位相整合光学格子
【課題】光通信ネットワークにおいて信号の多重化および逆多重化を実施するための位相整合光学格子を提供する。
【解決手段】従来技術の格子では、中心出力と周辺出力を比較すると、格子線と焦点線上の出力との間に位相線形誤差が存在する。これは、通過帯域を限定する各出力間の相対位相差に対応する。AWGの場合、この低下は、出力スター・カプラにおける場の収差に主に由来する。本発明は、光学格子の格子線が円形弧の代わりに楕円の上に位置し、一方、出力の焦点線がほぼ円形の弧を画定する場合、位相線形誤差がほぼ排除され、全出力がほぼ同じ位相を有するという最適条件を見ることができることを認識した。その結果、これにより、WDMスペクトルにわたってほぼ一様な通過帯域が創出される。
【解決手段】従来技術の格子では、中心出力と周辺出力を比較すると、格子線と焦点線上の出力との間に位相線形誤差が存在する。これは、通過帯域を限定する各出力間の相対位相差に対応する。AWGの場合、この低下は、出力スター・カプラにおける場の収差に主に由来する。本発明は、光学格子の格子線が円形弧の代わりに楕円の上に位置し、一方、出力の焦点線がほぼ円形の弧を画定する場合、位相線形誤差がほぼ排除され、全出力がほぼ同じ位相を有するという最適条件を見ることができることを認識した。その結果、これにより、WDMスペクトルにわたってほぼ一様な通過帯域が創出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照によって本明細書に組み込まれる2005年6月17日出願の仮特許出願60/691489の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、波長分割多重WDM信号を伝送する光通信ネットワークにおいて信号の多重化および逆多重化を実施するための位相整合光学格子に関する。位相整合光学格子は、伝送スペクトルにわたって等しい位相出力チャネルを提供する。
【背景技術】
【0003】
光ネットワークの伝送容量が増大することにより、より広い通過帯域および通過帯域内におけるより低いリプルを提供することができる、アレイ導波路格子(AWG)およびエシェル格子などの自由空間大型格子または集積光学機器などであるデマルチプレクサが必要とされる。これは、より広いスペクトルを有するより高いビット率を伝送するネットワーク・システムについて特に当てはまる。さらに、再構成可能光学アドドロップ・モジュール(ROADM)を使用する光ネットワークは、デマルチプレクサおよびマルチプレクサのカスケードを通過する光信号を有し、それにより累積損失がより深刻になる。
【0004】
すべての出力チャネルの通過帯域は、デバイスにおいて一定であり、好ましくは同じ幅および平坦な上部形状を有することが望ましい。通過帯域幅を増大させ、平坦な上部形状を提供し、かつリプルを低減するために、多くの例が従来の技術の設計において存在する。しかし、通過帯域の形状は、標準的なAWGでは出力にわたって変化することが観測されている。中心出力の通過帯域は、最高の振幅、および中心からさらに段階的に出力についてより低くかつより狭くなる周波数幅を有する。通過帯域の変化は、出力ごとにフィルタ機能を変形させ、平坦さを低減し、ならびにリプルを増大させる。これは、外部チャネルの品質を低下させるので、AWGの性能を制限する。
【0005】
2004年7月27日にAlcatel Optonics UK Limitedに発行された米国特許第6768842号は、3次収差(COMA)を除去するために、スター・カプラ導波路におけるアレイ導波路の角度がチャープされるAWGを開示しており、この3次収差は、除去されない場合、具体的にはAWGが平坦な通過帯域を有する場合にAWG出力チャネル信号において非対称性を生じさせる。スター・カプラの形状は変更されない。
【0006】
本発明によれば、共焦点構成またはローランド構成が使用されるとき、中心出力を周辺出力と比較すると、格子線と焦点線上の出力との間に位相線形誤差が存在することが判明した。これは、通過帯域を限定する各出力間の相対的な位相差に対応する。AWGの場合、この低下は、共焦点であってもローランドであっても、出力スター・カプラにおける場の収差に主に由来する。入力導波路が中心から離れて使用される場合、同じ低下が、入力スター・カプラについても起きる。
【0007】
2002年1月15日にBriish Technology Groupに発行された米国特許第6339664号は、3dB通過帯域を広くするために、非線形のΔl増分が設計されるAWGを開示している。これは、導波路アレイの経路長増分において非線形放物線機能を組み込むことによって実施される。これは、格子線の変化として、または円形格子線を変化させずに導波路を変更することによって、実現することができる。どちらの方法も、平均位相を変化させる。しかし、この特許は、スター・カプラの幾何形状によって生じる位相誤差を認識しない。その結果、通過帯域が広くされる場合でも、個々の出力位相に対する補正は行われず、通過帯域の一様性は、波長スペクトルにわたって改善されない。
【0008】
この位相線形誤差は、多くの光学格子に共通の幾何形状構成に由来する。たとえば、凹形の大きな光学格子またはエシェル格子は、通常、弓形焦点線と対向する弓形格子線をも含み、これらは一般に無視される同じ位相誤差を生じる。格子線に到達するアレイの位相を変化させることにより、出力が認識する平均位相のみが変化する。これは、出力ごとの変化を制御する格子線の幾何形状である。
【特許文献1】米国特許第6768842号
【特許文献2】米国特許第6339664号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、出力のすべてが振幅および幅についてほぼ等しい光学格子を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、出力のすべてがほぼ位相整合されている光学格子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、光学格子の格子線が円形弧の代わりに楕円の上に配置され、一方、出力の焦点線(focal line)が円形弧を画定する場合、位相線形誤差がほぼ排除され、すべての出力がほぼ同じ位相を有するという最適条件を見ることができることを認識した。その結果、これにより、WDMスペクトルにわたってほぼ一様な通過帯域が創出される。
【0012】
したがって、本発明は、複数の波長の入力光を複数の空間的に分離した波長チャネル帯域に分離するための光学格子であって、
非円形楕円を備える凹形格子線を有し、かつ焦点fを有する格子と、前記楕円の焦点距離にほぼ等しい半径を有するfを通るほぼ円形の弧の上に配置された複数の出力部とを備え、
それにより、前記出力部において受光された各波長チャネル帯域の光が、ほぼ同じ位相を有する、光学格子に関する。
【0013】
本発明の他の態様は、複数の導波路の入力光を複数の空間的に分離した波長チャネル帯域に分離するための、アレイ導波路格子を備える光学格子であって、前記アレイ導波路格子が、逆多重化方向において、
各導波路アームが他の導波路アームのいずれとも異なる光路長を有する複数の導波路アームを備える格子と、
入力格子線において前記格子に光学的に結合され、入力焦点線において少なくとも1つの入力導波路に光学的に結合された入力スター・カプラと、
出力格子線において前記格子に光学的に結合され、前記出力焦点線において複数の出力導波路に光学的に結合された出力スター・カプラとを有し、
前記出力格子線が、焦点距離を有する非円形楕円を備え、前記出力焦点線が、前記楕円の前記焦点距離にほぼ等しい半径を有する円形弧と、前記複数の出力における各チャネル帯域の光がほぼ同じ位相を有するように、前記格子線から前記楕円の焦点距離にほぼ位置する前記焦点線の中心点とを備える、光学格子に関する。
【0014】
本発明の他の態様は、複数の導波路の入力光を複数の空間的に分離した波長チャネル帯域に分離するための、アレイ導波路格子を備える光学格子であって、前記アレイ導波路格子が、逆多重化方向において、
各導波路アームが他の導波路アームのいずれとも異なる光路長を有する複数の導波路アームを備える格子と、
入力格子線において前記格子に光学的に結合され、入力焦点線において少なくとも1つの入力導波路に光学的に結合された入力スター・カプラと、
出力格子線において前記格子に光学的に結合され、前記出力焦点線において複数の出力導波路に光学的に結合された出力スター・カプラとを有し、
前記出力格子線が、焦点距離を有する非円形楕円を備え、前記出力焦点線が、前記楕円の前記焦点距離にほぼ等しい半径を有する円形弧と、前記複数の出力における各チャネル帯域の光がほぼ同じ位相を有するように、前記格子線から前記楕円の焦点距離にほぼ位置する前記焦点線の中心点とを備える、光学格子に関する。
【0015】
本発明は、好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に記述される。
【0016】
当然、当技術分野では、これらのデバイスは、逆多重化機能に従って記述されるが、反対にマルチプレクサとして同様に作用することが十分に理解される。入力および出力などの要素は、明瞭化および一貫性のために一貫して逆多重化機能に差し向けられるが、当然、多重化では、それらの機能は反対になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1を参照すると、本発明によるアレイ導波路格子AWGが、10において全体的に示されており、入力焦点線12において入力スター・カプラ2に光学的に結合された入力導波路1からなる。入力スター・カプラ2は、入力格子線14において導波路アーム3のアレイに光学的に結合される。導波路アーム3のアレイは、楕円出力格子線16において出力スター・カプラ4に光学的に結合される。導波路アーム3のアレイからの光は、出力スター・カプラ4をわたって、出力焦点線18の上に構成された複数の出力導波路5に透過する。
【0018】
図2は、325において全体的に示される回折格子マルチプレクサを示す。複数の導波路を有する光を備えるWDM信号が、ポート1において導波路315からサーキュレータ311に結合され、出力ポート2から凹形回折格子320に向けられる。格子320は、本発明により分散出力チャネルの位相を修正するように、楕円形状を有する。分散波長チャネルは、この場合は反射波長イコライザである弓形出力カプラ340の上に集束する。
【0019】
図3は、複数の入力および出力導波路36から自由空間領域34に対向する集積デバイスにおいて形成される弓形格子要素32を有するエシェル格子30を示す。導波路36は、弓形焦点線38に沿って自由空間領域34に光学的に結合される。格子32は、楕円曲線を画定する。
【0020】
図4を参照すると、具体的には出力スター・カプラ4上に集束する場合、標準的な幾何形状では、導波路アーム3のアレイは、半径Rの円形曲線C1において出力スター・カプラ4に入る。出力導波路5は、導波路アーム3のアレイから距離Rに位置し、円形弧C2の上にも位置し、この円形弧は、通常、同じ半径R(共焦点構成)またはR/2(ローランド円形構成)である。図4は、共焦点構成を示し、Akは、
【0021】
【数1】
で円形弧C1の上に位置し、Gは、Fを中心とする基準システムにおいて、
【0022】
【数2】
で円形弧C2の上に位置する。
【0023】
出力部Gによって受光される光は、スター・カプラを経た伝播からの位相によって重み付けされたアレイ導波路A1からANのそれぞれからの寄与の複素和によって計算することができる。
【0024】
【数3】
上式で、λは波長、mはAWGの次数、λcは中心波長、akはAkにおける光の複素振幅、nsはスラブにおける実効屈折率である。
【0025】
出力部が弧C1の正確な中心Fに位置する場合、経路FA1ないしFANは等しく、透過に影響を与えない。(式1)は、以下のようになる。
【0026】
【数4】
【0027】
Gにおける中心ずれ出力について、経路GA1ないしGANは、式3からわかるように、kに関してほぼ線形である。
【0028】
【数5】
式1は、以下のようになる。
【0029】
【数6】
【0030】
【数7】
この結果、Fのスペクトルと同様であるが、線形性からの誤差が上記の式からわかるように考慮に入れられないとき、異なる波長にあるスペクトルが得られる。
【0031】
従来技術のスター・カプラの設計では、そのような誤差は無視された(共焦点円またはローランド円)。しかし、具体的には多数の出力について、位相線形誤差は、透過を著しく低下させる。図2は、従来の共焦点設計を使用する平坦上部AWGの40の出力の透過を示す。図からわかるように、通過帯域は、チャネル出力にわたって一方の側から他方の側に傾斜している。
【0032】
上記で明らかにされたモデルが、ポートにわたる通過帯域の非一様性を説明するために有効であることを確認するために、平坦上部AWGのポート1、20(中心)、および40について、線形からの位相誤差が計算される。図6Aは、ポート1、20、および40について計算された位相線形誤差を示す。図6Bは、ポート1、20、および40についてシミュレーションされたAWGのスペクトルに対する位相線形誤差の影響を示す。このシミュレーションと図5に示される実験結果との良好な相関は、モデルを確認し、標準的なスター・カプラ設計におけるこれらの通過帯域変化の原点を確認する。
【0033】
本書において呈示される本発明は、スター・カプラ構成であり、アレイ導波路は、ポートごとの通過帯域の低下を低減するために、円形弧の代わりに楕円弧の上に配置される。図7は、アレイ導波路3Akが、標準的な円形弧C1の代わりに、Fを中心とする基準システムにおいて、
【0034】
【数8】
の楕円弧Eの上にある出力スラブ4に入る構成を示す。ε≠0について、楕円弧Eは、元の円形弧C1と同一である。アレイ導波路3は、AWGを経た各光路間の遅延が固定増分を有することを保証するように設計される。各経路は、入力スター・カプラ2、直線セクションを有する、または有さない湾曲の連続からなるアレイ導波路3、および出力スター・カプラ4を経て進行した長さからなる。したがって、C1からEまで導波路を移動させることにより、光路において平均位相変化が生成される。これは、アレイにおいて導波路の長さを調節することによって補償することができる。これは、図10A〜10Cに示される。図10Aは、共焦点構成またはローランド構成の円形弧の格子線16を有する従来の技術のスター・カプラを示す。焦点線18上の出力5は、ポート1、20、および40についてグラフにされている。この構成では、3つの出力の位相は、等しくない、または平坦ではない。図10Bでは、格子線16は、楕円Eに変更されている。ポート1、20、および40における位相は、ここでは等しいが、平坦ではない。図10Cでは、図10Bの構成は、各チャネルにおいて平坦位相を創出するために、アレイ3の導波路長を調節することによって修正されている。
【0035】
本発明による格子線16は、円形スター・カプラ4に基づいて本質的に標準的なAWG設計に組み込まれる。格子アレイの遅延は、ほぼ線形の関数によって記述されるが、これは本質的ではない。標準的なAWGのこれらの公称遅延は、円形スター・カプラ設計から変更されない。個々のチャネル位相のみが、スター・カプラの幾何形状の変化によって変更される。個々のチャネルが同じ位相を有した後、平均位相は、好ましい平坦位相を達成するために、アレイにおいてわずかに変更することが可能である。
【0036】
上記で明らかにされた同じモデルを有する異なる偏心率εを使用することによって、−0.25において最適値を見つけることが可能であった。この場合、位相線形誤差ならびにポートごとおよび通過帯域の影響は、最小限である。
【0037】
図8Aは、ポート1、20、および40についてシミュレーションした位相誤差線形性、ならびに対応するスペクトルを示す。図8Aを図6Aと比較するとわかるように、位相誤差は、大きく低減され、ポート1および40について等しく対称的である。ポートごとの通過帯域の形状に対する影響は、最小限である。
【0038】
本発明によるAWGは、−0.25の偏心率を有する楕円格子線を有して製造された。40のチャネルWDMスペクトルにわたって測定された通過帯域が、図9に示される。図からわかるように、最小限の変化は、40の出力にわたる通過帯域において生じ、AWGがすべての出力について良好な性能を呈示することを可能にする。
【0039】
格子線が決定された後、AutoCADなどのレイアウト・プログラムを使用する設計プロセスは、最短導波路を描き、想定中央出力に到達するために、入力スター・カプラ、導波路アレイ、および出力スター・カプラにおける組合わせ経路など、全経路長を計算する。最後の設計では、中心点に出力が存在しないことが可能である。N番目の導波路が解かれるまで、反復方式で各その後の導波路について正確な遅延増分を決定することによって、アレイが解かれる。
【0040】
本発明は、特定の実施形態に関して上記で記述されたが、本発明から逸脱せずに、様々な修正および代用が、当業者には明らかになることが可能である。たとえば、導波路は、出力ごとの位相線形歪みの補正を可能にする多項式関数の和など、楕円を近似する格子線の上に配置することができる。したがって、本発明は、上記で与えられた実施形態の例によってではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明によるアレイ導波路格子(AWG)を示す図である。
【図2】本発明による凹形回折格子デマルチプレクサを示す図である。
【図3】本発明によるエシェル格子を示す図である。
【図4】従来の技術の共焦点スター・カプラの概略図である。
【図5】共焦点スター・カプラを有する従来の技術の上部平坦AWGの通過帯域を示すグラフである。
【図6】図6Aは、図5のAWGの3つの出力にわたって計算された線形からの位相誤差のシミュレーションを示すグラフである。図6Bは、図6Aに示された3つの出力のシミュレーションした通過帯域スペクトルを示すグラフである。
【図7】本発明によるスター・カプラの概略図である。
【図8】図8Aは、図7のスター・カプラを含むAWGの3つの出力にわたって計算された線形からの位相誤差のシミュレーションを示すグラフである。図8Bは、図8Aに示された3つの出力の通過帯域スペクトルを示すグラフである。
【図9】本発明により製造されたAWGの通過帯域を示すグラフである。
【図10A】中心出力が格子線の中心点に位置する、円形格子線を有するスター・カプラからの3つの出力の位相のシミュレーションを概略的に示すグラフである。
【図10B】格子線が楕円に移動され、各出力の位相が等しい場合である、図10Aの3つの出力の位相のシミュレーションを概略的に示すグラフである。
【図10C】各出力の位相が、格子のアーム距離(図示せず)を調節することによって修正されている、図10Bの3つの出力の位相のシミュレーションを概略的に示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照によって本明細書に組み込まれる2005年6月17日出願の仮特許出願60/691489の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、波長分割多重WDM信号を伝送する光通信ネットワークにおいて信号の多重化および逆多重化を実施するための位相整合光学格子に関する。位相整合光学格子は、伝送スペクトルにわたって等しい位相出力チャネルを提供する。
【背景技術】
【0003】
光ネットワークの伝送容量が増大することにより、より広い通過帯域および通過帯域内におけるより低いリプルを提供することができる、アレイ導波路格子(AWG)およびエシェル格子などの自由空間大型格子または集積光学機器などであるデマルチプレクサが必要とされる。これは、より広いスペクトルを有するより高いビット率を伝送するネットワーク・システムについて特に当てはまる。さらに、再構成可能光学アドドロップ・モジュール(ROADM)を使用する光ネットワークは、デマルチプレクサおよびマルチプレクサのカスケードを通過する光信号を有し、それにより累積損失がより深刻になる。
【0004】
すべての出力チャネルの通過帯域は、デバイスにおいて一定であり、好ましくは同じ幅および平坦な上部形状を有することが望ましい。通過帯域幅を増大させ、平坦な上部形状を提供し、かつリプルを低減するために、多くの例が従来の技術の設計において存在する。しかし、通過帯域の形状は、標準的なAWGでは出力にわたって変化することが観測されている。中心出力の通過帯域は、最高の振幅、および中心からさらに段階的に出力についてより低くかつより狭くなる周波数幅を有する。通過帯域の変化は、出力ごとにフィルタ機能を変形させ、平坦さを低減し、ならびにリプルを増大させる。これは、外部チャネルの品質を低下させるので、AWGの性能を制限する。
【0005】
2004年7月27日にAlcatel Optonics UK Limitedに発行された米国特許第6768842号は、3次収差(COMA)を除去するために、スター・カプラ導波路におけるアレイ導波路の角度がチャープされるAWGを開示しており、この3次収差は、除去されない場合、具体的にはAWGが平坦な通過帯域を有する場合にAWG出力チャネル信号において非対称性を生じさせる。スター・カプラの形状は変更されない。
【0006】
本発明によれば、共焦点構成またはローランド構成が使用されるとき、中心出力を周辺出力と比較すると、格子線と焦点線上の出力との間に位相線形誤差が存在することが判明した。これは、通過帯域を限定する各出力間の相対的な位相差に対応する。AWGの場合、この低下は、共焦点であってもローランドであっても、出力スター・カプラにおける場の収差に主に由来する。入力導波路が中心から離れて使用される場合、同じ低下が、入力スター・カプラについても起きる。
【0007】
2002年1月15日にBriish Technology Groupに発行された米国特許第6339664号は、3dB通過帯域を広くするために、非線形のΔl増分が設計されるAWGを開示している。これは、導波路アレイの経路長増分において非線形放物線機能を組み込むことによって実施される。これは、格子線の変化として、または円形格子線を変化させずに導波路を変更することによって、実現することができる。どちらの方法も、平均位相を変化させる。しかし、この特許は、スター・カプラの幾何形状によって生じる位相誤差を認識しない。その結果、通過帯域が広くされる場合でも、個々の出力位相に対する補正は行われず、通過帯域の一様性は、波長スペクトルにわたって改善されない。
【0008】
この位相線形誤差は、多くの光学格子に共通の幾何形状構成に由来する。たとえば、凹形の大きな光学格子またはエシェル格子は、通常、弓形焦点線と対向する弓形格子線をも含み、これらは一般に無視される同じ位相誤差を生じる。格子線に到達するアレイの位相を変化させることにより、出力が認識する平均位相のみが変化する。これは、出力ごとの変化を制御する格子線の幾何形状である。
【特許文献1】米国特許第6768842号
【特許文献2】米国特許第6339664号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、出力のすべてが振幅および幅についてほぼ等しい光学格子を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、出力のすべてがほぼ位相整合されている光学格子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、光学格子の格子線が円形弧の代わりに楕円の上に配置され、一方、出力の焦点線(focal line)が円形弧を画定する場合、位相線形誤差がほぼ排除され、すべての出力がほぼ同じ位相を有するという最適条件を見ることができることを認識した。その結果、これにより、WDMスペクトルにわたってほぼ一様な通過帯域が創出される。
【0012】
したがって、本発明は、複数の波長の入力光を複数の空間的に分離した波長チャネル帯域に分離するための光学格子であって、
非円形楕円を備える凹形格子線を有し、かつ焦点fを有する格子と、前記楕円の焦点距離にほぼ等しい半径を有するfを通るほぼ円形の弧の上に配置された複数の出力部とを備え、
それにより、前記出力部において受光された各波長チャネル帯域の光が、ほぼ同じ位相を有する、光学格子に関する。
【0013】
本発明の他の態様は、複数の導波路の入力光を複数の空間的に分離した波長チャネル帯域に分離するための、アレイ導波路格子を備える光学格子であって、前記アレイ導波路格子が、逆多重化方向において、
各導波路アームが他の導波路アームのいずれとも異なる光路長を有する複数の導波路アームを備える格子と、
入力格子線において前記格子に光学的に結合され、入力焦点線において少なくとも1つの入力導波路に光学的に結合された入力スター・カプラと、
出力格子線において前記格子に光学的に結合され、前記出力焦点線において複数の出力導波路に光学的に結合された出力スター・カプラとを有し、
前記出力格子線が、焦点距離を有する非円形楕円を備え、前記出力焦点線が、前記楕円の前記焦点距離にほぼ等しい半径を有する円形弧と、前記複数の出力における各チャネル帯域の光がほぼ同じ位相を有するように、前記格子線から前記楕円の焦点距離にほぼ位置する前記焦点線の中心点とを備える、光学格子に関する。
【0014】
本発明の他の態様は、複数の導波路の入力光を複数の空間的に分離した波長チャネル帯域に分離するための、アレイ導波路格子を備える光学格子であって、前記アレイ導波路格子が、逆多重化方向において、
各導波路アームが他の導波路アームのいずれとも異なる光路長を有する複数の導波路アームを備える格子と、
入力格子線において前記格子に光学的に結合され、入力焦点線において少なくとも1つの入力導波路に光学的に結合された入力スター・カプラと、
出力格子線において前記格子に光学的に結合され、前記出力焦点線において複数の出力導波路に光学的に結合された出力スター・カプラとを有し、
前記出力格子線が、焦点距離を有する非円形楕円を備え、前記出力焦点線が、前記楕円の前記焦点距離にほぼ等しい半径を有する円形弧と、前記複数の出力における各チャネル帯域の光がほぼ同じ位相を有するように、前記格子線から前記楕円の焦点距離にほぼ位置する前記焦点線の中心点とを備える、光学格子に関する。
【0015】
本発明は、好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に記述される。
【0016】
当然、当技術分野では、これらのデバイスは、逆多重化機能に従って記述されるが、反対にマルチプレクサとして同様に作用することが十分に理解される。入力および出力などの要素は、明瞭化および一貫性のために一貫して逆多重化機能に差し向けられるが、当然、多重化では、それらの機能は反対になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1を参照すると、本発明によるアレイ導波路格子AWGが、10において全体的に示されており、入力焦点線12において入力スター・カプラ2に光学的に結合された入力導波路1からなる。入力スター・カプラ2は、入力格子線14において導波路アーム3のアレイに光学的に結合される。導波路アーム3のアレイは、楕円出力格子線16において出力スター・カプラ4に光学的に結合される。導波路アーム3のアレイからの光は、出力スター・カプラ4をわたって、出力焦点線18の上に構成された複数の出力導波路5に透過する。
【0018】
図2は、325において全体的に示される回折格子マルチプレクサを示す。複数の導波路を有する光を備えるWDM信号が、ポート1において導波路315からサーキュレータ311に結合され、出力ポート2から凹形回折格子320に向けられる。格子320は、本発明により分散出力チャネルの位相を修正するように、楕円形状を有する。分散波長チャネルは、この場合は反射波長イコライザである弓形出力カプラ340の上に集束する。
【0019】
図3は、複数の入力および出力導波路36から自由空間領域34に対向する集積デバイスにおいて形成される弓形格子要素32を有するエシェル格子30を示す。導波路36は、弓形焦点線38に沿って自由空間領域34に光学的に結合される。格子32は、楕円曲線を画定する。
【0020】
図4を参照すると、具体的には出力スター・カプラ4上に集束する場合、標準的な幾何形状では、導波路アーム3のアレイは、半径Rの円形曲線C1において出力スター・カプラ4に入る。出力導波路5は、導波路アーム3のアレイから距離Rに位置し、円形弧C2の上にも位置し、この円形弧は、通常、同じ半径R(共焦点構成)またはR/2(ローランド円形構成)である。図4は、共焦点構成を示し、Akは、
【0021】
【数1】
で円形弧C1の上に位置し、Gは、Fを中心とする基準システムにおいて、
【0022】
【数2】
で円形弧C2の上に位置する。
【0023】
出力部Gによって受光される光は、スター・カプラを経た伝播からの位相によって重み付けされたアレイ導波路A1からANのそれぞれからの寄与の複素和によって計算することができる。
【0024】
【数3】
上式で、λは波長、mはAWGの次数、λcは中心波長、akはAkにおける光の複素振幅、nsはスラブにおける実効屈折率である。
【0025】
出力部が弧C1の正確な中心Fに位置する場合、経路FA1ないしFANは等しく、透過に影響を与えない。(式1)は、以下のようになる。
【0026】
【数4】
【0027】
Gにおける中心ずれ出力について、経路GA1ないしGANは、式3からわかるように、kに関してほぼ線形である。
【0028】
【数5】
式1は、以下のようになる。
【0029】
【数6】
【0030】
【数7】
この結果、Fのスペクトルと同様であるが、線形性からの誤差が上記の式からわかるように考慮に入れられないとき、異なる波長にあるスペクトルが得られる。
【0031】
従来技術のスター・カプラの設計では、そのような誤差は無視された(共焦点円またはローランド円)。しかし、具体的には多数の出力について、位相線形誤差は、透過を著しく低下させる。図2は、従来の共焦点設計を使用する平坦上部AWGの40の出力の透過を示す。図からわかるように、通過帯域は、チャネル出力にわたって一方の側から他方の側に傾斜している。
【0032】
上記で明らかにされたモデルが、ポートにわたる通過帯域の非一様性を説明するために有効であることを確認するために、平坦上部AWGのポート1、20(中心)、および40について、線形からの位相誤差が計算される。図6Aは、ポート1、20、および40について計算された位相線形誤差を示す。図6Bは、ポート1、20、および40についてシミュレーションされたAWGのスペクトルに対する位相線形誤差の影響を示す。このシミュレーションと図5に示される実験結果との良好な相関は、モデルを確認し、標準的なスター・カプラ設計におけるこれらの通過帯域変化の原点を確認する。
【0033】
本書において呈示される本発明は、スター・カプラ構成であり、アレイ導波路は、ポートごとの通過帯域の低下を低減するために、円形弧の代わりに楕円弧の上に配置される。図7は、アレイ導波路3Akが、標準的な円形弧C1の代わりに、Fを中心とする基準システムにおいて、
【0034】
【数8】
の楕円弧Eの上にある出力スラブ4に入る構成を示す。ε≠0について、楕円弧Eは、元の円形弧C1と同一である。アレイ導波路3は、AWGを経た各光路間の遅延が固定増分を有することを保証するように設計される。各経路は、入力スター・カプラ2、直線セクションを有する、または有さない湾曲の連続からなるアレイ導波路3、および出力スター・カプラ4を経て進行した長さからなる。したがって、C1からEまで導波路を移動させることにより、光路において平均位相変化が生成される。これは、アレイにおいて導波路の長さを調節することによって補償することができる。これは、図10A〜10Cに示される。図10Aは、共焦点構成またはローランド構成の円形弧の格子線16を有する従来の技術のスター・カプラを示す。焦点線18上の出力5は、ポート1、20、および40についてグラフにされている。この構成では、3つの出力の位相は、等しくない、または平坦ではない。図10Bでは、格子線16は、楕円Eに変更されている。ポート1、20、および40における位相は、ここでは等しいが、平坦ではない。図10Cでは、図10Bの構成は、各チャネルにおいて平坦位相を創出するために、アレイ3の導波路長を調節することによって修正されている。
【0035】
本発明による格子線16は、円形スター・カプラ4に基づいて本質的に標準的なAWG設計に組み込まれる。格子アレイの遅延は、ほぼ線形の関数によって記述されるが、これは本質的ではない。標準的なAWGのこれらの公称遅延は、円形スター・カプラ設計から変更されない。個々のチャネル位相のみが、スター・カプラの幾何形状の変化によって変更される。個々のチャネルが同じ位相を有した後、平均位相は、好ましい平坦位相を達成するために、アレイにおいてわずかに変更することが可能である。
【0036】
上記で明らかにされた同じモデルを有する異なる偏心率εを使用することによって、−0.25において最適値を見つけることが可能であった。この場合、位相線形誤差ならびにポートごとおよび通過帯域の影響は、最小限である。
【0037】
図8Aは、ポート1、20、および40についてシミュレーションした位相誤差線形性、ならびに対応するスペクトルを示す。図8Aを図6Aと比較するとわかるように、位相誤差は、大きく低減され、ポート1および40について等しく対称的である。ポートごとの通過帯域の形状に対する影響は、最小限である。
【0038】
本発明によるAWGは、−0.25の偏心率を有する楕円格子線を有して製造された。40のチャネルWDMスペクトルにわたって測定された通過帯域が、図9に示される。図からわかるように、最小限の変化は、40の出力にわたる通過帯域において生じ、AWGがすべての出力について良好な性能を呈示することを可能にする。
【0039】
格子線が決定された後、AutoCADなどのレイアウト・プログラムを使用する設計プロセスは、最短導波路を描き、想定中央出力に到達するために、入力スター・カプラ、導波路アレイ、および出力スター・カプラにおける組合わせ経路など、全経路長を計算する。最後の設計では、中心点に出力が存在しないことが可能である。N番目の導波路が解かれるまで、反復方式で各その後の導波路について正確な遅延増分を決定することによって、アレイが解かれる。
【0040】
本発明は、特定の実施形態に関して上記で記述されたが、本発明から逸脱せずに、様々な修正および代用が、当業者には明らかになることが可能である。たとえば、導波路は、出力ごとの位相線形歪みの補正を可能にする多項式関数の和など、楕円を近似する格子線の上に配置することができる。したがって、本発明は、上記で与えられた実施形態の例によってではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明によるアレイ導波路格子(AWG)を示す図である。
【図2】本発明による凹形回折格子デマルチプレクサを示す図である。
【図3】本発明によるエシェル格子を示す図である。
【図4】従来の技術の共焦点スター・カプラの概略図である。
【図5】共焦点スター・カプラを有する従来の技術の上部平坦AWGの通過帯域を示すグラフである。
【図6】図6Aは、図5のAWGの3つの出力にわたって計算された線形からの位相誤差のシミュレーションを示すグラフである。図6Bは、図6Aに示された3つの出力のシミュレーションした通過帯域スペクトルを示すグラフである。
【図7】本発明によるスター・カプラの概略図である。
【図8】図8Aは、図7のスター・カプラを含むAWGの3つの出力にわたって計算された線形からの位相誤差のシミュレーションを示すグラフである。図8Bは、図8Aに示された3つの出力の通過帯域スペクトルを示すグラフである。
【図9】本発明により製造されたAWGの通過帯域を示すグラフである。
【図10A】中心出力が格子線の中心点に位置する、円形格子線を有するスター・カプラからの3つの出力の位相のシミュレーションを概略的に示すグラフである。
【図10B】格子線が楕円に移動され、各出力の位相が等しい場合である、図10Aの3つの出力の位相のシミュレーションを概略的に示すグラフである。
【図10C】各出力の位相が、格子のアーム距離(図示せず)を調節することによって修正されている、図10Bの3つの出力の位相のシミュレーションを概略的に示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の波長の入力光を複数の空間的に分離した波長チャネル帯域に分離するための光学格子であって、
非円形楕円を備える凹形格子線を有し、かつ焦点fを有する格子と、
前記楕円の焦点距離にほぼ等しい半径を有するfを通るほぼ円形の弧の上に配置された複数の出力部とを備え、
それにより、前記出力部において受光された各波長チャネル帯域の光が、ほぼ同じ位相を有する、光学格子。
【請求項2】
前記非円形楕円が、−0.25の偏心率を有する、請求項1に記載の光学格子。
【請求項3】
前記楕円が、多項式関数の和によって近似される、請求項1に記載の光学格子。
【請求項4】
前記光学格子が集積アレイ導波路格子を備え、前記集積アレイ導波路格子が、
入力スター・カプラの焦点線に光学的に結合された少なくとも1つの入力導波路と、
複数の導波路アームから構成され、前記導波路アームの端部が、前記入力スター・カプラおよび出力スター・カプラのそれぞれにおいて格子線を形成する、格子と、
前記出力スター・カプラの焦点線に結合された複数の出力導波路とを有し、前記出力スター・カプラの前記格子線が非円形楕円を備える、請求項1に記載の光学格子。
【請求項5】
前記非円形楕円が、−0.25の偏心率を有する、請求項4に記載の光学格子。
【請求項6】
前記入力スター・カプラの前記格子線が、非円形楕円を備える、請求項4に記載の光学格子。
【請求項7】
前記導波路アームが、各出力について平坦な位相を提供するような光路長を有する、請求項4に記載の光学格子。
【請求項8】
前記光学格子が集積エシェル格子を備え、前記集積エシェル格子が、
少なくとも1つの入力導波路と、
非円形楕円を備える格子線を有するエシェル格子と、
自由空間領域と、
前記自由空間領域に隣接するほぼ円形の弧に位置する端部を有する複数の出力導波路とを有する、請求項1に記載の光学格子。
【請求項9】
前記光学格子が、楕円形状を有する凹形の大きな格子を備える、請求項1に記載の光学格子。
【請求項10】
複数の導波路の入力光を複数の空間的に分離した波長チャネル帯域に分離するための、アレイ導波路格子を備える光学格子であって、前記アレイ導波路格子が、逆多重化方向において、
各導波路アームが他の導波路アームのいずれとも異なる光路長を有する複数の導波路アームを備える格子と、
入力格子線において前記格子に光学的に結合され、入力焦点線において少なくとも1つの入力導波路に光学的に結合された入力スター・カプラと、
出力格子線において前記格子に光学的に結合され、前記出力焦点線において複数の出力導波路に光学的に結合された出力スター・カプラとを有し、
前記出力格子線が、焦点距離を有する非円形楕円を備え、前記出力焦点線が、前記楕円の前記焦点距離にほぼ等しい半径を有する円形弧と、前記複数の出力における各チャネル帯域の光がほぼ同じ位相を有するように、前記格子線から前記楕円の焦点距離にほぼ位置する前記焦点線の中心点とを備える、光学格子。
【請求項11】
前記出力格子線の前記非円形楕円が、−0.25の偏心率を有する、請求項10に記載の光学格子。
【請求項12】
前記格子導波路アームの前記光路長が、前記複数の出力における各チャネル帯域の光がほぼ平坦な位相を有するように補償される、請求項11に記載の光学格子。
【請求項13】
前記入力スター・カプラの前記入力格子線が非円形楕円を備え、前記入力焦点線上の非中心位置に位置する入力導波路から光を受光するために、前記非円形楕円が前記入力焦点線から前記楕円の焦点距離に位置し、前記入力焦点線が前記楕円の前記焦点距離に等しい半径を有する円形弧を備える、請求項10に記載の光学格子。
【請求項14】
前記複数の導波路アームの光路長の差が、円形出力格子線に関して計算され、前記光路長差によって創出される光学遅延が、楕円出力格子線と共同してほぼ維持される、請求項10に記載の光学格子。
【請求項15】
前記複数の導波路アームの前記光路長差が、ほぼ線形の関数によって画定されうる、請求項10に記載の光学格子。
【請求項16】
前記楕円が、多項式関数の和によって近似される、請求項10に記載の光学格子。
【請求項1】
複数の波長の入力光を複数の空間的に分離した波長チャネル帯域に分離するための光学格子であって、
非円形楕円を備える凹形格子線を有し、かつ焦点fを有する格子と、
前記楕円の焦点距離にほぼ等しい半径を有するfを通るほぼ円形の弧の上に配置された複数の出力部とを備え、
それにより、前記出力部において受光された各波長チャネル帯域の光が、ほぼ同じ位相を有する、光学格子。
【請求項2】
前記非円形楕円が、−0.25の偏心率を有する、請求項1に記載の光学格子。
【請求項3】
前記楕円が、多項式関数の和によって近似される、請求項1に記載の光学格子。
【請求項4】
前記光学格子が集積アレイ導波路格子を備え、前記集積アレイ導波路格子が、
入力スター・カプラの焦点線に光学的に結合された少なくとも1つの入力導波路と、
複数の導波路アームから構成され、前記導波路アームの端部が、前記入力スター・カプラおよび出力スター・カプラのそれぞれにおいて格子線を形成する、格子と、
前記出力スター・カプラの焦点線に結合された複数の出力導波路とを有し、前記出力スター・カプラの前記格子線が非円形楕円を備える、請求項1に記載の光学格子。
【請求項5】
前記非円形楕円が、−0.25の偏心率を有する、請求項4に記載の光学格子。
【請求項6】
前記入力スター・カプラの前記格子線が、非円形楕円を備える、請求項4に記載の光学格子。
【請求項7】
前記導波路アームが、各出力について平坦な位相を提供するような光路長を有する、請求項4に記載の光学格子。
【請求項8】
前記光学格子が集積エシェル格子を備え、前記集積エシェル格子が、
少なくとも1つの入力導波路と、
非円形楕円を備える格子線を有するエシェル格子と、
自由空間領域と、
前記自由空間領域に隣接するほぼ円形の弧に位置する端部を有する複数の出力導波路とを有する、請求項1に記載の光学格子。
【請求項9】
前記光学格子が、楕円形状を有する凹形の大きな格子を備える、請求項1に記載の光学格子。
【請求項10】
複数の導波路の入力光を複数の空間的に分離した波長チャネル帯域に分離するための、アレイ導波路格子を備える光学格子であって、前記アレイ導波路格子が、逆多重化方向において、
各導波路アームが他の導波路アームのいずれとも異なる光路長を有する複数の導波路アームを備える格子と、
入力格子線において前記格子に光学的に結合され、入力焦点線において少なくとも1つの入力導波路に光学的に結合された入力スター・カプラと、
出力格子線において前記格子に光学的に結合され、前記出力焦点線において複数の出力導波路に光学的に結合された出力スター・カプラとを有し、
前記出力格子線が、焦点距離を有する非円形楕円を備え、前記出力焦点線が、前記楕円の前記焦点距離にほぼ等しい半径を有する円形弧と、前記複数の出力における各チャネル帯域の光がほぼ同じ位相を有するように、前記格子線から前記楕円の焦点距離にほぼ位置する前記焦点線の中心点とを備える、光学格子。
【請求項11】
前記出力格子線の前記非円形楕円が、−0.25の偏心率を有する、請求項10に記載の光学格子。
【請求項12】
前記格子導波路アームの前記光路長が、前記複数の出力における各チャネル帯域の光がほぼ平坦な位相を有するように補償される、請求項11に記載の光学格子。
【請求項13】
前記入力スター・カプラの前記入力格子線が非円形楕円を備え、前記入力焦点線上の非中心位置に位置する入力導波路から光を受光するために、前記非円形楕円が前記入力焦点線から前記楕円の焦点距離に位置し、前記入力焦点線が前記楕円の前記焦点距離に等しい半径を有する円形弧を備える、請求項10に記載の光学格子。
【請求項14】
前記複数の導波路アームの光路長の差が、円形出力格子線に関して計算され、前記光路長差によって創出される光学遅延が、楕円出力格子線と共同してほぼ維持される、請求項10に記載の光学格子。
【請求項15】
前記複数の導波路アームの前記光路長差が、ほぼ線形の関数によって画定されうる、請求項10に記載の光学格子。
【請求項16】
前記楕円が、多項式関数の和によって近似される、請求項10に記載の光学格子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【公開番号】特開2006−350356(P2006−350356A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−167173(P2006−167173)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】1768 Automation Parkway,San Jose,California,USA,95131
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167173(P2006−167173)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】1768 Automation Parkway,San Jose,California,USA,95131
【Fターム(参考)】
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