説明

位置計測装置及びその方法

【課題】環境ノイズが大きなレベルの調査環境下であっても、遮蔽物内の被計測対象の特定位置を前記遮蔽物外から探査する装置を提供する。
【解決手段】遮蔽物内の被計測対象100の特定位置を遮蔽物外から計測する場合に、被計測対象100の特定位置に電磁波及び音響波を定期的に同時に発信する発信装置200を装着し、遮蔽物外に配置される探査装置300にて、発信装置200からの電磁波を受信すると共に互い異なる複数の位置で音響波を受信してそれぞれの受信結果から被計測対象100の特定位置を探査する。探査装置300は、電磁波が受信されてから複数の位置でそれぞれ音響波が受信されるまでの時間を計測し、時間計測結果から電磁波と音響波との速度差に基づいて複数の音響波受信位置における発信装置200との相対距離を求め、複数の音響波受信位置における発信装置200との相対距離に基づいて発信装置200の相対位置を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建物配管に通線を行うための作業に用いる通線器の先端位置を探査し計測する位置計測装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通線器の先端位置を計測する技術としては、通線器から電波を放射してこの電波強度が最高になる位置を探査する技術がある(例えば非特許文献1参照)。また、類似技術として、建物内の機器や構造物からの騒音源や振動発生源を探査する音源・振動源探査技術がある。この音源・振動探査技術は、複数の音響センサもしくは振動センサで音響・振動源を計測し、複数センサへの到達時刻差から音源や振動源の位置を探査する技術である(例えば非特許文献2,3参照)。
【0003】
しかしながら、電波強度を計測する技術の場合には、通線器全体から電波が放射されるので、通線器の長手方向のどの位置においても同様の電波強度が計測されてしまうことから、先端位置を直接検出することができなかった。また、音源・振動探査技術の場合には、探査対象としている音源・振動源が騒音や低周波振動などであるため、探査対象となる音源・振動源が調査環境下の背景の雑音・振動(所謂、環境ノイズ)より小さなレベルである場合には探査することができないという問題点があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】http://www.goodman-inc.co.jp/search/?m=ptr600「探索機のグッドマン」,株式会社グッドマン
【非特許文献2】野上, 上明戸, 富永, 山下, 財満, 大脇, 杉山, 和田: “衝撃性振動源の方向推定に関する検討−屋外道路への適用検討−”, 日本建築学会北陸支部研究報告集 (45), pp.113-116, 2002-06-23
【非特許文献3】和田, 鈴木, 杉山, 坪井, 稲田, 財満, 大脇, 山下:“環境振動発生方向の推定に関する研究 : 振動と画像を組み合わせたシステム開発”日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.229-230, 2005-07-31
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、従来の電波強度を計測する技術の場合には、通線器全体から電波が放射されるので、通線器の長手方向のどの位置においても同様の電波強度が計測されてしまうことから、先端位置を直接検出することができなかった。また、音源・振動探査技術の場合には、探査対象としている音源・振動源が騒音や低周波振動などであるため、探査対象となる音源・振動源が調査環境下の背景の雑音・振動(所謂、環境ノイズ)より小さなレベルである場合には探査することができないという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の事情に着目してなされたもので、環境ノイズが大きなレベルの調査環境下であっても、例えば通線器の先端位置の探査を行うことが可能な位置計測装置及びその計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る位置計測装置は、以下のような態様の構成とする。
(1)遮蔽物内の被計測対象の特定位置を前記遮蔽物外から計測する位置計測装置において、前記被計測対象の特定位置に装着され、電磁波及び音響波を定期的に同時に発信する発信装置と、前記遮蔽物外で前記電磁波を受信すると共に互い異なる複数の位置で前記音響波を受信してそれぞれの受信結果から前記被計測対象の特定位置を探査する探査装置とを具備し、前記探査装置は、前記電磁波が受信されてから前記複数の位置でそれぞれ音響波が受信されるまでの時間を計測し、前記時間計測結果から前記電磁波と音響波との速度差に基づいて前記複数の音響波受信位置における前記発信装置との相対距離を求め、前記複数の音響波受信位置における前記発信装置との相対距離に基づいて前記発信装置の相対位置を特定する態様とする。
【0008】
(2)遮蔽物内の被計測対象の特定位置を前記遮蔽物外から計測する位置計測装置において、前記被計測対象の特定位置に装着され、制御信号に応じて音響波を発信する発信装置と、前記遮蔽物外で、前記発信装置に信号伝送ケーブルを通じて前記音響波を発信するように制御信号を送り、互い異なる複数の位置で前記発信装置から発信される音響波を受信してそれぞれの受信結果から前記被計測対象の特定位置を探査する探査装置とを具備し、前記探査装置は、前記音響波を発信させる制御信号の送出から前記複数の位置でそれぞれ音響波が受信されるまでの時間を計測し、前記時間計測結果から前記音響波の速度に基づいて前記複数の音響波受信位置における前記発信装置との相対距離を求め、前記複数の音響波受信位置における前記発信装置との相対距離に基づいて前記発信装置の相対位置を特定する態様とする。
【0009】
(3)遮蔽物内の被計測対象の特定位置を前記遮蔽物外から計測する位置計測装置において、前記被計測対象の特定位置に装着され、音響波を受信する受信装置と、前記遮蔽物外で、互いに異なる複数の位置から音響波を同時に発信し、前記受信装置で受信された音響波を信号伝送ケーブルを通じて取り込んで、互い異なる複数の位置で発信される音響波それぞれの受信タイミングから前記被計測対象の特定位置を探査する探査装置とを具備し、前記探査装置は、前記複数の位置での前記音響波の発信から前記受信装置でそれぞれの音響波が受信されるまでの時間を計測し、前記時間計測結果から前記音響波の速度に基づいて前記複数の音響波発信位置における前記受信装置との相対距離を求め、前記複数の音響波発信位置における前記受信装置との相対距離に基づいて前記受信装置の相対位置を特定する態様とする。
【0010】
(4)(1)〜(3)の構成において、前記探査装置は、さらに前記相対位置特定結果を表示する表示手段を備える態様とする。
また、本発明に係る位置計測方法は、以下のような態様の構成とする。
(5)遮蔽物内の被計測対象の特定位置を前記遮蔽物外から計測する位置計測方法において、前記被計測対象の特定位置で、電磁波及び音響波を定期的に同時に発信させ、前記遮蔽物外で前記電磁波を受信すると共に互い異なる複数の位置で前記音響波を受信してそれぞれの受信結果から前記被計測対象の特定位置を探査する位置計測方法であって、前記電磁波が受信されてから前記複数の位置でそれぞれ音響波が受信されるまでの時間を計測し、前記時間計測結果から前記電磁波と音響波との速度差に基づいて前記複数の音響波受信位置における前記発信位置との相対距離を求め、前記複数の音響波受信位置における前記発信位置との相対距離に基づいて前記発信位置を特定する態様とする。
【0011】
(6)遮蔽物内の被計測対象の特定位置を前記遮蔽物外から計測する位置計測方法であって、前記被計測対象の特定位置にて音響波を発信させ、前記遮蔽物外で、互い異なる複数の位置で前記音響波を受信して、前記音響波を発信させてから前記複数の位置でそれぞれ音響波が受信されるまでの時間を計測し、前記時間計測結果から前記音響波の速度に基づいて前記複数の音響波受信位置それぞれにおける前記発信位置との相対距離を求め、前記複数の音響波受信位置それぞれにおける前記発信位置との相対距離に基づいて前記発信位置を特定する態様とする。
【0012】
(7)遮蔽物内の被計測対象の特定位置を前記遮蔽物外から計測する位置計測方法であって、前記遮蔽物外で、互いに異なる複数の位置から音響波を同時に発信し、前記被計測対象の特定位置で前記複数の位置からの音響波を受信し、前記遮蔽物外で、前記音響波の受信信号を取り込んで、前記複数の位置での前記音響波の発信から各音響波が受信されるまでの時間を計測し、前記時間計測結果から前記音響波の速度に基づいて前記複数の音響波発信位置における前記受信位置との相対距離を求め、前記複数の音響波発信位置における前記受信位置との相対距離に基づいて前記受信位置を特定する態様とする。
【発明の効果】
【0013】
上記構成による位置計測装置及びその計測方法は、環境ノイズが大きなレベルの調査環境下であっても、被計測対象の特定位置、例えば建物配管に通線を行う作業に用いる通線器の先端位置の探査を行うことが可能な位置計測装置及びその計測方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る位置計測装置の構成を示す概念図である。
【図2】図1に示す先端装置及び先端探査装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す位置計測装置の計測方法を説明するための概念図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る位置計測装置の構成を示す概念図である。
【図5】図4に示す先端装置及び先端探査装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る位置計測装置の構成を示す概念図である。
【図7】図6に示す先端装置及び先端探査装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る位置計測装置の構成を示す概念図、図2は図1に示す先端装置及び先端探査装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、100は通線器、200は通線器100の先端に取り付けられる先端装置、300は先端探査装置である。図1では、先端探査装置300は先端装置200との間を内装壁400によって隔てられている。
通線器100の先端に取り付けられた先端装置200は、電磁波発生部201、音響波発生部202及び発信制御部203を備える。電磁波発生部201には赤外線LED、高周波発信器もしくは磁界コイルが用いられる。また、音響波発生部202には音響スピーカもしくは振動発生アクチュエータによる音源または振動源Wが用いられる。発信制御部203は、電磁波発生部201及び音響波発生部202を駆動制御して、周期Tで電磁波および音響波を時刻tに同時に発生させる。
【0017】
一方、先端探査装置300は、電磁波受信部301、音響波受信部302、信号処理部303及び位置情報表示部304を備える。電磁波受信部301は、先端装置200の電磁波発生部201で発生される電磁波を受信する。音響波受信部302はn個の音響波センサS〜Sn−1を備える。各音響波センサS〜Sn−1はそれぞれ任意の座標位置に配置され、先端装置200の音響波発生部202から発生される音響波を受信する。信号処理部303は、電磁波受信部301の受信信号と音響波受信部302のn個の音響波センサS〜Sn−1の受信信号から先端装置200から先端探査装置300までの距離と電磁波及び音響波それぞれの伝搬速度・到達時間から先端装置200の位置を計測する。位置情報表示部304は信号処理部303で得られた位置情報を例えばディスプレイに3次元表示する。
【0018】
上記構成による先端計測装置において、図3を参照してその処理動作を説明する。
上記構成において、時刻tに発生された電磁波および音響波は、内装壁400を通過および伝搬し、先端装置200と独立した先端探査装置300により受信される。先端装置200側で電磁波および音響波が発信されてから時刻t後に電磁波受信部301により電磁波が受信される。その後の時刻tに音響波受信部302で音響波が受信される。
【0019】
ここで、電磁波の伝搬速度をc、音響波の伝搬速度をvとすると、先端装置200から先端探査装置300までの距離Lは、電磁波の伝搬速度・到達時間より、
L=c(t−t) …(1)
と表される。
【0020】
また、音響波の伝搬速度・到達時間より、
L=v(t−t) …(2)
と表される。
式(1)より、
=t−L/c …(3)
式(3)を式(2)に代入し、
L=v(t−t)+L×v/c …(4)
ここで、電磁波の伝搬速度cの値は音響波の伝搬速度vの値より十分大きいので、v/c≒0と考えることができる。よって、次式を得る。
L=v(t−t) …(5)
先端装置200と先端探査装置300との直線距離は、電磁波を受信してから音響波を受信するまでの時間Tと音響波の伝搬速度vのみで次式にて推定することができる。
T=t−t …(6)
L=v×T …(7)
このように、音響波受信部302における音響波センサSが一つの場合は、先端装置200と先端探査装置300との相対距離を求めることが可能となる。
【0021】
次に、図3に示すように、音響波センサがn個の場合の音源もしくは振動源の位置推定手法について述べる。図3において、音源もしくは振動源(位置座標を(X,Y,Z)とする)は、先端装置200の音響波発生部202がこれに該当する。また、音響波センサSi(iは0〜n-1)はXYZ軸上の任意の箇所に配置される。ここで、それぞれの位置座標を(X,Y,Z),(X,Y,Z),…,(X,Y,Z),…,(Xn−1,Yn−1,Zn−1)とする。
【0022】
音源もしくは振動源Wと音響波センサSとの距離をL、式(6)で示した電磁波発生から音響波が到達するまでの時刻をTとする。この時、音響波センサSと音源もしくは振動源Wとの距離Lは、
=v×T …(8)
となる。ここで、音源もしくは振動源Wの位置(X,Y,Z)を求めるためには、例えば、
【0023】
【数1】

とおくと、f(X,Y,Z)を最小化する(X,Y,Z)を求めることに帰着する。これは最適化問題として定式化できる。
【0024】
例えば一般に知られた最急降下法等により数値的に求めることができる。式(9)を最小化する音源もしくは振動源の位置(X,Y,Z)を処理装置6にて計算したのち、位置情報表示部304により先端装置200の位置を表示することが可能となる。これにより、先端装置200と先端探査装置300との相対位置を確実に計測することが可能となる。
【0025】
すなわち、上記構成による位置計測装置は、通線器100の先端位置に電磁波と音響波の二種類の発生源を設け、その発生源からの両波を受信する構成であり、両波の速度差を利用し、発生源からの相対距離を特定するものである。また、音響波センサを複数設けることにより、三次元の距離を特定し、相対位置を測定することが可能となる。
【0026】
また、音響波の発信タイミングを制御することにより、環境ノイズに隠れてしまう可能性のある微小な音響波であっても測定可能とすることが可能である。このように、環境ノイズに隠れてしまう可能性のある微小な音源・振動源であっても、その発生探査を可能とする技術を提供し、その技術を通線器100の先端位置に設けた音源・震動源の探査に用いることにより、例えば建物配管に通線を行う作業に用いる通線器100の先端位置探査を可能とする。
【0027】
したがって、本実施形態によれば、環境ノイズが大きなレベルの調査環境下であっても、例えば建物配管に通線を行う作業に用いる通線器100の先端位置の探査を行うことが可能な位置計測装置及びその計測方法を提供することができる。
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態に係る位置計測装置の構成を示す概念図、図5は図4に示す先端装置及び先端探査装置の具体的な構成を示すブロック図である。尚、図4及び図5において、図1及び図2と同一部分には同一符号を付して示し、ここでは異なる部分について説明する。
【0028】
本実施形態では、信号処理部303において発信制御信号を、信号伝送ケーブル500を通じて音響波発生部202に送信することで音響波発生部202を直接制御し、音響波を発生させる。信号伝送ケーブル500としては、有線による通信を想定しているが、無線通信でも実施可能である。
【0029】
上記構成において、音響波を発生させてから複数の音響波センサSで受信するまでの時間Tをそれぞれ計測することにより、第1の実施形態と同様に、信号処理部303において、式(8)より距離Lを求め、式(9)を最小化する音源もしくは振動源Wの位置を求めることができる。求めた後は、位置情報表示部304に先端装置200の位置を表示することが可能となる。これにより、先端装置200と先端探査装置300との相対位置を確実に計測することが可能となる。
【0030】
(第3の実施形態)
図6は本発明の第3の実施形態に係る位置計測装置の構成を示す概念図、図7は図6に示す先端装置200’及び先端探査装置300’の具体的な構成を示すブロック図である。尚、図6及び図7において、図1〜図5と同一部分には同一符号を付して示し、ここでは異なる部分について説明する。
【0031】
まず、第1および第2の実施形態においては、先端装置200より音響波を発信していたが、本実施形態では先端探査装置300’に設けられた音響波発生部305より複数の音響波(図7ではn波)を発信する。音響波発生部305では、複数の音源または振動源W〜Wn−1より音響波を発生させる。先端装置200’には音響波受信部204が設けられる。この音響波受信部204は先端探査装置300’で発生される複数の音響波を音響波センサSで受信し、信号伝送ケーブル500を通じて先端探査装置300’の信号処理部303に通知する。
【0032】
上記信号処理部303では音響波発生時刻および音響波到達時刻を計測し、音源または振動源W〜Wn−1と音響波センサSとの距離を計算する。また、信号処理部303では、音響波を発生させた後、その音響波が音響波受信部204にて受信された後に次の音響波を発生させることにより、複数の音源または振動源W〜Wn−1の制御を行う。
【0033】
先端装置200’にある音響波受信部204の位置座標を(X,Y,Z)、i番目の音源もしくは振動源Wの位置座標を(X,Y,Z)、音響波センサSと音源もしくは振動源Wとの距離をL、i番目の音源または振動源Wより音響波を発生させた時間をts、音響波を受信した時刻をtrとすると、距離Lは、式(6)、式(8)と同様に、
=v(tr−ts) …(10)
となる。ただし、vは音響波の伝搬速度である。
【0034】
音響波受信部204の位置(X,Y,Z)を求めるためには、式(9)と同様に、f(X,Y,Z)を最小化する(X,Y,Z)を求めることに帰着する。これにより第2の実施形態と同様に、先端装置200と先端探査装置300との相対位置を求めることが可能となる。
【0035】
本発明の実施形態では一般的な電磁波および音響波の場合の例を示した。具体的な電磁波発生部201としては、赤外線LED、もしくは2GHz帯などの高周波無線を用いることができる。音響波としては、可聴音、超音波、振動などが利用可能である。これら音響波を発生させる音源または振動源としては、音響スピーカ、超磁歪素子、振動モータ等が利用できる。また、音響波センサとしては、加速度ピックアップ、音響マイク等が利用可能であることは言うまでもない。
【0036】
以上のように、上記の実施形態によれば、通線器100の先端に先端装置200を取り付けることにより、通線器100の先端位置を常に把握可能となる。これまで、ビルにける配線作業では、配管ルートが予想と違った場合、通線作業に多くの時間を費やしていたが、本発明により先端位置つまり配管ルートの状況を常に把握できることから、仮に異常な状況にても直ちに適切な処置が可能となり、大幅な作業時間削減効果がある。
【0037】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成を削除してもよい。さらに、異なる実施形態例に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0038】
100…通線器、200,200’…先端装置、201…電磁波発生部、202…音響波発生部、203…発信制御部、204…音響波受信部、300,300’…先端探査装置、301…電磁波受信部、302…音響波受信部、303…信号処理部、304…位置情報表示部、305…音響波発生部、400…内装壁、500…信号伝送ケーブル、S,S〜Sn−1…音響波センサ、W,W〜Wn−1…音源または振動源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽物内の被計測対象の特定位置を前記遮蔽物外から計測する位置計測装置において、
前記被計測対象の特定位置に装着され、電磁波及び音響波を定期的に同時に発信する発信装置と、
前記遮蔽物外で前記電磁波を受信すると共に互い異なる複数の位置で前記音響波を受信してそれぞれの受信結果から前記被計測対象の特定位置を探査する探査装置とを具備し、
前記探査装置は、
前記電磁波が受信されてから前記複数の位置でそれぞれ音響波が受信されるまでの時間を計測し、
前記時間計測結果から前記電磁波と音響波との速度差に基づいて前記複数の音響波受信位置における前記発信装置との相対距離を求め、
前記複数の音響波受信位置における前記発信装置との相対距離に基づいて前記発信装置の相対位置を特定することを特徴とする位置計測装置。
【請求項2】
遮蔽物内の被計測対象の特定位置を前記遮蔽物外から計測する位置計測装置において、
前記被計測対象の特定位置に装着され、制御信号に応じて音響波を発信する発信装置と、
前記遮蔽物外で、前記発信装置に信号伝送ケーブルを通じて前記音響波を発信するように制御信号を送り、互い異なる複数の位置で前記発信装置から発信される音響波を受信してそれぞれの受信結果から前記被計測対象の特定位置を探査する探査装置とを具備し、
前記探査装置は、
前記音響波を発信させる制御信号の送出から前記複数の位置でそれぞれ音響波が受信されるまでの時間を計測し、
前記時間計測結果から前記音響波の速度に基づいて前記複数の音響波受信位置における前記発信装置との相対距離を求め、
前記複数の音響波受信位置における前記発信装置との相対距離に基づいて前記発信装置の相対位置を特定することを特徴とする位置計測装置。
【請求項3】
遮蔽物内の被計測対象の特定位置を前記遮蔽物外から計測する位置計測装置において、
前記被計測対象の特定位置に装着され、音響波を受信する受信装置と、
前記遮蔽物外で、互いに異なる複数の位置から音響波を同時に発信し、前記受信装置で受信された音響波を信号伝送ケーブルを通じて取り込んで、互い異なる複数の位置で発信される音響波それぞれの受信タイミングから前記被計測対象の特定位置を探査する探査装置とを具備し、
前記探査装置は、
前記複数の位置での前記音響波の発信から前記受信装置でそれぞれの音響波が受信されるまでの時間を計測し、
前記時間計測結果から前記音響波の速度に基づいて前記複数の音響波発信位置における前記受信装置との相対距離を求め、
前記複数の音響波発信位置における前記受信装置との相対距離に基づいて前記受信装置の相対位置を特定することを特徴とする位置計測装置。
【請求項4】
前記探査装置は、さらに前記相対位置特定結果を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の位置計測装置。
【請求項5】
遮蔽物内の被計測対象の特定位置を前記遮蔽物外から計測する位置計測方法において、
前記被計測対象の特定位置で、電磁波及び音響波を定期的に同時に発信させ、
前記遮蔽物外で前記電磁波を受信すると共に互い異なる複数の位置で前記音響波を受信してそれぞれの受信結果から前記被計測対象の特定位置を探査する位置計測方法であって、
前記電磁波が受信されてから前記複数の位置でそれぞれ音響波が受信されるまでの時間を計測し、
前記時間計測結果から前記電磁波と音響波との速度差に基づいて前記複数の音響波受信位置における前記発信位置との相対距離を求め、
前記複数の音響波受信位置における前記発信位置との相対距離に基づいて前記発信位置を特定することを特徴とする位置計測方法。
【請求項6】
遮蔽物内の被計測対象の特定位置を前記遮蔽物外から計測する位置計測方法であって、
前記被計測対象の特定位置にて音響波を発信させ、
前記遮蔽物外で、互い異なる複数の位置で前記音響波を受信して、前記音響波を発信させてから前記複数の位置でそれぞれ音響波が受信されるまでの時間を計測し、
前記時間計測結果から前記音響波の速度に基づいて前記複数の音響波受信位置それぞれにおける前記発信位置との相対距離を求め、
前記複数の音響波受信位置それぞれにおける前記発信位置との相対距離に基づいて前記発信位置を特定することを特徴とする位置計測方法。
【請求項7】
遮蔽物内の被計測対象の特定位置を前記遮蔽物外から計測する位置計測方法であって、
前記遮蔽物外で、互いに異なる複数の位置から音響波を同時に発信し、
前記被計測対象の特定位置で前記複数の位置からの音響波を受信し、
前記遮蔽物外で、前記音響波の受信信号を取り込んで、前記複数の位置での前記音響波の発信から各音響波が受信されるまでの時間を計測し、
前記時間計測結果から前記音響波の速度に基づいて前記複数の音響波発信位置における前記受信位置との相対距離を求め、
前記複数の音響波発信位置における前記受信位置との相対距離に基づいて前記受信位置を特定することを特徴とする位置計測方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate