説明

位置検出装置、検証装置

【課題】位置センサの相対的な位置ズレの発生を防止できる位置検出装置、及び、この位置検出装置を有する検証装置を提供する。
【解決手段】検証装置1は、印刷媒体の下側に配置された下側センサ61と、印刷媒体の上側に配置された上側センサ66と、下側センサ61と上側センサ66とを連動させて印刷媒体の搬送方向に直交する方向に移動させる連動機構100と、下側センサ61と上側センサ66とが連動しない非連動状態となるときに下側センサ61及び上側センサ66の移動を抑制する移動抑制機構110とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される媒体の位置を検出する位置検出装置、及び、この位置検出装置を有し、別途設けられたプリンタにより印刷媒体に印刷されたバーコードや文字等を読み取り検証する検証装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷用紙等の媒体を搬送するプリンタ等の装置では、媒体の両側にセンサを配置して媒体の位置を検出する位置検出装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
また、プリンタを用いてバーコード等をラベルに印刷し、印刷されたバーコードを、プリンタに内蔵されたスキャナにより読み取り、正常に印刷されたかどうか検証する検証装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−128448号公報
【特許文献2】特開2005−212373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の検証装置は、プリンタに内蔵された形態であり、プリンタ本体とバーコード検証装置の一部として用いるスキャナとが一体として備えられており、筐体の大型化が避けられなかった。また、検証装置は、一体に設けられたプリンタにより印刷された印刷媒体の検証専用のものとなってしまい、汎用性に乏しく、高価なものとなってしまうという問題があった。そのため、プリンタと検証装置とが別体となっているものが所望されている。
【0005】
しかし、検証装置をプリンタとは別体として構成し、さらに、汎用品として市場に流通する様々なプリンタにより印刷された印刷媒体の検証を行える検証装置とするためには、印刷媒体の搬送や制御において以下のような課題があった。
例えば、プリンタにより印刷される印刷媒体の種類は非常に多い。また、プリンタから出力される印刷媒体の位置や向き等も様々である。汎用性の高い検証装置とするためには、様々な位置に挿入される様々な種類の印刷媒体に対応することが必要である。
【0006】
検証装置には、印刷媒体の位置を正確に把握して、搬送動作や検証動作等を実施可能とするために、検証装置内を搬送される印刷媒体の位置を検出する位置検出装置が必要である。上述したように、この位置検出装置には、透過型光センサ及び反射型光センサを用いることができる。位置検出装置として透過型光センサを用いる場合、投光側センサと受光側センサとが印刷媒体を挟むように搬送路の両側に配置される。
【0007】
しかし、上述のように、検証装置に挿入される印刷媒体の位置は、様々であり、印刷媒体の大きさも様々である。そうすると、搬送方向に直交する方向において、ある箇所に位置センサを設けたとしても、その位置を印刷媒体が通過するとは限らない。
そこで、位置センサを搬送方向に直交する方向に移動可能に設けて、位置センサの位置を調節可能とする手法が考えられる。こうすることにより、検証装置に挿入される印刷媒体を、位置センサが正しく検出できる。位置センサを搬送方向に直交する方向に移動可能とするためには、搬送路を挟んで配置された両側の位置センサを連動させて移動させる連動機構が必要となる。
【0008】
ここで、連動機構を設ける場合には、一方側の位置センサと他方側の位置センサとの位置ズレが問題となる。連動機構が常に連動状態を保つような構成となっていれば、上記位置ズレは発生しない。しかし、検証装置は、印刷媒体の詰まり等による搬送不良が生じた場合に、検証装置の使用者がこの搬送不良を復旧させることが可能とするために、搬送路を中心として一方側と他方側(例えば、上側と下側)に分離可能とする必要がある。検証装置を例えば上下に分離した状態では、連動機構の連動状態が解除されてしまい、上下の位置センサが相対的に位置ズレしてしまうおそれがある。特に、連動機構の一部が使用者の手に触れる可能性がある形態となっている場合には、位置ズレが発生する可能性が高くなる。位置センサの相対的な位置ズレが発生してしまうと、正確な位置検出ができなかったり、位置検出が不可能となったりするおそれがあった。
【0009】
本発明の課題は、位置センサの相対的な位置ズレの発生を防止できる位置検出装置、及び、この位置検出装置を有する検証装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0011】
請求項1の発明は、媒体を搬送する搬送部(10,20,30)と、前記搬送部により搬送される前記媒体の位置を検出する位置検出部(60)と、を備え、前記位置検出部は、前記媒体の一方側に配置された第1の位置検出部(61)と、前記媒体の他方側に配置された第2の位置検出部(66)と、前記第1の位置検出部と前記第2の位置検出部とを連動させて前記媒体の搬送方向に直交する方向に移動させる連動機構(100)と、前記第1の位置検出部と前記第2の位置検出部とが連動しない非連動状態となるときに前記第1の位置検出部及び前記第2の位置検出部の移動を抑制する移動抑制機構(110)と、を備える位置検出装置である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の位置検出装置において、前記移動抑制機構(110)は、前記連動機構(100)の少なくとも一部をロックするロック機構(111,112)を有すること、を特徴とする位置検出装置である。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載の位置検出装置において、前記ロック機構(111,112)は、前記非連動状態において自ら生じる付勢力により前記連動機構側へ付勢されることにより、前記連動機構の少なくとも一部に係合して前記連動機構の動作をロックするロック部材(111)と、前記非連動状態では前記ロック部材から離れた位置にあり、前記第1の位置検出部と前記第2の位置検出部とが連動する連動状態では前記ロック部材に当接して前記ロック部材と前記連動機構との係合を解除させるロック解除部材(112)と、を備えること、を特徴とする位置検出装置である。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の位置検出装置において、前記非連動状態とは、前記搬送部(10,20,30)により搬送される前記媒体が通過する搬送路を境として下側に設けられた下側本体(2)と上側に設けられた上側本体(3)との少なくとも一部を分離して前記搬送路の少なくとも一部を外部に露出させる状態であること、を特徴とする位置検出装置である。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の位置検出装置(60)と、前記位置検出装置により位置を検出する媒体に印刷された情報を読み取る読み取り部(70)と、前記読み取り部が読み取った前記情報を検証する検証部(95)と、を備える検証装置(1)である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、位置検出部は、媒体の一方側に配置された第1の位置検出部と、媒体の他方側に配置された第2の位置検出部と、第1の位置検出部と第2の位置検出部とを連動させて媒体の搬送方向に直交する方向に移動させる連動機構と、第1の位置検出部と第2の位置検出部とが連動しない非連動状態となるときに第1の位置検出部及び第2の位置検出部の移動を抑制する移動抑制機構とを備える。よって、位置検出装置は、非連動状態において第1の位置検出部と第2の位置検出部との相対的な位置ズレの発生を防止できる。また、第1の位置検出部と第2の位置検出部との相対的な位置ズレを防止できることから、正確な位置検出を行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による検証装置1の第1実施形態を側面(zマイナス側)からみた透視図である。
【図2】本発明による検証装置1の第1実施形態を図1とは反対側の側面(zプラス側)から主に搬送部を示した透視図である。
【図3】下側本体2を上方(yプラス側)から見た図である。
【図4】下側搬送ガイド板6を取り外した状態の下側本体2を上方(yプラス側)から見た図である。
【図5】図1中に矢印で示したA−A断面を示す図である。
【図6】図1中に矢印で示したC−C断面を示す図である。
【図7】上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50と、上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30との配置を示す図である。
【図8】本発明による検証装置1の第1実施形態を図2と同じ側(zプラス側)から主に連動機構を示した透視図である。
【図9】図8の連動機構周辺を拡大した図である。
【図10】連動機構100及び移動抑制機構110を示す斜視図である。
【図11】非連動状態における検証装置1を図8と同様に示した図である。
【図12】図11の連動機構周辺を拡大した図である。
【図13】非連動状態における連動機構100及び移動抑制機構110を示す斜視図である。
【図14】本発明の第2実施形態の主要部を示す図であり、図9と同様に連動状態における連動機構周辺を拡大した図である。
【図15】図12と同様に非連動状態における連動機構周辺を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。なお、以下に示す各図には、説明と理解を容易にするために、xyz直交座標系を設けた。この座標系では、検証装置を水平に設置したときに印刷媒体が搬送される向きをxプラス方向とし、上側に向かう方向をyプラス方向とし、図1において紙面奥向きをzプラス方向とする。また、これらの座標系は、原点を定義せず、単に方向を示すために設けている。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明による検証装置1の第1実施形態を側面(zマイナス側)からみた透視図である。
図2は、本発明による検証装置1の第1実施形態を図1とは反対側の側面(zプラス側)から主に搬送部を示した透視図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0020】
本実施形態の検証装置1は、下側本体2と、上側本体3と、挿入ガイド4とを備えている。
下側本体2は、検証装置1の略下半分を占める部分である。
上側本体3は、下側本体2の上方に設けられ、検証装置1の略半分を占める部分である。上側本体3は、下側本体2に対して、蝶番部2aを支点として回転移動して、印刷媒体の搬送路を露出させることができる。
挿入ガイド4は、印刷媒体を挿入部4aから検証装置1に挿入するときの案内をする部分であり、下側本体2のxマイナス端に突出して設けられている。
本実施形態の検証装置1は、市販されている汎用品のラベルプリンタ等(不図示)の直近に配置して用いることを想定している。そして、検証装置1は、汎用品のラベルプリンタ等から連続的に排出される印刷済みのラベル連続体等の印刷媒体を挿入ガイド4から挿入し、印刷されているバーコード等の各種情報を検証する。
【0021】
検証装置1は、挿入センサ5と、下側搬送ガイド板6と、上側搬送ガイド板7と、上流側搬送部10と、中間搬送部20と、下流側搬送部30と、上流側移動検出部40と、下流側移動検出部50と、媒体位置検出部60と、スキャナ部70と、マーキング部80と、表示操作部90と、制御部95と、エンコーダEと、モータMとを備えている。
【0022】
挿入センサ5は、挿入部4aの搬送方向下流側の直近に設けられ、印刷媒体の先端を検出し、検出信号を制御部95に伝達する。この挿入センサ5の検出信号が発せられると、制御部95が、上流側搬送部10と、中間搬送部20と、下流側搬送部30とを駆動する。
【0023】
下側搬送ガイド板6は、下側本体2の上部(yプラス側)に配置された板状の部材である。
図3は、下側本体2を上方(yプラス側)から見た図である。
下側搬送ガイド板6には、搬送用開口部6aと、検出用開口部6bと、位置センサ用開口部6cと、連動用開口部6dとが形成されている。
搬送用開口部6aは、後述する第1の搬送ローラ13c,23c,33cに対応する位置に開口している。第1の搬送ローラ13c,23c,33cは、この搬送用開口部6aを通して上方(yプラス側)に突出している。
検出用開口部6bは、後述する第1の検出ローラ41c,51cに対応する位置に開口している。第1の検出ローラ41c,51cは、この検出用開口部6bを通して上方(yプラス側)に突出している。
位置センサ用開口部6cは、下側センサ61が印刷媒体の位置検出に使用する検出光が通過可能なように開口されている孔である。
連動用開口部6dは、後述する連動ギヤ103が貫通して突出する孔である。
【0024】
図1,2に戻って、上側搬送ガイド板7は、上側本体3の下部(yマイナス側)に配置された板状の部材である。上側搬送ガイド板7には、下側搬送ガイド板6と同様に、搬送用開口部7aと、検出用開口部7bと、位置センサ用開口部7cと、連動用開口部7dと
が形成されている。
搬送用開口部7aは、後述する第2の搬送ローラ14b,24b,34bに対応する位置に開口している。第2の搬送ローラ14b,24b,34bは、この搬送用開口部7aを通して下方(yマイナス側)に突出している。
検出用開口部7bは、後述する第2の検出ローラ42b,52bに対応する位置に開口している。第2の検出ローラ42b,52bは、この検出用開口部7bを通して下方(yマイナス側)に突出している。
位置センサ用開口部7cは、上側センサ66が印刷媒体の位置検出に使用する検出光が通過可能なように開口されている孔である。
連動用開口部7dは、後述する連動ギヤ103が貫通する孔である(図8参照)。
【0025】
上流側搬送部10と、中間搬送部20と、下流側搬送部30とは、いずれも、挿入部4aから挿入された印刷媒体を搬送する搬送部を構成する機構である。
上流側搬送部10は、中間搬送部20及び下流側搬送部30よりも搬送方向において挿入部4aに近い位置に配置されている。上流側搬送部10は、トルクリミッタ11と、アイドルギヤ12と、第1の搬送ローラユニット13と、第2の搬送ローラユニット14とを有している。
【0026】
トルクリミッタ11は、モータMから第1の搬送ローラ13cへ伝わる駆動力のトルクを所定値以下に制限する過負荷制限装置である。トルクリミッタ11は、プーリ11aと、ギヤ11bとを有している。プーリ11aには、ベルトB3が掛けられている。このベルトB3は、後述のプーリ21aに掛けられており、モータMからの駆動力をこのプーリ21aを介してプーリ11aに伝える。トルクリミッタ11は、プーリ11aに伝わった駆動力のトルクを所定値以下に制限してギヤ11bに伝える。
【0027】
アイドルギヤ12は、ギヤ11bと後述のギヤ13aとにかみ合っている。アイドルギヤ12は、ギヤ11bに伝わった駆動力をギヤ13aに伝える。
【0028】
図4は、下側搬送ガイド板6を取り外した状態の下側本体2を上方(yプラス側)から見た図である。
図5は、図1中に矢印で示したA−A断面を示す図である。
第1の搬送ローラユニット13は、ギヤ13aと、軸13bと、第1の搬送ローラ(下側搬送ローラ)13cとを有している。
【0029】
ギヤ13aは、軸13bのzプラス端部分に設けられている。ギヤ13aは、上述したように、アイドルギヤ12とかみ合っており、アイドルギヤ12から駆動力を伝達される。
【0030】
軸13bは、z方向に延在しており、不図示の軸受け部により回転自在な状態で下側本体2に取り付けられている回転軸である。
【0031】
第1の搬送ローラ13cは、例えば、弾性のあるゴムや樹脂等で形成されている。よって、第1の搬送ローラ13cは、半径方向に容易に変形可能となっている。また、第1の搬送ローラ13cは、軸13bに一体に設けられており、z方向に等間隔となるように6箇所並べて設けられている。なお、本実施形態の第1の搬送ローラ13cは、一般的なゴムローラになっているが、例えば、中空形状等としてもよい。
【0032】
第2の搬送ローラユニット14は、軸14aと、第2の搬送ローラ(上側搬送ローラ)14bとを有している。軸14a及び第2の搬送ローラ14bの構成は、それぞれ、軸13b及び第1の搬送ローラ13cの構成と同様である。ただし、第2の搬送ローラユニット14は、ギヤ13aに相当する部分を有しておらず、また、軸14aは、不図示の軸受け部により回転自在な状態で上側本体3に取り付けられている。
【0033】
それぞれ6箇所ずつ設けられている第1の搬送ローラ13cと第2の搬送ローラ14bとは、互いに対向して接触するように配置されている。したがって、印刷媒体を搬送するときには、第1の搬送ローラ13cが印刷媒体の下方から印刷媒体に接触し、第2の搬送ローラ14bが印刷媒体の上方から印刷媒体に接触する。そして、第1の搬送ローラ13cが駆動力を受けて回転することにより、印刷媒体を搬送する。このとき、第2の搬送ローラ14bは、印刷媒体を介して第1の搬送ローラ13cを上方から押さえており、印刷媒体の移動と共に回転する。また、第1の搬送ローラ13cと第2の搬送ローラ14bとは、所定の接触圧力で押し合うように配置されている。したがって、第1の搬送ローラ13cと第2の搬送ローラ14bとは、両者が僅かずつそれぞれの半径方向に変形をしながら印刷媒体に、又は、互いに接触している。これにより、軸13b及び軸14aに沿って間隔を有して6箇所ずつ並べて設けられた第1の搬送ローラ13c及び第2の搬送ローラ14bの全てにおいて、第1の搬送ローラ13c及び第2の搬送ローラ14bが印刷媒体を押す力、又は、互いに押し合う力が略均等になる。
【0034】
中間搬送部20は、上流側搬送部10よりも搬送方向の下流側であって、スキャナ部70が印刷媒体に印刷された情報を読み取る位置(図1中の矢印Dにより示す位置)に近い位置に設けられている。中間搬送部20をこのような位置に設けることにより、スキャナ部70が印刷媒体に印刷された情報を読み取る位置における印刷媒体の平面性を高めることができる。よって、スキャナ部70による情報の読み取りを精度よく行える。
中間搬送部20は、トルクリミッタ21と、アイドルギヤ22と、第1の搬送ローラユニット23と、第2の搬送ローラユニット24とを有している。
【0035】
トルクリミッタ21は、モータMから第1の搬送ローラ23cへ伝わる駆動力のトルクを所定値以下に制限する過負荷制限装置である。トルクリミッタ21は、プーリ21aと、ギヤ21bとを有している。プーリ21aには、ベルトB2とベルトB3とが掛けられている。ベルトB2は、後述のプーリM1にも掛けられており、モータMからの駆動力をプーリ21aに伝える。トルクリミッタ21は、プーリ21aに伝わった駆動力のトルクを所定値以下に制限してギヤ21bに伝える。
【0036】
アイドルギヤ22は、ギヤ21bと後述のギヤ23aとにかみ合っている。アイドルギヤ22は、ギヤ21bに伝わった駆動力をギヤ23aに伝える。
【0037】
第1の搬送ローラユニット23は、ギヤ23aと、軸23bと、第1の搬送ローラ23cとを有している。
第2の搬送ローラユニット24は、軸24aと、第2の搬送ローラ24bとを有している。
中間搬送部20が有する、ギヤ23aと、軸23bと、第1の搬送ローラ23cと、軸24aと、第2の搬送ローラ24bとは、それぞれ、上流側搬送部10が有する、ギヤ13aと、軸13bと、第1の搬送ローラ13cと、軸14aと、第2の搬送ローラ14bと同様な形態をしているので、詳細な説明は省略する。
【0038】
下流側搬送部30は、中間搬送部よりも下流側、かつ、マーキング部80よりも下流側に設けられている。下流側搬送部30をマーキング部80よりも下流側に設けることにより、マーキング部80によりマーキングされる印刷媒体に対して十分な張力を与えることができる。よって、印刷媒体は、マーキングされる位置の平面性が高くなり、マーキングの結果を良好にできる。
下流側搬送部30は、トルクリミッタ31と、アイドルギヤ32と、第1の搬送ローラユニット33と、第2の搬送ローラユニット34とを有している。
【0039】
トルクリミッタ31は、モータMから第1の搬送ローラ33cへ伝わる駆動力のトルクを所定値以下に制限する過負荷制限装置である。トルクリミッタ31は、プーリ31aと、ギヤ31bとを有している。プーリ31aには、ベルトB1が掛けられている。ベルトB1は、後述のプーリM1にも掛けられており、モータMからの駆動力をプーリ31aに伝える。トルクリミッタ31は、プーリ31aに伝わった駆動力のトルクを所定値以下に制限してギヤ31bに伝える。
【0040】
なお、上述したプーリ11a,21a,31aの歯数は、それぞれ異なる歯数となっている。これにより、第1の搬送ローラ13cの回転速度が最も遅く、第1の搬送ローラ13cの回転速度よりも第1の搬送ローラ23cの回転速度が速く、さらに、第1の搬送ローラ23cの回転速度よりも第1の搬送ローラ33cの回転速度が速くなっている。これらの速度差については、例えば、第1の搬送ローラ13cの回転速度と第1の搬送ローラ23cの回転速度との間が3%程度異なり、さらに、第1の搬送ローラ23cの回転速度と第1の搬送ローラ33cの回転速度との間が3%程度異なるように設定するとよい。これにより、搬送される印刷媒体に張力を与えることができ、印刷媒体の平面性を保ったまま搬送することができる。
【0041】
アイドルギヤ32は、ギヤ31bと後述のギヤ33aとにかみ合っている。アイドルギヤ32は、ギヤ31bに伝わった駆動力をギヤ33aに伝える。
【0042】
第1の搬送ローラユニット33は、ギヤ33aと、軸33bと、第1の搬送ローラ33cとを有している。
第2の搬送ローラユニット34は、軸34aと、第2の搬送ローラ34bとを有している。
下流側搬送部30が有する、ギヤ33aと、軸33bと、第1の搬送ローラ33cと、軸34aと、第2の搬送ローラ34bとは、それぞれ、上流側搬送部10が有する、ギヤ13aと、軸13bと、第1の搬送ローラ13cと、軸14aと、第2の搬送ローラ14bと同様な形態をしているので、詳細な説明は省略する。
【0043】
上述したトルクリミッタ11,21,31の制限値は、所定の上限値を超えないように設定されている。ここで、上限値は、次の2つの観点により設定される。1つ目の観点は、接続が想定される市販の汎用プリンタから挿入される印刷媒体を破損しないという観点である。これは、汎用プリンタが動作を停止した場合であっても、検証装置1が印刷媒体を破損してしまうことがないようにするためである。2つ目の観点は、接続が想定される市販の汎用プリンタの用紙保持力を上回らないようにするという観点である。これは、汎用プリンタが動作を停止した場合であっても、検証装置1が印刷媒体を汎用プリンタから勝手に引きずり出してしまわないようにするためである。
【0044】
上流側移動検出部40は、上流側搬送部10の下流側直近に配置されている移動検出部である。上流側移動検出部40は、第1の検出ローラユニット(下側検出ローラユニット)41と、第2の検出ローラユニット(上側検出ローラユニット)42とを備えている。
図6は、図1中に矢印で示したC−C断面を示す図である。
第1の検出ローラユニット41は、プーリ41aと、軸41bと、第1の検出ローラ41cとを有している。
【0045】
プーリ41aは、軸41bのzマイナス端部分に設けられている。プーリ41aには、ベルトB4が掛けられている。ベルトB4は、後述のプーリ51a及びプーリE1にも掛けられている。よって、プーリ41aとプーリ51aとの少なくとも一方が回転させられると、その回転がプーリE1に伝わり、上流側移動検出部40の第1の検出ローラユニット(下側検出ローラユニット)41、又は、下流側移動検出部50の第1の検出ローラユニット(下側検出ローラユニット)51の回転をエンコーダEにより検出可能である。
【0046】
軸41bは、z方向に延在しており、不図示の軸受け部により回転自在な状態で下側本体2に取り付けられている回転軸である。
【0047】
第1の検出ローラ41cは、例えば、弾性のあるゴムや樹脂等で形成されている。また、第1の検出ローラ41cは、軸41bに一体となるように設けられており、z方向に等間隔となるように5箇所並べて設けられている。
【0048】
また、第1の検出ローラ41cは、上方(yプラス側)から見たときに、搬送方向と直交する方向、すなわち、z方向において、第1の搬送ローラ13cとは位置をずらして互い違いとなるように配置されている。すなわち、第1の搬送ローラ13cと第1の検出ローラ41cとは、搬送方向に直交する方向で互い違いにずらして配置されている。
【0049】
第2の検出ローラユニット42は、軸42aと、第2の検出ローラ42bとを有している。
軸42a及び第2の検出ローラ42bの構成は、それぞれ、軸41b及び第1の検出ローラ41cの構成と同様である。ただし、第2の検出ローラユニット42は、プーリ41aに相当する部分を有しておらず、また、軸41bは、不図示の軸受け部により回転自在な状態で上側本体3に取り付けられている。
【0050】
それぞれ5箇所ずつ設けられている第1の検出ローラ41cと第2の検出ローラ42bとは、互いに対向して接触するように配置されている。したがって、印刷媒体が搬送部により搬送されるときには、第1の検出ローラ41cが印刷媒体の下方から印刷媒体に接触し、第2の検出ローラ42bが印刷媒体の上方から印刷媒体に接触する。
【0051】
下流側移動検出部50は、中間搬送部20の下流側直近に配置されている移動検出部である。下流側移動検出部50は、第1の検出ローラユニット(下側検出ローラユニット)51と、第2の検出ローラユニット(上側検出ローラユニット)52とを備えている。
第1の検出ローラユニット51は、プーリ51aと、軸51bと、第1の検出ローラ51cとを有している。
第2の検出ローラユニット52は、軸52aと、第2の検出ローラ52bとを有している。
下流側移動検出部50の構成は、上流側移動検出部40と同様な構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0052】
図7は、上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50と、上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30との配置を示す図である。なお、図7では、寸法hの量を特に誇張して示している。
先ず、上流側移動検出部40と上流側搬送部10との関係について説明する。第1の検出ローラ41cと第2の検出ローラ42bとが互いに対向して接触する位置は、第1の搬送ローラ13cと第2の搬送ローラ14bとが互いに対向して接触する位置よりも、エンコーダEに回転を伝えるように接続されている第1の検出ローラ41cが印刷媒体に近づく方向に位置がずれて配置されている。すなわち、第1の搬送ローラ13cと第2の搬送ローラ14bとの接触面よりも、第1の検出ローラ41cと第2の検出ローラ42bとの接触面が、上方に寸法hだけ高い位置(yプラス方向となる位置)となっている。
下流側移動検出部50と中間搬送部20との関係についても同様である。すなわち、第1の検出ローラ51cと第2の検出ローラ52bとが互いに対向して接触する位置は、第1の搬送ローラ23cと第2の搬送ローラ24bとが互いに対向して接触する位置よりも、エンコーダEに回転を伝えるように接続されている第1の検出ローラ51cが印刷媒体に近づく方向に位置がずれて配置されている。すなわち、第1の搬送ローラ23cと第2の搬送ローラ24bとの接触面よりも、第1の検出ローラ51cと第2の検出ローラ52bとの接触面が、上方に寸法hだけ高い位置(yプラス方向となる位置)となっている。
【0053】
印刷媒体の移動を検出するための構成を上流側搬送部10等に含ませる形態も考えられる。しかし、本実施形態では、そのようにせず、上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50を上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30とは独立させて設けた。以下、この理由について説明する。上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30は、いずれもトルクリミッタを備えている。トルクリミッタの部分では「すべり」が生じるので、モータMの回転駆動量と印刷媒体の搬送量とは1対1で対応していない。また、第1の搬送ローラ13c,23c,33cと印刷媒体との間でも「すべり」が生じる可能性もある。特に、プリンタと接続して利用する場合には、プリンタ側の負荷状態の影響を受けて、上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30のいずれかの部分で「すべり」が生じる可能性が高い。そうすると、上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30のいずれかの部分に搬送量を検出する手段を設けても、正確な検出ができない。そこで、本実施形態では、上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50を上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30とは独立させて設け、上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50から検出された印刷媒体の移動量を基準にして、各種制御を行っている。
【0054】
また、上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50の2つの移動検出部を設けたのは、連続する印刷媒体の最後尾がスキャナ部70を通過するときにも、印刷媒体の移動を検出する信号が取得できるようにするためである。
【0055】
媒体位置検出部60は、印刷媒体の位置を検出する位置検出部である。本実施形態の媒体位置検出部60は、反射型光センサと、透過型光センサとを備えている。
反射型光センサは、印刷媒体の少なくとも一面に所定間隔で印刷された位置検出マーク(アイマーク)を検出することによって、印刷媒体上のラベル等の位置を検出する。
透過型光センサは、印刷媒体が台紙と、台紙上に仮着されたラベルとにより構成されている場合に、台紙上にラベルが仮着されている位置と台紙にラベルが仮着されていない位置との光の透過率の差によって台紙上におけるラベルの位置を検出する。
なお、媒体位置検出部60は、位置検出マークの有無によって、反射型光センサ又は透過型光センサのいずれか一方を用いて印刷媒体の位置検出を行う。
【0056】
媒体位置検出部60は、下側センサ61と、下側送りねじ62と、下側ガイド軸63と、上側センサ66と、上側送りねじ67と、上側ガイド軸68とを備えている。
【0057】
下側センサ61は、透過型光センサの投光部又は受光部と、反射型光センサとを備え、印刷媒体の下方側に配置された第1の位置検出部として機能する。下側センサ61のxプラス側端には、下側送りねじ62に対応したナット部が形成されている。このナット部は、下側送りねじ62に螺合している。また、下側センサ61のxマイナス側端には、下側ガイド軸63に嵌合するガイド孔部が形成されている。
【0058】
下側送りねじ62は、z方向に延在しており、後述する操作部材101を手動で回転させることにより、回転可能なように、下側本体2に取り付けられている。
下側ガイド軸63は、下側送りねじ62と平行となるようにz方向に延在する形態で、下側本体2に取り付けられている。
【0059】
上側センサ66は、透過型光センサの受光部又は投光部を備え、印刷媒体の上方側に配置された第2の位置検出部として機能する。なお、下側センサ61に透過型光センサの投光部が設けられている場合には、上側センサ66は、透過型光センサの受光部を備え、その逆に、下側センサ61に透過型光センサの受光部が設けられている場合には、上側センサ66は、透過型光センサの投光部を備えている。
なお、上側センサ66には、反射型光センサをさらに備えるようにしてもよい。そうすることにより、印刷媒体の表裏どちらの側に位置検出マークが設けられている場合にも対応可能となる。
上側センサ66のxプラス側端には、上側送りねじ67に対応したナット部が形成されている。このナット部は、上側送りねじ67に螺合している。また、上側センサ66のxマイナス側端には、上側ガイド軸68に嵌合するガイド孔部が形成されている。
【0060】
上側送りねじ67は、z方向に延在しており、後述する連動機構100により、下側送りねじ62と連動して回転可能なように、上側本体3に取り付けられている。
上側ガイド軸68は、上側送りねじ67と平行となるようにz方向に延在する形態で、上側本体3に取り付けられている。
【0061】
媒体位置検出部60は、上述した構成により、搬送方向と直交する方向(z方向)に移動可能となっている。よって、検証を行う印刷媒体が搬送方向と直交する方向のいずれの位置に搬送されても、印刷媒体の位置を検出できる。
【0062】
スキャナ部70は、搬送された印刷媒体に印刷された情報を読み取る読み取り部である。スキャナ部70が読み取った情報は、制御部95へ送られる。具体的には、スキャナ部70は、不図示の照明部とセンサとを有し、照明部により照明された印刷媒体をセンサにより読み取り、印刷媒体上の情報を像の形態で取得する。そして、スキャナ部70は、この取得した像を制御部95へ送る。
【0063】
マーキング部80は、後述する制御部95からの指示に応じて、印刷媒体にマーキングを行う。具体的には、マーキング部80は、制御部95がスキャナ部70から得た情報に基づいて、印刷媒体上の印刷結果が所定の条件を満たさない不良品であると判断したときに、印刷媒体上に、例えば、「NG」と押印を行う。なお、マーキング部80としては、ハンコを用いずに、レーザやインクジェット等を用いてマーキングを行ってもよいし、印刷媒体の一部を切り欠いたり孔を開けたりしてマーキングを行ってもよい。
【0064】
表示操作部90は、検証装置1に関する各種操作を受け付ける操作部と、各種情報の表示を行う表示部とを有している。
【0065】
制御部95は、検証装置1の動作を統括して制御を制御回路であり、不図示のCPUやメモリ等により構成されている。また、制御部95は、スキャナ部70から像の形態で取得した印刷媒体上の情報を検証する検証部としても機能する。制御部95は、別途入力された検証すべきデータを記憶しておき、印刷媒体上の情報が、正しく印刷媒体上に印刷されているか否かを検証する。なお、検証する内容としては、印刷されるべき内容、印刷のかすれや欠け、汚れ等、適宜選択可能である。また、検証すべきデータは、外部から通信や記憶媒体を介して入力されてもよいし、検証装置1が備えるスキャナ部70から正しい印刷媒体を読み込ませて登録されるようにしてもよい。
【0066】
エンコーダEは、上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50が検出した印刷媒体の移動を移動量に変換可能な形態で出力するロータリエンコーダである。エンコーダEは、プーリE1を有している。プーリE1には、ベルトB4が掛けられているので、プーリE1は、第1の検出ローラ41c又は第1の検出ローラ51cの回転量に対応する量だけ回転する。エンコーダEは、プーリE1の回転量に応じた検出信号を制御部95へ送る。
【0067】
モータMは、上流側搬送部10と、中間搬送部20と、下流側搬送部30との駆動力を発生する駆動源である。モータMは、プーリM1を有している。プーリM1には、ベルトB1とベルトB2とが掛けられており、モータMが発生する駆動力を上流側搬送部10と、中間搬送部20と、下流側搬送部30とに伝える。
【0068】
次に、媒体位置検出部60の連動機構100及び移動抑制機構110について説明する。なお、これら媒体位置検出部60、連動機構100、移動抑制機構110により、本検証装置1における位置検出装置が構成されている。
図8は、本発明による検証装置1の第1実施形態を図2と同じ側(zプラス側)から主に連動機構を示した透視図である。
図9は、図8の連動機構周辺を拡大した図である。
図10は、連動機構100及び移動抑制機構110を示す斜視図である。
連動機構100は、操作部材101と、下側送りねじ駆動ギヤ102と、連動ギヤ103と、上側送りねじ駆動ギヤ104とを備えている。
【0069】
操作部材101は、つまみ部101aと、ギヤ部101bとを有しており、下側本体2に回転可能に取り付けられている。
つまみ部101aは、媒体位置検出部60の位置調節を行うときに、使用者により手動で回転操作される部分である。つまみ部101aは、容易に操作を行えるように、下側本体2から外側(zプラス側)に突出している。
ギヤ部101bは、後述する下側送りねじ駆動ギヤ102の小ギヤ部102aとかみ合っている歯車である。
【0070】
下側送りねじ駆動ギヤ102は、小ギヤ部102aと大ギヤ部102bとを有しており、下側送りねじ62と一体で回転するように設けられている2段歯車である。
小ギヤ部102aは、ギヤ部101bとかみ合っている歯車である。
大ギヤ部102bは、連動ギヤ103とかみ合っている歯車である。
【0071】
連動ギヤ103は、下側本体2に回転可能に取り付けられている歯車である。連動ギヤ103は、その略半分は、下側搬送ガイド板6よりも下側本体2側に収容されている。しかし、連動ギヤ103の残る略半分は、下側搬送ガイド板6よりも上側本体3側へ突出している。連動ギヤ103は、大ギヤ部102bとかみ合っている。また、連動ギヤ103は、上側送りねじ駆動ギヤ104ともかみ合っている。
【0072】
上側送りねじ駆動ギヤ104は、上側送りねじ67と一体で回転可能するように設けられている歯車である。上側送りねじ駆動ギヤ104は、図8に示す上側本体3が下側本体2から離れていない検証装置1を使用可能な状態(以下、連動状態)において、連動ギヤ103とかみ合っている。
【0073】
本実施形態の検証装置1は、先に述べたように、上側本体3が、下側本体2に対して、蝶番部2aを支点として回転移動して、印刷媒体の搬送路を露出させたメンテナンス等を行う状態(以下、上述した連動状態に対して非連動状態と呼ぶ)とすることができる。
図11は、非連動状態における検証装置1を図8と同様に示した図である。
図12は、図11の連動機構周辺を拡大した図である。
図13は、非連動状態における連動機構100及び移動抑制機構110を示す斜視図である。
なお、図11から図13に示した非連動状態では、上側本体3が、下側本体2に対して、僅かに離れた状態を示しているが、実際には、上側本体3は、図示した状態よりもさらに大きく下側本体2から離れる位置まで回転移動可能である。
【0074】
非連動状態では、上側送りねじ駆動ギヤ104は、連動ギヤ103とのかみ合いが解除される。しかし、上側送りねじ駆動ギヤ104は、上側本体3内に収容されており、使用者が簡単に手で触れることができないようになっている。
一方、連動ギヤ103は、下側本体2から上方(yプラス側)へその略半分が突出している。したがって、非連動状態では、連動ギヤ103は、使用者によって容易に手で触れることができるような状態となる。この状態で使用者が連動ギヤ103に手で触れる等して、連動ギヤ103を回転させてしまうと、非連動状態においても連動ギヤ103とかみ合っている下側送りねじ駆動ギヤ102が回転してしまう。そうすると、下側送りねじ62が回転して、下側センサ61が搬送方向に直交する方向(z方向)に移動してしまう。このとき、上側送りねじ駆動ギヤ104と連動ギヤ103とのかみ合いは解除されているので、上側センサ66は移動しない。したがって、下側センサ61と上側センサ66との搬送方向に直交する方向(z方向)における相対的な位置関係に位置ズレが生じてしまう。
【0075】
そこで、本実施形態では、非連動状態となるときに下側センサ61及び上側センサ66の移動を抑制する移動抑制機構110を備えている。なお、移動抑制機構としては、下側センサ61及び上側センサ66の双方の移動を抑制する必要があるが、本実施形態では、上側送りねじ駆動ギヤ104が上側本体3内に収容されている形態として上側センサ66の移動を抑制しており、この構成自体が上側センサ66についての移動抑制機構となっている。よって、以下に説明する本実施形態の移動抑制機構110は、下側センサ61の移動を抑制するための構成のみとなっている。
【0076】
移動抑制機構110は、ロック部材111と、ロック解除部材112とを有するロック機構を備えている。
【0077】
ロック部材111は、固定部111aと、腕部111bと、係合部111cとを有しており、下側本体2に固定されている。ロック部材111は、薄板状のばね材により形成されている。
【0078】
固定部111aは、ロック部材111を下側本体2に固定するために延在している部分である。ロック部材111は、不図示のビス等を用いて、固定部111aを下側本体2に対して固定することにより、取り付けられている。
【0079】
腕部111bは、固定部111aと係合部111cとの間に延在している部分である。腕部111bは、仮にロック解除部材112が存在していない自由状態では、図9等に破線により示したように連動ギヤ103に近い位置となる形状となっている。しかし、連動ギヤ103及び後述のロック解除部材112の存在により、この腕部111bがたわみ、連動ギヤ103側へ係合部111cを向ける方向の付勢力が生じている。
【0080】
係合部111cは、非連動状態において連動ギヤ103に当接して、連動ギヤ103のギヤ歯と係合して連動ギヤ103の回転を抑制する部分である。係合部111cは、連動ギヤ103のギヤ歯間の谷部に係合可能なように略V字形状に形成されている。係合部111cは、非連動状態では、腕部111bにより発生する付勢力により、連動ギヤ103のギヤ歯と係合して連動ギヤ103の回転をロックする。また、係合部111cは、後述するように、連動状態では、ロック解除部材112の作用により、連動ギヤ103のギヤ歯との係合が解除されて連動ギヤ103の回転ロックを解除する。
【0081】
ロック解除部材112は、固定部112aと、作用部112bとを有し、上側本体3に固定されている。ロック解除部材112は、ロック部材111よりも十分に剛性が高く厚さの厚い金属板、又は、樹脂成型品等により形成されている。
【0082】
固定部112aは、ロック解除部材112を上側本体3に固定するために延在している部分である。ロック解除部材112は、不図示のビス等を用いて、固定部112aを上側本体3に対して固定することにより、取り付けられている。
【0083】
作用部112bは、連動状態において上下方向(y方向)に延在するように設けられている。作用部112bは、非連動状態ではロック部材111から離れた位置にあり、連動状態ではロック部材111の腕部111bに当接して係合部111cと連動ギヤ103との係合を解除させる。
【0084】
以上説明したように、第1実施形態によれば、ロック部材111及びロック解除部材112を有する移動抑制機構110を備えたので、メンテナンス時等に非連動状態となった場合であっても、下側センサ61と上側センサ66との相対的な位置ズレを防止できる。よって、常に正確に印刷媒体の位置検出を行うことができる。
【0085】
また、ロック機構は、非連動状態において自ら生じる付勢力により連動機構側へ付勢されることにより、連動機構の少なくとも一部に係合して連動機構の動作をロックするロック部材111と、非連動状態ではロック部材111から離れた位置にあり、下側センサ61と上側センサ66とが連動する連動状態ではロック部材111に当接してロック部材111と連動機構100との係合を解除させるロック解除部材112とを備える。よって、位置検出装置は、簡単な構成により、下側センサ61と上側センサ66との相対的な位置ズレの発生を防止できる。
【0086】
さらに、検証装置1における非連動状態では、搬送部(10,20,30)により搬送される媒体が通過する搬送路を境として下側に設けられた下側本体2と上側に設けられた上側本体3との少なくとも一部を分離して搬送路の少なくとも一部を外部に露出させる状態となる。よって、検証装置1は、搬送路における搬送不良等を容易に復旧できる形態としながら、下側センサ61と上側センサ66との相対的な位置ズレの発生を防止できる。
【0087】
(第2実施形態)
図14は、本発明の第2実施形態の主要部を示す図であり、図9と同様に連動状態における連動機構周辺を拡大した図である。
図15は、図12と同様に非連動状態における連動機構周辺を拡大した図である。
第2実施形態は、第1実施形態の検証装置1に、蓋部材201を追加した形態であり、その他の部分については、第1実施形態と同様である。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0088】
蓋部材201は、蓋本体部201aと、腕部201bとを有しており、連動ギヤ103の回転中心軸と同軸で回転可能なように下側本体2に取り付けられている。
蓋本体部201aは、連動ギヤ103の外周の略半分を覆うことができるように形成されている。蓋本体部201aは、不図示の付勢部材により図14,15中の反時計回り方向に付勢されている。
腕部201bは、蓋本体部201aの外周に突出して設けられている。腕部201bは、ロック部材111と干渉しないように、ロック部材111に対してz方向で位置がずれて配置されている。また、腕部201bがz方向で位置がずれて配置されていることに対応して、本実施形態のロック解除部材112の作用部112bは、ロック部材111と腕部201bとの両方を押すことができるように、z方向の幅が広く形成されている。
【0089】
図14に示す連動状態では、腕部201bがロック解除部材112の作用部112bに当接している。これにより、蓋部材201は、付勢力に抗して図14に示す状態となり、連動ギヤ103の上側送りねじ駆動ギヤ104とかみ合う部分が露出する。よって、連動ギヤ103と上側送りねじ駆動ギヤ104とがかみ合うことができる。
【0090】
一方、図15に示す非連動状態では、ロック解除部材112が腕部201bから離れる。よって、蓋部材201は、付勢力により図中反時計回りに回転して、連動ギヤ103の上半分を覆う。なお、蓋部材201は、不図示のストッパに当接して図15に示す状態を維持している。連動ギヤ103の下半分については、下側本体2の内部に収容されているので、非連動状態では、使用者が連動ギヤ103に触れることができない。よって、非連動状態においては、連動機構100の操作部材101を除くいずれの部分にも使用者が触れることを防止できる。本実施形態では、ロック部材111により連動機構100のロックも併せて行っている。しかし、連動ギヤ103を使用者が直接触れると、連動ギヤ103に直接大きな力が作用する可能性があり、場合によっては、ロック部材111によるロックが外れてしまうおそれがある。本実施形態では、連動ギヤ103に使用者が触れることを防止しているので、メンテナンス時等に非連動状態となった場合であっても、より確実に下側センサ61と上側センサ66との相対的な位置ズレを防止できる。
【0091】
このように、第2実施形態では、非連動状態において外部に露出する連動機構100の少なくとも一部を非連動状態において覆い、かつ、下側センサ61と上側センサ66とが連動する連動状態において連動機構を覆わない位置に退避する蓋部材201を備える。よって、位置検出装置は、下側センサ61と上側センサ66との相対的な位置ズレの発生を防止する効果をさらに高めることができる。また、連動機構100に使用者が触れてしまうことを防止できるので、使用者の手が連動機構100に付着している潤滑剤等により汚れることや、連動機構100を損傷してしまうことを防止できる。
【0092】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
各実施形態において、ロック部材111は、自己の弾性変形にともない発生する付勢力を利用して連動ギヤ103のロックを行う例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、ロック部材に弾性材料を用いずに、ロック部材に対して付勢力を与えるばね部材等により形成された付勢部材を別途設けてもよい。このようにすることにより、ばね材に限らず様々な素材から形成されたロック部材を用いることができ、例えば、よりロック効果を高めることのできる形状とすることが可能となる。
【0093】
第2実施形態において、ロック部材111と蓋部材201とを、同じロック解除部材112により押す例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、ロック部材111と蓋部材201とをそれぞれ異なる機構により動作させてもよい。
【0094】
第2実施形態において、ロック部材111と蓋部材201とを、それぞれ独立した部材により形成した例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、ロック部材と蓋部材との機能を1つの部材に持たせてもよい。このようにすることにより、簡単な構成により、下側センサ61と上側センサ66との相対的な位置ズレの発生を防止する効果をさらに高めることができる。
【0095】
各実施形態において、移動抑制機構110は、下側センサ61の移動のみをロックする形態を例に挙げて説明した。これに限らず、例えば、連動機構の形態によっては、上側センサの移動のみを抑制する形態としてもよいし、下側センサと上側センサの双方の移動をロックする形態としてもよい。
【0096】
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0097】
1 検証装置
2 下側本体
2a 蝶番部
3 上側本体
4a 挿入部
10 上流側搬送部
20 中間搬送部
30 下流側搬送部
40 上流側移動検出部
50 下流側移動検出部
60 媒体位置検出部
61 下側センサ
66 上側センサ
100 連動機構
110 移動抑制機構
111 ロック部材
112 ロック解除部材
201 蓋部材
70 スキャナ部
95 制御部
E エンコーダ
M モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記媒体の位置を検出する位置検出部と、
を備え、
前記位置検出部は、
前記媒体の一方側に配置された第1の位置検出部と、
前記媒体の他方側に配置された第2の位置検出部と、
前記第1の位置検出部と前記第2の位置検出部とを連動させて前記媒体の搬送方向に直交する方向に移動させる連動機構と、
前記第1の位置検出部と前記第2の位置検出部とが連動しない非連動状態となるときに前記第1の位置検出部及び前記第2の位置検出部の移動を抑制する移動抑制機構と、
を備える位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置検出装置において、
前記移動抑制機構は、前記連動機構の少なくとも一部をロックするロック機構を有すること、
を特徴とする位置検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の位置検出装置において、
前記ロック機構は、前記非連動状態において自ら生じる付勢力により前記連動機構側へ付勢されることにより、前記連動機構の少なくとも一部に係合して前記連動機構の動作をロックするロック部材と、
前記非連動状態では前記ロック部材から離れた位置にあり、前記第1の位置検出部と前記第2の位置検出部とが連動する連動状態では前記ロック部材に当接して前記ロック部材と前記連動機構との係合を解除させるロック解除部材と、
を備えること、
を特徴とする位置検出装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の位置検出装置において、
前記非連動状態とは、前記搬送部により搬送される前記媒体が通過する搬送路を境として下側に設けられた下側本体と上側に設けられた上側本体との少なくとも一部を分離して前記搬送路の少なくとも一部を外部に露出させる状態であること、
を特徴とする位置検出装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の位置検出装置と、
前記位置検出装置により位置を検出する媒体に印刷された情報を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部が読み取った前記情報を検証する検証部と、
を備える検証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−56721(P2012−56721A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202003(P2010−202003)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】