説明

位置検出センサユニットおよび位置検出装置

【課題】位置検出センサユニットの端縁を上ケースから浮き上がらせてしまうのを防止する。
【解決手段】位置検出センサユニットは、指示体の位置を検出するための導体が配設されたセンサを備えるセンサ基板と、指示体によって位置を指示するための一方の面と前記センサ基板が配置される他方の面を有する位置指示操作用部材とを備える。センサ基板からは指示体が指示する位置を求めるための信号処理回路に接続するために、所定の幅および所定の長さのフレキシブルケーブルが延出されている。フレキシブルケーブルは、位置検出センサユニットが取り付けられる筐体の一部が位置指示操作用部材とフレキシブルケーブルとの間に挿入可能となるように、位置指示操作用部材の端縁よりも内側の位置から、シート部材に貼り付けられることなく設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、指や位置指示器などの指示体の位置を検出する位置検出センサユニットおよび位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指やペンなどの指示体によって指示された位置を検出する位置検出装置が良く知られている。この位置検出装置で用いられる位置検出方式としては、抵抗膜方式、電磁誘導方式、静電容量方式など種々のものが提供されている。
【0003】
図8は、静電容量方式の位置検出装置のセンサ部の一例の構成を示すもので、これは、投影型の静電容量方式を発展させたクロスポイント静電容量方式と呼ばれるものである。このクロスポイント静電容量方式の位置検出装置のセンサ部は、図8に示すように、指示入力面の例えばY軸方向(縦方向)の上部電極Exと、X軸方向(横方向)の下部電極Eyとを、X軸方向およびY軸方向に、それぞれ所定間隔で複数本並べ、互いが直交するとともに僅かな隙間を空けて配列させることにより構成されている。この場合、上部電極Exと下部電極Eyとの間の重なり部分(クロスポイント)には所定の静電容量Co(固定容量)が形成される。
【0004】
そして、使用者が把持した位置指示器や使用者の指などの指示体100が、指示入力面に近づくあるいは接触した位置においては、その位置の電極Ex、Eyと指示体との間に静電容量Cfが形成される。そして、指示体100は人体を通じてグラウンドに所定の静電容量Cgを介して接続されている。この結果、その静電容量CfおよびCgのために、その指示体100が指示する位置において、上部電極Exと下部電極Eyとの間の電荷の移動量が変化する。クロスポイント静電容量方式の位置検出装置では、この電荷の移動量の変化を検出することで、指示入力面内において指示体100により指示された位置が特定される。
【0005】
この電荷の移動量の変化は、信号処理回路101で検出する。信号処理回路101は、例えば、下部電極Eyを送信電極として、これに所定の送信信号を供給すると共に、上部電極Exを受信電極として、この受信電極から受信信号を受信し、受信信号の電流変化を検出することにより、前記電荷の移動量の変化を検出する。信号処理回路101は、送信信号を供給する送信電極を切り替えると共に、受信電極からの受信信号の電流変化の検出処理を順次に行うことにより、指示体の位置を検出するようにする。
【0006】
上述のようなクロスポイント静電容量方式に限らず、静電容量方式のセンサ部は、上述したように、電荷の移動量の変化を検出する方式であるために、検出電極と位置指示器との間の距離は短い方が良い。そのため、静電容量方式のセンサ部は、例えば特許文献1(特開2011−64658号公報)に示すように、位置検出装置の筐体の表面または前面に貼り付けられて設けられ、筐体内部の信号処理回路との間は、フレキシブル素材のケーブル(フレキシブルケーブル)が用いられて、筐体に穿かれた開口を介して接続される構成となっている。
【0007】
すなわち、図9は、特許文献1に記載された静電容量方式のセンサ部を備える位置検出装置100の構造を説明するための図であり、図9(A)は、当該位置検出装置100を指示体の指示入力を受け付ける面側から見た図、図9(B)は、図9(A)のA−A線拡大断面図である。
【0008】
この位置検出装置100の筐体110は、上ケース1101と下ケース1102とからなる。そして、筐体110の上ケース1101上に、静電容量方式のセンサ部(以下、センサ部を位置検出センサユニットという)120が貼り付けられて構成されている。また、筐体110の上ケース1101と下ケース1102との間の空間内には、位置検出センサユニット120用の信号処理回路130が設けられ、後述するように、上ケース1101に設けられている貫通孔1104を介して、位置検出センサユニット120と信号処理回路130とが接続されている。
【0009】
位置検出センサユニット120は、絶縁体材料からなるシート部材1201の裏面側に、フレキシブル基板からなるセンサ基板1202が、接着材により貼り付けられて構成されている。シート部材1201は位置指示操作用部材を構成するもので、その表面側は指示体による位置の指示入力がなされる面とされている。センサ基板1202には、例えば前述の電極Ex,Eyの導体パターン(図示は省略)を有するセンサがフレキシブル基板上に形成されている。
【0010】
そして、この位置検出センサユニット120においては、フレキシブル基板と一体のフレキシブルケーブル1203が、センサ基板1202の基板面に沿った方向に導出されている。フレキシブルケーブル1203には、センサ基板1202に形成されているセンサの電極Ex,Eyの導体パターンに接続されているリード部を構成する導体パターン(図示は省略)が形成されている。この場合、シート部材1201とセンサ基板1202とはほぼ同じ面積(僅かにセンサ基板1202の方の面積が小さい)とされており、位置検出センサユニット120は、ほぼ同じ大きさであるシート部材1201とセンサ基板1202とが接着された、ほぼ矩形の板状の構造体となっている。フレキシブルケーブル1203は、この矩形の板状の位置検出センサユニット120の端縁近傍から導出されている。
【0011】
上ケース1101の上面の、位置検出センサユニット120を貼り付けるスペースは、位置検出センサユニット120の大きさおよび厚さに応じた大きさおよび深さの凹部1103とされている。この上ケース1101の凹部1103の底部は、位置検出センサユニット120を貼り付けるための平面状となっており、この底部に位置検出センサユニット120のセンサ基板1202側が接着材により接着されて、位置検出センサユニット120が上ケース1101の上面に固定される。
【0012】
そして、この凹部1103の底部の端縁の、位置検出センサユニット120のフレキシブルケーブル1203の導出位置に対応する位置には、フレキシブルケーブル1203を上ケース1101と下ケース1102との空間内に挿通させるための貫通孔1104が穿かれている。そして、位置検出センサユニット120のフレキシブルケーブル1203は、図9(B)に示すように、ほぼ直角に曲げられて、貫通孔1104を通して、上ケース1101の上面から、上ケース1101と下ケース1102との空間に挿通される。そして、筐体110は扁平薄型とされているために、フレキシブルケーブル1203は、上ケース1101と下ケース1102との空間において更に曲げられた後、この上ケース1101と下ケース1102との空間に設けられている信号処理回路130と接続されている。
【0013】
なお、図9(B)の断面図においては、わかりやすくするために、シート部材1201、センサ基板1202、上ケース1101の間に隙間を設けたが、実際には、これらの間は接着材によって相互に接着されて、均一に密着した状態が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2011−64658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述した図9の従来の位置検出装置では、シート部材1201により、フレキシブルケーブル1203を除くセンサ基板1202の部分を覆うことで、静電気ノイズがセンサ基板1202の電極を通じて混入することを防止している。また、位置検出センサユニット120の端縁近傍から導出されるフレキシブルケーブル1203は、ほぼ直角に曲げて、上ケース1101に穿かれた貫通孔から、上ケース1101と下ケース1102との間の空間内に挿通させることで、できるだけ、フレキシブルケーブル1203が、上ケース1101の上面側に露呈しないようにしている。これにより、フレキシブルケーブル1203に指などの指示体が触れることを防止して、静電気ノイズがフレキシブルケーブル1203を通じて混入して誤動作を生じることを防止している。
【0016】
ところで、フレキシブルケーブル1203は、一般に、可撓性および弾性を有するフレキシブル材料からなっており、折り曲げられた部分には元の真直状態に戻ろうとする力が働く。図9に示した位置検出装置100においては、上述したように、直角に折り曲げられて上ケース1101と下ケース1102との間の空間に導入され、上ケース1101と下ケース1102との間の空間内において更に折り曲げられた後、信号処理回路130と接続されている。
【0017】
このため、フレキシブルケーブル1203は、位置検出センサユニット120からの導出部での直角の折り曲げ部と上ケース1101と下ケース1102との間の空間内における折り曲げとの2つの折り曲げ部に対して、それぞれ元の真直状態に戻ろうとする力が働き、それらの力は最終的に、図9(B)において、矢印ARで示すように、位置検出センサユニット120を上方に押し上げる方向に働くおそれがある。
【0018】
そして、この矢印ARの方向の力が長期間にわたって位置検出センサユニット120に働くと、図9(C)に示すように、位置検出センサユニット120の端縁を上ケース1101から浮き上がらせてしまうおそれがある。
【0019】
この発明は、以上のような問題点を解消することができる位置検出センサユニットおよび位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、
指示体が指示する位置を検出するための導体が配設されたセンサ基板と、
前記指示体によって位置を指示するための一方の面と前記センサ基板が配置される、前記一方の面に対向した他方の面を有する位置指示操作用部材と、
を備えた位置検出センサユニットであって、
前記センサ基板は前記位置指示操作用部材の前記他方の面に固着されており、
前記センサ基板からは、前記指示体が指示する位置を求めるための信号処理回路に接続するために、所定の幅および所定の長さのフレキシブルケーブルが延出されており、
前記フレキシブルケーブルは、前記フレキシブルケーブルが延出される方向における、前記位置指示操作用部材の前記端縁から内側に向かう所定の長さの部分において、前記位置指示操作用部材の前記他方の面から離間自在とされている
ことを特徴とする位置検出センサユニットを提供する。
【0021】
また、請求項5の発明は、
上ケースと、前記上ケースと結合される下ケースと、指示体が指示する位置を検出するために前記上ケースの上面側に配置される位置検出センサユニットと、前記上ケースと前記下ケースとの間に形成された空間内に配置された信号処理回路とを備える位置検出装置において、
前記位置検出センサユニットは、前記指示体が指示する位置を検出するための導体が配設されたセンサ基板と、前記指示体によって位置を指示するための一方の面と前記センサ基板が配置される、前記一方の面に対向した他方の面を有する位置指示操作用部材とを備え、
前記センサ基板は前記位置指示操作用部材の前記他方の面に固着されており、
前記センサ基板からは、前記指示体が指示する位置を求めるための信号処理回路に接続するための、所定の幅および所定の長さのフレキシブルケーブルが延出されており、
前記フレキシブルケーブルは、前記フレキシブルケーブルが延出される方向における、前記位置指示操作用部材の端縁から内側に向かう所定の長さの部分において、前記位置指示操作用部材の前記他方の面から離間自在とされて延出されており、
前記上ケースの前記上面側には、前記位置検出センサユニットが配置される凹部が設けられると共に、前記凹部に設けられた貫通孔によって前記位置指示操作用部材の前記他方の面に沿った方向に延出された前記フレキシブルケーブルが前記上ケースと前記下ケースとの間に形成された空間内に挿通されることで、前記上ケースと前記下ケースとの間に形成された空間内に配置された信号処理回路と接続される
ことを特徴とする位置検出装置を提供する。
【0022】
請求項1の発明の位置検出センサユニットおいては、センサ基板以上の面積の位置指示操作用部材にセンサ基板が貼り付けられると共に、フレキシブルケーブルは、位置指示操作用部材の端縁よりも内側の位置から、この位置指示操作用部材に貼り付けられることなく、この位置指示操作用部材の面に沿う方向にシート部材の端縁よりも外側に延出するように設けられる。
【0023】
このため、請求項1の発明の位置検出センサユニットは、位置検出装置の筐体の一部が位置指示操作用部材とフレキシブルケーブルとの間に挿入された状態で位置検出装置の筐体に取り付けられる。
【0024】
請求項5の発明の位置検出装置においては、フレキシブルケーブルは、上ケースの貫通孔近傍の部分が位置検出センサユニットの位置指示操作用部材とフレキシブルケーブルとの間に存在する状態で、上ケースの貫通孔から、上ケースと下ケースとの間の空間内に、位置指示操作用部材の面に沿う方向の延伸を維持した状態で挿通される。そして、フレキシブルケーブルは、上ケースと下ケースとの間の空間内において、信号処理回路と接続される。
【0025】
したがって、この発明によれば、フレキシブルケーブルは、折り曲げられることなく、上ケースの貫通孔から、上ケースと下ケースとの間の空間内に導入される。そして、上ケースと下ケースとの間の空間内に導入されたフレキシブルケーブルは、曲げられて信号処理回路に接続されたとしても、当該フレキシブルケーブルが真直に戻ろうとする復元力による上ケース方向への力は、位置指示操作用部材とフレキシブルケーブルとの間に存在する上ケースの貫通孔近傍の部分が受け止めるようになる。このため、この発明によれば、位置検出センサユニットが上ケースから浮き上がるようなことは無い。
【0026】
また、この発明によれば、位置指示操作用部材の内側から延出されたフレキシブルケーブルが、貫通孔を通して上ケースの下面側に導出されるので、フレキシブルケーブルは、上ケースの上面側に露呈することは無い。このため、静電気ノイズの影響を受けにくいという効果を奏する。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、位置検出センサユニットが、位置検出装置の上ケースから浮き上がるようなことは無い。また、この発明によれば、位置指示操作用部材の内側から延出されたフレキシブルケーブルが、貫通孔を通して上ケースの下面側に導出されるので、フレキシブルケーブルは、上ケースの上面側に露呈することは無く、静電気ノイズの影響を受けにくいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明による位置検出装置の実施形態を説明するための分解構成図である。
【図2】この発明による位置検出装置の実施形態の外観の一例を示す図である。
【図3】この発明による位置検出装置の実施形態におけるセンサ回路の構成例を示す図である。
【図4】この発明による位置検出センサユニットの実施形態を説明するための分解構成図である。
【図5】この発明による位置検出装置の実施形態の各部の断面図を示す図である。
【図6】この発明による位置検出装置の他の実施形態の要部を説明するための分解構成図である。
【図7】この発明による位置検出装置のさらに他の実施形態の要部を説明するための分解構成図である。
【図8】静電容量方式の位置検出装置を説明するための回路図である。
【図9】従来の位置検出装置の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、この発明の実施形態の位置検出装置1の全体の構成例を説明するための分解斜視図である。また、図2は、この実施形態の位置検出装置1の組立後の全体構成を示す図であり、指示体により指示入力をする面側から見た図である。
【0030】
この実施形態の位置検出装置は、図1に示すように、静電容量方式の位置検出センサユニット10と、絶縁体材料からなる上ケース20と、同じく絶縁体材料からなる下ケース30と、電磁誘導方式のセンサ部41が形成されているプリント配線基板40とからなっている。図1においては、位置検出センサユニット10は、斜め下方から見た状態を示しており、上ケース20、下ケース30、プリント配線基板40は、斜め上方から見た状態を示している。
【0031】
この実施形態では、上ケース20の上面21側に、位置検出センサユニット10が貼り付けられて、位置検出センサユニット10の表面10Aは、指示体によって位置を指示するための面とされており、図2に示すように、外部に露呈される。なお、図2に示すように、上ケース20の上面21側においては、位置検出センサユニット10の左側方に、所定の押ボタン51,52,53が設けられている。
【0032】
そして、上ケース20と下ケース30とが係合されて、位置検出装置1の筐体50(図2参照)が形成されるが、この上ケース20と下ケース30との間の空間内に、プリント配線基板40が収納される。
【0033】
プリント配線基板40には、電磁誘導方式のセンサ部41の他、信号処理回路(図3参照。図1では図示は省略)42が形成されている。上記のように、この実施形態の位置検出装置1は、静電容量方式の位置検出センサユニット10と、電磁誘導方式のセンサ部41との2種のセンサ部を備えており、信号処理回路42には、これら2種のセンサに対する信号処理回路が設けられている。
【0034】
すなわち、プリント配線基板40の信号処理回路42は、図3に示すように、位置検出センサユニット10と接続される静電容量方式センサ回路部421と、電磁誘導方式のセンサ部41と接続される電磁誘導方式センサ回路部422と、静電容量方式センサ回路部421および電磁誘導方式センサ回路部422に接続されて位置検出装置1の全体を制御する制御回路部423とからなる。
【0035】
電磁誘導方式センサ回路部422は、電磁誘導方式用の指示体を構成するペン61からの交流信号を受信する受信電極の位置を検出することにより、ペン61の位置を検出する。電磁誘導方式のセンサ部41には、電磁誘導方式用の指示体を構成するペン61からの交流信号を受信する受信電極が少なくともプリント配線基板40の一面側に形成されている。この電磁誘導方式のセンサ部41と電磁誘導方式センサ回路部422とは、プリント配線基板40上の配線パターンにより電気的に接続されている。
【0036】
一方、位置検出センサユニット10には、静電容量方式センサ回路部421から所定の送信信号が供給され、また、この位置検出センサユニット10からの受信信号がセンサ回路部421に供給される。そして、センサ回路部421は、指62や静電ペン(図示は省略)の位置を、位置検出センサユニット10からの受信信号に基づいて、前述したように、指示体が指示する位置を静電容量の変化として検出する。
【0037】
この位置検出センサユニット10は、この実施形態では、上ケース20により、プリント配線基板40とは隔てられて設けられている。このため、位置検出センサユニット10とプリント配線基板40の静電容量方式センサ回路部422との電気的接続は、上ケース20に設けた開口部(貫通孔)を介して位置検出センサユニット10から導出される接続用のケーブルを用いて行われる。
【0038】
以下に、位置検出センサユニット10および上ケース20の詳細構成を説明して、位置検出センサユニット10と、プリント配線基板40の信号処理回路42との接続を行うための部分の構成例を説明する。
【0039】
[位置検出センサユニット10の構成例]
図4は、図1の位置検出装置の実施形態に用いられる位置検出センサユニット10の分解斜視図であり、上ケース20に貼り付けられる裏面側から見た図である。
【0040】
この図4に示すように、位置検出センサユニット10は、この例ではフレキシブル素材の基板(以下、フレキシブル基板という)からなるセンサ基板11と、シート部材12と、接着材シート13とからなる。
【0041】
センサ基板11を構成するフレキシブル基板は、本体部分112と、この本体部分112から一体に、その基板面方向に沿った方向に導出されている帯状のフレキシブルケーブル113A,113B,113Cとからなる。フレキシブルケーブル113A,113B,113Cのそれぞれは、所定のケーブル長および所定のケーブル幅を有する。
【0042】
センサ基板11の本体部分112は、長辺の長さがL1、短辺の長さがL2のほぼ矩形形状を有する。この例では、この本体部分112の一面側(検出面側となる)には、静電容量方式により指示体を検出するための位置検出センサ111が形成されている。この位置検出センサ111は、第1の方向(例えば横方向)に配設された複数の導体電極111Xと、第1の方向と交差する方向、例えば第1の方向と直交する第2の方向(例えば縦方向)に配設された複数の導体電極111Yとを備えて形成されている。
【0043】
そして、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cのそれぞれには、位置検出センサ111の複数の導体電極111Xおよび複数の導体電極111Yの各導体電極に接続されている導電パターン114が形成されている。以上のように、センサ基板11上のセンサ111の電極111X,111Yおよびフレキシブルケーブル113A,113B,113Cの導電パターン114は、センサ基板11の検出面側(後述するようにシート部材12に接着される面側)に形成されている。
【0044】
フレキシブルケーブル113A,113B,113Cは、位置検出センサユニット10の上ケース20への貼り付け時の作業性を考慮して、この例では、全て、同一方向に延出されている。この例では、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cの全ては、本体部分112の長辺方向に沿った方向に延出されるように構成されている。
【0045】
ただし、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cのそれぞれは、センサ基板11の本体部分112の矩形形状の端縁を延出開始位置として延出されるのではなく、端縁から所定の長さ分だけ内側の位置を延出開始位置として延出されている。すなわち、図4の例では、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cは、本体部分112の矩形形状の一方の短辺115の端縁から延出されるように形成されるのではなく、この短辺115の端縁から長さL3だけ内側の位置を延出開始位置として延出されるように形成されている。このため、この例では、センサ基板11の本体部分111の短辺115には、当該短辺115に直交する方向に長さL3の複数個の切り欠き(切り込みでも良い)117が形成され、その切り欠き117の長さL3の分も、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cの一部となるように形成されている。
【0046】
シート部材12は、位置指示操作用部材を構成するもので、絶縁体材料からなり、その表面が、指示体によって位置を検出するための面10Aとされる。位置検出センサユニット10においては、このシート部材12の裏面に、センサ基板11の、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cを除く、本体部分112が、接着材(図4では図示を省略)により接着されている。
【0047】
シート部材12は、この例では、センサ基板11の本体部分111とほぼ同形の矩形形状を備える。したがって、シート部材12は、この例では、センサ基板11の本体部分111とほぼ等しい面積を有するが、センサ基板11よりも大きい面積を有するものであっても、勿論良い。
【0048】
センサ基板11は、図1に示すような状態で、シート部材12の裏面に接着材により接着される。この例では、センサ基板11は、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cが延出されていない方の短辺116が、シート部材12の一方の短辺121とほぼ同一位置になるように揃えて接着される。
【0049】
したがって、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cのセンサ基板11の本体部分112からの延出開始位置から、シート部材12の他方の短辺122の端縁までの長さL3の部分113Aa,113Ba,113Caは、図1に示すように、シート部材12と重なる状態になる。上述したように、センサ基板11のフレキシブルケーブル113A,113B,113Cの部分は、シート部材12の裏面側に接着されないので、その長さL3の部分113Aa,113Ba,113Caはシート部材12の裏面に対して離間自在となる。このため、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cの長さL3の部分113Aa,113Ba,113Caと、シート部材12との間には、板状のものが挿入可能の状態となる。
【0050】
なお、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cは、図1および図4に示されるように、シート部材12に接着されたときに、シート部材12の短辺122の端縁から更に外方に、所定長さだけ延伸されるような長さに選定されている。このフレキシブルケーブル113A,113B,113Cの、シート部材12の短辺122の端縁からの長さは、後述するように、上ケース20と下ケース30との間の空間に挿通されて、プリント配線基板40の信号処理回路42と接続するのに十分な長さとされている。
【0051】
接着材シート13は、2枚の剥離紙に接着材131が挟まれている、いわゆる両面テープの構成を有するものである。位置検出センサユニット10においては、以上のようにしてセンサ基板11が接着されたシート部材12に、一方の剥離紙が剥離されて除去された接着材シート13が、センサ基板11を覆うようにして、接着材131により接着される。図4では、接着材シート13は、このセンサ基板11に接着される面側の剥離紙が除去されて存在しておらず、センサ基板11に接着される面側とは反対側の面にのみ、剥離紙132が残っている状態を示している。
【0052】
剥離紙132は、後述するように、位置検出センサユニット10を上ケース20の上面に貼り付ける際に剥離される。そして、接着材131により、上ケース20の上面に、位置検出センサユニット10が貼り付けられる。
【0053】
この場合に、接着材シート13は、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cの前記長さL3の部分113Aa,113Ba,113Caには、接着材131が塗布されないようにするための、切り欠き部133A,133B,133Cを備える。これにより、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cは、センサ基板11の本体部分112からの延出開始位置から、それぞれの先端までが自由に変形可能の状態となる。
【0054】
図5(A)は、図1の位置検出センサユニット10におけるB−B線断面図であり、これは、シート部材12の短辺122の近傍の断面図である。ただし、この図5(A)では、センサ基板11をシート部材12に接着するための接着材14が示されている。また、この図5(A)は、位置検出センサユニット10は、剥離紙132を剥離した状態を示している。そして、図5(A)では、断面として示されている接着材14および接着材131の部位は黒く塗り潰して示している。
【0055】
この図5(A)に示されるように、位置検出センサユニット10においては、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cが、矩形形状のセンサ基板11の本体部分112の端縁よりも内側位置を延出開始位置として延出されているものである。
【0056】
なお、図5(A)では、フレキシブルケーブル113Aがシート部材12とは接着されていないために自由に変形可能である状態を示すために、フレキシブルケーブル113Aは、若干折り曲げられた状態で示しているが、実際的には、センサ基板11を構成するフレキシブル基板の平面方向に沿う方向に延伸されているものである。
【0057】
[上ケース20の構成例]
図1に示すように、上ケース20の外部に露呈する上面21側には、上ケース20に貼り付けられる位置検出センサユニット10を収容するための凹部22が形成されていると共に、図2に示した押ボタン51,52,53(図1では図示を省略)を収容するための凹部23が形成されている。凹部23には、押ボタン51,52,53と、プリント配線基板40上に設けられている電子スイッチ43,44,45とを接続するようにするための貫通孔231,232,233が形成されている。押ボタン51,52,53を、凹部23に収容したときには、当該押ボタン51,52,53の上面が、上ケース20の上面21と面一になるように、凹部23の深さ(高さ)が選定されている。
【0058】
次に、位置検出センサユニット10を収容するための凹部22は、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cの部分を除き、位置検出センサユニット10と同形状、同面積の矩形形状を有する。そして、凹部22の底面22aは平面とされていると共に、上ケース20の上面21と位置検出センサユニット10のシート部材12の表面とが面一となるようにするため、凹部22は、位置検出センサユニット10の厚さ分(接着材シート13の剥離紙の厚さを除く)に等しい深さを有する。
【0059】
そして、凹部22には、当該凹部22に位置検出センサユニット10を収容したときに、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cを、上ケース20を貫通させて、この上ケース20と下ケース30との間に形成された空間内に導くための貫通孔24A,24B,24Cが形成されている。
【0060】
この貫通孔24A,24B,24Cは、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cのそれぞれを、折り曲げることなく、ほぼセンサ基板11の検出面に沿った方向に延伸した状態で上ケース20と下ケース30との間に形成された空間内に導くことができるという条件が考慮された凹部22の位置に形成される。また、この貫通孔24A,24B,24Cの大きさおよび形状は、上記条件が考慮されたものとされている。
【0061】
また、貫通孔24A,24B,24Cの凹部22における位置は、特に、後述するように、位置検出センサユニット10のシート部材12と、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cの長さL3の部分113Aa,113Ba,113Caとの間に、上ケース20の凹部22の底部の一部が挿入する状態となる位置に設定される。
【0062】
以下、この実施形態における貫通孔24A,24B,24Cの具体例について説明する。
【0063】
貫通孔24A,24B,24Cのそれぞれの凹部22の短辺方向の長さは、挿通させる帯状のフレキシブルケーブル113A,113B,113Cの幅よりも若干長く選定されている。
【0064】
そして、貫通孔24A,24B,24Cのそれぞれは、シート部材12の短辺122が当接する凹部22の壁22bからの離間位置と、貫通孔24A,24B,24Cのそれぞれの凹部22の長辺方向の大きさおよび形状とに関し、同様の構成を有している。そこで、以下に、貫通孔24A,24B,24Cの構成について、貫通孔24Aの場合を例にとって説明する。図5(B)は、図1のC−C線断面図であり、この実施形態における貫通孔24Aの構造およびその周辺の構造を説明するための図である。
【0065】
貫通孔24Aの凹部22の底面22a側の開口241Aの位置は、位置検出センサユニット10を、上ケース20の凹部22の収納したときに、センサ基板11の本体部分112からのフレキシブルケーブル113Aの延出開始位置の近傍とされる。また、位置検出センサユニット10のシート部材12と、フレキシブルケーブル113Aの長さL3の部分113Aaとの間に、凹部22の底部の一部が挿入される状態とするという条件を満足するために、この貫通孔24Aの開口241Aは、凹部22の、シート部材12の短辺122が当接する壁22bから距離L4だけ離れた位置とされる。この距離L4は、フレキシブルケーブル113Aの部分113Aaの長さL3よりも小さい値であり、0<L4<L3に選定されている。
【0066】
貫通孔24Aを、凹部22の底面22aに直交する垂直方向に形成するようにしても良い。しかし、そのようにした場合には、フレキシブルケーブル113Aをセンサ基板11の検出面に沿った方向に延伸した状態で上ケース20と下ケース30との間の空間に導くことができるという前記条件を満足するためには、貫通孔24Aの開口241Aの大きさを大きくする必要がある。このように、垂直方向の貫通孔24Aの開口241Aの大きさが大きくなると、位置検出センサユニット10の表面10Aにおいて指示体により位置指示操作をする際に、当該貫通孔の部分を押下したときに、操作者は、当該貫通孔の大きさ分に応じた凹みを感得して違和感を生じるおそれがある。
【0067】
そこで、この実施形態では、この問題を回避すると共に、フレキシブルケーブル113Aを、センサ基板11の検出面に沿った方向に延伸した状態で挿通し易くするために、貫通孔24Aは、図5(B)に示すように、フレキシブルケーブル113Aの延伸方向に沿って、斜め下方に向かう方向に形成されている。すなわち、貫通孔24Aは、凹部22の長辺方向において、凹部22の底面22aに対して、例えば10度程度の傾きを持つ傾斜面243Aと244Aとが対向することで形成されている。
【0068】
したがって、図5(B)に示すように、貫通孔24Aの上ケース20の下ケース30と対向する側の面の開口242Aは、凹部22の底面22aの開口241Aの位置よりも、凹部22の壁22b寄りの位置になる。そして、凹部22の底部の、この貫通孔24Aが存在する部分おいては、フレキシブルケーブル113Aの延伸方向に、徐々に上ケース20の板厚が薄くなる断面形状を有するように傾斜面243Aを有する部分245Aと、徐々に上ケース20の板厚が厚くなる断面形状を有するように傾斜面244Aを有する部分246Aとが形成される。
【0069】
このように、貫通孔24Aを、フレキシブルケーブル113Aが挿通される方向に沿って、上ケース20の上面側から下面側に斜めに向かう方向に所定の傾きを有するように形成することで、貫通孔24Aの開口241Aおよび242Aの大きさを小さくすることできる。更に、位置検出センサユニット10の表面10Aにおいて指示体により位置指示操作をする際に、当該貫通孔の部分を押下したときには、貫通孔24Aの傾斜面243Aにより、操作者に、殆ど凹みを感得させないようにすることができる。
【0070】
フレキシブルケーブル113Aを、このように傾斜する貫通孔24Aを挿通させて、位置検出センサユニット10を、上ケース20の凹部22に収納させると(図5(C)参照)、位置検出センサユニット10のシート部材12と、フレキシブルケーブル113Aの長さL3の部分113Aaとの間には、傾斜面244Aを有する部分246Aが挿入される状態になる。
【0071】
この場合、傾斜面244Aを有する部分246Aは、凹部22の壁22bからの長さが前記L4となっている。以下、この部分246Aをガイド部と称することとする。
【0072】
ところで、この例においては、図4に示したように、位置検出センサユニット10のフレキシブルケーブル113Aが延出される側の端縁から長さL3だけ内側の部分においても、フレキシブルケーブル113Aの部分以外は、フレキシブル基板11および接着材14、132が存在する。一方、位置検出センサユニット10のシート部材12と、フレキシブルケーブル113Aの長さL3の部分113Aaとの間に上ケース20の凹部22の底部のガイド部246Aが挿入される状態のとき、当該ガイド部246Aの上面と、シート部材12との間には、フレキシブル基板11および接着材14、132は存在しない。
【0073】
このため、ガイド部246Aの上面が凹部22の底面22aと同一面であるときには、フレキシブル基板11および接着材14、132の厚さ分だけの空気層ができることになる。すると、当該空気層の部分は、シート部材12を表面側から押したときに、凹みとして感得されてしまい、操作者に違和感を与えてしまう。
【0074】
そこで、この実施形態では、図1および図5(B)に示すように、ガイド部246Aの上面には、凹部22の底面22aよりも、フレキシブル基板11および接着材14、132の厚さ分hだけ高い段部247Aを設ける。
【0075】
貫通孔24B,24Cおよびその周辺の構成も、上述した貫通孔24Aの場合と同様の構成を備える。なお、図1では、貫通孔24B,24Cおよびその周辺の構成において、上述した貫通孔24Aについての構成と同一部分には、同一番号に、それぞれサフィックスB,Cを付与して示している。
【0076】
[位置検出装置1における上ケース20と位置検出センサユニット10との結合]
図5(C)および(D)は、位置検出装置1における図2のD−D線断面図を示す図である。この図5(C)および(D)、また、図1、図4を参照しながら、上ケース20への位置検出センサユニット10の貼り付けおよびプリント配線基板40の信号処理回路42との接続について説明する。
【0077】
上述のように構成されている上ケース20に対して、位置検出センサユニット10を貼り付ける際には、先ず、接着材シート13の剥離紙132を剥がして接着材131を露呈させる。そして、位置検出センサユニット10のフレキシブルケーブル113A,113B,113Cのそれぞれを、上ケース20の貫通孔24A,24B,24Cのそれぞれに挿通させ、位置検出センサユニット10のシート部材12の短辺122を、上ケース20の凹部22の壁22bに当接させるようにする。このとき、位置検出センサユニット10のフレキシブルケーブル113A,113B,113Cとシート部材12との間に、上ケース20の凹部22の底部のガイド部246A,246B,246C(図1参照)を挿入させるようにする。
【0078】
そして、上ケース20の凹部22内に位置検出センサユニット10を位置合わせして収納し、接着材131により、位置検出センサユニット10を上ケース20の凹部22に貼り付ける。
【0079】
すると、図5(C)に示すように、位置検出センサユニット10のフレキシブルケーブル113A,113B,113Cは、折り曲げられることなく、上ケース20と、下ケース30の間に形成される空間に、貫通孔24A,24B,24Cを通じて挿通される。このとき、図5(C)に示すように、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cの長さL3の部分113Aa,113Ba,113Caは、貫通孔24A,24B,24Cを構成するガイド部246A,246B,246Cの傾斜面244A,244B,244C(傾斜面244B,244Cは図示を省略)に当接する状態となる。
【0080】
次に、この例においては、図5(C)に示すように、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cは、円弧状に曲げられて、その先端が、プリント配線基板40の裏側に設けられている信号処理回路42のコネクタ46に挿入されて、電気的に位置検出センサユニット10と信号処理回路42とが接続される。
【0081】
このように、上ケース20と下ケース30の間に形成される空間に存在するフレキシブルケーブル113A,113B,113Cが円弧状に曲げられたとしても、図5(C)において矢印で示すように、可撓性および弾性を有するフレキシブルケーブル113A,113B,113Cの復元力は、長さL3の部分113Aa,113Ba,113Caと当接するガイド部246A,246B,246Cの傾斜面244A,244B,244Cに印加されるようになる。このため、位置検出センサユニット10を上ケース20の凹部22から浮き上がらせる力は生じない。
【0082】
なお、図5(D)に示すように、上ケース20と下ケース30の間に形成される空間に存在するフレキシブルケーブル113A,113B,113Cの、円弧状に曲げる前の部分を、上ケース20の下ケース30との対向面側に、例えば接着材47により接着することにより、位置検出センサユニット10を上ケース20の凹部22から浮き上がらせる力を、更に確実に生じないようにすることができる。
【0083】
また、位置検出センサユニット10のシート部材12と、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cの長さL3の部分113Aa,113Ba,113Caとの間には、絶縁体材料からなる上ケース20のガイド部246A,246B,246Cが挿入されているので、位置検出装置1の指示入力面10A側に、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cが露呈することは無く、静電気ノイズがフレキシブルケーブル113A,113B,113Cを通じて混入することが防止される。
【0084】
また、位置検出センサユニット10のシート部材12と、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cの長さL3の部分113Aa,113Ba,113Caとの間に挿入されるガイド部246A,246B,246Cの上面には、段部247A,247B,247Cが設けられているので、操作者は、シート部材12をガイド部246A,246B,246Cの上面を押下しても、凹みを感得することは無い。
【0085】
なお、この実施形態では、信号処理回路42に接続するために、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cを円弧状に曲げるようにしたが、信号処理回路42が、図9に示した従来例と同様に、フレキシブルケーブル113A,113B,113Cの延伸方向に存在する場合には、円弧状に曲げる必要はないことは言うまでもない。
【0086】
また、上述の実施形態では、貫通孔24A,24B,24Cのそれぞれに対応して、段部247A,247B,247Cを備えるガイド部246A,246B,246Cを設けるようにしたが、段部は、貫通孔24A,24B,24Cのそれぞれに対して、共通の一つとするように構成することもできる。
【0087】
図6は、そのように構成する場合の位置検出センサユニット70と、上ケース80の部分を説明する図である。すなわち、この例の位置検出センサユニット70は、前述の例のシート部材12に等しいシート部材72に、センサ基板71が接着材により貼り付けられて構成される。この例のセンサ基板71は、長辺の長さが、シート部材72の長辺の長さよりも、長さL5=L3だけ短い矩形形状の本体部分712と、この本体部分712からその長辺方向に一体に延伸されて延出されているフレキシブルケーブル713A,713B,713Cとからなる。
【0088】
この例の位置検出センサユニット70においては、図6に示すように、フレキシブルケーブル713A,713B,713Cは、前記長さL5の部分がシート部材72と重なる。しかし、この例の位置検出センサユニット70の場合には、前述の例と異なって、センサ基板71には切り欠きや切り込みは無く、このフレキシブルケーブル713A,713B,713Cの長さL5のシート部材72との重なり部分の両側には、センサ基板71の部分や接着材層は存在しない。
【0089】
一方、前述の例の上ケース20に対応する上ケース80の上面81側に形成されている凹部82には、前述の例と同様に、フレキシブルケーブル713A,713B,713Cを、上ケース80と下ケース(図は省略)との空間に挿通させるための貫通孔83A,83B,83Cが設けられている。この貫通孔83A,83B,83Cの構造は、図5を用いて説明した前述の例と同様とされている。したがって、貫通孔83A,83B,83Cのそれぞれは、前述の例と同様のガイド部(図示は省略)を備えている。
【0090】
そして、この例においては、上ケース80の凹部82に設けられた貫通孔83A,83B,83Cのガイド部の上面のみならず、凹部82の壁82bに沿った短辺方向の全体に、一様の高さhaの段部84を形成する。この段部84の高さhaは、センサ基板71の厚さに、その両面に付着される接着材の厚さを加えたものに等しい。
【0091】
この図6の例の場合には、フレキシブルケーブル713A,713B,713Cを貫通孔83A,83B,83Cを挿通させたときには、当該貫通孔83A,83B,83Cの前記段部84を含めたガイド部が、フレキシブルケーブル713A,713B,713Cとシート部材72の短辺721の端縁から長さL5の部分との間に挿入される状態となる。
【0092】
そして、シート部材72の短辺721の端縁から長さL5の部分が、段部84の上に位置する。したがって、この段部84の存在により、操作者は、シート部材72を指示操作面側から押下したときに、シート部材72の短辺721の端縁から長さL5の部分を、凹んで感得することは無い。
【0093】
なお、上述の実施形態では、複数本のフレキシブルケーブルのそれぞれに対応して複数個の貫通孔を設けるようにしたが、図6の例の段部84と同様に、凹部の短辺方向に連通する貫通孔の構成としても良い。
【0094】
この連通する貫通孔の構成は、図6の例の段部84と組み合わせる場合のみではなく、図1〜図5を用いて説明した前述の例のフレキシブルケーブル113A,113B,113Cのそれぞれの部分に対応する段部247A,247B,247Cと組み合わせることもできる。
【0095】
[他の実施形態]
この発明の位置検出装置は、表示装置と組み合わせた構成とすることもできる。図7は、その場合の位置検出装置2を説明するための分解斜視図であり、これは、前述の実施形態の図1に対応するものである。そこで、説明の簡単のため、図1に対応する各部には、図1と同一の符号を付与して説明する。
【0096】
この図7に示すように、この例の位置検出装置は、上ケース20と下ケース30の間に形成される空間に、プリント配線基板40のみではなく、表示装置、この例では、LCD(Liquid Crystal Display)90を設ける。この場合、LCD90は、上ケース20とプリント配線基板40との間に設けられる。
【0097】
この図7の例の位置検出センサユニット10を構成するシート部材12は、透明の樹脂などにより構成される。また、センサ基板11は、透明のフレキシブル基板上に、例えばITO(Indium Tin Oxide)などからなる透明電極が形成されたものとして構成される。更に、上ケース20も透明の樹脂材料などにより構成される。
【0098】
その他の構成は、前述したものと同様とされる。
【0099】
[その他の実施形態および変形例]
上述の実施形態では、位置検出センサユニットから導出されるフレキシブルケーブルは、複数個の場合としたが、1個の場合であっても、この発明が適用できることは言うまでもない。
【0100】
また、上述の実施形態では、複数個のフレキシブルケーブルは、全て同方向に延出するようにしたが、異なる方向に延出する場合にも、この発明は適用可能である。
【0101】
また、上述の実施形態では、センサ基板はフレキシブル基板として、フレキシブルケーブルは、このフレキシブル基板と一体に形成したが、センサ基板の本体部分はフレキシブル基板とせずに、このセンサ基板の本体部分からフレキシブルケーブルを延出する構成の場合にも、この発明は適用可能である。
【0102】
また、上述の実施形態の位置検出装置は、静電容量方式の位置検出センサユニット10と電磁誘導方式のセンサ部41とを備えるようにしたが、静電容量方式の位置検出センサユニットのみを有する位置検出装置の場合や、静電容量方式と電磁誘導方式以外のセンサ部とを備える位置検出装置にも、この発明は適用可能である。
【0103】
また、位置検出センサユニット10のみを有する位置検出装置の場合に、位置検出センサユニット10は、静電容量方式の位置検出センサユニットではなく、電磁誘導方式の位置検出センサユニットであっても良い。また、位置検出センサユニット10は、抵抗膜方式などの他の方式の位置検出センサユニットであっても良い。
【符号の説明】
【0104】
10…位置検出センサユニット、11…センサ基板、12…シート部材、13…接着材シート、20…上ケース、21…上ケースの上面、22…凹部、24A,24B,24C…貫通孔、30…下ケース、40…プリント配線基板、42…信号処理回路、46…信号処理回路42のコネクタ、247A,247B,247C,84…段部、113A,113B,113C…フレキシブルケーブル、131…接着材、132…剥離紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示体が指示する位置を検出するための導体が配設されたセンサ基板と、
前記指示体によって位置を指示するための一方の面と前記センサ基板が配置される、前記一方の面に対向した他方の面を有する位置指示操作用部材と、
を備えた位置検出センサユニットであって、
前記センサ基板は前記位置指示操作用部材の前記他方の面に固着されており、
前記センサ基板からは、前記指示体が指示する位置を求めるための信号処理回路に接続するために、所定の幅および所定の長さのフレキシブルケーブルが延出されており、
前記フレキシブルケーブルは、前記フレキシブルケーブルが延出される方向における、前記位置指示操作用部材の前記端縁から内側に向かう所定の長さの部分において、前記位置指示操作用部材の前記他方の面から離間自在とされている
ことを特徴とする位置検出センサユニット。
【請求項2】
前記センサ基板はフレキシブル基板からなり、前記フレキシブルケーブルは、前記フレキシブル基板から一体的に導出されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサユニット。
【請求項3】
前記フレキシブルケーブルは前記センサ基板から複数本延出されていると共に、前記複数本のフレキシブルケーブルは、前記センサ基板から同一の方向に延出されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の位置検出センサユニットが配置される筐体を備え、前記フレキシブルケーブルは、前記位置指示操作用部材の前記他方の面に沿う方向に、前記位置指示操作用部材の端縁よりも外側に延出していると共に、前記位置指示操作用部材と前記フレキシブルケーブルとの間に配設された、前記筐体に形成されたガイド部によって、前記位置指示操作用部材の前記他方の面から離間されて前記信号処理回路に接続されるようにされている
ことを特徴とする位置検出装置。
【請求項5】
上ケースと、前記上ケースと結合される下ケースと、指示体が指示する位置を検出するために前記上ケースの上面側に配置される位置検出センサユニットと、前記上ケースと前記下ケースとの間に形成された空間内に配置された信号処理回路とを備える位置検出装置において、
前記位置検出センサユニットは、前記指示体が指示する位置を検出するための導体が配設されたセンサ基板と、前記指示体によって位置を指示するための一方の面と前記センサ基板が配置される、前記一方の面に対向した他方の面を有する位置指示操作用部材とを備え、
前記センサ基板は前記位置指示操作用部材の前記他方の面に固着されており、
前記センサ基板からは、前記指示体が指示する位置を求めるための信号処理回路に接続するための、所定の幅および所定の長さのフレキシブルケーブルが延出されており、
前記フレキシブルケーブルは、前記フレキシブルケーブルが延出される方向における、前記位置指示操作用部材の端縁から内側に向かう所定の長さの部分において、前記位置指示操作用部材の前記他方の面から離間自在とされて延出されており、
前記上ケースの前記上面側には、前記位置検出センサユニットが配置される凹部が設けられると共に、前記凹部に設けられた貫通孔によって前記位置指示操作用部材の前記他方の面に沿った方向に延出された前記フレキシブルケーブルが前記上ケースと前記下ケースとの間に形成された空間内に挿通されることで、前記上ケースと前記下ケースとの間に形成された空間内に配置された信号処理回路と接続される
ことを特徴とする位置検出装置。
【請求項6】
前記フレキシブルケーブルの、前記凹部に設けられた前記貫通孔への挿通に対応して、前記フレキシブルケーブルが前記上ケースの上面側から下面側に斜めに向かう方向に挿通されるためのガイド部が前記凹部に設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記上ケースの前記凹部の前記貫通孔の近傍には、前記凹部の底部からの高さが前記センサ基板の厚さ分に対応する高さの段部を設けた
ことを特徴とする請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記ガイド部は、前記位置指示操作用部材と前記フレキシブルケーブルとの間に配設されることで、前記ガイド部によって前記位置指示操作用部材の前記他方の面から離間されて折り曲げられて前記信号処理回路に接続されている
ことを特徴とする請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記位置検出センサユニットは、静電容量方式の位置検出センサユニットである
ことを特徴とする請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項10】
前記位置検出センサユニットは、電磁誘導方式の位置検出センサユニットである
ことを特徴とする請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項11】
静電容量方式の前記位置検出センサユニットを備えると共に、前記上ケースと前記下ケースの空間内に、電磁誘導方式のセンサを備える
ことを特徴とする請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項12】
前記位置指示操作用部材および前記センサ基板のそれぞれは、光透過性を有していると共に、前記上ケースと前記下ケースによって形成された空間内には表示パネルが設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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