説明

低いpHで織物を処理するための方法

【課題】織物を処理するのに有用な組成物。
【解決手段】本組成物は、少なくとも1つの窒素原子を有する不飽和もしくは芳香族の複素環式基から選択される置換基を有するエチレン性不飽和化合物であるモノマーXの重合単位、およびカルボン酸、有機硫酸、スルホン酸、ホスホン酸、およびエチレンオキシドの重合単位を含むエステルから選択されるエチレン性不飽和化合物であるモノマーYの重合単位を有する、銀含有コポリマーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低いpHで織物を処理するのに有用な組成物に関する。本組成物は銀−ポリマー複合体を含み、当該銀−ポリマー複合体は織物に導入され、処理された織物を提供する。
【背景技術】
【0002】
織物処理のための、何らかのエポキシ樹脂と組み合わせた銀−ポリマー複合体の使用は米国特許出願公開第2008/0115291号に開示されている。しかし、低いpH、例えば8未満でのこの複合体の使用は、この複合体の沈殿のために困難である。低いpH値で銀を織物に導入するのにより好適な代替的方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0115291号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明により取り組まれる課題は、低いpHで殺生物性銀物質を織物に導入でき、洗浄による殺生物剤の除去に耐性の処理された織物を提供できる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、織物を処理するのに有用な組成物に関する。本組成物は銀イオンとコポリマーとの複合体を含み、当該コポリマーは(a)少なくとも1つの窒素原子を有する不飽和もしくは芳香族の複素環式基から選択される置換基を有するエチレン性不飽和化合物であるモノマーXの重合単位を60〜95重量%、および(b)カルボン酸、有機硫酸、スルホン酸、ホスホン酸、およびエチレンオキシドの重合単位を含むエステルから選択されるエチレン性不飽和化合物であるモノマーYの重合単位を5〜40重量%含む。本発明はさらに、織物を前記組成物と、好ましくは水性媒体中で、接触させることにより、織物を処理する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、用語「コポリマー」は少なくとも2種の異なるモノマーから重合されたポリマーをいう。他に特定されない限りは、本明細書における全てのパーセンテージは重量基準(重量%)である。モノマーのパーセンテージは全コポリマー重量を基準にする。
【0007】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、用語「水性」は水、並びに水と水混和性溶媒とから実質的に構成される混合物を意味する。本発明に従った処理に好適な織物物質には、絹、綿、ウール、亜麻、ファー、髪、セルロース、ラミー、麻、リンネル、木材パルプ;ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブチレン;ハロゲン化ポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル;ポリアラミド、例えば、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド(例えば、デュポンから入手可能なケブラー(KEVLAR登録商標)繊維);ポリ−m−フェニレンテレフタルアミド(デュポンから入手可能なノメックス(NOMEX登録商標)繊維);メラミンおよびメラミン誘導体(バソフィルファイバーズエルエルシー(Basofil Fibers,LLC)から入手可能なバソフィル(BASOFIL登録商標)繊維);ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエステル/ポリエーテル;ポリアミド、例えば、ナイロン6およびナイロン6,6;ポリウレタン、例えば、ノヴェオン(Noveon)から入手可能なテコフィリック(TECOPHILIC登録商標)脂肪族熱可塑性ポリウレタン;アセタート;レイヨンアクリル;およびこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい織物には、綿、ポリエステル、綿−ポリエステルブレンドおよびポリオレフィンが挙げられる。本発明のある実施形態においては、織物は少なくとも40%、あるいは少なくとも50%、あるいは少なくとも60%、あるいは少なくとも70%、あるいは少なくとも80%、あるいは少なくとも90%のポリエステル繊維を含む。
【0008】
アクリル、アクリラート、アクリルアミドなどの別の用語が後に続く、用語「(メタ)」の使用は、本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、例えば、アクリルおよびメタクリルの双方;アクリラートおよびメタクリラートの双方;アクリルアミドおよびメタクリルアミドの双方;などをいう。
【0009】
本発明のコポリマーについてのガラス転移温度(Tg)は、熱フロー対温度遷移における中点をTg値として採用する示差走査熱量測定(DSC)によって測定されうる。
【0010】
本発明のある実施形態においては、コポリマーはモノマーXの残基を少なくとも65重量%、あるいは少なくとも67重量%、あるいは少なくとも69重量%、あるいは少なくとも71重量%含む。この実施形態のある態様においては、コポリマーはモノマーXの残基を92重量%以下、あるいは90重量%以下、あるいは88重量%以下、あるいは86重量%以下、あるいは84重量%以下、あるいは82重量%以下含み;ある実施形態においては、コポリマーはモノマーYの残基を35重量%以下、あるいは33重量%以下、あるいは31重量%以下、あるいは29重量%以下;あるいはモノマーYの残基を少なくとも8重量%、あるいは少なくとも10重量%、あるいは少なくとも12重量%、あるいは少なくとも14重量%、あるいは少なくとも16重量%、あるいは少なくとも18重量%含む。
【0011】
本発明のある実施形態においては、モノマーXはビニルイミダゾール、ビニルイミダゾリン、ビニルピリジン、ビニルピロール、これらの誘導体およびこれらの組み合わせから選択される。この実施形態のある態様においては、モノマーXはビニルイミダゾール、ビニルピリジン、これらの誘導体およびこれらの組み合わせから選択される。この実施形態のある態様においては、モノマーXはN−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンおよびこれらの組み合わせから選択される。この実施形態のある態様においては、モノマーXはN−ビニルイミダゾール(VI)である。
【0012】
本発明のある実施形態においては、モノマーYはカルボン酸、有機硫酸(organosulfuric acid)、スルホン酸、ホスホン酸、およびエチレンオキシドの重合単位のエステル、並びにこれらの組み合わせから選択される。本発明のある実施形態においては、エチレンオキシドの重合単位を含むエステルは、少なくとも2単位、あるいは少なくとも3単位、あるいは少なくとも4単位、あるいは少なくとも5単位、あるいは少なくとも6単位のエチレンオキシドを含む。重合されたエチレンオキシド単位の数は、重合エチレンオキシド鎖のMnから算出される。本発明のある実施形態においては、エチレンオキシドの重合単位のエステルは(メタ)アクリロイルエステルである。本発明のある実施形態においては、エチレンオキシドの重合単位は、一方の末端がC−Cアルキル基でキャップされうる。本発明のある実施形態においては、エチレンオキシドの重合単位は100〜3000のMnを有する。本発明のある実施形態においては、エチレンオキシドの重合単位は200〜1000、あるいは250〜600、あるいは300〜500のMnを有する。本発明のある実施形態においては、モノマーYはアクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、およびそのナトリウム塩、並びにこれらの組み合わせから選択される。この実施形態のある態様においては、コポリマーは、他のエチレン性不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリラートエステル、ビニルエステル、(メタ)アクリルアミドをさらに含む。少量の疎水性モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸高級アルキル(例えば、C−4以上)が、水溶解度を悪化させない範囲まで存在することができる。(メタ)アクリラートエステルには、混合エチレン/プロピレンオキシドのエステルを挙げることができ、ただし、エチレンオキシド残基はエチレン/プロピレンオキシド残基の少なくとも50重量%(あるいは少なくとも75%、あるいは少なくとも90%)であるか、または混合エチレン/プロピレンオキシド残基のエステルはコポリマーの20重量%以下、あるいは15%以下、あるいは10%以下である。本発明のある実施形態においては、混合エチレン/プロピレンオキシド残基は少なくとも150、あるいは少なくとも300のMnを有する。
【0013】
本発明のある実施形態においては、本方法は、エポキシド官能基を含むエチレン性不飽和モノマーから生じた単位を5重量%以下含むコポリマーを使用する。この実施形態のある態様においては、コポリマーは、エポキシド官能基を含むエチレン性不飽和モノマーから生じた単位を1重量%以下含む。この実施形態のある態様においては、コポリマーは、エポキシド官能基を含むエチレン性不飽和モノマーから生じた単位を0.5重量%以下含む。この実施形態のある態様においては、コポリマーは、エポキシド官能基を含むエチレン性不飽和モノマーから生じた単位を0.1重量%以下含む。この実施形態のある態様においては、コポリマーは、エポキシド官能基を含むエチレン性不飽和モノマーから生じた単位を0.05重量%以下含む。
【0014】
本発明のある実施形態においては、コポリマーを含む組成物は少なくとも3、あるいは少なくとも4、あるいは少なくとも4.5のpHを有する。ある実施形態においては、組成物は7以下、あるいは6以下、あるいは5.5以下のpHを有する。ある実施形態においては、組成物は4〜6のpH、あるいは4.5〜5.5のpHを有する。
【0015】
本発明のある実施形態においては、組成物は少なくとも20重量%の固形分を有するラテックスコポリマーを含む。この実施形態のある態様においては、ラテックスコポリマーは少なくとも25重量%の固形分を含む。この実施形態のある態様においては、ラテックスコポリマーは少なくとも30重量%の固形分を含む。
【0016】
本発明のある実施形態においては、組成物は架橋剤から生じた重合単位を含む。本発明での使用に好適な架橋剤には多エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。この実施形態のある態様においては、架橋剤から生じた単位は、1,4−ブタンジオールジアクリラート;1,4−ブタンジオールジメタクリラート;1,6−ヘキサンジオールジアクリラート;1,1,1−トリメチロールプロパントリアクリラート;1,1,1−トリメチロールプロパントリメタクリラート;アリルメタクリラート;ジビニルベンゼン;およびN−アリルアクリルアミドから選択される架橋剤から生じる。この実施形態のある態様においては、架橋剤から生じた単位は1,1,1−トリメチロールプロパントリメタクリラートから選択される架橋剤から生じる。この実施形態のある態様においては、組成物は0.01〜10重量%(固形分基準)の架橋剤を含む。この実施形態のある態様においては、組成物は0.01〜5重量%(固形分基準)の架橋剤を含む。この実施形態のある態様においては、組成物は0.01〜1重量%(固形分基準)の架橋剤を含む。
【0017】
本発明のある実施形態においては、コポリマーは銀を含む全コポリマー重量を基準にして1重量%〜50重量%、あるいは2重量%〜40重量%、あるいは3重量%〜20重量%、あるいは5重量%〜15重量%の銀を含む。銀はAg(I)イオンの形態であり、これは典型的には硝酸銀の形態で導入される。コポリマーの製造方法は、例えば、米国特許出願公開第2005/0227895号および本明細書の実施例においてもすでに開示されている。本発明のある実施形態においては、処理された織物による銀の保持率を増大させるために、銀と複合体を形成しない追加のコポリマーが添加され;および/または他のアミン化合物もしくはポリマーが添加されうる。本発明のある実施形態において、織物処理はエポキシ樹脂、ポリウレタンまたはこれらの組み合わせを伴う。
【0018】
本発明のある実施形態においては、エポキシ樹脂は少なくとも二官能性のエポキシ化合物、すなわち、分子あたり少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物を含む。この実施形態のある態様においては、エポキシ樹脂はビス−グリシジルエーテルもしくはエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジカルボン酸のジグリシジルエステル、ジオール、トリオールもしくはポリオールのジグリシジルエーテルを含む。ビス−グリシジルエステルおよびエーテルの好適な例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジグリシジルアジぺート;1,4−ジグリシジルブチルエーテル;エチレングリコールジグリシジックエーテル;グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンおよびソルビトールのグリシジルエーテル;エポキシレゾルシノールエーテル;並びにポリエチレングリコールのジグリシジルエーテルが挙げられる。本発明のある実施形態においては、エポキシ樹脂はグリシジル(メタ)アクリラートおよび/またはアリルグリシジルエーテルのポリマーを含む。本発明のある実施形態においては、エポキシ樹脂は、エポキシドの当量:Xモノマー単位の当量の比率として0.1:1〜10:1をもたらす量で存在する。好ましくはこの比率は少なくとも0.2:1、あるいは少なくとも0.3:1、あるいは少なくとも0.5:1、あるいは少なくとも0.8:1である。好ましくはこの比率は7以下:1、あるいは5以下:1、あるいは4以下:1、あるいは3以下:1である。
【0019】
本発明のある実施形態においては、コポリマーに加えてアミン硬化剤が使用される。このようなアミン硬化剤は当該技術分野において周知であり、例えば国際公開第WO2005/080481号に記載される。この硬化剤には、多官能性第1級および第2級アミンならびにある種の第3級アミン、例えば、アミン含有ポリマーが挙げられる。
【0020】
本発明のある実施形態において、ポリエステルポリウレタンはポリエステルポリオールおよびジイソシアナートの重合された残基を含む。ジイソシアナートは芳香族ジイソシアナート、例えば、トルエンジイソシアナート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、p−キシリレンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナート、これらの異性体もしくはこれらの混合物;または脂肪族ジイソシアナート、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、水素化メチレンジフェニルジイソシアナート(HMDI)、エチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、またはこれらの混合物であることができる。芳香族ジイソシアナートの中では、MDIが好ましく、特に4,4’および2,4’異性体の混合物が好ましい。好ましい脂肪族ジイソシアナートには、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、水素化メチレンジフェニルジイソシアナート(HMDI)、イソホロンジイソシアナートおよびこれらの混合物が挙げられる。ポリエステルポリオールには、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、フランジメタノール、シクロへキサン1,6−ジメタノールのような多価アルコール、炭酸ジメチルと上記多価アルコールのいずれかとから製造されたジオール、またはこれらの混合物と、ポリカルボン酸もしくはラクトン、特にジカルボン酸、例えば、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、フタル酸およびカプロラクトンとの、ヒドロキシル末端生成物が挙げられる。好ましいポリエステルポリオールには、例えば、アジピン酸とヘキサンジオール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコールおよびシクロヘキサン−1,6−ジメチロールから選択されるジオールとから形成されるものが挙げられる。好ましくは、2より多いヒドロキシル基を有する多価アルコールは、ポリオールの2重量%以下、あるいは1重量%以下、あるいは0.5重量%以下の範囲まで存在する。本発明のある実施形態においては、ポリウレタンは10,000〜100,000のMn、および200,000〜2,000,000のMwを有する。本発明のある実施形態において、ポリエステルポリウレタンは脂肪族ポリエステルポリウレタンであり、すなわち、それは脂肪族ポリエステルポリオールおよび脂肪族ジイソシアナートの重合された残基を含む。
【0021】
ここで、本発明のある実施形態が次の実施例において詳しく説明される。以下に示される実施例における全ての分率およびパーセンテージは、他に示されない限りは重量基準である。
【実施例】
【0022】
実施例A
90%ビニルイミダゾール(VI)/10%アクリル酸(AA)ポリマーのサンプルが次の手順に従って製造された。窒素下で220mlの脱イオン水(DiW)を含む1Lの反応容器を85℃に加熱した後、79.7gのDiW、2.1gの29%アンモニア水、および4.62gのVazo−68(4,4’−アゾビス[4−シアノペンタン酸] CAS番号2638−94−0)からなる溶液をその反応容器に0.58g/分で150分間添加した。5分後、207.7gのDiW、138.5gのビニルイミダゾール(CAS番号 1072−63−5)、および15.4gのアクリル酸(AA、CAS番号 79−10−7)の溶液をその反応フラスコに3.0g/分で120分間供給し、その後で、4.8g/分で30分間供給された144gのDiWすすぎをおこなった。反応混合物は85℃で15分間保持され、34.5gのDiW、0.48gの29%アンモニア水、および0.77gのVazo−68の第2の混合物を0.34g/分で90分間反応容器に添加し、その後、85℃で30分間保持し、32gのDiWでのすすぎを行った。この混合物を次いで室温まで冷却し、pH7.6、粘度124cPsおよび20.5%固形分の透明で薄黄色の溶液を得た。
【0023】
実施例B
90%ビニルイミダゾール(VI)/10%ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリラート(MPEGMA−300)(Mn300)ポリマーのサンプルが実施例Aの手順に従って製造されたが、ただし、モノマー混合物は207.7gのDiW、138.5gのビニルイミダゾール、および15.4gのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリラート(CAS番号 26915−72−0、典型的なMn=300)の構成であった。全ての他の条件は実施例Aにおけるのと同じままであった。得られたポリマー混合物は、次いで室温に冷却され、pH9.1、粘度184cPs、および20.2%固形分の透明で薄黄色の溶液を得た。
【0024】
実施例C
75%ビニルイミダゾール(VI)/25%ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリラート(Mn300)ポリマーのサンプルが実施例Aの手順に従って製造されたが、ただし、モノマー混合物は207.7gのDiW、115.4gのビニルイミダゾール、および38.5gのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリラート(CAS番号 26915−72−0、典型的なMn=300)の構成であった。全ての他の条件は実施例Aにおけるのと同じままであった。得られたポリマー混合物は、次いで室温に冷却され、pH9.0、粘度125cPs、および20.3%固形分の透明で薄黄色の溶液を得た。
【0025】
実施例D
50%ビニルイミダゾール(VI)/ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリラート(MPEGMA)(Mn475)ポリマーのサンプルが次の手順に従って製造された。窒素下で847.4mlの脱イオン水(DiW)を含む3Lの反応容器を85℃に加熱した後、182gのDiW、30.1gの29%アンモニア水、および12.1gのVazo−68(4,4’−アゾビス[4−シアノペンタン酸] CAS番号2638−94−0)からなる溶液をその反応容器に1.4g/分で150分間添加した。同時に、80.2gのDiW、200.1gのビニルイミダゾール(CAS番号 1072−63−5)、および200.2gのMPEGMA(CAS番号 26915−72−0、Mn=474)の溶液をその反応フラスコに4.0g/分で120分間供給し、その後で、4.8g/分で30分間供給された200gのDiWすすぎが行われた。反応混合物は85℃で15分間保持され、40.1gのDiW、10.3gの29%アンモニア水、および2.1gのVazo−68の第2の混合物を0.34g/分で90分間反応容器に添加し、その後、85℃で120分間保持し、32gのDiWでのすすぎを行った。この混合物を次いで室温まで冷却し、pH7.6および20.5%固形分の透明で薄黄色の溶液を得た。
【0026】
実施例E
75%ビニルイミダゾール(VI)/25%MPEGMA(Mn475)ポリマーのサンプルが実施例Dの手順に従って製造されたが、ただし、モノマー混合物は480.5gのDiW、300.1gのビニルイミダゾール、および100.2gのMPEGMA(CAS番号 26915−72−0、典型的なMn=475)の溶液から構成されていた。全ての他の条件は実施例Aにおけるのと同じままであった。得られたポリマー混合物は、次いで室温に冷却され、pH9.0および20.3%固形分の透明で薄黄色の溶液を得た。
【0027】
実施例F
90%ビニルイミダゾール(VI)/10%2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のナトリウム塩(NaAMPS)[5165−97−9]ポリマーのサンプルが次の手順に従って製造された。窒素下で220mlの脱イオン水(DiW)を含む1Lの反応容器を85℃に加熱した後、79.7gのDiW、2.1gの29%アンモニア水、および4.62gのVazo−68(4,4’−アゾビス[4−シアノペンタン酸] CAS番号2638−94−0)からなる溶液をその反応容器に0.62g/分で140分間添加した。5分後、192gのDiW、138.5gのビニルイミダゾール(CAS番号 1072−63−5)、および30.8gのNaAMPS(50%水溶液)の溶液をその反応フラスコに3.0g/分で120分間供給し、その後で、3.3g/分で20分間供給された65gのDiWすすぎが行われた。反応混合物は85℃で30分間保持され、34gのDiW、0.35gの29%アンモニア水、および0.77gのVazo−68の第2の混合物を0.39g/分で90分間反応容器に添加し、その後、85℃で30分間保持し、32gのDiWでのすすぎを行った。この混合物を次いで室温まで冷却し、pH9.4、粘度136cPsおよび20.4%固形分の透明で薄黄色の溶液を得た。
【0028】
実施例G
60%ビニルイミダゾール(VI)/40%ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリラート(Mn300)ポリマーのサンプルが実施例Dの手順に従って製造されたが、ただし、モノマー混合物は207.7gのDiW、92.3gのビニルイミダゾール、および61.6gのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリラート(CAS番号 26915−72−0、典型的なMn=300)の溶液から構成されていた。全ての他の条件は実施例Fにおけるのと同じままであった。得られたポリマー混合物は、次いで室温に冷却され、pH9.0、粘度77cPsおよび19.9%固形分の透明で薄黄色の溶液を得た。
【0029】
一般的なサンプル製造手順:
処理されるべき基体の湿潤ピックアップ(wet pick−up)は標準的な水道水を用いて決定された。測定された湿潤ピックアップは、基体における所望の乾燥処理量を提供するために浴溶液中に必要とされる銀含有コポリマーの量を決定するために使用された。好適な重量の銀含有コポリマーが水道水(pHは〜2である)に添加され、次いで塩基(AMP−95または25%の炭酸ナトリウム溶液)を用いてpHがpH〜5に調節された。他の成分は好適な量で添加された。この溶液は均一になるまで標準的なエアミキサーを用いて混合された。ポリウレタン添加剤が使用される場合には、ポリウレタン添加剤は銀含有ポリマーが添加された後で添加され、次いでpH調整がなされる。処理されるべき基体がその浴溶液に通されて、次いで2ニップロールを通されて過剰な溶液を絞り出した。処理され、乾燥させられた基体は示されるように洗浄され、次いでAg含有量および/または有効性試験を受ける。
【0030】
エポキシ樹脂の量は、銀含有コポリマーにおけるエポキシ基の当量/VI単位の当量で測定された。試験するのに使用された織物基体は100%ポリエステルニット織物、3.5oz/yd(125g/m)の基本重量であった。
【0031】
水中での低pH銀ポリマー配合物の例
【表1】

「分析」=誘導結合プラズマによって分析された、「計算」=計算された。
これは、配合物が水道水で希釈され(Ag=300ppm)、pHが塩基で5に調節され、24時間周囲光のもとで保持された場合の溶液の色(0=無色、5=暗赤色)を示す。
【0032】
【表2】

銀の量は決定されていない。
E1はGE−30(エリシスカンパニー(Erisys Co.);トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル)である。
B1はAMP−95(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール)である。
B2は25%水性NaCOである。
PU1はペルマックス(PERMAX)200(ルブリゾールコーポレーション(Lubrizol Corp.)からの脂肪族ポリウレタン分散物)である。
PU2はベイヒドロール(BAYHYDROL)140AQ(バイエルマテリアルサイエンス(Bayer MaterialScience)からのポリウレタン分散物)である。
PU3はベイヒドロール(BAYHYDROL)402A(バイエルマテリアルサイエンスからのポリウレタン分散物)である。
S1はエボソフト(EVOSOFT)WOR(親水性シリコーン柔軟剤;pH2〜3;カチオン性;ダイスターコーポレーション(Dystar Co.))である。
S2はエボソフト(EVOSOFT)LOS(第4級アミド;pH4.5〜5.5;カチオン性;ダイスターコーポレーション(Dystar Co.))である。
S3はエボソフト(EVOSOFT)HSP(親水性マイクロシリコーンエマルション柔軟剤;pH4〜6;弱カチオン性;ダイスターコーポレーション(Dystar Co.))である。
S4はラバソフト(LAVASOFT)MEC(アミノ官能性シリコーン;濃縮;pH6〜7;弱カチオン性;ダイスターコーポレーション(Dystar Co.))である。
【0033】
【表3】

ブライトメーターマイクロ(Brightmeter Micro)S−5を使用して4往復。
【0034】
銀含有織物の抗微生物効果
処理されたポリエステル織物のいくつかの静菌活性がAATCC法100を用いて測定された。試験サンプルは、被験バクテリア(10生物)の希釈培養液の1.0mlをサンプルと直接接触するように配置することにより、静菌活性について定量的に評価された。35℃で24時間のインキュベーション期間の後で、サンプルはデイエンレイ(Dey Enley)培養液(DE培養液)で希釈され、生きている生物の数を標準的なプレート計数によって決定した。減少パーセントは、ゼロ接触時間で回収された生物の数との比較によって計算された。この分析の結果は表4に提供される。
【0035】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物を処理するのに有用な組成物であって、
当該組成物は銀イオンとコポリマーとの複合体を含み;
当該コポリマーは(a)少なくとも1つの窒素原子を有する不飽和もしくは芳香族の複素環式基から選択される置換基を有するエチレン性不飽和化合物であるモノマーXの重合単位を60〜95重量%;および(b)カルボン酸、有機硫酸、スルホン酸、ホスホン酸、およびエチレンオキシドの重合単位を含むエステルから選択されるエチレン性不飽和化合物であるモノマーYの重合単位を5〜40重量%含む、
織物を処理するのに有用な組成物。
【請求項2】
組成物が3〜7のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
モノマーXがN−ビニルイミダゾールである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
コポリマーが、全コポリマー重量を基準にして5重量%〜15重量%の銀を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
モノマーYが(メタ)アクリル酸、少なくとも2つの重合されたエチレンオキシド残基の(メタ)アクリルエステル、およびスルホン酸官能基を含む(メタ)アクリロイルエステルから選択されるエチレン性不飽和化合物を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
コポリマーがモノマーXの重合単位を65〜95重量%、およびモノマーYの重合単位を5〜35重量%含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
織物を3〜7のpHで請求項1の組成物と接触させることを含む、織物を処理する方法。
【請求項8】
モノマーXがN−ビニルイミダゾールであり、モノマーYが(メタ)アクリル酸、少なくとも2つの重合されたエチレンオキシド残基の(メタ)アクリルエステル、およびスルホン酸官能基を含む(メタ)アクリロイルエステルから選択されるエチレン性不飽和化合物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
コポリマーが、全コポリマー重量を基準にして5重量%〜15重量%の銀を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
コポリマーがモノマーXの重合単位を65〜95重量%、およびモノマーYの重合単位を5〜35重量%含む、請求項9に記載の方法。

【公開番号】特開2010−209507(P2010−209507A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−31306(P2010−31306)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】