位置検出装置および位置入力装置
【課題】漏洩磁束を少なくすることができる位置検出装置を提供する
【解決手段】センサ部23は、第1の方向に並べられて配設された複数の第1のループコイル233と、第1の方向に交差する第2の方向に並べられて配設された複数の第2のループコイル234とを備える。センサ部に対して位置指示器とは反対側にヨークシートが配設されている。信号送信部25は、位置指示器のコイルに誘導電流を誘起させる磁界を発生させるために、第1のループコイルまたは第2のループコイルに信号を送信する。センサ部23の隅部に補助用ループコイルを配設する。
【解決手段】センサ部23は、第1の方向に並べられて配設された複数の第1のループコイル233と、第1の方向に交差する第2の方向に並べられて配設された複数の第2のループコイル234とを備える。センサ部に対して位置指示器とは反対側にヨークシートが配設されている。信号送信部25は、位置指示器のコイルに誘導電流を誘起させる磁界を発生させるために、第1のループコイルまたは第2のループコイルに信号を送信する。センサ部23の隅部に補助用ループコイルを配設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁誘導式の位置検出装置およびこの位置検出装置を備える位置入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1(特開2006−309308号公報)に示されるように、ペン型の位置指示器と位置検出装置とからなる位置入力装置が知られている。位置検出装置は、位置指示器により指示された位置を検出するためのセンサ部を備えている。
【0003】
このセンサ部は、一般的には平板状のセンサ基板を備え、位置指示器による指示入力位置を検出する指示検出平面を備える。そして、電磁誘導式の位置検出装置の場合、センサ基板上には、X軸方向およびY軸方向の各々に細長いループコイルが多数個並べられて設けられている。一方、位置指示器は、コイルとコンデンサとからなる共振回路を備える。
【0004】
そして、位置検出装置は、センサ部の各々のループコイルに、1本ずつ特定の周波数の電流(励磁用送信電流)を流し、そのループコイルから磁界を発生させる。すると、位置指示器が磁界を発生しているループコイルに近接しているときに、位置指示器の共振回路は電磁誘導により共振し誘導磁界を生じる。次に、ループコイルからの磁界の発生を停止させる。そして、次に、位置指示器の共振回路から発せられる誘導磁界をループコイルで受信し、そのループコイルに流れる信号電流(受信電流)を検出する。位置検出装置は、この動作をループコイルの1本1本ごとに行い、受信電流に基づいて位置指示器の位置を検出する。
【0005】
なお、多数個のループコイルが形成されたセンサ基板の直下には、ループコイルの磁気特性を安定にさせるための磁路シート(ヨークシート)が設けられる。また、多数個のループコイルが形成されたセンサ基板の直下にアース基板などの導体板が設けられる場合、ループコイルからの交番磁界の影響で、その導体板に渦電流が流れ、この渦電流が装置の動作に悪影響を及ぼす。そのため、磁路シート(ヨークシート)は、シールド部材としても働くように構成されている(例えば特許文献2(特開2007−157107号公報)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−309308号公報
【特許文献2】特開2007−157107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、センサ部の周部(センサ基板の端部(端縁)の近傍部分)のループコイルに励磁用送信電流を流したとき、センサ部の中心部(周部で囲まれる部分)のループコイルに比べ、外部への漏洩磁束が多く、それが不要放射となって外部に漏れ出してしまうおそれがある。
【0008】
すなわち、図16に示すように、複数個のループコイル100が形成されているセンサ部の直下にヨークシート200が配置されている。複数のループコイル100のうち、図16(A)に示すように、センサ部の端部よりも内側の中心部のループコイル100に励磁用送信電流を流したときに発生する磁束301は、ヨークシート200を通って外部に洩れることが少ない。
【0009】
これに対して、図16(B)に示すように、センサ部の周部のループコイル100に励磁用送信電流を流したときに発生する磁束302は、ヨークシート200の端部から外部に洩れてしまう。また、センサ部の周部では、位置指示器との送受信を妨げる要因が多いため、当該周部のループコイル100には、他の部分よりもより大きな電流を流すようにしていることも、センサ部の周部における漏洩磁束が大きくなる要因ともなっている。
【0010】
この発明は、以上の問題点にかんがみ、漏洩磁束を少なくすることができる位置検出装置および位置入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、この発明は、
第1の方向に並べられて配設された複数の第1のループコイルと、前記第1の方向に交差する第2の方向に並べられて配設された複数の第2のループコイルとを備えるセンサ部と、
前記センサ部に対して位置指示器とは反対側に配設されたヨークシートと、
前記センサ部の隅部に配設された補助用ループコイルと、
前記位置指示器のコイルに誘導電流を誘起させる磁界を発生させるために、前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルに信号を送信するための信号送信部と、
前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルのいずれかを選択すると共に、前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルに前記信号送信部からの信号を送信するか前記位置指示器からの信号を受信させるかを制御する制御部と、
を備える位置検出装置を提供する。
【0012】
上述の構成のこの発明によれば、センサ部の隅に送信用補助用ループコイルが設けられたことにより、センサ部の第1の方向の周部の第1のループコイルと、センサ部の第2の方向の周部の第2のループコイルとは、送信用としては用いず、電磁誘導により位置指示器からの磁界に応じた信号を検出する受信用としてのみ用いることができる。したがって、センサ部の端部からの漏洩磁束を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、センサ部の隅に送信用補助用ループコイルを設けたことにより、第1の方向の周部では第1のループコイルを送信用として用いず、また、第2の方向の周辺では第2のループコイルを送信用として用いないようにすることができるので、センサ部の端部からの漏洩磁束を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の位置入力装置の実施形態の外観を示す図である。
【図2】この発明の位置検出装置の実施形態の構成例を説明するための分解斜視図である。
【図3】図2の位置検出装置の実施形態におけるヨークシートの構成例を説明するための図である。
【図4】図2の位置検出装置の実施形態におけるセンサ部の構成例を説明するための図である。
【図5】図2の位置検出装置の実施形態におけるセンサ部の構成例を説明するための図である。
【図6】センサ部の周部のループコイルによる漏洩磁束の不要放射特性を示す図である。
【図7】この発明の位置検出装置の実施形態に用いる補助用コイルの配設位置を説明するために用いる図である。
【図8】この発明の位置検出装置の実施形態に用いる補助用コイルの形状および大きさを説明するために用いる図である。
【図9】この発明の位置検出装置の実施形態に用いる補助用コイルの形状および大きさの例を示す図である。
【図10】この発明の位置検出装置の実施形態のループコイルについての送受信設定を説明するために用いる図である。
【図11】この発明の位置検出装置の実施形態の信号処理部の構成例を示すブロック図である。
【図12】この発明の位置検出装置の実施形態における位置指示器による指示位置の検出処理の流れの一例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図13】この発明の位置検出装置の実施形態に用いるセンサ部の他の構成例を説明するための図である。
【図14】この発明の位置検出装置の実施形態に用いるセンサ部の他の構成例を説明するための図である。
【図15】この発明の位置検出装置の実施形態に用いるセンサ部の他の構成例を説明するための図である。
【図16】位置検出装置からの漏洩磁束の不要放射を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明による位置検出装置および位置入力装置の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0016】
[位置入力装置]
図1は、この発明による位置入力装置の実施形態の外観斜視図である。この実施形態の位置入力装置10は、ペン型の位置指示器1と、位置検出装置2とからなる。位置検出装置2は位置検出平面2aを備え、この位置検出平面2a上における位置指示器1による指示位置を検出し、検出した位置データを外部の機器、例えばパーソナルコンピュータなどに出力する。以下の説明においては、この位置検出平面2aにおける横方向をX軸、縦方向をY軸とするX−Y直交座標系が仮想的に想定され、位置指示器1の指示位置は、X座標およびY座標として検出されるものとする。
【0017】
[位置検出装置]
図2は、位置検出装置2の構成を概略的に示す分解斜視図である。この例の位置検出装置2は、上ケース21と下ケース22とにより構成される筐体内に、センサ部23とヨークシート24と信号処理部25とを収納する構造を有する。
【0018】
上ケース21は、位置検出装置2の筐体20の上側部分を構成する。この上ケース21は、プラスチックあるいはガラス等の絶縁性の板で構成される位置検出平面2aを含む。
【0019】
この上ケース21の位置検出平面2aの直下には、センサ部23が配置される。このセンサ部23は、後述するように、複数個のループコイルが配線パターンとして形成されている矩形状のプリント配線基板(以下、センサ基板という)からなる。
【0020】
センサ部23の直下には、ヨークシート24が配置される。このヨークシート24は、センサ部23と略同サイズとされる。このヨークシート24は、図3の断面図に示すように、例えばアルミ箔で構成されたシールドシート241上に、例えばアモルファス磁性金属などの高磁性体層242が形成されたものである。高磁性体層242は、例えば多数個のアモルファス磁性金属リボンがアルミ箔のシールドシート241上に被着されることにより形成される。
【0021】
信号処理部25は、センサ部23に接続されている。この信号処理部25は、後述するように、センサ部23の複数個のループコイルに供給する所定周波数の交流信号を発生する信号発生部を備えると共に、位置指示器1との電磁誘導によりループコイルに生じる信号電流を検出することにより、位置指示器1による指示位置を検出する位置検出手段を備える。
【0022】
この信号処理部25は、例えばUSBインターフェースケーブル26を通じて、パーソナルコンピュータ等の外部機器に、位置指示器1の位置データを出力する。
【0023】
図2に示すように、絶縁体である上ケース21を除いて、センサ部23、ヨークシート24、下ケース22は全て接地される。
【0024】
[位置検出装置2のセンサ部23]
センサ部23を構成するセンサ基板は、この例では、2層のプリント配線基板からなる。図4は、このセンサ基板230のX軸方向断面図の一部を示すもので、第1層基板231と第2層基板232とが、X軸およびY軸に直交するZ軸方向に積層されている。
【0025】
そして、第1層基板231の上ケース21側の面上には、複数個の第1のループコイル233が、X軸方向に所定の間隔毎に並べられて配設されている。以下、第1のループコイルをXコイルと称する。
【0026】
また、第2層基板232の下ケース22側の面上には、複数個の第2のループコイル234が、Y軸方向に所定の間隔毎に並べられて配設されている。以下、第2のループコイルをYコイルと称する。
【0027】
そして、第1層基板231と第2層基板232の互いに対向する面間には、複数個の補助用ループコイル235が配設されている。以下、補助用ループコイルを補助用コイルと略称する。
【0028】
図5は、センサ基板230に配設されるXコイル233、Yコイル234および補助用コイル235の配置状態を示す図である。
【0029】
図5に示すように、X軸方向には、複数個のXコイル233−i(i=1,2,3・・・N(Nは2以上の整数))が並べられて配設される。各Xコイル233−iは、Y軸方向に沿って延びる1ターンのループコイルであり、互いに平行で、かつ、重なり合うように並べられて配置されている。各Xコイル233−iは、Y軸方向に沿った長辺233aとループの折曲がり部である端部233bを備え、長辺233aの長さは、センサ基板230のY軸方向の両端間の距離にほぼ等しく設定されている。すなわち、Xコイル233−iの長辺部233aは、センサ基板230のY軸方向の両端部にまで延伸されて配設されている。
【0030】
なお、Xコイル233、Yコイル234は、長辺部233a、234aと端部233b、234bを有する形状のループコイルとしたが、例えば正方形や長方形などの矩形その他の形状のループコイルであっても良い。
【0031】
また、Y軸方向には、複数個のYコイル234−j(j=1,2,3・・・M(Mは2以上の整数))が並べられて配設される。各Yコイル234−jは、X軸方向に沿って延びる1ターンのループコイルであり、互いに平行で、かつ、重なり合うように並べられて配置されている。各Yコイル234−jは、X軸方向に沿った長辺234aとループの折曲がり部である端部234bを備え、長辺234aの長さは、センサ基板230のX軸方向の両端縁間の距離にほぼ等しく設定されている。すなわち、Yコイル234−jの長辺部234aは、センサ基板230のX軸方向の両端部にまで延伸されて配設されている。
【0032】
以上のようにして複数個のXコイル233および複数個のYコイル234が配設された領域の全範囲において、後述するように、位置指示器1から送信される信号をセンサ部23によって受信することができる。すなわち、Xコイル233およびYコイル234が配設された全領域を位置指示器1の位置検出が可能な有効エリアとして機能させることできる。位置検出装置2の位置検出平面2aは、この有効エリアと重なるように構成される。
【0033】
Xコイル233およびYコイル234は、センサ基板230の第1層基板231および第2層基板232上において、1または複数層のプリントパターンにより形成される。なお、Xコイル233およびYコイル234は、1ターンで構成されるものに限らず、必要に応じて複数ターンの構成としても良い。
【0034】
そして、センサ基板230の4隅に、補助用コイル235−1〜235−4が配設されている。すなわち、Xコイル233およびYコイル234が配設された矩形の全領域のうちの4隅に、4個の補助用コイル235−1〜235−4が、Xコイル233およびYコイル234に重畳して配設される。
【0035】
[漏洩磁束の問題回避と補助用コイル235について]
補助用コイル235−1〜235−4を設けた理由について以下に説明する。
Xコイル233は、Y軸方向に延伸されて配設されており、Y軸方向に沿う長辺233aと、X軸方向に沿う端部233bを備えている。このXコイル233に励磁用送信電流を流すと、このXコイル233に鎖交する磁束が発生する。そして、センサ基板230の直下には、ヨークシート24が配設されている。このため、センサ基板230のX方向の両周部に位置するXコイル233に励磁用送信電流を流したときには、図16を用いて説明したように、Xコイル233の長辺233aに鎖交する磁束は、ヨークシート24のX方向の端部から外部へ漏洩し、これが問題となる。このとき、Xコイル233の端部233bに鎖交する磁束も、ヨークシート24のY方向の周端部から外部へ漏洩するが、端部233bは長さが長辺部233aよりも短いので、この漏洩磁束は少なく、問題とはならない。
【0036】
同様に、Yコイル234は、X軸方向に延伸されて配設されており、X軸方向に沿う長辺234aと、Y軸方向に沿う端部234bを備えている。このYコイル234に励磁用送信電流を流すと、このYコイル234に鎖交する磁束が発生する。そして、Yコイル234の長辺234aに鎖交する磁束は、このヨークシート24のY方向の周端部から外部へ磁束が漏洩し、これが問題となる。このとき、Yコイル234の端部234bに鎖交する磁束も、ヨークシート24のX方向の端部から外部へ漏洩するが、端部234bは長さが長辺部234aよりも短いので、この漏洩磁束は少なく、問題とはならない。
【0037】
例えばYコイル234に励磁用送信電流を流して、漏洩磁束を測定した結果、図6に示すような結果が得られた。この図6の例は、周波数667kHz、60mAの交番電流を励磁用送信電流としてYコイル234に流したときの特性であり、横軸は、センサ基板230のX方向の端部からYコイル234までの距離、縦軸は不要放射レベルである。
【0038】
この図6からは、許容できる不要放射レベルの閾値を15dBとすると、Yコイル234はセンサ基板230のX方向の端部から約1cm以上離れていれば良いことが判る。
【0039】
以上のことから、漏洩磁束の問題を回避するために、図7に示すように、励磁用送信電流を供給するXコイル233はセンサ基板230のX方向の両端からそれぞれ所定距離dxだけ離れていればよく、また、励磁用送信電流を供給するYコイル234はセンサ基板230のY方向の両端からそれぞれ所定距離dyだけ離れていれば良い。ここで、所定距離dxおよびdyは、漏洩磁束の不要放射レベルが閾値以下となるセンサ基板230の端部からの距離である。
【0040】
なお、以下の説明において、図7に示すように、センサ基板230の全領域のうち、Y方向の両端からそれぞれ所定距離dyまでの領域であって、かつ、X方向の両端から所定距離dxまでの領域を除く領域を、領域A部と称することとする。
【0041】
また、センサ基板230の全領域のうち、X方向の両端からそれぞれ所定距離dxまでの領域であって、かつ、Y方向の両端から所定距離dyまでの領域を除く領域を、領域B部と称することとする。
【0042】
そして、X方向の両端からそれぞれ所定距離dxまでの領域であって、かつ、Y方向の両端から所定距離dyまでの領域であるセンサ基板230の4隅の領域を領域D部と称することとする。そして、センサ基板230の全領域のうち、領域A部、領域B部、領域D部を除く中央部領域を、領域C部と称することとする。
【0043】
漏洩磁束の不要放射レベルの問題を解決する一つの方策として、ヨークシート24の大きさを、図7に示す全領域の大きさとすると共に、センサ基板230の大きさを図7に示す領域C部の大きさにして、この領域C部にのみXコイル233およびYコイル234を配するようにすることが考えられる。このようにすれば、センサ基板230のXコイル233およびYコイル234は、ヨークシート24の端部よりもそれぞれ距離dxおよび距離dyだけ離れた位置にのみ存在し、漏洩磁束の問題は改善される。
【0044】
しかし、そのようにした場合には、センサ基板230に対応する大きさである位置検出平面2aの大きさが領域C部に対応したものとなるのに対して、ヨークシート24の大きさは、領域C部の周囲の領域A部、領域B部および領域D部を含んだ大きさにする必要がある。このため、位置検出装置2の筐体20は、位置検出平面2aの周囲部分を大きくしたものとしなければならず、位置検出平面2aの大きさに比較して大型になってしまうという問題が生じる。
【0045】
この問題を回避するため、この実施形態では、前述したように、センサ基板230とヨークシート24とはほぼ同サイズとする。そして、図5を用いて説明したように、Xコイル233およびYコイル234は、従来と同様にセンサ基板230のX方向の両端部およびY方向の両端部にまで渡って配設する。
【0046】
ただし、この実施形態では、漏洩磁束の不要放射の問題を回避するため、センサ基板230のX方向の両端部からそれぞれ距離dxだけしか離れていない領域(領域B部およびその上下の領域D部)に存在するXコイル233には、励磁用送信電流は供給しないようにする。また、センサ基板230のY方向の両端部からそれぞれ距離dyだけしか離れていない領域(領域A部およびその左右の領域D部)に存在するYコイル234にも、励磁用送信電流は供給しないようにする。
【0047】
なお、後述するように、この実施形態では、励磁用送信電流を供給しないXコイル233およびYコイル234は、受信電流を検出するループコイルとしては使用する。
【0048】
以上のように、この実施形態では、X方向の両端部のXコイル233およびY方向の両端部のYコイル234には、励磁用送信電流は供給しない。このようにしても、Xコイル233の長辺233aは、センサ基板230のY方向の長さの全体に渡って形成されているので、当該Xコイル233に励磁用送信電流を流すことにより、領域A部においても、領域C部と同様の強さで磁界を発生させることができる。同様に、Yコイル234の長辺234aは、センサ基板230のX方向の長さの全体に渡って形成されているので、当該Yコイル234に励磁用送信電流を流すことにより、領域B部においても、領域C部と同様の強さで磁界を発生させることができる。
【0049】
しかしながら、図7における4隅の領域D部においては、Xコイル233およびYコイル234のいずれにも励磁用送信電流が供給されないので、この領域D部における磁界は弱いものとなる。
【0050】
そこで、この実施形態では、この領域D部における位置指示器1による指示位置を検出するために十分な強さの磁界を発生させるために補助用コイル235を配設する。すなわち、図5に示した4個の補助用コイル235−1〜235−4は、図7の4隅の領域D部のそれぞれに対応して配設される。図5に示した例では、補助用コイル235−1〜235−4のそれぞれは、領域D部を囲む矩形状のループコイルとされる。
【0051】
[補助用コイル235の大きさおよび形状について]
ループコイルによるセンサ基板230からの漏洩磁束の不要放射の量は、このループコイルがセンサ基板230の端部に最も近接する部分の長さに依存する。Xコイル233およびYコイル234の端部233bおよび234bは、Xコイル233およびYコイル234の長辺233aおよび234aよりも長さが短いので、Xコイル233およびYコイル234による漏洩磁束の不要放射の量は、それらの長辺233aおよび234aに応じたものとなる。
【0052】
一方、この例の補助用コイル235は、センサ基板230の4隅に配設されるので、補助用コイル235の2辺がセンサ基板230のX方向端部およびY方向端部に最も近接することになる。したがって、補助用コイル235による漏洩磁束の不要放射の量は、センサ基板230のX方向端部およびY方向端部に最も近接する補助用コイル235の2辺の長さの和に応じたものとなる。
【0053】
ここで、補助用コイル235による漏洩磁束の不要放射の量は、少なくとも、Xコイル233とYコイル234のうち、長辺233a,234aが短い方のループコイルによる漏洩磁束の不要放射よりも少ない必要がある。
【0054】
この例では、Xコイル233の方がYコイル234よりも長辺が短いので、Xコイル233の長辺233aの長さよりも、センサ基板230のX方向端部およびY方向端部に近接する補助用コイル235の2辺の長さの和が小さい必要がある。
【0055】
すなわち、図8に示すように、Xコイル233の長辺233aの長さをLa、補助用コイル235のセンサ基板230のX方向端部およびY方向端部に近接する2辺の長さをそれぞれLb,Lcとしたとき、補助用コイル235は、少なくとも、
Lb+Lc<La ・・・ (式1)
なる条件式を満足するように、その大きさおよび形状が定められる。
【0056】
なお、各補助用コイル235−1〜235−4は、領域D部の上の位置指示器1に対して適切な強さの誘導磁界を供給できる磁束を発生することができればよいので、この例のような矩形形状に限定されるものではなく、多角形形状や円形形状でも良い。
【0057】
例えば図9(A)に示すように、4隅の補助用コイル235−1〜235−4のそれぞれを円形形状とするようにしてもよい。ループコイルが円形形状の場合には、図9(A)に示すように、センサ基板230のX方向端部およびY方向端部に近接する補助用コイル235の長さ部分は小さくなる。
【0058】
また、図9(B)に示すように、4隅の補助用コイル235−1〜235−4のそれぞれを三角形形状とするようにしてもよい。
【0059】
なお、補助用コイル235は、領域D部上で位置指示される位置指示器1に十分な誘導磁界を与えることができる磁束を発生させることができれば良いので、この補助用コイルの大きさ領域D部よりも大きくても、また、小さくても良い。
【0060】
また、上述の例は、補助用コイル235は、全て1ターンのループコイルの例としたが、複数ターンのループコイルであっても良いことはいうまでもない。
【0061】
[センサ基板230の各領域部のループコイルの送受信設定]
この実施形態の位置検出装置においては、図7に示した領域A部、領域B部、領域C部、領域D部のそれぞれ毎に、励磁用送信電流を供給するループコイル(送信コイル)と、位置指示器1との電磁誘導結合により生じる受信電流を受けるループコイル(受信コイル)とを設定するようにする。
【0062】
図10に、領域A部、領域B部、領域C部、領域D部のそれぞれ毎に設定された送信コイルおよび受信コイルの例を示す。この場合、受信コイルは、領域A部、領域B部、領域C部、領域D部のすべてにおいて同様で、X座標検出用としてXコイル233が、Y座標検出用としてYコイル234が、それぞれ用いられる。
【0063】
しかし、送信コイルは、領域A部、領域B部、領域C部、領域D部のそれぞれ毎に異なる。すなわち、領域A部については、Xコイル233の長辺233aが領域A部にも延長されていることから、センサ基板230のX方向の両端からそれぞれ距離dxだけ離れた領域に存在する複数本のXコイル233を、X座標およびY座標検出用の送信コイルとすることができる。
【0064】
また、領域B部については、Yコイル234の長辺234aが領域B部にも延長されていることから、センサ基板230のY方向の両端からそれぞれ距離dyだけ離れた複数本のYコイル234を、X座標およびY座標検出用の送信コイルとすることができる。
【0065】
また、領域C部については、漏洩磁束の不要放射の問題は発生しないので、Xコイル233およびYコイル234のいずれも送信コイルとすることが可能である。そこで、この領域Cについては、X座標およびY座標検出用の送信コイルとして、それぞれXコイル233およびYコイル234のいずれか一方を用いることができる。
【0066】
領域D部については、Xコイル233およびYコイル234の双方とも、漏洩磁束の不要放射が発生するため送信コイルとしては使用しない。その代わりに、この領域D部については、補助用コイル235を、X座標およびY座標検出用の送信コイルとする。
【0067】
[信号処理部25の構成例]
図11は、信号処理部25の構成例を示す図であり、この図11には、信号処理部25と、センサ部23との接続関係も併せて示してある。ただし、この図11では、センサ部23のXコイル233およびYコイル234は模式的に直線で示し、また、補助用コイル235は矩形として示してある。この図11に示すように、信号処理部25は、センサ部23が備えるXコイル233,Yコイル234および補助用コイル235と接続される。なお、理解の便宜を図るために、図11には位置指示器1も併せて図示している。
【0068】
位置指示器1は、コイル101およびコンデンサ102を含む共振回路103と、IC(Integrated Circuit;集積回路)104とを備える。共振回路103はIC104に接続されている。なお、位置指示器は、ICにより制御されない簡易的な構造のものであっても良い。
【0069】
信号処理部25は、制御回路301、選択回路302、送受切替回路303、増幅回路304、バンドパスフィルタ305、検波回路306、サンプルホールド回路307、A/D(Analog to Digital)変換回路308、信号発生回路309、増幅回路310、のそれぞれを備える。
【0070】
制御回路301は、例えばマイクロコンピュータを備え、この信号処理部25内の必要な各部の制御処理を行う。
【0071】
選択回路302は、センサ部23が備えるN個のXコイル233,M個のYコイル234および4個の補助用コイル235からなる複数個のループコイルのそれぞれと接続されており、制御回路301からの制御指示に従って、これら複数個のループコイルの中から1個のループコイルを選択する。
【0072】
送受切替回路303は、選択回路302により選択されたループコイルに対して信号を送出する送信モードと、選択回路302により選択されたループコイルによって位置指示器1からの信号を受信する受信モードとを、制御回路301からの制御指示に従って切り替える。
【0073】
増幅回路304は、送受切替回路303から出力された信号を増幅し、バンドパスフィルタ305に出力する。バンドパスフィルタ305は、増幅回路304で増幅された信号について、所定周波数帯域の信号成分のみを通過させ、検波回路306に出力する。検波回路306は、バンドパスフィルタ305を通過した信号成分を電圧値に変換し、サンプルホールド回路307に出力する。
【0074】
サンプルホールド回路307は、制御回路307からのサンプルホールド用のクロック信号により、所定タイミング、具体的には、受信モード中の所定タイミングにおける検波回路306からの電圧値を保持し、A/D変換回路308へ送出する。A/D変換回路113は、サンプルホールド回路307のアナログ出力をディジタル信号に変換し、制御回路301に出力する。
【0075】
信号発生回路309は、制御回路301の制御にしたがって、所定周波数の交流信号を発生し、増幅回路310に供給する。増幅回路310は、信号発生回路309からの交流信号を増幅すると共に、電流に変換して送受切替回路303に送出する。送受切替回路303は、この増幅回路310からの電流を、選択回路302によって選択されたループコイルに供給する。
【0076】
信号処理部25は、位置指示器1による位置入力操作を次のようにして検出する。
先ず、制御回路301は、選択回路302を制御して1個のループコイルを選択させると共に、送受切替回路303を制御して、動作モードを送信モードに切り替えさせる。
【0077】
続いて、制御回路301は、信号発生回路309を制御して所定周波数の交流信号を発生させる。この交流信号は、増幅回路310により増幅されて送受切替回路303を介して選択回路302に入力される。これにより、選択回路302により選択されているループコイルには、上記交流信号に応じた電流が流れ、当該ループコイルに鎖交する磁界(交番磁界)が発生する。
【0078】
センサ部23の近傍に位置する位置指示器1においては、このループコイルにより発生した磁界により、その共振回路103に誘導電流が誘起され、この誘導電流により、IC104が動作を開始する。IC104は、共振回路103に所定周波数の信号を生成させ、この所定周波数の信号を共振回路103からセンサ部23へ送信させる。
【0079】
制御回路301は、上記送信モードの動作を所定時間継続した後に、送受切替回路303を制御して、動作モードを受信モードに切り替える。この切り替えによって、信号発生回路309からの信号が選択回路302に入力されなくなる。そして、制御回路301は、受信モードで選択するループコイルを、その直前の送信モードで選択されているループコイルとは異なるループコイルに変更させる場合には、選択回路302に対して、その変更指示制御を送り、選択するループコイルを変更するように制御する。受信モードにおいて、その直前の送信モードとで同じループコイルを用いる場合には、制御回路301は、このループコイルの変更制御は行わない。
【0080】
この受信モードにおいては、IC104の動作により位置指示器1から送信された信号が、選択回路302により選択されているループコイルにより受信される。詳細には、位置指示器1の共振回路103に信号電流が流れることにより、この共振回路103の周囲に磁界が発生し、この磁界によってセンサ部23の複数のループコイルのうち、位置指示器1の近傍のループコイルに誘導電流が流れる。そして、選択回路302により選択されているループコイルに流れる誘導電流が送受切替回路303を通じて増幅回路304に供給されて増幅される。
【0081】
そして、この増幅回路304からの出力信号がバンドパスフィルタ305に供給されて帯域制限され、このバンドパスフィルタ305からの所定周波数帯域成分が検波回路306入出力される。この成分は検波回路306によって電圧値に変換され、サンプルホールド回路307に保持される。サンプルホールド回路307に保持された電圧値は、A/D変換回路308によってデジタルデータに変換されて制御回路301に出力される。
【0082】
制御回路301は、A/D変換回路からのデジタルデータをバッファメモリに一時保存する。そして、制御回路301は、選択回路302でのループコイルの選択制御により受信コイルを変更し、その受信コイルにおける受信モードでA/D変換回路308から入力されるデジタルデータを取り込んでバッファメモリに一時保存する。
【0083】
そして、制御回路301は、バッファメモリに一時保存した各ループコイルについてのデジタルデータを演算処理することにより、位置指示器1によって指示入力された位置に近いループコイルを特定して、位置指示器1により指示された位置の座標を求める。
【0084】
なお、位置指示器1は、図示は省略したが、筆圧を検知するための芯材を備えていると共に、この芯材に加わった筆圧に応じて、コイル101のインダクタンスまたはコンデンサ102の容量を可変する機構を備えている(例えば、特開平4−96212号公報参照)。そして、位置指示器1においては、筆圧の変化により、共振回路103の共振周波数が変化する。
【0085】
制御回路301は、A/D変換回路308からのデジタルデータを演算処理することにより、この共振周波数の変化(位相変化)を検出して、位置指示器1に加わった筆圧をも検知する。
【0086】
[ループコイルの選択制御について]
位置指示器1の指示位置を検出するまでにおける制御回路301によるループコイルの選択制御の一例について以下に説明する。以下に説明する例においては、制御回路301は、先ず、飛び飛びのXコイルまたはYコイルを順次に探索して大まかな指示位置の検出(以下、グローバルスキャンという)を行う。そして、制御回路301は、グローバルスキャンにおいて有意な受信結果が得られたループコイルの近傍領域内の1本1本ずつのXコイルまたはYコイルを順次に探索して精細な指示位置の検出(以下、セクタスキャンという)を行うようにする。さらに、この実施形態では、補助用コイル235を送信コイルとして用いた4隅の領域における位置検出を行うが、この4隅の領域においても、大まかな指示位置の検出(以下、粗コーナースキャンという)と、精密な指示位置の検出(以下、精細コーナースキャンという)とを行う。
【0087】
図12は、制御回路301による指示位置の検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0088】
この例においては、先ず、制御回路301は、センサ基板230のY方向の両周部の領域A部(上下の領域A部)および領域C部からなる領域について、当該領域内にあるXコイル233を送受のループコイルとしてグローバルスキャンを行う(ステップS1)。
【0089】
すなわち、制御回路301は、センサ基板230のX方向の一方の端部、例えば左端から距離dx以上離れた位置のXコイル233、例えばXコイル233−kを、このステップS1のグローバルスキャンの最初のループコイルとして選択回路302に選択させる。ここで、kは、(センサ基板230のX方向の端部から距離dx内に含まれるXコイル233の本数+1)以上の整数である。なお、後述するk´も同様の整数である。そして、制御回路301は、送受切替回路303を送信モードに切り替え、そのXコイル233−kに信号発生回路309からの信号電流を流す。
【0090】
次に、所定時間が経過したら、制御回路301は、送受切替回路303を受信モードに切り替える。そして、制御回路301は、この受信モードにおいては、位置指示器1からの磁界に応じてXコイル233−kに流れる誘導電流をサンプルホールド回路307で取り込み、そのデジタルデータをA/D変換回路308から受け取る。そして、制御回路301は、その取り込んだデジタルデータを、当該受信モードのXコイル233−kについての受信結果として、バッファメモリに一時記憶しておく。
【0091】
以上のようにして、Xコイル233−kについての送受のモードが終了したら、制御回路301は、1または複数本置き例えば3本置きのXコイル233−(k+4)を選択するように選択回路302を制御する。そして、新たに選択された送受のXコイル233−(k+4)について、上述の送信モードおよび受信モードを繰り返す。以降、同様にして、制御回路301は、この例では、3本置きのXコイル233−(k+8)、X233−(k+12)、・・・というようにして、送受のXコイルを、センサ基板230の右端からdx以上離れた位置のXコイル233−(N−k´)まで切り替え、選択された各送受のXコイルについて上述の送信モードおよび受信モードを繰り返す。
【0092】
以上のようにしてステップS1でのグローバルスキャンが終了すると、この例では、制御回路301は、センサ基板230のX方向の両周部の領域B部(左右の領域B部)および領域C部からなる領域について、当該領域内にあるYコイル234を送受のループコイルとしてグローバルスキャンを行う(ステップS2)。
【0093】
すなわち、制御回路301は、センサ基板230のY方向の一方の端部、例えば、センサ基板230の上端から距離dy以上離れた位置のYコイル234、例えばYコイル234−pを、このステップS3のグローバルスキャンの最初のループコイルとして選択回路302に選択させる。ここで、pは、(センサ基板230のY方向の端部から距離dy内に含まれるYコイル234の本数+1)以上の整数である。後述するp´も同様の整数である。そして、制御回路301は、送受切替回路303を送信モードに切り替え、そのYコイル234−pに信号発生回路309からの信号電流を流す。
【0094】
次に、所定時間経過したら、制御回路301は、送受切替回路303を受信モードに切り替える。そして、制御回路301は、この受信モードにおいては、位置指示器1からの磁界に応じてYコイル234−pに流れる誘導電流をサンプルホールド回路307で保持し、そのデジタルデータをA/D変換回路308から受け取る。そして、制御回路301は、その受け取ったデジタルデータを、当該受信モードで選択中のYコイル234−pについての受信結果としてバッファメモリに一時記憶しておく。
【0095】
以上のようにして、Yコイル234−pについての送受のモードが終了したら、制御回路301は、1または複数本置き例えば3本置きのYコイル234−(p+4)を選択するように選択回路302を制御する。そして、新たに選択された送受のYコイル234−(p+4)について、上述の送信モードおよび受信モードを繰り返す。以降、同様にして、制御回路301は、この例では、3本置きのYコイル234−(p+8)、X234−(p+12)、・・・というようにして、送受のYコイルを、センサ基板230の下端からdy以上離れた位置のYコイル234−(M−p´)まで切り替え、選択された各送受のYコイルについて上述の送信モードおよび受信モードを繰り返す。
【0096】
以上のようにしてステップS2でのグローバルスキャンが終了すると、制御回路301は、ステップS1のグローバルスキャンで一時記憶している各Xコイル233についての受信結果およびステップS2のグローバルスキャンで一時記憶している各Yコイル234についての受信結果を参照し、有意な値を示している受信結果があるか否か判別する(ステップS3)。
【0097】
このステップS3で、有意な値を示している受信結果が存在しないと判別したときには、制御回路301は、センサ基板230の4隅の領域D部について、送信コイルを補助用コイル235とする粗コーナースキャンを行う(ステップS4)。
【0098】
すなわち、制御回路301は、このステップS4においては、例えば左上隅の補助用コイル235−1を、このステップS4の粗コーナースキャンの最初のループコイルとして選択回路302に選択させる。そして、制御回路301は、送受切替回路303を送信モードに切り替え、その補助用コイル235−1に信号発生回路309からの信号電流を流す。
【0099】
次に、所定時間経過したら、制御回路301は、送受切替回路303を受信モードに切り替えると共に、この左上隅の領域D部を通るXコイル233またはYコイル234の1本を選択させるように、選択回路302を制御する。そして、制御回路301は、この受信モードにおいては、位置指示器1からの磁界に応じて選択回路302で選択されたXコイル233またはYコイル234に流れる誘導電流をサンプルホールド回路307で保持し、そのデジタルデータをA/D変換回路308から受け取る。そして、制御回路301は、その受け取ったデジタルデータを、当該受信モードで選択されているXコイル233またはYコイル234についての受信結果としてバッファメモリに一時記憶しておく。
【0100】
このステップS4の粗コーナースキャンにおいては、受信モードが終了したら、制御回路301は、再度、補助用コイル235−1を選択するように選択回路302を制御し、上述の送信モードを実行する。そして、送信モードが終了したら、制御回路301は、この左上隅の領域D部を通るXコイル233またはYコイル234の別の1本を選択させるように選択回路302を制御して、上述した受信モードを実行する。
【0101】
そして、送信コイルを補助用コイル235−1とし、受信コイルを左上隅の領域D部を通るXコイル233または234の異なる1本とする送受のモードを繰り返した後は、制御回路301は、例えば右上隅の領域D部についての粗コーナースキャンを実行する。すなわち、制御回路301は、送信コイルを補助用コイル235−2とし、受信コイルを右上隅の領域D部を通るXコイル233または234の異なる1本とする送受のモードを繰り返すように制御する。
【0102】
そして、この右上隅の領域D部についての粗コーナースキャンが終了すると、制御回路301は、左下隅の領域D部について、送信コイルを補助用コイル235−3とし、受信コイルを左下隅の領域D部を通るXコイル233または234の異なる1本とする送受のモードを繰り返す粗コーナースキャンを実行する。
【0103】
さらに、この左下隅の領域D部についての粗コーナースキャンが終了すると、制御回路301は、右下隅の領域D部について、送信コイルを補助コイル235−4とし、受信コイルを左下隅の領域D部を通るXコイル233または234の異なる1本とする送受のモードを繰り返すグローバルスキャンを実行する。以上で、このステップS4の粗コーナースキャンが終了する。
【0104】
なお、上述の説明では、ステップS4の粗コーナースキャンにおいて、4隅の各領域D部では受信コイルを切り替えて、送信モードと受信モードとを複数回、繰り返すようにした。しかし、領域D部の大きさは比較的狭いので、各領域D部では、ステップS4の粗コーナースキャンにおいて、送信モードと受信モードとを繰り返さずに1回の送信モードと受信モードとを行うようにしても良い。
【0105】
以上のようにしてステップS4での粗コーナースキャンが終了すると、制御回路301は、バッファメモリに一時記憶している各Xコイル233またはYコイル234についての受信結果を参照し、有意な値を示している受信結果があるか否か判別する(ステップS5)。
【0106】
このステップS5で、有意な値を示している受信結果が存在しないと判別したときには、制御回路301は、ステップS1に戻り、このステップS1以降の処理を繰り返す。
【0107】
一方、ステップS3で、有意な値を示している受信結果が存在すると判別したときには、制御回路301は、その受信結果が有意な値を示しているXコイル233、Yコイル234を判定することにより、セクタスキャンをする領域を判定して、セクタスキャンを実行する(ステップS6)。
【0108】
ここで、受信結果が有意な値を示しているループコイルが、Xコイル233およびYコイル234の両方であるときには、セクタスキャンすべき領域には領域C部を少なくとも含むものとなる。
【0109】
そして、制御回路301は、Xコイル233およびYコイル234の両方の受信結果が有意な値を示している場合において、受信結果が有意な値を示しているXコイル233が領域B部の一方の近傍のXコイル233であるときには、領域C部とその領域B部の一方とを含む領域をセクタスキャンすべき領域と判定する。領域B部においては、図10に示したように、送信コイルはYコイル234とすべきである。そこで、制御回路301は、Yコイル234のみを送信コイルとすると共に、Xコイル233とYコイル234を受信コイルとして切り替えながら、判定した領域でのセクタスキャンを行い、上述した位置指示器1の指示位置の検出を行う。
【0110】
また、制御回路301は、Xコイル233およびYコイル234の両方の受信結果が有意な値を示している場合において、受信結果が有意な値を示しているYコイル234が領域A部の一方の近傍のYコイル234であるときには、領域C部とその領域A部の一方とを含む領域をセクタスキャンすべき領域と判定する。領域A部においては、図10に示したように、送信コイルはXコイル233とすべきである。そこで、制御回路301は、Xコイル233のみを送信コイルとすると共に、Xコイル233とYコイル234を受信コイルとして切り替えながら、判定した領域でのセクタスキャンを行い、上述した位置指示器1の指示位置の検出を行う。
【0111】
また、制御回路301は、Xコイル233およびYコイル234の両方の受信結果が有意な値を示している場合において、受信結果が有意な値であるという判定結果を示しているXコイル233が領域B部の一方の近傍のXコイル233であり、かつ、受信結果が有意な値であるという判定結果を示しているYコイル234が前記領域B部の一方に隣接する領域A部の一方の近傍のYコイル234であるときには、前記領域B部の一方および前記領域A部の一方の両者と接する領域D部を含む領域をセクタスキャンすべき領域と判定する。領域D部においては、図10に示したように、送信コイルは補助用コイル235とすべきである。そこで、制御回路301は、補助用コイル235のみを送信コイルとすると共に、Xコイル233とYコイル234を受信コイルとして切り替えながら、判定した領域でのセクタスキャンを行い、上述した位置指示器1の指示位置の検出を行う。
【0112】
さらに、制御回路301は、Xコイル233およびYコイル234の両方の受信結果が有意な値を示している場合において、上記の場合以外のときには、領域C部のみをセクタスキャンすべき領域と判定する。領域C部においては、図10に示したように、送信コイルについては制約は無く、Xコイル233とYコイルのいずれも使用することができる。そこで、制御回路301は、判定した領域において、例えば、先ず、1本ずつのXコイル233について送受のモードを実行し、その後、1本ずつのYコイル234について送受のモードを実行する。そして、制御回路301は、一時記憶した各Xコイル233の受信結果および各Yコイル234の受信結果に基づき、位置指示器1の位置データを生成し、出力する。
【0113】
このステップS6が終了した後には、制御回路301は、ステップS1に戻り、このステップS1以降の処理を繰り返す。
【0114】
また、ステップS5で、有意な値を示している受信結果が存在すると判別したときには、制御回路301は、その受信結果が有意な値を示しているXコイル233および/またはYコイル234を判定することにより、精細コーナースキャンをする領域を判定して、精細コーナースキャンを実行する(ステップS7)。このとき、4隅の領域D部のいずれかが、先ず、判定されて、その判定された1つの領域D部について、さらに精細コーナースキャンをする領域が判定される。なお、判定された領域D部の全領域を、精細コーナースキャンすべき領域と判定するようにしても良い。
【0115】
このステップS7における精細コーナースキャンにおいては、送信コイルは常に補助用コイルとされ、受信コイルがXコイル233とYコイル234とに切り替えられる。そして、制御回路301は、バッファメモリに一時記憶した各Xコイル233の受信結果および各Yコイル234の受信結果に基づき、位置指示器1の位置データを生成し、出力する。
【0116】
なお、以上のループコイルの選択制御は一例であり、これに限られるわけではない。例えば上述の例におけるステップS2のグローバルスキャンをステップS1のグローバルスキャンの先に行うようにしても良い。
【0117】
また、上記の例では、ステップS1のグローバルスキャンおよびステップS2のグローバルスキャンを行った後に、セクタスキャンに移行することができるようにした。しかし、ステップS1およびステップS2のグローバルスキャン、そして、ステップS4の粗コーナースキャンを順次に行った後、それらのグローバルスキャンおよび粗コーナースキャンで一時記憶した各Xコイル233の受信結果および各Yコイル234の受信結果を総合的に判断して、セクタスキャンあるいは精細コーナースキャンをするエリアを決定し、当該セクタスキャンあるいは精細コーナースキャンを実行するようにしても良い。
【0118】
また、ステップS4の粗コーナースキャンを、ステップS1のグローバルスキャンやステップS2のグローバルスキャンの前に行っても良い。さらには、ステップS1のグローバルスキャンやステップS2のグローバルスキャンの途中で、ステップS4の粗コーナースキャンを行うようにしても良い。
【0119】
また、上記の例は、グローバルスキャンとセクタスキャン、また、粗コーナースキャンと精細コーナースキャンとを組み合わせる方法であるが、グローバルスキャンや粗コーナースキャンを行わずに、ループコイルを順次に切り替えて指示位置検出を行うようにしても良い。ただし、その際にも、図10に示した各領域毎に使用可能な送信コイルを考慮する必要があるのは言うまでもない。
【0120】
[センサ部23の他の構成例]
上述の実施形態の位置検出装置2のセンサ部23は、図4および図5に示したように、補助用コイルを2層のプリント配線基板の中間に設けるようにしたが、センサ部23の構成としては、上述の例に限られるものではない。
【0121】
図13は、センサ部23の他の構成例の一つを示すものである。この例においては、1枚の両面プリント配線基板236の表面側に、1または複数層のプリントパターンにより複数個のXコイル233−1,233−2,・・・233−Nを形成すると共に、このプリント配線基板236の裏面側に、1または複数層のプリントパターンにより複数個のYコイル234−1,234−2,・・・234−Mを形成する。
【0122】
そして、この例においては、小型のプリント配線基板237−1,237−2,237−3,237−4のそれぞれの表面に、プリントパターンにより補助用コイル235−1,235−2,235−3,235−4の各々を形成する。そして、補助用コイル235−1,235−2,235−3,235−4の各々を形成した4個の小型のプリント配線基板237−1,237−2,237−3,237−4を、両面プリント配線基板236の4隅に貼り合せて配設する。
【0123】
なお、4個の小型プリント配線基板ではなく、両面プリント配線基板236の周部に対応する枠形状のプリント配線基板を用いるようにしてもよい。すなわち、図14は、その場合のセンサ部23の構成例を示す図である。図14(A)は、その例のセンサ部23の平面図であり、図14(B)は、図14(A)におけるX−X断面図である。
【0124】
この図14に示すように、この例のセンサ部23は、表面に複数個のXコイル233が形成され、裏面に複数個のYコイル234が形成された両面プリント配線基板236を備える。そして、この両面プリント配線基板236の例えば表面上に、センサ部23の周部に対応する枠形状のプリント配線基板238が貼り合わされている。この枠形状のプリント配線基板238の4隅には、補助用コイル235−1,235−2,235−3,235−4の各々が、プリントパターンにより形成されている。
【0125】
なお、図14において、両面プリント配線基板236が枠形状のプリント配線基板238よりも外側に張り出した部分は、Xコイル233およびYコイル234のリード端子部が設けられる部分である。
【0126】
上述の実施形態では、補助用コイルは、センサ部23の領域D部の4隅にのみ設けるようにした。しかし、補助用コイルは、センサ部23の周部である領域A部や領域B部にも設けるようにしても良い。図15に、周部である領域A部や領域B部にも補助用コイル235を設けたセンサ部23の一例を示す。
【0127】
すなわち、この図15の例のセンサ部は、図14の例と同様に、Xコイル233およびYコイルが形成された両面プリント配線基板236の表面上に、枠形状のプリント配線基板238を貼り合わせたセンサ基板を備える。そして、枠形状のプリント配線基板238上には、前述した(式1)を満足する形状および大きさの補助用コイルを形成する。
【0128】
図15の例では、枠形状のプリント配線基板238上には、センサ部23の4隅の領域D部に前述した補助用コイル235−1,235−2,235−3,235−4を形成すると共に、領域A部および領域B部に、補助用コイル235−1〜235−4と同一形状および大きさの補助用コイル239を、所定の間隔を置いて形成する。
【0129】
例えば、上述の実施形態では、グローバルスキャンのみではなく、セクタスキャンにおいても領域A部においてはXコイル233を送信コイルとして用い、また、領域B部においてはYコイル234を送信コイルとして用いるようにした。これに対して、図15の例のセンサ部を用いる例の場合には、領域A部や領域B部におけるセクタスキャンにおいては、各補助用コイル239を送信コイルとする。
【0130】
すなわち、セクタスキャンにおいては、上下の領域A部の一方、また、左右の領域B部の一方を、それぞれ探索領域とすればよい。図15の例では、領域A部や領域B部に設けた補助用コイル239を送信コイルとして使用することで、効率良く、セクタスキャンを実施することができる。
【0131】
また、前述したように、センサ部23の周囲の近傍には、所定の回路(IC等)が配設されることが多く、それらの回路からのノイズの影響で、センサ部23の周部では、誘導磁界による結合が弱くなることがある。例えば位置検出平面の部分にLCD(Liquid Crystal Display)が設けられる場合、センサ部23の周囲の近傍にバックライト駆動用回路が設けられる。
【0132】
そのため、従来はセンサ部の周部のXコイルおよびYコイルを送信コイルとして使用する場合には、励磁用送信電流を大きくする必要があり、それが漏洩磁束の不要放射の問題の一因であった。
【0133】
しかし、図15の例の場合には、XコイルやYコイルよりも小型の補助用コイル239を送信コイルとして用いるので、補助用コイル239に、センサ部23の周囲の外部回路の影響を考慮した大きな励磁用送信電流を流しても、漏洩磁束は量は少なく、問題とならないレベルに抑えることができる。
【0134】
なお、領域A部や領域B部における位置指示器による指示位置の探索において、上述の例のように、Xコイル233やYコイル234を用いると共に、補助用コイル239を合わせて用いるようにしても勿論よい。そのようにした場合には、補助用コイル239により、センサ部23の周囲の外部回路の影響を考慮した適切な磁界を発生させることができる。
【0135】
なお、領域A部や領域B部などのセンサ部の周部の補助用コイル239は、図15に示したように、それぞれの領域A部や領域B部の全体に渡って設けるのではなく、センサ部23の周囲の外部回路の影響が強い領域にのみ、設けるようにしても良い。
【0136】
なお、補助用コイルは、上述の実施形態では、センサ部に複数個を設けるようにしたが、1個でもよい。
【符号の説明】
【0137】
1…位置指示器、2…位置検出装置、10…位置入力装置、23…センサ部、24…ヨークシート、25…信号処理部、231,232…プリント配線基板、233…Xコイル、234…Yコイル、235,239…補助用コイル、236…両面プリント配線基板、237…小型プリント配線基板、238…枠形状プリント配線基板
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁誘導式の位置検出装置およびこの位置検出装置を備える位置入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1(特開2006−309308号公報)に示されるように、ペン型の位置指示器と位置検出装置とからなる位置入力装置が知られている。位置検出装置は、位置指示器により指示された位置を検出するためのセンサ部を備えている。
【0003】
このセンサ部は、一般的には平板状のセンサ基板を備え、位置指示器による指示入力位置を検出する指示検出平面を備える。そして、電磁誘導式の位置検出装置の場合、センサ基板上には、X軸方向およびY軸方向の各々に細長いループコイルが多数個並べられて設けられている。一方、位置指示器は、コイルとコンデンサとからなる共振回路を備える。
【0004】
そして、位置検出装置は、センサ部の各々のループコイルに、1本ずつ特定の周波数の電流(励磁用送信電流)を流し、そのループコイルから磁界を発生させる。すると、位置指示器が磁界を発生しているループコイルに近接しているときに、位置指示器の共振回路は電磁誘導により共振し誘導磁界を生じる。次に、ループコイルからの磁界の発生を停止させる。そして、次に、位置指示器の共振回路から発せられる誘導磁界をループコイルで受信し、そのループコイルに流れる信号電流(受信電流)を検出する。位置検出装置は、この動作をループコイルの1本1本ごとに行い、受信電流に基づいて位置指示器の位置を検出する。
【0005】
なお、多数個のループコイルが形成されたセンサ基板の直下には、ループコイルの磁気特性を安定にさせるための磁路シート(ヨークシート)が設けられる。また、多数個のループコイルが形成されたセンサ基板の直下にアース基板などの導体板が設けられる場合、ループコイルからの交番磁界の影響で、その導体板に渦電流が流れ、この渦電流が装置の動作に悪影響を及ぼす。そのため、磁路シート(ヨークシート)は、シールド部材としても働くように構成されている(例えば特許文献2(特開2007−157107号公報)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−309308号公報
【特許文献2】特開2007−157107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、センサ部の周部(センサ基板の端部(端縁)の近傍部分)のループコイルに励磁用送信電流を流したとき、センサ部の中心部(周部で囲まれる部分)のループコイルに比べ、外部への漏洩磁束が多く、それが不要放射となって外部に漏れ出してしまうおそれがある。
【0008】
すなわち、図16に示すように、複数個のループコイル100が形成されているセンサ部の直下にヨークシート200が配置されている。複数のループコイル100のうち、図16(A)に示すように、センサ部の端部よりも内側の中心部のループコイル100に励磁用送信電流を流したときに発生する磁束301は、ヨークシート200を通って外部に洩れることが少ない。
【0009】
これに対して、図16(B)に示すように、センサ部の周部のループコイル100に励磁用送信電流を流したときに発生する磁束302は、ヨークシート200の端部から外部に洩れてしまう。また、センサ部の周部では、位置指示器との送受信を妨げる要因が多いため、当該周部のループコイル100には、他の部分よりもより大きな電流を流すようにしていることも、センサ部の周部における漏洩磁束が大きくなる要因ともなっている。
【0010】
この発明は、以上の問題点にかんがみ、漏洩磁束を少なくすることができる位置検出装置および位置入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、この発明は、
第1の方向に並べられて配設された複数の第1のループコイルと、前記第1の方向に交差する第2の方向に並べられて配設された複数の第2のループコイルとを備えるセンサ部と、
前記センサ部に対して位置指示器とは反対側に配設されたヨークシートと、
前記センサ部の隅部に配設された補助用ループコイルと、
前記位置指示器のコイルに誘導電流を誘起させる磁界を発生させるために、前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルに信号を送信するための信号送信部と、
前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルのいずれかを選択すると共に、前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルに前記信号送信部からの信号を送信するか前記位置指示器からの信号を受信させるかを制御する制御部と、
を備える位置検出装置を提供する。
【0012】
上述の構成のこの発明によれば、センサ部の隅に送信用補助用ループコイルが設けられたことにより、センサ部の第1の方向の周部の第1のループコイルと、センサ部の第2の方向の周部の第2のループコイルとは、送信用としては用いず、電磁誘導により位置指示器からの磁界に応じた信号を検出する受信用としてのみ用いることができる。したがって、センサ部の端部からの漏洩磁束を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、センサ部の隅に送信用補助用ループコイルを設けたことにより、第1の方向の周部では第1のループコイルを送信用として用いず、また、第2の方向の周辺では第2のループコイルを送信用として用いないようにすることができるので、センサ部の端部からの漏洩磁束を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の位置入力装置の実施形態の外観を示す図である。
【図2】この発明の位置検出装置の実施形態の構成例を説明するための分解斜視図である。
【図3】図2の位置検出装置の実施形態におけるヨークシートの構成例を説明するための図である。
【図4】図2の位置検出装置の実施形態におけるセンサ部の構成例を説明するための図である。
【図5】図2の位置検出装置の実施形態におけるセンサ部の構成例を説明するための図である。
【図6】センサ部の周部のループコイルによる漏洩磁束の不要放射特性を示す図である。
【図7】この発明の位置検出装置の実施形態に用いる補助用コイルの配設位置を説明するために用いる図である。
【図8】この発明の位置検出装置の実施形態に用いる補助用コイルの形状および大きさを説明するために用いる図である。
【図9】この発明の位置検出装置の実施形態に用いる補助用コイルの形状および大きさの例を示す図である。
【図10】この発明の位置検出装置の実施形態のループコイルについての送受信設定を説明するために用いる図である。
【図11】この発明の位置検出装置の実施形態の信号処理部の構成例を示すブロック図である。
【図12】この発明の位置検出装置の実施形態における位置指示器による指示位置の検出処理の流れの一例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図13】この発明の位置検出装置の実施形態に用いるセンサ部の他の構成例を説明するための図である。
【図14】この発明の位置検出装置の実施形態に用いるセンサ部の他の構成例を説明するための図である。
【図15】この発明の位置検出装置の実施形態に用いるセンサ部の他の構成例を説明するための図である。
【図16】位置検出装置からの漏洩磁束の不要放射を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明による位置検出装置および位置入力装置の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0016】
[位置入力装置]
図1は、この発明による位置入力装置の実施形態の外観斜視図である。この実施形態の位置入力装置10は、ペン型の位置指示器1と、位置検出装置2とからなる。位置検出装置2は位置検出平面2aを備え、この位置検出平面2a上における位置指示器1による指示位置を検出し、検出した位置データを外部の機器、例えばパーソナルコンピュータなどに出力する。以下の説明においては、この位置検出平面2aにおける横方向をX軸、縦方向をY軸とするX−Y直交座標系が仮想的に想定され、位置指示器1の指示位置は、X座標およびY座標として検出されるものとする。
【0017】
[位置検出装置]
図2は、位置検出装置2の構成を概略的に示す分解斜視図である。この例の位置検出装置2は、上ケース21と下ケース22とにより構成される筐体内に、センサ部23とヨークシート24と信号処理部25とを収納する構造を有する。
【0018】
上ケース21は、位置検出装置2の筐体20の上側部分を構成する。この上ケース21は、プラスチックあるいはガラス等の絶縁性の板で構成される位置検出平面2aを含む。
【0019】
この上ケース21の位置検出平面2aの直下には、センサ部23が配置される。このセンサ部23は、後述するように、複数個のループコイルが配線パターンとして形成されている矩形状のプリント配線基板(以下、センサ基板という)からなる。
【0020】
センサ部23の直下には、ヨークシート24が配置される。このヨークシート24は、センサ部23と略同サイズとされる。このヨークシート24は、図3の断面図に示すように、例えばアルミ箔で構成されたシールドシート241上に、例えばアモルファス磁性金属などの高磁性体層242が形成されたものである。高磁性体層242は、例えば多数個のアモルファス磁性金属リボンがアルミ箔のシールドシート241上に被着されることにより形成される。
【0021】
信号処理部25は、センサ部23に接続されている。この信号処理部25は、後述するように、センサ部23の複数個のループコイルに供給する所定周波数の交流信号を発生する信号発生部を備えると共に、位置指示器1との電磁誘導によりループコイルに生じる信号電流を検出することにより、位置指示器1による指示位置を検出する位置検出手段を備える。
【0022】
この信号処理部25は、例えばUSBインターフェースケーブル26を通じて、パーソナルコンピュータ等の外部機器に、位置指示器1の位置データを出力する。
【0023】
図2に示すように、絶縁体である上ケース21を除いて、センサ部23、ヨークシート24、下ケース22は全て接地される。
【0024】
[位置検出装置2のセンサ部23]
センサ部23を構成するセンサ基板は、この例では、2層のプリント配線基板からなる。図4は、このセンサ基板230のX軸方向断面図の一部を示すもので、第1層基板231と第2層基板232とが、X軸およびY軸に直交するZ軸方向に積層されている。
【0025】
そして、第1層基板231の上ケース21側の面上には、複数個の第1のループコイル233が、X軸方向に所定の間隔毎に並べられて配設されている。以下、第1のループコイルをXコイルと称する。
【0026】
また、第2層基板232の下ケース22側の面上には、複数個の第2のループコイル234が、Y軸方向に所定の間隔毎に並べられて配設されている。以下、第2のループコイルをYコイルと称する。
【0027】
そして、第1層基板231と第2層基板232の互いに対向する面間には、複数個の補助用ループコイル235が配設されている。以下、補助用ループコイルを補助用コイルと略称する。
【0028】
図5は、センサ基板230に配設されるXコイル233、Yコイル234および補助用コイル235の配置状態を示す図である。
【0029】
図5に示すように、X軸方向には、複数個のXコイル233−i(i=1,2,3・・・N(Nは2以上の整数))が並べられて配設される。各Xコイル233−iは、Y軸方向に沿って延びる1ターンのループコイルであり、互いに平行で、かつ、重なり合うように並べられて配置されている。各Xコイル233−iは、Y軸方向に沿った長辺233aとループの折曲がり部である端部233bを備え、長辺233aの長さは、センサ基板230のY軸方向の両端間の距離にほぼ等しく設定されている。すなわち、Xコイル233−iの長辺部233aは、センサ基板230のY軸方向の両端部にまで延伸されて配設されている。
【0030】
なお、Xコイル233、Yコイル234は、長辺部233a、234aと端部233b、234bを有する形状のループコイルとしたが、例えば正方形や長方形などの矩形その他の形状のループコイルであっても良い。
【0031】
また、Y軸方向には、複数個のYコイル234−j(j=1,2,3・・・M(Mは2以上の整数))が並べられて配設される。各Yコイル234−jは、X軸方向に沿って延びる1ターンのループコイルであり、互いに平行で、かつ、重なり合うように並べられて配置されている。各Yコイル234−jは、X軸方向に沿った長辺234aとループの折曲がり部である端部234bを備え、長辺234aの長さは、センサ基板230のX軸方向の両端縁間の距離にほぼ等しく設定されている。すなわち、Yコイル234−jの長辺部234aは、センサ基板230のX軸方向の両端部にまで延伸されて配設されている。
【0032】
以上のようにして複数個のXコイル233および複数個のYコイル234が配設された領域の全範囲において、後述するように、位置指示器1から送信される信号をセンサ部23によって受信することができる。すなわち、Xコイル233およびYコイル234が配設された全領域を位置指示器1の位置検出が可能な有効エリアとして機能させることできる。位置検出装置2の位置検出平面2aは、この有効エリアと重なるように構成される。
【0033】
Xコイル233およびYコイル234は、センサ基板230の第1層基板231および第2層基板232上において、1または複数層のプリントパターンにより形成される。なお、Xコイル233およびYコイル234は、1ターンで構成されるものに限らず、必要に応じて複数ターンの構成としても良い。
【0034】
そして、センサ基板230の4隅に、補助用コイル235−1〜235−4が配設されている。すなわち、Xコイル233およびYコイル234が配設された矩形の全領域のうちの4隅に、4個の補助用コイル235−1〜235−4が、Xコイル233およびYコイル234に重畳して配設される。
【0035】
[漏洩磁束の問題回避と補助用コイル235について]
補助用コイル235−1〜235−4を設けた理由について以下に説明する。
Xコイル233は、Y軸方向に延伸されて配設されており、Y軸方向に沿う長辺233aと、X軸方向に沿う端部233bを備えている。このXコイル233に励磁用送信電流を流すと、このXコイル233に鎖交する磁束が発生する。そして、センサ基板230の直下には、ヨークシート24が配設されている。このため、センサ基板230のX方向の両周部に位置するXコイル233に励磁用送信電流を流したときには、図16を用いて説明したように、Xコイル233の長辺233aに鎖交する磁束は、ヨークシート24のX方向の端部から外部へ漏洩し、これが問題となる。このとき、Xコイル233の端部233bに鎖交する磁束も、ヨークシート24のY方向の周端部から外部へ漏洩するが、端部233bは長さが長辺部233aよりも短いので、この漏洩磁束は少なく、問題とはならない。
【0036】
同様に、Yコイル234は、X軸方向に延伸されて配設されており、X軸方向に沿う長辺234aと、Y軸方向に沿う端部234bを備えている。このYコイル234に励磁用送信電流を流すと、このYコイル234に鎖交する磁束が発生する。そして、Yコイル234の長辺234aに鎖交する磁束は、このヨークシート24のY方向の周端部から外部へ磁束が漏洩し、これが問題となる。このとき、Yコイル234の端部234bに鎖交する磁束も、ヨークシート24のX方向の端部から外部へ漏洩するが、端部234bは長さが長辺部234aよりも短いので、この漏洩磁束は少なく、問題とはならない。
【0037】
例えばYコイル234に励磁用送信電流を流して、漏洩磁束を測定した結果、図6に示すような結果が得られた。この図6の例は、周波数667kHz、60mAの交番電流を励磁用送信電流としてYコイル234に流したときの特性であり、横軸は、センサ基板230のX方向の端部からYコイル234までの距離、縦軸は不要放射レベルである。
【0038】
この図6からは、許容できる不要放射レベルの閾値を15dBとすると、Yコイル234はセンサ基板230のX方向の端部から約1cm以上離れていれば良いことが判る。
【0039】
以上のことから、漏洩磁束の問題を回避するために、図7に示すように、励磁用送信電流を供給するXコイル233はセンサ基板230のX方向の両端からそれぞれ所定距離dxだけ離れていればよく、また、励磁用送信電流を供給するYコイル234はセンサ基板230のY方向の両端からそれぞれ所定距離dyだけ離れていれば良い。ここで、所定距離dxおよびdyは、漏洩磁束の不要放射レベルが閾値以下となるセンサ基板230の端部からの距離である。
【0040】
なお、以下の説明において、図7に示すように、センサ基板230の全領域のうち、Y方向の両端からそれぞれ所定距離dyまでの領域であって、かつ、X方向の両端から所定距離dxまでの領域を除く領域を、領域A部と称することとする。
【0041】
また、センサ基板230の全領域のうち、X方向の両端からそれぞれ所定距離dxまでの領域であって、かつ、Y方向の両端から所定距離dyまでの領域を除く領域を、領域B部と称することとする。
【0042】
そして、X方向の両端からそれぞれ所定距離dxまでの領域であって、かつ、Y方向の両端から所定距離dyまでの領域であるセンサ基板230の4隅の領域を領域D部と称することとする。そして、センサ基板230の全領域のうち、領域A部、領域B部、領域D部を除く中央部領域を、領域C部と称することとする。
【0043】
漏洩磁束の不要放射レベルの問題を解決する一つの方策として、ヨークシート24の大きさを、図7に示す全領域の大きさとすると共に、センサ基板230の大きさを図7に示す領域C部の大きさにして、この領域C部にのみXコイル233およびYコイル234を配するようにすることが考えられる。このようにすれば、センサ基板230のXコイル233およびYコイル234は、ヨークシート24の端部よりもそれぞれ距離dxおよび距離dyだけ離れた位置にのみ存在し、漏洩磁束の問題は改善される。
【0044】
しかし、そのようにした場合には、センサ基板230に対応する大きさである位置検出平面2aの大きさが領域C部に対応したものとなるのに対して、ヨークシート24の大きさは、領域C部の周囲の領域A部、領域B部および領域D部を含んだ大きさにする必要がある。このため、位置検出装置2の筐体20は、位置検出平面2aの周囲部分を大きくしたものとしなければならず、位置検出平面2aの大きさに比較して大型になってしまうという問題が生じる。
【0045】
この問題を回避するため、この実施形態では、前述したように、センサ基板230とヨークシート24とはほぼ同サイズとする。そして、図5を用いて説明したように、Xコイル233およびYコイル234は、従来と同様にセンサ基板230のX方向の両端部およびY方向の両端部にまで渡って配設する。
【0046】
ただし、この実施形態では、漏洩磁束の不要放射の問題を回避するため、センサ基板230のX方向の両端部からそれぞれ距離dxだけしか離れていない領域(領域B部およびその上下の領域D部)に存在するXコイル233には、励磁用送信電流は供給しないようにする。また、センサ基板230のY方向の両端部からそれぞれ距離dyだけしか離れていない領域(領域A部およびその左右の領域D部)に存在するYコイル234にも、励磁用送信電流は供給しないようにする。
【0047】
なお、後述するように、この実施形態では、励磁用送信電流を供給しないXコイル233およびYコイル234は、受信電流を検出するループコイルとしては使用する。
【0048】
以上のように、この実施形態では、X方向の両端部のXコイル233およびY方向の両端部のYコイル234には、励磁用送信電流は供給しない。このようにしても、Xコイル233の長辺233aは、センサ基板230のY方向の長さの全体に渡って形成されているので、当該Xコイル233に励磁用送信電流を流すことにより、領域A部においても、領域C部と同様の強さで磁界を発生させることができる。同様に、Yコイル234の長辺234aは、センサ基板230のX方向の長さの全体に渡って形成されているので、当該Yコイル234に励磁用送信電流を流すことにより、領域B部においても、領域C部と同様の強さで磁界を発生させることができる。
【0049】
しかしながら、図7における4隅の領域D部においては、Xコイル233およびYコイル234のいずれにも励磁用送信電流が供給されないので、この領域D部における磁界は弱いものとなる。
【0050】
そこで、この実施形態では、この領域D部における位置指示器1による指示位置を検出するために十分な強さの磁界を発生させるために補助用コイル235を配設する。すなわち、図5に示した4個の補助用コイル235−1〜235−4は、図7の4隅の領域D部のそれぞれに対応して配設される。図5に示した例では、補助用コイル235−1〜235−4のそれぞれは、領域D部を囲む矩形状のループコイルとされる。
【0051】
[補助用コイル235の大きさおよび形状について]
ループコイルによるセンサ基板230からの漏洩磁束の不要放射の量は、このループコイルがセンサ基板230の端部に最も近接する部分の長さに依存する。Xコイル233およびYコイル234の端部233bおよび234bは、Xコイル233およびYコイル234の長辺233aおよび234aよりも長さが短いので、Xコイル233およびYコイル234による漏洩磁束の不要放射の量は、それらの長辺233aおよび234aに応じたものとなる。
【0052】
一方、この例の補助用コイル235は、センサ基板230の4隅に配設されるので、補助用コイル235の2辺がセンサ基板230のX方向端部およびY方向端部に最も近接することになる。したがって、補助用コイル235による漏洩磁束の不要放射の量は、センサ基板230のX方向端部およびY方向端部に最も近接する補助用コイル235の2辺の長さの和に応じたものとなる。
【0053】
ここで、補助用コイル235による漏洩磁束の不要放射の量は、少なくとも、Xコイル233とYコイル234のうち、長辺233a,234aが短い方のループコイルによる漏洩磁束の不要放射よりも少ない必要がある。
【0054】
この例では、Xコイル233の方がYコイル234よりも長辺が短いので、Xコイル233の長辺233aの長さよりも、センサ基板230のX方向端部およびY方向端部に近接する補助用コイル235の2辺の長さの和が小さい必要がある。
【0055】
すなわち、図8に示すように、Xコイル233の長辺233aの長さをLa、補助用コイル235のセンサ基板230のX方向端部およびY方向端部に近接する2辺の長さをそれぞれLb,Lcとしたとき、補助用コイル235は、少なくとも、
Lb+Lc<La ・・・ (式1)
なる条件式を満足するように、その大きさおよび形状が定められる。
【0056】
なお、各補助用コイル235−1〜235−4は、領域D部の上の位置指示器1に対して適切な強さの誘導磁界を供給できる磁束を発生することができればよいので、この例のような矩形形状に限定されるものではなく、多角形形状や円形形状でも良い。
【0057】
例えば図9(A)に示すように、4隅の補助用コイル235−1〜235−4のそれぞれを円形形状とするようにしてもよい。ループコイルが円形形状の場合には、図9(A)に示すように、センサ基板230のX方向端部およびY方向端部に近接する補助用コイル235の長さ部分は小さくなる。
【0058】
また、図9(B)に示すように、4隅の補助用コイル235−1〜235−4のそれぞれを三角形形状とするようにしてもよい。
【0059】
なお、補助用コイル235は、領域D部上で位置指示される位置指示器1に十分な誘導磁界を与えることができる磁束を発生させることができれば良いので、この補助用コイルの大きさ領域D部よりも大きくても、また、小さくても良い。
【0060】
また、上述の例は、補助用コイル235は、全て1ターンのループコイルの例としたが、複数ターンのループコイルであっても良いことはいうまでもない。
【0061】
[センサ基板230の各領域部のループコイルの送受信設定]
この実施形態の位置検出装置においては、図7に示した領域A部、領域B部、領域C部、領域D部のそれぞれ毎に、励磁用送信電流を供給するループコイル(送信コイル)と、位置指示器1との電磁誘導結合により生じる受信電流を受けるループコイル(受信コイル)とを設定するようにする。
【0062】
図10に、領域A部、領域B部、領域C部、領域D部のそれぞれ毎に設定された送信コイルおよび受信コイルの例を示す。この場合、受信コイルは、領域A部、領域B部、領域C部、領域D部のすべてにおいて同様で、X座標検出用としてXコイル233が、Y座標検出用としてYコイル234が、それぞれ用いられる。
【0063】
しかし、送信コイルは、領域A部、領域B部、領域C部、領域D部のそれぞれ毎に異なる。すなわち、領域A部については、Xコイル233の長辺233aが領域A部にも延長されていることから、センサ基板230のX方向の両端からそれぞれ距離dxだけ離れた領域に存在する複数本のXコイル233を、X座標およびY座標検出用の送信コイルとすることができる。
【0064】
また、領域B部については、Yコイル234の長辺234aが領域B部にも延長されていることから、センサ基板230のY方向の両端からそれぞれ距離dyだけ離れた複数本のYコイル234を、X座標およびY座標検出用の送信コイルとすることができる。
【0065】
また、領域C部については、漏洩磁束の不要放射の問題は発生しないので、Xコイル233およびYコイル234のいずれも送信コイルとすることが可能である。そこで、この領域Cについては、X座標およびY座標検出用の送信コイルとして、それぞれXコイル233およびYコイル234のいずれか一方を用いることができる。
【0066】
領域D部については、Xコイル233およびYコイル234の双方とも、漏洩磁束の不要放射が発生するため送信コイルとしては使用しない。その代わりに、この領域D部については、補助用コイル235を、X座標およびY座標検出用の送信コイルとする。
【0067】
[信号処理部25の構成例]
図11は、信号処理部25の構成例を示す図であり、この図11には、信号処理部25と、センサ部23との接続関係も併せて示してある。ただし、この図11では、センサ部23のXコイル233およびYコイル234は模式的に直線で示し、また、補助用コイル235は矩形として示してある。この図11に示すように、信号処理部25は、センサ部23が備えるXコイル233,Yコイル234および補助用コイル235と接続される。なお、理解の便宜を図るために、図11には位置指示器1も併せて図示している。
【0068】
位置指示器1は、コイル101およびコンデンサ102を含む共振回路103と、IC(Integrated Circuit;集積回路)104とを備える。共振回路103はIC104に接続されている。なお、位置指示器は、ICにより制御されない簡易的な構造のものであっても良い。
【0069】
信号処理部25は、制御回路301、選択回路302、送受切替回路303、増幅回路304、バンドパスフィルタ305、検波回路306、サンプルホールド回路307、A/D(Analog to Digital)変換回路308、信号発生回路309、増幅回路310、のそれぞれを備える。
【0070】
制御回路301は、例えばマイクロコンピュータを備え、この信号処理部25内の必要な各部の制御処理を行う。
【0071】
選択回路302は、センサ部23が備えるN個のXコイル233,M個のYコイル234および4個の補助用コイル235からなる複数個のループコイルのそれぞれと接続されており、制御回路301からの制御指示に従って、これら複数個のループコイルの中から1個のループコイルを選択する。
【0072】
送受切替回路303は、選択回路302により選択されたループコイルに対して信号を送出する送信モードと、選択回路302により選択されたループコイルによって位置指示器1からの信号を受信する受信モードとを、制御回路301からの制御指示に従って切り替える。
【0073】
増幅回路304は、送受切替回路303から出力された信号を増幅し、バンドパスフィルタ305に出力する。バンドパスフィルタ305は、増幅回路304で増幅された信号について、所定周波数帯域の信号成分のみを通過させ、検波回路306に出力する。検波回路306は、バンドパスフィルタ305を通過した信号成分を電圧値に変換し、サンプルホールド回路307に出力する。
【0074】
サンプルホールド回路307は、制御回路307からのサンプルホールド用のクロック信号により、所定タイミング、具体的には、受信モード中の所定タイミングにおける検波回路306からの電圧値を保持し、A/D変換回路308へ送出する。A/D変換回路113は、サンプルホールド回路307のアナログ出力をディジタル信号に変換し、制御回路301に出力する。
【0075】
信号発生回路309は、制御回路301の制御にしたがって、所定周波数の交流信号を発生し、増幅回路310に供給する。増幅回路310は、信号発生回路309からの交流信号を増幅すると共に、電流に変換して送受切替回路303に送出する。送受切替回路303は、この増幅回路310からの電流を、選択回路302によって選択されたループコイルに供給する。
【0076】
信号処理部25は、位置指示器1による位置入力操作を次のようにして検出する。
先ず、制御回路301は、選択回路302を制御して1個のループコイルを選択させると共に、送受切替回路303を制御して、動作モードを送信モードに切り替えさせる。
【0077】
続いて、制御回路301は、信号発生回路309を制御して所定周波数の交流信号を発生させる。この交流信号は、増幅回路310により増幅されて送受切替回路303を介して選択回路302に入力される。これにより、選択回路302により選択されているループコイルには、上記交流信号に応じた電流が流れ、当該ループコイルに鎖交する磁界(交番磁界)が発生する。
【0078】
センサ部23の近傍に位置する位置指示器1においては、このループコイルにより発生した磁界により、その共振回路103に誘導電流が誘起され、この誘導電流により、IC104が動作を開始する。IC104は、共振回路103に所定周波数の信号を生成させ、この所定周波数の信号を共振回路103からセンサ部23へ送信させる。
【0079】
制御回路301は、上記送信モードの動作を所定時間継続した後に、送受切替回路303を制御して、動作モードを受信モードに切り替える。この切り替えによって、信号発生回路309からの信号が選択回路302に入力されなくなる。そして、制御回路301は、受信モードで選択するループコイルを、その直前の送信モードで選択されているループコイルとは異なるループコイルに変更させる場合には、選択回路302に対して、その変更指示制御を送り、選択するループコイルを変更するように制御する。受信モードにおいて、その直前の送信モードとで同じループコイルを用いる場合には、制御回路301は、このループコイルの変更制御は行わない。
【0080】
この受信モードにおいては、IC104の動作により位置指示器1から送信された信号が、選択回路302により選択されているループコイルにより受信される。詳細には、位置指示器1の共振回路103に信号電流が流れることにより、この共振回路103の周囲に磁界が発生し、この磁界によってセンサ部23の複数のループコイルのうち、位置指示器1の近傍のループコイルに誘導電流が流れる。そして、選択回路302により選択されているループコイルに流れる誘導電流が送受切替回路303を通じて増幅回路304に供給されて増幅される。
【0081】
そして、この増幅回路304からの出力信号がバンドパスフィルタ305に供給されて帯域制限され、このバンドパスフィルタ305からの所定周波数帯域成分が検波回路306入出力される。この成分は検波回路306によって電圧値に変換され、サンプルホールド回路307に保持される。サンプルホールド回路307に保持された電圧値は、A/D変換回路308によってデジタルデータに変換されて制御回路301に出力される。
【0082】
制御回路301は、A/D変換回路からのデジタルデータをバッファメモリに一時保存する。そして、制御回路301は、選択回路302でのループコイルの選択制御により受信コイルを変更し、その受信コイルにおける受信モードでA/D変換回路308から入力されるデジタルデータを取り込んでバッファメモリに一時保存する。
【0083】
そして、制御回路301は、バッファメモリに一時保存した各ループコイルについてのデジタルデータを演算処理することにより、位置指示器1によって指示入力された位置に近いループコイルを特定して、位置指示器1により指示された位置の座標を求める。
【0084】
なお、位置指示器1は、図示は省略したが、筆圧を検知するための芯材を備えていると共に、この芯材に加わった筆圧に応じて、コイル101のインダクタンスまたはコンデンサ102の容量を可変する機構を備えている(例えば、特開平4−96212号公報参照)。そして、位置指示器1においては、筆圧の変化により、共振回路103の共振周波数が変化する。
【0085】
制御回路301は、A/D変換回路308からのデジタルデータを演算処理することにより、この共振周波数の変化(位相変化)を検出して、位置指示器1に加わった筆圧をも検知する。
【0086】
[ループコイルの選択制御について]
位置指示器1の指示位置を検出するまでにおける制御回路301によるループコイルの選択制御の一例について以下に説明する。以下に説明する例においては、制御回路301は、先ず、飛び飛びのXコイルまたはYコイルを順次に探索して大まかな指示位置の検出(以下、グローバルスキャンという)を行う。そして、制御回路301は、グローバルスキャンにおいて有意な受信結果が得られたループコイルの近傍領域内の1本1本ずつのXコイルまたはYコイルを順次に探索して精細な指示位置の検出(以下、セクタスキャンという)を行うようにする。さらに、この実施形態では、補助用コイル235を送信コイルとして用いた4隅の領域における位置検出を行うが、この4隅の領域においても、大まかな指示位置の検出(以下、粗コーナースキャンという)と、精密な指示位置の検出(以下、精細コーナースキャンという)とを行う。
【0087】
図12は、制御回路301による指示位置の検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0088】
この例においては、先ず、制御回路301は、センサ基板230のY方向の両周部の領域A部(上下の領域A部)および領域C部からなる領域について、当該領域内にあるXコイル233を送受のループコイルとしてグローバルスキャンを行う(ステップS1)。
【0089】
すなわち、制御回路301は、センサ基板230のX方向の一方の端部、例えば左端から距離dx以上離れた位置のXコイル233、例えばXコイル233−kを、このステップS1のグローバルスキャンの最初のループコイルとして選択回路302に選択させる。ここで、kは、(センサ基板230のX方向の端部から距離dx内に含まれるXコイル233の本数+1)以上の整数である。なお、後述するk´も同様の整数である。そして、制御回路301は、送受切替回路303を送信モードに切り替え、そのXコイル233−kに信号発生回路309からの信号電流を流す。
【0090】
次に、所定時間が経過したら、制御回路301は、送受切替回路303を受信モードに切り替える。そして、制御回路301は、この受信モードにおいては、位置指示器1からの磁界に応じてXコイル233−kに流れる誘導電流をサンプルホールド回路307で取り込み、そのデジタルデータをA/D変換回路308から受け取る。そして、制御回路301は、その取り込んだデジタルデータを、当該受信モードのXコイル233−kについての受信結果として、バッファメモリに一時記憶しておく。
【0091】
以上のようにして、Xコイル233−kについての送受のモードが終了したら、制御回路301は、1または複数本置き例えば3本置きのXコイル233−(k+4)を選択するように選択回路302を制御する。そして、新たに選択された送受のXコイル233−(k+4)について、上述の送信モードおよび受信モードを繰り返す。以降、同様にして、制御回路301は、この例では、3本置きのXコイル233−(k+8)、X233−(k+12)、・・・というようにして、送受のXコイルを、センサ基板230の右端からdx以上離れた位置のXコイル233−(N−k´)まで切り替え、選択された各送受のXコイルについて上述の送信モードおよび受信モードを繰り返す。
【0092】
以上のようにしてステップS1でのグローバルスキャンが終了すると、この例では、制御回路301は、センサ基板230のX方向の両周部の領域B部(左右の領域B部)および領域C部からなる領域について、当該領域内にあるYコイル234を送受のループコイルとしてグローバルスキャンを行う(ステップS2)。
【0093】
すなわち、制御回路301は、センサ基板230のY方向の一方の端部、例えば、センサ基板230の上端から距離dy以上離れた位置のYコイル234、例えばYコイル234−pを、このステップS3のグローバルスキャンの最初のループコイルとして選択回路302に選択させる。ここで、pは、(センサ基板230のY方向の端部から距離dy内に含まれるYコイル234の本数+1)以上の整数である。後述するp´も同様の整数である。そして、制御回路301は、送受切替回路303を送信モードに切り替え、そのYコイル234−pに信号発生回路309からの信号電流を流す。
【0094】
次に、所定時間経過したら、制御回路301は、送受切替回路303を受信モードに切り替える。そして、制御回路301は、この受信モードにおいては、位置指示器1からの磁界に応じてYコイル234−pに流れる誘導電流をサンプルホールド回路307で保持し、そのデジタルデータをA/D変換回路308から受け取る。そして、制御回路301は、その受け取ったデジタルデータを、当該受信モードで選択中のYコイル234−pについての受信結果としてバッファメモリに一時記憶しておく。
【0095】
以上のようにして、Yコイル234−pについての送受のモードが終了したら、制御回路301は、1または複数本置き例えば3本置きのYコイル234−(p+4)を選択するように選択回路302を制御する。そして、新たに選択された送受のYコイル234−(p+4)について、上述の送信モードおよび受信モードを繰り返す。以降、同様にして、制御回路301は、この例では、3本置きのYコイル234−(p+8)、X234−(p+12)、・・・というようにして、送受のYコイルを、センサ基板230の下端からdy以上離れた位置のYコイル234−(M−p´)まで切り替え、選択された各送受のYコイルについて上述の送信モードおよび受信モードを繰り返す。
【0096】
以上のようにしてステップS2でのグローバルスキャンが終了すると、制御回路301は、ステップS1のグローバルスキャンで一時記憶している各Xコイル233についての受信結果およびステップS2のグローバルスキャンで一時記憶している各Yコイル234についての受信結果を参照し、有意な値を示している受信結果があるか否か判別する(ステップS3)。
【0097】
このステップS3で、有意な値を示している受信結果が存在しないと判別したときには、制御回路301は、センサ基板230の4隅の領域D部について、送信コイルを補助用コイル235とする粗コーナースキャンを行う(ステップS4)。
【0098】
すなわち、制御回路301は、このステップS4においては、例えば左上隅の補助用コイル235−1を、このステップS4の粗コーナースキャンの最初のループコイルとして選択回路302に選択させる。そして、制御回路301は、送受切替回路303を送信モードに切り替え、その補助用コイル235−1に信号発生回路309からの信号電流を流す。
【0099】
次に、所定時間経過したら、制御回路301は、送受切替回路303を受信モードに切り替えると共に、この左上隅の領域D部を通るXコイル233またはYコイル234の1本を選択させるように、選択回路302を制御する。そして、制御回路301は、この受信モードにおいては、位置指示器1からの磁界に応じて選択回路302で選択されたXコイル233またはYコイル234に流れる誘導電流をサンプルホールド回路307で保持し、そのデジタルデータをA/D変換回路308から受け取る。そして、制御回路301は、その受け取ったデジタルデータを、当該受信モードで選択されているXコイル233またはYコイル234についての受信結果としてバッファメモリに一時記憶しておく。
【0100】
このステップS4の粗コーナースキャンにおいては、受信モードが終了したら、制御回路301は、再度、補助用コイル235−1を選択するように選択回路302を制御し、上述の送信モードを実行する。そして、送信モードが終了したら、制御回路301は、この左上隅の領域D部を通るXコイル233またはYコイル234の別の1本を選択させるように選択回路302を制御して、上述した受信モードを実行する。
【0101】
そして、送信コイルを補助用コイル235−1とし、受信コイルを左上隅の領域D部を通るXコイル233または234の異なる1本とする送受のモードを繰り返した後は、制御回路301は、例えば右上隅の領域D部についての粗コーナースキャンを実行する。すなわち、制御回路301は、送信コイルを補助用コイル235−2とし、受信コイルを右上隅の領域D部を通るXコイル233または234の異なる1本とする送受のモードを繰り返すように制御する。
【0102】
そして、この右上隅の領域D部についての粗コーナースキャンが終了すると、制御回路301は、左下隅の領域D部について、送信コイルを補助用コイル235−3とし、受信コイルを左下隅の領域D部を通るXコイル233または234の異なる1本とする送受のモードを繰り返す粗コーナースキャンを実行する。
【0103】
さらに、この左下隅の領域D部についての粗コーナースキャンが終了すると、制御回路301は、右下隅の領域D部について、送信コイルを補助コイル235−4とし、受信コイルを左下隅の領域D部を通るXコイル233または234の異なる1本とする送受のモードを繰り返すグローバルスキャンを実行する。以上で、このステップS4の粗コーナースキャンが終了する。
【0104】
なお、上述の説明では、ステップS4の粗コーナースキャンにおいて、4隅の各領域D部では受信コイルを切り替えて、送信モードと受信モードとを複数回、繰り返すようにした。しかし、領域D部の大きさは比較的狭いので、各領域D部では、ステップS4の粗コーナースキャンにおいて、送信モードと受信モードとを繰り返さずに1回の送信モードと受信モードとを行うようにしても良い。
【0105】
以上のようにしてステップS4での粗コーナースキャンが終了すると、制御回路301は、バッファメモリに一時記憶している各Xコイル233またはYコイル234についての受信結果を参照し、有意な値を示している受信結果があるか否か判別する(ステップS5)。
【0106】
このステップS5で、有意な値を示している受信結果が存在しないと判別したときには、制御回路301は、ステップS1に戻り、このステップS1以降の処理を繰り返す。
【0107】
一方、ステップS3で、有意な値を示している受信結果が存在すると判別したときには、制御回路301は、その受信結果が有意な値を示しているXコイル233、Yコイル234を判定することにより、セクタスキャンをする領域を判定して、セクタスキャンを実行する(ステップS6)。
【0108】
ここで、受信結果が有意な値を示しているループコイルが、Xコイル233およびYコイル234の両方であるときには、セクタスキャンすべき領域には領域C部を少なくとも含むものとなる。
【0109】
そして、制御回路301は、Xコイル233およびYコイル234の両方の受信結果が有意な値を示している場合において、受信結果が有意な値を示しているXコイル233が領域B部の一方の近傍のXコイル233であるときには、領域C部とその領域B部の一方とを含む領域をセクタスキャンすべき領域と判定する。領域B部においては、図10に示したように、送信コイルはYコイル234とすべきである。そこで、制御回路301は、Yコイル234のみを送信コイルとすると共に、Xコイル233とYコイル234を受信コイルとして切り替えながら、判定した領域でのセクタスキャンを行い、上述した位置指示器1の指示位置の検出を行う。
【0110】
また、制御回路301は、Xコイル233およびYコイル234の両方の受信結果が有意な値を示している場合において、受信結果が有意な値を示しているYコイル234が領域A部の一方の近傍のYコイル234であるときには、領域C部とその領域A部の一方とを含む領域をセクタスキャンすべき領域と判定する。領域A部においては、図10に示したように、送信コイルはXコイル233とすべきである。そこで、制御回路301は、Xコイル233のみを送信コイルとすると共に、Xコイル233とYコイル234を受信コイルとして切り替えながら、判定した領域でのセクタスキャンを行い、上述した位置指示器1の指示位置の検出を行う。
【0111】
また、制御回路301は、Xコイル233およびYコイル234の両方の受信結果が有意な値を示している場合において、受信結果が有意な値であるという判定結果を示しているXコイル233が領域B部の一方の近傍のXコイル233であり、かつ、受信結果が有意な値であるという判定結果を示しているYコイル234が前記領域B部の一方に隣接する領域A部の一方の近傍のYコイル234であるときには、前記領域B部の一方および前記領域A部の一方の両者と接する領域D部を含む領域をセクタスキャンすべき領域と判定する。領域D部においては、図10に示したように、送信コイルは補助用コイル235とすべきである。そこで、制御回路301は、補助用コイル235のみを送信コイルとすると共に、Xコイル233とYコイル234を受信コイルとして切り替えながら、判定した領域でのセクタスキャンを行い、上述した位置指示器1の指示位置の検出を行う。
【0112】
さらに、制御回路301は、Xコイル233およびYコイル234の両方の受信結果が有意な値を示している場合において、上記の場合以外のときには、領域C部のみをセクタスキャンすべき領域と判定する。領域C部においては、図10に示したように、送信コイルについては制約は無く、Xコイル233とYコイルのいずれも使用することができる。そこで、制御回路301は、判定した領域において、例えば、先ず、1本ずつのXコイル233について送受のモードを実行し、その後、1本ずつのYコイル234について送受のモードを実行する。そして、制御回路301は、一時記憶した各Xコイル233の受信結果および各Yコイル234の受信結果に基づき、位置指示器1の位置データを生成し、出力する。
【0113】
このステップS6が終了した後には、制御回路301は、ステップS1に戻り、このステップS1以降の処理を繰り返す。
【0114】
また、ステップS5で、有意な値を示している受信結果が存在すると判別したときには、制御回路301は、その受信結果が有意な値を示しているXコイル233および/またはYコイル234を判定することにより、精細コーナースキャンをする領域を判定して、精細コーナースキャンを実行する(ステップS7)。このとき、4隅の領域D部のいずれかが、先ず、判定されて、その判定された1つの領域D部について、さらに精細コーナースキャンをする領域が判定される。なお、判定された領域D部の全領域を、精細コーナースキャンすべき領域と判定するようにしても良い。
【0115】
このステップS7における精細コーナースキャンにおいては、送信コイルは常に補助用コイルとされ、受信コイルがXコイル233とYコイル234とに切り替えられる。そして、制御回路301は、バッファメモリに一時記憶した各Xコイル233の受信結果および各Yコイル234の受信結果に基づき、位置指示器1の位置データを生成し、出力する。
【0116】
なお、以上のループコイルの選択制御は一例であり、これに限られるわけではない。例えば上述の例におけるステップS2のグローバルスキャンをステップS1のグローバルスキャンの先に行うようにしても良い。
【0117】
また、上記の例では、ステップS1のグローバルスキャンおよびステップS2のグローバルスキャンを行った後に、セクタスキャンに移行することができるようにした。しかし、ステップS1およびステップS2のグローバルスキャン、そして、ステップS4の粗コーナースキャンを順次に行った後、それらのグローバルスキャンおよび粗コーナースキャンで一時記憶した各Xコイル233の受信結果および各Yコイル234の受信結果を総合的に判断して、セクタスキャンあるいは精細コーナースキャンをするエリアを決定し、当該セクタスキャンあるいは精細コーナースキャンを実行するようにしても良い。
【0118】
また、ステップS4の粗コーナースキャンを、ステップS1のグローバルスキャンやステップS2のグローバルスキャンの前に行っても良い。さらには、ステップS1のグローバルスキャンやステップS2のグローバルスキャンの途中で、ステップS4の粗コーナースキャンを行うようにしても良い。
【0119】
また、上記の例は、グローバルスキャンとセクタスキャン、また、粗コーナースキャンと精細コーナースキャンとを組み合わせる方法であるが、グローバルスキャンや粗コーナースキャンを行わずに、ループコイルを順次に切り替えて指示位置検出を行うようにしても良い。ただし、その際にも、図10に示した各領域毎に使用可能な送信コイルを考慮する必要があるのは言うまでもない。
【0120】
[センサ部23の他の構成例]
上述の実施形態の位置検出装置2のセンサ部23は、図4および図5に示したように、補助用コイルを2層のプリント配線基板の中間に設けるようにしたが、センサ部23の構成としては、上述の例に限られるものではない。
【0121】
図13は、センサ部23の他の構成例の一つを示すものである。この例においては、1枚の両面プリント配線基板236の表面側に、1または複数層のプリントパターンにより複数個のXコイル233−1,233−2,・・・233−Nを形成すると共に、このプリント配線基板236の裏面側に、1または複数層のプリントパターンにより複数個のYコイル234−1,234−2,・・・234−Mを形成する。
【0122】
そして、この例においては、小型のプリント配線基板237−1,237−2,237−3,237−4のそれぞれの表面に、プリントパターンにより補助用コイル235−1,235−2,235−3,235−4の各々を形成する。そして、補助用コイル235−1,235−2,235−3,235−4の各々を形成した4個の小型のプリント配線基板237−1,237−2,237−3,237−4を、両面プリント配線基板236の4隅に貼り合せて配設する。
【0123】
なお、4個の小型プリント配線基板ではなく、両面プリント配線基板236の周部に対応する枠形状のプリント配線基板を用いるようにしてもよい。すなわち、図14は、その場合のセンサ部23の構成例を示す図である。図14(A)は、その例のセンサ部23の平面図であり、図14(B)は、図14(A)におけるX−X断面図である。
【0124】
この図14に示すように、この例のセンサ部23は、表面に複数個のXコイル233が形成され、裏面に複数個のYコイル234が形成された両面プリント配線基板236を備える。そして、この両面プリント配線基板236の例えば表面上に、センサ部23の周部に対応する枠形状のプリント配線基板238が貼り合わされている。この枠形状のプリント配線基板238の4隅には、補助用コイル235−1,235−2,235−3,235−4の各々が、プリントパターンにより形成されている。
【0125】
なお、図14において、両面プリント配線基板236が枠形状のプリント配線基板238よりも外側に張り出した部分は、Xコイル233およびYコイル234のリード端子部が設けられる部分である。
【0126】
上述の実施形態では、補助用コイルは、センサ部23の領域D部の4隅にのみ設けるようにした。しかし、補助用コイルは、センサ部23の周部である領域A部や領域B部にも設けるようにしても良い。図15に、周部である領域A部や領域B部にも補助用コイル235を設けたセンサ部23の一例を示す。
【0127】
すなわち、この図15の例のセンサ部は、図14の例と同様に、Xコイル233およびYコイルが形成された両面プリント配線基板236の表面上に、枠形状のプリント配線基板238を貼り合わせたセンサ基板を備える。そして、枠形状のプリント配線基板238上には、前述した(式1)を満足する形状および大きさの補助用コイルを形成する。
【0128】
図15の例では、枠形状のプリント配線基板238上には、センサ部23の4隅の領域D部に前述した補助用コイル235−1,235−2,235−3,235−4を形成すると共に、領域A部および領域B部に、補助用コイル235−1〜235−4と同一形状および大きさの補助用コイル239を、所定の間隔を置いて形成する。
【0129】
例えば、上述の実施形態では、グローバルスキャンのみではなく、セクタスキャンにおいても領域A部においてはXコイル233を送信コイルとして用い、また、領域B部においてはYコイル234を送信コイルとして用いるようにした。これに対して、図15の例のセンサ部を用いる例の場合には、領域A部や領域B部におけるセクタスキャンにおいては、各補助用コイル239を送信コイルとする。
【0130】
すなわち、セクタスキャンにおいては、上下の領域A部の一方、また、左右の領域B部の一方を、それぞれ探索領域とすればよい。図15の例では、領域A部や領域B部に設けた補助用コイル239を送信コイルとして使用することで、効率良く、セクタスキャンを実施することができる。
【0131】
また、前述したように、センサ部23の周囲の近傍には、所定の回路(IC等)が配設されることが多く、それらの回路からのノイズの影響で、センサ部23の周部では、誘導磁界による結合が弱くなることがある。例えば位置検出平面の部分にLCD(Liquid Crystal Display)が設けられる場合、センサ部23の周囲の近傍にバックライト駆動用回路が設けられる。
【0132】
そのため、従来はセンサ部の周部のXコイルおよびYコイルを送信コイルとして使用する場合には、励磁用送信電流を大きくする必要があり、それが漏洩磁束の不要放射の問題の一因であった。
【0133】
しかし、図15の例の場合には、XコイルやYコイルよりも小型の補助用コイル239を送信コイルとして用いるので、補助用コイル239に、センサ部23の周囲の外部回路の影響を考慮した大きな励磁用送信電流を流しても、漏洩磁束は量は少なく、問題とならないレベルに抑えることができる。
【0134】
なお、領域A部や領域B部における位置指示器による指示位置の探索において、上述の例のように、Xコイル233やYコイル234を用いると共に、補助用コイル239を合わせて用いるようにしても勿論よい。そのようにした場合には、補助用コイル239により、センサ部23の周囲の外部回路の影響を考慮した適切な磁界を発生させることができる。
【0135】
なお、領域A部や領域B部などのセンサ部の周部の補助用コイル239は、図15に示したように、それぞれの領域A部や領域B部の全体に渡って設けるのではなく、センサ部23の周囲の外部回路の影響が強い領域にのみ、設けるようにしても良い。
【0136】
なお、補助用コイルは、上述の実施形態では、センサ部に複数個を設けるようにしたが、1個でもよい。
【符号の説明】
【0137】
1…位置指示器、2…位置検出装置、10…位置入力装置、23…センサ部、24…ヨークシート、25…信号処理部、231,232…プリント配線基板、233…Xコイル、234…Yコイル、235,239…補助用コイル、236…両面プリント配線基板、237…小型プリント配線基板、238…枠形状プリント配線基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に並べられて配設された複数の第1のループコイルと、前記第1の方向に交差する第2の方向に並べられて配設された複数の第2のループコイルとを備えるセンサ部と、
前記センサ部に対して位置指示器とは反対側に配設されたヨークシートと、
前記センサ部の隅部に配設された補助用ループコイルと、
前記位置指示器のコイルに誘導電流を誘起させる磁界を発生させるために、前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルに信号を送信するための信号送信部と、
前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルのいずれかを選択すると共に、前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルに前記信号送信部からの信号を送信するか前記位置指示器からの信号を受信させるかを制御する制御部と、
を備える位置検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記センサ部の前記第1の方向の周部の前記第1のループコイルと、前記センサ部の前記第2の方向の周部の前記第2のループコイルは、前記位置指示器からの信号の受信用として動作させるように制御する
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記センサ部の前記第1の方向の周部と前記センサ部の前記第2の方向の周部とが重なる部分を除く前記センサ部の前記第1の方向の周部での前記位置指示器への磁界の供給は、前記第2のループコイルに前記信号送信部からの信号を送信して励磁することにより行い、
前記センサ部の前記第1の方向の周部と前記センサ部の前記第2の方向の周部とが重なる部分を除く前記センサ部の前記第2の方向の周部での前記位置指示器への磁界の供給は、前記第1のループコイルに前記信号送信部からの信号を送信して励磁することにより行う
ことを特徴とする
請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記第1のループコイルおよび前記第2のループコイルは長辺と端部とからなり、最も短い前記長辺の長さよりも、前記補助用ループコイルの、前記センサ部の端部に最も近接するコイル線材の長さが短い
請求項1または請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記センサ部は四角形形状とされ、
前記補助用ループコイルは、前記センサ部の4隅の隅部に配置される
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記補助用ループコイルは、前記センサ部の隅部および周部に配置される
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記センサ部の前記第1の方向の周部で囲まれた領域内の前記第1のループコイルから、隣接する他の前記第1のループコイルに前記信号送信部から前記信号が送信されて順々に励磁され、
さらに、前記センサ部の前記第2の方向の周部で囲まれた領域内の前記第2のループコイルから、隣接する他の第2のループコイルに前記信号送信部から前記信号が送信されて順々に励磁され、
さらに、前記補助用ループコイルに前記信号送信部から前記信号が送信されて励磁される
請求項2または請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項8】
第1の方向に並べられて配設され、磁界を発生させる、または、外部からの磁界を検出する動作を行う複数の第1のループコイルと、
前記第1の方向に交差する第2の方向に並べられて配設され、磁界を発生させる、または、外部からの磁界を検出する動作を行う複数の第2のループコイルと、
前記第1のループコイルと前記第2のループコイルが配設された領域の隅部に配設される補助用ループコイルと、
が配設されてなるセンサ基板。
【請求項9】
前記第1のループコイルと前記第2のループコイルが配設された領域は四角形形状とされ、
前記補助用ループコイルは、前記領域の4隅の隅部に配置される
請求項8に記載のセンサ基板。
【請求項10】
少なくとも一つのコイルを有する位置指示器と、
前記位置指示器により指示される検出面を有し、前記位置指示器が指示した位置を検出する位置検出装置と、
を備え、
前記位置検出装置は、
第1の方向に並べられて配設された複数の第1のループコイルと、前記第1の方向に交差する第2の方向に並べられて配設された複数の第2のループコイルとを備えるセンサ部と、
前記センサ部に対して前記位置指示器と反対側に配設されたヨークシートと、
前記センサ部の隅部に配設された補助用ループコイルと、
前記位置指示器のコイルに誘導電流を誘起させる磁界を発生させるために、前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルに信号を送信するための信号送信部と、
前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルのいずれかを選択するように切り替えると共に、切り替えにより選択された前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルのいずれかに、前記信号送信部からの信号を送信するか前記位置指示器からの信号を受信するかを制御する制御部と、
を備える位置入力装置。
【請求項1】
第1の方向に並べられて配設された複数の第1のループコイルと、前記第1の方向に交差する第2の方向に並べられて配設された複数の第2のループコイルとを備えるセンサ部と、
前記センサ部に対して位置指示器とは反対側に配設されたヨークシートと、
前記センサ部の隅部に配設された補助用ループコイルと、
前記位置指示器のコイルに誘導電流を誘起させる磁界を発生させるために、前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルに信号を送信するための信号送信部と、
前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルのいずれかを選択すると共に、前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルに前記信号送信部からの信号を送信するか前記位置指示器からの信号を受信させるかを制御する制御部と、
を備える位置検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記センサ部の前記第1の方向の周部の前記第1のループコイルと、前記センサ部の前記第2の方向の周部の前記第2のループコイルは、前記位置指示器からの信号の受信用として動作させるように制御する
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記センサ部の前記第1の方向の周部と前記センサ部の前記第2の方向の周部とが重なる部分を除く前記センサ部の前記第1の方向の周部での前記位置指示器への磁界の供給は、前記第2のループコイルに前記信号送信部からの信号を送信して励磁することにより行い、
前記センサ部の前記第1の方向の周部と前記センサ部の前記第2の方向の周部とが重なる部分を除く前記センサ部の前記第2の方向の周部での前記位置指示器への磁界の供給は、前記第1のループコイルに前記信号送信部からの信号を送信して励磁することにより行う
ことを特徴とする
請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記第1のループコイルおよび前記第2のループコイルは長辺と端部とからなり、最も短い前記長辺の長さよりも、前記補助用ループコイルの、前記センサ部の端部に最も近接するコイル線材の長さが短い
請求項1または請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記センサ部は四角形形状とされ、
前記補助用ループコイルは、前記センサ部の4隅の隅部に配置される
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記補助用ループコイルは、前記センサ部の隅部および周部に配置される
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記センサ部の前記第1の方向の周部で囲まれた領域内の前記第1のループコイルから、隣接する他の前記第1のループコイルに前記信号送信部から前記信号が送信されて順々に励磁され、
さらに、前記センサ部の前記第2の方向の周部で囲まれた領域内の前記第2のループコイルから、隣接する他の第2のループコイルに前記信号送信部から前記信号が送信されて順々に励磁され、
さらに、前記補助用ループコイルに前記信号送信部から前記信号が送信されて励磁される
請求項2または請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項8】
第1の方向に並べられて配設され、磁界を発生させる、または、外部からの磁界を検出する動作を行う複数の第1のループコイルと、
前記第1の方向に交差する第2の方向に並べられて配設され、磁界を発生させる、または、外部からの磁界を検出する動作を行う複数の第2のループコイルと、
前記第1のループコイルと前記第2のループコイルが配設された領域の隅部に配設される補助用ループコイルと、
が配設されてなるセンサ基板。
【請求項9】
前記第1のループコイルと前記第2のループコイルが配設された領域は四角形形状とされ、
前記補助用ループコイルは、前記領域の4隅の隅部に配置される
請求項8に記載のセンサ基板。
【請求項10】
少なくとも一つのコイルを有する位置指示器と、
前記位置指示器により指示される検出面を有し、前記位置指示器が指示した位置を検出する位置検出装置と、
を備え、
前記位置検出装置は、
第1の方向に並べられて配設された複数の第1のループコイルと、前記第1の方向に交差する第2の方向に並べられて配設された複数の第2のループコイルとを備えるセンサ部と、
前記センサ部に対して前記位置指示器と反対側に配設されたヨークシートと、
前記センサ部の隅部に配設された補助用ループコイルと、
前記位置指示器のコイルに誘導電流を誘起させる磁界を発生させるために、前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルに信号を送信するための信号送信部と、
前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルのいずれかを選択するように切り替えると共に、切り替えにより選択された前記第1のループコイルまたは前記第2のループコイルまたは前記補助用ループコイルのいずれかに、前記信号送信部からの信号を送信するか前記位置指示器からの信号を受信するかを制御する制御部と、
を備える位置入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−203918(P2011−203918A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69427(P2010−69427)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000139403)株式会社ワコム (118)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000139403)株式会社ワコム (118)
【Fターム(参考)】
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