説明

低分子干渉RNAを用いたウイルス遺伝子発現の阻害

本発明は、ウイルスを介した遺伝子発現の阻害に対して有用である低分子干渉RNA(shRNAまたはsiRNA)を含む方法、組成物、およびキットを提供する。本明細書において記載されるような低分子干渉RNAは、HCV感染の処置の方法において使用され得る。HCVの内部リボソーム侵入部位(IRES)配列を標的にするshRNAおよびsiRNA構築物が記載される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、低分子干渉RNA(shRNAおよびsiRNA)を用いた、例えばC型肝炎IRESを介した遺伝子発現などのウイルス遺伝子発現の阻害に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、35 U.S.C. §119に基づき、2004年9月10日に出願された米国仮出願番号60/608,574の優先権を主張する、2005年9月12日に出願されたPCT出願PCT/US2005/032768の恩典を主張する。両出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0003】
連邦政府委託研究または開発に関する記述
本発明は、部分的に、National Institutes of Healthからの助成第5R43AI056611号によって支援された研究の間になされた。政府は、本発明における特定の権利を有し得る。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
C型肝炎ウイルス(HCV)感染の処置および予防は、この世界的な健康問題を制御することに対する主要な難問である;既存の治療は、部分的にのみ効果的であり、ワクチンは現在利用できない。C型肝炎(HCV)ウイルスは、世界中で1億7千万人を超える人々に感染し、肝臓移植の主な原因である。リバビリンおよびペグ化インターフェロンαを含む既存の処置は、患者のおよそ50%においてのみ効果的であり、かつ実質的な副作用を有する。より効果的なHCV処置の開発は、良い小動物モデルの欠如、組織培養細胞におけるウイルスの安定培養の不可能性、および高いウイルス突然変異率によって妨げられる[1-3]。HCVレプリコンシステムの有効性は、HCV複製、宿主-細胞相互作用、および抗ウイルス剤の評価の調査を可能にし、より最近では、完全HCV感染を可能にするトランスジェニックキメラヒト化マウス肝臓モデルが開発された[4-7]。さらに、HCV IRES依存性レポーターシステムのインビボイメージングの使用は、同じ動物を使用して複数の時点にわたるマウス肝臓における抗HCV剤による送達および阻害の効率的な評価を容易にした[8]。
【0005】
RNA干渉は、遺伝子発現の低下をもたらす進化的に保存された経路である。約19〜29 塩基対の合成低分子干渉RNA(siRNA)が、免疫応答を活性化することなく哺乳類細胞および動物における遺伝子発現を効果的に阻害し得るという発見は、これらの阻害剤を治療法として開発するための相次ぐ活動をもたらした[9]。siRNAの化学的安定化は、血清半減期の増加を引き起こし[10]、送達の課題が克服され得るならば、静脈内投与が、正の治療帰結を達成し得ることを示唆する。さらに、低分子ヘアピンRNA(shRNA)も、哺乳類細胞における標的遺伝子の強固な阻害を示し、バクテリオファージ(例えば、T7、T3、またはSP6)または哺乳類(U6もしくはH1などのpol IIIまたはpolII)プロモーターから簡単に発現され得、それらがウイルス送達に対する優れた候補であるようにする[11]。
【0006】
既存の処置が完全に効果的ではないので、HCVに対する効果的な核酸に基づく阻害剤を見出すために取り組みがなされている([4, 12]において概説される)。これらの取り組みは、伝統的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、ホスホロジアミダイトモルホリノオリゴマー[8]、リボザイム、およびより最近ではsiRNAを含む。siRNAがヒト組織培養細胞[13-19]および動物システム[20]におけるHCVを効果的に標的にし得ることを示されている。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明は、ウイルス、例えばC型肝炎ウイルス(HCV)におけるIRES媒介性の遺伝子発現を阻害するための方法、組成物、およびキットを提供する。
【0008】
当業者に公知のように、図4Aおよび図10ならびに表1に列挙される阻害性RNA配列(例えば、SEQ ID NO:19〜26)には、相補的な配列が包含され、各鎖の一方または両方の末端、例えば3'末端に付加され得る標的と無関係の配列も包含される。図4A、図10、および表1に示される阻害(アンチセンス認識)配列は、shRNAまたはsiRNAのいずれかに組み込まれ得る。shRNAの場合、示される配列はさらに、通常標的と無関係のヌクレオチド残基を含むループによってその相補配列に連結される。そのようなループの例は、図1Bおよび図1Cならびに図16A〜Bに示されるshRNA配列に示されている。siRNAおよびshRNAの両方の場合において、標的に相補的な鎖は一般的には完全に相補的であるが、いくつかの態様においては、標的に相補的な鎖はミスマッチを含み得る(例えばSEQ ID NO:13、14、および15を参照のこと)。配列は、標的化配列を遺伝子変異体または表現型の配列に相補的になるよう変更することによって、標的化されるウイルスの1つ以上の遺伝的変異体または表現型を標的化するよう多様化され得る。標的と相同な鎖は、例えば天然のマイクロRNAの場合のように、約0〜約5の部位において、約1〜約5ヌクレオチドのミスマッチ、挿入、または欠失を有する点で異なり得る。いくつかの態様において、配列は、複数のウイルス株、例えばHCVの複数のウイルス株を標的化し得るが、その配列は、標的化配列の少なくとも1つのヌクレオチド(例えば1つ、2つ、または3つのヌクレオチド)において菌株の標的と異なる。
【0009】
一つの局面において、本発明は、ウイルス遺伝子発現の阻害が、ウイルス標的配列との低分子干渉RNAの相互作用に起因するように、ウイルスのポリヌクレオチド配列と少なくとも部分的に相補的でかつ相互作用することが可能である少なくとも1つの低分子干渉RNAを含む組成物を提供する。一つの態様において、組成物は、例えば、配列番号:12、配列番号:16、配列番号:17、および配列番号:18からなる群より選択される配列を含む、選択される配列からなる、もしくは本質的に選択される配列からなる、または配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、もしくは本質的に選択される配列からなる、少なくとも1つのshRNAを含む。一つの態様において、shRNAは、配列番号:12において記載される配列を含む、該配列からなる、または本質的に該配列からなる。別の態様において、組成物は、少なくとも1つのsiRNAを含む。一つの態様において、組成物は、例えば、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、または本質的にそれらの配列からなる少なくとも1つのsiRNAまたはshRNAを含む。いくつかの態様において、低分子干渉RNA、例えばshRNAまたはsiRNAは、約19〜約30ヌクレオチド、または約19〜約25ヌクレオチド、例えば、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30ヌクレオチドのいずれかのウイルス配列と相互作用する。いくつかの態様において、低分子干渉RNAは、C型肝炎ウイルス配列に結合する。一つの態様において、低分子干渉RNAは、C型肝炎ウイルスの内部リボソーム侵入部位(IRES)配列内の配列に、例えば、配列番号:26(配列番号:11の残基344〜374)において記載される配列に結合する。一つの態様において、C型肝炎ウイルスは、HCV遺伝型1aである。
【0010】
いくつかの態様において、本発明の組成物は、例えば水または生理食塩水などの薬学的に許容される賦形剤を含み、任意で治療的有効量において(例えば、ヒトまたはチンパンジーもしくは新世界猿などの非ヒト霊長類におけるHCV感染を処置するために)提供される。一つの態様において、組成物は、本明細書において記載されるような少なくとも1つのshRNAまたはsiRNAおよび薬学的に許容される賦形剤を含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる薬学的組成物である。
【0011】
別の局面において、本発明は、上に記載される組成物のいずれかを含み、かつ任意で本明細書において記載されるようにウイルスにおける遺伝子発現を阻害するまたは個体においてウイルス感染を処置する方法に用いられる説明書をさらに含む、キットに関する。一つの態様において、このキットは、ヒトなどの個体におけるHCV感染を処置するための方法に用いられるものであり、配列番号:12、配列番号:16、配列番号:17、および配列番号:18からなる群より選択される配列を含む、該配列からなる、もしくは本質的に該配列からなる、または配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、もしくは本質的に該配列からなるshRNA、または配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:27、配列番号:32、および配列番号:33からなる群より選択される配列を含む、もしくは本質的に該配列からなるsiRNAを含み、かつ任意で、HCV遺伝型1aなどのC型肝炎ウイルスにおける遺伝子発現を阻害する方法に用いられる説明書、またはヒトもしくはチンパンジーなどの非ヒト霊長類などの個体におけるC型肝炎(HCV遺伝型1aなど)ウイルス感染を処置する方法に用いられる説明書をさらに含む。
【0012】
別の局面において、本発明は、哺乳動物の個体、例えばヒトまたは非ヒト霊長類におけるウイルス感染の処置方法を提供する。本方法は、ウイルスのポリヌクレオチド配列と少なくとも部分的に相補的でありかつそれに結合できる治療有効量の低分子干渉RNA、例えばshRNAまたはsiRNA、および薬学的に許容される賦形剤を個体に投与する工程を包含し、その低分子干渉RNAのウイルスポリヌクレオチド配列への結合が、ウイルスにおける遺伝子発現を阻害する、例えば個体におけるウイルス発現の量を減少させるかまたはその低分子干渉RNAを与えられなかった個体において想定され得るウイルス発現の量を減少させる。一つの態様において、ウイルス感染は、HCV遺伝型1aなどのC型肝炎ウイルスを含む。いくつかの態様において、ウイルスは、C型肝炎遺伝型1a、1b、2a、および2bからなる群より選択される。いくつかの態様において、低分子干渉RNAは、本明細書において記載されるshRNAまたはsiRNA配列ならびに本明細書において記載されるsiRNAまたはshRNA配列の1つの5ヌクレオチド以内に位置する配列のいずれかを含むか、それらの配列からなるか、または本質的にそれらの配列からなる。いくつかの態様において、低分子干渉RNAは、約19〜約30ヌクレオチド、または約19〜約25ヌクレオチド、例えば、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30ヌクレオチドのいずれかのウイルス配列に相補的である。一つの態様において、ウイルスは、HCV遺伝型1aなどのC型肝炎ウイルスである。一つの態様において、低分子干渉RNAは、配列番号:26において記載されるHCV 1aのIRES領域内の約19〜約25ヌクレオチドの配列に結合する。処置は、治療(例えば、感染の少なくとも1つの症候における改善または減少)または治癒を含み得る。いくつかの態様において、shRNAは、例えば静脈内注射または注入によって、非経口的に投与される。
【0013】
別の局面において、本発明は、例えばshRNAまたはsiRNAなどの低分子干渉RNAが、ウイルスのポリヌクレオチド配列と少なくとも部分的に相補的であり、かつ例えばウイルスポリヌクレオチド配列の開裂を誘導することによってウイルス遺伝子発現を阻害することが可能である配列を含むように、ウイルスRNAまたはウイルスmRNAを低分子干渉RNAに接触させることまたは低分子干渉RNAをウイルス含有細胞に導入することを含む、ウイルスにおける遺伝子発現を阻害する方法を提供する。いくつかの態様において、低分子干渉RNAは、本明細書において記載されるshRNAまたはsiRNA配列のいずれかひとつを含むか、それらの配列からなるか、または本質的にそれらの配列からなる。いくつかの態様において、低分子干渉RNAは、約19〜約30ヌクレオチド、または約19〜約25ヌクレオチド、例えば、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30ヌクレオチドのいずれかのウイルス配列と相互作用する。一つの態様において、ウイルスは、HCV 1aなどのC型肝炎ウイルスである。一つの態様において、低分子干渉RNAは、配列番号:26において記載されるHCV遺伝型1aのIRES領域内の約19〜約30ヌクレオチドの配列、ならびに本明細書において記載されるsiRNAまたはshRNAの1つの5ヌクレオチド以内に位置する配列に結合する。さらに他の態様において、少なくとも2つの低分子干渉RNAが細胞に導入される。
【0014】
本発明はまた、
(a)図10もしくは図16A〜Bに示される配列、例えば

または上記配列と1つ、2つ、または3つのヌクレオチドが異なる配列である、第一RNA配列;
(b)第一配列の相補鎖である第二RNA配列;
(c)4〜10ヌクレオチドからなる、第一核酸配列と第二核酸配列の間に位置するループ配列;および
(d)任意で、2ヌクレオチドのオーバーハング
からなるRNA配列に関する。本発明のいくつかの態様において、第一RNA配列は、

である。いくつかの場合、RNA配列は少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含み得る。本発明のRNA配列のループ配列は、例えば、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、または少なくとも10ヌクレオチドであり得る。いくつかの態様において、RNA配列はshRNAであり、少なくとも1つの非ヌクレオチド分子を含むループによって連結された、本明細書中に記載されるようなHCV標的配列および相補的配列を含む。特定の態様において、RNA配列のループは、shRNのセンス鎖の3'側かつ相補的なアンチセンス鎖の5'側にある。他の態様において、RNA配列のループは、shRNAのアンチセンス鎖の3'側かつ相補的なセンス鎖の5'側にある。いくつかの場合において、RNA配列は2ヌクレオチドのオーバーハングを含み、この2ヌクレオチドのオーバーハングは3'UUである。いくつかの場合において、オーバーハングは1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、またはそれ以上である。いくつかの場合において、第一RNA配列はSEQ ID NO:57〜79、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、またはSEQ ID NO:18のいずれか一つである。いくつかの場合において、RNA配列は図16A〜Bに示される配列である。
【0015】
本発明はまた、本明細書中に開示されるRNA配列(例えば図10または図16A〜Bに示されるRNA配列)をコードする配列を含むDNA配列に関する。本発明はまた、このようなDNA配列を含む発現ベクターを包含する。このようなDNA配列を含むレトロウイルスベクター、例えば細胞に感染させた場合に、例えば図16A〜Bに示されるshRNA配列であるがこれらに限定されない、本発明のRNA配列を発現し得るプロウイルスを生成し得るレトロウイルスベクターもまた包含する。
【0016】
いくつかの局面において、本発明は、本明細書中に開示されるRNA配列(例えば図16A〜Bに示されるshRNAであるがこれらに限定されない)および薬学的に許容される賦形剤を含む組成物に関する。いくつかの態様において、組成物は、本明細書中に開示されるベクターおよび薬学的に許容される賦形剤を含む。特定の態様において、本発明の組成物は、本明細書中に開示される少なくとも2つのRNA配列を含む。
【0017】
別の局面において、本発明は、C型肝炎ウイルスの発現または活性の阻害方法を包含する。この方法は、C型肝炎ウイルスを発現し得る細胞を提供する工程、および本明細書中に開示されるRNA配列(その非限定的な例は図16A〜Bに示される)とこの細胞とを接触させる工程を包含する。細胞は哺乳動物、例えばヒトまたは非ヒト霊長類、例えばチンパンジーにおける細胞であり得る。特定の態様において、細胞を少なくとも2つの異なるRNA配列と接触させる。
【0018】
いくつかの局面において、本発明は、C型肝炎ウイルスに感染した対象または感染した疑いのある対象を同定する工程、本明細書中に開示される1つ以上の異なるRNA配列を含む治療有効量の組成物を対象に提供する工程を包含する方法に関する。いくつかの態様において、この方法はまた、対象におけるウイルス量が、対象への組成物の提供後に減少するかどうかを決定する工程を包含する。いくつかの態様において、この方法はまた、対象への組成物の提供後に対象において少なくとも1つのウイルスタンパク質またはウイルス核酸配列が減少するかどうかを決定する工程を包含する。
【0019】
そうでないことが規定されない限り、本明細書中で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本発明を実施または試験する上で、本明細書中に記載される方法及び材料と類似のまたはそれらと等価な方法及び材料が使用され得るが、以下では好適な方法及び材料を記載する。本明細書中で言及する全ての公報、特許出願、特許、及びその他の参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。さらに、材料、方法、および実施例は解説のみを目的とするものであり、限定を意図するものではない。
【0020】
本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から明らかとなると考えられる。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明は、ウイルス(例えば、C型肝炎)遺伝子発現を阻害するおよび/または哺乳類におけるウイルス感染を処置するための組成物、方法、およびキットを提供する。
【0022】
RNA干渉は、ウイルス感染を処置するための新しい治療的アプローチを提供する。本発明は、1つのウイルス配列を標的にしかつウイルス遺伝子発現を阻害する(すなわち、軽減するまたは排除する)低分子干渉RNA(例えば、shRNAおよびsiRNA)、およびヒトなどの哺乳類におけるウイルス感染の処置に対してそのような低分子干渉RNAを使用する方法を提供する。いくつかの態様において、本発明の低分子干渉RNA構築物は、低分子干渉RNAのアンチセンス配列によって認識される標的配列内またはその近くのウイルスポリヌクレオチド配列の開裂を誘導することによって、ウイルスの遺伝子発現を阻害する。
【0023】
本明細書において使用されるように、「低分子干渉RNA」は、ウイルスのポリヌクレオチド配列と少なくとも部分的に相補的でかつ相互作用可能な1つまたは複数の短い配列を含むRNA構築物を指す。相互作用は、低分子干渉RNAの相補的(アンチセンス)配列とウイルス標的のポリヌクレオチド配列との間の直接的な結合の形式、または低分子干渉RNAのアンチセンス配列が標的配列を認識することを可能にする酵素的機序(例えば、タンパク質複合体)を介する間接的な相互作用の形式であり得る。いくつかの態様において、低分子干渉RNAによる標的配列の認識は、低分子干渉RNAの認識(アンチセンス)配列によって認識される標的部位内またはその近くのウイルス配列の開裂を引き起こす。低分子干渉RNAは、排他的にリボヌクレオチド残基を含み得る、または低分子干渉RNAは1つまたは複数の修飾残基を、特に低分子干渉RNAの末端もしくは低分子干渉RNAのセンス鎖上に含み得る。本明細書において使用されるような「低分子干渉RNA」という語は、shRNAおよびsiRNAを包含し、その両方は、特定の特徴および構造型をともなうRNA構築物を指すことが当業者にとって理解されかつ公知である。
【0024】
本明細書中で使用する場合、「shRNA」は、二重鎖領域および一方の末端にヘアピンループを形成するループ領域を含むRNA配列を意味する。二重鎖領域は典型的にはステムの各々の側において約19ヌクレオチド長〜約29ヌクレオチド長であり、ループ領域は典型的には約3〜約10ヌクレオチド長である(かつ3'末端または5'末端の単鎖オーバーハングヌクレオチドは任意である)。このようなshRNAの一つの例、HCVa-wt shRNAは、25塩基対の二重鎖領域(SEQ ID NO:12)、10ヌクレオチドのループ、5'末端のGG延長部分、および3'末端のUU延長部分を有する。適当なshRNA、例えばHCVの発現を阻害する上で使用するのに適当なshRNAのさらなる例は、本明細書を通じて、例えば図16A〜Bに提供される。
【0025】
本明細書中で使用する場合、「siRNA」は、二重鎖領域と共に、各々の側に非相同な残基の3'オーバーハングを含むRNA分子を意味する。二重鎖領域は、典型的には約18〜約30ヌクレオチド長であり、オーバーハングは、任意の長さの非相同残基、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、またはそれ以上のヌクレオチドのものであり得る。siRNAはまた、不対領域により隔てられた19〜30塩基対の2つ以上のセグメントを含み得る。いかなる特定の学説にも拘泥せずに言えば、この不対領域は、生来の免疫経路の活性化を防止するよう機能し得る。このようなsiRNAの一つの例はHCVa-wt siRNAであり、これは25塩基対の二重鎖領域(SEQ ID NO:12)および各々の3'末端にUU延長部分を有する。
【0026】
一つの態様において、本明細書において使用されるような低分子干渉RNAは、C型肝炎(「HCV」)の内部リボソーム侵入部位(IRES)エレメントの配列に相補的な配列を含む。一つの態様において、ウイルスは、HCV遺伝型1aである。
【0027】
siRNA遺伝子阻害は、多くの哺乳類システムにおける遺伝子発現を強固に阻害することが示されている。二次構造のその高いレベルにより、HCV IRESは、siRNAまたはshRNAに対する不十分な標的であることが示唆されている。しかしながらMizusawaは、293およびHuh7組織培養細胞におけるHCV IRESの成功した標的化を報告し、それぞれ遺伝子発現の50パーセントおよび74パーセントのノックダウンを報告した。同様に、Seoおよび共同研究者ら[25]は、5-2 Huh7細胞においてHCV複製を阻害する(約85%のノックダウン)100 nM siRNAの能力を報告した。現在、AUG翻訳開始点を含み、かつその下流のHCV IRESの3'末端に向けられた低分子干渉RNA(shRNAおよびsiRNA)が、293FT細胞において0.3 nMでHCV IRES依存性ルシフェラーゼ発現の96パーセントのノックダウンおよびHuh7細胞において0.1 nMで75パーセントのノックダウンを誘導できることが、本明細書中に記載されるように実証されてきた(図2Dおよび3Aを参照されたい)。さらに、マウス肝臓へのshRNAの直接的な送達は、HCV IRES依存性レポーター発現を強力に阻害することが示された。これは、RNAヘアピンの直接的な送達(プラスミドまたはウイルスベクターからインビボで発現されていない)に続く動物モデルにおけるRNAiを介した遺伝子阻害の最初の実証である。水圧注入に続いてマウス肝臓へ直接的に送達されたshRNAの有効性は、血液において見出されたヌクレアーゼの高いレベルを考えると、驚くべきことであった。これらのshRNAが肝臓における遺伝子発現を効果的にノックダウンするという観測は、これらのshRNA阻害剤が(1)非常に強力であり、遺伝子阻害を引き起こすためにマウス肝臓において高いレベルで必要とされない、(2)例えばそれらが、阻害効果を妨げる量でヌクレアーゼによって開裂される前に、肝臓に十分に迅速に送達される、または(3)ヌクレアーゼ分解に対して本質的に安定であること(または、これらの特徴の組み合わせ)を示す。
【0028】
報告は、バクテリオファージプロモーターからのインビトロ合成転写産物が、非天然5'三リン酸の存在により、インターフェロン(IFN)αおよびβを強力に誘導することを示唆する[26]。さらに、pol III発現ベクターから発現されたshRNAは、IFNも誘導し得る[27]。このインターフェロン誘導が、どのようにHCV感染に対する臨床設定におけるshRNAの使用に影響を及ぼすのかははっきりしていない。現在のHCV治療は、インターフェロンαでの処置を含み、インターフェロンがshRNAによって誘導される場合、それは陽性効果を有し得ることを示唆する。これまで、RNAiの投与に続くインターフェロン関連副作用は、動物において報告されていないようである[3]。siRNAのオフターゲット効果ならびにsiRNAおよびshRNAがレンチウイルスベクターによって送達される場合の潜在的な細胞毒性効果に関するさらなる懸念が持ち上がっている[28]。
【0029】
本発明はまた、処置に使用するための候補として十分な活性(例えば、このような配列の選択されたグループの中で最も高い活性)を有するそれらの配列を同定するために、HCV IRES配列を標的化するsiRNAおよびshRNAを試験する方法に関する。試験はまた、望ましくないオフターゲット効果または広汎な細胞毒性効果を有する低分子干渉活性のスクリーニングも包含し得る。オフターゲット効果には、標的ではない遺伝子のノックダウン、標的ではない遺伝子の発現の阻害、および天然のマイクロRNA経路との競合が含まれるがこれらに限定されない(Birmingham et al., Nat. Methods. 2006 3(3): 199-204; Grimm et al., Nature 2006 441(7092):537-541)。細胞毒性効果を同定する方法は当技術分野で公知である(例えば、Marques et al., Nat. Biotechnol. 2006 24(5):559-565; Robbins et al., Nat. Biotechnol. 2006 24(5):566-571)。
【0030】
HCV 5'-UTRにおけるIRES領域は、高度に保存されており(92〜100%同一[15, 29-31])、不変であるように見えるいくつかのセグメントを有し、IRESが核酸に基づく阻害剤に対する第一の標的であるようにする。AUG翻訳開始コドンの周りの領域は、特に高度に保存されており、様々な地理的位置からの81の単離体にわたって観察されるように、+8〜-65位で不変である(-2位における単一のヌクレオチド変異の例外をともなう)[32]。IRESモチーフにおける配列の保存にもかかわらず、高度に保存されていても、単一の配列を標的にすることは、エスケープ突然変異体を防ぐのに十分である可能性は低い。RNAウイルスは、RNAポリメラーゼの高いエラー率およびその酵素のプルーフリーディング活性の欠如によるそれらの高い突然変異率を有することで知られている。平均して、HCV RNAが複製されるたびに、1つのエラーが新しい鎖に組み入れられる。このエラー率は、活発な感染におけるウイルス粒子の膨大な産生によって度合いが強められる(慢性感染患者において1日あたりおよそ1兆)[33]。従って、本発明のいくつかの態様において、いくつかの保存された部位が標的化されるか、あるいは、本明細書中に記載されるshRNAは、併用処置、例えばリバビラン(ribaviran)および/またはペグ化インターフェロンとの併用処置の一要素として使用される。本明細書中で実証される通り、単一のミスマッチはshRNA活性を完全にブロックせず(実施例2;図2D参照);従って、各々の異なるshRNAは、少数の突然変異に対してはある程度活性を有し得る。従って、本発明は、標的配列に対するミスマッチを含み得るshRNAを用いてHCVの発現を阻害する方法を包含する。本発明はまた、shRNAが標的化配列で異なるようにHCV IRESを標的化する少なくとも2つの異なるshRNAを投与することによりHCVの発現を阻害する方法を包含する。
【0031】
McCaffreyらは、AUG翻訳開始部位における保存されたHCV IRES部位に向けられたホスホロジアミダイトモルホリノオリゴヌクレオチドが、レポーター遺伝子発現を強力に阻害することを報告した[8]。本明細書に記載されたshRNA阻害に対する比較のために、同じモルホリノ阻害剤を使用した。保存されたHCV IRES部位を標的にするモルホリンおよびshRNAの両方が、IRES依存性遺伝子発現を強力にかつ強固に阻害することが見出された。モルホリノにおける4つの突然変異が、活性をブロックするために必要とされたが、shRNAにおいて2つの変化が十分であり、より大きなshRNA特異性を示唆する。shRNA阻害剤における非天然残基の欠如およびおそらくより少ない結果的な副作用と合わせられるこの潜在的な利点は、モルホリノオリゴマーの増加した安定性によって均衡を保たれる。
【0032】
ホタルルシフェラーゼ(fLuc)発現がHCV IRESに依存する、デュアルレポータールシフェラーゼプラスミドを使用した[24]。上流レニラルシフェラーゼの発現は、HCV IRES依存性ではなく、Cap依存性プロセスにおいて翻訳される。HCV IRES shRNAの直接的なトランスフェクションまたは代わりにpolIII-プロモーターベクターから発現されたshRNAは、ヒト293FTおよびHuh7細胞におけるHCV IRESを介したfLuc発現を効率的にブロックした。二重の突然変異を含むコントロールshRNAは、fLuc発現に対する効果をほとんどまたは全く有さず、単一の突然変異のみを含むshRNAは、部分的な阻害を示した。これらのshRNAは、DNA構築物が尾静脈を介して水圧トランスフェクションによって肝臓における細胞に送達されるマウスモデルにおいても評価された。デュアルルシフェラーゼ発現プラスミド、shRNA、および分泌アルカリホスファターゼプラスミドは、肝臓における細胞にトランスフェクションするために使用され、動物は、12〜96時間にわたる時点でイメージングされた。インビボイメージングは、直接的にまたは代わりにpolIII-プラスミドベクターから発現されたHCV IRES shRNAが、HCV IRES依存性レポーター遺伝子発現を阻害することを明らかにした;突然変異体または無関連shRNAは、ほとんどまたは全く効果を有さなかった。これらの結果は、RNAとして送達されるまたはウイルスベクターもしくは非ウイルスベクターから発現されるshRNAが、HCVおよび関連ウイルスの制御に対する効果的な抗ウイルス剤として有用であることを示す。
【0033】
HCV IRESドメインIV上の異なる部位を標的にする3つの付加的なshRNAのアッセイは、標的位置がHCVa-wtのものから6ヌクレオチドシフトした、別の強力なshRNA、HCVd-wtを明らかにした。HCVb-wtおよびHCVc-wtは、より低く効率的な阻害剤であった。
【0034】
部分配列の効力に対する効果をさらに調査するため、HCVa-wtの25塩基対の部位(344〜368)における全ての可能性のある位置を標的化する、HCV IRESの配列に相補的な19塩基対配列を含むインビトロで転写された7つのshRNA構築物および同じ19塩基対配列を含む対応する合成siRNAを、阻害活性についてアッセイした。HCVa-wt shRNAに対応する25塩基対の合成siRNAも試験した。試験した構築物は全て、高レベルの活性を示した。全般的に、19塩基対siRNAは19塩基対shRNAよりも強力であった。最も強力なsiHCV19-3は、1 nM(>90%阻害)、0.1 nM(約90%阻害)で有効であり、0.01 nM(約40%阻害)の濃度でさえも有効であった。従って、HCV IRES内の領域344〜374を標的化するよう設計された19〜25塩基対のshRNAおよびsiRNAは、いくつかの部分的な違いがあるものの、全体としてHCV発現の強力な阻害剤である。
【0035】
本発明の低分子ヘアピン型RNAは、shRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の間で強力な非共有結合を生じる構造を任意で含み得る。このような非共有結合の例には、金属イオンにより媒介される架橋が含まれる。このような架橋は、例えば、Kazakov and Hecht 2005, Nucleic Acid-Metal Ion Interactions. In: King, R. B. (ed.), Encyclopedia of Inorganic Chemistry. 2nd ed., Wiley, Chichester, vol. VI, pp. 3690-3724の例えば5.4.3節に記載されるような、修飾塩基、糖、および末端基を含む天然ヌクレオチド残基または修飾ヌクレオチド残基間に形成され得る。このような結合の変異のさらなる非限定的な例は、特許出願WO 99/09045(US2006074041;例えば図10)に見出される。一般的に、架橋性ヌクレオチド残基の位置は、二重鎖形成時に近傍にくる相補的なRNA鎖の末端である。特定の金属イオンの追加(または金属イオン配位化合物)は、これらの金属イオンに対して強い親和性を有する官能基、例えば-SH、-SCH3、ホスホロチオエート、イミダゾライド、o-フェナントロリン等の架橋をもたらし得る。これらの修飾ヌクレオチドは、センスRNA鎖およびアンチセンスRNA鎖の化学合成の間に導入される。センス鎖およびアンチセンス鎖内の修飾ヌクレオチドは、塩基対を形成するかまたは1〜3個のヌクレオチドのオーバーハングの一部であるかのいずれかであり得る。
【0036】
標的化配列
標的化配列の例は、本明細書を通して提供される。標的化配列の非限定的な例は、例えば表1および図10に提供される。標的化配列を組み込んだshRNAおよびsiRNAの非限定的な例は、本明細書を通して、例えば図1および図16A〜Bに見出される。
【0037】
ループ
shRNAのループ領域の配列およびサイズの効果もまた調査した。shRNAステム-ループのループ領域は、2〜3ヌクレオチドと小さくてもよく、かつサイズに関して明確な上限を有さず;一般的にはループは4〜9ヌクレオチドの間であり、かつ一般的には、例えば非標的遺伝子に相補的であることにより、意図しない効果を引き起こさない配列である。shRNAのループ領域において(例えばループとして)、高次構造を有するループ配列、例えばGNRAテトラループが使用され得る。このループはその分子のいずれかの末端に配置され得る;すなわち、センス鎖は、ループの5'側または3'側のいずれかであり得る。また、例えば二重鎖の形成を増強する「CGクランプ」として機能させるために、非相補的二重鎖領域(およそ1〜6塩基対、例えば4つのCG塩基対)が標的化二重鎖とループとの間に配置され得る。非相補的二重鎖が使用される場合、少なくとも19塩基対の標的-相補鎖の二重鎖が必要である。
【0038】
ループ構造はまた、例えば(Earnshaw et al., J. Mol. Biol., 1997,274: 197-212; Sigurdsson et al. (Thiol-Containing RNA for the Study of Structure and Function of Ribozymes. METHODS: A Companion to Methods in Enzymology, 1999, 18: 71-77)に記載されるような、ヌクレオチド残基に導入された-SH基の酸化により形成され得る可逆的な連結、例えばS-S結合を含み得る。SH基を有するヌクレオチド残基の位置の非限定的な例は、二重鎖形成時に近傍にくる相補的RNA鎖の末端である。このような修飾ヌクレオチドは、低分子干渉RNAのセンスRNA鎖およびアンチセンスRNA鎖の化学合成の間に導入される。センス鎖およびアンチセンス鎖内の修飾ヌクレオチドは、塩基対を形成するかまたは1〜3ヌクレオチドの非相補的オーバーハングを形成するかのいずれかであり得る。
【0039】
ループおよびそれらの適用、例えばHCVを標的化するshRNAおよびsiRNAにおける適用についてのさらなる非限定的な例は、実施例に見出され得る。
【0040】
末端
本明細書中に記載されるshRNAの3'末端は、2つ以上のヌクレオチドの非標的相補的オーバーハング、例えばUUおよびdTdTを有し得るが、このオーバーハングは、例えばヌクレアーゼ耐性の強化を促進する、化学修飾ヌクレオチドを含む任意のヌクレオチドであり得る。他の態様において、3'末端にはヌクレオチドのオーバーハングが1つ存在するかまたは存在しない。
【0041】
5'末端は、標的相補的二重鎖領域の先に延びる、非相補的な延長部分、例えば2つのG(図1Bに示される)、GAAAAAA配列、またはヌクレオチド1つのみを有するか、または有さなくてもよい。図1Bに示される配列においては、主としてT7プロモーターからの転写を容易にするために、2つの5'Gが含まれる。
【0042】
さらなる特徴
HCV発現を阻害するのに使用されるshRNAに任意で含まれ得、かつ本発明に包含されるさらなる特徴は、標的相補的二重鎖領域における約19塩基対から約30塩基対の間の長さのバリエーション、標的化される配列における小さなシフト(一般的には0〜約2ヌクレオチドであり、標的に沿っていずれかの方向に約10ヌクレオチドの大きさのシフトも標的化可能な領域内であり得る)である。同様に、アンチンセンス鎖では約1〜約2個およびセンス鎖では約1〜約9個のミスマッチもまた許容される(後者はヘアピン型二重鎖を不安定化させるが、標的に対するアンチセンス鎖の結合強度には影響しない;許容される数は、部分的に、標的相補的二重鎖の長さに依存する。本明細書中に記載されるように、29塩基対の標的相補的二重鎖領域内に少なくとも7つのG-Uのミスマッチを有するshRNAは、例えばHCV IRESを標的化する配列を用いるHCV発現の阻害にうまく用いることができる。図1Bに示される2つの突然変異は阻害性をほぼ消滅させるが、他の位置に突然変異を有する他の突然変異体は、特にそれらが空間的に近いおよび/または末端付近にある場合に、よりよく許容され得ることに注意されたい。一定のバリエーションは当技術分野で公知であるかまたは本願において実証されている。
【0043】
ベクター
shRNAおよびsiRNAを作製するのに適したベクターは本明細書中に記載されており、かつ当技術分野で公知である。非限定的な例において、shRNAは、アデノ随伴ウイルスまたはレンチウイルス由来のベクターとの関係では、Pol IIIプロモーター、例えばU6またはH1を用いて発現され得る。ヒトU6核RNAプロモーターおよびヒトH1プロモーターは、shRNAを発現するためのpol IIIプロモーターの一種である。
【0044】
ベクターにおいて一般的に望まれる一つの特徴は、比較的長期間の導入遺伝子の発現である。レンチウイルスベクターは非分裂細胞に形質導入し、導入遺伝子の持続的長期的な発現を維持することができる。アデノ随伴ウイルス血清型8は安全であるとみなされており、長期的な導入遺伝子の発現により特徴付けられる。
【0045】
候補shRNAおよびsiRNA
いくつかの場合において、1つ以上の低分子干渉RNAが、標的ウイルス、例えばHCVを阻害する活性を有することが同定される。このようなRNAの使用、例えば動物におけるHCV発現を阻害するための使用への適応性をさらに特徴付けるために、追加の試験が実施され得る。このような試験に動物モデルが使用され得る。一つの非限定的な例には、例えば実施例3(下記)において例証されるようなマウスモデルが含まれる。HCVの処置について試験するのに適した他の動物モデルは当技術分野で公知であり、例えばチンパンジーが使用される。
【0046】
方法
本発明は、ウイルスのポリヌクレオチド配列と少なくとも部分的に相補的でありかつこれと相互作用し得る配列を含む、本明細書中に記載されるような低分子干渉RNA、例えばshRNAまたはsiRNAとウイルスを接触させる工程を包含する、ウイルスにおける遺伝子発現の阻害方法に関する。いくつかの態様において、ウイルスとの接触は、ウイルスを含む細胞、すなわちウイルス感染細胞に低分子干渉RNAを導入することを包含する。本明細書中で使用する場合、「遺伝子発現を阻害」は、ウイルスの少なくとも1つの遺伝子の発現を減少させる(すなわちそのレベルを減少させる)かまたは無くすことを意味する。例えば、発現の減少は、ウイルスに感染した対応する細胞または動物と比較される。いくつかの態様において、遺伝子発現の阻害は、低分子干渉RNAが結合するウイルスの標的配列の切断によって達成される。遺伝子発現は、ウイルスRNAまたはウイルスタンパク質をアッセイすることによってアッセイされ得る。いくつかの場合において、方法(例えば本明細書中に記載の組成物を用いる処置)の有効性は、感染動物を、症状の減少またはウイルス感染に関連するタンパク質の発現もしくは活性の変化(例えば減少)、例えばp24などのウイルスタンパク質、もしくはインターフェロンなどの宿主タンパク質の発現もしくは活性の変化(例えば減少)について評価することによってアッセイされる。
【0047】
本発明はまた、ウイルスのポリヌクレオチド配列、例えばHCVのIRES配列と少なくとも部分的に相補的でありかつこれと相互作用し得る(例えば生理学的条件下でハイブリダイズし得る、またはRNAi活性を生じ得る)配列を含む、本明細書中に記載されるような治療有効量の低分子干渉RNA、例えばshRNAまたはsiRNAを含む組成物を哺乳動物に投与する工程を包含する、哺乳動物においてウイルス感染を処置するためまたは感染した疑いのある対象(予防的処置のためにウイルスに曝された対象を含む)を処置するための方法に関する。いくつかの態様において、哺乳動物はヒトである。一つの態様において、哺乳動物はヒトであり、ウイルス感染はHCV感染、例えばHCV遺伝子型1aの感染であり、低分子干渉RNAは、少なくともHCVのIRESの配列と相補的な配列を含む。
【0048】
本明細書中で使用する場合、「治療有効量」は、所望の治療的結果(例えばウイルス感染の減少または排除)を提供し得る低分子干渉RNAの量である。治療有効量は、一回または複数回の投与として投与され得る。用量の非限定的な例は、約0.1mg/kg〜約50mg/kg、例えば約1〜約5mg/kgである。適当な送達方法は当技術分野で公知であり、例えば静脈内投与(例えば末梢静脈を介するまたはカテーテルを介する投与)が含まれる。非限定的な例には、肝動脈または門脈を介した送達が含まれる。
【0049】
概して、哺乳類におけるウイルス感染を処置するための方法において、低分子干渉RNAは、薬学的に許容される担体と共に投与される。本明細書において使用されるように、「薬学的に許容される担体」(本明細書において互換的に「薬学的に許容される賦形剤」とも呼ばれる)は、低分子干渉RNAの投与を容易にする相対的に不活性の物質である。例えば、担体は、組成物に対する型もしくは硬度を与え得る、または希釈剤として作用し得る。薬学的に許容される担体は、生体適合性であり(すなわち、宿主に対して毒性ではない)、かつ薬理学的有効物質に対する投与の特定の投与法に適している。適した薬学的に許容される担体は、安定剤、湿潤剤および乳化剤、様々な浸透圧に対する塩、封入剤、バッファー、ならびに皮膚浸透エンハンサーを含むが、それらに限定されない。いくつかの態様において、薬学的に許容される担体は、水または生理食塩水である。薬学的に許容される担体の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Alfonso R. Gennaro, ed., 18th edition, 1990)において記載される。
【0050】
ウイルス感染を処置するための方法において、本明細書において記載されるような低分子干渉RNAは、概して非経口的に、例えば皮下に、静脈内に、または筋内に投与される。
【0051】
組成物
本発明は、本明細書において記載されるような少なくとも1つの低分子干渉RNAを含む、ウイルス遺伝子発現を阻害するおよび/または哺乳類におけるウイルス感染を処置するための組成物を提供する。本発明の組成物は、本明細書において記載されるような、2つ以上の低分子干渉RNAを含み得る。本発明に従って、例えばshRNAまたはsiRNAなどの低分子干渉RNAは、約19〜約30ヌクレオチドのウイルスポリヌクレオチド配列と実質的に相補的である配列を含み、ウイルスのポリヌクレオチド配列との低分子干渉RNAの実質的に相補的な配列の相互作用が、例えばウイルスポリヌクレオチド配列の開裂によってウイルス遺伝子発現を阻害する。
【0052】
いくつかの態様において、組成物は、SEQ ID NO:12、17、18、19、20、21、22、23、24、および25からなる群より選択される配列を含むshRNAを含む。いくつかの態様において、組成物は、以下のいずれか一つ:

(表10)を含むshRNAを含む。いくつかの態様において、組成物は、SEQ ID NO:57〜110のうちの1つ以上のshRNAを含む。いくつかの態様において、組成物は、SEQ ID NO:19、20、21、22、23、24、および25から選択される配列を含むsiRNAを含む。他の態様において、組成物は、

(図10)の配列を含むsiRNAを含む。いくつかの態様において、組成物は、HCV、例えばHCV遺伝子型1aのIRESエレメント内の約19〜約30ヌクレオチドの配列に結合する、すなわちその配列と実質的に相補的な配列を含む、shRNAまたはsiRNAを含む。組成物は、1つより多い異なるshRNA、例えばIRESの異なる配列を標的化する、または標的配列の異なる対立遺伝子もしくは突然変異体を標的化するshRNAを含み得る。本明細書中に記載されるshRNAまたはsiRNAは、同定された配列の中の1つより多い配列を含み得る。特定の組成物は、1つより多い異なるshRNA配列またはsiRNA配列を含む。
【0053】
いくつかの態様において、本発明は、本明細書中に記載される低分子干渉RNAおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。いくつかの態様において、薬学的組成物は、哺乳動物、例えばヒトへの非経口投与用に処方される。
【0054】
低分子干渉RNA(例えばsiRNAまたはshRNA)を含む薬学的組成物は、その意図する投与経路に適合するよう処方される。投与経路の例には、非経口投与、例えば静脈内投与、皮内投与、皮下投与、吸入投与、経皮(局所)投与、経粘膜投与、および直腸投与;または経口投与が含まれる。非経口適用、皮内適用、または皮下適用に使用される溶液または懸濁物は、以下の成分を含み得る:無菌希釈剤、例えば注射用水、生理食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、またはその他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;バッファー、例えば酢酸、クエン酸、またはリン酸;および張度調整剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは、酸または塩基、例えば塩酸または水酸化ナトリウムで調整され得る。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て用の注射器、または複数回投与用のバイアルに収納され得る。
【0055】
注射用途に適した薬学的組成物には、無菌水溶液(水溶性の場合)または分散物および無菌の注射用溶液または分散物を即座に調製するための無菌粉末が含まれる。静脈内投与に適した担体には、生理学的食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF, Parsippany, NJ)、またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が含まれる。全ての場合において、組成物は無菌的でなければならずかつ容易に注射できる程度に流体であるべきである。これらは製造および保存条件下で安定であるべきであり、かつ微生物、例えば細菌および真菌の混入作用から保護されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、ならびにそれらの適当な混合物を含む溶媒または分散媒体であり得る。適当な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチンの使用によって、分散物の場合は選択された粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物作用の抑止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成され得る。いくつかの場合において、等張剤、例えば糖またはポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムが含まれる。注射用組成物の長期的な吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンをその組成物に含めることによってもたらされ得る。
【0056】
無菌注射用溶液は、必要に応じて上記の列挙した成分の1つまたはそれらの組み合わせを含む適当な溶媒に特定量の活性化合物を混合し、続いて濾過滅菌することによって調製され得る。一般的に、分散物は、基本的な分散媒体および上記に列挙した成分または当技術分野で公知の他の成分から選択される他の成分を含む無菌媒体に活性化合物を混合することによって調製される。無菌注射用溶液の調製用の無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分および任意の追加の所望の成分の粉末を予め濾過滅菌したそれらの溶液から生成する減圧乾燥および凍結乾燥である。
【0057】
経口用組成物は一般的に、不活性希釈剤または食用担体を含む。経口治療投与の目的のために、活性化合物は賦形剤と混合され、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤、例えばゼラチンカプセルの形態で使用され得る。薬学的に適合する結合剤が、成分の一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤等は、以下の成分のいずれかまたは類似の性質を有する化合物を含み得る:結合剤、例えば微結晶性セルロース、トラガカントゴム、もしくはゼラチン;賦形剤、例えばデンプンもしくはラクトース;崩壊剤、例えばアルギン酸、プリモゲル(Primogel)、もしくはトウモロコシデンプン;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムもしくはステロート(Sterotes);流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばスクロースもしくはサッカリン;または香味剤、例えばペパーミント、メチルサリチレート、もしくはオレンジフレーバー。
【0058】
吸入による投与のための化合物は、適当な噴霧剤、例えば二酸化炭素などのガスを含む加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーからのエアゾールスプレーの形態で送達される。
【0059】
全身投与は、経粘膜的または経皮的な手段によっても行われ得る。経粘膜的または経皮的な投与のため、障壁に浸透するのに適した浸透剤が処方物で使用される。このような浸透剤は一般的に当技術分野で公知であり、例えば、経粘膜投与については界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、点鼻薬または坐剤の使用を通じて達成され得る。経皮投与については、活性化合物は軟膏(ointment)、軟膏(salve)、ゲル、またはクリームに処方され、これらは全般的に当技術分野で公知である。
【0060】
化合物はまた、直腸送達のために、坐剤(例えば従来の坐剤基剤、例えばカカオバターおよびその他のグリセリドを含む坐剤)または停留浣腸の形態で調製され得る。
【0061】
一つの態様において、活性化合物は、化合物を身体からの迅速な除去から保護し得る担体と共に、例えば移植片およびマイクロカプセル送達系を含む制御放出処方物として調製される。生分解性、生体適合性のポリマー、例えばエチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸が使用され得る。このような処方物の調製方法は当業者に明らかであろう。これらの原材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から販売されている。リポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体によって感染細胞に標的化されたリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として使用され得る。これらは当業者に公知の方法に従って、例えば米国特許第4,522,811号に記載されているように調製され得る。
【0062】
投与の容易性および用量の均一性のために、経口用または非経口用組成物を剤形単位で処方することが有利である。本明細書中で使用する場合、剤形単位は、処置される対象への単位投薬に適した物理的に別個の単位を意味し;各単位は、選択された薬学的担体と共に所望の治療効果を生じるよう計算された所定量の活性化合物を含む。
【0063】
本明細書中に開示される化合物の毒性および治療効果は、当技術分野での公知の薬学的手順、例えば、細胞培養物または実験動物において例えばLD50(その集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(その集団の50%において治療的に有効な用量)を決定することによって決定することができる。治療指数とは毒性と治療効果の間の用量比であり、LD50/ED50比で表現され得る。高い治療指数を示す化合物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物が使用される場合、罹患していない細胞に対する潜在的な損傷を最小限に抑え、それによって副作用を軽減するために、このような化合物を罹患した組織部位に標的化する送達系を設計することに注意を払うべきである。
【0064】
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトにおいて使用する用量の範囲を策定するのに使用され得る。このような化合物の用量は、好ましくは毒性がほとんどないまたは全くない、ED50を含む循環濃度の範囲内の用量である。用量は、使用する剤形および利用する投与経路に依存してこの範囲内で変更され得る。本発明の方法において使用される任意の化合物についての治療有効用量は、最初に細胞培養アッセイから概算され得る。用量は、細胞培養物において決定されたIC50(すなわち、症状の最大半量の阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するよう、動物モデルにおいて策定され得る。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するのに使用され得る。血漿中レベルは、例えば高性能液体クロマトグラフィによって測定され得る。
【0065】
本発明はまた、対象を、例えばHCV感染を処置するのに使用する医薬の製造方法に関する。このような医薬はまた、HCV感染の危険がある対象またはその疑いのある対象の予防的処置にも使用され得る。
【0066】
キット
本発明は、本明細書において記載されるような低分子干渉RNAを含むキットを提供する。いくつかの態様において、キットは、本明細書において記載されるウイルス遺伝子発現を阻害するための方法および/または哺乳類におけるウイルス感染の処置のための方法に用いられる説明書も含む。説明書は、印刷された形式、またはフロッピーディスク、CD、もしくはDVDなどの電子媒体の形式、またはそのような説明書が獲得され得るウェブサイトアドレスの形式で提供され得る。
【0067】
いくつかの態様において、キットは、例えばshRNAまたはsiRNAなどの少なくとも1つの低分子干渉RNAの少なくとも1つの単位用量を含む本発明の薬学的組成物、およびウイルス感染を処置または予防するための使用法に関して医療提供者へ情報を提供する説明書を含む。低分子干渉RNAは、滅菌水を含む薬学的組成物または乾燥粉末(例えば、凍結乾燥)組成物としてしばしば含まれる。
【0068】
適切な包装が提供される。本明細書において使用されるように、「包装」とは、システムにおいて習慣的に使用され、かつ個体への投与に適した本発明の組成物を固定限度内に保持することが可能な固体マトリクスまたは材料を指す。そのような材料は、ガラスおよびプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリカーボネート)、ボトル、バイアル、紙、プラスチック、ならびにプラスチックホイル積層エンベロープおよび同様のものを含む。e-ビーム滅菌技術が採用される場合、包装は、内容物の滅菌を可能にするために十分に低い密度を有するべきである。
【0069】
キットは、例えば静脈内投与のためのシリンジもしくは装置などの本発明の薬学的組成物の投与に対する装置、および/または例えば、投与のための乾燥粉末(例えば、凍結乾燥)組成物を調製するための水、生理食塩水、もしくはデキストロース溶液などの希釈剤などの滅菌溶液を任意で含んでもよい。
【0070】
(表1)本出願において開示される、shRNAまたはsiRNAに組み入れられ得る標的配列ならびにそのようなshRNAおよびsiRNAの例のリスト

【0071】
図16A〜Bは、HCV IRESを標的化する配列を含む、本明細書中に記載される方法を用いて試験したshRNAの例を示す。
【0072】
実施例
本発明はさらに以下の実施例によって例証される。これらの実施例は例証の目的のみで提供される。これらはいかなる様式によっても本発明の範囲または内容を限定するものとみなしてはならない。
【0073】
実施例1:shRNA発現カセットの設計および構築、T7転写反応、ならびにレポーター遺伝子アッセイ
化学的合成オリゴヌクレオチドは、IDT(Coralville, IA)から獲得され、RNA分解酵素-およびピロゲン-フリー水(Biowhittaker)に懸濁され、以下に記載されるようにアニーリングされた。shRNAを作るための以下のオリゴヌクレオチドペアは、T7プロモーターエレメント(二重下線部)、センスおよびアンチセンスHCV IRES配列、ならびにmiR-23マイクロRNAループ構造(細胞質局在を促進すると報告されている[21, 22])を含む。

(T7プロモーター配列、二重下線部)。HCVa-mut shRNAに対するT7転写産物は、ヌクレオチド変化(G→CおよびC→G)が一重下線部残基における合成オリゴヌクレオチドへ組み入れられたこと以外は、同一であった。
【0074】
HCVa-wt shRNA(図1B)は、HCV IRES上の領域344〜374を標的にするように設計された;HCVb-wtは、領域299〜323を標的にするように設計された(図1C);HCVc-wtは、領域318〜342を標的にするように設計された(図1C);かつHCVd-wtは、領域350〜374を標的にするように設計された(図1C)。
【0075】
shRNA 1〜7番(HCV IRES上の344〜362、345〜363、346〜364、347〜365、348〜366、349〜367、350〜368位を標的にする;19塩基対ウイルス認識配列を示す図4Aを参照されたい)は、MEGAscript(登録商標)キット(Ambion)を使用してインビトロで転写され、HCVa-wt shRNAと同じループ配列および5'、3'-突出を含んだ。siRNA 1〜7番(19塩基対ウイルス認識配列を示す図4Aを参照されたい)は、Dharmacon(Lafayette, CO)で化学的に合成され、センスおよびアンチセンス鎖の両方上に3'-UU突出を含んだ。
【0076】
コントロールshRNA 229(腫瘍壊死因子αを標的にする)を調製するために使用されるオリゴヌクレオチドペアは、

である。
【0077】
pol III U6 shRNA発現ベクター構築- 低分子ヘアピンshRNA発現ベクターの設計
オリゴヌクレオチドペアは、RNAポリメラーゼバッファー(例えば、120μlの各々の60μl 5×アニーリングバッファー(Promega; 1×=10 mM Tris-HCl(pH 7.5)、50 mM NaCl)における100 μMオリゴヌクレオチド)において2分間95℃で一緒にインキュベートされ、40℃未満まで1時間にわたってゆっくりと冷却(アニーリング)された。オリゴヌクレオチドは、Bbs1/BamH1-分解pCRII-U6プラスミド(Bbs1およびBamH1認識部位または突出は、オリゴヌクレオチド配列において下線を引かれる)への迅速なクローニングに対して4-塩基突出を提供するように設計された。pCRII-U6 pol III発現プラスミドは、TAクローニングキット(Invitrogen)を使用して、pCRIIベクター(Invitrogen)へ、プライマーならびに

(SEQ ID NO:6)[23]を使用してヒトHT-1080ゲノムDNAから獲得されたPCR産物をサブクローン化することによって調製された。アニーリングされたオリゴヌクレオチド(HCV IRES shRNAをコードする)からなるカセットは、Bbs1/BamH1-分解pCRII-U6プラスミドへライゲーションされた。発現shRNAは、細胞質局在を促進するためのmiR-23マイクロRNAループ構造を含む[21, 22]。最終pCRII-U6構築物は、シークエンシングによって確認された。使用されたプライマーペアは、

であった。下線部残基における適当な配列変化を含むオリゴヌクレオチド(上記を参照されたい)は、図1Bにおいて示されかつ上に記載されるように、pCRII-U6/HCVa-mut(二重突然変異)、HCVsnp1(5'側における単一の変化)、およびHCVsnp2(3'端における単一の変化)を生成するために使用された。コントロールpCRII-U6/229は、以下のオリゴヌクレオチドを使用して、同様の方式で調製された。

【0078】
T7転写反応
オリゴヌクレオチドペアは、RNAポリメラーゼバッファー(120μlの各々の60μl 5×転写バッファー(Promega)における100 μMオリゴヌクレオチド)において2分間95℃でインキュベートされ、40℃未満まで1時間にわたってゆっくりと冷却(アニーリング)された。shRNAは、AmpliScribe(商標)T7 Flash転写キット(Epicentre Technologies)を使用して、5 μMの結果として生じたアニーリングされた二本鎖DNA鋳型から4時間42℃で転写され、その後、防腐剤を除去するためにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回徹底的に洗浄されたゲル濾過スピンカラム(Microspin(商標)G-50, Amersham Biosciences)上での精製が続いた。
【0079】
siRNA
siRNAは、RNAのアニーリング化学合成(Dharmacon)相補鎖によって調製され、各々は、適当な認識配列プラス3'端上の(突出)UU延長を含んだ。
【0080】
トランスフェクションおよびレポーター遺伝子アッセイ
ヒト293FT(Invitrogen)およびHuh7細胞(米国培養細胞系統保存機関(ATCC), Manassas, VA)は、2 mM L-グルタミンおよび1 mMピルビン酸ナトリウムで補足された、10%ウシ胎仔血清(HyClone)をともなうDMEM(Biowhittaker)において維持された。トランスフェクションの前日に、細胞は24ウェルプレートに1.7×105 細胞/ウェルで播種され、トランスフェクションの時間において約80%の細胞コンフルエンシーを引き起こした。細胞は、製造業者の説明書に従って、Lipofectamine(商標)2000(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いてトランスフェクションされた。阻害実験に対して、293FTまたはHuh7細胞は、40 ng pCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼ(レニラおよびホタル)レポーター構築物、50 ng pSEAP2-コントロールプラスミド(BD Biosciences Clontech、トランスフェクションコントロールとして)、および示される量のT7生成shRNA(典型的な量1 pmole)またはpCRII-U6 shRNA発現構築物(710 ng)でコトランスフェクション(3回)された。補償pUC18プラスミドが、トランスフェクション混合に添加され、トランスフェクションあたり800 ng総核酸の最終濃度を与えた。48時間後、上清が除去され、15〜30分間65℃で加熱され、5〜10μlの上清が、150μl p-ニトロフェニルリン酸液体基質システム(pNPP、Sigma)に添加された。室温での30〜60分インキュベーションの後、試料は、Molecular Devices Thermomaxマイクロプレートリーダー上で読まれ(405 nm)、かつSOFTmaxソフトウェア(Molecular Devices)を使用して定量された。残った細胞は溶解され、Dual-Luciferase Reporterアッセイシステム(Promega)およびMicroLumat LB 96 P ルミノメーター(Berthold)を使用してルシフェラーゼ活性が測定された。
【0081】
マウス
6週齢メスBalb/cマウスは、Stanford Universityの動物施設から獲得された。動物は、NIH Guidelines for Animal CareおよびGuidelines of Stanford Universityに従って処置された。
【0082】
マウス水圧注入およびインビボイメージング
水圧尾静脈注入は、RNasinの省略を含むわずかな改変をともなって、McCaffreyおよび同僚によって記載されるように行なわれた[24]。阻害剤(RNAまたはプラスミド)を含む総体積1.8 mlのリン酸緩衝生理食塩水、10μgのpHCV Dual Lucプラスミド、および2μg pSEAP2-コントロールプラスミド(BD Biosciences Clontech、SV40早期プロモーターを含む)が、約5秒にわたってマウス尾静脈へ間断なく注入された(群あたりN=4〜6動物)。示された時間において、100μlの30 mg/mlルシフェリンが、腹腔内に注入された。注入の10分後、生きた麻酔されたマウスは、IVIS7イメージングシステム(Xenogen Corp., Alameda, CA)を使用して解析され、結果として生じた光放出データは、LivingImageソフトウェア(Xenogen)を使用して定量された。生の値は、分あたりの相対検出光として報告され、各々の群(N=4〜5動物)に対する標準誤差が示される。
【0083】
分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)アッセイ
5日目に、マウスは、目の後眼窩静脈を介して出血させられた。血清は、マイクロ遠心によって血液細胞から分離され、内因性アルカリリン酸塩を不活性化するために30分間65℃で加熱され、5〜10μlの血清が、150μl pNPP液体基質システムに添加された(上記を参照されたい)。室温での30〜60分インキュベーションの後、試料は、上に記載されるように読まれ(405 nm)かつ定量された。
【0084】
実施例2:ヒト組織培養細胞におけるHCV IRESを介した遺伝子発現のshRNA阻害
この調査において、C型肝炎IRESの保存された領域を標的にするように実施例1におけるように設計されかつ構築された低分子干渉RNA(short interfering RNA)(shRNAおよびsiRNA)は、ヒト組織培養細胞におけるHCV IRESを介したレポーター発現を阻害するそれらの能力に対してテストされた。
【0085】
図1Aは、HCV IRES標的部位(パネルA)ならびにT7プロモーター配列およびHCV IRES標的を含むハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドから調製された鋳型のT7転写に起因するHCV shRNA(図1B)を示す。下線部残基は、突然変異体HCV shRNAを生成するために変えられたものである。shRNAは、細胞質局在を促進することが以前に示唆された[21, 22]mir-23マイクロRNAループ構造ならびに非Watson-Crick G:U塩基対合を介してハイブリダイズもし得る5'(2つのグアニン)および3'(2つのウリジン)末端における2つのヌクレオチドをともなう25塩基対RNAステムを含む。ベクター送達shRNAに対して、重複オリゴヌクレオチドは、poIII発現ベクター(pCRII-U6、実施例1を参照されたい)へサブクローン化された。
【0086】
HCV IRESのドメインIVにおける近くの位置を標的にする同じステム長およびループ配列をともなう3つのその他のshRNAも設計された(図1C)。HCVb-wt shRNAは、高度に構造化された領域を標的にし(効能を比較するために、陰性コントロールとして使用される)、HCVc-wtおよびHCVd-wt shRNAは、生化学的フットプリント法調査に従ってより「アクセスしやすい」領域を標的にする(図1D;Brown et al., Nucleic Acids Res., 1992, 20:5041-5)。すべてのRNAは、HCVa-wt shRNAと同様に、T7プロモーターを含むdsDNA鋳型からインビトロで転写された。
【0087】
HCV IRESを介した遺伝子発現を阻害するHCV shRNAの有効性をテストするために、ヒト293FTまたは肝細胞Huh7細胞は、pCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼ発現プラスミド、分泌型アルカリホスファターゼ発現プラスミド(pSEAP2、トランスフェクションの効能を制御するために)、ならびにインビトロ合成shRNAまたは代わりに対応するshRNAカセットを含むpol III発現ベクターでコトランスフェクションされた。
【0088】
図1Fにおいて見られるように、AUG翻訳開始点(それぞれ、344〜368および350〜374)のすぐ下流のIRESの領域を標的にするHCVa-wtおよびHCVd-wt shRNAの両方は、ヒト293FT細胞におけるHCV IRESを介したfLuc発現を強く阻害する。HCVc-wt(318〜342を標的にする)は、中程度の阻害を示し、HCVb-wt(299〜323)は、予想されたように、ごくわずかな活性を示した。したがって、予備スクリーニングは、強力なshRNA、HCVa-wtを明らかにし、さらなる詳細な調査に対して選ばれた。
【0089】
293FT細胞におけるHCV IRES媒介性の遺伝子発現のshRNAによる阻害の特異性および効力
HCV-IRESにより誘導される遺伝子発現の阻害をさらに試験するため、293FT細胞を、デュアルルシフェラーゼレポーターおよびSEAP発現プラスミドならびに1ピコモルのインビトロで転写されたshRNAを用いて共トランスフェクトした。標的プラスミドは、pCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼレポーター(図1Eに示されるようなHCV IRES)であった。最終的な総核酸濃度が1ウェル(24ウェル組織培養プレート)1トランスフェクションあたり800ngとなるよう、pUC18プラスミドをトランスフェクション混合物に加えた。48時間後、SEAP分析のために上清を収集し、次いで細胞を溶解し、実施例1に記載のようにホタルおよびウミシイタケ(示さず)のルシフェラーゼ活性を測定した。ホタルルシフェラーゼおよびSEAP活性は、100に対して標準化した。結果を図2Aに示す。
【0090】
AUG翻訳開始点のすぐ下流のIRESの領域を標的にするHCVa-wt shRNAは、ヒト293FT(図2)および肝細胞Huh7(図3B)細胞系の両方において、HCV IRESを介したfLuc発現を強く阻害した。RNAヘアピンの対合において2つの変化を含む突然変異体shRNA(HCVa-mut)(ミスマッチ位置に対して、図1Bを参照されたい)または無関係TNF(229)shRNAのいずれかを使用した場合、阻害はほとんどまたは全く観測されなかった。229 TNF shRNAは、TNF発現を阻害することにおいて高度に効果的であり(Seyhan et al., RNA, 2005, 11:837-846)、このshRNAが、RNAi装置によって効果的に利用されることを示唆する。上流または下流位置(それぞれ、SNP1およびSNP2;図2Cを参照されたい)のいずれかにおける、ヘアピン領域における単一のヌクレオチド変化は、部分的な効果を有した。
【0091】
HCV shRNAが、HCV IRESを脳心筋炎ウイルス(EMCV)IRESによって置換した類似のデュアルルシフェラーゼ構築物に対して標的にされた場合、ほとんどまたは全く阻害は観測されなかった。(図2Bおよび3B)。従って、図2Bのデータは、HCVa-wt shRNAが、HCV IRESを欠く類似標的を阻害しないことを示す。本実験においては、pCDNA3/HCVの代わりに標的としてpCDNA3/EMCVデュアルルシフェラーゼレポーター(EMCV IRES)を使用したことを除いて図2Aの通りに細胞をトランスフェクトした。これらのデータは、SEAP活性で割って100に対して標準化したルシフェラーゼ活性として図2Bに示す。
【0092】
shRNAがそれらの標的mRNAを分解することによって作用していたことを確認するために、ノーザンブロット解析が行なわれた(図2F)。阻害剤なし、またはHCVa-wt、HCVmut1/2、または229 shRNAでトランスフェクションされた細胞から単離された等量の総RNAは、ゲル電気泳動によって分離された。分離されたRNAは、膜に転写され、fLuc、SEAP、および伸長因子1A(EF1A)に特異的な放射性ラベル化cDNAプローブにハイブリダイズされた。HCVa-wt shRNA(レーン3)は、ホスホイメージャーによる定量の後、fLuc mRNA蓄積を特異的に阻害した(SEAPおよびEF1A mRNAレベルに対して補正された場合、229 shRNA(レーン2)と比較して63%阻害;HCVa-mut1/2に対して阻害は観測されなかった)(レーン3および4を比較されたい)。これらのデータは、shRNAが標的RNAを分解していたことを実証した。
【0093】
用量反応実験は、HCVa-wt shRNAが、293FT細胞において0.3 nMで(96パーセント阻害、図2Dを参照されたい)、およびHuh7細胞において0.1 nMで(75パーセント阻害、図3Aを参照されたい)、HCV IRES依存性遺伝子発現を効果的に阻害することを示した。
【0094】
効力に対する局所配列効果をさらに調べるために、HCVaの31塩基対部位(344〜374;図4A)内のすべての起こり得る位置を標的にする、7つのインビトロ転写19 bp shRNAおよび対応する合成19塩基対siRNAが、阻害活性に対してアッセイされた。HCVa-wt shRNAに対応する25塩基対合成siRNAもテストされた。それらのすべては、活性の高いレベルを示した(図4B)。最も強力なのは、HCVaのsiRNAおよびshRNAバージョンならびに1 nM(約90%阻害、図4B)および0.1 nM(〜90%阻害、図4C)で効果的であった、siRNA 3番であった。したがって、HCV IRES上の領域344〜374を標的にするように設計された19〜25塩基対shRNAおよびsiRNAは、いくつかの局所差をともなって強力である。
【0095】
実施例3:マウスモデルシステムにおけるHCV IRESを介した遺伝子発現のshRNA阻害
標的遺伝子発現を阻害するHCV shRNAおよびHCV shRNA発現プラスミドの能力は、マウス肝臓へ核酸を送達するための水圧注入を使用して、マウスモデルシステムへと拡張された。図5は、pHCVデュアルLuc、pSEAP2、およびshRNA(shRNAまたはshRNAを発現するpol III発現ベクターのいずれかの質量に基づいて、標的に対して10倍過剰)を含む大体積のPBS(1.8 ml)を、マウスの尾静脈に注射した結果を示す(n=4〜5マウス)。図5Bにおいて示される時点において、ルシフェリンが腹腔内に注射され、マウスは、高解像度冷却CCDカメラでイメージングされた。(図5Aは、84時間の時点における各々のセット(セットあたり、4〜5マウス)から選ばれた代表的なマウスを示す。)テストされたすべての時点において、HCV shRNAは、shRNA阻害剤の代わりにpUC18を注射されたマウスと比較して、98%(84時間の時点)〜94%(48時間の時点)阻害の範囲で、ルシフェラーゼ発現を強固に阻害した。突然変異体(mut)またはコントロール(229)shRNAは、ほとんどまたは全く効果を有さなかった。おそらくDNAの欠損またはプロモーターサイレンシングにより[8]、ルシフェラーゼ活性が、時間とともに減少すること、およびデータが各々の時点内で標準化されることが留意されるべきである(上記の図5の説明を参照されたい)。
【0096】
図6は、この同じ部位を効果的に標的にすることを以前に示された[8]ホスホロアミダイトモルホリノオリゴマーとのHCVa-wt shRNA阻害活性の比較を示す。HCVa-wt shRNAおよびモルホリノオリゴマーの両方は、テストされたすべての時点においてルシフェラーゼ発現を効果的にブロックした。データは、48時間の時点に対して示され、阻害は、それぞれHCVa-wt shRNAおよびモルホリノ阻害剤に対して、99.95および99.88パーセントであった。
【0097】
実施例4:shRNAを使用したセムリキ森林熱ウイルス(SFV)の阻害
SFVは、より悪性のプラス鎖RNAウイルスに対するモデルシステムとして使用されている。SFV成長に対するRNAiの阻害性効果を検査するために、4つのSFV遺伝子(nsp-1、nsp-2およびnsp-4、ならびにカプシド)およびnsp-4部位に対する1つのミスマッチコントロールを標的にするshRNAを生成し、U6プロモーターから発現させた。eGFPレポーター遺伝子を発現する複製能の高いSFV株SFV-A7のバージョンであるSFV-A7-EGFPの増殖を阻害するそれらの能力をテストした[49]。SFV-GFP複製の控えめな軽減(約35%)は、nsp-1を標的にするshRNAで見られた(図7)が、nsp-2、nsp-4、もしくはカプシドコード領域、またはミスマッチsiRNAでは見られなかった(示されず)。
【0098】
シンドビスウイルスに対して効果的であることが以前に示された[50]カプシドコード領域内の部位は、SFVに対して効果的ではなかった。この部位におけるシンドビス-SFV配列相同性は、77%のみである。SFVは、非常に迅速に成長するウイルスであり、その感染サイクルの間に200,000細胞質RNAまで産生する。細胞がよりゆっくりと成長するウイルスからより良く保護され得るかどうかを見るために、2つの別個の実験において、SFV-GFPの複製不全株に対するこれらのsiRNAの効果もテストした。図8は、このSFV株を標的にするU6-発現shRNAが、5日までの時間期間にわたってウイルス発現を≧70%軽減し得ることを示す。この効果は、非構造遺伝子nsp-1、nsp-2、およびnsp-4を標的にするsiRNAならびにnsp-4への1つのミスマッチをともなうsiRNAでは見られたが、カプシド遺伝子(この不活発ウイルスにおいて欠如している)またはその他のコントロールに対しては見られなかった(図8)。shRNAによって標的にされる配列の長さが、29ヌクレオチドであり、nsp-4ミスマッチshRNAにおいて使用される単一のミスマッチが、RNAi効果に対して明らかに破壊的ではないことに留意されたい。様々なshRNAの有効性における広範な変異は、SFVなどの迅速に複製しかつ高度に突然変異原性のウイルスに対処する場合、最良のsiRNAおよびshRNAを見出すためのライブラリーアプローチの重要性を強調する。
【0099】
HCVa-wt shRNAおよびHCVa-mut shRNAならびに非特異的な対照shRNAによるHuh7細胞におけるHCVレプリコン系の阻害を試験するため、用量反応実験を行った(229)。試験化合物の抗ウイルス活性は、ヒト肝芽腫細胞株Huh7のトランスフェクションより得た、安定的にHCV RNAを複製する細胞株AVA5においてアッセイした(Blight, et al., Science, 2000, 290:1972)。RNA系阻害剤をDsRed発現プラスミドと共に、約80パーセントのコンフルエントとなった培養物に共トランスフェクトした。HCV RNAレベルは、ドットブロットハイブリダイゼーションを用いてトランスフェクションの48時間後に評価した。アッセイは三連の培養物において行った。合計4〜6の未処理の対照培養物、ならびに10、3、および1 IU/mlのα-インターフェロン(抗ウイルス活性はあるが細胞毒性はない)、および100、10、および1 uMのリバビリン(抗ウイルス活性も細胞毒性もない)で処理した三連の培養物を、抗ウイルス性および毒性の陽性対照として使用した。トランスフェクション効率は、蛍光顕微鏡検査(DsRedの発現)により概算した。三連の処理培養物におけるHCVおよびbアクチンの両方のRNAレベルは、未処理の培養物(合計6)において検出されたRNAの平均レベルの百分率で決定した。βアクチンのRNAレベルは、毒性の尺度として、および各サンプルにおける細胞内RNA量を標準化するための両方に使用する。(対照培養物に対して)30%またはそれ未満のHCV RNAのレベルを正の抗ウイルス効果があるとみなし、(対照培養物に対して)50%またはそれ未満のbアクチンRNAのレベルを細胞毒性効果があるとみなす。細胞毒性は、確立されたニュートラルレッド色素取り込みアッセイを用いて測定する(Korba, B. E. and J. L. Gerin (1992) Use of a standardized cell culture assay to determine activities of nucleoside analogs against hepatitis B virus replication (Antivir. Res. 19:55-70)。
【0100】
HCVa-wt shRNAおよびHCVa-mut shRNAならびに無関係の対照shRNAによるHuh7細胞におけるHCVレプリコン系の阻害(229);用量反応。
試験化合物の抗ウイルス活性は、ヒト肝芽腫細胞株Huh7のトランスフェクションより得た、安定的にHCV RNAを複製する細胞株AVA5においてアッセイした(Blight, et al. Science, 2000, 290:1972)。RNA系阻害剤をDsRed発現プラスミドと共に、約80パーセントのコンフルエントの培養物に共トランスフェクトし、HCV RNAレベルを、ドットブロットハイブリダイゼーションを用いてトランスフェクションの48時間後に評価した。アッセイは三連の培養物において行った。合計4〜6の未処理の対照培養物、ならびに10、3、および1 IU/mlのa-インターフェロン(抗ウイルス活性はあるが細胞毒性はない)、および100、10、および1 uMのリバビリン(抗ウイルス活性も細胞毒性もない)で処理した三連の培養物を、抗ウイルス性および毒性の陽性対照として使用した。トランスフェクション効率は、蛍光顕微鏡検査(DsRedの発現)により概算した。三連の処理培養物におけるHCVおよびβアクチンの両方のRNAレベルは、未処理の培養物(合計6)において検出されたRNAの平均レベルの百分率として決定した。βアクチンのRNAレベルを、毒性の尺度として、および各サンプルにおける細胞内RNA量を標準化するための両方に使用した。(対照培養物に対して)30%またはそれ未満のHCV RNAのレベルを正の抗ウイルス効果があるとみなし、(対照培養物に対して)50%またはそれ未満のβアクチンのRNAを細胞毒性効果があるとみなした。細胞毒性は、確立されたニュートラルレッド色素取り込みアッセイを用いて測定した(Korba et al., Antiviral Res., 1992, 19:55-70) Use of a standardized cell culture assay to determine activities of nucleoside analogs against hepatitis B virus replication(Korba et al., 1992 前出)。
【0101】
実施例5:組織培養細胞においてHCV IRES依存的な遺伝子発現を阻害するshRNAの同定
培養細胞におけるC型肝炎ウイルスの内部リボソーム侵入部位(HCV IRES)依存的な遺伝子発現を阻害するインビトロ転写された低分子ヘアピン型RNA(shRNA)の能力を調査した。上述のように、AUG翻訳開始部位に近いHCV IRESの3'末端を標的化する25塩基対のshRNA HCVa-wt(表2)は、HCVの発現を乱すのに有効であることが見出された。共トランスフェクトされたshRNA構築物がIRESの機能二干渉する能力を評価するため、ホタルルシフェラーゼ(fLuc)の発現がHCV IRESに依存するレポーター構築物(pHCVデュアルルシフェラーゼプラスミド)を使用した(図1;Wang et al., Mol. Ther., 2005, 12:562-568)。これらの実験において、Wang et al., 2005, 前出に記載されるように、293T細胞を培養し、これをレポーター構築物およびHCVa-wtまたは他の試験配列の1つでトランスフェクトした。
【0102】
1 nMの濃度において、HCVa-wtは293FT細胞におけるHCV IRES依存的なルシフェラーゼの発現の90%阻害をもたらすことが見出された(Wang et al., 2005, 前出)。その後の実験において、さらなるHCV阻害剤を同定するため、HCV IRESの様々な領域を標的化する26個のさらなるshRNAを設計し試験した(図10、図16A〜B);26個のうちの3個は上記の複製であり(HCVb、HCVc、HCVd-wt);23個は新しい配列であった。その目的は、HCVa-wtの標的部位の突然変異によってウイルスが耐性を生じるのを困難にするようHCVa-wtと組み合わせて使用され得る、またはHCVa-wtの代替物として使用され得るshRNAを同定することであった。試験するshRNAは、異なるHCV遺伝子型の間で変化する領域を回避するよう選択した。一部の試験配列は、例えばjura.wi.mit.edu/bioc/siRNAext/で利用可能なアルゴリズムを用いて選択され、他の試験配列は、それらのCG含有量およびその他の特徴が理由で大部分のアルゴリズムでは推奨されず除外されると考えられるHCV-IRES配列、例えばGCリッチ領域または高次構造領域を意図的に標的化した。shRNAは、T7 RNAポリメラーゼを用いるdsDNAテンプレートからのインビトロ転写によって生成し、転写効率を上げるため、配列5'-pppGGGから開始した。この5'配列は、2〜3ヌクレオチドのオーバーハングを形成した。その正確な長さは標的部位がその5'末端に1つ以上のグアノシン残基を含むかどうかに依存する(図16A〜Bを参照のこと)。標的配列と一致するRNAセンス鎖の最後のヌクレオチドが「G」である場合、効率的な転写のためにさらなるGを2つだけ追加する必要があり、これらのGは標的に相補的ではなく、shRNAの5'末端で単鎖であった。標的と一致するshRNAセンス鎖の最後のヌクレオチドが「G」でない場合、この試験系における効率的な転写のために、標的に相補的ではない3つのGを追加する必要があった。この一連の実験において試験した全てのshRNAは、HCVa-wtについて記載されたように、21〜25塩基対の長さの二重鎖ステムおよびマイクロRNA-23由来の10ヌクレオチドのループを有した。
【0103】
全てのshRNA(HCVa-wtを含めて合計27)を、Wang, 2005に記載されるように活性についてアッセイした。簡単に説明すると、ヒト293FT細胞を、トランスフェクション効率および潜在的なオフターゲット効果を制御するため、pHCVデュアルルシフェラーゼ(登録商標)レポーター発現プラスミド(Promega, Madison, WI)および分泌型アルカリホスファターゼ発現プラスミド(pSEAP2, Clontech, Mountain View, CA)と共にshRNAで共トランスフェクトした。結果を図10に示す。SEAPレベルは全てのサンプルにおいて均一であり、このことは1 nM〜5 nMのshRNA濃度での効率的なトランスフェクションおよび非特異的阻害もしくは毒性作用の不在を示す。大部分のshRNAは中程度の活性(1 nMで60%未満の阻害)のみを示した。いかなる特定の学説にも拘泥せずに言えば、この効果は、IRESにおける標的化された領域が高次構造を有するためもっともらしい。例外は、HCVa-wt部位付近のIRESの位置を標的化するHCVd-wt、sh37、sh39、hcv17であった。これらのshRNAは、1 nMの濃度で、HCV IRES依存的な遺伝子発現の85〜90%阻害をもたらした。1 nMという低いshRNA濃度は、超機能的(hyper functional)shRNAの容易な同定を可能にするために選択した。スクリーニングを10 nM shRNAで行った場合、より多くのshRNAが高い活性を示すと考えられるが;しかしこの濃度におけるいくつかの例で有意な非特異的阻害が観察されていた。従って、このスクリーニングは、5つの重複するshRNAが高い活性を示す44のヌクレオチド領域(HCV IRESの331〜374位)を明らかにした。
【0104】
実施例6:shRNA活性に対する一塩基ミスマッチの効果
HCVに対する処置は突然変異型HCVに対して有効であることが望ましい。この点について本明細書中に記載のRNA(例えばHCV IRESを標的化するshRNA)の能力を決定するため、およびオフターゲット効果が問題となるかどうかに取り組むため、HCV IRESに対する選択されたshRNAの、標的配列における点突然変異に対する感度を試験した。これらの実験のために、QuikChange(登録商標)II部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene, La Jolla, CA)を用いて、HCV IRESにC340→U突然変異を導入した。アッセイした27のshRNAのうち、9個が突然変異領域を標的化し(図11)、従って理論的には、これらの活性はこの突然変異によって影響され得る。これらのshRNAの全てを、対照として他の部位を標的化する選択されたshRNAと共にpHCVの突然変異型を用いてアッセイした。試験した全てのshRNAについて、活性は、完全に標的と一致するオリジナルの活性と比較して、影響がないかまたはわずかに減少することが見出された(図10)。
【0105】
しかし、レプリコン系においては、shRNAは驚くべきことに、SNP感受性であることが見出された(以下を参照のこと)。
【0106】
実施例7:標的部位の詳細なマッピング
6個の短い19塩基対shRNAを、HCV IRESの3'末端付近の44ヌクレオチド部位を標的化するよう:3個はヌクレオチド331〜353を標的化し、3個はヌクレオチド354〜374を標的化するよう設計した。これらの分子は、10ヌクレオチドのループならびに5'-GGおよび3'-UUのオーバーハングを含んだ。スクリーニングを行い、HCV発現の阻害について試験したこれらの配列の中から最も効果の高かった重複しない候補を同定した。試験した6個のshRNAは全て、本アッセイ系において活性を阻害することができた。6個のshRNAのうちの3個(sh52、sh53、およびsh54)が最も効果が高いことが同定された(図12)。このことは、例えばHCVを処置するための組成物において、例えば1つより多いshRNAおよび/またはsiRNAを含む組成物の一部として効果の低いshRNAを使用することを妨げるものではない。
【0107】
実施例8:shRNAの設計:ステムの長さ、ループの長さおよび配列、ならびに3'末端の影響
shRNAの設計が遺伝子サイレンシング活性にどのように影響するかを試験するため、追加の実験を行った。HCVa-wtは、(非標準的な塩基対を形成し得る)5'-GGおよび3'-UUオーバーハングならびに10ヌクレオチドのmiR-23ループと共に25塩基対のステムを含んだ。発現阻害効率におけるこれらのパラメータの重要性を試験するため、これらのパラメータの各々を個別に変化させた(図13A)。マイクロRNA-23ループ配列は、天然に存在する配列であり(Lagos-Quintana et al., Science, 2001, 293:854-258)、従って毒性である可能性が低いため、最初に選択した。6ヌクレオチド、5ヌクレオチド、および4ヌクレオチドのループと共に、2つの代替の10ヌクレオチドループを、各々2つのバージョンの配列において試験した。ループサイズまたは配列はいずれも、これらの25塩基対shRNAの活性に影響することは見出されなかった(図13B;配列については図16A〜Bを参照のこと)。
【0108】
3'-UU末端配列(単鎖オーバーハング)を欠く低分子ヘアピン型RNAは、この特徴を含む親のshRNAと同じ効力を有した。センス領域は全長(25ヌクレオチド)であるがアンチセンス領域が短い(13ヌクレオチド)対照shRNAは活性を有さず、これにより、標的化配列における二重鎖構造の重要性が確認された。3'-UU末端の代わりに3'-CCを有する(2つのさらなるワトソン・クリック塩基対を形成できる)shRNAは、HCV発現の減少についてはHCVa-wtよりも効果的であったが、SEAPレベルにも影響した。この非特異的阻害は、より長いステム(27塩基対)がインターフェロン反応経路の遺伝子を誘導しプロテインキナーゼR(PKR)を活性化し得る結果であり得る。驚くべきことに、ループをshRNAのもう一方の末端に移動させると、活性が劇的に減少した(1 nMでの阻害が90%から15%に)。この効果について考えられる説明には、ダイサープロセシングの位置(従って標的化される配列)のシフトおよび5'末端における異なるGC含有量が含まれる。
【0109】
19塩基対のshRNAは25塩基対shRNAと類似の効力を示すことが示されたので、19塩基対shRNAにおけるループのバリエーションの効果を試験した。その結果を図14に示す;配列については図16A〜Bを参照のこと。10、6、5、および4ヌクレオチドの大きさのループを、各々2つのバージョンの配列で試験した。全てのループサイズを含む配列は、遺伝子発現を阻害する能力を実証した。しかし、25塩基対shRNAを用いた結果とは対照的に、ループサイズの縮小、特に5ヌクレオチド未満への縮小は、試験した両方のループ配列において19塩基対shRNAの活性を減少させた。少なくとも5〜6ヌクレオチドのループは最も高い活性を実証した。
【0110】
3'-UUの除去はまた、19塩基対および20塩基対のshRNAの活性を劇的に減少させた(しかし、25塩基対ではそうならなかった)。いかなる特定の学説にも拘泥せずに言えば、3'-UUおよび5'-GGは、非標準的な塩基対を形成し得、かつshRNA二重鎖の全体サイズは、効果的なプロセシングのためには二重鎖が21塩基対未満になることができないことから重要となる。従って、25塩基対のshRNAにとっては、ループのサイズまたは3'UUの存在のいずれも問題にならないが、これらのパラメータは、短い、例えば19塩基対shRNAの効力にとっては重要となる。いかなる特定の学説にも拘泥せずに言えば、ダイサーがプロセシングの前に末端で結合し、長いshRNAの場合はループを「検知しない」が、19塩基対shRNAの場合は末端から19〜21ヌクレオチド分を「計測」することでループに「感づく」ということであり得る。
【0111】
従って、19塩基対shRNAは、25塩基対shRNAおよび19塩基対siRNAと同じくらい強力であり得ることが見出された。一部のshRNA分子は、0.1〜1 nMという低い濃度で活性であることもまた見出された(「超強力shRNA」。他のグループは典型的には10-25-50-100 nMのsiRNAを使用する)。
【0112】
これらのデータは、3'-UUを含まない、少なくとも22塩基対、例えば23塩基対、24塩基対、または25塩基対である配列が、HCV発現の阻害に適当であり得ることを実証する。同様に、ループのサイズは、少なくとも22塩基対の長さのshRNAにとっては重要でない。
【0113】
実施例9:HCVレプリコン系
多くのshRNA阻害剤およびsiRNA阻害剤を陰性対照と共に使用して、HCVのサブゲノムレプリコンを安定的に発現するヒト肝細胞(AVA5、Huh7細胞株の派生物)をトランスフェクトし(Blight et al., Science, 2000, 290:5498)、HCV発現の量を決定した。一定範囲の濃度を試験し、50%阻害をもたらすRNA濃度(IC50またはEC50)を決定した。2つの独立した実験由来のIC50を図15において並べて示す。この結果は全般的に、293FT細胞においてfLuc/IRES系を用いて得られたデータと相関したが、以下の点が異なった:(1)19塩基対shRNAはレプリコン系において19塩基対siRNAよりも強力であったが、レポーター系においては、19塩基対siRNAがshRNAよりも強力であった;(2)点突然変異を有するshRNA HCVa-wtは、レプリコン系においては活性を実証しなかったが、fLuc/IRESレポーター系においては効果があった;(3)全般的に、25塩基対siRNAおよび25塩基対shRNAは、試験した他の19塩基対shRNAおよびsiRNAよりも活性が低かった。一般的に、IRESおよびレプリコン系は、候補配列の同定に有用である。選択されたshRNAまたはsiRNAの効力(例えば、対象におけるHCVの発現を阻害する効力)の確認方法は、本明細書中に記載される方法および当技術分野で公知の方法を用いてさらに試験され得る。
【0114】
その他の態様
本発明はその詳細な説明に関連して記載されてきたが、上記の記載は例証を意図するのであって、本発明の範囲を限定することを意図しておらず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されるはずである。その他の局面、利点、および改変は、添付の特許請求の範囲に包含される。
【0115】
参照




【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1Aは、C型肝炎遺伝子型1aのIRESヌクレオチド配列図である(GenBankアクセッション番号AJ242654を参照のこと)。下線は、標的領域のヌクレオチド、344〜374である。(太字で示される)様々な領域で、Heptazyme(商標)リボザイム(siRNA.com;189〜207位)、Chiron 5U5 siRNA[25](286〜304位)、ISIS 14803ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド[34](330〜349位)、Mizusawa 331 siRNA[15](322〜340位)、およびホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー[8,35](344〜363位)を含む阻害剤による標的化に成功している。HCV IRESおよびその他のHCVエレメントをダウンレギュレートすることが試験されたsiRNAのより完全なリストは、[2,3]に見出され得る。図1Bは、shRNA HCVa-wt(shRNA1)およびその突然変異型変異体のRNA配列図であり、これらは対応するDNAテンプレートのU6プロモーターからのpol III転写によりもたらされた。HCVa-wtの2つの塩基対(下線)は、示されるような1つ(HCVSNP1もしくはHCVSNP2)または2つのミスマッチ(HCVa-mut)のshRNAを含むHCVa-wtバージョンを構築するために変化させた。図1CはshRNA HCVb-wt(sh9)、HCVc-wt(sh10)、およびHCVd-wt(sh11)の配列図である。図1DはHCV IRESの二次構造の概略図であり、shRNA HCVa-wt、HCVb-wt、HCVc-wt、およびHCVd-wtの標的部位を示す。図1Eは、HCV IRES標的を産生するために使用されるpCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼレポーター構築物、ならびにHCV IRESを置換する脳心筋炎ウイルスからのIRESを有し、それ故にHCVに特異的なshRNAに対する任意の標的を欠くEMCV IRESコントロールを図式的に示す。各々の場合において、ホタルルシフェラーゼ発現は、IRES配列からの翻訳の阻害に依存するが、レニラルシフェラーゼは、キャップ依存的な様式で発現される。図1Fは、293FT細胞におけるHCV IRESを介した遺伝子発現を阻害する能力に対するshRNAのスクリーニングの結果を示す。293FT細胞は、24ウェル組織培養プレートのウェルにおいて、pCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼレポーター構築物、pSEAP2(トランスフェクションおよび特異性コントロールとして)、およびshRNA(1 nMで)でコトランスフェクションされた。プラスミドpUC18は、ウェルあたり計800 ng核酸を提供するために添加された。トランスフェクションの48時間後、細胞は溶解され、ルミノメーターによってホタルルシフェラーゼ活性が測定された。すべてのデータは、3回行なわれた個々の独立の実験の結果でり、かつSEAPに対して標準化された。
【図2】図2AはデュアルルシフェラーゼレポーターおよびSEAP発現プラスミドならびに1ピコモルのインビトロで転写されたshRNAを共トランスフェクトした293FT細胞におけるHCV IRES誘導性の遺伝子発現の阻害を試験した実験の結果を示す棒グラフである。標的プラスミドはpCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼレポーター(図1Eに示されるようなHCV IRES)であった。ホタルルシフェラーゼ活性は、実施例1に記載の通りに測定した。ホタルルシフェラーゼおよびSEAP活性は100に対して標準化した。図2Bは、293FT細胞におけるHCV対EMCBの阻害を試験した実験の結果を示す棒グラフである。データは、SEAP活性で割り、100に対して標準化したルシフェラーゼ活性で表す。図2Cは、shRNAの効力に対する1塩基ミスマッチの効果を実証する実験の結果を示す棒グラフである。実験条件は、図2Aについて記載された通りであった。SNP1およびSNP2は、図1Bに示されるような突然変異型塩基対を含んだ。図2Dは、HCV-IRES誘導性の遺伝子発現のHCVa-wtおよび突然変異型(HCVa-mut)または対照(229)shRNAによる阻害の用量反応を試験した実験の結果を示す線グラフである。実験条件は、図2Aについて記載された通りであった。データは、SEAPで割り、100に対して標準化したルシフェラーゼで表す。全てのデータは、三連で行った個別の独立した実験の結果である。図2Eは、shRNA標的部位を欠くデュアルルシフェラーゼレポーターからの遺伝子発現に対するHCVa-wt、HCVa-mut、および229 shRNAの用量反応を試験した実験の結果を示す線グラフである。その手順は、標的がHCV IRESの代わりにEMCV IRESにより誘導されるホタルルシフェラーゼであったことを除いて図2Dに記載の通りであった。図2Fは、以下の通りに処理した共トランスフェクト293FT細胞のノーザンブロット分析の複製である:阻害剤なし(レーン1)、229(レーン2)、HCVa-wt(レーン3)、またはHCVa-mut(レーン4)でトランスフェクトした細胞から単離した総RNA 10μgを変性ゲル電気泳動により分離し、膜に移し、続いて32P標識fLuc、SEAP、または延長因子1A(EF1A)cDNAプローブでハイブリダイズさせた。RNAブロットは、現像および定量のためにストレージホスホールスクリーンに曝した(BioRad FXモレキュラーイメージャー)。
【図3】図3Aは、ヒト肝細胞株Huh7を用いてHCVa-wtおよびHCVa-mut shRNAの用量反応を試験した実験の結果を示す線グラフである。手順は、Huh7細胞を使用したことを除いて図2Dについて記載された通りであった。図3Bは、HCVa-wt shRNAが、HCV IRESを欠く類似の標的を阻害しないことを実証する実験の結果を示す線グラフである。pCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼレポーター(HCV IRES)の代わりにpCDNA3/EMCV IRESデュアルルシフェラーゼレポーター(EMCV IRES)を添加したことを除いて図3Aの通りに細胞をトランスフェクトした。全てのデータは、SEAPで割ったルシフェラーゼ活性で表す。全てのデータは、三連で行った個別の独立した実験から得た。
【図4】図4Aは、HCV遺伝子型1A(SEQ ID NO:26)の25ヌクレオチド標的部位内に含まれる合成siRNAおよびshRNAの7つの19塩基対ウイルス認識配列の配列、ならびにエチジウムブロマイドで染色した10%ネイティブポリアクリルアミドゲルにおけるそれらの純度の分析を示す。siRNA:センス鎖およびアンチセンス鎖は3'-UUオーバーハングを含んだ;shRNA:ループ配列および3'、5'末端のオーバーハングは25塩基対shRNAのそれらと同一であった。図4Bは、RNA阻害剤(siRNAおよびshRNA)を、1 nMの阻害剤濃度で、293FT細胞におけるHCV IRES媒介性の遺伝子発現の阻害についてアッセイした実験の結果を示す棒グラフである。図4Cは、RNA阻害剤を、0.1 nMの阻害剤濃度で、293FT細胞におけるHCV IRES媒介性の遺伝子発現の阻害についてアッセイした実験の結果を示す棒グラフである。
【図5】図5Aは、実施例1に記載されるように、100μgの示されるHCV shRNAまたは対照229 shRNAを、直接的にまたはshRNAを発現する100μgのpol III発現プラスミド(もしくは対照としてのpUC18プラスミド)の形態で、マウスの尾静脈に、デュアルルシフェラーゼHCV IRESレポータープラスミド(10μg)およびSEAP(注射効率および非特異的阻害の対照に添加した)を共注射したマウスのIVIS画像の複製である。注射後の様々な時点(24、36、48、60、72、84、および100時間)でルシフェリンを腹腔内投与し、IVISインビボイメージングシステムを用いてマウスを画像化した。画像は、84時間時点のマウスを表すものである。図5Bは、RNAを直接送達した図5Aに記載される実験の結果を定量化したものを示すグラフである。定量化は、ImageQuant(商標)ソフトウェアを用いて行った。各時点は、4〜5匹のマウスの平均を表す。96時間時点において、マウスから採血し、SEAP活性の量を実施例1に記載されるpNPPアッセイによって決定した。定量化したデータは、SEAP活性で割ったルシフェラーゼ活性をpUC18対照マウス(100%、明瞭にするためにpUC18対照にはエラーバーを示さない;エラーバーは示される他のものと同様である)に対して標準化したもので表す。
【図6】図6は、マウスにおけるHCV IRES媒介性のレポーター遺伝子発現の、shRNAおよびホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーによる阻害を比較した実験の結果を示す棒グラフである。マウスには、図5の実験に記載されるように、100μgの示されるHCV shRNA阻害剤またはHCV IRES構築物を阻害することが以前に示された[8]1ナノモルのモルホリノオリゴヌクレオチドと共にデュアルルシフェラーゼHCV IRESレポータープラスミドおよびpSEAPを共注射した。処理後の様々な時点(12時間、24時間、48時間、および144時間)でマウスを画像化した。示されるデータは48時間時点のものである。定量化されたデータは、pUC18対照(添加なし)マウスに対して標準化されたルシフェラーゼ活性およびSEAP活性で表す。示される結果は、1つの構築物あたり3〜5匹のマウス由来のものである。
【図7】図7は、nsp-1遺伝子を標的化する阻害性shRNAを発現するプラスミドでBHK-21細胞を一過的にトランスフェクトした実験の結果を示すグラフである。トランスフェクションから24時間後に、10μlの複製力の強いGFP発現性セムリキ森林熱ウイルス(SFV-GFP-VA7;約100%の感染に十分な感染効率(MOI))を細胞に感染させ、感染から24時間後にウイルス媒介性のGFP発現についてフローサイトメトリーによりアッセイした。siRNA媒介性の抑制のレベルは約35%であった。ラベル:Nsp1、Nsp-1遺伝子(nsp-1#2)を標的化するshRNA;空ベクター、pU6;ナイーブ、未感染のBHK細胞。
【図8】図8は、shRNAによる複製不全SFV(SFV-PD713P-GFP)の阻害を調査した実験の結果を示す棒グラフである。BHK-21細胞を、阻害性shRNAを発現するプラスミドで一過的にトランスフェクトした。トランスフェクションから46時間後、細胞を、無血清培地中8%のPEGを用いてMOI 5のSFV-GFPウイルスを1時間感染させた。次いで、完全培地を添加し、細胞を37℃で一晩インキュベートした。細胞を、感染から9、24、32、99、および125時間後にフローサイトメトリーで分析した。明瞭にするために、3つの時点のみを示す(9、24、および32時間)。各shRNAの阻害量は、カプシドshRNAに対して標準化した。カプシドmRNAはこのSFV-GFP複製不全ウイルスには存在せず、従ってカプシドshRNAはGFPの発現に影響しないはずである。本実験におけるshRNA発現構築物のトランスフェクション効率は約70%であり、これは、実際のウイルス阻害が示されたレベルよりも有意に高いことを示唆する。5番目のバーのセット(混合)は、nsp 1-4を標的化するshRNAとカプシドの混合物を意味する。
【図9】図9は、shRNAによるHCVレプリコンの阻害を試験した実験の結果を示す線グラフである。
【図10】図10は、配列と293FT細胞においてHCV IRES媒介性の遺伝子発現を阻害する能力についてのshRNAのスクリーンの結果とを示す表である。細胞を、48ウェル組織培養プレートのウェルにおいて、pCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼレポーター構築物(40ng)、pSEAP2(25ng、トランスフェクションおよび特異性の対照として)、ならびにshRNA(1 nMまたは5 nM)を用いてLipofectamine(商標)2000を用いて)共トランスフェクトした。1ウェルあたり合計400ngの核酸を提供するよう、プラスミドpUC18を加えた。トランスフェクションから48時間後に、上清をSEAP分析のために収集し、細胞を溶解し、ホタルルシフェラーゼ活性をルミノメーターにより測定した。全てのデータは、三連で行った少なくとも2つの独立した実験の結果である。SEAPレベルは全てのサンプルにおいて均一であった。shRNAの特異性をアッセイする対照実験を、(IRESの)C340をUで置き換えた突然変異型pCDNA3/HCV IRESデュアルルシフェラーゼレポーター構築物においても行った。
【図11】図11は、shRNAにより標的化されるセグメントを含む、HCV IRESの3'末端配列の図表である。(shRNAの特異性をアッセイするのに使用される)突然変異C340→Uを示す。
【図12】図12Aは、HCV IRESの5'末端と6つの19-bp shRNAの標的化位置との図表である。図12Bは、293FT細胞においてHCV IRES媒介性の遺伝子発現を阻害する能力についてのshRNAのスクリーンの結果を示す棒グラフである。実験は、図10の通りに行った;shRNA濃度、1 nM。
【図13】図13Aは、様々なループサイズおよび配列を有する示される25塩基対shRNAの試験した変異体の配列、ならびに試験した3'末端の図表である。図13Bは、293FT細胞においてHCV IRES媒介性の遺伝子発現を阻害する能力についての図13Aに示されるshRNAのスクリーンの結果を示す棒グラフである。実験は、図10の通りに行った。shRNA濃度、1 nM(shRNAの配列は図16A〜Bに列挙されている)。
【図14】図14Aは、試験した様々なループサイズおよび配列を有する示される19-bp shRNAの試験した変異体の配列、ならびに試験した3'末端の図表である。図14Bは、293FT細胞においてHCV IRES媒介性の遺伝子発現を阻害する能力についての図14Aに示されるshRNAのスクリーンの結果を示す棒グラフである。実験は、図10の通りに行った。shRNA濃度、1 nM(shRNAの配列は図16A〜Bに列挙されている)。
【図15】図15は、HCVレプリコン系における阻害活性についてのshRNA(およびsiRNA)のスクリーンの結果を示す棒グラフである。HCVサブゲノムレプリコンを安定的に発現するヒト肝細胞(AVA5、Huh7細胞株の派生物)をRNA阻害剤でトランスフェクトし、HCVの発現量を決定した。一定範囲の濃度を試験し、50%阻害をもたらすsh/siRNAの濃度(EC50)を決定した。暗色および明色のバーは、2つの独立した実験の結果を表す。
【図16】図16A〜Bは、示されるようなHCV IRESを標的化するshRNA配列を示す表である。下線はshRNAのループである。小文字で示されるヌクレオチドは、標的に非相補的である。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図2E】

【図2F】

【図3A】

【図3B】

【図4A】

【図4B】

【図4C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下からなるRNA配列:
a.

または上記配列と1つ、2つ、もしくは3つのヌクレオチドが異なる配列である、第一RNA配列;
b.第一配列の相補鎖である第二RNA配列;
c.4〜10ヌクレオチドからなる、第一核酸配列と第二核酸配列の間に位置するループ配列;および
d.任意で、2ヌクレオチドのオーバーハング。
【請求項2】
第一RNA配列が

である、請求項1記載のRNA配列。
【請求項3】
少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1記載のRNA配列。
【請求項4】
ループ配列が4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチドであるか、または少なくとも10ヌクレオチドである、請求項1記載のRNA配列。
【請求項5】
少なくとも1つの非ヌクレオチド分子を含むループにより連結された、請求項1記載の核酸配列および請求項1記載の配列に相補的な配列を含むshRNA。
【請求項6】
ループがshRNAのセンス鎖の3'側かつ相補的なアンチセンス鎖の5'側にある、請求項4記載の核酸配列を含むshRNA。
【請求項7】
ループがshRNAのアンチセンス鎖の3'側かつ相補的なセンス鎖の5'側にある、請求項4記載の核酸配列を含むshRNA。
【請求項8】
3'UUである2ヌクレオチドのオーバーハングを含む、請求項1記載のRNA配列。
【請求項9】
第一配列がSEQ ID NO:33、SEQ ID NO:55、またはSEQ ID NO:56である、請求項1〜8のいずれか一項記載のRNA配列。
【請求項10】
SEQ ID NO:57〜79、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、またはSEQ ID NO:18のいずれか一つである、請求項1記載のRNA配列。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項記載のRNAをコードする配列を含むDNA配列。
【請求項12】
請求項11記載のDNA配列を含む発現ベクター。
【請求項13】
請求項11記載のDNA配列を含むレトロウイルスベクター。
【請求項14】
細胞に感染させた場合に、請求項1記載のRNA配列を発現し得るプロウイルスを生成する、請求項13記載のレトロウイルスベクター。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか一項記載のRNA配列および薬学的に許容される賦形剤を含む組成物。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか一項記載のRNA配列をコードする配列を含むベクターを含む組成物。
【請求項17】
請求項1に記載のRNA配列を少なくとも2つ含む、請求項15記載の組成物。
【請求項18】
以下の工程を包含する、C型肝炎ウイルスの発現または活性の阻害方法:
a.C型肝炎ウイルスを発現し得る細胞を提供する工程;および
b.請求項1〜10のいずれか一項記載のRNA配列と当該細胞を接触させる工程。
【請求項19】
細胞が哺乳動物中にある、請求項18記載の方法。
【請求項20】
哺乳動物がヒトである、請求項18記載の方法。
【請求項21】
哺乳動物が非ヒト霊長類である、請求項18記載の方法。
【請求項22】
細胞を少なくとも2つの異なる請求項1記載のRNA配列と接触させる、請求項18記載の方法。
【請求項23】
以下の工程を包含する方法:
a.C型肝炎ウイルスに感染した対象または感染した疑いのある対象を同定する工程;
b.対象に請求項15、16、または17のいずれか一項記載の治療有効量の組成物を提供する工程。
【請求項24】
対象におけるウイルス量が(b)の後に減少するかどうかを決定する工程をさらに包含する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
対象において少なくとも1つのウイルスタンパク質またはウイルス核酸配列が減少するかどうかを決定する工程を(b)の後にさらに包含する、請求項23記載の方法。
【請求項26】
ウイルスにおける遺伝子発現の阻害方法であって、ウイルス含有細胞に低分子干渉RNAを導入する工程を包含し、該低分子干渉RNAはウイルスのポリヌクレオチド配列に少なくとも部分的に相補的な配列を含み、該低分子干渉RNAの少なくとも部分的に相補的な配列とウイルスのポリヌクレオチド配列との相互作用によりウイルスにおける遺伝子発現が阻害される、方法。
【請求項27】
低分子干渉RNAがshRNAである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
低分子干渉RNAがsiRNAである、請求項26記載の方法。
【請求項29】
低分子干渉RNAが約19〜約30ヌクレオチドのウイルス配列を認識する、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ウイルスがC型肝炎ウイルスである、請求項26記載の方法。
【請求項31】
低分子干渉RNAが、C型肝炎ウイルスの内部リボソーム侵入部位(IRES)配列内の配列と相互作用する、請求項30記載の方法。
【請求項32】
IRES配列がSEQ ID NO:11に示す配列を含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
低分子干渉RNAがSEQ ID NO:26に示す領域内の約19〜約30ヌクレオチドの配列を認識する、請求項32記載の方法。
【請求項34】
低分子干渉RNAがshRNAである、請求項30〜33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
shRNAがSEQ ID NO:12、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:32、およびSEQ ID NO:33からなる群より選択される配列を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
shRNAがSEQ ID NO:12に示す配列を有する、請求項35記載の方法。
【請求項37】
低分子干渉RNAがsiRNAである、請求項30〜33のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
siRNAがSEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:32、およびSEQ ID NO:33からなる群より選択される配列を含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
哺乳動物におけるウイルス感染の処置方法であって、ウイルスのポリヌクレオチド配列に少なくとも部分的に相補的な配列を含む治療有効量の低分子干渉RNAを含む組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、該低分子干渉RNAの少なくとも部分的に相補的な配列とウイルスのポリヌクレオチド配列との相互作用によりウイルスにおける遺伝子発現が阻害される、方法。
【請求項40】
低分子干渉RNAがshRNAである、請求項39記載の方法。
【請求項41】
低分子干渉RNAがsiRNAである、請求項39記載の方法。
【請求項42】
低分子干渉RNAが約19〜約30ヌクレオチドのウイルス配列を認識する、請求項39〜41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
哺乳動物がヒトであり、ウイルス感染がC型肝炎ウイルスを含む、請求項39記載の方法。
【請求項44】
低分子干渉RNAが、C型肝炎ウイルスのIRES配列内のポリヌクレオチド配列に少なくとも部分的に相補的な配列を含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
IRES配列がSEQ ID NO:11に示す配列を含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
低分子干渉RNAがSEQ ID NO:26に示す領域内の約19〜約30ヌクレオチドの配列を認識し結合する、請求項45記載の方法。
【請求項47】
低分子干渉RNAがshRNAである、請求項43〜46のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
shRNAがSEQ ID NO:12、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、およびSEQ ID NO:25、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:32、ならびにSEQ ID NO:33からなる群より選択される配列を含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
shRNAがSEQ ID NO:12に示す配列を有する、請求項48記載の方法。
【請求項50】
低分子干渉RNAがsiRNAである、請求項43〜46のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
siRNAがSEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、およびSEQ ID NO:25、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:32、ならびにSEQ ID NO:33からなる群より選択される配列を含む、請求項50記載の方法。
【請求項52】
SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:32、およびSEQ ID NO:33からなる群より選択される配列を含むshRNAを含む組成物。
【請求項53】
SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、およびSEQ ID NO:27、SEQ ID NO:32、ならびにSEQ ID NO:33からなる群より選択される配列を含むsiRNAを含む組成物。
【請求項54】
請求項52記載のshRNAおよび薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項55】
請求項53記載のsiRNAおよび薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項56】
請求項26、30〜33、39、43〜46、および18〜25のいずれか一項記載の方法において使用するためのshRNAおよび説明書を含むキット。
【請求項57】
shRNAがSEQ ID NO:12、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:32、およびSEQ ID NO:33からなる群より選択される配列を含む、請求項56記載のキット。
【請求項58】
請求項25、29〜32、38、および42〜45のいずれか一項記載の方法において使用するためのsiRNAおよび説明書を含むキット。
【請求項59】
siRNAがSEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、およびSEQ ID NO:27、SEQ ID NO:32、ならびにSEQ ID NO:33からなる群より選択される配列を含む、請求項58記載のキット。
【請求項60】
C型肝炎ウイルスが遺伝子型1aである、請求項43記載の方法。
【請求項61】
哺乳動物がヒトである、請求項39記載の方法。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【公表番号】特表2009−521207(P2009−521207A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529981(P2008−529981)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/021253
【国際公開番号】WO2007/032794
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(507078991)ソマジェニックス  インコーポレーティッド (3)
【Fターム(参考)】