説明

位相遷移基盤のプリコーディンク方法及びこれを支援する送受信機

本発明は、複数の副搬送波を用いた多重アンテナシステムで位相遷移基盤プリコーディンクを用いてデータを送信する方法を提供する。より具体的に、この方法は、複数の副搬送波を用いる多重アンテナシステムにおけるデータ伝送方法において、位相遷移基盤プリコーディンク行列の一部として、多重アンテナのそれぞれに対して相異なる位相角を与えるための大角行列を決定する段階と、位相遷移基盤プリコーディンク行列の一部として、第1コードブックからユニタリ行列を選択する段階と、これら大角行列及びユニタリ行列に基づいて該当の副搬送波のシンボルにプリコーディンクを行なう段階と、を含む構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の副搬送波を用いる多重アンテナシステムで位相遷移基盤のプリコーディンクを用いてデータを伝送する方法及びこれを支援する送受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信サービスの普遍化と多様なマルチメディアサービス等の登場、そして高品質サービスの出現などに伴い、無線通信サービスに対する要求が急速に増大してきている。これに能動的で対処するためにはなによりも通信システムの容量が増大しなければならない。無線通信環境で通信容量を増やすための方案としては、可用周波数帯域を新しく見出す方法と、限定された資源に対する効率性を高める方法が考えられる。なかでも後者の方法として、送受信機に複数のアンテナを装着し、資源活用のための空間的な領域を追加に確保することによってダイバーシティ利得を取ったり、それぞれのアンテナを通じてデータを並列に伝送することによって伝送容量を高めるいわゆる多重アンテナ送受信技術が、最近大きく注目されて活発に開発されている。
【0003】
このような多重アンテナ送受信方法は、直交周波数分割多重化方式(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を用いる多重入力多重出力(MIMO;Multiple−Input Multiple−Output)システムにより具現されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般の位相遷移ダイバーシティ技法によれば、空間多重化率が1であるから、高いデータ伝送率を期待できない他、資源割当を固定的にする場合は上記利得を得難いという問題がある。
【0005】
また、一般のコードブック基盤のプリコーディンク技法によれば、フィードバックのために安定したチャネルが確保されなければならず、チャネル変化の激しい移動環境には不適である他、特に閉ループシステムでのみ適用可能であるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、複数の副搬送波を用いた多重アンテナシステムで位相遷移基盤プリコーディンクを用いてデータを送信する方法及びこれを具現する送受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る位相遷移基盤プリコーディンクを用いたデータ伝送方法は、複数の副搬送波を用いる多重アンテナシステムにおけるデータ伝送方法であって、位相遷移基盤プリコーディンク行列の一部として、前記多重アンテナのそれぞれに対して相異なる位相角を与えるための大角行列を決定する段階と、位相遷移基盤プリコーディンク行列の一部として、第1コードブックからユニタリ行列を選択する段階と、前記大角行列及びユニタリ行列に基づいて該当の副搬送波のシンボルにプリコーディンクを行なう段階と、を含む。
【0008】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る位相遷移基盤プリコーディンクを行なう送受信機は、複数の副搬送波を用いる多重アンテナシステムでデータを伝送する送受信機において、位相遷移及びコードブックのうち少なくとも一つのための大角行列を決定し、前記大角行列とユニタリ行列に基づいて位相遷移基盤プリコーディンク行列を決定するプリコーディンク行列決定モジュールと、前記大角行列と前記ユニタリ行列に基づいて該当の副搬送波のシンボルにプリコーディンクを行なうプリコーディンクモジュールと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】MIMOシステムの送受信機構造を示すブロック構成図である。
【図2】CDDを用いた多重アンテナシステムの送信端を示すブロック構成図である。
【図3】位相シーケンスの適用を示すブロック構成図である。
【図4】コードブック基盤プリコーディンクを用いる多重アンテナシステムの送受信機を示すブロック構成図である。
【図5】位相遷移基盤のプリコーディンクを行なうための送受信機の主要構成を示すブロック図である。
【図6】位相遷移基盤プリコーディンクまたは位相遷移ダイバーシティの2つの適用例を示すグラフである。
【図7】位相遷移基盤プリコーディンク技法が適用されたSCW OFDM送信機の一実施例を示すブロック構成図である。
【図8】位相遷移基盤プリコーディンク技法が適用されたMCW OFDM送信機の一実施例を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明による実施例を詳細に説明する。図面中、同一の構成要素には同一の参照番号を付する。
【0011】
図1は、MIMOシステムで送受信機の構造を示すブロック構成図である。
【0012】
図1を参照すると、送信端は、チャネルエンコーダ101、マッパー103、直列−並列変換器105及び多重アンテナエンコーダ107を含む。
【0013】
より詳細には、チャネルエンコーダ101は、伝送データビットに重複ビットを加えてチャネルや雑音による影響を減らし、マッパー103は、データビット情報をデータシンボル情報に変換し、直列−並列変換器105は、データシンボルを複数の副搬送波に載せるために並列化し、多重アンテナエンコーダ107は、並列化したデータシンボルを時空間信号に変換する。
【0014】
また、受信端は、多重アンテナデコーダ109、並列−直列変換器111、デマッパー113及びチャネルデコーダ115を含む。
【0015】
ここで、多重アンテナデコーダ109、並列−直列変換器111、デマッパー113及びチャネルデコーダ115は、送信端における多重アンテナエンコーダ107、直列−並列変換器105、マッパー103及びチャネルエンコーダ101の逆機能をそれぞれ行なう。
【0016】
多重アンテナOFDMシステムでは、データの伝送信頼度を高めるための様々な技術が要求される。なかでも、空間ダイバーシティ利得を高める技法(scheme)には、時空間符号(Space−Time Code;STC)、循環遅延ダイバーシティ(Cyclic Delay Diversity;CDD)などがあり、信号対雑音比(Signal to Noise Ratio;SNR)を高めるための技法には、ビームフォーミング(BeamForming;BF)、プリコーディンク(Precoding)などがある。ここで、時空間符号及び循環遅延ダイバーシティは、主に、送信端でフィードバック情報を利用できない開ループシステムの伝送信頼度を高めるために用いられ、ビームフォーミング及びプリコーディンクは、送信端でフィードバック情報を利用できる閉ループシステムで該当のフィードバック情報を用いて信号対雑音比を最大化するために用いられる。
【0017】
上記技法のうち、空間ダイバーシティ利得を高めるための技法及び信号対雑音比を高めるための技法として特に循環遅延ダイバーシティとプリコーディンクについて説明すると、下記の通りである。
【0018】
循環遅延ダイバーシティ技法は、複数の送信アンテナを持つシステムでOFDM信号を伝送する際に、全てのアンテナがそれぞれ異なる遅延または異なる大きさで信号を伝送することによって受信端で周波数ダイバーシティ利得を得るようにしたものである。
【0019】
図2に、循環遅延ダイバーシティ技法を用いる多重アンテナシステムの送信端構成を示す。
【0020】
OFDMシンボルは、直列−並列変換器及び多重アンテナエンコーダを通じて各アンテナ別に分離して伝達された後、チャネル間干渉を防止するための循環プリフィックス(CP;Cyclic Prefix)が加えられて受信端に伝送される。この時、最初のアンテナに伝達されるデータシーケンスはそのまま受信端に伝送されるが、その次の順番のアンテナに伝達されるデータシーケンスは直前のアンテナに比べて一定ビット循環遅延されて伝送される。
【0021】
一方、このような循環遅延ダイバーシティ技法を周波数領域で具現すると、上記の循環遅延は位相シーケンスの積で表現できる。すなわち、図3に示すように、周波数領域における各データシーケンスにアンテナ別にそれぞれ異なって設定される所定の位相シーケンス(位相シーケンス1〜位相シーケンスM)を乗じた後、高速逆フーリエ変換(IFFT)を行なって受信端に伝送できる。これを位相遷移ダイバーシティ(phase shift diversity)技法という。
【0022】
位相遷移ダイバーシティ技法を用いると、フラットフェーディングチャネル(flat fading channel)を周波数選択性チャネルに変化させることができ、チャネル符号を通じて周波数ダイバーシティ利得を得たり、周波数選択的スケジューリングを通じて多重使用者ダイバーシティ利得を得ることができる。
【0023】
一方、プリコーディンク技法(Precoding scheme)には、閉ループシステムでフィードバック情報が有限な場合に利用されるコードブック基盤のプリコーディンク(codebook based precoding)方式と、チャネル情報を量子化(quantization)してフィードバックする方式がある。そのうち、コードブック基盤のプリコーディンクは、送受信端で既に知っているプリコーディンク行列のインデックスを送信端にフィードバックすることによって信号対雑音比(SNR)利得を得る方式である。
【0024】
図4に、コードブック基盤のプリコーディンクを用いる多重アンテナシステムの送受信端構成を示す。ここで、送信端及び受信端はそれぞれ有限なプリコーディンク行列(P〜P)を持っており、受信端ではチャネル情報を用いて最適のプリコーディンク行列インデックス(l)を送信端にフィードバックし、送信端では、フィードバックされたインデックスに該当するプリコーディンク行列を伝送データ(χ〜χMt)に適用する。参考として、下記の表1に、2個の送信アンテナを有し、空間多重化率2を支援するIEEE 802.16eシステムで3ビットのフィードバック情報を使用する時に適用できるコードブック(codebook)の一例を示す。
【0025】
【表1】

上記の如く、位相遷移ダイバーシティ技法は、閉ループシステムで周波数選択的ダイバーシティ利得を獲得するために使用されることができ、また、周波数スケジューリングダイバーシティ利得を獲得するために使用されても良い。しかし、上記空間多重化率が位相遷移ダイバーシティ技法に対して1であれば、高い伝送率でデータを伝送することが期待できない。しかも、資源が固定的に割り当てられるとすれば、位相遷移ダイバーシティ技法で周波数選択的ダイバーシティ利得及び周波数スケジューリングダイバーシティ利得が期待し難い。
【0026】
なお、コードブック基盤プリコーディング技法は、上述した如く、フィードバック情報(またはインデックス情報)の小さい量を使用することができ、高い空間多重化率を持つことができるため、データを効果的に伝送できる。しかし、この技法は、フィードバック情報に依存して安定的にチャネル環境を獲得するため、チャネル環境が不安であるとすれば、上記技法を行なう上で困難があり得る。このコードブック基盤プリコーディング技法は、閉ループシステムに限定して適用されることができる。
【0027】
これらの位相遷移ダイバーシティ技法及びコードブック基盤プリコーディング技法における問題点を解決するために、次の論議が提供される。
【0028】
位相遷移基盤のプリコーディンク行列
図5は、位相遷移基盤のプリコーディンクを行なうための送受信機の主要構成を示すブロック図である。
【0029】
位相遷移基盤のプリコーディンクは、伝送しようとする全てのストリームを全体アンテナを通じて伝送するもので、それぞれ異なる位相のシーケンスを乗じて伝送する。一般に、小さい循環遅延値を使って位相シーケンスを生成すると、受信機の立場ではチャネルに周波数選択性が生まれながら周波数領域によってチャネルの大きさが大きくなったり小さくなる。
【0030】
図5に示すように、送信機は、相対的に小さい循環遅延値によって揺動(fluctuation)する周波数帯域のうち、周波数が大きくなってチャネル状態が良好になる部分に使用者端末を割り当て、スケジューリング利得を確保する。この時、各アンテナに対して一定に増加または減少する循環遅延値を適用するために位相遷移基盤のプリコーディンク行列を用いる。
【0031】
位相遷移基盤のプリコーディンク行列(P)は、次のように表現できる。
【0032】
【数1】

ここで、kは、副搬送波のインデックスまたは特定周波数帯域のインデックスを表し、
【0033】
【化1】

(i=1,…,N、j=1,…,R)は、kにより決定される複素重みを表す。また、Nは、送信アンテナまたは仮想アンテナ(空間多重化率)の個数を表し、Rは、空間多重化率を表す。ここで、複素重みは、アンテナに乗じられるOFDMシンボル及び該当の副搬送波のインデックスによって相異なる値を持つことができる。この複素重みは、チャネル状況及びフィードバック情報の有無のうち少なくとも一つによって決定されることができる。
【0034】
一方、上記式1のプリコーディンク行列(P)は、多重アンテナシステムにおけるチャネル容量の損失を減らすためにユニタリ行列で設計されることが好ましい。ここで、ユニタリ行列の構成条件を定義するために多重アンテナ開ループシステムのチャネル容量を数学式で表現すると、次の通りになる。
【0035】
【数2】

ここで、Hは、N×N大きさの多重アンテナチャネル行列で、Nは受信アンテナの個数を表す。上記式2に位相遷移基盤プリコーディンク行列(P)を適用すると次の通りになる。
【0036】
【数3】

上記式3を参照すると、チャネル容量の損失を抑えるためにはPPが恒等行列(Identity Matrix)とならなければならず、よって、位相遷移基盤プリコーディンク行列(P)は次のような条件を満たさなければならない。
【0037】
【数4】

位相遷移基盤プリコーディンク行列(P)がユニタリ行列となるためには、次の2つの条件、すなわち、電力制約条件及び直交制約条件を同時に満たさなければならない。電力制約条件は、行列をなす各列(column)の大きさを1にさせることであり、直交制約条件は、行列の各列(column)間に直交特性を持たせることである。これらをそれぞれ数学式で表現すると、次の通りになる。
【0038】
【数5】

【0039】
【数6】

以下、2×2大きさの位相遷移基盤プリコーディンク行列の一般化した数学式の一例を提示し、上記した2つの条件を満たすための関係式について説明する。数学式7は、送信アンテナが2個、空間多重化率が2である一般の位相遷移基盤プリコーディンク行列を表す。
【0040】
【数7】

ここで、α、β(i=1,2)は実数値を有し、θ(i=1,2,3,4)は位相値を表し、kはOFDM信号の副搬送波インデックスを表す。このようなプリコーディンク行列をユニタリ行列に具現するためには、数学式8の電力制約条件と数学式9の直交制約条件を満たさなければならない。
【0041】
【数8】

【0042】
【数9】

ここで、*は共役複素数を表す。上記式7〜式9をいずれも満たす2×2位相遷移基盤プリコーディンク行列の一例は次の通りである。
【0043】
【数10】

ここで、θとθは、直交制約条件によって数学式11のような関係を持つ。
【0044】
【数11】

プリコーディンク行列は、送信端及び受信端のメモリーにコードブック(codebook)の形態で保存されることができ、このコードブックは、有限個の相異なるθ値によって生成された様々なプリコーディンク行列を含むことができる。ここで、θ値はチャネル状況とフィードバック情報の有無によって適宜設定されることができ、フィードバック情報を使用する場合ではθを小さく設定し、フィードバック情報を使用しない場合ではθを大きく設定することによって、高い周波数ダイバーシティ利得を得ることができる。
【0045】
一方、位相遷移基盤プリコーディンクに適用された遅延サンプルの大きさによって周波数ダイバーシティ利得または周波数スケジューリング利得を得ることができる。図6に、遅延サンプルの大きさによる位相遷移基盤プリコーディンクの2つの適用例をグラフで示す。
【0046】
図6を参照すると、大きい値の遅延サンプル(または循環遅延)を用いる場合、周波数選択性周期が短くなるので周波数選択性が高まり、その結果、チャネル符号は周波数ダイバーシティ利得を得ることができる。これは主として、チャネルの時間的変化が激しいためにフィードバック情報の信頼性が低下する開ループシステムで利用されることが好ましい。
【0047】
また、小さい値の遅延サンプルを用いる場合には、フラットフェーディングチャネルから変化された周波数選択性チャネルに、チャネルの大きさが大きくなった部分と小さくなった部分が存在する。したがって、OFDM信号の一定副搬送波領域はチャネル大きさが大きくなり、他の副搬送波領域はチャネル大きさが小さくなる。
【0048】
このような場合、多数の使用者を受け入れるOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)システムで各使用者別にチャネル大きさの大きくなった一定周波数バンドを通じて信号を伝送すると、信号対雑音比(Signal to Noise Ratio;SNR)を高めることができる。また、各使用者別にチャネル大きさが大きくなった周波数帯域が異なる場合が頻繁に発生するので、システムの立場では多重使用者ダイバーシティスケジューリング利得を得ることとなる。一方、受信側ではフィードバック情報として単に各資源割当が可能な副搬送波領域のCQI(Channel Quality Indicator)情報のみを伝送すればいいので、相対的にフィードバック情報が小さくなるという長所も持つ。
【0049】
位相遷移基盤のプリコーディンクのための遅延サンプル(または循環遅延)は、送受信機にあらかじめ定められた値であっても良く、受信機がフィードバックを通じて送信機に伝達した値であってもある。同様に、空間多重化率(R)も、送受信機にあらかじめ定められた値であっても良いが、受信機が周期的にチャネル状態を把握して空間多重化率を算出し、送信機にフィードバックしても良く、受信機がフィードバックしたチャネル情報を用いて送信機が空間多重化率を算出及び変更しても良い。
【0050】
一般化した位相遷移ダイバーシティ
以上で説明した位相遷移基盤のプリコーディンク行列は、アンテナ数がN(Nは2以上の自然数)で、空間多重化率がR(Rは1以上の自然数)であるシステムに対して次の数学式12のような形態で再び表現することができる。これは従来の位相遷移ダイバーシティ技法を一般化して表現したものであるので、以下では数学式12による多重アンテナ技法を一般化した位相遷移ダイバーシティ(Generalized Phase Shift Diversity;GPSD)と呼ぶ。
【0051】
【数12】

ここで、
【0052】
【化2】

は、N個の送信アンテナとRの空間多重化率を持つMIMO−OFDM信号のk番目の副搬送波に対するGPSD行列を表し、
【0053】
【化3】


【0054】
【化4】

を満たすユニタリ行列で、各アンテナに相応する副搬送波シンボル間の干渉を最小化するために用いられる。特に、位相遷移のための大角行列のユニタリ行列特性をそのまま維持させるために
【0055】
【化5】

自身もユニタリ行列の条件を満たすことが好ましい。上記の式12で周波数領域の位相角θ、i=1,…,Nは、時間領域の遅延時間τ、i=1,…,Nと次のような関係を持つ。
【0056】
【数13】

ここで、Nfftは、OFDM信号の副搬送波個数を表す。
【0057】
上記式12の一例として、2個の伝送アンテナまたは仮想アンテナを有し、1ビットコードブックを使用するシステムのGPSD行列式を表現すると、次の通りである。
【0058】
【数14】

式14でα値が定められるとβ値は容易に定められるので、α値に対する情報を適切な2つの値に定めておき、これに対する情報をコードブックインデックスでフィードバックするように具現できる。一例として、フィードバックインデックスが0ならαは0.2にし、フィードバックインデックスが1ならαは0.8にすると、送受信機間にあらかじめ約束できる。
【0059】
上記式12でユニタリ行列
【0060】
【化6】

の一例として信号対雑音比(SNR)利得を得るための所定のプリコーディンク行列が利用されることができ、このようなプリコーディンク行列としてウォルシュハダマード行列(Walsh Hadarmard matrix)またはDFT行列が用いられることができる。そのうち、ウォルシュハダマード行列が用いられた場合の上記式12によるGPSD行列の一例は、次の通りである。
【0061】
【数15】

上記式15は、4個の送信アンテナまたは仮想アンテナと、空間多重化率4を持つシステムを前提としており、ここで、上記ユニタリ行列を適宜再構成することによって特定送信アンテナを選択したり(antenna selection)、空間多重化率を調節(rate tuning)できる。
【0062】
一方、上記式12のユニタリ行列
【0063】
【化7】

は、送信端及び受信端にコードブック形態で備えられることができる。この場合、送信端は受信端からコードブックのインデックス情報がフィードバックされ、自分が持っているコードブックから当該インデックスのユニタリ行列を選択した後、上記の式12を用いて位相遷移基盤のプリコーディンク行列を構成する。
【0064】
下記の式16は、送信アンテナまたは仮想アンテナが4個であるシステムで2個のアンテナを選択するためにユニタリ行列を再構成した様子である。
【0065】
【数16】

また、下記の表2は、時間またはチャネルの状況などによって空間多重化率が変わる場合、該当の多重化率に合うようにユニタリ行列を再構成するための方法を示している。
【0066】
【表2】

表2では多重化率によってユニタリ行列の1番目列、1〜2番目列、1〜4番目列(column)が選択された場合を示しているが、これに限定するものではなく、多重化率が1の場合、1、2、3、4番目列のいずれか一つが選択されることができ、多重化率が2の場合、1〜2、2〜3、3〜4、4〜1番目列のいずれか一つが選択されることができる。
【0067】
上記式12のユニタリ行列
【0068】
【化8】

として2×2、4×4ウォルシュコードを使用した場合のGPSD行列の一例を整理すると、次の通りである。
【0069】
【表3】

【0070】
【表4】

時間可変型の一般化した位相遷移ダイバーシティ
上記の式12のGPSD行列において大角行列の位相角(θ)及び/またはユニタリ行列(U)は時間によって変更されることができる。一例として、上記式12に対する時間可変型のGPSDは次のように表示できる。
【0071】
【数17】

ここで、
【0072】
【化9】

は、特定時間tでN個の送信アンテナまたは仮想アンテナとRの空間多重化率を持つMIMO−OFDM信号のk番目の副搬送波に対するGPSD行列を表し、
【0073】
【化10】


【0074】
【化11】

を満たすユニタリ行列で、各アンテナに相応する副搬送波シンボル間の干渉を最小化するために使われる。特に、位相遷移のための大角行列のユニタリ行列特性をそのまま維持させるために
【0075】
【化12】

自身もユニタリ行列の条件を満たすことが好ましい。下記の式18で周波数ドメインの位相角θ(t)、i=1,…,Nと上記式12の時間ドメインの遅延時間τ(t)、i=1,…,Nには次のような関係が成立する。
【0076】
【数18】

ここで、Nfftは、OFDM信号の副搬送波個数を表す。
【0077】
上記の式17及び式18を参照すると、時間遅延サンプル値とユニタリ行列は経時変化することができ、ここで時間の単位はOFDMシンボル単位になっても良く、一定単位の時間になっても良い。
【0078】
時間可変型のGPSDを得るためのユニタリ行列として2×2、4×4ウォルシュコードを使用したGPSD行列の一例を整理すると、次の通りである。
【0079】
【表5】

【0080】
【表6】

一般化した位相遷移ダイバーシティの拡張
上記式12で大角行列とユニタリ行列で構成されたGPSD行列に、プリコーディンク行列に該当する第3行列を追加することで、拡張されたGPSD行列を構成することができる。これを数学式で表現すると、次の通りになる。
【0081】
【数19】

拡張されたGPSD行列は、上記式12に比べてN×R大きさのプリコーディンク行列(P)が大角行列の前に追加され、したがって、大角行列の大きさはR×Rに変更される。この追加されるプリコーディンク行列
【0082】
【化13】

は、特定周波数帯域または特定副搬送波シンボルに対して異なって設定されることができ、開ループシステムではユニタリ行列として設定されることが好ましい。このようなプリコーディンク行列
【0083】
【化14】

の追加によって、より最適化した信号対雑音比(SNR)利得を得ることができる。
【0084】
送信端及び受信端には複数のプリコーディンク行列
【0085】
【化15】

を含むコードブック(codebook)が備えられることが好ましい。
【0086】
一方、拡張されたGPSD行列でプリコーディンク行列(P)、大角行列の位相角(θ)及びユニタリ行列(U)のうち少なくとも一つは時間によって変更されることができる。このために、所定の時間単位または所定の副搬送波単位に次の順番のプリコーディンク行列(P)のインデックスがフィードバックされると、所定のコードブックから当該インデックスに相応する特定プリコーディンク行列(P)を選択することができる。このような場合の拡張されたGPSD行列式は、次のように表現できる。
【0087】
【数20】

拡張されたGPSDについては大韓民国特許出願第2007−0037008号に記載されているので、重複する部分についての説明は省略する。
【0088】
アンテナ別位相遷移関係の設定
以上で説明したGPSD、時間可変型GPSD、拡張されたGPSD及び拡張された時間可能型GPSDで、大角行列を構成する各位相角(θNt)間には下記のような関係が成立できる。以下では時間可変型GPSDに対するアンテナ別位相遷移関係に挙げて説明するが、これは上述した他のGPSDにも同一に適用されることができる。
【0089】
<位相遷移関係設定の実施例1>
時間可変型のGPSDの位相角は、各アンテナのインデックスによって線形的(linear)に増加するように設定されることができる。このような場合における各位相角間の関係を数学式で表現すると、次の通りになる。
【0090】
【数25】

本実施例は、正規線形配列アンテナ(uniform linear array antenna)構造で高い性能を得ることができ、特に、表2のように空間多重化率が低く設定(または再構成)される場合、最大のビームフォーミング利得を得ることができる。また、ユニタリ行列(U)が上記式16のようにアンテナ選択型に決定(または再構成)される場合に高い利得を得ることができる。
【0091】
<位相遷移関係設定の実施例2>
時間可変型のGPSDの位相角は、偶数番目のアンテナと奇数番目のアンテナに対する位相角が交互に同一位相角を持つように設定できる。4個アンテナシステムにおいてこのような場合に対する各位相角間の関係の一例を数学式にすると、次の通りである。
【0092】
【数26】

上記式26を参照すると、1番アンテナと3番アンテナの位相角、2番アンテナと4番アンテナの位相角がそれぞれ同一に設定されることがわかる。本実施例は、特に、交差編波アンテナ(cross polarized antenna)のようにブロック大角(block diagonal)のチャネル形態においてチャネル電力が高い場合に良い性能を得ることができる。
【0093】
<位相遷移関係設定の実施例3>
時間可変型のGPSDの位相角は、特定アンテナに対する位相角が残りのアンテナに対する位相角と異なるように設定できる。このような場合に対する各位相角間の関係の一例を数学式にすると、次の通りになる。
【0094】
【数27】

上記式27は、2番インデックスのアンテナと残りのアンテナ間に相関度が高い場合において2番アンテナの位相角のみを他のアンテナと異なるように設定した場合を表示している。本実施例によれば、特定アンテナが残りのアンテナと相関度が高い場合に特にビームフォーミング利得を高めることができる。
【0095】
以上では、各アンテナ別位相角の関係が送信アンテナの構造に相応するように設定する実施例について説明した。しかし、アンテナ別位相遷移関係は、初期伝送と再伝送時にそれぞれの目的に相応するようにそれぞれ異なって設定されることができる。また、アンテナ別位相遷移関係は単位時間ごとに異なって設定されることができ、この時、設定時のチャネル状態またはアンテナ別干渉/相関度合を考慮することが好ましい。また、アンテナ別位相遷移関係は、各アンテナに割り当てられた周波数帯域に相応するように設定しても良い。
【0096】
時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定
一方、GPSDにおいて時間遅延(τ)、ユニタリ行列(UNtxR)と、時間可変型GPSDにおいて時間遅延(τ(t))、ユニタリ行列(UNtxR(t))と、拡張されたGPSDにおいて時間遅延(τ、τ(t))、ユニタリ行列(UNtxR、UNtxR(t))は、様々な条件によって異なって決定されることができる。以下ではGPSDの時間遅延及び/またはユニタリ行列について説明するが、これは上述した他のGPSDにも同一に適用されることができる。
【0097】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例1>
OFDMシステムのように副搬送波別に異なる周波数帯域(例えば、1.25MHz、5MHz、10MHz、…、100MHz)を用いる場合、GPSDの時間遅延及び/またはユニタリ行列は、各周波数帯域によって異なって設定されることができる。したがって、時間遅延は周波数帯域によらずに所定の時間同一値を使用しながら、ユニタリ行列のみを各周波数帯域によって異なって設定することも可能である。
【0098】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例2>
基地局が特定時間遅延及び/または特定ユニタリ行列を指定して移動端末に通報すると、移動端末は該当値によって時間遅延及び/またはユニタリ行列を設定し、アップリンクのデータ伝送を行なうことができる。
【0099】
この時、基地局は、移動端末から受信したデータ(例えば、フィードバック情報)の量があらかじめ設定されたバッファーの量を越える場合、再伝送を行なう場合などのように基地局で発生しうる様々な状況を参考して特定時間遅延及び/またはユニタリ行列値を決定することができる。
【0100】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例3>
基地局は、移動端末から受信したフィードバック情報を参考して時間遅延及び/またはユニタリ行列を決定することができる。そして、基地局は、決定された時間遅延及び/またはユニタリ行列を用いてダウンリンクのデータ伝送を行なう。フィードバック情報は周期的に提供されることができ、フィードバック情報を受信する度に基地局は時間遅延及び/またはユニタリ行列を新しく決定できる。
【0101】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例4>
GPSDの時間遅延は、送信端(基地局または移動端末)に割り当てられた資源の大きさによって異なって設定されることができる。一例として、送信端に大きい資源が割り当てられると、副搬送波間に干渉ができる恐れがあるので、時間遅延を0に設定したり、相対的に小さい値に設定し、小さい資源が割り当てられると、副搬送波間の干渉を減らすために所定値の時間遅延を設定したり、相対的に大きい時間遅延を設定する。
【0102】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例5>
GPSDのユニタリ行列は、基地局により特定ユニタリ行列が選択されることができ、特に、選択されたユニタリ行列に対して特定列(column)が選択されることができる。
【0103】
上記表2に示すように、データ伝送時の多重化率によって列の個数が決定されることができる。したがって、基地局は、GPSDに使用する特定ユニタリ行列を選択し、移動端末からフィードバックされた多重化率情報を参考し、当該選択したユニタリ行列から多重化率に相応する個数の特定列を選択する。そして、基地局は、当該選択したユニタリ行列情報(または、ユニタリ行列のインデックス)及び該当のユニタリ行列から選択された列情報(または、列に対するサブインデックス)を移動端末に通報する。
【0104】
ここで、基地局は、移動端末から受信したデータ(例えば、フィードバック情報)の量があらかじめ設定された基地局バッファーの量を越える場合、再伝送を行なう場合などのように基地局で発生しうる様々な状況を参考し、特定ユニタリ行列及び該当のユニタリ行列の特定列(column)を選択できる。
【0105】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例6>
GPSDの時間遅延及び/またはユニタリ行列は、移動端末が網に初期接続する時に、基地局が該当の値を決定して移動端末に知らせると、移動端末がアップリンクのデータ伝送に該当の値を用いるようにしても良く、基地局が該当の値を決定した後にダウンリンクのデータ伝送に該当の値を用いるようにしても良い。
【0106】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例7>
GPSDの時間遅延は、多重化率によって異なって設定されることができる。一例として、多重化率が1の時、時間遅延は1/2に設定され、多重化率が2の時、時間遅延は1/4に設定されることができる。本実施例は、多重化率によってユニタリ行列の特定列を選択する上記実施例5と組み合わせて使用することができる。
【0107】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例8>
GPSDの時間遅延は、データの割当(data allocation)方式によって異なって設定されることができる。一例として、端末の信号を周波数領域に分散させて割り当てることによって周波数ダイバーシティ利得を得ようとする場合には時間遅延を相対的に大きくし、周波数ダイバーシティ効果を極大化したり、端末の信号を周波数領域に隣接するように割り当てることで周波数チャネル区間が良好な領域に割り当て、周波数スケジューリング利得を得ようとする場合には、時間遅延を相対的に小さくし、スケジューリング利得を極大化する。
【0108】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例9>
GPSDの時間遅延は、移動端末の移動速度によって異なって設定されることができる。一例として、移動端末の速度が遅い時は、副搬送波間の干渉が相対的に少ないから時間遅延を小さい値に設定し、移動端末の速度が速い時は、副搬送波間の干渉が相対的に大きいから時間遅延を大きい値に設定する。
【0109】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例10>
GPSDの時間遅延は、多重アンテナシステムの種類によって異なって設定されることができる。一例として、単一使用者MIMO(single user MIMO)の場合、STCなどのように副搬送波間の干渉を大きく考慮しなくて良い可能性が相対的に高いので、時間遅延を小さい値に設定し、SDMAのような複数使用者MIMO(multi user MIMO)の場合は、各使用者に割り当てられた副搬送波同士は干渉に厳格でなければならないので、時間遅延を大きい値に設定する。
【0110】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例11>
GPSDの時間遅延は、伝送される使用者トラフィックの種類によって異なって設定されることができる。一例として、使用者トラフィックがユニキャスト(unicast)トラフィックであるか、マルチキャスト(multicast)トラフィックである場合、時間遅延は状況によって大きい値または小さい値に設定されることができるが、ブロードキャスト(broadcast)トラフィックである場合は、相対的に複数の使用者に対する伝送であるから時間遅延を大きい値に設定する。
【0111】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例12>
GPSDの時間遅延は、現在のセル内に属した移動端末の数によって異なって設定されることができる。一例として、セル内に多くの移動端末が属している場合には、時間遅延を大きい値に設定し、セル内に少ない移動端末が属している場合には、時間遅延を小さい値に設定する。
【0112】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例13>
GPSDの時間遅延は、セルの環境によって異なって設定されることができる。一例として、セルは、ホットスポット(hot spot)のように隔離されたセル(isolated cell)環境と多重セル(multi cell)環境とに区分でき、隔離されたセルでは時間遅延を小さく設定し、多重セルでは時間遅延を大きく設定することができる。
【0113】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例14>
GPSDの時間遅延は、単位周波数または単位時間に伝送される情報量の大きさによって異なって設定されることができる。一例として、周波数単位情報量(frequency granularity)が大きい場合(fine granularity)には、それだけ、干渉によるデータ流失に厳格でなければならないので、時間遅延を大きい値に設定し、周波数単位情報量が小さい場合(coarse granularity)には、時間遅延を小さい値に設定する。また、時間単位情報量(time granularity)の場合にも、上記の周波数単位情報量の場合と同じ方式を適用すれば良い。
【0114】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例15>
GPSDの時間遅延は、使用するコードブックの大きさによって異なって設定されることができる。一例として、少ない個数のプリコーディンク行列を具備するコードブックを使用するシステムでは、時間遅延を大きい値に設定し、多い個数のプリコーディンク行列を具備するコードブックを使用するシステムでは、時間遅延を小さい値に設定する。
【0115】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例16>
GPSDの時間遅延は、送信アンテナの個数によって異なって設定されることができる。一例として、送信アンテナが多いほど、定められたTTL内で各アンテナに対する時間遅延を配分しなければならないので、相対的に小さい値の時間遅延が設定され、同じ理由から、送信アンテナが少ないほど、相対的に大きい値の時間遅延が設定される。
【0116】
<時間遅延及び/またはユニタリ行列の設定実施例17>
GPSDの時間遅延は、受信端からフィードバックされるチャネル品質情報によって異なって設定されることができる。一例として、受信端は、チャネル品質を測定し、それに基づいてMCSレベルインデックスを決定して送信端にフィードバックし、このとき、一般的にMCSレベルインデックスが高いほどチャネル品質が良好な場合であるから、時間遅延を小さい値に設定する。
【0117】
位相遷移基盤プリコーディンクを行なう送受信機
図7は、位相遷移基盤プリコーディンク技法が適用されたSCW OFDM送受信機の一実施例を示すブロック構成図で、図8は、MCW OFDM送受信機の一実施例を示すブロック構成図である。
【0118】
一般に、通信システムは、送信機(transmitter)と受信機(receiver)とを含む。ここで、送信機と受信機は、送信機能と受信機能の両方を行なう送受信機(transceiver)といえる。フィードバックに関する説明を明確にするために、一般データの伝送を担当する一方を送信機とし、送信機にフィードバックデータを伝送する他方を受信機としたわけである。
【0119】
ダウンリンクで送信機は基地局の一部分(part)で、受信機は端末機の一部分でありうる。アップリンクで送信機は端末機の一部分で、受信機は基地局の一部分でありうる。基地局は、複数の受信機と複数の送信機を含むことができ、端末機も同様に、複数の受信機と複数の送信機を含むことができる。受信機の各構成は、それに対応する送信機の各構成の逆機能を行なうのが一般的であるので、以下では、送信機についてのみ詳細に説明する。
【0120】
図7は、位相遷移基盤プリコーディンク技法が適用されたSCW OFDM送信機の一実施例を示すブロック構成図で、図8は、MCW OFDM送信機の一実施例を示すブロック構成図である。
【0121】
チャネルエンコーダ510,610、インタリーバ520,620、高速逆フーリエ変換器(IFFT)550,650及びアナログ変換器560,660を含めその他の構成は、図1におけるそれらと同様であり、その詳細説明を省略する。ただし、ここでは、プリコーダ540,640についてのみ詳細に説明する。
【0122】
プリコーダ540,640は、プリコーディンク行列決定モジュール541,641と、プリコーディンクモジュール542,642を含む。
【0123】
プリコーディンク行列決定モジュール541,641は、上記の式12、14、15及び式20、21のうち一つの形態で位相遷移基盤のプリコーディンク行列を決定する。具体的なプリコーディンク行列決定方法は該当する部分で詳細に記述したので、その説明は省略する。ここで、プリコーディンク行列決定モジュール541,641は、位相遷移基盤のプリコーディンク行列を決定するための大角行列の各アンテナ別位相角を、前述した位相遷移関係設定の実施例1〜3によって様々に決定できる。
【0124】
プリコーディンクモジュール542,642は、プリコーディンク行列決定モジュール541,641により決定された位相遷移基盤のプリコーディンク行列に、該当の副搬送波に対するOFDMシンボルを乗じてプリコーディンクを行なう。
【0125】
以上説明した本発明は、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者にとっては、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であり、よって、前述した実施例及び添付図面により限定されるものでない。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明によれば、従来の循環遅延ダイバーシティ、位相遷移ダイバーシティ及びプリコーディンク技法の短所を補完する位相遷移基盤のプリコーディンク技法を用いて効率的な通信が可能になり、特に、位相遷移基盤のプリコーディンク技法を再構成したGPSDを適用するに当たり遷移位相角、時間遅延及び/またはユニタリ行列を様々に変更して設定することによって通信状況に合う最適の効率を期待することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の副搬送波を用いる多重アンテナシステムにおけるデータ伝送方法であって、
位相遷移基盤プリコーディンク行列の一部として、前記多重アンテナのそれぞれに対して異なる位相角を与えるための大角行列を決定する段階と、
位相遷移基盤プリコーディンク行列の一部として、第1コードブックからユニタリ行列を選択する段階と、
前記大角行列及びユニタリ行列に基づいて該当の副搬送波のシンボルにプリコーディンクを行なう段階と、
を含む、位相遷移基盤プリコーディンクを用いたデータ伝送方法。
【請求項2】
第2コードブックからプリコーディンク行列を選択する段階と、
前記選択されたプリコーディンク行列、大角行列及びユニタリ行列に基づいて該当の副搬送波のシンボルにプリコーディンクを行なう段階と、
をさらに含む、請求項1に記載の位相遷移基盤プリコーディンクを用いたデータ伝送方法。
【請求項3】
前記ユニタリ行列は、該当の副搬送波のインデックスが特定コードブック大きさに演算された後に選択される、請求項1に記載の位相遷移基盤プリコーディンクを用いたデータ伝送方法。
【請求項4】
前記大角行列の位相角及び前記ユニタリ行列のうち少なくとも一つは、時間によって変更される、請求項1に記載の位相遷移基盤プリコーディンクを用いたデータ伝送方法。
【請求項5】
前記大角行列は、隣接するアンテナに対する位相角が線形的に増加するようにする、請求項1に記載の位相遷移基盤プリコーディンクを用いたデータ伝送方法。
【請求項6】
前記大角行列は、偶数番目のアンテナ及び奇数番目のアンテナに対する位相角が交互に同一となるようにする、請求項1に記載の位相遷移基盤プリコーディンクを用いたデータ伝送方法。
【請求項7】
前記大角行列は、特定アンテナが他のアンテナと高い相関度を持つ場合、前記特定アンテナに対して前記他のアンテナと異なる位相角を持つようにする、請求項1に記載の位相遷移基盤プリコーディンクを用いたデータ伝送方法。
【請求項8】
前記大角行列の位相角及び前記ユニタリ行列のうち少なくとも一つは、割り当てられた周波数帯域によって異なって決定される、請求項1に記載の位相遷移基盤プリコーディンクを用いたデータ伝送方法。
【請求項9】
前記大角行列の位相角及びユニタリ行列のうち少なくとも一つは、受信端がチャネル状況を決定して送信端に知らせる時に用いられる、請求項1に記載の位相遷移基盤プリコーディンクを用いたデータ伝送方法。
【請求項10】
前記大角行列の位相角及びユニタリ行列のうち少なくとも一つは、送信端が受信端からのフィードバック情報を考慮する時に用いられる、請求項1に記載の位相遷移基盤プリコーディンクを用いたデータ伝送方法。
【請求項11】
前記大角行列の位相角に相応する時間遅延は、多重化率によって異なって決定される、請求項1に記載の位相遷移基盤プリコーディンクを用いたデータ伝送方法。
【請求項12】
前記大角行列の位相角に相応する時間遅延は、送信アンテナの個数によって異なって決定される、請求項1に記載の位相遷移基盤プリコーディンクを用いたデータ伝送方法。
【請求項13】
複数の副搬送波を用いる多重アンテナシステムでデータを伝送する送受信機であって、
位相遷移及びコードブックのうち少なくとも一つのための前記大角行列を決定し、前記大角行列とユニタリ行列に基づいて位相遷移基盤プリコーディンク行列を決定するプリコーディンク行列決定モジュールと、
前記大角行列と前記ユニタリ行列に基づいて該当の副搬送波のシンボルにプリコーディンクを行なうプリコーディンクモジュールと、
を含む、位相遷移基盤プリコーディンクを行なう送受信機。
【請求項14】
前記プリコーディンク行列決定モジュールは、第2コードブックでプリコーディンク行列を選択し、前記大角行列、前記ユニタリ行列及び前記選択されたプリコーディンク行列に基づいて位相遷移基盤プリコーディンク行列を決定し、
前記プリコーディンクモジュールは、前記大角行列、前記ユニタリ行列及び前記選択されたプリコーディンク行列に基づいて該当の副搬送波のシンボルにプリコーディンクを行なう、請求項13に記載の位相遷移基盤プリコーディンクを行なう送受信機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−504061(P2010−504061A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529118(P2009−529118)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004550
【国際公開番号】WO2008/035916
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】