説明

低ビットレート信号に基づくビットレート判定回路

少なくとも第1のビットレートの信号と前記第1のビットレートより高い第2のビットレートの信号のうち、どちらの信号が入力されているかを判定するビットレート判定回路が開示されている。本ビットレート判定回路は、前記第2のビットレートの信号は通過させず、前記第1のビットレートの信号の少なくとも低周波数成分の一部は通過させる周波数選択手段と、前記周波数選択手段の出力に前記第1のビットレートの信号の前記少なくとも低周波数成分の一部が通過しているかどうかを判定する低周波数成分判定手段と、前記低周波数成分判定手段の出力を平滑化する平滑化手段と、前記平滑化手段の出力を論理レベルへ変換するレベル変換手段とを有することを特徴とする。これにより、入力信号に含まれる低周波数成分に基づきそのビットレートを判定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビットレートの判定に関し、特に、入力信号のビットレートを判定してその判定結果を出力するビットレート判定回路、その回路で使用するビットレート判定方法、およびその回路を用いたマルチレート受信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の伝送速度(ビットレート)に対応し、各々のビットレートに対し性能を最適化できる受信回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これらの回路では、入力された信号のビットレートの高低を自動判定するビットレート判定回路が使用されている。
【0003】
図21に特許文献1に示された従来のビットレート判定回路の構成を示す。図21において、1は入力端子、2は出力端子、3は遅延回路、4は排他的論理和回路、5は平均値検出回路、6はレベル判定器、7は参照電位入力端子をそれぞれ示す。また、図22に、図21のビットレート判定回路の各点における動作時の波形を示す。図22において、Aは入力信号波形、Bは排他的論理和回路4の出力波形、Cは平均値検出回路5の出力波形、Dはレベル判定器6の出力波形を示す。
【0004】
従来のビットレート判定回路は入力部に遅延回路3と排他的論理和回路4を有している。Aに示した入力信号波形が入力端子1に入力されると、排他的論理和回路4の出力には、Bに示したように、入力信号Aの立ち上がりエッジ部と立ち下がりエッジ部に遅延回路3の遅延時間と同じ時間幅のパルスが出力される。この動作により出力されるパルス信号の密度は、高ビットレートの入力信号に対して高く、低ビットレートの入力信号に対して低くなる。このようなパルスの粗密を平均値検出回路5で平滑化することにより、高ビットレートの入力信号に対して高く、低ビットレートの入力信号に対して低い出力電位が得られる。その出力電位をレベル判定器6で参照電位(Vref)と比較して、ビットレート判定の制御信号Dを得ることができる。
【特許文献1】特開平2000−40960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図21に示した従来のビットレート判定回路は、判定結果の制御信号をフィードバックする場合にビットレートを正しく判定できないという問題があった。この問題が生じる場合の例として、図23に従来のビットレート判定回路を用いたマルチレート受信回路のブロック図を示す。図23において、1は入力端子、8は利得帯域可変型前置増幅回路、9は利得帯域制御端子、10は振幅制限増幅回路、11は図21で説明したビットレート判定回路、12、13は差動出力端子をそれぞれ示す。このマルチレート受信回路は、ビットレート判定回路11を用いて入力信号のビットレートの高低を判定し、信号のビットレートに最適な帯域と利得が得られるように利得帯域可変型前置増幅回路8の帯域と利得とを変化させる制御機構を有するものである。
【0006】
入力信号として低いビットレートの信号が入力されているときは、ビットレート判定回路11の判定結果が低ビットレートとなり、利得帯域可変型前置増幅回路8の帯域上限周波数を低下させて利得を上昇させることで、最小受信感度を向上させることができる。しかしながら、入力信号が低いビットレートから高いビットレートに切り替わった場合、利得帯域可変型前置増幅回路8の帯域上限周波数が低くなっているため、ビットレート判定回路11に入力される信号は高周波数成分が失われてしまい、正しいビットレートの判定ができなくなってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの目的は、ビットレート判定回路の入力信号から高周波数成分が失われていても、正確な判定結果を得ることができるようにしたビットレート判定回路を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、上記ビットレート判定回路を用いたマルチレート受信回路を提供することである。
【0009】
本発明に係る発明のビットレート判定回路は、少なくとも第1のビットレートの信号と前記第1のビットレートより高い第2のビットレートの信号のうち、どちらの信号が入力されているかを判定するビットレート判定回路であって、
前記第2のビットレートの信号は通過させず、前記第1のビットレートの信号の少なくとも低周波数成分の一部は通過させる周波数選択手段と、
前記周波数選択手段の出力に前記第1のビットレートの信号の前記少なくとも低周波数成分の一部が通過しているかどうかを判定する低周波数成分判定手段と、
前記低周波数成分判定手段の出力を平滑化する平滑化手段と、
前記平滑化手段の出力を論理レベルへ変換するレベル変換手段とを有することを特徴とする。
【0010】
周波数選択手段は、第1のビットレートより高い第2のビットレートの信号は通過させず、第1のビットレートの信号の少なくとも低周波数成分の一部は通過させる。低周波数成分判定手段は、周波数選択手段の出力に第1のビットレートの信号の少なくとも低周波数成分の一部があるかどうか判定する。平滑化手段により低周波数成分判定手段の出力を平滑化し、平滑化された信号をレベル変換手段により論理レベルに変換する。これにより、入力信号に含まれる低周波数成分に基づきそのビットレートを判定することができる。
【0011】
本発明の一実施形態によると、前記周波数選択手段は積分回路であり、前記低周波数成分判定手段はヒステリシス比較回路であり、前記平滑化手段は積分回路であり、前記レベル変換手段は比較回路であってもよい。
【0012】
また、本発明に係るマルチレート受信回路は、複数のビットレートの信号に対し、各々のビットレートに応じて受信感度を制御する機能を有するマルチレート受信回路であって、入力信号を増幅する前置増幅回路と、前記前置増幅回路の出力信号を一定の振幅に増幅する主増幅回路と、前記前置増幅回路と前記主増幅回路で増幅された信号に基づき前記前置増幅回路の帯域および利得を制御する、本発明に係るビットレート判定回路とを有することを特徴とする。
【0013】
前記ビットレート判定回路は、入力信号が第1のビットレートの信号であるかどうかを判定して前置増幅回路の帯域および利得を制御することができる。
【0014】
本発明の他の目的、特徴、利益は、添付した図面を参照して以下の詳細な説明を読めばより一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
[図1]本発明の第1の実施形態によるビットレート判定回路を示すブロック図である。
[図2]図1のビットレート判定回路の動作を説明するための波形図である。
[図3]第1の実施形態の第1の変形例によるビットレート判定回路を示すブロック図である。
[図4]図3のビットレート判定回路の動作原理を示す波形図である。
[図5]第1の実施形態の第2の変形例によるビットレート判定回路を示すブロック図である。
[図6]図5のビットレート判定回路の動作を説明するための波形図である。
[図7]第1の実施形態の第3の変形例によるビットレート判定回路を示すブロック図である。
[図8]図7のビットレート判定回路の動作を説明するための波形図である。
[図9]本発明の第2の実施形態によるビットレート判定回路を示すブロック図である。
[図10]第2の実施形態の第1の変形例によるビットレート判定回路を示すブロック図である。
[図11]第2の実施形態の第2の変形例によるビットレート判定回路を示すブロック図である。
[図12]第2の実施形態の第3の変形例によるビットレート判定回路を示すブロック図である。
[図13]本発明の第3の実施形態によるマルチレート受信回路であり、第1の実施形態によるビットレート判定回路を用いたものを示すブロック図である。
[図14]第3の実施形態の一変形例によるマルチレート受信回路であり、第2の実施形態によるビットレート判定回路を用いたものを示すブロック図である。
[図15]本発明の第4の実施形態によるビットレート判定回路を示すブロック図である。
[図16]第4の実施形態の一変形例によるビットレート判定回路を示すブロック図である。
[図17]本発明の第5の実施形態によるマルチレート受信回路であり、図15に示したビットレート判定回路を用いたものを示すブロック図である。
[図18]第5の実施形態の一変形例によるマルチレート受信回路であり、図16に示したビットレート判定回路を用いたものを示すブロック図である。
[図19]本発明の第6の実施形態によるマルチレート受信回路を示すブロック図である。
[図20]本発明の第7の実施形態によるマルチレート受信回路を示すブロック図である。
[図21]従来のビットレート判定回路を示すブロック図である。
[図22]図21のビットレート判定回路の動作を説明するための波形図である。
[図23]従来のビットレート判定回路を用いたマルチレート受信回路のブロック図である。
【符号の説明】
【0016】
1 入力端子
2 出力端子
3 遅延回路
4 排他的論理和回路
5 平均値検出回路
6 レベル判定器
7 参照電位入力端子
8 利得帯域可変型前置増幅回路
9 利得帯域制御端子
10 振幅制限増幅回路
11 ビットレート判定回路
12,13 差動出力端子
14 1段目の積分回路
15 ヒステリシス比較回路
16 2段目の積分回路
17 比較回路
18 参照電位入力端子
19 1段目の積分回路14と同等の帯域を持つヒステリシス比較回路
20 2段目の積分回路16と同等の帯域を持つ比較回路
21 入力端子(非反転入力)
22 入力端子(反転入力)
23 差動型ヒステリシス比較回路
24 差動型ヒステリシス比較回路23の非反転出力端子
25 差動型ヒステリシス比較回路23の反転出力端子
26 終端回路
27 1段目の積分回路14と同等の帯域を持つ差動型ヒステリシス比較回路
28 シングルエンド型増幅回路
29 差動出力バッファ回路
30、31 帰還抵抗
32 電圧制御型スイッチもしくは電圧制御型スイッチ素子
33 参照電位入力端子
34 ビットレート判定回路
35 ビットレート判定回路
36 D/Aコンバータ
37 可変抵抗もしくは可変抵抗素子
38 分岐もしくは分配回路
39 N入力D/Aコンバータ
A 入力信号波形
B 排他的論理和回路出力波形
C 平均値検出回路出力波形
D レベル判定器出力波形
A1 低ビットレートの入力波形
A2 高ビットレートの入力波形
B1 1段目の積分回路14の出力波形(低ビットレート入力時)
B2 1段目の積分回路14の出力波形(高ビットレート入力時)
C1 ヒステリシス比較回路15の出力波形(低ビットレート入力時)
C2 ヒステリシス比較回路15の出力波形(高ビットレート入力時)
D1 2段目の積分回路16の出力波形(低ビットレート入力時)
D2 2段目の積分回路16の出力波形(高ビットレート入力時)
E1 比較回路17の出力波形(低ビットレート入力時)
E2 比較回路17の出力波形(高ビットレート入力時)
F1 1段目の積分回路14と同等の帯域を持つヒステリシス比較回路19の出力波形(低ビットレート入力時)
F2 1段目の積分回路14と同等の帯域を持つヒステリシス比較回路19の出力波形(高ビットレート入力時)
G1 2段目の積分回路16と同等の帯域を持つ比較回路20の出力波形(低ビットレート入力時)
G2 2段目の積分回路16と同等の帯域を持つ比較回路20の出力波形(高ビットレート入力時)
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照して詳しく説明する。
[第1の実施形態]
図1ないし8を参照して、本発明の第1の実施形態およびその変形例によるビットレート判定回路を説明する。
【0018】
図1は本発明の第1の実施形態によるビットレート判定回路を示す図である。図1において、1は入力端子、14は1段目の積分回路(例えば低域通過フィルタ)、15はVth、−Vthのしきい値をもつヒステリシス比較回路、16は2段目の積分回路(例えば低域通過フィルタ)、17は比較回路、18は参照電位(Vref)入力端子、2は出力端子をそれぞれ示す。
【0019】
図2は、図1のビットレート判定回路の動作を説明するための波形図である。図2において、A1は入力端子1に入力される低ビットレートの入力波形を示し、A2は同じく入力端子1に入力される高ビットレートの入力波形を示す。B1は、A1に示した低ビットレートの入力波形を入力端子1に入力した場合における、1段目の積分回路14の出力波形を示す。B2は、A2に示した高ビットレートの入力波形を入力端子1に入力した場合における、1段目の積分回路14の出力波形を示す。同様に、C1は、A1に示した低ビットレートの入力波形を入力端子1に入力した場合における、ヒステリシス比較回路15の出力波形を示す。C2は、A2に示した高ビットレートの入力波形を入力端子1に入力した場合における、ヒステリシス比較回路15の出力波形を示す。以下同様に、D1は2段目の積分回路16の出力波形(低ビットレート信号入力時)、D2は2段目の積分回路の出力波形(高ビットレート信号入力時)をそれぞれ示す。また、E1は比較回路17の出力波形(低ビットレート信号入力時)、E2は比較回路17の出力波形(高ビットレート信号入力時)をそれぞれ示す。
【0020】
入力端子1から入力された信号A1、A2は、1段目の積分回路14に入力される。1段目の積分回路14は、高ビットレート信号は通過できず低ビットレート信号は少なくともその低周波数成分の一部が通過できる程度の周波数特性を有する。したがって、低ビットレート信号入力時の出力B1は、立ち上がり立ち下がり部の傾きがなだらかになっているものの、特に連続符号などの低周波数成分を含む波形が入力された場合には振幅が十分大きな信号が得られる。一方、高ビットレート信号入力時の出力B2は、1段目の積分回路14により入力振幅の中間電位付近に平均化されるため、振幅が十分大きな信号は得られない。
【0021】
ヒステリシス比較回路15はシュミットトリガー回路とも呼ばれ、図中のVth、−Vthで示した2つのしきい値Vth、−Vthを持つ回路である。Vthより高い入力電位に対し高電位(ハイ)を出力し、−Vthより低い入力電位に対し低電位(ロー)を出力する。2つのしきい値の間の入力電位に対しては、出力は変化しない。したがって、波形C1に示したように、低ビットレート信号入力時の1段目の積分回路14の出力B1が入力されたときには、その出力は頻繁にハイとローが切り替わる。しかし、波形C2に示したように、高ビットレート信号入力時の1段目の積分回路14の出力B2が入力されたときには、出力B2はヒステリシス比較回路15の上のしきい値Vthを越えないので、初期状態のローが保持される。
【0022】
2段目の積分回路16は、低ビットレート信号が通過できずに積分される程度の周波数特性を有する。C1、C2を入力信号として2段目の積分回路16に入力すると、その信号は平均化され出力される。波形D1に示したように、低ビットレート信号入力時にはヒステリシス比較回路15の出力がハイとローの間で切り替わるので、その出力が平均化されて出力される。一方、高ビットレート信号入力時にはヒステリシス比較回路15の出力(C2)がローに保持されるため、2段目の積分回路16の出力(D2)も低電位に保持される。
【0023】
比較回路17の参照電位(Vref)は、低ビットレートの入力信号に対する2段目の積分回路16の出力D1の電位の上昇を的確に捉えられるように決定しておく。D1を比較回路17に入力すると、D1が参照電位(Vref)を越えたときから比較回路17の出力E1はハイレベルとなり、一方、D2を比較回路17に入力すると、D2は参照電位(Vref)を超えないので比較回路17の出力E2はローレベルのままである。これにより、入力信号のビットレートを判定することができる。
【0024】
すなわち、本発明のビットレート判定回路では、判定しようとする高低二種類のビットレートの内の高ビットレート信号は通過できず低ビットレート信号は少なくともその低周波数成分の一部が通過できる程度の帯域の1段目の積分回路を用いる。これにより、入力信号が高ビットレートの場合には積分回路の出力信号の振幅が小さくなり、入力信号が低ビットレートの場合には連続符号部等に積分回路の出力信号の振幅が大きいことを利用して、ビットレートを判定する。具体的には、小振幅では動作せず大振幅のときに動作するヒステリシス比較回路を接続し、その出力をより帯域の低い2段目の積分回路で平滑化することで、高いビットレートに対して低い電位、低いビットレートに対して高い電位を得る。この出力電位を比較回路に入力し、参照電位と比較判定させることで判定結果の制御信号を得る。この判定方式では、判定する信号の低周波数成分の有無を判定材料とするため、ビットレート判定回路に入力される信号が高周波数成分を失っていたとしても正確な判定結果を得ることができる。
【0025】
図3は、第1の実施形態の第1の変形例によるビットレート判定回路を示すブロック図である。図3において、図1と同じ符号は同様の構成要素を示す。19はVth、−Vthのしきい値をもつヒステリシス比較回路であるが、1段目の積分回路14と同等の周波数特性を持つヒステリシス比較回路を示す。
【0026】
図4は、図3に示したビットレート判定回路の動作を説明するための波形図である。
図2と同じ参照符号は同様の構成要素を示し、F1は、A1に示した低ビットレート波形を入力端子1に入力した場合における、ヒステリシス比較回路19の出力波形を示す。F2は、A2に示した高ビットレート波形を入力端子1に入力した場合における、ヒステリシス比較回路19の出力波形を示す。
【0027】
本変形例では、1段目の積分回路14を省略してスルーとし、この積分回路14と同等の周波数特性を有するヒステリシス比較回路19を用いている。入力された信号(A1、A2)は双方とも振幅が十分にとれているが、ヒステリシス比較回路19の応答性能が低いため、低ビットレート信号入力時には応答し、ハイとローの切り替え動作を行うことができるが、高ビットレート信号入力時には応答できずにローに保持される。2段目の積分回路16以降は、図1に示した第1の実施形態と同様の動作を行うので、これと同様にビットレート判定結果を得られることが分かる。
【0028】
図5は、第1の実施形態の第2の変形例によるビットレート判定回路を示すブロック図である。図5において、図1と同じ符号は同様の構成要素を示す。20は2段目の積分回路16と同等の帯域を持つ比較回路を示す。図6は、図5に示したビットレート判定回路の動作を説明するための波形図である。図2と同じ符号は同様の構成要素を示す。G1は、A1に示した低ビットレート波形を入力端子1に入力した場合における、比較回路20の出力波形を示す。G2は、A2に示した高ビットレート波形を入力端子1に入力した場合における、比較回路20の出力波形(高ビットレート信号入力時)を示す。
【0029】
本変形例では、2段目の積分回路16を省略してスルーとし、この積分回路16と同等の周波数特性を有する比較回路20を用いている。この比較回路20は、ヒステリシス比較回路15の出力信号に対し高速に応答できないため、安定した判定結果を得ることができる。これにより、図1に示した第1の実施形態および図3に示した変形例と同様のビットレート判定結果が得られる。
【0030】
図7は、第1の実施形態の第3の変形例によるビットレート判定回路を示すブロック図である。図7において、図3および図5と同じ符号は同様の構成要素を示す。
【0031】
図8は、図7に示したビットレート判定回路の動作を説明するための波形図である。図4及び図6と同じ符号は同様の構成要素を示す。本変形例によるビットレート判定回路の動作は図3と5に示した変形例の説明から明らかであり、第1の実施形態と同様のビットレート判定結果が得られる。
[第2の実施形態]
図9ないし12を参照して本発明の第2の実施形態およびその変形例によるビットレート判定回路を説明する。
【0032】
図9は本発明の第2の実施形態によるビットレート判定回路を示す図である。図1と同じ符号は同様の構成要素を示す。21は入力端子(非反転入力)、22は入力端子(反転入力)、23は差動型ヒステリシス比較回路、24は差動型ヒステリシス比較回路23の非反転出力端子、25は差動型ヒステリシス比較回路23の反転出力端子、26は終端回路をそれぞれ示す。第2の実施形態によるビットレート判定回路は、差動型ヒステリシス比較回路23を用いた例で、差動入力端子21、22各々に対して1段目の積分回路14が接続されている。差動型ヒステリシス比較回路23の非反転出力端子24側に2段目の積分回路16以降の回路を接続すれば、第1の実施形態と同様に動作することは明らかである。
【0033】
図10は第2の実施形態の第1の変形例によるビットレート判定回路を示す図である。図9と同じ参照符号は同様の構成要素を示し、27はVth、−Vthのしきい値をもつ差動型ヒステリシス比較回路であるが、1段目の積分回路14と同等の周波数特性を持つ差動型ヒステリシス比較回路を示す。本実施形態は図10に示したビットレート判定回路に図3と同様の設計思想を当てはめたもので、他の実施形態と同様に動作する。
【0034】
図11は第2の実施形態の第2の変形例によるビットレート判定回路を示す図である。図5及び図9と同じ参照符号は同様の構成要素を示す。本実施形態は図9に示した第2の実施形態によるビットレート判定回路に図5と同様の設計思想を当てはめたもので、他の実施形態と同様に動作する。
【0035】
図12は第2の実施形態の第3の変形例によるビットレート判定回路を示す図である。図10及び図11と同じ参照符号は同様の構成要素を示す。本実施形態は図9に示したビットレート判定回路に図7と同様の設計思想を当てはめたもので、他の実施形態及びその変形例と同様に動作する。
【0036】
以上説明したビットレート判定回路で使用する1段目と2段目の積分回路14、16、ヒステリシス比較回路15、比較回路17、差動型ヒステリシス比較回路23、終端回路26は、同様の動作をするものであれば回路構成の詳細は問わない。また、図9ないし図12に示したビットレート判定回路に用いている終端回路26は必ずしも必要なく、場合によっては省略して構わない。さらに、図9ないし図12に示したビットレート判定回路では、差動型ヒステリシス比較回路23の入力端子21、22のいずれか一方を参照電位入力端子としても良く、その場合に図9、図11に示したビットレート判定回路では、参照電位入力端子とした端子側の1段目の積分回路を省略してスルーにすることができる。
【0037】
上記のとおり、本発明の第1および第2の実施形態によるビットレート判定回路によれば、従来のビットレート判定回路と異なり、判定する信号の低周波数成分の有無を判定材料とするため、ビットレート判定回路に入力される信号が高周波数成分を失っていたとしても正確な判定結果を得ることができる。このため、判定結果のフィードバックによりビットレート判定回路の前段の回路の帯域上限周波数が低下しても正確な制御を行うことができる。
[第3の実施形態]
図13および14を参照して、本発明による第3の実施形態およびその変形例によるマルチレート受信回路を説明する。
【0038】
図13は、本発明の第1の実施形態またはその変形例によるビットレート判定回路を用いたマルチレート受信回路のブロック構成を示す図である。このマルチレート受信回路は、デジタル信号入力によって利得と帯域を変化する利得帯域可変型前置増幅回路8を用いている。図13において、1は入力端子、9は利得帯域制御端子、28はシングルエンド型増幅回路、29は差動出力バッファ回路、30、31は帰還抵抗、32は電圧制御型スイッチもしくは電圧制御型スイッチ素子、33は参照電位入力端子、34は第1の実施形態またはその変形例によるビットレート判定回路、10は振幅制御増幅回路、12、13は差動出力端子をそれぞれ示す。
【0039】
ここで利得帯域可変型前置増幅回路8の利得と帯域を切替える機構は、帰還抵抗30に並列接続された帰還抵抗31と電圧制御型スイッチもしくは電圧制御型スイッチ素子の直列接続回路により実現されている。例えばビットレート判定回路34の出力が低ビットレート時にハイレベル、高ビットレート時にローレベルであれば、ハイレベルの信号に対してオフ、ローレベルの信号に対してオンとなるようなスイッチもしくはスイッチ素子を32に用いれば、帯域と利得を切替えることが出来る。
【0040】
図14に第2の実施形態によるビットレート判定回路を用いたマルチレート受信回路のブロック構成を示す。図14において、1ないし13は図13と同様の構成要素を示し、21、22は図9と同様の構成要素を示し、28ないし32は図13と同様の構成要素を示し、35は第2の実施形態またはその変形例によるビットレート判定回路をそれぞれ示す。この場合は、入力端子21を振幅制限増幅回路10の非反転出力端子12に、入力端子22を反転出力端子13に接続すれば図13のマルチレート受信回路と同様の機能が得られる。
[第4の実施形態]
図15および16を参照して、本発明の第4の実施形態およびその変形例によるビットレート判定回路を説明する。
【0041】
図15は、本発明の第4の実施形態によるビットレート判定回路を示す図である。図中の記号は1ないし18は図1と同様の構成要素を示し、36はD/Aコンバータを示す。図中では便宜上、本発明の第1の実施形態によるビットレート判定回路にD/Aコンバータ36を接続した構成を示したが、第1の実施形態の変形例にD/Aコンバータ36を接続してもよい。本実施形態では、得られた判定出力の論理値をD/Aコンバータ36を用いてアナログ信号に変換することで、アナログ信号入力によって利得と帯域を変化する利得帯域可変型前置増幅回路(図17参照)にフィードバック制御をかけることができる。
【0042】
図16は、第4の実施形態の一変形例によるビットレート判定回路を示す図である。図中の記号は1ないし26は図9と同様の構成要素を示し、36は図15と同様の構成要素を示す。図中では便宜上、本発明の第2の実施形態のビットレート判定回路にD/Aコンバータ36を接続した構成を示したが、第2の実施形態の変形例にD/Aコンバータ36を接続してもよい。本変形例は差動入力型の判定回路で、第4の実施形態によるビットレート判定回路と同様に、アナログ信号入力によって利得と帯域が変化する利得帯域可変型前置増幅回路(図18参照)を用いた場合に有効である。
[第5の実施形態]
図17および18を参照して、本発明の第5の実施形態およびその変形例によるマルチレート受信回路を説明する。
【0043】
図17に、本発明の第5の実施形態によるマルチレート受信回路であって本発明の第4の実施形態によるビットレート判定回路を用いたもののブロック構成を示す。図17において、1ないし34は図13と同様の構成要素を示し、36は図15と同様の構成要素を示し、37は可変抵抗もしくは可変抵抗素子を示す。ここで、可変抵抗もしくは可変抵抗素子37は、利得帯域制御端子9に入力される判定出力の電圧値もしくは電流値に対し連続的にその抵抗値が変化する。なお、可変抵抗もしくは可変抵抗素子37は便宜上、FETの記号を用いて表現したが、バイポーラトランジスタやその他の同様の機能を有する部品や素子でもよい。利得帯域可変型前置増幅回路8の利得と帯域をアナログ信号の入力に対して連続的に変化させることが出来る。D/Aコンバータ36の出力電位を調整し、D/A変換前の判定出力論理値に対して利得帯域可変型前置増幅回路8が所望の利得帯域特性となるよう設計すれば、図13に示した本発明の第3の実施形態によるマルチレート受信回路と同様の機能が得られる。
【0044】
図18に本発明の第5の実施形態の一変形例によるマルチレート受信回路であって、第4の実施形態の一変形例によるビットレート判定回路を用いたもののブロック構成を示す。本発明の第2の実施形態によるビットレート判定回路35を用いる場合は、図14と同様に入力端子21を振幅制限増幅回路10の非反転出力端子12に、入力端子22を反転出力端子13に接続すれば同様の機能が得られる。
[第6の実施形態]
図19に、本発明のビットレート判定回路を用いて3種類以上のビットレートの判定を行うマルチレート受信回路を構成した例を示す。図19において、1ないし34は図13と同様の構成要素を示し、38は分岐もしくは分配回路を示す。利得帯域制御端子9、帰還抵抗31、電圧制御型スイッチもしくは電圧制御型スイッチ素子32、第1の実施形態またはその変形例によるビットレート判定回路34はN個並列に用いているので、各番号に括弧付きの子番号を振って識別した。なお、スイッチ32は電流制御型でもよい。ここでは第1の実施形態またはその変形例によるビットレート判定回路34がN個並列、利得帯域可変型前置増幅回路8の帰還抵抗値を変更する帰還抵抗31と電圧制御型スイッチもしくは電圧制御型スイッチ素子32による直列回路もN個並列用いているので、N+1種類のビットレートの判別が可能である。例えばN+1種類のビットレートを低いほうから順にBR(1)、BR(2)、...、BR(N)、BR(N+1)とし、BR(1)とBR(2)の高低を判定するビットレート判定回路を34(1)、BR(2)とBR(3)の高低を判定するビットレート判定回路を34(2)、...、BR(N)とBR(N+1)の高低を判定するビットレート判定回路を34(N)とすると、入力された信号のビットレートがBR(K)のとき、34(K)ないし34(N)のビットレート判定回路は低ビットレートと判定し、34(1)ないし34(K−1)のビットレート判定回路は高ビットレートと判定する。例えばビットレート判定回路34の出力が低ビットレート時にハイレベル、高ビットレート時にローレベルであれば、ハイレベルの信号に対してオフ、ローレベルの信号に対してオンとなるようなスイッチもしくはスイッチ素子を32に用いれば、N+1種類のビットレートに対応して帯域と利得の組み合わせを切替えることが出来る。
【0045】
図19では、説明の便宜上、第1の実施形態またはその変形例によるビットレート判定回路34を並列に用いた例を示したが、第2の実施形態またはその変形例によるビットレート判定回路35を用いる場合には、38に差動型の分岐もしくは差動型分配回路を用いて構成し、その差動入力端子を図14と同様に振幅制限増幅回路10の出力端子12、13に接続すれば良い。
[第7の実施形態]
図20を参照して、本発明の第7の実施形態によるマルチレート受信回路を説明する。図20は、本発明のビットレート判定回路を用いて3種類以上のビットレートの判定を行うマルチレート受信回路を構成したもう一つの例を示す。この例ではアナログ信号入力によって利得と帯域を変化する利得帯域可変型前置増幅回路8を用いた場合を示している。図20において、1ないし38は図19と同様の構成要素を示し、39はN入力D/Aコンバータを示す。N個並列のビットレート判定回路34の出力信号は、受信信号のビットレートに応じてハイレベルの信号数とローレベルの信号数が変るので、このN個並列の信号をN入力D/Aコンバータ39を用いてハイとローの信号数に応じた異なる電位に変換し、変換した電位に応じて得られる帰還抵抗値が利得帯域可変型前置増幅回路8の利得と帯域を、判定したビットレートに対して最適な値となるよう設計すれば、所望の機能が得られる。図20では、説明の便宜上、第1の実施形態またはその変形例によるビットレート判定回路34を並列に用いた例を示したが、第2の実施形態またはその変形例によるビットレート判定回路35を用いる場合には、38に差動型の分岐もしくは差動型分配回路を用いて構成し、その差動入力端子を図18と同様に振幅制限増幅回路10の出力端子12、13に接続すれば良い。
【0046】
本発明の実施形態の詳細な説明は上記の通りである。本発明はこれらの実施形態に制限されず、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更をすることが可能である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1のビットレートの信号と前記第1のビットレートより高い第2のビットレートの信号のうち、どちらの信号が入力されているかを判定するビットレート判定回路であって、
前記第2のビットレートの信号は通過させず、前記第1のビットレートの信号の少なくとも低周波数成分の一部は通過させる周波数選択手段と、
前記周波数選択手段の出力に前記第1のビットレートの信号の前記少なくとも低周波数成分の一部が通過しているかどうかを判定する低周波数成分判定手段と、
前記低周波数成分判定手段の出力を平滑化する平滑化手段と、
前記平滑化手段の出力を論理レベルへ変換するレベル変換手段とを有することを特徴とするビットレート判定回路。
【請求項2】
請求項1に記載のビットレート判定回路であって、
前記周波数選択手段は積分回路であり、
前記低周波数成分判定手段はヒステリシス比較回路であり、
前記平滑化手段は積分回路であり、
前記レベル変換手段は比較回路であることを特徴とするビットレート判定回路。
【請求項3】
請求項1に記載のビットレート判定回路であって、
前記周波数選択手段は2つの積分回路を有し、
前記低周波数成分判定手段は差動型ヒステリシス比較回路であり、
前記2つの積分回路は前記差動型ヒステリシス比較回路の差動入力にそれぞれ接続されたことを特徴とするビットレート判定回路。
【請求項4】
請求項3に記載のビットレート判定回路であって、
前記ビットレート判定回路の差動入力端子の一方を入力端子とし、他方を参照電位入力端子としたことを特徴とするビットレート判定回路。
【請求項5】
請求項1に記載のビットレート判定回路であって、
前記周波数選択手段および前記低周波数成分判定手段は、前記第2のビットレートの信号は通過させず、前記第1のビットレートの信号の少なくとも低周波数成分の一部は通過させる周波数特性を有するヒステリシス比較回路であることを特徴とするビットレート判定回路。
【請求項6】
請求項1に記載のビットレート判定回路であって、
前記平滑化手段および前記レベル変換手段は、前記低周波数成分判定手段の出力を平滑化する周波数特性を有するレベル変換手段であることを特徴とするビットレート判定回路。
【請求項7】
請求項2に記載のビットレート判定回路であって、
前記比較回路のデジタル出力をアナログ信号に変換するD/Aコンバータをさらに有することを特徴とするビットレート判定回路。
【請求項8】
N+1種類(Nは2以上の整数)のビットレートの信号のうち、どの信号が入力されているかを判定するビットレート判定回路であって、
請求項1に記載のビットレート判定回路をN個有し、
前記N+1種類のビットレートの信号のN組の隣り合うビットレートを判定するように、前記N個のビットレート判定回路の周波数選択手段の周波数特性を決定したことを特徴とするビットレート判定回路。
【請求項9】
複数のビットレートの信号に対し、各々のビットレートに応じて受信感度を制御する機能を有するマルチレート受信回路であって、
入力信号を増幅する前置増幅回路と、
前記前置増幅回路の出力信号を一定の振幅に増幅する主増幅回路と、
前記前置増幅回路と前記主増幅回路で増幅された信号に基づき前記前置増幅回路の帯域および利得を制御する、請求項1に記載のビットレート判定回路とを有することを特徴とするマルチレート受信回路。
【請求項10】
請求項9に記載のマルチレート受信回路であって、
前記複数のビットレートの信号はN+1種類(Nは2以上の整数)のビットレートの信号であり、
前記マルチレート受信回路は、請求項1に記載のビットレート判定回路をN個有し、各ビットレート判定回路は、前記N+1種類のビットレートのN組の隣り合うビットレートを判定することを特徴とするマルチレート受信回路。
【請求項11】
少なくとも第1のビットレートの信号と前記第1のビットレートより高い第2のビットレートの信号のうち、どちらの信号が入力されているかを判定するビットレート判定回路におけるビットレート判定方法であって、
前記入力信号を入力するステップと、
前記第2のビットレートの信号は通過させず、前記第1のビットレートの信号の少なくとも低周波数成分の一部は通過させる周波数選択ステップと、
前記周波数選択手段の出力に前記第1のビットレートの信号の前記少なくとも低周波数成分の一部が通過しているかどうかを判定する低周波数成分判定ステップと、
前記低周波数成分判定手段の出力を平滑化する平滑化ステップと、
前記平滑化手段の出力を論理レベルへ変換するレベル変換ステップと、
前記論理レベルを出力するステップとを有することを特徴とするビットレート判定方法。

【国際公開番号】WO2005/078927
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【発行日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518032(P2005−518032)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002340
【国際出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【特許番号】特許第3938925号(P3938925)
【特許公報発行日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】