説明

低侵襲性のアクセスポートシステムとそれを使用するための方法

【解決手段】 侵襲性を最小限に抑えた手術で使用するための低侵襲性のアクセスポート(100)は、視認角を横断面内で作業部位(340)へと操作できるようにする。1つの代表的な実施形態によれば、低侵襲性アクセスポート(100)は、筋肉開創の必要性を最小化するように設計されている。更に、低侵襲性アクセスポータル(100)は、種々の医療器具(100、1220)に十分な光、潅注、吸引、及び空間を提供する。1つの代表的な実施形態によれば、低侵襲性アクセスポート器具(100)は、ラッチ(504)によって固定されるロックアーム(506)を有している2部品構成の開創器(120)を含んでいる。ラッチ(504)は、手術中は創傷(320)の外側に配置されており、容易にアクセスできるようになっている。カニューレ(110、110’)は、光、灌注、及び吸引用の統合型インターフェース(102)を有している。ハウジング(108)は、カニューレ(110、110’)の上部の回りにカラーを形成し、光、灌注、及び吸引機構を収納している。器具(100、1220)とインプラントは、カニューレ(110、110’)を通して、2部品構成の開創器(120)によって作られた作業空間(130)へ送られる。作業部位(340)の可視化は、直視下で実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本システムと方法は、経皮的手術を実施するための器具及び方法に関しており、より具体的には、整形外科脊柱手術で使用するための低侵襲性のアクセスポートに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、共に「低侵襲性のアクセスポート」("Less Invasive Access Port")と題する2005年3月18日出願の米国仮特許出願第60/663,094号及び2005年5月26日出願の米国仮特許出願第60/685,185号、並びに「侵襲性を最小限に抑えた手術開創器」("Less Invasive Surgical Retractor")と題する2005年7月29日出願の米国仮特許出願第60/703,606号の35U.S.C§119に基づく恩典を請求する。更に、本出願は、「低侵襲性のアクセスポートシステムとそれを使用するための方法」("Less Invasive Access Port System and Method for Using the Same")と題する2006年3月17日出願の米国仮特許出願、代理人整理番号第40359−0070号の恩典を請求する。これらの出願全てを、参考文献としてそれぞれの全体をここに援用する。
【0003】
従来、脊柱手術を実施する際に採用される外科的暴露は、周囲の軟組織に重大で長期に亘る損傷を与える。一般的に「開放」('open')処置と呼ばれる外科的暴露は、下にある骨構造へのチャネルを開くために筋肉を開創することに頼っている。外科的開創器は、しばしば、手術チャネルを提供するために用いられる。今日当技術で用いられている一般的な手術開創器には、レーキ、フォーク、及び異なる寸法形状のフックが含まれる。通常、フックは、手術の無菌環境内で用いることができるようにステンレス鋼又は無ラテックスシリコンで作られている。レーキ又はフックの様な開創器は、或る種の傷害に有用であるが、開創器が創傷に損傷を付け加えることの無いようにするため、細心の注意を払う必要がある。更に、手術開創器を使用するには、開創器を正しい位置に保持して医師が手術部位に容易にアクセスできるようにするため、医師に対し、適切に訓練された2人、3人、又は4人以上の追加の助手が必要となる。他の型式の手術開創器が手術部位に挿入され、挿入部位を開いて医師が更にアクセスできるようにするため、1つ又は複数のアームが広げられる。これらの開創器は、概ね嵩張り、作動させるのに相当な訓練と技量を要し、使用者が誤ると、手術が難しくなり、時間も長くなる。上記開創器を使用する従来型の開創は、筋肉への循環を切断することになると理解されており、しばしば手術後の痛みを引き起こし、筋肉機能の長期に亘る低下に繋がる。
【0004】
近年、手術時の損傷を減らし、手術後の回復時間を短くするために侵襲性を最小限に抑えた技法が開発されてきた。最小侵襲手術(minimally invasive surgery(MIS))では、所望の部位には、大きな切開口ではなく、ポータルを通してアクセスする。MISで使用するために様々な型式のアクセスポータルが開発されてきた。Kambinに発行された米国特許第4,573,488号及び第5,395,317号に記載されている様な既存のMISアクセスポータルの多くは、特定の処置にしか用いられない。Shapiroへ発行された米国特許第5,439,464号に記載されている様な他の先行技術のポータルは、複数のポータルを患者に設置する必要があるので、ポータルの設置に複雑さを付け加えるだけでなく、作動空間の障害となる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のシステム及び方法の1つの代表的な実施形態によれば、低侵襲性アクセスポートは、第2の部材に連結された第1の部材を有する開創器を含んでいる。2つの開創器部材が組織の中へ挿入するのに備えて配置されるとき、近位端同士は、互いに離して配置され、2つの遠位部は互いに隣接している。次に、開創器は、医療処置を行おうとする部位に隣接する組織の中に挿入される。2つの相対する開創器の近位端が押し合わせられると、遠位部が拡張して、組織の内側に作業空間を作り出す。
【0006】
1つの代表的な実施形態では、低侵襲性アクセスポートは、最小侵襲手術で使用できるように構成されており、軸方向面と中外側面の両方で、作業部位への視角を操作できるようになっている。更に、代表的な低侵襲性アクセスポートは、筋肉の開創を最小にするように構成されている。代表的な低侵襲性アクセスポートの別の態様によれば、種々の医療器具に十分な光、潅注、吸引、及び空間が、アクセスポートを通して提供される。
【0007】
本発明の代表的な低侵襲性アクセスポートの原理によれば、低侵襲性アクセスポート器具は、2部品構成の開創器を含んでおり、開創器の遠位部が拡張するのと同時に、2つの部品で形成されている近位開口部が小さくなる。更に、数多くのロッキングアームが、開創器の近位部に形成されている。ロッキングアームは、器具が開創又は開位置にあるとき、ラッチによって創傷の外側に固定されている。更に、中を通るポートを有しているハウジングは、開創器と係合し、統合された光、潅注、及び吸引機構を提供するように構成されている。一旦開創器と係合されると、ハウジングは、2部品構成の開創器内で回動自由となり、ポートを通して作業部位全体にアクセスを提供する。この実施形態の態様によれば、器具とインプラントは、ポートを通して、2部品構成の開創器によって作られた作業空間へと送られる。代表的な実施形態の態様によれば、直視下で作業部位を好適に可視化することができる。
【0008】
更に、1つの代表的な実施形態によれば、本発明の代表的な低侵襲性アクセスポートは、脊柱手術を実施する方法を提供し、その方法は、1つ又は複数のスクリューを脊椎の骨部分に経皮的に挿入する段階と、トロカールを脊椎の骨部分に設置して作業部位にアクセスする段階と、開創器を、トロカールに外挿して作業部位まで挿入する段階と、カニューレを開創器に挿入する段階、及び開創器を開いて作業部位を露出させる段階を含んでいる。1つの代表的な実施形態によれば、1つ又は複数のスクリューの挿入、並びにトロカール、開創器、及びカニューレの挿入は、筋膜面内の多裂筋の側方にある面で実行される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付図面は、本システムと方法の様々な代表的実施形態を示しており、明細書の一部である。図面は、以下の説明と共に、本システムと方法の原理を図示し、説明している。図示の実施形態は、本システムと方法の例であり、その範囲を限定するものではない。
【0010】
図面を通して、同じ参照番号は、同様の要素を示しているが、必ずしも同一の要素ではない。
【0011】
本明細書は、最小侵襲手術(MIS)の技法を使って脊椎手術を実行するためのシステムと方法について説明している。更に、1つの代表的な実施形態によれば、本明細書は、開創器ロッキング機構を創傷の外側に維持したままで、カニューレ部材が内外側方向に回動できるようにする低侵襲性アクセスポートについて説明する。更に、ここに記載する代表的な低侵襲性アクセスポート器具は、作業アクセスポートに干渉すること無く、統合された光、吸引、及び潅注の能力を提供する。ここで説明している低侵襲性アクセスポートの機能は、低侵襲性アクセスポートを挿入する前に任意の数のペディクルスクリューが挿入される手術方法を可能にする。更に、この代表的なMIS技法は、多裂筋側方の筋膜面にヘ゜テ゛ィクルスクリューと、低侵襲性アクセスポートを挿入して、手術中の軟組織への損傷を大いに低減する。本代表的システムと方法の更なる詳細について、以下に規定する。
【0012】
一例として、ペディクルスクリューシステムを、後部腰椎融合プロセスで、最小侵襲手術(MIS)の技法によって、脊椎に固定することができる。システムは、脊椎の椎骨茎に挿入され、次いで、少なくとも脊椎の一部を操作するために(例えば、湾曲、圧縮又は膨張の補正、及び/又は構造的な強化)ロッドと相互接続される。脊椎の固定及び/又は矯正手術にMIS法を使用すると、患者の回復時間が短縮し、補完手術の危険性が減ることが分かっている。
【0013】
MIS技法を使用して脊椎固定及び/又は矯正手術を効率的に行う能力は、この代表的なシステムと方法に従って提供される低侵襲性アクセスポート及び関係する手術方法を使用することによって高められ、そのシステムと方法は、以下に詳細に説明する様に、従来のシステムに勝る多数の利点を提供する。
【0014】
以下の詳細な説明では、説明を目的として、低侵襲性アクセスポートシステムのための本システムと方法を十分に理解できるように、多数の具体的な詳細について述べる。しかしながら、当業者には明白なように、本方法は、これらの具体的な詳細無しに実施することができる。別の例では、低侵襲性アクセスポートに関係する周知の構造は、各実施形態の説明が必要以上に曖昧になるのを避けるため、詳しく図示又は説明していない。本明細書での「1つの実施形態」又は「或る実施形態」については、実施形態と関連して述べている具体的な特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味している。本明細書の様々なところに「1つの実施形態では」という語句が出てくるが、必ずしも全て同じ実施形態のことではない。
(代表的な全体構造)
【0015】
本システムと方法は、どの様なシステムでも実施することができ、どのようなシステムにも組み込むことができるが、ここでは、本システムと方法について、説明を簡単にすることのみを目的に、上を覆っている組織への外傷を最小にしながら下層にある脊椎の骨構造へのチャネルを提供する、整形外科脊椎手術で使用する低侵襲性のアクセスポータルの文脈で、記載する。この代表的なシステムと方法の態様によれば、低侵襲性のアクセスポータルは、筋肉開創の必要性を最小化することができる。更に、1つの代表的な実施形態によれば、低侵襲性のアクセスポータルは、種々の医療器具に十分な光、潅注、吸引、及び空間を提供する。代表的なシステム及び方法の特徴と利点について、以下の詳細な説明に記載し、一部は詳細な説明から明白になるであろう。
【0016】
図1は、1つの代表的な実施形態による、展開位置にある、組み立て状態の低侵襲性アクセスポート器具(100)を示している。図示の通り、代表的な低侵襲性アクセスポート器具(100)は、近位端(140)と遠位端(150)を有する2部品構成の開創器(120)を含んでいる。更に、カニューレ(110)は、2部品構成の開創器(120)の近位端(140)に連結されている。カニューレ(110)の内壁は、アクセスポート(130)を画定している。1つの代表的な実施形態によれば、器具とインプラントは、カニューレ(110)によって画定されるアクセスポート(130)を通して、2部品構成の開創器(120)によって作られている作業空間に送られる。更に、図1に示している様に、低侵襲性アクセスポート器具(100)のカニューレ部分(110)は、光、潅注、及び吸引のための一体型のインターフェース(102)を含んでいる。図1に示している代表的な実施形態によれば、ハウジング(108)は、カニューレ(110)の上部の回りにカラーを形成し、光、潅注、及び吸引のインターフェース(102)、並びに光、潅注、及び吸引のチャネルを収納している。以下で更に詳細に説明する1つの代表的な実施形態によれば、カニューレ(110)は、一旦トロカールとkワイヤが取り外されると、カニューレを軸方向及び内外側方向の両方に回転させることができるように、2部品構成の開創器(120)に回動可能に連結されている。カニューレ(110)が、2部品構成の開創器(120)内で軸方向と内外側方向の両方に回動することができると、2部品構成の開創器(120)によって画定される作業部位全体へアクセスすることができるようになる。1つの代表的な実施形態によれば、直視下で作業部位を可視化することができる。低侵襲性アクセスポート器具(100)の各構成要素、それらのアッセンブリ、及びそれらと結び付けて用いられるツールの更なる詳細を、以下に、図1−10Cを参照しながら提供する。
【0017】
先に述べた様に、代表的な低侵襲性アクセスポート器具(100)は、トロカールを使用して、作業エリア内に滑動可能に配置される。図2は、図1の低侵襲性アクセスポート器具(100)と共に使用する代表的なトロカール(200)を示している。手術において、最初にkワイヤが軟組織に挿入される。次に、任意の数のペディクルスクリューが、所望の骨塊に経皮的に挿入される。次に、トロカール(200)が、軟組織を広げて所望の作業部位にアクセスできるようにするため、kワイヤに沿って配置される。ここで用いるトロカール(200)は、組織を診察し又は拡張するのに用いられるどの様なスタイレットでもよい。1つの代表的な実施形態によれば、トロカール(200)は、一端に三角形の点を有している。しかしながら、この代表的な低侵襲性アクセスポート器具(100)と共に用いられるトロカール(200)の先端は、どの様な幾何学的形状でもよい。
【0018】
図1の低侵襲性アクセスポート器具(100)の代表的な構成要素について引き続き述べると、器具の下部には、2部品構成の開創器(120)が含まれている。代表的な1つの実施形態によれば、この代表的な低侵襲性アクセスポート器具(100)の2部品構成の開創器(120)は、近位端(140)と遠位端(150)を有しており、2部品構成の開創器(120)の遠位端(150)を拡張させると、開創器の近位端(140)が圧縮され、その逆にもなる。具体的に、図3は、先に説明した様に作動する代表的な2部品構成の開創器(120)を示している。具体的には、図3の代表的な実施形態に示している様に、2部品構成の開創器(120)は、中心位置で回動可能に連結されている第1部材(300)と第2部材(310)を含んでいる。第1部材(300)は、上部(302)と下部(304)を有している。同様に、第2部材(310)は、下部(314)と上部(312)を有している。各開創器部材(300、312)は、個別の部材であり、互いに連結されていても、いなくてもよい。
【0019】
皮膚(330)の開口部(320)に挿入されるとき、上部(302、312)は、図3に示している様に離れていて、この結果下部(304、314)が接近して配置され、侵襲性を最小限にしている。挿入されると、2部品構成の開創器(120)は、椎骨(340)又は他の所望の構造に作業可能にアクセスできるように、動かされる。
【0020】
図4Aは、下部(304、314)を互いに引き離す開創機能を実行している開創器(120)を示している。下部(304、314)が互いに離れると、所望の医療部位から筋肉と組織が引き上げられ、所望の医療部位に対して視認とアクセスができるようになる。図4Aに矢印で示している様に、2部品構成の開創器(120)の下部(304、314)を拡張させると、上部(302、312)が収縮する。その結果、2部品構成の開創器(120)の上部(302、312)は、一緒になってアクセスポート(130)を形成する。出来上がったアクセスポート(130)は、所望の医療部位へのアクセスを提供する。所望の医療部位は、外科医が明瞭で且つ清潔なアクセスを必要とする、椎骨(340)又は他の場所の様な、どの様な医療部位でもよい。
【0021】
図5Aは、1つの代表的な実施形態による、この低侵襲性アクセスポート器具(100;図1)と共に用いられる代表的な2部品構成の開創器(120)を示している。図5Aに示す様に、2部品構成の開創器(120)は、可動ロックアーム(506)と、ロックアーム(506)を保持するための多数の固定手段(504)で構成されている上部を含んでいる。更に、代表的な2部品構成の開創器(120)の下部は、開創器ブレード(510)を含んでいる。図3の2部品構成の開創器(120)と同様に、近位部(140)と遠位部(150)は、逆方向に作動する。具体的には、可動ロックアーム(506)が離れた状態にあれば、開創器ブレード(510)は接合されている。逆に、可動ロックアーム(506)が一つに寄せられると、開創器ブレード(510)は、離れて、所望の医療部位にアクセスを提供する。所望の医療部位へのアクセスを維持するため、可動ロックアーム(506)は、固定手段(504)で接合位置に固定され、所望の医療部位へ確実にアクセスがが維持されるようにする。図5Aに示す代表的な実施形態によれば、固定手段(504)は、コンプライアンスのある雄型アームで、剛性のある雌型アームにスナップ嵌合されるようになっている。代わりに、様々な代表的代替実施形態によれば、固定手段(504)には、限定するわけではないが、ラッチ、ラチェット式ラッチ、クラスプ、フック、キャッチ、カムレバーなどが含まれる。
【0022】
図5Bは、1つの代表的な実施形態による、代わりの固定機構(504’)を含む開創器(120)を示している。具体的には、図5Bは、開創器の少なくとも1つのアーム(506)に取り付けられているラチェット式保持機構(504’)を有する2部品構成の開創器(120)を示している。図5Bに示す代表的な実施形態によれば、開創器(120)の第2ロックアーム(506)は、開創器が展開位置にあり、開創器ブレード(510)が離れているときに、保持機構(504’)に確実に受け入れられるように作られている突出部を含んでいる。従来の開創器に勝る代表的な2部品構成の開創器(120)の1つの利点は、近位部(140)と遠位部(150)が逆方向に動くように開創器を設計することによって、ロック機構又は固定手段を開創器(120)の近位部に配置できるようになっていることである。従って、従来の開創器に比べると、ロック機構は、医療処置の間は創傷の外側に配置され、外科医に、展開及び/又は開創に好都合のアクセスを提供する。更に、展開後に開創器ブレード(510)を引き入れる能力が、この2部品構成の開創器(120)を再利用できるようにする。
【0023】
同様に、図5Cは、代替実施形態による、別の代わりの固定機構(504”)を示している。図示のように、ラチェット式固定機構(504”)を使えば、ロックアーム(506)を、従って開創器ブレード(510)を、任意の数の展開段階の位置に固定することができる。
【0024】
図6は、オプションの、軟組織に対する障壁(600)を有する2部品構成の開創器(120)の別の実施形態を示している。1つの代表的な実施形態によれば、開創器ブレードを展開させたときに、軟組織に対する障壁(600)がブレード間の空間を占有するように、可撓性材料が開創器ブレード(510)に追加されている。1つの代表的な実施形態によれば、軟組織の障壁(600)が開創器ブレード(510)の間に追加され、開創器ブレード(510)を展開させたときに、軟組織が作業チャネルに脱漏して来ることの無いようにしている。
【0025】
代わりに、開創器ブレード(510)は、軟組織の障壁(600)を組み込むのではなく、展開させたときに取り囲まれた空間を提供するように設計してもよい。具体的に、図7Aは、開位置にある低侵襲性アクセスポートアッセンブリ(100、図1)の代表的な2部品構成の開創器(120)部分の側面図である。同様に、図7Bは、アッセンブリの断面図である。この代表的な実施形態によれば、開創器ブレード(510)は、図7Bに示す重なり合う構成で連結されている第1の剛性開創器部分(702)と第1の可撓性開創器部分(704)を有している。同様に、図8Aは、閉位置にある低侵襲性アクセスポートアッセンブリ(100、図1)の2部品構成の開創器(120)の側面立面図であり、図8Bは、1つの代表的な実施形態による、閉位置にあるアッセンブリの断面図である。この代表的な実施形態によれば、2部品構成の開創器(120)は、剛性開創器部分(702)と可撓性開創器部分(704)を有している。可撓性開創器部分(704)は、反対側の開創器の回りに伸張して、空洞を取り囲んでいる。開くと、可撓性開創器部分(704)が反対側の剛性開創器部分の上を滑動し、2つの開創器部分(702、704)が、取り囲まれた空間を維持しながら、広がって離れるようになっている。
【0026】
以上、代表的な2部品構成の開創器(120)の開創器ブレード(510)について説明し、図で具体的な形状を有するものとして示してきたが、2部品構成の開創器(120)の開創器ブレード(510)は、どの様な形状でもよく、所望の手術目的を満たすのであればどの様な材料で作ってもよい。
【0027】
代表的な低侵襲性アクセスポート器具(100、図1)の構成要素について引き続き述べると、図9Aは、2部品構成の開創器(120、図1)と係合させる前の代表的なカニューレアッセンブリ(110)を示す斜視図である。図示の通り、代表的なカニューレは、アクセスポート(130)を画定し、カニューレアッセンブリ(110)の近位端(140)にハウジング(108)を有しており、カニューレアッセンブリの遠位外側表面に形成されているボス(900)を有している。図9Aに示す代表的な実施形態によれば、ハウジング(108)は、光ファイバーの光、灌注、及び吸引のための統合型インターフェース(102)を有している。図9Aに示す1つの代表的な実施形態によれば、カニューレアッセンブリ(110)の本体によって画定されているアクセスポート(130)は、特定されている手術位置にアクセスする多数の手術器具が通過できるだけの大きさで、適切な形状になっている。更に、アクセスポート(130)はまた、光学検査ポータルを提供し、外科医が、光学カメラなどを使用すること無く、特定された手術位置を視認検査できるようにしている。
【0028】
カニューレアッセンブリ(110)の遠位部に形成されているピボットボス(900)は、カニューレアッセンブリ(110)が、2部品構成の開創器(120)の内壁に形成されている対応する雌型オリフィス(図示せず)に受け入れられ、捕捉されるように構成されている。この代表的な実施形態によれば、ピボットボス(900)は、対応する雌型オリフィスに捕捉されるようにカニューレアッセンブリ(110)から十分に突き出て、カニューレアッセンブリが係合解除されること無く、2部品構成の開創器(120)に対して何れの方向にも回動できるようになされている。様々な代表的な実施形態によれば、ボス(900)は、図9Aに示す様な略楕円形のタブであってもよいし、さもなければ、ピボットボス(900)は、カニューレアッセンブリ(110)を2部品構成の開創器(120)に確保すると同時に、両者の間での回動を許容するような、他の何らかの適した保持機構の形状を取っていてもよい。
【0029】
図9Bは、レイラアーム取り付け具(910)が連結されているカニューレアッセンブリの代替実施形態を示している。取り付け具(910)は、カニューレアッセンブリ(110)を作動中に位置決めアームへ取り付けるためのマウントとして機能する。代替実施形態では、様々な大きさと構成のマウントが当技術分野で知られているように、カニューレアッセンブリに追加することができる。図9Bに示す様に、ボス(900)は、カニューレアッセンブリ(110)の反対側に形成され、カニューレアッセンブリ(110)の、2部品構成の開創器(120)内での多軸回転をやり易くしている。
【0030】
図9Cは、1つの代表的な実施形態による、カニューレアッセンブリ(110)の底面等角図である。図9Cに示すように、多数のチャネル(920)が、作業部位をカニューレアッセンブリ(110)の近位端のカラー(108)と接続しているカニューレ壁(930)の中に設けられている。1つの代表的な実施形態によれば、作業部位の吸引と灌注は、カニューレアッセンブリ(110)の遠位面のチャネル(920)即ち経路を通して実現される。統合型のインターフェース(102)は、カラー(108)に含まれており、チャネル(920)に接続されて、作業部位で吸引と灌注に対応する。更に、1つの代表的な実施形態によれば、光は、手術のヘッドランプと共に用いられるのと同様の光ファイバーケーブルを通して、カニューレアッセンブリ(110)に、従って作業部位に供給される。1つの代表的な実施形態によれば、光ファイバーケーブルは、カニューレアッセンブリ(110)の遠位面で、切頭されている。この代表的な実施形態によれば、光ファイバーケーブルからの光は、光ファイバーケーブルの場合と同様にカニューレアッセンブリ(110)の壁を伝わり、作業部位を照らす。
【0031】
チャネル(920)は、カニューレ壁(930)の中に穿孔又は他のやり方で形成することができ、図9Dは、カニューレ壁(930)の代替実施形態を示している。図9Dに示す代表的な実施形態によれば、カニューレスリーブ(940)は、アクセスポート(130)を画定するカニューレ壁(930)を含んでいる。カニューレ壁(930)の外側表面は、外側カニューレ壁(930)にスロット(920’)を画定する複数のリッジ又はフィンを含んでいる。更に、カニューレスリーブ(940)又はシースが、カニューレ壁(930)の外側を覆って形成されており、カニューレ壁(930)の外側表面に設けられているフィン又はスロット(920’)を密封している。カニューレ壁(930)の外側表面に設けられているスロット(920’)は、リッジ、溝、チャネル、フィンなどであってもよい。スロット(920’)は、吸引用、光源としての光フィラメント設置用、ビデオ送給用、または同様のものの経路を提供する。この代表的な実施形態の態様によれば、カニューレアッセンブリ(110)は、光透過性の材料で作られており、カニューレの壁を通して光を作業空間に送る。代表的な低侵襲性のアクセスポート器具(100、図1)の組み立て及び展開について、図10Aから図10Cを参照しながら説明する。
【0032】
先に述べた様に、kワイヤは、X線透視装置の支援を受けて、所望の作業空間に挿入される。次に、任意の数のペディクルスクリューが、所望の骨塊に経皮的に挿入される。次にトロカール(200)が、kワイヤに沿って配置されて、軟組織を拡張し、所望の作業部位にアクセスを提供する。トロカールが適切に配置された状態で、2部品構成の開創器(120)が、トロカール(200)に沿って導入され、作業部位(図示せず)に下ろされる。図10Aに示している様に、非展開の形態の2部品構成の開創器(120)は、開創器ブレード(510)を、互いに隣接したまま保持し、チャネルを形成している。トロカール(200)が、チャネルの遠位開口部内に受け入れられると、2部品構成の開創器(120)は、開創器の遠位部(150)が所望の作業空間に入るまで、非展開の状態でトロカール(200)に沿って押し下げられる。
【0033】
2部品構成の開創器(120)が所望の作業空間に正しく配置された状態で、カニューレアッセンブリ(110)も、トロカール(200)に沿って、2部品構成の開創器と係合するまで挿入される。図10Bは、トロカール(200)に外挿して挿入された代表的なカニューレアッセンブリを示している。図示の様に、2部品構成の開創器(120)は、展開されていないので、ロックアーム(506)は、ロックされていない開位置のままである。先に述べた様に、カニューレアッセンブリは、2部品構成の開創器(120)内の結合受け入れ陥凹部と係合する或る数のボス(900、図9C)を有しており、軸方向及び内外側方向に回転できる能力を維持しながら、カニューレアッセンブリ(110)を開創器(120)に連結する。図10Bに示す様に、トロカール(200)は、カニューレアッセンブリ(110)のアクセスポート(130)を通して受け入れられている。
【0034】
図10Cは、トロカール(200)をアッセンブリから取り外す前の、展開位置にある低侵襲性のアクセスポート器具(100)を示している、図示の様に、2部品構成の開創器(120)のロックアーム(506)は、互いに引き付けられ、カニューレアッセンブリ(110)の回りで2部品構成の開創器の上部又は近位端(140)を閉じている。2部品構成の開創器(120)のロックアーム(506)が互いに引き付けられているので、開創器の遠位端(150)が開いて、作業部位の軟組織を更に拡張させている。開創器(120)は、各ロックアーム(506)セットに取り付けられている保持機構(504)で展開位置に固定されている。2部品構成の開創器(120)が展開位置にある状態で、トロカール(200)を取り外し、作業部位を操作することができる。
【0035】
1つの代表的な実施形態によれば、2部品構成の開創器(120)は、展開された後で直径方向に拡張させることができる。これは、開創器内の作業エリア/チャネルを増やすことになる。適切な拡張器具であれば、どの様なものでも使用することができる。低侵襲性のアクセスポート器具(100)の実施及び操作の更なる詳細について、図11から図13を参照しながら以下に提供する。
(代表的な実施及び操作)
【0036】
図11は、この代表的な低侵襲性のアクセスポート器具(100)を使用して、患者の脊椎の所望の作業部位にアクセスする代表的な方法を示している。図11に示している様に、代表的な方法は、先ず、1つ又は複数のペディクル茎スクリューを椎骨に経皮的に設置する段階によって始まる(ステップ1100)。ペディクルスクリューが所定の位置に配置されると、トロカール又は他の拡張器具が、ペディクルスクリューの場所に挿入される(ステップ1110)。トロカールが所定の位置に配置されると、2部品構成の開創器が、トロカールに沿って滑動可能に挿入され(ステップ1120)、その後、カニューレアッセンブリが、トロカールに沿って挿入され、2部品構成の開創器と係合される(ステップ1130)。低侵襲性のアクセスポート器具(100、図1)が組み立てられると、開創器が展開され(ステップ1140)、その後トロカールが取り外される(ステップ1150)。上記方法の各段階の更なる詳細について、図11から図13を参照しながら説明する。
【0037】
先に述べた様に、この代表的な方法は、トロカール又はカニューレを挿入する前に、1つ又は複数のペディクルスクリューを患者の椎骨に挿入する段階(ステップ1100)を含んでいる。1つの代表的な実施形態によれば、1つ又は複数のペディクルスクリューの経皮的挿入(ステップ1100)、トロカールの挿入(ステップ1120)、及びトロカールに沿わせた開創器の挿入(ステップ1130)は、多裂筋の側方の面で実行される。図12に示す様に、腰椎(340)は、椎骨の上部を走る数多くの筋肉グループを有している。図12に示す様に、多裂筋(1200)は、棘状突起(1205)に隣接して位置している。最長筋グループ(1210)は、多裂筋(1200)の側方に位置している。現在のMIS法は、E1で示されている多裂筋グループ(1200)を横断する入口経路を通して、ペディクルスクリューと、その関連するハードウェアを挿入する。この技法は、軟組織を不必要に損傷させ、患者に痛みを課し、リハビリテーションを長引かせることになる。本発明の代表的な実施形態によれば、E2で示されている入口経路が、ペディクルスクリュー、トロカール、又はカニューレの挿入に用いられる。
【0038】
具体的には、1つ又は複数のペディクルスクリューの、患者の椎骨への挿入(ステップ1100)は、多裂筋(1200)の側方の面で鈍的切開を実行し、面関節の横側面に達している横突起のエリアに近づく段階を含んでいる。次に、透視下で、スクリュードライバと、スリーブ(図示せず)有り又は無しのスクリュー/スリーブアッセンブリを使って、椎ペディクルスクリュー(1220)を椎骨(340)内に設置する。
【0039】
ペディクルスクリュー(1220)が所定の位置に配置されると、トロカール又は他のスリーブが、多裂筋の側方の面内で、ペディクルスクリューの場所に挿入される(ステップ1110)。トロカールを挿入すると、軟組織が拡張され、作業空間が形成できるようになる。トロカールが適切に配置されると、2部品構成の開創器(120、図1)がトロカールに沿って配置され、作業空間に滑動可能に挿入される(ステップ1120)。先に述べた様に、2部品構成の開創器(120、図1)が作業空間内に配置されるとき、ロックアーム(506、図5A)は、少なくとも部分的には創傷の外側に位置する。これにより、2部品構成の開創器を展開位置に容易にロックできるようになる。
【0040】
開創器が適切に配置されると、カニューレアッセンブリが、トロカールに外挿して配置され、開創器と係合し(ステップ1130)、その後、開創器が展開される(ステップ1140)。1つの代表的な実施形態によれば、開創器の展開と、カニューレアッセンブリと開創器の係合は、何れの順序で行ってもよい。1つの代表的な実施形態によれば、2部品構成の開創器が展開されると(ステップ1140)、作業空間を取り巻く筋肉が開創される。開創器を展開する前に、一連のコブエレベータ及び他の器具を用いて、筋肉を面関節及び神経隆縁と棘状突起から骨膜下切開し、開創器を展開するための作業空間を作る。
【0041】
開創器を作業空間内で展開させると、トロカールと他の全てのスリーブは、低侵襲性アクセスポート器具(ステップ1150)のアクセスポートから取り外される。取り外されると、作業空間にアクセスして、減圧術、椎間板切除術、椎体間固定術、部分的椎間関節切除術、神経椎間孔拡大術、椎間関節固定術、脊椎後側方固定術、棘状突起除去、棘間突起伸延器の設置、又は、椎間関節置換、椎骨茎置換、後側方腰椎間板の置換、又は数多くの他の処置の何れかが実施される。
【0042】
この低侵襲性のアクセスポート器具(100、図1)によってもたらされる回転の自由度のお陰で、アクセスポート(130、図1)を通して様々な処置を実行するのがやり易くなる。図13は、2部品構成の開創器(120)内でのカニューレアッセンブリ(110)の内外側方向の運動を示している。具体的には、2部品構成の開創器(120)内でのカニューレアッセンブリ(110)の内外側方向運動は、数多くの要素によってやり易くなる。先ず、カニューレアッセンブリ(110)の遠位外側表面に形成されたボス(900)は、開創器(120)の内側表面に形成された窪みと嵌合し、内外側方向の回動中に、カニューレアッセンブリ(110)を開創器内に保持する。加えて、カニューレアッセンブリ(110)は、開創器(120)のヒンジポイント(1300)の回りに回動して、多方向を見渡せる窓を提供する。アーム(506)と開創器ブレード(510)の間のヒンジ(1300)は、カニューレとカニューレアッセンブリを左右に動かせるようにする。代替実施形態によれば、アーム(506)は、可撓性材料又はコンプライアンスのある部分によって開創器(120)に取り付けられており、カニューレを左右に動かすときに撓ませることができるので、カニューレを範囲一杯に動かすことができる。代わりに、アームは、取り外し可能であってもよいし、開創位置で折り畳んでもよい。
(代替実施形態)
【0043】
図14A−14Dは、低侵襲性のアクセスポート器具(100)の代替実施形態を、様々な展開度で示している。器具(100)は、開創器(120)を展開位置に保持するための代わりの保持機構(504’)を含んでいる。具体的には、保持機構(504’)は、カニューレ(110)の中に入っており、開創器(120)が展開するまでは開創器と整列していない。図14Dは、開創器(120)とカニューレ(110)の間のインターフェースが、どの様な、作業部位を一杯に見ることができるようにカニューレを垂直方向軸の回りに動かすことができるヒンジ式インターフェースであるかを示している。
【0044】
図15A−図15Cは、上に切り欠き観察チューブ(110’)を有する、展開した状態及び展開していない状態にある、2部品構成の開創器(120)の別の実施形態を示している。切り欠き部(1500)は、チューブ(110’)が、アーム(506)と開創器ブレード(510)の間のヒンジポイント上を滑動できるようにしている。従って、アーム(506)の両側にタブ(504’)が付いた切り欠き部(1500)は、開創器を一杯に展開した位置に維持する(そして、アームを閉位置に維持する)ための固定機構として働く。
【0045】
この代表的なシステムの別の利点は、カニューレと開創器を作ることのできる複合材、プラスチック、及び放射線不透過性材料を含む材料の多様さである。既存のMISアクセスポートは金属で作られており、金属は電気を伝導するので、電気焼灼器具からアーク放電させて神経に望ましくない刺激を与える虞があるとか、金属は反射するので、手術部位を鮮明に見るのが難しい環境を作るとか、金属は放射線不透過性なので、手術時にX線を使用し難い、という欠点を有している。部分的に放射線不透過な代替材料であれば、最適な手術時のX線を提供できであろう。先行技術の形状及び構造的完全性は、代替材料の使用を考慮していない。
【0046】
つまり、この代表的なシステムと方法は、外科医が、低侵襲性のアクセスポートの視認角を、正面の作業部位へと操作できるようにしている。ポートを正中線方向及び横方向に操作することで、神経要素の減圧術、脊椎の対側の側への簡単なアクセス、その側の皮膚を通して管を設置する必要性の排除、後側部方固定術のための同側の横突起へのアクセスがやり易くなり、外科医が手術部位を良く見ることができるようにすることによって、全般的に手術の処置が簡単になる。更に、この代表的なシステムと方法は、処置中に筋肉を遠位方向に持ち上げるのではなく、筋肉の開創を行えるようにする。更に、この代表的なシステムは、アーム固定機構を、外科医が容易にアクセスできる創傷の外側に配置している。
【0047】
更に、このシステムと方法は、光源、吸引器具、及び灌注器具が低侵襲性のアクセスポート器具の構造と一体になっているので、これらの部品の付加的使用を必要としない。既存のMISアクセスポートは、光源、吸引器具、及び灌注器具の付加的使用を必要とし、それら全てが、手術器具のため、及び手術部位を視るための空間を減らす。
【0048】
以上の説明は、この方法及びシステムを示し、説明するために呈示したに過ぎない。網羅性を意図してはおらず、このシステムと方法を開示した形態そのものに限定する意図もない。上記教示に鑑み、多くの修正及び変更が可能である。
【0049】
上記実施形態は、本システム及び方法の原理、並びに幾つかの実用的な用途を分かり易くするために選定して説明した。上記詳細な説明は、当業者が、本方法及びシステムを、考えられる具体的な使用に適した様々な実施形態で、様々に修正して利用できるようにしている。この代表的なシステムと方法の範囲は、特許請求の範囲によって定義されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】1つの代表的な実施形態による低侵襲性アクセスポートの等角図である。
【図2】1つの代表的な実施形態による、図1の低侵襲性アクセスポートと共に用いられるトロカールである。
【図3】1つの代表的な実施形態による、患者に挿入されている2部品構成の開創器の部分破断図である。
【図4A】1つの代表的な実施形態による、2部品構成の開創器の側面図である。
【図4B】1つの代表的な実施形態による、2部品構成の開創器の上から見た断面図である。
【図5A】1つの代表的な実施形態による、ロックアームと複数の固定機構を有する2部品構成の開創器を示す等角図である。
【図5B】様々な代表的な実施形態による、ラチェット固定機構を有する2部品構成の開創器を示す側面図である。
【図5C】様々な代表的な実施形態による、ラチェット固定機構を有する2部品構成の開創器を示す側面図である。
【図6】1つの代表的な実施形態による、随意の軟組織の障壁を有する開創器の側面図である。
【図7A】1つの代表的な実施形態による、低侵襲性アクセスポートアッセンブリの開創器部分の側面図である。
【図7B】1つの代表的な実施形態による、低侵襲性アクセスポートアッセンブリの断面図である。
【図8A】1つの代表的な実施形態による、低侵襲性アクセスポートアッセンブリの開創器部分の側面図である。
【図8B】1つの代表的な実施形態による、低侵襲性アクセスポートアッセンブリの断面図である。
【図9A】1つの代表的な実施形態による、カニューレアッセンブリの平面等角図である。
【図9B】1つの代表的な実施形態による、上にレイラアーム取付具が設けられたカニューレアッセンブリの等角図である。
【図9C】1つの代表的な実施形態による、図9Aのカニューレアッセンブリの底面等角図である。
【図9D】1つの代表的な実施形態による、カニューレスリーブの等角図である。
【図10A】1つの代表的な実施形態による、トロカールに沿って滑動する2部品構成の開創器の等角図である。
【図10B】1つの代表的な実施形態による、図3の2部品構成の開創器と係合させるためトロカールに外挿して導入されたカニューレアッセンブリの等角図である。
【図10C】1つの代表的な実施形態による、トロカールを取り外す前の配備展開位置にある低侵襲性のアクセスポートの等角図である。
【図11】1つの代表的な実施形態による、本発明の低侵襲性のアクセスポートを使用して脊髄の手術を実行するための方法を示す流れ図である。
【図12】1つの代表的な実施形態による、多裂筋の側方の筋膜面に挿入されている脊椎茎スクリューを示している上面図である。
【図13】1つの代表的な実施形態による、中外側方向回動軸の能力を示す、低侵襲性のアクセスポートの更に別の実施形態の側面図である。
【図14A】図14A−14Dは、1つの代表的な実施形態による、脊椎手術処置の間の、展開した状態、展開していない状態、又はその間の様々な位置にある、2部品構成の開創器の側面立面図である。
【図14B】図14A−14Dは、1つの代表的な実施形態による、脊椎手術処置の間の、展開した状態、展開していない状態、又はその間の様々な位置にある、2部品構成の開創器の側面立面図である。
【図14C】図14A−14Dは、1つの代表的な実施形態による、脊椎手術処置の間の、展開した状態、展開していない状態、又はその間の様々な位置にある、2部品構成の開創器の側面立面図である。
【図14D】図14A−14Dは、1つの代表的な実施形態による、脊椎手術処置の間の、展開した状態、展開していない状態、又はその間の様々な位置にある、2部品構成の開創器の側面立面図である。
【図15A】図15A−15Cは、1つの代表的な実施形態による、上に切り欠き観察チューブを有する、展開した状態及び展開していない状態にある、2部品構成の開創器の別の実施形態の側面図である。
【図15B】図15A−15Cは、1つの代表的な実施形態による、上に切り欠き観察チューブを有する、展開した状態及び展開していない状態にある、2部品構成の開創器の別の実施形態の側面図である。
【図15C】図15A−15Cは、1つの代表的な実施形態による、上に切り欠き観察チューブを有する、展開した状態及び展開していない状態にある、2部品構成の開創器の別の実施形態の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低侵襲性アクセスポート(100)であって:
第1の開創器ブレード(300)と、第2の開創器ブレード(510)と、前記第1の開創器ブレードから伸張している少なくとも1つのアーム(506)と、前記第2の開創器ブレード(510)から伸張している少なくとも1つのアーム(506)とを有している開創器(120)と;
壁(930)を有するカニューレ(110、110’)とを備え、該カニューレ(110、110´)は前記開創器(120)に滑動可能に連結される大きさに作られている、低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項2】
更に、前記アーム(506)の1つに連結されている保持部材(504)を備え、該保持部材(504)は、前記開創器(120)を、解放可能に展開位置に保持するように構成されている、請求項1に記載の低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項3】
前記保持部材(504)は、前記アーム(506)の1つに取り付けられたラチェット式ラッチ(504’、504”)を備えている、請求項2に記載の低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項4】
前記カニューレ(110、110’)の上部を前記カニューレ(110、110’)の底部に流体接続する前記カニューレ(110、110’)の前記壁(930)の中のチャネル(920)を更に備え、光ファイバのストランドが該カニューレのチャンネルに配置されている、請求項1に記載の低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項5】
前記カニューレの壁(930)は、光透過性である、請求項4に記載の低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項6】
前記カニューレのチャネル(920)に流体接続されているハウジング(108)を更に備えており、前記ハウジング(108)は、少なくとも1つの統合型インターフェースポート(102)を有している、請求項4に記載の低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項7】
前記カニューレ(110、110’)の前記底部に配置されているボス(900)を更に備え;前記ボス(900)は、前記開創器(120)内の開口部と嵌合して、前記カニューレ(110、110’)を前記開創器(120)に回動可能に接続するように構成されている、請求項1に記載の低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項8】
前記カニューレ(110、110’)は、2つの軸に沿って回動するように構成されている、請求項7に記載の低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項9】
前記アーム(506)は、前記カニューレ(110、110’)が軸線方向と内外側方向の両方向に旋回できるように、前記第1及び第2の開創器ブレード(510)に可撓的に接続されている、請求項8に記載の低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項10】
前記保持部材(504)は、前記開創器(120)が創傷(320)の中で展開されるときに、前記創傷(320)の外側にあるように構成されている、請求項2に記載の低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項11】
開創器(120)において、
第1の開創器ブレード(510)と、
第2の開創器ブレード(510)と、
前記第1の開創器ブレード(510)の上部から伸張している少なくとも1つのアーム(506)と、
前記第2の開創器ブレード(510)の上部から伸張している少なくとも1つのアーム(506)と、
前記アーム(506)の1つに連結されている保持部材(504)であって、該保持部材(504)は、前記開創器(120)を展開位置に解除可能に保持するように構成されている保持部材(504)と、を備えており、
前記保持部材(504)は、前記開創器(120)が創傷(320)の内側で展開されるときに、前記創傷(320)の外側にあるように構成されている、開創器。
【請求項12】
前記保持部材(504)は、前記アーム(506)の1つに取り付けられているラチェット式ラッチ(504’、504”)を備えている、請求項11に記載の開創器(120)。
【請求項13】
前記第1及び第2の開創器ブレード(510)は、前記アーム(506)を互いに引き寄せたときに拡張する、請求項11に記載の開創器(120)。
【請求項14】
低侵襲性アクセスポート(100)において、
第1の開創器ブレード(510)、第2の開創器ブレード(510)、前記第1の開創器ブレード(510)から伸張している少なくとも1つのアーム(506)、及び前記第2の開創器ブレード(510)から伸張している少なくとも1つのアーム(506)を有している開創器(120)と;
前記開創器(120)に滑動可能に連結される大きさに作られているカニューレ(110、110’)と、を備えており;
前記カニューレ(110、110’)は、前記開創器(120)に連結されているときは、2つの軸に沿って旋回できるように構成されている、低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項15】
前記アーム(506)は、前記カニューレ(110、110’)が、軸線方向と内外側方向の両方に回動できるように、前記第1及び第2の開創器ブレード(510)に可撓的に接続されている、請求項14に記載の低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項16】
前記カニューレ(110、110’)は、前記カニューレ(110、110’)の上部を前記カニューレ(110、110’)の底部に流体接続している前記カニューレ(110、110’)の壁(930)の中のチャネル(920)と;
前記カニューレ(110、110’)に連結されているハウジング(108)であって、前記ハウジング(108)は、前記カニューレのチャネル(920)に流体連結されているインターフェースポート(102)を有しているハウジングと、を更に備えている、請求項14に記載の低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項17】
低侵襲性アクセスポート(100)を使用して手術部位(340)にアクセスするための方法において、
kワイヤを、前記手術部位(340)の回りの軟組織(330)に挿入する段階と;
少なくとも1つのスクリュー(1220)を前記手術部位(340)に経皮的に挿入する段階と;
前記スクリュー(1220)挿入後に、トロカール(200)を前記kワイヤ伝いに設置し、前記軟組織(330)を拡張させ、前記手術部位(340)へのアクセスを提供する段階と、
開創器(120)を、前記トロカール(200)伝いに、前記手術部位(340)まで挿入する段階と;
カニューレ(110、110’)を前記開創器(120)に挿入する段階と;
前記開創器(120)を開いて、前記手術部位(340)を露出させる段階と、から成る方法。
【請求項18】
前記トロカール(200)を取り外す段階を更に含んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記スクリュー(1220)、前記kワイヤ、前記トロカール(200)、及び前記開創器(120)を、多裂筋(1200)の側方の筋膜面(E2)を通して挿入する段階を更に含んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
光ファイバー繊維を前記カニューレ(110、110’)の壁(930)の中に形成されている第1のチャネル(920)内に挿入し、前記手術部位(340)を照明する段階を更に含んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記カニューレ(110、110’)の壁(930)の中に形成されている第2のチャネル(920)を通して、前記手術部位(340)の吸引又は灌注を行う段階を更に含んでいる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記開創器(120)を展開位置にロックする段階を更に含んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
器具(100、1220)を、多裂筋(1200)の側方の筋膜面(E2)に送る段階を含んでいる、脊椎(340)にアクセスするための方法。
【請求項24】
侵襲性を最小限に抑えた手術で使用するための低侵襲性アクセスポータル器具(100)において、
部分的円筒形を有する第1の拡張部分(510)と、
部分的円筒形を有する第2の拡張部分(510)と、
前記第1の拡張部分(510)と前記第2の拡張部分(510)を接続する少なくとも1つのピボット接続部であって、前記第1の拡張部分(510)と前記第2の拡張部分(510)は、閉位置まで回動させると略円筒形(130)を形成する、ピボット接続部と、
前記拡張部分(510)のそれぞれから垂直方向に上向きに伸張している少なくとも1つのアーム(506)であって、前記アーム(506)は、前記拡張部分(510)を開閉するための梃子の作用を提供する、アームと、を備えている低侵襲性アクセスポータル器具。
【請求項25】
前記アーム(506)の1つに連結されている保持部材(504)であって、該保持部材(504)は、前記拡張部分(510)を展開位置に解除可能に保持するように構成されている保持部材を更に備えており、
前記保持部材(504)は、前記第1及び第2の拡張部分(510)が創傷(320)の内側に展開されるときは、前記創傷(320)の外側にあるように構成されている、請求項24に記載の低侵襲性アクセスポータル器具(100)。
【請求項26】
外科手術用開創器(120)において:
第1端部(312)と第2端部(314)を有している第1部材(310)であって、前記第1端部(312)は、前記第2端部(314)に対して或る角度で伸張している、第1部材と;
第1端部(302)と第2端部(304)を有している第2部材(300)と;を備えており、
前記第1部材(310)は、前記第2部材(300)に面する2つの縁部を有し、前記第2部材(300)は、前記第1部材(310)に面する2つの縁部を有し、前記縁部は、前記第1部材(310)と前記第2部材(300)の前記第1端部(312、302)から前記第2端部(314、304)まで伸張しており、前記縁部は、前記第1部材(310)と前記第2部材(300)の前記第2端部(304、314)に、外科手術用の開創器(120)を形成するために、前記第1部材(310)と前記第2部材(300)に、相対的に回転する中心軸となるように、梃子の支点を提供する、外科手術用開創器(120)。
【請求項27】
低侵襲性アクセスポート(100)において、
開創器(120)と、
前記開創器(120)に連結されるように構成されているカニューレ(110、110’)と、を備えており、
前記カニューレ(110、110’)は、中に複数のチャネル(920)が画定されている壁(930)を有し、
前記チャネル(920)は、前記カニューレ(110、110’)の上部を前記カニューレ(110、110’)の底部に流体接続している、低侵襲性アクセスポート(100)。
【請求項28】
前記カニューレのチャネル(920)に流体接続されているハウジング(108)であって、少なくとも1つの統合型インターフェースポート(102)を有しているハウジング(108)を更に備えており、
前記統合型インターフェースポート(102)は、光、吸引、及び潅注を、前記カニューレ(110、110’)の前記底部に提供する、請求項27に記載の低侵襲性アクセスポート(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【公表番号】特表2008−532710(P2008−532710A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502099(P2008−502099)
【出願日】平成18年3月18日(2006.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/009721
【国際公開番号】WO2006/102085
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(507137209)アルファスパイン インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】ALPHASPINE,INC.
【Fターム(参考)】