続することができ、FETがオフとなり、工程は繰り返すことができる。
【0065】
2つのチップは、連続したスイッチングが第1のチップから第2のチップに進行するように、チップの側面の各々上にある(最大50個の)位相加熱器アレイ・センサ・チップ・パッドにボンディングするために直列に使用することができる。第1のチップ上の最後のスイッチからの信号が、第2のチップ上の最初のスイッチを起動することが必要であるとすることができる。並列の残りのFETの連続的なアドレシングからのモード・スイッチが、スイッチングが第2のチップに移動する幾分前または後に発生できることは可能である。所望の分析対象物質前濃縮、分析対象物質の濾過、および、選択されたグループ前濃縮器パルスまたは(時間における)カスケード式前濃縮器分析対象物質パルスの分析とすることができる分析結果を達成するために、2つ以上の吸着剤材料を使用して前濃縮器もしくは分離器のいずれか、または、双方における個々の要素または要素のグループを変更すること、および、図16にあるように、または、前濃縮器および等しくもしくは異なって分離器における特定のタイプのコーティングを(印加された最大の電圧または温度の点で)支持して、スイッチに対する論理プログラムを調整することなどにより、位相加熱器アレイ・センサ加熱器要素内に吸着剤コーティングの多様性を導入することができる。
【0066】
ユーザには、分析の問題により課された様々なニーズに対して、位相加熱器アレイ・センサの動作および性能を調整するための大きな柔軟性が利用可能とすることができる。すなわち、ユーザは、分離器に対する前濃縮器として機能させるために全加熱器アレイ要素の数または一部を選択することができ、したがって、分離を基準として分析対象物質の濃度、すなわち、分析対象物質成分の分解能および選択性を変化させる一方、構造的完全性、最適対象絞り込み機能、分析対象物質の選択性/濾過、ならびに、前濃縮、分離、流量制御、および、TCおよびマイクロ型プラズマ放電センサなどの検出技術のしっかりした集積を特徴とする低電力、最適に温度制御された加熱器要素を設計および製造する能力を保持する。CMOS駆動電子回路を位相加熱器アレイ・センサ流れチャネル・チップに集積することができる。
【0067】
健康を脅かす毒素、化学薬剤、または、処理などの重要なガス分析の状況においては、発光が、不確実性がほとんどなく(偽陽性になる確率が低い状態で)同定され、かつ、定量化される必要があり、従来の検出器および分光計(MS、GC、または、光学性のもの)は偽陽性の確率Rfpの所望の低レベルを提供することができない。
【0068】
GC−MSおよびGC−GCシステムにおけるような組み合わせ分析器は所望の低いRfpの値に近づくことができるが、2セットの複雑かつかさばる注入システム、かさばるMSポンプ・システム、および、各分析のために必要な大量のエネルギーのために、典型的に携帯不能のデスクトップ・システムとなっている。最も重要なことは、例え分離能力が優れていても、もしデスクトップまたは携帯用のシステムが必要とされる感度を提供できなければ、偽陽性の確率は急速に高まる。
【0069】
解決策は図17に示すマイクロ型分析器500において具体化されており、解決策は、もし必要であれば、すなわち、もし単純なマイクロ型ガス・クロマトグラフ(μGC)が組み合わせなければ、μGC−μGC状の構成により提供される選択性を、ならびに、多レベル多段前処理により保持可能となっている感度を組み合わせることができる。この構成において、マイクロ型分析器500は自身の(パーム・トップから1インチ(2.54cm)立方タイプまでの)コンパクトさ、3秒間分析、ppb感度、柔軟性、知的さ、集積構造、低電力、および、低コストの特徴をそれでも保持することができる。他の解決策は図21のマイクロ型分析器600において具体化することができる。
【0070】
マイクロ型分析器500は、入力を介してフィルタ527に流体530のサンプル流れを取り入れることができる。フィルタ527から、流体530は、マイクロ型検出器(μD)531を通過して、並列のチャネル527を有する第1のレベルの前濃縮器526に進行することができる。流体530は、マイクロ型分析器500の主要部分を介してポンプ521またはポンプ522によりチャネル527を介して吸引することができる。ポンプ521および522は同時に、または、個々の予定に従って動作することができる。流体530の一部は、濃縮器523を通過し、かつ、流量センサ532を通過して進行することができる。濃縮器523は約100ミクロンの内径を有することができる。流量センサ532から、流体530は分離器524、マイクロ型検出器533、分離器525、および、マイクロ型検出器534を通過することができる。分離器524および525はそれぞれ約140ミクロンおよび70ミクロンの内径を有することができる。流体530はポンプ522に流れることができる。ポンプ521および522から外出した流体530は、この流体が当初吸引された場所または他の場所に戻すことができる。マイクロ型検出器531、533、および、534の各々は、TCD、MDD、PID、CRD、MS、または、他の種類の検出器とすることができる。分析器500は示す検出器より多い、または、少ない検出器を有することができる。分析器500はそれぞれマイクロ型検出器533および534の排出口において細孔541および542などの流れ細孔も有することができる。分析器500は弁および他の構成部分も有することができる。制御デバイス535またはマイクロ型制御装置もしくはプロセッサは、本説明に説明されているマイクロ型流体分析器の動作と同様とすることができる分析器500の動作を適切に制御および調整するために、ポンプ521および522、検出器531、533、および、534、センサ532、濃縮器523、分離器524および535、並びに、必要に応じて他の構成部分に接続することができる。
【0071】
マイクロ型分析器500の特徴は、追加の前濃縮の各体積の導入に関連させることができる。これらの各々は図17に概略を示すように、後に続く前濃縮の動作に対して、高められた分析対象物質濃度を供給する。これは、以前に提案され、かつ、構築された単一レベル多段前濃縮(PC)とは異なっている。多レベルPCシステムにおいて、第1のレベルのPCにおいて達成され、かつ、次または最後のレベルの(多要素かつ多段の)前濃縮器に吸着のために提供された分析対象物質濃度は、第1のレベルの前濃縮器により既に高められており、以前のこの前濃縮は、第2のレベルまたは最後の前濃縮器のほぼ完全な動作のために必要とされる時間の長さにわたり分析対象物質を解放することを可能とするために十分大きい必要がある。
【0072】
固定相に対する移動相の体積比、ならびに、吸着温度および脱離温度における分配関数の比が、仮想の分析対象物質に対してG=100倍の濃度利得が達成できるようなものであると仮定すると、濃度レベルを高めるタイミングは、以下のように図18において番号511、512、513、514、515、および、516のシーケンスにより示す通りである(ガスの拡散に対して、辺d=0.01cmの四角形の断面のチャネルにおいて除去または脱離されたガスを均一に再配分することは、Δt=d/(2D)=0.01/2/0.1=0.0005秒しかかからないことを思い出すことは役立つ)。
【0073】
多レベルPCの動作は、以下の各工程のシーケンスを介して進行すると説明することができる。すなわち、1)吸着時間Z。モル分率X=1pptの分析対象物質は、固定相と平衡するために十分な時間Zにわたりv=110cm/秒でサンプル・ガスと共に流れる。すなわち、Z=NGL/v、ここで、N=吸着要素の数、L=流れの方向における吸着フィルム要素の長さである。N=500およびL=0.5cmに対しては、z=500×100×0.5/110=227秒を得ることができる。全ての工程が完了した後でさえ、Xが1に比較して小さければ、ZはXとは独立していることに注意されたい。(N=50を持つチップに対して、時間は22.7秒となり、L=0.1を持つチップに対して、この時間は4.3秒となり得る。サンプル・ガスの流速を上昇させることはこの時間を短縮するが、フィルムの厚さを増すことはこの時間を増加させる。)
2)飽和。この時間の最後にはz=Zとなり、第1段の吸着剤は大きく飽和する(ここでは、明確化のために、サンプル・ガスから固定相フィルムへの差分質量搬送の指数的な性質を無視することができる。)一方、サンプル・ガスはダッシュ線により示すように、分析対象物質濃度xで流れ続ける。図18において、このことはそれぞれガスおよび固定相に対する濃度領域511および512により示されている。
【0074】
3)第1のレベルの脱離開始。z≧zであるいつでも、例えば、z=zであれば、全てのN個の要素を迅速(1ミリ秒以内)に加熱することができ、続いて、それらの要素は100倍高い濃度、すなわち、x=100ppt(図18の領域513を参照)でサンプル・ガス・チャネルを満たす。この100倍豊かになったサンプル・ガスの「プラグ」が次のレベルのPCであるN個の第1の要素に進入すると、プラグは、その前の領域512における濃度より100倍高い分析対象物質濃度(図18における領域514)を持つNのN/G個の吸着剤要素の次のセットを平衡させ、かつ、飽和させようと試みる。
【0075】
4)第2のレベルの吸着時間。これを行なうための利用可能な有限の時間、および、速度vで移動するガスの有限のプラグまたはカラムのみを、未濃縮のサンプル・ガスが濃縮された分析対象物質を図18の領域514からパージする前に有することができる。利用可能な時間は、上記に対してはz≒NL/v=z/G、または、2.27秒であるが、任意の例ではN=500、L=0.5cm、および、v=110cm/秒である。
【0076】
5)第2のレベルの脱離時間開始。第2の脱離は、N個の要素の最初の要素のみを、1秒と5マイクロ秒の間とすることができる(例においては、Δz=4.5ミリ秒)時間Δz=L/vにわたり加熱することによりx=x+z/Gより遅くならずに開始すべきである。これは、チャネル(図18における領域515)における分析対象物質の濃度を、本来のxの値に比較して10,000倍に発生および上昇させることができる。時間Δzが経過すると、全てのN=N/G個の要素にパルスが印加され、したがって、通過するガスにそれらの脱離した分析対象物質を追加するまで第2の要素などは加熱されることができる。これを行なうために必要な時間は、N=500、N=N/G=5、L=0.5cm、かつ、v=110cm/秒を持つ任意の例に対して、Σ(Δz)=Δz・N=(N/G)(L/v)=z/G、または、227/10=23ミリ秒とすることができる。
【0077】
6)第2の脱離時間。図18の領域516におけるこの前濃縮を外出する最終的な分析対象物質濃度は、x=x=xG=50,000、すなわち、サンプル・ガスにおける分析対象物質の開始濃度に対して50,000倍の上昇とすることができる。このことは、供給源の分析対象物質が、1セットの位相要素のみを使用して1回のみ吸着され、かつ、濃縮された時に達成された利得よりも約10倍高い前濃縮利得とすることができる。
【0078】
上記で使用されたN=500を持つサンプルは、図19の表中の行Aとして入力された。行BからEは、増大する要素数および達成された対応して大きくなった総濃縮利得を持つ追加の例を掲げている。しかし、断面において100×100マイクロメータの典型的なMEMSチャネルを介した圧力降下は、図20の表中に示すように要素の数を増やすに従って急速に増大する。ちょうどN=50、v=100cm/秒、および、L=0.5cmに対しては、サンプル・ガス中の主成分として空気を使用すると、Δp=2.6psidを得ることができる。5.3および10.6psiのΔpの値をそれぞれ示す図20に計算され、かつ、掲げられている圧力降下およびピーク・パワーのデータを介して示すように、例え各要素がL=0.1cmに短縮されたとしても、N+N=505または1010個の要素の前濃縮器に対するΔpは急速に非実用的に大きくなり得る。吸込みポンプを介してサンプルが吸引されるシステムに対しては特に不要であるこの大きな圧力降下を軽減する1つの方法は、2つ以上の等しい、かつ、平行なチャネルにおけるN個の要素を設置することによるものである。q個の平行なチャネルに対して、圧力降下は、ソーキング時間または必要なピーク・パワーを変更せずに、Δp/gに降下し得る。なぜなら、各チャネルに適切な弁調節が行なわれない限り、N個の全ての平行な要素の脱離は必ず同時に発生し、そのため、各要素が順に脱離することができないからである。好ましくは、図17に示すように、ソーキング時間が2つのポンプ521および522を使用することにより、弁がなくても、この平行チャネルの方式により短縮できる。
【0079】
ポンプ521および522の双方は、ソーキング期間中にサンプル・ガスを吸引することができ、マイクロ型分析器500を介した流れは、同分析器500のポンプ522のより強い真空のために影響を受けないようにできるが、第1のレベルの前濃縮器526が同濃縮器526のポンプ521を使用して10から100倍大きな流速を吸引することを可能にし、したがって、このソーキング期間を10から100倍短い時間で完了することができる。ソーキング期間の終了の後、ポンプ521を停止することができ、ポンプ522に、マイクロ型分析器500の濃縮器523ならびに分離器524および525の双方を介してサンプル・ガスを吸引させ、かつ、前濃縮器526に平行チャネル527を追加した。
【0080】
上流前濃縮器526、濃縮器523、および、濃縮器623は、図3から5に示すように、相互作用可能要素40、42、44、および、46などを、および、別法として追加の相互作用可能要素140、142、144、146などを備えた加熱器要素20、22、24、26などを含むチャネルを有することができる。制御器535および635は加熱器要素20、22、24、26の各々に電気的に接続されている。制御器535および635は、対応する相互作用可能要素40、42、44、および、46の各々が加熱状態となり、かつ、1つまたは複数の上流側相互作用可能要素により生成された上流側濃度パルスが相互作用可能要素に到達する時点付近で、流れているサンプル流体530および630中に選択された成分を脱離するように、時間位相シーケンス(図7の最下段を参照)において加熱器要素20、22、24、および、26に給電することができる。いかなる数の相互作用可能要素も、納所パルス中の成分ガスの所望の濃度を達成するために使用することができる。
【0081】
マイクロ型分析器500の特徴は、1)多レベル多段前濃縮を行なうための手法の他のマイクロ型分析器への組み込み、2)そのような手法を、低圧ポンプに対する目的がフィルタ・パージ速度を単に加速することであった一方、ここで、これを、第1のレベルの前濃縮器ソーキング時間を短縮するための方法として利用することができることを除き、マイクロ型分析器500におけるように2つのポンプを使用して遂行すること、3)第1のレベルの前濃縮の出力が、多段タイプのものとしてよい第2のレベルの前濃縮器に対するより高い濃度の分析対象物質供給源として簡単に機能できるような方法で、第1のレベルの前濃縮を行なうこと、4)(例えば、ppt以下のレベルで存在する分析対象物質に対する)極端な感度を必要とする場合において、第1のレベルの前濃縮の出力が、第2のレベルの前濃縮器に対するより高い濃度の分析対象物質供給源として暫時働くことができ、これは次いで、多段タイプのものとしてよい第3のレベルの前濃縮器に対するより高い濃度の分析対象物質供給源として機能できるような方法で第1のレベルの前濃縮を行なうこと、5)最後の前濃縮器のレベルに対する100倍高い濃度の分析対象物質飽和供給源として機能するための(もしG=100が各吸着−脱離段において達成可能な濃度利得であれば、既に開示した多段前濃縮器より約100倍長い)単に非常に長いチャネルではない第1のレベルの前濃縮器であって、はるかに大きい圧力降下をもたらすことができるが、最終前濃縮レベルの圧力降下よりはるかに小さい圧力降下を達成するための平行になったいくつかのチャネルからなるもの、6)この小さな圧力降下を、ガス/固定相の望ましく小さい体積比を犠牲にせずに、前濃縮チャネル、加熱器、および、吸着剤フィルムを拡幅することにより達成すること、7)この小さな圧力降下を、脱離時間を不当に延長しないが、ガス/固定相の望ましく小さい体積比を低下させて、吸着剤フィルムの厚さを増加させることにより達成すること、および、8)例えば、平行な第1のレベルの前濃縮器を動作させずに、および/または、第2の分離器(第2号μGC)を、もしそのような究極の分離が必要でなければ使用せずに、低感度分析に対する要件を満たすためなどの柔軟な形で、マイクロ型分析器500構造体を動作させることが可能であることを含むことができる。
【0082】
第1号GCおよび第2号GCは、マイクロ型分析器のそれぞれ第1および第2の流体またはガス・クロマトグラフを指すことができる。それぞれ第1号および第2号カラムと見なすことができる第1および第2の分離器は、マイクロ型分析器の他の構成部分と共に、それぞれ第1号GCおよび第2号GCの一部とすることができる。
【0083】
マイクロ型分析器500の長所は、1)そのような選択性、ピーク容量、および、感度のμGCに対する(薄膜に基づく固定フィルム支持体による)非常に短い分析時間、2)選択性または分析速度を損なわずに(非常に高いPCレベルによる)最高の可能な感度の達成、および、3)(低圧パージおよびソーキング機能、ならびに、最終前濃縮レベルおよび分離機能のための高圧パージに対する2つの別個のポンプの使用による)最高の可能な感度、選択性、および、分析当たりの低エネルギー能力の同時の達成を含むことができる。
【0084】
図21はGC−GCタイプの二次元構造体を有するマイクロ型分析器600を示す。キャリヤ・ガスとしても機能することができるサンプル・ガスの流れ630は粒子フィルタ627の入力に進入することができ、2つの平行チャネルを介してポンプ640によりポンプ排気することができる。主チャネルにおいて、流体630はそれぞれマイクロ型検出器631および濃縮器623を介して進行することができる。濃縮器623は約100ミクロンの直径を有することができる。流体630は濃縮器623から流量センサ632を介して、約100ミクロンの内径を有することができる分離器624に流れることができる。分離器624から、流体630は第2の分離器625とマイクロ型検出器633を介して流れるために分割することができる。分離器625は約50ミクロンの内径を有することができる。分離器625からの流体630の出力はマイクロ型検出器634および細孔644を介して進行することができる。マイクロ型検出器633からの流体630の出力はライン643を介してマイクロ型弁641を介して進行することができる。ライン646を介してポンプ排気されたフィルタ627の出力における「T字型」接続部からの流体630の流れは、細孔645により制御することができる。制御、マイクロ型制御装置、または、プロセッサ635は、分析器600の適切な動作を達成するために、ポンプ640、マイクロ型検出器631、633、および、634、流量センサ632、濃縮器623、分離器624および625、ならびに、マイクロ型弁641に接続することができる。マイクロ型検出器631、633、および、634の各々は、TCD、MDD、PID、ECD、または、他の種類の検出器とすることができる。分析器600は示す検出器より多い、または、少ない検出器を有することができる。分析器600は、追加の弁および他の構成部分も有することができる。他の実施形態において、マイクロ型弁641は排除することができ、そのため、制御されていないポンプおよび臨界細孔流量調節のみが残る。
【0085】
主チャネルは本明細書に開示されており、第2のμGCを具体化している第2のチャネルは、現れつつあり、比較的幅広い(第1号μGCのピークの半値幅)第2号μGCの総「自由」溶出時間tを「サンプル採取」している。
【0086】
マイクロ型流体分析器の集積構造体内に構築された2つ以上の分離フィルム材料を含む微量流体分析器を介して分離できないものは、拡張された伝統的なGC−GC構造を使用してここに実現することができる。比較的緩慢に移動する第1のGCは、この第1のGCの終端における検出器により起動される時間に、または、需要のいずれかに基づいた、パルスを印加された第2のGCにより20から100ミリ秒ごとに分析されることができる10から30ミリ秒の半値幅を持つピークを発生することができる。第2のGCは、自身の第1の加熱器要素の(約1ms)急速な加熱および冷却を介して取入口ピークを付加的に絞り込むことができ、そのため、同GCの電子的に、または、マイクロ型弁により制御された注入ピークは1ミリ秒を超えない半値幅を有する。
【0087】
第1号実施形態である図21の分析器600において、第1号μGCは能動的マイクロ型弁641により制御することができる一方、バイパスおよび第2号カラムを介した流れは、634および645などの固定細孔により制御、すなわち、設定することができる。第2号実施形態において、マイクロ型弁641は追加の固定細孔流量制御器により置き換えることができる。
【0088】
第3号実施形態において、第1号μGCの流体630の流量の全ては第2号μGCに流入することができ、この流量は(高いが制御されない速度の)ポンプ640の前の1つの固定細孔647により制御することができ、かつ、必要であれば、他の固定細孔/制約器648の後で第2号カラムの断面への遷移の時点で自動的に加速される。図22を参照。
【0089】
図23は流体630のより良好なポンプ排気のために2つのポンプ621および622を有するマイクロ型分析器620を示す。流量センサ632に隣接するものは約140ミクロンの内径を有する分離器651とすることができる。分離器からの流れ630はそれぞれマイクロ型検出器652、および、細孔653を介して進行することができる。細孔653から、流体630は約70ミクロンの内径を有する分離器654を介して進行することができる。分離器654から、流体630はそれぞれマイクロ型検出器、細孔656、および、ライン657を介してポンプ622に進行することができる。任意に、それぞれ分析器500、610、および、620の分離器525、625、および、654に接続されたマイクロ型バルブ561、661があってもよい。
【0090】
全ての場合において、サンプル採取されている幅広いピークは、固定相フィルム材料および第1号カラムの厚さで好ましくは作られた、第2号μGCカラムにおける短い第1の吸着要素の支援を得て、短い対象絞込み期間を介して、かつ、それの後に第2号μGCに「注入」することができる。第2号μGCカラムのその後の急速な加熱および脱離は、その分析対象物質を第2号μGCに注入するために使用することができ、第2号μGCは、第2号μGCの最大分解能のためのより大きな最適速度に近づくために、より狭いカラム、より大きな速度、および、より薄い吸着フィルムを特徴とする。より大きな速度は、第2号カラム全体を通じた大きな圧力降下を介して、または、第2号カラムの上記の第1号要素の終端と第2号カラムの残り部分の間、もしくは、第1号と第2号のカラム間の交差点における(図21には示さない)固定細穴を介してのいずれかで、このカラムにおけるより低い圧力によっても実施することができる。
【0091】
動作中、対象絞込み工程は固定された時間間隔で、または、第1号カラム検出器がピークを感知した時のみのいずれかで繰り返すことができる。したがって、このような対象絞込み動作は、典型的に2×Δtピーク半値幅、例えば2×20ミリ秒となる(図24の表1を参照)の期間にわたり第2号カラムの第1の要素の温度の鋭い急落と共に開始することができる。このような濃縮期間tの後、吸着された分析対象物質は急速に放出され、約2ミリ秒のピーク半値幅をもたらす。図24に掲げた例示的データの他の特徴は、第3号実施形態に対しては等しくなる必要があるとできる第1号および第2号カラムにおけるサンプル・ガスの流速V、濃縮時間t=t(第2号)=2Δt(第1号)を含み、サンプル・ガスの速度vはk=(t−t)/tの時に0≦k≦5の中間範囲に対して分解能R=t/Δtを最大化するための最適速度に近い必要があるとすることができ、ならびに、第2号カラムの第1の要素(または、第1号カラムの最後の要素)からの脱離のための時間約Δt/2は局所流速にも対応可能とする必要があるとすることができ、それにより、1/v≦Δt(第2号)≦2 1/vとなる。
【0092】
偽陽性の確率は低下される。なぜなら、特にもしμDがMDD、μECD、μFD(マイクロ型蛍光検出器)などの多チャネル検出器であれば、独立した測定値(すなわち、分解可能なピーク、または、総ピーク容量)の数がμGC−μGC−μDでははるかに大きくなってもよいためである。もし第1号μGCの総ピーク容量が50までであれば、第2号μGCの同容量は30までであり、MDDの同容量は10までであり、独立した測定値の総数は50×30×10=15,000とすることができる。
【0093】
マイクロ型分析器600、610、および/または、620の特徴は、1)追加の検出器のさらなる集積と、可能により重要に、PC、第1号GCおよび第2号GCのフィルム、ならびに、マイクロ型検出器μDに対する材料の最適混合および相乗効果の利用という選択肢を備え、そのため、μDが感じ易い干渉が保持されず、かつ/または、前濃縮されないが、目標分析対象物質が前濃縮され、かつ、十分に分離される、1つのチップ上での多段前濃縮器(PC)−μGC−μGC−検出器の集積、2)分離器(S)に対する前濃縮器(PC)として機能するための全加熱器アレイ要素の数または一部のユーザによる選択、および/または、(様々な前濃縮器要素からの全ての材料の脱離に対するものとして)どの前濃縮器材料から選択および脱離されたかの化合物のタイプのユーザによる選択を例えば備えた、本マイクロ型分析器の1つまたは双方のμGCの知的かつ柔軟な動作、3)項目1)の設計の(パーム・トップから1インチ(2.54cm)立方タイプまで)のコンパクトさ、3秒間分析、ppb以下の感度、柔軟性、知的さ、集積構造、低電力、無弁電子注入、および、全体的な低費用の特徴を保持する本段落の項目1)の設計、4)本段落の項目1)および3)の設計であって、それにより、示す、かつ、能動的な図21のマイクロ型弁641が排除され、そのため、制御されていないポンプおよび臨界細孔のみが流量調節のために残ることができる設計、5)本段落の項目1から4に従った設計であって、それにより、第1号および第2号μGCを介した質量流速は等しくすることができるが、これらのカラム(および、第1号カラムの終端における固定された圧力降下細孔またはノズル)は、(約tから2tの時間内に)適切に完了された分析が、第1号カラムから溶出したピークの半値幅の時間内に第2号カラムにより行なわれることを可能にするために、流速を第1号カラムのレベルの3から10倍だけ上昇させるように構成(音響ノズルを介してポンプ速度を制御するためのID、ポンプ能力、および、他の固定細孔)することができ、かつ、ゴレーの式に対する値を最適に満たす吸着剤フィルムの調整済みの厚さを特徴とすることができる設計、6)(同じ、または、好ましくは半分の大きさまでの)適する要素および2Δtの時間内での第1号カラムから完全なピーク(図24を参照、Δt=20ミリ秒)を「対象絞込み」することによるマイクロ型分析器600、610、および/または、610の動作の達成であって、それにより、そのピークが1から2ミリ秒である時間Δt2内に脱離および洗い流しすることができる動作の達成、7)2つの作業の最大質量流量、ポンプ排気時間、および、圧力の要件の全てを満足しなければならないとすることができる1つのポンプをむしろ使用して、特定の流速および吸込み圧力でポンプ排気するために各々が設計されている図23の2つのポンプ621および622の使用、8)2つの分離機能、すなわち、(分光学的関数、例えば分析対象物質をそれらの物質の光吸収、質量、沸点などの特性に基づき分離するための関数を介した)選択性、および、非選択的だが非常に高感度な検出器を介した選択性をマイクロ型分析器に内蔵することに好ましくはよって、独立した測定値の数を増加することができるに従い低下する偽陽性の確率を低減するための多くのタイプの集積された検出器の集積および使用を含むことができる。
【0094】
マイクロ型分析器の第3号実施形態の長所は、1)異なる吸着剤フィルム材料の余分のマスクおよび堆積のための費用のぎりぎりの上昇に対してより高い分解能、したがって、より完全な分析を可能にするためのμGC−μGCの組み合わせ、2)「加熱器波」の伝播の電子的に制御された速度の小さな調整を介した能動弁の排除および適切な同期の管理に基づいた費用削減、3)加熱器速度の電子的な調整を介した、流量センサに対して従来必要であった較正精度の低減による(流量はこの流量センサの支援を得て近似的に測定および調整することができるが、最適同期は本段落の第2項に説明されているように遂行することができる)さらなる費用の削減、4)(同じ費用で)必要とされるより20から80%高いポンプ能力を使用するが、ポンプ速度の制御に関わる制御の設計およびデバグの努力を節約することによる費用およびメンテナンスのさらなる削減(余剰能力は固定細孔により制限された流量を介して単に制御することができる)、5)各々が自身の課題に対して設計された図23におけるような2つのポンプ621および622の使用は、最大の流速、ポンプ排気時間、および、圧力の要件の全てを満たさなければならない1つのポンプを使用することより効率的であり、かつ、追加の細孔の費用および設計努力を節約できる、および、6)要素PC−μGC−μGC−μD3...μDmのm個の連鎖からなるシステムにおける各nの寄与は、偽陽性の確率Pfpを最小に抑えることに役立てることができ、ここで、
1/Pfp=[1−exp{−(RSN−1)/4}](n,n,...n0,8(Y+1)、
かつ、RSN=信号/雑音比、n、n、n、...n、=独立した測定または排除の基準の数(例えば、選択的PC要素を介した濾過工程、第1号μGCおよび第2号μGCを介した分光学的分解能要素、または、いくつかの異なったμDの各々を介した測定チャネル)、および、Y=1/P、すなわち、特定の偽陽性が、一旦登録されれば、冗長なセンサを介してそれとして確認することができる確率の逆数が測定を反復し、センサ・グリッド中の近隣のセンサおよび/または通常は高い相互感度の干渉の出現の発生、を含むことができる。
【0095】
本発明は少なくとも1つの例示的実施形態に関して説明されたが、本明細書を読むと、当業者には多くの改変および修正が明らかにある。したがって、全てのそのような改変および修正を含むために、冒頭の特許請求の範囲は従来技術に鑑みて可能な限り広く解釈されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】センサ・システムを示す図である。
【図2】マイクロ型ガス装置の詳細を示す図である。
【図3】例示的位相加熱器機構のレイアウトを示す図である。
【図4】直線状チャネル上の加熱器要素の長さ方向断面図である。
【図5】直線状チャネル上の二連フィルム加熱器要素の長さ方向断面図である。
【図6a】二連フィルム加熱器要素の断面端面図である。
【図6b】単一フィルム加熱器要素の断面端面図である。
【図6c】単一フィルム加熱器要素の断面端面図である。
【図7】加熱器温度のプロファイルを、センサ装置の各加熱器要素において生成された対応する濃度パルスと共に示すグラフである。
【図8】分析対象物質の濃度に対する各段ごとの増強を示すためにいくつの加熱器要素を示すグラフである。
【図9】100%の濃度レベルに到達している濃度パルスを示すグラフである。
【図10】様々な元素に対する検出限界および選択性を示す表である。
【図11】多重元素試験用混合物のクロマトグラフを示す図である。
【図12】1つの気体に対する相対強度、放電対圧力のグラフである。
【図13】気体検出のための光源および検出器(MDD)の組のアレイの断面図である。
【図14】MDDとSiフォト・ダイオードの間のスペクトル応答の比較のグラフである。
【図15】センサ、濃縮器、および、分離器を含む位相加熱器アレイ構造についての集積レイアウトの図である。
【図16】センサの濃縮器および分離器の部分のための論理加熱要素の選択の図である。
【図17】マイクロ型分析器を示す図である。
【図18】濃度レベルを高めるタイミングを示すグラフである。
【図19】分析対象物質質量をフィルム長x濃度で示す表である。
【図20】断面において100×100マイクロメータの典型的なMEMSチャネルを介した圧力降下を示す表である。
【図21】GC−GCタイプの二次元構造体を有するマイクロ型分析器を示す図である。
【図22】別のマイクロ型分析器を示す図である。
【図23】さらにまた別のマイクロ型分析器を示す図である。
【図24】位相構造に基づいたμGC−GCシステムの設計を示す表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の平行なチャネル(527)を有する前濃縮器(526)と、
前記前濃縮器(526)に接続された濃縮器(523)と、
前記濃縮器(523)に接続された第1の分離器(524)と、を含む流体分析器(500)。
【請求項2】
前記濃縮器(523)内に定置された第1の複数の加熱器要素(20、22、24、26)をさらに含む請求項1に記載の分析器。
【請求項3】
前記第1の分離器(524)に接続された第2の分離器(525)をさらに含む請求項2に記載の分析器。
【請求項4】
前記前濃縮器(526)の前記チャネルにおいて第2の複数の加熱器要素(20、22、24、26)をさらに含む請求項3に記載の分析器。
【請求項5】
濃縮された熱パルスを供給するために、前記第1および第2の複数の加熱器要素(20、22、24、26)に接続された制御装置(535)をさらに含む請求項4に記載の分析器。
【請求項6】
濃縮器(623)と、
前記濃縮器(623)に接続された第1の分離器(624)と、
前記第1の分離器(624)に接続された第2の分離器(625)と、
前記第1の分離器(624)に接続された第1の端部を有するバイパス管(643)と、
前記第2の分離器(625)の出口および前記バイパス管(643)の第2の端部に接続されたポンプ(640)と、を含む流体分析器(600)。
【請求項7】
複数の流体クロマトグラフの構成を有する請求項6に記載の流体分析器。
【請求項8】
前記バイパス管(643)に定置されたマイクロ型弁(641)をさらに含む請求項7に記載の分析器。
【請求項9】
濃縮器(623)と、
前記濃縮器(623)に接続された第1の分離器(624)と、
前記第1の分離器(624)に接続された第2の分離器(625)と、
前記第2の分離器(625)の出力に接続されたポンプ(640)と、
分析器(610)内の流体流の経路に沿って定置された複数の検出器(631、632、633、634)と、を含み、
前記流体分析器(610)は多流体クロマトグラフの構成を有する、流体分析器(610)。
【請求項10】
複数の位相加熱器要素(20、22、24、26)を有する濃縮器(623)と、
前記濃縮器(623)に接続された第1の分離器(651)と、
前記第1の分離器(651)に接続された第2の分離器(654)と、
前記濃縮器(623)の入力に接続された第1のポンプ(621)と、
前記第2の分離器(654)の出力に接続された第2のポンプ(622)と、
前記分析器(620)の流体流路に沿って定置された複数の検出器(631、632、652、655)と、を含み、
前記分析器(620)は少なくとも2つのクロマトグラフの構成を有する流体分析器(620)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2006−515673(P2006−515673A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501607(P2005−501607)
【出願日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/030458
【国際公開番号】WO2004/038400
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)