説明

位置推定システムおよび位置推定方法並びにプログラム

【課題】屋内などのマルチパス環境下においても位置推定対象物に特別な装置を備え付けることなく、その位置を推定することができる無線通信を利用した位置推定システムにおいて、通信の衝突を無くすことにより、測位精度を向上させる。
【解決手段】検知対象エリア6には、複数のID送信装置2a,2b,…と、ID送信装置2a,2b,…から送信される固有IDを受信するID受信装置3a,3b,…とが設置されている。最新位置情報保持部8には、システムが把握している位置推定対象物1の最新の位置情報が格納されている。送信装置設定手段9は、ID送信装置2a,2b,…の内の一部の送信装置が動作するように、最新位置情報保持部8に格納されている位置情報に基づいて、動作させるID送信装置の組み合わせを制御することにより、通信の衝突が発生しないようにする。位置推定手段7は、ID受信装置3a,3b,…の受信信号に基づいて位置推定対象物1の位置を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を利用した位置推定システムに関し、特に環境に設置した無線送信機および無線受信機を用いて位置推定対象物の位置を推定できる位置推定システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信を利用した位置推定システムは、無線送信機および無線受信機を用いて位置推定対象物の位置を推定するシステムとして用いられている(例えば、特許文献1〜12、非特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1〜5では、位置が既知の場所に無線受信機を設置し、位置推定対象物に備え付けた無線送信機から送信される固有IDを無線受信機で受信し、無線受信機の場所を参照して位置推定対象物の位置を推定する。
【0004】
特許文献6、7では、位置が既知の場所に固有IDを送信する無線送信機を設置し、位置推定対象物に備え付けた無線受信機が受信した固有IDから無線送信機を特定し、特定された無線送信機の場所を参照して位置推定対象物の位置を推定する。
【0005】
特許文献8、9では、無線送信機から送信される固有IDを無線受信機で受信する際の電波強度を計測し、無線送受信機間の距離を推定する、もしくはあらかじめ取得しておいた電波強度パターンと比較することによって、無線送信機もしくは無線受信機を備え付けた位置推定対象物の位置を推定する。
【0006】
特許文献10では、無線送信機から送信される固有IDを無線受信機で受信する際の信号の到達時間を計測することによって、無線送受信機間の距離を推定し、無線送信機もしくは無線受信機を備え付けた位置推定対象物の位置を推定する。
【0007】
また、特許文献11、12のレーダーシステムでは、位置が既知の場所に設置した無線送信機から送信された電波が位置推定対象物に反射して、位置が既知の場所に設置された無線受信機で受信されるまでの時間を計測することによって、位置推定対象物までの距離を推定し、無線送信機の場所を参照して位置推定対象物の位置を推定する。
【0008】
特許文献1〜10に記載された技術は、屋内などのマルチパス環境下で位置推定対象物の位置を推定するためには、位置推定対象物に少なくとも無線送信機もしくは無線受信機のいずれかを備え付けなければいけないということが問題となっていた。その理由は、従来の無線通信を利用した位置推定システムは、送信機から送信される情報を受信機で受信し、この受信した情報を処理することにより、位置情報を習得するシステムであるので、無線送信機と無線受信機のいずれも持たない位置推定対象物の位置を推定することができなかったためである。
【0009】
また、特許文献11、12記載の従来のレーダーシステムは、位置推定対象物が無線送信機または無線受信機を持たなくても良いが、複数の反射波や回折波などが発生し電波環境が複雑になる屋内などのマルチパス環境下では使用することができなかった。
【0010】
非特許文献1には、これらの課題を解消した位置推定システム、即ち屋内などのマルチパス環境下においても位置推定対象物に特別な装置を備え付けることなく、位置推定対象物の位置を推定することができる無線通信を利用した位置推定システムが開示されている。この位置推定システムは、検知対象エリアに設置された少なくとも1以上のID送信装置と、前記検知対象エリアに設置され、前記ID送信装置からのIDを受信する少なくとも1以上のID受信装置と、前記ID受信装置の情報受信時における受信パターンに基づいて、位置推定対象物の存在位置を推定する位置推定手段とを有することを特徴とする。
【0011】
【特許文献1】特開2001-092885号公報
【特許文献2】特許3336300号公報
【特許文献3】特開2005-055186号公報
【特許文献4】特開2004-046904号公報
【特許文献5】特開2006-127355号公報
【特許文献6】特開2004-297334号公報
【特許文献7】特開2004-251816号公報
【特許文献8】特開2004-294403号公報
【特許文献9】特開2004-112482号公報
【特許文献10】特開2003-078947号公報
【特許文献11】特開平09-236651号公報
【特許文献12】特許2679360号公報
【非特許文献1】小西他,「アクティブRF IDを用いたゲートシステムの開発〜リファレンスタグによる物体位置推定方式〜」,情報処理学会研究報告,2006-UBI-10,Vol.2006 No.14,p333〜p338,2006年 2月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
非特許文献1記載の技術は、特許文献1〜12記載の従来技術の問題を解決し、屋内などのマルチパス環境下においても位置推定対象物に特別な装置を備え付ける必要なく、位置推定対象物の位置を推定することができる無線通信を利用した位置推定システムを実現する。
【0013】
しかしながら、測位精度を向上させるためには参照するID送信装置が多いほど良いが、同時にIDを発信するID送信装置が多すぎると、通信の衝突によりIDを読み取れないという障害が発生し、測位精度が逆に低下してしまう場合があった。
【0014】
〔発明の目的〕
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、通信の衝突を防止することにより、測位精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明にかかる位置推定システムは、
検知対象エリアに設置された複数の送信装置と、
前記検知対象エリアに設置され、前記送信装置からの情報を受信する受信装置と、
前記複数の送信装置の内の一部の送信装置が動作するように、システムで把握している位置推定対象物の最新の位置に基づいて、動作させる送信装置の組み合わせを制御する送信装置設定手段と、
前記受信装置の受信信号に基づいて前記位置推定対象物の位置を推定する位置推定手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明にかかる位置推定方法は、
複数の送信装置が設置されると共に、前記送信装置からの情報を受信する受信装置が設置された検知対象エリア内に存在する位置推定対象物の位置をコンピュータにより推定する位置推定方法であって、
前記コンピュータが、前記複数の送信装置の内の一部の送信装置が動作するように、システムで把握している位置推定対象物の最新の位置に基づいて、動作させる送信装置の組み合わせを制御する送信装置設定ステップと、
前記受信装置の受信信号に基づいて前記位置推定対象物の位置を推定する位置推定ステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明にかかるプログラムは、
複数の送信装置が設置されると共に、前記送信装置からの情報を受信する受信装置が設置された検知対象エリア内に存在する位置推定対象物の位置を、コンピュータに推定させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記複数の送信装置の内の一部の送信装置が動作するように、システムで把握している位置推定対象物の最新の位置に基づいて、動作させる送信装置の組み合わせを制御する送信装置設定手段、
前記受信装置の受信信号に基づいて前記位置推定対象物の位置を推定する位置推定手段として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、通信の衝突を防止することができるので、高い測位精度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
本発明の特徴を明確に示すために、まず、非特許文献1に記載されている位置推定システムの実現形態の例を説明する。
【0021】
図19および図20は非特許文献1記載の従来技術の実現形態の一例を説明するための図である。
【0022】
図19および図20を参照すると、非特許文献1に記載されている位置推定システムは、検知対象エリア6に設置され、保持する固有IDを無線通信によって送信する複数のID送信装置102a,102b,…と、検知対象エリア6に設置されてID送信装置102a,102b,…が送信する固有IDを無線通信によって受信する複数のID受信装置103a,103b,…と、ID受信装置103a,103b,…で得られたID送信装置102a,102b,…からの固有IDの受信結果を用いて、ID送信装置102a,102b,…もしくはID受信装置103a,103b,…などの特別な装置を備え付けていない位置推定対象物1の位置を推定する物体位置推定装置104と、推定結果を出力するディスプレイ装置などの物体位置出力装置5とを含む。
【0023】
ID受信装置103a,103b,…は、ID送信装置102a,102b,…からの固有IDを受信すると共に、受信したそれぞれの固有IDについて、受信特徴量を計測する。非特許文献1では、受信特徴量として、無線電波の強度(以下受信強度と呼ぶ)を計測するようにしている。
【0024】
尚、ID送信装置102a,102b,…およびID受信装置103a,103b,…は、かならずしも同数ある必要はなく、異なる数であっても良い。更に、かならずしも複数ある必要はなく、単数であっても良い。
【0025】
物体位置推定装置104は、受信パターン生成手段41と、参照受信パターン記憶部42と、受信パターン比較手段43と、物体位置選択手段44とを備える。
【0026】
受信パターン生成手段41は、ID受信装置103a,103b,…で得られたID送信装置102a,102b,…の固有ID受信結果から受信パターンを生成して出力する。受信パターンは、全てのID送信装置102a,102b…とID受信装置103a,103b…との組み合わせ毎に、受信特徴量である受信強度を成分とした特徴ベクトルで表される。例えば、受信パターンは、図21に示す如く、((ID受信装置103a,ID送信装置102a),(ID受信装置103a,ID送信装置102b),…)=(165,200,…)のようになる。
【0027】
参照受信パターン記憶部42は、複数の位置(以下参照位置)と、それぞれの参照位置に位置推定対象物1が存在するときに取得された受信パターンとを対応付けて記憶している。図22に、位置推定対象物1の位置が二次元座標で表される場合に参照受信パターン記憶部42に記憶される内容の一例を示す。また、図22に示した例では、参照受信パターン記憶部42には一つの参照位置に対して一つの受信パターンを記憶しているが、一つの参照位置に対して複数の受信パターンを記憶しても良い。
【0028】
受信パターン比較手段43は、受信パターン生成手段41で生成された受信パターンと、参照受信パターン記憶部42に記憶されている各参照位置に対応する受信パターンとの違いを数値化した指標(以下パターン間距離)を算出して、受信パターン比較結果を出力する。例えば、位置推定対象物1の位置が二次元座標で表され、パターン間距離が一次元の実数値で表される場合、受信パターン比較結果は図23に示したように表される。
【0029】
受信パターン比較手段43の具体例として、受信パターン生成手段41で生成された受信パターンと、参照受信パターン記憶部42にあらかじめ記憶されている複数の参照位置に対応する受信パターンとのパターン間距離として、受信パターンの各受信特徴量を成分とする特徴ベクトル間のユークリッド距離を用いるものがある。二つのベクトルva,vbのユークリッド距離の算出方法を図24の式(1)に示す。
【0030】
受信パターン比較手段43の他の具体例として、受信パターン生成手段41で生成された受信パターンと、参照受信パターン記憶部42にあらかじめ記憶されている複数の参照位置に対応する受信パターンとのパターン間距離として、受信パターンの各受信特徴量を成分とする特徴ベクトル間のシティブロック距離を用いるものがある。二つのベクトルva,vbのシティブロック距離の算出方法を図25の式(2)に示す。
【0031】
物体位置選択手段44は、受信パターン比較手段43で得られた受信パターン比較結果から、位置推定対象物1の位置を選択し決定する。
【0032】
物体位置選択手段44の具体例として、受信パターン比較手段43で得られた受信パターン比較結果のパターン間距離のうち、パターン間距離が最も小さくなるような参照位置を選択し、位置推定対象物1の位置推定結果とするものがある。
【0033】
次に、図20および図26を参照して非特許文献1による位置推定システムの実現形態の一例の動作について詳細に説明する。
【0034】
ID送信装置102a,102b,…から送信された固有IDは無線通信によってID受信装置103a,103b,…で受信される(図26のステップA1)。受信パターン生成手段41は、ID受信装置103a,103b,…で受信されたID送信装置102a,102b,…の固有IDと、計測された受信強度とから、受信パターンを生成し出力する(図26のステップA2)。
【0035】
受信パターン比較手段43は、受信パターン生成手段41で生成された受信パターンと、参照受信パターン記憶部42にあらかじめ記憶されている複数の参照位置に対応する受信パターンとのパターン間距離を算出し、受信パターン比較結果を出力する(図26のステップA3)。
【0036】
物体位置選択手段44は、受信パターン比較手段43で得られた受信パターン比較結果から、位置推定対象物1の位置を選択し決定する(図26のステップA4)。受信パターンは位置推定対象物1の位置によって変化するため、受信パターン生成手段41で生成された受信パターンと、参照受信パターン記憶部42にあらかじめ記憶されている複数の参照位置に対応する受信パターンとを比較することによって、位置推定対象物の位置を推定することができる。
【0037】
物体位置選択手段44で得られた位置推定対象物1の位置が、物体位置出力装置5で出力される(図26のステップA5)。
【0038】
このように構成することで、非特許文献1による位置推定システムの実現形態の一例では、環境に設置したID送信装置およびID受信装置を用いて、特別な装置を備え付けていない位置推定対象物の位置を推定することができる。また、あらかじめ複数の参照位置で取得しておいた受信パターンには、環境内のマルチパスによる影響が既に反映されている。受信パターンを、このような参照受信パターンと比較して位置を推定することで、環境内のマルチパスによる影響を相殺できる。これにより、屋内などのマルチパス環境下においても、位置推定対象物にID送信装置もしくはID受信装置などの特別な装置を備え付ける必要なく、環境に設置した無線通信機器だけを利用して位置推定対象物の位置を推定することができる。
【0039】
〔本発明の第1の実施例〕
次に本発明の第1の実施例について説明する。本実施例は、システムで把握している位置推定対象物の最新の位置に基づいて、動作させるID送信装置の組み合わせを制御することを特徴としている。
【0040】
図1を参照すると、本発明の第1の実施例は、検知対象エリア6に設置され、保持する固有IDを無線通信によって送信する複数のID送信装置2a,2b,…と、検知対象エリア6に設置されてID送信装置2a,2b,…が送信する固有IDを無線通信によって受信する複数のID受信装置3a,3b,…と、ID受信装置3a,3b,…で得られたID送信装置2a,2b,…からの固有IDの受信結果を用いて、ID送信装置2a,2b,…もしくはID受信装置3a,3b,…などの特別な装置を備え付けていない位置推定対象物1の位置を推定する位置推定手段7と、システムが把握している位置推定対象物1の最新の位置情報を保持する最新位置情報保持部8と、最新位置情報保持部8に保持されている位置情報に従って動作させるID送信装置の組み合わせを制御することにより、一部のID送信装置を動作させる送信装置設定手段9とを含む。
【0041】
ID送信装置2a,2b,…は、送信装置設定手段9から固有IDを送信しない状態を含めて送信間隔を制御可能なように構成されている。ID送信装置2a,2b,…からID受信装置3a,3b,…の状態を制御する方式は、有線または無線により構成した通信路上のシリアル通信など従来の技術を利用して容易に実現できる。
【0042】
ID受信装置3a,3b,…は、ID送信装置2a,2b,…からの固有IDを受信すると共に、受信したそれぞれの固有IDについて、受信特徴量を計測する。ここで、受信特徴量とは、少なくとも、無線通信の品質を表す数値(以下、通信品質と呼ぶ)、もしくは、ID送信装置からID受信装置までの無線電波もしくは信号の到達時間(以下、到達時間と呼ぶ)のいずれか、またはそれらの組み合わせである。通信品質には、受信強度、Bit Error Rate、S/N(SN比)、C/N(CN比)などが含まれる。
【0043】
尚、ID送信装置2a,2b,…およびID受信装置3a,3b,…は、かならずしも同数ある必要はなく、異なる数であっても良い。更に、ID受信装置3a,3b,…は、かならずしも複数ある必要はなく、単数であっても良い。但し、ID送信装置2a,2b,…は、複数である必要がある。
【0044】
位置推定手段7は、ID受信装置3a,3b,…が計測した受信特徴量に基づいて、位置推定対象物1の位置を推定する。最新位置情報保持部8には、システムが把握している位置推定対象物1の最新の位置情報が格納されている。送信装置設定手段9は、最新位置情報保持部8に格納されている位置情報に従って、動作させる(利用する)ID送信装置の組み合わせを制御する。
【0045】
なお、位置推定手段7は、例えば、図20に示した受信パターン生成手段41、参照受信パターン記憶部42、受信パターン比較手段43および物体位置選択手段44によって実現される。但し、本実施例では、ID受信装置3a,3b,…において、受信特徴量として、少なくとも、無線通信の品質を表す数値(以下、通信品質と呼ぶ)、もしくは、ID送信装置からID受信装置までの無線電波もしくは信号の到達時間(以下、到達時間と呼ぶ)のいずれか、またはそれらの組み合わせを計測しているので、受信パターン生成手段41で生成する受信パターンや、参照受信パターン記憶部42に格納されている参照受信パターンは、ID受信装置3a,3b,…が計測する受信特徴量に応じたものとなる。
【0046】
また、位置推定手段7および送信装置設定手段9は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータによって実現することができ、この場合は、例えば次のようにする。コンピュータを位置推定手段7および送信装置設定手段9として機能させるためのプログラムを記録したディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体を用意し、コンピュータに上記プログラムを読み取らせる。コンピュータは、読み取ったプログラムに従って、自身の動作を制御することにより、自コンピュータ上に、位置推定手段7および送信装置設定手段9を実現する。
【0047】
〔第1の実施例の動作の説明〕
次に、図1および図2を参照して本実施例の動作について詳細に説明する。
【0048】
送信装置設定手段9は、最新位置情報保持部8に格納されている、システムが把握している位置推定対象物1の最新の位置情報に基づいて、ID送信装置2a,2b,…の中から動作させるべきID送信装置(ID送信装置2a,2b,…の内の一部のID送信装置)を選択し、ID送信装置2a,2b,…の設定を変更する(図2のステップS1)。即ち、選択したID送信装置には所定の送信周期を設定し、選択しなかったID送信装置には固有IDを設定しないことを示す情報を設定する。
【0049】
位置推定処理の対象エリア(以下検知対象エリア6)を拡大するためには、多数のID送信装置2a,2b,…を広範囲に設置する必要がある。しかしながら、同時に固有IDを発信するID送信装置2a,2b,…が多すぎると、通信の衝突によりID受信装置3a,3b,…がIDを読み取れないという障害が発生し、測位精度が低下してしまう場合がある。そこで、送信装置設定手段9は、システムが把握している位置推定対象物1の最新の位置情報(最新位置情報保持部8に格納されている位置情報)に基づいて、ID送信装置2a,2b,…の中から動作させるID送信装置を選択する。具体的には、位置推定対象物1の周辺だけが位置推定処理の対象となるように、固有IDを送信するID送信装置の数量を少なくする。このようにすることにより、通信の衝突が発生しにくくなるので、高い測位精度を得ることができる。
【0050】
その後、位置推定手段7は、ステップS1により動作状態にされたID送信装置から送信されてくる固有IDの受信特徴量に基づいて、位置推定対象物1の位置を推定し、推定結果を出力する(図2のステップS2,S3)。そして再び図2のステップS1に戻り、最新位置情報保持部8に保持されている、システムが把握している位置推定対象物1の最新の位置情報に基づいて、動作させるID送信装置を選択する。
【0051】
〔第1の実施例の効果〕
本実施例によれば、通信の衝突を防止できるので、位置推定対象物1の位置を高い測位精度で推定することが可能になる。その理由は、検知対象エリア6に設置されている複数のID送信装置2a,2b,…の内の一部のID送信装置が動作するように、システムが把握している位置推定対象物1の位置情報に基づいて、動作させるID送信装置の組み合わせを制御するようにしてるからである。
【0052】
〔本発明の第2の実施例〕
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例は、システムが認識している位置推定対象物の位置に応じて、動作させるID送信装置の組み合わせを制御すると共に、位置推定対象物が検知対象エリア内に存在するか否かによりID送信装置の送信間隔および動作させるID送信装置の台数を制御することを特徴とする。
【0053】
図3および図4(A)を参照すると、本発明の第2の実施例は、検知対象エリア6に設置され、保持する固有IDを無線通信によって送信する複数のID送信装置2a,2b,…と、検知対象エリア6に設置されてID送信装置2a,2b,…が送信する固有IDを無線通信によって受信する複数のID受信装置3a,3b,…と、ID受信装置3a,3b,…で得られたID送信装置2a,2b,…からの固有IDの受信結果を用いて、ID送信装置2a,2b,…もしくはID受信装置3a,3b,…などの特別な装置を備え付けていない位置推定対象物1の位置を推定する物体位置推定装置4と、推定結果を出力する物体位置出力装置5とを含む。
【0054】
ID送信装置2a,2b,…は、物体位置推定装置4からIDを送信しない状態を含めて送信間隔を制御可能なように構成されている。このような外部から状態を変更可能なID送信装置2a,2b,…、および、物体位置推定装置4からID送信装置2a,2b,…を制御するための方式は有線または無線により構成した通信路上のシリアル通信など従来の技術を利用して容易に実現できる。
【0055】
物体位置推定装置4は、ID送信装置制御手段200を備えている点が図20に示した物体位置推定装置104と相違している。
【0056】
ID送信装置制御手段200は、図4(B)に示すように、最新位置情報保持部201と、ID送信装置設定手段202と、ID送信装置設定情報記憶部203とを備えている。
【0057】
最新位置情報保持部201には、システムが把握している位置推定対象物1の最新の位置情報として、物体位置選択手段44が選択した最新の位置情報が格納される。即ち、物体位置選択手段44が出力した最新の位置推定結果が最新位置情報保持部201に格納される。なお、物体位置選択手段44は、位置推定対象物1が検知対象エリア6内に存在しない場合には、そのことを示す情報を位置推定結果として出力する。また、初期状態においては、最新位置情報保持部201には、検知対象エリア6内に位置推定対象物1が存在しないことを示す情報が格納されている。
【0058】
ID送信装置設定情報記憶部203には、検知対象エリア6内に位置推定対象物1が存在するときの、ID送信装置2a,2b,…の送信間隔と、物体位置と動作させるべきID送信装置2a,2b,…との関係が記録されている。更に、ID送信装置設定情報記憶部203には、検知対象エリア6内に位置推定対象物1が存在しないときの、ID送信装置2a,2b,…の送信間隔と、動作させるべきID送信装置2a,2b,…とが記録されている。
【0059】
ID送信装置設定手段202は、ID送信装置設定情報記憶部203に記録された情報と物体位置選択手段44が選択した位置とから検知対象エリア6内にあるID送信装置2a,2b,…から実際にIDを送信させるID送信装置とその発信間隔を決定する。
【0060】
〔第2の実施例の動作の説明〕
次に、図4および図5を参照して本発明の第2の実施例の動作について詳細に説明する。
【0061】
動作開始時、ID送信装置制御手段200は、最新位置情報保持部201の内容が、検知対象エリア6に位置推定対象物1が存在しないことを示しているので、検知対象エリア6内に物体が存在しない状態の時に動作させるべきID送信装置2a,2b,…とその送信間隔を決定し、ID送信装置2a,2b,…の設定を変更する(図5のステップA0)。
【0062】
位置推定処理の対象エリアを拡大するためには、多数のID送信装置2a,2b,…を広範囲に設置する必要がある。また、位置推定処理の物体の移動に対する応答性を向上させるためにはID送信装置2a,2b,…のID送信間隔が短い方が良い。しかしながら、同時にIDを発信するID送信装置2a,2b…が多すぎると、通信の衝突によりID受信装置3a,3b,…がIDを読み取れないという障害が発生する場合がある。ID送信装置制御手段200は、ID送信装置2a,2b,…とID受信装置3a,3b,…の通信性能を最大限に活用しながら位置推定処理の精度と応答性を向上させるために、位置推定対象物1の位置に応じて、利用するID送信装置2a,2b,…およびそのID送信間隔を設定する。
【0063】
具体的には、検知対象エリア6内に位置推定対象物1が存在しないと判断できる場合(最新位置情報保持部201に位置推定対象物1が検知対象エリア6内に存在しないことを示す情報が格納されている場合)には、検知対象エリア6内全体が位置推定処理の対象となるように固有IDを送信するID送信装置2a,2b…の数量を多くし個々のID送信間隔を長くする。また、検知対象エリア6内に位置推定対象物1が存在しその位置が推定できる場合(最新位置情報保持部201に位置推定対象物1の位置情報が格納されている場合)には、その周辺だけが位置推定処理の対象となるように固有IDを送信するID送信装置2a,2b…の数量を少なくしID送信間隔を短くして位置推定対象物1の位置変化に対する応答性を向上させる。
【0064】
以降、図5のステップA1〜ステップA5に従い、図5のステップA0により設定されたID送信装置2a,2b,…から送信されてくる固有IDの受信特徴量に基づいて、検知対象エリア6内の物体の位置を出力する。そして再び図5のステップA0に戻り、図5のステップA4において物体位置選択手段44が選択した検知対象エリア6内の位置推定対象物1の位置を参照して(最新位置情報保持部201に格納されている位置推定対象物1の位置を参照して)、動作させるべきID送信装置2a,2b,…とその送信間隔を決定し、ID送信装置2a,2b,…の設定を変更する。
【0065】
〔第2の実施例の効果〕
本実施例によれば、第1の実施例で得られる効果に加え、検知対象エリアを広くし、かつ、位置推定対象物の移動に対する応答性を向上させることができるという効果を得ることができる。更に、消費電力を抑制することができるという効果を得ることもできる。その理由は、検知対象エリア内に位置推定対象物が存在するか否かにより、使用するID送信装置の台数および送信周期を制御するようにしているからである。
【0066】
〔第2の実施例の具体例〕
次に、第2の実施例の具体例について図面を参照して説明する。
【0067】
本具体例は、固有IDを送信するID送信装置2a,2b,…として、電源にボタン電池を用いて保持する固有IDを無線通信にて一定時間毎に送信するアクティブ型のRF IDタグを、固有IDを受信する受信装置3a,3b,…として、ID送信装置2a,2b,…からの固有IDを受信すると共に受信強度(0から255までの256段階の整数値)を計測できるRF IDリーダを備えている。物体位置推定装置4はパーソナルコンピュータによって実現され、物体位置出力装置5としてディスプレイ装置を用いる。パーソナルコンピュータは、受信パターン生成手段41、受信パターン比較手段43、物体位置選択手段44およびID送信装置設定手段202として機能する中央演算装置と、参照受信パターン記憶部42、ID送信装置設定情報記憶部203および最新位置情報保持部201として機能する記憶装置を有している。即ち、中央処理装置は、ディスク、半導体メモリなどに記録されているプログラムを読込み、読み込んだプログラムに従って自身の動作を制御することにより、受信パターン生成手段41、受信パターン比較手段43、物体位置選択手段44を実現する。
【0068】
アクティブ型RF IDタグはID送信装置設定手段202と有線にて接続されており、ID送信装置設定手段202からUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)により制御データを受信することで、ID送信間隔を変更可能なように構成されている。本具体例では、送信間隔を0(ID送信を行わない)、0.2秒、3秒の3種類に設定可能とする。
【0069】
図6を参照すると、ID送信装置2a〜2hおよびID受信装置3a,3bは、トンネル内部に設置されており、物体位置推定装置4はトンネル内およびトンネル近辺に存在する位置推定対象物1のX軸上の位置を推定する。また、トンネル外の環境変動の影響がトンネル内に及ぶのを抑制するために、トンネルは電波反射体で囲われている。なお、図6では物体位置推定装置4とID送信装置2a〜2hの間の線は記載していない。
【0070】
本具体例でID送信装置2a〜2hとして使用するアクティブ型RF IDタグは、通信方式としてALOHA方式と呼ばれるプロトコルを使用する。各ID送信装置は保持するIDをランダムなタイミングで送信するが、ID受信装置が備える受信アンテナに、複数のタグから送信された信号が同時に入射した場合、これらの信号からIDを読み取ることができなくなる。
【0071】
このとき、ID受信装置が同時にIDを受信可能なID送信装置の個数N,ID長l,平均送信間隔β,受信確率閾値Th,受信動作繰返回数Mの関係は図7の式(3)のように記述できる。図8は、図7の関係式(3)を、利用するID送信装置の個数Nと、すべてのIDを受信可能な確率(受信確率)との関係としてグラフ化したものである。図8から、1回の受信動作ですべてのIDを閾値Th=0.95以上の確率で受信しようとした場合、応答性を優先して平均送信間隔βを短くすれば設定可能な個数Nは小さくなり、逆に平均送信間隔βを長くすれば設定可能な個数Nを増やせることがわかる。本具体例ではID送信装置2a〜2hの送信間隔が3秒の場合は最大16個,送信間隔が0.2秒の場合は最大2個のID送信装置からのIDを同時に読み取ることが可能となる。本発明は、この受信確率を一定以上に保ちながら、利用するID送信装置の個数およびその送信間隔を検知対象エリア6内の物体の位置に応じて設定することを特徴とする。
【0072】
参照受信パターン記憶部42があらかじめ記憶している複数の参照受信パターンは、あらかじめ実施する実験(以下キャリブレーション)の結果を元に作成する。キャリブレーションでは、検知対象エリアを適当な間隔に区切った各点に、位置推定対象物1もしくはそれに類する物体(以下参照物体)を設置し、ID受信装置3a,3bでID送信装置2a〜2hの固有IDおよび受信強度を取得する。キャリブレーションで使用する参照物体は、位置を推定する位置推定対象物1と完全に同一である必要はなく、材質や大きさが近い物体を用いることができる。例えば、人を位置推定の位置推定対象物1とする場合であれば、ある人を参照物体としてキャリブレーションを行って取得した参照受信パターンを、参照物体とした人以外の位置推定にも利用できる。
【0073】
図6の例でx軸を10cm間隔に区切った各点に参照物体として人を設置して、ID受信装置3aおよびID受信装置3bでID送信装置2aおよびID送信装置2bのみを利用して受信強度を取得するキャリブレーションの結果を図9に示す。図9を参照すると、参照物体である人の位置によって受信パターンが変動することが分かる。図9に示したキャリブレーションの結果を元にx軸上の-1mから4mまでの区間を10cm間隔で区切った全51点における参照受信パターンを生成し、それぞれの参照位置と組み合わせて参照受信パターンを生成する。生成した複数の参照受信パターンを参照受信パターン記憶部42に記憶させる。図9においては、各ID送信装置2a,2bの参照位置に対する受信強度は、検知対象エリア6内および近傍での位置推定対象物のみに応じて変化する。同時に利用するID送信装置の個数が増えたとしてもID衝突による検知ミスは発生するものの、受信強度そのものが変化することはない。
【0074】
ID送信装置設定情報記憶部203には、図10および図11に示すように、図7および図8から求めたID送信装置の送信間隔と同時に利用可能なID送信装置の個数と、位置推定対象物の位置に応じて利用するID送信装置の組み合わせが記憶されている。
【0075】
図11において、ID送信装置2a〜2hの送信間隔を3秒に設定しようとする場合は、図10に記載した表から16個のID送信装置を利用可能であり、かつ、トンネル内に設置されたID送信装置の数が8個であることから、すべての位置において全ID送信装置2a〜2hから固有IDを送信するように指定されていることを示している。一方、送信間隔を0.2秒に設定しようとする場合は、図10に記載した表から2個のID送信装置を利用可能であり、各位置において利用するID送信装置が指定されていることを示している。例えば、位置(1)ではID送信装置2aとID送信装置2bのみを利用し、他のID送信装置は送信間隔を0秒すなわちIDを送信しない状態に設定することを示す。
【0076】
本具体例では、位置推定対象物の位置に応じて利用するID送信装置の組み合わせは次の手順により事前に求められるものとする。
【0077】
まず、検知対象エリア内に設置されているN個のID送信装置から同時に利用可能な個数nのすべての組み合わせを求める。本具体例では、N=8,n=2である。この時、組み合わせの数は=8×7÷2=28通りとなる。
【0078】
次に、各組み合わせについて、参照受信パターンから組み合わせに含まれるID送信装置の参照位置における受信強度を抽出し受信パターン(以降、抽出受信パターンと呼ぶ)を作成する。例えば2台のID受信装置をa,b、2台のID送信装置をA,B、位置xにおける参照受信パターンから得られる各ID送信装置の固有IDの受信強度をS(x,a,A),S(x,a,B),S(x,b,A),S(x,b,B)とすると、位置xにおいてID送信装置AとBから得られる抽出受信パターンP(x,A,B)は、P(x,A,B)={S(x,a,A),S(x,a,B),S(x,b,A),S(x,b,B)}となる。
【0079】
次に、対象となるすべての位置(以下、参照範囲)について、最も良好なID送信装置の組み合わせを抽出受信パターンから求める。本具体例では、ID送信装置の組み合わせの良さは、参照範囲における各抽出受信パターンが相互にどの程度異なっているかにより評価する。もし参照範囲の異なる2点における抽出受信パターンが似ているとすると、受信パターン比較手段43における受信パターン比較処理(図5のステップA3)で使用するパターン間距離はこの2点で同じような値となるため位置推定の精度が下がってしまう。そのため、参照範囲における抽出受信パターンは相互に大きく異なる(分離されている)ことが望ましい。ここでは、参照範囲における抽出受信パターン間の距離の分散と平均により抽出受信パターンの分離具合を評価する。
【0080】
図12に、m台のID受信装置、n台のID送信装置について、参照範囲x,x+1,…,xにおける抽出受信パターン間の距離の平均averageと分散varianceを求める式(4)、(5)を示す。平均averageが大きければ抽出受信パターンが相互に離れており、かつ、分散varianceが小さければ抽出受信パターンが均等にちらばっているとみなすことができる。なお、ID送信装置の組み合わせの良さは、参照範囲における抽出受信パターンが相互に異なっていることを評価できる方法であればどのようなものを用いても良い。
【0081】
図13は、参照範囲における抽出受信パターンの分離具合を評価することを説明するための図である。図13において、横軸は位置に、縦軸は抽出受信パターンにそれぞれ対応しており、ID送信装置の3種の組み合わせ(ID送信装置2a,2b)、(ID送信装置2b,2c)、(ID送信装置2c,2a)のそれぞれの抽出受信パターン間の距離の平均から、(ID送信装置2b,2c)が最良の組み合わせとして選択される。
【0082】
ID送信装置設定情報記憶部203に記録されている、位置推定対象物の位置に応じて利用するID送信装置の組み合わせは、位置の前後1mを参照範囲とした時の最良の組み合わせとして求めたものとする。この参照範囲は説明のために仮に設定するものであり、本発明の適用範囲を限定するものではない。参照範囲は必要に応じて変更することが可能であり、例えば、ID送信装置のID送信間隔と検知対象エリア内での位置推定対象物の動く速さが速ければもっと大きく、遅ければ小さくすれば良い。
【0083】
図14は、本具体例の動作を説明するための模式図である。
【0084】
動作開始時、ID送信装置制御手段200は検知対象エリア内に位置推定対象物が存在しないことを前提に、応答性は悪いが多数のID送信装置を利用可能とするためにID送信間隔を3秒とし、ID送信装置設定情報記憶部203に記録されている位置推定対象物1の位置に応じて利用するID送信装置の組み合わせを参照して、すべてのID送信装置のID送信間隔を3秒に設定する(図14の1)。
【0085】
受信パターン比較手段43は、受信パターン生成手段41で生成された受信パターンと、参照受信パターン記憶部42にあらかじめ記憶されている複数の参照受信パターンのパターン間距離を算出する。本具体例では、パターン間距離として受信パターンと参照受信パターンの特徴ベクトルのユークリッド距離を算出する。
【0086】
実際に位置推定対象物である人1がx軸上の1mの地点に存在するときに取得された受信パターンを、参照受信パターン記憶部42にあらかじめ記憶されている51個の参照受信パターンと比較して算出したユークリッド距離を図15に示す。図15に示したような比較結果から、受信パターン比較結果を生成することができ、生成した受信パターン比較結果を物体位置選択手段44へ出力する。
【0087】
物体位置選択手段44は、受信パターン比較手段43が出力した受信パターン比較結果から、パターン間距離が最も小さくなる参照位置を選択し、位置推定対象物の位置推定結果として出力する。図15を参照すると、参照位置が1mであるような参照受信パターンとのパターン間距離が最も小さくなり、正しく位置推定対象物の位置が推定されていることが分かる。
【0088】
物体位置選択手段44で得られた位置推定対象物の位置は、物体位置出力装置5であるディスプレイで出力される。
【0089】
ID送信装置制御手段200は、物体位置選択手段44の出力結果から、検知対象エリア内に位置推定対象物が存在することと、その位置を知る。そこで応答性を向上するためにID送信間隔を0.2秒とし、ID送信装置設定情報記憶部203を参照して位置推定対象物1の位置に適したID送信装置(図14におけるID送信装置2c,2d)のID送信間隔を0.2秒に設定する。同時に他のID送信装置のID送信間隔を0秒に設定しID送信を停止する(図14の2)。
【0090】
先の処理と同様に、受信パターン生成手段41,受信パターン比較手段43,物体位置選択手段44により位置推定対象物1の位置を推定した後、得られた位置推定結果に応じてID送信装置の設定を変更する(図14の3,4)。ID送信間隔を0秒に設定されID送信を行わないID送信装置からの信号はID受信装置に届かないため、本具体例では受信パターン比較手段43におけるパターン間距離計算処理においては、受信できなかったID送信装置の受信強度は0として扱うものとする。なお、本具体例では、受信できなかったID送信装置の受信強度を0として、パターン間距離計算処理を行うようにしたが、ID送信装置設定情報記憶手段203を参照することで、利用しないID送信装置をパターン間距離計算処理から除外するように構成することも可能である。
【0091】
検知対象エリア内に物体が存在しなくなった場合は、再び図14の(1)の状態に戻り、ID送信装置制御手段200はすべてのID送信装置のID送信間隔を3秒に設定し、上記と同様の処理を繰り返す。
【0092】
本具体例では、電波反射体で囲われたトンネル内部に設置したID送信装置およびID受信装置を用いて、トンネル内およびトンネル近辺の人の位置を推定することができる。これにより、電波反射体で囲われたトンネルのようなマルチパス環境化においても、位置推定対象物に特別な装置を備え付ける必要なく、無線通信を利用して位置推定対象物の位置を推定することができる。
【0093】
以上、本具体例では、ID受信装置としてIDと共に受信強度が計測できるアクティブ型のRF IDを用いる場合について説明したが、IDと共に受信強度、通信品質(受信強度を除く)もしくは到達時間を計測する別の無線通信機器を用いることもできる。この場合、受信特徴量として、計測できる受信強度、受信強度以外の通信品質もしくは到達時間の値を用いることで、本具体例と同様の処理を行うことができる。受信強度以外の通信品質は、信号の受信強度、もしくは、マルチパスによる信号間干渉によって変化するものであり、これら受信強度やマルチパスの状況が、位置推定対象物の位置に応じて変化するので、受信強度以外の通信品質を用いても位置推定対象物の位置を推定することができる。また、到達時間は、無線送受信機間の距離や、マルチパスによる信号間干渉によって変化し、これら送受信機間距離やマルチパスの状況が、位置推定対象物の位置に応じて変化するので、到達時間を利用しても位置推定対象物の位置を推定することができる。
【0094】
また、本具体例ではアクティブ型RF IDの設定に有線によるUARTと3段階の送信間隔設定を利用する場合について説明したが、赤外線や電波などを用いた無線通信を用いることや送信間隔をより多くの種類に設定可能とすることも可能である。
【0095】
また、本具体例ではID送信間隔が長い場合にすべてのID送信装置が利用可能な場合について説明したが、同時に利用可能なID送信装置の数が制限されている場合は、参照範囲を検知対象エリア全体として最良のID送信装置の組み合わせを求めることで対応できる。
【0096】
また、本具体例では、受信パターン比較手段として、受信パターンと参照受信パターンの違いをユークリッド距離で数値化する場合について説明したが、受信パターンと参照受信パターンの違いをシティブロック距離などで数値化することもできる。二つのベクトルのシティブロック距離の算出方法は図25の式(2)に示した通りである。
【0097】
また、本具体例では、位置推定対象物の位置に応じて利用するID送信装置の組み合わせは事前に求められているものとしたが、ID送信装置制御手段200が参照受信パターンを利用して物体位置選択手段44の出力を受け取った時に求めるように構成することも可能である。
【0098】
また、本具体例では、位置推定対象物が検知対象エリアに入っている間はID送信間隔を短くする例について説明したが、図16の(3)のように、位置推定対象物が検知対象エリア内にいる場合でも周期的にID送信間隔を長くするように構成することも可能である。これにより、周期的に検知対象エリア内の広い範囲を対象とした位置推定対象物の位置推定が可能となり、ID送信間隔が短い場合に位置推定処理を失敗し位置推定対象物を追跡できなくなった場合から復帰し位置推定処理を継続することが可能となる。
【0099】
また、本具体例では、物体位置選択手段44として、受信パターン比較結果からパターン間距離が最も小さくなるような参照位置を選択する場合について説明したが、受信パターン比較結果のパターン間距離から位置推定対象物の存在確率分布を算出した上で、統計的な手法などを用いて位置推定対象物の位置を選択することもできる。
【0100】
また、本具体例では、位置推定対象物の位置をx軸上の一次元座標として推定する場合について説明したが、キャリブレーションにおいて検知対象エリアを二次元や三次元に区切って参照受信パターンを取得することにより、位置推定対象物の位置を平面における二次元座標もしくは空間における三次元座標として推定することもできる。この場合も、参照位置における抽出受信パターン間の距離を求めることで、利用するID送信装置の組み合わせを選択することが可能である。
【0101】
また、本具体例では、トンネル外の環境変動の影響がトンネル内に及ぶのを抑制するためにトンネルを電波反射体で囲った場合について説明したが、電波反射体を取り除くこともできる。
【0102】
また、本具体例では、位置推定対象物にはID送信装置を備え付けない場合について説明したが、トンネル内を通過する位置推定対象物にもID送信装置を備え付けさせ、位置推定対象物に備え付けたID送信装置と位置推定対象物の位置推定結果を統合することにより、IDで特定できる位置推定対象物がトンネルを通過したかどうか、もしくは通過した方向を正確に推定することもできる。
【0103】
〔第3の実施例〕
次に本発明の第3の実施例について説明する。
【0104】
図17は本発明の第3の実施例の構成を説明するための図である。本実施例は、第2の実施例と比較して、物体位置選択手段44の出力を参照するID送信装置制御手段200の代わりに、検知対象エリア6内に1つ以上設置された物体検知手段300a,300b,…を参照するID送信装置制御手段200aを有する物体位置推定装置4a備えたことを特徴とする。
【0105】
物体検知手段300a,300b,…は検知対象エリア6内の特定の領域内に物体が存在するかどうかを検知してID送信装置制御手段200aに通知する手段であり、赤外線や超音波を用いた通過センサなどにより実現される。
【0106】
ID送信装置制御手段200aは、物体検知手段300a,300b,…の出力から参照範囲に位置推定対象物が存在することを判断し、位置推定対象物の存在する位置に応じて、動作させるID送信装置2a,2b,…の組み合わせを制御すると共に、ID送信装置2a,2b,…のID送信間隔を制御する。また、ID送信装置制御手段200aは、検知対象エリア6内に位置推定対象物が存在しない場合は、全てのID送信装置2a,2b,…の動作を停止させる。
【0107】
図17(B)は、ID送信装置制御手段200aの構成例を示す図であり、物体検知手段300a,300b,…からの通知に基づいて、位置推定対象物の概略位置を認識し、認識した概略位置を示す位置情報を最新位置情報保持部201に格納する概略位置認識手段204を備えている点が第2の実施例におけるID送信装置制御手段200と相違している。概略位置認識手段204は、例えば、各物体検知手段300a,300b,…の物体検知範囲に対応した位置情報が登録されたテーブル(図示せず)を有し、ある物体検知手段から物体を検知した旨の通知が送られてきた場合、上記テーブルに登録されている各物体検知手段300a,300b,…対応の位置情報の内の、通知元の上記ある物体検知手段に対応する位置情報を最新位置情報保持部201に格納する。また、概略位置認識手段204は、所定時間、いずれの物体検知手段300a,300b,…からも、位置推定対象物を検知した旨の通知が送られてこなかった場合、検知対象エリア6内に位置推定対象物が存在しないことを示す情報を最新位置情報保持部201に格納する。
【0108】
本発明の第3の実施例の動作は、第2の実施例の動作と比較して、図5のステップA0が変更されている。
【0109】
すなわち、ID送信装置制御手段200aは、物体検知手段300a,300b,…の出力(最新位置情報保持部201の内容)から、検知対象エリア6内に位置推定対象物が存在しないと判断できる場合には、固有IDを送信する必要がないためID送信装置2a,2b,…のID送信を停止する。また、物体検知手段300a,300b,…の出力から検知対象エリア6内に位置推定対象物が存在しその概略位置が推定できる場合には、その周辺だけが位置推定処理の対象となるように固有IDを送信するID送信装置2a,2b…の数量を少なくすると共に、ID送信間隔を短くして位置推定対象物の位置変化に対する応答性を向上させる。他のステップの動作は、第2の実施例と同様である。
【0110】
〔第3の実施例の効果〕
本発明の第3の実施例は、第2の実施例で得られる効果に加え、ID送信装置2a,2b,…の消費電力を極めて少ないものにすることができるといった効果を得ることができる。その理由は、物体検知手段300a,300b,…によって検知対象エリア6内に位置推定対象物が検知されなかった場合、全てのID送信装置2a,2b,…の動作を停止させることができるからである。
【0111】
〔第3の実施例の具体例〕
次に、本発明の第3の実施例の具体例について説明する。
【0112】
本具体例は、第2の実施例の具体例と比較して、焦電センサにより構成された物体検知手段300a,300b,…が検知対象エリア6内に設置されていること、ID送信装置制御手段200aが、物体検知手段300a,300b,…の出力から参照範囲に位置推定対象物が存在することを判断し、位置推定対象物の存在する位置に応じて、動作させるID送信装置の組み合わせ、およびID送信間隔を制御するように構成されていること、検知対象エリア6内に位置推定対象物が存在しない場合、全てのID送信装置2a,2b,…の動作を停止させることが異なっている。
【0113】
図18は、本具体例の動作を説明するための模式図である。
【0114】
動作開始時、ID送信装置制御手段200aは、物体検知手段300a,300b,…の出力から検知対象エリア6内に位置推定対象物1が存在しないことを確認し、すべてのID送信装置のID送信間隔を0秒に設定してID送信を停止する(図18の1)。
【0115】
ID送信装置制御手段200aは、物体検知手段300a,300b,…の出力結果から、検知対象エリア6内に位置推定対象物1が存在することとそのおおよその位置を知る。そこで応答性を向上しつつ正確な位置を知るためにID送信間隔を0.2秒とし、ID送信装置設定情報記憶部203を参照して位置推定対象物1の位置に適したID送信装置(図18におけるID送信装置2c,2d)のID送信間隔を0.2秒に設定する。同時に他のID送信装置のID送信間隔を0秒に設定しID送信を停止する(図18の2)。
【0116】
第2の実施例の具体例と同様に、受信パターン生成手段41、受信パターン比較手段43、物体位置選択手段44により位置推定対象物1の位置を推定した後、得られた位置推定結果に応じてID送信装置の設定を変更する(図18の3)。
【0117】
検知対象エリア6内に位置推定対象物1が存在しなくなった場合は、再び図18の(1)の状態に戻り、ID送信装置制御手段200aは、すべてのID送信装置のID送信間隔を0秒に設定し、上記と同様の処理を繰り返す。
【0118】
このように構成することで、本発明の第3の実施例では、物体検知手段を用いて位置推定対象物の概略位置を検出してID送信装置の動作を変更するため、検知すべき位置推定対象物が検知対象エリア内に存在しない時の消費電力抑制効果をより高めることが可能となる。
【0119】
上記以外の部分は本発明の第2の実施例の具体例と同様であり、説明は省略する。
【0120】
なお、本具体例では、ID送信装置設定手段が物体位置推定装置に含まれるものとして説明したが、ID送信装置設定手段を検知対象エリア内に設置するように構成することも可能である。
【0121】
また、本具体例では、物体検知手段はID送信装置とは別に設置するものとしたが、ID送信装置と同数の物体検知手段を各ID送信装置と一体として設置することも可能である。さらには、各ID送信装置を設定するID送信装置設定手段とID送信装置と物体検知手段を一体として設置することも可能である。この場合、ID送信装置設定手段は、一体として設置された物体検知手段の出力のみを参照すれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明によれば、無線通信システムを利用した、人や物の位置もしくは存在の取得や、無線通信システムを利用した、人や物の位置もしくは存在の取得をコンピュータに実現するためのプログラムといった用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の第1の実施例の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例の動作を示す流れ図である。
【図3】本発明の第2の実施例の外観を説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施例の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施例の動作を示す流れ図である。
【図6】第2の実施例の具体例の外観を説明するための図である。
【図7】ID受信装置が同時にIDを受信可能なID送信装置の個数N,ID長l,平均送信間隔β,受信確率閾値Th,受信動作繰返回数Mの関係を表す式を示した図である。
【図8】ID送信装置の個数と全てのID送信装置の固有IDを受信可能な確率との関係を表すグラフを示した図である。
【図9】受信強度と参照物体の位置との関係を示す図である。
【図10】ID送信装置設定手段が参照する送信間隔と同時に利用可能なID送信装置の個数との関係の一例を示す図である。
【図11】ID送信装置設定手段が参照する位置と動作させるID送信装置との関係の一例を示す図である。
【図12】ID送信装置設定手段の動作を説明するための数式を示した図である。
【図13】ID送信装置設定手段の動作を説明するための図である。
【図14】第2の実施例の具体例の動作を説明するための図である。
【図15】受信パターン比較結果の一例を示す図である。
【図16】第2の実施例の具体例の他の動作を説明するための図である。
【図17】本発明の第3の実施例の構成例を示すブロック図である。
【図18】第3の実施例の具体例の動作を説明するための図である。
【図19】非特許文献1に記載されている技術を説明するための外観図である。
【図20】非特許文献1に記載されている位置推定システムの構成例を示すブロック図である。
【図21】受信パターンの一例を示す図である。
【図22】参照位置と受信パターンとの対応関係の一例を示した図である。
【図23】受信パターン比較結果の一例を示す図である。
【図24】二つのベクトルのユークリッド距離の算出方法を示す図である。
【図25】二つのベクトルのシティブロック距離の算出方法を示す図である。
【図26】非特許文献1に記載されている位置推定システムの動作を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0124】
1…位置推定対象物
2a,2b,102a,102b…ID送信装置
3a,3b,103a,103b…ID受信装置
4,104…物体位置推定装置
41…受信パターン生成手段
42…参照受信パターン記憶部
43…受信パターン比較手段
44…物体位置選択手段
5…物体位置出力装置
6…検知対象エリア
7…位置推定手段
8…最新位置情報保持部
9…送信装置設定手段
200、200a…ID送信装置制御手段
201…最新位置情報保持部
202…ID送信装置設定手段
203…ID送信装置設定情報記憶部
204…概略位置認識手段
300a,300b…物体検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知対象エリアに設置された複数の送信装置と、
前記検知対象エリアに設置され、前記送信装置からの情報を受信する受信装置と、
前記複数の送信装置の内の一部の送信装置が動作するように、システムで把握している位置推定対象物の最新の位置に基づいて、動作させる送信装置の組み合わせを制御する送信装置設定手段と、
前記受信装置の受信信号に基づいて前記位置推定対象物の位置を推定する位置推定手段とを備えたことを特徴とする位置推定システム。
【請求項2】
請求項1記載の位置推定システムにおいて、
前記送信装置設定手段は、前記検知対象エリアに位置推定対象物が存在するか否かにより、動作させる送信装置の台数を制御することを特徴とする位置推定システム。
【請求項3】
請求項2記載の位置推定システムにおいて、
前記送信装置設定手段は、前記検知対象エリアに位置推定対象物が存在するか否かにより、送信装置の情報の送信間隔を制御することを特徴とする位置推定システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の位置推定システムにおいて、
前記システムで把握している前記位置推定対象物の最新の位置が、前記位置推定手段で推定された前記位置推定対象物の位置であることを特徴とする位置推定システム。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の位置推定システムにおいて、
前記位置推定対象物の概略位置を検出する物体検知手段を備え、且つ、
前記システムで把握している位置推定対象物の最新の位置が、前記物体検知手段で検出された前記位置推定対象物の概略位置であることを特徴とする位置推定システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の位置推定システムにおいて、
位置と動作させる送信装置との関係が記録されている記憶手段を備え、且つ、
前記送信装置設定手段が、前記システムが認識している前記位置推定対象物の最新の位置と前記記憶手段の内容とに基づいて、動作させる送信装置の組み合わせを決定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項7】
請求項3記載の位置推定システムにおいて、
前記検知対象エリアに位置推定対象物が存在する場合の送信間隔と存在しない場合の送信間隔とが登録された記憶手段を備え、且つ、
前記送信装置設定手段が、前記記憶手段の内容と、前記検知対象エリアにおける位置推定対象物の有無とに基づいて、送信装置の情報の送信間隔を制御することを特徴とする位置推定システム。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の位置推定システムにおいて、
前記位置推定手段が、前記受信装置の受信信号の通信品質の内の、受信強度以外の通信品質に基づいて前記位置推定対象物の位置を推定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の位置推定システムにおいて、
前記位置推定手段が、送信装置から受信装置への無線電波もしくは情報の到達時間に基づいて前記位置推定対象物の位置を推定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項10】
複数の送信装置が設置されると共に、前記送信装置からの情報を受信する受信装置が設置された検知対象エリア内に存在する位置推定対象物の位置をコンピュータにより推定する位置推定方法であって、
前記コンピュータが、前記複数の送信装置の内の一部の送信装置が動作するように、システムで把握している位置推定対象物の最新の位置に基づいて、動作させる送信装置の組み合わせを制御する送信装置設定ステップと、
前記コンピュータが、前記受信装置の受信信号に基づいて前記位置推定対象物の位置を推定する位置推定ステップとを含むことを特徴とする位置推定方法。
【請求項11】
請求項10記載の位置推定方法において、
前記送信装置設定ステップでは、前記検知対象エリアに位置推定対象物が存在するか否かにより、動作させる送信装置の台数を制御することを特徴とする位置推定方法。
【請求項12】
請求項11記載の位置推定方法において、
前記送信装置設定ステップでは、前記検知対象エリアに位置推定対象物が存在するか否かにより、送信装置の情報の送信間隔を制御することを特徴とする位置推定方法。
【請求項13】
請求項10乃至12の何れか1項に記載の位置推定方法において、
前記システムで把握している前記位置推定対象物の最新の位置が、前記位置推定ステップで推定された前記位置推定対象物の位置であることを特徴とする位置推定方法。
【請求項14】
請求項10乃至12の何れか1項に記載の位置推定方法において、
前記位置推定対象物の概略位置を検出する物体検知手段を備え、且つ、
前記システムで把握している位置推定対象物の最新の位置が、前記物体検知手段で検出された前記位置推定対象物の概略位置であることを特徴とする位置推定方法。
【請求項15】
請求項10乃至14の何れか1項に記載の位置推定方法おいて、
位置と動作させる送信装置との関係が記録されている記憶手段を備え、且つ、
前記送信装置設定ステップでは、前記システムが認識している前記位置推定対象物の最新の位置と前記記憶手段の内容とに基づいて、動作させる送信装置の組み合わせを決定することを特徴とする位置推定方法。
【請求項16】
請求項12記載の位置推定方法において、
前記検知対象エリアに位置推定対象物が存在する場合の送信間隔と存在しない場合の送信間隔とが登録された記憶手段を備え、且つ、
前記送信装置設定ステップでは、前記記憶手段の内容と、前記検知対象エリアにおける位置推定対象物の有無とに基づいて、送信装置の情報の送信間隔を制御することを特徴とする位置推定方法。
【請求項17】
請求項10乃至16の何れか1項に記載の位置推定方法において、
前記位置推定ステップでは、前記受信装置の受信信号の通信品質の内の、受信強度以外の通信品質に基づいて前記位置推定対象物の位置を推定することを特徴とする位置推定方法。
【請求項18】
請求項10乃至16の何れか1項に記載の位置推定方法において、
前記位置推定ステップでは、送信装置から受信装置への無線電波もしくは情報の到達時間に基づいて前記位置推定対象物の位置を推定することを特徴とする位置推定方法。
【請求項19】
複数の送信装置が設置されると共に、前記送信装置からの情報を受信する受信装置が設置された検知対象エリア内に存在する位置推定対象物の位置を、コンピュータに推定させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記複数の送信装置の内の一部の送信装置が動作するように、システムで把握している位置推定対象物の最新の位置に基づいて、動作させる送信装置の組み合わせを制御する送信装置設定手段、
前記受信装置の受信信号に基づいて前記位置推定対象物の位置を推定する位置推定手段として機能させるプログラム。
【請求項20】
請求項19記載のプログラムにおいて、
前記送信装置設定手段は、前記検知対象エリアに位置推定対象物が存在するか否かにより、動作させる送信装置の台数を制御することを特徴とするプログラム。
【請求項21】
請求項20記載のプログラムにおいて、
前記送信装置設定手段は、前記検知対象エリアに位置推定対象物が存在するか否かにより、送信装置の情報の送信間隔を制御することを特徴とするプログラム。
【請求項22】
請求項19乃至21の何れか1項に記載のプログラムにおいて、
前記システムで把握している前記位置推定対象物の最新の位置が、前記位置推定手段で推定された前記位置推定対象物の位置であることを特徴とするプログラム。
【請求項23】
請求項19乃至21の何れか1項に記載のプログラムにおいて、
前記検知対象エリア内に前記位置推定対象物の概略位置を検出する物体検知手段が設置され、且つ、
前記システムで把握している位置推定対象物の最新の位置が、前記物体検知手段で検出された前記位置推定対象物の概略位置であることを特徴とするプログラム。
【請求項24】
請求項19乃至23の何れか1項に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータが、位置と動作させる送信装置との関係が記録されている記憶手段を備え、且つ、
前記送信装置設定手段が、前記システムが認識している前記位置推定対象物の最新の位置と前記記憶手段の内容とに基づいて、動作させる送信装置の組み合わせを決定することを特徴とするプログラム。
【請求項25】
請求項21記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータが、前記検知対象エリアに位置推定対象物が存在する場合の送信間隔と存在しない場合の送信間隔とが登録された記憶手段を備え、且つ、
前記送信装置設定手段が、前記記憶手段の内容と、前記検知対象エリアにおける位置推定対象物の有無とに基づいて、送信装置の情報の送信間隔を制御することを特徴とするプログラム。
【請求項26】
請求項19乃至25の何れか1項に記載のプログラムにおいて、
前記位置推定手段が、前記受信装置の受信信号の通信品質の内の、受信強度以外の通信品質に基づいて前記位置推定対象物の位置を推定することを特徴とするプログラム。
【請求項27】
請求項19乃至25の何れか1項に記載のプログラムにおいて、
前記位置推定手段が、送信装置から受信装置への無線電波もしくは情報の到達時間に基づいて前記位置推定対象物の位置を推定することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−292231(P2008−292231A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136437(P2007−136437)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】